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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】テーブルユニット
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20230927BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B60N3/00 A
A47C7/62 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020112167
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011191
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 勝
(72)【発明者】
【氏名】三村 康平
(72)【発明者】
【氏名】原 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】西岡 優樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 慎一郎
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-103238(JP,U)
【文献】国際公開第2019/018027(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00-18
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装部に取り付けられるベース部と、
前記ベース部に対して開閉可能に軸支されたテーブル本体と、
前記ベース部に対する前記テーブル本体の開閉位置を、少なくとも格納位置及び該格納位置よりも前記ベース部に対する開閉角度が大きい使用位置に保持可能なヒンジ機構と、
を備え
前記ヒンジ機構は、
前記テーブル本体において、前記ベース部と前記テーブル本体とを軸支する回転軸周りに設けられた第1カム体と、
前記ベース部に設けられ、前記回転軸と直交する方向に付勢されて前記第1カム体に押し付けられる第2カム体と、
前記ベース部に設けられ、前記第2カム体を前記回転軸と直交する方向に付勢して前記第1カム体に押し付ける付勢部材と、
を備えるテーブルユニット。
【請求項2】
前記第1カム体及び前記第2カム体の一方には、第1係合部と第2係合部とが設けられており、
前記第1カム体及び前記第2カム体の他方には、前記第1係合部及び前記第2係合部と係合可能な被係合部が設けられており、
前記格納位置では、前記第1係合部と前記被係合部とが係合し、
前記使用位置では、前記第2係合部と前記被係合部とが係合している、請求項に記載のテーブルユニット。
【請求項3】
前記ベース部は、前記車両内装部としてのシートバックの背面に取り付けられており、
前記回転軸は、シート幅方向に沿って延びており、
前記テーブル本体の先端は、前記使用位置よりも前記格納位置において、シート上方に位置する、請求項又は請求項に記載のテーブルユニット。
【請求項4】
前記第1カム体及び前記第2カム体は、前記回転軸の両端側にそれぞれ設けられている、請求項~請求項のいずれか1項に記載のテーブルユニット。
【請求項5】
前記ベース部の長さが、前記テーブル本体の長さよりも短い、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のテーブルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートバック背面(車両内装部の一例)に取り付けられるベース部と該ベース部に対して開閉可能に軸支されたテーブル本体とを備えるテーブルユニットが開示されている。この特許文献1のテーブルユニットでは、ヒンジ機構によって、ベース部に対してテーブル本体が使用位置で保持されるようになっている。また、特許文献1のテーブルユニットでは、テーブル本体を格納位置に保持するためのロック機構が、ヒンジ機構とは別にベース部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-8629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のテーブルユニットにおけるロック機構は、ベース部に設けられたフック部であり、このフック部を格納位置にあるテーブル本体の先端部に引掛けることで、テーブル本体が格納位置に保持される。しかしながら、特許部文献1のテーブルユニットでは、ベース部にロック機構としてのフック部を設けるため、ベース部には一定の大きさが必要になっている。
【0005】
市場では、テーブルユニットの意匠性や設計自由度の観点から、ベース部のコンパクト化が望まれている。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、車両内装部に取り付けられるベース部と該ベース部に対して開閉可能に軸支されたテーブル本体とを備えるテーブルユニットにおいて、ベース部をコンパクトにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様のテーブルユニットは、車両内装部に取り付けられるベース部と、前記ベース部に対して開閉可能に軸支されたテーブル本体と、前記ベース部に対する前記テーブル本体の開閉位置を、少なくとも格納位置及び該格納位置よりも前記ベース部に対する開閉角度が大きい使用位置に保持可能なヒンジ機構と、を備える。
【0008】
第1態様のテーブルユニットでは、ベース部に対してテーブル本体を格納位置から使用位置まで回転させると、ヒンジ機構によってテーブル本体が使用位置で保持される。また、ベース部に対してテーブル本体を使用位置から格納位置まで回転させると、ヒンジ機構によってテーブル本体が格納位置で保持される。このようにテーブルユニットでは、ヒンジ機構によってテーブル本体が格納位置で保持されるため、例えば、ヒンジ機構とは別にテーブル本体を格納位置で保持するためのロック機構をベース部に設ける構成と比べて、ベース部をコンパクトにできる。
【0009】
本発明の第2態様のテーブルユニットは、第1態様のテーブルユニットにおいて、前記ヒンジ機構は、前記テーブル本体において、前記ベース部と前記テーブル本体とを軸支する回転軸周りに設けられた第1カム体と、前記ベース部と前記テーブル本体とを軸支する回転軸周りに配置された第1カム体と、前記ベース部に設けられ、前記回転軸と直交する方向に付勢されて前記第1カム体に押し付けられる第2カム体と、を備える。
【0010】
第2態様のテーブルユニットでは、テーブル本体に設けられた第1カム体にベース部に設けられた第2カム体が押し付けられることで、ベース部に対してテーブル本体が格納位置及び使用位置で保持される。ここで、テーブルユニットでは、第2カム体が回転軸と直交する方向に付勢されて第1カム体に押し付けられることから、例えば、第2カム体が回転軸方向に付勢されて第1カム体に押し付けられる構成と比べて、ヒンジ機構の回転軸方向に沿った寸法を小さくすることができる。
【0011】
本発明の第3態様のテーブルユニットは、第2態様のテーブルユニットにおいて、前記第1カム体及び前記第2カム体の一方には、第1係合部と第2係合部とが設けられており、前記第1カム体及び前記第2カム体の他方には、前記第1係合部及び前記第2係合部と係合可能な被係合部が設けられており、前記格納位置では、前記第1係合部と前記被係合部とが係合し、前記使用位置では、前記第2係合部と前記被係合部とが係合している。
【0012】
第3態様のテーブルユニットでは、ベース部に対してテーブル本体を格納位置から使用位置まで回転させると、第2係合部と被係合部とが係合して、テーブル本体が使用位置に保持される。また、ベース部に対してテーブル本体を使用位置から格納位置まで回転させると、第1係合部と被係合部とが係合して、テーブル本体が格納位置に保持される。ここで、テーブルユニットでは、ヒンジ機構によるテーブル本体の位置保持のために、係合部と被係合部との係合を用いるため、テーブル本体を格納位置及び使用位置に確実に保持することができる。
【0013】
本発明の第4態様のテーブルユニットは、第2態様又は第3態様のテーブルユニットにおいて、前記ベース部は、前記車両内装部としてのシートバックの背面に取り付けられており、前記回転軸は、シート幅方向に沿って延びており、前記テーブル本体の先端は、前記使用位置よりも前記格納位置において、シート上方に位置する。
【0014】
第4態様のテーブルユニットは、ベース部が車両内装部としてのシートバックの背面に取り付けられている。上記テーブルユニットでは、シート幅方向に沿って延びる回転軸を中心に、ベース部に対してテーブル本体が回転する。また、テーブル本体が格納位置にあるときは、テーブル本体が使用位置にあるときに比べて、テーブル本体の先端が上方に位置している。すなわち、テーブルユニットでは、格納位置にあるテーブル本体の先端を、回転軸を中心としてシート下方へ回転移動させることで、テーブル本体が使用位置へ至る。言い換えると、格納位置にあるテーブル本体を降ろすことで、テーブル本体が使用位置へ至り、保持される。このようにテーブルユニットでは、格納位置にあるテーブル本体を降ろすことでテーブル本体を使用位置へ保持できるため、例えば、格納位置にあるテーブル本体を持ち上げてテーブル本体を使用位置へ保持する構成と比べて、テーブル本体を使用位置まで開くのに必要な力を減らすことができる。
【0015】
本発明の第5態様のテーブルユニットは、第2態様~第4態様のいずれか一態様のテーブルユニットにおいて、前記第1カム体及び前記第2カム体は、前記回転軸の両端側にそれぞれ設けられている。
【0016】
第5態様のテーブルユニットでは、第1カム体及び第2カム体が回転軸の両端側にそれぞれ設けられていることから、ベース部に対するテーブル本体の回転動作が安定する。また、テーブル本体を格納位置及び使用位置に保持する保持力も向上する。
【0017】
本発明の第6態様のテーブルユニットは、第1態様~第5態様のいずれか一態様のテーブルユニットにおいて、前記ベース部の長さが、前記テーブル本体の長さよりも短い。
【0018】
第6態様のテーブルユニットでは、ベース部の長さが、テーブル本体の長さよりも短いことから、テーブル本体が格納位置にあるときに、ベース部の先端がテーブル本体によって覆われる。これにより、テーブル本体が格納位置にあるときのテーブルユニットの見栄え、すなわち、意匠性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、車両内装部に取り付けられるベース部と該ベース部に対して開閉可能に軸支されたテーブル本体とを備えるテーブルユニットにおいて、ベース部をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るテーブルユニットの斜視図である。
図2図1のテーブルユニットの平面図である。
図3図1のテーブルユニットの側面図である。
図4図1のテーブルユニットにおいて、テーブル本体が格納位置にある状態を示す側断面図である。
図5図1のテーブルユニットにおいて、テーブル本体が使用位置にある状態を示す側断面図(図2の5X-5X線に沿った断面図)である。
図6図1のテーブルユニットにおいて、テーブル本体が無理開き位置にある状態を示す側断面図である。
図7図1のテーブルユニットがシートバック背面に取り付けられた状態を示す、テーブルユニット及びシートバックの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の一実施形態に係るテーブルユニットを図1図7を用いて説明する。
【0022】
図2及び図7に示されるように、本実施形態のテーブルユニット20は、車両用内装部に取り付けられるものである。具体的には、テーブルユニット20は、車両としての自動車における内装を構成する部位(車両用内装部)に取り付けられるものであって、本実施形態では、自動車用のシート100のシートバック102の背面102Aに取り付けられる。なお、本実施形態では、自動車用のシート100にテーブルユニット20を取り付けているが、本発明はこの構成に限定されず、シートバックを有するシート(例えば、航空機のシート、電車のシート等)であれば、本実施形態のテーブルユニット20を取り付けることができる。なお、図2における矢印Wは、シート100の幅方向(以下、適宜「シート幅方向」と記載する。)を示している。また、図7における矢印Uは、シート100の上方(以下、適宜「シート上方」と記載する。)を示し、矢印Rは、シート100の後方(以下、適宜「シート後方」と記載する。)を示している。
【0023】
図1図3に示されるように、本実施形態のテーブルユニット20は、ベース部の一例としてのベース部30と、テーブル本体40とを備える。なお、図1図7における、矢印W及び矢印Uは、テーブルユニット20をシート100に取り付けた状態での各方向を示している。
【0024】
ベース部30は、図7に示されるように、シートバック102の背面102Aに取り付けられる部材である。このベース部30は、樹脂材料(例えば、プラスチック)によって形成されている。また、ベース部30は、平面視でシート幅方向が長い略長四角形状とされている。このベース部30は、シートバック102の背面に設けられた取付部102B(図7参照)に対して、ねじ材や留め具等の固定部材によって締結固定されている。また、ベース部30を取付部102Bに取り付けた状態では、取付部102Bは、ベース部30によって覆われている。
【0025】
また、ベース部30の下部には、シート幅方向に沿って延びる回転軸32が設けられている。具体的には、回転軸32の軸方向両端部は、ベース部30の幅方向(回転軸32の軸方向と同義)両側にそれぞれ設けられた軸受部33によって支持されている。この回転軸32は、金属製とされている。
【0026】
テーブル本体40は、図4図6に示されるように、ベース部30に対して開閉可能に軸支されている。具体的には、テーブル本体40は、ベース部30の回転軸32に軸支されて開閉可能とされている。このテーブル本体40は、樹脂材料(例えば、プラスチック)によって形成されている。また、テーブル本体40は、図2に示されるように平面視でシート幅方向が長い略長四角形状とされている。そして、テーブル本体40の長さL2は、ベース部30の長さL1よりも長くなっている。言い換えると、ベース部30の長さL1は、テーブル本体40の長さL2よりも短い。なお、ここでいう長さL2は、平面視におけるテーブル本体40のシート幅方向(以下、適宜「横方向」と記載する。)と直交する方向(以下、適宜「縦方向」)の長さであって、回転軸32の中心32CLからテーブル本体40の先端までの長さを指す。また、長さL1は、平面視におけるベース部30のシート幅方向(横方向)と直交する方向(縦方向)の長さであって、回転軸32の中心32CLからベース部30の先端(上端)までの長さを指す。
【0027】
また、本実施形態のテーブルユニット20は、図4図6に示されるように、ヒンジ機構50を更に備えている。このヒンジ機構50は、ベース部30に対するテーブル本体40の開閉位置を多段階に調整可能に構成されている。また、本実施形態のヒンジ機構50は、ベース部30に対するテーブル本体40の開閉位置を、少なくとも格納位置(図4参照)、使用位置(図5参照)、及び、無理開き位置(図6参照)に保持可能とされている。
【0028】
図4には、ベース部30に対してテーブル本体40が格納位置にある状態が示されている。テーブル本体40が格納位置にある場合、シート後方から見て、ベース部30がテーブル本体40によって覆われている。また、本実施形態のテーブル本体40は、シート幅方向から見た形状が、シートバック102の背面102Aに沿った形状とされている。具体的には、シート幅方向から見て、テーブル本体40の外面40Cの形状が、格納位置においてシートバック102の背面102Aの対応する部分の形状に沿っている。このため、テーブル本体40が格納位置にある場合、シート幅方向から見て、テーブル本体40がシートバック102の背面102Aに沿っている。なお、本実施形態では、テーブル本体40の外面40Cと反対側の面が、テーブル本体40に物を置くための載置面40Dとされている。これらの載置面40D及び外面40Cは、それぞれ平坦面とされている。
【0029】
また、本実施形態では、図4に示されるように、テーブル本体40が格納位置にある場合、テーブル本体が使用位置にある場合よりも、テーブル本体40の先端部40Aがシート上方に位置する。
【0030】
図5には、ベース部30に対してテーブル本体40が使用位置にある状態が示されている。テーブル本体40の使用位置は、格納位置よりもベース部30に対する開閉角度θが大きい位置である。なお、ここでいう開閉角度θは、後述するコイルスプリング56の軸線(軸線の延長線も含む)とテーブル本体40の外面40Cとの間の角度を指す。テーブル本体40が使用位置にある場合、シート幅方向から見て、テーブル本体40は、水平方向と略平行になる。具体的には、テーブル本体40が使用位置にある場合、シート100のシートバック102が若干後方へ傾動された通常の起立状態において、シート幅方向から見て、テーブル本体40が水平方向と略平行になる。なお、シートバック102をリクライニング機構により傾けた場合には、テーブル本体40の水平状態もリクライニング角度に応じて変動する。
【0031】
図6には、ベース部30に対してテーブル本体40が無理開き位置にある状態が示されている。テーブル本体40の無理開き位置は、使用位置よりもベース部30に対する開閉角度θが大きい位置である。テーブル本体40が無理開き位置にある場合、シート幅方向から見て、テーブル本体40の先端部40Aが斜め下方を向く。
【0032】
ヒンジ機構50は、図4図6に示されるように、第1カム体52と、第2カム体54と、付勢部材の一例としてのコイルスプリング56と、を備えている。
【0033】
第1カム体52は、図4図6に示されるように、テーブル本体40の基端部40B側で、ベース部30とテーブル本体40とを軸支する回転軸32の周りに設けられている。
【0034】
第1カム体52の外周面には、第2カム体54のカム面54Aに接するカム面52Aが形成されている。このカム面52Aには、外周に沿って、第1係合部58、第2係合部59、及び、第3係合部60がそれぞれ設けられている。これら第1係合部58及び第3係合部60は、それぞれカム面52Aを突出させた部分(具体的には、山形状に突出させた部分)であり、第2係合部59は、第1係合部58と第3係合部60の間で、カム面52Aを凹ませた部分(具体的には、谷形状に凹ませた部分)である。
【0035】
第2カム体54は、図4図6に示されるように、ベース部30に設けられている。具体的には、ベース部30には、第2カム体54を収容するカムケース34が設けられており、このカムケース34内を第2カム体54は、スライド移動可能に構成されている。カムケース34の第2カム体54を収容する空洞部35は、回転軸32に対して直交する方向に延びており、回転軸32側の開口から第2カム体54の一部が突き出ており、突き出た部分の先端部にカム面54Aが形成されている。なお、カムケース34の空洞部35の形状は、第2カム体54が空洞部35内をスライド移動可能な形状とされている。この第2カム体54は、コイルスプリング56によって、回転軸32と直交する方向に付勢されて、第1カム体52に押し付けられている。具体的には、第2カム体54が付勢されてカム面54Aが、第1カム体52のカム面52Aに押し付けられている。
【0036】
また、第2カム体54のカム面52Aには、第1カム体52の第1係合部58、59、60と係合可能な被係合部62が設けられている。この被係合部62は、カム面54Aを突出させた部分(具体的には、山形状に突出させた部分)であり、カム面54Aのシート前方側に形成されている。一方、カム面54Aの残りの部分は平坦面54Bとされている。
【0037】
コイルスプリング56は、図4図6に示されるように、ベース部30に設けられている。具体的には、コイルスプリング56は、ベース部30のカムケース34の空洞部35に収容されており、第2カム体54を回転軸32に向けて、回転軸32と直交する方向に付勢している。なお、本実施形態では、カムケース34にシート幅方向に並べて複数本(3本)のコイルスプリング56が収容されている。このように複数のコイルスプリング56をシート幅方向に並べることで、例えば、1本の長いコイルスプリングを用いる構成と比べて、ベース部30の縦方向の寸法を短くしつつ、1本の長いコイルスプリングと同等以上の付勢力が得られる。
【0038】
テーブル本体40が格納位置にある場合、図4に示されるように、第1係合部58と被係合部62とが係合している。具体的には、山形状の突出部分である被係合部62の湾曲した頂面62Aが、山形状の突出部分である第1係合部58の湾曲した頂面58Aに当接し、その状態で、コイルスプリング56の付勢力によって第2カム体54が第1カム体52に押し付けられている。このように頂面62Aが頂面58Aに押し付けられた状態では、コイルスプリング56の付勢力によって、テーブル本体40が格納位置にある状態が維持される。すなわち、テーブル本体40が格納位置で保持される。
【0039】
テーブル本体40が使用位置にある場合、図5に示されるように、第2係合部59と被係合部62とが係合している。具体的には、山形状の突出部分である被係合部62のシート前方側の斜面62Bが谷形状の凹状部分である第2係合部59の斜面59Aに当接している。また、本実施形態では、平坦面54Bが第1カム体52の回転方向で第2係合部59と第1係合部58との間に形成された山形状の突出部64の湾曲した頂面64Aに当接している。その当接状態で、コイルスプリング56の付勢力によって第2カム体54が第1カム体52に押し付けられている。このように斜面62Bが斜面59Aに押し付けられると共に、平坦面54Bが頂面64Aに押し付けられた状態では、コイルスプリング56の付勢力によって、テーブル本体40が使用位置にある状態が維持される。すなわち、テーブル本体40が使用位置で保持される。特に、本実施形態では、斜面62Bが斜面59Aに押し付けられると共に平坦面54Bが頂面64Aに押し付けられるため、第2カム体54によって、テーブル本体40が2点で支持されることになり、テーブル本体40を使用位置に保持する保持力が向上する。
【0040】
テーブル本体40が無理開き位置にある場合、図6に示されるように、第3係合部60と被係合部62とが係合している。具体的には、山形状の突出部分である被係合部62の湾曲した頂面62Aが、山形状の突出部分である第3係合部60の湾曲した頂面60Aに当接し、その状態で、コイルスプリング56の付勢力によって第2カム体54が第1カム体52に押し付けられている。このように頂面62Aが頂面60Aに押し付けられた状態では、コイルスプリング56の付勢力によって、テーブル本体40が無理開き位置にある状態が維持される。すなわち、テーブル本体40が無理開き位置で保持される。
【0041】
また、本実施形態では、第1カム体52、第2カム体54、コイルスプリング56及びカムケース34が、回転軸32の両端側にそれぞれ設けられている。
【0042】
また、本実施形態のテーブルユニット20では、ベース部30とテーブル本体40との間に、カップホルダ70が設けられている。このカップホルダ70は、回転軸32に軸支されている。また、カップホルダ70は、テーブル本体40が格納位置にあるときに、シート後方からみて、テーブル本体40に覆われるようになっている。また、本実施形態では、カップホルダ70は、回転軸32の軸方向両側にそれぞれ設けられている。なお、本発明はこの構成に限定されず、カップホルダ70は、回転軸32の軸方向片側のみに設けられる構成であってもよいし、回転軸32の軸方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0043】
次に本実施形態の作用について説明する。
図4及び図5に示されるように、テーブルユニット20では、ベース部30に対してテーブル本体40を格納位置から使用位置まで回転させると、ヒンジ機構50によってテーブル本体40が使用位置で保持される。また、ベース部30に対してテーブル本体40を使用位置から格納位置まで回転させると、ヒンジ機構50によってテーブル本体40が格納位置で保持される。このようにテーブルユニット20では、ヒンジ機構50によってテーブル本体40が格納位置で保持されるため、例えば、ヒンジ機構とは別にテーブル本体を格納位置で保持するためのロック機構をベース部に設ける構成と比べて、ベース部30をコンパクトにできる。具体的には、ベース部30の縦寸法を小さくすることができる。このようにベース部30をコンパクトにすることで、ベース部30を軽量化することができる。また、ベース部30をコンパクトにすることによって、テーブルユニット20の意匠性が向上し、シートバック102に対する取り付けスペースの制限が緩和されて設計自由度が向上する。
【0044】
また、テーブルユニット20では、テーブル本体40に設けられた第1カム体52にベース部30に設けられた第2カム体54が押し付けられることで、ベース部30に対してテーブル本体40が格納位置及び使用位置で保持される。ここで、テーブルユニット20では、第2カム体54が回転軸32と直交する方向に付勢されて第1カム体52に押し付けられることから、例えば、第2カム体が回転軸方向に付勢されて第1カム体に押し付けられる構成と比べて、ヒンジ機構50の回転軸方向(回転軸32の軸方向、言い換えると横方向)に沿った寸法を小さくすることができる。このように、ヒンジ機構50の回転軸方向に沿った寸法を小さくできるため、テーブルユニット20の意匠性がさらに向上し、シートバック102に対する設計自由度もさらに向上する。
【0045】
また、テーブルユニット20では、ベース部30に対してテーブル本体40を格納位置から使用位置まで回転させると、第2係合部59と被係合部62とが係合して、テーブル本体40が使用位置に保持される。また、ベース部30に対してテーブル本体40を使用位置から格納位置まで回転させると、第1係合部58と被係合部62とが係合して、テーブル本体40が格納位置に保持される。ここで、テーブルユニット20では、ヒンジ機構50によるテーブル本体40の位置保持のために、第1係合部58及び第2係合部59と、被係合部62との係合を用いるため、テーブル本体40を格納位置及び使用位置に確実に保持することができる。
【0046】
また、テーブルユニット20では、シート幅方向に沿って延びる回転軸32を中心に、ベース部30に対してテーブル本体40が回転する。また、テーブル本体40が格納位置にあるときは、テーブル本体40が使用位置にあるときに比べて、テーブル本体40の先端部40Aが上方に位置している。すなわち、テーブルユニット20では、格納位置にあるテーブル本体40の先端部40Aを、回転軸32を中心としてシート下方へ回転移動させることで、テーブル本体40が使用位置へ至る。言い換えると、格納位置にあるテーブル本体40を降ろすことで、テーブル本体40が使用位置へ至り、保持される。このようにテーブルユニット20では、格納位置にあるテーブル本体40を降ろすことでテーブル本体40を使用位置へ保持できるため、例えば、格納位置にあるテーブル本体を持ち上げてテーブル本体を使用位置へ保持する構成と比べて、テーブル本体40を使用位置まで開くのに必要な力を減らすことができる。
【0047】
そして、テーブルユニット20では、第1カム体52及び第2カム体54が回転軸32の両端側にそれぞれ設けられていることから、ベース部30に対するテーブル本体40の回転動作が安定する。また、テーブル本体40を格納位置及び使用位置に保持する保持力も向上する。
【0048】
さらに、テーブルユニット20では、ベース部30の長さL1が、テーブル本体40の長さL2よりも短いことから、テーブル本体40が格納位置にあるときに、ベース部30の先端部30Aがテーブル本体40によって覆われる。これにより、テーブル本体40が格納位置にあるときのテーブルユニット20の見栄え、すなわち、意匠性が向上する。
【0049】
前述の実施形態では、ベース部30とテーブル本体40との間にカップホルダ70を設ける構成としているが本発明はこの構成に限定されない。例えば、ベース部30にカップホルダ70を設けてもよい。具体的には、ベース部30にカップホルダ70を軸支させてもよい。また、テーブル本体40にカップホルダ70を設けてもよい。具体的には、テーブル本体40カップホルダ70を軸支させてもよい。またさらに、カップホルダ70の代わりに、テーブル本体40にカップ置台(例えば、カップ支持用の環状リブや凹部等)を設けてもよい。
【0050】
また、前述の実施形態では、ベース部30にカムケース34、第2カム体54及びコイルスプリング56を備えさせ、テーブル本体40に第1カム体52を備えさせたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、ベース部30に第1カム体52を備えさせ、テーブル本体40にカムケース34、第2カム体54及びコイルスプリング56を備えさせてもよい。
【0051】
さらに、前述の実施形態では、テーブルユニット20を着座者の背部を支えるシートバック102の背面102Aに取り付けているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、着座者が着座するシートクッション(図示せず)の側面(シートクッションの座面を挟んでシート幅方向両側の側面)に取り付けられてもよい。具体的には、運転席の助手席側のシートクッション側面にテーブルユニット20を取り付けてもよい。この場合には、シート前後方向(車両前後方向と同義)が回転軸32の軸方向となるように、シートクッション側面にベース部30が取り付けられる。なお、ベース部30の取り付けの向きは、ベース部30に対して回転軸32がシート上方となる向きでも、シート下方となる向きでもよい。またさらに、テーブルユニット20のベース部30を車両用ドアのドアトリム(ドアの内側)等に取り付けてもよい。なお、上記シートクッション側面とドアトリムは、車両内装部の一例である。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
20 テーブルユニット
30 ベース部
32 回転軸
40 テーブル本体
40A 先端部
50 ヒンジ機構
52 第1カム体
54 第2カム体
58 第1係合部
59 第2係合部
62 被係合部
102A シートバックの背面(車両内装部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7