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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】転圧車両
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
E01C19/26
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019207176
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021080666
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅嶋 進弥
(72)【発明者】
【氏名】田中 正道
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 貴尚
(72)【発明者】
【氏名】池田 豊
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-356164(JP,A)
【文献】特開2002-029426(JP,A)
【文献】特開2013-019247(JP,A)
【文献】実開昭63-093252(JP,U)
【文献】実開昭57-086835(JP,U)
【文献】実開昭61-021632(JP,U)
【文献】特開2015-054687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/26
E02F 9/26
B60K 37/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の前方位置にステアリング及びインストルメントパネルが設けられ、前記インストルメントパネル上に車両の状態を表示する計器類、前記車両を走行操作する複数の走行系スイッチ類、及び転圧作業を操作する複数の作業系スイッチ類が設けられた転圧車両において、
前記ステアリングの正面で前記運転席に着座したオペレータが前記ステアリングのリムの内側を介して視認可能な前記インストルメントパネル上の領域に、前記計器類、前記走行系スイッチ類及び前記作業系スイッチ類が配設されると共に、オプション設定のスイッチ類を設置可能なスイッチ孔が設けられて脱着可能なカバーにより隠蔽されている
ことを特徴とする転圧車両。
【請求項2】
前記複数の走行系スイッチ類は、前記インストルメントパネル上の前記計器類を挟んだ左右両側のスペースの何れか一方に配設され、
前記複数の作業系スイッチ類は、前記計器類を挟んだ左右両側のスペースの何れか他方に配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両。
【請求項3】
前記複数の走行系スイッチ類及び前記複数の作業系スイッチ類は、それぞれ前記ステアリングのリムの円弧形状に沿って並設されている
ことを特徴とする請求項2に記載の転圧車両。
【請求項4】
前記複数の走行系スイッチ類または前記複数の作業系スイッチ類の何れかは、操作対象の機器を作動させるON操作面、及び前記操作対象の機器を停止させるOFF操作面を有するロッカースイッチとして構成され、前記ON操作面を前記ステアリングのリム側として、前記ON操作面と前記OFF操作面とを左右方向に並べた姿勢で前記インストルメントパネル上に配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両。
【請求項5】
前記複数の走行系スイッチ類または前記複数の作業系スイッチ類の何れかは、回転操作に応じて操作対象の機器の作動状態を切り換えるロータリースイッチとして構成され、回転操作のための操作部が回転操作の中心よりも前記ステアリングのリム側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両。
【請求項6】
前記複数の走行系スイッチ類または前記複数の作業系スイッチ類として、同一種類のスイッチが同一姿勢で並設されている
ことを特徴とする請求項2に記載の転圧車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転圧車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の転圧車両では、運転席の前方位置にステアリング及びインストルメントパネルが設けられ、インストルメントパネル上に、車両の状態を表示する計器類、及び車両の走行操作や転圧作業の操作を行うための各種スイッチ類が設けられている。運転席に着座したオペレータは、ステアリングを操舵して車両の進路を調整すると共に、ステアリングの左右に配置された前後進レバーを操作して車両を前進或いは後進させ、これにより走行輪を兼ねた前後の転圧輪により路面を締め固めている。この締固め作業中において、オペレータは計器類の表示に基づき車両の状態、例えばエンジン冷却水温や燃料残量等を把握すると共に、車両の走行や転圧作業に必要なスイッチ操作、例えば走行速度のHi・Lo切換やハザードランプのON/OFF、或いは散水モードの選択や加振装置のON/OFF等を行っている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図5は従来の転圧車両において運転席に着座したオペレータから見たステアリング及びインストルメントパネルを示す図であり、この図に基づきインストルメントパネル上の計器類及び各種類スイッチ類の配置状態を説明する。
【0004】
この従来の転圧車両は、前部車体4と後部車体5とをアーティキュレート機構を介して連結したコンバインド振動ローラ101であり、後部車体5上に図示しない運転席が設けられ、その前側位置に立設された運転台9上にステアリング12及びインストルメントパネル102が設けられている。インストルメントパネル102上の左右方向の中央には、計器類103として水温・燃料計104及びタコメータ105が設けられ、それらの左右両側には、振動ローラ101の走行操作や転圧作業の操作を行うための複数のスイッチ類106が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-134941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
締固め作業中のオペレータは、例えば塀ぎわや縁石ぎわ等の予め定められた走行経路に正確に沿って転圧車両を走行させるために、ステアリング12及び前後進レバー13に対する迅速かつ的確な運転操作が要求され、これと同時に周囲で働く作業者等への接触防止のために、その位置を常に把握し続ける必要もある。
【0007】
このように締固め作業中の振動ローラ101の運転操作は、大雑把な走行車線を保つだけの乗用車等の運転操作とは異なり高い集中力が要求される。さらに締固め作業中のオペレータは、計器類103を視認して振動ローラ101の状態を把握し、且つ振動ローラ101の走行や転圧作業のために各スイッチ類106を操作する必要がある。しかし、肝心の車両進路や周囲への注意が疎かにならないように、これらの計器類103の視認やスイッチ類106の操作に割ける時間はごく一瞬に限られる。
【0008】
以上の転圧車両特有の事情に対して、従来の振動ローラ101のインストルメントパネル102は改良の余地があった。
即ち、図5に示すように、運転席に着座したオペレータとインストルメントパネル102との間にはステアリング12が介在し、そのリム12cにより計器類103やスイッチ類106の一部が遮られてしまう。従って、計器類103やスイッチ類106を視認するために、オペレータは首を傾げたり体を傾けたりして視点をずらす必要が生じる。このため、計器類103の表示に基づき振動ローラ101の状態を把握するまでの所要時間、或いは所望のスイッチ類106の操作を完了するまでの所要時間が長引いてしまう。このような傾向は、肝心の振動ローラ101の運転操作や周囲への注意を疎かにしてしまう上に、オペレータを無用に疲労させる要因にもなるため、改良の余地があった。
【0009】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、インストルメントパネル上に設けられた計器類の表示に基づき車両の状態を迅速かつ容易に把握できる共に、同じくインストルメントパネル上に設けられたスイッチ類を迅速かつ容易に操作することができる転圧車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の転圧車両は、運転席の前方位置にステアリング及びインストルメントパネルが設けられ、前記インストルメントパネル上に車両の状態を表示する計器類、前記車両を走行操作する複数の走行系スイッチ類、及び転圧作業を操作する複数の作業系スイッチ類が設けられた転圧車両において、前記ステアリングの正面で前記運転席に着座したオペレータが前記ステアリングのリムの内側を介して視認可能な前記インストルメントパネル上の領域に、前記計器類、前記走行系スイッチ類及び前記作業系スイッチ類が配設されると共に、オプション設定のスイッチ類を設置可能なスイッチ孔が設けられて脱着可能なカバーにより隠蔽されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の転圧車両によれば、インストルメントパネル上に設けられた計器類の表示に基づき車両の状態を迅速かつ容易に把握できる共に、同じくインストルメントパネル上に設けられたスイッチ類を迅速かつ容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のコンバインド振動ローラを示す側面図である。
図2】運転席に着座したオペレータから見たステアリング及びインストルメントパネルを示す図である。
図3】ステアリングとインストルメントパネルとの位置関係を示す図2のA矢視図である。
図4】走行系スイッチ類としてトグルスイッチを用いた別例を示す図3に対応する図である。
図5】従来の転圧車両において運転席に着座したオペレータから見たステアリング及びインストルメントパネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をコンバインド振動ローラに具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のコンバインド振動ローラを示す側面図であり、以下の説明では、車両を基準として前後方向及び左右方向を表現する。
【0014】
コンバインド振動ローラ1(以下、車両と称することもある)の車体は、前部転圧輪2を備えた前部車体4と後部転圧輪3を備えた後部車体5とにより構成されている。これらの車体4,5はアーティキュレート機構6を介して連結されており、前部車体4に設けられた図示しない操舵シリンダの駆動により、アーティキュレート機構6を中心として前部及び後部車体4,5が水平方向に屈曲することで車両1の操舵が行われる。
【0015】
前部転圧輪2は、ほぼ車幅と対応する長さを有する金属ドラムから構成され、前部車体4から下方に延設された左右両側の支持アーム7により回転可能に支持されている。また、後部転圧輪3は左右2本ずつ計4本のゴムタイヤから構成され、後部車体5の左右中央に設けられた図示しないアクスルにより回転可能に支持されている。これらの前部及び後部転圧輪2,3は図示しない走行用の油圧モータにより駆動され、各転圧輪2,3により路面を締固めながら車両1が走行する。
【0016】
図2は運転席8に着座したオペレータから見たステアリング12及びインストルメントパネル10を示す図である。
後部車体5上にはベンチ式の運転席8が設置され、運転席8の前方位置には運転台9が立設されている。運転台9の上部には上方斜め後方に面した平坦なインストルメントパネル10が形成され、インストルメントパネル10からはステアリングシャフト11を介して2スポーク型のステアリング12が支持されている。詳しくは、ステアリングシャフト11に支持されたボス12aから左右一対のスポーク12bが延設され、これらのスポーク12bを介してリング状のリム12cがインストルメントパネル10と平行な角度で支持されている。
締固め作業ではオペレータが運転席8に着座し、ステアリング12及び運転台9の左右に設けられた前後進レバー13、或いは足元のペダル14等を操作する。これらの操作に応じて上記操舵シリンダや油圧モータが作動し、車両1の操舵や走行が行われる。
【0017】
運転席8の後側に相当する後部車体5上の最後部には、貯水タンク15が搭載されている。貯水タンク15には、前部及び後部転圧輪2,3の近傍に配設された転圧輪散水ノズル16f,16r、及び後部車体5の後端に配設された図示しない路面散水ノズルが配管及び給水ポンプを介して接続されている。舗装作業時には、前部及び後部転圧輪2,3への舗装材の付着防止或いは転圧後の舗装材の冷却等を目的として、貯水タンク15内に貯留された水が給水ポンプにより各散水ノズル16f,16rに供給されて前部及び後部転圧輪2,3や路面へと散水される。また、図示はしないが後部転圧輪3の近傍には溶剤散布ノズルが配設され、舗装作業時には、後部転圧輪3への舗装材の付着防止を目的として図示しない溶剤タンク内に貯留された溶剤が溶剤散布ノズルから後部転圧輪3へと散布される。
【0018】
なお、後部車体5の後部にはハザードランプ17及び作業灯18が設けられ、例えばハザードランプ17は作業中に周囲への注意喚起のために点滅し、作業灯18は夜間作業で前部のヘッドライトと共に点灯するようになっている。
【0019】
図3はステアリング12とインストルメントパネル10との位置関係を示す図2のA矢視図であり、図2,3に基づき、インストルメントパネル10上の計器類及び各種スイッチ類の配置状態を説明する。
【0020】
インストルメントパネル10は横長四角状をなし、車両1の状態を表示する計器類20及び各種スイッチ類21,22が設けられている。スイッチ類21,22は、車両1を走行操作するための複数のスイッチ類(以下、走行系スイッチ類21と称する)と、転圧作業を操作するための複数のスイッチ類(以下、作業系スイッチ類22と称する)とに大別され、本実施形態では操作性の観点から、インストルメントパネル10上の異なる位置に集約して配設されている。
【0021】
詳しくは、インストルメントパネル10上の左右方向の中央には、計器類20として液晶ディスプレイ23及び多数のワーニングランプ24が設けられている。液晶ディスプレイ23には、エンジン冷却水温、エンジン回転数、燃料残量、走行系及び作業系スイッチ類22の操作状態等が表示される。また、液晶ディスプレイ23の左右両側に設けられたワーニングランプ24は、例えばエンジン冷却水温の異常上昇、燃料残量の不足等が発生したときに点灯表示される。
【0022】
インストルメントパネル10上の計器類20の右側には走行系スイッチ類21が配設され、計器類20の左側には作業系スイッチ類22が配設されており、これらのスイッチ類21,22の詳細については後述する。また、インストルメントパネル10上の作業系スイッチ類22の下側には、図示しないオプション設定された機器のスイッチ類を設置可能なスイッチ孔25が設けられて、脱着可能なカバー26により隠蔽されている。
【0023】
本実施形態では、コンパクションメータのレンジ切換スイッチ、バックブザーの強制OFFスイッチ、及び散水タイマがオプション設定されている。レンジ切換スイッチは、コンパクションメータにより液晶ディスプレイ23に表示される路面の締固め度のグラフの表示レンジを切り換えるスイッチである。強制OFFスイッチは、夜間作業中にバックブザーを停止させるスイッチであり、散水タイマは散水時間を設定するスイッチである。購入者の希望に応じて車両1にオプション機器が搭載された場合には、オプション機器に対応するスイッチ孔25からカバー26が取り外されてスイッチ類が設置される。
【0024】
そして本実施形態では図2に示すように、これらの計器類20、走行系及び作業系スイッチ類21,22の全て(オプション機器が備えられた場合にはそのスイッチ類も含めて)が、ステアリング12のリム12cの内側を介して視認可能となっている。詳しくは、オペレータがベンチ式の運転席8の中央(換言すると、ステアリング12の正面)に着座したとき、ステアリング12のスポーク12bよりも上側に相当するリム12cの内側を介して視認可能となるインストルメントパネル10上の領域に、計器類20、走行系及び作業系スイッチ類21,22、オプション機器のスイッチ孔25の全てが配設されている。
【0025】
従って、オペレータはステアリング12のリム12cに遮られることなく(換言すると、視認のために首を傾げたり体を傾けたりして視点をずらすことなく)、計器類20やオプション機器を含めた全てのスイッチ類21,22を視認することができる。結果として、肝心の車両1の運転操作や周囲の作業者等への注意を疎かにすることなく、計器類20の表示に基づき車両1の状態を迅速かつ容易に把握できると共に、所望のスイッチ類21,22を迅速かつ容易に操作でき、さらに、これに伴うオペレータの無用な疲労を未然に防止することができる。
【0026】
次いで、インストルメントパネル10上のスイッチ類21,22の詳細を説明する。
本実施形態では走行系スイッチ類21として上段から、ハザードランプ17をON/OFFするハザードスイッチ28、作業灯をON/OFFする作業灯スイッチ29、パーキングブレーキをON/OFFするパーキングスイッチ30、及び走行速度を切り換えるHi・Lo切換スイッチ31が並設されている。このような各スイッチ28~31の配置は、インストルメントパネル10上の上段ほど、オペレータが視認がし易く且つ容易に操作可能なことを鑑みて、操作頻度が高いスイッチ28~31ほど上段に設けた結果である。
【0027】
ハザードスイッチ28、作業灯スイッチ29及びパーキングスイッチ30は同一種類のロッカースイッチとして構成され、そのON操作面28a~30aを押圧すると操作対象の機器を作動させ、OFF操作面28b~30bを押圧すると操作対象の機器を停止させるようになっている。各スイッチ28~31はON操作面28a~30aを右側としOFF操作面28b~30bを左側として、両操作面28a~30a,28b~30bを左右方向に並べた姿勢でインストルメントパネル10上に配設されている。結果として各スイッチ28~31は、ON操作面28a~30aをステアリング12のリム12c側に位置させた同一姿勢で上下方向に並設されている。
【0028】
これらのスイッチ28~31を操作する際、図3に示すように、オペレータは右手の指先を右方から所望のスイッチ28~31に接近させるため、より近いON操作面28a~30aの方がOFF操作面28b~30bよりも容易に押圧操作できる。各スイッチ28~31のON操作は作業の進行に応じて遅滞なく実行する必要があるためOFF操作よりも優先度が高く、この要請に対応した両操作面28a~30a,28b~30bの配置により迅速なON操作が可能となっている。
【0029】
また、これらの各スイッチ28~31に関しては、以下の利点も得られる。
まず、同一種類のロッカースイッチを同一姿勢で並設しているため、互いの間に大きな間隙を設けることなくインストルメントパネル10上に配設でき、結果として3つのスイッチ28~31のインストルメントパネル10上での占有面積を縮小できる。インストルメントパネル10上においてステアリング12のリム12cの内側を介して視認可能な領域には限りがあり、その領域内に計器類20、走行系及び作業系スイッチ類21,22、さらにはオプション機器のスイッチ孔25の全てを設けることが望ましい。3つのスイッチ28~31の占有面積の縮小により、インストルメントパネル10上のスペースに余裕が生じ、他のスイッチ類等を適切な位置に無理なく配設することができる。
【0030】
加えて、各スイッチ28~31のON操作面28a~30aがステアリング12のリム12c側に位置し、OFF操作面28b~30bが反リム12c側に位置している。このため共通の操作感でON/OFF操作できることから一層迅速なスイッチ操作が可能となる上に、誤操作の防止にも大きく貢献する。
【0031】
なお図4に示すように、ロッカースイッチに代えてトグルスイッチ28~30を用いてもよい。この場合には左右方向において左側(反リム12c側)に傾動操作したときにON、右側(リム12c側)に傾動操作したときにOFFとなるように、トグルスイッチ28~30を設置する。左側への傾動操作の方が容易なため、この側を優先度が高いON操作として設定したものである。
【0032】
一方、Hi・Lo切換スイッチ31はロータリースイッチとして構成され、回転操作に応じて車両1の走行速度が高速、低速の2位置間で切り換えられるようになっている。Hi・Lo切換スイッチ31の表面には、左右方向に直線状をなす操作突起31aが一体形成されている。上記ハザードスイッチ28等の操作と同じく、オペレータは右手の指先を右方からHi・Lo切換スイッチ31に接近させ、操作突起31aの右側の部位(回転操作のための操作部に相当し、以下の説明でもこの部位を操作部31bと称する)に容易に指先を押し当てることができる。
【0033】
そして操作部31bは、Hi・Lo切換スイッチ31の回転操作の中心Cよりも右側、換言するとステアリング12のリム12c側に位置している。このため、インストルメントパネル10の表面に沿った直線状の力を操作部31bに加えると、軸心Cを中心とした回転力に変換されてHi・Lo切換スイッチ31を回転操作でき、結果として車両1の走行速度を容易且つ迅速に切り換えることができる。
【0034】
また、スイッチ操作の際には、ステアリング12のリム12cから手を放してHi・Lo切換スイッチ31まで移動させるが、上記ように指先を操作部31bに押し当てて回転操作できるため、例えば操作突起31a全体をつまんで回転操作する場合等に比較して手の移動距離が短くてすみ、この要因も容易且つ迅速なスイッチ操作に大きく貢献する。
【0035】
また、本実施形態では作業系スイッチ類22として上段から、前部転圧輪2に内蔵された図示しない加振装置をMANUAL(手動操作)とAUTO(走行に連動)の2位置間で切り換える振動スイッチ33、溶剤散布ノズルから溶剤を散布する溶剤スイッチ34、及び転圧輪散水ノズル16f,16rによる散水モードを選択する散水モード選択スイッチ35が並設されている。この作業系スイッチ類22に関しても、操作頻度が高いスイッチ33~35ほど上段に配置されている。
【0036】
振動スイッチ33はロッカースイッチとして構成され、MANUAL操作面33aを左側としAUTO操作面33bを右側として、両操作面33a,33bを左右に並べた姿勢でインストルメントパネル10上に配設されている。なお、これらの操作面33a,33bは逆に配置してもよい。
【0037】
溶剤スイッチ34は、プッシュスイッチとして構成されている。後部転圧輪3への溶剤の散布はごく短時間のため、押圧操作に応じて散布時間を微調整できるプッシュスイッチが採用されたものである。
【0038】
散水モード選択スイッチ35はロータリースイッチとして構成され、回転操作に応じて散水モードがOFF、ON、AUTO(走行に連動)の3位置の間で切り換えられるようになっている。散水モード選択スイッチ35の表面には、左右方向に直線状をなす操作突起35aが一体形成され、その左側の部位が操作部35bとして機能する。図3に示すように、オペレータは左手の指先を左方から散水モード選択スイッチ35に接近させて操作部35bに容易に押し当てて回転操作でき、その際の手の移動距離が短いことと相俟って、散水モードを容易且つ迅速に切り換えることができる。
【0039】
以上のように、インストルメントパネル10上の計器類20を挟んだ右側のスペースに走行系スイッチ類21が配設され、計器類20を挟んだ左側のスペースに作業系スイッチ類22が配設されている。走行系スイッチ類21と作業系スイッチ類22とが混在している場合には、所望のスイッチ類を探すために時間を要し、必然的にスイッチ操作を完了するまでの所要時間が長引いてしまう。
【0040】
これに対して本実施形態では、走行系及び作業系スイッチ類21,22が異なる位置に集約して配設されている。このためオペレータは、車両1の走行を操作する場合には走行系スイッチ類21の側に注目し、転圧作業を操作する場合には作業系スイッチ類22の側に注目し、より少ない走行系または作業系スイッチ類21,22の中から所望のスイッチを探し出すことから一層迅速にスイッチ操作を完了することができる。
【0041】
加えて、図2に示すように走行系及び作業系スイッチ類21,22は、それぞれステアリング12のリム12cの円弧形状に沿って並設されている。結果として各スイッチ類21,22はリム12cからほぼ最短距離の位置に配設され、操舵のためにリム12cを把持していた手を放して、ほぼ最短距離で所望のスイッチ類21,22まで手を移動させて操作することができる。このため、一層容易且つ迅速にスイッチ類を切り換えることができる。
【0042】
なお、図3の例ではインストルメントパネル10とステアリング12とが離間しているため、スイッチ操作のためにリム12cから手を放す必要があったが、インストルメントパネル10とステアリング12とがより接近している場合には、例えばリム12cに親指を掛けた状態で、ひとさし指でスイッチ操作することもできる。リム12cの円弧形状に沿って並設された結果、各スイッチ類21,22はリム12cに対してほぼ同一の位置関係に保たれている。このため親指を掛けたリム12cを手掛かりとして、目視することなく所望のスイッチ類21,22をひとさし指で探し出して操作することもできる。
【0043】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、アーティキュレート機構6を備えたコンバインド振動ローラ1に具体化したが、これに限るものではなく、例えばタイヤローラやマカダムローラ等の他の転圧車両に適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 コンバインド振動ローラ(車両)
8 運転席
10 インストルメントパネル
12 ステアリング
12c リム
20 計器類
21 走行系スイッチ類
22 作業系スイッチ類
25 スイッチ孔
26 カバー
28 ハザードスイッチ(ロッカースイッチ)
29 作業灯スイッチ(ロッカースイッチ)
30 パーキングスイッチ(ロッカースイッチ)
28a~30a ON操作面
28b~30b OFF操作面
31 Hi・Lo切換スイッチ(ロータリースイッチ)
31b 操作部
35 散水モード選択スイッチ(ロータリースイッチ)
35b 操作部
図1
図2
図3
図4
図5