(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】半導体レーザ駆動装置、および、電子機器
(51)【国際特許分類】
H01S 5/024 20060101AFI20230927BHJP
H01S 5/02315 20210101ALI20230927BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20230927BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230927BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20230927BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230927BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230927BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H01S5/024
H01S5/02315
H01S5/026 650
H05K1/02 Q
H05K1/18 S
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H05K3/46 U
H01L23/12 J
H01L23/12 301L
H01L23/36 C
(21)【出願番号】P 2019144174
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 清久
(72)【発明者】
【氏名】安川 浩永
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真行
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0278011(US,A1)
【文献】特開2019-041201(JP,A)
【文献】特開2001-339077(JP,A)
【文献】特開2012-227514(JP,A)
【文献】特開2002-232062(JP,A)
【文献】特開2018-129417(JP,A)
【文献】特開2016-122701(JP,A)
【文献】特開2010-087498(JP,A)
【文献】特開2015-092524(JP,A)
【文献】GOLDFARB,M.E. et al.,“Modeling via hole grounds in microstrip”,IEEE Microwave and Guided Wave Letters,1991年06月,Vol. 1, No. 6,p.135-137,DOI: 10.1109/75.91090
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/64
H05K 1/00 - 1/18
H05K 3/46
H01L 23/12 - 23/15
H01L 23/36 - 23/373
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザドライバを内蔵する基板と、
前記基板の一方の面に実装された半導体レーザと、
前記レーザドライバと前記半導体レーザとを0.5ナノヘンリー以下の配線インダクタンスにより電気接続する接続配線と、
前記レーザドライバと前記基板の他方の面との間に設けられて前記レーザドライバで生じた熱を前記他方の面へ放出する
複数のドライバ側サーマルビアと
を具備し、
前記他方の面において外部との接続端子をさらに具備し、
前記
複数のドライバ側サーマルビアの
それぞれの一端は、前記接続端子に接続され、
前記レーザドライバの所定平面に形成された金属膜をさらに具備し、
前記
複数のドライバ側サーマルビアの
それぞれの他端は、前記金属膜に
共通に接続される
半導体レーザ駆動装置。
【請求項2】
前記接続端子は、半田ボール、銅コアボール、銅ピラーバンプ、および、ランドグリッドアレイの少なくとも何れか1つにより形成される
請求項1記載の半導体レーザ駆動装置。
【請求項3】
前記接続配線は、0.5ミリメートル以下の長さを備える
請求項1記載の半導体レーザ駆動装置。
【請求項4】
前記接続配線は、前記基板に設けられる接続ビアを介する
請求項1記載の半導体レーザ駆動装置。
【請求項5】
前記半導体レーザは、その一部が前記レーザドライバの上方に重ねて配置される
請求項1記載の半導体レーザ駆動装置。
【請求項6】
前記半導体レーザは、その面積の50%以下の部分が前記レーザドライバの上方に重ねて配置される
請求項5記載の半導体レーザ駆動装置。
【請求項7】
前記基板は、前記半導体レーザが実装された位置においてレーザ側サーマルビアを備える
請求項1記載の半導体レーザ駆動装置。
【請求項8】
前記基板の前記一方の面において前記半導体レーザを含む領域を囲う外壁と、
前記外壁に囲まれた領域の上方を覆う拡散板と
をさらに具備する請求項1記載の半導体レーザ駆動装置。
【請求項9】
前記基板の前記一方の面に実装されて前記半導体レーザから照射されたレーザ光の光強度を監視するフォトダイオードをさらに具備する請求項1記載の半導体レーザ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体レーザ駆動装置に関する。詳しくは、レーザドライバを基板に内蔵した半導体レーザ駆動装置、および、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測距機能を持つ電子装置において、ToF(Time of Flight)と呼ばれる測距方式がよく用いられている。このToFは、発光部がサイン波や矩形波の照射光を物体に照射し、その物体からの反射光を受光部が受光して、測距演算部が照射光と反射光との位相差から距離を測定する方式である。そのような測距機能を実現するため、発光素子と、その発光素子を駆動する電子半導体チップとをケース内に収容して一体化した光モジュールが知られている。例えば、基板の電極パターン上に整列して実装されたレーザーダイオードアレイと、レーザーダイオードアレイに電気的に接続されたレーザドライバとを備える光モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、レーザーダイオードアレイとレーザドライバとを光モジュールとして一体化して構成している。しかしながら、この従来技術では、レーザドライバが基板に内蔵されている。このため、基板の放熱性能が低い場合、レーザドライバで生じた熱を基板が放熱しきれず、その熱がレーザダイオードに伝導してレーザダイオードの発光特性を低下させてしまう、という問題がある。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、レーザドライバを設けた半導体レーザ駆動装置において、放熱性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、レーザドライバを内蔵する基板と、上記基板の一方の面に実装された半導体レーザと、上記レーザドライバと上記半導体レーザとを0.5ナノヘンリー以下の配線インダクタンスにより電気接続する接続配線と、上記レーザドライバと上記基板の他方の面との間に設けられて上記レーザドライバで生じた熱を上記他方の面へ放出するドライバ側サーマルビアとを具備する半導体レーザ駆動装置である。これにより、レーザドライバで生じた熱がドライバ側サーマルビアにより放出されるという作用をもたらす。
【0007】
また、この第1の側面において、上記基板の上記一方の面とは反対の面において外部との接続端子をさらに具備し、上記ドライバ側サーマルビアの一端は、上記接続端子に接続されてもよい。これにより、レーザドライバで生じた熱が接続端子へ放出されるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記基板は、絶縁層および導体を含み、上記導体と上記レーザドライバとの間には上記絶縁層が配置され、上記ドライバ側サーマルビアの他端は、上記導体に接続されてもよい。これにより、レーザドライバで生じた熱が導体およびドライバ側サーマルビアにより放出されるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記レーザドライバの所定平面に形成された金属膜をさらに具備し、上記ドライバ側サーマルビアの他端は、上記金属膜に接続されてもよい。これにより、レーザドライバで生じた熱が、金属膜およびドライバ側サーマルビアにより放出されるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記接続端子は、半田ボール、銅コアボール、銅ピラーバンプ、および、ランドグリッドアレイの少なくとも何れか1つにより形成されてもよい。
【0011】
また、この第1の側面において、上記接続配線は、0.5ミリメートル以下の長さを備えることが望ましい。また、上記接続配線は、0.3ミリメートル以下であることがより好ましい。
【0012】
また、この第1の側面において、上記接続配線は、上記基板に設けられる接続ビアを介してもよい。これにより、配線長を短くするという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記半導体レーザは、その一部が上記レーザドライバの上方に重ねて配置されるようにしてもよい。この場合において、上記半導体レーザは、その面積の50%以下の部分が上記レーザドライバの上方に重ねて配置されるようにしてもよい。
【0014】
また、この第1の側面において、上記基板は、上記半導体レーザが実装された位置においてレーザ側サーマルビアを備えるようにしてもよい。これにより、放熱を促進するという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記基板の上記一方の面において上記半導体レーザを含む領域を囲う外壁と、上記外壁に囲まれた領域の上方を覆う拡散板とをさらに具備してもよい。
【0016】
また、この第1の側面において、上記基板の上記一方の面に実装されて上記半導体レーザから照射されたレーザ光の光強度を監視するフォトダイオードをさらに具備してもよい。これにより、半導体レーザの出力を一定に維持するという作用をもたらす。
【0017】
また、本技術の第2の側面は、レーザドライバを内蔵する基板と、上記基板の一方の面に実装された半導体レーザと、上記レーザドライバと上記半導体レーザとを0.5ナノヘンリー以下の配線インダクタンスにより電気接続する接続配線と、上記レーザドライバと上記基板の他方の面との間に設けられて上記レーザドライバで生じた熱を上記他方の面へ放出するドライバ側サーマルビアとを具備する電子機器である。これにより、レーザドライバで生じた熱がドライバ側サーマルビアにより放出されるという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本技術の実施の形態における半導体レーザ駆動装置10の上面図の一例を示す図である。
【
図2】本技術の実施の形態におけるY軸に沿って切断した際の半導体レーザ駆動装置10の断面図の一例を示す図である。
【
図3】本技術の実施の形態における半導体レーザ駆動装置10の下面図の一例である。
【
図4】本技術の実施の形態におけるX軸に沿って切断した際の半導体レーザ駆動装置10の断面図の一例を示す図である。
【
図5】本技術の実施の形態におけるレーザドライバ200と半導体レーザ300とのオーバラップ量の定義を示す図である。
【
図6】アディティブ法により配線パターンを形成した場合の、配線長Lおよび配線幅Wに対する配線インダクタンスの数値例を示す図である。
【
図7】サブトラクティブ法により配線パターンを形成した場合の、配線長Lおよび配線幅Wに対する配線インダクタンスの数値例を示す図である。
【
図8】本技術の実施の形態のレーザドライバ200の製造過程において銅ランドおよび銅配線層(RDL)を加工する工程の一例を示す第1の図である。
【
図9】本技術の実施の形態のレーザドライバ200の製造過程において銅ランドおよび銅配線層(RDL)を加工する工程の一例を示す第2の図である。
【
図10】本技術の実施の形態における基板100の製造工程の一例を示す第1の図である。
【
図11】本技術の実施の形態における基板100の製造工程の一例を示す第2の図である。
【
図12】本技術の実施の形態における基板100の製造工程の一例を示す第3の図である。
【
図13】本技術の実施の形態における基板100の製造工程の一例を示す第4の図である。
【
図14】本技術の実施の形態における基板100の製造工程の一例を示す第5の図である。
【
図15】本技術の実施の形態の変形例におけるY軸に沿って切断した際の半導体レーザ駆動装置10の断面図の一例を示す図である。
【
図16】本技術の実施の形態の適用例である電子機器800のシステム構成例を示す図である。
【
図17】本技術の実施の形態の適用例である電子機器800の外観構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.実施の形態(半導体レーザ駆動装置)
2.適用例(電子機器)
【0020】
<1.実施の形態>
[半導体レーザ駆動装置]
図1は、本技術の実施の形態における半導体レーザ駆動装置10の上面図の一例を示す図である。
【0021】
この半導体レーザ駆動装置10は、ToFによる距離の測定を想定したものである。ToFは、ストラクチャードライトほどではないものの奥行き精度が高く、また、暗い環境下でも問題なく動作可能という特徴を有する。他にも、装置構成の単純さや、コストなどにおいて、ストラクチャードライトやステレオカメラなどの他の方式と比べてメリットが多いと考えられる。
【0022】
この半導体レーザ駆動装置10では、レーザドライバ200を内蔵する基板100の表面に、半導体レーザ300、フォトダイオード400および受動部品500がワイヤボンディングにより電気接続されて実装される。基板100としては、プリント配線板が想定される。
【0023】
半導体レーザ300は、化合物半導体のPN接合に電流を流すことにより、レーザ光を放射する半導体デバイスである。ここで、利用される化合物半導体としては、例えば、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)、インジウムガリウム砒素リン(InGaAsP)、アルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)、ガリウムナイトライド(GaN)などが想定される。
【0024】
レーザドライバ200は、半導体レーザ300を駆動するためのドライバ集積回路(IC:Integrated Circuit)である。このレーザドライバ200は、フェイスアップ状態で基板100に内蔵される。半導体レーザ300との間の電気接続については、配線インダクタンスを低減させる必要があるため、出来る限り短い配線長とすることが望ましい。この具体的数値については後述する。
【0025】
フォトダイオード400は、光を検出するためのダイオードである。このフォトダイオード400は、半導体レーザ300の光強度を監視して、半導体レーザ300の出力を一定に維持するためのAPC制御(Automatic Power Control)に用いられる。
【0026】
受動部品500は、コンデンサおよび抵抗などの能動素子以外の回路部品である。この受動部品500には、半導体レーザ300を駆動するためのデカップリングコンデンサが含まれる。
【0027】
以下、基板100に垂直な軸を「Z軸」とする。また、基板100に平行な所定の軸を「X軸」とし、X軸およびZ軸に垂直な軸を「Y軸」とする。
【0028】
図2は、本技術の実施の形態におけるY軸に沿って切断した際の半導体レーザ駆動装置10の断面図の一例を示す図である。例えば、
図1の線分C-Dに沿って基板100を切断することにより、
図2の断面図が得られる。
【0029】
同図に例示するように、基板100の両面のうち半導体レーザ300が実装された面を表面として、表面に対する裏面には、外部との接続端子105が設けられる。同図において矢印は、半導体レーザ300による光の照射方向を示す。
【0030】
また、基板100は、レーザドライバ200や接続ビア101の他、導体103を含み、これらは基板100の絶縁層内に形成される。
【0031】
導体103は、基板100内の複数の個所において、放熱や電気的接続を目的として形成される。例えば、基板100の裏面から表面への方向を上方として、レーザドライバ200の下方に、放熱を目的として、一定面積の導体103が形成される。この導体103は、レーザドライバ200に密着しておらず、導体103とレーザドライバ200との間には絶縁層が配置される。
【0032】
また、レーザドライバ200の下方の導体103と基板100の裏面との間には、所定数のサーマルビア104が設けられる。
【0033】
サーマルビア104の一端は、導体103に接続され、他端は、接続端子105に接続される。この構成により、サーマルビア104は、レーザドライバ200で生じた熱を、基板100の裏面の接続端子105へ放出することができる。なお、サーマルビア104は、特許請求の範囲に記載のドライバ側サーマルビアの一例である。
【0034】
サーマルビア104の配置により、半導体レーザ駆動装置において、半導体レーザ駆動装置10の放熱性能(熱抵抗など)を向上させることができる。放熱性能の向上により、レーザドライバ200で生じた熱が半導体レーザ300に伝導することを抑制し、半導体レーザ300の発光特性の低下を防止することができる。
【0035】
図3は、本技術の実施の形態における半導体レーザ駆動装置10の下面(言い換えれば、基板100の裏面)の一例を示す図である。同図に例示するように、基板100の裏面には、複数の接続端子105が配置される。
【0036】
図4は、本技術の実施の形態におけるX軸に沿って切断した際の半導体レーザ駆動装置10の断面図の一例を示す図である。例えば、
図1の線分A-Bに沿って基板100を切断することにより、
図4の断面図が得られる。なお、
図4において、レーザドライバ200の下方のサーマルビア104等は省略されている。
【0037】
上述のように、基板100はレーザドライバ200を内蔵し、その表面には半導体レーザ300などが実装される。半導体レーザ300とレーザドライバ200との間の接続は、接続ビア101を介して行われる。この接続ビア101を用いることにより、配線長を短くすることが可能となる。なお、接続ビア101は、特許請求の範囲に記載の接続配線の一例である。
【0038】
また、基板100は、放熱のためのサーマルビア102を備える。基板100に実装された各部品は発熱源であり、サーマルビア102を用いることにより、各部品(半導体レーザ300など)において発生した熱を基板100の裏面から放熱することが可能となる。なお、サーマルビア102は、特許請求の範囲に記載のレーザ側サーマルビアの一例である。
【0039】
基板100の表面に実装された半導体レーザ300、フォトダイオード400および受動部品500は、側壁600によって囲まれる。この側壁600の材料としては、例えば、プラスティック材料、または、金属が想定される。
【0040】
側壁600によって囲まれた上面は、拡散板700によって覆われる。この拡散板700は、半導体レーザ300からのレーザ光を拡散させるための光学素子であり、ディフューザとも呼ばれる。
【0041】
図5は、本技術の実施の形態におけるレーザドライバ200と半導体レーザ300とのオーバラップ量の定義を示す図である。
【0042】
上述のように、半導体レーザ300とレーザドライバ200との間の接続は接続ビア101を介して行われることを想定しているため、上面から見ると両者は重なって配置されることになる。その一方で、半導体レーザ300の下面にはサーマルビア102を設けることが望ましく、そのための領域を確保する必要もある。そこで、レーザドライバ200と半導体レーザ300の位置関係を明らかにするために、両者のオーバラップ量を以下のように定義する。
【0043】
同図におけるaに示す配置では、上面から見て両者に重なる領域が存在しない。この場合のオーバラップ量を0%と定義する。一方、同図におけるcに示す配置では、上面から見て半導体レーザ300の全てがレーザドライバ200と重なっている。この場合のオーバラップ量を100%と定義する。
【0044】
そして、同図におけるbに示す配置では、上面から見て半導体レーザ300の半分の領域がレーザドライバ200と重なっている。この場合のオーバラップ量を50%と定義する。
【0045】
この実施の形態では、上述の接続ビア101のための領域を設けるために、オーバラップ量は0%よりも大きいことが望ましい。一方、半導体レーザ300の直下においてある程度の数のサーマルビア102を配置することを考慮すると、オーバラップ量は50%以下であることが望ましい。したがって、オーバラップ量を0%より大きく、50%以下とすることにより、配線インダクタンスを小さくするとともに、良好な放熱特性を得ることが可能となる。
【0046】
[配線インダクタンス]
上述のように、半導体レーザ300とレーザドライバ200との間の接続においては、配線インダクタンスが問題となる。全ての導体には誘導成分があり、ToFシステムのような高周波領域では、極めて短いリード線のインダクタンスでも悪影響をおよぼすおそれがある。すなわち、高周波動作した際に、配線インダクタンスの影響によりレーザドライバ200から半導体レーザ300を駆動するための駆動波形が歪んでしまい、動作が不安定になるおそれがある。
【0047】
ここで、配線インダクタンスを計算するための理論式について検討する。例えば、長さL[mm]、半径R[mm]の円形断面を持つ直線リード線のインダクタンスIDC[μH]は、自由空間において次式により表される。ただし、lnは自然対数を表す。
【0048】
IDC=0.0002L・(ln(2L/R)-0.75)
【0049】
また、例えば、長さL[mm]、幅W[mm]、厚さH[mm]のストリップ・ライン(基板配線パターン)のインダクタンスIDC[μH]は、自由空間において次式により表される。
IDC=0.0002L・(ln(2L/(W+H))
+0.2235((W+H)/L)+0.5)
【0050】
プリント配線板の内部に内蔵されたレーザドライバとプリント配線板の上部に電気接続された半導体レーザとの配線インダクタンス[nH]を試算したものが、
図4および
図5である。
【0051】
図6は、アディティブ法により配線パターンを形成した場合の、配線長Lおよび配線幅Wに対する配線インダクタンスの数値例を示す図である。アディティブ法とは、絶縁樹脂面の必要な部分にだけ銅を析出させて、パターン形成する方法である。
【0052】
図7は、サブトラクティブ法により配線パターンを形成した場合の、配線長Lおよび配線幅Wに対する配線インダクタンスの数値例を示す図である。サブトラクティブとは、銅張積層板の不要な部分をエッチングして、パターンを形成する方法である。
【0053】
ToFシステムのような半導体レーザ駆動装置の場合、数百メガヘルツで駆動させることを想定すると、配線インダクタンスとしては0.5nH以下であることが望ましく、さらに0.3nH以下であることがより好ましい。したがって、上述の試算結果を考慮すると、半導体レーザ300とレーザドライバ200との間の配線長としては、0.5ミリメートル以下にすることが望ましく、さらに0.3ミリメートル以下であることがより好ましいと考えられる。
【0054】
[製造方法]
図8および
図9は、本技術の実施の形態のレーザドライバ200の製造過程において銅ランドおよび銅配線層(RDL:Redistribution Layer)を加工する工程の一例を示す図である。
【0055】
まず、
図8におけるaに示すように、半導体ウェハにおいて、例えばアルミニウムなどによるI/Oパッド210が形成される。そして、表面にSiNなどの保護絶縁層220が成膜され、I/Oパッド210の領域が開孔される。
【0056】
次に、
図8におけるbに示すように、ポリイミド(PI:Polyimide)またはポリベンゾオキサゾール(PBO:Polybenzoxazole)による表面保護膜230が成膜され、I/Oパッド210の領域が開孔される。
【0057】
次に、
図8におけるcに示すように、数十乃至百nm程度のチタンタングステン(TiW)、百乃至千nm程度の銅(Cu)を連続スパッタして密着層およびシード層240を形成する。ここで、密着層は、チタンタングステン(TiW)の他にクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、チタン銅(TiCu)、プラチナ(Pt)等の高融点金属やその合金を適用してもよい。また、シード層には、銅(Cu)の他にニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、または、その合金を適用してもよい。
【0058】
次に、
図9におけるdに示すように、電気接合用の銅ランドと銅配線層を形成するために、フォトレジスト250をパターニングする。具体的には、表面洗浄、レジスト塗布、乾燥、露光、現像の各工程によって形成する。
【0059】
次に、
図9におけるeに示すように、密着層およびシード層240の上にめっき法により、電気接合用の銅ランドおよび銅配線層(RDL)260を形成する。ここで、めっき法としては、例えば、電解銅めっき法や電解ニッケルめっき法などを用いることができる。また、銅ランドの直径は50乃至100マイクロメートル程度、銅配線層の厚さは3乃至10マイクロメートル程度、銅配線層の最小幅は10マイクロメートル程度が望ましい。
【0060】
次に、
図9におけるfに示すように、フォトレジスト250を除去し、半導体チップの銅ランドおよび銅配線層(RDL)260をマスクして、ドライエッチングを行う。ここで、ドライエッチングは、例えば、アルゴンイオンビームを照射するイオンミリングを用いることができる。このドライエッチングにより、不要領域の密着層およびシード層240を選択的に除去することができ、銅ランドおよび銅配線層が各々分離される。なお、この不要領域の除去は、王水、硝酸第二セリウムアンモニウムや水酸化カリウムの水溶液等のウエットエッチングでも可能だが、銅ランドおよび銅配線層を構成する金属層のサイドエッチや厚み減少を考慮するとドライエッチングの方が望ましい。
【0061】
図10乃至
図14は、本技術の実施の形態における基板100の製造工程の一例を示す図である。
【0062】
まず、
図10におけるaに示すように、支持板110に接着性樹脂層120を介して、極薄銅箔132とキャリア銅箔131の2層構造から成るピーラブル銅箔130を、ロールラミネートまたは積層プレスにより片面に熱圧着させる。
【0063】
支持板110は、無機材料や金属材料、樹脂材料等からなる基板を使用することができる。例えば、シリコン(Si)、ガラス、セラミック、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミ合金、ステンレス、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂を使用することができる。
【0064】
ピーラブル銅箔130は、厚さ2乃至5マイクロメートルの極薄銅箔132に、厚さ18乃至35マイクロメートルのキャリア銅箔131を真空密着したものを用いる。ピーラブル銅箔130としては、例えば、3FD-P3/35(古河サーキットフォイル株式会社製)、MT-18S5DH(三井金属鉱業株式会社製)等を用いることができる。
【0065】
接着性樹脂層120の樹脂材料としては、ガラス繊維の補強材入りの、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、PPE樹脂、フェノール樹脂、PTFE樹脂、珪素樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、PPS樹脂、PPO樹脂などの有機樹脂を使用することができる。また、補強材としては、ガラス繊維以外に、アラミド不織布やアラミド繊維、ポリエステル繊維などを用いることもできる。
【0066】
次に、
図10におけるbに示すように、無電解銅めっき処理により、ピーラブル銅箔130の極薄銅箔132の表面に厚さ0.5乃至3マイクロメートルの(図示しない)めっき下地導電層を形成する。なお、この無電解銅めっき処理は、次に配線パターンを形成する電解銅めっきの下地の導電層を形成するものである。ただし、この無電解銅めっき処理を省略して、ピーラブル銅箔130に直接的に電解銅めっき用の電極を接触させて、ピーラブル銅箔130の上に直接的に電解銅めっき処理を施して、配線パターンを形成してもよい。
【0067】
次に、
図10におけるcに示すように、支持板の表面に感光性レジストをロールラミネートで貼り付けて、配線パターン用のレジストパターン(ソルダーレジスト140)を形成する。この感光性レジストとしては、例えば、ドライフィルムのめっきレジストを用いることができる。
【0068】
次に、
図10におけるdに示すように、電解銅めっき処理により、厚さ15マイクロメートル程度の配線パターン150を形成する。
【0069】
次に、
図11におけるeに示すように、めっきレジストを剥離させる。そして、層間絶縁性樹脂を形成するための前処理として、配線パターン表面を粗化処理して、層間絶縁性樹脂と配線パターンの接着性を向上させる。なお、粗化処理は、酸化還元処理による黒化処理または過水硫酸系のソフトエッチング処理によって行うことができる。
【0070】
次に、
図11におけるfに示すように、配線パターン上に層間絶縁性樹脂161を、ロールラミネートまたは積層プレスで熱圧着させる。例えば、厚さ45マイクロメートルのエポキシ樹脂をロールラミネートする。 ガラスエポキシ樹脂を使う場合は、任意の厚さの銅箔を重ね合わせて、積層プレスで熱圧着させる。層間絶縁性樹脂161の樹脂材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、PPE樹脂、フェノール樹脂、PTFE樹脂、珪素樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、PPS樹脂、PPO樹脂などの有機樹脂を使用することができる。また、これらの樹脂単独でも、複数樹脂を混合あるいは化合物を作成するなどした樹脂の組み合わせも使用することができる。さらに、これらの材料に無機フィラーを含有させたり、ガラス繊維の補強材を混入させたりした層間絶縁性樹脂も使用することができる。
【0071】
次に、
図11におけるgに示すように、層間電気接続用のビアホールをレーザ法またはフォトエッチング法により形成する。層間絶縁性樹脂161が熱硬化性樹脂の場合は、レーザ法によりビアホールを形成する。レーザ光としては、高調波YAGレーザやエキシマレーザなどの紫外線レーザ、炭酸ガスレーザなどの赤外線レーザを用いることができる。なお、レーザ光にてビアホールを形成した場合は、ビアホール底に薄い樹脂膜が残る場合があるため、デスミア処理を行う。このデスミア処理は、強アルカリにより樹脂を膨潤させ、クロム酸、過マンガン酸塩水溶液等の酸化剤を使用して樹脂を分解除去する。また、プラズマ処理や研磨材によるサンドブラスト処理にて除去することもできる。層間絶縁性樹脂161が感光性樹脂の場合は、フォトエッチング法によりビアホール170を形成する。つまり、マスクを通して、紫外線を用いて露光した後に現像することにより、ビアホール170を形成する。
【0072】
次に、粗化処理の後、ビアホール170の壁面および層間絶縁性樹脂161の表面に、無電解めっき処理を行う。次に、表面に無電解めっき処理した層間絶縁性樹脂161の面に感光性レジストをロールラミネートで貼り付ける。この場合の感光性レジストとしては、例えば、ドライフィルムの感光性めっきレジストフィルムを用いることができる。この感光性めっきレジストフィルムを露光した後に現像することにより、ビアホール170の部分および配線パターンの部分を開口しためっきレジストのパターンを形成する。 次に、めっきレジストパターンの開口部分に、厚さ15マイクロメートルの電解銅めっき処理を施す。 次に、めっきレジストを剥離し、層間絶縁性樹脂上に残っている無電解めっきを過水硫酸系のフラッシュエッチングなどで除去することにより、
図11におけるhに示すような銅めっきで充填したビアホール170と配線パターンを形成する。そして、同様の配線パターンの粗化工程と層間絶縁性樹脂162の形成工程を繰り返し行う。
【0073】
次に、
図12におけるiに示すように、厚み約30乃至50マイクロメートルに薄化した銅ランドおよび銅配線層を加工済みのダイアタッチフィルム(Die Attach Film:DAF)290が付いたレーザドライバ200をフェイスアップ状態で実装する。
【0074】
次に、
図12におけるjに示すように、層間絶縁性樹脂163を、ロールラミネートまたは積層プレスで熱圧着させる。
【0075】
次に、
図12におけるkおよび
図13におけるlに示すように、これまでと同様のビアホール加工、デスミア処理、粗化処理、無電解めっき処理、電解めっき処理を行う。なお、レーザドライバ200の銅ランドへの浅いビアホール171の加工と、1階層下の深いビアホール172の加工、デスミア処理および粗化処理とは同時に行う。
【0076】
ここで、浅いビアホール171は、銅めっきで充填したフィルドビアである。ビアのサイズおよび深さは、それぞれ20乃至30マイクロメートル程度である。また、ランドのサイズは、直径60乃至80マイクロメートル程度である。
【0077】
一方、深いビアホール172は、銅めっきをビア外側のみに施したいわゆるコンフォーマルビアである。ビアのサイズおよび深さは、それぞれ80乃至150マイクロメートル程度である。また、ランドのサイズは、直径150乃至200マイクロメートル程度である。なお、深いビアホール172は、レーザドライバ200の外形より100マイクロメートル程度の絶縁性樹脂を介して配置することが望ましい。
【0078】
次に、
図13におけるmに示すように、これまでと同様の層間絶縁性樹脂を、ロールラミネートまたは積層プレスにより熱圧着させる。この際、コンフォーマルビアの内側が層間絶縁性樹脂で充填される。次に、これまでと同様のビアホール加工、デスミア処理、粗化処理、無電解めっき処理、および、電解めっき処理を行う。
【0079】
次に、
図13におけるnに示すように、支持板110を、ピーラブル銅箔130のキャリア銅箔131と極薄銅箔132の界面より剥離させることによって、分離する。
【0080】
次に、
図14におけるoに示すように、硫酸-過酸化水素系ソフトエッチングを用いて極薄銅箔132とめっき下地導電層を除去することにより、配線パターンが露出した部品内蔵基板を得ることができる。
【0081】
次に、
図14におけるpに示すように、露出させた配線パターン上に、配線パターンのランド部分において開口部を有するパターンのソルダーレジスト180を印刷する。なお、ソルダーレジスト180は、フィルムタイプを用いて、ロールコーターによって形成することも可能である。次に、ソルダーレジスト180の開口部のランド部分に、無電解Niめっきを3マイクロメートル以上形成し、その上に無電解Auめっきを0.03マイクロメートル以上形成する。無電解Auめっきは1マイクロメートル以上形成してもよい。さらに、その上に半田をプリコートすることも可能である。または、ソルダーレジスト180の開口部に、電解Niめっきを3マイクロメートル以上形成し、その上に電解Auめっきを0.5マイクロメートル以上形成してもよい。さらに、ソルダーレジスト180の開口部に、金属めっき以外に、有機防錆皮膜を形成してもよい。
【0082】
また、外部接続用のランドに、接続端子105として、クリーム半田を印刷塗布して、半田ボールのBGA(Ball Grid Array)を搭載してもよい。また、この接続端子105としては、銅コアボール、銅ピラーバンプ、または、ランドグリッドアレイ(LGA:Land Grid Array)などを用いてもよい。
【0083】
このようにして製造された基板100の表面に、
図14におけるqに示すように、半導体レーザ300、フォトダイオード400および受動部品500を実装し、側壁600および拡散板700を取り付ける。一般的には、集合基板状で行った後に外形をダイサーなどで加工して個片に分離する。
【0084】
なお、上述の工程ではピーラブル銅箔130と支持板110を用いた例について説明したが、これらに代えて銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)を用いることも可能である。また、部品を基板へ内蔵する製造方法は、基板にキャビティ形成して搭載する方法を用いてもよい。
【0085】
このように、本技術の実施の形態によれば、レーザドライバ200と基板100の裏面との間にサーマルビア104を配置したため、レーザドライバ200で生じた熱を裏面から放出することができる。これにより、半導体レーザ駆動装置10の放熱性能を向上させ、レーザドライバ200で生じた熱が、半導体レーザ300に伝導することを抑制することができる。
【0086】
[変形例]
上述の実施の形態では、サーマルビア104に接続された導体103は、レーザドライバ200に密着していなかったが、放熱性能向上の観点から、密着させることが望ましい。この実施の形態の変形例の半導体レーザ駆動装置10は、放熱性能をさらに向上させた点において実施の形態と異なる。
【0087】
図15は、本技術の実施の形態の変形例におけるY軸に沿って切断した際の半導体レーザ駆動装置10の断面図の一例を示す図である。この実施の形態の変形例の半導体レーザ駆動装置10は、レーザドライバ200の下方に、導体103の代わりに、金属膜106が設けられる点において実施の形態と異なる。
【0088】
金属膜106は、レーザドライバ200の下面に密着しており、例えば、蒸着やスパッタリングにより形成される。この金属膜106は、サーマルビア104の一端に接続される。
【0089】
製造工程においては、例えば、
図8におけるcの工程の直後において、蒸着等によりレーザドライバ200の下面に金属膜106を形成する工程が追加される。
【0090】
同図に例示したように、サーマルビア104の一端の金属膜106がレーザドライバ200の下面に密着しているため、導体103が密着していない場合と比較して、レーザドライバ200の熱の放熱性を向上させることができる。
【0091】
このように、本技術の実施の形態の変形例によれば、レーザドライバ200の下面に金属膜106を形成し、サーマルビア104に接続したため、導体103が密着していない場合と比較して、レーザドライバ200の熱の放熱性能を向上させることができる。
【0092】
<2.適用例>
[電子機器]
図16は、本技術の実施の形態の適用例である電子機器800のシステム構成例を示す図である。
【0093】
この電子機器800は、上述の実施の形態による半導体レーザ駆動装置10を搭載した携帯端末である。この電子機器800は、撮像部810と、半導体レーザ駆動装置820と、シャッタボタン830と、電源ボタン840と、制御部850と、記憶部860と、無線通信部870と、表示部880と、バッテリ890とを備える。
【0094】
撮像部810は、被写体を撮像するイメージセンサである。半導体レーザ駆動装置820は、上述の実施の形態による半導体レーザ駆動装置10である。
【0095】
シャッタボタン830は、撮像部810における撮像タイミングを電子機器800の外部から指示するためのボタンである。電源ボタン840は、電子機器800の電源のオンオフを電子機器800の外部から指示するためのボタンである。
【0096】
制御部850は、電子機器800の全体の制御を司る処理部である。記憶部860は、電子機器800の動作に必要なデータやプログラムを記憶するメモリである。無線通信部870は、電子機器800の外部との無線通信を行うものである。表示部880は、画像等を表示するディスプレイである。バッテリ890は、電子機器800の各部に電源を供給する電源供給源である。
【0097】
撮像部810、半導体レーザ駆動装置820を制御する発光制御信号の特定の位相(例えば、立上りタイミング)を0度として、0度から180度までの受光量をQ1として検出し、180度から360度までの受光量をQ2として検出する。また、撮像部810は、90度から270度までの受光量をQ3として検出し、270度から90度までの受光量をQ4として検出する。制御部850は、これらの受光量Q1乃至Q4から、次式により物体との距離dを演算し、表示部880に表示する。
d=(c/4πf)×arctan{(Q3-Q4)/(Q1-Q2)}
【0098】
上式において距離dの単位は、例えば、メートル(m)である。cは光速であり、その単位は、例えば、メートル毎秒(m/s)である。arctanは、正接関数の逆関数である。「(Q3-Q4)/(Q1-Q2)」の値は、照射光と反射光との位相差を示す。πは、円周率を示す。また、fは照射光の周波数であり、その単位は、例えば、メガヘルツ(MHz)である。
【0099】
図17は、本技術の実施の形態の適用例である電子機器800の外観構成例を示す図である。
【0100】
この電子機器800は、筐体801に収められ、側面に電源ボタン840を備え、表面に表示部880およびシャッタボタン830を備える。また、裏面には撮像部810および半導体レーザ駆動装置820の光学領域が設けられる。
【0101】
これにより、表示部880には、通常の撮像画像881を表示するだけでなく、ToFを利用した測距結果に応じた奥行画像882を表示することができる。
【0102】
なお、この適用例では、電子機器800として、スマートフォンのような携帯端末について例示したが、電子機器800はこれに限定されるものではなく、例えばデジタルカメラやゲーム機やウェアラブル機器などであってもよい。
【0103】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0104】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0105】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)レーザドライバを内蔵する基板と、
前記基板の一方の面に実装された半導体レーザと、
前記レーザドライバと前記半導体レーザとを0.5ナノヘンリー以下の配線インダクタンスにより電気接続する接続配線と、
前記レーザドライバと前記基板の他方の面との間に設けられて前記レーザドライバで生じた熱を前記他方の面へ放出するドライバ側サーマルビアと
を具備する半導体レーザ駆動装置。
(2)前記基板の前記一方の面とは反対の面において外部との接続端子をさらに具備し、
前記ドライバ側サーマルビアの一端は、前記接続端子に接続される
前記(1)記載の半導体レーザ駆動装置。
(3)前記基板は、絶縁層および導体を含み、
前記導体と前記レーザドライバとの間には前記絶縁層が配置され、
前記ドライバ側サーマルビアの他端は、前記導体に接続される
前記(2)記載の半導体レーザ駆動装置。
(4)前記レーザドライバの所定平面に形成された金属膜をさらに具備し、
前記ドライバ側サーマルビアの他端は、前記金属膜に接続される
前記(2)記載の半導体レーザ駆動装置。
(5)前記接続端子は、半田ボール、銅コアボール、銅ピラーバンプ、および、ランドグリッドアレイの少なくとも何れか1つにより形成される
前記(2)から(4)のいずれかに記載の半導体レーザ駆動装置。
(6)前記接続配線は、0.5ミリメートル以下の長さを備える
前記(1)から(5)のいずれかに記載の半導体レーザ駆動装置。
(7)前記接続配線は、前記基板に設けられる接続ビアを介する
前記(1)から(6)のいずれかに記載の半導体レーザ駆動装置。
(8)前記半導体レーザは、その一部が前記レーザドライバの上方に重ねて配置される
前記(1)から(7)のいずれかに記載の半導体レーザ駆動装置。
(9)前記半導体レーザは、その面積の50%以下の部分が前記レーザドライバの上方に重ねて配置される
前記(8)記載の半導体レーザ駆動装置。
(10)前記基板は、前記半導体レーザが実装された位置においてレーザ側サーマルビアを備える
前記(1)から(9)のいずれかに記載の半導体レーザ駆動装置。
(11)前記基板の前記一方の面において前記半導体レーザを含む領域を囲う外壁と、
前記外壁に囲まれた領域の上方を覆う拡散板と
をさらに具備する前記(1)から(10)のいずれかに記載の半導体レーザ駆動装置。
(12)前記基板の前記一方の面に実装されて前記半導体レーザから照射されたレーザ光の光強度を監視するフォトダイオードをさらに具備する前記(1)から(11)のいずれかに記載の半導体レーザ駆動装置。
(13)レーザドライバを内蔵する基板と、
前記基板の一方の面に実装された半導体レーザと、
前記レーザドライバと前記半導体レーザとを0.5ナノヘンリー以下の配線インダクタンスにより電気接続する接続配線と、
前記レーザドライバと前記基板の他方の面との間に設けられて前記レーザドライバで生じた熱を前記他方の面へ放出するドライバ側サーマルビアと
を具備する電子機器。
【符号の説明】
【0106】
10、820 半導体レーザ駆動装置
100 基板
101 接続ビア
102、104 サーマルビア
103 導体
105 接続端子
106 金属膜
110 支持板
120 接着性樹脂層
130 ピーラブル銅箔
131 キャリア銅箔
132 極薄銅箔
140、180 ソルダーレジスト
150 配線パターン
161~163 層間絶縁性樹脂
170~172 ビアホール
200 レーザドライバ
210 I/Oパッド
220 保護絶縁層
230 表面保護膜
240 密着層/シード層
250 フォトレジスト
260 銅ランドおよび銅配線層(RDL)
290 ダイアタッチフィルム(DAF)
300 半導体レーザ
400 フォトダイオード
500 受動部品
600 側壁
700 拡散板
800 電子機器
801 筐体
810 撮像部
830 シャッタボタン
840 電源ボタン
850 制御部
860 記憶部
870 無線通信部
880 表示部
890 バッテリ