(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】遠心分離による日本酒製造方法
(51)【国際特許分類】
C12G 3/022 20190101AFI20230927BHJP
B04B 15/06 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C12G3/022 119S
B04B15/06
(21)【出願番号】P 2023095480
(22)【出願日】2023-06-09
【審査請求日】2023-06-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523220709
【氏名又は名称】高須合資会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高須 忠文
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-004057(JP,A)
【文献】特開平10-108662(JP,A)
【文献】実開平06-063155(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 3/00-3/08
B04B 1/00-15/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
醪タンクから供給された醪をローターで遠心力により液体分と固形分に分離し、
比重の重い前記固形分を堰き止めることで比重の軽い前記液体分を清酒タンクへ流出するように誘導するとともに、堰き止められた前記固形分を酒粕タンクへ排出されるように誘導する固液分離工程と、
前記固液分離工程を繰り返して前記ローターに前記固形分が残留したことを振動センサで検知したときに、前記ローターに前記清酒タンクに流出した前記液体分を還流させることで、前記ローター内に堆積した前記固形分を洗い流す洗浄工程と、を有し、
前記洗浄工程により前記ローターを停止させることなく連続して前記清酒タンクに前記液体分を流出させて清酒を回収する、
ことを特徴とする遠心分離による日本酒製造方法。
【請求項2】
前記洗浄工程は、前記清酒タンクから高圧ポンプで前記液体分の一部を前記ローター内に送り込み、前記ローターの回転軸に間欠的に設けたノズルから、前記ローター内に堆積した前記固形分に向けて前記液体分を噴射する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠心分離による日本酒製造方法。
【請求項3】
前記酒粕タンクに蓄積された前記固液分離工程で分離された固形分、及び前記洗浄工程で洗い流された固形分を、機械搾りにより清酒と酒粕に分けて回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠心分離による日本酒製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の日本酒製造方法において遠心分離する際に使用する遠心分離機であって、
醪タンクから供給された醪を遠心力で液体分と固形分に分離し、
比重の重い前記固形分を堰き止めることで比重の軽い前記液体分を清酒タンクへ流出するように誘導するとともに、堰き止められた前記固形分を酒粕タンクへ排出されるように誘導するローターと、
前記ローターに前記固形分が残留したことを検知する振動センサと、を有し、
前記振動センサが異常を検知したときに、前記ローターに前記清酒タンクに流出した液体分の一部を還流させることで、前記ローター内に堆積した前記固形分を洗い流す、
ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項5】
請求項4に記載の遠心分離機と、
醪タンクから供給された醪を前記遠心分離機で固液分離し、流出した液体分を貯留するための清酒タンクと、
前記遠心分離機から排出された固形分を貯留するための酒粕タンクと、
前記遠心分離機のローター内に堆積した固形分を洗い流すための洗浄装置と、を有し、
前記洗浄装置は、前記遠心分離機の振動センサが異常を検知したら前記清酒タンク内の液体分の一部を前記ローター内に還流させ、洗い流した固形分を前記酒粕タンクへ排出する手段を備える、
ことを特徴とする遠心分離による日本酒製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、醪を遠心分離機で清酒と酒粕に固液分離することにより日本酒を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本酒(清酒)は、酒母(もと)に蒸米と麹と水を加えて発酵させた醪(もろみ)を搾って固形分(酒粕)を分離することで製造される。醪を搾る方法には、手搾り、機械搾り、遠心分離などがある。
【0003】
手搾りは、醪を大きな布製の袋に詰めて蔵人が手で搾り出す伝統的な方法で、品質としては最高であるが、非常に手間が掛かる。袋を吊るして自然の重力で滴り落ちる雫を集める方法もある。
【0004】
機械搾りは、ヤブタ式と呼ばれる油圧プレスを使用して自動的に圧搾および濾過する方法などがあり、広く一般的に使われている。効率的で大量生産に向いているが、機械の加える圧力によって雑味が入り、風味や香りに影響が出るので、一般的な品質の清酒として流通している。
【0005】
遠心分離は、回転するドラムの中に醪を入れ、その遠心力によって固形分である酒粕を分離し、液体分である清酒を回収する方法である。手搾りと同程度の品質が得られ、高級な清酒として一部の酒蔵で使われている。
【0006】
特許文献1に記載されているように、酒類粕を密閉型同時混合機で撹拌しながら得られた凝集分離液を連続遠心分離装置で固形物と清澄分離液に固液分離する発明も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の発明のような一般的な遠心分離機では、固液分離した後、ドラム内にベトベトした酒粕がこびり付いているので、その都度、機械を分解して酒粕を手で削ぎ取るなど清掃が必須であり、非常に手間が掛かり大量生産するには不向きである。
【0009】
そこで、本発明は、遠心分離機に溜まった酒粕を自動的に洗浄することで遠心分離機を止めることなく連続的に日本酒を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明である遠心分離による日本酒製造方法は、醪タンクから供給された醪をローターで遠心力により液体分と固形分に分離し、前記液体分を軽ウィアで清酒タンクへ流出するように誘導するとともに、前記固形分を重ウィアで酒粕タンクへ排出されるように誘導する固液分離工程と、前記固液分離工程を繰り返して前記ローターに前記固形分が残留したことを振動センサで検知したときに、前記ローターに前記清酒タンクに流出した前記液体分を還流させることで、前記ローター内に堆積した前記固形分を洗い流す洗浄工程と、を有し、前記洗浄工程により前記ローターを停止させることなく連続して前記清酒タンクに前記液体分を流出させて清酒を回収する、ことを特徴とする。
【0011】
前記遠心分離による日本酒製造方法において、前記洗浄工程は、前記清酒タンクから高圧ポンプで前記液体分の一部を前記ローター内に送り込み、前記ローターの回転軸に間欠的に設けたノズルから、前記ローター内に堆積した前記固形分に向けて前記液体分を噴射する、ことを特徴とする。
【0012】
前記遠心分離による日本酒製造方法において、前記酒粕タンクに蓄積された前記固液分離工程で分離された固形分、及び前記洗浄工程で洗い流された固形分を、機械搾りにより清酒と酒粕に分けて回収する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明である遠心分離機は、醪タンクから供給された醪を遠心力で液体分と固形分に分離し、前記液体分を軽ウィアで清酒タンクへ流出するように誘導するとともに、前記固形分を重ウィアで酒粕タンクへ排出されるように誘導するローターと、前記ローターに前記固形分が残留したことを検知する振動センサと、を有し、前記振動センサが異常を検知したときに、前記ローターに前記清酒タンクに流出した液体分の一部を還流させることで、前記ローター内に堆積した前記固形分を洗い流す、ことを特徴とする。
【0014】
本発明である遠心分離による日本酒製造システムは、前記遠心分離機と、醪タンクから供給された醪を前記遠心分離機で固液分離し、流出した液体分を貯留するための清酒タンクと、前記遠心分離機から排出された固形分を貯留するための酒粕タンクと、前記遠心分離機のローター内に堆積した固形分を洗い流すための洗浄装置と、を有し、前記洗浄装置は、前記遠心分離機の振動センサが異常を検知したら前記清酒タンク内の液体分の一部を前記ローター内に還流させ、洗い流した固形分を前記酒粕タンクへ排出する手段を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、醪を遠心分離機で固液分離した後、遠心分離機に溜まった酒粕を自動的に洗浄することで、遠心分離機を止めて分解することなく連続的に日本酒を製造することができる。機械による雑味が入ることもなく、分解もしないので衛生的であり、手搾りと同等の高品質な清酒を大量生産することができる。洗い流した酒粕も廃棄する必要がなく、再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明である遠心分離による日本酒製造方法における装置の全体構成を示す図である。
【
図2】本発明である遠心分離による日本酒製造方法で使用する遠心分離機を示す概観図である。
【
図3】本発明である遠心分離による日本酒製造方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0018】
本発明である遠心分離による日本酒製造方法について説明する。
図1は、遠心分離による日本酒製造方法における装置の全体構成を示す図である。
図2は、日本酒製造方法で使用する遠心分離機を示す概観図である。
図3は、遠心分離による日本酒製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0019】
図1に示すように、遠心分離による日本酒製造方法100における装置構成としては、醪タンク300から供給された醪を遠心力で固液分離する遠心分離機200、遠心分離機200から流出した液体分を貯留するための清酒タンク400、遠心分離機200から排出された固形分を貯留するための酒粕タンク500、遠心分離機200の振動を検知するための振動センサ600、遠心分離機200のローター210内に堆積した固形分を洗い流すための洗浄装置700などがある。
【0020】
遠心分離機200は、高速回転により醪に対して大きな遠心力をかけることにより、比重の軽い液体分である清酒と、比重の重い固形分である酒粕を分離する。機械搾りでは清酒に雑味が入ってしまうが、遠心分離では雑味のない清酒のみが分離され、手搾りと同等の品質が得られる。
【0021】
醪タンク300は、酒母に蒸米と麹と水を加えて発酵させた醪を遠心分離機200に供給するために貯留する槽である。醪タンク300内では、醪が分解され、清酒と酒粕が混合している状態である。底側と水面側に取出口があり、バルブ300bを切り替えて一方から醪を取り出せば良い。清酒と酒粕が均等に混ざっている場合は、底側から取り出しても良いが、酒粕の沈殿具合によっては、水面にフロート300aを浮かべておいて、酒粕の少ない部分においてスキマーで酒粕を取り除きながら効率良く水面側から取り出しても良い。
【0022】
遠心分離機200に醪を供給する際は、できるだけ醪を掻き混ぜたり分断させたりしないようにキャビティポンプ310を使用して醪タンク300から取り出した醪を送り込む。キャビティポンプ310は、回転部分と固定部分の間にできる空洞の容積を変化させることで、液体を吸い上げたり送り出したりするポンプであり、固形分を含む液体を移送する際に適している。
【0023】
清酒タンク400は、遠心分離機200で酒粕及び雑味成分から分離されて流出してきた清酒のみが貯留される槽である。風味や香りに影響を及ぼす雑味成分を含まないので、手搾りと同等の高品質な清酒として回収される。
【0024】
酒粕タンク500は、遠心分離機200で清酒が分離された後に残った酒粕等が排出されてきて貯留される槽である。酒粕は、固形分に残留した液体分が含まれドロドロした状態である。
【0025】
なお、酒粕タンク500の送出口500aからヤブタ式圧搾機に酒粕を送り、機械的に圧搾および濾過して清酒と酒粕に分離しても良い。機械搾りで雑味が入るおそれがあるため、一般的な清酒として回収される。さらに酒粕を粕漬け、粕汁、甘酒などの用途に利用するために回収しても良い。
【0026】
振動センサ600は、遠心分離機200に取り付けられ、遠心分離機200の動作に伴い発生する振動を測定する機器である。振動センサ600が遠心分離機200の異常を検知したときに、ローター210に清酒タンク400に流出した液体分の一部を還流させることで、ローター210内に堆積した固形分を洗い流すように指示を出す。なお、正常時の振動を把握しておき、異なる振動が発生したときに異常として検知するものであれば良い。
【0027】
洗浄装置700は、遠心分離機200に設置した振動センサ600が異常を検知したら清酒タンク400内の液体分の一部(約10%)をローター210内に還流させ、洗い流した固形分を酒粕タンク500へ排出する手段を備える。
【0028】
洗浄装置700は、高圧ポンプ710を利用して清酒タンク400に貯留された清酒を吸い上げ、遠心分離機200内に送り込む。ローター210内にベトベトした酒粕がこびり付いて酒粕タンク500への排出が悪くなることで振動が大きくなるため、一度分離した清酒ではあるが、それを利用して酒粕を洗い流す。
【0029】
洗浄装置700が無い場合、遠心分離機200を一旦停止させて清掃のために分解する必要があるので、その間の生産が止まってしまうことになり、さらに、分解したローター210内の酒粕を手作業で削ぎ落すことになり、手間が掛かる上に、取り除いた酒粕は再利用できないので廃棄することになる。洗浄装置700を使用すれば、分解不要なので衛生的にメンテナンス可能で、生産の連続性も維持される。
【0030】
また、清酒ではなく水で洗浄する場合、洗い流した酒粕に余計な水分が含まれてしまい、酒粕としての品質が劣化してしまうが、清酒で洗浄すれば酒粕の品質も維持され酒粕製品として提供可能であり、酒粕を廃棄する手間も無くなる。なお、高品質の清酒の一部が一般品質の清酒として回収されていくことになるが、遠心分離機200を清掃のために分解する必要がなく、連続的に大量生産されることになるので、結果的に高品質な清酒の生産量は向上する。
【0031】
図2に示すように、遠心分離機200は、ドラム型の枠体230内にローター210があり、モーター220で動力を与えローター210を回転させる。ローター210は、円筒状の回転体であり、中央を縦方向に通る回転軸260を軸として回転することで、内部で回転するものに遠心力を発生させる。
【0032】
醪タンク300から送られてきた醪が醪供給口240aから供給され、枠体230とローター210の間の導入部280aを通って、底部に設けた推進翼250の回転によりローター210の下側から内部の固液分離部280bに送り込まれる。醪を崩さないように醪供給口240aを底付近に設けて供給するようにしても良い。
【0033】
固液分離部280bに次々と送り込まれる醪は、回転軸260の下部に設けた遠心ディスク260aにより周壁側へ回り込んでから上昇していくが、回転軸260に設けた分離翼260aで周壁側へ飛ばされる際に、遠心力により比重が重いものは周壁寄りまで行き、比重が軽いものは回転軸260寄りまでとなる。
【0034】
これにより、醪タンク300から供給された醪を遠心力で比重の軽い液体分と比重の重い固形分に分離される。液体分は、軽ウィア270aで液体分集積部280cに誘導され、清酒流出口240bから清酒タンク400へ流出していく。固形分は重ウィア270bで固形分集積部280dに誘導され、酒粕排出口240cから酒粕タンク500へ排出される。
【0035】
軽ウィア270aは、ローター210の上部において周壁から中央に向かって突出させることで比重の軽いものを誘導し、重ウィア270bは、軽ウィア270aで堰き止められた比重の重いものを誘導する。軽ウィア270aのサイズ、ローター210の回転速度、醪の導入速度を調整することで、液体分を適切に分離すれば良い。
【0036】
固形分は、ベトベトした酒粕であるため、固形分集積部280dまで到達せず、ローター210の周壁内面にこびり付いて付着物800として残ってしまうものもあり、分離処理を繰り返すうちに、どんどん堆積して詰まる可能性がある。
【0037】
付着物800によるローター210の異常を振動センサ600が検知したら、モーター220と醪の供給を停止させて、動作を分離処理から清掃処理に切り替える指示を出す。洗浄装置700によって清酒タンク400に貯留された液体分の一部がローター210内に送り込まれ、ローター210の回転軸260に間欠的に複数設けたノズル720から、ローター210内に堆積した固形分に向けて液体分を噴射するようにする。
【0038】
ローター210内から洗い流された固形分は、遠心分離機200の下部にあるドレンを電磁バルブ510で開いて、酒粕タンク500へ排出すれば良い。なお、酒粕排出口240cから酒粕タンク500へ排出しても良い。分離処理を再開する際は、電磁バルブ510でドレンを閉じ、醪が流出しないように塞ぐ。
【0039】
図3に示すように、遠心分離による日本酒製造方法100は、醪タンク300から供給された醪をローター210で遠心力により液体分と固形分に分離し、液体分を軽ウィア270aで清酒タンク400へ流出するように誘導するとともに、固形分を重ウィア270bで酒粕タンク500へ排出されるように誘導する固液分離工程、固液分離工程を繰り返してローター210に固形分が残留したことを振動センサ600で検知したときに、ローター210に清酒タンク400に流出した液体分を還流させることで、ローター210内に堆積した固形分を洗い流す洗浄工程、固液分離工程で分離した液体分と固形分を回収する回収工程などを有する。
【0040】
固液分離工程は、醪タンク300から遠心分離機200に醪を供給し(醪供給S01)、遠心分離機200で液体分と固形分に分離し(遠心分離S02)、液体分を清酒タンク400に貯留し(清酒貯留S03)、遠心分離機200に異常がなければ(振動確認S04)、供給された醪が無くなるまで(継続確認S05)、これらの処理を繰り返し実行する。
【0041】
洗浄工程は、振動確認S04において振動の異常を検知した場合に、清酒タンク400から遠心分離機200に清酒を還流し(清酒還流S11)、清酒でローター210を洗浄し(ローター洗浄S12)、酒粕を洗い流す処理を実行した後、固液分離工程に戻る。
【0042】
回収工程は、継続確認S05において処理を終了させる場合に、清酒タンク400に貯留された高品質の清酒を回収する(高級清酒回収S06)。また、遠心分離S02又はローター洗浄において排出された酒粕を、酒粕タンク500から送り出し(酒粕送出S21)、ヤブタ式圧搾機で圧搾及び濾過し(機械搾りS22)、通常品質の清酒を回収するとともに(一般清酒回収S23)、酒粕を別用途に使用するために回収する(酒粕回収S24)。
【0043】
なお、洗浄工程によりローター210を停止させることなく連続して清酒タンク400に液体分を流出させて清酒を回収することができる。なお、1時間で200~1500リットルの醪から清酒を回収することができる。また、酒粕タンク500に蓄積された固形分(固液分離工程で分離された固形分と、洗浄工程で洗い流された固形分)、すなわち、酒粕混じりの清酒を、さらに機械搾りにより清酒と酒粕に分けて回収することができる。
【0044】
本発明によれば、醪を遠心分離機で固液分離した後、遠心分離機に溜まった酒粕を自動的に洗浄することで、遠心分離機を止めて分解することなく連続的に日本酒を製造することができる。機械による雑味が入ることもなく、分解もしないので衛生的であり、手搾りと同等の高品質な清酒を大量生産することができる。洗い流した酒粕も廃棄する必要がなく、再利用することができる。
【0045】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
100:日本酒製造方法
200:遠心分離機
210:ローター
220:モーター
230:枠体
240a:醪供給口
240b:清酒流出口
240c:酒粕排出口
250:推進翼
260:回転軸
260a:遠心ディスク
260b:分離翼
270a:軽ウィア
270b:重ウィア
280a:導入部
280b:固液分離部
280c:液体分集積部
280d:固形分集積部
300:醪タンク
300a:フロート
300b:バルブ
310:キャビティポンプ
400:清酒タンク
500:酒粕タンク
500a:送出口
510:電磁バルブ
600:振動センサ
700:洗浄装置
710:高圧ポンプ
720:ノズル
800:付着物
【要約】
【課題】遠心分離機に溜まった酒粕を自動的に洗浄することで遠心分離機を止めることなく連続的に日本酒を製造する。
【解決手段】遠心分離による日本酒製造方法は、醪タンクから供給された醪をローターで遠心力により液体分と固形分に分離し、前記液体分を軽ウィアで清酒タンクへ流出するように誘導するとともに、前記固形分を重ウィアで酒粕タンクへ排出されるように誘導する固液分離工程と、前記固液分離工程を繰り返して前記ローターに前記固形分が残留したことを振動センサで検知したときに、前記ローターに前記清酒タンクに流出した前記液体分を還流させることで、前記ローター内に堆積した前記固形分を洗い流す洗浄工程と、を有し、前記洗浄工程により前記ローターを停止させることなく連続して前記清酒タンクに前記液体分を流出させて清酒を回収する、ことを特徴とする。
【選択図】
図1