IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明装置 図1
  • 特許-照明装置 図2
  • 特許-照明装置 図3
  • 特許-照明装置 図4
  • 特許-照明装置 図5
  • 特許-照明装置 図6
  • 特許-照明装置 図7
  • 特許-照明装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230927BHJP
   F21V 14/02 20060101ALI20230927BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230927BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230927BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20230927BHJP
   F21V 19/02 20060101ALI20230927BHJP
   F21W 131/406 20060101ALN20230927BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230927BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21V14/02 200
F21V23/00 120
F21V23/00 160
F21V29/503
F21V29/70
F21V19/02 100
F21W131:406
F21Y115:10 300
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020024128
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021128899
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 仁志
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】羽生田 有美
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 治雄
(72)【発明者】
【氏名】遠山 剛
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 14/02
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 19/02
F21W 131/406
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と;
少なくとも一部が前記筐体の内部に位置するように配設される軸と;
前記軸に沿って摺動可能な取付部に取付られて前記筐体内に配設される摺動部と;
前記筐体と前記摺動部との間に配設され、前記摺動部の前記筐体側への移動を規制する規制部材と;
前記摺動部から前記規制部材に向かう方向に電源部と;
を備え
前記電源部には、前記電源部から前記筐体に配設された配線孔を通って前記筐体内へ引き回される配線が接続されており、
前記規制部材は、前記配線が前記摺動部の方向へ向かうことを規制する、照明装置
【請求項2】
筐体と;
少なくとも一部が前記筐体の内部に位置するように配設される軸と;
前記軸に沿って摺動可能な取付部に取付られて前記筐体内に配設される摺動部と;
前記筐体と前記摺動部との間に配設され、前記摺動部の前記筐体側への移動を規制する規制部材と;
を備え、
前記筐体と前記摺動部との間隔は、前記軸の弾性限界以下の値であることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記摺動部は、
発光部と、前記発光部が配設された放熱器と、を備える光源部であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スポットライトのように、光の照射範囲を調整することが可能な照明装置が知られている。このような照明装置としては、レンズか光源の少なくとも一方が動作軸に沿って稼働できるように設計され、レンズと光源の距離を変更することによって光照射範囲の調整を実現するものが存在する。
【0003】
一方、従来の照明装置は光源に電球が使用されていたため、光源全体は比較的軽量であった。しかしながら、近年は光源のLED化が進んでおり、LED点灯時に発生した熱を放熱させるために光源は放熱器を備える必要があるため、光源全体の重量が増加してきている(例えば、「特許文献1」参照。)。このため、光の照射範囲を調整することが可能な照明装置の光源にLEDを用いると、光源が取付られている動作軸への負荷が大きくなり、動作軸が変形しやすくなる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-110934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、動作軸の変形を抑制した照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、筐体と、少なくとも一部が筐体の内部に位置するように配設される軸と、軸に沿って摺動可能な取付部に取付られて筐体内に配設される摺動部と、筐体と摺動部との間に配設され、摺動部の筐体側への移動を規制する規制部材と、摺動部から規制部材に向かう方向に電源部と、を備える。電源部には、電源部から筐体に配設された配線孔を通って筐体内へ引き回される配線が接続されている。規制部材は、配線が摺動部の方向へ向かうことを規制する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、動作軸の変形を抑制した照明装置を提供することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の照明装置を被設置部に取付た状態を示す斜視図である。
図2】一実施形態の筐体を筐体前面側から見た状態を示す斜視図である。
図3】一実施形態の筐体を筐体背面側から見た状態を示す斜視図である。
図4】一実施形態の電源部を上方から見た状態を示す斜視図である。
図5図4に示す電源部のA-A断面を示す断面図である。
図6】一実施形態の筐体と電源部が取付られた状態を示す側方断面図である。
図7】一実施形態の筐体内側の状態を示す上面図である。
図8】変形例の筐体内側の状態を示す上面図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
照明装置1は、例えば、取付手段200を用いて被設置部201から吊り下がるように取付られる照明装置であり、図1に照明装置1を取付た状態の一例を示す。図1は、取付手段200として吊り下げ用フックを用いて、被設置部201である吊り下げ用器具(吊り下げバトン)に取付られた状態を示す斜視図である。なお、取付手段200と被設置部201は図1の形態に限定されるものではなく、例えば、被設置部201は天井面であっても良い。そして、本実施形態における照明装置1は、筐体2、電源部3、吊り下げ部4、バンドア5を備えている。取付手段200を用いて、筐体2の吊り下げ部4を、被設置部201へ取付ることで、照明装置1は被設置部201に取付られる。そして、筐体2からは外部配線6が延出している。なお、本明細書においては電源部3から筐体2に向かう方向を上方向、上方向と反対方向を下方向と定義する。また筐体2からバンドア5に向かう方向を前方向、前方向と反対方向を後方向と定義する。
【0011】
図2図3に照明装置1の筐体2を示す。本実施形態における筐体2は、角部がなだらかな曲面で接続された略六面体の形状をしている。筐体2は主に、筐体前面21、筐体背面22、筐体上面23、筐体下面24、筐体右側面25、筐体左側面26、の6面によって構成されている。なお、筐体前面21と筐体背面22とは対向しており、筐体上面23と筐体下面24とは対向しており、筐体右側面25と筐体左側面26とは対向している。
【0012】
筐体前面21には、円形状の開口である筐体前面開口21aが設けられている。この筐体前面開口21aから光が取り出される。筐体前面開口21aの寸法は後述するレンズ7の径と同等以上の寸法で設けられており、かつ、筐体前面開口21aの中心とレンズ7の中心は一致するように配設されている。そのため筐体2の外側から筐体前面21を見た場合、筐体前面開口21aを介して、レンズ7を視認することができる。
【0013】
筐体背面22の上側(筐体上面23側)には、給電接続部22aと、電源線接続部22bと、第一信号線接続部22cと、第二信号線接続部22dと、が配設されている。給電接続部22aには、外部から照明装置1に交流電源を入力するための電源線が接続される接続部である。電源線接続部22bは、照明装置1の外部(例えば、他の照明装置)に電力を出力するための接続部であり、所謂コンセントである。第一信号線接続部22cは、外部の調光器等から送信された信号を含む制御信号を照明装置1へ入力するための接続部である。第二信号線接続部22dは、第一信号線接続部22cに入力した制御信号が出力される接続部であり、所謂渡りコネクタとして機能する接続部である。図3においては、給電接続部22aに外部配線6が接続されている例を示すが、上述した各接続部(22a~22d)に接続される配線や信号線が外部配線6となる。
【0014】
また筐体背面22の下側(筐体下面24側)には、表示部22eと、後述する光源部8を稼働させるためのハンドル22fと、が配設されている。表示部22eは、例えば、液晶表示部や有機EL(Electro Luminescence)表示部として構成されており、主に照明装置1に関しての状態表示が行われる表示面を有している。なお表示部22eは、デジタル表示するものに限定されるものではなく、ダイヤルなどアナログ表示するものであっても良い。
【0015】
なお、表示部22eは図示しないカバーを備えていても良い。カバーは、例えば、蝶番を用いて筐体背面22にねじ止めされ、開閉可能に設けられる。カバーを用いることで、表示部22eがデジタル表示を行うものである場合は、バックライトの明かりが邪魔にならないように塞いだり、持ち運びの際に表示部22eを傷つけないように保護したりすることが可能となる。
【0016】
また本実施形態において、筐体背面22の中央部には、孔102が配設されている。孔102は、筐体背面22を貫通する穴であり、孔102を介して、筐体2内部と筐体2外部とが接続される。そのため、筐体2内部で発生した熱を、孔102を介して筐体2外部に放出することが可能となり、筐体2内部温度の低減が期待できる。
【0017】
筐体上面23は、筐体2の上側の面であり、筐体上面23にも孔102が配設されている。本実施形態においては、筐体上面23の孔102は、筐体上面23の面積の約半分の領域に配設されている。暖かい空気は上方向に向かうため、筐体2内部で発生した熱を筐体2外部に放出する際は、筐体2の上方向の面である筐体上面23に孔102を設けた方が効率良く外部に熱を放出することができる。
【0018】
筐体下面24は、筐体2の下側の面であり、電源部3が取付られる面である。筐体下面24には、電源部3へ配線を通すための筐体配線孔24aが配設されている。筐体2の内側において、筐体背面22の接続部(22a~22d)などに接続された配線が、筐体2の内部を通って、筐体配線孔24aを通って筐体2の外部へ取り出される。その後、電源部3へ内部にこれらの配線が導かれる。本実施形態では、筐体配線孔24aは3つ設けられており、各筐体配線孔24aに1セットずつ配線が通される。例えば、1つの目の筐体配線孔24aには給電接続部22aに接続された給電線、2つ目の筐体配線孔24aには第一信号線接続部22cに接続された第一信号線、3つ目の筐体配線孔24aには第二信号線接続部22dに接続された第二信号線が通される。このように、別々の筐体配線孔24aに配線を通すことにより、配線同士の間隔を開けることができノイズの影響を低減することができる。なお、ノイズの影響を気にしないケース、もしくは配線が少ないケースにおいては、筐体配線孔24aを1つまたは2つとしたり、1つの筐体配線孔24aに複数の配線を通したりしても良い。
【0019】
また、筐体下面24にも孔102が配設されている。本実施形態においては、筐体下面24の孔102は、筐体下面24の面積の約半分の領域に配設されている。筐体下面24に孔102を設けることで、筐体2を上下方向に貫通する風の流路を形成することが可能となる。厳密には、筐体上面23の孔102と、筐体下面24の孔102と、を通る風の流路を形成することが可能となる。そのため、筐体上面23のみに孔102を設ける構成よりも効率良く外部に熱を放出することが期待できる。
【0020】
筐体右側面25には、吊り下げ部4を回動可能に取付るための、吊り下げ右固定部25aが配設されている。また、筐体左側面26には、吊り下げ部4を回動可能に取付るための、吊り下げ左固定部26aが配設されている。吊り下げ部4の両端が、吊り下げ右固定部25aと吊り下げ左固定部26aに回動可能に取付られる。
【0021】
本実施形態では、筐体2に配設された孔102は菱形形状の孔を複数個設けているが、菱形形状に限定されるものではない。例えば、丸形状であったり、多角形状であったり、星形状であったりしても良い。なお、孔102は安全性の面から人間の指が入らない寸法で設けられることが望ましい。また、本実施形態では、筐体背面22、筐体上面23、筐体下面24に孔102を設けているが、他の面に孔102を設けていても良い。
【0022】
次に図4図5を用いて、電源部3を説明する。電源部3は、筐体2の筐体下面24に取付られる。この時、電源部3と、筐体下面24と、の間に空間を設けて取付られることが好ましい。電源部3と筐体下面24との間に間隔を開けることで、筐体2で発生した熱を電源部3に伝えにくくしたり、反対に、電源部3で発生した熱を筐体2へ伝えにくくしたりする効果を期待できる。
【0023】
電源部3は電源ボックス30を備えている。本実施形態において電源ボックス30は、内部に空間を備える箱体であり、図5に示すように、上下方向で切断した際の断面(図4におけるA-A断面)が凹形状となっている。そして、電源ボックス30は、上方向の広い面積を有する面である電源ボックス上面31と、電源ボックス上面31よりも上方向に位置する電源ボックス突面32と、電源ボックス上面31と電源ボックス突面32とを接続する電源ボックス接続面33と、を備えている。本実施形態では、電源ボックス上面31と、電源ボックス突面32と、は平行に形成されている。
【0024】
電源ボックス上面31には、電源ボックス孔31aが配設されている。電源ボックス孔31aは、電源部3の外部から電源部3の電源ボックス30内部へ配線を導く際に使用される。そのため、筐体2に電源部3が取付られた際に、筐体2から配線を引き出す孔である筐体下面24の筐体配線孔24aと、電源ボックス孔31aとの距離が近くなることが好ましい。本実施形態においては、筐体2に電源部3が取付られた際に、筐体配線孔24aと電源ボックス孔31aとは高さ方向から見ると重なるように配設されている。
【0025】
本実施形態では、電源ボックス孔31aは3つ設けられており、各電源ボックス孔31aに1セットずつ配線が通される。例えば、1つの目の電源ボックス孔31aには給電接続部22aに接続された給電線、2つ目の電源ボックス孔31aには第一信号線接続部22cに接続された第一信号線、3つ目の電源ボックス孔31aには第二信号線接続部22dに接続された第二信号線が通される。このように、別々の電源ボックス孔31aに配線を通すことにより、配線同士の間隔を開けることができノイズの影響を低減することができる。なお、ノイズの影響を気にしないケース、もしくは配線が少ないケースにおいては、電源ボックス孔31aを1つまたは2つとしたり、1つの電源ボックス孔31aに複数の配線を通したりしても良い。
【0026】
また本実施形態においては、1つの電源ボックス孔31aを囲うように、1つの電源ボックス孔囲い31bが配設されている。電源ボックス孔囲い31bによって電源ボックス孔31aの周囲を囲うと共に、筐体2に電源部3が取付られた際には、電源ボックス孔囲い31bが筐体配線孔24aの周囲を囲う構成となる。そのため、筐体2や電源ボックス3の内部にゴミや埃が侵入することを防ぐことが可能となる。また、孔の周囲を囲うことで、配線に指や物体が触れにくくなるために、意図せず配線を引っ掛けてしまうことを防ぐことが可能となる。なお、本実施形態では、1つの電源ボックス孔31aを囲うように、1つの電源ボックス孔囲い31bを配設しているが、2つ以上の電源ボックス孔31aを囲うように、1つの電源ボックス孔囲い31bを配設しても良い。
【0027】
さらに本実施形態では、電源ボックス上面31には、凸状の電源取付部材31cが配設されている。電源取付部材31cは、電源ボックス上面31に例えばネジ止めされる形で配設される。本実施形態において電源取付部材31cは、電源ボックス上面31をなす4辺のうち、電源ボックス接続面33と接していない2辺にそれぞれ、辺に沿って配設されている。そして、筐体2に電源部3を取付る際に、電源接続部材31cを筐体2の筐体下面24に取付られる。もちろん、筐体2に電源部3を取付る際は、電源取付部材31cを先に筐体下面24に取付た後に、筐体2に取付た電源取付部材31cを電源ボックス上面31に取付る形で取付られても良い。
【0028】
電源取付部材31cの凸部分の突出幅は、電源ボックス孔囲い31bや電源ボックス接続面33の高さと同等以上である必要がある。なお、ここでの凸部分の突出幅とは上下方向における突出幅のことをいう。電源取付部材31cの突出幅と電源ボックス接続面33の高さが同等の場合、筐体下面24と電源ボックス突面32が接触した状態で電源部3が筐体2に取付られる。電源取付部材31cの突出幅が電源ボックス接続面33の高さより大きくなる場合、筐体下面24と電源ボックス突面32との間に空間がある状態で、電源部3が筐体2に取付られる。なお、どちらの場合においても、筐体下面24と電源ボックス上面31との間には空間がある状態で、電源部3が筐体2に取付られる。
【0029】
電源ボックス突面32は、電源ボックス上面31をなす4辺のうち対向する2辺に沿って形成される。電源ボックス突面32の両端部や中央部にはネジ穴が設けられていても良く、このネジ穴を用いて電源部3を筐体2の筐体下面24に取付られても良い。
【0030】
電源ボックス接続面33は、電源ボックス上面31と電源ボックス突面32を接続する面である。電源ボックス接続面33は、電源ボックス上面31と電源ボックス突面32に対して垂直に形成されていても良いし、斜めに形成されていても良い。
【0031】
本実施形態においては、電源ボックス突面32と電源ボックス接続面33によって、筐体2に電源部3が取付られた際に、筐体2と電源部3との間に形成される空間の2方向を遮る、もしくは塞ぐ形態となる。つまり、筐体2と電源部3との間の空間は2方向しか解放されない形態となる。これによって、筐体2と電源部3との間の空間を流れる空気の方向を、電源ボックス突面32と電源ボックス接続面33と平行方向に制限し、効率よく筐体2と電源部3との間の空間の空気を対流させることができる。筐体2と電源部3との間の空間の4方向が解放されている場合は、4方向から空気が流入してきたり、空間の端を斜めに抜ける対流が発生したりと、効率的に空気を対流できなくなる虞がある。
【0032】
また、電源ボックス31の電源ボックス上面31と交わる面にはアーム部である電源ボックス取手34が配設される。電源ボックス取手34は、例えば、照明装置1を吊り下げて使用している際に、下方から照射方向を変える際の引っ掛け部として用いられる。そのため、電源ボックス取手34は光照射方向とは反対側の背面側に取付られることが好ましい。
【0033】
そして、電源ボックス30の内部には電源基板35が配設される。電源基板35は、後述する光源部8からの出力を制御可能に構成されており、外部の電源から供給される電力を制御して光源部8に供給する。
【0034】
吊り下げ部4は、U字形状であり、一端側が筐体2の筐体右側面25の吊り下げ右固定部25aに、他端側が筐体2の筐体左側面26の吊り下げ左固定部26aに、回動可能に取付られる。取り下げ部4の一端側もしくは他端側にはロック装置やハンドルなどが配設されていても良い。そしてU字形状の中央部には、固定部材を介して取付手段200が取付られる。
【0035】
バンドア5は、筐体2の筐体前面21の筐体前面開口21aの縁部に設けられている。バンドア5は、レンズ7から照射された光の照射範囲を調整可能に構成されている。
【0036】
次に図6を用いて、レンズ7、光源部8、摺動軸9の説明を行う。図6は、筐体2と電源部3が取付られた状態を示す側面断面図である。レンズ7と光源部8とのどちらか一方もしくは両方は、筐体2の内部に配設される摺動部である。摺動部は、筐体2の内部に配設された動作軸である摺動軸9に沿って摺動可能に配設される。本実施形態においては、光源部8のみが摺動軸9に沿って摺動可能な形態の例を示しているが、レンズ7のみが摺動可能な形態であっても良いし、レンズ7と光源部8の両方が摺動可能な形態であっても良い。なお、本実施形態で摺動部となりうるレンズ7と光源部8は両方とも光学系に関わる光学部材であり、本実施形態では光学部材が摺動する構造となっている。
【0037】
摺動軸9は、筐体2の内部に配設される軸であり、表面に螺合溝であるネジ部9aが形成されている。そして、摺動軸9の一端側と他端側が図示しない軸受を介して支持されていることで回転可能に配設されている。また、摺動軸9の少なくとも一端側は、筐体2の外周部まで延出しハンドル22fと接続され、ハンドル22fを回転操作することで摺動軸9が回転するように配設される。
【0038】
本実施形態において摺動軸9は、筐体2を光軸方向に横断するように配設されている。つまり、筐体2の筐体前面21と筐体背面22との間を橋渡しするように、筐体2の筐体右側面25、筐体左側面26と平行な方向に配設される。そのため摺動軸9は、筐体前面21から筐体背面22までの幅と略同等の長さに形成されている。なお、摺動軸9の配設形態は、上述した形態に限定されるものではなく、摺動軸9は筐体2の光照射方向の幅よりも短い(例えば、光照射方向の幅の半分など)形態であっても良い。この場合、筐体2の内側に図示しない軸受けを配設して、摺動軸9を受ける場所を設ける必要がある。
【0039】
レンズ7は、例えば、フレネルレンズや凸レンズといったレンズである。レンズ7は、後述する光源部8から照射された光が入射するように、光源部8の光照射方向に配設される。そして、レンズ7を通って出射された光が筐体2から取り出されるように、筐体前面21の筐体前面開口21aに臨むように配設されている。本実施形態においては、レンズ7はレンズ枠70に収納された状態で、筐体2の内側から筐体前面21に取付られ、固定されているが、筐体前面21ではなく、筐体上面23や筐体下面24や筐体右側面25や筐体左側面26などに取付られても良い。
【0040】
光源部8は、光源80と、ヒートシンク81と、摺動取付部82と、を備えている。光源80は、例えば、LEDモジュールであり、LEDモジュールは、チップオンボード(COB:Chip On Board)型のモジュールであり、基板と発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備えている。基板は、平坦である板状に形成されている。発光ダイオードは、基板の一方の面に配置され、基板に実装されている。発光ダイオードは、複数設けられていてもよく、この場合、基板の一方の面のうちの互いに異なる複数の位置にそれぞれ配置され、基板に実装されている。発光ダイオードは、基板から電力が供給されることにより、光軸方向と平行に光を照射する。そして、光源80の基板とヒートシンク81が接触するように、光源80はヒートシンク81に配設される。この時、光源80の基板は動かないように、例えばネジ止めなどで固定されることが望ましい。そして、光源80の発光部がレンズ7に対向するように、光源部8が筐体2内に配置される。
【0041】
そして、ヒートシンク81には、摺動取付部82が取付られている。摺動取付部82は、ヒートシンク81の外周面に接するように取付られていても良いし、また、光源部8はヒートシンク81を囲うように図示しない取付具を備えており、この取付具に摺動取付部82が取付られていても良い。また摺動取付部82は、ヒートシンク81や図示しない取付具と、ネジ止めによって取付られても良いし、摺動取付部82の上にヒートシンク81を載せるように取付けられても良い。
【0042】
そして、摺動取付部82は図6には図示しない螺合孔を備えており、この螺合孔を摺動軸9に挿通し、摺動軸9のネジ部9aに螺合するように摺動取付部82が摺動軸9に取付られる。このように光源部8の摺動取付部82が摺動軸9に取付られることにより、ハンドル22fによって摺動軸9が一方向へ回転した場合に、摺動取付部82が、摺動軸9のネジ部9aとの螺合によって、光源部8を伴って光軸に沿った方向に移動する。なお、ハンドル22fの回転方向によって、移動する方向が変化する。
【0043】
光源部8の光源80から照射された光は、レンズ7に入射し、レンズ7の凸面と、筐体2の筐体前面21の筐体前面開口21aを通って、筐体2の外部へ出射される。この時、光源80がレンズ7に近づくことで、両者の距離が短くなり、光源80から出射された光が広がる前にレンズ7に入射する。つまり、光源80から出た光が大きく拡散しないため外部に取り出される光の照射径が小さくなる。逆に、光源80がレンズ7から遠ざかった場合は、光源80から出射された光が広がった状態でレンズ7に入射するため、外部に取り出される光の照射径が大きくなる。
【0044】
光源部8の光源80から生じた熱はヒートシンク81を介して筐体2の中に放熱され、筐体2の各面に設けられた孔102から筐体2の外部へ放出される。そのため、孔102は、筐体2のヒートシンク81の放熱量が多い箇所と対向する面に多く設けられることが望ましい。例えば、筐体2のヒートシンク81の放熱フィンと対向する面や放熱フィンと平行な面に孔102を多く設けることで、ヒートシンク81から放出された熱を効率良く筐体2の外部へ放出することができる。本実施形態では、ヒートシンク81と対向する面である筐体2の筐体背面22と、ヒートシンク81の放熱フィンの配設方向である上下方向に交わる面である筐体上面23、筐体下面24とに孔102を配設している。
【0045】
なお、レンズ7が摺動軸9に沿って摺動する場合は、摺動取付部82はレンズ7が備える構成となる。また、摺動取付部82は、レンズ7や光源部8が備えているのではなく、摺動軸9が備えていても良い。
【0046】
また図6より、筐体2と電源部3の内部には、内部配線10が配設されている。この内部配線10は、大きく分けて2種類に分類される。
【0047】
1つめは、外部配線6から筐体2に供給された電源や制御信号を、電源部3の電源基板35へ供給するための供給内部配線10aである。供給内部配線10aは、筐体2の筐体背面22に配設された給電接続部22a、電源線接続部22b、第一信号線接続部22c、第二信号線接続部22dなど、と電源基板35と、を接続する内部配線である。供給内部配線10aは、上記の接続部(22a~22d)に接続され、筐体2の筐体背面22や筐体下面24に沿うように引き回され、筐体下面24の筐体配線孔24aを通って筐体2の外部へ引き出される。そして、筐体配線孔24aと電源部3の電源ボックス孔31aとを囲うように配設された電源ボックス孔囲い31bの内側を通って、電源ボックス孔31aから電源部3の電源ボックス30の内部へ導かれる。その後、電源基板35と接続される。以上の通り、供給内部配線10aは、筐体2の内部において、主として筐体配線孔24aより筐体背面22側に配線される内部配線である。
【0048】
2つめは、電源部3の電源基板35から、光源部8の光源80へ電力を供給するための電力内部配線10bである。電力内部配線10bは電源基板35に接続され、電源部3の電源ボックス30の内部を引き回され、電源部3の電源ボックス孔31aから電源部3の外部へ引き出される。そして、電源ボックス孔31aと筐体2の筐体配線孔24aとを囲うように配設された電源ボックス孔囲い31bの内側を通って、筐体配線孔24aから筐体2の内部へ導かれる。その後、光源部8に向かって筐体2の筐体下面24に沿うように引き回された後、光源80と接続される。以上の通り、電力内部配線10bは、筐体2の内部において、主として筐体配線孔24aより筐体前面21側に配線される内部配線である。
【0049】
また図6において、摺動部である光源部8と、筐体2との間には規制部材100が配設されている。規制部材100は、光源部8と筐体2との間の空間の少なくとも一部を埋めるように配設される部材である。
【0050】
本実施形態の照明装置1は、摺動軸9に沿って摺動部(本実施形態では光源部8)が摺動する構造となっている。そのため、摺動軸9が変形してしまった場合、摺動がしにくくなることに加えて、光軸がずれることにより意図しない配光となり照明装置として成り立たなくなる。
【0051】
この摺動軸の変形は、例えば、製品運搬時に生じる虞がある。摺動軸は摺動物を支持しているため、摺動軸の摺動物近傍には重力方向に力を受けている。そして、例えば運搬して製品を置く際や誤って落下した際には、摺動物から摺動軸に対し撃力が加わる。この力は撃力が加わる方向に摺動軸を変位させる。摺動軸は、例えば摺動物の前後が筐体に対して固定されているため、摺動軸は撃力が加わった位置を中心に変形する。
【0052】
また、摺動物の重量が大きくなるほど、摺動軸の変形量が大きくなる。そして、摺動軸の変形量が摺動軸の弾性限界を超えた場合には塑性変形し元の位置に戻らなくなる。照明装置においては、光源のLED化に伴なって、放熱のために重量が大きい放熱器(ヒートシンク)を搭載する必要があり、摺動物(光源)の重量が大きくなる傾向にある。また、例えば装置が大型の舞台用スポットライトなどは、摺動軸が長いことによって、摺動軸が変形しやすくなる。
【0053】
そこで本実施形態では、摺動物に摺動方向とは異なる方向に外力が加わったとしても、摺動物が規制部材に接触することで摺動軸へかかる負荷が軽減される構成としている。また、規制部材により、摺動物は一定の距離しか移動できない構成となるため、摺動軸の変形も一定範囲に制限することが可能となる。
【0054】
以下に、摺動物を光源部8とした場合の実施形態を用いて詳細を説明する。なお、摺動物は光源部8に限定されるものではなく、レンズ7が摺動物であっても良いし、レンズ7と光源部8の両方が摺動物であっても良い。
【0055】
本実施形態では、規制部材100を光源部8と筐体2との間に配設し、光源部8と筐体2との間の空間(光源部8が筐体2の方向へ移動しうる空間)を小さくする。そのため、規制部材100は、光源部8と、筐体2の面であって運搬時に光源部8の重力方向に位置する面と、の間に配設されることが望ましい。本実施形態に示す照明装置1では、吊り下げ部4を持って、照明装置1を吊り下げるように運搬されることが多い。そのため、光源部8と、光源部8の重力方向に位置する筐体2の筐体下面24と、の間に規制部材100を配設している。なお、例えば、光源部8の重力方向に筐体上面23が位置するような形態で運搬される照明装置の場合は、光源部8と、筐体上面23と、の間に規制部材100を配設されることが望ましい。以下では、規制部材100を摺動物である光源部8と筐体下面24との間に配設する例を示すが、運搬時の状況おいては、筐体下面24を筐体2の他の面に置き換えても良い。
【0056】
規制部材100は、光源部8と筐体2との間に配設されていれば良いため、光源部8側に配設されていても良いし、筐体2側に配設されていても良い。しかし、光源部8側に規制部材100を配設した場合、光源部8の重量が増加してしまうため、光源部8の重みで摺動軸9にかかる力が増加し、摺動軸9の変形リスクを高めてしまう虞がある。そのため、規制部材100は筐体2側に配設されることが好ましい。また、規制部材100は、光源部8や筐体2と一体に形成されていても良いし、光源部8や筐体2とは別体に形成されており、例えばネジ止めで光源部8や筐体2に取付られても良い。
【0057】
図7を参照して、規制部材100の配設場所について説明する。図7は、照明装置1の筐体2の内側の状態を示す上面図である。規制部材100は、光源8と筐体2の筐体下面24とが重なる位置に配設される。詳しく述べると、光源8で最も筐体下面24側に位置するヒートシンク81もしくは摺動取付部82と、筐体下面24とが重なる位置に配設される。そして、規制部材100は、摺動軸9と平行に長手方向に配設され、光源8が摺動する範囲全域に配設されていることが望ましい。ここでの光源8が摺動する範囲全域とは、光源8が最も筐体前面21側に摺動した時に、ヒートシンク81もしくは摺動取付部82と、筐体下面24とが重なる場所から、光源8が最も筐体背面22側に摺動した時に、ヒートシンク81もしくは摺動取付部82と、筐体下面24とが重なる場所までのことを言う。なお、照明装置1を運搬する際に、光源8の位置が決まった箇所に移動させる必要がある場合はこの限りではなく、その決まった位置において、ヒートシンク81もしくは摺動取付部82と、筐体下面24とが重なる場所に規制部材100が配設されていれば良い。
【0058】
本実施形態では、規制部材100は筐体下面24の縁に沿って配設されているが、規制部材100は、筐体下面24の中央部分に配設されていても良い。ヒートシンク81の重心はヒートシンク81の中央にあるため、筐体下面24の中央部分に規制部材100を配設することで、光源8の重心近傍で規制することが可能となり、安定性を増すことが期待できる。
【0059】
本実施形態において、規制部材100と光源8との間には空間が設けられ、一定の距離が開けられた状態で配設されている。規制部材100と光源8との間に空間が設けられていない場合や、わずかな空間(例えば、2mm以下)が存在する場合は、光源8の重みで摺動軸9が変形するリスクは低減できる。
【0060】
そのため、規制部材100と光源8との間の距離は、摺動軸9の弾性限界に応じて設定されても良い。一般的に、金属は力が加えられるほどひずみ、弾性限界を超えた場合にひずみが残り変形する。そのため、摺動軸9のひずみが弾性限界を超えないように、規制部100と光源8との間の距離を設定する。このように距離を設定することで、光源8が外力によって規制部材100に接触した場合でも、摺動軸9のひずみは弾性限界を超えていないため、元の状態に戻ることができる。なお本実施形態では、規制部材100と光源8との間の距離は2mm以下、好ましくは1.5mm以下で、かつ、0.1mm以上に設定している。規制部材100と光源8との間の距離が、0.1mm未満になると規制部材100と光源8が接触し摺動しにくくなる虞がある。
【0061】
また、図6図7に示すように、規制部材100は、内部配線10の動きを規制するように配線抑えとして作用しても良い。この時、規制部材100は、内部配線10が高さ方向に移動することを規制するように作用することが望ましい。
【0062】
内部配線10は、電源部3から筐体2に引き込まれるが、筐体2の内部で内部配線10を抑える手段がないと、内部配線10が筐体2の内部に存在する部品と干渉する虞がある。特に、摺動軸9に沿って摺動する摺動部(本実施形態では光源部8)と干渉し、例えば内部配線10が摺動部に引っ掛かってしまった場合、摺動するに従って内部配線10にテンションがかかり、意図せず内部配線の結線が外れてしまったり、断線してしまったりする虞がある。そのため、内部配線10と摺動部との間に規制部材100を配設することで、内部配線10を抑えて高さ方向へ動くことを規制して、摺動部と干渉することを防止することができる。この場合、規制部材100は、断面コ字状や断面ロ字状のような、取付られた際に内部に空間が設けられる形状であることが好ましい。
【0063】
図7を参照して本実施形態を紹介する。なお、図7において、内部配線10であって規制部100の下を通っているものは点線で示している。本実施形態の照明装置1は光源8が摺動するため、特に筐体2の下方に取付られた電源部3から内部配線10を引き込んでいる筐体配線孔24aの近傍では、光源8と内部配線10との干渉を注意する必要がある。そのため、光源8と内部配線10との間に規制部材100を配設し、規制部材100と筐体下面24との間に内部配線10を通すことで、内部配線10が筐体2の内部に露出することを防ぎ、光源8と内部配線10との干渉を防止している。
【0064】
また、図8に示す変形例のように、規制部材100を筐体2の筐体下面24の筐体配線孔24aを覆うように配設することで、さらに光源8と内部配線10の干渉を抑制することができる。図8において、規制部材100の下方に存在する筐体配線孔24aと内部配線10は点線で示している。規制部材100が筐体配線孔24aを覆うことで、内部配線10を引き込む箇所から内部配線を抑えることができ、光源8が摺動する領域に光源8に引っ掛かる可能性がある内部配線10が存在しない構造とすることが可能となる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 照明装置
2 筐体
3 電源部
4 吊り下げ部
5 バンドア
6 外部配線
7 レンズ部
8 光源部
9 摺動軸
10 内部配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8