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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20230927BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F24F5/00 101Z
F25B1/00 399Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019168318
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046952
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅利 峻
(72)【発明者】
【氏名】木口 行雄
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/119137(WO,A1)
【文献】特開2017-101855(JP,A)
【文献】国際公開第2019/021406(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、室外側熱交換器と、膨張弁とを配管接続して冷媒を循環させる室外ユニットと、
前記冷媒と熱媒を熱交換する複数の中間熱交換器を備えた熱交換ユニットと、
室内側熱交換器を備えた室内ユニットと、
前記中間熱交換器で冷却された前記熱媒および加熱された前記熱媒のいずれかを、前記室内側熱交換器に流入させる流路切換弁を備えたバルブユニットと、を備え、
前記熱交換ユニットと前記バルブユニットとは、冷却された前記熱媒の流路と加熱された前記熱媒の流路でそれぞれ接続され、
これらの流路は、前記室内ユニットを経由して循環し、前記熱媒を循環させる循環ポンプを前記熱交換ユニットと前記バルブユニットの間にそれぞれ有し、
前記室外ユニット、前記熱交換ユニット、前記室内ユニット、および前記バルブユニットは、それぞれに分割してケーシングされ、
前記循環ポンプは、前記熱交換ユニットの筐体内、前記熱交換ユニットもしくは前記バルブユニットの近傍、前記バルブユニットの筐体内のうち、少なくともいずれかに配置され、
前記循環ポンプは、回転数を増減可能なインバータポンプであり、前記室内ユニットの筐体内に配置された第1の循環ポンプと、前記熱交換ユニットの筐体内、前記熱交換ユニットもしくは前記バルブユニットの近傍、前記バルブユニットの筐体内のうちいずれかに配置された第2の循環ポンプと、を含み、
前記第2の循環ポンプの回転数は、前記第1の循環ポンプの回転数に基づいて設定され
空気調和機。
【請求項2】
前記第1の循環ポンプおよび前記第2の循環ポンプの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
冷却された前記熱媒の流路および加熱された前記熱媒の流路で、前記第1の循環ポンプの回転数の合計値をそれぞれ算出し、
冷却された前記熱媒の流路に配置された前記第1の循環ポンプの回転数の合計値に基づいて、冷却された前記熱媒の流路に配置された前記第2の循環ポンプの回転数を設定し、
加熱された前記熱媒の流路に配置された前記第1の循環ポンプの回転数の合計値に基づいて、加熱された前記熱媒の流路に配置された前記第2の循環ポンプの回転数を設定する
請求項に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記熱交換ユニットと前記バルブユニットとを接続する前記熱媒の流路と、前記バルブユニットと前記室内ユニットとを接続する前記熱媒の流路とで、ユニット間の接続配管の配管径は異なる
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記熱交換ユニットと前記バルブユニットとの接続配管の配管径は、前記室内ユニットの接続容量に応じて異なる
請求項1からのいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
圧縮機と、室外側熱交換器と、膨張弁とを配管接続して冷媒を循環させる室外ユニットと、
前記冷媒と熱媒を熱交換する複数の中間熱交換器を備えた熱交換ユニットと、
室内側熱交換器を備えた室内ユニットと、
前記中間熱交換器で冷却された前記熱媒および加熱された前記熱媒のいずれかを、前記室内側熱交換器に流入させる流路切換弁を備えたバルブユニットと、を備え、
前記熱交換ユニットと前記バルブユニットとは、冷却された前記熱媒の流路と加熱された前記熱媒の流路でそれぞれ接続され、
これらの流路は、前記室内ユニットを経由して循環し、前記熱媒を循環させる循環ポンプを前記熱交換ユニットと前記バルブユニットの間にそれぞれ有する空気調和機であって、
前記空気調和機は、前記循環ポンプの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記循環ポンプは、回転数を可変可能なインバータポンプであり、
前記制御部は、
冷却された前記熱媒が前記室内側熱交換器に供給されている流路数に基づいて、冷却された前記熱媒の流路に配置された前記循環ポンプの回転数を設定し、
加熱された前記熱媒が前記室内側熱交換器に供給されている流路数に基づいて、加熱された前記熱媒の流路に配置された前記循環ポンプの回転数を設定する
空気調和機。
【請求項6】
前記制御部は、前記室内ユニットの接続容量に応じて、前記循環ポンプの上限回転数を変更する
請求項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記室外ユニットと前記熱交換ユニットは、一体にケーシングされた熱源ユニットとして構成され、
前記第2の循環ポンプは、前記熱源ユニットの筐体内に配置される
請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水などの熱媒を循環させて冷暖房を行う空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化係数(GWP)が高い一部のHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒の使用が問題視されており、欧州の改正Fガス法をはじめとして段階的にその使用が規制されている。このため、GWPの低い冷媒を使用する空気調和機の開発が進んでおり、家庭用および業務用空調機で主流であったR410Aは、R32に置き換えられている。
【0003】
その一方で、R32は微燃性(A2L)の冷媒であり、例えば冷媒充填量が多い可変冷媒流量(VRF)方式の空気調和機で使用する際には、室内に漏えいした場合の安全性を考慮する必要がある。このため、VRF方式の空気調和機では引き続きR410Aが使用されていたが、近年の研究開発により、熱媒として水を循環させて室内機個別に冷暖房を行う方式が提案されている。一例として、かかる方式の空気調和機では、室外ユニットと室内ユニットの間に中継ユニットが介在し、室外ユニットと中継ユニットが冷媒配管で接続され、中継ユニットと室内ユニットが水配管で接続される。中継ユニットでは、冷媒と熱媒とが熱交換される。したがって、冷媒配管が通るのは室外ユニットから中継ユニットまでであり、中継ユニットと室内ユニットの間は水配管が通る。これにより、室内での冷媒漏えいに対する安全性が担保され、R32のような微燃性冷媒の使用が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5236009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような空気調和機では、室内ユニットごとに水が循環する。したがって、室内ユニットごとに水流量の差が生じないように、水の流路長さによる配管抵抗を考慮する必要がある。その対策として、例えば各室内ユニットへの流量制御弁を中継ユニットに配置することが挙げられるが、この場合、中継ユニットの筐体サイズやコストなどを増大させやすい。特に、ヒートリカバリーとして室外機の排熱を使用する場合、中継ユニット内にVRFに対応する能力の水熱交換器と流路切換弁、循環ポンプ、さらに流量調整弁まで収容する必要がある。その結果、中継ユニットの筐体サイズがさらに大きくなり、据付作業の人員増や設置スペースの確保などといった問題も生じ得る。
また、室内ユニットの接続容量が大きい場合に各室内ユニットの水流量が過少、逆に接続容量が小さい場合に該水流量が過大とならないように、流量調整弁で水流量を精度よく制御しなければならない。
【0006】
本発明は、これを踏まえてなされたものであり、その目的は、ユニットの筐体サイズの増大を抑制するとともに、水の流路長さによる配管抵抗を低減可能な水循環式の空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、空気調和機は、室外ユニットと、熱交換ユニットと、室内ユニットと、バルブユニットとを備える。室外ユニットは、圧縮機と、室外側熱交換器と、膨張弁とを配管接続して冷媒を循環させる。熱交換ユニットは、冷媒と熱媒を熱交換する複数の中間熱交換器を備える。室内ユニットは、複数の室内側熱交換器を備える。バルブユニットは、中間熱交換器で冷却された熱媒および加熱された熱媒のいずれかを、複数の室内側熱交換器にそれぞれ流入させる流路切換弁を備える。熱交換ユニットとバルブユニットとは、冷却された熱媒の流路と加熱された熱媒の流路でそれぞれ接続される。これらの流路は、室内ユニットを経由して循環し、熱媒を循環させる循環ポンプを熱交換ユニットとバルブユニットの間にそれぞれ有する。室外ユニット、熱交換ユニット、室内ユニット、およびバルブユニットは、それぞれに分割してケーシングされる。循環ポンプは、熱交換ユニットの筐体内、熱交換ユニットもしくはバルブユニットの近傍、バルブユニットの筐体内のうち、少なくともいずれかに配置される。循環ポンプは、回転数を増減可能なインバータポンプであり、室内ユニットの筐体内に配置された第1の循環ポンプと、熱交換ユニットの筐体内、熱交換ユニットもしくはバルブユニットの近傍、バルブユニットの筐体内のうちいずれかに配置された第2の循環ポンプとを含む。第2の循環ポンプの回転数は、第1の循環ポンプの回転数に基づいて設定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す図である。
図2】第1の実施形態に係る空気調和機の配管系統を概略的に示す図である。
図3】空気調和機の各ユニットの設置例を概略的に示す図であって、(a)は第1の実施形態を示す図、(b)は比較例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る空気調和機における第1の回転数設定処理を示す制御フロー図である。
図5】第1の実施形態に係る空気調和機における第1の回転数設定処理の一例をそれぞれ示す図であって、(a)は第2の循環ポンプの回転数の時間変化を示す図、(b)は第1の循環ポンプの運転台数の時間変化を示す図、(c)から(f)は一台目から四台目の第1の循環ポンプの回転数の時間変化を示す図である。
図6】第2の実施形態に係る空気調和機の配管系統を概略的に示す図である。
図7】第3の実施形態に係る空気調和機の配管系統を概略的に示す図である。
図8】第3の実施形態に係る空気調和機における第2の回転数設定処理を示す制御フロー図である。
図9】第3の実施形態に係る空気調和機の冷却運転時における循環ポンプの回転数の時間変化、および冷却熱媒の流路数の時間変化の一例をそれぞれ示す図であって、(a)は冷却熱媒の流路数の時間変化を示す図、(b)は室内ユニットの接続容量が大きい場合の循環ポンプの回転数の時間変化を示す図、(c)は室内ユニットの接続容量が小さい場合の循環ポンプの回転数の時間変化を示す図、(d)は室内ユニットの接続容量が小さい場合の循環ポンプの回転数の時間変化の別例を示す図である。
図10】第3の実施形態に係る図9に示す空気調和機の冷却運転時における冷却熱媒の流路数と循環ポンプの回転数の関係を示す図であって、(a)は図9(b)に示す具体例1、(b)は図9(c)に示す具体例2、(c)は図9(d)に示す具体例3についての関係をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す図である。図2は、本実施形態に係る空気調和機の配管系統を概略的に示す図である。図3(a)は、本実施形態に係る空気調和機の各ユニットの設置例を概略的に示す図、同図(b)は、比較例に係る空気調和機の各ユニットの設置例を概略的に示す図である。
図1図2図3(a)に示すように、空気調和機1は、室外ユニット2と、熱交換ユニット3と、バルブユニット4と、室内ユニット5とを備えている。これらは、ユニットごとに分割してケーシングされ、ユニット間は所定の配管6~9を介して接続されている。熱交換ユニット3とバルブユニット4とを接続する配管7,8は、後述する熱媒を循環させる循環ポンプ11,12を有している。例えば、室外ユニット2は建屋Bの屋上RF、熱交換ユニット3、バルブユニット4、および室内ユニット5は建屋Bの各階1F,2Fの天井空間CSなどにそれぞれ設置される。天井空間CSは、建屋Bの天井裏の梁と天井板との間などに規定された空間である。なお、図1図2図3(a)は、空気調和機1を模式的に示しており、ユニット数や配管数は、図示態様から適宜増減可能である。
【0010】
これらユニット2,3,4,5は、後述する各々の構成部材の動作を制御する制御部20,30,40,50をそれぞれ備えている。制御部20,30,40,50は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、各制御部20,30,40,50は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいて各々のユニット構成部材の動作制御を行う。その際、制御部20,30,40,50は、それぞれのユニット構成部材との間および制御部相互間で、制御信号を有線もしくは無線を介して送受信する。
【0011】
室外ユニット2および熱交換ユニット3は、空気調和機1において冷媒を循環させる熱源側冷凍サイクルを構成する。また、熱交換ユニット3、バルブユニット4、および室内ユニット5は、空気調和機1における熱媒循環サイクルを構成する。
室外ユニット2と熱交換ユニット3は、配管(以下、冷媒配管という)6で接続されている。冷媒配管6は、液管6a、吸入ガス管6b、吐出ガス管6cを含む。
【0012】
室外ユニット2は、主たる要素として、圧縮機2a、逆止弁2b、オイルセパレータ2c、四方弁2d、室外側熱交換器2e、膨張弁2f、リキッドタンク2g、室外ユニットファン2h、アキュムレータ2i、および開閉弁2j,2kを備えている。室外ユニットファン2h以外は、筐体21内で配管接続され、熱交換ユニット3との間で循環する冷媒流路にそれぞれ配置される。室外ユニットファン2hは、室外側熱交換器2eに隣接して筐体21の壁部に配置される。筐体21は、室外ユニット2の外郭を規定する。
【0013】
熱交換ユニット3は、主たる要素として、膨張弁3a(31a,32a,33a)、中間熱交換器3b(31b,32b)、および開閉弁3cを筐体31にそれぞれ収容して構成されている。筐体31は、熱交換ユニット3の外郭を規定する。中間熱交換器3bは、冷媒と熱媒を熱交換する。本実施形態において、熱交換ユニット3は複数の中間熱交換器3bを備えており、そのうちの少なくとも一つは冷媒により熱媒を冷却し、それ以外は冷媒により熱媒を加熱する。冷媒は、例えばR410AやR407Cに比べて地球温暖化係数(GWP)が低いR32である。熱媒は、一例として水であるが、不凍液であってもよい。
【0014】
熱交換ユニット3が冷却用中間熱交換器31bと加熱用中間熱交換器32bを備えることで、空気調和機1は、冷却運転もしくは加熱運転のいずれか一方、あるいは双方の同時運転が可能とされている。
これら室外ユニット2および熱交換ユニット3により構成される熱源側冷凍サイクルについて、空気調和機1の冷却運転時、加熱運転時、冷却加熱混在運転時における動作態様をそれぞれ説明する。以下に説明するこれらの運転時、室外ユニット2および熱交換ユニット3においては、バルブユニット4および室内ユニット5の制御部40,50と制御部20,30が制御信号を適宜送受信し、各ユニット2,3の構成部材を動作させる。
【0015】
冷却運転時、室外ユニット2および熱交換ユニット3は、次のようにそれぞれ動作する。この時、室外ユニット2において、圧縮機2aは、吸込口21aからガス冷媒を吸い込み、吸い込んだガス冷媒を圧縮して吐出口22aから吐出する。圧縮機2aは、冷媒を圧縮して高温高圧の状態にする装置であり、例えば容量制御可能なインバータ圧縮機などである。吐出されたガス冷媒は、逆止弁2bを通り、オイルセパレータ2cで潤滑油分が分離されて室外側熱交換器2eに流入する。その際、ガス冷媒の一部は、四方弁2dで分岐されて室外側熱交換器2eに流入する。流入したガス冷媒は、室外側熱交換器2eで外気に放熱して凝縮、液化される。室外側熱交換器2eは、冷媒と外気との間で熱交換を行い、冷却運転時には凝縮器として機能する。液化された冷媒は、膨張弁2fで減圧されてリキッドタンク2gに貯留され、液管6aを通って熱交換ユニット3に供給される。室外ユニットファン2hは、筐体21内に外気を吸い込んで室外側熱交換器2eに流入させた後、筐体21外に排出する。
【0016】
熱交換ユニット3において、供給された液冷媒は、冷却用膨張弁31aで膨張されて冷却用中間熱交換器31bに流入する。流入した液冷媒は、冷却用中間熱交換器31bで熱媒から吸熱して蒸発、気化される。気化された冷媒(蒸発ガス)は、圧力制御用膨張弁33a、吸入ガス管6bを通って室外ユニット2に戻される。蒸発ガスは、冷却用中間熱交換器31bを通過して蒸発過程を経た冷媒として規定される。蒸発ガスには、例えば冷媒が完全に蒸発しておらず、乾き度1.0以下で液冷媒を含んだ冷媒も含まれる。圧力制御用膨張弁33aは、冷却用中間熱交換器31bの蒸発温度を制御し、熱媒である水の凍結を回避する。
【0017】
室外ユニット2に戻された蒸発ガスは、アキュムレータ2iでガス冷媒と液冷媒とに分離される。分離されたガス冷媒は、吸込口21aから圧縮機2aに吸い込まれ、再び圧縮される。一方、分離された液冷媒は、アキュムレータ2iに貯留される。
【0018】
これに対し、加熱運転時、室外ユニット2および熱交換ユニット3は、次のようにそれぞれ動作する。この時、室外ユニット2において、圧縮機2aから吐出されたガス冷媒は、冷却運転時と同様に、逆止弁2bを通り、オイルセパレータ2cで潤滑油分が分離される。その際、開閉弁2jが開き、ガス冷媒は、吐出ガス管6cを通って熱交換ユニット3に供給される。
【0019】
熱交換ユニット3においては、開閉弁3cが開き、供給されたガス冷媒が加熱用中間熱交換器32bで熱媒に放熱して凝縮、液化される。液化された冷媒(液冷媒)は、加熱用膨張弁32aで膨張され、液管6aを通って室外ユニット2に戻される。
【0020】
その際、開閉弁2kが開き、室外ユニット2に戻された液冷媒は、リキッドタンク2gを経由し、膨張弁2fで膨張されて室外側熱交換器2eに流入する。流入した液冷媒は、室外側熱交換器2eで外気から吸熱して蒸発、気化される。加熱運転時、室外側熱交換器2eは、蒸発器として機能する。その際、室外ユニットファン2hは、筐体21内に外気を吸い込んで室外側熱交換器2eに流入させた後、筐体21外に排出する。気化された冷媒(蒸発ガス)は、四方弁2d、アキュムレータ2iを通って吸込口21aから圧縮機2aに吸い込まれ、再び圧縮される。
【0021】
そして、冷却および加熱の混在運転時、室外ユニット2および熱交換ユニット3は、次のようにそれぞれ動作する。この時、室外ユニット2において、圧縮機2aから吐出されたガス冷媒は、加熱運転時と同様に、吐出ガス管6cを通って熱交換ユニット3に供給される。熱交換ユニット3において、供給されたガス冷媒は、加熱運転時と同様に、加熱用中間熱交換器32bで熱媒に放熱して凝縮、液化される。液化された冷媒(液冷媒)は、加熱用膨張弁32aおよび冷却用膨張弁31aでそれぞれ膨張され、冷却用中間熱交換器31bに流入する。流入した液冷媒は、冷却用中間熱交換器31bで熱媒から吸熱して蒸発、気化される。
【0022】
この時、加熱よりも冷却が優先される場合、室外ユニット2から熱交換ユニット3へ液冷媒が供給されるように流路が切り換えられる。一方、冷却よりも加熱が優先される場合、熱交換ユニット3から室外ユニット2へ液冷媒が供給されるように流路が切り換えられる。例えば、開閉弁2j,2k,3cが開閉するとともに、四方弁2dで流路が変更されることで、液管6aを通る液冷媒の供給方向が切り換わる。開閉弁2j,2k,3cが閉じた場合、液冷媒は室外ユニット2から四方弁2dを通って熱交換ユニット3へ供給される。開閉弁2j,2k,3cが開いた場合、液冷媒は熱交換ユニット3から四方弁2dを通って室外ユニット2へ供給される。
【0023】
熱交換ユニット3、バルブユニット4、および室内ユニット5は、空気調和機1における熱媒循環サイクルを構成する。
【0024】
バルブユニット4は、熱交換ユニット3と室内ユニット5との間に介在している。バルブユニット4は、熱媒配管7,8で熱交換ユニット3とそれぞれ接続されている。
【0025】
熱媒配管7は、冷却用中間熱交換器31bで冷却された熱媒(以下、冷却熱媒という)の流路を構成する。熱媒配管7は、冷却用熱媒供給管7a、冷却用熱媒還流管7b、冷却用熱媒バイパス管7cを含む。冷却用熱媒供給管7aは、冷却熱媒を熱交換ユニット3からバルブユニット4に供給する流路である。冷却用熱媒還流管7bは、冷却熱媒をバルブユニット4から熱交換ユニット3に還流する流路である。冷却用熱媒バイパス管7cは、冷却用熱媒供給管7aと冷却用熱媒還流管7bとを短絡する流路である。
【0026】
熱媒配管8は、加熱用中間熱交換器32bで加熱された熱媒(以下、加熱熱媒という)の流路を構成する。熱媒配管8は、加熱用熱媒供給管8a、加熱用熱媒還流管8b、加熱用熱媒バイパス管8cを含む。加熱用熱媒供給管8aは、加熱熱媒を熱交換ユニット3からバルブユニット4に供給する流路である。加熱用熱媒還流管8bは、加熱熱媒をバルブユニット4から熱交換ユニット3に還流する流路である。加熱用熱媒バイパス管8cは、加熱用熱媒供給管8aと加熱用熱媒還流管8bとを短絡する流路である。
【0027】
また、バルブユニット4は、分配管9で室内ユニット5と接続されている。分配管9は、熱媒を室内ユニット5に供給する往水管9aと、熱媒をバルブユニット4に戻す還水管9bを含む。往水管9aは、冷却用熱媒供給管7aから供給される冷却熱媒、および加熱用熱媒供給管8aから供給される加熱熱媒を室内ユニット5に供給する流路を構成する。還水管9bは、冷却熱媒および加熱熱媒をバルブユニット4に戻す流路を構成する。
【0028】
これにより、冷却熱媒および加熱熱媒は、熱交換ユニット3と室内ユニット5との間を、バルブユニット4を経由してそれぞれ循環する。図2に示す構成例では、冷却用熱媒供給管7aおよび加熱用熱媒供給管8aがいずれも四つの往水管9aにそれぞれ分岐され、冷却熱媒および加熱熱媒は、それぞれ四つの室内ユニット5に分配される。分配された冷却熱媒および加熱熱媒は、四つの還水管9bからそれぞれバルブユニット4に戻され、冷却用熱媒還流管7bもしくは加熱用熱媒還流管8bを通って熱交換ユニット3との間で循環する。
【0029】
したがって、熱媒配管7,8と分配管9では、配管径が異なる。本実施形態では一例として、冷却用熱媒供給管7aと冷却用熱媒還流管7bの配管径は、往水管9aの配管径よりも大きい。また、加熱用熱媒供給管8aと加熱用熱媒還流管8bの配管径は、還水管9bの配管径よりも大きい。これにより、熱媒配管7,8と分配管9との間で、熱媒をスムーズかつ安定して循環させることができる。
【0030】
また、熱媒配管7,8の配管径は、室内ユニット5の合計接続容量に応じて異ならせればよい。室内ユニット5は、その容量(能力)ごとに設計流量が異なるため、それぞれの容量で定格流量が求まる。仮に0.5HP~5HPまでの室内ユニットをラインナップした場合、その定格流量はそれぞれ異なり、循環ポンプ5aも3ラインナップ程度が必要と考えられる。本実施形態では、熱媒循環サイクルが密閉回路である場合を想定しているが、異物の混入や水漏れ等によるエアの侵入を考慮し、配管流速を適切な値とする。このため、室内ユニット5の合計接続容量に応じて、熱媒配管7,8の配管径を異ならせる。
【0031】
バルブユニット4は、主たる要素として、流路切換弁4aを筐体41に収容して構成されている。流路切換弁4aは、冷却熱媒および加熱熱媒のいずれかを室内ユニット5の室内側熱交換器5bに流入させるバルブであり、往水弁41a、還水弁42aを含む。往水弁41aおよび還水弁42aは、制御部40によって開閉される三方弁であり、詳細については後述する。筐体41は、バルブユニット4の外郭を規定する。
室内ユニット5は、主たる要素として、循環ポンプ5a、室内側熱交換器5b、室内ユニットファン5cを備えている。循環ポンプ5a、室内側熱交換器5bは、筐体51内で配管接続され、バルブユニット4を経由して熱交換ユニット3との間で循環する熱媒流路にそれぞれ配置される。室内ユニットファン5cは、筐体51の壁部に隣接して配置される。筐体51は、室内ユニット5の外郭を規定する。循環ポンプ5aは、熱媒流路で熱媒を循環させる。
【0032】
これら熱交換ユニット3、バルブユニット4、および室内ユニット5により構成される熱媒循環サイクルについて、次に説明する。
熱媒循環サイクルにおいて、バルブユニット4には、熱交換ユニット3の冷却用中間熱交換器31bで冷媒に放熱して冷却された熱媒(冷却熱媒)が冷却用熱媒供給管7aから供給される。また、加熱用中間熱交換器32bで冷媒から吸熱して加熱された熱媒(加熱熱媒)が加熱用熱媒供給管8aから供給される。供給された冷却熱媒および加熱熱媒は、往水弁41aを通って往水管9aから室内ユニット5に供給される。往水弁41aは、冷却熱媒もしくは加熱熱媒のいずれかを室内ユニット5に供給する。具体的には、冷房運転を行う室内ユニット5に対し、往水弁41aは、冷却用熱媒供給管7aに繋がるようにバルブユニット4の流路を切り換え、冷却熱媒を供給する。一方、暖房運転を行う室内ユニット5に対し、往水弁41aは、加熱用熱媒供給管8aに繋がるようにバルブユニット4の流路を切り換え、加熱熱媒を供給する。室内ユニット5における冷房運転と暖房運転は、例えば操作パネル(図示省略)のユーザ操作などに応じて制御部50が切り換える。
【0033】
また、室内ユニット5から戻された熱媒は、還水管9bから還水弁42aを通ってバルブユニット4に戻される。還水弁42aは、同一流路上の往水弁41aと対応して動作し、室内ユニット5に供給された熱媒をバルブユニット4に戻す。具体的には、冷房運転を行う室内ユニット5から戻された熱媒を冷却用熱媒還流管7bへ導くように、還水弁42aは、バルブユニット4の流路を切り換える。冷却用熱媒還流管7bへ導かれた熱媒は、冷却用中間熱交換器31bで冷媒に放熱して再び冷却される。一方、還水弁42aは、暖房運転を行う室内ユニット5から戻された熱媒を加熱用熱媒還流管8bへ導くように、バルブユニット4の流路を切り換える。加熱用熱媒還流管8bへ導かれた熱媒は、加熱用中間熱交換器32bで冷媒から吸熱して再び加熱される。
【0034】
室内ユニット5において、循環ポンプ5aは、室内ユニット5の運転もしくは停止に対応して動作し、冷却熱媒もしくは加熱熱媒を吸入して室内側熱交換器5bに吐出する。循環ポンプ5aは、回転数を増減可能なインバータ式のポンプであり、例えば室内側熱交換器5bの出口水温に応じて回転数を増減させる。室内側熱交換器5bは、室内気を熱媒との間で熱交換し、温度調整する。室内ユニットファン5cは、筐体51内に室内気を吸い込んで室内側熱交換器5bに流入させた後、温調された空気を筐体51から室内空間に向けて吹き出す。室内ユニットファン5cは、冷房または暖房の運転開始要求とほぼ同時に回転し、運転停止要求とほぼ同時に停止する。循環ポンプ5aと室内ユニットファン5cを停止する順番は、どちらが先でも構わない。一例として、室内温度のセンシングという観点においては、サーモオフ時にまず循環ポンプ5aを停止させ、室内ユニットファン5cの回転を継続させることが望ましい。
【0035】
このような構成をなす空気調和機1において、冷却熱媒の流路(熱媒配管7)は、冷却熱媒を循環させる循環ポンプ(以下、冷却熱媒循環ポンプという)11を有する。同様に、加熱熱媒の流路(熱媒配管8)は、加熱熱媒を循環させる循環ポンプ(以下、加熱熱媒循環ポンプという)12を有する。これらの循環ポンプ11,12は、室内ユニット5が備える循環ポンプ5a(第1の循環ポンプ)に対する第2の循環ポンプに相当する。
【0036】
冷却熱媒循環ポンプ11および加熱熱媒循環ポンプ12は、熱交換ユニット3の筐体31内、熱交換ユニット3もしくはバルブユニット4の近傍、バルブユニット4の筐体41内のうち、少なくともいずれかに配置されていればよい。本実施形態では一例として、図2に示すように、冷却熱媒循環ポンプ11は、熱交換ユニット3とバルブユニット4の間の冷却用熱媒還流管7bで構成される流路に配置されている。加熱熱媒循環ポンプ12は、熱交換ユニット3とバルブユニット4の間の加熱用熱媒還流管8bで構成される流路に配置されている。これらの循環ポンプ11,12は、いずれも筐体31,41の外に配置されている。したがって、筐体31,41の容量(大きさ)やレイアウトなどの影響を受けずに済み、循環ポンプ11,12の配置の自由度を高められる。
【0037】
循環ポンプ11,12は、循環ポンプ5aと同様に、回転数を増減可能なインバータ式のポンプである。循環ポンプ11,12の回転数は、循環ポンプ5aの回転数に基づいて設定される。このような循環ポンプ11,12の回転数の制御は、熱交換ユニット3の制御部30およびバルブユニット4の制御部40によってなされる。かかる制御は、いずれかの制御部30,40が一元的に行ってもよい。循環ポンプ11,12の回転数を循環ポンプ5aの回転数に応じて増減させることで、循環ポンプ5aへの押し込みを抑制できる。
【0038】
このような循環ポンプ5aへの押し込みを抑制するための循環ポンプ11,12および循環ポンプ5aの回転数の制御(第1の回転数設定処理)の一例について、制御部30,40の制御フローに従って説明する。図4には、第1の回転数設定処理(S1)における制御部30,40の制御フローを示す。
【0039】
図4に示すように、バルブユニット4の制御部40は、冷却された熱媒の流路および加熱された熱媒の流路のそれぞれに対し、循環ポンプ5a(第1の循環ポンプ)の運転台数と回転数を算出する(S101)。算出値を示す信号は、熱交換ユニット3の制御部30に逐次送信される。
【0040】
制御部30は、制御部40から送信された循環ポンプ5aの回転数を合計し、全室内ユニット5における循環ポンプ5aの回転数の合計値(以下、回転数合計値という)を、冷却熱媒および加熱熱媒の流路についてそれぞれ算出する(S102)。算出した回転数合計値は、例えば制御部30のメモリに保持される。
【0041】
次いで、制御部30は、循環ポンプ5aの回転数の合計値に基づいて循環ポンプ11,12(第2の循環ポンプ)の回転数を設定する。設定にあたって、制御部30は、回転数増加条件と回転数減少条件をそれぞれ判定する。回転数増加条件は、回転数合計値が増加しているか否かの判定条件である。回転数減少条件は、回転数合計値が減少しているか否かの判定条件である。これら条件の判定は、ほぼリアルタイムで判定してもよいし、所定の時間間隔をあけて判定してもよい。回転数増加条件および回転数減少条件の判定にあたって、制御部30は、例えばメモリから直近の回転数合計値をパラメータとして読み出し、現時点の回転数合計値と比較する。回転数合計値の増加および減少は、直近の回転数合計値と現時点の回転数合計値とが厳密に一致しない場合の他、ある程度の幅(同一範囲)を超える場合を含んでいてもよい。
【0042】
制御部30は、まず回転数増加条件を判定する(S103)。
回転数増加条件を満たす場合、制御部30は、循環ポンプ11,12(第2の循環ポンプ)の回転数を上昇させる(S104)。すなわち、制御部30は、冷却熱媒の流路に配置された循環ポンプ5aの回転数の合計値に基づいて、冷却熱媒の流路に配置された循環ポンプ、つまり冷却熱媒循環ポンプ11の回転数を上昇させる。また、制御部30は、加熱熱媒の流路に配置された循環ポンプ5aの回転数の合計値に基づいて、加熱熱媒の流路に配置された循環ポンプ、つまり加熱熱媒循環ポンプ12の回転数を上昇させる。回転数の上昇幅は、任意に設定可能である。
【0043】
これに対し、S103において回転数増加条件を満たさない場合、制御部30は、回転数減少条件を判定する(S105)。
減少条件を満たす場合、制御部30は、循環ポンプ11,12(第2の循環ポンプ)の回転数を低下させる(S106)。すなわち、制御部30は、冷却熱媒の流路に配置された循環ポンプ5aの回転数の合計値に基づいて、冷却熱媒循環ポンプ11の回転数を低下させる。また、制御部30は、加熱熱媒の流路に配置された循環ポンプ5aの回転数の合計値に基づいて、加熱熱媒循環ポンプ12の回転数を低下させる。回転数の低下幅は、任意に設定可能である。
【0044】
これに対し、S105において回転数減少条件を満たさない場合、制御部30は、冷却熱媒循環ポンプ11および加熱熱媒循環ポンプ12(第2の循環ポンプ)の回転数を現状のまま維持する(S107)。この場合、回転数増加条件および回転数減少条件をいずれも満たさないため、現時点の回転数合計値は、直近の回転数合計値と一致もしくは同一範囲内となっている。したがって、制御部30は、冷却熱媒循環ポンプ11および加熱熱媒循環ポンプ12の回転数を上昇および低下させることなく、維持する。
【0045】
制御部30,40は、空気調和機1が運転されている間、このような循環ポンプ11,12および循環ポンプ5aの回転数の制御(第1の回転数設定処理)を繰り返す(S108)。これにより、冷却熱媒循環ポンプ11および加熱熱媒循環ポンプ12(第2の循環ポンプ)の回転数は、循環ポンプ5a(第1の循環ポンプ)の回転数の合計値に基づいて適宜上昇、低下、もしくは維持される。
そして、空気調和機1が運転停止されると、制御部30は、第1の回転数設定処理を終了する。
【0046】
なお、上述した第1の回転数設定処理においては、熱交換ユニット3の制御部30が循環ポンプ11,12の回転数を制御している。これに代えて、バルブユニット4の制御部40が循環ポンプ11,12の回転数を制御してもよい。ただし、熱交換ユニット3には冷媒が流れるため、可能な限り空調対象空間(例えば、図3(a)の各階1F,2F)とは隔離した場所に設置したいということ、バルブユニット4は室内ユニット5への配管長を短くした方が施工費を削減できるため、空調対象空間の近傍に設置したいということ、循環ポンプ11,12も騒音や振動が発生するため、熱交換ユニット3と同様に空調対象空間とは隔離させたいということを考慮すると、循環ポンプ11,12の回転数は熱交換ユニット3が制御することが望ましい。換言すれば、循環ポンプ11,12は、熱交換ユニット3とともに空調対象空間とは隔離し、熱交換ユニット3の近傍に配置することが望ましい。
【0047】
図5には、第1の回転数設定処理における循環ポンプ11,12,5aの回転数の時間変化、および循環ポンプ5aの運転台数の時間変化の一例をそれぞれ示す。この例では、循環ポンプ5aの総数を四台としている。図5(a)は、循環ポンプ11,12(第2の循環ポンプ)の回転数の時間変化を示す図である。図5(b)は、循環ポンプ5a(第1の循環ポンプ)の運転台数の時間変化を示す図である。図5(c)から(f)は、一台目から四台目の循環ポンプ5a(第1の循環ポンプ)の回転数の時間変化をそれぞれ示す図である。以下、便宜上、一台目から順に四台目まで循環ポンプ51a,52a,53a,54aという。
【0048】
図5(a)から(f)に示すように、時刻t0において開始制御がなされ、循環ポンプ11,12および循環ポンプ51a,52a,53a,54aはそれぞれ運転を開始する。これらは、上限回転数(Max)と下限回転数(Min)の間の任意の回転数で運転される。運転開始後から一定時間は、すべての循環ポンプ11,12,51a,52a,53a,54aが上限回転数で回転する。その後、空調対象空間の温度調整が進むにつれて、ポンプ回転数は徐々に下限回転数まで低下し、最終的にゼロとなる。
【0049】
図5(a),(c)に示すように、運転開始後、一台目の循環ポンプ51aの回転数が低下すると、それに伴って循環ポンプ11,12の回転数も低下する。そして、循環ポンプ51aが時刻t1に停止制御され、その後に停止すると、循環ポンプ11,12の回転数はさらにR11まで低下する。R11は、上限回転数(Max)より小さく、下限回転数(Min)よりも大きな任意の回転数である。
【0050】
次に、図5(a),(d)に示すように、循環ポンプ51aの停止後、二台目の循環ポンプ52aの回転数が低下すると、それに伴って循環ポンプ11,12の回転数も低下する。そして、循環ポンプ52aが時刻t2に停止制御され、その後に停止すると、循環ポンプ11,12の回転数はさらにR12まで低下する。R12は、R11より小さく、下限回転数(Min)よりも大きな任意の回転数である。
【0051】
続けて、図5(a),(e)に示すように、循環ポンプ52aの停止後、三台目の循環ポンプ53aの回転数が低下すると、それに伴って循環ポンプ11,12の回転数も低下する。そして、循環ポンプ53aが時刻t3に停止制御され、その後に停止すると、循環ポンプ11,12の回転数はさらに低下する。一例として、循環ポンプ11,12の回転数は、下限回転数まで低下する。
【0052】
さらに、図5(a),(f)に示すように、循環ポンプ53aの停止後、四台目の循環ポンプ54aの回転数が低下する。この時、循環ポンプ11,12は、下限回転数で回転を継続する。そして、循環ポンプ54aは、時刻t4に停止制御され、その後に停止する。これと同期し、循環ポンプ11,12も時刻t4に停止制御され、その後に停止する。
【0053】
このように、循環ポンプ11,12の回転数は、循環ポンプ51a,52a,53a,54aの回転数に基づいて、上限回転数から下限回転数を経て停止する(回転数がゼロとなる)まで段階的に低下する。これにより、循環ポンプ11,12の循環ポンプ5aに対する押し込みを抑制できる。なお、循環ポンプ51a,52a,53a,54aの停止タイミングは、図5(b)から(f)に示すタイミングに限定されない。例えば、複数台の循環ポンプ5aが同時に停止する場合もあるし、停止間隔も同一には限られない。
【0054】
上述した本実施形態によれば、熱交換ユニット3とバルブユニット4とを別ユニットとして構成し、これらユニット3,4間の熱媒配管7,8に循環ポンプ11,12が配置されている。このような構成とすることで、空調対象空間までの接続配管を容易に延長できる。例えば図3(a)に示すように、同図(b)に示す比較例と比べて室外ユニット2と空調対象空間(建屋Bの一階1F)が遠く、室内ユニット5が備える循環ポンプ5aの揚程が足りない場合であっても、循環ポンプ11,12によって必要な揚程を確保できる。その結果、長配管対応することが可能となるため、室内ユニット5の配置範囲、つまり空調可能範囲を拡張させることができる。また、熱交換ユニット3やバルブユニット4の配置の自由度を高められるとともに、これらユニット3,4の筐体サイズの増大も抑制可能となる。加えて、熱交換ユニット3とバルブユニット4の間に循環ポンプ11,12を配置することで、バルブユニット4と室内ユニット5の間に配置する場合と比べて必要なポンプ台数が少なくなり、その分だけコストやスペースを削減できる。例えば、室内ユニット5の数が多くなるほど、コストやスペースの削減効果は大きくなる。
【0055】
さらに、図3(a)に示す構成例のように、バルブユニット4を経由した熱交換ユニット3と室内ユニット5との間の熱媒流路(熱媒配管7,8および分配管9)と比べ、室外ユニット2と熱交換ユニット3との間の冷媒流路(冷媒配管6)を短くすることができる。このため、空気調和機1における冷媒充填量を削減可能となる。したがって、GWP×冷媒充填量で算出されるCO2排出量を削減でき、地球温暖化の抑制に寄与できる。
【0056】
また、図2に示すように、熱媒配管7,8は、バイパス管7c,8cによって短絡されている。このため、熱媒配管7,8に直列に接続した場合のようなポンプの押し込みを回避できる。例えば、循環ポンプ11,12が押し込んだ場合、吐出側(冷却用熱媒供給管7aもしくは加熱用熱媒供給管8a)から吸入側(冷却用熱媒還流管7bもしくは加熱用熱媒還流管8b)に熱媒を流すことができる。逆に、押し込みが不足した場合、吸入側(供給管7a,8a)から吐出側(還流管7b,8b)に熱媒を流すことができる。
【0057】
本実施形態では、循環ポンプ5aの回転数の合計値に基づいて循環ポンプ11,12の回転数を設定している。このため、循環ポンプ5aと循環ポンプ11,12の熱媒循環量のアンマッチを回避し、バイパス管7c,8cの熱媒通過を抑制できる。これにより、ポンプ電力の過剰な消費を低減可能となる。
【0058】
なお、図2に示す構成では、バイパス管7c,8cを循環ポンプ11,12の近傍に配管しているが、例えば熱交換ユニット3またはバルブユニット4の筐体31,41内にバイパス管を配管してもよい。
【0059】
ここで、本実施形態では図2に示すように、室外ユニット2と熱交換ユニット3は、それぞれに分割してケーシングされた個別のユニットとして構成されている。これら室外ユニット2と熱交換ユニット3は、一体にケーシングされた一つのユニットとして構成されてもよい。以下、室外ユニット2と熱交換ユニット3とを一体化させた熱源ユニットとして構成した実施形態を、第2の実施形態として説明する。
【0060】
[第2の実施形態]
図6は、本実施形態の空気調和機1aの配管系統を概略的に示す図である。図6に示すように、空気調和機1aは、熱源ユニット10と、バルブユニット4と、室内ユニット5とを備えている。なお、空気調和機1aは、以下に説明する構成を除き、空気調和機1と同様に構成されている。したがって、空気調和機1と同様の構成については、図面上で同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
熱源ユニット10は、配管接続された各種の部材を筐体101にそれぞれ収容して構成されている。筐体101は、熱源ユニット10の外郭を規定する。熱源ユニット10は、冷却用熱源ユニット10aと加熱用熱源ユニット10bを備えている。また、熱源ユニット10は、循環ポンプ13,14を構成部材として含む。循環ポンプ13は、バルブユニット4を経由して室内ユニット5に冷却熱媒を供給する流路に配置されている。すなわち、循環ポンプ13は、循環ポンプ11と同様に冷却熱媒循環ポンプ(以下、冷却熱媒循環ポンプ13という)に相当する。これに対し、循環ポンプ14は、バルブユニット4を経由して室内ユニット5に冷却熱媒を供給する流路に配置されている。すなわち、循環ポンプ14は、循環ポンプ12と同様に加熱熱媒循環ポンプ(以下、加熱熱媒循環ポンプ14という)に相当する。
【0062】
また、空気調和機1aは、複数のバルブユニット4を備えている。各バルブユニット4は、それぞれ複数の室内ユニット5と分配管9によって配管接続されている。室内ユニット5とバルブユニット4の間の接続配管(往水管9a)で構成される流路には、循環ポンプ5aが配置されている。
【0063】
循環ポンプ13,14は、回転数を増減可能なインバータ式のポンプである。循環ポンプ13,14の回転数は、すべての循環ポンプ5aの合計運転台数および合計回転数に基づいて設定される。このような循環ポンプ13,14の回転数の制御は、熱源ユニット10の制御部100によってなされる。
【0064】
このように本実施形態によれば、第1の実施形態よりもさらに冷媒量を削減することが可能となる。また、例えば熱源ユニット10が熱源として循環ポンプ13,14を標準で内蔵するチラーシステムである場合、より正確な熱媒の流量制御が可能となる。仮に、循環ポンプ13,14に相当するポンプ装置を空気調和機1aの設置先で現地調達する場合、ポンプ装置を正確に回転数制御するべく、流量特性を機器にインプットする必要がある。これに対し、チラーシステムの場合、内蔵された循環ポンプ13,14の回転数と流量の相関は、事前に把握可能である。したがって、ポンプ装置を現地調達する場合のような流量特性のインプットを要しない。
【0065】
なお、本実施形態では、熱源ユニット10が冷却用熱源ユニット10aと加熱用熱源ユニット10bを備えた構成としているが、冷却熱媒および加熱熱媒を同時に供給可能なユニット構成であってもよい。
【0066】
[第3の実施形態]
また、第1の実施形態では図2に示すように、循環ポンプ11,12は、熱交換ユニット3とバルブユニット4の間の熱媒配管7,8で構成される流路に配置されている。上述したように、循環ポンプ11,12は、熱交換ユニット3の筐体31内、熱交換ユニット3もしくはバルブユニット4の近傍、バルブユニット4の筐体41内のうち、少なくともいずれかに配置されていればよい。一例として、図7には、循環ポンプ15,16をバルブユニット4の筐体41内に配置した構成を示す。以下、循環ポンプ15,16が筐体41内に配置された実施形態を第3の実施形態として説明する。
【0067】
図7は、本実施形態の空気調和機1bの配管系統を概略的に示す図である。図7に示すように、空気調和機1bにおいて、循環ポンプ15,16は、バルブユニット4の筐体41内に配置されている。また、各室内ユニット5には、第1の実施形態における循環ポンプ5aに相当するポンプ装置が配置されていない。そして、熱媒配管7,8は、冷却用熱媒バイパス管7cおよび加熱用熱媒バイパス管8cに相当するバイパス管(短絡流路)を有していない。これら以外の空気調和機1bの構成は、空気調和機1と同様である。したがって、空気調和機1と同様の構成については、図面上で同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
バルブユニット4は、流路切換弁4aに加えて、主たる要素として循環ポンプ15,16を筐体41に収容して構成されている。循環ポンプ15は、冷却用中間熱交換器31bで冷却された熱媒(冷却熱媒)をバルブユニット4から熱交換ユニット3に還流する流路に配置されている。すなわち、循環ポンプ15は、循環ポンプ11と同様に冷却熱媒循環ポンプ(以下、冷却熱媒循環ポンプ15という)に相当する。これにより、冷却熱媒循環ポンプ15は、冷却熱媒の流路において冷却熱媒を循環させる。これに対し、循環ポンプ16は、加熱用中間熱交換器32bで加熱された熱媒(加熱熱媒)をバルブユニット4から熱交換ユニット3に還流する流路に配置されている。すなわち、循環ポンプ16は、循環ポンプ12と同様に加熱熱媒循環ポンプ(以下、加熱熱媒循環ポンプ16という)に相当する。これにより、加熱熱媒循環ポンプ16は、加熱熱媒の流路において加熱熱媒を循環させる。
【0069】
循環ポンプ15,16は、回転数を増減可能なインバータ式のポンプである。循環ポンプ15,16の回転数は、熱媒の流路数に基づいて設定される。このような循環ポンプ15,16の回転数の制御は、バルブユニット4の制御部40によってなされる。
【0070】
また、循環ポンプ15,16の回転数には、上限回転数が設定されている。制御部40は、室内ユニット5の接続容量に応じて、循環ポンプ15,16の上限回転数をそれぞれ変更する。室内ユニット5の接続容量は、熱交換ユニット3と室内ユニット5との間で熱媒が循環される流路数とその負荷によって規定される。流路数は、空調に寄与するべく、実際に熱媒が循環している系統の数である。例えば、冷却熱媒の流路数は、冷却熱媒が室内側熱交換器5bに供給されている流路系統の数である。また、加熱熱媒の流路数は、加熱熱媒が室内側熱交換器5bに供給されている流路系統の数である。
【0071】
このような循環ポンプ15,16の回転数の制御(第2の回転数設定処理)の一例について、制御部40の制御フローに従って説明する。図8には、第2の回転数設定処理(S2)における制御部40の制御フローを示す。
【0072】
図8に示すように、バルブユニット4の制御部40は、冷却された熱媒の流路および加熱された熱媒の流路のそれぞれに対し、熱媒の流路数の合計値(以下、流路数合計値という)を算出する(S201)。流路数合計値は、例えば流路切換弁4a(往水弁41aおよび還水弁42a)の開閉状態に基づいて算出される。算出した流路数合計値は、例えば制御部40のメモリに保持される。
【0073】
次いで、制御部40は、熱媒の流路数合計値に基づいて循環ポンプ15,16の回転数を設定する。設定にあたって、制御部40は、流路数増加条件と流路数減少条件をそれぞれ判定する。流路数増加条件は、流路数合計値が増加しているか否かの判定条件である。流路数減少条件は、回転数合計値が減少しているか否かの判定条件である。これら条件の判定は、ほぼリアルタイムで判定してもよいし、所定の時間間隔をあけて判定してもよい。流路数増加条件および流路数減少条件の判定にあたって、制御部40は、例えばメモリから直近の流路数合計値をパラメータとして読み出し、現時点の流路数合計値と比較する。流路数合計値の増加および減少は、直近の流路数合計値と現時点の流路数合計値とが厳密に一致しない場合の他、ある程度の幅(同一範囲)を超える場合を含んでいてもよい。
【0074】
制御部40は、まず流路数増加条件を判定する(S202)。
流路数増加条件を満たす場合、制御部40は、循環ポンプ15,16の回転数を上昇させる(S203)。すなわち、制御部40は、冷却熱媒の流路数合計値に基づいて、冷却熱媒の流路に配置された循環ポンプ、つまり冷却熱媒循環ポンプ15の回転数を上昇させる。また、制御部40は、加熱熱媒の流路の流路数合計値に基づいて、加熱熱媒の流路に配置された循環ポンプ、つまり加熱熱媒循環ポンプ16の回転数を上昇させる。回転数の上昇幅は、任意に設定可能である。
【0075】
これに対し、S202において流路数増加条件を満たさない場合、制御部40は、流路数減少条件を判定する(S204)。
流路数減少条件を満たす場合、制御部40は、循環ポンプ15,16の回転数を低下させる(S205)。すなわち、制御部40は、冷却熱媒の流路数合計値に基づいて、冷却熱媒循環ポンプ15の回転数を低下させる。また、制御部40は、加熱熱媒の流路数合計値に基づいて、加熱熱媒循環ポンプ16の回転数を低下させる。回転数の低下幅は、任意に設定可能である。
【0076】
これに対し、S204において流路数減少条件を満たさない場合、制御部40は、冷却熱媒循環ポンプ15および加熱熱媒循環ポンプ16の回転数を現状のまま維持する(S206)。この場合、流路数増加条件および流路数減少条件をいずれも満たさないため、現時点の流路数合計値は、直近の流路数合計値と一致もしくは同一範囲内となっている。したがって、制御部40は、冷却熱媒循環ポンプ15および加熱熱媒循環ポンプ16の回転数を上昇および低下させることなく、維持する。
【0077】
制御部40は、空気調和機1bが運転されている間、このような循環ポンプ15,16の回転数の制御(第2の回転数設定処理)を繰り返す(S207)。これにより、冷却熱媒循環ポンプ15および加熱熱媒循環ポンプ16の回転数は、熱媒の流路数合計値に基づいて適宜上昇、低下、もしくは維持される。
そして、空気調和機1bが運転停止されると、制御部40は、第2の回転数設定処理を終了する。
【0078】
なお、上述した第2の回転数設定処理においては、バルブユニット4の制御部40が循環ポンプ15,16の回転数を制御している。これに代えて、熱交換ユニット3の制御部30が循環ポンプ15,16の回転数を制御してもよい。
【0079】
図9には、第2の回転数設定処理の一例を示す。具体的には、空気調和機1bの冷却運転時における冷却熱媒循環ポンプ15の回転数の時間変化、および冷却熱媒の流路数の時間変化の一例をそれぞれ示す。なお、空気調和機1bの加熱運転時における加熱熱媒循環ポンプ16の回転数の時間変化、および加熱熱媒の流路数の時間変化も図9に示す態様と同様に捉えることができる。これらの例では、バルブユニット4における室内ユニット5の最大接続数は四つとしており、冷却熱媒の流路数は最大四系統である。図9(a)は、冷却熱媒の流路数の時間変化を示す図である。図9(b)は、室内ユニット5の接続容量が大きい場合の循環ポンプ15の回転数の時間変化を示す図である。図9(c)は、室内ユニット5の接続容量が小さい場合の循環ポンプ15の回転数の時間変化を示す図である。図9(d)は、室内ユニット5の接続容量が小さい場合の循環ポンプ15の回転数の時間変化の別例を示す図である。
【0080】
図9(a)から(d)に示すように、時刻t0において開始制御がなされ、循環ポンプ15は運転を開始する。循環ポンプ15は、下限回転数(Min)と上限回転数(Max)の間の任意の回転数で運転される。運転開始後から一定時間、循環ポンプ15は上限回転数で回転する。その後、空調対象空間の温度調整が進み、冷却熱媒の流路数(室内ユニット5の接続容量)が減少するにつれて、ポンプ回転数は徐々に下限回転数まで低下し、最終的にゼロとなる。
【0081】
室内ユニット5の接続容量が大きい場合、図9(a),(b)に示すように、時刻t0において開始制御がなされ、循環ポンプ15は運転を開始し、時刻t1まで第1の上限回転数(Max1)で回転を継続する。
【0082】
時刻t1において、冷却熱媒の流路数が一系統減少すると、循環ポンプ15は、第1の上限回転数から回転数がR21まで徐々に低下する。R21は、第1の上限回転数(Max1)より小さく、下限回転数(Min)よりも大きな任意の回転数である。その後、循環ポンプ15は、時刻t2まで回転数R21で回転を継続する。
【0083】
時刻t2において、冷却熱媒の流路数がさらに一系統減少すると、循環ポンプ15は、回転数がR21からR22まで徐々に低下する。R22は、R21より小さく、下限回転数(Min)よりも大きな任意の回転数である。その後、循環ポンプ15は、時刻t3まで回転数R22で回転を継続する。
【0084】
時刻t3において、冷却熱媒の流路数がさらにまた一系統減少すると、循環ポンプ15は、回転数がR22から下限回転数まで徐々に低下する。この時、冷却熱媒の流路数は一系統である。その後、循環ポンプ15は、時刻t4まで下限回転数で回転を継続する。
【0085】
そして、時刻t4において、冷却熱媒の流路数が減少すると、循環ポンプ15は停止制御され、その後に停止する。この時、冷却熱媒の流路数はゼロ、つまり冷却冷媒が流れる流路が一系統も存在しない状態となっている。
【0086】
このように、循環ポンプ15は、上限回転数で回転した後、流路数(系統)の減少に応じて回転数が低下し、流路数が一つとなった場合に下限回転数で回転する。
【0087】
室内ユニット5の接続容量が小さい場合、上限回転数を第1の上限回転数(Max1)よりも低い第2の上限回転数(Max2)で循環ポンプ15の回転数を制御する。
例えば図9(a),(c)に示すように、時刻t0において開始制御がなされると、循環ポンプ15は運転を開始し、第2の上限回転数(Max2)で回転する。第2の上限回転数は、第1の上限回転数(Max1)よりも小さな任意の回転数である。
【0088】
時刻t1において、冷却熱媒の流路数は一系統減少するが、循環ポンプ15は、第2の上限回転数で回転を継続する。そして、時刻t2において、冷却熱媒の流路数がさらに一系統減少すると、循環ポンプ15は、回転数が第2の上限回転数からR23まで徐々に低下する。R23は、第2の上限回転数(Max2)より小さく、下限回転数(Min)よりも大きな任意の回転数である。その後、循環ポンプ15は、時刻t3まで回転数R23で回転を継続する。
【0089】
時刻t3において、冷却熱媒の流路数がさらにまた一系統減少すると、循環ポンプ15は、回転数がR23から下限回転数まで徐々に低下する。この時、冷却熱媒の流路数は一系統である。その後、循環ポンプ15は、時刻t4まで下限回転数で回転を継続する。
【0090】
そして、時刻t4において、冷却熱媒の流路数が減少すると、循環ポンプ15は停止制御され、その後に停止する。この時、冷却熱媒の流路数はゼロ、つまり冷却冷媒が流れる流路が一系統も存在しない状態となっている。
【0091】
図9(a),(c)に示す例では、第2の上限回転数を第1の上限回転数から変更しているが、これに加えて、第2の上限回転数に応じて回転数の減少比率(減少幅)を変更してもよい。
例えば図9(a),(d)に示すように、時刻t0において開始制御がなされると、循環ポンプ15は運転を開始し、時刻t1まで第2の上限回転数で回転を継続する。
【0092】
時刻t1において、冷却熱媒の流路数が一系統減少すると、循環ポンプ15は、第2の上限回転数から回転数がR24まで徐々に低下する。R24は、第2の上限回転数(Max2)より小さく、R23よりも大きな任意の回転数である。その後、循環ポンプ15は、時刻t2まで回転数R24で回転を継続する。
【0093】
時刻t2において、冷却熱媒の流路数がさらに一系統減少すると、循環ポンプ15は、回転数がR24からR23まで徐々に低下する。その後、循環ポンプ15は、時刻t3まで回転数R23で回転を継続する。
【0094】
時刻t3において、冷却熱媒の流路数がさらにまた一系統減少すると、循環ポンプ15は、回転数がR24から下限回転数まで徐々に低下する。この時、冷却熱媒の流路数は一系統である。その後、循環ポンプ15は、時刻t4まで下限回転数で回転を継続する。
【0095】
そして、時刻t4において、冷却熱媒の流路数が減少すると、循環ポンプ15は停止制御され、その後に停止する。この時、冷却熱媒の流路数はゼロ、つまり冷却冷媒が流れる流路が一系統も存在しない状態となっている。
【0096】
室内ユニット5の接続容量が小さい場合、このように上限回転数を接続容量が大きい場合よりも低く設定することで、循環ポンプ15の電力消費を抑えることができる。これにより、室内ユニット5の接続容量が小さい場合に、例えば冷却冷媒の流量が過剰になり、循環ポンプ15の動力が必要以上に大きくなるような事態を防ぐことができる。
【0097】
図10には、図9に示す冷却熱媒の流路数(系統数)と循環ポンプ15の回転数の関係を示す。図10(a)は図9(b)に示す具体例1、図10(b)は図9(c)に示す具体例2、図10(c)は図9(d)に示す具体例3についての関係をそれぞれ示す。
【0098】
本実施形態によれば、循環ポンプ15,16の回転数を熱媒の流路数に応じて変更できる。例えば、熱媒の流路において、制御部40は、室内ユニット5に熱媒を供給する流路数(系統数)が増加した場合、循環ポンプ15,16の回転数を上昇させ、該流路数(系統数)が減少した場合、該回転数を低下させる。これにより、循環ポンプ15,16の回転数は、熱媒の流路数に見合った値となり、ポンプ動力を適正化できる。
【0099】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、かかる実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1,1a,1b…空気調和機、2…室外ユニット、3…熱交換ユニット、3b…中間熱交換器、4…バルブユニット、4a…流路切換弁、41a…往水弁、42a…還水弁、5…室内ユニット、5a…循環ポンプ、5b…室内側熱交換器、6…冷媒配管、6a…液管、6b…吸入ガス管、6c…吐出ガス管、7,8…熱媒配管、7a…冷却用熱媒供給管、7b…冷却用熱媒還流管、7c…冷却用熱媒バイパス管、8a…加熱用熱媒供給管、8b…加熱用熱媒還流管、8c…加熱用熱媒バイパス管、9…分配管、9a…往水管、9b…還水管、10…熱源ユニット、10a…冷却用熱源ユニット、10b…加熱用熱源ユニット、11,13,15…循環ポンプ(冷却熱媒循環ポンプ)、12,14,16…循環ポンプ(加熱熱媒循環ポンプ)、20,30,40,50,100…制御部、21,31,41,51,101…筐体、31b…冷却用中間熱交換器、32b…加熱用中間熱交換器。
図1
図2
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図6
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図8
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図10