(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】改良された上顎の拡大装置および前方牽引装置
(51)【国際特許分類】
A61C 7/10 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61C7/10
(21)【出願番号】P 2020546298
(86)(22)【出願日】2018-11-24
(86)【国際出願番号】 US2018062403
(87)【国際公開番号】W WO2019104255
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-23
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520181766
【氏名又は名称】クラニオフェイシャル テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CRANIOFACIAL TECHNOLOGIES INC.
【住所又は居所原語表記】98 Buckskin Road Bell Canyon, California USA
(74)【代理人】
【識別番号】100226861
【氏名又は名称】池上 廣
(72)【発明者】
【氏名】カベフ,カメロン
(72)【発明者】
【氏名】ベラネク,リチャード
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0133921(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0270883(US,A1)
【文献】米国特許第09351810(US,B2)
【文献】特開2017-104417(JP,A)
【文献】特開2005-204987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上顎拡大装置は以下のものから構成される:
(i)第1の開口部(101)と第2の開口部(102)を有する第1の本体(100 a-b又は2100 a-b)
(ii)第2の開口部にねじ付きでねじ込むように構成されている第1の締め具(110)
(iii)硬口蓋にねじ込むように構成され、第1開口部に挿入するように構成されている第2の締め具(111)
(iv)以下を含む調節可能な整列器具(150)
(a)第1の締め具を受け入れるように構成された第4の開口部(198)を有する第2の本体(151 a-b又は2151 a-b)
(b)第2の本体をお互いに近づけたり離したりするように構成されている調節機構(152又は172)、
前記
上顎拡大装置は、固定整列器具(106)をさらに備え、第1の締め具を受けるように構成された第3の開口部(199)を有する。
【請求項2】
請求項1の上顎拡大装置であって、第1の本体の各々は、第1の開口部の3つと第2の開口部のうちの2つを含み、第2の本体の各々は、第4の開口部の2つを含む、上顎拡大装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、固定整列器具の各々が、第3の開口部のうちの4つを含むことを特徴とする上顎拡大装置。
【請求項4】
請求項1~3において、調節機構が、第2の本体を相対的に回転させて、第2の本体を互いに近づけたり離したりするように構成されていることを特徴とする上顎拡大装置。
【請求項5】
第1の開口部が、第2の締め具の上端を受けるように、皿穴があけられている、
請求項1~4のいずれかに記載の上顎拡大装置。
【請求項6】
請求項1~5に記載の上顎拡大装置において、第2の締め具の上端がねじ込まれており、第1の開口部は第2の締め具のねじ付きの上端を受けるようにねじ込まれている、上顎拡大装置。
【請求項7】
請求項1~6の上顎拡大装置であって、第2固定整列器具(2001)をさらに含み、第1の本体を受けるように構成された調整機能(2117)を含む、上顎拡大装置。
【請求項8】
調節機構が伸縮スクリュー(172)を含む、
請求項1~7のいずれかに記載の上顎拡大装置。
【請求項9】
請求項1~8の上顎拡大装置において、前記一対の第1の本体が、器具(2002)の自由端を受け入れるための開口部(2197)を備える、又は第2の本体の各々が、器具(2002)の自由端を受け入れるための開口部(2197)を含む、上顎拡大装置。
【請求項10】
請求項1~9において、上記調節機構は、一端にのみねじ付きを有する伸縮スクリュー(162)であることを特徴とする上顎拡大装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権/継続性の主張
本出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照として引用される2018年6月15日に出願した米国仮出願(出願番号:62/685,801、アクセスコード:5437)、 2017年11月24日に出願した米国仮出願(出願番号:62/590,363、アクセスコード:3619)、2018年5月26日に出願した米国仮出願(出願番号:62/676,969、アクセスコード:1055)、 2018年7月17日 に出願した米国仮出願(出願番号:62/699,264、アクセスコード:7667)、 2018年8月29日 に出願した米国特許出願(出願番号:16/115,564、アクセスコード:6177)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
現在の上顎骨格固定拡大装置(これ以降「拡大装置」
と呼ぶ)は、前後方向だけでなく横方向の上顎欠損の患者の治療に使用できる機器である。小児では、上顎弓を広げて永久歯の成長のための空間を作るため、又は上顎を広げて下歯と上顎歯がより良く合うようにするために、口蓋拡大装置が用いられてきた。場合によっては、治療として顎を気道の狭窄部まで拡張する。いくつかの既知の口蓋拡大装置は、調節可能なねじ付き機構(US5564920 Klapper参照)により架橋された歯(臼歯)支持固定手段(帯)により上顎弓を構成し、拡張する。
【0003】
スクリューが回転すると、歯と顎に対して両側性の力が発生し、歯と上顎弓の変位を引き起こす。一度取り付けたら、調節可能なねじ付きは工具を用いて回転する。従来のねじ付きは2つの対向するハーフを含み、それぞれのハーフはねじ付き部を有する。拡大スクリューからの力は装置の腕を介してバンドを付けた臼歯に伝達され、最終的に上顎歯列弓の拡大及び/又は正中口蓋縫合からの成長をもたらす。拡大装置は治療効果が得られる期間中放置し、患者又は患者の介護者は、拡大スクリューの形状、患者の年齢及び治療の適用条件(例えば、1/4回転で週に一度、0.25 mmの動き;1日に1/4~1/2回転で0.25~0.50 mmの動きをするなど)にふさわしく所定の期間にわたって所定の量のスクリューを回転させることによって拡大装置を作動させる。望ましい拡張に続いて保持段階期が行われ、安定化のために3~6か月間拡大装置を入れたままにしておき、その間スクリューは所定の位置に固定され、スクリューをバックアップから防止する。保持段階期の間、歯/顎界面は新しい位置で安定し、口蓋縫合は空間を越えて一緒に成長して元の状態に戻り、その後拡大装置は除去される。上述の拡大装置は、歯のみに直接加えられる力を介して口蓋縫合の間隙を拡張する。
【0004】
別の既知の拡大装置装置がU.S.9,351,810(Moon)に示されている。Moonの拡大装置は、 4つのミニスクリュー/仮固定装置を用いて、口蓋縫合の両側の硬口蓋の天井に一対の本体を取り付けた。Moonの部品は、上述のKlapperで使用されたものと同様の一対の伸長腕と一対の歯固定帯装置からも構成される。Moon拡大装置は一対の本体の間に位置する両端が同じ形のスクリューを含む。Moonの両端が同じ形のスクリューが回転すると、力は歯だけでなく、口蓋縫合の両側の硬口蓋へのミニスクリューにより直接加えられる。Klapperの装置とは異なり、力は硬口蓋にも直接加えられるため、歯に加えられる力の量を減らすことができ、骨への力の量を増やすことができ、力の減少は歯/顎界面へのストレスを減らすことを意味する。しかしながら、Moonの拡大装置には多くの欠点もある。硬口蓋に直接力を加えることにより、ミニスクリューはストレスを受け、そのため、またスクリューが挿入された部位の骨構造も破壊される可能性がある。さらに、Moonが歯に与える力は小さいにもかかわらず、それは力を歯に伝達し、歯の運動を引き起こし、そしてそれは望ましくない。例えば、骨格的に成熟した患者の上顎の横方向の欠損を治療する場合、歯に力を伝達することによって、歯槽の 「屈曲」、歯根吸収などの望ましくない歯槽作用が生じ、場合によっては 「はさみ咬傷」 に至ることもある。さらに、 Moonの拡大装置は正中口蓋縫合の両側にある2つのミニインプラントによってのみ支持されているが、これは骨がより成熟した人ではしばしば不十分であり、望ましい整形外科的効果を生み出すには十分ではなく、拡張に伴う外科的骨切り手術を引き起こし得る。これら骨格的に成熟した症例では、正中口蓋縫合の両側の二つのミニインプラント(計4例)の限界は、所望の整形外科的拡張を起こすのに効果的でないだけでなく、各々の人のミニインプラント及びそれらのインプラント周囲の骨にも増加したストレスを生じる。これは、 Moonの拡大装置が、正中口蓋縫合の開口部を達成し、 1~2 mmの整形外科的拡張を達成するためだけに、骨的に成熟した個人において、 8~12 mmの活性化である拡張スクリューの完全な活性化をしばしば必要とするという事実によって証明されている。この効果的でない骨格拡張の結果として、また異なるサイズの拡張スクリューを固定部に互換的に取り付けることができない設計の結果として、多くの場合、成熟した人を治療する場合、十分な骨格拡張を達成するにはMoonの装置の少なくとも2つが必要である。複数の装置の取り外しと取付けを必要とすることは、患者に複数の外科的処置、コストの増加、及び不快感をもたらし、臨床医によるより大きな努力を必要とする。また、 Moonの装置は前後性上顎欠損患者に前方牽引力を加えるために使用できるが、歯の安定性に対する装置の信頼性は、骨構造全体ではなく、少なくとも部分的に前方牽引力を歯に伝達しなければならないことを必要とする。
【0005】
従って、1つ必要なことは、口蓋縫合の拡大時に歯の動きに直接影響せず、異なるサイズの互換性拡張スクリューの取り付けを可能にし、スクリューを支持する局所骨と同様にスクリューに負荷する力とストレスを減少させ、加えて正中口蓋縫合に沿って力をより効果的に分布させることができ、真の骨格前突を可能にする拡大装置である。別の言い方をすれば、必要なのは、従来技術よりも本質的かつ効率的な整形外科的効果を生み出すことができ、同時に歯槽及び歯への影響を排除し、患者及び臨床医の不快感及び不便さを軽減することができる拡大装置である。上顎欠損は前方(矢状)方向にも起こりうる。ケレスフェイスマスクとして知られる矯正装置は、患者の歯列に固定された臼歯バンドを介して側方及び前方牽引力を与える顔面弓などの口蓋拡大装置及び外装用矯正装置の両方を含む。ケレスの装置によって与えられる顎運動は、上顎の前方に向かう下方成長を引き起こす。ケレスの装置は歯にかかる力に依存し、その後その力は上顎に伝達される、そしてそれは理想より小さい、なぜならば上顎骨に伝達される可能性のある運動が代わりに歯に伝達されるからである。
【0006】
デクラークにより発明された別の装置は、前方牽引力を上顎に伝達するボラードミニプレートを含む骨締め具を用いている。デクラークの装置は上顎前突に用いられるが、上顎の回転を生じ、上顎の動きと成長を単に前方に向けるだけでなく、下方に向けるようにし、また設置のために比較的侵襲的な粘膜手術を必要とする。必要とされているのは、従来技術を改良した方法で上顎骨複合体と上顎と連結する9つの骨の前方運動と成長を与えることができる矯正装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1a】は、正中口蓋縫合の両側にて患者の上部口蓋に口腔内結合する前の骨格固定装置の部品の具体例を示す。
【
図1b】は、正中口蓋縫合の両側にて患者の上部口蓋に口腔内結合する前の骨格固定装置の部品の具体例を示す。
【
図1c】は、正中口蓋縫合の両側にて患者の上部口蓋に口腔内結合する前の骨格固定装置の部品の具体例を示す。
【
図2a】は、正中口蓋縫合の両側にて硬口蓋へ結合している間の骨格固定拡大装置の部品の具体例を示す。
【
図2b】は、正中口蓋縫合の両側にて硬口蓋へ結合している間の骨格固定拡大装置の部品の具体例を示す。
【
図3】は、患者の口蓋に一対の第1の本体が結合し、第1の固定した整列器具が除去された後の、骨格固定拡大装置の部品の具体例を示す。
【
図4h】は、調節可能な整列器具及び/又は一対の第1の本体を含む骨格固定拡大装置の部品の具体例を示す。
【
図5b】は、装置が一対の第1の本体に結合される前に、一対の本体と一対の装置を含む骨格固定拡大装置具の具体例を示す。
【
図6d】は、調節可能な整列器具が一対の第1の本体と装置に結合する前後に、一対の装置が一対の第1の本体に結合した骨格固定拡大装置の部品の具体例を示す。
【
図7b】は、調節機構により調節可能な整列器具の間の距離が増加する前後の装置を含む、骨格固定拡大装置の部品の具体例を示す。
【
図8】は、調節可能な整列器具の間の距離が臨床的に必要な量だけ増加し、調節可能な整列器具と装置が除去された後の一対の第1の本体の具体例を示す。
【
図9】は、一対の第3の本体が、それぞれの第5の締め具を介して一対の第1の本体に結合した後の一対の第1および一対の第3の本体の具体例を示す。
【
図10d】は、第2の固定整列器具を含む骨格固定拡大装置の部品の具体例を示す。
【
図11b】は、更なる本体を含む骨格固定拡大装置の具体例を示す。
【
図12abc】は、必ずしも一対の第1の本体の使用によらない骨格固定拡大装置の具体例を示す。
【
図13】は、第1の本体100 a-bの使用を必要としない骨格固定拡大装置の別の実施形態の具体例を示す。
【
図17abc】は、一対の第3の本体と、一対の第3の本体に連結した外部から装着された歯科矯正装置を含む歯科矯正装置の具体例を示す。
【
図18】は、外部から装着された矯正装置に連結した一対の第1の本体の具体例を示す。
【
図19ab】は、外部から装着された歯科矯正装置の他の具体例を示す。
【
図20ab】は、外部から装着された歯科矯正装置に加えられた外力の具体例を示す。
【
図21ab】は、外部から装着された歯科矯正装置とその使用の他の具体例を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態において、本発明は、少なくとも2つの本体を含み、少なくとも2つの本体の各々は、患者の上顎及び/又は少なくとも部分的に口腔外の装置に連結されるように構成され、少なくとも2つの本体は、患者の歯に装置を連結することなく上顎に力を加えるように構成されている、医療機器に関する。
【0009】
1つの実施形態において、本発明は、少なくとも2つの本体の間の距離を可変的に維持するように構成された調節機構をさらに含む。1つの実施形態において、本発明は装置の端部に結合するように構成された結合器を含む。1つの実施形態において、本発明は器具を含む。1つの実施形態において、本発明の調節機構はねじ付きを含む。少なくとも2つの本体が硬口蓋に連結された1つの実施形態では、硬口蓋の側方移動を引き起こすように調節機構が構成されている。
【0010】
上顎に連結された少なくとも2つの本体を有する1つの実施形態では、矯正装置に加えられた口腔外の力が上顎の前方又は前方と上方の組み合わせの動きを引き起こす。少なくとも2つの本体が硬口蓋に連結された1つの実施形態では、矯正器具に加えられた口腔外突出力が上顎の前方又は前方と上方の組み合わせの動きを引き起こす。
【0011】
1つの実施形態において、少なくとも2つの本体に並んだ方向で、器具に外部突出力が加えられる。1つの実施形態では、少なくとも2つの本体は、締め具によって矯正装置に取り外し可能に結合されるように構成される。1つの実施形態において、締め具は、締まり填め、スナップ填め、及び/又は滑り填めを形成するように構成される。1つの実施形態では、装置は、口腔内部分と口腔外部分を含み、口腔内部分と口腔外部分は取り外し可能に連結されている。1つの実施形態では、少なくとも2つの本体は、上顎に側方向の動きを与えるように構成された調節機構によって結合される。1つの実施形態において、調節機構は、一方の端部のみにねじ付きを有する2つの端部を有する本体を含む。
【0012】
1つの実施形態において、少なくとも2つの本体のうちの第1の本体は、第1の開口部と第2の開口部を含み、各開口部はそれぞれの縦軸に沿って配置され、第1の開口部の軸は第2の開口部の軸に平行ではない。1つの実施形態では、少なくとも2つの本体の各々は、ねじ付き締め具を受けるように構成された複数又はねじ付き開口部を含む。1つの実施形態では、装置はねじ付き締め具を含み、ねじ付き締め具の各々は2組のねじ付きを含み、2組のねじ付きのうちの1つは少なくとも2つの本体のうちの1つの個々のねじ付き開口部と填合するように構成され、2組のねじ付きのうちの第2のねじ付きは上顎にねじ込み挿入されるように構成される。
【0013】
1つの実施形態において、上顎は硬口蓋である。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体の各本体は、長手方向軸に沿って締め具を受けるように構成された複数のチャネルを含み、複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルの長手方向軸は、複数のチャネルの少なくとも1つの第2のチャネルの長手方向軸に対して非平行関係に配置されている。1つの実施形態において、少なくとも一つのチャネルの長手方向軸は、少なくとも一つの第2のチャネルの長手方向軸に対して1度から60度の間の角度をなすように配置される。
【0014】
1つの実施形態において、本発明は、以下の構成を含む上顎拡大装置を含む;(1)第1の本体と第2の本体を含む一対の本体を含み、一対の本体の各々は、患者の口蓋に口腔内で固定されるように構成される、(2)固定整列器具であって、当該固定整列器具は一対の本体を所定の距離だけ離すように一対の本体に固定されるように構成されている。1つの実施形態において、本発明は、複数の締め具;一対の本体に形成された複数の開口部;固定整列器具に形成された複数の適合している開口部;固定整列器具を一対の本体及び固定整列器具の複数の開口部に挿入することによって固定整列器具を一対の本体に固定するように構成された複数の締め具。1つの実施形態では、本発明は、固定整列器具に形成された4つの開口部と、一対の本体の各々に形成された2つの開口部を含む複数の開口部を含む。1つの実施形態において、本発明は、一対の本体の各々に形成された複数の開口部及び、複数の開口部内に複数の締め具を挿入することによって、一対の本体の各々を硬口蓋に固定するように構成された複数の締め具を含む。
【0015】
1つの実施形態において、一対の本体のそれぞれにおける複数の開口部は、少なくとも3つの開口部を含む。1つの実施形態において、固定整列器具は2つの端部を含み、一対の本体の各々は2つの端部のそれぞれ1つに結合されるように構成される。1つの実施形態において、固定整列器具はワイヤーで構成される。1つの実施形態において、固定整列器具は単一の素材で構成される。1つの実施形態において、拡大装置は、一対の本体と口蓋を覆う組織との間に存在する空間を用いて口蓋に固定されるように構成される。
【0016】
1つの実施形態において、以下の構成の上顎拡大装置を含む;(1)一対の第1の本体であって、本体の各々が患者の口蓋に連結されており、(2)調節可能な整列器具であって、一対の第1の本体に拡張力を加えることによって一対の第1の本体の間の第1の距離を変化させるように、一対の第1の本体に取り外し可能に固定されるように構成されている。1つの実施形態において、調節可能な整列器具は、一対の第2の本体、及び一対の第2の本体の間に配置された拡張スクリューを含む。1つの実施形態において、本発明は、一対の装置及び少なくとも2つの支持体を含み、各支持体は、第1の端部及び第2の端部から構成され、少なくとも2つの支持体の第1の端部は、一対の第1の本体のそれぞれに連結され伸長しており、少なくとも2つの支持体の第2の端部は、装置にそれぞれ連結している。1つの実施形態において、調節可能な整列器具は、一対の第2の本体のそれぞれ1つに連結された一対の装置を含み、各装置は口蓋の形状に適合するように構成される。
【0017】
1つの実施形態において、装置はシリコン又はアクリルを含む。1つの実施形態において、装置は患者の歯に結合するように構成されていない。1つの実施形態において、一対の第1の本体の各々は、締め具を受けるように構成された3つの開口部を含む。1つの実施形態において、3つの開口部がねじ込みされている。1つの実施形態において、一対の第2の本体の各々は、少なくとも2つのねじ付きによって一対の第1の本体の各々に結合されるように構成される。1つの実施形態において、本発明は、患者の歯を噛み合わせずに患者の上顎に力を加える方法を含み、以下の工程を含む、(1)少なくとも2つの本体を提供する、(2)上顎に位置する少なくとも2つの本体を調節可能な拡大装置に結合する、(3)少なくとも2つの本体を相対的に移動させ、上顎を拡張させるために、少なくとも2つの本体に力を加える調節可能な拡大装置を使用する。1つの実施形態において、調節可能な拡大装置は拡大装置の両端にあるねじ付きを含む。
【0018】
1つの実施形態において、少なくとも2つの本体の動きにより上顎を両側に拡張する。1つの実施形態において、調節可能な拡大装置は、拡大装置の一方の端にのみねじ付きを有する。1つの実施形態において、少なくとも2体の動きを用いて上顎を片側に拡張する。1つの実施形態において、位置は中口蓋縫合の両側にある。1つの実施形態において、本発明は、以下の構成を含む上顎拡大装置を含む;(1)第1の本体と第2の本体を含む少なくとも1対の本体を含み、1対の本体の各々は患者の硬口蓋に口腔内で結合されるように構成されている、(2)整列器具であって、整列器具は一対の本体に連結されており、整列器具又は少なくとも1対の本体が患者の歯と係合することなく口蓋の拡大を引き起こすように一対の本体を一定の距離だけ離すように構成されている。1つの実施形態において、整列器具は、固定整列器具又は調節可能な整列器具を含む。1つの実施形態において、少なくとも一対の本体が、2つの装置、2つのワイヤー、及び2つの締め具からなる群から選択される。1つの実施形態では、一対の本体の各々は、少なくとも1つの締め具により口腔内で口蓋に結合されるように構成される。1つの実施形態において、各締め具は2つの部分を含む。1つの実施形態において、2つの部品はねじ付き部を含み、2つのねじ付き部は非ねじ付き部によって分離されている。1つの実施形態において、2つの部品は分離可能である。1つの実施形態において、少なくとも一対の本体の各々は、上端と下端にねじ付きを有する本体を有する締め具を受けるように構成された開口部を有し、ここで皿穴の開口部は、上端にねじ付きとねじ付き入れにより連結するように構成されたねじ付きを有する。1つの実施形態において、開口部は皿穴である。1つの実施形態において、上端のねじ付きと下端のねじ付きは、非ねじ付き部によって分離されている。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、以下の方法を含む上顎欠損を治療する方法に関する:(1)一対の第1の本体を提供する、(2)一対の第1の本体を患者の硬口蓋に連結する、(3)一対の第1の本体に外装用の装具を装着する、及び(4)一対の第1の本体の前方への動きを生じるように装置に引き伸ばし力を加える。1つの実施形態において、本方法は、一対の第1の本体の間に拡大装置を提供し、当該拡大装置を動かして一対の第1の本体を互いに相対的に横方向に動かす。1つの実施形態において、牽引力は患者の上顎の前方又は前方及び上方への運動のみを引き起こすように調整される。1つの実施形態において、引き伸ばし力は一対の第1の本体でほとんど又は全くモーメントを発生しない。1つの実施形態において、一対の第1の本体と力が加えられる装置上の点を通過する方向に牽引力が加えられる。
【0020】
1つの実施形態において、本発明は、患者の上顎を横方向に拡張する方法に関するものであり、以下の工程を含む:(1)第1の本体の間に第1の空間を維持しながら、一対の第1の本体を上顎に口腔内で取り付ける、(2)調節可能な整列器具を一対の第1の本体に装着する、(3)第1の空間が第2空間に変更されるように、調節可能な装置を調整して、一対の第1の本体に拡張力を加える、(4)調節可能な整列器具を一対の第1の本体から外す、そして(5)第1の固定整列器具を一対の第1の本体に固定し、第1の本体の間に第2の空間を維持する。1つの実施形態において、本体の間に第1の空間を形成する工程は、第1の空間を形成するために、一対の第1の本体に第2の第1の固定整列器具を取り付けることを含む。そして、調節可能な整列器具を取り付ける前に、第1の固定整列器具を一対の第1の本体から外す。1つの実施形態において、本方法は、各本体に装置を固定する工程を含む。1つの実施形態において、本方法は、装置を患者の歯ではなく硬口蓋に連結する工程を含む。1つの実施形態において、一対の第1の本体の各々は、正中口蓋縫合の両側の口蓋に固定される。1つの実施形態において、本体を口腔内に固定する工程は、各本体を通して硬口蓋に少なくとも3つの締め具を挿入する工程を含む。
【0021】
1つの実施形態において、本発明は、正中口蓋縫合を拡張する方法に関するものであり、以下の工程を含む:(1)一対の第1の本体を提供する;(2)一対のアクリル製の装置を提供する;(3)一対の第1の本体の間の第1の距離を維持しながら、一対の第1の本体とアクリル製装置の対を硬口蓋に口腔内で結合する;および(4)第1の本体の間の第1の距離を第2の距離に変えるように第1の本体に拡張力を加える。
【0022】
1つの実施形態において、本発明は、上顎を拡張する方法に関するものであり、以下の工程を含む:(1)一対の第1の本体を提供する;(2)一対の第1の本体を硬口蓋に連結する;(3)一対の第1の本体に整列器具を取り付ける;(4)一対の第1の本体を硬口蓋の下方及び離れた位置に維持する。1つの実施形態において、整列器具は調節可能な整列器具である。1つの実施形態において、整列器具は第1の固定整列器具である。1つの実施形態において、距離は1~3 mmの間にある。1つの実施形態において、本方法は、一対の第1の本体と硬口蓋との間にスペーサーを与えることを含む。1つの実施形態において、連結はねじ付き締め具の使用を含む。1つの実施形態において、距離は、一対の第1の本体にねじ付き締め具のねじ付きをロックすることによって維持される。
【0023】
1つの実施形態において、本発明は、以下の構成を含む上顎拡大装置を含む:(1)少なくとも2つの本体を含み、少なくとも2つの本体の各々は、少なくとも2つの本体と口蓋との間の第1の距離を有する硬口蓋に結合されるように構成される;(2)そして少なくとも2つの本体間の第2の距離を維持するように構成されている。1つの実施形態において、拡大装置はねじ入れられた端部を有する。1つの実施形態において、拡大装置はねじ入れられた一方の端部のみから構成される。1つの実施形態では、更に整列器具を含む。1つの実施形態において、整列器具は、少なくとも2つの本体に取り付けられるように構成された少なくとも1つの本体を含む。1つの実施形態において、整列器具は固定整列器具を含む。1つの実施形態において、調節可能な整列器具を含む。1つの実施形態において、整列器具は拡大装置を含む。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体は締め具を受けるように構成される。1つの実施形態において、締め具は、少なくとも2つの本体の各々から延びる少なくとも1つの横方向支持体によって受けるように構成される。1つの実施形態において、締め具はスクリューを含む。1つの実施形態において、締め具は2つのねじ付き部を含み、ここで1つ又は2つのねじ付き部の最外径は、2つのねじ付き部のうちの第2のねじ付き部の最外径よりも小さい。1つの実施形態において、2つのねじ付き部は、非ねじ付き部によって分離されている。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体は互いに平行な関係で配置される。
【0024】
1つの実施形態において、本発明は、以下の方法を含む上顎を横方向に拡張する方法を含む:(1)少なくとも2つの本体を提供する;(2)少なくとも2つの本体を硬口蓋に結合させる;及び(3)少なくとも1つの整列器具を少なくとも2つの本体に取り付ける。1つの実施形態において、少なくとも1つの整列器具は、固定整列器具及び/又は調節可能な整列器具を含む。1つの実施形態において、少なくとも1つの整列器具を取り付ける工程は、固定整列器具及び調節可能な整列器具を取り付ける工程を含む。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体は締め具を含む。1つの実施形態において、締め具はねじ付きの締め具を含む。
【0025】
1つの実施形態において、本発明は、以下の構成を含む医療機器を含む:患者の上顎に結合するように構成された少なくとも2つの本体であって、少なくとも2つの本体の各々は、少なくとも部分的に口腔外にある装置に結合するように構成さており、ここで装置は、少なくとも2つの本体に口腔外牽引力を適用するように構成され、2つの本体は、上顎の運動と成長を引き起こすために、口腔外牽引力を上顎に伝達するように構成される。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体は、矯正装置の端部に結合するように構成された結合器をさらに含む。1つの実施形態において、装置は器具を含む。1つの実施形態において、装置は歯科矯正用の顔弓を含む。1つの実施形態において、調節機構は、少なくとも2つの本体が上顎に連結された状態で、少なくとも2つの本体に力を伝達して、少なくとも2つの本体が上顎に力を加え、上顎の側方移動を引き起こすように構成される。1つの実施形態において、上顎に連結された少なくとも2つの本体と共に、装置により少なくとも2つの本体に加えられた口腔外の力は、上顎の前方又は前方と上方の組み合わせの動きを引き起こす。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体に並んでいる方向に、装置に外部突出力が与えられる。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体は、矯正装置に取り外し可能に結合されるように構成される。1つの実施形態において、取り外し可能な継手は、締まり填め、スナップ填め、及び/又は滑り填めを含む。1つの実施形態において、装置は、口腔内部分と口腔外部分を含み、口腔内部分と口腔外部分は取り外し可能に連結されている。
【0026】
1つの実施形態において、少なくとも2つの本体のうちの第1の本体は、少なくとも第1の開口部と第2の開口部を含み、各開口部はそれぞれの縦軸に沿って配置され、第1の開口部の軸は第2の開口部の軸に平行ではない。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体の各々は、ねじ付き締め具を受けるように構成された複数又はねじ付き開口部を含む。1つの実施形態において、装置はねじ付き締め具を含み、ねじ付き締め具の各々は2組のねじ付きを含み、2組のねじ付きのうちの1つは少なくとも2つの本体のうちの1つのそれぞれのねじ付き開口部と填合するように構成され、2組のねじ付きのうちの第2のねじ付きは上顎にねじ込み挿入されるように構成される。1つの実施形態において、少なくとも2つの本体の各々は、長手方向軸に沿って締め具を受けるように構成された複数のチャネルを含み、複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルの長手方向軸は、複数のチャネルの少なくとも1つの第2のチャネルの長手方向軸に対して非平行関係に配置されている。1つの実施形態において、少なくとも一つのチャネルの長手方向軸は、少なくとも一つの第2のチャネルの長手方向軸に対して1度から60度の間の角度をなすように配置される。
以下の詳細な説明に記載される他の利点、利益及び実施形態も本発明の範囲内であるので、上記は本発明を限定するものではない。
【発明の詳細な説明】
【0027】
以下に参照される図は、参考指標と共に本発明の部品及び機能を参照している。同一の部品が異なる図に示されている場合もあるが、同一の部品の指標が累積的に使用することは、その使用が不必要である場合及び/又は部品の特定をより困難にする場合には使用しないことに留意すべきである。
図1 a~cにおいて、正中口蓋縫合の両側にて患者の上顎に口腔内で結合される前の骨格固定装置の部品の具体例が示される。
【0028】
1つの実施形態において、本発明の骨格固定装置は、正中口蓋縫合の両側の上部口蓋に沿って上顎に口腔内で付着するように構成された一対の第1の本体100 a-b(
図1 aに示す1体のみ)を含む。1つの実施形態において、各本体は硬口蓋に面するように構成された側面と反対側の上面を含む。1つの実施形態において、片側又は両側が平坦である。他の実施形態では、側面は互いに平行である。1つの実施形態において、少なくとも一方の側面の一部が他方の側面に平行でない。1つの実施形態において、第1の本体100 a-bの各々は、複数の第1の開口部101と、第1の本体の各々の長手方向軸に沿って配置された複数の第2の開口部102を含む。1つの実施形態において、第1の本体の各々は、3つの第1の開口部101及び2つの第2の開口部102を含む。1つの実施形態において、第1の開口部101は、第1の本体100 a~bの厚さを貫通して延びる。1つの実施形態において、第2の開口部102は、第1の本体100 a~bの中に一定の距離だけ伸びており、すべてを通るわけではない。1つの実施形態において、骨格固定拡大装置はまた、ねじ付きの第1の締め具110を受けるように構成された複数の第3の開口部199を有する第1の固定整列器具106を含む。
【0029】
1つの実施形態において、第1の締め具110は、第3の開口部199を介して受け入れられ、第2の開口部102にねじ入れされるように構成されたスクリューを含む。1つの実施形態において、同数の第3の開口部199が、反対側の右側の第2の側面に形成されているように、第1の固定整列器具106の横側の第1の左側に形成されている。1つの実施形態において、固定整列器具106は四つの第3の開口部199を含む。1つの実施形態において、固定整列器具106は単一の一体型の本体を含む。1つの実施形態において、第1の固定整列器具106は板状構造を有する。1つの実施形態において、第1の固定整列器具106はH形幾何学的形状を有する。他の実施形態において、第1の固定整列器具は、4つの隅に形成された開口部を有することができる幾何学的形状を有する。
【0030】
1つの実施形態において、第1の固定整列器具106の第3の開口部199は、縦方向の間隔 「B」 で構成されており、これらの開口部は、一対の第1の本体100 a-bのそれぞれの第2の開口部102に、開口部に挿入された第1の締め具110と結合することができる。1つの実施形態において、一対の第1の本体100 a-bが締め具を介して第1の固定整列器具106に結合されると、第3の開口部199の横方向の間隔によって、一対の第1の本体100 a-bが距離 「Z」 だけ隔てられる。1つの実施形態において、第1の開口部101は、チャネルが第1の本体100 a-bに、第1の本体の厚さよりも小さい第1の深さまで逆に沈み込み、チャネルが第1の深さに沿ってねじ入れされ、第2の締め具111(
図2b-c)のねじ入れられた上端部をねじ入れするように構成されるチャネルを含む。1つの実施形態において、第1の固定整列器具106及び第1の本体100 a~bの各々の寸法は
図1 a及び1 bに示す寸法である。1つの使用実施形態(
図1 c参照)では、第1の固定整列器具106の硬口蓋に面する側を本体100 a-bの各々の上に配置し、それぞれの第1締め具110を第1の固定整列器具106の第3の開口部199を通して挿入し、それぞれの締め具110を第2開口部102にねじ入れして、第1の固定整列器具106を一対の第1の本体100 a-bに結合する。第1の固定整列器具106と一対の第1の本体100 a-bが結合された後に、第1の本体100 a-bの一方が患者の正中口蓋縫合の片側に位置し、第1の本体100 a-bの他方が縫合の反対側に位置するように、組合せが患者の硬口蓋上に配置される。
【0031】
図2 a~bにおいて、正中口蓋縫合の両側にて硬口蓋へ結合している間の骨格固定拡大装置の部品の具体例が示される。
【0032】
使用の1つの実施形態において、第1の固定整列器具106と一対の第1の本体100 a~bが互いに結合された後、それらは正中口蓋縫合の両側の硬口蓋上に配置され、その組合せは複数のねじ入れられた第2の締め具111を介して硬口蓋に結合される。1つの実施形態において、第1の本体の各々は、一対の第1の本体の硬口蓋に面する側と反対側との間に延びる複数のねじ入れられた第1の開口部101を含む。1つの実施形態において、一対の第1本体100 a~bは、それぞれ3つのねじ付きの第1の開口部101を含む。1つの実施形態において、ねじ入れられたの第2の締め具111は、第1のねじ付きの組を介して硬口蓋にねじ入れされるように構成された底部と、第2のねじ付きの組を介して第1の開口部101にねじ入れされるように構成された頂部とを有する。1つの実施形態において、第1及び第2のねじ付きの組は、ねじ付きのない部分によって分離されている。1つの実施形態において、第1のねじ付き組は、第2のねじ付き組の外径よりも小さい外径によって変形される。1つの実施形態において、第2の締め具111は
図2 bに示す寸法である。使用の1つの実施形態において、第2の締め具111の底部は、一対の第1の本体100 a-bの各々の第1の開口部101を通して挿入され、挿入後、第2の締め具111の底部は、硬口蓋内にねじ入れ挿入される。第2の締め具の下端部を硬口蓋に挿入する際に、第2の締め具111の上端部は、第2の締め具111の上端部の表面部分が第1の開口部101の表面部分に対して着座するまで、一対の第1の本体100 a-bの第1の開口部101の各々のねじ付きにねじ入れされる。1つの実施形態において、およそ1及び6 nmの間にあるトルクが第2の締め具に適用されており、それらを上顎の口蓋突起の両方の皮質骨に挿入し、第1の本体に対して、及び第1の本体の中への着座が達成されている。1つの実施形態において、第2の締め具111が第1の本体100 a-bに着座すると、固定された剛性構造が形成され、この剛性構造は、第2の締め具を硬口蓋に挿入することによってさらに剛性が増す。
【0033】
1つの実施形態において、第2の締め具111の下端を硬口蓋に挿入する前に、スペーサー50は、一対の第1の本体100 a-bの硬口蓋に面する側と硬口蓋との間に挿入される。1またはそれ以上のスペーサーは、一対の第の1の本体100 a-bと硬口蓋を覆う組織との間の距離を規定することを意図している。1つの実施形態において、距離は1~3 mmである。使用の1つの実施形態において、第2の締め具111は、一対の第1の本体100 a-bが一つ以上のスペーサー50に軽く当接し、一つ以上のスペーサーが硬口蓋の組織に軽く当接するまで硬口蓋にねじ入れされる。1つの実施形態において、スペーサー50は軟質シリコンを含む。別の実施形態において、スペーサー50は、口腔内の液体によって溶解することができる素材でできている。1つの実施形態において、スペーサー50は、無グルテン小麦、酵母、食塩及び水からなる物質を含み、これらは口腔内の分泌物にさらされたときに極めて速やかに溶解することができる薄いウエハーとして焼成される。他の実施形態では、スペーサーは樹脂又はポリカーボネートを含む。
【0034】
1つの実施形態において、一つ以上のスペーサー50を挿入し、一対の第1の本体100 a~bを硬口蓋に結合した後、第1の本体と硬口蓋との間に空隙/空隙を残すために、スペーサーを除去するか、又はスペーサーを溶解させる。1つの実施形態において、空隙/空隙により、第1の本体100 a-bと硬口蓋との間に接触がないか、又は非常にわずかであることが可能となり、組織壊死が生じる可能性が低下する。その際、第1の本体100 a-bによる硬口蓋への接触が減少するため、口蓋軟部組織の狭窄及び刺激(壊死)が減少し、上顎への力が最大となる。本発明は、例えば、第2の締め具111の挿入時に空間/空隙を形成するように、外科用ガイドを用いて一対の第1の本体を歯に一時的に固定することにより使用することができ、空間/空隙の形成後、空間/空隙を除去することができるので、上述のスペーサーの使用による空間/空隙の形成に限定されるものではない。さらに、第2の締め具の上端部を一対の第1の本体にねじ入れすることで、第2の締め具111を口蓋より下の位置で本体に強固に結合することが説明されているが、本発明は、他の実施形態において、生体適合性樹脂又は接着剤のように、そのような結合を達成するための使用又はねじ付きに限定されるべきではない;上記の第2のねじ付きの組に加えて、又はその代わりに、第2の締め具111を一対の第1の本体に結合するために、又はクランピング、ロッキング、及び締まり填めの結合機構を使用することができる。
【0035】
図3には、患者の口蓋に一対の第1の本体が結合し、第1の固定した整列器具が除去された後の、骨格固定拡大装置の部品の具体例が示される。使用の1つの実施形態において、第2の締め具111が患者の硬口蓋に結合された後、第1の締め具110が第1の本体100 a-bから分離され、第1の固定整列器具106が一対の第1の本体100 a-bから分離されて除去される。除去後、一対の第1の本体100 a~bは、第1の固定整列器具106の距離 「B」 によって決まる距離 「D」 だけ離れていることが確認される(
図1 b参照)。
図4 a~jは、患者の上顎格複合体の運動と成長を達成するように構成された調節可能な整列器具及び/又は一対の第1の本体を含む骨格固定拡大装置の部品の具体例が示される。1つの実施形態において、本発明の骨格固定拡大装置は、調節可能な整列器具150(
図4 a参照)を含む。1つの実施形態において、調節可能な整列器具150は、一対の第2の本体151 a~bを含み、各本体は、それらの間に形成された少なくとも一つの調節機構によって結合される。1つの実施形態において、第2の本体151 a~bの各々は、軸に沿って細長い。
【0036】
1つの実施形態において、調節機構152によって結合される場合、各軸は他の軸に対して概ね平行である。1つの実施形態において、調節機構152は、両端にねじ付きを有する両端拡張型スクリューを含む。1つの実施形態において、調節機構152は、一対の第2の本体151 a~bに対して回転し、第2の本体の端部と第2の本体内のねじ付き開口部との間のねじ入れられた相互作用を介して、第2の本体の各々を互いに接近又は離反させるように構成される。1つの実施形態において、第2の本体151 a~bの各々の対は、一つまたはそれ以上の安定化ロッド175の端部をその中又はそれを通ってスライド可能に受容するような寸法の開口部を備えて構成される。1つの実施形態において、第2の本体151 a-bの各々は、第2の本体151 a-bの底面に面する硬口蓋と上面との間に延びるように構成された複数のねじ付きの第4の開口部198を含む。
【0037】
1つの実施形態において、第4の開口部198は、一対の第1の本体のそれぞれの第2の開口部102の間における縦方向の間隔に適合するように、縦方向に間隔をあけて配置される。使用の1つの実施形態において、調節機構152は、調節可能な第1の締め具110が調節可能な整列器具150のそれぞれの第4の開口部198に整列して容易に挿入できる位置まで回転され、一対の本体100 a~bのそれぞれの開口部102に挿入される。このようにして連結された後、一対の第2の本体151 a~bは、第1の本体100 a~bが互いに間隔を空けて配置されているのと同じ初期距離 「D」 だけ離れて配置される。連結後、調節機構152を使用して、一対の第2の本体151 a-b、一対の第1の本体100 a-b、及び第1の締め具110の間の側方距離を増加又は減少させることができ、これらの距離の変化を使用して、上顎複合体及び上顎と連結する9つの骨を両側に拡張することによって、患者の上顎欠損を治療することができる。
【0038】
1つの実施形態において、上記のように両端にねじ付きを有する両端拡張ねじ付きで構成される調節機構152の代わりに、調節機構162は、片側拡張ねじ付きの一方の端がねじ入れされ、他方の端がねじ入れされない片側拡張ねじ付き(
図4 d参照)を含む。1つの実施形態において、ねじ入れされていない端部は第2の本体151 a~bの一方の開口部に挿入され、他方の本体内のねじ入れられた開口部にねじ付き端部を介して連結しているが、第2の本体151 a~bの一方の開口部に挿入され、そのまま開口部内で自由に回転する。ねじ付きのない端部は、第2の本体に対する開口部内の縦方向の動きを制限するために、その端部でリテーナー、例えば円形クリップによって固定される。調節機構162が回転すると、第2の本体151 a~bの一方が固定されたままで他方が動く。使用の1つの実施形態において、上述したような片側拡張スクリューで構成された骨格固定型拡張装置を使用して上顎非対称を治療できることが確認されている。第2の本体151 a-b間の距離を増加させるための回転が上述されるが、第2の本体151 a-bの動きを生じさせることができる他の機構が本発明の範囲内にあり、例えば、ばね、マイクロモータ、又は他のいくつかの受動的又は能動的アクチュエータを使用して第2の本体間の直線運動を行うことができると考えられる。
【0039】
1つの実施形態において、一対の第1の本体100 a-bの各々を硬口蓋に結合した後、第1の本体100 a-bの各々につき3個、合計6個の締め具を使用する。第1の本体100 a-b当たり2つの第2の締め具の使用と比較して、本発明の第1の本体当たり3つの第2の締め具の使用は、締め具が第1の本体の動きの間に経験する力を少なくし、また締め具を支持する局所骨によって経験する力を少なくすることを可能にする。さらに第2の締め具111を使用すると、第2の本体151 a~bに生じる動きに対する口蓋の抵抗によって締め具にかかる力が分散され、いずれか一方の締め具が受ける力が減少する。従って、他の実施形態では、必要に応じて又は希望に応じて、締め具及び/又は締め具を支持する局所骨によって受ける力を低減するために、3つ以上の第2の締め具111及び締め具を受けるための第1の本体内の3つ以上の開口部が本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
図4 eを参照すると、上述したいくつかの実施形態では、一対の第1の本体に初期の整列を提供するための固定整列器具106の使用について述べたが、1つの実施形態において、そのような整列は、整列器具106を使用することなく提供することができる。使用の1つの実施形態において、ねじ入れ可能な第1の締め具110は、一対の第2の本体151 a-bのそれぞれの第4の開口部198を通して挿入され、その後、一対の第1の本体100 a-bのそれぞれの第2の開口部102にねじ込みされる。このようにして連結された後、一対の第1本体100 a~bは、調節機構152又は162がどれだけ回転されるかによって決まる第1の距離だけ間隔を空けて配置される。その後、一対の第1の本体100 a-bの両端の第1の開口部101に4つの第2の締め具111を最初に挿入することにより、この初期間隔で一対の第1の本体100 a-bを上部口蓋に結合することができる。一対の第2の本体151 a~bを上部口蓋と結合させた後に、一対の第2の本体151 a~bを除去することができ、必要に応じて、2つの追加の第2の締め具111を使用して、一対の第1の本体を、一対の第1の本体100 a~bの中央の第1の開口部101に挿入することによって硬口蓋に固定することができる。
【0041】
第1の本体100 a-bが第2の締め具111の完全な部分で上部口蓋に結合されると、一対の第2の本体151 a-bは、第1の締め具110を第4の開口部198に挿入し、さらに一対の第1の本体100 a-bのそれぞれの第2の開口部102に挿入することによって、使用のために一対の第1の本体100 a-bに再結合することができる。記載された調節可能な整列器具150の実施形態は、第2の本体151 a-b間の初期距離を最小限にすることが好ましい場合(
図4 fにおける調節可能な整列器具150、安定化ロッド175を参照)、例えば、第1の本体100 a-b又は第2の本体151 a-bを口蓋縫合に可能な限り近くに取り付けることが望ましい場合に有用であることが判明しており、このような場合、抵抗する縫合組織への方向力の伝達が最大になる。
図4 gに示すように、1つの実施形態において、第2の本体間の調節機構152は、第2の本体間の最小距離2.5 mmを達成することができるが、それはまた、最大距離10 mmを決定し、同様に、調節機構152の外端が
図4 fにおける最小の配向において、第2の本体から外側にどの程度突出するかを決定する。しかし、場合によっては、調節機構の端部が突出しすぎると、突出により患者の舌又は口の解剖学的構造に干渉する可能性があることが確認されている。さらに、第2の本体151 a~bに拡張力を加えると、最小空間の口蓋において、本体は不十分な横空間のために口蓋壁組織内に掘り始めることができる。
【0042】
図4 hを参照すると、患者の口腔の構造への干渉を最小化又は排除するために、一部の実施形態では、調節可能な整列器具150は調節機構172を含む。1つの実施形態において、調節機構172は伸縮スクリュー機構を含む。1つの実施形態において、拡大ねじ付き機構は、反対側の端部に二つのねじ付き開口部を有するハウジング172 aと、二つのねじ付きロッド172 bの各々が、それぞれのねじ付き開口部にねじ付き式に取り付けられた第1のねじ付き端部と、第2の本体のそれぞれのねじ付き開口部内に取り付けられた第2のねじ付き端部とを有する。
【0043】
使用の1つの実施形態において、患者の上顎/口蓋の望ましい拡張を達成するために調節機構152又は172の一方だけを使用するのではなく、両方を使用することが望ましい場合がある。例えば、第1又は第2の本体を口蓋縫合部に最初に密着させることが望まれ、その後、調節機構152によって調節機構による干渉を起こさずに提供できる以上の拡張が望まれる場合、調節機構152から構成される調節可能な整列器具150を使用して第2の本体の間に第1の距離(例えば、10 mmの距離)を達成することができ、その後、調節可能な整列器具を取り外して、調節機構172から構成される調節可能な整列器具150と交換し、第2の本体の間に第2の距離(15 mm以上)を達成することができる。調節機構152及び172の使用に関して上述した初期及び最終距離は、他の実施形態における調節機構152及び172が、例えば、それらの長さの適切な選択及び/又は本体の修正によって、より小さい又はより大きい距離を可能にするように構成できるように、例示を意図している。
【0044】
図5 a~bには、装置が一対の第1の体に結合される前に、一対の装置と一対の装置を含む骨格固定拡大装置の部品の具体例が示される。いくつかの実施形態において、調節可能な整列器具150、第1の本体100 a-b、及び締め具111の組合せは、骨が非常に薄い又は非常に厚いため、臨床的に望ましい上顎の拡張を達成するには不十分なことがある。従って、ねじ付き締め具による骨応力をさらに低減するために、1つの実施形態では、本発明の骨格固定拡大装置は、1対の装置120 a~bを含む。1つの実施形態において、各装置は少なくとも一つの伸長支持体125(
図5 b参照)を含む。使用の1つの実施形態において、各々の支持体125の第1の端部130は、一対の第1本体100 a-bのそれぞれの第2の開口部102に結合されるように構成されており、支持体の反対側の第2の端131は、それぞれのプレート132内に埋め込まれている。
【0045】
1つの実施形態において、各プレートは、歯科矯正装置技術に熟練した者によって使用されることが知られているアクリル又は他の十分に剛性の生体適合性素材を含む。1つの実施形態において、プレート132内に埋め込まれている場合、各々の延長支持体125の第1端部130は、一対の第1本体100 a~bのそれぞれの第2開口部102と同じ距離 「Y」 だけ離れている。1つの実施形態において、各々の第1の端部130は、それぞれの締め具110を貫通して受け入れるように構成された開口部を含む。
【0046】
1つの実施形態において、プレート132は、口腔から作られた鋳型又はデジタルスキャンより作られ、口腔内で使用される場合、いかなる歯とも直接接触することなく口蓋組織に快適に接触するように寸法が決められている。
図6 a~dは、調節可能な整列器具が一対の第1の本体と装置に結合される前後に、一対の装置が一対の第1の本体に結合された骨格固定拡大装置の部品の具体例が示される。使用の1つの実施形態において、ねじ入れ可能な第1の締め具110は、調節可能な整列器具150の各々の第4の開口部198を通して、装置120 a~bの延長支持体125の第1の端部130の各開口部を通して挿入される(
図6 a~bを参照)に続いて、一対の第1の本体100 a~bのそれぞれの第2の開口部102にねじ入れ、3つの結合した部品が口蓋に結合し、調整ねじ付き152を介して拡大すると、口蓋縫合のどちらかの側に付加的な力を加えることができる構造を作る。
【0047】
一つの実施形態(
図6 c参照)において、調節可能な整列器具150とは別のユニットとして装置120 a-bを最初に提供するのではなく、調節可能な整列器具150と各装置を単一の一体ユニットとして一対の第1の本体100 a-bに取り付けることができるように、各装置をそれぞれの第2の本体151 a-bの一部として統合する。
図6 dは、支持体125の第1の端部の組が第2の本体に統合され、反対側の端部の組がプレート(表示せず)によって成形可能な、そのような統合の一つを表す。
【0048】
図7 a~bは、調節機構により調節可能な整列器具の間の距離が増加する前後の装置よりなる、骨格固定拡大装置の部品を示す。使用の1つの実施形態において、調節可能な整列器具150が一対の第1の本体100 a-bに結合され、一対の第2の本体151 a-b間の距離は、調節機構152の回転を介して増加され、それが増加すると、第1の本体100 a-bと装置120 a-b間の距離が増加する。具体的には、スパナレンチやアクティベーションキー、その他の調節機構152又は162を移動又は回転させるように構成された装置を用いて増加が達成される。1つの実施形態において、第2の本体151 a~bの間の距離の増加は、患者の上顎の側方への拡大を引き起こし、ここで、増加の量は潜在的な拡大の量を決定するものであり、それを達成することができる。調節可能な整列器具150の使用中、第2の締め具111の硬口蓋への挿入点の部分が、硬口蓋と一対の第1の本体100 a-bとの間に形成された小さな空間/間隙によって露出していることが確認される(上記の
図2の考察における空間/隙間を作るためのスペーサー50の使用を参照のこと)。
【0049】
小さな空間が存在しなかった場合と比較して、空間の存在は、第2の締め具の一方の端での口蓋縫合による運動に対する前述の抵抗及び締め具の他方の端での第2の本体151 a-bによって加えられる運動を介して、第2の締め具が硬口蓋へのそれらの挿入点で受ける応力量の増加を引き起こす。締め具111に加わる応力は、各挿入点での硬口蓋も応力の影響を受けることを意味する。したがって、締め具111及び上顎に加わる局所応力の低減が望まれると確認される。締め具の応力を低減する1つのアプローチは、上述したように、より多くの締め具に応力を分散させることを含む。しかし、装置120 a-bも使用される場合、プレート132が口蓋に当接するため、第2の本体151 a-bの拡張によって、プレートが軟口蓋及び硬口蓋に力を加えることになり、この力を用いて上顎による拡張に対する抵抗を少なくとも部分的に克服することができ、これにより締め具が受ける応力をさらに低減することができる。第2の締め具111の上端部の第1の本体100 a-bの対のねじ付き開口部へのねじ入れ式挿入、第1の本体当たり2つ以上の第2の締め具111の使用、及び上述したような装置の使用は、第1の本体100 a-bと第2の本体151 a-bの対の安定性を提供するために単独で又は組み合わせて使用することができ、その場合、臼歯及び歯で支持される固定装置を必ずしも使用する必要はない。
【0050】
歯への力伝達を除去することにより、多くの利点、すなわち、歯槽又は歯の効果と比較してより大きな整形外科的効果が生じる。より大きな整形外科的効果は、より大きな気道及び審美的利点と相関する。さらに、歯根吸収、歯の先端、潜在的な剪刀咬傷を含む、歯との非罹患及び接触によって多くのリスクが排除される。非罹患及び歯との接触が好ましいが、特定の臨床転帰を達成するために必要な場合に、上記又は以下に記載した本発明の実施形態を歯に結合することを妨げるものはないことを理解すべきである。
【0051】
図8には、調節可能な整列器具の間の距離が臨床的に必要な量だけ増加し、調節可能な整列器具と装置が除去された後の、一対の第1の本体が示されている。使用の1つの実施形態において、一対の第1の本体100 a-b間の距離が臨床的に望ましい距離 「D 2」 まで増加した後、第1の締め具110がねじ入れられず、調節可能な整列器具150が設けられ、使用される場合、装置120 a-bが除去される。1つの実施形態において、距離 「D 2」 を維持しながら口蓋縫合の再成長を可能にするために、一対の第3の本体170 a-bを一対の第1の本体100 a-bの上に配置する。1つの実施形態において、第3の本体170 a~bの各々は、縦方向に間隔をあけて各第1の本体の第2の開口部102と同じ間隔で配置された複数の第5の開口部195を含む。1つの実施形態において、開口部195は、一対の第3の本体170 a-bの口蓋に面する側から頂部側に延びており、これらを通って第5の締め具191を受け取るように構成されている。
【0052】
図9を参照すると、一対の第1の本体と第3の本体170 a~bが、それぞれの第5の開口部195に挿入されるそれぞれの第5の締め具191を介して、一対の第1の本体に結合され、第3の本体を第1の本体に結合するために一対の第1の本体100 a~bのそれぞれの第2の開口部102に、それぞれの第5の締め具がねじ入れられた後の一対の第1の本体と一対の第3の本体が示されている。
【0053】
図10 a~dは、第2の固定整列器具を含む骨格固定拡大装置の部品の具体例が示されている。使用の1つの実施形態において、第1の本体100 a-bと第3の本体170 a-bが一緒に結合されている間、距離 「D 2」 を維持するために、第2の固定整列器具196が使用される。1つの実施形態において、第2固定整列器具196は、患者の口蓋縫合がそれ自体で、また本発明の実施形態を使用することなく、保持/安定化段階にわたって距離 「D 2」 を維持するように構成された本体を含む。1つの実施形態において、第2の固定整列器具196は、第3の本体170 a~bを一緒に結合するように構成される。1つの実施形態において、第2の固定整列器具196は、その端部166及び167を、一対の第3の本体170 a~bに形成されたそれぞれの第6の開口部197に挿入することができる形状に曲げられたワイヤーを含む。
【0054】
1つの実施形態において、第2の固定整列器具196はステンレス鋼ばね金属から単一部品として製造される。1つの実施形態において、第2の固定整列器具170 a-bは、保持/安定化段階中に距離 「D 2」 を維持するのに十分な強度を有する素材で製造される。調節可能なものの代わりに保持/安定化段階の間の固定整列器具196の使用は、相の間のより大きな舌の容積と舌の姿勢を可能にするはるかに洗練された、よりかさばらない装置を提供する。さらに、拡張が達成された後に調節可能な整列器具を除去することで、より大きな衛生と衛生が可能になる。しかし、他の実施形態では、拡張が達成された後、調節可能な拡大装置は、固定整列器具として効果的に機能するように調整することなく、そのままにしておくことができる。
【0055】
図11 a~bには、追加の本体で構成された骨格固定拡大装置が示されている。いくつかの実施形態において、患者の上顎複合体の拡張中に、患者の年齢、性別、骨密度、又は望ましい臨床転帰は、上記の実施形態の一部が提供するのに最も適していない量の安定性を必要とする場合がある。従って、1つの実施形態において、骨格固定拡大装置は、少なくとも二つの付加的な本体165を備えている。実施形態において、本体165は、歯の支持に依存することなく骨格固定拡大装置に追加の安定性ポイントを提供するように構成された延長腕、ロッド、剛性ワイヤー又はその他の構造体を含む。1つの実施形態において、少なくとも一つの本体は、第1の本体100 a-b(
図11 a参照)の各々から、又は第2の本体151 a-b(
図11 b参照)の各々から横方向に伸びている。1つの実施形態において、各本体165の一端は、第1の本体100 a-b又は第2の各々の本体165と一体化されており、他の一端は、硬口蓋に連結するように構成された取り付け機構164を備えている。1つの実施形態において、各取り付け機構は、取り付け機構と硬口蓋との開放可能な結合を提供するように構成された締め具163を受けるように構成されている。具体的には、締め具163は、スクリュー、リベット、ピン、締まり型機構の生体適合性接着剤、又は当該技術分野で既知の他の歯科用締め具を含むことができる。本体165を使用することで、より多くの骨格固定装置の口蓋への取り付け点に力を分散させることができる結合点が追加される。
【0056】
図12 a~cには、必ずしも一対の第1の本体の使用に依存しない骨格固定拡大装置の具体例が示される。1つの実施形態において、骨格固定拡大装置は、調節可能な整列器具151又は固定整列器具106を含む。1つの実施形態において、骨格固定拡大装置は複数の第6の締め具136を含む。各々の第6の締め具136の一方の下端は、上顎に挿入されるように構成されており、反対側の上端は固定整列器具106又は調節可能な整列器具150を受けて結合されるように構成されている。1つの実施形態において、患者の硬口蓋に結合される他の第6の締め具に対する各々の第6の締め具136のそれぞれの配置及び間隔は、固定整列器具106を介して形成される開口部の間隔によって決定される。
【0057】
1つの実施形態において、第6の締め具136の上端部は、最初に、固定整列器具106に形成された開口部の底部に形成された凹部との干渉適合を介して固定整列器具106に結合され、結合後、各々の第6の締め具は開口部から伸び、開口部に整列する。使用の1つの実施形態において、固定整列器具106及び第6の締め具136は、同数の第6の締め具136が口蓋縫合の両側に配置されるように、口蓋に位置合わされ、口蓋に対して配置される。使用の1つの実施形態において、続いて各締め具を硬口蓋に結合する。
【0058】
1つの実施形態において、各々の第6の締め具136の下端は、固定整列器具106の開口部を通って各締め具の上端と回転可能な相互作用を介して硬口蓋に挿入されるねじ付きを含む。使用の1つの実施形態において、各々の第6の締め具136を所望の深さに挿入した後、第6の締め具の上端部を固定整列器具の開口部の凹部から除去することにより、固定整列器具106を第6の締め具136から切り離す。使用の1つの実施形態において、調節可能な整列器具150が第6の締め具136に結合される。1つの実施形態において、各々の第2の本体151 a~bに取り付け機構が設けられており、固定整列器具106の開口部と同じ縦方向間隔で縦方向に間隔を空けて配置されている。
【0059】
1つの実施形態において、第6の締め具136を結合する前に、第2の本体151 a-bは、調節機構152を用いて間隔をあけて配置され、第2の本体151 a-bに、固定整列器具106の開口部と同じ横方向間隔を有する取り付け機構を提供する。1つの実施形態において、調節可能な整列器具150の各々の取付機構は、調節可能な整列器具150が第6の締め具136の上に配置されるとき、取付機構が調節可能な整列器具150を保持するように構成される。実施形態において、第6締め具135を調節可能な整列器具150に結合及び分離できるように構成された開口部、スナップ填め機構、締まり填め機構、接着剤、又はそれらの組み合わせからなる。1つの実施形態において、開口部及び第7の締め具135を含む取付機構の各々の第2の本体151 a~bに設けられ、第7の締め具は締め具、及び第6の締め具136の上端部が、第7の締め具135の下端部を受け入れるための開口部を含む。
【0060】
1つの実施形態において、第6締め具136の上端部及び第7締め具135の下端部がねじ入れられている。使用の1つの実施形態において、調節可能な整列器具150が第6の締め具136の上に配置された後、第7の締め具135が調節可能な整列器具の開口部に挿入され、第6の締め具136に結合される。その後、調節可能な整列器具151を使用して、上記の第1の本体a-b 100を使用する必要なく、調節可能に設置された第6の締め具136に治療用の拡張力を発生させることができる。さらに、第6の締め具135を必要な深さまで口蓋に取り付けることができる場合、1つの実施形態において、第6の締め具135の上端部が口蓋の下の特定の距離に突出できるように取り付けてもよく、その場合、調節可能な整列器具150と口蓋の組織との間の必要な取り付け空間/間隙を得るために、上記のような一つ以上のスペーサー50は必要ない場合がある。しかし、
図12 a~bに示される4つの第6の締め具136及び第7の締め具135、その他の数の締め具及び取り付け機構は、例えば、6つまたはそれ以上の第6及び第7の締め具を実装し及び使用することができると理解されており、それぞれの6個以上の取り付け機構は、必要に応じて、締め具が受ける力を分散させるために使用することができる。
図13を参照すると、第1の本体100 a-bの使用を必要としない骨格固定拡大装置の別の具体例が示される。
【0061】
別の実施形態では、上述した一対の第1の本体100 a-bを使用する必要はなく、第2の本体151 a-bのそれぞれは、第2の本体151 a-bの底面に面する硬口蓋と上面との間に延びるように構成された複数のねじ付きの第4の開口部198を含む。ここでは4つのねじ付き開口部198について議論するが、本発明では、第2の本体151 a~bの各々の中に他の数の第4の開口部を実装して、力をよりよく分散させ、ねじ付きと骨の応力を減少させることができる。使用の1つの実施形態において、第2の締め具111の下端を第4の開口部198に挿入することによって、第2の本体151 a~bの対を先ず上部口蓋に結合し、挿入後、第2の締め具111の下端をねじ付き式に硬口蓋に挿入する。下側の端部を硬口蓋に挿入する際に、第2の締め具111の上端部は、一対の第2の本体151 a~bのそれぞれのねじ付き第4の開口部198にねじ込まれる。1つの実施形態において、第2の締め具111が口蓋に完全にねじ込まれる前に、スペーサー50を使用して、一対の第2の本体151 a-bと口蓋との間に距離を作ることができる。1つの実施形態において、上述のように一対の第1の本体を使用せずに使用する場合、一対の第2の本体151 a~bは、上述のように骨格固定拡大装置の付加的な安定性ポイントを提供するように構成された器具、腕、ロッド、硬いワイヤー又は他の構造に結合されるか、又はこれらを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0062】
従来技術の装置と本発明の様々な実施形態との比較を以下の点について実施した。
・ 従来技術の装置:臼歯バンドを介して歯に、4つの締め具を介して口蓋に連結された拡大装置の組立品であり、それぞれ口蓋にねじ付きで挿入されるように構成された単一のねじ付きの組で構成されている(バックグラウンドにて参照されるMoonの装置)
・ 実施例1:調節可能な整列器具150を一対の第1の本体100 a~bと6つの締め具111を介して口蓋に連結して用いる拡大装置の組立品であり、各締め具は2つの組のねじ付きを含み、1組のねじ付きが一対の第1の本体にねじ込み式に連結され、第2のねじ付きの組が口蓋にねじ込み式に連結される(
図2 b参照)。
・ 実施例2:2つの本体120 a-b(
図6 b参照)の一組と一対の第1の本体100 a-b及び6つの締め具111を介して口蓋に連結された調節可能な整列器具150を用いた拡大装置の組立品であり、各締め具は二組のねじ付き(
図2 b参照)を含み、一対のねじ付きが一対の第1の本体にねじ込み式に結合され、第2のねじ付きの組が口蓋にねじ込み式に結合されている(
図2 b参照)。
【0063】
以下の最大骨応力が認められた。
・ 先行技術の機器:98 MPa
・ 実施例1:84 MPa(従来技術と比較して締め具及び骨への応力が低減されている)。
・ 実施例2:50 MPa(従来技術と比較して締め具及び骨への応力が低減されている)。
以下のピーク口蓋伸長が認められた。
・ 先行技術の機器:0.479
・ 実施例1:0.426(従来技術と比較して口蓋縫合により均一な歪みを提供した)。
・ 実施例2:0.397(従来技術及び実施例1と比較して口蓋縫合により均一な歪みを提供した)。
【0064】
図14には、第3の固定締め具が示されている。1つの実施形態において、第3の固定整列器具1901は、口蓋縫合の両側の口蓋に一対の第1の本体100 a-bを正確に位置決めして固定するように構成された外科用ガイドを含む。
【0065】
1つの実施形態において、患者の口腔内形状のギプスを作製し、そのギプスから型を作製し、その型から、患者の口蓋、顎及び/又は口蓋対向面に形成された歯列の機能に適合する第3の固定整列器具1901の形態の装置を作製する。別の実施形態では、デジタルスキャン(例えば、口蓋及び/又は上顎のCBCTスキャン)はコンピュータ制御画像装置を介して実施し、患者の口蓋、顎及び/又は歯列の画像を取得してメモリに保存する(例えば、STLファイルとして)。その後、保存された像は、3 Dプリンティング又は機械装置によって、患者の口蓋、顎及び/又は口蓋側に形成された歯列に適合する機能を有する第3の固定整列器具1901を形成することができる。1つの実施形態において、固定整列器具は当業者に公知のように経口使用に適した生体適合性素材を含む。
【0066】
1つの実施形態において、第3の固定整列器具1901は、第3の固定整列器具1901に形成された開口部1936を含み、第2の締め具111の硬口蓋への挿入をガイドする。1つの実施形態において、開口部1936は、第1の本体100 a-bを受け入れるように構成された第3の固定整列器具に形成された周辺の切込1937に沿って形成される。使用の1つの実施形態において、患者の軟口蓋に装着した後、第3の固定整列器具1901を使用して、第1の本体100 a-bと締め具111を口蓋縫合の両側の位置に案内し、締め具111を回転させて、頂部のねじ付きが一対の第1本体の中に固定され、一対の第1の本体に対して固定されるようにする。
【0067】
1つの実施形態において、患者の歯列に対する第3の固定整列器具111の歯列部分の挿入は、締め具111の挿入時に上顎に対する第1の本体100 a-bの動きが最小化されるように使用することができる。使用の1つの実施形態において、第3の固定整列器具1901は、第1の本体100 a-bと口蓋との間の空間/間隙を定義するものである。所望の空間/空隙を実現するために、第3の固定整列器具1901は、特定の所望の空間/空隙に応じて、例えば、約.1mmおよび3mmの空間/空隙で、開口部1936の周りの領域の厚さで製造することができる。第3の固定整列器具1901は、比較的硬いが壊れやすい素材、例えば、生体適合性のあるアクリル、樹脂、又はポリカーボネートから作ることができる。1つの実施形態において、第3の固定整列器具1901は、一つ以上の薄い領域1938を備えており、それによって、薄い領域に沿った整列器具のその後の破損を介して固定整列器具を除去することができ、整列器具の壊れた部分を締め具の周囲及び一対の第1の本体100 a~bの下から除去することができ、その結果、締め具111を取り外したり緩めたりすることなく整列器具を除去することができる。
【0068】
図15 a~cには、別の第3の固定締め具が示されている。1つの実施形態において、第3の固定整列器具2001は、第3の整列器具1901に関して上述した技術を用いて製造される。1つの実施形態において、第3の固定整列器具2001は、一対の第1の本体2100 a-bを受けるように構成された整列機能2117と、締め具2116及び締め具2111を含む複数の締め具を受けるように構成された複数の開口部2119とを備える。1つの実施形態において、複数の開口部2119は、第1の固定整列器具2106及び第1の本体2100 a~bのそれぞれの開口部2115の間隔と一致する間隔で構成される開口部を含む。使用の1つの実施形態において、第1の本体2100 a-bが第3の固定整列器具の一方の側面上の機能2117に対して及び/又は機能2001内に配置され、第1の固定整列器具2106が第3の固定整列器具2001の反対側に対して配置され、締め具2116が開口部2115内、開口部2119を通って第1の本体の開口部内に挿入され、第3の固定整列器具が一対の第1の本体と第1の固定整列器具の間に挟まれて組み合わせを形成するように、第1の本体と第1の固定整列器具を一緒に結合する。使用の1つの実施形態において、続いて、組立部品を口蓋に対して配置し、組立部品を口蓋に固定するために複数の締め具2111を使用する。使用の1つの実施形態において、第3の固定整列器具2001は、第1の本体2100 a-bを機能2117に受け入れるように構成された領域における厚さT 1を含み、この厚さT 1は、一対の第1の本体2100 a-bの厚さT 2よりも厚く、口蓋に取り付けられた組立品における第1の本体2100 a-bの口蓋側が、第3の固定整列器具2001の厚さと一対の第1の本体の厚さとの間の差によって決定される距離、例えば、約.1 mm及び3 mmの距離で、口蓋から離れているようになっている。
【0069】
1つの実施形態において、第3の固定整列器具2001及び第1の固定整列器具2106は、複数の締め具2111を完全に通すことができる寸法で構成された開口部2139を含み、その後、第2の固定整列器具2106及び第3の固定整列器具2001は締め具2116の除去によって除去することができ、一方、一対の第1の本体2100 a-bは、一対の第1の本体が口蓋から一定の距離だけ離れている構成において締め具2111によって硬口蓋に固定されたままとすることができ、調節可能な整列器具150をそれに結合することができる。1つの実施形態において、第3の固定整列器具2001は、患者の歯列に固定され、患者の口腔内の特定の位置に対して本体を位置決めするように第1の本体2100 a-bと固定整列器具2106との間に挟まれるように構成される。第1の本体2100 aに形成された厚さ及びカウンターボアは、締め具2111をさらに整列させるように作用して、第1の本体2100 a-bを口蓋の上方に、締め具2111を硬口蓋に正確に取り付けることができる。
【0070】
図16 a~dには、別の骨格固定装置の具体例が示される。いくつかの実施形態では、「V」 字型の、狭い、又はくびれた口蓋により、患者の口の中に上述した特定の実施形態を確保することが困難な場合があり、これら及び他の形状の口蓋では、平坦な表面積が限られているため、ねじ付き式の第2の締め具111の口蓋に対する垂直方向の固定が困難な場合がある。1つの実施形態において、骨格固定装置は一対の第1の本体100 c-d(
図16 b-c参照)を含む。1つの実施形態(
図16 a参照)において、一対の第1の本体100 c-dは、第1の開口部101を規定する長手方向のチャネルに対して角度(並行するのではなく)をなしている長手方向のチャネルを規定する第1の開口部101をそれぞれ含む。これにより、一対の第1の本体100 c-dは、他の先行技術における実施形態と同様の方法で一対の第2の本体151 a-bに固定することができるが、一対の第1の本体100 c-dの一方の第2の開口部102内に挿入されたねじ入れ可能な第2の締め具111の軸は、一対の第1の本体100 c-dの他方に挿入された第2締め具の縦軸に対して一定の角度をなす。
【0071】
1つの実施形態において、第2の開口部102のための追加の構造的支持を提供するために、拡張部173を第1の本体100 c-dに設けることができる。1つの実施形態において、拡張部173を有する一対の第1の本体100 c-dは、単一の部品を含む。他の実施形態では、第1の本体100 c-dと拡張部は、様々な取り付け手段を介して一緒に結合することができる。スクリューをある角度で挿入すると、垂直スクリューよりも骨の表面接触が多くなる可能性があることにも注意すべきである。さらに、斜めのねじ付きを垂直のねじ付きとは異なる方法で中口蓋縫合に挿入するように設計することができるが、これは望ましい場合がある)
図16 a-cの実施形態では、第1の本体は、第1の本体の底面に平行でない上面の拡張部173に沿って第2の本体と填合するように構成されているが、他の実施形態では、拡張部は、第1の本体の上面と底面が実質的に平坦かつ/又は互いに平行であるようにすることができない(
図16 d参照)。
【0072】
1つの実施形態において、特定の患者の口蓋の形状及び解剖学的形態によって決定されるように、本体100c~dの各々における第1の開口部101の縦軸に関する第2の開口部102の縦軸の角度は、約0及び約90(90度)の間を含むことができる。他の実施形態では、第1の開口部101の長軸に対する第2の開口部102の長軸の角度は、約1度(1)から約60度(60)の間である。1つの実施形態において、一対の第2の本体100 c-dにおける第2の開口部の縦軸の角度に関する第2の開口部102の縦軸の角度は、一対の第1の本体100 c-dにおける第2の角度と同じであってもよい。1つの実施形態において、一対の第2の本体100 c-dにおける第2の開口部102の長手軸に関する角度は、一対の第1の本体100 c-dにおける第2の開口部の長手軸に対する角度と異なっていてもよい。
【0073】
上述した実施形態は、これまで上顎欠損を治療するために横方向力を適用するのに使用される装置及び方法を対象としてきたが、本発明は、上顎欠損を治療するために前方突出力を適用するのに1つ以上の実施形態を使用できることを明らかにする。
【0074】
上記の実施形態では、一対の第2の本体151 a-b又は第3の本体170 a-bは、一対の第1の本体100 a-bに結合することができ、1つの実施形態において、一対の第3の本体170 a-bの開口部197は、上顎の口蓋縫合間の側方距離を維持するために使用されるスプリングワイヤー196(
図10 b参照)に結合するように構成される。以下の実施形態に示すように、第2及び第3の本体は、例えば、上顎への前進及び成長を可能にするために用いることができる歯科矯正顔面弓のような、外部に装着した装置に口腔内で結合できる開口部を含むように構成することもできる。1つの実施形態において、装置は、患者の上顎にて口腔内に装着された本体に1またはそれ以上の口腔外牽引力を、下方向の前方への運動及び上顎の成長を引き起こさない方法で、又は等価的に前方への成長のみを引き起こさない方法で、又は前方への運動及び上方への運動及び成長の組合せを引き起こさない方法で伝達する。
【0075】
図17 a~cには、一対の第3の本体と、一対の本体に結合した外部装着装置を含む歯科矯正装置が示される。1つの実施形態(
図17 a)では、一対の第3の本体2170 a-bは、介在する一対の第1の本体2100 a-b(それらは
図17 a内の第3の本体2170 a-bの下にあるので示されていない)を介して口蓋に連結されている。1つの実施形態において、一対の第3の本体2170 a-bは、器具2002(2002 a~dで示される)の各自由端と填合するように構成されている。1つの実施形態において、一対の第3の本体の雌孔2197に装置の自由雄端を挿入することにより結合する。実施形態において、一対の第3の本体2170 a-bと器具2002の自由端の間に形成された締め具、締まり填め、スナップ填め、滑り填め、及び/又はその他の解放可能な結合を介して接合を維持することができる。いくつかの実施形態では、開口部2197により、器具2002を一対の第1の本体2100 a-bに迅速かつ簡単に結合したり、第1の本体2100 a-bから取り外したりすることができる。一部の実施形態では、器具2002は、1つ以上のステンレス鋼、セラミック、コバルトクロム又は他の十分に強力な素材から製造される。
【0076】
別の実施形態では、一対の第2の本体2151 a~bが介在する第1の本体2100 a~bを介して硬口蓋に結合されている。1つの実施形態において、一対の第2の本体2151 a~bは、器具2002の各自由端と填合するように構成される。実施形態において、一対の第2の本体2150 a-bと器具2002の自由端との間に形成された締め具、締まり填め、スナップ填め、滑り填め、又は取り外し可能な結合によって填合を維持することができる。1つの実施形態において、第2の本体に形成された雌開口部2197に器具2002の雄端の挿入を介して結合が達成される。
【0077】
図18に、外側に装着された装置に連結された一対の第1の本体が示されている。1つの実施形態において、器具2002を第2の本体2151 a-b又は第3の本体2170 a-bに結合するのではなく、装置は、第1の本体に、又はその中に設けられた締め具2198を介して、一対の第1の本体2100 a-bに結合される。1つの実施形態において、第1の本体2100 a~bは、上述した開口部2197と同様の開口部を含む。
【0078】
図17 aを再度参照すると、1つの実施形態において、器具2002は、2つの第1の部品2002 aを含み、これらは各々の自由端から患者の最も後部の歯の後ろまで横方向に延びており(例えば、臼歯)、後方の歯を越えて延びた後、2つの第1の部品2002 aは屈曲部品2002 bによって第3の部品2002 cと結合するように構成され、第3の部品2002 cは患者の歯の外側面にほぼ沿って反対側の屈曲部分から患者の口の外まで延びており、患者の口の外では、第2の部品2002は一体又は非一体の第4の部品2002 dの形で、あるいは直接接合するように構成されている。別の実施形態では、遠位歯の後ろ側に横方向に延びる代わりに、第1の部品2002 aは、歯の間に存在する空間の間に適合することを可能にする形状に構成することができる。他の実施形態では、器具2002 aの1またはそれ以上の部品の形状は、患者の特定の形状に適合するように仕様が変更される。
【0079】
図19 a~bに、外から装着した歯科矯正装置の他の具体例が示される。1つの実施形態において、器具2002は第5の部分2002 eを含む。1つの実施形態において、第5の部分は第4の部分2002 dに結合しており、第4の部分に対し概ね直交する上向き方向に第4の部分dから中央に伸びている。1つの実施形態では、第5の部分2002 eは、第4の部分2002 dと強固な接続部、例えば、ろう付け、溶接、又は当業者に周知の他の固定結合機構を介して結合されている。1つの実施形態では、第5の部分2002 eは、第4の部分2002 dから上方に伸び、第4の部分2002 dの上で互いに再結合する2つの分岐を備えて構成されており、再結合された2つの分岐が終端まで伸びるように開口部が規定されている。1つの実施形態において、第5の部分2002 eは、フック、リング(
図19 a参照)、押込み(
図19 b参照)、又は外部から装着される伸縮フレームや装置からの弾性体や他の外力アプリケーターを結合することができる他の取り付け機構の形をした少なくとも一つの加力点2002 nを含む。1つの実施形態において、第5の部分2002 eは、使用中に患者の鼻にほとんど又は全く干渉しないように上方に延びるように構成されている。
【0080】
図20 a~bには、外部に装着された装置に加えられた外力の具体例が示される。本発明者が明らかにしたように、外部の牽引力が装置に連結され、装置が上顎に取り付けられた一対の骨締め具に連結されている場合、装置への前方又は前方及び上方の力の適用は、実質的に前方成長のみ、又は前方及び上方成長のみを達成するために使用することができ、そのような力は、好ましくは、上顎アンカーの付着点に関する回転モーメントを発生させないか、又は最小限に発生させない。本発明は、硬口蓋の位置で上顎に連結された一対の本体に前方、前方、及び上方への牽引力が加えられたとき、上顎に連結された一対の第1の本体2100 a-bでの回転モーメントが除去されるか又は実質的に最小化されるときにも、上顎の前方、又は実質的に前方への動き及び成長が達成され得ることを明らかにする。本発明は、口腔外の力が装置上の力適用点(例えば、A点、B点、及び/又はC点を参照)と上顎に連結された一対の本体(例えば、
図20 aの第1の本体2100 a-bを参照)を通る方向に装置に適用されたときに、一対の本体に伝達された回転モーメント、ひいては上顎に伝達された回転モーメントを実質的に最小化又は除去できることを確認している(例えば硬口蓋)。
【0081】
1つの実施形態において、頭蓋が前を向いている立位患者に関して、水平に対して60度の角度で水平に通る軸に沿って装置の適用点 「C」 を通り、また一対の第1の本体上の点 「D」 を通り、装置に1588 gmの力を加えると、患者の上顎複合体の前方のみの成長及び運動が達成される。特定の患者の骨格の幾何学的形状及び/又は患者の上顎の望ましい運動又は成長の特定の量に応じて、装置に適用される力の方向が上記の実施形態に従って一対の本体に整列している限り、装置上の他の力、角度及び他の位置も本発明の範囲内である。例えば、
図20 bに示すように、第5の部分2002 eの他の場所2002 nでは、一対の第1の本体と装置上の加力点を概ね中心とする方向に力が加えられる限り、前突を加えることができる。
【0082】
図21 a~bは、外から装着した歯科矯正装置とその使用の別の具体例を示す。1つの実施形態において、歯科矯正具2002の各々の第3の部分2002 cは、患者の歯の外側面にほぼ沿って反対側に伸び、口腔内部分2002 pと、口腔内/口腔外部分2002 qと、口腔内部分2002 pに、例えば、口腔内部分及び口腔内/口腔外部分の端部に形成されたフック、リング、スナップ填め、滑り填め、締まり填め、及び/又は他の同様のインターロッキングによって形成された、取り外し可能な関節2002fによって連結された口腔内部分2002pと口腔内部分/口腔外部分2002 qとから形成される。1つの実施形態において、器具2002の口腔内使用時に、必要に応じて又は要望に応じて(例えば、外部のヘッドギアや装置を公共の場で着用することを望まない期間)、口腔内/口腔外の部分を、取り外し可能な関節2002 fを介して口腔内の部分から切り離すことができる。
図21 a~bは、各側面の一つの関節2002 fで接合される装置を示すが、他の実施形態では、装置は、示されているよりも多くの関節、およびより多くの取り外し可能な部分を含むことができることが理解される。
【0083】
このように、一対の第1の本体2100 a-b、第2の本体2151 a-b又は第3の本体2170 a-bを歯科矯正器具2002と組み合わせて使用すると、上顎の側方への拡大と成長に加えて、患者の上顎の前方又は上方への動きと成長の組み合わせも達成できることが明らかになった。第3の本体2170 a-bが使用される実施形態では、両側の動き及び成長に加えて、上顎の片側の動き及び成長も達成されうることがさらに確認される。また、一対の第1の本体2100 a-b、第2の本体2151 a-b及び第3の本体2170 a-bの使用は、他の装置により必要とされるような侵襲的な外科的処置を行う必要性を排除することが確認される。さらに、本発明は、患者の正面の顔面の解剖学的構造の上と横のみに広がり、横での睡眠を最小限に妨げるだけの形状で構成できるため、睡眠中の患者が外部から装着する装置の使用に適していることが確認される。理解を容易にするために、前述の実施例をある程度詳細に説明したが、ここで説明する実施例は例示的なものであり、これらに限定されるものではない。添付の請求項の範囲内で特定の変更及び修正を実施することができることは、当業者には明らかであろう。
【0084】
例えば、開示の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態の1つ以上の機能を任意の他の実施形態の1つ以上の機能と組み合わせることができる。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態に対して修正、追加、又は省略を行うことができる。さらに、開示されたもの以外の他の寸法及び他の素材であっても、それらがヒトでの使用に対して互換性があり、十分に頑健であれば使用することができる。また、本発明の実施例は、必ずしも歯科用又は臼歯用バンドとの連結を必要とせずに使用できるように記載されているが、そのような使用を排除するものではなく、本発明は、必要であれば、そのような装置との使用に適合させることができる。さらに、本発明の実施例は、歯科矯正状態を治療するための歯科矯正装置としての使用に関して説明されているが、例えば、上顎形成不全に起因する非肥満性閉塞性睡眠時無呼吸症を治療するために使用できる医療装置としての使用、又は、頭蓋顎顔面外科医が実施できる他の外科的処置と共に使用できる医療装置としての使用は、歯科保険だけでなく医療保険でカバーすることができるものとしての使用の方がはるかに大きい。