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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ケーブルシール構造
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/06 20060101AFI20230927BHJP
   H02G 15/013 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F16J15/06 L
H02G15/013
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018173221
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020045936
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】目出 治
(72)【発明者】
【氏名】中垣 善博
(72)【発明者】
【氏名】出村 暢啓
(72)【発明者】
【氏名】得本 明宏
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】内田 博之
【審判官】中屋 裕一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-17327(JP,U)
【文献】実開昭54-144097(JP,U)
【文献】特開2010-226771(JP,A)
【文献】特開2002-209324(JP,A)
【文献】実公昭34-13476(JP,Y1)
【文献】実開昭59-114718(JP,U)
【文献】実公昭57-57453(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14 , H02G 15/00-15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状のグランドパッキンと、
一端が閉鎖され、他端が開放され、且つ前記グランドパッキンを収容可能な柱状の収容空間を有する収容部と、
前記収容空間に嵌合する柱状の突部を有する栓部と、
前記収容空間に奥から順に前記グランドパッキン及び前記栓部の突部が収容された状態で前記収容部と前記栓部とを前記収容空間の軸方向に締め付けて固定することが可能な締結構造と、を備え、
前記グランドパッキンは、当該グランドパッキンを軸方向にそれぞれ貫通し且つ複数のケーブルを挿通可能な複数の第1ケーブル挿通孔と、当該グランドパッキンの軸方向の中央における外周に形成された環状の溝と、を有し、当該グランドパッキンの両端面が、当該グランドパッキンの軸方向に垂直な平面であり、
前記収容部は、前記収容空間を構成する内部空間を有する筒状に形成され、前記収容空間の前記一端を閉鎖する内面に、前記複数の第1ケーブル挿通孔にそれぞれ対応し、前記収容部を前記収容空間の軸方向にそれぞれ貫通し、且つ前記複数のケーブルをそれぞれ挿通可能な複数の第2ケーブル挿通孔を有し、当該収容部の収容空間の前記一端を閉鎖する内面が、当該収容空間の軸方向に垂直な平面であり、
前記栓部は、前記突部の周囲に、筒状の前記収容部の周壁の環状の先端面に対応する環状の平面を有するフランジ部を有し、前記突部の先端面に、前記複数の第1ケーブル挿通孔にそれぞれ対応し、前記栓部を前記突部の軸方向にそれぞれ貫通し、且つ前記複数のケーブルをそれぞれ挿通可能な複数の第3ケーブル挿通孔を有し、当該栓部の突部の先端面が、当該突部の軸方向に垂直な平面であり、
前記収容部及び前記栓部が、それぞれ、単一の収容部材及び栓部材であり、前記複数の第1ケーブル挿通孔と前記複数の第2ケーブル挿通孔と前記複数の第3ケーブル挿通孔とが同じ軸線上となるように構成されている、ケーブルシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1本のケーブルのシール構造として、例えば、特許文献1に開示されたケーブルクランプ装置が知られている。
【0003】
このケーブルクランプ装置は、一端に1つのケーブル挿通孔が設けられた穴を有するコントロールボックスと、この孔に嵌挿される、1つのケーブル挿通孔を有するゴムパッキンと、この穴に嵌挿される、1つのケーブル挿通孔を有する円筒部が設けられたクランプ体と、を備える。そして、各々の1つのケーブル挿通孔に1本のケーブルが挿通された状態で、コントロールボックスの穴にゴムパッキン及びクランプ体の円筒部が順に嵌挿され、コントロールボックスとクランプ体とが締結される。これにより、ケーブルクランプ装置のケーブルが貫通する部分が、ゴムパッキンによってシールされる。
【0004】
複数本のケーブルのシール構造として、図7及び図8に示すような市販のマルチコネクタが知られている。図7は市販のマルチコネクタの構造の一例を示す分解図である。図8は、図7のマルチコネクタが組み立てられた状態を示す外観図である。なお、図8には、図を見易くするために、6本のケーブルのうちの3本のケーブルのみ示してある。また、以下では、便宜上、図7及び図8における左方向及び右方向を、それぞれ、前方向及び後方向として説明する。
【0005】
図7を参照すると、このマルチコネクタ200は、グランドパッキン201と、本体202と、袋ナット203と、スリーブ204と、Oリング205と、ロックナット206とを備える。グランドパッキン201には、例えば、6つのケーブル挿通孔201aが形成されている。本体202、袋ナット203、スリーブ204、Oリング205、及びロックナット206は環状に形成されている。
【0006】
図8を参照すると、このマルチコネクタ200では、例えば、6本のケーブルが、袋ナット、スリーブ204、グランドパッキン201、本体202、Oリング205、及びロックナット206に順に挿通される。そして、袋ナット203の内部空間にスリーブ204が収容される。グランドパッキン201の後部の外周面は後方に傾斜しており、スリーブ204の内周面も後方に傾斜している。そして、グランドパッキン201の後部がスリーブ204に収容される。その後、袋ナット203が本体202の後部の外周面に形成された雄ネジ部202cに螺合される。これにより、グランドパッキン201の前部が本体202の後側の内部空間202aに収容される。この後側の内部空間202aには、当該内部空間202aの内周面に垂直な段差面202bが形成されており、グランドパッキン201の前端面の外周部がこの段差面202bに当接する。そして、袋ナット203が本体2の2に螺止されると、グランドパッキン201は、前部が本体202の内部空間202aの内周面に拘束された状態で、スリーブ204の内周面と本体202の段差面202bとによって軸方向に押圧される。これにより、グランドパッキン201がケーブルを締め付け、それによって、マルチコネクタ200のケーブルが貫通する部分がシールされる。
【0007】
その後、Oリング205が本体202の前部の外周面に形成された雄ネジ部202dに嵌められ、その後、ロックナット206が本体202の当該雄ネジ部202dに螺止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-145595号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ケーブルには防爆用に使用されるものがある。防爆用のケーブルをシールする場合、通常のシール構造に比べて、高い密閉度(Degree of sealing)が要求される。防爆という観点から見た場合、従来のマルチコネクタ200には以下のような問題があった。
【0010】
マルチコネクタ200では、グランドパッキン201の前部が本体202の内部空間202aの内周面に拘束された状態で、グランドパッキン201の外周部がスリーブ204の内周面と本体202の段差面202bとによって軸方向に押圧されるだけであり、グランドパッキン201における複数(6つ)のケーブル挿通孔201aの間の部分201bが全く押圧されない。このため、グランドパッキン201の中央部が軸方向に逃げて膨らむ。その結果、グランドパッキン201が個々のケーブルを強く締め付けることができず、マルチコネクタ200の複数のケーブルが貫通する部分を高い密閉度でシールすることができない。
【0011】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数のケーブルが貫通する部分を高い密閉度でシールすることができるケーブルシール構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のある形態(aspect)に係るケーブルシール構造は、柱状のグランドパッキンと、一端が閉鎖され、他端が開放され、且つ前記グランドパッキンを収容可能な柱状の収容空間を有する収容部と、前記収容空間に嵌合する柱状の突部を有する栓部と、前記収容空間に奥から順に前記グランドパッキン及び前記栓部の突部が収容された状態で前記収容部と前記栓部とを前記収容空間の軸方向に締め付けて固定することが可能な締結構造と、を備え、前記グランドパッキンは、当該グランドパッキンを軸方向にそれぞれ貫通し且つ複数のケーブルを挿通可能な複数の第1ケーブル挿通孔を有し、前記収容部は、前記収容空間の前記一端を閉鎖する内面に、前記複数の第1ケーブル挿通孔にそれぞれ対応し、前記収容部を前記収容空間の軸方向にそれぞれ貫通し、且つ前記複数のケーブルをそれぞれ挿通可能な複数の第2ケーブル挿通孔を有し、前記栓部は、前記突部の先端面に、前記複数の第1ケーブル挿通孔にそれぞれ対応し、前記栓部を前記突部の軸方向にそれぞれ貫通し、且つ前記複数のケーブルをそれぞれ挿通可能な複数の第3ケーブル挿通孔を有する。
【0013】
この構成によれば、グランドパッキンが複数の第1ケーブル挿通孔を有し、収容部が、収容空間の一端を閉鎖する内面に、複数の第1ケーブル挿通孔にそれぞれ対応する複数の第2ケーブル挿通孔を有し、且つ栓部が、突部の先端面に、複数の第1ケーブル挿通孔にそれぞれ対応する複数の第3ケーブル挿通孔を有するので、収容部の収容空間に奥から順にグランドパッキン及び栓部の突部が収容され、且つ複数の第1乃至第3ケーブル挿通孔にそれぞれ複数のケーブルが挿通された状態で締結構造によって収容部と栓部とが収容空間の軸方向に締め付けられると、グランドパッキンが、径方向において収容部の収容空間の内周面に拘束された状態で、収容部の収容空間の一端を閉鎖する内面と栓部の突部の先端面とによって軸方向に圧縮される。この際、グランドパッキンの両端面の複数の第1ケーブル挿通孔の間に位置する部分も、収容部の一端を閉鎖する内面の複数の第2ケーブル挿通孔の間に位置する部分と、栓部の突部の先端面の複数の第3ケーブル挿通孔の間に位置する部分とによって押圧される。従って、グランドパッキンは逃げ場が無い状態で、全体的に圧縮されるので、グランドパッキンの中央部が軸方向に逃げる従来例に比べて、各(個々の)ケーブルが強く締め付けられる。その結果、ケーブルシール構造における各ケーブルが貫通する部分を高い密閉度でシールすることができる。
【0014】
前記グランドパッキンの両端面が、当該グランドパッキンの軸方向に垂直な平面であり、前記収容部の収容空間の前記一端を閉鎖する内面が、当該収容空間の軸方向に垂直な平面であり、前記栓部の突部の先端面が、当該突部の軸方向に垂直な平面であってもよい。
【0015】
この構成によれば、グランドパッキンを均一に圧縮できるので、ケーブルシール構造における各ケーブルが貫通する部分を、より高い密閉度でシールすることができる。
【0016】
前記収容部が、前記収容空間を構成する内部空間を有する筒状に形成され、前記栓部が、前記突部の周囲に、筒状の前記収容部の周壁の環状の先端面に対応する環状の平面を有するフランジ部を有していてもよい。
【0017】
この構成によれば、収容部と栓部とを、収容部の周壁の環状の先端面と栓部のフランジ部の環状の平面とが当接するまでに締め付けることができるので、ケーブルシール構造における各ケーブルが貫通する部分を、より高い密閉度でシールすることができる。
【0018】
前記収容部及び前記栓部が、それぞれ、単一の収容部材及び栓部材であってもよい。
【0019】
この構成によれば、ケーブルシール構造が簡素化される。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、複数のケーブルが貫通する部分を高い密閉度でシールすることができるケーブルシール構造を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るケーブルシール構造の構成の一例を示す分解断面図である。
図2図2は、図1のグランドパッキンの構成を示す図であり、(a)は、軸線に垂直な方向から見た図であり、(b)は、軸線の延在方向から見た図である。
図3図3は、図1のケーブルシール構造が組み立てられた状態を示す断面図である。
図4図4は、図1のケーブルシール構造が組み立てられる途中の外観を示す斜視図である。
図5図5は、図3のケーブルシール構造においてケーブルがクランプされた状態を示す断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態2に係るケーブルシール構造の構成の一例を示す断面図である。
図7図7は市販のマルチコネクタの構造の一例を示す分解図である。
図8図8は、図7のマルチコネクタが組み立てられた状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、以下の図は、本発明を説明するための図であるので、本発明と無関係の要素が省略される場合、誇張等のために寸法が不正確である場合、図を見易くするために要素を省略して簡略化する場合、複数の図が互いに一致しない場合等がある。
【0023】
また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0024】
(実施形態1)
[構成]
図1は、本発明の実施形態1に係るケーブルシール構造の構成の一例を示す分解断面図である。図2は、図1のグランドパッキンの構成を示す図であり、(a)は、軸線に垂直な方向から見た図であり、(b)は、軸線の延在方向から見た図である。図3は、図1のケーブルシール構造が組み立てられた状態を示す断面図である。図4は、図1のケーブルシール構造が組み立てられる途中の外観を示す斜視図である。なお、図1及び図3並びに後述する図5及び図6においては、図を見易くするために収容部2の面取り部の内周面を規定する線が省略されている。また、図1及び図3並びに後述する図5及び図6は、本発明の概念を理解しやすくするために、ケーブル41がグランドパッキン1、収容部2、及び栓部3(図6ではさらに第1挟持板71及び第2挟持板81)の中心部を貫通するように描かれている。
【0025】
図1を参照すると、本実施形態のケーブルシール構造100は、グランドパッキン1と、収容部2と、栓部3とを備える。以下、これらの要素を詳しく説明する。
【0026】
<グランドパッキン1>
図1及び図2を参照すると、グランドパッキン1は、柱状に形成されている。換言すると、グランドパッキン1は、軸方向に延びる形状を有すればよい。グランドパッキン1の両端面1a,1bには当該グランドパッキン1を軸方向にそれぞれ貫通する複数(ここでは2つ)の第1ケーブル挿通孔11が形成されている。複数の第1ケーブル挿通孔11は、それぞれ、複数のケーブル41を挿通可能に形成されている。グランドパッキン1の両端面1a,1bは、ここでは、当該グランドパッキン1の軸方向に垂直な平面である。
【0027】
グランドパッキン1は、ここでは、短円柱状に形成されている。グランドパッキン1は、弾性材料で構成され、例えば、ゴムで構成される。グランドパッキン1の中央には周方向に環状の溝が形成されている。この溝は、グランドパッキンを均一に圧縮し易くするためのものであり、省略してもよい。
【0028】
<収容部2>
図1図3及び図4を参照すると、収容部2は、一端(ここでは後端)が閉鎖され、他端(ここでは前端)が開放され、且つグランドパッキン1を収容可能な柱状の収容空間23を有する。この収容空間23の上記一端を閉鎖する内面22aには、収容部2を収容空間23の軸方向にそれぞれ貫通する複数の第2ケーブル挿通孔24が形成されている。複数の第2ケーブル挿通孔24は、収容部2の収容空間23にグランドパッキン1が収容された場合において、グランドパッキン1の複数の第1ケーブル挿通孔11にそれぞれ対応する収容部2の部位(換言すると収容空間23の上記一端(後端)を閉鎖する内面22a上の位置)に、複数のケーブル41をそれぞれ挿通可能に形成されている。また、上記内面22aは、ここでは、収容空間23の軸方向に垂直な平面である。
【0029】
収容部2は、ここでは、一端(後端)が閉鎖され、他端(前端)が開放された短い有底円筒状の収容部材で構成される。この収容部材の内部空間が収容空間23を構成する。この収容部材の底壁(後端の壁)22の内面(底面)22aに、上記複数のケーブル挿通孔24が、それぞれ、底壁22を貫通するように形成されている。
【0030】
また、収容部2の外周部(収容部材の周壁部)には、収容空間23の軸方向に延びる複数の締結用ネジ孔25が穿設されている。
【0031】
収容部2の材料は特に限定されない。収容部2は、プラスティック樹脂、金属等で構成される。
【0032】
なお、図4に示されるように、収容部2は、後端部が短い4角柱状に形成されていて、4隅に孔がそれぞれ形成されているが、この孔は、収容部2を適宜な固定対象に、ネジで固定するためのものである。
【0033】
<栓部3>
図1図3、及び図4を参照すると、栓部3は、収容部2の収容空間23に嵌合する柱状の突部33を有する。突部33の先端面33aには、栓部3を突部33の軸方向にそれぞれ貫通する複数の第3ケーブル挿通孔34が形成されている。複数の第3ケーブル挿通孔34は、収容部2の収容空間23に奥から順にグランドパッキン1及び突部33が収容された場合において、グランドパッキン1の複数の第1ケーブル挿通孔11にそれぞれ対応する栓部3の部位(換言すると突部33の先端面33a上の位置)に、複数のケーブル41をそれぞれ挿通可能に形成されている。また、ここでは、突部33の周囲に、筒状の収容部2の周壁の環状の先端面に対応する環状の平面31aを有するフランジ部31が形成されている。突部33の先端面33aは、ここでは、当該突部33の軸方向に垂直な平面である。
【0034】
栓部3は、ここでは、一端(後端)が閉鎖され、他端(前端)が開放された短い有底円筒状の栓部材で構成される。この栓部材の底壁32の外面の中央部に短円柱状の上記突部33が形成され、底壁32の外面の突部33の周囲の部分が上述の環状の平面31aを構成する。上記複数のケーブル挿通孔24は、それぞれ、この栓部材の底壁32を貫通するように形成されている。
【0035】
また、栓部3の外周部(栓部材の周壁部)には、突部33の軸方向に延びる複数の締結用ネジ挿通孔35が穿設されている。複数の締結用ネジ挿通孔35は、収容部2の収容空間23に奥から順にグランドパッキン1及び突部33が収容された場合において、栓部3における、収容部2に形成された複数の締結用ネジ孔25に対応する部位にそれぞれ穿設されている。
【0036】
栓部3の材料は特に限定されない。栓部3は、プラスティック樹脂、金属等で構成される。
【0037】
<締結構造>
締結構造は、収容部2の収容空間23に奥から順にグランドパッキン1及び栓部3の突部33が収容された状態で収容部2と栓部3とを収容空間23の軸方向に締め付けて固定することが可能なように構成される。
【0038】
締結構造は、ここでは、収容部2の外周部に設けられた複数の締結用ネジ孔25と、栓部3の外周部に設けられた複数の締結用ネジ挿通孔35と、複数の締結用ネジ36とで構成される。
【0039】
[使用方法]
次に、以上のように構成されたケーブルシール構造100の使用方法を説明する。
【0040】
<組立>
まず、ケーブルシール構造100の組み立てを説明する。
【0041】
図3及び図4に示すように、まず、複数本(ここでは2本)のケーブル41が、収容部2、グランドパッキン1、栓部3に順に挿通される。
【0042】
次いで、収容部2の収容空間23にグランドパッキン1が嵌挿される。これにより、グランドパッキン1が、後端面1aが収容空間23の内面に22aに当接するようにして、収容空間23に収容される。
【0043】
次いで、栓部3の突部3が収容部2の収容空間23に嵌挿される。これにより、栓部3の突部33が、先端面33aがグランドパッキン1の前端面1bに当接するようにして、収容空間23に収容される。
【0044】
次いで、複数の締結用ネジ36が、それぞれ、栓部3の複数の締結用ネジ挿通孔35に挿通されて収容部2の複数の締結用ネジ孔25に螺入される。これにより、収容部2と栓部3とが収容空間23の軸方向に締め付けられる。
【0045】
すると、グランドパッキン1が、径方向において収容部2の収容空間23の内周面に拘束された状態で、収容部2の収容空間23の一端(後端)を閉鎖する内面22aと栓部3の突部33の先端面33aとによって軸方向に圧縮される。この際、グランドパッキン1の両端面1a,1bの複数の第1ケーブル挿通孔11の間に位置する部分12(図2参照)も、収容部2の一端を閉鎖する内面22aの複数の第2ケーブル挿通孔24の間に位置する部分と、栓部3の突部33の先端面33aの複数の第3ケーブル挿通孔34の間に位置する部分33b(図4参照)とによって押圧される。従って、グランドパッキン1は逃げ場が無い状態で、全体的に圧縮される。このため、各ケーブル41が強く締め付けられる。その結果、ケーブルシール構造100における各ケーブル41が貫通する部分を高い密閉度でシールすることができる。
【0046】
次いで、図3に示すように、複数の締結用ネジ35が、それぞれ、収容部2の締結用ネジ孔25に螺止される。
【0047】
以上に説明したように、本実施形態のケーブルシール構造100によれば、当該ケーブルシール構造100における各ケーブル41が貫通する部分を高い密閉度でシールすることができる。
【0048】
また、グランドパッキン1の両端面1a,1bが、当該グランドパッキン1の軸方向に垂直な平面であり、収容部2の収容空間23の一端を閉鎖する内面22aが、当該収容空間23の軸方向に垂直な平面であり、且つ栓部3の突部33の先端面33aが、当該突部33の軸方向に垂直な平面であるので、グランドパッキンを均一に圧縮でき、ケーブルシール構造100における各ケーブル41が貫通する部分を、より高い密閉度でシールすることができる。
【0049】
また、収容部2が、収容空間23を構成する内部空間を有する筒状に形成され、栓部3が、突部33の周囲に、筒状の収容部2の周壁の環状の先端面に対応する環状の平面31aを有するフランジ部31を有するので、収容部2と栓部3とを、収容部2の周壁の環状の先端面と栓部3のフランジ部31環状の平面31aとが当接するまでに締め付けることができ、ケーブルシール構造100における各ケーブル41が貫通する部分を、より高い密閉度でシールすることができる。
【0050】
また、収容部2及び栓部3が、それぞれ、単一の収容部材及び栓部材であるので、ケーブルシール構造100が簡素化される。
【0051】
このような本実施形態のケーブルシール構造は、例えば、防爆用に適用することができる。
【0052】
<ケーブルのクランプ>
次に、以上のように組み立てられたケーブルシール構造100におけるケーブル41のクランプ手段について説明する。
【0053】
図5は、図3のケーブルシール構造100においてケーブル41がクランプされた状態を示す断面図である。なお、図5では、図を見易くするために、主にケーブル41のクランプに関連する要素の参照符号が示され、それ以外の要素の参照符号は、参照符号1~3を除いて示されていない。
【0054】
図5を参照すると、ケーブル41のクランプ手段は、例えば、ケーブル41毎に設けられる。各クランプ手段は、クランプ部材51と、第1クランプ用ネジ61と、第2クランプ用ネジ62とを備える。
【0055】
クランプ部材51は、略C字状に形成され、一方の端部に第1クランプ用ネジ挿通孔54が穿設され、他方の端部に第1クランプ用ネジ孔53が穿設されている。第1クランプ用ネジ挿通孔54及び第1クランプ用ネジ孔53はC字形状のクランプ部材のギャップを挟んで互いに対向するように設けられている。ケーブルシール構造100が組み立てられる前に、予め、クランプ部材51に、ケーブル41が挿通される。そして、ケーブルシール構造100が組み立てられた後、第1クランプ用ネジ61が、第1クランプ用ネジ挿通孔54に挿通されて第1クランプ用ネジ孔53に螺止される。これにより、ケーブル41にクランプ部材51が締結される。一方、クランプ部材51の後側(図面右側)の側面には、第2クランプ用ネジ挿通孔55が穿設されている。また、収容部2の底壁22の適所には、このクランプ部材51の第2クランプ用ネジ挿通孔55に対応する第2クランプ用ネジ孔56が穿設されている。
【0056】
上述のようにケーブル41に締結されたクランプ部材51の第2クランプ用ネジ挿通孔55が、収容部2の第2クランプ用ネジ孔56に合わされ、次いで、第2クランプ用ネジ62が、第2クランプ用ネジ挿通孔55に挿通されて第2クランプ用ネジ孔56に螺止される。これにより、ケーブル41が収容部2にクランプされる。
【0057】
(実施形態2)
本発明の実施形態2は、収容部2及び栓部3が、それぞれ、複数(ここでは2つ)の部材で構成される形態の一例を示す。実施形態2は以下の点で実施形態1と相違し、その他の点は、実施形態1と同じである。以下、この相違点を説明する。
【0058】
図6は、本発明の実施形態2に係るケーブルシール構造の構成の一例を示す断面図である。
【0059】
図6を参照すると、本実施形態のケーブルシール構造101では、収容部2が、収容部材20と第1挟持板71とを備え、且つ、栓部3が、栓部材30と第2挟持板81とを備える。
【0060】
収容部材20は、短い有底円筒状に形成されている。収容部材20の底壁26には、全てのケーブル41をまとめて挿通可能な第6ケーブル挿通孔28が形成されている。
【0061】
第1挟持板71は、収容部材20の円柱状の収容空間23に嵌合する直径を有する円板状に形成されている。第1挟持板71の厚み及び材料は、ケーブルシール構造101が組み立てられた状態で、グランドパッキン1を圧縮可能な強度を有するように選択される。
【0062】
第1挟持板71には、複数のケーブル41をそれぞれ挿通可能な複数の第4ケーブル挿通孔72が設けられる。複数の第4ケーブル挿通孔72は、第1挟持板71がグランドパッキン1の後端面1aに合わさった状態で、第1挟持板71においてグランドパッキン1の複数の第1ケーブル挿通孔11にそれぞれ対応する部位に設けられる。第1挟持板71は、例えば、プラスティック樹脂、金属等で構成される。
【0063】
栓部材30は、短い有底円筒状に形成されている。栓部材30の底壁37には、全てのケーブル41をまとめて挿通可能な第7ケーブル挿通孔38が形成されている。
【0064】
第2挟持板81は、収容部材20の円柱状の収容空間23に嵌合する直径を有する円板状に形成されている。第2挟持板81の厚み及び材料は、ケーブルシール構造101が組み立てられた状態で、グランドパッキン1を圧縮可能な強度を有するように選択される。
【0065】
第2挟持板81には、複数のケーブル41をそれぞれ挿通可能な複数の第5ケーブル挿通孔82が設けられる。複数の第5ケーブル挿通孔82は、第2挟持板81がグランドパッキン1の前端面1bに合わさった状態で、第2挟持板81においてグランドパッキン1の複数の第1ケーブル挿通孔11にそれぞれ対応する部位に設けられる。第2挟持板81は、例えば、プラスティック樹脂、金属等で構成される。
【0066】
このように構成されたケーブルシール構造101は、以下のように組み立てられる。
【0067】
図6を参照すると、まず、複数本(ここでは2本)のケーブル41が、収容部2、第1挟持板71、グランドパッキン1、第2挟持板81、及び栓部3に順に挿通される。
【0068】
次いで、収容部材20の収容空間23に第1挟持板71が嵌挿される。これにより、第1挟持板71が、後側の主面が収容部材20の底壁26の内面に当接するようにして、収容空間23に収容される。
【0069】
次いで、収容部材20の収容空間23にグランドパッキン1が嵌挿される。これにより、グランドパッキン1が、後端面1aが第1挟持板71の前側の主面に当接するようにして、収容空間23に収容される。
【0070】
次いで、収容部材20の収容空間23に第2挟持板81が嵌挿される。これにより、第2挟持板81が、後側の主面がグランドパッキン1の前端面1bに当接するようにして、収容空間23に収容される。
【0071】
次いで、栓部材30の底壁37の外面が第2挟持板81の前側の主面に当接される。
【0072】
次いで、複数の締結用ネジ36が、それぞれ、栓部3の複数の締結用ネジ挿通孔35に挿通され、収容部2の複数の締結用ネジ孔25に螺止入される。これにより、収容部材20と栓部材30とが収容空間23の軸方向に締結される。
【0073】
このような実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0074】
なお、本実施形態のケーブルシール構造101は、実施形態1のケーブルシール構造100と同様に、複数のケーブル41がクランプされる。図5及び図6を参照すると、この場合、各クランプ部材51は、収容部材20の後端面に固定することが可能なように、形状を適宜修正される。
【0075】
(その他の実施形態)
実施形態1及び2において、締結構造として、ネジによる締結構造に代えて、収容部2及び栓部3に互いに螺合される適宜な螺合構造を設けてもよい。螺合構造として、周知のものを用いることができる。
【0076】
実施形態1及び2において、収容部材2は、突部33とフランジ部31とが必須の部分であり、これ以外の部分を省略してもよい。
【0077】
上記説明から、当業者にとっては、多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のケーブルシール構造は、複数のケーブルが貫通する部分を高い密閉度でシールすることができるケーブルシール構造として有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 グランドパッキン
1a 後端面
1b 前端面
2 収容部
3 栓部
11 第1ケーブル挿通孔
12 第1ケーブル挿通孔の間の部分
20 収容部材
22 底壁
22a 内面
23 収容空間
24 第2ケーブ挿通孔
25 締結用ネジ孔
26 底壁
28 第6ケーブル挿通孔
30 栓部材
31 フランジ部
31a 環状の平面
32 底壁
33 突部
33a 先端面
34 第3ケーブル挿通孔
35 締結用ネジ挿通孔
36 締結用ネジ
37 底壁
38 第7ケーブル挿通孔
41 ケーブル
51 クランプ部材
53 第1クランプ用ネジ孔
54 第1クランプ用ネジ挿通孔
55 第2クランプ用ネジ挿通孔
56 第2クランプ用ネジ孔
61 第1クランプ用ネジ
62 第2クランプ用ネジ
71 第1挟持板
72 第4ケーブル挿通孔
81 第2挟持板
82 第5ケーブル挿通孔
100 ケーブルシール構造
101 ケーブルシール構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8