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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】調理器具、加熱調理器、及び調理網
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230927BHJP
   F24C 15/16 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A47J37/06 361
F24C15/16 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019046476
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020146245
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 英児
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-231469(JP,A)
【文献】特開2017-96609(JP,A)
【文献】特開2007-61514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00~37/07
F24C 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理容器と、
前記調理容器内に設置される調理網とを備え、
前記調理網は、
前記調理容器の底部に沿った仮想平面上に間隔をあけて並び、調理対象物を支持する載置部を構成する複数の第1線材と、
支持部を有する第2線材と、
前記第2線材又は前記第2線材とは別の線材に形成されて前記底部に接する脚部と、を有し、
前記脚部は、前記底部の上面に沿って直線状に延びており、
前記支持部は、前記脚部よりも上方に位置し、かつ、前記複数の第1線材よりも下方に位置して調理対象物を下方から支持す
調理器具。
【請求項2】
請求項1に記載の調理器具と、
前記調理器具を収容可能な加熱室と、
前記加熱室に収容された前記調理器具を加熱する加熱部とを備え、
前記調理器具は、前後方向に移動することで前記加熱室に対して出入可能であり、
前記脚部は、前記底部の上面に沿って前後方向と交差する方向に直線状に延びた、
加熱調理器。
【請求項3】
調理器具と、
前記調理器具を収容可能な加熱室と、
前記加熱室に収容された前記調理器具を加熱する加熱部とを備え、
前記調理器具は、前後方向において移動することで前記加熱室に対して出入可能であり、
前記調理器具は、
調理容器と、
前記調理容器内に設置される調理網とを有し、
前記調理網は
前記調理容器の底部に沿った仮想平面上にそれぞれ前後方向に延びて間隔をあけて並び、調理対象物を支持する載置部を構成する複数の第1線材と、
それぞれ前後方向に延びて支持部を有する第2線材と、
前記第2線材又は前記第2線材とは別の線材に形成されて前記底部に接する脚部と、を有し、
前記脚部は、前記底部の上面に沿って前後方向に直線状に延びており、
前記支持部は、前記脚部よりも上方に位置し、かつ、前記複数の第1線材よりも下方に位置して調理対象物を下方から支持する、
加熱調理器。
【請求項4】
調理容器内に設置される調理網であって、
前記調理容器の底部に沿った仮想平面上に間隔をあけて並び、調理対象物を支持する載置部を構成する複数の第1線材と、
支持部を有する第2線材と、
前記第2線材又は前記第2線材とは別の線材に形成されて前記底部に接する脚部と、を有し、
前記脚部は、前記底部の上面に沿って直線状に延びており、
前記支持部は、前記脚部よりも上方に位置し、かつ、前記複数の第1線材よりも下方に位置して調理対象物を下方から支持す
調理網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調理器具、加熱調理器及び調理網に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、くん製調理を行うための加熱調理器が開示されている。この加熱調理器によって、くん製調理を行うには、利用者は、くん製容器にくん製材を載せ、その上に網を設置し、その上に調理物を設置し、この後、くん製容器の上方開口部を金属シートで覆う。そして、このようにくん製材、網及び調理物が収容されたくん製容器を、加熱調理器の調理室に配置し、調理室内を加熱調理器のヒーターによって加熱することで、くん製調理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-15273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した加熱調理器では、例えば、網を収容したくん製容器が調理室に対して出し入れされる際等において、網がくん製容器に対して動き、網とくん製容器とが擦れて不快な音が発生するおそれがある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、調理容器と調理網とが擦れて不快な音が発生することを抑制できる調理器具、加熱調理器及び調理網を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る調理器具は、以下に示す構成を有する。前記調理器具は、調理容器と、前記調理容器内に設置される調理網とを備えている。前記調理網は、線材を有している。前記線材は、前記調理容器の底部に接する脚部を有している。前記脚部は、前記底部の上面に沿って直線状に延びている。
【0007】
また、本開示の別の一態様に係る加熱調理器は、以下に示す構成を有する。前記加熱調理器は、前記調理器具と、前記調理器具を収容可能な加熱室と、前記加熱室に収容された前記調理器具を加熱する加熱部とを備えている。前記調理器具は、前後方向に移動することで前記加熱室に対して出入可能である。前記脚部は、前記底部の上面に沿って前後方向と交差する方向に直線状に延びている。
【0008】
また、本開示の更に別の一態様に係る加熱調理器は、以下に示す構成を有する。前記加熱調理器は、調理器具と、前記調理器具を収容可能な加熱室と、前記加熱室に収容された前記調理器具を加熱する加熱部とを備えている。前記調理器具は、前後方向において移動することで前記加熱室に対して出入可能である。前記調理器具は、調理容器と、前記調理容器内に設置される調理網とを有している。前記調理網は、上方から見て、前後方向に延びた線材を有している。前記線材は、前記調理容器の底部に接する脚部を有している。
【0009】
また、本開示の更に別の一態様に係る調理網は、以下に示す構成を有する。前記調理網は、調理容器内に設置される。前記調理網は、線材を有している。前記線材は、前記調理容器の底部に接する脚部を有している。前記脚部は、前記底部の上面に沿って直線状に延びている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の調理器具、加熱調理器及び調理網にあっては、調理容器と調理網とが擦れて不快な音が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態の加熱調理器の斜視図である。
図2図2は、同上の加熱調理器が備えた調理器具の分解斜視図である。
図3図3は、同上の加熱調理器の加熱室と調理器具とを示した斜視図である。
図4図4は、同上の加熱調理器の加熱部の概略説明図である。
図5図5は、同上の加熱調理器のブロック図である。
図6図6は、同上の調理器具が有した容器本体と調理網とを示した平面図である。
図7図7は、同上の調理網の斜視図である。
図8図8は、同上の調理器具の要部の縦断面図である。
図9図9は、同上の調理網の正面図である。
図10図10は、変形例の調理網を示した斜視図である。
図11図11は、他の変形例の調理網を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態
まず、実施形態の加熱調理器1について説明する。
【0013】
(1.1)加熱調理器
図1に示す本実施形態の加熱調理器1は、くん製調理を行うことができるガスグリル付こんろである。すなわち、加熱調理器1は、くん製調理を行う、くん製装置として利用可能である。くん製調理は、くん製材(くん煙材)を加熱して、くん製材から発生する煙によって調理対象物90(図2参照)をいぶす調理である。
【0014】
くん製材は、例えば、スモークチップ、スモークウッド、木の枝等である。くん製材の材料は、例えば、サクラ、ウイスキーオーク、ヒッコリー、ブナ、りんご、ナラ、クルミ等である。くん製材は、木材の他、スモークピート(促進剤)、ザラメ糖等の添加物を含んでもよい。調理対象物90は、例えば、チーズ、魚、ハム、ナッツ、手羽先、ゆで卵等の食材である。
【0015】
加熱調理器1は、図2に示す調理器具4を備えている。調理器具4は、くん製調理を行う際に用いられる。調理器具4は、調理容器5と、調理網7とを有している。調理容器5は、容器本体6と、蓋50とを有している。調理網7は、調理容器5内に設置される。調理網7は、くん製調理の対象となる調理対象物90を下方から支持する支持部材として機能する。
【0016】
くん製調理を行うにあたって、加熱調理器1の利用者は、まず、容器本体6の底部60にくん製材を載せ、容器本体6内に調理網7を設置し、かつ、調理網7に調理対象物90を載せる。これにより、調理対象物90は、容器本体6の底部60から上方に離れた位置に配置される。次に利用者は、容器本体6に蓋50を取り付け、容器本体6の上端部に形成された開口部616を閉塞する。そして、利用者は、このように内容物として、くん製材、調理網7及び調理対象物90を収容した調理容器5が、加熱調理器1の内部に形成された加熱室2(図3参照)に配置された状態で、加熱調理器1の自動くん製運転を実行することにより、くん製調理が行われる。
【0017】
なお、調理容器5は蓋50を有さず、容器本体6だけで構成されてもよい。この場合、利用者は、例えば、アルミ箔等の蓋50に代わる部材を容器本体6の開口部616を覆うように取り付けて、自動くん製運転を行えばよい。また、容器本体6の形状は、限定されず、例えば、底の浅い皿状等であってもよい。
【0018】
また、本実施形態の調理網7は、くん製調理を行うために用いられるくん製網であるが、蒸す、茹でる、煮る等、くん製調理以外の調理を行う際に、調理対象物を載せる網として用いられる網であってもよい。また、調理網7は、例えば、容器本体6の上端よりも大きく上方に突出した状態で、容器本体6に設置されてもよい。本開示では、このように調理網7が容器本体6の上端よりも大きく上方に突出した状態で容器本体6上に設置される態様も、容器本体6内に設置されることに含まれる。また、本開示の技術は、グリルを備えたテーブルこんろ、こんろを備えないガスグリル等にも適用可能である。また、本開示の技術は、グリルを備えず、加熱部としてこんろバーナーを備えたガスこんろ、電磁誘導加熱を行う加熱部を備えた電磁調理器等にも適用可能である。
【0019】
以下、加熱調理器1について詳述する。以下、特に記載する場合を除き、くん製調理を行うにあって調理容器5が加熱室2内の所定位置に配置された状態における加熱調理器1について説明する。また、以下では、加熱調理器1について、加熱調理器1が設置された状態における方向を用いて説明する。具体的には、加熱調理器1から見て、設計上、利用者が位置する方向を前方と規定する。また、加熱調理器1を前方から見たときを基準にして、左右方向を規定する。
【0020】
図1に示す加熱調理器1は、キッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。加熱調理器1は、ケーシング10、複数のこんろバーナー11及び天板12を備えている。ケーシング10は、上方に開口した箱状に形成されている。ケーシング10の内部には、複数のこんろバーナー11が設置されている。天板12はケーシング10上に設置されている。天板12はケーシング10の上面を覆っている。複数のこんろバーナー11の各々は、天板12に形成された孔を通って天板12の上方に突出している。
【0021】
加熱調理器1は、複数のこんろ用操作部13を備えている。複数のこんろ用操作部13は、複数のこんろバーナー11にそれぞれ一対一で対応している。利用者は、各こんろ用操作部13を操作することで、対応するこんろバーナー11の点火と消火の切換え及び火力の変更を行うことができる。
【0022】
利用者は、加熱調理器1を用いてグリル調理を行うこともできる。すなわち、加熱調理器1は、グリル装置としても利用可能である。グリル調理は、食材等が配置された調理容器5を火によって加熱する調理である。
【0023】
加熱調理器1は、くん製調理及びグリル調理を行うための加熱室2を有している。加熱室2は、ケーシング10と天板12とで囲まれた空間に位置している。
【0024】
図3に示すように、加熱室2は、前方に開口した箱状に形成されている。加熱室2は、底部20、左右の側壁21,22、後壁23及び天井部24を有している。加熱室2の内側には、底部20、左右の側壁21,22、後壁23及び天井部24で囲まれた加熱空間26が形成されている。加熱室2の前端部には、開口部25が形成されている。加熱室2内の加熱空間26は、開口部25を介してケーシング10(図1参照)の前方に開放される。
【0025】
本実施形態の加熱調理器1は、開口部25を開閉する扉14(図1参照)と、扉14を支持した支持機構15とを更に有している。支持機構15は、加熱室2に設置されており、扉14を前後方向に移動可能に支持している。支持機構15は、例えば、左右一対のスライドレールで構成される。利用者は、扉14を前後方向に移動することで、加熱室2の開口部25を扉14によって開閉することができる。
【0026】
加熱調理器1は、調理容器5を支持する支持枠16を更に備えている。調理容器5は、支持枠16に対して着脱可能に取り付けられている。支持枠16は、調理容器5を下方から支持している。支持枠16は、例えば、金属製の線材から形成される。
【0027】
支持枠16の前端部は、扉14に対して着脱可能に連結されている。調理容器5が支持枠16に支持され、かつ、支持枠16が扉14に連結された状態において、支持枠16及び調理容器5は、扉14と連動して前後方向に移動する。
【0028】
利用者は、扉14を前後方向に移動して、調理容器5を前後方向に移動することで、調理容器5を加熱室2に対して出し入れできる。つまり、調理容器5は、前後方向に移動することで、加熱室2に対して出入可能である。
【0029】
調理容器5が支持枠16に支持され、かつ、支持枠16が扉14に連結された状態において、扉14が開口部25を閉じる閉位置に配置されたとき、支持枠16及び調理容器5は、加熱室2内の所定位置に配置される。利用者は、扉14を閉位置より前方に動かして開くことで、支持枠16及び調理容器5を、加熱室2の開口部25よりも前方に配置することができる。
【0030】
加熱調理器1は、加熱部3を更に有している。加熱部3は、加熱室2に配置された調理容器5及びこの調理容器5の内部に配置された内容物を加熱する。すなわち、くん製調理の際には、調理容器5並びに調理容器5に配置されたくん製材及び調理対象物90(図2参照)が、加熱部3によって加熱される。また、グリル調理の際には、調理容器5及び調理容器5に配置された食材が、加熱部3によって加熱される。
【0031】
本実施形態の加熱部3は、複数のバーナー30,31を有している。具体的に加熱部3は、複数のバーナー30,31として、上バーナー30及び下バーナー31を有している。なお、加熱部3は、上バーナー30及び下バーナー31のうち、上バーナー30のみを有してもよいし、下バーナー31のみを有してもよい。上バーナー30及び下バーナー31の各々は、ブンゼンバーナーである。上バーナー30は、加熱室2の上部(詳しくは天井部24)に取り付けられている。上バーナー30は、加熱室2内の所定位置に配置された調理容器5の上方に位置し、調理容器5及び調理容器5の内容物を上方から加熱する。
【0032】
下バーナー31は、加熱室2の下部(詳しくは底部20)に設置されている。下バーナー31は、加熱室2内の所定位置に配置された調理容器5の下方に位置し、調理容器5及び調理容器5に配置された内容物を下方から加熱する。本実施形態の下バーナー31は、調理容器5が加熱室2内の所定位置に配置された状態において、調理容器5の底部60の中央部の下方に位置する。このため、下バーナー31で生じた炎は、調理容器5の底部60の中央部に当たる。
【0033】
加熱部3は、図4に示すガス供給路32を更に有している。ガス供給路32は、上バーナー30及び下バーナー31に都市ガス等の燃料ガスを供給する。本実施形態のガス供給路32は、主流路320と、主流路320から分岐した一対の副流路321,322とを有している。主流路320には、燃料ガスが供給される。一対の副流路321,322のうちの一方は、上バーナー30に通じる上バーナー用流路321であり、他方は下バーナー31に通じる下バーナー用流路322である。
【0034】
加熱部3は、加熱部3の単位時間当たりの加熱量を変更する加熱量変更部33を更に有している。本開示における加熱部3の単位時間当たりの加熱量とは、調理容器5及び調理容器5の内容物に対して、加熱部3から単位時間当たりに与える熱量である。以下、加熱部3の単位時間当たりの加熱量を、単に加熱量という。
【0035】
本実施形態の加熱量変更部33は、上バーナー30の火力及び下バーナー31の火力を変更することで、加熱部3の加熱量を変更する。加熱量変更部33は、上バーナー用点火プラグ330、上バーナー用火力調節部331、下バーナー用点火プラグ332及び下バーナー用火力調節部333を有している。
【0036】
上バーナー30には、上バーナー30を点火するための上バーナー用点火プラグ330が設置されている。下バーナー31には、下バーナー31を点火するための下バーナー用点火プラグ332が設置されている。
【0037】
ガス供給路32から上バーナー30に燃料ガスが供給されている状態で、上バーナー用点火プラグ330が作動してスパークが生じることにより、上バーナー30は点火される。ガス供給路32から下バーナー31に燃料ガスが供給されている状態で、下バーナー用点火プラグ332が作動してスパークが生じることにより、下バーナー31は点火される。
【0038】
上バーナー用火力調節部331は、上バーナー用流路321に設けられた、電磁弁331a及び電磁弁331bを有している。上バーナー用流路321において、電磁弁331bは、電磁弁331aよりも下流側に設けられている。ガス供給路32は、上バーナー用流路321において、電磁弁331aよりも下流側でかつ電磁弁331bよりも上流側の箇所と、電磁弁331bよりも下流側の箇所とを接続するバイパス路323を更に有している。バイパス路323の一部は、上バーナー用流路321よりも流路断面積が小さい流路324である。
【0039】
上バーナー30の火力は、電磁弁331a及び電磁弁331bの各々を開閉することによって調節される。電磁弁331aが開き、かつ、電磁弁331bが開いた状態では、主流路320から上バーナー用流路321に供給された燃料ガスは、電磁弁331bと流路324との両者を通過して上バーナー30に供給される。この場合、上バーナー30の火力は、「強」になる。電磁弁331aが開き、かつ、電磁弁331bが閉じた状態では、主流路320から上バーナー用流路321に供給された燃料ガスは、電磁弁331b及び流路324のうちの流路324のみを通過して上バーナー30に供給される。この場合、上バーナー30に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁331bが開いた状態にあるときよりも少なくなり、上バーナー30の火力は、「弱」になる。電磁弁331aが閉じた状態では、上バーナー30には燃料ガスが供給されず、上バーナー30は消火状態となる。
【0040】
本実施形態の下バーナー用火力調節部333は、下バーナー用流路322に設けられた、電磁弁333a及び電磁弁333bを有している。下バーナー用流路322において、電磁弁333bは、電磁弁333aよりも下流側に設けられている。ガス供給路32は、下バーナー用流路322において、電磁弁333aよりも下流側でかつ電磁弁333bよりも上流側の箇所と、電磁弁333bよりも下流側の箇所とを接続するバイパス路345を更に有している。バイパス路345の一部は、下バーナー用流路322よりも流路断面積が小さい流路346である。
【0041】
下バーナー31の火力は、電磁弁333a及び電磁弁333bの各々を開閉することによって調節される。電磁弁333aが開き、かつ、電磁弁333bが開いた状態では、主流路320から下バーナー用流路322に供給された燃料ガスは、電磁弁333bと流路346との両者を通過して下バーナー31に供給される。この場合、下バーナー31の火力は、「強」になる。電磁弁333aが開き、かつ、電磁弁333bが閉じた状態では、主流路320から下バーナー用流路322に供給された燃料ガスは、電磁弁333b及び流路346のうちの流路346のみを通過して下バーナー31に供給される。この場合、下バーナー31に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁333bが開いた状態にあるときよりも少なくなり、下バーナー31の火力は、「弱」になる。電磁弁333aが閉じた状態では、下バーナー31には燃料ガスが供給されず、下バーナー31は消火状態となる。
【0042】
なお、上バーナー用火力調節部331は、電磁弁331a及び電磁弁331bに限られず、下バーナー用火力調節部333は、電磁弁333a及び電磁弁333bに限られない。例えば、上バーナー用火力調節部331は、上バーナー用流路321に設けられた流量制御弁等であってもよい。また、下バーナー用火力調節部333は、下バーナー用流路322に設けられた流量制御弁等であってもよい。
【0043】
加熱調理器1は、温度検知部310を更に備えている。温度検知部310は、加熱室2に配置された調理容器5(図3参照)の温度を検知する。本実施形態の温度検知部310は、平面視において下バーナー31の中央部に設置された温度センサーであり、加熱室2内の所定位置に配置された調理容器5の下方に位置している。
【0044】
加熱室2内の所定位置に調理容器5が配置されたとき、温度検知部310は、調理容器5の底部60(図2参照)の中央部の下面に接触する。これにより、調理容器5の底部60の温度が、温度検知部310によって検知可能になる。
【0045】
本実施形態の加熱調理器1は、利用者によって操作される操作部として、図1に示すグリル用操作部17を備えている。利用者は、グリル用操作部17を操作することにより、自動くん製運転の設定と実行、並びに自動グリル運転の設定と実行を行うことができる。
【0046】
自動くん製運転の設定では、いぶし加減、食材の種類、くん製材の種類又はこれらのうち2以上の組み合わせが設定される。自動くん製運転は、上述したように、くん製材、調理網7及び調理対象物90が収容された調理容器5(図2参照)が加熱室2に配置された状態で行われる。
【0047】
自動グリル運転の設定では、鶏、パン等の食材の種類の違い、切り身、姿焼き等の食材の状態の違い、調理方法、火加減等に応じて設定された複数の調理メニューの中から選択された任意の調理メニューが設定される。自動グリル運転は、食材が収容された調理容器5が加熱室2に配置された状態で行われる。
【0048】
図5に示すように、加熱調理器1は、制御部18を更に備えている。制御部18は、例えば、マイクロコンピューターで構成される。制御部18は、上バーナー用点火プラグ330、上バーナー用火力調節部331(電磁弁331a,331b)、下バーナー用点火プラグ332及び下バーナー用火力調節部333(電磁弁333a,333b)に、電気的に接続されている。制御部18は、温度検知部310及びグリル用操作部17にも、電気的に接続されている。
【0049】
制御部18は、グリル用操作部17が操作されて自動くん製運転の実行の指令がなされたとき、加熱部3を制御することにより、加熱室2内に配置された調理容器5、並びにこの調理容器5に配置された、くん製材及び食材を加熱する。自動くん製運転において、制御部18は、上述した自動くん製運転の設定において設定された事項(いぶし加減、食材の種類、くん製材の種類又はこれらのうち2以上の組み合わせ)及び温度検知部310の検知結果に基づき、加熱量変更部33を制御する。これにより、調理容器5及び調理容器5に配置されたくん製材並びに食材が、加熱部3によって加熱される。
【0050】
なお、本実施形態の自動くん製運転では、上バーナー30及び下バーナー31のうち、下バーナー31のみを点火状態とするが、上バーナー30及び下バーナー31の両者を点火状態にしてもよいし、上バーナー30のみを点火状態としてもよい。また、自動くん製運転において、上バーナー30及び下バーナー31の各々の点火状態と消火状態とが切り換えられてもよい。
【0051】
制御部18は、グリル用操作部17が操作されて自動グリル運転の実行の指令がなされたとき、加熱部3を制御することにより、加熱室2内に配置された調理容器5及びこの調理容器5に配置された調理対象物90を加熱する。自動グリル運転において、制御部18は、上述した自動グリル運転の設定において設定された調理メニュー及び温度検知部310の検知結果に基づき、加熱量変更部33を制御し、調理容器5及び調理容器5に配置された食材を加熱部3によって加熱する。
【0052】
(1.2)調理器具
次に調理器具4について詳述する。調理容器5は、図2に示す容器本体6を有している。容器本体6は、金属製であり、詳しくは、アルミニウム合金製である。容器本体6は、上方に開口した容器状に形成されている。容器本体6は、底部60と、底部60の周縁から上方に向かって突出した周壁部61とを有している。底部60は、上方から見て、長手方向が前後方向と平行な略長方形状で、かつ、水平面に沿って広がった板状に形成されている。底部60の上面は、水平な平面である。
【0053】
容器本体6の周壁部61は、上方から見て、長手方向が前後方向と平行となり、かつ、四隅が丸まった略長方形の枠状に形成されている。周壁部61は、下壁部613、段差部614及び上壁部615を有している。下壁部613は、底部60の周縁から上方に向かって突出している。下壁部613は、底部60の周縁の周方向の全長にわたっている。段差部614は、下壁部613の上縁から下壁部613の外側に向かって突出している。段差部614は、下壁部613の上縁の周方向の全長にわたっている。上壁部615は、段差部614の外周縁から上方に向かって突出している。上壁部615は、段差部614の外周縁の周方向の全長にわたっている。
【0054】
調理容器5は、図2に示す蓋50を有している。蓋50は、容器本体6に着脱可能に取り付けられ、容器本体6の上端部に形成された開口部616を閉塞する。蓋50は、金属製である。蓋50は、上方から見て、長手方向が前後方向と平行となり、かつ、四隅が丸まった略長方形状に形成されている。蓋50は、容器本体6の上壁部615の内側に配置され、蓋50の外周縁部が容器本体6の段差部614に載せられることで、容器本体6に対して着脱可能に取り付けられる。
【0055】
容器本体6の下壁部613は、前後方向に対向した一対の壁部611と、左右方向に対向した一対の壁部612とを有している。すなわち、前後方向を第1方向としたとき、一対の壁部611は、第1方向に対向している。また、底部60の上面に沿い、かつ、第1方向と直交した方向を第2方向としたとき、一対の壁部612は、第2方向において対向している。以下、一対の壁部611の各々を第1壁部611といい、一対の壁部612の各々を第2壁部612という。
【0056】
一対の第1壁部611のうちの前側の第1壁部611は、容器本体6の前壁部を構成し、後側の第1壁部611は、容器本体6の後壁部を構成している。一対の第2壁部612は、容器本体6の左右の側壁部をそれぞれ構成している。
【0057】
各第1壁部611は、図6に示す、直線部611a及び一対の湾曲部611bを有している。直線部611aは、上方から見て左右方向に直線状に延びている。一対の湾曲部611bは、第1壁部611の左右方向の両端部をそれぞれ構成しており、左右方向において離れている。直線部611aは、一対の湾曲部611bの間に位置している。各湾曲部611bの直線部611a側の端は、直線部611aにおける当該湾曲部611b側の端につながっている。各湾曲部611bにおける直線部611aとは反対側の端は、対応する第2壁部612の前後方向の一端につながっている。各湾曲部611bは、左右方向において容器本体6の外側に近い部分ほど(直線部611aから遠い部分ほど)、前後方向において容器本体6の外側とは反対側に位置するように(後述する調理網7の第1線状部711に近づくように)湾曲している。各第2壁部612は、上方から見て、前後方向に延びた直線状に形成されている。
【0058】
調理網7は、容器本体6の下壁部613の内側に位置した状態で、容器本体6の底部60上に設置される。図7に示すように、調理網7は金属製の複数の線材72,741から形成されている。調理網7は、載置部70を有している。載置部70は、調理対象物90を支持する部分である。図2に示すように、調理網7が容器本体6に設置された状態において、載置部70は容器本体6の底部60の上面から上方に離れて位置し、かつ、底部60の上面に沿って略平行となる。図7に示すように、載置部70は、枠部71と、網部74とを有している。枠部71は、載置部70の外周縁を構成している。枠部71は、上方から見て長手方向が前後方向と平行な略長方形の枠状に形成されている。
【0059】
枠部71は、一つの線材から形成されている。枠部71は、例えば、一つの線材を枠状に曲げ、この線材の両端部同士を溶接によって接続することで形成される。枠部71を構成する一つの線材の長手方向に直交する断面形状は、円形である。なお、枠部71の全体形状及び断面形状は、本実施形態の形状に限定されない。また、枠部71は、枠状に連続するようにつながった複数の線材であってもよい。
【0060】
枠部71は、前後一対の線状部711と、左右一対の線状部712とを有している。以下、前後一対の線状部の各々を第1線状部711といい、左右一対の線状部の各々を第2線状部712という。一対の第1線状部711は、前後方向において対向しており、長方形枠状の枠部71における前後一対の辺をそれぞれ構成している。一対の第2線状部712は、左右方向において対向しており、長方形枠状の枠部71における左右一対の辺をそれぞれ構成している。
【0061】
図6に示すように、前後一対の第1線状部711は、調理網7が容器本体6に設置された状態において、容器本体6の前後一対の第1壁部611にそれぞれ対向する。すなわち、容器本体6の各第1壁部611は、第1線状部711に対向する対向壁部を構成している。左右一対の第2線状部712は、調理網7が容器本体6に設置された状態において、容器本体6の左右一対の第2壁部612にそれぞれ対向する。
【0062】
各第1線状部711は、直線部分711aと、一対の曲線部分712bとを有している。直線部分711aは、第1線状部711の長さ方向の中間部を構成している。直線部分711aは、左右方向に延びた直線状に形成されている。
【0063】
一対の曲線部分712bは、第1線状部711の両端部をそれぞれ構成しており、左右方向において離れている。直線部分711aは、一対の曲線部分712bの間に位置している。各曲線部分712bの直線部分711a側の端は、直線部分711aにおける当該曲線部分712b側の端につながっている。各曲線部分712bの直線部分711aとは反対側の端は、対応する第2線状部712の前後方向の一端につながっている。各曲線部分712bは、左右方向において枠部71の外側に近い部分(直線部分711aから遠い部分)ほど、前後方向において対応する第1壁部611から離れるように(枠部71の外側とは反対側に位置するように)弧状に湾曲している。各曲線部分712bは、上方から見て、その曲率が容器本体6の対応する湾曲部611bの曲率よりも大きい弧状となるように形成されている。各第2線状部712は、前後方向に延びた直線状に形成されている。
【0064】
調理網7は、各曲線部分712bにおける左右方向の外側の端部が、容器本体6の対応する湾曲部611bにおける左右方向の外側の端部の内面に接触することにより、前後方向の移動が規制される。すなわち、容器本体6の複数の湾曲部611bは、調理網7を前後方向において位置決めする位置決部62を構成している。このように、調理網7が調理容器5の位置決部62によって位置決めされたとき、前側の第1線状部711と、前側の第1壁部611との間には、隙間51が形成され、かつ、後側の第1線状部711と後側の第1壁部611との間に隙間52が形成される。調理網7は、各第2線状部712が、容器本体6の対応する第2壁部612に接触することにより、左右方向の移動が規制される。すなわち、調理容器5の一対の第2壁部612は、調理網7を左右方向において位置決めする位置決部63を構成している。
【0065】
図7に示すように、調理網7の枠部71には、網部74が接続されている。網部74の大部分は、上方から見て枠部71の内側に位置している。網部74は、前後方向において間隔をあけて並んだ複数の線材741を有している。以下、複数の線材の各々を第1線材741という。
【0066】
各第1線材741は、左右方向に延びた直線状に形成されており、互いに平行である。各第1線材741は、形状及び大きさが互いに同じである。各第1線材741の長手方向に直交する断面形状は、円形である。各第1線材741は、枠部71を構成する線材よりも細い。なお、各第1線材741の全体形状及び断面形状は、本実施形態の形状に限定されない。
【0067】
各第1線材741の長さ方向の両端部は、左右方向と平行な線状に形成されている。各第1線材741の長さ方向の両端部は、枠部71の一対の第2線状部712の下面にそれぞれ接続されている。これにより、枠部71及び複数の第1線材741は、容器本体6の底部60の上面に沿った仮想平面上に位置している。各第1線材741の長さ方向の両端部は、溶接により、一対の第2線状部712にそれぞれ接続されている。なお、各第1線材741を枠部71に接続する手段は溶接に限られない。
【0068】
複数の第1線材741は、前後方向において一定の間隔をあけて並んでいる。隣り合う第1線材741の前後方向の間隔は、第1距離L1(図6参照)である。すなわち、複数の第1線材741は、調理容器5の底部60の上面に沿った一方向である前後方向において、第1距離L1をあけて並んでいる。利用者は、くん製調理を行うにあたって、図8に示すように、チーズ等の調理対象物90を、複数の第1線材741に載せることができる。くん製調理においてくん製材から発した煙は、隣り合う第1線材741の間に形成された隙間742を通過することができる。このため、複数の第1線材741によって下方から支持された調理対象物90には、くん製材から発した煙が当たりやすい。
【0069】
図6に示すように、複数の第1線材741は、複数の第1線材741の前後方向の両端にそれぞれ位置する一対の第1線材741aを有している。以下、これら一対の第1線材741aの各々を、端部線材741aという。一対の端部線材741aのうちの前側の端部線材741aは、枠部71の一対の第1線状部711のうちの前側の第1線状部711に対応している。一対の端部線材741aのうちの後側の端部線材741aは、枠部71の一対の第1線状部711のうちの後側の第1線状部711に対応している。図8に示すように、利用者は、くん製調理を行うにあたって、ゆで卵等の調理対象物90を端部線材741aと対応する第1線状部711とで支持させて保持させることができる。
【0070】
図6に示すように、各端部線材741aと、対応する第1線状部711とは、前後方向において、第1距離L1よりも大きい第2距離L2をあけて位置している。このため、図8に示すように、各端部線材741aと、対応する第1線状部711との間には、隣り合う第1線材741の間に形成される隙間742よりも、前後方向の寸法が大きい隙間743が形成されている。くん製調理を行っている時において、くん製材から発した煙は、隙間743を通過することができる。このため、くん製材から発した煙は、端部線材741a及び第1線状部711によって支持された調理対象物90に当たりやすい。
【0071】
図7に示すように、調理網7は、脚部720及び支持部721を更に有している。調理網7は、載置部70を構成する複数の線材741とは別に、一対の線材72を更に有しており、各線材72に脚部720及び支持部721が形成されている。以下、一対の線材72の各々を第2線材72という。
【0072】
一対の第2線材72のうちの一方の第2線材72は、上方から見て、前側の第1線状部711と前側の端部線材741aとの間に位置し、他方の第2線材72は、上方から見て、後側の第1線状部711と後側の端部線材741aとの間に位置している。すなわち、各第2線材72は、前後方向において、第1線状部711と端部線材741aとの間に位置している。各第2線材72は、形状及び大きさが互いに同じである。各第2線材72の長手方向と直交する断面形状は、円形である。また、各第2線材72の太さは、第1線材741の太さと同じである。なお、各第2線材72の太さ及び長手方向と直交する断面形状は、本実施形態の形状に限定されない。
【0073】
図9に示すように、各第2線材72の長さ方向の両端部は、枠部71の一対の第2線状部712の下面にそれぞれ接続されている。各第2線材72の両端部は、溶接により、一対の第2線状部712にそれぞれ接続されている。なお、各第2線材72を枠部71に接続する手段は溶接に限られない。
【0074】
各第2線材72は、上方から見て左右方向に直線状に延びている(図6参照)。ただし、各第2線材72は、前後方向に見て、曲がっている。各第2線材72は、一対の脚部720を有しており、調理網7は、合計四つの脚部720を有している。各第2線材72の一対の脚部720は、当該第2線材72の長さ方向の両側部分にそれぞれ形成されており、左右方向に離れて位置している。各脚部720は、左右方向に延びた直線状に形成されている。各脚部720は、上方から見て、外形が略長方形状となった載置部70の隅部に対応する箇所に位置している(図7参照)。各脚部720は、第2線材72において最も下方に位置している。
【0075】
図8に示すように、調理網7が容器本体6に設置された状態において、各脚部720の下端は、容器本体6の底部60の上面に接触する。これにより、調理網7は、容器本体6の底部60により下方から支持される。各脚部720の下端は、当該脚部720の長さ方向の全長に亘って底部60の上面に接触する。つまり、各脚部720は、容器本体6の底部60の上面に線接触する。調理網7が容器本体6に設置された状態において、調理網7の自重、調理対象物90の重さ等によって脚部720から底部60に加わる圧力は、脚部720が底部60の上面に点接触する場合と比較して小さい。このため、例えば、調理網7が容器本体6に対してわずかに移動する等して脚部720と底部60の上面とが擦れたとしても、利用者にとって不快になる音が生じ難い。なお、この効果は、脚部720が直線状であれば奏することができる。このため、脚部720は、例えば、上方から見て、左右方向に対して傾斜した方向に延びた直線状に形成されてもよい。また、調理網7は、脚部720を有さなくてもよい。この場合、調理網7は、例えば、枠部71が容器本体6の段差部614に載せられることで、容器本体6に設置される。
【0076】
図9に示すように、各第2線材72は、支持部721を更に有している。このように本実施形態では、支持部721と脚部720とが一つの第2線材72に形成されるため、支持部721と脚部720とが異なる線材に形成される場合と比較して、調理網7が有する線材の本数を少なくすることができる。支持部721は、第2線材72の長さ方向の中間部に形成されており、左右方向において一対の脚部720の間に位置している。
【0077】
支持部721は、左右方向に延びた直線状に形成されている。支持部721は、脚部720よりも上方に位置し、かつ、第1線材741よりも下方に位置している。図8に示すように、利用者は、第1線状部711と端部線材741aとで支持された調理対象物90を、当該第1線状部711及び当該端部線材741aに対応する支持部721によって下方から支持されるように配置することができる。図6に示すように、支持部721は、上方から見て、対応する第1線状部711と対応する端部線材741aとの間の中心から、端部線材741a側に外れて位置している。
【0078】
各第2線材72は、図9に示すように、一対の脚部720のうちの左側の脚部720に対応する一対の接続部722と、一対の脚部720のうちの右側の脚部720に対応する一対の接続部723とを更に有している。一対の接続部722のうちの一方の接続部722は、対応する脚部720の左端から左斜め上方に向かって突出してその先端が第2線材72の左端部につながり、他方の接続部722は、対応する脚部720の右端から右斜め上方に向かって突出してその先端が支持部721の左端につながっている。一対の接続部723のうちの一方の接続部723は、対応する脚部720の右端から右斜め上方に向かって突出してその先端が第2線材72の右端部につながり、他方の接続部723は、対応する脚部720の左端から左斜め上方に向かって突出してその先端が支持部721の右端につながっている。
【0079】
利用者は、例えば、図2及び図8に示すように調理網7に複数の調理対象物90を載せることができる。図2及び図8に示す例では、調理対象物90であるチーズが複数の第1線材741によって支持されており、他の調理対象物90である、ゆで卵が、端部線材741a、第1線状部711及び支持部721によって支持されている。
【0080】
調理対象物90を端部線材741a及び第1線状部711が支持する場合、利用者は、調理対象物90の一部が、端部線材741aと対応する第1線状部711との間に形成された隙間743から下方に突出するように調理対象物90を配置することができる。このため、サイズの大きなゆで卵等の調理対象物90を、くん製調理において加熱される蓋50に接触しないように調理網7に載せることができる。この場合、くん製調理を行っている時には、端部線材741aと第1線状部711とで支持された調理対象物90には、蓋50の熱が伝わり難い。このため、当該調理対象物90が蓋50の熱によって高温に加熱されて部分的に変色したり、焦げたりすることが抑制される。
【0081】
また、第1線状部711と端部線材741aとで支持された調理対象物90が、支持部721によって下方から支持されることで、当該調理対象物90は容器本体6の底部60に接触し難くなる。この場合、くん製調理において、当該調理対象物90が、容器本体6の底部60に接触して高温に加熱されて部分的に変色したり、焦げたりすることが抑制される。殊に支持部721の下端は、脚部720の下端よりも上方に位置し、容器本体6の底部60から上方に離れて位置する。このため、支持部721には容器本体6の底部60の熱が伝わり難い。したがって、支持部721で支持された調理対象物90は、高温に加熱され難い。なお、調理対象物90は、第1線状部711及び端部線材741aのみで支持されてもよい。また、調理網7は、支持部721を有さなくてもよい。
【0082】
また、調理網7は、上述したように、調理容器5の位置決部62によって前後方向において位置決めされることで、図6に示すように、各第1線状部711と対応する第1壁部611との間に隙間51,52が形成される。このため、図8に示すように、第1線状部711及び端部線材741aで支持された調理対象物90は、容器本体6の第1壁部611に接触し難くなる。したがって、くん製調理を行っている時において、端部線材741aと第1線状部711とで支持された調理対象物90が、容器本体6の第1壁部611に接触して高温に加熱されて部分的に変色したり、焦げたりすることが抑制される。なお、容器本体6は、調理網7を隙間51,52が形成されるように位置決めする機能を有さなくてもよい。
【0083】
また、調理網7が調理容器5に設置され、かつ、調理容器5が加熱室2内の所定位置に配置された状態において、下バーナー31(図3参照)は、上方から見て一対の端部線材741aの間に位置し、各端部線材741aは前後方向において下バーナー31から外れて位置する。このため、端部線材741aと第1線状部711とで支持された調理対象物90に対して、下バーナー31で発生した炎の熱が伝わり難くなる。したがって、上述のように調理対象物90の一部が端部線材741aと第1線状部711との間から下方に突出して調理容器5の底部60に近い位置に配置されたとしても、当該調理対象物90が必要以上に加熱されることが抑制される。なお、本実施形態では、図6に示すように、端部線材741aに対して第2距離L2をあけて位置する線状部711が、枠部71を構成する線材の一部であるが、枠部71を構成する線材以外の線材が有していてもよい。例えば、第1線材741と第2距離L2をあけて位置する線状部711は、端部線材741a以外の第1線材741であってもよい。
【0084】
図6に示すように、支持部721は、上方から見て、対応する第1線状部711と対応する端部線材741aとの間の中心から対応する端部線材741a側に外れて位置している。このため、図8に示すように、調理対象物90が、第1線状部711、端部線材741a及び支持部721で支持された状態において、調理対象物90の位置、向き等が安定する。このため、調理対象物90が適切に調理されやすくなる。
【0085】
また、利用者は、調理対象物90のサイズ、形状等に応じて、調理対象物90を以下に示すように調理網7上に載せることができる。例えば、利用者は、調理対象物90を、第1線状部711に接触しない状態で、支持部721と端部線材741aとで支持するように配置することができる。また、利用者は、調理対象物90を、端部線材741aに接触しない状態で、支持部721と第1線状部711とで支持するように配置することができる。したがって、サイズ、形状等が異なる調理対象物90を調理網7に安定した状態で載せることが可能になる。
【0086】
なお、支持部721は、上方から見て、対応する第1線状部711と対応する端部線材741aとの間の中心から、対応する第1線状部711側に外れて位置してもよい。また、支持部721は、前後方向において、対応する第1線状部711と対応する端部線材741aとの間の中心に位置してもよい。また、各第2線材72の形状、調理網7が有する第2線材72の数、各第2線材72に形成される脚部720及び支持部721の数等は、本実施形態に限定されない。
【0087】
(2)変形例
次に上述した実施形態の変形例について説明する。なお、以下の各変形例の説明では、上記実施形態と異なる事項について説明し、共通する事項については説明を省略する。
【0088】
(2-1)変形例1
図10に示す変形例1の調理網7では、各第2線材72に脚部720が形成されておらず、第2線材72とは別の線材73に脚部720が形成されている。
【0089】
各第2線材72の支持部721は、上記実施形態の支持部721よりも長い。各第2線材72は、上記実施形態の一対の接続部722及び一対の接続部723に代わって、一対の接続部724を有している。一対の接続部724のうちの一方の接続部724は、支持部721の左端から左斜め上方に向かって突出してその先端が第2線材72の左端部につながっている。一対の接続部724のうちの他方の接続部724は、支持部721の右端から右斜め上方に向かって突出してその先端が第2線材72の右端部につながっている。
【0090】
本変形例の調理網7は、一対の第3線材73を更に有している。一対の第3線材73のうちの一方の第3線材73は、上方から見て、前側の端部線材741aと、この端部線材741aと隣り合う第1線材741との間に位置している。また、他方の第3線材73は、上方から見て、後側の端部線材741aと、この端部線材741aと隣り合う第1線材741との間に位置している。すなわち、各第3線材73は、前後方向において、端部線材741aとこの端部線材741aと隣り合う第1線材741との間に位置している。各第3線材73は、上方から見て左右方向に直線状に延びている。ただし、各第3線材73は、前後方向に見て、曲がっている。各第3線材73は、形状及び大きさが互いに同じである。各第3線材73の長手方向と直交する断面形状は、円形である。また、各第3線材73の太さは、第1線材741の太さと同じである。なお、各第3線材73の断面形状及び太さは、本変形例の形状に限定されない。
【0091】
各第3線材73の長さ方向の両端部は、左右方向と平行な線状に形成されている。各第3線材73の長さ方向の両端部は、枠部71の一対の第2線状部712の下面にそれぞれ接続されている。各第3線材73の両端部は、溶接により、一対の第2線状部712にそれぞれ接続されている。なお、各第3線材73を枠部71に接続する手段は溶接に限られない。
【0092】
各第3線材73は、脚部720と、一対の接続部730とを有している。各第3線材73は、脚部720を一つだけ有しており、調理網7は、合計二つの脚部720を有している。脚部720は、第3線材73の長さ方向の中間部に形成されている。脚部720は、左右方向に延びた直線状に形成されている。脚部720は、支持部721よりも下方に位置している。
【0093】
一対の接続部730のうちの一方の接続部730は、脚部720の左端から左斜め上方に向かって突出してその先端が第3線材73の左端部につながっている。一対の接続部730のうちの他方の接続部730は、脚部720の右端から右斜め上方に向かって突出してその先端が第3線材73の右端部につながっている。各脚部720の下端は、上記実施形態の脚部720と同様、脚部720の長さ方向の全長に亘って容器本体6の底部60の上面に接触する。つまり、各脚部720は、容器本体6の底部60の上面に線接触する。
【0094】
本変形例の調理網7では、支持部721が形成された第2線材72とは別の線材である第3線材73に脚部720が形成されている。このため、支持部721と脚部720とが一つの線材に形成される場合と比較して、支持部721を長くすることができ、調理対象物90を支持部721で支持できる範囲が広くなる。
【0095】
(2-2)変形例2
図11に示す変形例2の調理網7では、各第1線材741及び各第2線材72が、上方から見て、前後方向に延びた直線状である。
【0096】
複数の第1線材741は、左右方向において第1距離L1をあけて並んでいる。各第1線材741は、前後方向に延びた直線状に形成されている。各第1線材741の長さ方向の両端部は、枠部71の一対の第1線状部711の下面にそれぞれ接続されている。各第1線材741の両端部は、溶接により、一対の第1線状部711にそれぞれ接続されている。なお、各第1線材741を枠部71に接続する手段は溶接に限られない。
【0097】
一対の端部線材741aは、複数の第1線材741において左右方向の両端にそれぞれ位置している。一対の第2線材72のうちの一方の第2線材72は、上方から見て、左側の第2線状部712と左側の端部線材741aとの間に位置し、他方の第2線材72は、上方から見て、右側の第2線状部712と右側の端部線材741aとの間に位置している。すなわち、各第2線材72は、左右方向において、第2線状部712と端部線材741aとの間に位置している。
【0098】
各第2線材72の長さ方向の両端部は、枠部71の一対の第1線状部711の下面にそれぞれ接続されている。各第2線材72の長さ方向の両端部は、溶接により、一対の第1線状部711にそれぞれ接続されている。なお、各第2線材72を枠部71に接続する手段は溶接に限られない。
【0099】
各第2線材72は、上方から見て、前後方向に延びている。ただし、各第2線材72は、左右方向に見て、曲がっている。各第2線材72の一対の脚部720は、前後方向に間隔をあけて位置している。各脚部720は、前後方向に延びた直線状に形成されている。各第2線材72の支持部721は、前後方向において一対の脚部720の間に位置している。
【0100】
支持部721は、前後方向に延びた直線状に形成されている。支持部721は、上方から見て、対応する第2線状部712と対応する端部線材741aとの間の中心から、対応する端部線材741a側に外れて位置している。なお、支持部721は、上方から見て、対応する第2線状部712と対応する端部線材741aとの間の中心から、対応する第2線状部712側に外れて位置してもよいし、対応する第2線状部712と対応する端部線材741aとの間の中心に位置してもよい。
【0101】
本変形例の各第2線材72は、上方から見て、前後方向に延びている。このため、調理網7が調理容器5に対して前後方向に移動して脚部720と底部60の上面とが擦れたとしても、各第2線材72は長さ方向と交差する方向に振動し難い。したがって、例えば、利用者が調理容器5を前後方向に移動して加熱室2(図3参照)から出し入れしたときに、脚部720が容器本体6の底部60に対して前後方向に移動して擦れたとしても、利用者にとって不快な音が生じ難い。
【0102】
(3)態様
以上説明した実施形態及び各変形例から明らかなように、第1の態様の調理器具(4)は、以下に示す構成を有する。調理器具(4)は、調理容器(5)と調理網(7)とを備えている。調理網(7)は、調理容器(5)内に設置される。調理網(7)は、線材(第2線材72)を有している。線材(72)は、脚部(720)を有している。脚部(720)は、調理容器(5)の底部(60)に接する。脚部(720)は、底部(60)の上面に沿って直線状に延びている。
【0103】
この態様によれば、脚部(720)が直線状であるため、脚部(720)から調理容器(5)の底部(60)に加わる圧力を抑えることができる。このため、脚部(720)が底部(60)の上面と擦れたとしても、不快な音が生じ難い。
【0104】
第2の態様の加熱調理器(1)は、以下に示す構成を有する。加熱調理器(1)は、第1の態様の調理器具(4)と、加熱室(2)と、加熱部(3)とを備えている。加熱室(2)は、調理器具(4)を収容可能である。加熱部(3)は、加熱室(2)に収容された調理器具(4)を加熱する。調理器具(4)は、前後方向に移動することで加熱室(2)に対して出入可能である。脚部(720)は、底部(60)の上面に沿って前後方向と交差する方向に直線状に延びている。
【0105】
この態様によれば、調理器具(4)が加熱室(2)に出し入れされる際に前後方向に移動した時に、脚部(720)が調理容器(5)の底部(60)の上面に対して移動して擦れたとしても、不快な音が生じ難い。
【0106】
第3の態様の加熱調理器(1)は、以下に示す構成を有する。加熱調理器(1)は、調理器具(4)、加熱室(2)及び加熱部(3)を備えている。加熱室(2)は、調理器具(4)を収容可能である。加熱部(3)は、加熱室(2)に収容された調理器具(4)を加熱する。調理器具(4)は、前後方向において移動することで加熱室(2)に対して出入可能である。調理器具(4)は、調理容器(5)と、調理網(7)とを有している。調理網(7)は、調理容器(5)内に設置される。調理網(7)は、線材(第2線材72)を有している。線材(72)は、上方から見て、前後方向に延びている。線材(72)は、脚部(720)を有している。脚部(720)は、調理容器(5)の底部(60)に接する。
【0107】
この態様によれば、調理網(7)が調理容器(5)に対して前後方向に移動して脚部(720)が底部(60)の上面と擦れたとしても、脚部(720)を有する線材(72)が、前後方向と交差する方向に振動し難い。このため、利用者が調理容器(5)を前後方向に移動して加熱室(22)から出し入れしたときに、脚部(720)が調理容器(5)の底部(60)に対して前後方向に移動して擦れたとしても、利用者にとって不快な音が生じ難い。
【0108】
第4の態様の調理網(7)は、以下に示す構成を有する。調理網(7)は、調理容器(5)内に設置される。調理網(7)は、線材(第2線材72)を有している。線材(72)は、脚部(720)を有している。脚部(720)は、調理容器(5)の底部(60)に接する。脚部(720)は、底部(60)の上面に沿って直線状に延びている。
【0109】
この態様によれば、脚部(720)が直線状であるため、脚部(720)から調理容器(5)の底部(60)に加わる圧力を抑えることができる。このため、脚部(720)が底部(60)の上面と擦れたとしても、不快な音が生じ難い。
【符号の説明】
【0110】
1 加熱調理器
2 加熱室
3 加熱部
4 調理器具
5 調理容器
60 底部
7 調理網
72 第2線材
720 脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11