(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】カルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/00 20060101AFI20230927BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230927BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230927BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20230927BHJP
A61K 35/612 20150101ALI20230927BHJP
A61K 35/618 20150101ALI20230927BHJP
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A61K 47/10 20170101ALI20230927BHJP
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A61P 3/10 20060101ALI20230927BHJP
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A61P 35/00 20060101ALI20230927BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230927BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20230927BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61K35/00
A61K8/19
A61K8/34
A61K8/98
A61K35/612
A61K35/618
A61K47/02
A61K47/10
A61P1/16
A61P3/06
A61P3/10
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A61P11/00
A61P13/00
A61P13/02 105
A61P13/08
A61P13/12
A61P15/00
A61P17/00
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A61P17/14
A61P19/02
A61P19/06
A61P21/00
A61P21/02
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/28
A61P27/02
A61P31/10
A61P35/00
A61Q5/12
A61Q7/00
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020528501
(86)(22)【出願日】2017-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2017096095
(87)【国際公開番号】W WO2019024112
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-02-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】520041817
【氏名又は名称】趙建国
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙建国
(72)【発明者】
【氏名】何志慶
【合議体】
【審判長】冨永 みどり
【審判官】星 功介
【審判官】松波 由美子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105327267(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104873844(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107349227(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/
A61K 36/
A61K 35/
PubMed
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法であって、
前記カルシウム系イオン溶液と白酒とを含む溶液で漢方方剤を浸漬し、
前記カルシウム系イオン溶液
と白酒とを含む溶液におけるカルシウムイオンの濃度は、0.56~1.82質量%であり、前記白酒は、アルコール度数が60度の白酒であり、
前記カルシウム系イオン溶液は、貝殻を希塩酸溶液に浸漬して得られ、
前記貝殻は、牡蠣、カラスガイの殻、真珠、石決明、海蛤、文蛤、蛤、アカガイ、シャコガイ、ムラサキイガイ、田螺、蝸螺、エビの殻、カニの殻のうちの1種又は複数種であることを特徴とするカルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法。
【請求項2】
前記漢方薬は、シミ取り、目の下のたるみ解消、皮膚美白、抜け毛防止発毛液
、又はフケ取り
のための漢方薬、又は痛風、白斑、湿疹、乾癬、皮膚のかゆみ、関節炎と退行性病変、足部燥湿、足白癬、足部経絡疏通、女性乳腺過形成、ストレッチマーク、前立腺炎、皮膚がん、高血糖、高脂血症、前立腺肥大症、尿路感染症、慢性腎炎、タンパク尿、子宮筋腫、肺結節、肝嚢胞、胆石、脂肪肝、神経衰弱、腫瘍、頸椎症、首・肩・腰・足の痛み、筋肉痙攣、肩関節周囲炎、スポーツ筋損傷、男性性機能、パーキンソン病、脳心血管疾患、三叉神経痛、乳腺炎、帯状疱疹後遺症-神経性疼痛、アルツハイマー病、
又は眼疾患を治療する漢方
薬であることを特徴とする請求項1に記載のカルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方薬炮製分野に属し、具体的には、カルシウム系イオン溶液を用いる漢方薬の炮製方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2,500年前の中国医学大著『黄帝内経』において、経絡という重要な概念は本書全体を貫いており、灸法、石鍼術(即ち、石で疾患を治療する医術)、及び導引術(ある古い気功)の3つの古い医療方法が記載されている。経絡は、この3つの医術が施されるときに助けを借りられる通り道である。『黄帝内経』には、「気血を運行し、陰陽を平衡に保ち、筋骨を潤し、関節を利し、臓腑及び表裏上下を連結し、病邪を伝送するなど」の経絡の機能も述べられている。西晋時代(紀元265年から317年)、皇甫謐の『鍼灸甲乙経』には、臓腑、経絡などの理論が詳しく述べられている。唐朝時代(紀元581年から682年)、孫思粋の『千金方』、『千金翼方』には、経穴の配伍及び応用が述べられている。清朝時代(紀元1742年)、呉謙の『医宗金鑑』には、経絡治療の実例を挙げて、臓腑と経絡の関係及び応用が体系的に述べられている。
【0003】
現代の『中医内科』には、経絡について「経絡は、人体内における気血を運行する通り道であって、人体の全ての内臓、器官、孔穴及び皮毛、筋肉、骨格などの組織を、統一的な全体が形成されるように緊密に連絡するものである」と述べられている。従って、経絡は、人体の生理的機能、病理的変化、症状の表現現れ、診断根拠などにある程度の関係がある。経は経絡の主体であり、経脈とも呼ばれる。主に12本の経脈、及び任脈と督脈の“穴があり、これらは、「十四経穴」とも呼ばれる。各経脈は、臓腑と特定の関係がある。これらの陰経と陽経とが互いに連結して表裏関係をなす。「経穴」は、経絡上の点であって、経気が注いで集まる所である。
【0004】
中医学の「帰経」理論によると、人体の臓腑は、薬物の性味に対して選択的に吸収するという特性を有する。これは、臨床投与の指導に対して非常に重要な意義を有する。経口薬は、消化管に入った後、経絡を通して対応する臓腑に運ばれて効果を発揮する。伝統的な漢方薬は、経口投与又は皮膚への塗布により使用されており、通過率及び吸収率の影響により、漢方薬の経絡塗布による投与の効果は不十分であった。
【0005】
漢方薬の炮製品質は薬物の治療効果に直接影響を与えるため、漢方薬の炮製方法は、中国の各時代の名医に非常に重要視されていた。中国後漢の医者張仲景は、薬を煎じるための水を雨水、千揚水などの複数種類に分けた。徐霊胎は、「薬の煎じ方は特に大切であり、効果が出るかどうかはそれ次第である」と考えていた。李時珍は、不適切な煎じ方による悪影響について、「高級な材料を使って処方通りに煎じ薬を炮製したとしても、慎重に処理しないことで、水の量や加え方が間違ったり、火加減をうまく調節できなかったりすると、効果は出ない」と指摘した。上記から分かるように、炮製(煎煮)の過程には炮製品質を決定する要素が多くあり、炮製品質が漢方薬の薬効の発揮を決定することを、古代人は既に認識していた。
【0006】
漢方薬の炮製過程において、主に薬物の有効成分の溶出、及び薬物における様々な生理活性成分同士の化学反応の2種類の変化が発生する。そのため、煎じ薬の炮製方法には、注意すべきところが多くある。
【0007】
浸漬は、漢方薬炮製における重要で肝心な工程である。中薬飲片を煎じる前に浸漬することにより、有効成分が十分に溶出することができ、煎じ時間が短縮されることで、煎じ時間が長すぎることによる有効成分の一部の損失、破壊が回避される。ほとんどの薬材は冷水で浸漬することが好適である。薬材を薬鍋内に入れて平らにし、そして常温の水(室温の水)を、薬材を軽く押すと水面が薬材の上面よりも約2cm高くなる量だけ加え、60分間浸漬する。浸漬は、薬剤が水に完全に浸透されたことを原則とする。夏は気温が高いので、薬剤の腐敗を避けるために、浸漬時間が長すぎてはいけないが、冬は浸漬時間が適度に長くなってもいい。漢方薬の浸漬には、沸騰したお湯を使ってはいけない点に特に注意すべきである。
【0008】
伝統的な漢方薬の炮製過程では、浸漬用水の選択についても一般的に認められた基準がある。即ち、漢方薬を煎じる水及び浸漬用の水は無臭であり、清く澄み、ミネラル及び不純物の含有量が少ない必要がある。一般的には、飲用水として使用可能な水であれば、漢方薬の煎煮に用いることができる。例えば、澄み切った泉水、河水及び水道水を使用することができる。井水は、水質が良い井水でなければならない。伝統的な考え方では、不純物の混入を減少し、水中のカルシウム、マグネシウムなどのイオンと薬材の成分との沈殿反応を防止するために、精製及び軟化をなされた飲用水を用いることが最も好ましい。
【0009】
このような伝統的な考え方の影響により、浸漬用水として、通常、成分が相対的に単一な水道水又は精製水は使用されており、ミネラルが多く含まれる水溶液はほとんど使用されることはない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の目的は、カルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法を提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、カルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法により炮製して得られた漢方薬の投与方法が経皮膚経絡投与である投与方法を提供することである。
【0012】
本発明の第3の目的は、漢方薬の経絡浸透率及び吸収率を向上させる漢方薬炮製用の浸漬液を提供することである。
【0013】
本発明の第4の目的は、漢方方剤である経皮膚経絡投与塗布薬の製造における漢方薬炮製用の浸漬液の使用を提供することである。
【0014】
本発明の第1の目的を達成するために、本発明によれば、カルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法であって、カルシウム系イオン溶液と白酒とを含む溶液で漢方方剤を浸漬し、前記カルシウム系イオン溶液は、カルシウムイオンの質量パーセント濃度が0.3%-10%の溶液であり、前記白酒は、アルコール度数が35-75度の白酒である方法が提供される。
【0015】
好ましい実施形態において、前記カルシウム系イオン溶液は、貝殻を希塩酸溶液に浸漬して得られ、前記貝殻は、牡蠣、カラスガイの殻、真珠、石決明、海蛤、文蛤、蛤、アカガイ、シャコガイ、ムラサキイガイ、田螺、蝸螺、エビの殻、カニの殻のうちの1種又は複数種である。
【0016】
好ましい実施形態において、前記漢方薬は、シミ取り、目の下のたるみ解消、皮膚美白、抜け毛防止発毛液、フケ取りコンディショナー、痛風、白斑、湿疹、乾癬、皮膚のかゆみ、関節炎と退行性病変、足部燥湿、足白癬、足部経絡疏通、女性乳腺過形成、ストレッチマーク、前立腺炎、皮膚がん、高血糖、高脂血症、前立腺肥大症、尿路感染症、慢性腎炎、タンパク尿、子宮筋腫、肺結節、肝嚢胞、胆石、脂肪肝、神経衰弱、腫瘍、頸椎症、首・肩・腰・足の痛み、筋肉痙攣、肩関節周囲炎、スポーツ筋損傷、男性性機能、パーキンソン病、脳心血管疾患、三叉神経痛、乳腺炎、帯状疱疹後遺症-神経性疼痛、アルツハイマー病、眼疾患を治療する漢方薬、及びヨモギ抽出液によって治療される関連疾患を治療する漢方薬である。
【0017】
本発明の第2の目的を達成するために、本発明によれば、カルシウム系イオン溶液を用いて漢方薬を炮製する方法により炮製して得られた漢方薬の投与方法が経皮膚経絡投与であることが開示される。
【0018】
本発明の第3の目的を達成するために、本発明によれば、漢方薬炮製用の浸漬液であって、該浸漬液は、カルシウム系イオン溶液と白酒とを含む溶液であり、前記カルシウム系イオン溶液は、カルシウムイオンの質量パーセント濃度が0.3%-10%の溶液であり、前記白酒は、アルコール度数が35-75度の白酒である漢方薬炮製用の浸漬液が開示される。
【0019】
好ましい実施形態において、前記カルシウム系イオン溶液は、貝殻を希塩酸溶液に浸漬して得られ、前記貝殻は、牡蠣、カラスガイの殻、真珠、石決明、海蛤、文蛤、蛤、アカガイ、シャコガイ、ムラサキイガイ、田螺、蝸螺、エビの殻、カニの殻のうちの1種又は複数種である。
【0020】
本発明の第4の目的を達成するために、本発明によれば、漢方方剤である経皮膚経絡投与の塗布薬の製造における漢方薬炮製用の浸漬液の使用が開示される。
【0021】
好ましい実施形態において、前記漢方薬は、高血糖、高脂血症、前立腺肥大症、尿路感染症、慢性腎炎、タンパク尿、子宮筋腫、肺結節、肝嚢胞、胆石、脂肪肝、神経衰弱、腫瘍、頸椎症、首・肩・腰・足の痛み、筋肉痙攣、肩関節周囲炎、スポーツ筋損傷、男性性機能、パーキンソン病、脳心血管疾患、三叉神経痛、乳腺炎、帯状疱疹後遺症-神経性疼痛、アルツハイマー病、眼疾患を治療する漢方薬、及びヨモギ抽出液によって治療される関連疾患を治療する漢方薬である。
【0022】
本発明によれば、「カルシウム系イオン溶液+白酒」を含む浸漬液で漢方薬を浸漬して抽出された製剤は皮膚浸透を促進する作用を有し、新しい投与形態(方法)及び投与経路を提供することにより、伝統的な漢方方剤が皮膚から経絡経穴への浸透によっては投与できないという問題が解決される。カルシウム系イオン溶液と白酒により漢方薬を炮製することにより、一部の内服漢方薬(煎じ薬、既製薬)は、投与形態が変わり、外用で治療効果を達成できるため、漢方薬の内服による腸胃に対する刺激、肝腎損傷が回避され、内病外治の効果が得られる。
【0023】
1.本発明の溶液で浸漬された漢方薬製剤は、皮膚に塗布されることにより、患部局所周囲の神経に対して神経性疼痛を抑制することができるため、人体神経性刺痛などの症状を治療することができる。
【0024】
2.本発明の溶液で浸漬された漢方薬製剤は、皮膚に直接吸収され得るため、一部の内服漢方薬(煎じ薬、既製薬)の経腸投与の投与形態を変えることにより、漢方薬の経口投与による胃腸に対する刺激、肝腎に対する副作用、並びに胃腸内の酵素及び腸内フローラによる薬性の変化が回避される。
【0025】
3.中医の「帰経」理論によれば、本発明の溶液で浸漬された漢方薬製剤は、皮膚の経絡穴位に直接スプレーすることができ、皮膚から経絡穴位へ浸透させる投与方法により、製剤の有効成分は、経絡に吸収され、対応する臓腑の局所環境が変化し、臓腑機能が修復されるか又は回復する。これにより、臓腑病症の治療という目的が達成され、投与形態がより直接的で、治療効果がより顕著になる。
【0026】
4.本発明の溶液で製剤を抽出する方法により、薬材の使用効率は大幅に向上する。実際、実験により、従来の一日の用量(一剤薬)で1クール、即ち15日使用できることが実証されている。このように、薬材資源の利用率が向上し、漢方薬材の保護及び合理的利用に対して重要な意義を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】真珠を抽出して得られたカルシウム系イオン溶液における各イオン含有量の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに説明する。下記実施例で使用される実験方法は、特に指定がない限り、従来方法である。下記実施例で使用される材料、試薬などは、特に指定がない限り、いずれも市販品である。これらの実施例は、本発明を説明するものに過ぎず、本発明の範囲を制限しないことが理解されるべきである。
【0029】
(一)概要
本発明で使用されるカルシウム系イオン溶液は、貝殻類、エビやカニの殻類から抽出された活性有機親水性イオン液体であり、浸漬用容器は、非金属蓋付容器である。
【0030】
1.本発明の的カルシウム系イオン溶液は、液体中のカルシウム含有量をイオン液希釈濃度測定の標準値(原液含有量は20%である)とする。例えば、酒とカルシウム系イオン原液の比重が0.92:1.364/mlである場合、カルシウム含有量は20%(極値)である。1部のカルシウム系イオン原液が3部の60度白酒で希釈されると、イオン化カルシウム含有量は5%となる。これから類推し、或いは比重により必要な希釈イオン液の濃度を計算することができる。特に指定がない限り、本発明で使用される白酒はソルガム、小麦を発酵させた35度以上の完全穀物製食用酒であり、好ましくは60度の白酒である。
【0031】
2.カルシウム系イオン溶液を0.3%-10%に希釈した後使用する。異なる病症、用途によって、イオン化カルシウム含有量の閾値は異なる。
【0032】
(二)溶液で漢方薬を浸漬する前の工程及び方法
A.漢方薬浸漬前に前処理が必要である。
(1)浸漬前に35度-75度の白酒で洗浄して埃、不純物を除去する。
(2)一部の種実は、皮を剥き、コアを取り除き、粉砕する必要がある。根茎は、特定の長さに切断する必要がある。一部の昆虫は、頭、足、翼を取り除く必要がる。特定の薬草は、方剤の要求に従って初期の「炮製」加工(例えば、蜜炙、酒処理、酢処理など)を行う必要がある。
(3)水洗浄は禁止。漢方薬が水を吸収すると、酒精濃度が下がり、抽出効果に影響を与えるため、皮膚浸透及び経絡伝送の効果は低下する。
【0033】
B.カルシウム系イオン液用の60度白酒を必要な濃度に希釈し、十分に撹拌した後浸漬する。
【0034】
C.患者の病症に応じて、異なる漢方方剤を選択する(方剤における薬の性味は、臓腑が属する経絡に適合し、「帰経」の臨床指導を満たす必要がある)。漢方薬を特定濃度のカルシウム系イオン液に浸漬し、完全に浸漬された後、抽出された製剤を対応する穴位にスプレーする(軽く叩くか、又はマッサージして吸収を促進する)。適量で1日に2回投与することが薦められる。過剰に使用すると、皮膚アレルギー反応が発生しうるからである。投与停止から2、3日後、正常に回復する。長時間過剰使用すると、皮膚に石灰化現象が発生し、投与停止の2週間内で正常に回復する。本発明は、主に各種の臓腑炎症、腫瘍、脳心血管系などの慢性疾患、神経性疼痛、首、肩、腰、脚疾患に対して治療を提供する。
【0035】
(三)比較試験
例:前立腺肥大症治療液
1.被験者:10人を5人/群でA群とB群の2群に分けた。
2.サンプル製剤:浸漬溶液が異なる以外、その他の条件が同じである方法により調製されたA液とB液。
3.A溶液:カルシウム系イオン液と白酒とからなる溶液で漢方薬を浸漬して得られた製剤。
4.B溶液:単なる白酒溶液で漢方薬を浸漬して得られた製剤。
5.A群被験者では、任脈石門穴(臍の下指二本の部位)にA液を、1日に2回、1回につき6度(約1mlの用量)で1クール(15日間)スプレーした結果、効果が顕著であった。
6.B群被験者では、任脈石門穴にB液を、1日に2回、1回につき6度(約1mlの用量)で1クール(15日間)スプレーした結果、効果が出なかった。投与停止から1週間後、同じ方法でA液を1クール使用した結果、効果が顕著であった。
7.試験の結論:「カルシウム系イオン液+白酒」で浸漬された漢方薬製剤は、皮膚浸透を促進する作用を有する。
8.使用上の注意(禁忌):アレルギーのある患者には慎重に投与する。
【0036】
(四)カルシウム系イオン溶液と白酒とからなる溶液の皮膚浸透の促進作用及び薬理機能
1.カルシウム系イオン溶液は、主元素のCa2+と、Na+、Mg2+、K+、Cl-、Br、Sなどから構成される。人体細胞には、Ca2+、Na+、K+、Cl-イオンチャネルがあり、皮膚外で特定の閾値までイオンが集まると、細胞膜内のイオンが影響され、細胞膜の内側と外側のイオン交換が速くなり、薬液の浸透が促進される。よって、カルシウム系イオンは、皮膚組織の透過性を向上させることができる。
【0037】
2.カルシウム系イオン溶液は、皮膚浸透の促進作用に加え、その自体の性味を保持している。カルシウム系イオン溶液は、貝殻類から抽出された活性親水性イオンであり、つまり、母体が貝殻であるため、貝殻の天然特性を持っている。『本草綱目』には、「牡蠣「性味」鹹、平、微寒、無毒。「主治」痰を化し、堅を柔らかくし、熱を清し、湿を除き、心脾の気痛、痢下、赤白濁を止め、疝カ積塊(shan jia ji kuai)、エイビョウ結核を消す」と記載されている。各時代の方剤のいずれにも牡蠣が軟堅散結の重要な薬とされていた(貝殻によって、性味、効果が異なる)。
【0038】
3.白酒については、『中国医学大辞典』には、「酒は、散寒滞・開鬱結・消飲食・疏経絡・調和営衛の功を有する」と記載されている。『実用薬性辞典』には、「酒は、通血脈、助薬力の功を有する重要な薬である」と記載されている。『漢方薬学』には、「酒。性味:苦、甘、辛;大熱、入十二経;機能:和血通絡、助薬力。主治:筋絡痙攣痛などの症状」と記載されている。
【0039】
(五)貝殻から化学反応により本発明のイオン溶液を得る方法
CaCO3+2HCl=CaCl2+H2O+CO2↑(+丁液)
原理:炭酸カルシウムと塩酸とが反応して塩化カルシウム、二酸化炭素及び水を生成し、固体の炭酸カルシウムから液体の塩化カルシウム溶液に変換する(この溶液は、検出された結果、Na+、Ca2+、Mg2+、K+、Cl-、Br、S及びタンパク質を含む)。貝殻の遺伝子プログラムにより自然に形成された複数のイオンを含む溶液は、「カルシウム系イオン溶液」と呼ばれる。
【0040】
配合比例とプロセスの簡単な説明
A.1Kg貝殻→洗浄、ブロードライ、3-5mmの塊状物への粉砕→6000ml希塩酸溶液(塩酸溶液濃度:3.5%以下)での浸漬→回転化学反応系→イオン液(一次製品)。
B.イオン液(一次製品)→三段階真空濾過→噴霧乾留→カルシウムイオンが20%濃度(原液)に達し→使用まで保存。
注:過程全体は、非金属容器及び非金属導管中で操作を行う。
【0041】
本発明で使用されるカルシウム系イオン溶液は、有機体の貝殻類から得られた有機物と無機物全体の組み合わせであり、その作用は単なるイオン配合により得られた溶液よりも良い。
【0042】
真珠から抽出されたカルシウム系イオン溶液における各イオン含有量の測定結果を
図1に示す。
【0043】
貝殻性味分類:(『本草綱目』から抜粋;「主治」原文を参照)。
(1)牡蠣:「性味」鹹、平、微寒、無毒。貝母は、補薬として、甘草、牛膝、遠志、蛇床子の効果を増強させ、麻黄、辛夷、呉朱萸、伏ソウ砂(fu cong sha)の効果を抑制する。
(2)カラスガイの殻:「性味」鹹、寒、無毒。
(3)真珠:「性味」鹹、甘、寒、無毒。
(4)石決明:「性味」鹹、平、無毒。
(5)海蛤:「性味」苦、鹹、平、無毒。
(6)文蛤:「性味」鹹、平、無毒。
(7)蛤:「性味」鹹、冷、無毒。
(8)アカガイ:「性味」甘、鹹、平、無毒。
(9)シャコガイ:「性味」甘、鹹、大寒、無毒。
(10)貝子:「性味」鹹、平、有毒。
(11)ムラサキイガイ:「性味」鹹、平、無毒。
(12)田螺:「性味」甘、平、無毒。
(13)蝸螺:「性味」甘、寒、無毒。
(14)エビ:「性味」甘、温、小毒。
(15)カニ:「性味」鹹、寒、小毒。
【0044】
(六)経絡投与の臨床実例
一.高血糖
1.症状:血糖高,脾虚失運,湿邪内困,腎陰不足,高コレステロール,大便秘結など。
2.方剤:蒼朮75g、玄参150g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒750ml、カルシウム系イオン原液(カニの殻)55ml。
4.浸漬時間:25日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:血糖降下治療液。
5.使用される穴位:足の厥陰肝経、章門穴,足の太陰脾経、三陰交穴。1日に2回、1回約2mlの用量で投与する。左右2箇所の穴位にそれぞれスプレーし、これらの穴位をそれぞれ3分間マッサージして吸収を促進する。
6.実例についての説明:女性、60歳、高血糖家族歴有り。5年間高血糖に罹患しており、経口血糖降下薬を長期使用していたが、血糖値指標が依然として高く、空腹時血糖値は7.65であった。本発明の「血糖降下治療液」を使用した90日後、血糖値は7.65から5.95に下がった。経口薬を引き続き使用している。本発明の方法を使用することにより、血糖降下効果が顕著であった。
【0045】
二.高脂血症
1.症状:高脂血症。頭痛、眩暈、頭脹、手指麻木、煩熱胸悶、大便乾燥。
2.方剤:銀花36g、連翹30g、菊花36g、草決明45g、荷叶36g、沢瀉36g、茯苓30g、忍冬藤45。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒2000ml、カルシウム系イオン原液(カニの殻)150ml。
4.浸漬時間:30日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:脂質降下治療液。
5.使用される穴位:手の厥陰心包経、曲沢穴。足の厥陰肝経、三陰交穴。1日に2回、1回約2mlの用量で投与する。
6.実例についての説明:女性、62歳、高血中脂質、総コレステロール6.75%。「脂質降下治療液」を45日間使用した後、血中脂質が3.2%に制御され、症状が繰り返すことはなかった。
【0046】
三.前立腺肥大症
1.症状:腎虚、寒熱互結,腹痛便秘,肋骨の下付近に痛み,小便不暢、尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿等。
2.方剤:大黄35g、附子40g、益母草90g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒700ml、カルシウム系イオン原液(牡蠣)50ml。
4.浸漬時間:15-20日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:前立腺治療液。
5.使用される穴位:任脈、石門穴。1日に2回、1回約1.5mlの用量で投与する。投与後、これらの穴位及び腹部を3分間マッサージする。
6.実例についての説明:男性、70歳。前立腺肥大症を10年間罹患していた。薬を飲んでいたが、効果が顕著ではなかった。本発明の「前立腺治療液」を使用した2週間後、尿流量が大きくなり、頻尿が改善された。本発明の治療液を連続して90日使用した後、症状が顕著に改善され、経口薬を停止した後においても、症状が繰り返すことはなかった。
【0047】
四.尿路感染症
1.症状:発熱悪寒、小腹墜痛,排尿回数が増加し、残尿感あり,点滴困難,排尿痛、尿道に灼熱感。
2.方剤:オウギ、白芍、葛根粉それぞれ20g;麦冬、沙参、菊花それぞれ15g;烏梅、浙貝、淡竹葉、銀柴胡それぞれ10g;谷芽30g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒1500ml、カルシウム系イオン原液(牡蠣)150ml。
4.浸漬時間:15-20日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:尿路感染症治療液。
5.使用される穴位:足の太陽膀胱経、八墅穴。任脈、石門穴。1日に2回、1回約1.5mlの用量で投与する。投与後、これらの穴位を3分間マッサージする。
6.実例についての説明:女性、58歳。頻尿、尿道痛。
本発明の「尿路感染症治療液」を使用した1週間後、症状が改善され、2週間後、完治。
【0048】
五.慢性腎炎(タンパク尿)
1.症状:輕度浮腫、倦怠感があり、腰がだるく、寝汗をかく。尿検査結果:タンパク質(++)。
2.方剤:桑ひょう蛸(sang piao xiao)、遠志、竜骨、菖蒲、高麗人参、茯神、当帰、亀甲(炙)それぞれ30g。*注:桑白皮10gで補助する。桑白皮は、水を運び、桑ひょう蛸(sang piao xiao)の腎経への入りを促進する。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒2000ml、カルシウム系イオン原液(蝸螺)150ml。
4.浸漬時間:30日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:タンパク尿治療液。
5.使用される穴位:足の少陰腎経、気穴。1日に2回、1回約2mlの用量で投与する。
6.実例についての説明:女性、62歳。タンパク尿を6ヶ月罹患しており、漢方煎じ薬、既製薬を1クール服用したが、病症が不安定であった。本発明の「タンパク尿治療液」を4週間使用した後、腰が軽度にだるい以外、他の不快感がなく、浮腫が解消された。病院で再度尿検査した結果:タンパク質(-)。治療効果が顕著であった。
【0049】
六.子宮筋腫
1.症状:7年前に、明らかな誘因がなかったが、腰痛、腹痛が発症し、月経痛が悪化した。婦人科B超音波検査結果:8.0cmx5.3cmx3.6cm。子宮筋腫と診断された。
2.方剤:桂枝36g;茯苓、赤芍、三菱、莪朮、穿山甲(炙)、鼈甲、生牡蠣それぞれ45g;丹皮30g;生甘草18g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒2500ml、カルシウム系イオン原液(牡蠣)200ml。
4.浸漬時間:30日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:子宮筋腫治療液。
5.使用される穴位:腹部経外奇穴、臍下4寸、外方3寸。1日に2回、1回約2mlの用量で投与する。
6.実例についての説明:女性、38歳。長年にわたって月経量が徐々に増加し、月経周期の延長を伴い、子宮筋腫と診断された。本発明の「子宮筋腫治療液」を4ヶ月使用した後、再度検査した結果、筋腫が観察されなかった。
【0050】
七.肝嚢胞
1.症状:「長時間痛く、発作が繰り返し、痰湿の滞りによって血の流れも阻害される」。病院に肝嚢胞増大と診断された。
2.方剤:桂枝、丹皮、桃仁、半夏、生三仙それぞれ30g;オウギ、茯苓、枳殼、赤芍、丹参それぞれ45g;生ヨク仁(sheng yi ren)60g;生甘草20g。
*注:生三仙は、サンザシ、神曲、麦芽である。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒3000ml、カルシウム系イオン原液(牡蠣)300ml。
4.浸漬時間:25-30日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:肝嚢胞治療液。
5.使用される穴位:足の厥陰肝経、期門穴、章門穴。1日に2回、1回約2mlの用量で投与する。
6.実例についての説明:女性、58歳。3年間上腹部脹痛を繰り返し、複数の病院で受診。多種の漢方薬と西洋薬を服用し、症状はたまに減軽されたが、最近3ヶ月間、上腹部脹痛が悪化。本発明の「肝嚢胞治療液」を漢方薬逐淤湯(経口薬)と併用して4ヶ月試した後、症状が減軽され、嚢胞が縮小。有効であった。
【0051】
八.パーキンソン病
1.症状:物を持つことができないほどの両手の震え,上肢関節硬直,動作緩慢,言語障害,無表情。病院の神経内科にパーキンソン病と診断された。
2.方剤:何首烏、白芍、当帰、オウギ、丹参、枸杞子、地竜、葛根、生竜骨、生牡蠣、忍冬藤それぞれ75g;亀板、鼈甲それぞれ75g;白朮100g;酒大黄40g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒3000ml、カルシウム系イオン原液(蛤)200ml。
4.浸漬時間:30-35日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:パーキンソン病治療液。
5.使用される穴位:任脈、督脈、足の厥陰肝経、足の太陰脾経、足の少陰腎経、足の少陽胆経。百会、攅竹、印堂、太陽、率谷、風池、肩井、内関、肝兪、腎兪、陽陵泉、太溪、足三里、三陰交、涌泉、橋弓など。1日に2回、毎回適量を投与する。
6.実例についての説明:男性、80歳。パーキンソン病を8年間罹患していた。治療方法:任脈と督脈を通し、マッサージで肝経、脾経、腎経、胆経及び肢体の経脈を通し、穴位投与する。6ヶ月の治療により、効果が顕著であった。
【0052】
九.神経衰弱
1.症状:不眠、焦燥感、不安、胸悶気短、腹脹納差。
2.方剤:紅花24g、広木香24g、桑白12g、大腹皮24g、菖蒲24g、遠志12g、柏子仁12g、当帰20g、大黄12g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒1500ml、カルシウム系イオン原液(真珠)75ml。
4.浸漬時間:15-20日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:神経衰弱治療液。
5.使用される穴位:経外奇穴、四神聡、当陽、太陽;神門と三陰交を同時に使用する。1日に2回、1回約2mlの用量で投与する。
6.実例についての説明:男性、42歳、不眠症歴7年間。情緒制御困難、不眠、焦燥感、大便不爽。本発明の「神経衰弱治療液」を1週間使用した後、情緒が改善され、1日3-4時間寝られるようになった。30日後、睡眠がさらに改善され、情緒が安定した。
【0053】
十.脳心血管疾患(脳動脈硬化)
1.症状:眩暈、手麻痺、乏力腿軟、心慌偶発、多汗、納差、排便無力。病院神経科に動脈硬化、脳虚血と診断された。
2.方剤:当帰、生地、紅花、牛膝それぞれ18g;桃仁24g;桔梗、センキュウそれぞれ9g;赤芍、枳殻それぞれ12g;柴胡、甘草それぞれ6g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒700ml、カルシウム系イオン原液(牡蠣)50ml。
4.浸漬時間:30日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:動脈硬化治療液。
5.使用される穴位:手の厥陰心包経、曲沢穴。1日に2回、1回約2mlの用量で投与し、各穴位を100回叩く。
6.実例についての説明:男性、82歳。本発明の「動脈硬化治療液」を45日間使用。眩暈が緩和され、手麻痺が減軽され、食欲が改善され、発汗が止まる。効果が顕著であった。
【0054】
十一.三叉神経痛
1.症状:顔面三叉神経痛(発作性激痛)、1日に1回発作。突然発作が起こり、突然止まる。発作は毎回2-3分間持続。病院に左側第一枝三叉神経痛と診断された。
2.方剤:センキュウ、蒲公英、紫花地丁それぞれ45g;五加皮15g;全蝎、当帰、ビャクシ、尋骨風、亀甲膠それぞれ30g;樟腦、細辛それぞれ10g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒1500ml、カルシウム系イオン原液(カニの殻)120ml。
4.浸漬時間:30日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:三叉神経痛治療液。
5.使用される穴位:阿是穴(患部にスプレーする)。1日に2回、1回約1-2mlの用量で投与する。
6.実例についての説明:女性、65歳。左側顔面の痛みが5年間続き、漢方薬、西洋薬及び鍼治療を受けたが、改善されなかった。本発明の「三叉神経痛治療液」を患部にスプレーするとすぐに疼痛症状が減軽され、自覚疼痛が減軽された。15日後、顔面の痛みが消失し、諸症状がなくなった。効果が顕著であった。
【0055】
十二.眼疾患
1.症状:目赤脹痛、視覚模糊、羞明多泪、微生雲翳。虚火実熱の症状。
2.方剤:(磨翳散) 蒲公英100g、牛膝50g。
3.浸漬溶液の配合比例:白酒700ml、カルシウム系イオン原液(真珠)20ml。
4.浸漬時間:30日。濾過してスプレーボトルに入れる。本製品の名称:眼部治療液。
5.使用される穴位:頭頸部の経外奇穴、翳明穴、糸竹穴(眉尻)。3分間マッサージし、上下のまぶたに薬液を塗布し、2分間軽くマッサージする。
*注:薬液が直接目に入らないように注意されたい。目に入ると、刺激感があるためである。
6.実例についての説明:男性、62歳。目を長時間使うと、視界がかすんで見え、目が腫れるなどの症状。本発明の「眼部治療液」を使用した後、症状が明らかに改善された。常用すれば、明目去翳の効果がある。
【0056】
本発明の溶液で抽出された製剤は、無圧スプレーボトルに充填して使用される。投与が簡単で、便利で、持ち運びが容易である。30mlの薬液(1本)は、1クール(約15日)使用可能である。毎回の使用には、2-3分間しか要しない。
【0057】
上記は本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者は、本発明の原理から逸脱しない限り、若干の改良及び修正を加えることができる。これらの改良及び修正も本発明の保護の範囲と見なされる。