(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】圧力式炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230927BHJP
A47J 27/08 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
A47J27/08 A
(21)【出願番号】P 2020066563
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】福井 勇仁
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-42542(JP,A)
【文献】特開2014-223163(JP,A)
【文献】特開2012-93428(JP,A)
【文献】特開2018-117683(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第95-8056(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力式炊飯器であって、
蓋体と、
本体とを備え、
前記本体は、前記本体の背面側に配置され、炊飯時にかかる圧力に抗するための背面金具を含み、
前記背面金具を介して接地するように構成されている、圧力式炊飯器。
【請求項2】
前記背面金具には、配線との接続部として、ファストン接続を可能とするタブが形成される、請求項1に記載の圧力式炊飯器。
【請求項3】
前記背面金具は、接地用の配線が接続される第1の接続部と、各部への配線が接続される複数の第2の接続部とを有する、請求項1または2に記載の圧力式炊飯器。
【請求項4】
前記背面金具は、接地用の配線が接続される第1の接続部と、各部への配線の本数以上の第2の接続部とを有する、請求項1または2に記載の圧力式炊飯器。
【請求項5】
前記蓋体は制御基板を含み、
前記背面金具は、背面視において、前記制御基板と本体とを接続するためのケーブルを避けた位置に取り付けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器。
【請求項6】
前記背面金具は、2本の金具を含み、
前記ケーブルが、前記2本の金具の間に配置される、請求項5に記載の圧力式炊飯器。
【請求項7】
前記背面金具は、その上端部が前記本体の上部に固定され、その下端部が前記本体の下部に固定され、その中央部が前記本体の背面に対して位置決めされる、請求項1から6のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力式炊飯器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力式炊飯器に関する従来技術として、たとえば、特開2017-42542号公報(特許文献1)には、「圧力式炊飯器は、炊飯器本体と、調理物を収容する鍋と、炊飯器本体の内部に設けられ、鍋を収納する保護枠と、平面視において保護枠の上面開口部と炊飯器本体の上面開口部との間を覆うように設けられた上枠と、上枠の上方後部に配置されたヒンジ部と、ヒンジ部に回動自在に取り付けられ、ヒンジ部を中心として回動することにより、炊飯器本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体とを備え、鍋内を加圧状態して炊飯を行う圧力式炊飯器であって、ヒンジ部を補強するヒンジ補強部材と、ヒンジ補強部材から保護枠まで上枠の内面に沿って延在するように設けられ、上枠を補強する上枠補強部材とをさらに備える。」ということが開示されている。
【0003】
特開2014-223163号公報(特許文献2)には、「本体に上下に開口部を有した略円筒状で電気的導通材質からなる真空容器を備え、真空容器の下方に有した下部開口部を略塞ぐ底面容器を備え、真空容器の上方の上部開口部を介して着脱自在に収納される内釜を備え、本体と内釜の上部を覆う蓋体を備え、底面容器の下面側に設け内釜を加熱する加熱コイルを備え、加熱コイルの通電を制御する制御手段を備え、制御手段に外部から電力を供給するアース線を設けた電源コードを備え、真空容器には、アース線と接続する複数の接続部を有した電気的導通材質のアース線接続用金具を溶接して設けた。」ということが開示されている。
【0004】
特開2013-235712号公報(特許文献3)には、「本発明に係る電気製品は、非充電金属部品、爪部およびアース線を備える。非充電金属部品は、人が接触する可能性のある部品、例えば、外装部品、蓋等を開状態としたときに露出する部品等である。爪部は、非充電金属製であって、非充電金属部品から突起している。アース線は、爪部に接続されている。」ということが開示されている。
【0005】
特開平7-265200号公報(特許文献4)には、「この発明は、本体内に設けられた炊飯ヒータ及び保温ヒータを含む電気系統のアース構造を備えた炊飯器において、電気部品における隣接した電気部品の導電部材の一部を互いに圧接してアース構造のアース接続を形成した炊飯器を構成した。」ということが開示されている。
【0006】
特開平5-33610号公報(特許文献5)には、「アーム本体におけるエンドピボット部と、バルブ当接部と、1対のアーム部とに、一体的に形成した耐摩耗性部材を鋳込んだことにより、シリンダヘッドに嵌着したピボット、エンジバルブ、及びローラの摺接面の耐摩耗性が著しく向上する。従って、アーム本体を軽合金材料により成形しても、耐摩耗性上問題となることはなく、ロッカアームの軽量化が図れて、エンジンの許容回転数を高めることができる。」ということが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-42542号公報
【文献】特開2014-223163号公報
【文献】特開2013-235712号公報
【文献】特開平7-265200号公報
【文献】特開平5-33610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、圧力式炊飯器の各部を効率的に接地することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面においては、蓋体と、本体とを備え、本体は、本体の背面側に配置され、炊飯時にかかる圧力に抗するための背面金具を含み、背面金具を介して接地するように構成されている、圧力式炊飯器が提供される。
【0010】
上記の構成によれば、背面金具を介して接地させるため、背面金具を強度のためと接地のための2つの目的に利用することができ、圧力式炊飯器の部品点数を抑えられる。
【0011】
好ましくは、背面金具には、配線との接続部として、ファストン接続を可能とするタブが形成される。
【0012】
上記の構成によれば、接続部の形状を薄くすることができるため、圧力炊飯器の背面部分を省スペース化することができる。
【0013】
好ましくは、背面金具は、接地用の配線が接続される第1の接続部と、各部への配線が接続される複数の第2の接続部とを有する。
【0014】
上記の構成によれば、1つの接続部に複数の配線を接続したり、分岐させたりする可能性を低減することができるため、組み立てを容易にすることができる。
【0015】
好ましくは、背面金具は、接地用の配線が接続される第1の接続部と、各部への配線の本数以上の第2の接続部とを有する。
【0016】
上記の構成によれば、1つの接続部に1つの配線を接続できるため、組み立てを容易にすることができる。
【0017】
好ましくは、蓋体は制御基板を含む。背面金具は、背面視において、制御基板と本体側の各部とを接続するためのケーブルを避けた位置に取り付けられる。
【0018】
上記の構成によれば、ケーブルとの干渉を防止することができる。
【0019】
好ましくは、背面金具は、2本の金具を含み、ケーブルが、2本の金具の間に配置される。
【0020】
上記の構成によれば、ケーブルとの干渉を防止することができる。
【0021】
好ましくは、背面金具は、その上端部が本体の上部に固定され、その下端部が本体の下部に固定され、その中央部が本体の背面に対して位置決めされる。
【0022】
上記の構成によれば、組み立て時に背面金具の位置決め容易にし、使用時にも背面金具を安定的に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本実施の形態に係る本体の側面カバーを取り外した状態の炊飯器の側面図である。
【
図3】本実施の形態に係る本体の側面カバーを取り外した状態の炊飯器の背面図である。
【
図5】本実施の形態に係る底遮熱版の底面図である。
【
図6】本実施の形態に係る電源基板の背面図である。
【
図8】本実施の形態にかかる背面金具の正面斜視図である。
【
図9】本実施の形態に係るFFCケーブルを取り付けた状態の本体の側面カバーを取り外した状態の炊飯器の背面図である。
【
図10】第3の実施の形態に係る本体の側面カバーを取り外した状態の炊飯器の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1の実施の形態]
<炊飯器の全体構造>
【0025】
まず、
図1から
図4を参照しながら、本発明の実施の形態に係る炊飯器100の全体構造について説明する。なお、以下では、
図1における紙面の左側を炊飯器100の正面または前側と称し、
図1における紙面の右側を炊飯器100の背面または後側と称し、
図1における紙面の手前側を炊飯器100の左側と称し、
図1における紙面の奥側を炊飯器100の右側と称し、
図1における紙面の上側を炊飯器100の上側と称し、
図1における紙面の下側を炊飯器100の下側と称する。
【0026】
本実施の形態にかかる炊飯器100は、本体110と蓋体120から構成される。本体110と蓋体120とはヒンジ140によって開閉可能に構成される。本体110には、上方から内鍋130が取り出し可能に収納される。
【0027】
本実施の形態においては、本体110は、主に、側面カバー111、肩部材112、保護枠113、誘導加熱コイル114、背面金具150L,150Rなどを含む。本体110は、
図5に示す底遮熱板116や、
図6に示す電源基板117なども含む。本体110は、その他にも、断熱材や、誘導加熱コイルや、フェライトコア組立体や、サーミスタや、電源コードなど、通常の圧力式炊飯器で利用される様々な部材を含むものであるが、公知の構成を利用できるものであって、特に限定するものではなく、ここでは説明を繰り返さない。
【0028】
また、蓋体120は、主に、上面カバー121、内蓋122、操作パネル123、制御回路基板124などを含む。蓋体120は、
図7に示す放熱板125なども含む。蓋体120は、その他にも、送風ファンや、圧力調節機構など、通常の圧力式炊飯器で利用される様々な部材を含むものであるが、公知の構成を利用できるものであって、特に限定するものではなく、ここでは説明を繰り返さない。
【0029】
本実施の形態にかかる炊飯器100は、蓋体120に操作パネル123や制御回路基板124が設けられるものであるため、蓋体120の制御回路基板124と、本体110の電源基板117やその他の制御対象部材と、を接続するためのFFC(Flexible Flat Cable)ケーブル(
図9を参照)が、炊飯器100の背面のヒンジ140の近傍を通って蓋体120から本体110まで接続される。
【0030】
図1および
図4を参照して、本実施の形態にかかる炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器である。つまり、炊飯時には、蒸気圧で上側に開こうとする大きな力が蓋体120にかかるものである。より詳細には、圧力炊飯を行う際には、内鍋130の内部と蓋体120の底面との間に囲まれる炊飯空間が蒸気圧によって大気圧を超える圧力に加圧される加圧状態となり、その結果、本体110に対して蓋体120が持ち上がろうとする方向へ力が掛かる。
【0031】
そこで、蓋体120の前側に関しては、圧力炊飯時には、ストッパー126(
図7を参照)によって本体110の前部の係止部材から離れないように構成されている。なお、蓋体120の前側のストッパー構造は、公知の構成を利用できるものであって、特に限定するものではなく、ここでは説明を繰り返さない。
【0032】
そして、蓋体120の後側に関しては、圧力炊飯時において、本体110に対して蓋体120が持ち上がろうとする力により、ヒンジ140を介して、肩部材112や保護枠113が上方に持ち上げられる。この力に抗するために、本体110の後部には、背面金具150L,150Rが取り付けられる。より詳細には、背面金具150L,150Rは、その下部が直接的または間接的に、本体110の下部に固定され、その上部が直接的または間接的に、肩部材112やヒンジ140のベースや保護枠113の上部に連結される。このようにして、ヒンジ140や肩部材112や保護枠113が持ち上げられたり、破損したりしないように構成されている。
<炊飯器の接地構造>
【0033】
特に本実施の形態にかかる炊飯器100に関しては、
図3に示すように、背面金具150Lを介して、炊飯器100の各部が接地されるように構成されている。
【0034】
図3および
図8に示すように、本実施の形態においては、背面金具150として、2つの、上下方向に細長いプレート形状の背面金具150L,150Rが、本体110の背面側に取り付けられる。背面金具150Lは、背面視において、本体110の左右の中央よりも左側に固設される。背面金具150Rは、背面視において、本体110の左右の中央よりも右側に固設される。そして、FFCケーブル170は、背面金具150L,150Rと干渉しないように、左の背面金具150Lと右の背面金具150Rの間を通すことが好ましい。
【0035】
背面金具150Lは、その下部に、左側方に向けて、接地のインレット用の配線160のファストン端子161が接続できるように、タブ150Aが形成される。
【0036】
背面金具150Lは、タブ150Aよりも上方に、左側方に向けて、炊飯器100の各部に向ける配線160B,160C,160Dのファストン端子161が接続できるように、タブ150B,150C,150Dが形成される。たとえば、下方から順に、配線160Bの他端は、本体110の底遮熱板116に接続される。配線160Cの他端は、電源基板117に接続される。配線160Dの他端は、蓋体120内の放熱板125に接続される。
【0037】
本実施の形態においては、炊飯器100の3つの基板やユニットや部品などを接地する構成となっているため、すなわち炊飯器100の各部に向ける3本の配線160B,160C,160Dを背面金具150Lの異なる箇所に接続させるために、タブ150Aの上方に3つのタブ150B,150C,150Dが形成される。つまり、背面金具150Lに、インレット用のタブ150Aとは別に、接地したい箇所の数以上のタブが形成されることが好ましい。
【0038】
また、背面金具150に用いられる金属は、配線160A,160B,160C,160Dの端子と、異種金属による腐食がされにくいものを利用することが好ましい。
【0039】
また、背面金具150やファストン端子161を介した場合の接地の抵抗値が、通常のビスやナットによる接地の抵抗値と同じになるように、材料や太さなどを選択することが好ましい。
【0040】
そして、背面金具150の上端部には、固定穴150Xが形成される。背面金具150の上端は、固定穴150Xを介して、ビスなどによって、間接的にまたは直接的に、肩部材112や保護枠113やヒンジ140のベースなどの本体110の構造体に対して固定される。
【0041】
背面金具150の下端部には、固定穴150Yが形成される。背面金具150の下端は、固定穴150Yを介して、ビスなどによって、間接的にまたは直接的に、本体110の下部の構造体に対して固定される。
【0042】
特に本実施の形態においては、背面金具150が上下方向に細長いため、上下の略中央部にも、嵌合調節穴150Zが形成される。背面金具150の中央部は、嵌合調節穴150Zを介して、本体110の構造体側に形成される凸形状のリブやビスなどによって位置決めされる。
【0043】
このように、本実施の形態にかかる炊飯器100に関しては、炊飯時に生じる圧力に対抗するための背面金具150を介して接地することによって、部品点数を増やさずに、効率的に、炊飯器100の各部を接地させることができる。
[第2の実施の形態]
【0044】
上記の実施の形態においては、FFCケーブル170が、左の背面金具150Lと右の背面金具150Rの間を通すものであった。しかしながら、FFCケーブル170は、左の背面金具150Lよりもさらに左側を通したり、右の背面金具150Rよりもさらに右側を通したりしてもよい。
[第3の実施の形態]
【0045】
上記の実施の形態においては、炊飯器100の本体110の背面に補強用の背面金具150L,150Rを2本取り付けるものであった。しかしながら、
図11に示すように、左側の背面金具150Lだけが取り付けらえて、FFCケーブル170が、左右略中央部に配置されてもよい。
【0046】
あるいは、背面金具150は、細長いプレート形状に限らず、左右方向に太いプレート形状に形成されて、その側方に複数のタグが形成されてもよい。この場合は、FFCケーブル170は、背面金具150の側方に配置されることが好ましい。
【0047】
あるいは、背面金具150は、棒状の形状に形成されて、側方に複数のタグが形成されてもよい。
【0048】
逆に、炊飯器100の背面に3本以上の背面金具を取り付けることによって、圧力炊飯時に、肩部材112や保護枠113やヒンジ140のベースが上方に持ち上げられないようにしてもよい。そして、それらの背面金具の一部または全部を利用して、炊飯器100の各部を接地させてもよい。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
100 :炊飯器
110 :本体
111 :側面カバー
112 :肩部材
113 :保護枠
114 :誘導加熱コイル
116 :底遮熱板
117 :電源基板
120 :蓋体
121 :上面カバー
122 :内蓋
123 :操作パネル
124 :制御回路基板
125 :放熱板
130 :内鍋
140 :ヒンジ
150 :背面金具
150A :タブ
150B :タブ
150C :タブ
150D :タブ
150L :背面金具
150R :背面金具
150X :固定穴
150Y :固定穴
150Z :嵌合調節穴
160 :配線
160A :配線
160B :配線
160C :配線
160D :配線
161 :ファストン端子
170 :FFCケーブル