(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】繊維マット製造機及び繊維マットの製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 3/033 20120101AFI20230927BHJP
【FI】
D04H3/033
(21)【出願番号】P 2022174194
(22)【出願日】2022-10-31
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】202211281654.7
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522105584
【氏名又は名称】山東谷悦康養器具有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shandong Guyuekang Appliance Co., LTD
【住所又は居所原語表記】558 Xinwu Road, Xiaoying Office, High-tech Zone, Binzhou city, Shandong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 子玉
(72)【発明者】
【氏名】王 春凱
(72)【発明者】
【氏名】張 魯
(72)【発明者】
【氏名】荊 常斌
(72)【発明者】
【氏名】苟 文明
(72)【発明者】
【氏名】任 海華
(72)【発明者】
【氏名】郭 佳彬
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-526223(JP,A)
【文献】特開2005-015964(JP,A)
【文献】特表2015-518091(JP,A)
【文献】特開平07-324271(JP,A)
【文献】特開昭49-055915(JP,A)
【文献】特公昭48-041014(JP,B1)
【文献】特開2004-239936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
D01D 1/00 - 13/02
D04H 1/00 - 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維マットを製造するための繊維マット製造機であって、
糸噴出アセンブリ(1)、散水板(2)、水タンク(3)、搬送ローラ(4)、牽引ローラ(5)、ガイドローラ(6)、乾燥機(7)及び搬送スクリュー(8)を含み、
前記乾燥機(7)の出力端は、前記搬送スクリュー(8)の入力端に接続され、
前記搬送スクリュー(8)の出力端は、前記糸噴出アセンブリ(1)の入力端に接続され、
前記搬送スクリュー(8)は、複数の加熱区間を含み、
前記糸噴出アセンブリ(1)は、糸噴出金型(11)、割当て板(12)、糸噴出板(13)を含み、
前記糸噴出金型(11)は、前記割当て板(12)に密着され、
前記割当て板(12)は、前記糸噴出板(13)に密着され、
前記糸噴出金型(11)には、複数の糸噴出通路(111)が設けられ、
前記割当て板(12)には、前記糸噴出通路(111)に対応する数の割当て領域(121)があり、
前記割当て領域(121)には、複数の割当て孔(122)が設けられ、各前記割当て領域(121)における割当て孔(122)の孔径及びピッチは異なり、
前記糸噴出板(13)は、複数の糸噴出領域(131)に分けられ、任意の1つの前記糸噴出領域(131)の状態は、中実又は中空であり、
前記水タンク(3)は、冷却水を貯蔵するためのものであり、
前記搬送ローラ(4)は、水タンク(3)の冷却水に完全に没入されるように前記水タンク(3)に設けられ、
前記糸噴出アセンブリ(1)は、前記水タンク(3)の外部に位置し、
前記散水板(2)は、前記糸噴出アセンブリ(1)と前記搬送ローラ(4)との間に斜めに設置され、前記散水板(2)の第一端は、前記搬送ローラ(4)の水面に近い一端に接触し、前記散水板(2)の第二端は前記糸噴出アセンブリ(1)に向いて延伸し、前記散水板(2)の散水斜面は、前記糸噴出アセンブリ(1)の糸噴出面に向いており、
前記散水板(2)は、貯水室(21)及び散水斜面(22)を含み、
前記散水板(2)の散水斜面(22)は、前記搬送ローラ(4)に近い方向に沿って順に接続される第1斜面(221)、第2斜面(222)及び第3斜面(223)を含み、
前記貯水室(21)は、前記散水板の第二端に接続され、前記貯水室(21)には、散水孔(211)が設けられており、
前記貯水室(21)は、冷却水を貯蔵し、前記冷却水を前記散水孔(211)から前記散水斜面(22)を通させて前記水タンク(3)に落下させるためのものであり、
前記水タンク(3)には、複数のガイドローラ(6)が設けられ、前記水タンク(3)の外部には、冷却後の繊維層を、前記搬送ローラ(4)を経由させて前記水タンク(3)から引き出すための牽引ローラ(5)が設けられており、
前記複数の前記ガイドローラ(6)は、前記繊維層が前記搬送ローラ(4)の水面から遠い一端から前記牽引ローラ(5)へ移動する方向に沿って順に排列されている、
ことを特徴とする繊維マット製造機。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維マット製造機により製造される繊維マットの製造方法であって、
常温条件で、原料を混合した後に撹拌して混合物を形成するステップと、
真空の方式で前記混合物を乾燥機に進入させ、前記混合物の材料の種類に応じて前記乾燥機の温度及び乾燥時間を調整するステップと、
乾燥後の前記混合物を搬送スクリューに送り込み、前記搬送スクリューの各加熱区間の温度を調整して、前記混合物を段階的に昇温させて溶融するステップと、
溶融後の前記混合物をろ過するステップと、
ろ過後の前記混合物を糸噴出アセンブリに送り込み、前記混合物が糸噴出アセンブリを通過した後に繊維になり、前記繊維が散水板及び水面上に自然落下し、前記糸噴出アセンブリにおける互いに隣接する糸噴出孔から押し出された繊維同士が三次元捲縮状に絡み合って繊維層を形成し、前記繊維層が落下して水タンクに進入されるステップと、
前記繊維層を水タンク内の搬送ローラにより冷却水タンクまで牽引し、前記水タンク内で前記繊維層を急速冷却させて硬化させるステップと、
ガイドローラにより水タンク内での繊維層の移動を案内し、牽引ローラにより前記繊維層を水面に引き出して乾燥成形するステップと、
前記繊維層を実際のニーズに応じて裁断し、裁断後に、その生産方向に沿って風乾燥箱内にセットさせて送風乾燥するステップと、
前記繊維層が乾燥された後、製品形状に応じて、金型内で前記繊維層を熱圧定型するステップと、を含むことを特徴とする繊維マットの製造方法。
【請求項3】
前記乾燥機の乾燥温度区間は、60~130℃であり、乾燥時間区間は、1~5時間であり、前記熱圧定型の温度区間は、80℃~130℃であり、前記熱圧定型の時間区間は、5分~30分であることを特徴とする請求項2に記載の繊維マットの製造方法。
【請求項4】
前記搬送スクリューは、5つの加熱領域に分けられ、5つの前記加熱領域の加熱温度は、前記搬送スクリューの搬送方向に沿って段階的に漸増し、
前記加熱温度が最も低い前記加熱領域の加熱温度範囲は、120~200℃であり、
前記加熱温度が最も高い前記加熱領域の温度範囲は、210~250℃であり、
隣接する2つの前記加熱領域の前記加熱温度の設定間隔は、10℃~15℃であることを特徴とする請求項2に記載の繊維マットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維マット製造の技術分野に関し、特に、繊維マット製造機及び繊維マットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の技術において、化学繊維を使用して、枕、クッション、マットレスなどの繊維マットを製造している。
既存の繊維マットは、一般に同種の原料配合及び加工方式を使用して加工されるため、同一の繊維マットは、同一の通気性や支持性などの性質パラメータを有することしかできない。
【0003】
しかし、実際の使用において、異なるユーザは、繊維マットの硬軟度及び通気度に対する要求が異なることができる。
同一の繊維マットに単一の性質パラメータしかないと、繊維マットは、一つのタイプのユーザのニーズしか満たすことができない。
異なるユーザのニーズを満たしたい場合には、性質パラメータが異なる複数タイプの製品をそれぞれ生産する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の繊維マットの通気性や支持性などの性質パラメータが単一である状況を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る繊維マットを製造するための繊維マット製造機は、糸噴出アセンブリ、散水板、水タンク、搬送ローラ、牽引ローラ、ガイドローラ、乾燥機及び搬送スクリューを含み、
前記乾燥機の出力端は、前記搬送スクリューの入力端に接続され、
前記搬送スクリューの出力端は、前記糸噴出アセンブリの入力端に接続され、
前記搬送スクリューは、複数の加熱区間を含み、
前記糸噴出アセンブリは、糸噴出金型、割当て板、糸噴出板を含み、
前記糸噴出金型は、前記割当て板に密着され、前記割当て板は、前記糸噴出板に密着され、
前記糸噴出金型には、複数の糸噴出通路が設けられ、
前記割当て板には、前記糸噴出通路に対する数の割当て領域があり、
前記割当て領域には、複数の割当て孔が設けられ、各前記割当て領域における割当て孔の前記割当て板孔径及びピッチは異なり、
前記糸噴出板は、複数の糸噴出領域に分けられ、任意の1つの前記糸噴出領域の状態は中実又は中空であり、
前記水タンクは、冷却水を貯蔵するためのものであり、
前記搬送ローラは、前記水タンクの冷却水に完全に没入されるように前記水タンクに設けられ、
前記糸噴出アセンブリは、前記水タンクの外部に位置し、
前記散水板は、前記糸噴出アセンブリと前記搬送ローラとの間に斜めに設置され、前記散水板の第一端は、前記搬送ローラの水面に近い一端に接触し、前記散水板の第二端は、前記糸噴出アセンブリに向いて延伸し、前記散水板の散水斜面は、前記糸噴出アセンブリの糸噴出面に向いており、
前記散水板は、貯水室及び散水斜面を含み、
前記散水板の散水斜面は、前記搬送ローラに近い方向に沿って順に接続される第1斜面、第2斜面及び第3斜面を含み、
前記貯水室は、前記散水板の第二端に接続され、前記貯水室には、散水孔が設けられており、
前記貯水室は、冷却水を貯蔵し、前記冷却水を前記散水孔から前記散水斜面を通させて前記水タンクに落ちさせるためのものであり、
前記水タンクには、複数のガイドローラが設けられ、前記水タンクの外部には、冷却後の繊維層を、前記搬送ローラを経由させて前記水タンクから引き出すための牽引ローラが設けられており、
前記複数の前記ガイドローラは、前記繊維層が前記搬送ローラの水面から遠い一端から前記牽引ローラへ移動する方向に沿って順に排列されている。
【0006】
本発明に係る、上記の繊維マット製造機により製造される繊維マットの製造方法は、
常温条件で、原料を混合した後に撹拌して混合物を形成するステップと、
真空の方式で、前記混合物を乾燥機に進入させ、前記混合物の材料の種類に応じて前記乾燥機の温度及び乾燥時間を調整するステップと、
乾燥後の前記混合物を搬送スクリューに送り込み、前記搬送スクリューの各加熱区間の温度を調整して、前記混合物を段階的に昇温させて溶融するステップと、
溶融後の前記混合物をろ過するステップと、
ろ過後の前記混合物を糸噴出アセンブリに送り込み、前記混合物が糸噴出アセンブリを通過した後に繊維になり、前記繊維が散水板及び水面上に自然落下し、前記糸噴出アセンブリにおける互いに隣接する糸噴出孔から押し出された繊維が三次元捲縮状に絡み合って繊維層を形成し、前記繊維層が落下して水タンクに進入されるステップと、
前記繊維層を水タンク内の搬送ローラにより冷却水タンクまで牽引し、前記水タンク内で前記繊維層を急速冷却させて硬化させるステップと、
ガイドローラにより水タンク内での繊維層の移動を案内し、牽引ローラにより前記繊維層を水面に引き出して乾燥成形するステップと、
前記繊維層を実際のニーズに応じて裁断し、裁断後に、その生産方向に沿って風乾燥箱内にセットさせて送風乾燥するステップと、
前記繊維層が乾燥された後、製品形状に応じて、金型内で前記繊維層を熱圧定型するステップと、を含む。
【0007】
そして、前記乾燥機の乾燥温度区間は、60~130℃であり、乾燥時間区間は、1~5時間であり、前記熱圧定型の温度区間は、80℃~130℃であり、前記熱圧定型の時間区間は、5分~30分である。
【0008】
また、前記搬送スクリューは、5つの加熱領域に分けられ、5つの前記加熱領域の加熱温度は、前記搬送スクリューの搬送方向に沿って段階的に漸増し、前記加熱温度最が最も低い前記加熱領域の加熱温度範囲は、120~200℃であり、前記加熱温度が最も高い前記加熱領域の温度範囲は、210~250℃であり、隣接する2つの前記加熱領域の前記加熱温度の設定間隔は、10℃~15℃である。
【0009】
なお、本発明によって得られる繊維マットについては、第1繊維層とこの第1繊維層に貼り合わされている第2繊維層とを含み、前記第1繊維層は、第1三次元捲縮繊維とこの第1三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、前記第2繊維層は、第2三次元捲縮繊維と第2三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、第1繊維層の繊維密度は、第2繊維層の繊維密度と異なっている。
【0010】
さらに、繊維マットは、第3三次元捲縮繊維とこの第3三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成される第3繊維層を含み、第3繊維層は、第1繊維層及び/又は第2繊維層に貼り合わされ、隣接する繊維層との繊維密度が異なっている。
【0011】
さらに、繊維マットは、前記第1繊維層又は第2繊維層に貼り合わされる織物層をさらに含む。
【0012】
そして、前記第1繊維層及び第2繊維層の縦断面形状は、波形、楕円形、長方形のいずれかである。
【0013】
また、前記第1三次元捲縮繊維及び第2三次元捲縮繊維の横断面は、中実又は中空のいずれかである。
【0014】
さらに、前記第1繊維層及び第2繊維層の厚さは、予め設定された厚さ範囲内の任意の値であり、前記予め設定された厚さ範囲は、2mm~20cmである。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、複数層の密着構造を有する繊維マットの製造機を提供し、各繊維層の各原料、密度、厚さ等は、いずれも実際のニーズに応じて調整することができ、多層繊維層の構造で、製品の通気性や支持性などのパラメータを調整すると、そのうちの1つの又は複数のパラメータを柔軟に置き換えるか又は修正することができ、より大きな範囲での製品のニーズを実現することができる。
本発明では、繊維マットの製造方法を提供し、繊維マット製造機を使用して、原料、層数、繊維密度を任意に組み合わせる繊維層マットを生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここで、図面は、本発明の実施例を示し、明細書と本発明の実施例を解釈するためのものである。
なお、以下に説明された図面は、本発明で実施される一実施例にすぎず、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明
によって得られた第一実施例に係る繊維マットの概略構造図である。
【
図2】本発明
によって得られた第二実施例に係る繊維マットの概略構造図である。
【
図3】本発明
によって得られた第三実施例に係る繊維マットの概略構造図である。
【
図4】本発明
である繊維マット方法のプロセスの概略フローチャートである。
【
図5】本発明
である繊維マット製造機の概略構造図である。
【
図8】本発明
で用いた糸噴出アセンブリの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態をより全面的に説明する。
しかしながら、本発明の実施形態は、多様な形態で実施され、ここで記述した例示に限定されるべきではない。
これらの実施形態により、本発明の実施例がより包括的で完全になり、実施形態の技術的思想が当業者に完全に伝達される。
説明された特徴、構造又は特性は、いずれの適切な方式で1つ以上の実施形態に組み込まれることができる。
以下の説明では、本発明の実施形態を十分に理解させるために、多くの具体的な詳細内容を提供する。
【0018】
既存の技術において、化学繊維を使用して、枕、クッション、マットレスなどの繊維マットを製造している。
既存の繊維マットは、一般に同種の原料配合及び加工方式を使用して加工されるため、同一の繊維マットは、統一の通気性や支持性などの性質パラメータを有することしかできない。
しかしながら、実際の使用において、異なるユーザは、繊維マットの硬軟度及び通気度に対する要求が異なることができる。
同一の繊維マットに単一の性質パラメータしかないと、繊維マットは、1つのタイプのユーザのニーズしか満たすことができない。
異なるユーザのニーズを満たしたい場合には、性質パラメータが異なる複数タイプの製品をそれぞれ生産する必要がある。
【0019】
本発明は、既存の化学繊維製品が何れも単層繊維で製造され、通気性や支持性などの性質パラメータの調整範囲が小さいという問題を解決するために、繊維マット
の製造機を提供し、
図1には、本発明
の繊維マット製造機によって得られる第一実施例である繊維マットの概略構造図が示され、
図1に示すように、この繊維マットは、第1繊維層101と、この第1繊維層101に貼り合わされている第2繊維層102と、を含み、第1繊維層101は、第1三次元捲縮繊維とこの第1三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、第2繊維層102は、第2三次元捲縮繊維とこの第2三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、三次元捲縮繊維は、形態記憶効果を有し、捲縮形態が持続的であり、良好なかさ高性及び反発性を有する。
【0020】
第1繊維層101の繊維密度は、前記第2繊維層102の繊維密度と異なっている。
繊維マットの繊維密度は、製品の支持力などの諸性能に直接影響し、本発明の繊維マット製造機によって得られる繊維密度範囲は、製品の原料の種類により左右され、第1繊維層101及び第2繊維層102は、異なる原料を使用することができるため、対応する繊維密度の大きさも異なり、又は、一部の異なる原料は、一部の範囲が重なる密度値を取得することができ、この場合、層ごとに異なる材料を使用することができるが、単一の繊維密度を保証することもできる。
【0021】
図2は、本発明
の繊維マット製造機によって得られる第二実施例に係る繊維マットの概略構造図であり、
図2に示すように、本発明
によって得られる繊維マットは、第3三次元捲縮繊維とこの第3三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成された第3繊維層103をさらに含み、第3繊維層は、第1繊維層及び/又は第2繊維層に貼り合わされ、隣接する繊維層との繊維密度が異なっている。
【0022】
図3は、本発明
の繊維マット製造機によって得られる第三実施例に係る繊維マットの概略構造図であり、
図3に示すように、本発明の繊維マットは、第1繊維層101又は第2繊維層102に貼り合わされる織物層104をさらに含む。
織物層104は、本発明
の繊維マット製造機によって得られる繊維マットが使用される際にユーザと直接接触する表層であり、薄い皮膚にやさしい材料で製造され、繊維マットの機能性に影響を与えずに使用するとともに、良好な触り心地を提供することができ、織物層104も実際のニーズに応じて異なる材料に変更して、異なる使用シーンを満たすことができる。
【0023】
そして、第1繊維層101及び第2繊維層102の縦断面形状は、波形、円柱形、長方形のいずれか1つである。
本発明の繊維マット製造機によって得られる繊維マットは、マットレス、枕や座布団などの支持機能を有する製品に適用されることができ、製品の必要に応じて、繊維マットの縦断面形状を任意に設計又は選択することができ、波形、楕円形、長方形以外にも、他の形状であってもよいため、本発明では特に限定しない。
【0024】
また、第1三次元捲縮繊維及び第2三次元捲縮繊維の横断面は、中実又は中空のいずれかである。
本発明の繊維マット製造機によって得られる繊維マットの繊維の横断面構造を任意に組み合わせることができ、具体的には、第1三次元捲縮繊維が中実であり、第2三次元捲縮繊維が中空であり、又は、第1三次元捲縮繊維が中空であり、第2三次元捲縮繊維が中実であり、又は、第1三次元捲縮繊維が中実であり、第2三次元捲縮繊維も中実であり、又は、第1三次元捲縮繊維が中空であり、第2三次元捲縮繊維も中空であることができる。
一部の実施例において、繊維マットの繊維層の数は、2層より多いことができ(例えば、3層、4層など)、この場合、必要に応じて、繊維層内の三次元捲縮繊維の横断面構造を調整することができ、例えば、繊維マットが第3繊維層103を含む場合、第3繊維層103は、第3三次元捲縮繊維とこの第3三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、第1三次元捲縮繊維及び第3三次元捲縮繊維の横断面が中実であり、第2三次元捲縮繊維の横断面が中空であることができ、三次元捲縮繊維の横断面が中空でかつ硬い場合、支持力を保証することができ、中実でかつ柔軟である場合、快適さを保証することができ、それにより、繊維マットの通気性を保証するとともに、繊維マットが十分な支持力を有するように保証することができる。
【0025】
さらに、第1繊維層101及び第2繊維層102の厚さは、予め設定された厚さ範囲内の任意の値である。
具体的には、この予め設定された厚さ範囲は、2mm~20cmの間であり、第1繊維層101及び第2繊維層102の繊維密度も、予め設定された密度範囲内の任意の値であり得る。
【0026】
本発明
の繊維マット製造機によって得られる繊維マットは、マットレス、枕や座布団などの支持機能を有する製品に適用されることができるため、実際に生産する製品の必要に応じて、繊維マット全体の厚さを確定しから、各層の厚さのサイズを具体的に割り当てることができ、諸性能の必要に応じて、各層の厚さを相違又は同一に設定することができ、
図1を参照すると、第1繊維層101の厚さは、第2繊維層102の厚さより大きいこともでき、第2繊維層102の厚さと同一であることもでき、第2繊維層102の厚さより小さいこともできる。
【0027】
上記の実施形態によれば、本発明の繊維マット製造機によって得られる第1態様では、両層密着構造の繊維マットを提供し、繊維マットの第1繊維層101及び第2繊維層102の密度や厚さなどは、何れも実際のニーズに応じて調整されることができ、それにより、繊維マットは、2つの異なるタイプのユーザの使用ニーズを同時に満たすことができる。
【0028】
本発明では、繊維マットの製造方法を提供し、
図4に示すように、この方法は、上記のいずれか1つの繊維マットを製造するためのものであり、ステップS001~S009を含む。
【0029】
S001では、常温条件で、原料を混合した後に撹拌する。
実際の使用過程において、原料を混合した後に、10分~40分撹拌して、混合物を形成する。
【0030】
S002では、真空の方式で混合物を乾燥機に進入させ、混合物の材料の種類に応じて乾燥機の温度及び乾燥時間を調整する。
実際使用時、乾燥機の乾燥温度区間は、60~130℃であり、乾燥時間区間は、1~5時間である。
原料乾燥ステップにおける温度及び時間は、使用する原料の種類に応じて選択することができる。
【0031】
S003では、乾燥後の混合物を搬送スクリューに送り込み、前記搬送スクリューの各加熱区間の温度を調整して、前記混合物を段階的に昇温させて溶融させる。
搬送スクリューは、5つの加熱領域に分けられ、5つの加熱領域の加熱温度は、搬送スクリューの搬送方向に沿って段階的に漸増し、加熱温度が最も低い加熱領域の加熱温度範囲は、120~200℃であり、加熱温度が最も高い加熱領域の温度範囲は、210~250℃であり、隣接する2つの加熱領域の加熱温度の設定間隔は、10℃~15℃である。
【0032】
S004では、溶融後の混合物をろ過する。
さらに、ろ過層のメッシュ数は、100メッシュであり、加熱後の混合物をろ過することにより、糸噴出アセンブリの孔詰まりを回避し、押出圧力を適度に増加させることができる。
【0033】
S005では、ろ過後の前記混合物を糸噴出アセンブリに送り込み、前記混合物が糸噴出アセンブリを通過した後に繊維になり、この繊維が散水板及び水面上に自然落下し、前記糸噴出アセンブリにおける互いに隣接する糸噴出孔から押し出された繊維同士が三次元捲縮状に絡み合って繊維層を形成し、この繊維層が落下して水タンクに進入される。
【0034】
S006では、前記繊維層を水タンク内の搬送ローラにより冷却水タンクまで牽引し、前記水タンク内で繊維層を急速冷却させて硬化させる。
押し出された三次元捲縮繊維は、散水板及び水面上に自然落下し、互いに隣接する孔から押し出された糸同士が絡んで接触し、その後、水タンク内の搬送ローラの牽引により糸絡み層が20℃の水タンクに進入されて、急速冷却により硬化される。
水タンクには、水温を均一かつ一定に保証するための循環装置をさらに設置されることができる。
【0035】
S007では、ガイドローラにより水タンク内での繊維層の移動を案内し、牽引ローラ5により繊維層を水面に引き出す。
水タンク外の能動的な牽引ローラの作用により、繊維層が水面に引き出され、冷却水タンク内に、糸絡み層の移動方向に沿ってガイドローラを設置して、水の浮力の過大による引張変形の問題を回避することができる。
【0036】
S008では、前記繊維層を実際のニーズに応じて裁断し、裁断後に、その生産方向に沿って風乾燥箱内にセットさせて送風乾燥させる。
【0037】
S009では、前記繊維層が乾燥された後、製品形状に応じて、金型内で前記繊維層を熱圧定型(一定の形になる)する。
実際使用時、熱圧定型の温度区間は、80℃~130℃であり、熱圧定型の時間区間は、5分~30分である。
【0038】
本発明
では、上記のいずれか1つの繊維マットの製造方法を実現するための繊維マット製造機を提供し、
図5に示すように、この繊維マット製造機は、糸噴出アセンブリ1、散水板2、水タンク3、搬送ローラ4、牽引ローラ5、ガイドローラ6、乾燥機7及び搬送スクリュー8を含む。
【0039】
乾燥機7の出力端は、搬送スクリュー8の入力端に接続され、搬送スクリュー8の出力端は、糸噴出アセンブリ1の入力端に接続され、搬送スクリュー8は、複数の加熱区間を含み、乾燥機7及び搬送スクリュー8は、原料を処理するためのものとして、乾燥して水蒸気の混入による製品の品質への影響を防止してから、加熱して溶融して、後期での糸の押し出しに用いる。
【0040】
水タンク3は、冷却水を貯蔵するためのものであり、搬送ローラ4は、水タンク3の冷却水に完全に没入されるように水タンク3に設けられ、搬送ローラ4は、冷却水中で繊維層の冷却水中での移動方向を調整して繊維層の成型を保証するためのものである。
糸噴出アセンブリ1は、水タンク3の外部に位置し、散水板2は、糸噴出アセンブリ1と搬送ローラ4との間に斜めに設置され、散水板2の第一端は、搬送ローラ4の水面に近い一端に接触し、散水板2の第二端は、糸噴出アセンブリ1に向いて延伸し、散水板2の散水斜面は、糸噴出アセンブリ1の糸噴出面に向いており、繊維層が糸噴出アセンブリ1から押し出された後、散水板2及び水面に垂直に落下し、散水板2における冷却水が一番先に繊維層に接触し、先に繊維層に対して冷却を行うことができる。
【0041】
図6に示すように、散水板2は、貯水室21及び散水斜面22を含み、貯水室21は、散水板の第二端に接続され、貯水室21には散水孔211が設けられ、この貯水室21は、冷却水を貯蔵するためのものであり、冷却水は、散水孔211を介して散水斜面22を経由して水タンク3に落ち込み、散水板2における貯水室21の散水孔211は、散水斜面22の上に位置し、主な利点は、糸噴出板と冷却水との距離を減小させることであり、繊維層が散水板2又は水面上に落下する時の繊維層の温度を高め、互いに隣接する繊維層の接触点間の接着堅牢度を保証することができる。
【0042】
また、
図4に示すように、水タンク3には、複数のガイドローラ6が設けられ、水タンク3の外部には、冷却後の繊維層を、搬送ローラ4を経由させて水タンク3から引き出すための牽引ローラ5が設けられ、複数のガイドローラ6は、繊維層が搬送ローラ4の水面から遠い一端から牽引ローラ5へ移動する方向に沿って順に排列されている。
ガイドローラ6は、水の浮力の繊維層に対する不均一による変形問題を解決することができる。
具体的には、実際の生産過程において、生産原料の密度は、0.85~1.1kg/m
3の間であり、繊維層構造の間隙率が大きいことにより、その全体の密度が水より小さく、上向き浮力の作用を受ける。
従って、自主回転するか又は回転しないガイドローラ6を追加することにより、繊維層に対する上向き浮力の影響を回避することができる。
【0043】
図7に示すように、散水板2の散水斜面22は、搬送ローラ4に近い方向へ順に接続されている第1斜面221、第2斜面222及び第3斜面223を含み、3つの斜面の傾斜率は、順に増加する。
第1斜面221の作用は、散水孔から出る水の受け取り平面として、散水が第2斜面222上で均一な水流層を形成することを保証することであり、水層の不均一による表面の繊維層の降温速度の差により、凹凸になる問題を回避することができる。
第2斜面222の作用は、繊維を絡み、接着及び接触させることにより、糸噴出アセンブリ1から噴出された繊維を捲縮させて三次元捲縮繊維を形成することであり、第3斜面223の作用は、三次元捲縮繊維間の接触・接着時間を増加させて、三次元捲縮繊維が堅牢に接着されていない状況で早すぎに冷却水に進入されるのを回避することであり、それにより、三次元捲縮繊維間の接点が、接触時間が短すぎる状況で冷却されることによる接着効果が悪いという問題を回避し、繊維マットの機械的性能を向上させることができる。
【0044】
具体的には、通常の散水板2と比べ、本発明では、散水板2における第3斜面223の長さを増加させ、第3斜面223の長さを延長させることにより、循環水による糸噴出板の直下の表層水温が快速的に変更されないように、循環水の散水板2上での流れを遅延させて、糸噴出板の直下の水温の温度差を保証し、温度が高い水面層を利用して繊維層の接着時間を延長させて、繊維層が水中に落下されて快速的に降温されて定型される時の、3次元捲縮繊維間の接触点の接着効果が悪くなるという問題を解決した。
【0045】
図8に示すように、糸噴出アセンブリ1は、糸噴出金型11、割当て板12及び糸噴出板13を含む。
糸噴出金型11は、割当て板12に密着され、この割当て板12は、糸噴出板13に密着され、糸噴出金型11には、複数の糸噴出通路111が設けられ、割当て板12には、糸噴出通路111に対応する複数の割当て領域121があり、割当て領域121には、複数の割当て孔122が設けられ、糸噴出板13は、少なくとも2つの糸噴出領域131に分けられ、任意の1つの糸噴出領域131は、いずれも複数の糸噴出孔を有する。
各糸噴出通路111は、それぞれの搬送スクリュー8、割当て板12及び糸噴出板13の作業領域に一一対応し、異なる原料の同時生産を実現することができ、糸を噴出するとき、異なる原料の繊維層の一部の三次元捲縮繊維が緊密に絡み合い、それにより、異なる繊維層が結合され、多層の繊維マットを形成する。
ここで、割当て孔122の孔径ピッチは、実際の状況に応じて任意に調整することができ、具体的には、例えば、割当て孔は、その孔径が4mmであり、その数が106個/列であり、互いに隣接する2列が交差交互に設置され、各割当て領域121は、それぞれ8列である。
糸噴出板13における各糸噴出領域131の糸噴出孔の密度及び孔径が同じである場合、繊維密度が同じである多層繊維マットを生産することができ、各糸噴出領域131の糸噴出孔の密度又は孔径が異なる場合、繊維密度が異なる多層繊維層マットを生産することができる。
【0046】
ここで、2つの乾燥機7及び搬送スクリュー8には、異なる原料が同時に投入されることができ、上記の原料及び部材構造の構成により、原料、層数、繊維密度を任意に組合せた繊維マットを生産することができる。
【0047】
上記の内容によれば、本発明の繊維マット製造機によって得られる繊維マットは、第1繊維層と、この第1繊維層に貼り合わされている第2繊維層と、を含み、第1繊維層は、第1三次元捲縮繊維とこの第1三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、第2繊維層は、第2三次元捲縮繊維とこの第2三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、第1繊維層の繊維密度は、第2繊維層の繊維密度と異なっている。
ここで、異なる繊維層には、それぞれ異なる通気性や支持性などの性質パラメータがある。
繊維マットは、2つの異なるタイプのユーザの使用ニーズを同時に満たすことができる。
本発明に係る繊維マットの製造方法は、繊維マット製造機を使用して上記の繊維マットを生産することができる。
【0048】
当業者であれば、本明細書を考慮して他の実施例も容易に想到することができる。
本発明は、変形、用途、又は適応的変化を包含することを意図し、これらの変形、用途、又は適応的変化は、本分野における常識や慣用の技術的手段も含む。
明細書及び実施例は、例示的なものにすぎず、本発明の技術的思想は、別紙の特許請求の範囲によって限定される。
【0049】
なお、本発明は、上記の説明及び図面の図示の構造に限定されず、様々な修正及び変更を行うことができる。
本発明の範囲は、別紙の特許請求の範囲のみによって限定される。
【符号の説明】
【0050】
1 ・・・糸噴出アセンブリ
2 ・・・散水板
3 ・・・水タンク
4 ・・・搬送ローラ
5 ・・・牽引ローラ
6 ・・・ガイドローラ
7 ・・・乾燥機
8 ・・・搬送スクリュー
11 ・・・糸噴出金型
12 ・・・割当て板
13 ・・・糸噴出板
21 ・・・貯水室
22 ・・・散水斜面
111 ・・・糸噴出通路
121 ・・・割当て領域
122 ・・・割当て孔
131 ・・・糸噴出領域
221 ・・・第1斜面
222 ・・・第2斜面
223 ・・・第3斜面
101 ・・・第1繊維層
102 ・・・第2繊維層
103 ・・・第3繊維層
104 ・・・織物層
【要約】
【課題】本発明は、繊維マット及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明に係る繊維マットは、第1繊維層とこの第1繊維層に貼り合わされている第2繊維層と、を含み、第1繊維層は、第1三次元捲縮繊維とこの第1三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、第2繊維層は、第2三次元捲縮繊維とこの第2三次元捲縮繊維により形成される不規則な空気通路とから構成され、第1繊維層の繊維密度は、第2繊維層の繊維密度と異なる。異なる繊維層は、それぞれ異なる通気性や支持性などの性質パラメータを有する。繊維マットは、2つの異なるタイプのユーザの使用ニーズを同時に満たすことができる。本発明に係る繊維マットの製造方法は、繊維マット製造機を使用して上記の繊維マットを生産することができる。
【選択図】
図1