(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230927BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20230927BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20230927BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20230927BHJP
B41J 2/195 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/015
B41J2/14
B41J2/17
B41J2/195
(21)【出願番号】P 2020014591
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】岸田 雄太郎
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-223144(JP,A)
【文献】特開2013-107303(JP,A)
【文献】特開平03-234629(JP,A)
【文献】特開2017-185732(JP,A)
【文献】特開2012-218197(JP,A)
【文献】特開2015-016566(JP,A)
【文献】特開2013-166347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型のインクであるUVインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、
UVインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドの内部のUVインクの温度を検知するための温度センサと、
前記インクジェットヘッドの内部圧力を調整するための圧力調整機構と、前記インクジェットヘッドへのUVインクの供給経路において前記圧力調整機構と前記インクジェットヘッドとの間に配置され前記インクジェットヘッドに供給されるUVインクを温めるインク加温機構と、前記インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、
前記インクジェットヘッドには、UVインクを吐出する複数のノズルが形成され、
前記インクジェットヘッドは、複数の前記ノズルのそれぞれからUVインクを吐出させる複数の吐出エネルギー発生素子を備え、
前記制御部は、前記温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、前記温度センサで検知される温度の上昇に応じて前記吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が低くなるように、前記温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで前記吐出エネルギー発生素子に印加される前記駆動電圧を制御すること、および、前記温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、前記温度センサで検知される温度の低下に応じて前記吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が高くなるように、前記温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで前記吐出エネルギー発生素子に印加される前記駆動電圧を制御すること、の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジを備え、
前記圧力調整機構および前記インク加温機構は、前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記インク加温機構は、シート状に形成されるシートヒータを備えることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記制御部には、前記温度センサで検知可能な複数の温度と、前記温度センサで検知可能な複数の温度のそれぞれに予め対応付けられた前記駆動電圧とがテーブル化されて記憶され、
前記制御部は、前記温度センサで検知された温度に対応付けられる前記駆動電圧を前記吐出エネルギー発生素子に印加することを特徴とする請求項1
から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記インクジェットヘッドは、前記インクジェットヘッドを加熱するヒータを備え、
前記温度センサおよび前記ヒータは、前記インクジェットヘッドに内蔵され、
前記制御部は、前記温度センサの検知結果に基づいて前記ヒータを制御することを特徴とする請求項1
から4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記インクジェットヘッドは、前記吐出エネルギー発生素子に前記駆動電圧を印加して前記吐出エネルギー発生素子を駆動するドライバICを備え、
前記ドライバICは、前記インクジェットヘッドに内蔵されていることを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
紫外線硬化型のインクであるUVインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドの内部のUVインクの温度を検知するための温度センサと
、前記インクジェットヘッドの内部圧力を調整するための圧力調整機構と、前記インクジェットヘッドへのUVインクの供給経路において前記圧力調整機構と前記インクジェットヘッドとの間に配置され前記インクジェットヘッドに供給されるUVインクを温めるインク加温機構とを備え、前記インクジェットヘッドには、UVインクを吐出する複数のノズルが形成され、前記インクジェットヘッドは、複数の前記ノズルのそれぞれからUVインクを吐出させる複数の吐出エネルギー発生素子を備えるインクジェットプリンタの制御方法であって、
前記温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、前記温度センサで検知される温度の上昇に応じて前記吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が低くなるように、前記温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで前記吐出エネルギー発生素子に印加される前記駆動電圧を制御すること、および、前記温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、前記温度センサで検知される温度の低下に応じて前記吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が高くなるように、前記温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで前記吐出エネルギー発生素子に印加される前記駆動電圧を制御すること、の少なくともいずれか一方を行
い、
前記インクジェットヘッドへのUVインクの供給経路において前記圧力調整機構と前記インクジェットヘッドとの間で、前記インクジェットヘッドに供給されるUVインクを温めることを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型のインクであるUVインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに関する。また、本発明は、かかるインクジェットプリンタの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに、インクが収容される圧力室と、圧力室に連通する複数のノズルとが形成されている。インクジェットヘッドは、インク吐出のためのエネルギーを圧力室に付与してノズルからインクを吐出させる圧電素子を備えている。
【0003】
また、特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、マイクロコンピュータおよびROMと、インクジェットヘッドの温度を検知する温度センサと、圧電素子を駆動する駆動ICとを備えている。温度センサは、インクジェットヘッドの内部または外面あるいは近傍に取り付けられている。ROMには、マイクロコンピュータが圧電素子の駆動電圧を決定する際に参照されるテーブルが記憶されている。テーブルでは、複数段階のヘッド温度ごとに異なる駆動電圧が対応付けられている。
【0004】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、印刷中にインクジェットヘッドの温度が上昇してインクジェットヘッドの中のインクの温度が上昇し、その結果、インクジェットヘッドから吐出されるインクの粘度が低下しても、インクジェットヘッドから吐出されるインクの吐出量および吐出速度の変動を抑制して印刷品質を確保するために、以下の制御方法によって圧電素子の駆動電圧が制御されている。
【0005】
すなわち、特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、電源がオンになると、温度センサによってインクジェットヘッドの温度を検知するとともに、ROMに記憶されるテーブルを参照して、温度センサで検知された温度に対応付けられる駆動電圧を圧電素子の駆動電圧として設定する。駆動電圧が設定されると、インクジェットプリンタは、記録用紙の印刷を開始して、設定された駆動電圧で圧電素子を駆動する。また、インクジェットプリンタは、印刷開始後、キャリッジの主走査方向への走査動作が5回~10回程度行われると、温度センサによってインクジェットヘッドの温度を検知し、温度センサの検知結果に基づいて圧電素子の駆動電圧を再設定するとともに、その後、このインクジェットヘッドの温度検知と圧電素子の駆動電圧の再設定とを記録用紙の印刷が終わるまで繰り返す。
【0006】
また、従来、紫外線硬化型のインクであるUVインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるインクジェットプリンタが知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに、UVインクを吐出する複数のノズルと、複数のノズルが繋がるインク流路とが形成されている。
【0007】
特許文献2に記載のインクジェットプリンタでは、複数のノズルから吐出されるUVインクを温めてインクの粘度を低下させるためのフィルム状のヒータがインクジェットヘッドの外周に巻き付けられている。インクジェットヘッドは、インク流路の中のインクの温度を検知するための温度センサを備えている。温度センサは、インクジェットヘッドの内部に配置されている。ヒータは、温度センサで検知される温度に基づいて制御されている。また、インクジェットヘッドは、複数のノズルのそれぞれからインクを吐出させる駆動ユニットを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-160931号公報
【文献】特開2015-168243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
常温のUVインク(紫外線硬化型のインク)の粘度は高く、インクジェットヘッドから常温のUVインクを吐出させることは困難であるため、常温環境下においてインクジェットヘッドからUVインクを吐出させるためには、UVインクの温度を上げてUVインクの粘度を低くする必要がある。UVインクの粘度を吐出可能な粘度まで低くする方法は様々あるが、たとえば、特許文献2に記載のインクジェットプリンタのように、インクジェットヘッドから吐出される前のUVインクを温めることでUVインクの粘度を低下させることがある。
【0010】
しかしながら、UVインクの粘度は、溶剤系インクや水性インク等の他の種類のインクの粘度に比べて、温度変動に伴って敏感に変動する。すなわち、UVインクの粘度は、温度変動に伴って大きく変動するため、UVインクの温度が変動すると、インクジェットヘッドから吐出されるUVインクの体積や吐出速度等に影響を与え、印刷品質が低下する問題が発生する。したがって、UVインクが使用されるインクジェットプリンタでは、特許文献1に記載された圧電素子の駆動電圧の制御方法によって圧電素子の駆動電圧を制御しても、印刷品質の低下問題を解消できないことが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0011】
具体的には、UVインクが使用されるインクジェットプリンタでは、キャリッジの主走査方向への走査動作が5~10回程度行われる間にインクジェットヘッドの温度が上昇してUVインクの温度が上昇すると、UVインクの粘度が大きく低下するおそれがあるが、特許文献1に記載された圧電素子の駆動電圧の制御方法の場合、キャリッジの主走査方向への走査動作が5~10回程度行われる間は、圧電素子が同じ駆動電圧で駆動されるため、UVインクの粘度が大きく低下していても、圧電素子が同じ駆動電圧で駆動されるといった事態が生じうる。したがって、UVインクが使用されるインクジェットプリンタでは、特許文献1に記載された圧電素子の駆動電圧の制御方法によって圧電素子の駆動電圧を制御しても、印刷品質が低下するおそれがある。
【0012】
また、UVインクが使用されるインクジェットプリンタでは、キャリッジの主走査方向への走査動作が5~10回程度行われる間に何らかの原因でUVインクの温度が低下すると、UVインクの粘度が大きく上昇するおそれがあるが、特許文献1に記載された圧電素子の駆動電圧の制御方法の場合、キャリッジの主走査方向への走査動作が5~10回程度行われる間は、圧電素子が同じ駆動電圧で駆動されるため、UVインクの粘度が大きく上昇していても、圧電素子が同じ駆動電圧で駆動されるといった事態が生じうる。したがって、UVインクが使用されるインクジェットプリンタでは、特許文献1に記載された圧電素子の駆動電圧の制御方法によって圧電素子の駆動電圧を制御しても、印刷品質が低下するおそれがある。
【0013】
そこで、本発明の課題は、紫外線硬化型のインクであるUVインクが使用されても、インクジェットヘッドの温度変動に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。また、本発明の課題は、紫外線硬化型のインクであるUVインクが使用されても、インクジェットヘッドの温度変動に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能となるインクジェットプリンタの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、紫外線硬化型のインクであるUVインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、UVインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドの内部のUVインクの温度を検知するための温度センサと、インクジェットヘッドの内部圧力を調整するための圧力調整機構と、インクジェットヘッドへのUVインクの供給経路において圧力調整機構とインクジェットヘッドとの間に配置されインクジェットヘッドに供給されるUVインクを温めるインク加温機構と、インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、インクジェットヘッドには、UVインクを吐出する複数のノズルが形成され、インクジェットヘッドは、複数のノズルのそれぞれからUVインクを吐出させる複数の吐出エネルギー発生素子を備え、制御部は、温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、温度センサで検知される温度の上昇に応じて吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が低くなるように、温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を制御すること、および、温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、温度センサで検知される温度の低下に応じて吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が高くなるように、温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を制御すること、の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする。
本発明において、たとえば、インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジを備え、圧力調整機構およびインク加温機構は、キャリッジに搭載されている。また、本発明において、たとえば、インク加温機構は、シート状に形成されるシートヒータを備えている。
【0015】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタの制御方法は、紫外線硬化型のインクであるUVインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドの内部のUVインクの温度を検知するための温度センサと、インクジェットヘッドの内部圧力を調整するための圧力調整機構と、インクジェットヘッドへのUVインクの供給経路において圧力調整機構とインクジェットヘッドとの間に配置されインクジェットヘッドに供給されるUVインクを温めるインク加温機構とを備え、インクジェットヘッドには、UVインクを吐出する複数のノズルが形成され、インクジェットヘッドは、複数のノズルのそれぞれからUVインクを吐出させる複数の吐出エネルギー発生素子を備えるインクジェットプリンタの制御方法であって、温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、温度センサで検知される温度の上昇に応じて吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が低くなるように、温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を制御すること、および、温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、温度センサで検知される温度の低下に応じて吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が高くなるように、温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を制御すること、の少なくともいずれか一方を行い、インクジェットヘッドへのUVインクの供給経路において圧力調整機構とインクジェットヘッドとの間で、前記インクジェットヘッドに供給されるUVインクを温めることを特徴とする。
【0016】
本発明では、温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、温度センサで検知される温度の上昇に応じて吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が低くなるように、温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を制御すること、および、温度センサで検知される温度を常時監視するとともに、温度センサで検知される温度の低下に応じて吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧が高くなるように、温度センサの検知結果に基づいて、リアルタイムで吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を制御すること、の少なくともいずれか一方を行っている。
【0017】
そのため、本発明では、インクジェットヘッドの温度が上昇してインクジェットヘッドの内部のUVインクの温度が上昇し、その結果、UVインクの粘度が低下したときに、吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を、インクジェットヘッドの温度上昇に応じて即座に低下させることや、インクジェットヘッドの温度が低下してインクジェットヘッドの内部のUVインクの温度が低下し、その結果、UVインクの粘度が上昇したときに、吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を、インクジェットヘッドの温度低下に応じて即座に上昇させることが可能になる。
【0018】
たとえば、インクジェットヘッドの温度が上昇してインクジェットヘッドの内部のUVインクの粘度が低下したときには、キャリッジが主走査方向へ走査動作を行っている途中でも、吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を、インクジェットヘッドの温度上昇に応じて低下させることが可能になり、インクジェットヘッドの温度が低下してインクジェットヘッドの内部のUVインクの粘度が上昇したときには、キャリッジが主走査方向へ走査動作を行っている途中でも、吐出エネルギー発生素子に印加される駆動電圧を、インクジェットヘッドの温度低下に応じて上昇させることが可能になる。
【0019】
したがって、本発明では、紫外線硬化型のインクであるUVインクが使用されても、インクジェットヘッドの温度変動に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能になる。なお、本明細書における「駆動電圧」には、吐出エネルギー発生素子が電圧制御される場合の駆動電圧の他に、吐出エネルギー発生素子がPWM(Pulse Width Modulation)制御される場合の実効電圧も含まれている。
【0020】
本発明において、制御部には、温度センサで検知可能な複数の温度と、温度センサで検知可能な複数の温度のそれぞれに予め対応付けられた駆動電圧とがテーブル化されて記憶され、制御部は、温度センサで検知された温度に対応付けられる駆動電圧を吐出エネルギー発生素子に印加することが好ましい。このように構成すると、温度センサで検知された温度に対応付けられる駆動電圧がそのまま吐出エネルギー発生素子に印加されるため、制御部での処理を短時間で行うことが可能になる。
【0021】
本発明において、インクジェットヘッドは、インクジェットヘッドを加熱するヒータを備え、温度センサおよびヒータは、インクジェットヘッドに内蔵され、制御部は、温度センサの検知結果に基づいてヒータを制御することが好ましい。このように構成すると、インクジェットヘッドの内部のUVインクの温度を検知するための温度センサに加えて、ヒータを制御するための温度センサが別途設けられている場合と比較して、インクジェットプリンタの構成を簡素化することが可能になる。
【0022】
本発明において、たとえば、インクジェットヘッドは、吐出エネルギー発生素子に駆動電圧を印加して吐出エネルギー発生素子を駆動するドライバICを備え、ドライバICは、インクジェットヘッドに内蔵されている。インクジェットヘッドにドライバICが内蔵されている場合には、印刷中にインクジェットヘッドの温度が上昇しやすくなるが、本発明では、インクジェットヘッドにドライバICが内蔵されていて印刷中にインクジェットヘッドの温度が上昇しやすくなっていても、インクジェットヘッドの温度上昇に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明のインクジェットプリンタでは、紫外線硬化型のインクであるUVインクが使用されても、インクジェットヘッドの温度変動に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能になる。また、本発明のインクジェットプリンタの制御方法でインクジェットプリンタを制御すれば、紫外線硬化型のインクであるUVインクが使用されても、インクジェットヘッドの温度変動に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの斜視図である。
【
図2】
図1に示すインクジェットプリンタの構成を説明するための概略図である。
【
図3】
図2に示すキャリッジの周辺部分の一部の斜視図である。
【
図4】
図1に示すインクジェットプリンタの構成を説明するためのブロック図である。
【
図5】
図2に示すインクジェットヘッドの概略構成を説明するための断面図である。
【
図6】
図4に示す制御部に記憶されるテーブルの一例を説明するための図である。
【
図7】本発明の他の実施形態にかかるインクジェットヘッドの概略構成を説明するための断面図である。
【
図8】本発明の他の形態にかかるインクジェットプリンタの制御方法を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(インクジェットプリンタの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すインクジェットプリンタ1の構成を説明するための概略図である。
図3は、
図2に示すキャリッジ4の周辺部分の一部の斜視図である。
図4は、
図1に示すインクジェットプリンタ1の構成を説明するためのブロック図である。
図5は、
図2に示すインクジェットヘッド3の概略構成を説明するための断面図である。
図6は、
図4に示す制御部10に記憶されるテーブルの一例を説明するための図である。
【0027】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタであり、紫外線硬化型のインクであるUVインクを吐出して印刷媒体2に印刷を行う。印刷媒体2は、たとえば、印刷用紙、布帛または樹脂製のフィルム等である。プリンタ1は、印刷媒体2に向かってUVインクを吐出するインクジェットヘッド3(以下、「ヘッド3」とする。)と、ヘッド3が搭載されるキャリッジ4と、キャリッジ4を主走査方向(
図1等のY方向)へ移動させるキャリッジ駆動機構5と、キャリッジ4を主走査方向へ案内するためのガイドレール6と、ヘッド3に供給されるUVインクが収容される複数のインクタンク7とを備えている。
【0028】
また、プリンタ1は、ヘッド3の内部圧力を調整するための圧力調整機構11と、ヘッド3に供給されるUVインクを温めるためのインク加温機構12と、ヘッド3の内部のUVインクの温度を検知するための温度センサ13(以下、「ヘッド側温度センサ13」とする。)とを備えている。さらに、プリンタ1は、プリンタ1を制御する制御部10を備えている。以下の説明では、主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、上下方向(
図1等のZ方向)と主走査方向とに直交する副走査方向(
図1等のX方向)を「前後方向」とする。
【0029】
ヘッド3は、下側に向かってUVインクを吐出する。ヘッド3の下面には、UVインクを吐出する複数のノズル3aが形成されている。複数のノズル3aは、前後方向に配列されており、前後方向に配列される複数のノズル3aによって、ノズル列が構成されている。また、ヘッド3には、複数のノズル3aが繋がる複数のインク流路3bが形成されている。インク流路3bの一端は、インク加温機構12からインクが流入する流入口3cとなっている。なお、ヘッド3には、複数のノズル列が形成されており、複数のノズル列は、左右方向に配列されている。また、ヘッド3には、ノズル列の数と同数のインク流路3bが形成されている。
【0030】
ヘッド3の下側には、プラテン8が配置されている。プラテン8には、印刷時の印刷媒体2が載置される。プラテン8に載置される印刷媒体2は、図示を省略する媒体送り機構によって前後方向に搬送される。キャリッジ駆動機構5は、たとえば、2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部がキャリッジ4に固定されるベルトと、プーリを回転させるモータとを備えている。
【0031】
ヘッド3は、複数のノズル3aのそれぞれからUVインクを吐出させる複数の圧電素子16を備えている。また、ヘッド3は、複数の圧電素子16に駆動電圧を印加して複数の圧電素子16を駆動するドライバIC(Integrated Circuit)17と、ヘッド3を加熱するヒータ18(以下、「ヘッド内ヒータ18」とする。)とを備えている。圧電素子16、ドライバIC17およびヘッド内ヒータ18は、ヘッド3の内部に配置されており、ヘッド3に内蔵されている。ヘッド内ヒータ18は、ドライバIC17の下側に配置されている。ドライバIC17とヘッド内ヒータ18との間には、断熱材または絶縁材等が配置されている。ドライバIC17およびヘッド内ヒータ18は、制御部10に電気的に接続されている。本形態の圧電素子16は、吐出エネルギー発生素子である。
【0032】
ヘッド側温度センサ13は、たとえば、サーミスタである。ヘッド側温度センサ13は、ヘッド3の内部に配置されており、ヘッド3に内蔵されている。ヘッド側温度センサ13は、インク流路3bの他端部(流入口3cが形成されるインク流路3bの一端部とは反対側の端部)の上側に配置されている。また、ヘッド側温度センサ13は、インク流路3bの外部に配置されている。ヘッド側温度センサ13は、ヘッド3の本体フレームの温度を検知することで、ヘッド3の内部のUVインク(具体的には、インク流路3bの中のUVインク)の温度を間接的に検知する。ヘッド側温度センサ13は、制御部10に電気的に接続されている。
【0033】
ヘッド内ヒータ18は、ヘッド3の本体フレームを加熱することでヘッド3の内部のUVインク(具体的には、インク流路3bの中のUVインク)を温めて、ヘッド3の内部のUVインクの粘度を低下させる機能を果たしている。制御部10は、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいてヘッド内ヒータ18を制御する。具体的には、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が所定の目標設定温度未満である場合に、ヘッド内ヒータ18を駆動し、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が目標設定温度以上になると、ヘッド内ヒータ18を停止させる。
【0034】
なお、ヘッド内ヒータ18は、ヘッド内ヒータ18の過熱状態を検知するための温度センサ(図示省略)を備えている。この温度センサは、たとえば、サーミスタであり、ヘッド内ヒータ18に取り付けられている。また、この温度センサは、ヘッド内ヒータ18の上面に取り付けられており、上下方向において、ドライバIC17とヘッド内ヒータ18との間に配置されている。
【0035】
圧力調整機構11には、インクタンク7からUVインクが供給される。具体的には、インクタンク7は、圧力調整機構11よりも上側に配置されており、水頭差によってインクタンク7から圧力調整機構11にUVインクが供給される。インク加温機構12は、ヘッド3へのUVインクの供給経路において圧力調整機構11とヘッド3との間に配置されている。インク加温機構12には、圧力調整機構11からUVインクが供給され、ヘッド3には、インク加温機構12からUVインクが供給される。圧力調整機構11およびインク加温機構12は、キャリッジ4に搭載されている。
【0036】
インク加温機構12は、ヘッド3の外部に配置されるヘッド外インク加温装置である。インク加温機構12は、ヘッド3に供給されるUVインクを温めることで、ヘッド3に供給されるUVインクの粘度を低下させる機能を果たしている。インク加温機構12は、ヘッド3の上側に配置されている。インク加温機構12は、ブロック状に形成される加温部本体20と、加温部本体20の側面に貼り付けられるヒータ21とを備えている。加温部本体20の内部には、UVインクが流れるインク流路が形成されている。ヒータ21は、シート状に形成されたシートヒータである。
【0037】
圧力調整機構11は、インク加温機構12に取り付けられている。圧力調整機構11の下側部分は、加温部本体20に収容されている。圧力調整機構11は、たとえば、特開2011-46070号公報に記載された調圧ダンパと同様に構成される機械式の圧力ダンパであり、圧力調整用のポンプを用いることなく、ヘッド3の内部圧力を機械的に調整する。また、圧力調整機構11は、ヘッド3の内部圧力(インク流路3bの内部圧力)を負圧に調整する。
【0038】
プリンタ1では、上述のように、ヘッド内ヒータ18は、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいて制御されているが、圧電素子16およびドライバIC17は、ヘッド側温度センサ13の検知結果にかかわらず、印刷媒体2に印刷を行うための印刷データに基づいて駆動する。そのため、印刷媒体2の印刷開始後、継続的に印刷媒体2の印刷が行われて印刷時間が長くなっていくにしたがって、圧電素子16が発生させる熱およびドライバIC17が発生させる熱の影響で、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が目標設定温度よりも次第に高くなっていく。
【0039】
すなわち、印刷媒体2の印刷時間が長くなっていくにしたがって、ヘッド3の中のUVインク(インク流路3bの中のUVインク)の温度が次第に高くなり、ノズル3aから吐出されるUVインクの粘度が低下していく。なお、ヘッド3の中のUVインクの温度上昇には、圧電素子16が発生させる熱よりも、ドライバIC17が発生させる熱の方が大きな影響を与えている。
【0040】
本形態では、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ヘッド側温度センサ13で検知される温度の上昇に応じて圧電素子16に印加される駆動電圧が低くなるように(すなわち、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が高くなるにしたがって圧電素子16に印加される駆動電圧が低くなるように)、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいて、リアルタイムで圧電素子16に印加される駆動電圧を制御する。具体的には、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ヘッド側温度センサ13で検知される温度にかかわらず、ノズル3aから吐出されるUVインクの量およびノズル3aから吐出されるUVインクの吐出速度が略一定となるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいてリアルタイムで低下させた駆動電圧を圧電素子16に印加する。
【0041】
すなわち、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ノズル3aから吐出されるUVインクの粘度にかかわらず、ノズル3aから吐出されるUVインクの量およびノズル3aから吐出されるUVインクの吐出速度が略一定となるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいてリアルタイムで低下させた駆動電圧を圧電素子16に印加する。また、制御部10は、駆動される圧電素子16の全てに同じ大きさの駆動電圧を印加する。なお、圧電素子16に印加される駆動電圧の大きさは、ヘッド側温度センサ13で検知される温度によって変わることはあるが、圧電素子16への駆動電圧の印加のタイミングは、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が変わっても変わることはない。すなわち、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が変わっても、圧電素子16の駆動波形は維持される。
【0042】
また、本形態では、制御部10に、ヘッド側温度センサ13で検知可能な複数の温度と、ヘッド側温度センサ13で検知可能な複数の温度のそれぞれに予め対応付けられた駆動電圧とがテーブル化されて記憶されている(
図6参照)。制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知された温度に対応付けられる駆動電圧を圧電素子16に印加する。
【0043】
たとえば、ヘッド側温度センサ13で検知された温度が45℃である場合には、制御部10は、45℃に対応付けられる駆動電圧V1(V)を圧電素子16に印加する。また、たとえば、ヘッド側温度センサ13で検知された温度が45.5℃である場合には、制御部10は、45.5℃に対応付けられる駆動電圧V1-0.138(V)を圧電素子16に印加する。同様に、制御部10は、たとえば、ヘッド側温度センサ13で検知された温度が46℃である場合に、駆動電圧V1-0.276(V)を圧電素子16に印加し、ヘッド側温度センサ13で検知された温度が46.5℃である場合に、駆動電圧V1-0.414(V)を圧電素子16に印加する。すなわち、制御部10は、たとえば、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が0.5℃上昇するにしたがって、圧電素子16に印加される駆動電圧を0.138(V)ずつ低くする。
【0044】
なお、ヘッド側温度センサ13で検知される温度の0.5℃の上昇に対して低下する圧電素子16への印加電圧の低下量は、たとえば、0.1~0.145(V)の範囲から選択される任意の値であっても良い。また、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が0.1~0.15℃の範囲から選択される任意の値で上昇するにしたがって、圧電素子16に印加される駆動電圧を0.025~0.04(V)の範囲から選択される任意の値ずつ低くしても良い。たとえば、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が0.1℃上昇するにしたがって、圧電素子16に印加される駆動電圧を0.0276(V)ずつ低くしても良い。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ヘッド側温度センサ13で検知される温度の上昇に応じて圧電素子16に印加される駆動電圧が低くなるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいて、リアルタイムで圧電素子16に印加される駆動電圧を制御している。そのため、本形態では、ヘッド3の温度が上昇してヘッド3の内部のUVインクの温度が上昇し、その結果、UVインクの粘度が低下したときには、圧電素子16に印加される駆動電圧を、ヘッド3の温度上昇に応じて即座に低下させることが可能になる。
【0046】
たとえば、本形態では、ヘッド3の温度が上昇してヘッド3の内部のUVインクの粘度が低下したときには、キャリッジ4が主走査方向へ走査動作を行っている途中でも、圧電素子16に印加される駆動電圧を、ヘッド3の温度上昇に応じて低下させることが可能になる。また、本形態では、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度にかかわらず、ノズル3aから吐出されるUVインクの量およびノズル3aから吐出されるUVインクの吐出速度が略一定となるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいてリアルタイムで低下させた駆動電圧を圧電素子16に印加している。したがって、本形態では、プリンタ1においてUVインクが使用されても、ヘッド3の温度上昇に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能になる。
【0047】
特に本形態では、ドライバIC17がヘッド3に内蔵されているため、ドライバIC17が発生する熱の影響で、印刷媒体2の印刷中にヘッド3の温度が上昇しやすくなるが、本形態では、印刷媒体2の印刷中にヘッド3の温度が上昇しやすくなっていても、ヘッド3の温度上昇に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能になる。なお、ドライバIC17とヘッド内ヒータ18との間には、断熱材または絶縁材等が配置されているが、ドライバIC17が発生する熱は、インク流路3bの中のUVインクの温度に影響を与える。
【0048】
本形態では、制御部10に、ヘッド側温度センサ13で検知可能な複数の温度と、ヘッド側温度センサ13で検知可能な複数の温度のそれぞれに予め対応付けられた駆動電圧とがテーブル化されて記憶されており、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知された温度に対応付けられる駆動電圧をそのまま圧電素子16に印加している。そのため、本形態では、制御部10での処理を短時間で行うことが可能になる。
【0049】
本形態では、制御部10は、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいてヘッド内ヒータ18を制御している。そのため、本形態では、ヘッド3の内部のUVインクの温度を検知するためのヘッド側温度センサ13に加えて、ヘッド内ヒータ18を制御するための温度センサが別途設けられている場合と比較して、プリンタ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0050】
(インクジェットプリンタの制御方法の変形例)
上述した形態では、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ヘッド側温度センサ13で検知される温度の上昇に応じて圧電素子16に印加される駆動電圧が低くなるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいて、リアルタイムで圧電素子16に印加される駆動電圧を制御しているが、制御部10は、この制御に加えて、または、この制御に代えて、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ヘッド側温度センサ13で検知される温度の低下に応じて圧電素子16に印加される駆動電圧が高くなるように(すなわち、ヘッド側温度センサ13で検知される温度が低くなるにしたがって圧電素子16に印加される駆動電圧が高くなるように)、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいて、リアルタイムで圧電素子16に印加される駆動電圧を制御しても良い。
【0051】
この場合にも、制御部10は、たとえば、
図6に示すテーブルに基づいて、ヘッド側温度センサ13で検知された温度に対応付けられる駆動電圧を圧電素子16に印加する。たとえば、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知された温度が45℃である場合には、45℃に対応付けられる駆動電圧V1(V)を圧電素子16に印加し、ヘッド側温度センサ13で検知された温度が44.5℃である場合には、44.5℃に対応付けられる駆動電圧V1+0.138(V)を圧電素子16に印加し、ヘッド側温度センサ13で検知された温度が44℃である場合には、45.5℃に対応付けられる駆動電圧V1+0.276(V)を圧電素子16に印加する。
【0052】
この場合には、ヘッド3の温度が低下してヘッド3の内部のUVインクの温度が低下し、その結果、UVインクの粘度が上昇したときには、圧電素子16に印加される駆動電圧を、ヘッド3の温度低下に応じて即座に上昇させることが可能になる。たとえば、ヘッド3の温度が低下してヘッド3の内部のUVインクの粘度が上昇したときには、キャリッジ4が主走査方向へ走査動作を行っている途中でも、圧電素子16に印加される駆動電圧を、ヘッド3の温度低下に応じて上昇させることが可能になる。したがって、ヘッド側温度センサ13で検知される温度にかかわらず、ノズル3aから吐出されるUVインクの量およびノズル3aから吐出されるUVインクの吐出速度が略一定となるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいてリアルタイムで上昇させた駆動電圧を圧電素子16に印加することで、プリンタ1においてUVインクが使用されても、ヘッド3の温度低下に伴う印刷品質の低下を抑制することが可能になる。
【0053】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0054】
上述した形態において、
図7に示すように、ヘッド側温度センサ13は、インク流路3bの中のUVインクに接触する位置に配置されていて、インク流路3bの中のUVインクの温度(すなわち、ヘッド3の内部のUVインクの温度)を直接、検知しても良い。この場合には、ヘッド3の内部のUVインクの温度をヘッド側温度センサ13によって精度良く検知することが可能になる。また、上述した形態において、ヘッド3の内部のUVインクの温度をヘッド側温度センサ13によって適切に検知することができるのであれば、ヘッド側温度センサ13は、ヘッド3の外部に配置されていても良い。なお、
図7に示す例では、3個のヘッド側温度センサ13がインク流路3bの中のUVインクに接触する位置に配置されているが、インク流路3bの中のUVインクに接触する位置に配置されるヘッド側温度センサ13は、1個または2個であっても良いし、4個以上であっても良い。
【0055】
上述した形態において、ヘッド側温度センサ13で検知可能な複数の温度と、ヘッド側温度センサ13で検知可能な複数の温度のそれぞれに予め対応付けられた駆動電圧とがテーブル化されたテーブルが、プリンタ1で使用されるUVインクの種類ごとに制御部10に記憶されていても良い。すなわち、プリンタ1で使用されるUVインクの種類ごとに準備されたテーブルが複数、制御部10に記憶されていても良い。
【0056】
上述した形態において、制御部10にテーブルが記憶されていなくても良い。この場合には、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知された温度に基づく所定の演算を行って圧電素子16に印加する駆動電圧を算出する。制御部10が、ヘッド側温度センサ13で検知された温度に基づく所定の演算を行って圧電素子16に印加する駆動電圧を算出する場合には、制御部10は、たとえば、
図8に示すグラフに基づいて、ヘッド側温度センサ13で検知された温度に対応する補正電圧値を算出し、算出された補正電圧値を用いて圧電素子16に印加する駆動電圧を算出する。
【0057】
上述した形態において、ドライバIC17は、ヘッド3に内蔵されていなくても良い。この場合には、たとえば、キャリッジ4に搭載される回路基板にドライバIC17が実装されている。なお、ドライバIC17がヘッド3に内蔵されていなくても、圧電素子16が高い熱を発生させる場合には、印刷開始後の印刷媒体2の印刷時間が長くなっていくにしたがって、圧電素子16が発生させる熱の影響で、ヘッド3の中のUVインクの温度が次第に高くなり、ノズル3aから吐出されるUVインクの粘度が低下していく。
【0058】
上述した形態では、制御部10は、駆動される圧電素子16の全てに同じ大きさの駆動電圧を印加しているが、制御部10は、駆動される圧電素子16の全てに同じ大きさの駆動電圧を印加しなくても良い。たとえば、ノズル列を構成する複数のノズル3aを、前側に配置される複数のノズル3aからなる第1ノズルブロックと、前後方向の中央に配置される複数のノズル3aからなる第2ノズルブロックと、後ろ側に配置される複数のノズル3aからなる第3ノズルブロックとの3個のブロックにブロック分けし、第1ノズルブロックのノズル3aに対応する複数の圧電素子16からなる圧電素子組を第1圧電素子組とし、第2ノズルブロックのノズル3aに対応する複数の圧電素子16からなる圧電素子組を第2圧電素子組とし、第3ノズルブロックのノズル3aに対応する複数の圧電素子16からなる圧電素子組を第3圧電素子組とした場合、制御部10は、第1圧電素子組を構成する複数の圧電素子16および第2圧電素子組を構成する複数の圧電素子16に印加される駆動電圧よりも、第3圧電素子組を構成する複数の圧電素子16に印加される駆動電圧を低くしても良い。
【0059】
この場合であっても、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ヘッド側温度センサ13で検知される温度の上昇に応じて圧電素子16に印加される駆動電圧が低くなるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいて、リアルタイムで圧電素子16に印加される駆動電圧を制御する。具体的には、制御部10は、ヘッド側温度センサ13で検知される温度を常時監視するとともに、ヘッド側温度センサ13で検知される温度にかかわらず、ノズル3aから吐出されるUVインクの量およびノズル3aから吐出されるUVインクの吐出速度が略一定となるように、ヘッド側温度センサ13の検知結果に基づいてリアルタイムで低下させた駆動電圧を圧電素子16に印加する。
【0060】
上述した形態では、ノズル3aからUVインクを吐出させるための吐出エネルギー発生素子は、圧電素子11であるが、ノズル3aからUVインクを吐出させるための吐出エネルギー発生素子は、ヒータ(発熱素子)であっても良い。すなわち、上述した形態では、プリンタ1は、ピエゾ方式によってノズル3aからUVインクを吐出させているが、プリンタ1は、サーマル方式によってノズル3aからUVインクを吐出させても良い。
【0061】
上述した形態において、ヘッド側温度センサ13に加えて、ヘッド内ヒータ18を制御するための温度センサが別途設けられていても良い。また、上述した形態において、プリンタ1は、プラテン8に代えて、印刷媒体2が載置されるテーブルと、テーブルを前後方向に移動させるテーブル駆動機構とを備えていても良い。さらに、上述した形態において、プリンタ1は、三次元造形物を造形する3Dプリンタであっても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
3 ヘッド(インクジェットヘッド)
3a ノズル
10 制御部
13 ヘッド側温度センサ(温度センサ)
16 圧電素子(吐出エネルギー発生素子)
17 ドライバIC
18 ヘッド内ヒータ(ヒータ)