IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中央エアゾール化学株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230927BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230927BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230927BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20230927BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20230927BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20230927BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230927BHJP
   C11D 17/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/44
A61K8/46
A61Q19/00
C11D1/02
C11D1/10
C11D3/18
C11D3/20
C11D17/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020142019
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037735
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591183935
【氏名又は名称】中央エアゾール化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-323258(JP,A)
【文献】特開2020-007304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
C11D1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液及び噴射剤を含む泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物であって、
前記原液が、
(A)水和発熱性物質を40質量%以上95質量%以下、
(B)常温で粉末状の界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下、
(C)常温で液状の両親媒性エステル油を0.1質量%以上8質量%以下、
(D)高級アルコールを0.1質量%以上8質量%以下、及び
(E)水分を0質量%以上5質量%以下、
含有し、
前記(B)成分が、前記原液に分散させて配合されてなる、
再発泡性を有する、泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項2】
前記(A)水和発熱性物質が多価アルコールである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記(A)水和発熱性物質がポリエチレングリコールを含む、請求項1又は2記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器から吐出されて泡状になる泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物に関し、特に洗浄の際に皮膚に付着している水分を利用し、水和熱により温感を有する泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
泡状の化粧料は、非泡系に比べて浸透性が高く、肌への負担も少ないといった効果があり、従来、洗顔料等の皮膚洗浄用化粧料や毛髪用化粧料等として使用されている。その他の用途においても泡状の化粧料は望まれているが、エアゾール容器に単に非泡系の化粧液と噴射剤を充填して吐出しても泡にはならず、液状で吐出されたり、原液が分離するといった問題があった。
【0003】
また、近年、温感作用による使用感の向上や、温感作用による血行促進によるマッサージ効果や洗浄効果の向上等を目的として、ホットクレンジングやホットマッサージジェル等の使用時に温感作用を有する種々の温感化粧料が提案されている。温感化粧料としては、水和熱を利用して発熱させているものが多いが、このような温感化粧料は水和熱を十分に利用するために水分をほとんど含まない為、泡立ちと伸びが悪く、また経時安定性が不安定であるという問題があった。
【0004】
一方、温感を有する泡沫状化粧料も検討されてきたが、従来、十分な泡沫を形成する為には比較的多量の水を含有させる必要があり、水和熱による温感作用が十分とはいえなかった。
水分を含まず、温感を得られるエアゾール組成物として、特許文献1は、泡状のクレンジング剤またはシェービングフォームとして好適に使用できる、水和発熱性物質、油分、界面活性剤および/又は高級アルコール、並びに噴射剤を含むエアゾール組成物を提案している。しかしながら、特許文献1記載のエアゾール組成物は、泡状に吐出された後、再度十分に泡立たせることができず、消泡が早いため液だれし易く、使い難さがあった。また、特許文献1記載のエアゾール組成物は水を含まない為、経時安定性が不安定であり、原液を保管後、原液が分離する等といった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-323258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、温感効果を有し、エアゾール容器から吐出されて良好な泡状になり、且つ泡状に吐出された後、再度泡立たせることが可能であるという再発泡性を有し、さらに経時安定性にも優れた泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物は、原液及び噴射剤を含む、泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物であって、前記原液が、(A)水和発熱性物質を40質量%以上95質量%以下、(B)常温で固形状の界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下、(C)常温で液状の両親媒性エステル油を0.1質量%以上8質量%以下、(D)高級アルコールを0.1質量%以上8質量%以下、及び(E)水分を0質量%以上5質量%以下、含有することを特徴とする。
【0008】
前記(A)水和発熱性物質が多価アルコールであることが、泡立ちをより向上させることができ、好適である。
また、前記(A)水和発熱性物質がポリエチレングリコールを含むことが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温感効果を有し、エアゾール容器から吐出されて良好な泡状になり、且つ泡状に吐出された後、再度泡立たせることが可能であるという再発泡性を有し、さらに経時安定性にも優れた泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物を提供することができるという著大な効果を奏する。
【0010】
また、本発明の泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物は、水和熱により温感を有し易く、温感作用による使用感の向上や、温感作用による血行促進によるマッサージ効果や洗浄効果の向上等の効果を奏する。さらに、本発明の泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物は、経時的に安定であり、吐出時の泡立ちが良く、良好な泡を形成し、泡の持ちを向上させることができ、さらに、泡状に吐出された後、再度泡立たせることが可能であるという再発泡性を有する為、泡の持続性をより向上させることができる為、伸ばしやすく使用しやすく、肌への負担が少ないという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0012】
本発明の泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物は、原液及び噴射剤を含む泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物であって、前記原液が、(A)水和発熱性物質を40質量%以上95質量%以下、(B)常温で固形状の界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下、(C)常温で液状の両親媒性エステル油を0.1質量%以上8質量%以下、(D)高級アルコールを0.1質量%以上8質量%以下、及び(E)水分を0質量%以上5%質量以下、含有するものである。
【0013】
前記(A)水和発熱性物質は、水和熱の発生による温感効果を得るために用いられるものであり、前記(A)水和発熱性物質としては、水との反応または水和により発熱するものであれば特に制限はなく、化粧料の分野で水和熱を発生する物質として知られる公知の成分を用いることができる。前記(A)水和発熱性物質としては、有機化合物が好適であるが、ゼオライトや、金属塩又は金属酸化物の無水物等の無機化合物も用いることができる。
【0014】
前記(A)水和発熱性物質に用いられる有機化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、アミレングリコール、ヘキシレングリコールなどのC2~C8アルキレングリコール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのC4~C16ジアルキレングリコール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのジ(アルキレン)グリコールモノ(アルキル)エーテル;置換基としてC2~C12アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基などを有するジアルキレングリコール誘導体(例えばジエチレングリコールジアセチル、ジエチレングリコールモノベンゾイルなど);グリセリンなどのC3~C9脂肪族トリオール;ポリエチレングリコール(例えば数平均分子量600以下であって液状のもの);ポリプロピレングリコール(例えば数平均分子量400~2000程度);エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体のブチルモノエーテル類などが挙げられる。ジ(アルキレン)グリコールモノ(アルキル)エーテルのアルキレン部分は、通常C1~C6程度である。ジ(アルキレン)グリコールモノ(アルキル)エーテルのアルキル部分は、通常C1~C6程度である。これらの中では、泡立ちの向上の効果の点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(特に数平均分子量400以下が望ましい)等が好ましく、グリセリンであるか或いはグリセリンを含む多価アルコールであることがより好ましい。(A)水和発熱性物質は、単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
【0015】
前記(A)水和発熱性物質の配合割合は、原液100質量%に対して、40質量%以上95質量%以下であり、60質量%以上90質量%以下が好ましく、75質量%以上90質量%以下がより好ましい。
【0016】
本発明において、前記(B)常温で固形状の界面活性剤を配合することにより、再発泡性を得ることができる。通常、吐出後の泡は、伸ばしていくと潰れてしまうが、前記(B)常温で固形状の界面活性剤を原液に分散させて配合することにより、再度泡立たせることができるという再発泡性を発揮し、泡の持続性をより向上させることができる。
【0017】
前記(B)常温で固形状の界面活性剤としては、公知の常温(25℃)で固形状態である界面活性剤を広く用いることができるが、粉末状の界面活性剤を用いることが好適である。粉末状の界面活性剤を原液に均一に分散させて配合することにより、優れた再発泡性を発揮することができる。
【0018】
前記(B)界面活性剤としては、例えば、常温で固形状の非イオン性界面活性剤、常温で固形状のアニオン性界面活性剤、常温で固形状の両性界面活性剤等が挙げられ、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイルグリセリル硫酸ナトリウム、オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム等が好ましい。前記(B)界面活性剤は1種でもよく2種以上組み合わせて用いても良い。
【0019】
前記(B)界面活性剤の配合割合は、原液100質量%に対して、0.1質量%以上10質量%以下であり、1質量%以上7質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0020】
前記(C)常温で液状の両親媒性エステル油としては、公知の常温(25℃)で液状であり、親水基と疎水基の両方を有するエステル油を用いることができる。本願明細書において、常温で液状とは、25℃における粘度が1~100,000mPa・sのものを意味する。前記(C)両親媒性エステル油を0.1質量%以上8質量%以下の範囲内で用いることにより、再発泡性の効果を維持しつつ、経時安定性を向上させることができる。
【0021】
前記(C)両親媒性エステル油としては、具体的には、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ヤシ油グリセレス-8エステルズ、アルガン油グリセレス-8エステルズ、アーモンド油グリセレス-8エステルズ、ホホバ油グリセレス-8エステルズ等が好適である。前記(C)両親媒性エステル油は1種でもよく2種以上組み合わせて用いても良い。
【0022】
前記(C)両親媒性エステル油の配合割合は、原液100質量%に対して、0.1質量%以上8質量%以下であり、1質量%以上5質量%以下が好ましく、1質量%以上3質量%以下がより好ましい。
【0023】
前記(D)高級アルコールとしては、例えば、C6~C24程度(好ましくはC12~20程度)の直鎖または分岐鎖アルコールが挙げられる。前記(D)高級アルコールは、一価の高級アルコールが好ましい。前記(D)高級アルコールは飽和アルコールであっても、不飽和アルコールであっても良い。前記(D)高級アルコールとしては、具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖または分岐鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコールなどの直鎖または分岐鎖不飽和直鎖アルコールなどが挙げられ、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコールが好ましい。前記(D)高級アルコールは1種でもよく2種以上組み合わせて用いても良い。
【0024】
前記(D)高級アルコールの配合割合は、原液100質量%に対して、0.1質量%以上8質量%以下であり、0.5質量%以上6質量%以下が好ましく、1質量%以上3質量%以下がより好ましい。前記(D)高級アルコールを0.1質量%以上8質量%以下の範囲で配合することにより、経時安定性を維持しつつ、増粘により泡立ちや泡の持ちを向上させ、消泡しにくくすることができる。
【0025】
前記(E)水分としては、精製水が好ましい。
本発明の組成物において、前記(E)水分が原液中に含まれない、即ち、原液100質量%に対して、水分が0質量%の水非含有でもよく、5質量%以下の範囲で(E)水分が含まれていてもよいものであるが、安定性の向上の点から1質量%以上5質量%以下の範囲で(E)水分を含むことが好適であり、1質量%以上3質量%以下の範囲で(E)水分を含むことがより好適である。(E)水分が5質量%を超えると、温感が損なわれるという問題が生じる。
【0026】
前記原液には、上記(A)~(E)成分に加えて、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、増粘剤、油剤、抗炎症剤、保湿剤、乳化助剤、アルコール類、粉体、防腐剤、酸化防止剤、色素、pH調整剤、皮膜形成剤、樹脂、紫外線吸収剤、美白剤、抗菌剤、キレート剤、香料、血行促進剤等を配合してもよい。
【0027】
前記原液の粘度は特に制限はないが、吐出時の泡立ちや液だれの防止の点から常温(25℃)において1mPa・s~1500mPa・sが好ましい。
【0028】
前記噴射剤としては、エアゾールに用いられる公知の噴射剤を用いることができるが、LPG、ジメチルエーテル、フロン、窒素、及び二酸化炭素から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0029】
前記原液と前記噴射剤との質量比は、原液/噴射剤=80/20~97/3の範囲が好ましく、90/10~97/3の範囲がより好ましい。上記範囲とすることにより、原液と噴射剤との分離や吐出時の飛散を防ぎ、良好な泡を形成することができる。
また、エアゾールの25℃での内圧は0.40MPa~0.65MPaが好ましく、0.50MPa~0.60MPaがより好ましい。上記範囲が泡の形成に有効である。
【0030】
本発明の泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物は、前述の(A)~(E)成分を所定の範囲で含む原液と、噴射剤とを含むものであり、エアゾール容器(耐圧容器)に原液と噴射剤を充填することにより製造される。エアゾール容器に充填された前記泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物は、洗顔フォーム、シャンプー、ボディフォーム等の使用時には泡状に吐出される温感皮膚洗浄用化粧品として好適に用いられる。
【実施例
【0031】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0032】
(実施例1~9)
表1に示す配合割合(質量%)にて各成分を配合し、均一に混合して原液を調製した。調製した原液を用い、原液95質量%、噴射剤(LPG)5質量%の割合でエアゾール缶に充填し、本発明の泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物(本品)を調製した。
得られた泡沫状エアゾール温感皮膚洗浄用組成物に対して、エアゾールとして下記方法により、各種評価試験を行った。また、原液に対して、下記の経時安定性試験を行った。エアゾールの25℃での内圧は0.50MPa、35℃での内圧は0.80Mpaであった。
【0033】
<泡立ちの評価試験>
本品からの吐出時の泡を目視にて評価した。結果を表2に示す。評価基準は下記の通りである。
〇:泡の持ち及び弾力が良い状態、△:泡のへたりが速い、×:吐出してすぐ消泡。
【0034】
<再発泡性の評価試験>
300mLのメスシリンダーに本品から2.0g吐出し、精製水を30.0g加え、上下に20回振り混ぜ、再度発泡させた。その後、30秒静置した後、泡の高さを測定し、下記評価基準にて評価を行った。高さを測定する際、静置中に離水した部分は含まず測定し評価を行った。結果を表2に示す。
〇:泡の高さが8cm以上、△:泡の高さが6cm以上8cm未満、×:泡の高さが6cm未満。
さらに、被験者10人により、使用感に関する官能評価を行った。結果を表3に示す。使用感の評価基準は下記の通りである。
〇:使用中に再発泡性を十分に感じたと評価した。
△:使用中に再発泡性を感じたが物足りないと評価した。
×:使用中に再発泡性を感じず消泡していくと評価した。
【0035】
<温感の評価試験>
皮膚を水で濡らした後、該皮膚に本品から吐出された泡状物が触れた際に温感を得られた度合いを官能評価で評価した。結果を表2に示す。評価基準は下記の通りである。
〇:十分温かいと感じる、△:少し温かさを感じる、×:温かさを感じない。
【0036】
<経時安定性の評価試験>
原液を室温(25℃)にて所定期間保管し観察し評価を行った。結果を表2に示す。評価基準は下記の通りである。
◎:1週間以上安定している。
〇:5日以上安定し、1週間未満で安定性が悪くなる。
△:2日以上安定し、5日未満で安定性が悪くなる。
×:2日未満で安定性が悪くなる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
表3に示した如く、再発泡性が8cm以上あるものは実際の使用感でも再発泡性を感じると評価を得た。
表2に示した如く、実施例1~8は全てにおいて優れた結果を示した。また、吐出時の飛散や液だれもなかった。
実施例9は粘度が高く吐出時の泡立ちが実施例1~8に比べて劣っていた。
【0041】
(比較例1~6)
原液の調製を、表4に示す配合組成(質量%)に変更した以外は実施例1と同様の方法により、原液及びエアゾールを調製し、評価試験を行った。結果を表5及び表6に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
表6に示した如く、再発泡性が8cm以下の物は、再発泡性を物足りないと感じるという事もあり8cm以上の物が良いと評価した。
表5に示した如く、比較例1は(B)界面活性剤が含まれておらず、再発泡性を得られなかった。
比較例2は(C)両親媒性エステル油が含まれておらず、経時安定性が悪かった。
比較例3は(C)両親媒性エステル油を多量に含んでおり、再発泡性が無くなっていた。
比較例4は(D)高級アルコールが含まれておらず、吐出時の泡立ちが悪かった。
比較例5は、(D)高級アルコールを多量に含んでおり、経時安定性が悪かった。
比較例6は(C)両親媒性エステル油を含まず、代わりに流動パラフィンを両親媒性を有さない油剤として配合したものであり、温感は得られたが、泡立ち、再発泡性及び経時安定性のいずれも悪かった。
【0046】
(比較例7~16)
原液の調製を、表7に示す配合組成(質量%)に変更した以外は実施例1と同様の方法により、原液及びエアゾールを調製し、評価試験を行った。結果を表8及び表9に示す。
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
比較例7~9、11、13、14及び16は、(B)常温で固形の界面活性剤を含まず、代わりに、液状又は水溶液物の状態の界面活性剤を用いて、原液中の水の量を実施例1と同量になるように調整し試験したが、再発泡性が弱かった。
比較例10、12及び15は、(B)常温で固形の界面活性剤を含まず、代わりに、水溶液物の状態の界面活性剤を界面活性剤の量(水を換算しない量)が実施例1と同程度となるように調製した試験だが、水が多いため泡立つが温感が感じられなかった。