(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】制御装置、医療器具、人工呼吸システム、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61M16/04 A
(21)【出願番号】P 2019069030
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-03-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399086263
【氏名又は名称】学校法人帝京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】田垣内 祐吾
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0163023(US,A1)
【文献】国際公開第2009/119449(WO,A1)
【文献】特開平03-109081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ本体と、前記チューブ本体の先端側に設けられたカフと、前記カフの内部空間と連通するインフレーションチューブと、を有する気管チューブと、
前記気管チューブが接続され、前記カフの内部の気体量を制御する判定装置と、を備え、
前記判定装置が有する内圧センサは、前記インフレーションチューブと接続され、前記インフレーションチューブを介して前記カフの内圧を検出し、
前記気管チューブは、前記インフレーションチューブの経路内に前記インフレーションチューブと連通するパイロットバルーンを有し、
前記パイロットバルーンの膨張を規制する規制具をさらに備え、
前記判定装置は、前記気管チューブにおいて、前記カフが設けられた先端とは反対側の端部が接続され、前記カフの内圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道に挿管されつつある、または挿管されたことを判定する判定部と、を有し、
前記判定基準は、前記気管チューブが気管に挿管される場合の前記内圧と、前記気管チューブが前記食道に挿管される場合の前記内圧との間において予め設定されるカットオフ値である
医療器具。
【請求項2】
前記判定部による判定結果を出力する出力部を有する請求項1に記載の
医療器具。
【請求項3】
前記判定部は、前記圧力センサで検出された前記内圧と、前記判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する請求項1または2に記載の
医療器具。
【請求項4】
チューブ本体と、前記チューブ本体の先端側に設けられたカフと、前記カフの内部空間と連通するインフレーションチューブと、を有する気管チューブと、
前記気管チューブが接続され、前記カフの内部の気体量を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が有する内圧センサは、前記インフレーションチューブと接続され、前記インフレーションチューブを介して前記カフの内圧を検出し、
前記気管チューブは、前記インフレーションチューブの経路内に前記インフレーションチューブと連通するパイロットバルーンを有し、
前記パイロットバルーンの膨張を規制する規制具をさらに備え、
前記制御装置は、前記カフの内部の気体量を調整するポンプと、
前記気管チューブにおいて前記カフが設けられた先端とは反対側の端部が接続され、前記カフの内圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された結果に基づいて、前記カフの内部の気体量を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する判定部と、
前記ポンプの駆動を指示する指示部と、を有し、
前記判定基準は、前記気管チューブが気管に挿管される場合の前記内圧と、前記気管チューブが前記食道に挿管される場合の前記内圧との間において予め設定されるカットオフ値であり、
前記指示部は、前記判定部により前記気管チューブが前記気管に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部へ気体を供給させ、前記カフを気管の内壁に密着させる
医療器具。
【請求項5】
前記制御部は、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されているかを判定する第1モードと、
前記第1モードにおいて、前記気管チューブが前記気管に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部へ前記気体を供給する指示をする第2モードと、を順に行う請求項4に記載の
医療器具。
【請求項6】
前記第1モードと前記第2モードとの切り替えを指示する入力部を有する請求項5に記載の
医療器具。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記ポンプに前記カフの内部を脱気させた後、前記カフの内部に、前記カフが前記気管の内壁へ密着可能となる量よりも少ない量の気体を供給させる請求項5または6に記載の
医療器具。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記ポンプに前記カフの内部を脱気させた後、前記カフの内部を大気開放する請求項5または6に記載の
医療器具。
【請求項9】
前記判定部は、前記第2モードにおいて、前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた第2判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定し、
前記第2判定基準は、前記カフの内部に供給する気体量に対する、前記内圧の変化率に基づいて求められる請求項5から8のいずれか1項に記載の
医療器具。
【請求項10】
前記指示部は、前記第2モードにおいて、前記判定部により前記気管チューブが前記食道に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部への前記気体の供給を停止させる請求項9に記載の
医療器具。
【請求項11】
前記判定部による判定結果を出力する出力部を有する請求項4から10のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項12】
気管チューブが備えるカフの内部の気体量を調整するポンプと、
前記気管チューブにおいて前記カフが設けられた先端とは反対側の端部が接続され、前記前記カフの内圧を検出する圧力センサと、
前記ポンプの駆動を指示する指示部と、
前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する判定部と、を有し、
前記判定基準は、前記カフの内部に気体を供給し始めた段階における、前記カフの内部に供給する気体量に対する前記内圧の変化率に基づいて求められる制御装置。
【請求項13】
前記指示部は、前記判定部により前記気管チューブが前記食道に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部への気体の供給を停止させる請求項
12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記判定部による判定結果を出力する出力部を有する請求項
12または13に記載の制御装置。
【請求項15】
気管チューブと、
前記気管チューブが接続され、前記カフの内部の気体量を制御する請求項
12から
14のいずれか1項に記載の制御装置と、を備え、
前記気管チューブは、チューブ本体と、前記チューブ本体の先端側に設けられたカフと、前記カフの内部空間と連通するインフレーションチューブと、を有し、
前記制御装置が有する内圧センサは、前記インフレーションチューブと接続され、前記インフレーションチューブを介して前記カフの内圧を検出する医療器具。
【請求項16】
前記気管チューブは、前記インフレーションチューブの経路内に前記インフレーションチューブと連通するパイロットバルーンを有し、
前記パイロットバルーンの膨張を規制する規制具をさらに備える請求項
15に記載の医療器具。
【請求項17】
請求項
15または16に記載の医療器具と、
前記医療器具が有する前記気管チューブが接続される人工呼吸器と、を備える人工呼吸システム。
【請求項18】
カフの内部の気体量を制御する制御装置が備えるコンピュータを、
気管チューブが備えるカフの内部へ供給する気体量を指示する指示部、
前記カフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、
前記カフの内部に供給する気体量に対する前記測定部が測定した前記内圧の変化率と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する判定部、
として機能させ、
前記判定基準は、前記カフの内部に気体を供給し始めた段階における前記変化率に基づいて予め求められた値であるプログラム。
【請求項19】
コンピュータを、
気管チューブが備えるカフの内部へ供給する気体量を指示する指示部、
前記カフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、
前記カフの内部に供給する気体量に対する、前記測定部が測定した前記内圧の変化率と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する判定部、
として機能させ、
前記判定基準は、前記カフの内部に気体を供給し始めた段階における前記変化率に基づいて予め求められた値であるプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、制御装置、医療器具、人工呼吸システム、プログラムおよび記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療現場において日常行われる必須の手技として、医師等の作業者が患者の気管に気管チューブを挿管し、気道を確保する「気管挿管」を挙げることができる。気管挿管では、作業者は、通常、喉頭鏡またはビデオ喉頭鏡等を用い、患者の声門を目視しながら気管チューブ先端を声門の奥に存在する気管内に挿入する。患者の肺には、気管挿管により確保された気道を介して酸素が供給される。
【0003】
気管挿管の際に挿管位置の目標となる声門は、食道の入口(食道入口部)と隣接している。そのため気管挿管の際、誤って気管チューブを食道に挿管してしまう「食道挿管」が発生することがある。食道挿管が発生すると、患者の肺に酸素が供給できず呼吸不全となる。
【0004】
通常は、食道挿管を早期に検出するために、次の2つの操作を組み合わせ、気管チューブが正しく気管に挿入されているか否かの判断を行っている。
【0005】
まず、カプノメーターを用いて呼気中の二酸化炭素濃度を監視することで、気管チューブが正しく気管に挿入されているか否かの判断を行っている。気管挿管された場合には、通常、呼気中に二酸化炭素が規則的に検出され、二酸化炭素の検知器において特有の波形を描くが、食道挿管された場合にはそのような波形が検出されない。
【0006】
また、胸腹部の聴診により肺または胃のどちらにガスが供給されているかを判断する方法も広く行われている。気管挿管の場合、肺にガスが供給されるため胸部で呼吸音が聴取される一方で、上腹部では空気音が聴診されない。食道挿管の場合、胃にガスが供給されるため上腹部で空気音が聴診される一方で、胸部では呼吸音が聴取されない。
【0007】
さらに、食道挿管を検出可能な装置も開発されている。特許文献1には、気管チューブに接続した信号発生器から発生する信号(周波数)の振幅の変化と、メモリに記録した振幅とを比較することで、気管挿管したか、または、食道挿管したかを検知する気管挿管監視装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記方法には次のような問題がある。
【0010】
まず、カプノメーターを用いて呼気中の二酸化炭素濃度を監視する場合、挿管操作に続く手順として、気管チューブに接続した酸素バッグを加圧する必要がある。食道挿管されていると、この操作により食道を介して胃にガスを押し込むこととなり、胃の内圧を上昇させて嘔吐や誤嚥の危険性を増大させる。
【0011】
また、患者が心肺停止状態である場合には、カプノメーターで呼気中の二酸化炭素濃度を検出することができない可能性がある。患者の心拍出量が低下した場合にも、カプノメーターにより呼気中の二酸化炭素濃度を検出しにくい。
【0012】
さらに、胸腹部を聴診する場合、特に肥満患者では呼吸音や空気音が聞こえにくく、判断が困難となりやすい。
【0013】
また、特許文献1の装置の場合、信号発生器からの信号(周波数)を利用して気管チューブの位置を検知するため、食道挿管の検知精度が必ずしも十分でないという問題がある。
【0014】
加えて、上述の従来の確認方法や監視装置は、食道内に気管チューブを留置し、チューブ越しにガスを押し込んだ後に食道挿管の状態を検出するものであるため、食道挿管の発生自体を抑制することはできない。また、従来の確認方法や監視装置では、胃にガスを押し込むことによる誤嚥や嘔吐など食道挿管時に生じる不具合を抑制することはできない。
【0015】
これらのことから、手技を行う作業者の経験が浅い場合や、救急救命の場面において続く処置を急ぎ行う必要がある場合など、食道挿管が発生しやすい場面であっても、食道挿管につながる状況を客観的に判断可能とする技術が求められていた。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、食道挿管になりそうな状態を速やかに判定し、食道挿管による不具合の発生を抑制可能とする判定装置を提供することを目的とする。また、食道挿管による不具合発生を抑制可能な制御装置、医療器具、人工呼吸システム、プログラムおよびプログラムが記録された記録媒体を提供することをあわせて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する。
【0018】
[1]気管チューブが備えるカフの内圧を検出する圧力センサと、前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道に挿管されつつある、または挿管されたことを判定する判定部と、を有し、前記判定基準は、前記気管チューブが気管に挿管される場合の前記内圧と、前記気管チューブが前記食道に挿管される場合の前記内圧との違いに基づいて求められる判定装置。
【0019】
[2]前記判定部による判定結果を出力する出力部を有する[1]に記載の判定装置。
【0020】
[3]前記判定部は、前記圧力センサで検出された前記内圧と、前記判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する[1]または[2]に記載の判定装置。
【0021】
[4]気管チューブが備えるカフの内部の気体量を調整するポンプと、前記カフの内圧を検出する圧力センサと、前記圧力センサで検出された結果に基づいて、前記カフの内部の気体量を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた第1判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する判定部と、前記ポンプの駆動を指示する指示部と、を有し、前記第1判定基準は、前記気管チューブが気管に挿管される場合の前記内圧と、前記気管チューブが前記食道に挿管される場合の前記内圧との違いに基づいて求められ、前記指示部は、前記判定部により前記気管チューブが前記気管に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部へ気体を供給させ、前記カフを気管の内壁に密着させる制御装置。
【0022】
[5]前記制御部は、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されているかを判定する第1モードと、前記第1モードにおいて、前記気管チューブが前記気管に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部へ前記気体を供給する指示をする第2モードと、を順に行う[4]に記載の制御装置。
【0023】
[6]前記第1モードと前記第2モードとの切り替えを指示する入力部を有する[5に記載の制御装置。
【0024】
[7]前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記ポンプに前記カフの内部を脱気させた後、前記カフの内部に、前記カフが前記気管の内壁へ密着可能となる量よりも少ない量の気体を供給させる[5]または[6]に記載の制御装置。
【0025】
[8]前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記ポンプに前記カフの内部を脱気させた後、前記カフの内部を大気開放する[5]または[6]に記載の制御装置。
【0026】
[9]前記判定部は、前記第2モードにおいて、前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた第2判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定し、前記第2判定基準は、前記カフの内部の気体量に対する、前記内圧の変化率に基づいて求められる[5]から[8]のいずれか1項に記載の制御装置。
【0027】
[10]前記指示部は、前記第2モードにおいて、前記判定部により前記気管チューブが前記食道に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部への前記気体の供給を停止させる[9]に記載の制御装置。
【0028】
[11]気管チューブが備えるカフの内部の気体量を調整するポンプと、前記カフの内圧を検出する圧力センサと、前記ポンプの駆動を指示する指示部と、前記圧力センサで検出された前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する判定部と、を有し、前記判定基準は、前記カフの内部の気体量に対する、前記内圧の変化率に基づいて求められる制御装置。
【0029】
[12]前記指示部は、前記判定部により前記気管チューブが前記食道に挿管されたことを判定した判定結果に基づいて、前記ポンプに前記カフの内部への気体の供給を停止させる[11]に記載の制御装置。
【0030】
[13]前記判定部による判定結果を出力する出力部を有する[4]から[12]のいずれか1項に記載の制御装置。
【0031】
[14]気管チューブと、前記気管チューブが接続され、前記カフの内部の気体量を制御する[1]から[3]のいずれか1項に記載の判定装置と、を備え、前記気管チューブは、チューブ本体と、前記チューブ本体の先端側に設けられたカフと、前記カフの内部空間と連通するインフレーションチューブと、を有し、前記判定装置が有する内圧センサは、前記インフレーションチューブと接続され、前記インフレーションチューブを介して前記カフの内圧を検出する医療器具。
【0032】
[15]前記気管チューブは、前記インフレーションチューブの経路内に前記インフレーションチューブと連通するパイロットバルーンを有し、前記パイロットバルーンの膨張を規制する規制具をさらに備える[14]に記載の医療器具。
【0033】
[16]気管チューブと、前記気管チューブが接続され、前記カフの内部の気体量を制御する[4]から[13]のいずれか1項に記載の制御装置と、を備え、前記気管チューブは、チューブ本体と、前記チューブ本体の先端側に設けられたカフと、前記カフの内部空間と連通するインフレーションチューブと、を有し、前記制御装置が有する内圧センサは、前記インフレーションチューブと接続され、前記インフレーションチューブを介して前記カフの内圧を検出する医療器具。
【0034】
[17]前記気管チューブは、前記インフレーションチューブの経路内に前記インフレーションチューブと連通するパイロットバルーンを有し、前記パイロットバルーンの膨張を規制する規制具をさらに備える[16]に記載の医療器具。
【0035】
[18][16]または[17]に記載の医療器具と、前記医療器具が有する前記気管チューブが接続される人工呼吸器と、を備える人工呼吸システム。
【0036】
[19]気管チューブの食道挿管を判定する判定装置が備えるコンピュータを、前記気管チューブが備えるカフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、前記測定部が測定した前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道に挿管されつつある、または挿管されたことを判定する判定部、として機能させるプログラム。
【0037】
[20]カフの内部の気体量を制御する制御装置が備えるコンピュータを、気管チューブが備えるカフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、前記測定部が測定した前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する判定部、前記判定部が、前記気管チューブが前記気管に挿管されたと判定した判定結果に基づいて、気管内への前記気管チューブの留置を継続する場合、前記カフに接続され前記カフの内部の気体量を調整するポンプに、前記カフの内部へ気体を供給する指示をする指示部、として機能させるプログラム。
【0038】
[21]カフの内部の気体量を制御する制御装置が備えるコンピュータを、気管チューブが備えるカフの内部へ供給する気体量を指示する指示部、前記カフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、前記カフの内部の気体量に対する前記測定部が測定した前記内圧の変化率と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する判定部、として機能させるプログラム。
【0039】
[22]コンピュータを、気管チューブが備えるカフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、前記測定部が測定した前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道に挿管されつつある、または挿管されたことを判定する判定部、として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
【0040】
[23]コンピュータを、気管チューブが備えるカフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、前記測定部が測定した前記内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する判定部、前記判定部が、前記気管チューブが前記気管に挿管されたと判定した判定結果に基づいて、気管内への前記気管チューブの留置を継続する場合、前記カフに接続され前記カフの内部の気体量を調整するポンプに、前記カフの内部へ気体を供給する指示をする指示部、として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
【0041】
[24]コンピュータを、気管チューブが備えるカフの内部へ供給する気体量を指示する指示部、前記カフの内圧を検出する内圧センサの検出結果に基づいて、前記内圧を測定する測定部、前記カフの内部の気体量に対する、前記測定部が測定した前記内圧の変化率と、予め求められた判定基準とに基づいて、前記気管チューブが食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する判定部、として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、食道挿管になりそうな状態を速やかに判定し、食道挿管による不具合の発生を抑制可能とする判定装置を提供することができる。また、食道挿管による不具合の発生を抑制可能な制御装置、医療器具、人工呼吸システム、プログラムおよびプログラムが記録された記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、人工呼吸システム1000を示す模式図である。
【
図2】
図2は、気管挿管の様子を示す模式図である。
【
図3】
図3は、食道挿管の様子を示す模式図である。
【
図4】
図4は、制御装置2を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、制御装置2において行う処理について示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、挿管時のカフの内圧を測定した結果を示す図である。
【
図7】
図7は、食道挿管と判定したときの制御装置2の様子を示す模式図である。
【
図8】
図8は、気管挿管と判定したときの制御装置2の様子を示す模式図である。
【
図9】
図9は、制御装置2において行う処理について示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、カフ12の内部の気体量と、カフ12の内圧との対応関係を模式的に示すグラフである。
【
図12】
図12は、判定装置5において行う処理について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図10を参照しながら、本実施形態に係る制御装置、医療器具、人工呼吸システム、プログラムおよび記録媒体について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0045】
<医療器具、人工呼吸システム>
図1は、本実施形態に係る人工呼吸システム1000を示す模式図である。
図1に示すように、人工呼吸システム1000は、気管チューブ1と、制御装置2と、人工呼吸器3とを備える。気管チューブ1は、制御装置2と人工呼吸器3とに接続されている。
【0046】
人工呼吸器3は、気管チューブ1に接続するフレックスチューブ39を有する。人工呼吸器3は、公知の人工呼吸器を採用することができる。
【0047】
<気管チューブ>
気管チューブ1は、患者の気管に挿管し、気道を確保するために用いられる。気管チューブ1は、チューブ本体11、カフ12、インフレーションチューブ13、パイロットバルーン14、アダプタ15を有する。
【0048】
チューブ本体11は、一端部に設けられたアダプタ15を介して、フレックスチューブ39に接続する。チューブ本体11は、樹脂材料を用いて形成され、自由に湾曲可能である。チューブ本体11は、先端に開口部11aを有する。チューブ本体11は、チューブ本体11の側面にマーフィー孔と呼ばれる開口部をさらに有していてもよい。
【0049】
カフ12は、チューブ本体11の先端部に設けられた中空の(風船状の)構造体である。カフ12は、樹脂材料を用いて形成され、変形または膨張可能である。カフ12の形状に制限はなく、通常知られた種々の形状を採用することができる。
【0050】
カフ12は、内部空間に気体(空気)を入れることで膨らみ、内部空間から気体を除去することでしぼむ。カフ12は、気管チューブ1を気管に挿管した後、気管の内壁に接するほど膨らませることで、人工呼吸中のガスリークと、誤嚥とを抑制する。
【0051】
インフレーションチューブ13は、チューブ本体11の内部を介してカフ12に一端が接続され、カフ12の内部空間と連通している。インフレーションチューブ13は、樹脂材料を用いて形成され、自由に湾曲可能である。インフレーションチューブ13は、カフ12の内部空間への気体の供給と、カフ12の内部空間からの気体の除去と、に用いられ、カフ12の内部空間の気体量の調整経路として用いられる。
【0052】
パイロットバルーン14は、インフレーションチューブ13の他端に設けられた中空の(風船状の)構造体である。パイロットバルーン14は、樹脂材料を用いて形成され、変形または膨張可能である。パイロットバルーン14は、カフ12の内圧を簡易的に確認する際に用いられる。
【0053】
<制御装置>
制御装置2は、気管チューブ1が備えるカフ12の内部の気体量を制御する。制御装置2は、パイロットバルーン14を介しインフレーションチューブ13に接続する接続チューブ29を有する。
制御装置2については、後に詳述する。
【0054】
<医療器具>
気管チューブ1と制御装置2とが組み合わされた構成は、本発明における医療器具100に該当する。医療器具100は、パイロットバルーン14の膨張を規制する規制具101をさらに備える。規制具101は、パイロットバルーン14の膨張を規制するために、カフ12から制御装置2に繋がる経路を閉塞しない範囲において、パイロットバルーン14を変形させてもよい。
【0055】
このような規制具101としては、例えば、パイロットバルーン14を挟むクリップを挙げることができる。
【0056】
図2は、気管挿管の様子を示す模式図であり、
図3は、食道挿管の様子を示す模式図である。
【0057】
気管M1は、空気を取り入れるための管状の器官である。気管M1は、軟骨で支持されており、常に開口している。
【0058】
一方、食道M2は、消化管の一部であり食物が通過する管状の器官である。通常、食道入口部M21は閉じられている。また、食道M2は全体が扁平している。
【0059】
本発明は、上述のような気管M1と食道M2との構造の違いを利用し、気管挿管と食道挿管とを判定する。
【0060】
図2に示すように、患者Mの気管M1に気管チューブ1を挿管する際、気管チューブ1の先端に設けられたカフ12は、気管M1の内壁M11に接触することで内壁M11から圧力F1を受ける。
【0061】
対して、
図3に示すように、患者Mの食道M2に気管チューブ1を挿管すると、気管チューブ1の先端に設けられたカフ12は、食道M2の食道入口部M21および内壁M22に接触することで、食道入口部M21および内壁M22から圧力F2を受ける。
【0062】
このとき、常に開口している気管M1に挿管することでカフ12が受ける圧力F1と、通常閉じている食道M2に挿管することでカフ12が受ける圧力F2とを比べると、圧力F2のほうが大きいと想定される。
【0063】
発明者は、気管チューブ1が気管に挿管される場合のカフ12の内圧と、気管チューブ1が食道に挿管される場合のカフ12の内圧との違いから、内圧値を判定基準として、気管チューブ1が挿管されつつある、または挿管された箇所が、気管M1であるのか、食道M2であるのかを判定可能であるとの考えに至った。
【0064】
ここで、本明細書において「挿管されつつある」とは、気管チューブ1が気管M1または食道M2の内部に挿管されている途中であることを意味し、具体的にはカフ12が気管M1または食道M2の入り口から内部に侵入するときを意味する。
図2,3のように、気管チューブ1が食道M2に挿管されつつある場合には、圧力F2が大きく検出しやすい。
【0065】
また、「挿管された」とは、気管チューブ1が気管M1または食道M2の内部に達したことを意味し、具体的にはカフ12が気管M1の内壁M11または食道M2の内壁M22に接する位置に達したことを意味する。
【0066】
発明者は、上記考えに基づいて鋭意検討した後に、本発明を完成させた。
【0067】
図4は、制御装置2を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置2は、ポンプ21と、圧力センサ22と、記憶部23と、制御部24と、入力部27と、出力部28と、を有する。
【0068】
医師等の作業者が気管チューブ1を挿管する際には、以下の2種の操作を行う必要がある。制御装置2は、以下の2種の操作について作業者を補助する。
(1)気管チューブ1の挿管操作の際に、気管チューブ1が食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判断する。
(2)気管挿管された後、カフ12を膨らませ、気管にて気管チューブ1を留置する。
【0069】
本実施形態の制御装置2は、上記(1)の操作を補助する「第1モード」と、上記(2)の操作を補助する「第2モード」との2種の運転切り替えが可能となっている。
【0070】
ポンプ21は、不図示のインフレーションチューブ13および接続チューブ29を介してカフ12に接続されている。ポンプ21は、吸気および排気を行うことで、カフ12の内部の気体量の調整に用いられる。ポンプ21は、吸気および排気を行う1台であってもよく、吸気を行うポンプと排気を行うポンプの2台であってもよい。
【0071】
圧力センサ22は、不図示のインフレーションチューブ13および接続チューブ29を介してカフ12に接続されている。圧力センサ22は、カフ12の内圧を検出する。
【0072】
記憶部23は、上述の判定基準を記憶する。なお、
図4では、記憶部23を制御装置2の一構成として記載したが、これに限らない。記憶部23として、外部記憶メディアを用いてもよい。
【0073】
制御部24は、測定部241と、判定部242と、判断部243と、指示部244とを有する。制御部24は、制御装置2が有するコンピュータである。
【0074】
測定部241は、圧力センサ22で検出された検出結果を電気信号として受け取り、受け取った電気信号からカフ12の内圧を演算して求める。測定部241は、圧力センサ22において連続的に検出される検出結果を順次受け取り、カフ12の内圧を求める測定する。
【0075】
判定部242は、圧力センサ22にて測定されたカフ12の内圧と、記憶部23に記憶された判定基準とに基づいて、気管チューブ1が食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する。
【0076】
判断部243は、判定部242における判定結果と、入力部27から入力される指示の少なくとも一方を受け取り、ポンプ21を駆動させるかどうかの判断を行う。
【0077】
例えば、第1モードを選択する指示が入力された場合には、気管挿管の準備としてカフ12の内部の気体量を調節するために、適切なポンプ21の駆動条件を判断し、指示部244へ信号を供給する。
【0078】
また、第2モードを選択する指示が入力された場合には、判定部242において、気管チューブ1が食道挿管されつつある、または食道挿管されたと判定された場合、判断部243は、指示部244へ信号を供給しないと判断する。
【0079】
判定部242において、気管チューブ1が気管挿管されたと判断された場合、判断部243は、入力部27から入力される第2モードの選択指示を待つ。第2モードの選択が入力された場合には、適切なポンプ21の駆動条件を判断し、指示部244へ信号を供給する。
【0080】
指示部244は、判断部243から受け取った信号に基づいて、ポンプ21を駆動させる。
【0081】
入力部27は、制御装置2への指示を入力する入力ボタンや、制御装置2の電源スイッチなどを挙げることができる。入力部27が入力する指示としては、第1モードと第2モードとの切り替え、カフ12の内圧の設定などを挙げることができる。
【0082】
出力部28は、判定部242における判定結果を出力する。出力部28は、例えば、判定結果を表示する表示部、判定結果に応じて点灯または点滅する発光部、などの視覚的な出力を行う構成と、判定結果に応じてビープ音のような聴覚的な出力を行う構成と、を含む。
【0083】
図1に示す制御装置2は、出力部28としてディスプレイ281と、ランプ282とを有する。
【0084】
図5は、制御装置2において行う処理について示すフローチャートである。以下の説明では、適宜
図1~4に示した符号を用いる。
【0085】
まず、作業者は制御装置2の電源を入れ、運転モードとして第1モードを選択する(ステップS11)。
【0086】
第1モードの選択は、作業者が入力部27を介して行ってもよく、制御装置2の電源スイッチ(入力部27)を入れると、まず第1モードが選択されるように設定されていてもよい。
【0087】
判断部243は、入力部27から入力された指示が第1モードであることを判断し、指示部244に判断結果を供給する。指示部244は、判断部243から受け取った判断結果に基づいて、ポンプ21に駆動信号を供給し、気管挿管の準備用として予め設定された運転条件で、ポンプ21を駆動させる。
【0088】
次いで、ポンプ21は、指示部244から受け取った駆動信号に基づいて、まずカフ12の内部を減圧し、カフ12の内部の気体を外部に排出する(ステップS12)。
【0089】
この操作により、カフ12がしぼむ。指示部244は、カフ12の内部を減圧するポンプ21の運転を、予め定めた設定時間(例えば、5~10秒)だけ行うこととするとよい。
【0090】
次いで、ポンプ21は、指示部244から受け取った駆動信号に基づいて、カフ12の内部に少量の気体を供給する(ステップS13)。
【0091】
「少量」とは、気管チューブ1を気管M1の内部に留置する際に、カフ12に供給することでカフ12が気管M1の内壁M11へ密着可能となる量よりも少ない量である。
【0092】
気管挿管時には、気管チューブ1が声門を通過するが、カフ12が膨らんでいるとカフ12が声帯に接触し、声帯を傷つけるおそれがある。そのため、通常は、カフ12の内部を脱気しカフ12をつぶした状態、すなわちステップS12の後の状態で気管挿管の操作を行う。
【0093】
対して、本実施形態では、後述するカフ12の内圧検出のため、少量の気体をカフ12の内部に供給する。
【0094】
発明者の検討により、カフ12に供給する気体量は1mLでも十分機能することが確認されている。気管チューブ1が有するカフ12の材料やカフ12の大きさに応じて、「少量の気体」の量が異なると考えられるため、予め予備実験を行い、適切な量を設定しておくとよい。
【0095】
また、少量の気体をポンプ21でカフ12に供給することに変えて、ポンプ21の駆動を停止され、カフ12の内部を大気開放し、カフ12の内部に少量の空気を導入してもよい。カフ12の内部を大気開放すると、カフ12の形状やカフ12の形成材料に応じて、カフ12が弾性回復し、カフ12の内部に少量の気体を導入することができる。
【0096】
次いで、少量の気体でカフ12を膨らませた気管チューブ1を患者Mに挿管し、測定部241において挿管時のカフ12の内圧を検出する(ステップS14)。
【0097】
気管チューブ1の挿管時、カフ12が患者Mの気管M1または食道M2に接すると、カフ12に加わる圧力F1または圧力F2に応じて、カフ12の内圧が変化する。圧力センサ22は、カフ12の内圧を検出する。測定部241は、圧力センサ22の検出結果に基づいてカフ12の内圧を算出し測定する。
【0098】
図6は、挿管時のカフの内圧を測定した結果を示す図である。縦軸は、内圧の測定値(単位:mmHg)を表す。
【0099】
図6に示すデータは、予め本データ取得について内容を説明し、実施について了解を得た成人男女100人の患者に対して、研修医が気管挿管した際の結果である。
【0100】
男性患者に対しては内径7.5mm、女性患者に対しては内径7.0mmの市販の気管チューブを用いた。用いた気管チューブは同じメーカで同じ型番のものであり、カフ12の形状、材料の条件は同じである。
【0101】
測定では、カフ12の内部の空気をシリンジで除去した後、1mLの空気をカフ12内に供給した状態でインフレーションチューブに圧力トランスデューサを接続して、カフの内圧を確認した。挿管は、一般的な方法で患者を全身麻酔した後に行った。
【0102】
図6に示すように、気管挿管時のカフの内部圧力は、食道挿管時のカフの内部圧力と比べて優位に低く、カフの内圧から気管挿管と食道挿管とを判断可能であることが分かった。
図6の結果では、5mmHgをカットオフ値とすると、感度90%、特異度99%、全体の正確性98%で気管挿管と食道挿管とを判定可能であった。
【0103】
このようなカットオフ値を基準値(判定基準)として予め記憶部23に記憶させておく。記憶部23は、カフ12の形状や材質が異なる気管チューブ1の種類に応じて、予め複数の基準値を記憶しておくとよい。
【0104】
判定部242では、測定部241で求められたカフ12の内圧が、記憶部23に記憶された基準値を超えるか否かを判断し、基準値を超える場合には食道挿管、基準値を超えないならば気管挿管であると判定する(ステップS15)。
【0105】
カフ12の内圧が基準値を超え、食道挿管状態であると判定された場合、判定部242は、出力部28に警報(アラート)を出力するよう指示する。出力部28は、判定部242から受け取った駆動信号に基づいて、警報を出力する(ステップS16)。
【0106】
図7は、食道挿管と判定したときの制御装置2の様子を示す模式図である。
図7に示すように、制御装置2は、例えば、ディスプレイ281にエラー表示を行ったり、ランプ282を赤色に点滅させたりすることが考えられる。その他、不図示のスピーカからビープ音を出力してもよい。
【0107】
作業者は、出力部28の出力を確認することで、容易に食道挿管を確認することができる。また、カフ12の内圧の上昇は、食道入口部にカフ12が侵入する際には検出できる。そのため、作業者は、気管チューブ1が食道に挿管されつつある状態(気管チューブ1が食道M2に侵入するとき)において早期に認識し、食道挿管を抑制することができる。
【0108】
エラー表示やビープ音を確認した作業者は、気管チューブ1を抜管し、再度気管挿管をやり直す。これにより、食道挿管を抑制することができる。
【0109】
また、制御部24は、警報を出力した後、再度カフ内圧の測定、内圧と基準値とに基づいた判定を繰り返す(ステップS14~S16)。
【0110】
上記ループ処理のため、作業者が食道への気管チューブ1の挿管を継続しようとした場合、制御装置2は、作業者の操作の間、上述のエラー表示やビープ音を繰り返すこととなる。そのため、作業者が食道挿管に気が付きやすい。制御部24は、作業者が食道挿管に気が付きやすいように、ステップS14~S16の繰り返し回数の増加、すなわち食道挿管状態の継続時間の延長に応じて、ビープ音を徐々に大きくしてもよい。
【0111】
また、カフ12の内圧が基準値を下回り、気管挿管状態であると判定された場合、判定部242は、出力部28に合格を出力するよう指示する。出力部28は、判定部242から受け取った駆動信号に基づいて、合格であることを出力する(ステップS17)。
【0112】
図8は、気管挿管と判定したときの制御装置2の様子を示す模式図である。
図8に示すように、制御装置2は、例えば、ディスプレイ281に合格表示を行ったり、ランプ282を緑色に点灯させたりすることが考えられる。その他、不図示のスピーカから合格を表すチャイム音を出力してもよい。
【0113】
作業者は、気管挿管できたことを確認した後、所定の位置にまで気管チューブ1を挿管する。制御部24は、後述のモード切り替えまでの間、カフ内圧の測定、内圧と基準値とに基づいた判定、判定結果に基づいた合格出力を繰り返す(ステップS14~18)。
【0114】
作業者は、所定の位置にまで気管チューブ1を挿管した後、制御装置2の運転を、上記(2)の操作を補助する「第2モード」に切り替える判断を行い(ステップS18)、気管内への気管チューブ1の留置を継続する場合、入力部27から第2モードを選択する指示を行う(ステップS21)。
【0115】
第1モードから第2モードへの切り替え判断は、作業者が行ってもよく、制御部24が行ってもよい。
第1モードから第2モードへの切り替え判断を作業者が行う場合、例えば、判定部242において気管チューブ1が気管に挿管されたと判定した判定結果に基づいて、作業者は、気管チューブ1を留置すべき位置にまで挿管を行い、第2モードへの切り替えを行う。
【0116】
第1モードから第2モードへの切り替え判断を制御部24が行う場合、例えば、判定部242において気管チューブ1が気管に挿管されたと判定した判定結果に基づいて、所定時間経過後に、判断部243は第1モードから第2モードへの切り替え判断を行う。
【0117】
判断部243は、入力部27から入力された指示が第2モードであることを判断し、指示部244に判断結果を供給する。
【0118】
指示部244は、判断部243から受け取った判断結果に基づいて、ポンプ21に駆動信号を供給し、気管チューブの留置用として予め設定された運転条件で、ポンプ21を駆動させる。
【0119】
ポンプ21は、指示部244から受け取った駆動信号に基づいて、カフ12の内部に気体を供給する(ステップS22)。
【0120】
カフ12の内部に供給する気体の量は、公知の方法により、カフ12の内圧に基づいて管理するとよい。
【0121】
また、第2モードにおいては、以下のように追加判定を行ってもよい。
図9は、制御装置2において行う処理について示すフローチャートである。
【0122】
第2モードにおいては、カフ12の内部に気体を供給しながら、測定部241においてカフ12の内圧を連続して検出する(ステップS23)。
【0123】
上述したように、気管は、軟骨で支持されており、常に開口している。一方、食道は、全体が扁平しており、食道入口部M21は閉じられている。このような構造の違いにより、気体の供給に応じて膨らむカフ12は、気管チューブ1の挿管位置が気管であるか食道であるかに応じて、周囲から異なる圧力を受けると想定される。
【0124】
図10は、カフ12の内部の気体量と、カフ12の内圧との対応関係を模式的に示すグラフである。横軸は、カフ12へ供給する気体量を示し、縦軸は、カフ12の内圧を示す。カフ12へ供給する気体の供給速度が設定可能である場合、横軸は、気体の供給時間に換算することもできる。
【0125】
図10において、符号Aは、気管に挿入されている気管チューブ1のカフに気体を供給する場合の圧力変化を示し、符号Bは、食道に挿入されている気管チューブ1のカフに気体を供給する場合の圧力変化を示す。なお、
図10は模式図であり、縦軸の値を単純比較できるものではない。
【0126】
気管チューブ1が気管に挿入されている場合、挿管しただけであればカフ12の表面は、気管の内壁M11(気管粘膜)とわずかに接しているだけであると想定される。そのため、カフ12に気体を供給すると、
図10の符号Aで示すように、気体を供給し始めた段階では、内圧の上がり方は緩やかであると想定される。また、カフ12への気体の供給が進み、カフ12の表面の全周が気管の内面と触れるほどにカフ12が膨らむと、それ以降は内圧の上がり方が急峻になると想定される。
【0127】
一方、気管チューブ1が食道に挿入されている場合、カフ12の表面は食道の内壁M22(食道粘膜)に広範囲で接していると想定される。このような状態のカフ12の内部に気体を供給すると、カフ12は食道粘膜を押し広げながら膨張すると考えられる。そのため、カフ12に気体を供給すると、
図10の符号Bで示すように、気体を供給し始めた段階から内圧が高まりやすいと想定される。
【0128】
発明者は、気管チューブ1が気管に挿管されている場合のカフ12の内圧の変化率と、気管チューブ1が食道に挿管されている場合のカフ12の内圧の変化率との違いから、気管チューブ1が挿管された箇所が、気管M1であるのか、食道M2であるのかを判定可能であるとの考えに至った。この場合、気管挿管時のカフ12の内部の気体量に対する、カフ12の内圧の変化率を基準値(第2判定基準)として用いる。
【0129】
第2判定基準は、例えば、気体を供給し始めた段階における単位時間当たりの内圧の変化率や、
図10に示すグラフにおける、気体を供給し始めた段階の接線の傾きとして求めることができる。第2判定基準は、食道挿管状態と気管挿管状態とを判定できるように、予備実験において求めておく。
【0130】
判定部242では、例えば、測定部241で求められたカフ12の内圧について、単位時間当たりの変化率を求め、求めた変化率が記憶部23に記憶された基準値を超えるか否かを判断する。単位時間当たりの変化率が基準値を超える場合には食道挿管、基準値を超えないならば気管挿管であると判定する(ステップS24)。
【0131】
カフ12の内圧の変化率が基準値を超え、食道挿管状態であると判定された場合、判定部242は、出力部28に警報(アラート)を出力するよう指示する。出力部28は、判定部242から受け取った駆動信号に基づいて、警報を出力する(ステップS25)。
【0132】
判断部243は、判定部242において食道挿管状態であると判定された判定結果(気管チューブ1が食道に挿管されたことを判定した判定結果)と、入力部27から入力される指示の少なくとも一方を受け取り、ポンプ21を停止させる判断を行う。判断部243は、指示部244に判断結果を供給する。作業者は、内圧の変化をモニターしながら判定部242の判定よりもはやく食道挿管状態であることに気が付いた場合、入力部27から停止指示を入力してもよい。
【0133】
指示部244は、判断部243から受け取った判断結果に基づいて、ポンプ21に停止信号を供給してポンプ21を停止させ、カフ12への気体の供給を停止させる(ステップS26)。
【0134】
次いで、指示部244は、判断部243から受け取った判断結果に基づいて、ポンプ21に駆動信号を供給し、気管抜管の準備用として予め設定された運転条件で、ポンプ21を駆動させる。
【0135】
次いで、ポンプ21は、指示部244から受け取った駆動信号に基づいて、カフ12の内部を減圧し、カフ12の内部の気体を外部に排出する(ステップS27)。
【0136】
カフ12の内部の気体が排出された後、作業者は気管チューブ1を抜管し、気管挿管の操作をやり直す。これにより、食道挿管を抑制することができる。
【0137】
一方、カフ12の内圧の変化率が基準値を下回り、判定部242において、気管挿管状態であると判定された場合、判定部242は、出力部28に合格を出力するよう指示する。出力部28は、判定部242から受け取った駆動信号に基づいて、合格であることを出力する(ステップS28)。
【0138】
これにより、カフ12が気管M1の内壁に付着し、気管チューブ1が気管M1に留置される。
【0139】
挿管後に、カプノメーターを用いた呼気中の二酸化炭素濃度の監視や、胸腹部の聴診を行い、気管挿管を確認することが好ましい。
【0140】
以上のような構成の制御装置によれば、食道挿管による不具合の発生を抑制可能となる。
【0141】
また、以上のような構成の医療器具、人工呼吸システムによれば、上述の制御装置を備えるため、食道挿管による不具合の発生を抑制することができる。
【0142】
なお、制御装置2を第1モードとし気管チューブ1を挿管する際、カフ12に圧力F1またはF2が加わっても、カフ12の内圧変化に応じてパイロットバルーン14が膨張変形し、結果として内圧の変化量が検出しにくいことが考えられる。そのため、気管チューブ1の挿管時には、パイロットバルーン14の膨張を規制具101で規制しておくとよい。
【0143】
なお、上述のような制御装置2において、制御部24として用いるコンピュータにインストールされるプログラムは、コンピュータを、気管チューブ1が備えるカフ12の内圧を検出する圧力センサ22の検出結果に基づいて、内圧を測定する測定部241、測定部241が測定した内圧と、予め求められた判断基準とに基づいて、気管チューブ1が食道と気管とのどちらに挿管されつつある、または挿管されたかを判定する判定部242、判定部242が、気管チューブ1が気管に挿管されたと判定した判定結果に基づいて、気管内への気管チューブ1の設置を継続する場合、カフ12に接続されカフ12の内部の気体量を調整するポンプ21に、カフ12の内部へ気体を供給する指示をする指示部244として機能させる。さらにプログラムは、コンピュータを上述の判断部243としても機能させる。
【0144】
判定基準には、気管チューブ1が気管M1に挿管される場合の内圧と、気管チューブ1が食道M2に挿管される場合の内圧との違いに基づいて求められる基準値を採用する。
【0145】
上述のプログラムに記述された情報処理は、制御部24として用いるコンピュータに読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である測定部241、判定部242、指示部244、さらに判断部243として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態における制御装置2の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた制御装置2が構築される。
【0146】
[第2実施形態]
第1実施形態における制御装置2は、第1モードを行った後に第2モードを行い、第2モードにおいて食道挿管を判定可能としたが、第2モードのみを独立して行う制御装置としてもよい。
【0147】
第2実施形態における制御装置は、上述の
図4に示す制御装置と同様の構成を有している。第2実施形態の制御装置は、(2)気管挿管された後、カフ12を膨らませ、気管にて気管チューブ1を留置する際に、気管チューブ1が食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する。
【0148】
すなわち、第2実施形態の制御装置では、判定部242において、圧力センサ22で検出された内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、気管チューブ1が食道と気管とのどちらに挿管されたかを判定する。判定基準としては、カフ12の内部の気体量に対する、内圧の変化率を用いる。
【0149】
第2実施形態の制御装置の具体的な動作については、上記第1実施形態の第2モードと同じである。
【0150】
以上のような構成の制御装置によっても、食道挿管による不具合の発生を抑制可能となる。
【0151】
なお、上述のような判定装置において、制御部24として用いるコンピュータにインストールされるプログラムは、コンピュータを、気管チューブ1が備えるカフ12の内部へ供給する気体量を指示する指示部244、カフ12の内圧を検出する圧力センサ22の検出結果に基づいて、内圧を測定する測定部241、カフの12内部の気体量に対する測定部241が測定した内圧の変化率と、予め求められた判定基準とに基づいて、気管チューブ1が気管M1と食道M2とのどちらに挿管されたかを判定する判定部242として機能させる。
【0152】
判定基準には、気管挿管時のカフ12の内部の気体量に対する、カフ12の内圧の変化率を基準値を採用する。
【0153】
上述のプログラムに記述された情報処理は、制御部24として用いるコンピュータに読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である測定部241、判定部242、指示部244として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態における判定装置の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた判定装置が構築される。
【0154】
[第3実施形態]
図11は、本実施形態に係る判定装置5を説明する説明図であり、
図4に対応するブロック図である。本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0155】
図11に示すように、判定装置5は、圧力センサ22と、記憶部23と、制御部25と、出力部28と、を有する。判定装置5は、上述した第1実施形態の制御装置2から、食道挿管の判定に機能を絞った構成となっている。
【0156】
制御部25は、測定部241と、判定部242とを有する。制御部25は、判定装置5が有するコンピュータである。
【0157】
第1実施形態の制御装置2における圧力センサ22と、記憶部23と、出力部28と、測定部241と、判定部242とは、本発明における判定装置に該当する。
【0158】
気管チューブ1と本実施形態の判定装置5とが組み合わされた構成は、本発明における医療器具に該当する。
【0159】
図12は、判定装置5において行う処理について示すフローチャートであり、
図5に対応する図である。
【0160】
まず、作業者は、判定装置5に接続した気管チューブ1のカフ12から、シリンジを用いて気体を抜き、さらにシリンジを用いてカフ12の内部に例えば1mL程度の少量の気体を入れ、挿管の準備をする。
【0161】
次いで、少量の気体でカフ12を膨らませた気管チューブ1を患者Mに挿管し、圧力センサ22および測定部241を用いて、挿管時のカフ12の内圧を検出する(ステップS14)。
【0162】
判定部242では、測定部241で求められたカフ12の内圧が、記憶部23に記憶された基準値を超えるか否かを判断し、基準値を超える場合には食道挿管、基準値を超えないならば気管挿管であると判定する(ステップS15)。
【0163】
カフ12の内圧が基準値を超え、食道挿管状態であると判定された場合、判定部242は、出力部28に警報(アラート)を出力するよう指示する。出力部28は、判定部242から受け取った駆動信号に基づいて、警報を出力する(ステップS16)。
【0164】
また、カフ12の内圧が基準値を下回り、気管挿管状態であると判定された場合、判定部242は、出力部28に合格を出力するよう指示する。出力部28は、判定部242から受け取った駆動信号に基づいて、合格であることを出力する(ステップS17)。
【0165】
作業者は、気管挿管できたことを確認した後、所定の位置にまで気管チューブ1を挿管する。制御部25は、後述のモード切り替えまでの間、カフ内圧の測定、内圧と基準値とに基づいた判定、判定結果に基づいた合格出力を繰り返す(ステップS14~S19)。
【0166】
作業者は、所定の位置にまで気管チューブ1を挿管した後、判定装置5の判定処理を終了する(ステップS19)。
【0167】
所定の位置にまで挿管した気管チューブ1のカフ12には、公知の方法で気体が供給される。これにより、気管チューブ1が気管M1に留置される。
【0168】
以上のような構成の判定装置によれば、食道挿管による不具合の発生を抑制可能となる。
【0169】
なお、上述のような判定装置5において、制御部25として用いるコンピュータにインストールされるプログラムは、コンピュータを、気管チューブ1が備えるカフ12の内圧を検出する圧力センサ22の検出結果に基づいて、内圧を測定する測定部241、測定部241が測定した内圧と、予め求められた判定基準とに基づいて、気管チューブ1が食道M2に挿管されつつある、または挿管されたことを判定する判定部242として機能させる。
【0170】
判定基準には、気管チューブ1が気管M1に挿管される場合の内圧と、気管チューブ1が食道M2に挿管される場合の内圧との違いに基づいて求められる基準値を採用する。
【0171】
上述のプログラムに記述された情報処理は、制御部25として用いるコンピュータに読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である測定部241、判定部242として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態における判定装置5の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた判定装置5が構築される。
【0172】
第1実施形態の制御装置2において制御部24として用いるコンピュータにインストールされるプログラム、および第2実施形態の判定装置5において制御部25として用いるコンピュータにインストールされるプログラムは、外部の記録媒体外部の記憶媒体に格納されてもよい。
【0173】
記憶媒体としては、フレキシブルディスク、テープ媒体等の磁気記録媒体、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、USBメモリ、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。
【0174】
また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介してプログラムをコンピュータに提供してもよい。
【0175】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0176】
1…気管チューブ、2…制御装置、3…人工呼吸器、5…判定装置、11…チューブ本体、12…カフ、13…インフレーションチューブ、14…パイロットバルーン、21…ポンプ、22…圧力センサ、24,25…制御部、27…入力部、28…出力部、100…医療器具、101…規制具、241…測定部、242…判定部、243…判断部、244…指示部、282…ランプ、1000…人工呼吸システム、F1,F2…圧力、M1…気管、M11…(気管)内壁、M2…食道、M21…食道入口部、M22…(食道)内壁