(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】食器
(51)【国際特許分類】
A47G 19/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A47G19/00 F
(21)【出願番号】P 2021116660
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592038292
【氏名又は名称】鈴木 清正
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清正
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-149201(JP,A)
【文献】米国特許第02399912(US,A)
【文献】実開平02-002067(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0001682(KR,U)
【文献】特開2014-213197(JP,A)
【文献】登録実用新案第3062181(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G19/00-19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を逆さにして台座に載せたとき、前記容器の開口縁を浮かせた状態で前記容器を起立可能とさせる複数の脚部を
前記容器の外周面に一体に形成し、
前記複数の脚部は前記開口縁の側方に張り出して前記開口縁よりも上方へ突出し、
前記脚部と前記開口縁の間に隙間を備え、
前記脚部と前記開口縁の連続部には該連続部の洗浄が容易になるように適宜の曲面Rが形成されることを特徴とする食器。
【請求項2】
前記容器が取っ手を備え、
一の脚部が前記取っ手の側に隣接し、他の脚部が前記取っ手と反対側に位置することを特徴とする請求項1に記載の食器。
【請求項3】
前記容器が三つの脚部を備え、
前記容器を逆さにして台座に載せたとき、該容器が三点支持されることを特徴とする請求項1に記載の食器。
【請求項4】
周方向において、一の脚部の位置が、他の二つの脚部の位置と反対側に位置し、他の二つの脚部間の距離よりも、一の脚部と他の脚部の距離が大きく設定されていることを特徴とする請求項3に記載の食器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿、茶碗、マグカップなどの食器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、皿、茶碗、マグカップなどの食器では、容器の水洗浄後に、容器の開口縁を下に向けて逆さにして台座に載せて、自然乾燥させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このとき、従来の食器では、容器の開口縁が布巾などに接触するため、開口縁が汚染される恐れがある。
したがって、該容器を使って飲食する際、手や唇などが開口縁に触れることもあり、衛生的でないという課題がある。
そこで、本発明の目的は、容器の開口縁を下に向けて逆さにして台座に載せたとしても清潔で、衛生を保てる食器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、容器を逆さにして台座に載せたとき、前記容器の開口縁を浮かせた状態で前記容器を起立可能とさせる複数の脚部を前記容器の外周面に一体に形成し、前記複数の脚部は前記開口縁の側方に張り出して前記開口縁よりも上方へ突出し、前記脚部と前記開口縁の間に隙間を備え、前記脚部と前記開口縁の連続部には該連続部の洗浄が容易になるように適宜の曲面Rが形成されることを特徴とする。
【0006】
本発明は、前記複数の脚部が前記容器の開口縁の側方に張り出してもよい。
本発明は、前記脚部と前記開口縁の間に隙間を備えてもよい。
本発明は、前記容器が取っ手を備え、一の脚部が前記取っ手の側に隣接し、他の脚部が前記取っ手と反対側に位置してもよい。
【0007】
本発明は、前記容器の開口縁に三つの脚部を備え、前記容器を逆さにして台座に載せたとき、該容器が三点支持されてもよい。
また、周方向において、一の脚部の位置が、他の二つの脚部の位置と反対側に位置し、他の二つの脚部間の距離よりも、一の脚部と他の脚部の距離が大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器の開口縁を浮かせた状態で、容器を起立可能とさせる複数の脚部を備えているため、容器の開口縁を下に向けて、該容器を逆さにして台座に載せたとしても、容器の開口縁は清潔で、衛生を保てる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)は、本発明の一実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図、(C)は、(A)のC-C横断面図である。
【
図2】容器の開口縁を下に向けて、該容器を逆さにして起立させた状態を示す図である。
【
図3】(A)は、本発明の他の実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図、(C)は、(A)のC-C横断面図である。
【
図4】容器の開口縁を下に向けて、該容器を逆さにして起立させた状態を示す図である。
【
図5】(A)は、本発明の他の実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図である。
【
図6】(A)は、本発明の他の実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図、(C)は、(A)のC-C横断面図である。
【
図7】容器の開口縁を下に向けて、該容器を逆さにして起立させた状態を示す図である。
【
図8】容器の開口縁側を向かい合わせて、互いの脚部をずらして、2つの容器を重ね合わせた状態を示す図である。
【
図9】容器の開口縁側を向かい合わせて、互いの脚部を重ねて、2つの容器を重ね合わせた状態を示す図である。
【
図10】(A)は、本発明の他の実施形態を示す側面図、(B)は、同上面図、(C)は、脚部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1(A)は、本発明の一実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図、(C)は、(A)のC-C横断面図である。
この食器1は、卓上で使用する皿、茶碗、マグカップなどの食器であり、鍋や鍋蓋、釜などの調理器を含むものとする。
一実施形態では、マグカップを例示する。
食器1は、陶器、磁器のものの他、ガラス、ホーロー、アルミニウム、ステンレス、木製などであってもよい。
図1(A)(B)に示すように、食器1は、横断面が円形状の容器2を備え、容器2は、例えば陶器製であり、取っ手3を一体に備える。容器2と取っ手3は一体成形でもよく、別体で形成してもよい。また、容器2は横断面が円形状のものに限らず、横断面が矩形などの多角形であってもよい。
一実施形態の取っ手3は、一つであるが、対向する一対の取っ手であってもよい。
【0011】
容器2の開口縁5には、一対の脚部7、9が形成される。容器2と脚部7、9は一体成形でもよく、別体で形成してもよい。この開口縁5は、容器2の底からの高さが一定の平坦な面内に延在している。
一対の脚部7、9のうちの一の脚部7は、取っ手3の側に隣接して配置され、他の脚部9は、取っ手7と反対側に位置する開口縁5に配置される。
【0012】
複数の脚部7、9は、容器2の開口縁5よりも外方に張り出し、高さhで、上方へ突出している。脚部7、9は、容器2の周方向に所定の幅を備える。
脚部7、9と、容器2の開口縁5との間には、
図1(B)、(C)に示すように、上に開口する隙間δが形成される。
他の脚部9と、開口縁5との連続部9a、9bには、適宜のRが形成される。一の脚部7と、開口縁5との連続部にも、適宜のRが形成される。該Rにより、容器2を水洗浄する際に、連続部の洗浄が容易になる。
【0013】
一の実施形態では、複数の脚部7、9を備えるため、
図2に示すように、容器2の開口縁5を下に向けて、容器2を逆さにして、台座10の布巾(不図示)などの上に載せたとき、開口縁5を浮かせた状態で、容器2が起立可能となる。
したがって、容器2を逆さに立てたとき、容器2の開口縁5が布巾などに接触することはなく、開口縁5が汚染される恐れがない。
【0014】
したがって、容器2を使って飲食する際には、手や唇などが開口縁5に触れたとしても清潔であり、衛生が保たれる。
また、脚部7、9と、開口縁5との間には、隙間δが形成されるため、脚部7、9と、開口縁5とが分離されるため、脚部7、9を通じた汚染が、開口縁5に伝わり難く清潔であり、衛生が保たれる。
また、一の脚部7は、取っ手3の側に隣接し、他の脚部9は、取っ手3と反対側に位置するため、使用者が右利きであっても、左利きであっても、容器2内の飲料を飲むときに、脚部7、9が邪魔にならない。
【0015】
図3(A)は、本発明の他の実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図、(C)は、(A)のC-C横断面図である。
この食器11は、一の実施形態と同様のマグカップを例示する。
図3(A)(B)に示すように、食器11は、横断面が円形状の容器12を備える。容器12の開口縁15には、一対の脚部17、19が形成される。容器12と脚部17、19は一体成形でもよく、別体で形成してもよい。
一の脚部17は、取っ手13の側に隣接して配置され、他の脚部19は、取っ手17と反対側に位置する開口縁15に配置される。この開口縁15は、容器12の底からの高さが一定の平坦な面内に延在している。
複数の脚部17、19は、
図3(C)に示すように、開口縁15の一部を、周方向に所定の幅で、高さhで上方へ突出させた形態である。
【0016】
他の実施形態では、複数の脚部17、19を備えるため、
図4に示すように、容器12の開口縁15を下に向けて、容器12を逆さにして台座に載せたとき、開口縁15を浮かせた状態で、容器12が起立可能となる。
したがって、容器12を逆さに立てたとき、容器12の開口縁15が台座20の布巾などに接触することはなく、開口縁5が汚染される恐れがない。
【0017】
したがって、容器12を使って飲食する際には、手や唇などが開口縁15に触れたとしても清潔であり、衛生が保たれる。
また、脚部17、19のうちの一の脚部17は、取っ手13の側に隣接し、他の脚部19は、取っ手13と反対側に位置する開口縁15に配置されるため、使用者が右利きであっても、左利きであっても、容器12内の飲料を飲むときに、脚部17、19が邪魔にならない。
【0018】
図5(A)は、本発明の他の実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図である。
この食器11は、
図1の実施形態と同様のマグカップを例示する。
図に示すように、食器41は、横断面が円形状の容器42を備える。容器42の開口縁45には、三つの脚部46、47、48が形成される。容器42と脚部46~48は一体成形でもよく、別体で形成してもよい。
一の脚部46は、取っ手43の上面側に配置され、他の脚部47、48は、取っ手47と反対側の開口縁45に、取っ手43からほぼ等距離の位置に分けて配置される。三つの脚部46、47、48の頂点を結ぶ三角形は、略二等辺三角形であり、一の脚部46の頂点と他の脚部47の頂点を結ぶ線と、一の脚部46の頂点と他の脚部48の頂点を結ぶ線とは長さが等しく、二つの脚部47、48は接近する。開口縁45は、容器42の底からの高さが一定の平坦な面内に延在している。
一の脚部46は、取っ手43の上面を高さhで上方へ突出させた形態である。残りの脚部47、48は、開口縁45の一部を、等しい高さhで上方へ突出させた形態である。なお、一の脚部46は、取っ手43に隣接する開口縁45の一部を、等しい高さhで上方へ突出させた形態であってもよい。
【0019】
この実施形態では、三つの脚部46、47、48を備えるため、容器42の開口縁45を下に向けて、容器42を逆さにして台座に載せたとき、三つの脚部46、47、48による三点支持の状態となり、容器42の起立が安定する。
この構成では、容器42の起立が安定するため、三つの脚部46、47、48の周方向への幅寸法を小さくできる。
【0020】
また、取っ手43の脚部46と反対側の脚部47との距離、および、取っ手43の脚部46と反対側の脚部48との距離、が比較的大きくとれるので、容器42内の飲料を飲むときに、脚部46、47、48が邪魔にならない。更に、一の脚部46は、取っ手43の上面に配置され、他の脚部47、48は、取っ手47と反対側に位置するため、使用者が右利きであっても、左利きであっても、容器42内の飲料を飲むときに、脚部46、47、48が邪魔にならない。
【0021】
図6(A)は、本発明の他の実施形態を示す斜視図、(B)は、同上面図、(C)は、(A)のC-C横断面図である。
この食器21は、深皿を例示する。
図6(A)に示すように、食器21は、横断面が円形状の深皿状の容器22を備え、容器22は、例えば陶器製である。
【0022】
容器22の開口縁25には、一対の脚部27、29が形成される。容器22と脚部27、29は一体成形でもよく、別体で形成してもよい。この開口縁25は、容器22の底からの高さが一定の平坦な面内に延在している。
複数の脚部27、29は、容器22の開口縁25よりも外方に張り出し、高さhで、上方へ突出している。脚部27、29は、容器22の周方向に所定の幅を備える。
脚部27、29と、容器22の開口縁25との間には、
図6(B)、(C)に示すように、上に開口する隙間δが形成される。
他の脚部29と、開口縁25との連続部29a、29bには、適宜のRが形成される。一の脚部27と、開口縁25との連続部にも、適宜のRが形成される。該Rにより、容器22を水洗浄する際に、連続部の洗浄が容易になる。
【0023】
本実施形態では、複数の脚部27、29を備えるため、
図7に示すように、容器22の開口縁25を下に向けて、容器22を逆さにして台座30に載せたとき、開口縁25を浮かせた状態で、容器22が起立可能となる。
したがって、容器22を逆さに立てたとき、容器22の開口縁25が台座30の布巾(不図示)などに接触することはなく、開口縁25が汚染される恐れがない。
したがって、容器22を使って飲食する際には、手や唇などが開口縁25に触れたとしても清潔であり、衛生が保たれる。
また、脚部27、29と、開口縁25との間には、隙間δが形成されるため、脚部27、29を通じた汚染が、開口縁25に伝わり難い。
【0024】
図8は、開口縁25側を向かい合わせて、互いの脚部27、29を周方向にずらして、2つの深皿状の容器22を重ね合わせた状態を示す図である。
この構成では、互いの脚部27、29を周方向にずらして、2つの容器22を重ね合わせた場合、脚部27、29が、相手の容器22の外側に位置するため、容器22が径方向にずれても、脚部27、29がストッパーとなり、容器22が径方向にずれて脱落することがない。
【0025】
図9は、開口縁25側を向かい合わせて、互いの脚部27、29を重ねて、2つの深皿状の容器22を重ね合わせた状態を示す図である。
この構成では、互いの脚部27、29を重ねて、2つの容器22を重ね合わせた場合、脚部27、29同士が突き当たり、相手の容器22との間に隙間が形成され、通気性が向上し、容器22の乾燥が進む。
【0026】
図10(A)は、本発明の他の実施形態を示す側面図、(B)は、同上面図、(C)は、脚部の拡大図である。
この食器51は、深皿を例示する。
図10(A)(B)に示すように、食器51は、横断面が円形状の深皿状の容器52を備え、容器52は、例えば陶器製である。
【0027】
容器52の開口縁55には、三つの脚部56、57、58が形成される。容器52と脚部56~58は一体成形でもよく、別体で形成してもよい。開口縁55は、容器52の底からの高さが一定の平坦な面内に延在している。複数の脚部56、57、58は、容器52の開口縁55よりも外方に張り出し、高さhで、上方へ突出している。
三つの脚部56、57、58の頂点を結ぶ三角形は、略二等辺三角形であり、一の脚部56の頂点と他の脚部57の頂点を結ぶ線と、一の脚部56の頂点と他の脚部58の頂点を結ぶ線とは長さが等しく、二つの脚部57、58は接近する。開口縁55は、容器52の底からの高さが一定の平坦な面内に延在している。
三つの脚部56、57、58と、容器52の開口縁55との間には、
図10(B)、(C)に示すように、隙間δが形成される。
三つの脚部56~58の形態は等しい。
図10(C)に示すように、脚部56~58と、開口縁55との連続部59a、59bには、それぞれ適宜のRが形成される。該Rにより、容器52を水洗浄する際に、連続部の洗浄が容易になる。
【0028】
この実施形態では、三つの脚部56、57、58を備えるため、容器52の開口縁55を下に向けて、容器52を逆さにして台座に載せたとき、三点支持の状態となり、容器52の起立が安定する。
この場合、三点支持により、容器52の起立が安定するため、脚部56~58の周方向への幅寸法を小さくできる。
【0029】
この実施形態では、周方向において、一の脚部56の位置が、他の二つの脚部57、58の位置と反対側に位置する。また、他の二つの脚部57、58間の距離よりも、一の脚部56と他の脚部57、および、一の脚部56と他の脚部58の距離が、それぞれ大きく設定されるため、使用時には、三つの脚部56、57、58が邪魔にならず、使い易い容器52が提供される。
なお、容器52の起立が安定する場合、二つの脚部57、58は、図示の位置よりも接近させてもよい。一の脚部56と他の脚部57、および、一の脚部56と他の脚部58の距離が、更に大きくなり、三つの脚部56、57、58が邪魔にならず、更に使い易い容器52が提供される。
【0030】
以上の実施形態では、マグカップや深皿を逆に例に説明したが、本発明による食器は、これに限定されない。例えば、鍋や鍋蓋などにも、上記実施形態と同様の脚部を形成し、容器の開口縁を下に向けて、容器を逆さにして台座に載せれば、開口縁を浮かせた状態で、容器を起立させることができる。したがって、開口縁が汚染される恐れがなく、清潔であり、衛生が保たれる。
容器に複数の脚部が形成されたが、この脚部の個数は、一対または三つに限定されない。容器内の飲料などを飲む際に、邪魔にならない位置を適宜に勘案して、4つ以上の脚部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1、11、21、31、41、51 食器
2、12、22、32、42、52 容器
3、13、43 取っ手
5、15、25、35、45、55 開口縁
7、9、17、19、27、29、46~48、56~58 脚部
10、20、30 台座