(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】医療情報処理装置及び医療情報システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20230927BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2019006242
(22)【出願日】2019-01-17
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 杏莉
(72)【発明者】
【氏名】狩野 佑介
(72)【発明者】
【氏名】朴 龍勲
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-279399(JP,A)
【文献】国際公開第2016/052464(WO,A1)
【文献】特表2017-535900(JP,A)
【文献】特許第6330966(JP,B1)
【文献】特開2015-194967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者への薬剤の投与タイミングに基づいて前記薬剤の投与量の補正のための基準タイミングを決定する決定部と、
前記患者に関する患者情報値の取得タイミング及び前記決定された基準タイミングに基づいて、前記投与量の補正に用いる患者情報値を前記投与タイミングごとに選択する選択部と、
前記選択された患者情報値を用いて前記投与量を補正することにより補正投与量を前記投与タイミングごとに算出する算出部と
を具備し、
前記選択部は、前記基準タイミングから遡って最新の患者情報値の取得タイミングを探索し、前記基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値があるとき、前記基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値を選択し、前記基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値がないとき、前記基準タイミングよりも前のタイミングで取得された患者情報値のうち最も新しい最新のタイミングで取得された患者情報値を選択する、
医療情報処理装置。
【請求項2】
前記投与タイミングごとの補正投与量を含む表示画像を生成する生成部をさらに備える、請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項3】
前記表示画像は、時間に対する前記補正投与量の値を示すグラフの表示を含む、請求項2に記載の医療情報処理装置。
【請求項4】
前記決定された基準タイミングと、前記最新のタイミングとの間隔が所定の閾値以上であるとき、ユーザへの警告を含む表示画像を生成する生成部をさらに備える、請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、薬剤を継続的に投与する連続投与に含まれる複数の投与タイミングのうち、前記連続投与が開始された投与タイミングを前記基準タイミングとして決定し、前記連続投与が開始されたタイミングとは異なるタイミングは前記基準タイミングとして決定しない、請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記連続投与中に含まれる複数の投与タイミングのうち、連続する複数の投与タイミングの間に所定の閾値以上の患者情報値の変化があるときには、患者情報値が変化した後に前記投与量が変化したタイミングを前記基準タイミングとしてさらに決定する、請求項5に記載の医療情報処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、
第1の投与と前記第1の投与の次の第2の投与とを含む複数の投与タイミングのうちの第2の投与について、前記第1の投与の前記投与量に対する前記第2の投与の前記投与量の変化が所定の閾値以下であるときには、前記第1の投与が開始されたタイミングを前記基準タイミングとして決定する、
請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項8】
前記患者情報値は、前記患者の体重、年齢、身長、疾患情報、臓器情報、投薬歴情報、検査値歴情報及び類似患者情報のうち、少なくとも1つを含む、請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項9】
前記補正投与量の値は、前記選択された患者情報値を用いて補正された前記投与量の累積値である、請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項10】
前記投与タイミングが断続的な複数のタイミングである場合、同じ日に含まれる複数の投与タイミングは前記連続投与として扱われ、
前記基準タイミングにおける前記投与量として、当該基準タイミングに対応する日の総投与量が用いられる、請求項5に記載の医療情報処理装置。
【請求項11】
前記投与量は、前記患者へ投与された実際の投与量及び/又は前記患者へ投与される予定の投与量である、請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項12】
患者への薬剤の投与タイミングに基づいて、前記薬剤の投与量の補正のための基準タイミングを決定する決定部と、
前記患者に関する患者情報値の取得タイミング及び前記決定された基準タイミングに基づいて、前記投与量の補正に用いる患者情報値を前記投与タイミングごとに選択する選択部と、
前記選択された患者情報値を用いて前記投与量を補正することにより補正投与量を前記投与タイミングごとに算出する算出部と、
前記投与タイミングごとの補正投与量を含む表示画像を表示する表示部と
を具備し、
前記選択部は、前記基準タイミングから遡って最新の患者情報値の取得タイミングを探索し、前記基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値があるとき、前記基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値を選択し、前記基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値がないとき、前記基準タイミングよりも前のタイミングで取得された患者情報値のうち最も新しい最新のタイミングで取得された患者情報値を選択する、
医療情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医療情報処理装置及び医療情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の診療データには画像や処方などの様々な種類が存在する。医師は、種々の診療データを総合的に見て患者の診断及び治療を行う。例えば医師は、患者ごとに処方や注射などの実績を含む投与情報及び検査結果に関する情報を観察することで容態を把握する。また医師は、治療効果を判定することにより、今後投与する薬剤種やその投与量を計画する。治療効果の判定は、例えば、補正投与量に基づいて行われる。補正投与量は、例えば、体重などの患者に関する情報(患者情報)を用いて補正された投与量である。
【0003】
このような中、患者情報は、治療の影響や患者の成長などの理由により、測定又は登録された後に変化している場合がある。つまり、薬剤が投与されたタイミングと、患者情報が測定又は登録されたタイミングとが異なっていた場合、適切な補正投与量を算出できない可能性がある。さらに、補正投与量の算出において、患者情報を選択する基準が医師により異なるという問題もある。つまり、医師により治療効果の判定の結果にバラつきが生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-169891号公報
【文献】特開2013-178667号公報
【文献】特開2005-196587号公報
【文献】特開2014-071592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、適切に選択された患者に関する値を用いて薬剤の補正投与量を算出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医療情報処理装置は、決定部と、選択部と、算出部とを備える。決定部は、投与タイミングごとの患者への薬剤の投与量に基づいて、前記投与量の補正のための基準タイミングを決定する。選択部は、前記患者に関する患者情報値の取得タイミング及び前記決定された基準タイミングに基づいて、前記投与量の補正に用いる患者情報値を選択する。算出部は、前記選択された患者情報値を用いて前記投与量を補正することにより補正投与量を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用端末及び医用サーバが含まれる医療情報システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の医用端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1の医用サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の医療情報システムで実行される補正投与量の算出及び提示に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4の処理における補正投与量の算出について説明するための図である。
【
図6】
図6は、
図4の処理において
図2の医用端末のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
【
図10】
図10は、第5の実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
【
図11】
図11は、第6の実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
【
図12】
図12は、第7の実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
【
図13】
図13は、第7の実施形態の変形例に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療情報処理装置、医療情報システム及び医療情報表示端末を説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る医療情報システム9の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、医療情報システム9は、医用端末1、医用サーバ2及びVendor Neutral Archive(VNA)システム3を含む。ここで、医用端末1は、医療情報表示端末の一例である。また、医用サーバ2は、医療情報処理装置の一例である。
【0010】
医用端末1、医用サーバ2及びVNAシステム3は、例えば、Local Area Network(LAN)等の病院内ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。医用端末1及び医用サーバ2は、例えば、医用端末1がクライアントとして機能し、医用サーバ2がサーバとして機能するクライアントサーバシステムを構成する。
【0011】
医用端末1は、例えば、医療情報を統合的に観察することが可能な装置である。医用端末1には、例えば統合ビューアが実装されている。統合ビューアは、医療情報を統合的にユーザに提示するアプリケーションである。統合ビューアは、Webアプリケーション、ファットクライアントアプリケーション又はシンクライアントアプリケーション等、いずれの実装形態を採用してもよい。
図2は、
図1の医用端末1の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、医用端末1は、処理回路11、入力インターフェース12、ディスプレイ13、メモリ14及び通信インターフェース15を有する。処理回路11、入力インターフェース12、ディスプレイ13、メモリ14及び通信インターフェース15は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0012】
処理回路11は、医用端末1の全体の動作を制御する。処理回路11は、ハードウェア資源として、Central Processing Unit(CPU)、Micro Processing Unit(MPU)、Graphics Processing Unit(GPU)等のプロセッサと、Read Only Memory(ROM)やRandom Access Memory(RAM)等のメモリとを有する。処理回路11は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、指示機能111及び表示制御機能112を実行する。
【0013】
指示機能111において処理回路11は、所定の指示を医用サーバ2に送信する。処理回路11は、例えば、入力インターフェース12を介して受け付けた表示指示を、通信インターフェース15を介して医用サーバ2に送信する。表示指示は、例えば、特定の患者に関する診療データを表示するための指示を含む。
【0014】
表示制御機能112において処理回路11は、診療データを表示する。処理回路11は、医用サーバ2から送信された処理結果に基づいて、所定の表示形式で診療データをディスプレイ13に表示する。
【0015】
入力インターフェース12は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル等により実現される。入力インターフェース12は、例えば、操作者からの表示指示を受け付ける。入力インターフェース12は、操作者からの表示指示を電気信号へ変換し、当該電気信号を処理回路11へ出力する。
【0016】
ディスプレイ13は、各種の情報を表示する。ディスプレイ13としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ13として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイ等が使用可能である。また、ディスプレイ13は、デスクトップ型でもよいし、医用端末1の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ13として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。ディスプレイ13は、表示部の一例である。
【0017】
メモリ14は、種々の情報を記憶するHard Disk Drive(HDD)やSolid State Drive(SSD)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ14は、HDDやSSD等以外にも、Compact Disc(CD)、Digital Versatile Disc(DVD)、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ14の保存領域は、医用端末1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。例えば、メモリ14は、医用サーバ2から受信した情報を記憶する。
【0018】
通信インターフェース15は、病院内ネットワーク等の電気通信回線を介して接続された医用サーバ2及びVNAシステム3との間でデータ通信を行う。通信インターフェース15は、当該データ通信を行うための通信回路を有する。通信回路は、有線通信に対応した通信回路であってもよいし、例えば、Wi-Fi(登録商標)通信等の無線通信に対応した通信回路であってもよい。医用サーバ2及びVNAシステム3との通信の規格は、いかなる規格であっても良いが、例えば、HL7、Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)又はその両方等が挙げられる。通信インターフェース15は、受信部の一例である。
【0019】
医用サーバ2は、医用端末1からの処理要求を受け付けて、受け付けた処理要求に対応する処理を実行する装置である。医用サーバ2には、医用端末1に実装された統合ビューアに対応する所定のサーバアプリケーションが実装されている。医用サーバ2は、例えば、医用端末1のディスプレイに表示する診療データの表示態様を決定する。
図3は、
図1の医用サーバ2の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、医用サーバ2は、通信インターフェース21、メモリ22及び処理回路23を有する。
【0020】
通信インターフェース21は、病院内ネットワーク等の電気通信回線を介して接続された医用端末1及びVNAシステム3等の外部装置との間でデータ通信を行う。通信インターフェース21は、当該データ通信を行うための通信回路を有する。通信回路は、有線通信に対応した通信回路であってもよいし、例えば、Wi-Fi(登録商標)通信等の無線通信に対応した通信回路であってもよい。
【0021】
メモリ22は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ22は、HDDやSSD等以外にも、CD、DVD、BD、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ22の保存領域は、医用サーバ2内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。メモリ22は、例えば、医用画像ファイル及び診療データ等を記憶する。換言すれば、メモリ22は、VNAシステム3から収集された患者情報及び投与情報を記憶する。
【0022】
処理回路23は、医用サーバ2の全体の動作を制御する。処理回路23は、ハードウェア資源として、CPU、MPU、GPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路23は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、収集機能231、決定機能232、選択機能233、算出機能234及び生成機能235を実行する。
【0023】
収集機能231において処理回路23は、例えばVNAシステム3から、患者情報及び投与情報を収集する。患者情報及び投与情報は、それぞれ、例えば、患者情報値及び投与量の時系列データである。なお、患者情報には、年齢や性別などの患者に関する各種情報が含まれ得る。
【0024】
決定機能232において処理回路23は、投与情報に基づいて、投与量の補正のための基準タイミングを決定する。投与情報は、投与タイミング(投与時刻)ごとの患者への薬剤の投与量を示す投与量の時系列データを含む。決定機能232を実現する処理回路23は、決定部の一例である。
【0025】
選択機能233において処理回路23は、決定された基準タイミング及び患者情報値の取得タイミングに基づいて、投与量の補正に用いる患者情報値を選択する。患者情報値は、患者に関する各種の値を含む。選択機能233を実現する処理回路23は、選択部の一例である。
【0026】
算出機能234において処理回路23は、選択された患者情報値を用いて投与情報の投与量を補正することにより、補正投与情報を算出する。補正投与情報は、補正投与量の時系列データである。算出機能234を実現する処理回路23は、算出部の一例である。
【0027】
生成機能235において処理回路23は、表示用の画像データを生成する。表示用の画像データは、例えば、補正投与情報を表示する表示画像を含む。補正投与情報は、投与タイミングごとの患者への薬剤の補正投与量を示す補正投与量の時系列データを含む。表示用の画像データは、例えば、ユーザへの警告を表示する表示画像をさらに含む。生成機能235を実現する処理回路23は、生成部の一例である。
【0028】
VNAシステム3は、異なるメーカー製の医用画像管理システム(Picture Archiving and Communication Systems:PACS)に保管されている医用画像ファイルと、各臨床部門システムで管理されている多様な診療データとを一元的に管理する統合アーカイブシステムである。VNAシステム3は、例えば、図示しないPACS及び図示しない電子カルテシステムと、LAN等の病院内ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。なお、VNAシステム3により管理及び保管される種々の情報は、必ずしも異なるメーカー製のシステムから取得されたものに限らず、単一のメーカー製のシステムから取得されたものであってもよい。
【0029】
VNAシステム3は、例えば、PACSに記憶されている医用画像ファイルを定期的に取得し、VNAシステム3が備えるメモリに記憶する。医用画像ファイルは、例えば、DICOM規格に準拠した形式のファイルである。この医用画像ファイルを、DICOMデータと換言してもよい。医用画像ファイルは、医用画像診断装置により生成される。医用画像診断装置は、患者に関して撮影することにより検査を実施する。なお、医用画像診断装置は、例えばX線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置及び超音波診断装置等を含む。医用画像ファイルは、例えば、医用画像データ及び付帯情報を含む。
【0030】
医用画像診断装置は、撮影により患者に関する生データを収集し、収集された生データに基づいて医用画像データを生成する。また、医用画像データに基づいて医用画像の表示が行われる。
【0031】
付帯情報は、当該医用画像データを分類し、かつ、当該医用画像データの属性や種類、出自等を表す。医用画像ファイルにおける付帯情報には、例えば、検査Unique IDentifier(UID)、シリーズUID、患者ID、患者氏名、生年月日、モダリティコード及びシリーズ記述等の医用画像を特定するための情報が含まれる。検査UIDは、検査を一意に特定可能な識別子である。シリーズUIDは、例えば撮影部位毎又は撮影条件毎に取得される、一連の画像群を一意に特定可能な識別子である。患者IDは、患者毎に付与され、例えば1つの病院内で患者を一意に特定するための識別子である。患者氏名は、患者IDに対応する患者の氏名を表す。生年月日は、患者IDに対応する患者の生年月日を表す。モダリティコードは、モダリティ種別を特定するための識別子であり、例えば「CT」、「MR」及び「US」等が規定されている。「CT」、「MR」及び「US」は、それぞれ、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置及び超音波診断装置で撮影された医用画像であることを意味する。シリーズ記述は、検査技師が検査時(撮影時)に医師に伝えておくべき特記事項がある場合にその内容を表すものである。
【0032】
また、VNAシステム3は、例えば、電子カルテシステムに記憶されている電子カルテに関する情報を定期的に取得し、VNAシステム3が備えるメモリに記憶している。電子カルテに関する情報には、例えば、患者基本情報及び診療データが含まれる。
【0033】
患者基本情報は、患者固有の情報であり、例えば、患者ID、患者氏名、生年月日、性別及び年齢等を含む。
【0034】
診療データは、診療の過程で、患者の身体状況、病状及び治療等について、医療従事者が知り得た情報である。診療データは、例えば、異なる製造元の装置、異なるバージョンの装置及び同じ装置であっても異なる設定等様々な環境下で取得されたデータを含む。診療データは、数値等の客観データに限定されず、非数値、例えば文字で表される主観データ等あってもよい。診療データは、例えば、検査履歴情報、画像情報、心電図情報、バイタルサイン情報、薬歴情報、レポート情報、カルテ記載情報及び看護記録情報等を含む。検査履歴情報は、例えば、患者に対して検体検査及び細菌検査等が行われた結果取得される検査結果の履歴を表す情報である。画像情報は、例えば、患者を撮影等することにより取得された医用画像の所在を表す情報である。画像情報には、例えば、検査が実施された結果医用画像診断装置により生成される医用画像ファイルの所在を表す情報が含まれる。心電図情報は、例えば、患者から計測された心電図波形に関する情報である。バイタルサイン情報は、例えば、患者の生命に関わる基本的な情報である。バイタルサイン情報には、例えば、脈拍数、呼吸数、体温、血圧及び意識レベル等が含まれる。薬歴情報は、例えば、患者に投与された薬剤の量の履歴を示す情報である。レポート情報は、例えば、診療科の診療医からの検査依頼に対して、放射線科の読影医がX線画像、CT画像、MRI画像及び超音波画像等の医用画像を読影し、患者の状態及び疾患についてまとめた情報である。レポート情報には、例えば、読影医がPACSに記憶された医用画像ファイルを参照して作成された読影レポートを表す読影レポート情報が含まれる。レポート情報には、例えば、読影対象となる医用画像ファイルに対応する患者の患者ID、患者氏名及び生年月日を表す情報が含まれる。カルテ記載情報は、例えば、診療医等により電子カルテに入力された情報である。カルテ記載情報には、例えば、入院時の診療記録、患者の病歴及び薬の処方履歴等が含まれる。看護記録情報は、例えば、看護師等により電子カルテに入力された情報である。看護記録情報には、入院時の看護記録等が含まれる。
【0035】
なお、処理回路11、処理回路23及びVNAシステム3の処理回路は、それぞれ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やプログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)により実現されてもよい。ここで、PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。
【0036】
なお、各機能111~112及び各機能231~235は、それぞれ、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能111~112及び各機能231~235をそれぞれ実現するものとしても構わない。
【0037】
次に、本実施形態に係る医療情報システム9において、薬剤の補正投与量が算出されるときの各部の動作例について、図面を参照して説明する。
図4は、
図1の医療情報システム9で実行される補正投与量の算出及び提示に係る処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、
図4の処理における患者情報値の選択について説明するための図である。
【0038】
以下の処理は、例えば、ユーザにより補正投与量の算出が指示されたときに開始される。ユーザ指示は、例えば医用端末1において取得される。ここで、補正投与量は、例えば、実際に患者へ投与された薬剤に関して、その治療効果を検討するときに用いられるとする。つまり、補正される投与量は、患者へ投与された実際の投与量である。
【0039】
ステップS101において、収集機能231を実現する処理回路23は、VNAシステム3から、治療効果の検討対象である患者に関する患者情報及び投与情報を収集する。
【0040】
患者情報は、患者情報値と、当該患者情報値の取得タイミング(取得時刻)とを含む。換言すれば、患者情報は、取得タイミングごとの患者に関する患者情報値を示す患者情報値の時系列データを含む。ここで、取得タイミングは、患者情報値の測定タイミング又は登録タイミングである。患者情報値の測定タイミング(測定時刻)は、当該患者情報値が測定されたタイミングである。患者情報値の登録タイミング(登録時刻)は、例えば電子カルテシステムに当該患者情報値が登録されたタイミングである。患者情報値は、上述の医用画像ファイル及び電子カルテに関する情報を含む。具体的には、患者情報値は、例えば、患者の体重、年齢、身長、疾患情報、臓器情報、投薬歴情報、検査値歴情報及び類似患者情報のうち、少なくとも1つを含む。患者情報値は、例えば、患者に関する看護記録、バイタルサイン、水分や食事の摂取量、排泄量(排泄率)又は医用画像データをさらに含んでいてもよい。なお、患者情報値は、これらの予測値をさらに含んでいてもよい。
【0041】
投与情報は、薬剤ごとの患者への投与量と、当該薬剤の患者への投与タイミング(投与時刻)とを含む。換言すれば、投与情報は、投与タイミングごとの患者への薬剤の投与量を示す投与量の時系列データを含む。なお、投与情報、患者への薬剤の投与量及び投与タイミングは、それぞれ、投薬情報、投薬量及び投薬タイミングと表現されてもよい。なお、1回の薬剤の投与の態様として単発投与と連続投与とがある。単発投与は、単発的に薬剤を投与する態様である。連続投与は、薬剤を継続的に投与する態様である。連続投与は、
図5に示すように、1回の連続投与の継続期間内(連続投与中)において単位時間あたりの投与量が変化される場合がある。もちろん、1回の連続投与の継続期間内において単位時間あたりの投与量が変化しない場合もある。なお、1回の薬剤の投与は、単位時間あたりの投与量が0を超えてから再び0になるまでの期間である。
【0042】
以下、
図5に示すように、測定タイミングごとの患者の体重が患者情報として収集された場合を例として説明する。
図5に示す例では、患者情報値は、第1の体重PD1、第2の体重PD2及び第3の体重PD3を含む。
【0043】
ステップS102において、決定機能232を実現する処理回路23は、投与量の補正のための基準タイミングを決定する。基準タイミングは、補正投与量の算出に用いられるタイミング(時刻)である。基準タイミングは、収集された投与情報に基づいて決定される。
【0044】
本実施形態に係る基準タイミングは、患者への薬剤の投与が開始されたタイミングであるとする。
図5には、決定された基準タイミングの一例として、第1の基準タイミングRT1及び第2の基準タイミングRT2が示されている。
【0045】
ステップS103において、選択機能233を実現する処理回路23は、補正投与量を算出する基準タイミングを選択する。選択される基準タイミングは、ステップS102で決定された複数の基準タイミングのうち、その時点で補正投与量が算出されていない基準タイミングである。なお、ステップS102で決定された基準タイミングが1つであるとき、当該基準タイミングがそのまま選択されればよい。
図5に示す例では、まず、第1の基準タイミングRT1が選択され、その後、再び本ステップの処理が行われるとき、第2の基準タイミングRT2が選択される。
【0046】
ステップS104において、選択機能233を実現する処理回路23は、選択された基準タイミングに一致する患者情報値の取得タイミングを探索する。
【0047】
ステップS105において、選択機能233を実現する処理回路23は、ステップS104の探索の結果から、選択された基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値があるか否かを判定する。本判定では、選択された基準タイミングに一致する取得タイミングが検出されたとき、選択された基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値があると判定される。処理は、選択された基準タイミングに一致するタイミングで取得された患者情報値があると判定された場合はステップS107へ進み、判定されなかった場合はステップS106へ進む。
【0048】
ステップS106において、選択機能233を実現する処理回路23は、選択された基準タイミングから遡って最新の患者情報値の取得タイミングを探索する。
【0049】
ステップS107において、選択機能233を実現する処理回路23は、投与量の補正に用いる患者情報値を選択する。具体的には、選択された基準タイミングに一致するタイミング又は選択された基準タイミングから遡って最新の取得タイミングで取得された患者情報値を選択する。
図5に示す例では、第1の基準タイミングRT1及び第2の基準タイミングRT2に一致する取得タイミングはそれぞれ検出されない。このため、第1の基準タイミングRT1及び第2の基準タイミングRT2からそれぞれ遡って最新の取得タイミングで取得された第1の体重PD1及び第3の体重PD3が選択される。
【0050】
なお、退院後や再入院時には、例えば、基準タイミングから遡って最新の入院時の患者情報値が選択されればよい。
【0051】
なお、選択される患者情報値は、基準タイミングから遡って最新の取得タイミングで取得された患者情報値に限らない。例えば、補正投与量の算出に用いる患者情報値として、基準タイミングから遡って一定期間の患者情報値に関する平均値や中央値、ベースラインの値が用いられてもよい。また、例えば、補正投与量の算出に用いる患者情報値として、基準タイミングから遡って一定期間の患者情報値から予測される値が用いられてもよい。ここで、一定期間は、例えば過去1年や1月のような固定の期間であってもよいし、小児や成人などの複数の区分ごとに設けられた期間であってもよい。
【0052】
ステップS108において、選択機能233を実現する処理回路23は、ユーザへ警告するか否かを判定する。本判定では、例えば、選択された基準タイミングと、選択された患者情報値の取得タイミングとの間隔が所定の閾値以上であるとき、ユーザへ警告すると判定される。本判定で用いられる閾値等は、例えば予め設定されてメモリ22等に記録されている。処理は、ユーザへ警告すると判定された場合はステップS109へ進み、判定されなかった場合はステップS110へ進む。
【0053】
ステップS109において、例えば、選択された患者情報値が古いこと、適切な患者情報値がないこと等がユーザへ警告される。具体的には、選択機能233を実現する処理回路23は、ユーザへ警告するための表示用の画像データを生成し、当該画像データを医用端末1へ送信する。医用端末1において、表示制御機能112を実現する処理回路11は、受信した画像データに基づいて、ディスプレイ13に警告を表示する。
【0054】
なお、補正投与量の算出に用いる患者情報値が、基準タイミングから遡って一定期間の患者情報値に関する平均値や中央値、ベースラインの値である場合には、ユーザへの警告は、当該患者情報値にバラつきが大きいときに行われてもよい。
【0055】
なお、ユーザへの警告後に患者情報値の入力があったときには、ここで入力された値を用いて補正投与量が算出されればよい。
【0056】
ステップS110において、算出機能234を実現する処理回路23は、選択された患者情報値を用いて投与量を補正することにより、補正投与量を算出する。補正投与量CDは、例えば、以下の式に示すように、投与量Dと、体重Wとの関数fとして表される。ここで、補正投与量CD及び投与量Dは、時間tの関数である。
CD(t)=f(D(t)、W) (1)
具体的には、本実施形態に係る関数fは、以下の式で表されるとする。
f(D(t)、W)=D(t)/W (2)
図5に示す例では、第1の基準タイミングRT1の示すタイミングで開始された連続投与における2つの投与量は、それぞれ第1の体重PD1を用いて補正される。同様に、第2の基準タイミングRT2の示すタイミングで開始された連続投与における2つの投与量は、それぞれ第3の体重PD3を用いて補正される。
【0057】
ステップS111において、算出機能234を実現する処理回路23は、ステップS102で決定された全ての基準タイミングに関して補正投与量が算出されたか否かを判定する。処理は、全ての基準タイミングに関して補正投与量が算出されたと判定されなかった場合は、全ての基準タイミングに関して補正投与量が算出されたと判定されるまで、ステップS103乃至ステップS111の処理を繰り返す。処理は、全ての基準タイミングに関して補正投与量が算出されたと判定された場合はステップS112へ進む。
【0058】
ステップS112において、生成機能235を実現する処理回路23は、算出された補正投与量を含む表示画面I10を表示するための画像データを生成し、当該画像データを医用端末1へ送信する。医用端末1において、表示制御機能112を実現する処理回路11は、受信した画像データに基づいて、ディスプレイ13に表示画面I10を表示する。
図6は、
図4の処理において
図2の医用端末1のディスプレイ13に表示される表示画面I10の一例を示す模式図である。
【0059】
図6に示すように、表示画面I10では、複数の行に、それぞれ、複数の薬剤に関する情報が表示されている。より具体的には、表示画面I10では、行ごとに1つの薬剤に関する情報が表示されている。ここで、
図6に示す例では、表示画面I10の「薬剤名2 〇〇μg/min」の行が選択された状態である。選択された行は、より詳細な情報を表示するために展開される。
【0060】
図6に示すように、表示画面I10の展開された行には、患者情報と、補正投与情報とが表示される。ここで、補正投与情報は、薬剤ごとの患者への補正された投与量と、当該薬剤の患者への投与タイミングとを含む。換言すれば、補正投与情報は、投与タイミングごとの患者への薬剤の補正投与量を示す補正投与量の時系列データである。
図6に示す例では、患者情報は、横軸及び縦軸がそれぞれ時間及び患者情報値のグラフで表示されている。また、補正投与情報は、横軸及び縦軸がそれぞれ時間及び補正投与量のグラフで表示されている。患者情報及び補正投与情報は、それぞれ、スクロールバーによって時間方向へ表示をスクロールすることができる。このため、
図6に示すように、患者情報及び補正投与情報のグラフ上に、同一の時間位置を示す時間表示バーTBが、それぞれ表示される。
【0061】
なお、表示画面I10において、スクロールバーは表示されなくてもよい。また、患者情報及び補正投与情報の時間軸が揃っているときには、時間表示バーTBは表示されなくてもよい。
【0062】
なお、表示画面I10には、患者情報及び補正投与情報に加えて、例えば
図5に示すような投与情報がさらに表示されてもよい。また、表示画面I10には、2つ以上の複数の患者情報が表示されてもよい。また、患者情報は、グラフによる表示に限らず、例えば
図5に示すように、簡易的に表示されてもよい。また、補正投与情報の表示は、グラフによる補正投与量の時系列の表示に加えて、補正投与量の最大値の表示を含んでいてもよい。
【0063】
なお、補正投与量の算出は、表示画面I10の薬剤名などが選択されたことを契機として行われてもよい。
【0064】
このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、投薬が開始されたタイミング又は投薬が開始される直前のタイミングの患者情報値が選択される。この構成によれば、補正投与量の算出に用いる患者情報値を適切に選択できるという効果がある。例えば、小児患者では、体重の変化による投薬効果の変化が大きい。つまり、治療効果の判定に患者情報値の変化が与える影響が大きい患者がいる。また、治療や成長などの影響により患者情報値の変化が大きい患者もいる。このような中、本技術による適切な患者情報値の選択は、適切な投薬の治療効果の判定に寄与する。医師等のユーザは、本技術に係る医療情報システム9を利用すれば、例えば、血圧降下剤の投薬に関して治療効果を判定するとき、適切に選択された患者情報値で補正された投与量を用いて血圧降下量を評価することができる。
【0065】
また、本技術によれば、適切に選択された患者情報値を用いて補正投与量が算出される。算出された投与タイミングごとの補正投与量は、取得タイミングごとの患者情報値とともに表示される。つまり、患者情報値の取得タイミングと薬剤の投与タイミングとを確認しながら補正投与量の算出に用いる患者情報値を選択するといった手間なく、算出された補正投与量をユーザが把握できるという効果がある。補正投与量の算出に係る手間の低減は、投薬の治療効果の判定に要する時間の短縮に寄与する。
【0066】
また、本技術によれば、ユーザによる患者情報値の選択が不要となる。つまり、本技術によれば、複数のユーザ間で補正投与量の算出に用いる患者情報値を選択する基準を統一できる。このため、補正投与量に基づく治療効果の判定において、判定結果に生じるユーザごとのバラつきを低減できるという効果がある。
【0067】
[第2の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療情報処理装置、医療情報システム及び医療情報表示端末を説明する。ここでは、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0068】
第1の実施形態では、患者への薬剤の投与が開始されたタイミングが基準タイミングとして決定される場合を例として説明した。一方で、連続投与中に患者情報値が大きく変化する場合もあり得る。そこで、本実施形態では、連続投与中に患者情報値が大きく変化していた場合を例として、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理について説明する。
【0069】
図7は、本実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
図7に示す例では、患者情報は、第1の実施形態と同様に、測定タイミングごとの患者の体重であるとする。
図7に示す例では、第2の体重PD2と第3の体重PD3との差(患者情報値の変化量)が所定の閾値を超えているとする。所定の閾値は、例えば、予め設定されてメモリ22等に記憶されている。
【0070】
なお、所定の閾値は、患者情報値の変化量に限らず、患者情報値の変化の割合や任意の期間に亘る患者情報値の平均に対する偏差等であってもよい。
【0071】
決定機能232を実現する処理回路23は、
図4のステップS102において、連続投与中の患者情報値の変化量が所定の閾値を超えていない場合は、第1の実施形態と同様にして、基準タイミングを決定する。一方で、処理回路23は、連続投与中の患者情報値の変化量が所定の閾値を超えている場合は、連続投与中であっても、変化後の患者情報値が取得されたタイミングの後に投与量が変化したタイミングを、基準タイミングとしてさらに決定する。
図7に示す例では、第2の基準タイミングRT2の示すタイミングで開始された連続投与において、第2の体重PD2から第3の体重PD3への変化量が所定の閾値を超えているため、第3の体重PD3の後に投与量が変化したタイミングが第3の基準タイミングRT3として、さらに決定される。生成機能235を実現する処理回路23は、ステップS112において、例えば
図7に示す補正投与量に関するグラフを含む表示用の画像データを生成する。
【0072】
なお、第3の体重PD3の後に投与量が変化したタイミングに限らず、第3の体重PD3の取得タイミングが第3の基準タイミングRT3として決定されてもよい。
【0073】
このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、連続投与中に患者情報値が大きく変化した場合には、連続投与中であっても基準タイミングが設定される。この構成によれば、上述の効果に加えて、連続投与中に患者情報値が大きく変化した場合であっても、適切な患者情報値を選択して補正投与量を算出することができるという効果が得られる。
【0074】
[第3の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療情報処理装置、医療情報システム及び医療情報表示端末を説明する。ここでは、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0075】
第1の実施形態では、患者への薬剤の投与が開始されたタイミングが基準タイミングとして決定される場合を例として説明した。一方で、第1の実施形態では基準タイミングとして決定されるタイミングの中には、投与量が1つ前の投与における投与量からほとんど変化していない場合もあり得る。そこで、本実施形態では、各投与の間での投与量の変化量が小さい場合を例として、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理について説明する。
【0076】
図8は、本実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
図8に示す例では、患者情報は、第1の実施形態と同様に、測定タイミングごとの患者の体重であるとする。
図8に示す例では、第1の基準タイミングRT1の後、各投与の間における患者への薬剤の投与量の変化量が所定の閾値以下であるとする。所定の閾値は、例えば、予め設定されてメモリ22等に記憶されている。
【0077】
なお、所定の閾値は、患者への薬剤の投与量の変化量に限らず、投与量の変化の割合や任意の期間に亘る投与量の平均に対する偏差等であってもよい。
【0078】
決定機能232を実現する処理回路23は、
図4のステップS102において、各投与の間での投与量の変化量が所定の閾値より大きい場合は、第1の実施形態と同様にして、基準タイミングを決定する。一方で、処理回路23は、各投与の間での投与量の変化量が所定の閾値以下である場合は、患者への薬剤の投与が開始されたタイミングであっても、基準タイミングとして決定しない。
図8に示す例では、3回の投与の間での投与量の変化量は、それぞれ所定の閾値以下であるため、第1の基準タイミングRT1だけが基準タイミングとして決定される。このとき、
図8に示す3回の投与量は、それぞれ第1の体重PD1を用いて補正される。ここで、1回目及び2回目の投与は、それぞれ、第1の投与及び第2の投与の一例である。生成機能235を実現する処理回路23は、ステップS112において、例えば
図8に示す補正投与量に関するグラフを含む表示用の画像データを生成する。
【0079】
このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、各投与の間での患者への薬剤の投与量の変化量が所定の閾値以下である場合には、患者への薬剤の投与が開始されたタイミングであっても基準タイミングとして設定されない。この構成によれば、上述の効果に加えて、補正投与量の算出に要する時間や計算コストをさらに低減できるという効果が得られる。
【0080】
なお、本実施形態に係る技術は、第1の実施形態及び/又は第2の実施形態に係る技術と組合せ可能である。
【0081】
[第4の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療情報処理装置、医療情報システム及び医療情報表示端末を説明する。ここでは、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0082】
第1の実施形態では、例えば点滴のように、各投与が所定の時間に亘って行われる連続投与の場合を例として説明した。一方で、例えば処方のように、各投与が単発的に行われる単発投与の場合もあり得る。そこで、本実施形態では、例えば処方のように、断続的な複数のタイミングで薬剤が投与される場合を例として説明する。
【0083】
図9は、本実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
図9に示す例では、患者情報は、第1の実施形態と同様に、測定タイミングごとの患者の体重であるとする。また、投与情報は、第1の実施形態とは異なり、断続的に実施された処方に関する投与タイミングごとの投与量であるとする。以下、説明の簡単のために、
図9に示す例では、2017年4月24日を1日目と記載する。
【0084】
収集機能231を実現する処理回路23は、
図4のステップS101において、収集された投与情報に基づいて、各日に関して1日の総投与量を算出する。決定機能232を実現する処理回路23は、ステップS102において、第1の実施形態と同様にして、基準タイミングを決定する。このとき、
図9の1~2日目や4~5日目のように、2日以上連続して投与されている場合は、連続投与中であるとして取り扱われる。つまり、
図9に示す例では、1日目及び4日目の投与が開始されたタイミングが、それぞれ、第1の基準タイミングRT1及び第2の基準タイミングRT2として決定される。選択機能233を実現する処理回路23は、決定された第1の基準タイミングRT1及び第2の基準タイミングRT2に基づいて、それぞれ、第1の体重PD1及び第3の体重PD3を選択する。算出機能234を実現する処理回路23は、ステップS110において、ステップS101で算出された総投与量を、選択された患者情報値を用いて補正することにより、補正投与量を算出する。生成機能235を実現する処理回路23は、ステップS112において、例えば
図9に示す補正投与量に関するグラフを含む表示用の画像データを生成する。
図9に示すように、本実施形態に係る補正投与量に関するグラフは、補正された各日の総投与量を示す。
【0085】
このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、1日の総投与量に関して補正投与量が算出される。この構成によれば、例えば処方のように、離散したタイミングで薬剤が投与されている場合であっても、上述と同様の効果が得られる。
【0086】
なお、本実施形態に係る技術は、上述の複数の実施形態のうち少なくとも1つの実施形態に係る技術と組合せ可能である。
【0087】
[第5の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療情報処理装置、医療情報システム及び医療情報表示端末を説明する。ここでは、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0088】
本実施形態では、抗がん剤の投与量に関して、複数の患者情報を用いて補正投与量を算出する場合を例として説明する。
図10は、本実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
図10に示す例では、患者情報は、測定タイミングごとの患者の体重と、測定タイミングごとの患者の身長であるとする。
図10に示す例では、患者情報値は、第1の体重PD11及び第1の身長PD12を含む。また、投与情報は、投与タイミングごとの体表面積あたりの抗がん剤の投与量であるとする。
【0089】
収集機能231を実現する処理回路23は、
図4のステップS101において、収集された体重及び身長に基づいて、患者の体表面積BSA[m
2]を算出する。体表面積BSAは、例えば以下に示すDuBoisの体表面積の式により算出される。
BSA=0.007184×W
0.425×H
0.725 (3)
ここで、W[kg]、H[cm]はそれぞれ患者の体重及び身長である。また、処理回路23は、収集された投与情報と、算出された体表面積BSAとを用いて、投与タイミングごとの患者への抗がん剤の実際の投与量AD[mg/kg]を、例えば以下に示す式を用いて算出する。
AD=BSA×D (4)
ここで、D[mg/m
2]は、上述の投与タイミングごとの体表面積あたりの抗がん剤の投与量である。なお、算出された体表面積BSA及び実際の投与量ADは、それぞれ、患者情報及び投与情報に含まれる。
【0090】
なお、患者の体表面積BSAや実際の投与量ADは、VNAシステム3から収集されてもよい。
【0091】
なお、患者情報値の取得タイミングには、患者の体表面積BSAの算出に用いられた体重又は身長の測定タイミングが用いられればよい。体重と身長の測定タイミングが異なるときには、いずれか一方の測定タイミングが用いられたり、2つの測定タイミングの中間のタイミングが用いられたりすればよい。いずれか一方の測定タイミングとしては、例えば、いずれか古い方の測定タイミングが用いられればよい。
【0092】
決定機能232を実現する処理回路23は、ステップS102において、第1の実施形態と同様にして、基準タイミングを決定する。
図10に示す例では、第1の基準タイミングRT1、第2の基準タイミングRT2、第3の基準タイミングRT3及び第4の基準タイミングRT4が決定されている。選択機能233を実現する処理回路23は、ステップS107において、第1の実施形態と同様にして、各基準タイミングRT1~RT4を基準に体表面積BSAを選択する。
図10に示す例では、第1の体重PD11及び第1の身長PD12から算出された体表面積BSAが選択される。算出機能234を実現する処理回路23は、体表面積BSAを用いて算出された実際の投与量ADの累積値を補正投与量として算出する。生成機能235を実現する処理回路23は、例えば
図10に示す補正投与量に関するグラフを含む表示用の画像データを生成する。
【0093】
このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、複数の患者情報を用いて補正投与量が算出される。また、本実施形態に係る補正投与量は、実際の投与量の累積値である。この構成であっても、上述と同様の効果が得られる。
【0094】
なお、本実施形態に係る技術は、上述の複数の実施形態のうち少なくとも1つの実施形態に係る技術と組合せ可能である。
【0095】
[第6の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療情報処理装置、医療情報システム及び医療情報表示端末を説明する。ここでは、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0096】
本実施形態では、腎不全患者に投与された薬剤の投与量に関して、複数の患者情報を用いて補正投与量(腎機能に応じた至適薬物投与量)を算出する場合を例として説明する。
図11は、本実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
図11に示す例では、患者情報は、登録タイミングごとの患者の年齢(図示しない)と、測定タイミングごとの患者の体重と、測定タイミングごとの血清クレアチニン(Cr)と、測定タイミングごとの尿中排泄率とであるとする。
図11に示す例では、患者情報値は、第1の体重PD11、第1の血清クレアチニンPD21、第2の血清クレアチニンPD22、第3の血清クレアチニンPD23、第4の血清クレアチニンPD24、第1の尿中排泄率PD31、第2の尿中排泄率PD32及び第3の尿中排泄率PD33を含む。また、投与情報は、投与タイミングごとの体表面積あたりの抗がん剤の投与量であるとする。また、
図11に示す例では、第1の基準タイミングRT1及び第2の基準タイミングRT2が決定される。
【0097】
選択機能233を実現する処理回路23は、複数の患者情報値の各々について、基準タイミングに一致するタイミング又は基準タイミングから遡って最新の患者情報値の取得タイミングで取得された患者情報値を選択する。各々の患者情報値の選択は、第1の実施形態と同様である。
図10に示す例では、第1の基準タイミングRT1に基づいて、第1の体重PD11、第1の血清クレアチニンPD21及び第1の尿中排泄率PD31が選択される。また、第2の基準タイミングRT2に基づいて、第1の体重PD11、第4の血清クレアチニンPD24及び第3の尿中排泄率PD33が選択される。算出機能234を実現する処理回路23は、選択された複数の患者情報値を用いて補正投与量(腎機能に応じた至適薬物投与量)を算出する。具体的には、まず、処理回路23は、以下に示すCockcroft-Gaultの式を用いて、クレアチニン・クリアランスCCrを算出する。
CCr={(140-AGE)×W}/(72×SCr) (5)
ここで、AGE[-]、W[kg]及びSCr[mg/dL]は、それぞれ、患者の年齢、体重及び血清クレアチニンである。次に、処理回路23は、以下に示すGiusti-Hayton法に従う2つの式を用いて、投与間隔を変えずに1回あたりの投与量を減量する場合の補正投与量CDを算出する。
CD=D×R (6)
R=1-fu×(1-CCr/120) (7)
ここで、D[μg/min]、fu[-]及びR[-]は、それぞれ、投与量(常用量)、尿中排泄率及び補正投与係数である。生成機能235を実現する処理回路23は、例えば
図11に示す補正投与量に関するグラフを含む表示用の画像データを生成する。
【0098】
このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、腎不全患者に投与された薬剤の投与量に関して、複数の患者情報を用いて補正投与量(腎機能に応じた至適薬物投与量)が算出される。この構成であっても、上述と同様の効果が得られる。
【0099】
なお、本実施形態に係る技術は、上述の複数の実施形態のうち少なくとも1つの実施形態に係る技術と組合せ可能である。
【0100】
[第7の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医療情報処理装置、医療情報システム及び医療情報表示端末を説明する。ここでは、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0101】
第1の実施形態では、実際に患者に投与された投与量の履歴に関して補正投与量が算出される場合を例として説明したが、これに限らない。本実施形態では、投与量の履歴に加えて、患者に投与される予定の投与量のオーダに関して補正投与量が算出される場合を例として説明する。
図12は、本実施形態に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。本実施形態に係る患者情報は、第1の実施形態と同様に、測定タイミングごとの患者の体重であるとする。
図12に示す例では、患者情報は、第1の体重PD1及び第2の体重PD2を含む。
【0102】
収集機能231を実現する処理回路23は、
図4のステップS101において、患者情報及び投与情報を収集する。このとき、処理回路23は、投与情報として、第1の実施形態と同様に投与タイミングごとの投与量の履歴を収集するとともに、投与タイミングごとの投与量の計画(オーダ)をさらに収集する。投与量のオーダは、例えばVNAシステム3から収集される。決定機能232を実現する処理回路23は、ステップS102において、投与の履歴及びオーダを含む投与情報に基づいて、基準タイミングを決定する。
図12に示す例では、投与量の履歴から第1の基準タイミングRT1が決定され、投与量のオーダから第2の基準タイミングRT2が決定される。選択機能233を実現する処理回路23は、第1の実施形態と同様にして、補正投与量の算出に用いる患者情報値を選択する。
図12に示す例では、第1の基準タイミングRT1及び第2の基準タイミングRT2に基づいて、それぞれ、第1の体重PD1及び第2の体重PD2が選択される。生成機能235を実現する処理回路23は、例えば
図12に示す補正投与量に関するグラフを含む表示用の画像データを生成する。
【0103】
このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、患者へ投与された実際の投与量に加えて、患者に投与される予定の投与量に関して補正投与量が算出される。この構成であれば、治療効果の判定に用いた投与量の履歴と、投与量のオーダとを簡易に比較できる。つまり、本実施形態に係る技術によれば、上述と同様の効果に加えて、治療効果の判定の結果に基づく投与量のオーダに関する評価が容易であるという効果がさらに得られる。
【0104】
なお、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理において、投与量のオーダに関して算出された補正投与量は、修正可能であってもよい。このとき、例えば、ユーザは、実際の投与量に関して補正投与量を用いて治療効果を判定した後、治療効果の判定の結果に応じて、予定の投与量に関する補正投与量を修正する。算出機能234を実現する処理回路23は、補正投与量の算出に用いられた患者情報値と、修正された補正投与量とを用いて、新たな投与量のオーダを算出する。算出された新たな投与量のオーダは、VNAシステム3等に送信される。このように、予定の投与量に関する補正投与量が修正可能であるとき、ユーザは、予定の投与量に関する補正投与量を修正することにより、投与量のオーダを修正できる。つまり、ユーザは、治療効果の判定と、投与量のオーダの修正とを、補正投与量に基づいて実施できる。この構成によれば、上述と同様の効果に加えて、治療効果の判定を容易に投与量のオーダへ反映できるという効果がさらに得られる。
【0105】
なお、補正投与量の算出後に患者情報が更新されたとき、補正投与量の再計算が行われてもよい。
図13は、本実施形態の変形例に係る補正投与量の算出及び表示について説明するための図である。
図13に示す例では、補正投与量が算出された後に、補正投与量の算出に用いた患者情報が更新されている。また、
図13に示す例では、
図12の状態から時間が経過し、
図12に示す投与量のオーダが実施されているとする。補正投与量の再計算では、更新された患者情報を用いて、実施されたオーダに関する投与量が補正される。
図13に示す例では、実施されたオーダに関する補正投与量が、新たに測定された第3の体重PD3を用いて再計算される。生成機能235を実現する処理回路23は、例えば
図13に示す補正投与量に関するグラフを含む表示用の画像データを生成する。医用端末1の処理回路11は、ディスプレイ13の表示画面を更新し、再計算された補正投与量を表示する。このように、本実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理では、補正投与量の算出後に患者情報が更新されたとき、補正投与量が再計算される。また、再計算された補正投与量が表示される。この構成によれば、上述と同様の効果に加えて、補正投与量の算出後に患者情報が更新されても、常に最新の補正投与量を容易に把握できるという効果がさらに得られる。
【0106】
なお、本実施形態に係る技術は、上述の複数の実施形態のうち少なくとも1つの実施形態に係る技術と組合せ可能である。
【0107】
なお、上述の各実施形態に係る補正投与量の算出に係る処理において、補正投与量の算出に用いる患者情報値は、修正可能であってもよい。例えば、ユーザは、患者情報値を修正することにより、より精度の高い補正投与量を得ることができるため、より詳細に治療効果を判定することができる。また、ユーザは、予測される患者の変化に応じて患者情報値を修正することにより、算出された補正投与量を用いて投与量のオーダを検討することもできる。また、患者情報値の修正に限らず、患者情報の種類が追加又は削除可能であってもよい。例えば、ユーザは、患者情報の種類を修正することにより、本技術により算出された補正投与量と、他の手法により算出された補正投与量とを容易に比較できるため、過去の治療効果に関する知見を有効に活用することができる。
【0108】
なお、上述の各実施形態では、医用サーバ2において補正投与量が算出される医療情報システム9を例として説明したが、これに限らない。補正投与量は、医用端末1において算出されてもよい。
【0109】
なお、上述の各実施形態では、補正投与量の表示やユーザへの警告に関して、医用サーバ2において生成された表示用の画像データが医用端末1において表示される医療情報システム9を例として説明したが、これに限らない。例えば、医用サーバ2で生成された警告に係る情報や補正投与量の表示に係る情報(表示情報)に基づいて、医用端末1で表示用の画像データが生成されてもよい。
【0110】
なお、上述の各実施形態に係る医療情報システム9において、医用端末1及び医用サーバ2は、それぞれ、2つ以上の複数であってもよい。
【0111】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、適切に選択された患者情報値を用いて薬剤の補正投与量を算出することができる。
【0112】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、ASIC、PLD等の回路を意味する。PLDは、SPLD、CPLD及びFPGAを含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1、
図2及び
図3における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0114】
1…医用端末(医療情報表示端末)、
2…医用サーバ(医療情報処理装置)、
3…VNAシステム、
9…医療情報システム、
11…処理回路、
12…入力インターフェース、
13…ディスプレイ(表示部)、
14…メモリ、
15…通信インターフェース(受信部)、
21…通信インターフェース、
22…メモリ、
23…処理回路、
111…指示機能、
112…表示制御機能、
231…収集機能、
232…決定機能(決定部)、
233…選択機能(選択部)、
234…算出機能(算出部)、
235…生成機能(生成部)。