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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】無線給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20230927BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230927BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20230927BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J7/00 301D
H02J50/80
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019149449
(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公開番号】P2021035077
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503420833
【氏名又は名称】学校法人常翔学園
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅史
(72)【発明者】
【氏名】津野 眞仁
(72)【発明者】
【氏名】大森 英樹
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-065484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0169131(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0054090(US,A1)
【文献】KURODA, Kodai et al.,A wireless V2H apparatus with a new SiC-MOSFET and unipue bidirectional controlled single-ended conv,2017 IEEE 3rd International Future Energy Electronics Conference and ECCE Asia,IEEE,2017年,pp.298-303,
【文献】Omori, Hideki、Nakaoka, Mutsuo、Iga, Yuichi,“A new resonant IPT-wireless EV charging system with single-ended quasi-resonant inverter for home use”,2013 IEEE 14th Workshop on Control and Modeling for Power Electronics (COMPEL),2013年,p.1-7,DOI: 10.1109/COMPEL.2013.6626448
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1伝送コイルと、前記第1伝送コイルに直列接続された第1トランジスタおよび前記第1トランジスタに逆並列接続された第1ダイオードを含む第1スイッチング素子と、前記第1伝送コイルおよび前記第1スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第1共振コンデンサと、を備える第1給電装置と、
第2伝送コイルと、前記第2伝送コイルに直列接続された第2トランジスタおよび前記第2トランジスタに逆並列接続された第2ダイオードを含む第2スイッチング素子と、前記第2伝送コイルおよび前記第2スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第2共振コンデンサと、を備える第2給電装置と、
前記第1スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第1スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第1給電装置における共振電圧に同期して前記第1スイッチング素子のターンオンを制御する第1スイッチング制御回路と、
前記第2スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第2スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第2給電装置における共振電圧に同期して前記第2スイッチング素子のターンオンを制御する第2スイッチング制御回路と、
前記第1給電装置から前記第2給電装置への順方向電力伝送時に、前記第1給電装置に入力される第1入力電圧と前記第2給電装置から出力される第1出力電圧との第1電圧差を制御し、前記第2給電装置から前記第1給電装置への逆方向電力伝送時に、前記第2給電装置へ入力される第2入力電圧と前記第1給電装置から出力される第2出力電圧との第2電圧差を制御する電圧制御回路と、
前記第1入力電圧を出力し、前記第2出力電圧が入力される第1直流電圧変換部と、
前記第1出力電圧が入力され、前記第2入力電圧を出力する第2直流電圧変換部と、
を備え、
前記電圧制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第1直流電圧変換部を制御して前記第1入力電圧を変化させることにより前記第1電圧差を制御し、前記逆方向電力伝送時に、前記第2直流電圧変換部を制御して前記第2入力電圧を変化させることにより前記第2電圧差を制御し、
前記第2スイッチング制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第2トランジスタをオフして前記第2ダイオードによる整流を行わせ、
前記第1スイッチング制御回路は、前記逆方向電力伝送時に、前記第1トランジスタをオフして前記第1ダイオードによる整流を行わせることを特徴とする無線給電装置。
【請求項2】
前記順方向電力伝送時に、
前記第1給電装置および前記第2給電装置がフォワード型コンバータとして動作し、かつ前記第2給電装置が半波整流動作をすることを特徴とする請求項に記載の無線給電装置。
【請求項3】
第1伝送コイルと、前記第1伝送コイルに直列接続された第1トランジスタおよび前記第1トランジスタに逆並列接続された第1ダイオードを含む第1スイッチング素子と、前記第1伝送コイルおよび前記第1スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第1共振コンデンサと、を備える第1給電装置と、
第2伝送コイルと、前記第2伝送コイルに直列接続された第2トランジスタおよび前記第2トランジスタに逆並列接続された第2ダイオードを含む第2スイッチング素子と、前記第2伝送コイルおよび前記第2スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第2共振コンデンサと、を備える第2給電装置と、
前記第1スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第1スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第1給電装置における共振電圧に同期して前記第1スイッチング素子のターンオンを制御する第1スイッチング制御回路と、
前記第2スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第2スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第2給電装置における共振電圧に同期して前記第2スイッチング素子のターンオンを制御する第2スイッチング制御回路と、
前記第1給電装置から前記第2給電装置への順方向電力伝送時に、前記第1給電装置に入力される第1入力電圧と前記第2給電装置から出力される第1出力電圧との第1電圧差を制御し、前記第2給電装置から前記第1給電装置への逆方向電力伝送時に、前記第2給電装置へ入力される第2入力電圧と前記第1給電装置から出力される第2出力電圧との第2電圧差を制御する電圧制御回路と、
前記順方向電力伝送時に前記第1入力電圧を出力し、前記逆方向電力伝送時に前記第2出力電圧が入力される第1直流電圧変換部と、
を備え、
前記電圧制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第1直流電圧変換部を制御して前記第1入力電圧を変化させることにより前記第1電圧差を制御し、前記逆方向電力伝送時に、前記第1直流電圧変換部を制御して前記第2出力電圧を変化させることにより前記第2電圧差を制御し、
前記第2スイッチング制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第2トランジスタをオフして前記第2ダイオードによる整流を行わせ、
前記第1スイッチング制御回路は、前記逆方向電力伝送時に、前記第1トランジスタをオフして前記第1ダイオードによる整流を行わせることを特徴とする無線給電装置。
【請求項4】
前記電圧制御回路は、前記第1電圧差を制御する第1制御回路および前記第2電圧差を制御する第2制御回路を備え、
前記第2制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第2給電装置の出力電力値、前記第2給電装置の出力電圧値および前記出力電力値、または前記第2給電装置の出力電流値および前記出力電圧値を前記第1制御回路に通知し、
前記第1制御回路は、前記逆方向電力伝送時に、前記第1給電装置の出力電力値、前記第1給電装置の出力電圧値および前記出力電力値、または前記第1給電装置の出力電流値および前記出力電圧値を前記第2制御回路に通知することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の無線給電装置。
【請求項5】
前記電圧制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第1スイッチング素子のオン時間を許容周期範囲内において制御する、および/または、前記逆方向電力伝送時に、前記第2スイッチング素子のオン時間を許容周期範囲内において制御することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の無線給電装置。
【請求項6】
前記第1伝送コイルと前記第2伝送コイルとの距離が規定距離よりも短い場合、前記電圧制御回路は、前記第1給電装置と前記第2給電装置との間の電力伝送を制限することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の無線給電装置。
【請求項7】
前記第1給電装置の共振回路の定数と前記第2給電装置の共振回路の定数とは、互いに異なることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の無線給電装置。
【請求項8】
前記第1給電装置は、第1切替用コンデンサと、オンしたときに前記第1切替用コンデンサを前記第1共振コンデンサに並列接続または直列接続し、オフしたときに前記第1切替用コンデンサを前記第1共振コンデンサから電気的に切り離す第1切替用スイッチと、を備え、
前記第2給電装置は、第2切替用コンデンサと、オンしたときに前記第2切替用コンデンサを前記第2共振コンデンサに並列接続または直列接続し、オフしたときに前記第2切替用コンデンサを前記第2共振コンデンサから電気的に切り離す第2切替用スイッチと、を備えることを特徴とする請求項に記載の無線給電装置。
【請求項9】
第1伝送コイルと、前記第1伝送コイルに直列接続された第1スイッチング素子と、前記第1伝送コイルおよび前記第1スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第1共振コンデンサと、を備える第1給電装置と、
第2伝送コイルと、前記第2伝送コイルに直列接続されたダイオードと、前記第2伝送コイルに並列接続された第2共振コンデンサと、を備える第2給電装置と、
前記第1スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第1スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第1給電装置における共振電圧に同期して前記第1スイッチング素子のターンオンを制御する第1スイッチング制御回路と、
前記第1給電装置から前記第2給電装置への電力伝送時に、前記第1給電装置に入力される入力電圧と前記第2給電装置から出力される出力電圧との電圧差を制御する電圧制御回路と、
前記入力電圧を出力する直流電圧変換部と、
を備え、
前記電圧制御回路は、前記電力伝送時に、前記直流電圧変換部を制御して前記入力電圧を変化させることにより前記電圧差を制御することを特徴とする無線給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線給電装置は、電気自動車やプラグインハイブリッド車等の電動車の電力と住宅や配電系統の電力とを双方向に伝送するシステム(例えば、V2H(Vehicle to Home)システム、またはV2G(Vehicle to Grid)システム)において用いられる。無線給電装置は、コイルによる磁界の結合を利用して電力伝送を行うため、電動車とのケーブル接続が不要になる。
【0003】
特許文献1には、コイルおよびコンデンサが直列に接続されたインバータ回路(フルブリッジ回路またはハーフブリッジ回路)と、インバータ回路に接続されたコンバータとを備える無線給電装置が開示されている。この無線給電装置は、送電側のコンバータの入力電力が一定となり、受電側のコンバータの出力電力が最大となる制御を行う。
【0004】
特許文献1に記載の無線給電装置では、送電側および受電側のインバータ回路が複数のパワー半導体からなるブリッジ回路で構成されているため、インバータ回路の高コスト化および大型化を招く。さらに、特許文献1に記載の無線給電装置は、給電開始時および給電中に、送電側および受電側の双方で複雑な制御が必要となる。
【0005】
一方、非特許文献1には、送電側および受電側の給電装置が1石式コンバータで構成されている無線給電装置が開示されている。この無線給電装置は、特許文献1に記載の無線給電装置に比べ、大幅な低コスト化および小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6038386号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】大森英樹、外7名“A Wireless V2H Apparatus with a New SiC-MOSFET and Unique Bidirectional Controlled Single-Ended Converter”、[online]、2017年7月27日、IEEE、[平成30年10月24日検索]、インターネット<URL: https://umexpert.um.edu.my/file/publication/00005361_159948_71519.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1に記載の無線給電装置は、回路定数のバラツキ(例えば、伝送コイルや共振コンデンサの定数のバラツキ)により伝送電力が変動するため、量産性や互換性が問題になる。したがって、非特許文献1に記載の無線給電装置は、実用化のためには、少なくとも伝送特性の安定性を向上させる必要がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、装置の低コスト化および小型化を実現しつつ、伝送特性の安定性を向上させることが可能な無線給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る無線給電装置は、
第1伝送コイルと、前記第1伝送コイルに直列接続された第1トランジスタおよび前記第1トランジスタに逆並列接続された第1ダイオードを含む第1スイッチング素子と、前記第1伝送コイルおよび前記第1スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第1共振コンデンサと、を備える第1給電装置と、
第2伝送コイルと、前記第2伝送コイルに直列接続された第2トランジスタおよび前記第2トランジスタに逆並列接続された第2ダイオードを含む第2スイッチング素子と、前記第2伝送コイルおよび前記第2スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第2共振コンデンサと、を備える第2給電装置と、
前記第1スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第1スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第1給電装置における共振電圧に同期して前記第1スイッチング素子のターンオンを制御する第1スイッチング制御回路と、
前記第2スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第2スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第2給電装置における共振電圧に同期して前記第2スイッチング素子のターンオンを制御する第2スイッチング制御回路と、
前記第1給電装置から前記第2給電装置への順方向電力伝送時に、前記第1給電装置に入力される第1入力電圧と前記第2給電装置から出力される第1出力電圧との第1電圧差を制御し、前記第2給電装置から前記第1給電装置への逆方向電力伝送時に、前記第2給電装置へ入力される第2入力電圧と前記第1給電装置から出力される第2出力電圧との第2電圧差を制御する電圧制御回路と、
を備え、
前記第2スイッチング制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第2トランジスタをオフして前記第2ダイオードによる整流を行わせ、
前記第1スイッチング制御回路は、前記逆方向電力伝送時に、前記第1トランジスタをオフして前記第1ダイオードによる整流を行わせることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第1給電装置が第1スイッチング素子で動作する1石式コンバータで構成され、第2給電装置が第2スイッチング素子で動作する1石式コンバータで構成されるため、装置の低コスト化および小型化を実現することができる。
【0012】
さらに、この構成では、第1および第2スイッチング制御回路が受電側のトランジスタをオフしてダイオードによる整流を行わせ、かつ電圧制御回路が入力電圧と出力電圧との電圧差を制御することで、回路定数のバラツキによる伝送電力の変動を補償することができる。すなわち、この構成によれば、比較的簡易な制御で伝送特性の安定性を向上させることができる。
【0013】
上記無線給電装置は、
前記第1入力電圧を出力し、前記第2出力電圧が入力される第1直流電圧変換部と、
前記第1出力電圧が入力され、前記第2入力電圧を出力する第2直流電圧変換部と、
を備え、
前記電圧制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第1直流電圧変換部を制御して前記第1入力電圧を変化させることにより前記第1電圧差を制御し、前記逆方向電力伝送時に、前記第2直流電圧変換部を制御して前記第2入力電圧を変化させることにより前記第2電圧差を制御するよう構成できる。
【0014】
上記無線給電装置は、
前記順方向電力伝送時に、
前記第1給電装置および前記第2給電装置がフォワード型コンバータとして動作し、かつ前記第2給電装置が半波整流動作をするよう構成できる。
【0015】
上記無線給電装置は、
前記順方向電力伝送時に前記第1入力電圧を出力し、前記逆方向電力伝送時に前記第2出力電圧が入力される第1直流電圧変換部を備え、
前記電圧制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第1直流電圧変換部を制御して前記第1入力電圧を変化させることにより前記第1電圧差を制御し、前記逆方向電力伝送時に、前記第1直流電圧変換部を制御して前記第2出力電圧を変化させることにより前記第2電圧差を制御するよう構成できる。
【0016】
上記無線給電装置において、
前記電圧制御回路は、前記第1電圧差を制御する第1制御回路および前記第2電圧差を制御する第2制御回路を備え、
前記第2制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第2給電装置の出力電力値、前記第2給電装置の出力電圧値および前記出力電力値、または前記第2給電装置の出力電流値および前記出力電圧値を前記第1制御回路に通知し、
前記第1制御回路は、前記逆方向電力伝送時に、前記第1給電装置の出力電力値、前記第1給電装置の出力電圧値および前記出力電力値、または前記第1給電装置の出力電流値および前記出力電圧値を前記第2制御回路に通知するよう構成できる。
【0017】
上記無線給電装置において、
前記電圧制御回路は、前記順方向電力伝送時に、前記第1スイッチング素子のオン時間を許容周期範囲内において制御する、および/または、前記逆方向電力伝送時に、前記第2スイッチング素子のオン時間を許容周期範囲内において制御するよう構成できる。
【0018】
上記無線給電装置において、
前記第1伝送コイルと前記第2伝送コイルとの距離が規定距離よりも短い場合、前記電圧制御回路は、前記第1給電装置と前記第2給電装置との間の電力伝送を制限するよう構成できる。
【0019】
上記無線給電装置では、
前記第1給電装置の共振回路の定数と前記第2給電装置の共振回路の定数とが、互いに異なっていてもよい。
【0020】
上記無線給電装置において、
前記第1給電装置は、第1切替用コンデンサと、オンしたときに前記第1切替用コンデンサを前記第1共振コンデンサに並列接続または直列接続し、オフしたときに前記第1切替用コンデンサを前記第1共振コンデンサから電気的に切り離す第1切替用スイッチと、を備え、
前記第2給電装置は、第2切替用コンデンサと、オンしたときに前記第2切替用コンデンサを前記第2共振コンデンサに並列接続または直列接続し、オフしたときに前記第2切替用コンデンサを前記第2共振コンデンサから電気的に切り離す第2切替用スイッチと、を備えるよう構成できる。
【0021】
また、本発明の他の実施形態に係る無線給電装置は、
第1伝送コイルと、前記第1伝送コイルに直列接続された第1スイッチング素子と、前記第1伝送コイルおよび前記第1スイッチング素子の少なくとも一方に並列接続された第1共振コンデンサと、を備える第1給電装置と、
第2伝送コイルと、前記第2伝送コイルに直列接続されたダイオードと、前記第2伝送コイルに並列接続された第2共振コンデンサと、を備える第2給電装置と、
前記第1スイッチング素子のターンオフを制御するとともに、前記第1スイッチング素子が零電圧スイッチング動作を行うように、前記第1給電装置における共振電圧に同期して前記第1スイッチング素子のターンオンを制御する第1スイッチング制御回路と、
前記第1給電装置から前記第2給電装置への電力伝送時に、前記第1給電装置に入力される入力電圧と前記第2給電装置から出力される出力電圧との電圧差を制御する電圧制御回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置の低コスト化および小型化を実現しつつ、伝送特性の安定性を向上させることが可能な無線給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る無線給電装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係る無線給電装置の入力電圧と伝送電力との関係を示す図である。
図3】第1実施形態における第1スイッチング素子の零電圧スイッチング動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4】第1実施形態に係る無線給電装置の各動作モードを説明するためのタイミングチャートである。
図5】第1実施形態に係る無線給電装置の各動作モードにおける電流経路を示す図である。
図6】第2実施形態に係る無線給電装置を示す図である。
図7】第2実施形態に係る無線給電装置の入力電圧と伝送電力との関係を示す図である。
図8】第3実施形態に係る無線給電装置を示す図である。
図9】第3実施形態に係る受電側の構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る無線給電装置の実施形態について説明する。
【0025】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態に係る無線給電装置100を示す。無線給電装置100は、1次側に第1給電装置101と、第1フィルタ回路102と、第1直流電圧変換部103と、第1制御部110とを備え、2次側に第2給電装置104と、第2フィルタ回路105と、第2直流電圧変換部106と、第2制御部120とを備える。
【0026】
1次側の構成は、例えば住宅に設けられ、2次側の構成は、例えば電気自動車やプラグインハイブリッド車等の電動車に設けられる。無線給電装置100は、1次側と2次側との間で、双方向の電力伝送を行う。以下では、1次側から2次側への電力伝送を順方向電力伝送とし、2次側から1次側への電力伝送を逆方向電力伝送とする。
【0027】
第1給電装置101は、第1スイッチング素子SWと、第1伝送コイルLと、第1共振コンデンサCと、を備える1石式コンバータである。第1共振コンデンサCは、第1伝送コイルLおよび第1スイッチング素子SWの少なくとも一方(本実施形態では、第1伝送コイルL)に並列接続される。
【0028】
第1スイッチング素子SWは、第1伝送コイルLに直列接続された第1トランジスタQと、第1トランジスタQに逆並列接続された第1ダイオードDとを含む。第1トランジスタQは、IGBT(絶縁ゲートトランジスタ)、MOSFET(金属酸化膜半導体型電界効果トランジスタ)、バイポーラトランジスタ、またはSiC(シリコンカーバイド)半導体等のパワー半導体素子である。第1ダイオードDは、第1トランジスタQの内蔵(寄生)ダイオード、または第1トランジスタQとは独立したダイオードである。
【0029】
第1フィルタ回路102は、第1コンデンサCと、第1コイルLとを備える。第1コンデンサCは、一端が第1コイルLを介して第1直流電圧変換部103の高電位側に接続され、他端が第1直流電圧変換部103の低電位側に接続される。
【0030】
第1直流電圧変換部103は、双方向DC/DCコンバータで構成される。第1直流電圧変換部103は、第1電源Eに接続される。第1電源Eは、例えば、双方向AC/DCコンバータである。第1直流電圧変換部103は、第1電源Eから入力された直流電圧を昇圧または降圧して第1フィルタ回路102に出力する順方向電圧変換動作と、第1フィルタ回路102から入力された直流電圧を降圧または昇圧して第1電源Eに出力する逆方向電圧変換動作とを行う。
【0031】
第2給電装置104は、第2スイッチング素子SWと、第2伝送コイルLと、第2共振コンデンサCと、を備える1石式コンバータである。第2共振コンデンサCは、第2伝送コイルLおよび第2スイッチング素子SWの少なくとも一方(本実施形態では、第2伝送コイルL)に並列接続される。
【0032】
第2スイッチング素子SWは、第2伝送コイルLに直列接続された第2トランジスタQと、第2トランジスタQに逆並列接続された第2ダイオードDとを含む。第2トランジスタQは、第1トランジスタQと同様、IGBT、MOSFET、バイポーラトランジスタ、またはSiC半導体等のパワー半導体素子である。第2ダイオードDは、第2トランジスタQの内蔵(寄生)ダイオード、または第2トランジスタQとは独立したダイオードである。
【0033】
第2フィルタ回路105は、第2コンデンサCと、第2コイルLとを備える。第2コンデンサCは、一端が第2コイルLを介して第2直流電圧変換部106の高電位側に接続され、他端が第2直流電圧変換部106の低電位側に接続される。
【0034】
第2直流電圧変換部106は、双方向DC/DCコンバータで構成される。第2直流電圧変換部106は、第2電源Eに接続される。第2電源Eは、例えば、電動車に搭載された蓄電池である。第2直流電圧変換部106は、第2フィルタ回路105から入力された直流電圧を昇圧または降圧して第2電源Eに出力する順方向電圧変換動作と、第2電源Eから入力された直流電圧を降圧または昇圧して第2フィルタ回路105に出力する逆方向電圧変換動作とを行う。
【0035】
第1制御部110は、第1共振電圧検知回路111と、第1同期回路112と、第1制御回路113とを備える。同様に、第2制御部120は、第2共振電圧検知回路121と、第2同期回路122と、第2制御回路123とを備える。
【0036】
第1共振電圧検知回路111および第1同期回路112は、本発明の「第1スイッチング制御回路」に相当する。第2共振電圧検知回路121および第2同期回路122は、本発明の「第2スイッチング制御回路」に相当する。第1制御回路113および第2制御回路123は、本発明の「電圧制御回路」に相当する。
【0037】
第1共振電圧検知回路111は、順方向電力伝送時に、第1共振コンデンサCの両端電圧VR1を測定し、第1伝送コイルLおよび第1共振コンデンサCによる第1共振電圧のゼロクロス点を検知する。ゼロクロス点を検知した第1共振電圧検知回路111は、第1同期回路112にゼロクロス信号を出力する。
【0038】
第1同期回路112は、第1トランジスタQが零電圧スイッチング動作を行うように、ゼロクロス信号に基づき第1共振電圧に同期させて第1トランジスタQをターンオンさせる。また、第1同期回路112は、第1制御回路113の指示(制御指令)で、逆方向電力伝送時に、第1ダイオードDによる整流動作が行われるように第1トランジスタQをオフさせる。
【0039】
順方向電力伝送時に、第1同期回路112が第1トランジスタQをオン・オフ制御することで、第1伝送コイルLおよび第1共振コンデンサCに電流が流れる。それにより、一定距離離れた第2伝送コイルLおよび第2共振コンデンサCに磁界共振(磁気共振、磁気共鳴と同義)による電流が流れる。その結果、第1給電装置101から第2給電装置104への非接触の電力伝送が行われる。
【0040】
第2共振電圧検知回路121は、逆方向電力伝送時に、第2共振コンデンサCの両端電圧VR2を測定し、第2伝送コイルLおよび第2共振コンデンサCによる第2共振電圧のゼロクロス点を検知する。ゼロクロス点を検知した第2共振電圧検知回路121は、第2同期回路122にゼロクロス信号を出力する。
【0041】
第2同期回路122は、第2トランジスタQが零電圧スイッチング動作を行うように、ゼロクロス信号に基づき第2共振電圧に同期させて第2トランジスタQをターンオンさせる。また、第2同期回路122は、第2制御回路123の指示(制御指令)で、順方向電力伝送時に、第2ダイオードDによる整流動作が行われるように第2トランジスタQをオフさせる。
【0042】
逆方向電力伝送時に、第2同期回路122が第2トランジスタQをオン・オフ制御することで、第2伝送コイルLおよび第2共振コンデンサCに電流が流れる。それにより、一定距離離れた第1伝送コイルLおよび第1共振コンデンサCに磁界共振による電流が流れる。その結果、第2給電装置104から第1給電装置101への非接触の電力伝送が行われる。
【0043】
第1制御回路113は、順方向電力伝送時に、第1給電装置101に入力される第1入力電圧Eと第2給電装置104から出力される第1出力電圧Eとの電圧差(第1電圧差)を制御する第1電圧差制御を行い、第2給電装置104から出力される出力電力(第1給電装置101から第2給電装置104への伝送電力)を制御する。
【0044】
より詳しくは、第1制御回路113は、外部からの第1制御指令114に応じて、または第2制御回路123との相互通信信号130に含まれる充電開始通知に応じて、第1電圧差制御を開始する。相互通信信号130には、例えばWi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信信号が用いられる。第1電圧差制御を開始した第1制御回路113は、所定の周期で、第1検出手段X(例えば、カレントトランス)の第1検出信号115に基づいて、第1入力電圧Eの電圧値および/または第1入力電流の電流値を取得する。第1入力電流は、第1直流電圧変換部103から第1フィルタ回路102に流れる電流である。
【0045】
また第1制御回路113は、所定の周期で、相互通信信号130を介して第2制御回路123から出力電力に関する情報を取得する。出力電力に関する情報は、出力電力の電力値、第1出力電圧Eの電圧値および出力電力の電力値、または第1出力電圧Eの電圧値および第1出力電流の電流値である。第1出力電流は、第2フィルタ回路105から第2直流電圧変換部106に流れる電流である。
【0046】
第1制御回路113は、上記のように必要な情報を取得しつつ、出力電力の電力値が所定の目標電力値になるように、第1直流電圧変換部103に第1制御信号116を出力して第1入力電圧Eを制御し、第1電圧差を制御する。
【0047】
具体的な制御方法として、出力電力に関する情報が出力電力の電力値のみの場合、第1制御回路113は、予め記憶しておいた第1出力電圧Eの下限電圧を参照し、下限電圧よりも第1入力電圧Eが大となるように第1入力電圧Eを制御しつつ、出力電力の電力値を所定の目標電力値に一致させる。
【0048】
出力電力に関する情報が第1出力電圧Eの電圧値および出力電力の電力値の場合、第1制御回路113は、第1出力電圧Eと第1入力電圧Eとを比較し、第1出力電圧Eよりも第1入力電圧Eが大となるように第1入力電圧Eを制御しつつ、出力電力の電力値を所定の目標電力値に一致させる。
【0049】
出力電力に関する情報が第1出力電圧Eの電圧値および第1出力電流の電流値の場合、第1制御回路113は、第1出力電圧Eと第1入力電圧Eとを比較し、第1出力電圧Eよりも第1入力電圧Eが大となるように第1入力電圧Eを制御する。同時に、第1制御回路113は、出力電力に関する情報に基づいて出力電力の電力値を算出し、算出した電力値が所定の目標電力値に一致するように、第1入力電圧Eを制御する。
【0050】
なお、第1出力電圧Eの電圧値が一定値で、かつ第1制御回路113が第1入力電圧Eと出力電力との関係を示す情報(例えば、関係式)を記憶している場合、第1制御回路113は、給電開始時および給電中に、第2制御回路123と通信を行うことなく、第1入力電圧Eを制御することができる。
【0051】
また、第1制御回路113が第1入力電圧Eと第1電圧差との関係を示す情報、および第1電圧差と出力電力との関係を示す情報を記憶している場合も、第1制御回路113は、第2制御回路123と通信を行うことなく、第1入力電圧Eを制御することができる。ただし、出力電力の電力値をより正確に目標電力値に近づけるためには、第1制御回路113は、相互通信信号130を介して第2制御回路123から出力電力に関する情報を取得することが好ましい。
【0052】
第2制御回路123は、逆方向電力伝送時に、第2給電装置104に入力される第2入力電圧Eと第1給電装置101から出力される第2出力電圧Eとの電圧差(第2電圧差)を制御する第2電圧差制御を行い、第1給電装置101から出力される出力電力(第2給電装置104から第1給電装置101への伝送電力)を制御する。
【0053】
より詳しくは、第2制御回路123は、外部からの第2制御指令124に応じて、または第1制御回路113との相互通信信号130に含まれる放電開始通知に応じて、第2電圧差制御を開始する。第2電圧差制御を開始した第2制御回路123は、所定の周期で、第2検出手段X(例えば、カレントトランス)の第2検出信号125に基づいて、第2入力電圧Eの電圧値および/または第2入力電流の電流値を取得する。第2入力電流は、第2直流電圧変換部106から第2フィルタ回路105に流れる電流である。
【0054】
また第2制御回路123は、所定の周期で、相互通信信号130を介して第1制御回路113から出力電力に関する情報を取得する。出力電力に関する情報は、出力電力の電力値、第2出力電圧Eの電圧値および出力電力の電力値、または第2出力電圧Eの電圧値および第2出力電流の電流値である。第2出力電流は、第1フィルタ回路102から第1直流電圧変換部103に流れる電流である。
【0055】
第2制御回路123は、上記のように必要な情報を取得しつつ、出力電力の電力値が所定の目標電力値になるように、第2直流電圧変換部106に第2制御信号126を出力して第2入力電圧Eを制御し、第2電圧差を制御する。具体的な制御方法は、順方向電力伝送時における第1制御回路113の制御方法と同じである。
【0056】
図2に、順方向電力伝送時における、第1入力電圧Eと第1給電装置101から第2給電装置104への伝送電力Pとの関係を示す。図2では、第1出力電圧Eを350[V]の一定値とする。伝送電力Pは、例えば、第2検出手段Xの第2検出信号125に基づいて算出できる。
【0057】
図2から分かるように、第1入力電圧Eを350[V]から460[V]の110[V]の範囲で変化させると、伝送電力Pは0から6[kW]まで変化する。すなわち、無線給電装置100によれば、第1入力電圧Eと第1出力電圧Eとの第1電圧差を制御することで、伝送電力Pを制御することができる。
【0058】
例えば、第2共振コンデンサCの静電容量にバラツキがある場合であっても、第1入力電圧Eを変化させることで、伝送電力Pを零から所望の電力まで安定して制御することができる。なお、図2では、第1入力電圧Eの下限電圧と第1出力電圧Eとを同じ値にしているが、同じである必要はない。
【0059】
続いて、図3を参照して、順方向電力伝送時における第1スイッチング素子SWの零電圧スイッチング動作を説明する。なお、逆方向電力伝送時における第2スイッチング素子SWの零電圧スイッチング動作も、順方向電力伝送時における第1スイッチング素子SWと同様に行われる。
【0060】
図3において、(A)は第1スイッチング素子SWの両端電圧VSW1の波形、(B)は第1スイッチング素子SWを流れる電流ISW1の波形、(C)は第1共振コンデンサCの両端電圧VR1の波形、(D)は第1トランジスタQの駆動用ゲート電圧Vg1の波形、(E)は第2トランジスタQの駆動用ゲート電圧Vg2の波形である。第1トランジスタQおよび第2トランジスタQは、駆動用ゲート電圧Vg1、Vg2がハイレベルのときにオンし、ローレベルのときにオフする。
【0061】
第1スイッチング素子SWがオフの期間TOFFでは、第1共振コンデンサCの両端には、第1伝送コイルLと第1共振コンデンサCによる第1共振電圧が発生している。
【0062】
第1共振コンデンサCの両端電圧VR1が零と交差するゼロクロス点tを第1共振電圧検知回路111が検出すると、第1同期回路112は、ゼロクロス点tに同期した時刻tzgに、第1トランジスタQの駆動用ゲート電圧Vg1をローレベルからハイレベルに切り替えて、第1トランジスタQをターンオンさせる。
【0063】
ここで、第1スイッチング素子SWの両端電圧VSW1は、負荷(例えば、第1電源E)の状態によっては振幅が小さくなり零に達しない場合がある。一方、第1共振コンデンサCの両端電圧VR1は、振幅の大きさに関わらず零と交差する。そこで、本実施形態では、第1共振電圧検知回路111が第1共振コンデンサCの両端電圧VR1のゼロクロス点tを検出する構成をとっている。
【0064】
また、第1スイッチング素子SWの零電圧スイッチング動作を実現するためには、時刻tに第1トランジスタQをターンオンさせてもよい。しかしながら、時刻tは、負荷(例えば、第1電源E)の状態によってタイミングがずれることがある。そこで、本実施形態では、時刻tよりも後の時刻tzgにおいて第1トランジスタQをターンオンさせることで、若干の余裕を持たせている。
【0065】
続いて、図4および図5を参照して、順方向電力伝送時における無線給電装置100の動作モード(Mode-1、Mode-2、Mode-3、Mode-4)を説明する。
【0066】
図4において、(A)は第1スイッチング素子SWの両端電圧VSW1の波形、(B)は第1スイッチング素子SWを流れる電流ISW1の波形、(C)は第1伝送コイルLを流れる電流IL1の波形、(D)は第2伝送コイルLを流れる電流IL2の波形、(E)は第2スイッチング素子SWの両端電圧VSW2の波形、(F)は第2スイッチング素子SWを流れる電流ISW2の波形である。
【0067】
図5は、図4に示した時刻t~t間をMode-1期間、時刻t~t間をMode-2期間、時刻t~t間をMode-3期間、時刻t~t(=t)間をMode-4期間とした場合の、各Mode期間における第1給電装置101および第2給電装置104に流れる電流を模式的に示した図である。
【0068】
なお、図5では、第1給電装置101に第1コンデンサCを含め、第2給電装置104に第2コンデンサCを含めている。また、図5において、第1伝送コイルLおよび第2伝送コイルLを流れる電流の双方向の矢印は、図4に示すように電流が正方向と負方向に変化することを示している。
【0069】
時刻t(=t)において、第1スイッチング素子SWの両端電圧VSW1が零に達すると、Mode-1期間が開始する。Mode-1期間では、第1スイッチング素子SWの第1ダイオードDが自動的に導通し、第1スイッチング素子SWがオン状態になる。その後、零電圧スイッチング動作により第1トランジスタQがターンオンする。
【0070】
第1スイッチング素子SWがオンしている期間(Mode-1~Mode-2期間)は、第1伝送コイルLに第1入力電圧Eが印加されている状態になるので、電流ISW1および電流IL1は負電流から正電流に緩やかに変化する。電流ISW1が負から正に転流すると第1ダイオードDに流れていた電流はスムーズに第1トランジスタQに流れ、第1スイッチング素子SWのオン状態が継続する。なお、第1トランジスタQのオン抵抗が第1ダイオードDよりも低い場合、第1トランジスタQがターンオンした以降、電流ISW1は第1トランジスタQを流れる。
【0071】
Mode-1期間において、第2スイッチング素子SWの両端電圧VSW2は、共振の弧を描き、緩やかに上昇した後、緩やかに下降して零に達する。Mode-1期間においては、電流ISW2は、第2スイッチング素子SWがオフしているため流れず、電流IL2は、正電流から負電流に緩やかに変化し、負のピークに達する。
【0072】
時刻tにおいて、第2スイッチング素子SWの両端電圧VSW2が零に達すると、Mode-2期間が開始する。Mode-2期間では、第2スイッチング素子SWの第2ダイオードDが自動的に導通し、第2スイッチング素子SWがオン状態になる。第2スイッチング素子SWがオンしている期間(Mode-2~Mode-3期間)は、第2伝送コイルLに第1出力電圧Eが印加されている状態になるので、電流ISW2および電流IL2は負電流から零に向かって変化する。
【0073】
所定時間(例えば、第1共振電圧のゼロクロス周期が所定の範囲内になるように第1同期回路112において予め設定された時間)が経過した時刻tにおいて、第1スイッチング素子SWの駆動用ゲート電圧Vg1がハイレベルからローレベルに切り替わり、第1トランジスタQがオフすると、Mode-3期間が開始する。
【0074】
Mode-3期間では、第1スイッチング素子SWがオフし、第1伝送コイルLに蓄えられていた電流が第1共振コンデンサCに流れ込んで、第1給電装置101は共振状態となる。第1スイッチング素子SWの両端電圧VSW1は、共振の弧を描き、緩やかに上昇する。第1伝送コイルLを流れる電流IL1は、共振電流であり、正のピークに達した後、緩やかに減少する。
【0075】
Mode-3期間では、電流ISW2および電流IL2は負電流から零に向かって変化する。時刻tにおいて、電流ISW2が零になると、すなわち第2ダイオードDに流れていた電流が停止すると、Mode-3期間は終了し、Mode-4期間が開始する。
【0076】
Mode-4期間では、第2スイッチング素子SW(第2ダイオードD)がオフし、第2伝送コイルLに蓄えられていた電流が第2共振コンデンサCに流れ込んで、第2給電装置104は共振状態となる。第2スイッチング素子SWの両端電圧VSW2は、共振の弧を描き、緩やかに上昇する。電流ISW2は、第2スイッチング素子SWがオフしているため流れず、電流IL2は、緩やかに上昇した後、緩やかに下降する。
【0077】
Mode-4期間では、電流IL1は、正電流から負電流に緩やかに変化する。第1スイッチング素子SWの両端電圧VSW1は、共振の弧を描き、緩やかに上昇した後、緩やかに下降する。時刻tにおいて、第1スイッチング素子SWの両端電圧VSW1が零に達すると、Mode-4期間は終了する。
【0078】
図4に示すように、第2伝送コイルLを流れる電流IL2は、第1伝送コイルLを流れる電流IL1に対して、第1入力電圧Eと第1出力電圧Eとの第1電圧差に応じた位相差Tφを有する。すなわち、無線給電装置100は、第1電圧差を制御することで、第1スイッチング素子SWを流れる電流ISW1と第2スイッチング素子SWを流れる電流ISW2との間に位相差を生じさせ、所望の伝送電力を伝送することができる。
【0079】
上記説明から、順方向電力伝送時において、第1給電装置101および第2給電装置104はフォワード型コンバータとして動作し、かつ第2給電装置104は半波整流動作を行うことがわかる。第2給電装置104(受電側給電装置)に構成の簡単な半波整流動作を行わせても、全波整流動作を行う通常の無線給電装置と同等以上の伝送電力を送信できるという利点がある。これは、全波整流の場合は、第2給電装置104の第2伝送コイルLと第2共振コンデンサCの並列共振回路の共振電圧は正負いずれの半波においても整流素子(ダイオード)が導通して第1出力電圧Eにクランプされるため、共振効果が小さく第1給電装置101からの伝送電力が増大しないが、半波整流では、整流素子(第2ダイオードD)が導通していない半波の期間、共振効果が得られるので第1給電装置101からの伝送電力が増大することによる。
【0080】
なお、上記説明では、順方向電力伝送時の動作を例に挙げたが、逆方向電力伝送時の動作の場合も同様である。すなわち、無線給電装置100は、第2電圧差を制御することで、電流ISW1と電流ISW2との間に位相差を生じさせ、所望の伝送電力を伝送することができる。また、逆方向電力伝送時において、第1給電装置101および第2給電装置104はフォワード型コンバータとして動作し、かつ第1給電装置101は半波整流動作を行う。
【0081】
本実施形態に係る無線給電装置100は、第1給電装置101が第1スイッチング素子SWで動作する1石式コンバータで構成され、第2給電装置104が第2スイッチング素子SWで動作する1石式コンバータで構成される。このため、本実施形態に係る無線給電装置100は、複数のパワー半導体を用いるブリッジコンバータ式の無線給電装置と比較すると、装置の低コスト化および小型化を実現することができる。
【0082】
本実施形態に係る無線給電装置100は、並列共振回路構成のため、給電開始時および給電中に特殊な操作が不要となり、入力電圧と出力電圧との電圧差の制御のみで伝送電力を制御することができる。
【0083】
本実施形態に係る無線給電装置100は、入力電圧と出力電圧との電圧差の制御により、回路定数のバラツキによる伝送電力の変動を補償することができる。すなわち、本実施形態に係る無線給電装置100は、入力電圧と出力電圧との電圧差の制御により、伝送電力の変動の主要な原因である伝送電力の位相差を補償することができる。したがって、本実施形態に係る無線給電装置100によれば、比較的簡易な制御で、伝送特性の安定性を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態に係る無線給電装置100は、上記のとおり、入力電圧と出力電圧との電圧差の制御により伝送電力の位相差を補償できるので、送電側の位相を検出して受電側に通信する手段と、受電側で相互位相シフト制御(第1スイッチング素子SWのスイッチングと第2スイッチング素子SWのスイッチングとに所定の位相差をもたせる制御)を行う回路が、1次側と2次側の双方で不要となる。これにより、装置の構成が簡素化され、高速位相通信が不要になる。
【0085】
例えば、相互通信信号130は、位相の情報を含まないので、高速位相通信のための信号よりも低速にすることができる。したがって、本実施形態に係る無線給電装置100によれば、高速位相通信が不要になることによる相互接続性の向上を図ることができる。
【0086】
[第2実施形態]
図6に、本発明の第2実施形態に係る無線給電装置200を示す。無線給電装置200は、第1給電装置201、第1制御部210の第1制御回路213、第2給電装置204、および第2制御部220の第2制御回路223が第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態と共通する。
【0087】
第1給電装置201は、第1実施形態の第1給電装置101に、第1切替用コンデンサC’および第1切替用スイッチSからなる直列回路を追加したものである。上記直列回路は、第1共振コンデンサCに並列接続される。第1切替用スイッチSは、例えば半導体スイッチまたはリレーで構成される。
【0088】
第1切替用スイッチSは、第1制御回路213の制御下で、オンとオフとが切り替わる。第1切替用スイッチSがオンのときに第1切替用コンデンサC’が第1共振コンデンサCに並列接続された状態になり、第1切替用スイッチSがオフのときに第1切替用コンデンサC’が第1共振コンデンサCから電気的に切り離された状態になる。
【0089】
第1制御回路213は、第1実施形態の第1制御回路113に、第1切替用スイッチSのオン・オフを切り替える機能を追加したものである。第1制御回路213は、例えば、第1切替用スイッチSの駆動回路を含む。
【0090】
第2給電装置204は、第1実施形態の第2給電装置104に、第2切替用コンデンサC’および第2切替用スイッチSからなる直列回路を追加したものである。上記直列回路は、第2共振コンデンサCに並列接続される。第2切替用スイッチSは、例えば半導体スイッチまたはリレーで構成される。
【0091】
第2切替用スイッチSは、第2制御回路223の制御下で、オンとオフとが切り替わる。第2切替用スイッチSがオンのときに第2切替用コンデンサC’が第2共振コンデンサCに並列接続された状態になり、第2切替用スイッチSがオフのときに第2切替用コンデンサC’が第2共振コンデンサCから電気的に切り離された状態になる。
【0092】
第2制御回路223は、第1実施形態の第2制御回路123に、第2切替用スイッチSのオン・オフを切り替える機能を追加したものである。第2制御回路223は、例えば、第2切替用スイッチSの駆動回路を含む。
【0093】
順方向電力伝送の場合、第1制御回路213は、第1制御指令114に応じて、または相互通信信号130に含まれる充電開始通知に応じて、第1切替用スイッチSをオフする。一方、第2制御回路223は、相互通信信号130に含まれる充電開始通知に応じて、または第2制御指令124に応じて、第2切替用スイッチSをオンする。これにより、第2給電装置204における共振回路の定数が変化する。第1切替用スイッチSがオフし、第2切替用スイッチSがオンした後、第1制御回路213は第1電圧差制御を開始する。
【0094】
逆方向電力伝送の場合、第2制御回路223は、第2制御指令124に応じて、または相互通信信号130に含まれる放電開始通知に応じて、第2切替用スイッチSをオフする。一方、第1制御回路213は、相互通信信号130に含まれる放電開始通知に応じて、または第1制御指令114に応じて、第1切替用スイッチSをオンする。これにより、第1給電装置201における共振回路の定数が変化する。第1切替用スイッチSがオンし、第2切替用スイッチSがオフした後、第2制御回路223は第2電圧差制御を開始する。
【0095】
図7に、順方向電力伝送時における、第1入力電圧Eと第1給電装置201から第2給電装置204への伝送電力Pとの関係を示す。比較のため、図2で示した第1実施形態における第1入力電圧Eと伝送電力Pとの関係も図7に示す。第1出力電圧Eは、第1実施形態と同様に、350[V]の一定値とする。
【0096】
図7では、第1共振コンデンサCと第2共振コンデンサCの静電容量比を1:1とし、かつ第2共振コンデンサCと第2切替用コンデンサC’の静電容量比を5:1とする。例えば、第1給電装置201における共振コンデンサの静電容量は0.15[μF]であり、第2給電装置204における共振コンデンサの静電容量は0.18[μF]である。なお、第1実施形態では、第1給電装置101および第2給電装置104における共振コンデンサの静電容量は、いずれも0.15[μF]である。
【0097】
図7から分かるように、第2実施形態では、第1入力電圧Eを310[V]から380[V]の70[V]の範囲で変化させると、伝送電力Pが0から6[kW]まで変化する。すなわち、第2実施形態に係る無線給電装置200によれば、第1実施形態よりも小さい電圧差で出力電力(伝送電力P)を制御することができる。また、無線給電装置200によれば、所望の出力電力を得るために必要な電圧(第1入力電圧E)を、第1実施形態よりも低くすることができる。
【0098】
変形例として、第1給電装置201は、第1切替用コンデンサC’および第1切替用スイッチSからなる直列回路に加えて、または上記直列回路の代わりに、第3切替用コンデンサおよび第3切替用スイッチからなる並列回路を備えてもよい。上記並列回路は、第1共振コンデンサCに直列接続される。第3切替用スイッチは、第1制御回路213の制御下で、順方向電力伝送時にオフし、逆方向電力伝送時にオンする。
【0099】
第2給電装置204は、第2切替用コンデンサC’および第2切替用スイッチSからなる直列回路に加えて、または上記直列回路の代わりに、第4切替用コンデンサおよび第4切替用スイッチからなる並列回路を備えてもよい。上記並列回路は、第2共振コンデンサCに直列接続される。第4切替用スイッチは、第2制御回路223の制御下で、順方向電力伝送時にオンし、逆方向電力伝送時にオフする。
【0100】
また、切替用コンデンサの静電容量は、第1共振コンデンサCまたは第2共振コンデンサCの静電容量よりも大きくすることができる。例えば、第1共振コンデンサCと第2共振コンデンサCの静電容量比を1:1とし、第1共振コンデンサCと第1切替用コンデンサC’の静電容量比および第2共振コンデンサCと第2切替用コンデンサC’の静電容量比は1:5とする。第1共振コンデンサCおよび第2共振コンデンサCの静電容量が0.18[μF]である場合、第1切替用コンデンサC’および第2切替用コンデンサC’の静電容量は0.9[μF]である。
【0101】
結局、本実施形態に係る無線給電装置200によれば、受電側の共振コンデンサの静電容量を送電側の共振コンデンサの静電容量より相対的に増加させ、送電側と受電側とで共振回路の定数に差をつけることにより、第1実施形態よりも小さい電圧差で出力電力を制御することができる。なお、本実施形態では、コイル定数を一定とし、切替用コンデンサで共振定数に差をつけたが、同様に共振コンデンサ定数を一定とし、共振コイル定数に差をつける構成としてもよい。
【0102】
[第3実施形態]
図8に、本発明の第3実施形態に係る無線給電装置300を示す。無線給電装置300は、1次側から2次側への電力伝送(順方向電力伝送)のみを行い、2次側から1次側への電力伝送(逆方向電力伝送)は行わない。
【0103】
無線給電装置300は、第1直流電圧変換部303、第2給電装置304、第2直流電圧変換部306および第2制御部320が第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態と共通する。
【0104】
第1直流電圧変換部303は、片方向DC/DCコンバータで構成される。第1直流電圧変換部303は、第1電源Eから入力された直流電圧を昇圧または降圧して第1フィルタ回路102に出力する片方向電圧変換動作のみを行う。
【0105】
第2給電装置304は、第2伝送コイルLと、第2共振コンデンサCと、第3ダイオードDとを備える。第2共振コンデンサCは、一端が第2伝送コイルLの一端に接続され、他端が第2伝送コイルLの他端に接続される。第3ダイオードDは、アノードが第2フィルタ回路105の低電位側に接続され、カソードが第2共振コンデンサCの他端に接続される。すなわち、第2給電装置304は、第1実施形態の第1スイッチング素子SWの代わりに、第3ダイオードDを備えている。
【0106】
第2直流電圧変換部306は、片方向DC/DCコンバータで構成される。第2直流電圧変換部306は、第2フィルタ回路105から入力された直流電圧を昇圧または降圧して第2電源Eに出力する片方向電圧変換動作のみを行う。
【0107】
第2制御部320は、第2制御回路323を備える一方で、第1実施形態の第2共振電圧検知回路121および第2同期回路122を備えない。第2制御回路323は、第2制御信号326を出力して第2直流電圧変換部306を制御する。なお、この制御は、第1および第2実施形態のような入力電圧と出力電圧との電圧差の制御ではなく、第2電源Eに所望の電力を供給するための受電制御である。なお、第2直流電圧変換部306は、入力電圧Eを第2電源Eへの入力電圧に変換する必要がなければ、省略することができる。
【0108】
本実施形態の第2給電装置304および第2フィルタ回路105は、図9に示す第2給電装置304’および第2フィルタ回路105’に変更できる。すなわち、第3ダイオードDは、アノードが第2共振コンデンサCの一端に接続され、カソードが第2フィルタ回路105’の高電位側に接続されていてもよい。この場合、第2フィルタ回路105’にチョークコイルの環流用ダイオードを追加してもよい。なお、第2コンデンサCは、第2コイルLの後段に設けてもよい。図9では、第2直流電圧変換部306を省略している。
【0109】
[変形例]
以上、本発明に係る無線給電装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0110】
本発明に係る無線給電装置では、第1フィルタ回路102および第2フィルタ回路105を省略できる。ただし、第1フィルタ回路102および第2フィルタ回路105を設けることで、入力電圧および出力電圧の安定化を図ることができる。また、第1直流電圧変換部103、303は、第1電源Eを構成する双方向AC/DCコンバータと一体とした構成としてもよい。
【0111】
第1および第2実施形態では、第2直流電圧変換部106を省略するか、または第2直流電圧変換部106を片方向DC/DCコンバータで構成することができる。これらの場合、第1制御回路113、213は、順方向電力伝送時には第1および第2実施形態と同様の制御を行い、逆方向電力伝送時には、第1直流電圧変換部103を制御して第2出力電圧Eを変化させる(第2出力電圧Eを第2入力電圧Eよりも低下させる)ことにより、第2電圧差を制御してもよい。
【0112】
本発明に係る無線給電装置では、順方向電力伝送時に、第1スイッチング素子SWのオン時間を許容周期範囲内において制御してもよい。また、第1および第2実施形態では、さらに逆方向電力伝送時に、第2スイッチング素子SWのオン時間を許容周期範囲内において制御してもよい。入力電圧の制御範囲が限られていて、出力電力の電力値を所定の目標電力値に一致させることができない場合等、入力電圧を変えずに送電側のスイッチング素子のオン時間を許容周期範囲内において変更することで、出力電力の電力値を所定の目標電力値に一致させることができる。なお、許容周期範囲は、例えば、国際規格などで定められた基準周波数帯に基づいて適宜設定することができる。また、オン時間の変更は、停止状態であるデューティ0%を含んでもよい。
【0113】
例えば、順方向電力伝送時に、第1出力電圧Eの電圧値が低く、第1直流電圧変換部103の出力(第1入力電圧E)を制御範囲の下限まで下げても所望の出力電力が得られない場合、目標電力値よりも大きな出力電力が出力されてしまう。この場合、第1スイッチング素子SWのオン時間を、許容周期範囲内において当初の設定値よりも短くすることで、第1伝送コイルLに流れる電流IL1を減少させることができる。その結果、第2伝送コイルLに流れる電流IL2が減少し、伝送電力が低下するので、所望の出力電力を得ることができる。
【0114】
本発明に係る無線給電装置では、第1伝送コイルLと第2伝送コイルLとの距離が規定距離(例えば、45[mm])よりも短い場合、電力伝送を制限してもよい。電力伝送を制限することで、第1伝送コイルLと第2伝送コイルLとが近接し過ぎたことにより生じる不安定な動作(換言すれば、漏れインダクタンスがなくなり、共振電圧が発生しなくなることにより生じる不安定な動作)を回避することができる。
【0115】
電力伝送を制限する場合、本発明に係る無線給電装置は、第1伝送コイルLと第2伝送コイルLとが近接し過ぎたことにより生じる不安定な動作を検出してもよいし、第1伝送コイルLと第2伝送コイルLとの距離を測定するための距離測定手段(例えば、1次側および2次側に設けた距離測定用コイル)を含んでもよい。また、第1制御指令114および/または第2制御指令124に、第1伝送コイルLと第2伝送コイルLとの距離に関する情報が含まれていてもよい。
【0116】
例えば、順方向電力伝送時に、第1伝送コイルLと第2伝送コイルLとの距離が規定距離よりも短い場合、第1入力電圧Eを制御範囲の下限まで下げても所望の出力電力が得られないのであれば、第1制御回路113、213は、第1直流電圧変換部103の制御を停止させて、電力伝送を停止させてもよい。また、第1制御回路113、213は、電力伝送を停止させる代わりに、第1スイッチング素子SWのオン時間を、許容周期範囲内において所定値よりも短くしてもよい。これにより、伝送電力が低下するので、所望の出力電力を得ることができる。
【符号の説明】
【0117】
100、200、300 無線給電装置
101、201 第1給電装置
102 第1フィルタ回路
103、303 第1直流電圧変換部
104、204、304、304’ 第2給電装置
105、105’ 第2フィルタ回路
106、306 第2直流電圧変換部
110、210 第1制御部
111 第1共振電圧検知回路
112 第1同期回路
113、213 第1制御回路
114 第1制御指令
115 第1検出信号
116 第1制御信号
120、220、320 第2制御部
121 第2共振電圧検知回路
122 第2同期回路
123、223、323 第2制御回路
124 第2制御指令
125 第2検出信号
126、326 第2制御信号
130 相互通信信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9