(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/30 20060101AFI20230927BHJP
B65H 3/12 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B65H31/30
B65H3/12 320A
(21)【出願番号】P 2021550374
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2020028475
(87)【国際公開番号】W WO2021070450
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2019185322
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】青木 英司
(72)【発明者】
【氏名】谷内 知則
(72)【発明者】
【氏名】南部 裕政
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-40582(JP,A)
【文献】実開平4-105039(JP,U)
【文献】特開昭57-72532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 31/00-31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に、かつそれぞれ水平にのびる駆動ローラおよびアイドルローラと、
前記駆動ローラおよび前記アイドルローラ間に掛け渡された少なくとも1本の無端搬送ベルトと、
前記駆動ローラを回転させる第1の駆動機構と、
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの上方において前記無端搬送ベルトの長さ方向に往復運動可能に配置されたキャリッジと、
前記無端搬送ベルトの長さ方向にのび、前記キャリッジがスライド運動可能に取り付けられた少なくとも1本のスライドガイドと、
前記キャリッジをスライド運動させる第2の駆動機構と、
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの上側および下側ベルト部分の間において、前記無端搬送ベルトの長さ方向に往復運動可能に配置された吸引ボックスと、
前記吸引ボックス内に負圧を発生させる吸気源と、を備え、
前記吸引ボックスは、前記キャリッジに取り付けられるとともに、前記上側ベルト部分に対向する面に少なくとも1つの吸気穴を有し、
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトにおける前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの回転中に前記少なくとも1つの吸気穴を通過する位置には、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの長さ方向に複数の通気穴が設けられており、さらに、
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの搬送面の上流端の上方において前記搬送面を横切ってのび、用紙を取り込んで前記搬送面上に送出する少なくとも1つの搬送ローラ対と、
前記キャリッジに取り付けられ、前記搬送面を横切ってかつ前記搬送面から上方にのびる制止板と、を備え、
制止板の下端が前記吸引ボックスに対向するとともに、前記搬送面から所定の間隔をあけて配置され、前記搬送面における前記制止板から前記搬送面の上流端までの領域が用紙集積エリアを形成し、
前記少なくとも1つの搬送ローラ対から送出された用紙は、当該用紙の前端が前記制止板に衝突することによって前記用紙集積エリアに順次集積される一方、集積された用紙のうちの最下位の用紙が順次前記吸引ボックスによって残りの用紙から分離されて、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトによって前記搬送面および前記制止板間の間隙を通って前記搬送面の下流端に向けて搬送されるものであることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスの上流端の上流側の領域において、集積された最下位の用紙と前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの前記搬送面との接触を妨げる機構を、さらに備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記接触を妨げる機構は、
前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスの上流側の領域を被覆するカバーシートを有し、
前記カバーシートは、前記用紙集積エリアの幅に対応する幅、および前記用紙集積エリアの長さが最大となったときの前記吸引ボックスの上流端から前記用紙集積エリアの上流端までの長さに等しいかまたはそれ以上の長さを有し、
前記カバーシートの一端が、前記吸引ボックスの上流端に固定されて前記用紙集積エリアを横切ってのび、
前記接触を妨げる機構は、さらに、
前記カバーシートの他端に取り付けられ、前記カバーシートの長さ方向に常時張力を及ぼす引張器を有し、
前記カバーシートは、前記カバーシートにおける前記少なくとも1本の無端搬送ベルトを被覆する部分が常時前記少なくとも1本の無端搬送ベルトから間隔をあけた状態で、緊張せしめられていることを特徴とする請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトは、互いに幅方向に間隔をあけて配置された複数本の無端搬送ベルトからなり、
前記駆動ローラは、
水平な回転軸と、
前記回転軸に軸方向に互いに間隔をあけて当該回転軸と一体的に回転可能に取り付けられた複数の第1のローラ要素と、を有し、
前記アイドルローラは、
前記駆動ローラの前記回転軸に平行な軸のまわりに回転自在に、かつ前記複数の第1のローラ要素にそれぞれ対向して配置された複数の第2のローラ要素を有し、
前記複数本の無端搬送ベルトのそれぞれが、互いに対をなす前記第1および前記第2のローラ要素間に掛け渡されており、前記駆動ローラの前記回転軸が前記第1の駆動機構によって回転せしめられ、
前記接触を妨げる機構は、さらに、
前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の上流端に位置するローラの隣り合う前記第1または前記第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第3のローラ要素を有していて、前記第3のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも大きい径を有し、
前記引張器は、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの下側の定位置に配置された少なくとも1つの巻取式定圧板バネからなり、
前記カバーシートの他端が、前記第3のローラ要素の周面の一部を経て前記少なくとも1つの巻取式定圧板バネまでのび、前記少なくとも前記少なくとも1つの巻取式定圧板バネの先端に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトは、互いに幅方向に間隔をあけて配置された複数本の無端搬送ベルトからなり、
前記駆動ローラは、
水平な回転軸と、
前記回転軸に軸方向に互いに間隔をあけて当該回転軸と一体的に回転可能に取り付けられた複数の第1のローラ要素と、を有し、
前記アイドルローラは、
前記駆動ローラの前記回転軸に平行な軸のまわりに回転自在に、かつ前記複数の第1のローラ要素にそれぞれ対向して配置された複数の第2のローラ要素を有し、
前記複数本の無端搬送ベルトのそれぞれが、互いに対をなす前記第1および前記第2のローラ要素間に掛け渡されており、前記駆動ローラの前記回転軸が前記第1の駆動機構によって回転せしめられ、
前記接触を妨げる機構は、さらに、
前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の上流端に位置するローラの隣り合う前記第1または前記第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第3のローラ要素を有していて、前記第3のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも大きい径を有し、
前記引張器は、
前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記第3のローラ要素を有するローラの下側に当該ローラに平行に配置されたカバーシート巻取ローラを有し、
前記カバーシートの他端が、前記第3のローラ要素の周面の一部を経て前記カバーシート巻取ローラまでのび、前記カバーシート巻取ローラの周面に固定され、
前記引張器は、さらに、
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの下側における、前記カバーシート巻取ローラに関し前記第3のローラ要素と反対側で、かつ前記カバーシート巻取ローラの少なくとも一端側の定位置に配置されるとともに、先端が前記カバーシート巻取ローラの回転軸に取り付けられた、前記カバーシート巻取ローラを常時前記カバーシートの巻取方向に付勢する少なくとも1つの巻取式定圧板バネを有していることを特徴とする請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記少なくとも1本の無端搬送ベルトは、互いに幅方向に間隔をあけて配置された複数本の無端搬送ベルトからなり、
前記駆動ローラは、
水平な回転軸と、
前記回転軸に軸方向に互いに間隔をあけて当該回転軸と一体的に回転可能に取り付けられた複数の第1のローラ要素と、を有し、
前記アイドルローラは、
前記回転軸に平行な軸のまわりに回転自在に、かつ前記複数の第1のローラ要素に対向して配置された複数の第2のローラ要素を有し、
前記複数本の無端搬送ベルトのそれぞれが、互いに対をなす前記第1および前記第2のローラ要素間に掛け渡されており、前記駆動ローラの前記回転軸が前記第1の駆動機構によって回転せしめられ、
前記接触を妨げる機構は、
前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の上流端に位置するローラの隣り合う前記第1または第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第3のローラ要素を有し、前記第3のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも大きい径を有し、
前記接触を妨げる機構は、さらに、
前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の下流端に位置するローラの隣り合う前記第1または第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第4のローラ要素を有し、前記第4のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも小さい径を有し、
前記接触を妨げる機構は、さらに、
互いに対をなす前記第3および前記第4のローラ要素間に掛け渡されて前記複数本の無端搬送ベルトに平行にのびる追加の無端ベルトを有し、
前記追加の無端ベルトの上面は前記複数の無端搬送ベルトのそれぞれの搬送面よりも小さい摩擦係数を有し、前記追加の無端ベルトの上面は、前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスの上流側の領域では前記複数本の無端搬送ベルトの搬送面よりも高い位置にあるが、前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスと重なる領域、および前記搬送面における前記用紙集積エリアの下流側の領域では前記複数の無端搬送ベルトの搬送面よりも低い位置にあることを特徴とする請求項2に記載の用紙搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の用紙処理装置から排出された用紙を他方の用紙処理装置まで搬送する用紙搬送装置、特に、搬送の途中で用紙を一時的に集積する機能を備えた用紙搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製本工程においては、しばしば、異なる2つの用紙処理装置を用紙搬送装置を介して互いに連結し、一方の用紙処理装置から排出された用紙を用紙搬送装置によって他方の用紙処理装置に供給することによって、作業を自動化し、生産性を上げることが行われている。
【0003】
この場合、用紙搬送装置は、上流側の用紙処理装置から順次排出された用紙を、下流側の用紙処理装置に対して当該用紙処理装置の処理のタイミングに合わせて供給しなければならない。
【0004】
ところで、上流側の用紙処理装置の処理速度と下流側の用紙処理装置の処理速度は一般に同じではなく、例えば、上流側の用紙処理装置の方が下流側の用紙処理装置よりも処理速度が速い場合には、用紙搬送装置の搬送の途中で用紙を一時的に集積、貯留し、集積した用紙を下流側の用紙処理装置の処理のタイミングに合わせて下流側に搬送することが求められる。
【0005】
しかしながら、従来技術においては、上流側の用紙処理装置(印刷機等)から1枚ずつ排出された用紙を搬送の途中で一時的に集積し、一冊分の用紙が集積されるたびに当該1冊分の用紙束を下流側の用紙処理装置(製本機)まで搬送する用紙搬送装置は存在するが(例えば、特許文献1参照)、搬送の途中で一時的に用紙を集積し、集積した用紙を1枚ずつ下流側に搬送することができる用紙搬送装置はこれまでに存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、搬送の途中で用紙を一時的に集積し、集積した用紙を1枚ずつ下流側に搬送し得る用紙搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明によれば、互いに平行に、かつそれぞれ水平にのびる駆動ローラおよびアイドルローラと、前記駆動ローラおよび前記アイドルローラ間に掛け渡された少なくとも1本の無端搬送ベルトと、前記駆動ローラを回転させる第1の駆動機構と、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの上方において前記無端搬送ベルトの長さ方向に往復運動可能に配置されたキャリッジと、前記無端搬送ベルトの長さ方向にのび、前記キャリッジがスライド運動可能に取り付けられた少なくとも1本のスライドガイドと、前記キャリッジをスライド運動させる第2の駆動機構と、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの上側および下側ベルト部分の間において、前記無端搬送ベルトの長さ方向に往復運動可能に配置された吸引ボックスと、前記吸引ボックス内に負圧を発生させる吸気源と、を備え、前記吸引ボックスは、前記キャリッジに取り付けられるとともに、前記上側ベルト部分に対向する面に少なくとも1つの吸気穴を有し、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトにおける前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの回転中に前記少なくとも1つの吸気穴を通過する位置には、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの長さ方向に複数の通気穴が設けられており、さらに、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの搬送面の上流端の上方において前記搬送面を横切ってのび、用紙を取り込んで前記搬送面上に送出する少なくとも1つの搬送ローラ対と、前記キャリッジに取り付けられ、前記搬送面を横切ってかつ前記搬送面から上方にのびる制止板と、を備え、制止板の下端が前記吸引ボックスに対向するとともに、前記搬送面から所定の間隔をあけて配置され、前記搬送面における前記制止板から前記搬送面の上流端までの領域が用紙集積エリアを形成し、前記少なくとも1つの搬送ローラ対から送出された用紙は、当該用紙の前端が前記制止板に衝突することによって前記用紙集積エリアに順次集積される一方、集積された用紙のうちの最下位の用紙が順次前記吸引ボックスによって残りの用紙から分離されて、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトによって前記搬送面および前記制止板間の間隙を通って前記搬送面の下流端に向けて搬送されるものであることを特徴とする用紙搬送装置が提供される。
【0009】
本発明の好ましい実施例によれば、前記用紙搬送装置は、さらに、前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスの上流端の上流側の領域において、集積された最下位の用紙と前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの前記搬送面との接触を妨げる機構を備えている。
【0010】
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記接触を妨げる機構は、前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスの上流側の領域を被覆するカバーシートを有し、前記カバーシートは、前記用紙集積エリアの幅に対応する幅、および前記用紙集積エリアの長さが最大となったときの前記吸引ボックスの上流端から前記用紙集積エリアの上流端までの長さに等しいかまたはそれ以上の長さを有し、前記カバーシートの一端が、前記吸引ボックスの上流端に固定されて前記用紙集積エリアを横切ってのび、前記接触を妨げる機構は、さらに、前記カバーシートの他端に取り付けられ、前記カバーシートの長さ方向に常時張力を及ぼす引張器を有し、前記カバーシートは、前記カバーシートにおける前記少なくとも1本の無端搬送ベルトを被覆する部分が常時前記少なくとも1本の無端搬送ベルトから間隔をあけた状態で、緊張せしめられている。
【0011】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトは、互いに幅方向に間隔をあけて配置された複数本の無端搬送ベルトからなり、前記駆動ローラは、水平な回転軸と、前記回転軸に軸方向に互いに間隔をあけて当該回転軸と一体的に回転可能に取り付けられた複数の第1のローラ要素と、を有し、前記アイドルローラは、前記駆動ローラの前記回転軸に平行な軸のまわりに回転自在に、かつ前記複数の第1のローラ要素にそれぞれ対向して配置された複数の第2のローラ要素を有し、前記複数本の無端搬送ベルトのそれぞれが、互いに対をなす前記第1および前記第2のローラ要素間に掛け渡されており、前記駆動ローラの前記回転軸が前記第1の駆動機構によって回転せしめられ、前記接触を妨げる機構は、さらに、前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の上流端に位置するローラの隣り合う前記第1または前記第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第3のローラ要素を有していて、前記第3のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも大きい径を有し、前記引張器は、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの下側の定位置に配置された少なくとも1つの巻取式定圧板バネからなり、前記カバーシートの他端が、前記第3のローラ要素の周面の一部を経て前記少なくとも1つの巻取式定圧板バネまでのび、前記少なくとも1つの巻取式定圧板バネの先端に取り付けられている。
【0012】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトは、互いに幅方向に間隔をあけて配置された複数本の無端搬送ベルトからなり、前記駆動ローラは、水平な回転軸と、前記回転軸に軸方向に互いに間隔をあけて当該回転軸と一体的に回転可能に取り付けられた複数の第1のローラ要素と、を有し、前記アイドルローラは、前記駆動ローラの前記回転軸に平行な軸のまわりに回転自在に、かつ前記複数の第1のローラ要素にそれぞれ対向して配置された複数の第2のローラ要素を有し、前記複数本の無端搬送ベルトのそれぞれが、互いに対をなす前記第1および前記第2のローラ要素間に掛け渡されており、前記駆動ローラの前記回転軸が前記第1の駆動機構によって回転せしめられ、前記接触を妨げる機構は、さらに、前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の上流端に位置するローラの隣り合う前記第1または前記第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第3のローラ要素を有していて、前記第3のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも大きい径を有し、前記引張器は、前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記第3のローラ要素を有するローラの下側に当該ローラに平行に配置されたカバーシート巻取ローラを有し、前記カバーシートの他端が、前記第3のローラ要素の周面の一部を経て前記カバーシート巻取ローラまでのび、前記カバーシート巻取ローラの周面に固定され、前記引張器は、さらに、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトの下側における、前記カバーシート巻取ローラに関し前記第3のローラ要素と反対側で、かつ前記カバーシート巻取ローラの少なくとも一端側の定位置に配置されるとともに、先端が前記カバーシート巻取ローラの回転軸に取り付けられた、前記カバーシート巻取ローラを常時前記カバーシートの巻取方向に付勢する少なくとも1つの巻取式定圧板バネを有している。
【0013】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記少なくとも1本の無端搬送ベルトは、互いに幅方向に間隔をあけて配置された複数本の無端搬送ベルトからなり、前記駆動ローラは、水平な回転軸と、前記回転軸に軸方向に互いに間隔をあけて当該回転軸と一体的に回転可能に取り付けられた複数の第1のローラ要素と、を有し、前記アイドルローラは、前記回転軸に平行な軸のまわりに回転自在に、かつ前記複数の第1のローラ要素に対向して配置された複数の第2のローラ要素を有し、前記複数本の無端搬送ベルトのそれぞれが、互いに対をなす前記第1および前記第2のローラ要素間に掛け渡されており、前記駆動ローラの前記回転軸が前記第1の駆動機構によって回転せしめられ、前記接触を妨げる機構は、前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の上流端に位置するローラの隣り合う前記第1または第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第3のローラ要素を有し、前記第3のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも大きい径を有し、前記接触を妨げる機構は、さらに、前記駆動ローラおよび前記アイドルローラのうちの前記搬送面の下流端に位置するローラの隣り合う前記第1または第2のローラ要素間および最外側の前記第1または前記第2のローラ要素の外側において、前記第1または前記第2のローラ要素と同軸に設けられ、前記回転軸から独立して回転可能とされまたは前記平行な軸のまわりに回転自在とされた複数の第4のローラ要素を有し、前記第4のローラ要素は関係する前記第1または前記第2のローラ要素よりも小さい径を有し、前記接触を妨げる機構は、さらに、互いに対をなす前記第3および前記第4のローラ要素間に掛け渡されて前記複数本の無端搬送ベルトに平行にのびる追加の無端ベルトを有し、前記追加の無端ベルトの上面は前記複数の無端搬送ベルトのそれぞれの搬送面よりも小さい摩擦係数を有し、前記追加の無端ベルトの上面は、前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスの上流側の領域では前記複数本の無端搬送ベルトの搬送面よりも高い位置にあるが、前記用紙集積エリアにおける前記吸引ボックスと重なる領域、および前記搬送面における前記用紙集積エリアの下流側の領域では前記複数の無端搬送ベルトの搬送面よりも低い位置にある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上流側の用紙処理装置の処理速度が下流側の用紙処理装置の処理速度よりも速い場合であっても、上流側の用紙処理装置から順次排出される用紙を、一時的に用紙集積エリアに集積し、集積した用紙のうちの最下位の用紙を1枚ずつ、下流側の用紙処理装置の処理速度に合ったタイミングで、用紙集積エリアから下流側の用紙処理装置に送給することによって、上流側および下流側の用紙処理装置間における用紙の受け渡しが円滑に行える。
【0015】
加えて、上流側および下流側の用紙処理装置において処理される用紙の長さ(搬送方向の長さ)が変更された場合であっても、キャリッジ、すなわち吸引ボックスおよび制止板の位置を用紙の長さに合わせて変更し、用紙集積エリアの長さを調節することで、用紙サイズの変更に容易かつ迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の1実施例による用紙搬送装置の概略図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【
図2】
図1の用紙搬送装置のキャリッジの動きを説明する正面図であり、(A)はキャリッジが用紙集積エリアの長さが最小となる位置にある状態を示し、(B)はキャリッジが用紙集積エリアの長さが最大となる位置にある状態を示している。
【
図3】本発明の別の実施例による用紙搬送装置の概略的な平面図である。
【
図4】(A)は
図3の用紙搬送装置の正面図であり、(B)は(A)の用紙搬送装置の引張器をX方向に見た平面図である。
【
図5】本発明の別の実施例による用紙搬送装置の概略図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による用紙搬送装置の概略図であり、
図1(A)は平面図であり、
図1(B)は正面図である。また、
図2は、
図1の用紙搬送装置のキャリッジの動きを説明する正面図であり、
図2(A)はキャリッジが用紙集積エリアの長さが最小となる位置にある状態を示し、
図2(B)はキャリッジが用紙集積エリアの長さが最大となる位置にある状態を示している。
【0018】
図1を参照して、本発明によれば、互いに平行に、かつそれぞれ水平にのびる駆動ローラ1およびアイドルローラ2と、駆動ローラ1およびアイドルローラ2間に掛け渡された少なくとも1本(この実施例では4本)の無端搬送ベルト3と、駆動ローラ1を回転させる第1の駆動機構4とが備えられる。
【0019】
駆動ローラ1は、水平な回転軸1aと、回転軸1aに軸方向に互いに間隔をあけて回転軸1aと一体的に回転可能に取り付けられた4つの第1のプーリー(ローラ要素)1bとを有している。
【0020】
アイドルローラ2は、駆動ローラ1の回転軸1aに平行な軸2aのまわりに回転自在に、かつ4つの第1のプーリー1bにそれぞれ対向して配置された4つの第2のプーリー(ローラ要素)2bを有している。
【0021】
そして、各無端搬送ベルト3が、互いに対をなす駆動ローラ1の第1のプーリー1bおよびアイドルローラ2の第2のプーリー2b間に掛け渡されている。各無端搬送ベルト3は、その全長にわたって一様に通気穴3aを有している。
【0022】
第1の駆動機構4は、駆動ローラ1の回転軸1aの一端に固定されたプーリー4aと、駆動軸が駆動ローラ1に平行にのびるモータ4bと、モータ4bの駆動軸に固定されたプーリー4cと、プーリー4aおよびプーリー4c間に掛け渡された無端ベルト4dとを有している。
【0023】
そして、用紙搬送装置の運転中は、モータ4bによる駆動ローラ1の回転駆動に伴って、4本の無端搬送ベルト3が一斉に一定速度で回転し、4本の無端搬送ベルト3の搬送面3b上に置かれた用紙Sは、アイドルローラ2側(搬送面3bの上流端u)から駆動ローラ1側(搬送面3bの下流端w)に向けて搬送されるようになっている。
【0024】
本発明によれば、また、無端搬送ベルト3の上方において無端搬送ベルト3の長さ方向に往復運動可能に配置されたキャリッジ8と、無端搬送ベルト3の長さ方向にのび、キャリッジ8がスライド運動可能に取り付けられた少なくとも1本(この実施例では2本)のスライドガイド9と、キャリッジ8をスライド運動させる第2の駆動機構10とが備えられる。
【0025】
第2の駆動機構10は、スライドガイド9の長さ方向に間隔をあけて配置されたモータ10aおよびプーリー10bを有している。モータ10aの駆動軸およびプーリー10bの回転軸は、駆動ローラ1およびアイドルローラ2に平行にのびている。
【0026】
また、モータ10aの駆動軸にはプーリー10cが固定され、プーリー10cおよびプーリー10b間に無端ベルト10dが掛け渡されてスライドガイド9に平行にのびている。無端ベルト10dにはキャリッジ8が固定されている。
【0027】
そして、無端ベルト10dがモータ10aによって正逆回転せしめられることで、キャリッジ8がスライドガイド9に沿って往復スライド運動し得る。
【0028】
本発明によれば、また、4本の無端搬送ベルト3の上側および下側ベルト部分3c、3dの間において、無端搬送ベルト3の長さ方向に往復運動可能に配置された吸引ボックス11と、吸引ボックス11に直結されて、吸引ボックス11内に負圧を発生させる吸引ファン(吸気源)12とが備えられる。
【0029】
吸引ボックス11はキャリッジ8に取り付けられている。また、吸引ボックス11は、上面における各無端搬送ベルト3(上側ベルト部分3c)が通過する位置に吸気穴11aを有し、内部に吸気穴11aを開閉するシャッタ11bを備えている。
【0030】
そして、用紙搬送装置の運転中は、吸引ファン9が連続運転せしめられる一方、シャッタ11bが一定のタイミングで開閉されて、吸気穴9aを通じた吸引が当該一定のタイミングでなされる。
【0031】
さらに、本発明によれば、無端搬送ベルト3の搬送面3bの上流端uの上方において搬送面3bを横切ってのび、用紙Sを取り込んで搬送面3b上に送出する少なくとも1つ(この実施例では1つ)の搬送ローラ対13と、キャリッジ8に取り付けられ、搬送面3bを横切ってかつ搬送面3bから上方にのびる制止板14とが備えられる。
【0032】
この実施例では、制止板14はその長さ方向に4つの部分に分離されており、制止板14の各部分は各無端搬送ベルト3に対応している。
なお、制止板14は、4本の無端搬送ベルト3の搬送面3bの全体を横切ってのびる単一の制止板からなっていてもよい。
【0033】
制止板14の下端14aは、吸引ボックス11に対向するとともに、搬送面3bから所定の間隔をあけて配置され、搬送面3bにおける制止板14から搬送面3bの上流端uまでの領域が用紙集積エリア15を形成している。
【0034】
用紙集積エリア15の長さは、キャリッジ8、すなわち制止板14および吸引ボックス11の位置を変更することによって、最小長(
図2(A)参照)および最大長(
図2(B)参照)の範囲内で変更自在になっている。
【0035】
また、搬送面3bの下流端wに搬送ローラ対16が配置され、搬送面3bを横切ってのびている。搬送ローラ対16は、搬送面3bの下流端wから用紙Sを受け取り、用紙搬送装置の外部に排出する。
【0036】
上記の構成において、搬送ローラ対13の入口側に上流側の用紙処理装置の排紙口が接続され、搬送ローラ対16の出口側には下流側の用紙処理装置の給紙口が接続される。
そして、用紙搬送装置の運転開始前、搬送すべき用紙Sの長さ(搬送方向長さ)に合わせて、キャリッジ8、すなわち制止板14および吸引ボックス11の位置が調節され、それによって、用紙集積エリア15の長さが調節される。
【0037】
用紙搬送装置の運転中は、搬送ローラ対13によって上流側の用紙処理装置から取り込まれた用紙Sが、当該用紙Sの前端が制止板14に衝突することによって用紙集積エリア15に順次集積される一方、集積された用紙のうちの最下位の用紙が順次吸引ボックス11によって残りの用紙Sから分離されて、無端搬送ベルト3によって搬送面3bおよび制止板14間の間隙を通って搬送面3bの下流端wに向けて搬送され、搬送ローラ対16によって下流側の用紙処理装置に供給される。
【0038】
こうして、上流側の用紙処理装置の処理速度が下流側の用紙処理装置の処理速度よりも速い場合であっても、上流側の用紙処理装置から順次排出される用紙Sを、一時的に用紙集積エリア15に集積し、集積した用紙Sのうちの最下位の用紙Sを1枚ずつ、下流側の用紙処理装置の処理速度に合ったタイミングで、用紙集積エリア15から下流側の用紙処理装置に送給することによって、上流側および下流側の用紙処理装置間における用紙Sの受け渡しを円滑に行うことができる。
【0039】
加えて、上流側および下流側の用紙処理装置において処理される用紙Sの長さが変更された場合であっても、キャリッジ8、すなわち吸引ボックス11および制止板14の位置を用紙Sの長さに合わせて変更し、用紙集積エリア15の長さを調節することで、用紙サイズの変更に容易かつ迅速に対応することができる。
【0040】
この実施例では、さらに、用紙集積エリア15における吸引ボックス11の上流端11cの上流側の領域において、集積された最下位の用紙Sと無端搬送ベルト3の搬送面3bとの接触を妨げる機構が備えられる。
【0041】
接触を妨げる機構は、アイドルローラ2の隣り合う第2のプーリー2b間、および最外側の第2のプーリー2bの外側において、第2のプーリー2bと同軸に設けられ、軸2aのまわりに回転自在とされた5つの第3のプーリー(ローラ要素)5を有している。
そして、第3のプーリー5は第2のプーリー2bよりも大きい径を有している。
【0042】
接触を妨げる機構は、さらに、用紙集積エリア15における吸引ボックス11の上流側の領域を被覆するカバーシート17を有している。
【0043】
カバーシート17は、用紙集積エリア15の幅に対応する幅、および用紙集積エリア15の長さが最大となったときの吸引ボックス11の上流端11cから用紙集積エリア15の上流端uまでの長さに等しいかまたはそれ以上の長さを有している。
【0044】
接触を妨げる機構は、また、無端搬送ベルト3の下流端の下側の定位置に配置された2つの巻取式定圧板バネ18を有している。
【0045】
そして、カバーシート17の一端17aが、吸引ボックス11の上流端に固定されて用紙集積エリア15を横切ってのび、カバーシート17の他端17bは、アイドルローラ2の第3のプーリー5の周面の一部を経て巻取式定圧板バネ18までのび、各巻取式定圧板バネ18の先端に取り付けられている。
【0046】
カバーシート17は、巻取式定圧板バネ18によって常時張力を及ぼされて、用紙集積エリア15の長さが変化しても常に無端搬送ベルト3から間隔をあけた状態で緊張せしめられている。そして、無端搬送ベルト3が回転しても、カバーシート17は緊張状態で静止している。
【0047】
こうして、無端搬送ベルト3の搬送面3bにおける用紙集積エリア15の吸引ボックス11の上流側の領域が、常時、カバーシート17によって被覆されるので、用紙集積エリア15に集積された最下位の用紙Sが吸引ボックス11によって残りの用紙Sから分離され、無端搬送ベルト3によって用紙集積エリア15から下流側に送出される間に、当該用紙Sの直上の(次の送出のために待機している)用紙Sが無端搬送ベルト3と接触し、誤って搬送されることが防止される。
【0048】
それによって、用紙集積エリア15から下流側への用紙Sの重送や連れ送り等の搬送エラーの発生を確実に防止することができる。
【0049】
なお、この実施例では、カバーシート17の他端17bを巻取式定圧板バネ18によって引っ張るようにしたが、巻取式定圧板バネ18の代わりに、カバーシート17の長さ方向に常時張力を及ぼすことができる任意の引張器が使用可能である。
【0050】
また、この実施例では、カバーシート17を、他端17bが、アイドルローラ2の第3のプーリー5の周面に沿って反転した後、無端搬送ベルト3の下側に沿ってのびるように配置したが、カバーシート17の配置はこの実施例に限定されず、例えば、他端17bが搬送面3bに平行に上流端uを越えてのびるような配置にしてもよい。
【0051】
接触を妨げる機構は必要に応じて備えられる。
【0052】
図3は本発明の別の実施例による用紙搬送装置の概略的な平面図であり、
図4(A)は
図3の用紙搬送装置の正面図であり、
図4(B)は
図4(A)の用紙搬送装置の引張器をX方向に見た平面図である。
【0053】
図3および
図4の実施例は、
図1および
図2に示した実施例と、接触を妨げる機構の引張器の構成が異なるだけである。
よって、
図3および
図4中、
図1および
図2と同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0054】
図3および
図4の実施例では、引張器は、駆動ローラ1およびアイドルローラ2のうちの第3のプーリー5を有するローラ(この実施例では、アイドルローラ2)の下側に当該ローラに平行に配置されたカバーシート巻取ローラ26を有している。
【0055】
カバーシート巻取ローラ26は、本体26aと、本体26aの両端から突出した回転軸26b、26cとからなり、カバーシート巻取ローラ26の一端側の回転軸26bには大径部26dが設けられている。
【0056】
そして、カバーシート17の一端17aが、吸引ボックス11の上流端に固定されて用紙集積エリア15を横切ってのび、カバーシート17の他端17bは、第3のプーリー5の周面の一部を経てカバーシート巻取ローラ26までのび、カバーシート巻取ローラ26の周面に固定され、カバーシート17の一定長がカバーシート巻取ローラ26に巻き取られている。
【0057】
引張器は、さらに、無端搬送ベルト3の下側における、カバーシート巻取ローラ26に関し第3のプーリー5と反対側で、かつカバーシート巻取ローラ26の一端側(回転軸26b側)の定位置に配置された巻取式定圧板バネ27を有している。
【0058】
巻取式定圧板バネ27は、巻取部27bが回転軸26bの大径部26dに対向して配置されるとともに、先端27aが大径部26dの周面に固定され、カバーシート巻取ローラ26を常時カバーシート17の巻取方向に付勢するようになっている。
【0059】
こうして、カバーシート17は、引張器(カバーシート巻取ローラ26および巻取式定圧板バネ27)によって常時張力を及ぼされて、用紙集積エリア15の長さが変化しても常に無端搬送ベルト3から間隔をあけた状態で緊張せしめられている。
それによって、無端搬送ベルト3が回転しても、カバーシート17は緊張状態で静止している。
【0060】
この実施例においても、
図1および
図2の実施例と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0061】
図5は、本発明の別の実施例による用紙搬送装置の概略図であり、
図5(A)は平面図であり、
図5(B)は正面図である。
図5の実施例は、
図1に示した実施例と、接触を妨げる機構の構成が異なるだけである。
よって、
図5中、
図1と同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0062】
図5の実施例では、接触を妨げる機構は、アイドルローラ2の隣り合う第2のプーリー2b間、および最外側の第2のプーリー2bの外側において、第2のプーリー2bと同軸に設けられ、軸2aのまわりに回転自在とされた第3のプーリー(ローラ要素)19を有している。
そして、第3のプーリー19は第2のプーリー2bよりも大きい径を有している。
【0063】
接触を妨げる機構は、また、駆動ローラ1の隣り合う第1のプーリー1b間、および最外側の第1のプーリー1bの外側において、第1のプーリー1bと同軸に設けられ、回転軸1aから独立して回転可能とされた第4のプーリー(ローラ要素)20を有している。
そして、第4のプーリー20は第1のプーリー1bよりも小さい径を有している。
【0064】
接触を妨げる機構は、さらに、互いに対をなす第3および第4のプーリー19、20間に掛け渡されて無端搬送ベルト3に平行にのびる追加の無端ベルト21を有している。追加の無端ベルト21の上面21aは無端搬送ベルト3の搬送面3bよりも小さい摩擦係数を有している。
【0065】
さらに、吸引ボックス11の上流側端面には、追加の無端ベルト21を案内するガイド25が取り付けられている。ガイド25は、吸引ボックス11の上流側端面から間隔をあけた位置において搬送面3bを横切ってのびる水平なガイドローラ22と、ガイドローラ22に関し吸引ボックス11と反対側においてガイドローラ22に平行にのびるガイドプレート23とを有している。ガイドプレート23は、角が丸みを帯びた逆L字状の断面を有している。
【0066】
ガイドローラ22は、頂点が吸引ボックス11の上面と略同じ高さに位置し、ガイドプレート23は、頂面がアイドルローラ2の第3のプーリー19の頂点と略同じ高さ位置にある。
【0067】
そして、追加の無端ベルト21の上側ベルト部分が、第3のプーリー19から搬送方向にガイドプレート23までのび、ガイドプレート23に沿って下向きにのびた後、ガイドローラ22の下面に沿って吸引ボックス11の上流側端面の上端縁に向けてのび、その後、吸引ボックス11の上面に沿って第4のプーリー20までのびている。
【0068】
さらに、追加の無端ベルト21の下側ベルト部分の中間に、追加の無端ベルト21を横切ってのびるテンションローラ24が配置されている。テンションローラ24は、キャリッジ8(制止板14および吸引ボックス11)の位置が変更されて用紙集積エリア15の長さが変化しても、常に追加の無端ベルト21を緊張状態に維持する。
【0069】
こうして、無端ベルト21の上面は、用紙集積エリア15における吸引ボックス11の上流側の領域では無端搬送ベルト3の搬送面3bよりも高い位置にあるが、用紙集積エリア15における吸引ボックス11と重なる領域、および搬送面3bにおける用紙集積エリア15の下流側の領域では無端搬送ベルト3の搬送面3bよりも低い位置にある。
【0070】
この実施例によれば、無端搬送ベルト3の搬送面3bにおける用紙集積エリア15の吸引ボックス11の上流側の領域から追加の無端ベルト21が突出し、当該領域では、集積された最下位の用紙Sと無端搬送ベルト3との接触が妨げられる。
【0071】
さらに、追加の無端ベルト21は無端搬送ベルト3が回転しても静止したままである。
【0072】
そのため、用紙集積エリア15に集積された最下位の用紙Sが吸引ボックス11によって残りの用紙Sから分離され、無端搬送ベルト3によって用紙集積エリア15から下流側に送出される間に、当該用紙Sの直上の(次の送出のために待機している)用紙Sが無端搬送ベルト3と接触し、誤って搬送されることが防止される。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されるものではなく、当業者が添付の特許請求の範囲に記載した構成の範囲内において種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 駆動ローラ
1a 回転軸
1b 第1のプーリー(ローラ要素)
2 アイドルローラ
2a 軸
2b 第2のプーリー(ローラ要素)
3 無端搬送ベルト
3a 通気穴
3b 搬送面
3c 上側ベルト部分
3d 下側ベルト部分
4 第1の駆動機構
4a プーリー
4b モータ
4c プーリー
4d 無端ベルト
5 第3のプーリー(ローラ要素)
8 キャリッジ
9 スライドガイド
10 第2の駆動機構
10a モータ
10b プーリー
10c プーリー
10d 無端ベルト
11 吸引ボックス
11a 吸気穴
11b シャッタ
11c 上流端
12 吸引ファン(吸気源)
13 搬送ローラ対
14 制止板
14a 下端
15 用紙集積エリア
16 搬送ローラ対
17 カバーシート
17a 一端
17b 他端
18 巻取式定圧板バネ
19 第3のプーリー(ローラ要素)
20 第4のプーリー(ローラ要素)
21 追加の無端ベルト
21a 上面
22 ガイドローラ
23 ガイドプレート
24 テンションローラ
25 ガイド
26 カバーシート巻取ローラ
26a 本体
26b、26c 回転軸
26d 大径部
27 巻取式定圧板バネ
27a 巻取部
27b 先端
S 用紙
u 搬送面の上流端
w 搬送面の下流端