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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 7/00 20060101AFI20230927BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230927BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20230927BHJP
   F25B 29/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F25B7/00 D
F25B1/00 396D
F25B1/00 396Z
F25B1/00 397B
F25B13/00 A
F25B13/00 U
F25B13/00 R
F25B29/00 441
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022058412
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2022159197
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021061278
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021061280
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021161994
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 大輝
(72)【発明者】
【氏名】吉見 敦史
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 英二
(72)【発明者】
【氏名】岩田 育弘
(72)【発明者】
【氏名】加治 隆平
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 猛
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】田中 政貴
(72)【発明者】
【氏名】中山 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】阪口 栄穂
(72)【発明者】
【氏名】田中 修
(72)【発明者】
【氏名】藤野 宏和
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-320914(JP,A)
【文献】特開2021-011985(JP,A)
【文献】国際公開第2017/221382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 7/00
F25B 1/00
F25B 13/00
F25B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30℃で1.2MPa以下の第1冷媒を用いた第1冷媒回路(10)と、
30℃で1.5MPa以上の第2冷媒を用いた第2冷媒回路(20)と、
を備え、
前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路を同時に運転させて前記第1冷媒と前記第2冷媒との間で熱交換を行わせる二元サイクル運転と、
前記第2冷媒回路を運転させることなく前記第1冷媒回路を運転させて冷房運転または暖房運転を行う単元サイクル運転と、
を切り換えて実行可能であり、
前記第1冷媒を流すための第1カスケード流路(17a)と、前記第1カスケード流路とは独立しており、前記第2冷媒を流すための第2カスケード流路(17b)と、を有し、前記二元サイクル運転時に前記第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換させるカスケード熱交換器(17)を備え、
前記第1冷媒回路は、第1圧縮機(11)と、第1熱交換器(13、131)と、第1膨張弁(15)と、前記第1カスケード流路(17a)と、第3熱交換器(18)と、を有しており、
前記第2冷媒回路は、第2圧縮機(21)と、前記第2カスケード流路(17b)と、第2膨張弁(26)と、第2熱交換器(23)と、を有しており、
前記二元サイクル運転時には、前記第1カスケード流路を前記第1冷媒の蒸発器として機能させ、前記第1熱交換器を前記第1冷媒の放熱器として機能させ、前記第2カスケード流路を前記第2冷媒の放熱器として機能させ、前記第2熱交換器を前記第2冷媒の蒸発器として機能させ、
前記第3熱交換器を前記第1冷媒の放熱器として機能させ、前記第1熱交換器を前記第1冷媒の蒸発器として機能させる前記冷房運転が可能である、
冷凍サイクル装置(1、1a、1b)。
【請求項2】
30℃で1.2MPa以下の第1冷媒を用いた第1冷媒回路(10)と、
30℃で1.5MPa以上の第2冷媒を用いた第2冷媒回路(20)と、
を備え、
前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路を同時に運転させて前記第1冷媒と前記第2冷媒との間で熱交換を行わせる二元サイクル運転と、
前記第2冷媒回路を運転させることなく前記第1冷媒回路を運転させて冷房運転または暖房運転を行う単元サイクル運転と、
を切り換えて実行可能であり、
前記第1冷媒を流すための第1カスケード流路(17a)と、前記第1カスケード流路とは独立しており、前記第2冷媒を流すための第2カスケード流路(17b)と、を有し、前記二元サイクル運転時に前記第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換させるカスケード熱交換器(17)を備え、
前記第1冷媒回路は、第1圧縮機(11)と、第1熱交換器(13、131)と、第1膨張弁(15)と、前記第1カスケード流路(17a)と、第3熱交換器(18)と、を有しており、
前記第2冷媒回路は、第2圧縮機(21)と、前記第2カスケード流路(17b)と、第2膨張弁(26)と、第2熱交換器(23)と、を有しており、
前記二元サイクル運転時には、前記第1カスケード流路を前記第1冷媒の蒸発器として機能させ、前記第1熱交換器を前記第1冷媒の放熱器として機能させ、前記第2カスケード流路を前記第2冷媒の放熱器として機能させ、前記第2熱交換器を前記第2冷媒の蒸発器として機能させ、
前記第3熱交換器を前記第1冷媒の蒸発器として機能させ、前記第1熱交換器を前記第1冷媒の放熱器として機能させる前記暖房運転が可能である、
冷凍サイクル装置(1、1a、1b)。
【請求項3】
30℃で1.2MPa以下の第1冷媒を用いた第1冷媒回路(10)と、
30℃で1.5MPa以上の第2冷媒を用いた第2冷媒回路(20)と、
を備え、
前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路を同時に運転させて前記第1冷媒と前記第2冷媒との間で熱交換を行わせる二元サイクル運転と、
前記第2冷媒回路を運転させることなく前記第1冷媒回路を運転させて冷房運転または暖房運転を行う単元サイクル運転と、
を切り換えて実行可能であり、
前記第1冷媒を流すための第1カスケード流路(17a)と、前記第1カスケード流路とは独立しており、前記第2冷媒を流すための第2カスケード流路(17b)と、を有し、前記二元サイクル運転時に前記第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換させるカスケード熱交換器(17)を備え、
前記第1冷媒回路は、第1圧縮機(11)と、第1熱交換器(13、131)と、第1膨張弁(15)と、前記第1カスケード流路(17a)と、第3熱交換器(18)と、前記第1冷媒の流路を切り換える切換部(12)と、を有しており、
前記第2冷媒回路は、第2圧縮機(21)と、前記第2カスケード流路(17b)と、第2膨張弁(26)と、第2熱交換器(23)と、を有しており、
前記二元サイクル運転時には、前記第1カスケード流路を前記第1冷媒の蒸発器として機能させ、前記第1熱交換器を前記第1冷媒の放熱器として機能させ、前記第2カスケード流路を前記第2冷媒の放熱器として機能させ、前記第2熱交換器を前記第2冷媒の蒸発器として機能させ、
前記切換部の切り換えにより、前記第3熱交換器を前記第1冷媒の放熱器として機能させつつ前記第1熱交換器を前記第1冷媒の蒸発器として機能させる前記冷房運転と、前記第3熱交換器を前記第1冷媒の蒸発器として機能させつつ前記第1熱交換器を前記第1冷媒の放熱器として機能させる前記暖房運転と、を実行可能である、
冷凍サイクル装置(1、1a、1b)。
【請求項4】
前記第2熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる前記第2冷媒との間で熱交換を行わせ、
前記第3熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる前記第1冷媒との間で熱交換を行わせ、
前記第2熱交換器を通過する空気流れと前記第3熱交換器を通過する空気流れを形成する第1送風部(9)をさらに備えた、
請求項からのいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記第2熱交換器は、前記空気流れにおける前記第3熱交換器の風下以外の位置に配置されている、
請求項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記第2熱交換器と前記第3熱交換器とは、前記空気流れ方向において離れて配置されている、
請求項またはに記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
30℃で1.2MPa以下の第1冷媒を用いた第1冷媒回路(10)と、
30℃で1.5MPa以上の第2冷媒を用いた第2冷媒回路(20)と、
を備え、
前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路を同時に運転させて前記第1冷媒と前記第2冷媒との間で熱交換を行わせる二元サイクル運転と、
前記第2冷媒回路を運転させることなく前記第1冷媒回路を運転させて冷房運転または暖房運転を行う単元サイクル運転と、
を切り換えて実行可能であり、
前記第1冷媒を流すための第1カスケード流路(17a)と、前記第1カスケード流路とは独立しており、前記第2冷媒を流すための第2カスケード流路(17b)と、を有し、前記二元サイクル運転時に前記第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換させるカスケード熱交換器(17)を備え、
前記第1冷媒回路は、第1圧縮機(11)と、第1熱交換器(13、131)と、第1膨張弁(15)と、前記第1カスケード流路(17a)と、を有しており、
前記第2冷媒回路は、第2圧縮機(21)と、前記第2カスケード流路(17b)と、第2膨張弁(26)と、第2熱交換器(23)と、前記第2圧縮機の吐出側と前記第2カスケード流路との間に設けられた第4熱交換器(132)と、を有しており、
前記第1熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる前記第1冷媒との間で熱交換を行わせ、
前記第4熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる前記第2冷媒との間で熱交換を行わせ、
前記第1熱交換器と前記第4熱交換器の両方を通過する空気流れを形成する第2送風部(92a)をさらに備えた、
冷凍サイクル装置(1、1a、1b)。
【請求項8】
前記二元サイクル運転時には、前記第2冷媒回路を流れる前記第2冷媒が、前記第1冷媒回路を流れる前記第1冷媒を加熱して前記暖房運転を行う、
請求項1から7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
所定の低負荷条件を満たした場合に前記単元サイクル運転を行う、
請求項1から8のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記第1冷媒は、R1234yfと、R1234zeと、R290と、の少なくともいずれかを含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記第2冷媒は、二酸化炭素を含む、
請求項1から10のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの冷媒回路のそれぞれを運転させつつ、各冷媒回路を流れる冷媒同士で熱交換させる二元冷凍サイクル装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2014-9829号公報)に記載の冷凍サイクル装置では、カスケード熱交換器を介して熱的に接続された熱源側冷媒回路と利用側冷媒回路を備え、熱源側冷媒回路の熱源側圧縮機と利用側冷媒回路の利用側圧縮機との両方を駆動させる場合において二元冷凍サイクルを効率的に行うことを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この冷凍サイクル装置では、第1冷媒回路と第2冷媒回路とを備える冷凍サイクル装置において別異の手法で運転を効率化させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る冷凍サイクル装置は、第1冷媒を用いた第1冷媒回路と、第2冷媒を用いた第2冷媒回路と、を備えている。第1冷媒は、30℃で1.2MPa以下である。第2冷媒は、30℃で1.5MPa以上である。冷凍サイクル装置は、二元サイクル運転と、単元サイクル運転と、を切り換えて実行可能である。二元サイクル運転は、第1冷媒回路と第2冷媒回路を同時に運転させて第1冷媒と第2冷媒との間で熱交換を行わせる。単元サイクル運転は、第2冷媒回路を運転させることなく第1冷媒回路を運転させて冷房運転または暖房運転を行う。
【0006】
なお、単元サイクル運転として冷房運転と暖房運転のいずれかのみを行う冷凍サイクル装置であってもよいし、単元サイクル運転として冷房運転と暖房運転の両方を選択的に行う冷凍サイクル装置であってもよい。
【0007】
また、第1冷媒回路と第2冷媒回路とは、互いに独立した冷媒回路であり、第1冷媒と第2冷媒が混ざり合うことがないものでよい。
【0008】
なお、冷凍サイクル装置で二元冷凍サイクルを行う際は、第2冷媒回路側を熱源側とし、第1冷媒回路側を利用側として用いてよい。具体的には、第1冷媒回路が、熱負荷を処理するものであってよい。
【0009】
なお、利用側では、空気の熱負荷を処理してもよいし、水やブライン等の流体の熱負荷を処理してもよい。
【0010】
この冷凍サイクル装置では、30℃で1.2MPa以下の低圧冷媒である第1冷媒を用いた第1冷媒回路での冷凍サイクルと、30℃で1.5MPa以上の高圧冷媒である第2冷媒を用いた第2冷媒回路での冷凍サイクルと、を含む二元冷凍サイクルを行うことで、運転効率を良好にしつつ能力を確保しやすい。また、この冷凍サイクル装置では、例えば、暖房運転時に暖房負荷が小さい場合については、二元冷凍サイクルを行うのではなく、第2冷媒回路を運転させることなく第1冷媒回路を運転させて暖房運転を行うことで、低負荷時における第1冷媒と第2冷媒との熱交換でロスが生じることを避けて、運転効率の低下を抑制することができる。
【0011】
第2観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点に係る冷凍サイクル装置において、二元サイクル運転時には、第2冷媒回路を流れる第2冷媒が、第1冷媒回路を流れる第1冷媒を加熱して暖房運転を行う。
【0012】
なお、所定の暖房負荷よりも大きい場合に二元サイクル運転で暖房運転を行うことが好ましい。
【0013】
この冷凍サイクル装置では、暖房運転時に二元冷凍サイクルを行うことで、運転効率を高めることができる。
【0014】
第3観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点または第2観点に係る冷凍サイクル装置において、所定の低負荷条件を満たした場合に単元サイクル運転を行う。
【0015】
なお、暖房負荷が所定の低負荷条件を満たした場合に、単元サイクル運転により暖房運転を行うことが好ましい。
【0016】
この冷凍サイクル装置では、低負荷時の暖房運転の運転効率の低下を抑制することが可能である。
【0017】
第4観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置において、カスケード熱交換器を備える。カスケード熱交換器は、第1冷媒を流すための第1カスケード流路と、第1カスケード流路とは独立しており、第2冷媒を流すための第2カスケード流路と、を有する。カスケード熱交換器は、二元サイクル運転時に第1冷媒と第2冷媒とを熱交換させる。
【0018】
この冷凍サイクル装置では、二元冷凍サイクル運転時に第2冷媒回路側から第1冷媒回路側が得る熱を用いて負荷を処理することが可能になる。
【0019】
第5観点に係る冷凍サイクル装置は、第4観点に係る冷凍サイクル装置において、第1冷媒回路は、第1圧縮機と、第1熱交換器と、第1膨張弁と、第1カスケード流路と、を有している。
【0020】
この冷凍サイクル装置では、第1圧縮機を運転することにより第1冷媒回路において第1冷媒を用いた冷凍サイクルを行うことが可能になる。
【0021】
第6観点に係る冷凍サイクル装置は、第5観点に係る冷凍サイクル装置において、第2冷媒回路は、第2圧縮機と、第2カスケード流路と、第2膨張弁と、第2熱交換器と、を有している。
【0022】
この冷凍サイクル装置では、第1圧縮機と第2圧縮機を運転することにより二元冷凍サイクルを行うことが可能になる。
【0023】
第7観点に係る冷凍サイクル装置は、第6観点に係る冷凍サイクル装置において、二元サイクル運転時には、第1カスケード流路を第1冷媒の蒸発器として機能させ、第1熱交換器を第1冷媒の放熱器として機能させ、第2カスケード流路を第2冷媒の放熱器として機能させ、第2熱交換器を第2冷媒の蒸発器として機能させる。
【0024】
この冷凍サイクル装置では、二元冷凍サイクルを行うことで暖房運転の運転効率を高めることができる。
【0025】
第8観点に係る冷凍サイクル装置は、第7観点に係る冷凍サイクル装置において、第1冷媒回路は、第3熱交換器をさらに有している。冷凍サイクル装置は、第3熱交換器を第1冷媒の放熱器として機能させ、第1熱交換器を第1冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転が可能である。
【0026】
この冷凍サイクル装置では、単元サイクルにより冷房運転を行うことができる。
【0027】
第9観点に係る冷凍サイクル装置は、第7観点に係る冷凍サイクル装置において、第1冷媒回路は、第3熱交換器をさらに有している。冷凍サイクル装置では、第3熱交換器を第1冷媒の蒸発器として機能させ、第1熱交換器を第1冷媒の放熱器として機能させる暖房運転が可能である。
【0028】
この冷凍サイクル装置では、単元サイクルにより暖房運転を行うことができる。
【0029】
第10観点に係る冷凍サイクル装置は、第7観点に係る冷凍サイクル装置において、第1冷媒回路は、第3熱交換器と、第1冷媒の流路を切り換える切換部と、をさらに有している。冷凍サイクル装置では、切換部の切り換えにより、第3熱交換器を第1冷媒の放熱器として機能させつつ第1熱交換器を第1冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転と、第3熱交換器を第1冷媒の蒸発器として機能させつつ第1熱交換器を第1冷媒の放熱器として機能させる暖房運転と、を実行可能である。
【0030】
この冷凍サイクル装置では、単元冷凍サイクルによる暖房運転と、二元冷凍サイクルによる暖房運転と、を切り換えて行うことが可能である。
【0031】
第11観点に係る冷凍サイクル装置は、第8観点から第10観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置において、第1送風部をさらに備える。第2熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる第2冷媒との間で熱交換を行わせる。第3熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる第1冷媒との間で熱交換を行わせる。第1送風部は、第2熱交換器を通過する空気流れと第3熱交換器を通過する空気流れを形成する。
【0032】
この冷凍サイクル装置では、第1送風部により形成された空気流れを用いて、第2熱交換器と第3熱交換器において熱交換を行わせることが可能になる。
【0033】
第12観点に係る冷凍サイクル装置は、第11観点に係る冷凍サイクル装置において、第2熱交換器は、空気流れにおける第3熱交換器の風下以外の位置に配置されている。
【0034】
第2熱交換器は、第3熱交換器の風上側に配置されていてもよい。また、第2熱交換器は、第1送風部による空気流れ方向に交わる方向に第3熱交換器と並んで配置されていてもよい。第2熱交換器と第3熱交換器とは、第1送風部が上に向かう空気流れを形成する場合に、第1送風部に対する空気流れの風上側において、互いに空気流れ方向に重ならないように周方向に並んで配置されていてもよい。
【0035】
この冷凍サイクル装置では、第2熱交換器内の第2冷媒が、第3熱交換器を通過した空気により暖められることを抑制できる。
【0036】
第13観点に係る冷凍サイクル装置は、第11観点または第12観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置において、第2熱交換器と第3熱交換器とは、空気流れ方向において離れて配置されている。
【0037】
この冷凍サイクル装置では、第2熱交換器内の第2冷媒が、第3熱交換器自体の熱により暖められることを抑制できる。
【0038】
第14観点に係る冷凍サイクル装置は、第6観点から第13観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置において、第2冷媒回路は、第2圧縮機の吐出側と第2カスケード流路との間に設けられた第4熱交換器をさらに有している。
【0039】
この冷凍サイクル装置では、第4熱交換器を流れる冷媒の熱を用いて、利用側の暖房負荷を処理することが可能になる。
【0040】
第15観点に係る冷凍サイクル装置は、第14観点に係る冷凍サイクル装置において、第2送風部をさらに備える。第1熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる第1冷媒との間で熱交換を行わせる。第4熱交換器は、外部を流れる空気と内部を流れる第2冷媒との間で熱交換を行わせる。第2送風部は、第1熱交換器と第4熱交換器の両方を通過する空気流れを形成する。
【0041】
この冷凍サイクル装置では、第2送風部が形成する空気流れにより、第1熱交換器と第4熱交換器における冷媒の熱を用いて暖房負荷を処理することができる。
【0042】
第16観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第15観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置において、第1冷媒は、R1234yfと、R1234zeと、R290と、の少なくともいずれかを含む。
【0043】
なお、第1冷媒は、R1234yfのみから構成されていてもよいし、R1234zeのみから構成されていてもよし、R290のみから構成されていてもよい。
【0044】
この冷凍サイクル装置では、地球温暖化係数(GWP)が十分に低い冷媒を用いて運転を行うことが可能である。
【0045】
第17観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第16観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置において、第2冷媒は、二酸化炭素を含む。
【0046】
なお、第2冷媒は、二酸化炭素のみから構成されていてもよいし、二酸化炭素と他の冷媒との混合冷媒であってもよい。
【0047】
この冷凍サイクル装置では、オゾン層破壊係数(ODP:Ozone Depletion Potential)および地球温暖化係数(GWP)が十分に低い冷媒を用いて運転を行うことが可能である。また、冷房運転時に、二酸化炭素を含む冷媒が流れる第2冷媒回路を二元冷凍サイクルにおける熱源側の冷媒回路として二元冷凍サイクルを行うことを避けて、第1冷媒回路を用いた単元冷凍サイクルを行うようにすることで、二酸化炭素冷媒が超臨界状態となることによるCOPの低下を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】第1実施形態に係る冷凍サイクル装置の全体構成図である。
図2】第1実施形態に係る冷凍サイクル装置の機能ブロック構成図である。
図3】第1実施形態の冷房運転時の冷媒流れの様子を示す図である。
図4】第1実施形態の高負荷暖房運転時の冷媒流れの様子を示す図である。
図5】第1実施形態の低負荷暖房運転時の冷媒流れの様子を示す図である。
図6】第2実施形態に係る冷凍サイクル装置の全体構成図である。
図7】第3実施形態に係る冷凍サイクル装置の全体構成図である。
図8】第4実施形態に係る冷凍サイクル装置の第1室外熱交換器と第2室外熱交換器の概略構成図である。
図9】第5実施形態に係る冷凍サイクル装置の第1室外熱交換器と第2室外熱交換器の概略構成図である。
図10】第6実施形態に係る冷凍サイクル装置の第1室外熱交換器と第2室外熱交換器の概略構成図である。
図11】第7実施形態に係る冷凍サイクル装置の第1室外熱交換器と第2室外熱交換器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
(1)第1実施形態
図1に、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1の概略構成図を示す。図2に、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1の機能ブロック構成図を示す。
【0050】
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、熱負荷を処理するために使用される装置である。冷凍サイクル装置1は、熱負荷回路90と、第1冷媒回路10と、第2冷媒回路20と、室外ファン9と、コントローラ7と、を有している。
【0051】
冷凍サイクル装置1が処理する熱負荷としては、特に限定されず、空気や水やブライン等の流体を対象として熱交換を行うものであってもよいが、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、熱負荷回路90を流れる水を熱負荷熱交換器91に供給し、熱負荷熱交換器91における熱負荷を処理する。熱負荷回路90は、内部を熱媒体としての水が循環する回路であり、熱負荷熱交換器91と、ポンプ92と、第1冷媒回路10と共有される利用熱交換器13(第1熱交換器に相当)と、を有している。ポンプ92は後述するコントローラ7によって駆動制御されることで、熱負荷回路90に水を循環させる。熱負荷回路90では、利用熱交換器13が有する熱負荷流路13bを水が流れる。利用熱交換器13は、後述のように、第1冷媒回路10を流れる第1冷媒が通過する利用流路13aを有している。利用熱交換器13の熱負荷流路13bを流れる水は、利用流路13aを流れる第1冷媒と熱交換することにより、冷房運転時には冷却され、暖房運転時には暖められる。
【0052】
第1冷媒回路10は、第1圧縮機11と、第1切換機構12と、熱負荷回路90と共有される利用熱交換器13(第1熱交換器に相当)と、第1利用膨張弁15(第1膨張弁に相当)と、第2利用膨張弁16と、第2冷媒回路20と共有されるカスケード熱交換器17と、第1室外熱交換器18と、を有している。第1冷媒回路10には、冷媒として、低圧冷媒である第1冷媒が充填されている。第1冷媒は、30℃で1.2MPa以下の冷媒であり、例えば、R1234yfとR1234zeとR290との少なくともいずれかを含む冷媒であり、R1234yfのみから構成されていてもよいし、R1234zeのみから構成されていてもよいし、R290のみから構成されていてもよい。
【0053】
第1圧縮機11は、圧縮機用モータによって駆動される容積式圧縮機である。圧縮機用モータは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動される。第1圧縮機11は、圧縮機用モータにおける回転数である駆動周波数を可変することによって、運転容量を変えることができる。第1圧縮機11の吐出側は、第1切換機構12に接続されている。第1圧縮機11の吸入側はカスケード熱交換器17の第1カスケード流路17aのガス冷媒側出口に接続されている。
【0054】
第1切換機構12は、切換弁12aと、切換弁12bと、を有している。切換弁12aと、切換弁12bとは、第1圧縮機11の吐出側において互いに並列に接続されている。切換弁12aは、第1圧縮機11の吐出側と利用熱交換器13の利用流路13aとを接続する状態と、第1圧縮機11の吸入側と利用熱交換器13の利用流路13aとを接続する状態と、を切り換える3方弁である。切換弁12bは、第1圧縮機11の吐出側と第1室外熱交換器18とを接続する状態と、第1圧縮機11の吸入側と第1室外熱交換器18とを接続する状態と、を切り換える3方弁である。
【0055】
利用熱交換器13のうち第1冷媒回路10を流れる第1冷媒が通過する利用流路13aは、ガス冷媒側が切換弁12aに接続されている。また、利用流路13aの液冷媒側は、第1冷媒回路10が有する第1分岐点Aに接続されている。第1冷媒は、利用熱交換器13の利用流路13aを流れる際に蒸発することで、熱負荷回路90を流れる水を冷却することができ、利用熱交換器13の利用流路13aを流れる際に凝縮することで、熱負荷回路90を流れる水を暖めることができる。
【0056】
第1分岐点Aでは、利用流路13aの液冷媒側から延びる流路と、第1利用膨張弁15のうちカスケード熱交換器17側とは反対側に延びる流路と、第2利用膨張弁16から第1室外熱交換器18側とは反対側に延びる流路と、が接続されている。
【0057】
第1利用膨張弁15は、弁開度を調節可能な電子膨張弁によって構成されている。第1利用膨張弁15は、第1冷媒回路10において、第1分岐点Aと、カスケード熱交換器17の第1カスケード流路17aの液冷媒側である入口と、の間に設けられている。
【0058】
第2利用膨張弁16は、弁開度を調節可能な電子膨張弁によって構成されている。第2利用膨張弁16は、第1冷媒回路10において、第1分岐点Aと、第1室外熱交換器18の液冷媒側である出口と、の間に設けられている。
【0059】
カスケード熱交換器17は、第1冷媒回路10を流れる第1冷媒が通過する第1カスケード流路17aと、第2冷媒回路20を流れる第2冷媒が通過する第2カスケード流路17bと、を有しており、第1冷媒と第2冷媒との間で熱交換を行わせる熱交換器である。カスケード熱交換器17において、第1カスケード流路17aと第2カスケード流路17bとは互いに独立しており、第1冷媒と第2冷媒が混ざり合うことはない。カスケード熱交換器17の第1カスケード流路17aのガス冷媒側である出口は、第1圧縮機11の吸入側に接続されている。カスケード熱交換器17の第1カスケード流路17aの液冷媒側である入口は、第1利用膨張弁15に接続されている。
【0060】
第1室外熱交換器18は、複数の伝熱管と、複数の伝熱管に接合された複数のフィンと、を有して構成される。本実施形態では、第1室外熱交換器18は、屋外に配置されている。第1室外熱交換器18を流れる第1冷媒は、第1室外熱交換器18に送られる空気と熱交換を行うことで、第1冷媒の凝縮器または蒸発器として機能する。
【0061】
室外ファン9は、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23の両方を通過する屋外空気による空気流れを生じさせる。
【0062】
第2冷媒回路20は、第2圧縮機21と、第1冷媒回路10と共有されるカスケード熱交換器17と、熱源膨張弁26と、第2室外熱交換器23(第2熱交換器に相当)と、を有している。第2冷媒回路20には、冷媒として、高圧冷媒である第2冷媒が充填されている。第2冷媒は、30℃で1.5MPa以上の冷媒であり、例えば、二酸化炭素を含む混合冷媒であってもよいし、二酸化炭素のみから構成されていてもよい。二酸化炭素を含む混合冷媒としては、例えば、二酸化炭素とR1234zeとの混合冷媒であってもよいし、二酸化炭素とR1234yfとの混合冷媒であってもよい。
【0063】
第2圧縮機21は、圧縮機用モータによって駆動される容積式圧縮機である。圧縮機用モータは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動される。第2圧縮機21は、圧縮機用モータにおける回転数である駆動周波数を可変することによって、運転容量を変えることができる。第2圧縮機21の吐出側は、カスケード熱交換器17の第2カスケード流路17bのガス冷媒側である入口に接続されている。第2圧縮機21の吸入側は、第2室外熱交換器23に接続されている。
【0064】
カスケード熱交換器17の第2カスケード流路17bのガス冷媒側である入口は、第2圧縮機21の吐出側に接続されている。カスケード熱交換器17の第2カスケード流路17bの液冷媒側である出口は、熱源膨張弁26に接続されている。
【0065】
熱源膨張弁26は、カスケード熱交換器17の第2カスケード流路17bの液冷媒側と、第2室外熱交換器23の液冷媒側と、の間の流路に設けられている。
【0066】
第2室外熱交換器23は、複数の伝熱管と、複数の伝熱管に接合された複数のフィンと、を有して構成される。本実施形態では、第2室外熱交換器23は、第1室外熱交換器18と並んで屋外に配置されている。具体的には、第2室外熱交換器23は、室外ファン9によって形成される空気流れの方向において、第1室外熱交換器18よりも風上側に離れて配置されている。このように、第2室外熱交換器23と第1室外熱交換器18とが互いに離れて配置されることで、第2室外熱交換器23に第1室外熱交換器18の熱が伝熱することが抑制される。また、第2室外熱交換器23が、第1室外熱交換器18の風下側には配置されないことで、第1室外熱交換器18で暖められた空気が第2室外熱交換器23に送られることを防ぐことができる。これにより、第2室外熱交換器23における二酸化炭素冷媒が、第1室外熱交換器18の熱の影響を受けて加熱されてしまうことを抑制することができる。第2室外熱交換器23を流れる第2冷媒は、第2室外熱交換器23に送られる空気と熱交換を行うことで、第2冷媒の蒸発器として機能する。
【0067】
コントローラ7は、熱負荷回路90と第1冷媒回路10と第2冷媒回路20を構成する各機器の動作を制御する。具体的には、コントローラ7は、制御を行うために設けられたCPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリ等を有している。
【0068】
以上の冷凍サイクル装置1において、コントローラ7が各機器を制御して冷凍サイクルを実行させることで、熱負荷熱交換器91における冷房負荷を処理する冷房運転と、熱負荷熱交換器91における暖房負荷を処理する暖房運転が行われる。暖房運転としては、暖房負荷が小さいときに行われる低負荷暖房運転と、暖房負荷が大きいときに行われる高負荷暖房運転と、がある。
【0069】
(1-1)冷房運転
冷房運転時は、図3に示すように、第1冷媒回路10では、利用熱交換器13を第1冷媒の蒸発器として機能させ、第1室外熱交換器18を第1冷媒の凝縮器として機能させるように単元冷凍サイクルを行い、第2冷媒回路20では冷凍サイクルを行わせない。具体的には、第1切換機構12の切換弁12a、12bを図3に実線で示す接続状態に切り換え、ポンプ92、第1圧縮機11、室外ファン9を駆動させ、第1利用膨張弁15を全閉状態とし、第2利用膨張弁16の弁開度を第1圧縮機11の吸入する第1冷媒の過熱度が所定条件を満たすように制御する。ここで、第1圧縮機11は、熱負荷回路90における熱負荷熱交換器91の冷房負荷を処理できるように、回転数が制御される。なお、冷房運転では、第2圧縮機21を停止させることで、第2冷媒回路20の運転を停止させる。
【0070】
これにより、第1圧縮機11から吐出された第1冷媒は、第1切換機構12の切換弁12bを介して第1室外熱交換器18に送られる。第1室外熱交換器18に送られた第1冷媒は、室外ファン9により供給される屋外空気と熱交換を行うことで凝縮する。第1室外熱交換器18を通過した第1冷媒は、第2利用膨張弁16において減圧され、第1分岐点Aを通過して、利用熱交換器13の利用流路13aに送られる。利用熱交換器13の利用流路13aを流れる第1冷媒は、熱負荷回路90が有する利用熱交換器13の熱負荷流路13bを流れる水と熱交換を行うことで、蒸発する。この熱交換により冷却された水は、熱負荷回路90における熱負荷熱交換器91まで送られることで冷房負荷を処理する。利用熱交換器13の利用流路13aで蒸発した第1冷媒は、第1切換機構12の切換弁12aを介して第1圧縮機11に吸入される。
【0071】
(1-2)高負荷暖房運転
高負荷暖房運転は、暖房運転を行う場合において、熱負荷回路90の熱負荷熱交換器91において処理すべき暖房負荷が大きいという高負荷条件を満たした場合に行われる。高負荷条件としては、特に限定されないが、後述の低負荷条件を満たさないことであってよい。
【0072】
高負荷暖房運転時は、図4に示すように、第1冷媒回路10では、利用熱交換器13を第1冷媒の凝縮器として機能させ、カスケード熱交換器17を第1冷媒の蒸発器として機能させるように冷凍サイクルを行い、第2冷媒回路20では、カスケード熱交換器17を第2冷媒の放熱器として機能させ、第2室外熱交換器23を第2冷媒の蒸発器として機能させるように冷凍サイクルを行う。これにより、高負荷暖房運転時には、第2冷媒回路20と第1冷媒回路10とで二元冷凍サイクルが行われる。具体的には、第1切換機構12の切換弁12a、12bを図4に破線で示す接続状態に切り換え、ポンプ92、第1圧縮機11、第2圧縮機21、室外ファン9を駆動させ、第2利用膨張弁16を全閉状態とし、第1利用膨張弁15の弁開度を第1圧縮機11の吸入する第1冷媒の過熱度が所定条件を満たすように制御し、熱源膨張弁26の弁開度を第2圧縮機21の吸入する第2冷媒の過熱度が所定条件を満たすように制御する。なお、第1圧縮機11は、熱負荷回路90における熱負荷熱交換器91の冷房負荷を処理できるように、回転数が制御される。また、第2圧縮機21は、例えば、カスケード熱交換器17における第1カスケード流路17aを通過して第1圧縮機11に吸入される第1冷媒の過熱度が所定値になるように、または、カスケード熱交換器17における第2カスケード流路17bを流れる第2冷媒が所定の圧力になるように、回転数が制御される。
【0073】
これにより、第2圧縮機21から吐出された第2冷媒は、カスケード熱交換器17に送られ、第2カスケード流路17bを流れる際に、第1カスケード流路17aを流れる第1冷媒と熱交換することで、放熱する。カスケード熱交換器17で放熱した第2冷媒は、熱源膨張弁26において減圧された後、第2室外熱交換器23において室外ファン9により供給される屋外空気と熱交換を行うこと蒸発し、第2圧縮機21に吸入される。第1圧縮機11から吐出された第1冷媒は、第1切換機構12の切換弁12aを介して利用熱交換器13の利用流路13aに送られる。利用熱交換器13の利用流路13aを流れる第1冷媒は、熱負荷回路90が有する利用熱交換器13の熱負荷流路13bを流れる水と熱交換を行うことで、凝縮する。この熱交換により暖められた水は、熱負荷回路90における熱負荷熱交換器91まで送られることで暖房負荷を処理する。利用熱交換器13の利用流路13aで凝縮した第1冷媒は、第1分岐点Aを通過した後、第1利用膨張弁15において減圧される。第1利用膨張弁15で減圧された冷媒は、カスケード熱交換器17の第1カスケード流路17aを通過する際に、第2カスケード流路17bを流れる第2冷媒と熱交換することで蒸発する。カスケード熱交換器17の第1カスケード流路17aで蒸発した第1冷媒は、第1圧縮機11に吸入される。
【0074】
(1-3)低負荷暖房運転
低負荷暖房運転は、暖房運転を行う場合において、熱負荷回路90の熱負荷熱交換器91において処理すべき暖房負荷が小さいという低負荷条件を満たした場合に行われる。
【0075】
低負荷条件としては、特に限定されないが、例えば、熱負荷回路90の熱負荷熱交換器91における暖房負荷が、第1圧縮機11の圧縮比が所定圧縮比以下であっても処理可能な負荷であること、という条件であってもよい。ここでの所定圧縮比は、例えば、冷凍サイクル装置1において二元冷凍サイクルの暖房運転を行う際のカスケード熱交換器17での熱交換ロスによる冷凍サイクル装置1での運転効率の低下程度が、第1冷媒回路10と第2冷媒回路20の両方を運転させる二元冷凍サイクルの暖房運転による暖房負荷の処理から第1冷媒回路10のみを運転させる単元冷凍サイクルの暖房運転による暖房負荷の処理に変えた場合の冷凍サイクル装置1における運転効率の低下程度よりも大きくなる第1圧縮機11の圧縮比であってよい。また、ここでの所定圧縮比は、例えば、冷凍サイクル装置1において第1冷媒回路10と第2冷媒回路20の両方を運転させる二元冷凍サイクルにより暖房負荷を処理する際の成績係数(COP:Coefficient of Performance)よりも、第1冷媒回路10のみを運転させる単元冷凍サイクルにより暖房負荷を処理する際の成績係数(COP)の方が大きくなる第1圧縮機11の圧縮比であってよい。
【0076】
また、低負荷条件としては、上記所定圧縮比を基準とした条件に限られず、例えば、熱負荷回路90の熱負荷熱交換器91において要求される流体の温度が所定値以上であることであってもよいし、熱負荷回路90の熱負荷熱交換器91において要求される流体の温度と外気温度との差が所定値以上であることであってもよく、これらの所定値が上記所定圧縮比に基づいて予め定められていてもよい。低負荷条件の判断に用いられる閾値は、予め定められ、コントローラ7のメモリ等に保持されていてもよい。
【0077】
低負荷暖房運転時は、図5に示すように、第1冷媒回路10では、利用熱交換器13を第1冷媒の凝縮器として機能させ、カスケード熱交換器17には第1冷媒を送ることなく、第1室外熱交換器18を第1冷媒の蒸発器として機能させるように冷凍サイクルを行い、第2冷媒回路20の運転は停止させる。これにより、低負荷暖房運転時には、第1冷媒回路10による単元冷凍サイクルが行われる。具体的には、第1切換機構12の切換弁12a、12bを図5に破線で示す接続状態に切り換え、ポンプ92、第1圧縮機11、室外ファン9を駆動させ、第1利用膨張弁15を全閉状態とし、第2利用膨張弁16の弁開度を第1圧縮機11の吸入する第1冷媒の過熱度が所定条件を満たすように制御する。第1圧縮機11は、熱負荷回路90における熱負荷熱交換器91の暖房負荷を処理できるように、回転数が制御される。なお、低負荷暖房運転では、第2圧縮機21を停止させることで、第2冷媒回路20の運転を停止させる。
【0078】
これにより、第1圧縮機11から吐出された第1冷媒は、第1切換機構12の切換弁12aを介して利用熱交換器13の利用流路13aに送られる。利用熱交換器13の利用流路13aを流れる第1冷媒は、熱負荷回路90が有する利用熱交換器13の熱負荷流路13bを流れる水と熱交換を行うことで、凝縮する。この熱交換により暖められた水は、熱負荷回路90における熱負荷熱交換器91まで送られることで暖房負荷を処理する。利用熱交換器13の利用流路13aで凝縮した第1冷媒は、第1分岐点Aを通過した後、全閉状態の第1利用膨張弁15には流れず、開度制御されている第2利用膨張弁16において減圧される。第2利用膨張弁16で減圧された冷媒は、第1室外熱交換器18を通過する際に、室外ファン9が形成する空気流れにおける空気と熱交換することで蒸発する。第1室外熱交換器18で蒸発した第1冷媒は、第1圧縮機11に吸入される。
【0079】
(1-4)第1実施形態の特徴
第1実施形態の冷凍サイクル装置1では、第1冷媒回路10において地球温暖化係数(GWP)が十分に低い第1冷媒が用いられている。また、第2冷媒回路20においてオゾン層破壊係数(ODP)および地球温暖化係数(GWP)が十分に低い第2冷媒が用いられている。このため、地球環境の悪化を抑制することができる。
【0080】
また、第1冷媒回路10において地球温暖化係数(GWP)が十分に低い第1冷媒を用いた場合であっても、暖房負荷が大きな場合には高負荷暖房運転を行うことで、暖房負荷が処理される。具体的には、高負荷暖房運転時には、第2冷媒回路20を熱源側サイクルとし、第1冷媒回路10を利用側サイクルとした二元冷凍サイクルが行われることで、低圧冷媒である第1冷媒を用いた単元冷凍サイクルを行う場合と比較して、暖房運転時の能力が確保され易くなっている。
【0081】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、第1冷媒回路10において、30℃で1.5MPa以上である第2冷媒ではなく、30℃で1.2MPa以下である第1冷媒を用いている。このため、第1冷媒回路10の第1圧縮機11が吸入する第1冷媒の密度を高めて、第1圧縮機11の効率を高めることができる。また、第1圧縮機11の容量を小さくすることが可能になる。
【0082】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、第1冷媒回路10は、カスケード熱交換器17と並列に接続された第1室外熱交換器18を有している。このため、第2冷媒回路20が運転停止状態となることでカスケード熱交換器17での第1冷媒と第2冷媒との熱交換が行われない場合であっても、第1室外熱交換器18において第1冷媒を空気と熱交換させることが可能になる。これにより、第1冷媒回路10は、第2冷媒回路20が運転停止状態となっている場合でも、冷凍サイクルを行うことが可能になっている。具体的には、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、第2冷媒回路20が運転停止状態となっている場合でも、第1冷媒回路10を運転させて単元冷凍サイクルによる低負荷暖房運転を行うことが可能になっている。
【0083】
さらに、暖房負荷が小さな場合には、二元冷凍サイクルではなく、第1冷媒回路10のみを用いた単元冷凍サイクルである低負荷暖房運転を行う。これにより、第1圧縮機11における圧縮比を小さく抑えつつ暖房負荷の処理を可能とするだけでなく、カスケード熱交換器17における第1冷媒と第2冷媒との熱交換時のロスを抑制させることにより、冷凍サイクル装置1における運転効率の低下を小さく抑えることが可能になっている。
【0084】
さらに、第2冷媒回路20では第2冷媒として二酸化炭素が用いられているものの、冷房運転時には、第2冷媒回路20では冷凍サイクルを行わず、第1冷媒回路10による単元冷凍サイクルを行う。これにより、高圧冷媒である二酸化炭素冷媒を用いて単元冷凍サイクルを行う場合や高圧冷媒である二酸化炭素を熱源側サイクルで用いる二元冷凍サイクルを行う場合のように、二酸化炭素冷媒の圧力が臨界圧力を超えて運転効率が低くなってしまうことを避けて、冷房運転を行うことができる。また、第2冷媒回路20は、高負荷暖房運転時に二元冷凍サイクルにおける熱源側の冷凍サイクルとしてのみ用いられる。このため、高圧冷媒である二酸化炭素が用いられる第2冷媒回路20の要素部品として求められる耐圧強度の基準を低めのものとして、装置を安価に製造することが可能になる。
【0085】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、二酸化炭素冷媒が内部に存在する第2室外熱交換器23が、室外ファン9の空気流れ方向における第1室外熱交換器18の風上側に配置されている。このため、第1室外熱交換器18を流れる第1冷媒との間で熱交換を行うことで暖められた空気が第2室外熱交換器23に送られることを避けることができる。これにより、低負荷暖房運転時のように第2冷媒回路20の運転が停止されている状態で、第2室外熱交換器23に対して暖められた空気が送られることで、第2室外熱交換器23内の二酸化炭素冷媒の圧力上昇が抑制される。特に、耐圧強度の基準が低めの要素部品を用いて第2冷媒回路20を構成している場合においては、第2室外熱交換器23内の二酸化炭素冷媒の圧力上昇が顕著に問題となりがちであるが、このような耐圧強度が低めである第2冷媒回路20においても、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、暖められた空気が第2室外熱交換器23に送られないため、当該問題が生じることが抑制される。
【0086】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、第2室外熱交換器23と第1室外熱交換器18とは、共通の室外ファン9を用いることで、ファンを共用化させることが可能になっている。このように、室外ファン9を共用する場合においても、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、第2室外熱交換器23と第1室外熱交換器18とは互いに離れて配置されている。このため、低負荷暖房運転時のように第2冷媒回路20の運転が停止されている状態でも、第2室外熱交換器23に対して第1室外熱交換器18の熱が伝わることが抑制されるため、第2室外熱交換器23における二酸化炭素冷媒の圧力上昇が抑制される。
【0087】
(2)第2実施形態
上記第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1では、熱負荷回路90を備え、利用熱交換器13が利用流路13aと熱負荷流路13bとを有する場合を例に挙げて説明した。
【0088】
これに対して、冷凍サイクル装置1は熱負荷回路90を備えていなくてもよく、冷凍サイクル装置1が処理する負荷は空気負荷であってもよい。
【0089】
図6に、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置1aの概略構成図を示す。
【0090】
第2実施形態の冷凍サイクル装置1aは、例えば、上記実施形態の熱負荷回路90のポンプ92の代わりに、空気流れを形成させる熱負荷ファン92aを備えている。この熱負荷ファン92aは、第1冷媒回路10が駆動している際にコントローラ7によって駆動制御される。
【0091】
第2実施形態の冷凍サイクル装置1aにおける利用熱交換器13は、例えば、建物の部屋等の空間における空気を冷却または暖めるために用いられる。具体的には、利用熱交換器13では、熱負荷ファン92aにより空調対象空間の空気が送られることで、第1冷媒と空気との間で熱交換が行われる。
【0092】
以上の構成においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0093】
(3)第3実施形態
上記第2実施形態では、熱負荷ファン92aを備え、空調対象空間の熱負荷を処理する冷凍サイクル装置1aを例に挙げて説明した。
【0094】
これに対して、冷凍サイクル装置としては、例えば、空調対象空間の暖房負荷の処理を、第1利用熱交換器131と第2利用熱交換器132とを用いて行う暖房専用の冷凍サイクル装置1bであってもよい。
【0095】
図7に、第3実施形態に係る冷凍サイクル装置1bの概略構成図を示す。
【0096】
第3実施形態に係る冷凍サイクル装置1bは、第1冷媒回路10の第1利用熱交換器131が内部を流れる第1冷媒と外部を流れる空気との間で熱交換を行わせる空気熱交換器であり、第1切換機構12は設けられていない。このため、第1利用熱交換器131は、第1圧縮機11から吐出された第1冷媒の放熱器として機能する。
【0097】
第3実施形態に係る冷凍サイクル装置1bは、第2冷媒回路20が、第2圧縮機21とカスケード熱交換器17の第2カスケード流路17bとの間に第2利用熱交換器132を有している。この第2利用熱交換器132は、内部を流れる第2冷媒と外部を流れる空気との間で熱交換を行わせる空気熱交換器であり、第1利用熱交換器131に対して熱負荷ファン92aによる空気流れ方向の風上側に、第1利用熱交換器131から離れて配置されている。第2利用熱交換器132は、第2圧縮機21から吐出された第2冷媒の放熱器として機能する。
【0098】
以上の冷凍サイクル装置1bでは、低負荷暖房運転として、第1冷媒回路10のみを用いた単元冷凍サイクル運転を行う。低負荷暖房運転では、第1利用膨張弁15は全閉状態に制御される。そして、低負荷暖房運転では、第1圧縮機11から吐出された冷媒は、第1利用熱交換器131で凝縮し、第2利用膨張弁16で減圧され、第1室外熱交換器18で蒸発し、第1圧縮機11に戻るように制御される。
【0099】
また、冷凍サイクル装置1bは、高負荷暖房運転では、第1冷媒回路10と第2冷媒回路20とを用いた二元冷凍サイクルを行う。高負荷暖房運転では、第1冷媒回路10では、第2利用膨張弁16は全閉状態に制御される。そして、高負荷暖房運転では、第1圧縮機11から吐出された第1冷媒は、第1利用熱交換器131で凝縮し、第1利用膨張弁15で減圧され、カスケード熱交換器17の第1カスケード流路17aを流れる際に蒸発し、第1圧縮機11に戻るように制御される。また、高負荷暖房運転では、第2冷媒回路20では、第2圧縮機21から吐出された第2冷媒は、第2利用熱交換器132を通過する際に放熱し、カスケード熱交換器17の第2カスケード流路17bを流れる際に第1カスケード流路17aを流れる第1冷媒と熱交換を行うことでさらに放熱し、熱源膨張弁26において減圧され、第2室外熱交換器23で蒸発し、第2圧縮機21に戻るように制御される。
【0100】
この第3実施形態の冷凍サイクル装置1bについても、上記第1実施形態と同様に、暖房負荷の大きさに応じて運転を切り換えて行うことにより、暖房負荷を処理しながら、運転効率の低下を小さく抑えることが可能なる。さらに、冷凍サイクル装置1bでは、第1冷媒回路10の第1利用熱交換器131だけでなく、第2冷媒回路20が第2利用熱交換器132も備えており、各サイクルにおいて放熱器として機能する熱交換器を有しているため、暖房能力を高めることが可能になる。ここで、第2利用熱交換器132は、熱負荷ファン92aが生じさせる空気流れ方向において、第1利用熱交換器131の風上側に配置されている。これにより、第2冷媒回路20が停止している状態で第1冷媒回路10のみで単元冷凍サイクルを行う場合においても、第1利用熱交換器131を通過する際に加熱された空気が第2利用熱交換器132に送られることが無い。また、第1利用熱交換器131と第2利用熱交換器132とは互いに離れて配置されている。このため、第2冷媒回路20が停止している際に第2利用熱交換器132の内部の二酸化炭素冷媒が加熱されることが抑制され、第2冷媒回路20内の圧力が過度に上昇することが抑制される。これにより、第2冷媒回路20を耐圧強度の小さなものとして設計することが可能となる。
【0101】
(4)第4実施形態
上記各実施形態では、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とを互いに離して配置した冷凍サイクル装置を例に挙げて説明した。
【0102】
これに対して、冷凍サイクル装置においては、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とは、例えば、図8に示すように、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とを一体型の熱交換器として構成してもよい。一体型の熱交換器としては、例えば、第1室外熱交換器18を構成する第1冷媒が流れる複数の第1伝熱管と、第2室外熱交換器23を構成する第2冷媒が流れる複数の第2伝熱管と、第1伝熱管と第2伝熱管の両方に対して固定された伝熱フィンを複数有する熱交換器が挙げられる。このように構成する場合には、装置の製造を容易化させることが可能になる。
【0103】
(5)第5実施形態
上記各実施形態では、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23との空気流れ方向視における熱交換面積について任意である冷凍サイクル装置を例に挙げて説明した。
【0104】
これに対して、冷凍サイクル装置においては、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とは、例えば、図9に示すように、室外ファン9による空気流れ方向視において、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とは重なる部分を有しており、当該空気流れ方向視において、第1室外熱交換器18の熱交換面積が第2室外熱交換器23の熱交換面積よりも小さい構成としてもよい。
【0105】
これによれば、第1室外熱交換器18における空気の通風抵抗を小さく抑えることができるため、第2室外熱交換器23に対してより多くの空気を通過させやすい。これにより、高負荷暖房運転時における第2室外熱交換器23での第2冷媒の蒸発能力を確保しやすく、高い暖房負荷についても処理しやすくなる。また、特に、冷房能力よりも暖房能力が多く求められる冷凍サイクル装置として有効となる。
【0106】
なお、上記第4実施形態で述べたように、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とを一体型の熱交換器として構成した場合には、特に、第1室外熱交換器18の通風抵抗が大きいほど第2室外熱交換器23を通過する空気量が少なくなりがちである。この場合には特に、上記のように第1室外熱交換器18の熱交換面積を小さくすることによる効果が顕著に得られる。
【0107】
(6)第6実施形態
上記各実施形態では、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とが、室外ファン9の空気流れ方向視において重なるように配置される冷凍サイクル装置を例に挙げて説明した。
【0108】
これに対して、冷凍サイクル装置においては、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とは、例えば、図10に示すように、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とは、室外ファン9が形成する空気流れにおける室外ファン9の風上側であって、室外ファン9の回転軸方向視において当該回転軸の周囲の異なる位置に配置されていてもよい。ここで、図10では、室外ファン9の回転軸方向は、紙面に垂直な方向となっている。なお、例えば、室外ファン9が下方の空気を取り込んで上方に吹き出す上吹き型の冷凍サイクル装置において、上記第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23の配置を採用してもよい。
【0109】
この場合においても、第1室外熱交換器18を通過した空気が第2室外熱交換器23に送られることが無いため、第2冷媒回路20の停止時に第2室外熱交換器23の二酸化炭素冷媒が加熱されることが抑制される。
【0110】
(7)第7実施形態
上記各実施形態では、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とが、室外ファン9の空気流れ方向視において重なるように配置される冷凍サイクル装置を例に挙げて説明した。
【0111】
これに対して、冷凍サイクル装置においては、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とは、例えば、図11に示すように、空気流れ方向視において、第1室外熱交換器18と第2室外熱交換器23とが互いに重ならないように配置されていてもよい。
【0112】
この場合において、例えば、第2室外熱交換器23は、第1室外熱交換器18よりも上方に配置されていてもよい。
【0113】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0114】
1、1a、1b :冷凍サイクル装置
9 :室外ファン(第1送風部)
10 :第1冷媒回路
11 :第1圧縮機
12 :第1切換機構(切換部)
13 :利用熱交換器(第1熱交換器)
13a :利用流路
13b :熱負荷流路
15 :第1利用膨張弁(第1膨張弁)
16 :第2利用膨張弁
17 :カスケード熱交換器
17a :第1カスケード流路
17b :第2カスケード流路
18 :第1室外熱交換器(第3熱交換器)
20 :第2冷媒回路
21 :第2圧縮機
23 :第2室外熱交換器(第2熱交換器)
26 :熱源膨張弁(第2膨張弁)
90 :熱負荷回路
91 :熱負荷熱交換器
92 :ポンプ
92a :熱負荷ファン(第2送風部)
131 :第1利用熱交換器(第1熱交換器)
132 :第2利用熱交換器(第4熱交換器)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】
【文献】特開2014-9829号公報
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