IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レヴォリューション・メディスンズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7356414がんを治療するためのSHP2阻害剤組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】がんを治療するためのSHP2阻害剤組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/497 20060101AFI20230927BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20230927BHJP
【FI】
A61K31/497
A61K31/519
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K45/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020513824
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018049744
(87)【国際公開番号】W WO2019051084
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/555,400
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/558,255
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/653,831
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/681,001
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519011784
【氏名又は名称】レヴォリューション・メディスンズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・ニコルズ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイ・ゴールドスミス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーン・スミス
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・イー・ウィルデス
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ケルシー
(72)【発明者】
【氏名】マリカ・シン
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0176309(US,A1)
【文献】Oncotarget (2016) vol.7, no.40, p.65676-65695
【文献】Nature (2016) vol.535, no.7610, p.148-152
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/497
A61K 31/519
A61P 35/00
A61P 35/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物はSHP2の阻害剤を含み、前記SHP2の阻害剤は、
式I-V2:
【化1】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/または互変異性体であって、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は-NRa-であり、Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、
2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
3は、Raと組み合わされて、3~12員の多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成し、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、ハロゲン、-OH、-ORb、-NH2、-NHRb、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-(CH2nOH、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、-CH2Fまたは=Oで置換されており;
各R1は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
2は、-NH2、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
各Rbは、独立して、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(
O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fで置換されており;
4は、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6ハロアルキル、-C1~C6ヒドロキシアルキル、-CF2OH、-CHFOH、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、-ORb、ハロゲンまたはオキソで置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンで置換されており;
各R5およびR6は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、
単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
各R7およびR8は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNで置換されており;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である、
前記医薬組成物。
【請求項2】
NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物はSHP2の阻害剤を含み、前記SHP2の阻害剤は、
式I-V2:
【化2】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/または互変異性体であって、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は-NRa-であり、Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、
2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
3は、Raと組み合わされて、3~12員の多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成し、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、ハロゲン、-OH、-ORb、-NH2、-NHRb、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-(CH2nOH、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、-CH2Fまたは=Oで置換されており;
各R1は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-
S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
2は、-NH2、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
各Rbは、独立して、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fで置換されており;
4は、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6ハロアルキル、-C1~C6ヒドロキシアルキル、-CF2OH、-CHFOH、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、-ORb、ハロゲンまたはオキソで置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンで置換されており;
各R5およびR6は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
各R7およびR8は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNで置換されており;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である、
前記医薬組成物。
【請求項3】
NF1機能喪失変異に関連する疾患を有する対象を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物はSHP2の阻害剤を含み、前記SHP2の阻害剤は、
式I-V2:
【化3】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/または互変異性体であって、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は-NRa-であり、Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、
2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
3は、Raと組み合わされて、3~12員の多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成し、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、ハロゲン、-OH、-ORb、-NH2、-NHRb、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-(CH2nOH、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、-CH2Fまたは=Oで置換されており;
各R1は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
2は、-NH2、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘ
テロアリールで置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
各Rbは、独立して、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fで置換されており;
4は、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6ハロアルキル、-C1~C6ヒドロキシアルキル、-CF2OH、-CHFOH、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、-ORb、ハロゲンまたはオキソで置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンで置換されており;
各R5およびR6は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
各R7およびR8は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNで置換されており;ならびに nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である、
前記医薬組成物。
【請求項4】
腫瘍を有する対象を治療するための医薬組成物であって、前記治療は:
(1)
(a)該対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を含む医薬組成物を投与すること;または
(2)
(a)該対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を含む医薬組成物を投与すること;または
(3)
(a)該対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがクラス3 BRAF変異として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を含む医薬組成物を投与すること;または
(4)
(a)該対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがクラスI MEK1変異として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を含む医薬組成物を投与すること;または
(5)
(a)該対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)該生体サンプルがクラスII MEK1変異として分類される場合、該対象にSHP2の阻害剤を含む医薬組成物を投与すること
を含み、前記SHP2の阻害剤は、
式I-V2:
【化4】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/または互変異性体であって、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は-NRa-であり、Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、
2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
3は、Raと組み合わされて、3~12員の多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成し、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、ハロゲン、-OH、-ORb、-NH2、-NHRb、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-(CH2nOH、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、-CH2Fまたは=Oで置換されており;
各R1は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテ
ロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
2は、-NH2、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
各Rbは、独立して、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fで置換されており;
4は、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6ハロアルキル、-C1~C6ヒドロキシアルキル、-CF2OH、-CHFOH、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、-ORb、ハロゲンまたはオキソで置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンで置換されており;
各R5およびR6は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
各R7およびR8は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNで置換されており;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である、
前記医薬組成物。
【請求項5】
腫瘍細胞の成長を阻害するための組合せ医薬であって、前記組合せ医薬は:
(a)トラメチニブ(GSK1120212)および以下の構造を有する化合物B
【化5】
(b)トラメチニブ(GSK1120212)および以下の構造を有する化合物
【化6】
を含み、
前記腫瘍細胞は、KRAS G12C 変異、KRAS G12D 変異、KRAS G12S 変異、KRAS G12V 変異、NF1 LOF 変異、クラス3 BRAF変異、クラスI MEK1変異、およびクラスII MEK1変異からなる群より選択される変異を含有する、前記組合せ医薬。
【請求項6】
腫瘍を有する対象を治療するための組合せ医薬であって、前記組合せ医薬は
トラメチニブ(GSK1120212)およびSHP2の阻害
含み、
前記SHP2の阻害剤は、
式I-V2:
【化7】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/または互変異性体であって、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は-NRa-であり、Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し

2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
3は、Raと組み合わされて、3~12員の多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成し、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、ハロゲン、-OH、-ORb、-NH2、-NHRb、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-(CH2nOH、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、-CH2Fまたは=Oで置換されており;
各R1は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
2は、-NH2、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
各Rbは、独立して、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fで置換されており;
4は、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6ハロアルキル、-C1~C6ヒドロキシアルキル、-CF2OH、-CHFOH、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3
8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、-ORb、ハロゲンまたはオキソで置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンで置換されており;
各R5およびR6は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
各R7およびR8は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNで置換されており;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
前記腫瘍は、KRAS G12C 変異、KRAS G12D 変異、KRAS G12S 変異、KRAS G12V 変異、NF1 LOF 変異、クラス3 BRAF変異、クラスI MEK1変異、およびクラスII MEK1変異からなる群より選択される変異を含有する、
前記組合せ医薬。
【請求項7】
SHP2の阻害剤は、Y1が-S-または直接結合である式I-V2の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/または互変異性体から選択される、請求項1~およびのいずれか1項に記載の医薬組成物または組合せ医薬。
【請求項8】
SHP2の阻害剤は:
以下の構造を有する化合物A
【化8】
以下の構造を有する化合物B
【化9】
以下の構造を有する化合物
【化10】
である、請求項1~およびのいずれか1項に記載の医薬組成物または組合せ医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年9月7日に出願された米国仮特許出願第62/555,400号;2017年9月13日に出願された米国仮特許出願第62/558,255号;2018年4月6日に出願された米国仮特許出願第62/653,831号;および2018年6月5日に出願された米国仮特許出願第62/681,001号の利益を主張し、その内容は、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示は、タンパク質チロシンホスファターゼSHP2の阻害剤を単独で、および、RAS経路阻害剤(例えば、MEK阻害剤)のような他の治療剤と組み合わせて、疾患または障害(例えば、がん)の治療のための組成物および方法に関する。具体的には、本発明は、SHP2阻害剤での治療の候補として決定した患者の特定のサブセットにおいて、疾患または障害(例えば、がん)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
がんは依然として、ヒトの健康に対して最も致命的な脅威の1つである。米国において、がんは、毎年130万人近くの新たな患者が罹患し、心疾患に次いで死因第二位であり、死亡のおよそ4例に1例を占める(特許文献1)。多くのがんは、受容体チロシンキナーゼ(RTK)および/またはRAS経路モジュレーターの構成的または異常な活性化により起こる。
【0004】
RTKは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは、細胞の増殖、生存、代謝、および遊走を含む多くの基本的細胞プロセスに関与する、重要なクラスの受容体である(例えば、非特許文献1)。このクラスの顕著なファミリーとして、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、erbB2、erbB4、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、免疫グロブリン様上皮成長因子相同性ドメインを伴うチロシンキナーゼ(TIE-2)、インスリン成長因子-I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkC)、エフリン(eph)受容体、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、ならびにRET癌原遺伝子が挙げられる。
【0005】
このクラスの受容体チロシンキナーゼは、二量化により活性化される場合、RTKの細胞内ドメインが様々のシグナル伝達経路を順番に活性化することができるチロシンキナーゼ活性を獲得するためにそう呼ばれている。
【0006】
図1は、RTK経路の模式的な概略図を示す。RTKは、リガンドが結合すると二量化されるが、これが、受容体の自己リン酸化および下流のシグナル伝達の開始を引き起こす。具体的には、RTKリン酸化が、そのSH2ドメインを介してGRB2アダプターの結合をリクルートし、次いで、GRB2が、アダプタータンパク質GAB1およびGEFタンパク質SOS1のような下流のシグナリング分子を(SH3ドメインを介して)リクルートする(非特許文献2)。
【0007】
RASは、GDP結合「オフ」とGTP結合「オン」の状態の間を往復し、それは、RASにGTPを結合させるGEFタンパク質(例えばSOS1)と、GTPを加水分解することによりRASを不活性化するGAPタンパク質(例えばNF1)との相互作用により促進される。加えて、SH2ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ-2(SHP2)は、受容体シグナリング装置に関連し、RTKが活性化すると活性になり、次いでRAS活性化を促進する(同上)。
【0008】
RASの活性化の結果、セリン/スレオニンキナーゼRAFを誘発する。RAFは、MEK1/2をリン酸化し、さらにはそれがERK1/2をリン酸化し活性化することにより、例えば転写を介する下流のシグナリングならびにRTKのフィードバック阻害をもたらし、それによりシグナルの伝達が止まる。RAFはまた、MKK4/7、MKK3/6およびMEK5を活性化するMAP3キナーゼを活性化し、続いてJNK1/2、p38およびERK5を活性化する。MAP3Kはまた、炎症性サイトカイン、酸化ストレスおよびUV照射により活性化される。PI3Kは、RTKの自己リン酸化により活性化され、Aktの活性化をもたらし、またmTORC1複合体内にmTORを誘発する。Aktはまた、mTORC2複合体により調節される。PLCγ活性化は、Ca+2動員、およびPKCの活性化をもたらす。これらの事象は、増殖、分化、生存および細胞遊走において重要な役割を果たす。
【0009】
RTKおよび/またはRAS経路シグナリング分子の過剰発現または変異の結果、制御されない細胞の成長が示されている。このようなキナーゼの異常活性は、悪性組織の増殖、生存、侵襲および転移と関係している。例えば、RTKおよび/またはRAS経路成分Ras(KRAS、NRAS、HRAS)、B-Raf、NF1、PI3KならびにAKTに影響する変異が、いくつかのタイプのがんおよび異なる組織起源の悪性度を促進することは一般的である。
【0010】
したがって、RTKおよび下流のRAS経路シグナル伝達物質は、魅力的な治療標的となる。
【0011】
しかし、RAS経路の治療的阻害は、最初は有効であることが多いが、例えば、これらの経路で自然に動作する負フィードバック機構の軽減を介する経路の再活性化を含む、いくつかの機構を介するRAS経路シグナリングの過剰な活性化をもたらす可能性があるので、最終的に効果のないことが判明する場合がある。例えば、様々ながんにおいて、MEK阻害の結果、RTK活性化のMEK/ERKによって媒介されるフィードバック阻害の軽減により、ErbBシグナリングは増強する。結果として、このような阻害剤に最初は感受性を示した細胞は、耐性を有するようになる可能性がある。ゆえに、抵抗機構の活性化を誘発せずにRAS経路シグナリングを効果的に阻害する方法が必要とされている。
【0012】
SHP2は、増殖、分化、細胞周期の維持および遊走を含む複数の細胞機能に寄与する、PTPN11遺伝子によりコードされる非受容体タンパク質チロシンホスファターゼである。SHP2は、RAS-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、JAK-STATおよび/またはホスホイノシトール3-キナーゼ-AKT経路を通したシグナリングに関与する。
【0013】
SHP2は、2つのN末端Src相同性2ドメイン(N-SH2およびC-SH2)、触媒ドメイン(PTP)、ならびにC末端テイルを有する。2つのSH2ドメインは、SHP2の細胞内局在性および機能調節を制御する。分子は、N-SH2およびPTPドメインの両方由来の残基が関与する結合ネットワークにより安定した不活性で自己阻害された立体配座に存在する。RTKを通して作用する例えばサイトカインまたは成長因子による刺激により、SHP2の酵素活性化をもたらす触媒部位の曝露をもたらす。
【0014】
PTPN11遺伝子と、続くSHP2での変異は、ヌーナン症候群およびレオパード症候群のようないくつかのヒトの発育障害、ならびに、若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫、黒色腫、急性骨髄性白血病、ならびに乳、肺および結腸のがんのようなヒトのがんで確認されている。これらの変異のいくつかは、SHP2の自己阻害された立体配座を不安定化し、SHP2の自己活性化または成長因子に由来する上昇した活性を促進する。
【0015】
したがって、SHP2は、がんを含む様々な疾患の治療のための新規療法の開発に対して、非常に魅力的な標的となる。RNAi技術を使用するSHP2発現のノックダウンまたはアロステリック小分子阻害剤によるSHP2の阻害のいずれかが、がん細胞の成長の駆動に関与する様々なRTK由来のシグナリングを妨げることは、先に開示されている。しかし、この報告はまた、このようなアプローチが、RasまたはRafタンパク質での変異を活性化することを含むもののような、成長がRTKの下流として作用するタンパク質での変異により駆動される細胞で、成長シグナリングを妨害することにおいて効果がないと結論付けていた(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】US20170204187
【非特許文献】
【0017】
【文献】Schlessinger、Cell、103:211~225頁(2000)
【文献】McDonaldら、FEBS J.2012年6月 279(2):2156~2173頁
【文献】Chen,Ying-Nan P.148 Nature第535巻、2016年7月7日、151頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本開示は、SHP2阻害剤を単独で、または別の好適な治療剤と組み合わせて、疾患または障害(例えば、がん)を治療または予防することに関する。具体的には、いくつかの実施形態において、本開示は、先行技術の教示に反して、腫瘍性RAS経路変異を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害剤で効果的に治療されるという予想外の発見に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、RAS変異(例えばKRASG12Cおよび/または特定の他のKRAS変異)を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示すという発見に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、NF1LOF変異を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示すという発見に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、様々な実施形態において、本開示は、RAS経路変異を含有する細胞(例えば、がん細胞)を治療するための方法を提供するが、これは、SHP2の阻害剤で、SHP2を通じて上流のシグナリングに変異したタンパク質を依存させる。
【0020】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2活性化がMAPKシグナリングを自然に促進し、これはさらには、RTKおよびRAS経路シグナリングのフィードバック阻害を促進することができるが、SHP2の阻害の結果、フィードバック阻害の軽減を介してRTKまたはRAS経路シグナリングは、続いて過剰に活性化しないという予想外の発見に関する。これは、SHP2が、RAS経路においてRTKの下流であり、SHP2阻害が、RTKからのシグナルの伝達を妨害するので、SHP2阻害の予想された結果が、フィードバックの脱阻害によるRTKの過剰活性化だったという事実をふまえれば、特に驚くべきことである。ゆえに、本開示は、異なったMAPK阻害剤が、フィードバック阻害の軽減により耐性を誘発でき、SHP2阻害剤は誘発しないが、これらが、MEK阻害剤の薬物耐性に寄与する可能性があるMEK阻害剤治療に関してRASの過剰活性化を低減できることを示す。
【0021】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2阻害が様々ながん療法に対する腫瘍抵抗性の出現を予防し、遅らせ、MAPK阻害剤に対する耐性がある腫瘍をその阻害剤に対して再感作させるために効果的な手段であるという発見に関する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される発見は、SHP2阻害剤で細胞(例えば、がん細胞)を治療するための方法であって、細胞を治療介入(例えばMAPK阻害剤の投与)によってSHP2に依存させる、方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞をSHP2シグナリングに依存させるこのような治療介入の結果、天然RAS経路の負フィードバック機構の軽減を介して、RAS経路は過剰活性化する。
【0023】
いくつかの実施形態において、本開示は、先行技術の教示に反して、Y580でのSHP2リン酸化が後で起こり、先のY542でのリン酸化に依存し、SHP2活性のアロステリック阻害が酵素の閉塞状態を安定させることにより起こり、これにより、Y542ではなくY580のリン酸化を予防するという驚くべき発見に関する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、SHP2阻害剤がその標的(すなわちSHP2)を係合するかどうかを判断する方法であって、SHP2のY580ではなくY542が成長因子刺激に対してリン酸化されるかどうかを判断することを含む、方法を提供する。
【0025】
したがって、本発明は、タンパク質チロシンホスファターゼSHP2の阻害剤で疾患または障害(例えば、がん)を治療または予防するための組成物および方法に関する。本発明はまた、対象由来の組織サンプルでの1つまたはそれ以上のバイオマーカーの発現に基づいて、対象に対して適切な治療計画を策定する方法であって、バイオマーカーはSHP2阻害剤感受性を示す、方法に関する。本発明はまた、SHP2のリン酸化状態に基づいてSHP2阻害剤に対する感受性を判断する方法に関する。
【0026】
いくつかの実施形態において、本開示は、KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、本開示は、NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または障害は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0028】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる対象の細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、任意の特異的アイソフォームまたはそれらのアレオタイプを含む、RAS、RAF、NF1、MEK、ERKまたはSOSでの変異である。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、任意の特異的アイソフォームまたはそれらのアレオタイプを含む、RAS、RAF、NF1またはSOSでの変異である。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、およびクラスIII BRAF変異から選択されるRAS変異である。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される。いくつかの特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Cである。いくつかの特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Aである。いくつかの実施形態において、クラスIII BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、MEK変異は、MEK1またはMEK2変異である。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、RAF依存性MEK1変異(すなわち「クラスI」MEK1変異)である。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、RAF制御型MEK1変異(すなわち「クラスII」MEK1変異)である。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択される。いくつかの実施形態において、クラスII MEK変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択される。いくつかの実施形態において、RAF変異は、ARAFまたはCRAF変異である。いくつかの実施形態において、NF1変異は、NF1機能喪失変異である。いくつかの実施形態において、SOS変異は、SOSの変化した機能をもたらす。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0029】
いくつかの実施形態において、本開示は、NF1機能喪失変異に関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、疾患は、NF1機能喪失変異を伴う細胞を含む腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である。いくつかの実施形態において、疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。
【0031】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがクラス1 MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがクラス1 MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択される。
【0034】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、(a)対象から得られる生体サンプルがクラス2 MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること;および(b)生体サンプルがクラス2 MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、クラスII MEK変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択される。
【0035】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための方法であって、対象にSHP2阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、対象は、NF1LOF変異を伴う細胞を含有する腫瘍を含む。いくつかの実施形態において、対象は、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12A変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異を含有する腫瘍を含む。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である。いくつかの実施形態において、MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581);ビニメチニブ;ベムラフェニブ;ピマセルチブ;TAK733;RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、ERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、ERK阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のERK阻害剤から選択される。いくつかの実施形態において、ERK阻害剤は、LY3214996およびBVD523から選択される。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする対象にRAS経路阻害剤およびSHP2阻害剤を投与することを含む、組合せ療法を提供する。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である。いくつかの実施形態において、MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581);ビニメチニブ;ベムラフェニブ;ピマセルチブ;TAK733;RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、KRASG12C特異的阻害剤ARS-853である。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路阻害剤、SHP2阻害剤、ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。
【0038】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法を提供する。SHP2阻害剤は、当該技術分野で知られている、または本明細書で開示される任意のSHP2阻害剤であり得る。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラス3 BRAF変異、MEK1変異、MEK2変異、ERK変異、およびNF1変異から選択される。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12C変異である。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異である。いくつかの実施形態において、クラス3 BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択される。いくつかの実施形態において、MEK1変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択される。
【0039】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞をRAS経路の阻害剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、SOS阻害剤である。いくつかの実施形態において、SOS阻害剤は、通常より高いSOSレベルまたはSOS活性を含む細胞に投与される。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。
【0040】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法を提供する。SHP2阻害剤は、当該技術分野で知られている、または本明細書で開示される任意のSHP2阻害剤であり得る。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラス3 BRAF変異、MEK変異、ERK変異、およびNF1変異から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラス3 BRAF変異、およびNF1変異から選択される。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Cである。特定の実施形態において、KRAS変異は、KRASG12Aである。いくつかの実施形態において、クラス3 BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される。特定の実施形態において、MEK変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択されるクラスI MEK1変異である。いくつかの実施形態において、MEK変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択されるクラスII MEK1変異である。いくつかの実施形態において、方法は、細胞をRAS経路の阻害剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、SOS阻害剤である。いくつかの実施形態において、SOS阻害剤は、通常より高いSOSレベルまたはSOS活性を含む細胞に投与される。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。
【0041】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法を提供する。このような接触は、例えば、対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボであり得る。さらに、このような方法は、例えば、1つの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞を、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含むことができる。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、MEK阻害剤、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、化合物B、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、化合物Bおよびアベマシクリブを含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Aを含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびSHP099を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびNSC-87877を含む組合せ療法と接触させる。いくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せを含む組合せ療法と接触させる。全てのこのような実施形態において、ここで、本開示は、腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞を組合せ療法と接触させることを含む、方法を提供し、腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃がん(gastric cancer);神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃がん(stomach cancer);下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である。例えば、いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞を、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法のような、MEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含み、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来であり、接触は、好ましくは対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボで行われる、方法を提供する。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍ではなく結腸がん腫瘍由来である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、食道がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、直腸がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、JMML腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、乳がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、黒色腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、シュワン細胞腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、膵がん腫瘍である。
【0042】
様々な実施形態において、腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する。
【0043】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤およびRAS経路の阻害剤を提供することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される。いくつかの実施形態において、疾患は、NF1機能喪失変異を伴う細胞を含む腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である。いくつかの実施形態において、疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である。いくつかの実施形態において、Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される。
【0044】
いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、腫瘍をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法を提供する。このような接触は、例えば、対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボであり得る。ゆえに、当業者は、接触が、例えば対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)への投与を介し得ることは理解するであろう。したがって、このような方法は、例えば、腫瘍細胞を、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含むことができる。このような方法は、例えば、腫瘍細胞をSHP2阻害剤およびアベマシクリブを含む組合せ療法と接触させることを含むことができる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、MEK阻害剤、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、化合物B、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、SHP2阻害剤(例えば化合物B)およびアベマシクリブを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Aを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびSHP099を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびNSC-87877を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物、ならびにそれらの組合せを含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)およびTNO155のSHP2阻害剤化合物を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および表1に列挙されたSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療するこのような方法のいくつかの非限定的な実施形態において、腫瘍細胞は、トラメチニブ(GSK1120212)および表2に列挙されたSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させる。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、腫瘍細胞を組合せ療法と接触させることを含む、このような方法の全てのこのような実施形態において、腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法のような、腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含み、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来であり、接触は、好ましくは対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボで行われる、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法、またはトラメチニブならびに表1および表2に列挙された化合物から選択される化合物を含む組合せ療法のような、腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含み、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来であり、接触は、好ましくは対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボで行われる、方法を提供する。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍ではなく結腸がん腫瘍由来である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、食道がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、直腸がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、JMML腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、乳がん腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、黒色腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、シュワン細胞腫腫瘍である。いくつかの代替的な実施形態において、方法は、上記の通りだが、腫瘍細胞は、膵がん腫瘍である。
【0045】
様々な実施形態において、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触を含む、方法により、腫瘍成長を相乗的に阻害する。「腫瘍成長の相乗的な阻害」とは、腫瘍細胞を各阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害することを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、腫瘍を有する対象をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する、すなわち、腫瘍細胞を各トラメチニブ(GSK1120212)および化合物B阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する。いくつかの実施形態において、腫瘍を有する対象を、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する。
【0046】
いくつかの実施形態において、腫瘍を有する対象を、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する。
【0047】
いくつかの実施形態において、腫瘍を有する対象を、(a)トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤;ならびに(b)(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療することにより、腫瘍成長を相乗的に阻害する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】受容体型チロシンキナーゼ(RTK)シグナリング経路を概略的に描写した図である。図1Aは、結合してERKを活性化するRTKリガンドからのシグナリング、および後続のRTK活性のフィードバック阻害を示す図である。図1Bは、SHP2が、GEFタンパク質SOS1をプライミングすることに関与すると仮定する未知の機構により、RAS-GTP担持をモジュレートすることを示す図である。
図2】3D培養中で成長させたKRASG12C変異細胞株およびH441(KRASG12V)のパネルにおける、SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)の、細胞生存率(CTGを使用して測定した場合)に対する阻害能力(IC50値)を示す図である。
図3-1】化合物B(化合物B)(アロステリックSHP2阻害剤)およびARS-853(共有結合的KRASG12C選択的阻害剤)が、NSCLC KRASG12C細胞株における細胞のp-ERK1/2レベルの濃度依存的阻害を引き起こしたことを示す図である。図3Aは、H358細胞におけるpERK1/2レベルの阻害を示す図である。図3Bは、H1792細胞におけるpERK1/2レベルの阻害を示す図である。図3Cは、CALU-1細胞におけるpERK1/2レベルの阻害を示す図である。
図3-2】図3-1の続き。
図4】SHP2アロステリック阻害剤化合物A(化合物A)が、H358 KRASG12C細胞において、インビトロで、RAS活性化を阻害し、細胞のp-ERK1/2レベルおよび細胞成長(3D培養)の濃度依存的阻害をもたらすことを示す図である。図4Aは、化合物A(化合物A)がRAS-GTPを減少させることを実証する、ウエスタンブロットを示す図である。図4Bは、化合物A(化合物A)がp-ERK1/2レベルを阻害することを示す図である。図4Cは、化合物A(化合物A)がH358 KRASG12C細胞成長を阻害することを示す図である。
図5】SHP2アロステリック阻害剤化合物A(化合物A)が、H1838 NF1LOF細胞において、インビトロで、Ras活性化を阻害し、細胞のp-ERK1/2レベルおよび細胞成長の濃度依存的阻害をもたらすことを示す図である。図5Aは、化合物A(化合物A)がRAS-GTPを減少させることを示す図である。図5Bは、化合物A(化合物A)がp-ERK1/2を阻害することを示す図である。図5Cは、化合物A(化合物A)がH1838 NF1LOF細胞成長を阻害することを示す図である。
図6】雌のCB.17 SCIDマウスにおけるNSCLC H358異種移植モデルにおける、化合物A(化合物A)の経口投与に続く、腫瘍細胞成長の用量依存的阻害を示す図である。
図7】雌の胸腺欠損ヌードマウスにおけるNSCLC H358異種移植モデルにおける、SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)の経口投与に続く、腫瘍細胞成長の用量依存的阻害(**p<0.01、多重比較を用いるANOVA)を示す図である。
図8】雌の胸腺欠損ヌードマウスにおける膵がんMiaPaca-2異種移植モデルにおける、SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)の経口投与に続く、腫瘍細胞成長の用量依存的阻害(*p<0.05、**p<0.01、多重比較を用いるANOVA)を示す図である。
図9】MDA-MB-231(KRASG13D)細胞株において、セルメチニブによるMEK阻害が、フィードバック駆動型p-RTK過剰活性化を引き起こし、それに対して、化合物A(化合物A)はフィードバック駆動型p-RTK過剰活性化を引き起こさなかったことを示す図である。
図10】NCI-H1838(NF1LOF)におけるトラメチニブによるMEK阻害が、フィードバック駆動型RAS-GTP蓄積を引き起こし、化合物A(化合物A)が、この作用を抑制したことを示す図である。
図11-1】SHP2アロステリック阻害剤化合物B(化合物B)が、H358(KRASG12C)およびA549(KRASG12S)細胞において、トラメチニブによるMEK阻害に起因してRAS-GTP蓄積を抑制したことを示す図である。図11Aは、H358(KRASG12C)細胞における、化合物BによるSHP2阻害を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。図11Bは、H358(KRASG12C)細胞における、KRASG12C特異的阻害剤ARS-853を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。図11Cは、A549(KRASG12S)細胞における、化合物BによるSHP2阻害を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。図11Dは、A549(KRASG12S)細胞における、KRASG12C特異的阻害剤ARS-853を伴うおよび伴わない、6時間および24時間のMEK阻害のRAS-GTP蓄積に対する作用を示す図である。
図11-2】図11-1の続き。
図12-1】様々な細胞株においてEGFおよびPDGFの両方に反応して測定された、Tyr-542およびTyr-580のリン酸化を示す図である。図12Aは、マウス胚性線維芽細胞(MEF)におけるTyrリン酸化を示す図である。図12Bは、H358細胞におけるTyrリン酸化を示す図である。図12Cは、HEK 293(C)細胞におけるTyrリン酸化を示す図である。「Cmp B」は、化合物Bを表す。
図12-2】図12-1の続き。
図12-3】図12-2の続き。
図13】SHP2阻害が、BRAFクラスIII変異を有するがん細胞株において、成長およびRAS/MAPKシグナリングを抑制することを示す図である。図13Aは、化合物B(化合物B)の、3D培養中のクラスI(A375、BRAFV600E))およびクラスII(NCI-H1755 BRAFG469A)BRAF変異細胞株の増殖に対する作用を示す図である。図13Bは、化合物B(化合物B)の、2D培養中で成長させたクラスI A375およびクラスII NCI-H1755細胞におけるRAS-GTPレベルに対する作用を示す図である。図13Cは、化合物B(化合物B)の、2D培養中で成長させたクラスI A375およびクラスII NCI-H1755細胞におけるp-ERKレベルに対する作用を示す図である。図13Dは、化合物B(化合物B)の、3D培養中の2つのクラスIII BRAF変異細胞株(Cal-12T、BRAFG466V/+;NCI-H1666、BRAFG466V/+)細胞の増殖に対する作用を示す図である。図13Eは、化合物B(化合物B)の、クラスIII Cal-12T細胞におけるRAS-GTPレベルに対する作用を示す図である。図13Fは、化合物B(化合物B)の、クラスIII Cal-12TおよびNCI-H1666細胞におけるp-ERKレベルに対する作用を示す図である。
図14-1】SHP2阻害の、SOS1を通して進行するRAS活性化に対する作用を示す図である。図14Aは、Project DRIVEにおけるRTK/RAS経路における、シグナリング分子の遺伝子ノックダウンの細胞作用の相関分析を示す図である。PTPN11(SHP2)のノックダウンは、SOS1(相関係数0.51)およびGRB2(相関係数0.4)と最も密接に相関し、これらがすべて、核RAS調節モジュールの一員であることを示唆している。図14Bは、SOS-WT(野生型)、またはSOSタンパク質を原形質膜へと恒常的に標的とするSOS-1変異であるSOS-Fを発現しているHEK293における、化合物B(化合物B)の、細胞p-ERKに対する作用を示す図である。図14Cは、HEK293細胞におけるSOS-Fの発現が、EGF非依存的pERKシグナリングをもたらすことを示す図である。
図14-2】図14-1の続き。
図15】ULAプレート上でスフェロイドとして成長させたNCI-H358細胞におけるカスパーゼ3/7活性を示す図である。培養スフェロイドを、化合物B(化合物B)または陽性対照としてスタウロスポリンで処置し、22時間後にカスパーゼ3/7活性についてアッセイした。
図16-1】トラメチニブと組み合わせた様々な濃度の化合物B(化合物B)を用いた、ヒト非小細胞肺がん細胞株CALU-1およびNCI-H358の組合せのインビトロの処置を介した、相乗的な腫瘍細胞成長阻害を示す図である。図16Aは、スフェロイドで成長し(3D培養)、化合物B(化合物B)およびトラメチニブの量を増大させながら5日間処置したH358 NSCLC腫瘍細胞における、ビヒクル対照に対する正規化されたパーセント阻害を示す図である。図16Bは、図16Aにおける正規化された成長阻害データに対する、加法性のLoeweモデルの適合を示す図である。図16Cは、スフェロイドで成長させ(3D培養)、化合物B(化合物B)およびトラメチニブの量を増大させながら5日間処置したCALU-1 NSCLC腫瘍細胞における、ビヒクル対照に対する正規化されたパーセント阻害を示す図である。図16Dは、図16Cにおける正規化された成長阻害データに対する、加法性のLoeweモデルの適合を示す図である。図16Bおよび16Dの各々について、陽性範囲(青色でマッピングされている)の数は、相乗効果を示す図である。
図16-2】図16-1の続き。
図17】ヒト非小細胞肺がんのNCI-H358モデルにおける、10および30mg/kg POの化合物B(化合物B)(それぞれ、腫瘍成長阻害、TGI=54、79%)単独、ならびに1mg/kgのトラメチニブ(TGI=79%)との組合せの、毎日の反復投与の腫瘍成長阻害についてのインビボの効能を示す図である。
図18】NCI-H358担がんヌードマウスにおける、化合物B(化合物B)単独、およびトラメチニブとの組合せにおける、体重に対する作用を示す図である。化合物B(化合物B)30mg/kg+トラメチニブ群(暗緑色)における1匹の動物が、30日目に体重が>20%減少し、試験から除外されたことに留意されたい。
図19】SHP2阻害が、NF1LOF変異により駆動されたがん細胞株において、成長およびRAS/MAPKシグナリングを抑制することを示す図である。図19Aおよび図19Bは、化合物Bの、3D培養中のNF1機能喪失細胞の増殖に対する作用を示す図である。播種した1日後に、細胞を化合物Bで処置し、7日目にCTGを使用して、細胞生存率を測定した。図19Bは、評価したがん細胞株における、化合物Bによる増殖阻害についてのIC50の幾何平均値およびNF1変異状態を列挙している。図19Cおよび図19Dは、NCI-H1838およびMeWo NF1 LOF細胞を2D培養中で成長させ、化合物Bの濃度を増大させながら1時間インキュベートしたことを示す図である。細胞溶解物を製造し、RAS-GTP(b)およびpERK(c)のレベルを判断した。NCI-H1838およびMeWo細胞におけるRAS-GTPレベルは、化合物Bにより、濃度依存的様式で阻害された。pERKの減少についてのIC50の幾何平均値は、NCI-H1838細胞において29nMであり、MeWo細胞において24nMであった(データは、≧3の独立した観察を示し、各々は2回実施され;図は、pERKについての平均±S.D.およびRAS-GTPについての平均±S.E.M.を示す)。
図20】SHP2阻害が、NF1LOF変異により駆動されたがん細胞株において、成長およびRAS/MAPKシグナリングを抑制することを示す図である。図20Aおよび20Bは、化合物B(Cmp B)の、3D培養中のNF1機能喪失細胞の増殖に対する作用を示す図である。播種した1日後に、細胞を化合物Bで処置し、7日目にCTGを使用して、細胞生存率を測定した。図20Bは、評価したがん細胞株における、化合物Bによる増殖阻害についてのIC50の幾何平均値およびNF1変異状態を列挙している。図20Cおよび20Dは、NCI-H1838およびMeWo NF1 LOF細胞を2D培養中で成長させ、化合物Bの濃度を増大させながら1時間インキュベートしたことを示す図である。細胞溶解物を製造し、RAS-GTP(b)およびpERK(c)のレベルを判断した。NCI-H1838およびMeWo細胞におけるRAS-GTPレベルは、化合物Bにより、濃度依存的様式で阻害された。pERKの減少についてのIC50の幾何平均値は、NCI-H1838細胞において29nMであり、MeWo細胞において24nMであった(データは、≧3の独立した観察を示し、各々は2回実施され;図は、pERKについての平均±S.D.およびRAS-GTPについての平均±S.E.M.を示す)。
図21】ヒト非小細胞肺がんのH358 KRasG12Cモデルにおける、Ras経路阻害剤の同時投与を伴うかまたは伴わない、10mg/kg POのSHP2阻害剤化合物C(「Cmp C」)の、毎日の反復投与の効能を示す図である。図21Aは、化合物Cおよびトラメチニブ(MEK阻害剤)の、単独または組合せの効能を示し、図21Bは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示し、図21Cは、化合物Cおよびコビメチニブ(MEK阻害剤)の、単独または組合せの効能を示し、図21Dは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示し、図21Eは、化合物Cおよびウリキセルチニブ(ERK1/2阻害剤)の、単独または組合せの効能を示し、図21Fは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示す図である。すべての群について、対照はビヒクルのみである。
図22】ヒト膵癌MIA-Pa-Ca-2異種移植モデルにおける、50mg/kgのアベマシクリブ(CDK阻害剤)の同時投与を伴うかまたは伴わない、30mg/kg POのSHP2阻害剤化合物C(「Cmp C」)の、毎日の反復投与の効能を示す図である。図22Aは、化合物Cおよびアベマシクリブの、単独または組合せの効能を示し、図22Bは、これらのマウスにおける体重変化のパーセントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の詳細は、以下の添付の明細書で述べられている。本明細書で記載されるものと類似または同等の方法および物質は本発明の実施または試験で使用することができるが、例示的な方法および物質はここで記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、明細書および特許請求の範囲から明らかであろう。明細書および特許請求の範囲において、単数形はまた、文脈から明らかに別の意味を示さない限り、複数形を含む。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する当業者が通常理解すると同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての特許および刊行物は、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0050】
一般的方法
本発明の実施は、別段に示されない限り、当該技術分野に含まれる、細胞培養、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術を利用する。このような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版(Sambrookら、2001年)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(P.Herdewijn編、2004年);Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987年);Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir&C.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller&M.P.Calos編、1987年);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987年);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら編、1994年);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991年);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999年);Manual of Clinical Laboratory Immunology(B.Detrick、N.R.Rose、およびJ.D.Folds編、2006年);Immunochemical Protocols(J.Pound編、2003年);Lab Manual in Biochemistry:Immunology and Biotechnology(A.NigamおよびA.Ayyagari編、2007年);Immunology Methods Manual:The Comprehensive Sourcebook of Techniques(Ivan Lefkovits編、1996年);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.HarlowおよびD.Lane編、1988年);および、他のもののような文献において十分に説明されている。
【0051】
定義
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する当業者が通常理解すると同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと類似または同等のいかなる方法および物質も本発明の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および物質は記載される。本発明の目的のために、以下の用語は、下記で定義される。
【0052】
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的な対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すのに本開示で使用される。一例として、「要素(an element)」とは、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0053】
用語「および/または」は、別段に示されない限り、「および」または「または」のいずれかを意味するのに本開示で使用される。
【0054】
本明細書を通して、本文脈が別段必要としない限り、単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」は、言及された工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群を含むことを暗示するが、いかなる他の工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群も除外しないと暗示することが理解されるであろう。「からなる(consisting of)」とは、成句「からなる」の前にあるものを全て含み、かつそれに限定されることを意味する。ゆえに、成句「からなる」は、列挙された要素が必要または強制的なものであり、他の要素は存在しない可能性があることを示す。「から本質的なる(consisting essentially of)」とは、成句の後に列挙されたあらゆる要素を含み、列挙された要素に対して本開示で特定される活性または作用を妨げない、またはそれに寄与しない他の要素に限定されることを意味する。ゆえに、成句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要または強制的なものであるが、他の要素が任意であり、列挙された要素の活性または作用に大きな影響を及ぼすかどうかによって存在してもしなくてもよいことを示す。
【0055】
単語「例えば(e.g.)」は、「例えば(for example)」を意味するのに本明細書で使用され、言及された工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群を含むことを暗示するが、いかなる他の工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群も除外しないと暗示することが理解されるであろう。
【0056】
「任意で」または「場合により」とは、後述される事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、その記載が事象または状況が起こる例および起こらない例を含むことを意味する。例えば、「場合により置換されたアリール」は、本明細書で定義される通り、「アリール」および「置換されたアリール」の両方を包含する。1つまたはそれ以上の置換基を含有する任意の基に関して、このような基が、立体的に非現実的、合成的に実現不能および/または本質的に不安定であるいかなる置換または置換パターンも導入しないことを意図することは、当業者は理解するであろう。
【0057】
本開示で使用される用語「投与する」、「投与すること」または「投与」とは、開示された化合物もしくは開示された化合物の医薬的に許容される塩もしくは組成物を対象に直接投与すること、または、化合物もしくは化合物の医薬的に許容される塩もしくは組成物のプロドラッグ誘導体もしくは類似体を対象に投与することのいずれかを指すが、これは、対象の体内で等量の活性化合物を形成することができる。
【0058】
本開示で使用される用語「担体」とは、添加剤および賦形剤を包含し、対象の1つの臓器または体の一部から別の臓器または体の一部に医薬を運搬または輸送することに関与する液体もしくは固体の充填剤、賦形剤、添加剤、溶剤またはカプセル化物質のような、物質、組成物またはビヒクルを意味する。
【0059】
用語「化合物A」および「Cmp A」は、以下の構造を有するSHP2阻害剤化合物を指すのに、本明細書で互換的に使用される:
【化1】
【0060】
用語「化合物B」および「Cmp B」は、以下の構造を有するSHP2阻害剤化合物を指すのに、本明細書で互換的に使用される:
【化2】
【0061】
用語「化合物C」および「Cmp C」は、化合物AおよびBに類似の構造のアロステリックSHP2阻害剤化合物を指すのに、本明細書で互換的に使用される。化合物Cは、PCT/US2017/041577(WO2018/013597)に開示され、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0062】
用語SHP099とは、以下の構造を有するSHP2阻害剤を指す:
【化3】
【0063】
用語「クラスIII BRAF変異」;「クラス3 BRAF変異」;「BRAFクラス3変異」;「BRAFクラスIII変異」;「BRAFクラス3変異」および「BRAFクラスIII変異」は、(野生型BRAFと比較して)キナーゼ失活型のまたは活性が低いBRAF変異を指すのに、本明細書で互換的に使用されるが、この変異は、限定されないが、Yao,Z.ら、Nature、2017年8月10日;548(7666):234~238頁、またはNieto,P.ら、Nature、2017年8月10日;548(7666):239~243頁(各々はその全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるクラス3 BRAF変異のいずれかを含む。クラス3 BRAF変異は、限定されないが、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eを含む。
【0064】
用語「クラスI MEK1変異」または「クラス1 MEK1変異」は、MEK1キナーゼを、RAFによるS218およびS222のリン酸化に依存させ、過剰活性化させるMEK1変異を指すのに、本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、限定されないが、Gao Y.ら、Cancer Discov.2018年5月;8(5):648~661頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるクラスI MEK1変異のいずれかを含む。例えば、いくつかの実施形態において、用語「クラスI MEK1変異」は、限定されないが、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:D67N;P124L;P124S;およびL177Vを含む。
【0065】
用語「クラスII MEK1変異」または「クラス2 MEK1変異」は、MEK1キナーゼに、あるレベルの基礎的なRAF非依存性の活性をもたらすが、RAFによるさらなる活性はもたらさないMEK1変異を指すのに、本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、クラスII MEK1変異は、限定されないが、Gao Y.ら、Cancer Discov.2018年5月;8(5):648~661頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるクラスII MEK1変異のいずれかを含む。例えば、いくつかの実施形態において、用語「クラスII MEK1変異」は、限定されないが、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nを含む。
【0066】
用語「組合せ療法」とは、対象に少なくとも2つの治療剤を、場合により1つまたはそれ以上の医薬組成物として投与することを含む治療の方法を指す。例えば、組合せ療法は、少なくとも2つの治療剤ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む単一の医薬組成物を投与することを含むことができる。組合せ療法は、2つまたはそれ以上の医薬組成物であって、各組成物は、1つまたはそれ以上の治療剤ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、組成物を投与することを含むことができる。様々な実施形態において、治療剤の少なくとも1つは、SHP2阻害剤である。2つの薬剤は、場合により、同時に(単一のもしくは別々の組成物として)、または連続的に(別々の組成物として)投与される。治療剤は、有効量で投与される。治療剤は、治療有効量で投与される。いくつかの実施形態において、治療剤の1つまたはそれ以上の有効量は、例えば、2つまたはそれ以上の治療剤を組み合わせる相加的または相乗的な効果のために、単独療法として使用される場合の同じ治療剤の治療量より、組合せ療法で使用される場合で低い。
【0067】
「判断する」という言及は、疾患または障害(例えば、腫瘍)を有する対象がSHP2阻害に応答するかどうかを「判断する」ための本明細書で開示される方法に対して、および、サンプル(例えば腫瘍)が特定のサブタイプ(例えばNF1LOFまたはKRASG12Cサブタイプ)として分類されるかどうかを「判断する」ことに対して、(例えば当該技術分野で知られている、または本明細書で開示される実験方法を介して)実験的に判断すること、および、このような判断に好適な情報を含む記録に対する単なる言及の両方を含む。例えば、いくつかの実施形態において、「判断する」は、対象の医学的なまたは他の記録の分析を含むことができ、記録は、対象がKRASG12C変異を伴う細胞を含む腫瘍を含むことを示す。いくつかの実施形態において、「判断する」は、対象の医学的なまたは他の記録の分析を含むことができ、記録は、対象がNF1LOF変異を伴う細胞を含む腫瘍を含むことを示す。いくつかの実施形態において、「判断する」は、対象の医学的なまたは他の記録の分析を含むことができ、記録は、対象がKRASG12D、KRASG12SまたはKRASG12V変異を伴う細胞を含む腫瘍を含むことを示す。いくつかの実施形態において、「判断する」は、SHP2阻害剤で治療可能な疾患または障害(例えば腫瘍)を有する、または有する疑いがある対象由来のサンプル(例えば腫瘍細胞のような1つまたはそれ以上の細胞を含む組織サンプル)を実験的に試験して、サンプルが、細胞がSHP2阻害に感受性を示す可能性があるという指標を含むかどうかを判断することを含むことができる。いくつかのこのような実施形態において、細胞がSHP2阻害に感受性を示す可能性があるという指標は、NF1LOF変異、RAS変異、NRAS変異、HRAS変異、KRAS変異、アミノ酸12での置換を伴うKRAS変異、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、KRASG12Y変異、クラスIII BRAF変異、または2つもしくはそれ以上のこのような変異の組合せの存在を含む。このような変異の存在を実験的に判断するための好適な方法は、本明細書で開示され、当該技術分野で知られている(例えばDomagalaら、Pol J Pathol 2012;3:145~164頁、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。
【0068】
用語「障害」は、別段に示されない限り、疾患、状態、または疾病という用語を意味するのに、本開示で使用され、これらと互換的に使用される。
【0069】
「有効量」は、化合物に関連して使用される場合、本明細書で記載される対象において疾患または障害を治療または予防するのに有効な量である。
【0070】
用語「阻害剤」とは、生体分子(例えばタンパク質、核酸)で反応が完了または開始することを防ぐ化合物を意味する。阻害剤は、競合的、非競合的、または不競合的な手段により反応を阻害することができる。例示的な阻害剤として、限定されないが、核酸、DNA、RNA、shRNA、siRNA、タンパク質、タンパク質模倣物、ペプチド、ペプチド模倣物、抗体、小分子、化学物質、例えばシグナル伝達に関与する酵素、受容体、または他のタンパク質の結合部位を模倣する類似体、治療剤、医薬組成物、薬物、およびこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態において、阻害剤は、限定されないが、細胞での機能性タンパク質の量を減らすsiRNAを含む核酸分子であり得る。したがって、特定のタンパク質、例えばSHP2を「阻害が可能である」といわれる化合物は、任意のこのような阻害剤を含む。
【0071】
用語「単独療法」とは、対象に単一の治療剤を、場合により1つの医薬組成物として投与することを含む治療の方法を指す。例えば、単独療法は、1つの治療剤ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む医薬組成物を投与することを含むことができる。治療剤は、有効量で投与される。治療剤は、治療有効量で投与される。
【0072】
本明細書で使用される用語「変異」とは、変化した核酸またはポリペプチドをもたらす核酸および/またはポリペプチドの任意の改変を示す。用語「変異」として、例えば、点変異、ポリヌクレオチドでの単一または複数の残基の欠失または挿入(遺伝子のタンパク質コード領域内で起こる変化、および、限定されないが調節またはプロモーター配列のようなタンパク質コード配列の外側の領域での変化を含む)、ならびに、増幅および/または染色体の切断もしくは転座を挙げることができる。
【0073】
用語「NF1機能喪失」および「NF1LOF」は、NF1酵素を触媒不活性にするか、または、NF1転写物もしくはタンパク質がほとんどもしくは全く生成されない任意の変異を指すのに、本明細書で互換的に使用される。NF1中の2600超の異なる変異は、遺伝することが知られており、全ての構造的なNF1変異の80%超は、不活性化(すなわちNF1LOF変異)する(Philpottら、Human Genomics(2017)11:13、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。
【0074】
「患者」または「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、または、サル、チンパンジー、ヒヒもしくはアカゲザルのような非ヒト霊長類である。
【0075】
対象に対して「予防する」または「予防すること」という用語は、疾患または障害が対象を苦しめることを防止することを指す。予防することには、予防的治療を含まれる。例えば、予防することは、対象に本明細書で開示された化合物を、対象が疾患に苦しむ前に投与し、投与することで対象が疾患に苦しむことを防止することを含むことができる。
【0076】
治療剤、例えばSHP2阻害剤を「対象に提供すること」という用語は、このような薬剤を投与することを含む。
【0077】
用語「RAS経路」および「RAS/MAPK経路」は、様々な細胞表面の成長因子受容体のシグナル伝達カスケードの下流を指すのに、本明細書で互換的に使用されるが、RAS(および様々なアイソフォームまたはアレオタイプ)の活性化は、細胞の増殖、活性化、分化、動員、および他の機能性を決定する各種細胞エフェクター事象を引き起こす中心事象である。SHP2は、成長因子受容体からRAS活性化/不活性化サイクルへ陽性シグナルを送るが、これは、GTPをRASに結合させて機能的活性のGTP結合RASを生成するグアニンヌクレオチド交換因子(SOS1のようなGEF)、ならびに、GTPをGDPへ変換することによりシグナルの終端を容易にするGTP促進タンパク質(NF1のようなGAP)によりモジュレートされる。このサイクルで生成されたGTP結合RASは、重要な陽性シグナルを、RAFおよびMAPキナーゼを含む一連のセリン/スレオニンキナーゼへ送り、ここから追加のシグナルを様々な細胞エフェクター機能へ発する。
【0078】
用語「RAS経路変異」および「RAS/MAPK経路活性化変異」は、RAS/MAPKシグナリング経路のシグナリング過程に直接関与した、および/または、経路を活性化させるこのシグナリング経路を(正または負のいずれかに)調節する、タンパク質をコードする遺伝子での変異を指すのに、本明細書で互換的に使用されるが、このような変異は、前記タンパク質の活性化レベルを高める、変化させる、または低くすることがある。このようなタンパク質として、限定されないが、Ras、Raf、NF1、SOS、および、特異的アイソフォームまたはそれらのアレオタイプが挙げられる。
【0079】
用語「RTK由来腫瘍」とは、高レベルのRTKシグナリングをもたらす、RTKの1つもしくはそれ以上の腫瘍性変異を伴う細胞、またはRTKシグナリング複合体の一部であるタンパク質を含む腫瘍を指す。いくつかのこのような細胞は、RTKに「依存する」とみなされ、RTKシグナリングの阻害により、下流の経路の一斉抑制をもたらし、多くの場合、細胞の成長、停止、および死をもたらす。RTK由来腫瘍として、限定されないが、EGFRまたはALKでの変異を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)が挙げられる。
【0080】
用語「SHP2」とは、「Src相同性-2ホスファターゼ」を意味し、SH-PTP2、SH-PTP3、Syp、PTP1D、PTP2C、SAP-2またはPTPN11としても知られている。
【0081】
用語「SHP2阻害剤」および「SHP2の阻害剤」は、互換的に使用される。
【0082】
用語「SOS」(例えば「SOS変異」)とは、SOS遺伝子を指し、RASへのGTP結合およびシグナリングを促進する受容体チロシンキナーゼにより活性化されるRASグアニンヌクレオチド交換因子タンパク質を含むことが当該技術分野で知られている。用語SOSは、GTPによりRas結合GDPの交換を促進する全てのSOS相同体を含む。特定の実施形態において、SOSとは、具体的に「セブンレスの息子(son of sevenless)相同体1」(「SOS1」)を指す。
【0083】
細胞の「サブタイプ」(例えばNF1LOFサブタイプ、KRASG12Cサブタイプ、KRASG12Sサブタイプ、KRASG12Dサブタイプ、KRASG12Vサブタイプ)という言及は、細胞が示された種類のタンパク質での変化をコードする遺伝子変異を含有することを意味する。例えば、「NF1LOFサブタイプ」として分類された細胞は、NF1機能喪失をもたらす変異を含有し;「KRASG12Cサブタイプ」と分類された細胞は、位置12のグリシンからシステインへのアミノ酸置換(G12C)をコードする少なくとも1つのKRAS対立遺伝子を含有し;ならびに、同様に、特定のサブタイプの他の細胞(例えばKRASG12D、KRASG12SおよびKRASG12Vサブタイプ)は、示された変異(例えば、それぞれKRASG12D変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異)を伴う少なくとも1つの対立遺伝子を含有する。別段記載されない限り、本明細書で参照された(例えばKRASG12Cでの「G12C」のような)全てのアミノ酸位置の置換は、参照されたタンパク質のヒトバージョンでの置換に対応する、すなわち、KRASG12Cとは、ヒトKRASの位置12のG→Cの置換を指す。
【0084】
「治療剤」は、任意の物質、例えば、疾患または障害を治療することが可能な化合物または組成物である。いくつかの実施形態において、本開示に関連して有用な治療剤として、限定されないが、SHP2阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤、RTK阻害剤(TKI)、および、がん化学療法剤が挙げられる。多くのこのような阻害剤は、当該技術分野で知られ、本明細書に開示される。
【0085】
用語「治療有効量」、「治療用量」、「予防的有効量」または「診断的有効量」は、投与に続いて所望の生物学的応答を誘発するために必要とされる、薬物、例えばSHP2阻害剤の量である。
【0086】
対象に対して「治療」または「治療すること」という用語とは、直接的に、または別の治療の効果を高めることのいずれかにより、対象の疾患または障害の少なくとも1つの症状、病理またはマーカーを改善することを指す。治療することは、障害を治癒すること、改善すること、または少なくとも部分的に回復することを含み、治療される疾患または状態の1つまたはそれ以上の測定可能なマーカーにおける微小な変化または改善も含むことができる。「治療」または「治療すること」は、疾患もしくは状態、またはそれらの関連する症状の完全な根絶または治癒を必ずしも示すわけではない。この治療を受ける対象は、それを必要とする任意の対象である。臨床的改善の例示的なマーカーは、当業者には明らかであろう。
【0087】
概要
本開示は、とりわけ、SHP2阻害剤を単独で、または別の好適な治療剤と組み合わせて、疾患または障害(例えば、がん)を治療または予防するための組成物、方法、およびキットに関する。
【0088】
SHP2は、各種受容体チロシンキナーゼ(RTK)に対する重要なシグナリングエフェクター分子であり、血小板由来成長因子(PDGFR)、線維芽細胞成長因子(FGFR)、および上皮成長因子(EGFR)の受容体を含む。SHP2はまた、がんの発症に不可欠である細胞形質転換をもたらすことができる、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ経路の活性化を調節する、重要なシグナリング分子である。例えば、SHP2は、Ras-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、JAK-STATおよび/またはホスホイノシトール3-キナーゼ-AKT経路を通したシグナリングに関与する。SHP2は、RAS活性化をモジュレートすることにより、ErbB1、ErbB2およびc-Metのような受容体チロシンキナーゼによるErk1およびErk2(Erk1/2、Erk)MAPキナーゼの活性化を媒介する。
【0089】
SHP2は、2つのN末端Src相同性2ドメイン(N-SH2およびC-SH2)、触媒ドメイン(PTP)、ならびにC末端テイルを有する。2つのSH2ドメインは、SHP2の細胞内局在性および機能調節を制御する。分子は、N-SH2およびPTPドメインの両方由来の残基が関与する結合ネットワークを介してそれ自身の活性を阻害する、不活性な立体配座に存在する。成長因子刺激に関して、SHP2は、RTKシグナリング装置に関連し、これは、SHP2活性化をもたらす構造変化を誘発する。
【0090】
SHP2の活性化変異は、ヌーナン症候群およびレオパード症候群のような発生病理に関連しており、多くのRTK由来腫瘍、白血病、肺および乳がん、胃癌、未分化大細胞型リンパ腫、神経膠芽細胞腫、および神経芽腫を含む、複数のがんの種類においても見出されている。
Grossmann, K. S., Rosario, M., Birchmeier, C. & Birchmeier, W. The tyrosine phosphatase Shp2 in development and cancer. Adv. Cancer Res. 106, 53-89 (2010). Chan, R. J. & Feng, G. S. PTPN11 is the first identified proto-oncogene that encodes a tyrosine phosphatase. Blood 109, 862-867 (2007). Matozaki, T., Murata, Y., Saito, Y., Okazawa, H. & Ohnishi, H. Protein tyrosine phosphatase SHP-2: a proto-oncogene product that promotes Ras activation. Cancer Sci. 100, 1786-1793 (2009). Mohi, M. G. & Neel, B. G. The role of Shp2 (PTPN11) in cancer. Curr. Opin. Genet. Dev. 17, 23-30 (2007). Ostman, A., Hellberg, C. & Bohmer, F. D. Protein-tyrosine phosphatases and cancer. Nat. Rev. Cancer 6, 307-320 (2006).
【0091】
加えて、SHP2は、限定されないが、プログラムされた細胞死タンパク質1(PD-1)および細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)を含む、免疫チェックポイント分子起源のシグナルを導入する役割を果たす。これに関して、SHP2機能を阻害することで、抗がん免疫応答を含む、チェックポイント分子を発現する免疫細胞の活性化を促進することができる。
【0092】
RNAi技術を使用するSHP2発現のノックダウンまたはアロステリック小分子阻害剤によるSHP2の阻害のいずれかが、がん細胞の成長の駆動に関与する様々なRTK由来のシグナリングを妨げることは、先に開示されている。しかし、この報告はまた、このようなアプローチが、RasまたはRafタンパク質での変異を活性化することを含有するもののような、成長がRTKの下流として作用するタンパク質での変異により駆動される細胞で、成長シグナリングを妨害することにおいて効果がないと結論付けていた(Chen,Ying-Nan P.148 Nature第535巻、2016年7月7日、151頁)。
【0093】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、先行技術の教示に反して、特定の腫瘍性Ras経路変異(例えばKRASG12C変異)を有する細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害剤で効果的に治療されるという予想外の発見に関する(例えば実施例1を参照)。例えば、本開示は、特にRas経路変異に関して、特定のKRAS変異(例えばKRASG12C変異)またはNF1LOF変異を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害が、がん療法(例えばMAPK阻害剤)を含む様々な治療剤に対する腫瘍抵抗性の出現を防ぎ、遅らせるために効果的な手段、および、がん療法(例えばMAPK阻害剤)に対する耐性がある腫瘍をその阻害剤に対して再感作させるために効果的な手段であるということを示す。同様に、本開示は、特にRas経路変異に関して、特定のBRAF変異(例えばクラス3 BRAF変異)またはMEK変異(例えばクラス1 MEK1変異)を有するがん細胞の特定のサブセットが、SHP2阻害に対して感受性を示し、SHP2阻害が、がん療法(例えばMAPK阻害剤、MEK阻害剤、Erk阻害剤など)を含む様々な治療剤に対する腫瘍抵抗性の出現を防ぎ、遅らせるために効果的な手段、および、がん療法(例えばMAPK阻害剤)に対する耐性がある腫瘍をその阻害剤に対して再感作させるために効果的な手段であるということを示す。
【0094】
SHP2阻害剤が全てではないが一部のKRAS変異細胞を阻害することができるという観察が示すのは、特定のKRAS変異のヌクレオチドサイクリングの特徴の関数、および、高レベルの活性GTP結合状態を維持するためのシグナリングの入力での対応する依存性であり得る。実際に、Patricelliおよび共同研究者らは、KRASG12Cが構成的かつ十分な活性タンパク質ではないが、KRASG12Cのヌクレオチド状態が上流のシグナリング因子によりモジュレートすることができる動的フラックスの状態にあることを示している(Patricelliら、Cancer Discov.2016年3月;6(3):316~29頁、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。同様に、GTPase活性化タンパク質(GAP)、例えばNF1LOFの機能を喪失した細胞において、RASの活性GTP結合状態に移行し、RASエフェクターおよび成長依存へのシグナリングを引き起こす。これらの細胞において、野生型RASは、KRASG12Cとして、高い活性状態を維持するために上流のシグナリングの入力に対して感受性を示させるヌクレオチドサイクリングを行う。本開示において、KRASG12CおよびNF1LOF株のSHP2アロステリック阻害剤に対する感受性は、これらの上流の因子のモジュレーションと、したがって阻害剤による変異/WT RASのヌクレオチド状態とを反映する。
【0095】
ゆえに、本開示は、SHP2阻害剤を単独で含む、または別のがん治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤)と組み合わせる、治療に応答する疾患または状態(例えば、例として癌遺伝子関連のがんまたは腫瘍のような、がんまたは腫瘍)の同定、判定および/または治療のための組成物、方法、およびキットを少なくとも部分的に提供する。
【0096】
いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路変異の有無に基づく、または特定のサブタイプのこのような変異に基づく患者層別のための方法を提供する。本明細書で使用される場合、「患者層別」とは、SHP2阻害剤で治療可能である可能性があるか、または可能性がないかのいずれかである疾患または障害(例えば、がん)を有する1体またはそれ以上の患者を分類することを意味する。患者層別は、SHP2阻害剤での治療に感受性を示す腫瘍を有する患者を分類することを含むことができる。患者層別は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに変異したタンパク質を依存させるRAS経路変異を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む腫瘍の有無に基づく。本明細書で使用される場合、変異、例えばRAS経路変異に関して使用される場合での用語「SHP2を通じてシグナリングフラックスに少なくとも部分的に依存」とは、変異したタンパク質の機能をSHP2によりモジュレートしやすくする変異、およびその阻害剤の効果を指す。RAS経路変異は、KRAS、NRAS、HRAS、ARAF、BRAF、CRAF、SOS、MEK(例えばMEK1)、およびNF1から選択される1つまたはそれ以上のタンパク質において起こり得る。RAS経路変異は、KRAS、NRAS、HRAS、BRAF、SOS、およびNF1から選択される1つまたはそれ以上のタンパク質において起こり得る。特定の実施形態において、KRAS、NRAS、HRAS、BRAF、SOS、MEK(例えばMEK1)またはNF1における変異は、高い活性状態を維持するために変異したタンパク質を上流のシグナリングの入力に対して感受性を示させる。上流のシグナリングの入力には、SHP2を必要とし得る。本明細書で使用される場合、用語「高い活性状態を維持するために上流のシグナリングの入力に対して感受性を示す」とは、タンパク質(例えばGTP-RAS)の活性状態の維持には、上流のシグナリングの入力(例えばSHP2を介するシグナリング)を必要とし、(例えばSHP2阻害による)これらの入力のモジュレーションの結果、タンパク質の活性状態が変化する(例えば、本明細書で示される通り、SHP2の阻害の結果、RAS-GTPレベルは低下し(図4~5);ゆえに、RASは、高い活性状態を維持するために上流のシグナリングの入力に対して感受性を示す)ことを意味する。このような変異として、限定されないが、以下の変異の1つまたはそれ以上を挙げることができる:KRASG12A;KRASG12C;KRASG12D;KRASG12S;KRASG12V;NF1LOF変異;クラス3 BRAF変異;クラス1 MEK1変異;クラス2 MEK1変異、およびSOSでの変異。このような変異として、限定されないが、以下の変異の1つまたはそれ以上を挙げることができる:KRASG12A;KRASG12C;KRASG12D;KRASG12S;KRASG12V;NF1LOF変異;クラス3 BRAF変異;およびSOSでの変異。
【0097】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象層別のための方法であって、(a)対象由来の細胞がKRASG12A;KRASG12C;KRASG12D;KRASG12S;KRASG12V;NF1LOF変異;クラス3 BRAF変異;クラス1 MEK1変異;クラス2 MEK1変異、およびSOS変異/増幅からなる群から選択されるRAS経路変異を含むかどうかを判断すること;(b)対象にSHP2阻害剤を投与すること;(c)場合により、対象に追加の治療剤(例えば抗がん治療剤)を投与することを含む、方法を提供する。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象層別のための方法であって、(a)対象由来の細胞がKRASG12A;KRASG12C;KRASG12D;KRASG12S;KRASG12V;NF1LOF変異;クラス3 BRAF変異;およびSOS変異/増幅からなる群から選択されるRAS経路変異を含むかどうかを判断すること;(b)対象にSHP2阻害剤を投与すること;(c)場合により、対象に追加の治療剤(例えば抗がん治療剤)を投与することを含む、方法を提供する。
【0099】
RAS経路変異に関連する任意の疾患または状態は、本開示にしたがって同定、判定および/または治療される。特定の実施形態において、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに変異したタンパク質を依存させる。RAS経路変異を含む、いくつかのこのような疾患または状態は、当該技術分野で知られている。例えば、特定の実施形態において、本開示は、限定されないが、ヌーナン症候群(例えばSHP2変異以外の機構により発症するヌーナン症候群)、レオパード症候群(例えばSHP2変異以外の機構により発症するレオパード症候群);骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、ならびに白血病、例えば急性骨髄性白血病および若年性骨髄単球性白血病を含む、造血系およびリンパ系の腫瘍;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん、神経芽腫、膀胱がん、前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌、子宮癌、腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌、傍神経節腫、褐色細胞腫、膵がん、副腎皮質癌、胃腺癌、肉腫、横紋筋肉腫、リンパ腫、頭頚部がん、皮膚がん、腹膜がん、腸がん(小腸および大腸)、甲状腺がん、子宮内膜がん、胆道のがん、軟部組織がん、卵巣がん、中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫)、胃(stomach)がん、下垂体がん、生殖管がん、尿路がん、唾液腺がん、子宮頚部がん、肝がん、眼のがん、副腎のがん、自律神経節のがん、上気道消化管のがん、骨がん、精巣がん、胸膜がん、腎がん、陰茎がん、副甲状腺がん、髄膜のがん、外陰部がん、ならびに黒色腫から選択される、疾患または状態を治療するための方法であって、例えば本明細書に開示される単独療法または組合せ療法のような本明細書に開示される方法を含む、方法を提供する。
【0100】
様々な実施形態において、このような疾患または障害を治療するための方法は、対象に、有効量のSHP2阻害剤またはSHP2阻害剤を含む組成物(例えば医薬組成物)を投与することを含む。SHP2を阻害することができる任意の化合物または物質は、SHP2を阻害するための本開示において利用することができる。このようなSHP2阻害剤の非限定的な例は、当該技術分野で知られ、本明細書に開示される。例えば、本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、本明細書に開示されるSHP099を含む、Chen,Ying-Nan Pら、148 Nature第535巻、2016年7月7日(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、PCT出願PCT/IB2015/050343(WO2015107493);PCT/IB2015/050344(WO2015107494);PCT/IB2015/050345(WO201507495);PCT/IB2016/053548(WO2016/203404);PCT/IB2016/053549(WO2016203405);PCT/IB2016/053550(WO2016203406);PCT/US2010/045817(WO2011022440);PCT/US2017/021784(WO2017156397);および、PCT/US2016/060787(WO2017079723);および、PCT/CN2017/087471(WO2017211303)(各々はその全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、本明細書に開示されるNSC-87877を含む、Chen Lら、Mol Pharmacol.2006年8月;70(2):562~70頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示される任意のSHP2阻害剤から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、ワールドワイドウェブアドレス:clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03114319で入手できる、ClinicalTrials.gov Identifier:NCT03114319(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載されるTNO155を利用できる。本明細書に記載される組成物および方法は、限定されないが、本明細書に開示された化合物A;本明細書に開示された化合物B;本明細書に開示された化合物C;本明細書に開示される式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式XのSHP2阻害剤化合物;本明細書に開示される表1からの化合物;ならびに、本明細書に開示される表2からの化合物から選択される1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。
【0101】
本開示の一態様は、式I:
【化4】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
1は、-S-または直接結合であり;
2は、-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-または-OC(O)O-であり;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルまたは-C1~C6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
3は、独立して、-C1~C6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複素環であり、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;
4は、独立して、-H、-Dもしくは-C1~C6アルキルであり、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0102】
本開示の別の態様は、式II:
【化5】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
2は、-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-、または-OC(O)O-であり;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルまたは-C1~C6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
3は、独立して、-C1~C6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複素環であり、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;
4は、独立して、-H、-Dもしくは-C1~C6アルキルであり、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0103】
本開示の別の態様は、式III:
【化6】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
2は、-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-、または-OC(O)O-であり;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルまたは-C1~C6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
3は、独立して、-C1~C6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複素環であり、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;
4は、独立して、-H、-Dもしくは-C1~C6アルキルであり、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0104】
本開示の一態様は、式I-V1:
【化7】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は-NRa-であり、Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成し、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)2-を含み;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-NH2、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fと置換されており;
3は、独立して、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、5~12員のスピロ複素環、C3~C8シクロアルキルまたは-(CH2n-Rbであり、各アルキル、スピロ複素環、複素環またはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORb、-NHRb、-(CH2nOH、ヘテロシクリルまたはスピロヘテロシクリルと置換されており;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0105】
本開示の一態様は、式I-V2:
【化8】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体および異性体に関し、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は-NRa-であり、Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
3は、Raと組み合わされて、3~12員の多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成し、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、ハロゲン、-OH、-ORb、-NH2、-NHRb、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-(CH2nOH、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、-CH2Fまたは=Oと置換されており;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-NH2、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fと置換されており;
4は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6ハロアルキル、-C1~C6ヒドロキシアルキル、-CF2OH、-CHFOH、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、-ORb、ハロゲンまたはオキソと置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンと置換されており;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0106】
本開示の一態様は、式I-W:
【化9】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体および異性体に関し、式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5~12員の単環式または5~12員の多環式であり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は、-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-、または-OC(O)O-であり;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、-OR6、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5、-CO25、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、単環式または多環式の、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、=O、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキル、-C1~C6アルキル、3~12員のヘテロシクリルもしくは-(CH2n-アリールであり、各アルキルもしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-NH2と置換されており、または、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニル、-(CH2n-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、複素環、ヘテロアリールまたは-(CH2n-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)NR56、-NR5C(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fと置換されており;
3は、独立して、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、5~12員のスピロ複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbであり、各アルキル、スピロ複素環、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORb、-NHRb、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、ハロゲン、-OH、-ORb、-NH2、-NHRb、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-(CH2nOH、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、-CH2Fもしくは=Oと置換されており;
4は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6ハロアルキル、-C1~C6ヒドロキシアルキル、-CF2OH、-CHFOH、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、-ORb、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2もしくはハロゲンと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)2-を含み;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2、-CF3または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-ORbまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0107】
本開示の一態様は、式I-X:
【化10】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
1は、-S-または直接結合であり;
2は、-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-、または-OC(O)O-であり;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルまたは-C1~C6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
3は、独立して、-H、-C1~C6アルキルまたは3~12員の単環式もしくは多環式の複素環であり、各アルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHまたは-NH2と置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環または5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環またはスピロ複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHまたは-NH2と置換されており;
4は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2もしくはハロゲンと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)2-を含み;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0108】
本開示の一態様は、式I-Y:
【化11】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
1は、-S-または直接結合であり;
2は、-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-、または-OC(O)O-であり;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルまたは-C1~C6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fと置換されており;
3は、独立して、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbであり、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORb、-NHRb、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、もしくは-CH2Fと置換されており;
4は、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2もしくはハロゲンと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)2-を含み;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0109】
本開示の一態様は、式I-Z:
【化12】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は、-NRa-、-(CRa 2m-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、または-C(S)N(Ra)-であり;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-NH2、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、ハロゲン、-C(O)ORb、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-OH、-C3~C8シクロアルキルまたは-C1~C6アルキルであり、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C3~C8シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、-CF3、-CHF2または-CH2Fと置換されており;
3は、独立して、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbであり、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORb、-NHRb、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORb、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORb、-NHCOORb、-CF3、-CHF2、もしくは-CH2Fと置換されており;
4は、独立して、-C1~C6アルキル、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、-NH2、-OH、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンまたはオキソと置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンと置換されており;
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成し、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)2-を含み;
5およびR6は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2または-CNであり;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、各出現において、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、各出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0110】
本発明の一態様は、式IV:
【化13】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
1は、-S-または直接結合であり;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-C1~C6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複素環からなる群から選択され、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;
4は、独立して、各出現において、-H、-Dもしくは-C1~C6アルキルであり、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0111】
本発明の別の態様は、式V:
【化14】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-C1~C6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複素環からなる群から選択され、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;
4は、独立して、各出現において、-H、-Dもしくは-C1~C6アルキルであり、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0112】
本発明の別の態様は、式VI:
【化15】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-C1~C6アルキルもしくは3~12員の単環式もしくは多環式の複素環からなる群から選択され、各アルキルもしくは複素環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OHもしくは-NH2と置換されており;
4は、独立して、各出現において、-H、-Dもしくは-C1~C6アルキルであり、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成することができ、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0113】
本発明の一態様は、式IV-Y:
【化16】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
1は、-S-または直接結合であり;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、CF3、CHF2またはCH2Fと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbからなる群から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORa、-NHRa、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORa、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORa、-NHCOORa、-CF3、CHF2もしくはCH2Fと置換されており;
4は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンまたはオキソと置換されており;各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH2またはハロゲンと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルまたは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成し、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)2-を含み;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0114】
本発明の一態様は、式IV-Z:
【化17】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、ピラジン環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
2は、独立して、-ORb、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-NH2、ハロゲン、-C(O)ORa、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、CF3、CHF2またはCH2Fと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbからなる群から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORa、-NHRa、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORa、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORa、-NHCOORa、-CF3、CHF2もしくはCH2Fと置換されており;
4は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-NH-NHR5、-NH-OR5、-O-NR56、-NHR5、-OR5、-NHC(O)R5、-NHC(O)NHR5、-NHS(O)25、-NHS(O)2NHR5、-S(O)2OH、-C(O)OR5、-NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nOH、-C(O)NH(CH2nb、-C(O)Rb、NH2、-OH、-CN、-C(O)NR56、-S(O)2NR56、C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2、ハロゲンもしくはオキソと置換されており;各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH2もしくはハロゲンと置換されており;または
aおよびR4は、それらが付着する原子(複数可)と一緒になって、組み合わされて、単環式もしくは多環式のC3~C12シクロアルキルもしくは単環式もしくは多環式の3~12員の複素環を形成し、シクロアルキルもしくは複素環は、場合により、オキソと置換されており;複素環は、場合により、複素環中に-S(O)2-を含み;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0115】
本発明の一態様は、式VII:
【化18】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
QはHまたは
【化19】
であり;
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
1は、NまたはCであり;
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
2は、独立して、H、-ORb、-NR56、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-NH2、ハロゲン、-C(O)ORa、-C3~C8シクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、CF3、CHF2またはCH2Fと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbからなる群から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORa、-NHRa、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORa、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORa、-NHCOORa、-CF3、CHF2もしくはCH2Fと置換されており;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0116】
本発明の別の態様は、式VIII:
【化20】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
1は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)2-、-S(O)2-NH-、-C(=CH2)-、-CH-または-S(O)-であり;
1は、NまたはCであり;
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
2は、独立して、H、-ORb、-NR56、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-NH2、ハロゲン、-C(O)ORa、-C3~C8シクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、CF3、CHF2またはCH2Fと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbからなる群から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORa、-NHRa、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORa、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORa、-NHCOORa、-CF3、CHF2もしくはCH2Fと置換されており;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0117】
本発明の別の態様は、式IX:
【化21】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
1は、NまたはCであり;
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
2は、独立して、H、-ORb、-NR56、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-NH2、ハロゲン、-C(O)ORa、-C3~C8シクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、CF3、CHF2またはCH2Fと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbからなる群から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORa、-NHRa、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORa、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORa、-NHCOORa、-CF3、CHF2もしくはCH2Fと置換されており;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0118】
本発明の別の態様は、式X:
【化22】
の化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関し、式中:
Aは、5~12員の単環式または多環式の、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
1は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO2、-CN、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、-C(O)R5または-CO25であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の、-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;
1は、NまたはCであり;
2は、NまたはCHであり;
付着点の原子を含むBは、単環式もしくは多環式の5~12員の複素環、または単環式もしくは多環式の5~12員のヘテロアリールであり;
2は、独立して、H、-ORb、-NR56、-CN、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-NH2、ハロゲン、-C(O)ORa、-C3~C8シクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリールまたはヘテロアリールと置換されており;ならびにヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を介して付着しておらず;
2は:-NRa-、-(CRa 2m-、-C(O)-、-C(Ra2NH-、-(CRa 2mO-、-C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)-、-S(O)2N(Ra)-、-N(Ra)S(O)2-、-N(Ra)C(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(S)N(Ra)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(Ra)-、-N(Ra)C(O)O-、-C(O)N(Ra)O-、-N(Ra)C(S)-、-C(S)N(Ra)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;Y2の左側の結合は、図示されるように、環と結合し、Y2部分の右側の結合は、図示されるように、R3と結合し;
aは、独立して、各出現において、-H、-D、-OH、-C3~C8シクロアルキルおよび-C1~C6アルキルからなる群から選択され、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NH2と置換されており、2つのRaは、それらが両方付着する炭素原子と一緒になって、組み合わされて3~8員のシクロアルキルを形成することができ;
bは、独立して、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C1~C6シクロアルキル、-C2~C6アルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO2、オキソ、-CN、-R5、-OR5、-NR56、-SR5、-S(O)2NR56、-S(O)25、-NR5S(O)2NR56、-NR5S(O)26、-S(O)NR56、-S(O)R5、-NR5S(O)NR56、-NR5S(O)R6、複素環、アリール、ヘテロアリール、-(CH2nOH、-C1~C6アルキル、CF3、CHF2またはCH2Fと置換されており;
3は、独立して、各出現において、-H、-C1~C6アルキル、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環、C3~C8シクロアルキルもしくは-(CH2n-Rbからなる群から選択され、各アルキル、複素環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、-ORa、-NHRa、-(CH2nOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルと置換されており;または
3は、Raと組み合わされて、3~12員の単環式もしくは多環式の複素環もしくは5~12員のスピロ複素環を形成することができ、各複素環もしくはスピロ複素環は、場合により、-C1~C6アルキル、-OH、-NH2、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CH2nNH2、-COORa、-CONHRb、-CONH(CH2nCOORa、-NHCOORa、-CF3、CHF2もしくはCH2Fと置換されており;
5およびR6は、各々独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環、-OR7、-SR7、ハロゲン、-NR78、-NO2および-CNからなる群から選択され;
7およびR8は、独立して、各出現において、-H、-D、-C1~C6アルキル、-C2~C6アルケニル、-C4~C8シクロアルケニル、-C2~C6アルキニル、-C3~C8シクロアルキル、単環式または多環式の3~12員の複素環であり、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは複素環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH2、-NO2または-CNと置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;ならびに
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
本開示の別の態様は、表1中の、化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0119】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0120】
本開示の別の態様は、表2中の、化合物、およびその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0121】
【表28】
【0122】
用語「アリール」とは、フェニル、ビフェニル、またはナフチルのような単環式または二環式基を含む、1~2個の芳香環を有する環状芳香族炭化水素基を指す。2個の芳香環(二環式など)を含有する場合、アリール基の芳香環は、単一点で結合する(例えばビフェニル)、または縮合する(例えばナフチル)。アリール基は、場合により、任意の結合点で、1つまたはそれ以上の置換基、例えば1~5個の置換基で置換される。例示的な置換基として、限定されないが、-H、ハロゲン、-O-C1-C6アルキル、-C1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-OH、-OP(O)(OH)2、-OC(O)C1-C6アルキル、-C(O)C1-C6アルキル、-OC(O)OC1-C6アルキル、-NH2、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)2、-S(O)2-C1-C6アルキル、-S(O)NHC1-C6アルキル、および-S(O)N(C1-C6アルキル)2が挙げられる。置換基は、場合により、それ自身が置換される。
【0123】
別段具体的に定義されない限り、「ヘテロアリール」とは、N、S、PおよびOから選択される1つまたはそれ以上の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、5~24個の環原子の一価または多価の単環式芳香族ラジカルまたは多環式芳香族ラジカルを意味する。本明細書で定義されるヘテロアリールとはまた、ヘテロ原子がN、S、PおよびOから選択される二環式ヘテロ芳香族基も意味する。芳香族ラジカルは、場合により、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の置換基で独立して置換される。例として、限定されないが、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、インドリル、チオフェン-2-イル、キノリル、ベンゾピラニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、チエノ[3,2-b]チオフェン、トリアゾリル、トリアジニル、イミダゾ[1,2-b]ピラゾリル、フロ[2,3-c]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、インダゾリル、1-メチル-1H-インダゾリル、ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インドリニル、インドリノニル(indolinonyl)、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、ジヒドロベンゾオキサニル、キノリニル、イソキノリニル、1,6-ナフチリジニル、ベンゾ[de]イソキノリニル、ピロリド[4,3-b][1,6]ナフチリジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、キナゾリニル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、イソインドリル、イソインドリン-1-オン、インドリン-2-オン、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[3,4-b]ピリジニル、ピロロ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[5,4-b]ピリジニル、ピロロ[1,2-a]ピリミジニル、テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1λ2-ピロロ[2,1-b]ピリミジン、ジベンゾ[b,d]チオフェン、ピリジン-2-オン、フロ[3,2-c]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、1H-ピロリド[3,4-b][1,4]チアジニル、2-メチルベンゾ[d]オキサゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾ[d]イソオキサゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、フロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチオフェニル、1,5-ナフチリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、ベンゾ[1,2,3]トリアゾリル、1-メチル-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジニル、キノキサリニル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[1,5-b][1,2]オキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、チアゾロ[5,4-d]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾリル、チエノ[2,3-b]ピロリル、3H-インドリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0124】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を指す。C1-C6アルキル基は、1~6個の炭素原子を含有する。C1-C6アルキル基の例として、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、イソペンチル、ならびにネオペンチルが挙げられる。
【0125】
用語「アルケニル」とは、炭素-炭素二重結合を含有し、鎖中に約2~約6個の炭素原子を有する直鎖または分岐であり得る、脂肪族炭化水素基を意味する。特定のアルケニル基は、鎖中に2~約4個の炭素原子を有する。分岐とは、メチル、エチル、またはプロピルのような1つまたはそれ以上の低級アルキル基が直鎖状のアルケニル鎖に結合されることを意味する。例示的なアルケニル基として、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、およびi-ブテニルが挙げられる。C2-C6アルケニル基は、2~6個の炭素原子を含有するアルケニル基である。
【0126】
用語「アルキニル」とは、炭素-炭素三重結合を含有し、鎖中に約2~約6個の炭素原子を有する直鎖または分岐であり得る、脂肪族炭化水素基を意味する。特定のアルキニル基は、鎖中に2~約4個の炭素原子を有する。分岐とは、メチル、エチル、またはプロピルのような1つまたはそれ以上の低級アルキル基が直鎖状のアルキニル鎖に結合されることを意味する。例示的なアルキニル基として、エチニル、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニル、およびn-ペンチニルが挙げられる。C2-C6アルキニル基は、2~6個の炭素原子を含有するアルキニル基である。
【0127】
用語「シクロアルキル」とは、3~18個の炭素原子を含有する単環式または多環式飽和炭素環を意味する。シクロアルキル基の例として、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプタニル、シクロオクタニル、ノルボルニル、ノルボレニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、またはビシクロ[2.2.2]オクテニルが挙げられる。C3-C8シクロアルキルは、3~8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、縮合できる(例えばデカリン)、または架橋できる(例えばノルボルナン)。
【0128】
用語「シクロアルケニル」とは、4~18個の炭素原子を含有する単環式非芳香族不飽和炭素環を意味する。シクロアルケニル基の例として、限定されないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、およびノルボレニルが挙げられる。C4-C8シクロアルケニルは、4~8個の炭素原子を含有するシクロアルケニル基である。
【0129】
いくつかの実施形態において、用語「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」または「複素環」とは、炭素、ならびに、酸素、リン、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を含有し、環炭素またはヘテロ原子を共有する非局在化π電子(芳香性)がない、単環式または多環式3~24員環を指す。ヘテロシクリル環として、限定されないが、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサリニル(dioxalinyl)、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS-ジオキシド、ピペラジニル、アゼピニル、オキセピニル、ジアゼピニル、トロパニル、およびホモトロパニルが挙げられる。ヘテロシクリルまたはヘテロシクロアルキル環はまた、縮合できる、または架橋できる、例えば、二環式環であり得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」または「複素環」は、別段指定されない限り連結される炭素または窒素であり得る、少なくとも1つの原子が窒素、硫黄または酸素から選ばれる3~24個の原子を含有する、飽和、部分的に飽和または不飽和の単環式または二環式環であるが、ここで、-CH2-基は、場合により、-C(O)-により置き換えられるか、または、環硫黄原子は、場合により、酸化してS-オキシドを形成することがある。「ヘテロシクリル」は、別段指定されない限り連結される炭素または窒素であり得る、少なくとも1つの原子が窒素、硫黄または酸素から選ばれる5または6個の原子を含有する、飽和、部分的に飽和または不飽和の単環式または二環式環であるが、ここで、-CH2-基は、場合により、-C(O)-により置き換えられるか、または、環硫黄原子は、場合により、酸化してS-オキシドを形成することがある。用語「ヘテロシクリル」の非限定的な例および好適な値は、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2-ピロリドニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2-ベンゾオキサゾリノニル、1,1-ジオキソテトラヒドロチエニル、2,4-ジオキソイミダゾリジニル、2-オキソ-1,3,4-(4-トリアゾリニル)、2-オキサゾリジノニル、5,6-ジヒドロウラシリル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,2,4-オキサジアゾリル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、4-チアゾリドニル、モルホリノ、2-オキソテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル、1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドリル、ピペラジニル、チオモルホリノ、1,1-ジオキソチオモルホリノ、テトラヒドロピラニル、1,3-ジオキソラニル、ホモピペラジニル、チエニル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、ピラニル、インドリル、ピリミジル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、4-ピリドニル、キノリルおよび1-イソキノロニルである。
【0131】
本明細書で使用される場合、用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード基を意味する。
【0132】
用語「カルボニル」とは、酸素原子と二重結合される炭素原子を含む官能基を指す。これは、「オキソ」、C(O)、またはC=Oと略することができる。
【0133】
「スピロ環」または「スピロ環状」とは、単一の原子を介して結合する両方の環を有する炭素からなる(carbogenic)二環式環系を意味する。環は、サイズおよび性質で異なるか、または、サイズおよび性質で同一であってもよい。例として、スピロペンタン、スピロヘキサン、スピロヘプタン、スピロオクタン、スピロノナン、またはスピロデカンが挙げられる。スピロ環での環の1つまたは両方は、別の炭素環、複素環、芳香族、またはヘテロ芳香族環と縮合することができる。スピロ環での炭素原子の1つまたはそれ以上は、ヘテロ原子(例えばO、N、SまたはP)で置換することができる。C5-C12スピロ環は、5~12個の炭素原子を含有するスピロ環である。いくつかの実施形態において、C5-C12スピロ環は、5~12個の炭素原子を含有するスピロ環である。炭素原子の1つまたはそれ以上は、ヘテロ原子で置換することができる。
【0134】
用語「スピロ環状複素環」、「スピロヘテロシクリル」または「スピロ複素環」は、環の少なくとも1つが複素環である(例えば、環の少なくとも1つがフラニル、モルホリニル、またはピペラジニルである)、スピロ環を意味すると理解される。スピロ環状複素環は、少なくとも1つがN、O、SおよびPから選択されるヘテロ原子である、5~12個の原子を含有することができる。いくつかの実施形態において、スピロ環状複素環は、少なくとも1つがN、O、SおよびPから選択されるヘテロ原子である、5~12個の原子を含有することができる。
【0135】
用語「互変異性体」とは、同じ数で種類の原子を有するが、結合連結性で異なり、互いに平衡状態にある、1セットの化合物を指す。「互変異性体」は、このセットの化合物の単一のものである。典型的には、単一の互変異性体は引き出されるが、この単一構造が存在し得る全ての可能な互変異性体を表すことを意味することは理解される。例として、エノール-ケトン互変異性が挙げられる。ケトンが引き出される場合、エノールおよびケトン体の両方が本開示の一部であることは理解される。
【0136】
SHP2阻害剤は、単独療法として単独で、または、組合せ療法として1つもしくはそれ以上の他の治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤もしくは抗がん治療剤)と組み合わせて投与される。SHP2阻害剤は、医薬組成物として投与してもよい。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤もしくは抗がん治療剤)の前、後、および/または同時に投与される。1つまたはそれ以上の他の治療剤と同時に投与される場合、このような投与は、(例えば単一組成物として)同時であり得るか、または2つ以上の別々の組成物を介し、場合により同じもしくは異なる投与様式(例えば局所、全身、経口、静脈内など)を介し得る。
【0137】
SHP2阻害剤は、組合せ療法として1つまたはそれ以上のMEK阻害剤と組み合わせて投与される。SHP2阻害剤は、組合せ療法として1つまたはそれ以上のMEK阻害剤と組み合わせて医薬組成物として投与される。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上のMEK阻害剤の前、後、および/または同時に投与される。1つまたはそれ以上のMEK阻害剤と同時に投与される場合、このような投与は、(例えば単一組成物として)同時であり得るか、または2つ以上の別々の組成物を介し、場合により同じもしくは異なる投与様式(例えば局所、全身、経口、静脈内など)を介し得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に腫瘍の治療のための単独療法として投与される。腫瘍は、RAS経路活性化変異を含有し得る。様々な実施形態において、RAS経路活性化変異は、(例えばGTPをRASに再結合させるために)SHP2に細胞依存性を付与する。
【0139】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、NF1LOF変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。NF1は、活性RAS-GTPからのGTPからGTPの加水分解を促進することにより、RAS活性化をモジュレートし、それによりRASを不活性化するGAPタンパク質である。RASは、GDP結合「オフ」とGTP結合「オン」の間を往復する。NF1での機能喪失変異は、RASによりGTP加水分解を減らし、平衡状態を活性化RASに移行することにより、がん性の成長/増殖および場合によっては癌遺伝子依存をもたらす。NF1変異は、頻繁にNSCLCで起こり(例えば、Cancer Genome Atlas Research Network「Comprehensive molecular profiling of lung adenocarcinoma.」Nature 511、533~550頁(2014)では8.3%)、全ての構造的なNF1変異の80%超は、NF1LOFである(Philpott、2017年)が、標的の療法は、NF1LOFサブタイプの腫瘍の治療に利用できない。本明細書で示される通り、NF1LOF細胞でのSHP2阻害の結果、p-ERKシグナリングおよび増殖が用量依存的に抑制された(実施例1、図6Aおよび6B)。
【0140】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、RAS遺伝子での変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。特定の実施形態において、RAS遺伝子変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスにRAS経路を依存させる。RAS経路変異は、KRAS、NRAS、またはHRAS変異であり得る。KRAS変異のような腫瘍性RAS変異は、RAS平衡状態をGTP結合「オン」状態に移行し、RASエフェクターへのシグナリングおよび癌遺伝子依存を駆動する。本明細書で使用される場合、「癌遺伝子依存」とは、その無数の遺伝的変化にもかかわらず、腫瘍細胞が、持続した増殖および/または生存に対して単一の腫瘍性経路またはタンパク質に明らかな依存を呈する現象を指す。KRAS細胞株のパネルの治療では、SHP2阻害に対して感受性を示す成長のバイオマーカーとして特定の変異が同定された(実施例1、表3)。特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、KRASG12C変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、KRASG12A;KRASG12D、KRASG12S、またはKRASG12V変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。
【0141】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、RAF遺伝子変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。RAF遺伝子変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスにRAS経路を依存させ得る。特定の実施形態において、変異は、クラスIII BRAF変異である。いくつかの実施形態において、クラスIII BRAF変異は、D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eからなる群から選択される。特定の実施形態において、変異は、ARAFまたはCRAF変異である。
【0142】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、MEK遺伝子変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための単独療法として投与される。MEK遺伝子変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスにRAS経路を依存させ得る。特定の実施形態において、MEK遺伝子変異は、クラスI MEK1変異である。いくつかの実施形態において、クラスI MEK1変異は、D67N;P124L;P124S;およびL177Vからなる群から選択される。特定の実施形態において、MEK遺伝子変異は、クラスII MEK1変異である。いくつかの実施形態において、クラスII MEK1変異は、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nからなる群から選択される。
【0143】
特定の実施形態において、SHP2阻害剤は、対象に、SHP2を通じてシグナリングフラックスに変異したタンパク質を依存させるRAS経路変異を含有する細胞を含む腫瘍の治療のための組合せ療法として、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えばMAPキナーゼ経路の阻害剤)と組み合わせて投与される。変異は、NF1LOF変異;RAS/RAF変異;KRAS変異;KRASG12A変異;KRASG12C変異;KRASG12D変異;KRASG12S変異;KRASG12V変異から選択されるKRAS変異;クラスIII BRAF変異;D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eから選択されるBRAF変異;クラスI MEK1変異;D67N;P124L;P124S;およびL177Vから選択されるMEK1変異;クラスII MEK1変異;ならびに、ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nから選択されるMEK1変異の1つまたはそれ以上を含むことができる。変異は、ARAFまたはCRAF変異の1つまたはそれ以上を含むことができる。組合せ療法は、SHP2阻害剤および当該技術分野で知られている、または本明細書に開示される任意の他の抗がん治療剤の投与を含むことができる。例えば、SHP2阻害剤は、対象に、例えば、限定されないが、タキサン、ビンカアルカロイド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、またはビンフルニンのような有糸分裂阻害剤、他の抗がん剤、例えば、シスプラチン、5-フルオロウラシルもしくは5-フルオロ-2,4-(1H,3H)-ピリミジンジオン(5FU)、フルタミド、ゲムシタビン、例えばペムブロリズマブ(もしくは「Keytruda」、Merck)、ニボルマブ(もしくは「Opdivo」、BMS)、PDR001(NVS)、REGN2810(Sanofi/Regeneron)のようなPD-1抗体、例えばアベルマブ(もしくは「MSB0010718C」もしくは「Bavencio」、PFE&Merck Kga)、デュルバルマブ(もしくは「Imfinzi」もしくは「MEDI-4736」、Medimmune&Celgene)、アテゾリズマブ(もしくは「Tecentriq」もしくは「MPDL-3280A」、Genentech&Roche)、ピディリズマブ(もしくは「CT-001」、Medivation-現在、Pfizer)、JNJ-63723283(JNJ)、BGB-A317(BeiGene&Celgene)のようなPD-L1抗体のようなチェックポイント阻害剤(例えばチェックポイント阻害剤抗体)、または、限定されないが、イピリムマブ、トレメリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP224、AMP514/MEDI0680、BMS936559、MEDl4736、MPDL3280A、MSB0010718C、BMS986016、IMP321、リリルマブ、IPH2101、1-7F9、およびKW-6002を含む、Preusser,M.ら(2015)Nat.Rev.Neurol.(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるチェックポイント阻害剤;RTK阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、PI3K/AKT経路阻害剤、MAPキナーゼ経路の阻害剤、ならびにMEK阻害剤から選択される抗がん剤を組み合わせて投与される。RTK阻害剤(TKI)は、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、erbB2、erbB4、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、免疫グロブリン様上皮成長因子相同性ドメインを伴うチロシンキナーゼ(TIE-2)、インスリン成長因子-I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkC)、エフリン(eph)受容体、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、RET癌原遺伝子、ならびにALKから選択される1つまたはそれ以上のRTKを阻害し得る。TKIとして、限定されないが、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のTKIを挙げることができる。TKIとして、限定されないが、EGFR阻害剤またはAlk阻害剤を挙げることができる。TKIとして、限定されないが、トラスツズマブ(Herceptin);セツキシマブ(Erbitux);パニツムマブ(vectibix);ゲフィニチブ(iressa);エルロチニブ(tarceva);ラパチニブ(tykerb);アファチニブ;ソラフェニブ(nexavar);スニチニブ(sutent);ベバシズマブ(avastin);ソラチニブ;パゾパニブ;ニロチニブ;ブリバニブ(BMS-540215);CHIR-258(TKI-258);SGX523;およびイマチニブ(gleevec)を挙げることができる。SHP2阻害剤と組み合わせて本開示にしたがって使用される他のTKIとして、限定されないが、Kath,John C.、Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6):803~818頁;Shawverら、DDT第2巻、第2号、1997年2月;および、Lofts,F.J.ら、「Growth factor receptors as targets」、New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy、Workman,PaulおよびKerr,David編、CRC press 1994年、London(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される成長因子受容体阻害剤を挙げることができる。組合せ療法は、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるPI3K/AKT経路の阻害剤(「PI3K/AKT阻害剤」)と組み合わせてSHP2阻害剤を含むことができる。PI3K/AKT阻害剤として、限定されないが、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のPI3K/AKT阻害剤を挙げることができる。例えば、PI3K/AKT阻害剤は、NVP-BEZ235;BGT226;XL765/SAR245409;SF1126;GDC-0980;PI-103;PF-04691502;PKI-587;GSK2126458の1つまたはそれ以上から選択される。ALK阻害剤として、限定されないが、セリチニブ、TAE-684(本明細書では「NVP-TAE694」とも称す)、PF02341066(本明細書では「クリゾチニブ」または「1066」とも称す)、アレクチニブ;ブリガチニブ;エヌトレクチニブ;エンサルチニブ(X-396);ロルラチニブ;ASP3026;CEP-37440;4SC-203;TL-398;PLB1003;TSR-011;CT-707;TPX-0005、およびAP26113が挙げられる。ALKキナーゼ阻害剤の追加例は、その全体を参照によって本明細書に組み入れるWO2005016894の実施例3~39に記載されている。SHP2阻害剤は、このような抗がん剤の1つまたはそれ以上の前、後、または同時に投与される。いくつかの実施形態において、このような組合せは、療法における相加または相乗作用を含む、大きな利点をもたらし得る。
【0144】
いくつかの特定の実施形態において、本開示は、疾患または障害、例えばがんを、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるMAPキナーゼ(MAPK)経路の阻害剤(または「MAPK阻害剤」)と組み合わせた、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療するための方法を提供する。MAPK阻害剤は、MEK阻害剤であり得る。本明細書に開示される方法で使用するMAPK阻害剤として、限定されないが、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のMAPK阻害剤を挙げることができる。例えば、MAPK阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766(Roche、PLoS One.2014年11月25日;9(11)に記載、その全体を参照によって本明細書に組み入れる);およびGSK1120212(または「JTP-74057」、Clin Cancer Res.2011年3月1日;17(5):989~1000頁に記載、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)の1つまたはそれ以上から選択される。SHP2阻害剤は、このようなMAPK阻害剤の1つまたはそれ以上の前、後、または同時に投与される。いくつかの実施形態において、このような組合せは、療法における相加または相乗作用を含む、大きな利点をもたらし得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、本開示は、疾患または障害、例えばがんを、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるRASタンパク質の阻害剤(または「RAS阻害剤」)と組み合わせた、当該技術分野で知られている、または本明細書に開示されるSHP2阻害剤を含む組合せ療法で治療するための方法を提供する。RAS阻害剤は、KRAS、NRAS、またはHRASを阻害し得る。RAS阻害剤は、特異的なKRAS、NRAS、またはHRAS変異を阻害し得る。RAS阻害剤は、KRASG12C特異的阻害剤である。例えば、RAS阻害剤は、ARS-853(Patricelliら、2016年)であり、GDP結合状態でKRASG12Cのシステイン残基に選択的に結合する。
【0146】
本開示はまた、SHP2の阻害の結果、フィードバック駆動の活性化RAS経路シグナリングをもたらさず(図9)、SHP2阻害の結果、ERKリン酸化は低下する(図5B)ので、MEK阻害の場合と同様にしてこのようなフィードバック活性化を誘発することが予想される(図10)という予想外の発見を示す。さらに、SHP2阻害は、MEK阻害剤で誘発されたRASの活性化を妨害した(図11)。ゆえに、耐性を誘発し得るMAPK阻害剤と異なり、SHP2阻害剤は、RASの過剰活性化を起こさず、これらが、MEK阻害剤の薬物耐性に寄与する可能性があるMEK阻害剤治療に関してRASの過剰活性化を低減できる。
【0147】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法であって、SHP2阻害剤と組み合わせて治療剤を投与することを含む、方法を提供する。SHP2阻害剤は、治療剤の前、後、または同時に投与される。特定の実施形態において、治療剤は、MAPK阻害剤(例えばMEK阻害剤)である。MEK阻害剤は、本明細書で示される通り、SHP2阻害剤で妨害されるRASのフィードバック活性化を誘発する。投与は、例えば対象(例として哺乳動物、好ましくはヒト)においてインビボであり得る。ゆえに、RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、SHP2阻害剤、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、MEK阻害剤、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、化合物B、ならびにトラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態において、RAS経路阻害剤は、アベマシクリブまたはウリキセルチニブである。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ、ならびに(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Aを投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および表1から選択される化合物を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)および表2から選択される化合物を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)およびSHP099を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)およびNSC-87877を投与することを含むことができる。RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤(例えば抗がん剤)に対する細胞(例えば腫瘍細胞)における抵抗性の出現を防ぐまたは遅らせるための方法は、トラメチニブ(GSK1120212)、ならびに式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155、ならびに;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せを投与することを含むことができる。
【0148】
いくつかの実施形態において、本開示は、耐性がある腫瘍を、RAS経路シグナル伝達物質を標的とする治療剤に対して再感作させるための方法であって、SHP2阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態において、治療剤は、MAPK阻害剤(例えば、MEK阻害剤またはERK阻害剤)である。好適なMAPK阻害剤は、当該技術分野で知られ、本明細書に開示され、限定されないが、MEK阻害剤、Cancers(Basel)、2015年9月;7(3):1758~1784頁(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される1つまたはそれ以上のMAPK阻害剤、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766(Roche、PLoS One.2014年11月25日;9(11)に記載、その全体を参照によって本明細書に組み入れる);およびGSK1120212(または「JTP-74057」、Clin Cancer Res.2011年3月1日;17(5):989~1000頁、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)の1つまたはそれ以上が挙げられる。
【0149】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2阻害剤で細胞(例えば、がん細胞)を治療するための方法であって、細胞を治療剤(例えばMAPK阻害剤)での治療によってSHP2に依存させる、方法を提供する。治療剤は、MEK阻害剤およびERK阻害剤から選択されるMAPK阻害剤であり得る。治療剤は、天然RAS経路の負フィードバック機構の軽減を介するRAS経路の過剰活性化を誘発し得、過剰活性化したRAS経路は、SHP2シグナリングに(例えばGTPをRASに再結合させることをプライミングするために)依存する。治療剤(例えばMAPK阻害剤)を組み合わせるSHP2阻害剤の投与は、治療剤によるRAS経路のこのような過剰活性化を防ぐことができる。このような細胞は、(例えばGTPをRASに再結合させるために)SHP2に細胞依存性を付与するRAS経路変異を含んでもいいが、必要ではない。MAPK阻害剤(例えばMEKまたはERK阻害剤)と組み合わせるSHP2阻害剤の治療は、MAPK阻害剤で誘発されたRAS経路のフィードバック活性化を防ぐことができる。
【0150】
本発明はまた、対象が、SHP2阻害に応答する腫瘍を有するかどうかを判断するための方法を提供する。方法は、腫瘍がNF1LOFサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、腫瘍がNF1LOFサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態において、判断することは、例えば実験を介して実験的に判断することを含むことができる。腫瘍のサブタイプを判断するためのこのような方法は、当該技術分野で知られ、遺伝子型決定すること、NF1タンパク質レベルを測定すること、(例えばウエスタンブロット法、質量分析方法、サイズ排除クロマトグラフィーのような任意の好適な方法を介して)NF1のサイズを決定すること、または、RAS-GTPの蓄積アッセイのような機能的アッセイにより測定することを含むことができる。
【0151】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Cサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Cサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。KRASサブタイプを判断するための方法は、当該技術分野で知られ、本開示にしたがう使用に好適であり、限定されないが、例えばDomagalaら、Pol J Pathol 3:145~164頁(2012)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される、直接シーケンシング、次世代シーケンシング、および(CE-IVDマーク付き)高感度診断アッセイの利用を含み、TheraScreen PCR;AmoyDx;PNAClamp;RealQuality;EntroGen;LightMix;StripAssay;Hybcell plexA;Devyser;Surveyor;Cobas;および、TheraScreen Pyroを含む。
【0152】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Dサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Dサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0153】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Sサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Sサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0154】
一実施形態において、本発明は、がんを有する対象が、SHP2阻害に応答するかどうかを判断するための方法であって、がんがKRASG12Vサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、生体サンプルがKRASG12Vサブタイプとして分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0155】
一実施形態において、本開示は、SHP2阻害剤を含む治療が、SHP2関連の疾患または障害に罹患する患者に投与するのに最適であるかどうかを判断する方法を提供する。いくつかの態様において、疾患または障害は、がんである。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがNF1LOFサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Cサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Aサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Sサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。いくつかの態様において、患者がSHP2阻害剤を含む治療を受けなければならないかどうかを判断することは、がんがKRASG12Vサブタイプとして分類されるかどうかを判断すること、および、そうであれば患者がSHP2阻害剤治療を受けなければならないことを判断することを含む。したがって、本開示はまた、NF1LOFサブタイプ、KRASG12A、KRASG12Cサブタイプ、KRASG12Vサブタイプおよび/またはKRASG12Sサブタイプを含むこのような患者をSHP2阻害剤で治療する方法を提供する。
【0156】
当業者であれば理解するように、様々な実施形態において、本明細書に開示される全ての治療剤、すなわち、特異的なTKI阻害剤、MEK阻害剤、ALK阻害剤、SHP2阻害剤、EGFR阻害剤などは、一般的に、このような阻害剤を必要とする、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つまたはそれ以上で使用される。ゆえに、例えば、一般的に例えば、「SHP2阻害剤」または一般的に「TKI阻害剤」での治療を含む実施形態は、(本文脈が別段必要としない限り)本明細書に開示される、いずれか1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤またはTKI阻害剤、それぞれでの治療を含むことができる。
【0157】
開示される組成物および化合物(例えばSHP2阻害剤および/または他の治療剤)の投与は、治療剤に対する任意の投与様式を介して行うことができる。これらの様式として、経口、経鼻、非経口、経皮、皮下、経膣、バッカル、直腸のような全身または局所性投与、または局所的投与様式が挙げられる。
【0158】
意図される投与様式により、開示された化合物または医薬組成物は、ときに単位投与量で従来の薬務に一致して、例えば注射液、錠剤、坐剤、丸剤、時間放出カプセル剤、エリキシル剤、チンキ剤、乳剤、シロップ剤、散剤、液剤、懸濁剤等のような固体、半固体、または液体剤形とすることができる。同様に、これらはまた、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下、または筋肉内の形態で投与することもでき、これら全ては、医薬分野において当業者に周知の形態を使用する。SHP2阻害剤(単独で、または、例えば本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)の送達に好適な医薬組成物、およびこれらを製造するための方法は、当業者には直ちに明らかであろう。このような組成物およびこれらを製造するための方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995年)に見出され、その全体を本明細書に組み入れる。
【0159】
例示的な医薬組成物は、SHP2阻害剤を単独で含む、または、a)賦形剤、例えば、純水、水素化または部分水素化植物油もしくはその混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、EPAもしくはDHAのような魚油のようなトリグリセリド油、もしくはそのエステルもしくはトリグリセリドもしくはその混合物、オメガ-3脂肪酸もしくはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/もしくはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/もしくはポリエチレングリコール;錠剤に対してはまた;c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、グルコースもしくはベータ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウムのような天然および合成ゴム、ワックスおよび/もしくはポリビニルピロリドン、所望により;d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、もしくは発泡性混合物;e)吸収剤、着色剤、風味剤および甘味料;f)Tween80、Labrasol、HPMC、DOSS、caproyl909、labrafac、labrafil、peceol、transcutol、capmul MCM、capmul PG-12、captex355、gelucire、ビタミンE TGPSもしくは他の許容される乳化剤のような、乳化剤もしくは分散化剤;ならびに/または、g)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、PEG200のような、化合物の吸収を向上させる薬剤のような、本開示にしたがう別の治療剤および医薬的に許容される担体と組み合わせる、錠剤およびゼラチンカプセル剤である。
【0160】
液体の、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などにより製造することができる。例えば、SHP2阻害剤(単独で、または、本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)は、例えば水、塩水、水性デキストロース、グリセリン、エタノールなどのような医薬的に許容される溶媒に溶解するか、または混合し、これにより、注射可能な等張性液剤または懸濁剤を形成する。アルブミンのようなタンパク質、カイロミクロン粒子、または血清タンパク質を使用して、SHP2阻害剤(単独で、または、本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)を可溶化することができる。
【0161】
SHP2阻害剤はまた、担体としてプロピレングリコールのようなポリアルキレングリコールを使用して、単独で、または、本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて坐剤として製剤化することができ、脂肪乳剤または懸濁剤から製造することができる。
【0162】
SHP2阻害剤はまた、単独か、または本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせるかのいずれかで、小型単層小胞体、大型単層小胞体および多層小胞体のようなリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含有する各種リン脂質から形成することができる。いくつかの実施形態において、米国特許第5,262,564号(その内容は、参照によって本明細書に組み入れる)に記載される通り、脂質成分の膜は、薬物の水溶液で水和されて、薬物をカプセル化する脂質層が形成される。
【0163】
SHP2阻害剤はまた、開示された化合物が結合する個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。SHP2阻害剤はまた、標的化可能な薬物担体として可溶性ポリマーと結合することもできる。このようなポリマーとして、パルミトイル残基で置換される、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパナミドフェノール(polyhydroxyethylaspanamidephenol)、またはポリエチレンオキシドポリリジンを挙げることができる。さらに、SHP2阻害剤は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーの1種、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと結合することができる。一実施形態において、開示された化合物は、ポリマー、例えばポリカルボン酸ポリマーまたはポリアクリレートに共有結合していない。
【0164】
非経口注射液投与は、一般的に、皮下、筋肉内、または静脈内の注射および注入で使用される。注射液は、液体液剤もしくは懸濁剤、または注射前の液体に溶解するのに好適な固体形態のいずれかとして、従来の形態で製造することができる。
【0165】
本発明の別の態様は、SHP2阻害剤(単独で、または、例えば本開示にしたがう別の治療剤と組み合わせて)および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物に関する。医薬的に許容される担体は、さらに添加剤、賦形剤、または界面活性剤を含むことができる。
【0166】
ゆえに、本開示は、本明細書に開示される方法、例えばSHP2単独療法で使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を含む、組成物(例えば医薬組成物)を提供する。このような組成物は、SHP2阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含むことができる。
【0167】
本開示は、本明細書に開示される方法、例えばSHP2組合せ療法で使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤、および1つまたはそれ以上の追加の治療剤を含む、組成物(例えば医薬組成物)を提供する。このような組成物は、SHP2阻害剤、追加の治療剤(例えばTKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤)、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含むことができる。
【0168】
本開示は、本明細書に開示される方法、例えばSHP2組合せ療法で使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤、および1つまたはそれ以上のMEK阻害剤を含む、組成物(例えば医薬組成物)を提供する。このような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含むことができる。このような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤から本質的になることができる。このような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに、例えば1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤からなることができる。例えば、本開示の組成物の1つの非限定的な例は、(a)SHP2阻害剤;(b)トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)MEK阻害剤;(b)(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0169】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物B、(b)トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤、ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)トラメチニブ;(b)(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0170】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物B;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0171】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物A;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0172】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)化合物C;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0173】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)表1の化合物から選択される化合物;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0174】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)表2の化合物から選択される化合物;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0175】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)SHP099;(b)トラメチニブ(GSK1120212);ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0176】
本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)トラメチニブ(GSK1120212);(b)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;ならびに、(c)1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなることができる。
【0177】
組成物は、従来の混合、造粒またはコーティングの方法にしたがってそれぞれ製造し、本医薬組成物は、重量または体積で約0.1%~約99%、約5%~約90%、または約1%~約20%の開示された化合物を含有することができる。
【0178】
開示された化合物を利用する投与レジメンは、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および病状;治療する状態の重症度;投与経路;患者の腎機能および肝機能を含む、各種因子;ならびに、利用される特定の開示された化合物に応じて選択される。当該技術分野の医師または獣医師は、状態の進行を予防、対抗、または停止するために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0179】
SHP2阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.5mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0180】
ALK阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.5mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0181】
EGFR阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.5mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0182】
MEK阻害剤の有効な投与量は、示された効果のために使用される場合、状態を治療するために必要に応じて約0.05mg~約5000mgの範囲である。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示される化合物、または、列挙された用量の1つの量と別の量との範囲で含有することができる。一実施形態において、組成物は、刻み目を入れた錠剤の形態である。
【0183】
本発明はまた、SHP2阻害剤、1つまたはそれ以上の担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤で疾患または障害を治療するためのキット、ならびに、対象からのサンプル(例えば腫瘍サンプル)がSHP2治療に対して感受性を示す可能性があるかどうかを判断するための手段を提供する。いくつかの実施形態において、判断するための手段は、サンプルが、NF1LOF変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12S変異、および/またはKRASG12V変異を含むかどうかを判断するための手段を含む。このような手段は、限定されないが、例えばDomagalaら、Pol J Pathol 3:145~164頁(2012)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に記載される、直接シーケンシング、および(CE-IVDマーク付き)高感度診断アッセイの利用を含み、TheraScreen PCR;AmoyDx;PNAClamp;RealQuality;EntroGen;LightMix;StripAssay;Hybcell plexA;Devyser;Surveyor;Cobas;および、TheraScreen Pyroを含む。
【0184】
本明細書中で言及するか、または出願データシートに列挙された、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、PCT特許出願、PCT特許出願公開、外国の特許、外国の特許出願、および非特許の刊行物の全ては、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。以上のことから、本発明の具体的な実施形態は、例示を目的として本明細書で記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な改変が行われることが理解されよう。
【0185】
例示的な実施形態
本開示のいくつかの実施形態は、以下の実施形態Iである:
【0186】
実施形態I-1。KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0187】
実施形態I-1a。KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0188】
実施形態I-1b。KRASG12Cバリアントをコードする変異を含有する細胞を含む疾患または障害を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0189】
実施形態I-2。NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0190】
実施形態I-2a。NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0191】
実施形態I-2b。NF1機能喪失(NF1LOF)バリアントをコードする変異を伴う細胞を含む疾患または障害を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0192】
実施形態I-3。SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる対象の細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0193】
実施形態I-3a。SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0194】
実施形態I-3b。SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる細胞におけるRAS経路変異に関連する疾患または障害を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0195】
実施形態I-4。RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、SOS変異、BRAFクラスIII変異、クラスI MEK1変異、クラスII MEK1変異、およびNF1変異から選択されるRAS変異である、実施形態I-3に記載の方法。
【0196】
実施形態I-5。KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される、実施形態I-4に記載の方法。
【0197】
実施形態I-6。KRAS変異は、KRASG12Cである、実施形態I-4に記載の方法。
【0198】
実施形態I-7。KRAS変異は、KRASG12Aである、実施形態I-4に記載の方法。
【0199】
実施形態I-8。BRAFクラスIII変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-4に記載の方法。
【0200】
実施形態I-9。NF1変異は、機能喪失変異である、実施形態I-4に記載の方法。
【0201】
実施形態I-10。クラスI MEK1変異は、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:D67N;P124L;P124S;およびL177Vの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-4に記載の方法。
【0202】
実施形態I-11。クラスII MEK1変異は、ヒトMEK1における以下のアミノ酸置換:ΔE51-Q58;ΔF53-Q58;E203K;L177M;C121S;F53L;K57E;Q56P;およびK57Nの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-4に記載の方法。
【0203】
実施形態I-12。対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む、実施形態I-1~I-11のいずれか1項に記載の方法。
【0204】
実施形態I-13。RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である、実施形態I-12に記載の方法。
【0205】
実施形態I-14。RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である、実施形態I-13に記載の方法。
【0206】
実施形態I-15。Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-12に記載の方法。
【0207】
実施形態I-16。疾患または状態は、腫瘍である、実施形態I-1~I-15のいずれか1項に記載の方法。
【0208】
実施形態I-17。腫瘍は、NSCLC、結腸がん、食道がん、直腸がん、JMML、乳がん、黒色腫、シュワン細胞腫、および膵がんから選択される、実施形態I-16に記載の方法。
【0209】
実施形態I-18。NF1機能喪失変異に関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、対象にSHP2の阻害剤を提供することを含む、方法。
【0210】
実施形態I-18a。NF1機能喪失変異に関連する疾患を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0211】
実施形態I-18b。NF1機能喪失変異に関連する疾患を治療するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0212】
実施形態I-19。疾患は、NF1機能喪失変異を伴う細胞を含む腫瘍である、実施形態I-18に記載の方法。
【0213】
実施形態I-20。腫瘍は、NSCLCまたは黒色腫腫瘍である、実施形態I-19に記載の方法。
【0214】
実施形態I-21。疾患は、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、神経鞘腫症、およびWatson症候群から選択される、実施形態I-18の方法。
【0215】
実施形態I-22。対象にRAS経路の阻害剤を提供することをさらに含む、実施形態I-18~I-21のいずれか1項に記載の方法。
【0216】
実施形態I-23。RAS経路阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-22に記載の方法。
【0217】
実施形態I-24。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0218】
実施形態I-24a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異を含む、阻害剤。
【0219】
実施形態I-24b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0220】
実施形態I-24c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがKRAS変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがKRASG12C変異体、KRASG12D変異体、KRASG12S変異体、またはKRASG12V変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0221】
実施形態I-25。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0222】
実施形態I-25a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、NF1LOF変異を含む、阻害剤。
【0223】
実施形態I-25b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0224】
実施形態I-25c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがNF1LOF変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがNF1LOF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0225】
実施形態I-26。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0226】
実施形態I-26a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、クラス3 BRAF変異を含む、阻害剤。
【0227】
実施形態I-26b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0228】
実施形態I-26c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラス3 BRAF変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0229】
実施形態I-27。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0230】
実施形態I-27a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、クラスI MEK1変異を含む、阻害剤。
【0231】
実施形態I-27b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0232】
実施形態I-27c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスI MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0233】
実施形態I-28。腫瘍を有する対象を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【0234】
実施形態I-28a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、腫瘍は、クラスII MEK1変異を含む、阻害剤。
【0235】
実施形態I-28b。治療のために腫瘍を有する対象を選択する方法であって、
対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類されるかどうかをインビトロで判断することを含み、
生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類される場合、対象は治療のために選択される、
方法。
【0236】
実施形態I-28c。腫瘍を治療するための方法であって、
(a)対象から得られる生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類されるかどうかを判断すること、および
(b)生体サンプルがクラスII MEK1変異体として分類される場合、対象にSHP2の阻害剤を投与すること
を含む、方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0237】
実施形態I-29。RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための方法であって、対象にSHP2の阻害剤を投与することを含む、方法。
【0238】
実施形態I-29a。RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0239】
実施形態I-29b。RAS経路阻害剤の投与を受けている対象において薬物耐性を治療または予防するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用。
【0240】
実施形態I-30。対象は、NF1LOF変異を伴う細胞を含有する腫瘍を含む、実施形態I-29に記載の方法。
【0241】
実施形態I-31。対象は、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12A変異、KRASG12S変異、またはKRASG12V変異を含有する腫瘍を含む、実施形態I-29またはI-30に記載の方法。
【0242】
実施形態I-32。RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である、実施形態I-29~I-31のいずれか1項に記載の方法。
【0243】
実施形態I-33。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、CH5126766、MAP855、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-32に記載の方法。
【0244】
実施形態I-34。RAS経路阻害剤は、ERK阻害剤である、実施形態I-29~I-31のいずれか1項に記載の方法。
【0245】
実施形態I-35。ERK阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のERK阻害剤;LY3214996;ウリキセルチニブ;およびBVD523から選択される、実施形態I-34に記載の方法。
【0246】
実施形態I-36。SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-1~I-35のいずれか1項に記載の方法。
【0247】
実施形態I-37。RAS経路阻害剤およびSHP2の阻害剤を含む、組合せ療法。
【0248】
実施形態I-38。RAS経路阻害剤は、MEK阻害剤である、実施形態I-37に記載の組合せ療法。
【0249】
実施形態I-39。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、CH5126766、MAP855、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-38に記載の組合せ療法。
【0250】
実施形態I-40。RAS経路阻害剤は、KRASG12C特異的阻害剤ARS-853である、実施形態I-37に記載の組合せ療法。
【0251】
実施形態I-41。SHP2の阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-37~I-40のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0252】
実施形態I-42。腫瘍の治療で使用する、実施形態I-37~I-41のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0253】
実施形態I-43。腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、実施形態I-42に記載の組合せ療法。
【0254】
実施形態I-44。RAS経路阻害剤、SHP2阻害剤、ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、添加剤、賦形剤、および/または界面活性剤を含む、医薬組成物。
【0255】
実施形態I-45。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-44に記載の医薬組成物。
【0256】
実施形態I-46。RAS経路阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);GSK1120212、ウリキセルチニブ;およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-44またはI-45に記載の医薬組成物。
【0257】
実施形態I-47。腫瘍の治療で使用する、実施形態I-44~I-46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0258】
実施形態I-48。腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、実施形態I-47に記載の医薬組成物。
【0259】
実施形態I-49。腫瘍は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される、実施形態I-16、I-18、I-19、I-24~I-28、およびI-30~I-36のいずれか1項に記載の方法。
【0260】
実施形態I-50。RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法。
【0261】
実施形態I-50a。RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、阻害剤。
【0262】
実施形態I-50b。RAS経路変異を含有する細胞の成長または増殖を阻害するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、使用。
【0263】
実施形態I-51。RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害する方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法。
【0264】
実施形態I-51a。RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害する方法で使用するSHP2の阻害剤であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、阻害剤。
【0265】
実施形態I-51b。RAS経路変異を含有する細胞においてRAS-GTPの蓄積を阻害するための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、使用。
【0266】
実施形態I-52。RAS経路変異を含有する細胞を殺す方法であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させ、該方法が細胞をSHP2の阻害剤と接触させることを含む、方法。
【0267】
実施形態I-52a。RAS経路変異を含有する細胞を殺す方法で使用するSHP2の阻害剤であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、阻害剤。
【0268】
実施形態I-52b。RAS経路変異を含有する細胞を殺すための薬剤を製造するためのSHP2の阻害剤の使用であって、RAS経路変異は、SHP2を通じてシグナリングフラックスに細胞を少なくとも部分的に依存させる、使用。
【0269】
実施形態I-53。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-50~I-52のいずれか1項に記載の方法。
【0270】
実施形態I-54。RAS経路変異は、KRAS変異、NRAS変異、HRAS変異、SOS変異、クラスIII BRAF変異、およびNF1機能喪失変異から選択される、実施形態I-50~I-53のいずれか1項に記載の方法。
【0271】
実施形態I-55。KRAS変異は、KRASG12A変異、KRASG12C変異、KRASG12D変異、KRASG12F変異、KRASG12I変異、KRASG12L変異、KRASG12R変異、KRASG12S変異、KRASG12V変異、およびKRASG12Y変異から選択される、実施形態I-54に記載の方法。
【0272】
実施形態I-56。KRAS変異は、KRASG12Cである、実施形態I-54に記載の方法。
【0273】
実施形態I-57。KRAS変異は、KRASG12Aである、実施形態I-54に記載の方法。
【0274】
実施形態I-58。クラス3 BRAF変異は、ヒトBRAFにおける以下のアミノ酸置換:D287H;P367R;V459L;G466V;G466E;G466A;S467L;G469E;N581S;N581I;D594N;D594G;D594A;D594H;F595L;G596D;G596RおよびA762Eの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-54に記載の方法。
【0275】
実施形態I-59。細胞をRAS経路の阻害剤と接触させることをさらに含む、実施形態I-50~I-58のいずれか1項に記載の方法。
【0276】
実施形態I-60。RAS経路の阻害剤は、MAPK阻害剤である、実施形態I-59に記載の方法。
【0277】
実施形態I-61。RAS経路の阻害剤は、MEK阻害剤またはERK阻害剤である、実施形態I-60に記載の方法。
【0278】
実施形態I-62。Ras経路の阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS 5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766;ARS-853;LY3214996;BVD523;GSK1120212;ウリキセルチニブ、およびアベマシクリブの1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-61に記載の方法。
【0279】
実施形態I-63。細胞をSOS阻害剤と接触させることをさらに含む、実施形態I-1~I-36、I-49~I-62のいずれか1項に記載の方法。
【0280】
実施形態I-64。SOS阻害剤は、通常より高いSOSレベルまたはSOS活性を含む細胞に投与される、実施形態I-63に記載の方法。
【0281】
実施形態I-65。腫瘍は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-16に記載の方法。
【0282】
実施形態I-66。腫瘍は、結腸がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0283】
実施形態I-67。腫瘍は、食道がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0284】
実施形態I-68。腫瘍は、直腸がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0285】
実施形態I-69。腫瘍は、JMML腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0286】
実施形態I-70。腫瘍は、乳がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0287】
実施形態I-71。腫瘍は、黒色腫腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0288】
実施形態I-72。腫瘍は、シュワン細胞腫腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0289】
実施形態I-73。腫瘍は、膵がん腫瘍である、実施形態I-16に記載の方法。
【0290】
実施形態I-74。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-1~I-36、I-49~I-73のいずれか1項に記載の方法。
【0291】
実施形態I-75。腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0292】
実施形態I-75a。腫瘍細胞の成長を阻害する方法で使用するMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法。
【0293】
実施形態I-75b。腫瘍細胞の成長を阻害するための薬剤を製造するためのMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法の使用。
【0294】
実施形態I-76。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD6244)、コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901、CH5126766、MAP855、レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766)、RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704)、およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-75に記載の方法。
【0295】
実施形態I-77。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-75またはI-76に記載の方法。
【0296】
実施形態I-78。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)である、実施形態I-75~I-77のいずれか1項に記載の方法。
【0297】
実施形態I-79。SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-75~I-78のいずれか1項に記載の方法。
【0298】
実施形態I-80。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)であり、SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-75に記載の方法。
【0299】
実施形態I-81。腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である、実施形態I-75~I-80のいずれか1項に記載の方法。
【0300】
実施形態I-82。腫瘍は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-75~I-80のいずれか1項に記載の方法。
【0301】
実施形態I-83。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-75~I-82のいずれか1項に記載の方法。
【0302】
実施形態I-84。対象は、ヒトである、実施形態I-83に記載の方法。
【0303】
実施形態I-85。腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-75~I-84のいずれか1項に記載の方法。
【0304】
実施形態I-86。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させない、実施形態I-75~I-85のいずれか1項に記載の方法。
【0305】
実施形態I-87。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させる、実施形態I-75~I-85のいずれか1項に記載の方法。
【0306】
実施形態I-88。接触は、MEK阻害剤およびSHP2阻害剤の対象への投与を介する、実施形態I-85~I-87のいずれか1項に記載の方法。
【0307】
実施形態I-89。MEK阻害剤の投与は、SHP2阻害剤の投与に先行する、実施形態I-88に記載の方法。
【0308】
実施形態I-90。SHP2阻害剤の投与は、MEK阻害剤の投与に先行する、実施形態I-88に記載の方法。
【0309】
実施形態I-91。SHP2阻害剤の投与およびMEK阻害剤の投与は、同時に行われる、実施形態I-88に記載の方法。
【0310】
実施形態I-92。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、単一の医薬組成物として投与される、実施形態I-91に記載の方法。
【0311】
実施形態I-93。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、別々の医薬組成物として投与される、実施形態I-91に記載の方法。
【0312】
実施形態I-94。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-75~I-93のいずれか1項に記載の方法。
【0313】
実施形態I-95。腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0314】
実施形態I-95a。腫瘍細胞の成長を阻害する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法。
【0315】
実施形態I-95b。腫瘍細胞の成長を阻害するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法の使用。
【0316】
実施形態I-96。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-95に記載の方法。
【0317】
実施形態I-97。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-95またはI-96に記載の方法。
【0318】
実施形態I-98。対象は、ヒトである、実施形態I-97に記載の方法。
【0319】
実施形態I-99。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-95~I-98のいずれか1項に記載の方法。
【0320】
実施形態I-100。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-95~I-99のいずれか1項に記載の方法。
【0321】
実施形態I-101。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象における腫瘍での腫瘍細胞をMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0322】
実施形態I-101a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法。
【0323】
実施形態I-101b。腫瘍を有する対象を治療するための薬剤を製造するためのMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法の使用。
【0324】
実施形態I-102。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655)、CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択される、実施形態I-101に記載の方法。
【0325】
実施形態I-103。SHP2阻害剤は、(i)化合物A;(ii)化合物B;(iii)SHP099;(iv)NSC-87877;(v)式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IX、および式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)国際PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597)(その全体を参照によって本明細書に組み入れる)に開示されるSHP2阻害剤;(viii)化合物C;(ix)本明細書に開示される表1からの化合物;(x)本明細書に開示される表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択される、実施形態I-101またはI-102に記載の方法。
【0326】
実施形態I-104。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)である、実施形態I-101に記載の方法。
【0327】
実施形態I-105。SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-101~I-104のいずれか1項に記載の方法。
【0328】
実施形態I-106。MEK阻害剤は、トラメチニブ(GSK1120212)であり、SHP2阻害剤は、化合物Bである、実施形態I-101に記載の方法。
【0329】
実施形態I-107。腫瘍細胞は、造血系およびリンパ系の腫瘍;骨髄増殖性症候群;骨髄異形成症候群;白血病;急性骨髄性白血病;若年性骨髄単球性白血病;食道がん;乳がん;肺がん;結腸がん;胃(gastric)がん;神経芽腫;膀胱がん;前立腺がん;神経膠芽細胞腫;尿路上皮癌;子宮癌;腺様および卵巣漿液性嚢胞腺癌;傍神経節腫;褐色細胞腫;膵がん;副腎皮質癌;胃腺癌;肉腫;横紋筋肉腫;リンパ腫;頭頚部がん;皮膚がん;腹膜がん;腸がん(小腸および大腸);甲状腺がん;子宮内膜がん;胆道のがん;軟部組織がん;卵巣がん;中枢神経系がん(例えば原発性CNSリンパ腫);胃(stomach)がん;下垂体がん;生殖管がん;尿路がん;唾液腺がん;子宮頚部がん;肝がん;眼のがん;副腎のがん;自律神経節のがん;上気道消化管のがん;骨がん;精巣がん;胸膜がん;腎がん;陰茎がん;副甲状腺がん;髄膜のがん;外陰部がんおよび黒色腫から選択される腫瘍由来の細胞である、実施形態I-101~I-106のいずれか1項に記載の方法。
【0330】
実施形態I-108。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-101~I-107のいずれか1項に記載の方法。
【0331】
実施形態I-109。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-101~I-108のいずれか1項に記載の方法。
【0332】
実施形態I-110。対象は、ヒトである、実施形態I-109に記載の方法。
【0333】
実施形態I-111。腫瘍細胞とMEK阻害剤およびSHP2阻害剤を含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞を各MEKおよびSHP2阻害剤と別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-101~I-110のいずれか1項に記載の方法。
【0334】
実施形態I-112。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させない、実施形態I-101~I-111のいずれか1項に記載の方法。
【0335】
実施形態I-113。MEK阻害剤およびSHP2阻害剤は、同時に腫瘍細胞と接触させる、実施形態I-101~I-111のいずれか1項に記載の方法。
【0336】
実施形態I-114。接触は、MEK阻害剤およびSHP2阻害剤の対象への投与を介する、実施形態I-111~I-113のいずれか1項に記載の方法。
【0337】
実施形態I-115。MEK阻害剤の投与は、SHP2阻害剤の投与に先行する、実施形態I-114に記載の方法。
【0338】
実施形態I-116。SHP2阻害剤の投与は、MEK阻害剤の投与に先行する、実施形態I-114に記載の方法。
【0339】
実施形態I-117。SHP2阻害剤の投与およびMEK阻害剤の投与は、同時に行われる、実施形態I-114に記載の方法。
【0340】
実施形態I-118。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、単一の医薬組成物として投与される、実施形態I-117に記載の方法。
【0341】
実施形態I-119。SHP2阻害剤およびMEK阻害剤は、別々の医薬組成物として投与される、実施形態I-117に記載の方法。
【0342】
実施形態I-120。治療は、腫瘍細胞の成長を阻害する、実施形態I-101~I-119のいずれか1項に記載の方法。
【0343】
実施形態I-121。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-120に記載の方法。
【0344】
実施形態I-122。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象における腫瘍の腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0345】
実施形態I-122a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法。
【0346】
実施形態I-122b。腫瘍を有する対象を治療するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法の使用。
【0347】
実施形態I-123。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-122に記載の方法。
【0348】
実施形態I-124。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-122またはI-123に記載の方法。
【0349】
実施形態I-125。対象は、ヒトである、実施形態I-124に記載の方法。
【0350】
実施形態I-126。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Bと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-122~I-125のいずれか1項に記載の方法。
【0351】
実施形態I-127。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-122~I-126のいずれか1項に記載の方法。
【0352】
実施形態I-128。SHP2阻害剤は、化合物Cである、実施形態I-1~I-36、I-49~I-78、I-80~I-94、I-101~I-104、I-107~I-121のいずれか1項に記載の方法。
【0353】
実施形態I-129。SHP2阻害剤は、化合物Cである、実施形態I-37~I-43のいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0354】
実施形態I-130。SHP2阻害剤は、化合物Cである、実施形態I-44~I-48のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0355】
実施形態I-131。腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0356】
実施形態I-131a。腫瘍細胞の成長を阻害する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法。
【0357】
実施形態I-131b。腫瘍細胞の成長を阻害するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法の使用。
【0358】
実施形態I-132。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-131に記載の方法。
【0359】
実施形態I-133。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-131またはI-132に記載の方法。
【0360】
実施形態I-134。対象は、ヒトである、実施形態I-133に記載の方法。
【0361】
実施形態I-135。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-131~I-134のいずれか1項に記載の方法。
【0362】
実施形態I-136。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-131~I-135のいずれか1項に記載の方法。
【0363】
実施形態I-137。腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象における腫瘍の腫瘍細胞をトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法と接触させることを含む、方法。
【0364】
実施形態I-137a。腫瘍を有する対象を治療する方法で使用するトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法。
【0365】
実施形態I-137b。腫瘍を有する対象を治療するための薬剤を製造するためのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法の使用。
【0366】
実施形態I-138。腫瘍細胞は、NSCLC腫瘍由来である、実施形態I-137に記載の方法。
【0367】
実施形態I-139。接触は、対象においてインビボで行われる、実施形態I-137またはI-138に記載の方法。
【0368】
実施形態I-140。対象は、ヒトである、実施形態I-139に記載の方法。
【0369】
実施形態I-141。腫瘍細胞とトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cを含む組合せ療法との接触の結果、腫瘍細胞をそれぞれのトラメチニブ(GSK1120212)および化合物Cと別々に接触させることにより達成できる腫瘍成長の阻害の量に対して単に付加的である以上に腫瘍成長を阻害する、実施形態I-137~I-140のいずれか1項に記載の方法。
【0370】
実施形態I-142。腫瘍細胞の成長は、腫瘍を部分的または完全に退化させる程度に阻害される、実施形態I-137~I-141のいずれか1項に記載の方法。
【0371】
実施形態I-143。有効量のSHP2の阻害剤を投与することを含む、実施形態I-1~I-36およびI-49のいずれか1項に記載の方法。
【0372】
実施形態I-144。細胞を有効量のSHP2の阻害剤と接触させることを含む、実施形態I-50~I-128およびI-131~I-142のいずれか1項に記載の方法。
【0373】
実施形態I-145。有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-37~I-43、I-75a、I-95a、I-101a、I-122a、I-129、I-131a、およびI-137aのいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0374】
実施形態I-146。有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-44~I-48およびI-130のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0375】
実施形態I-147。有効量で使用する、実施形態I-1a、I-2a、I-3a、I-18a、I-24a、I-24c、I-25a、I-25c、I-26a、I-26c、I-27a、I-27c、I-28a、I-28c、I-29a、I-50a、I-51a、およびI-52aのいずれか1項に記載の方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0376】
実施形態I-148。SHP2の阻害剤は、有効量で使用する、実施形態I-1b、I-2b、I-3b、I-18b、I-29b、I-50b、I-51b、I-52bのいずれか1項に記載のSHP2の阻害剤の使用。
【0377】
実施形態I-149。治療有効量のSHP2の阻害剤を投与することを含む、実施形態I-1~I-36およびI-49のいずれか1項に記載の方法。
【0378】
実施形態I-150。細胞を治療有効量のSHP2の阻害剤と接触させることを含む、実施形態I-50~I-128およびI-131~I-142のいずれか1項に記載の方法。
【0379】
実施形態I-151。治療有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-37~I-43、I-75a、I-95a、I-101a、I-122a、I-129、I-131a、およびI-137aのいずれか1項に記載の組合せ療法。
【0380】
実施形態I-152。治療有効量のSHP2の阻害剤を含む、実施形態I-44~I-48およびI-130のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0381】
実施形態I-153。治療有効量で使用する、実施形態I-1a、I-2a、I-3a、I-18a、I-24a、I-24c、I-25a、I-25c、I-26a、I-26c、I-27a、I-27c、I-28a、I-28c、I-29a、I-50a、I-51a、およびI-52aのいずれか1項に記載の方法で使用するSHP2の阻害剤。
【0382】
実施形態I-154。SHP2の阻害剤は、治療有効量で使用する、実施形態I-1b、I-2b、I-3b、I-18b、I-29b、I-50b、I-51b、I-52bのいずれか1項に記載のSHP2の阻害剤の使用。
【実施例
【0383】
本開示は、以下の実施例および合成例によりさらに説明されるが、これは、本開示を、範囲または精神において、本明細書に記載された特定の手順に限定するものとして解釈されるべきではない。本実施例は、ある特定の実施形態を説明するために提供され、これにより本開示の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。方策は、本開示および/または添付の特許請求項の範囲の精神から逸脱することなく当業者に想起されることができる、その多様な他の実施形態、修正および均等物を有することができることを、さらに理解されたい。
【実施例1】
【0384】
SHP2アロステリック阻害剤の、Ras経路変異を含有しKRASへのGTPの再担持に依存するがん細胞に対する作用
目的:
RASへのGTPの再担持に対する細胞依存性を付与するKRAS、NF1およびBRAFにおける別個の変異を含む、Ras経路変異を伴うがん細胞株において、SHP2アロステリック阻害剤、化合物Aまたは化合物Bの、RAS経路活性化および腫瘍細胞成長に対するインビトロおよびインビボの作用を評価した。
【0385】
方法:
3D培養中の細胞生存率を評価するために、対数成長期の細胞を、最適な播種密度で、0.65%メチルセルロースを含有する成長培地に播種した。異なる濃度の試験物質で処置する前に、細胞を終夜インキュベートした。細胞をさらに7日間培養し、細胞生存率を、製造元の指示に従ってCellTiterGlo(商標)(CTG)試薬を使用して評価した。いくつかの事例において、細胞を、3D培養中、スフェロイドとして成長させた。簡潔には、丸底超低接着96ウェルプレート(Corning)中の、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加した成長培地中に、2500細胞/ウェルを播種し、37℃で、5% CO2中、72時間、スフェロイドを形成させた。スフェロイド形成を目視で確認し、スフェロイドを、完全成長培地中、化合物Bの連続3倍希釈で2回処置した(最終DMSO濃度=0.1%)。5日間の薬物曝露に続き、スフェロイド中の細胞生存率を、CellTiter-Gloアッセイキットを使用して判断した。H1838細胞を、12ウェルプレートの1ウェルあたり5×103細胞で播種した。培養の1日後、細胞を試験物質を用いて処置し、試験物質をその後3日毎に補充した。細胞を、対照のウェルが細胞を固定しクリスタルバイオレットで染色するときの培養密度に達するまで、培養中で約10日間維持した。
【0386】
試験物質の、細胞外シグナル関連キナーゼ1および2(ERK1/2)のThr202/Tyr204でのリン酸化(p-ERK)を阻害する能力を判断するため、それぞれの細胞株を、標準の2D培養条件で培養した。細胞を、1ウェルあたり約20×103細胞で播種し、続いて終夜インキュベートし、無血清培地で洗浄した。その後、製造元の指示に従って実施するAlphaLisa SureFire Ultraキットによる細胞溶解物中のpERKレベルのアッセイおよび測定の終了前に、細胞を、0.2% BSAを含有する無血清培地中で試験物質の濃度を増大させながら1時間インキュベートした。
【0387】
小分子の、活性化RAS-GTPアーゼのレベルに対する作用を判断するために、対象の細胞株を、標準の2D培養条件で培養した。細胞を播種し、続いて、ビヒクル(DMSO)または試験物質とともに、37℃で終夜インキュベートした。適切なインキュベーション期間の後、細胞を洗浄し、細胞溶解緩衝液を加えて細胞溶解物を製造した。溶解物中のRas-GTPのレベルを、Raf-RBD(RafのRas結合ドメイン)/GTP-Ras複合体のアフィニティ精製を使用して判断した。1つの手法において、Pierce活性型Rasプルダウンおよび検出キットを使用した。簡潔には、清澄化溶解物(BCAにより定量化された、500μg総タンパク質)を、GST-Raf-RBDとともにプレインキュベートしたグルタチオン樹脂と混合した。混合物をボルテックスし、4℃で1時間、穏やかに振盪させながらインキュベートした。樹脂を溶解緩衝液で3回洗浄し、2X還元サンプル緩衝液を加えることにより、結合したRas-GTPを溶出させた。溶出させたタンパク質を、4~15%トリス-グリシンゲル(BioRad)を使用して、SDS-PAGEにより分離させた。抗Ras抗体(Thermofisher、1:200)およびLicor IRDye-800抗マウス二次抗体(1:20,000)を使用するウエスタンブロットのために、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。Licor Odyssey CLxを、可視化のために使用した。
【0388】
雌のCB.17 SCID(8~12週齢)またはBalb/c(6~8週齢)を使用したNSCLC H358 KRasGs12C異種移植モデルにおける、SHP2阻害剤の、腫瘍細胞成長に対するインビボの作用を評価した。マウスに、50%マトリゲル中のH358腫瘍細胞(SCIDおよびBalb/cマウスについて、それぞれ、1×107および5×106)を、脇腹皮下に移植した。腫瘍が約200mm3の平均サイズに達すると、マウスを処置群へと無作為化し、試験物質またはビヒクル(別段の指示がない限り、10%カプチゾールを含有する50mM酢酸緩衝液、pH4.6)の投与を開始した。体重および腫瘍体積(測径両脚器を使用する)を、試験のエンドポイントまで、隔週で測定した。化合物Aまたは化合物Bを、毎日、強制経口投与により投与した。陽性対照である、5%エタノール、5%クレモフォールEL、5%デキストロースの脱イオン水中のパクリタキセル(30mg/kg iv)を、5日毎に1回投与した。トラメチニブ(0.5%メチルセルロース+0.5% Tween 80中、1mg/kg PO)を、毎日、強制経口投与により投与した。試験のエンドポイントは、対照群における平均腫瘍体積が2000mm3、または22日目の、いずれか早い方と定義した。平均腫瘍体積データは、試験に残ったすべての動物について報告された。
【0389】
類似の方法を使用して、試験物質の膵臓MiaPaca-2 KRasG12C異種移植モデルにおける効能を評価した。Balb/cヌードマウス(6~8週齢)に、50%マトリゲル中の1.35x109 MiaPaca-2腫瘍細胞を、脇腹皮下に移植した。腫瘍が約100~200mm3の平均サイズに達すると、マウスを処置群へと無作為化した。試験物質の投与および試験デザインは、H358異種移植モデルについて上記したとおりである。
【0390】
結果:
KRAS変異細胞株の小パネルにわたり、SHP2阻害剤(化合物A)による3D成長阻害に対して感受性(CTG IC50<10μMとして定義した)とするために、KRASG12C変異の存在を富化した(表3;参考文献1 Crown Bio Project番号E3105-U1609)。
【0391】
【表29】
【0392】
これらの観察と一致し、およびこれらから拡大して、化合物Bは、9/10 KRASG12C株、2/2 KRASG12A株、2/5 KRASG12D株、および、また、2つのKRASG12V株、H441(図2;参考文献2 Crown Bio Project番号E3105-U1703)における成長の強力な阻害剤であった(CTG IC50範囲0.4~7.87μM)。KRASG12C変異細胞株のサブセットにおいて、SHP2阻害剤のRAS-MAPK経路の活性化に対する作用を評価した(図3を参照)。化合物Bは、H358、H1792およびCalu-1細胞において、p-ERK1/2レベルの濃度依存的阻害をもたらした。KRASG12Cをコードする変異遺伝子を含有するこれらの遺伝的特性と一致して、これらの細胞は、GDP結合状態のKRASG12Cのシステイン残基に選択的に結合する、KRAS特異的共有結合的阻害剤ARS-853に対しても感受性である(Patricelliら、2016)。H358細胞におけるSHP2阻害剤のRas活性化に対する作用を、化合物Aを用いて実証した(図4)。化合物Aは、Ras-GTPのレベルにより評価した場合に、p-ERKレベルおよび細胞生存率を関連して濃度依存的に阻害するとともに、Ras活性化を阻害した。KRASのある特定の発癌性G12バリアントが、SHP2媒介性GTP担持に依存してシグナル伝達および細胞成長を維持することを実証する、これらのデータに基づき、RAS経路のシグナル伝達因子における他の発癌性変異も、このような上流のSHP2シグナリングに依存し、そのため、SHP2阻害に感受性であろうと仮定した。
【0393】
その欠失または機能低下によりSHP2シグナリングに感受性を付与するであろう、RAS経路に関与するこのようなタンパク質の1つは、NF1である。NF1は、RAS-GTPの、その不活性型のRAS-GTP形態への加水分解を促進し、それによりRASを不活性化する、RAS-GAPタンパク質である。NF1は腫瘍抑制物質であり、この遺伝子における機能喪失変異は、様々なヒトのがんにおける細胞成長をもたらす、RAS-GTP蓄積および下流シグナリングをもたらす(Nissan、Krauthammer、Redig)。したがって、NF1LOFモデルにおいて、SHP2阻害がRAS経路シグナリングおよび細胞成長を有効に阻止するかどうかを試験した。
【0394】
KRASG12C株における観察と類似して、化合物Aは、H1838 NF1LOF NSCLC細胞においても、Ras-GTPをインビトロで阻害し、p-ERKおよび細胞成長(クリスタルバイオレット染色)を強力に阻害した(図5)。さらに、このことと一致して、3/4 NF1LOF細胞株の増殖は、化合物Bに対して感受性を呈した(図19A~B)。NF1LOF細胞株を製造し、この実施例における上記の実験物質または対照物質で処置し、RAS-GTPおよびpERKレベルを、前述のように測定した。感受性NF1LOF細胞株NCI-H1838(肺、NF1N184fs)およびMeWo(黒色腫、NF1Q1336*)の化合物Bでの処置は、RAS-GTPレベルの下方調節およびpERKの抑制をもたらし(図19C~D)、SHP2阻害が、RAS-GTPの蓄積、および結果として、NF1欠失に起因するRAS/MAPK経路の活性化を減弱させることを実証した。総括すると、これらのデータは、NF1の欠失が、SHP2阻害を介するRAS-GTP担持の阻害を通して標的化することができる、第2のクラスの下流の発癌性変異であることを示す。YUHEF(NF1Q853*/FS-挿入欠失)、黒色腫細胞株におけるSHP2阻害の作用は観察されなかった(図19A~B)。この株のゲノム背景は、RAS/MAPK経路遺伝子において同時に行われ、そのいくつかがSHP2阻害に対する抵抗性を付与することがある変異を含有するがんにおいて、NF1LOF変異が頻繁に同時に行われるという点で、臨床的な黒色腫集団のゲノム背景を反映する{Krauthammer、2015 #2476;Nissan、2014 #2426}。具体的には、YUHEFは、前述のMAPK経路を活性化するヌーナン症候群変異である、3つのSOS1変異およびRAF1P261Lを有する{Kobayashi、2010 #2532;Krauthammer、2015 #2476}。
【0395】
まとめると、これらの結果は、KRASG12C変異細胞株およびNF1機能喪失細胞株において、SHP2阻害剤が、RAS-MAPKシグナリングを減弱させることができ、一方で、成長阻害に対する感受性差が観察されることがあり、おそらく、各細胞株の、Ras経路を介するシグナリングに対する依存性における固有の変動を反映していることを示唆する。
【0396】
NSCLC H358および膵臓MiaPaca-2異種移植モデルにおける、SHP2阻害剤のKRASG12C腫瘍細胞成長に対するインビボの作用を評価した。化合物Aまたは化合物Bの経口投与は、それぞれ、H358異種移植モデルにおいて、インビボで、腫瘍体積の用量依存的低減をもたらした(図6および7)。30mg/kg PO qdの用量の化合物Aでは、腫瘍体積の減少は、公知の非標的化化学療法剤である、比較のパクリタキセルにおける腫瘍体積の減少と類似の規模であった。同様に、SHP2阻害剤化合物Bは、H358 KRASG12CおよびMiaPaca-2 KRASG12C異種移植モデルの両方において、腫瘍体積の用量依存的低減をもたらした(図7および8)。30mg/kg PO qdの用量の化合物Bでは、腫瘍体積の減少は、H358モデルにおけるMEK阻害剤トラメチニブ(1m/kg PO)における腫瘍体積の減少と類似の規模であったが、MiaPaca-2モデルにおけるトラメチニブ(1m/kg PO)よりも大きかった。
【0397】
同様に、化合物Aは、H1838 NF1LOF NSCLC細胞において、インビトロで、p-ERK(図5B)および細胞成長(クリスタルバイオレット染色)(図5C)の強力な阻害剤でもあった。
【0398】
RAS経路を介するシグナリングに関与する別のタンパク質は、セリン/スレオニンキナーゼBRAFであり、BRAFにおける変異は、ヒトのがんにおいて一般的に存在し、これらが結果としてpERKシグナリングを過剰活性化するため、このような変異は発癌性である。3つのクラスの発癌性BRAF変異が報告されている。クラスI変異はV600で行われ、それらのRAS-GTP状態にかかわらず活性である、恒常的に活性なBRAFモノマーをもたらす(Poulikakos、2011)。クラスII変異は、二量体化に依存するが、それらのRAS-GTP状態にかかわらず活性でもある(Yao、2015)。BRAFのクラスIII変異は、RAF二量体およびRAS-GTPの両方に依存する(Yao、2017)。したがって、クラスIおよびクラスI変異は、それらがGTPとは独立にシグナル伝達するため、SHP2阻害に対して不応性であり、対照的に、クラスIII変異はSHP2シグナリングに依存して十分なGTP担持を促進し、これらの変異を含有する細胞は、したがって、SHP2阻害に感受性であろうと仮定する。
【0399】
これらの3つのクラスにおける発癌性BRAF変異を有する細胞株の代表的なパネルを、SHP2阻害に対する感受性について、スクリーニングした。
【0400】
第1に、クラスIBRAF変異がSHP2阻害に対して不応性であることを確認した。機構的フレームワークと一致して、A375細胞において、化合物Bは、増殖ならびにRAS-GTPおよびpERKレベルを抑制することができなかったことが観察された(図13A~C)。類似の結果が、RAS非依存的ホモ二量体形成およびシグナリングを呈するクラスIIBRAF変異を有する細胞株、NCI-H1755(肺、BRAFG469A)(Yao 2015)において、観察された(図13A~C)。とりわけ、化合物Bは、これらの細胞株において、RAS-GTPレベルを阻害しなかった。クラスIおよびクラスII BRAF変異癌タンパク質は、RASの下流に機能するが、強力な、ERK依存性の負のフィードバックを駆動し、RASの上流のRAS-GTP抑制をもたらす。当方のデータは、この抑制が、SHP2阻害に対して非感受性である、例えば抑制がSOS1の直接的な阻害を介して行われる場合などであるか(Corbalan-Garcia、1996;Kamioka、2011)、残りの低レベルのRAS-GTPを当方のアッセイで確実に定量化することができないほど十分に強力であるかのいずれかであることを示唆している。
【0401】
しかし、クラスIII BRAF変異を有する3つの細胞株、NCI-H1666(BRAFG466V/+)、NCI-H508(BRAFG596R/+)およびCal-12T(BRAFG466V/+)において、化合物Bでの処置は、pERKレベル(図13FおよびRAS-GTPレベル(図13E)の両方、ならびに増殖(図13D)を同じように抑制した。これらの結果は、クラスIII BRAF変異が、上流シグナリングおよびRAS-GTPレベルのモジュレーションに対してなお感受性である真のがんドライバーであるという、近年の報告(Yao、2017)と一致する。したがって、クラスIII BRAF変異は、上流のSHP2媒介性RAS-GTP担持の遮断を通して標的化することができる、第3の区分の下流発癌性変異である。
【0402】
化合物Bの細胞作用をより完全に定義するため、細胞周期およびアポトーシスのバイオマーカーを検査した。スフェロイド中の活性化カスパーゼ3/7アッセイ。NCI-H358細胞(肺、KRASG12C)を、丸底超低接着96ウェルプレート(Corning)中の、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加したRPMI培地(Gibco)中に、5,000細胞/ウェルで播種することにより、スフェロイドに成長させた。播種した直後に、細胞を1000RPMで5分間スピンダウンし、37℃で、5% CO2中、5日間インキュベートし、スフェロイド形成させた。スフェロイド形成を、目視で確認した。スフェロイドを、化合物B、スタウロスポリン(Sigma)またはDMSO(Sigma)で3回処置し(最終0.1%)、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加したRPMI培地中で希釈し、37℃で、5% CO2中、20時間インキュベートした。カスパーゼ3/7活性を、製造元の指示に従って、Caspase-Glo 3/7アッセイシステム(Promega)を使用して測定した。Caspase-Glo試薬を加えた後、ウェルの内容物を数回ピペット操作し、室温で、暗所中、45分間インキュベートし、細胞を十分に溶解させた。50μLの溶解物/反応を、乳白色の96ウェル半領域プレート(Perkin Elmer)に移した。蛍光を、EnVisionマルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer)で読み取った。アッセイデータを、Prism7(GraphPad)ソフトウェアを使用してプロットした。
【0403】
NCI-H358細胞(肺、KRASG12C)において、化合物Bでのスフェロイド培養の処置は、頑健なカスパーゼ3/7活性化をもたらし、アポトーシス促進作用を示した(図15)。
【0404】
当方の試験をさらなる臨床的に関連したインビボモデルに拡大するため、患者由来異種移植(PDX)モデルにおいて、化合物B媒介性のSHP2阻害に対する反応を評価した。BRAF変異NSCLCの2つのPDXモデル、LUN023およびLUN037を試験した。LUN023は、前述のクラス3変異BRAFD594Nを有し{Yao、2017 #2432}、一方、LUN037は、既知のクラス3の残基であり確立されたRAS病置換である、BRAFN581Dを有する{Niihori、2006 #2538}。このクラスのRAS/MAPKシグナリングの半自律性のドライバーについて予測されるように、両方のモデルにおいて、化合物Bの毎日の反復経口投与後の用量依存的な腫瘍成長阻害が観察された(図20Aおよび20B)。さらに、化合物Bを、NSCLCの2つのさらなるPDXモデルにおいて試験し、KRASG12C変異を、これらのPDXにおけるSHP2阻害に対する感受性の遺伝子バイオマーカーとして確認し、当方のインビトロおよび細胞株ベースのインビボの知見を立証した(図20C~20D)。
【0405】
概要:
SHP2阻害剤が、すべてではないがいくつかのKRAS変異細胞を阻害することができるという観察は、おそらく、高レベルの活性型GTP結合状態を維持するための、特定のKRAS変異およびその対応するシグナリング入力への依存的なヌクレオチド周期特性の機能である。実際、Patricelliおよび同業者らは、KRASG12Cは、恒常的および完全に活性なタンパク質ではないが、KRASG12Cのヌクレオチド状態は、上流のシグナリング因子によりモジュレートすることができる、動的変動性の状態であることを実証した(Patricelliら、2016)。同様に、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)の機能喪失、例えばNF1LOFを有する細胞において、RASエフェクターに対するシグナリングおよび成長依存性を駆動するRASの活性型GTP結合状態へのシフトがみられる。これらの細胞において、野生型RASは、KRASG12Cに関して、上流シグナリング入力に感受性とさせ、高い活性状態を維持させる、ヌクレオチド周期を経験する。加えて、BRAFにおけるクラス3変異を獲得した細胞は、RAS-GTPに、および、したがって、上流シグナリング因子に対してなお依存的である様式で、高いpERKシグナリングを駆動する。KRASG12C、NF1LOFおよびBRAFクラス3細胞株のSHP2アロステリック阻害剤に対する感受性は、阻害剤による、これらの上流因子のモジュレーション、および、したがって、変異/WT RASのヌクレオチド状態を反映している。
【実施例2】
【0406】
SHPアロステリック阻害剤の、MAPK経路阻害剤への腫瘍抵抗性の処置または阻止に対する作用
目的:SHP2アロステリック阻害剤、化合物Aまたは化合物Bの、MEK阻害に起因するフィードバック駆動型RAS経路活性化に対する作用を、KRASにおける別個の変異およびNF1LOFのようなRASのヌクレオチド周期をモジュレートする他の変異を含む、様々ながん細胞株において評価した。
【0407】
方法:
試験物質のリン酸化RTKのレベルに対する作用を判断するため、MDA-MB231細胞を6ウェルプレートに播種し、完全成長培地中で終夜インキュベートした。細胞をセルメチニブ(5μM)または化合物A(1および5μM)で24時間処置するか、または未処置のままとした(DMSO対照)。溶解物を、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含め、キット(Phospho-RTK Array;R&D systems)とともに提供される溶解緩衝液を使用して生成した。タンパク質濃度を調整するため、総タンパク質濃度を、BCA試薬キットを使用して定量化した。ホスホ-RTKのレベルを、製造元の指示に従って判断した。
【0408】
小分子の、活性化RAS-GTPアーゼのレベルに対する作用を判断するために、対象の細胞株を、標準の2D培養条件で培養した。細胞を播種し、続いて、ビヒクル(DMSO)または試験物質とともに、37℃で終夜インキュベートした。適切なインキュベーション期間の後、細胞を洗浄し、細胞溶解緩衝液を加えて細胞溶解物を製造した。溶解物中のRas-GTPのレベルを、Raf-RBD(RafのRas結合ドメイン)/GTP-Ras複合体のアフィニティ精製を使用して判断した。1つの手法において、Pierce活性型Rasプルダウンおよび検出キットを使用した。簡潔には、清澄化溶解物(BCAにより定量化された、500μg総タンパク質)を、GST-Raf-RBDとともにプレインキュベートしたグルタチオン樹脂と混合した。混合物をボルテックスし、4℃で1時間、穏やかに振盪させながらインキュベートした。樹脂を溶解緩衝液で3回洗浄し、2X還元サンプル緩衝液を加えることにより、結合したRas-GTPを溶出させた。溶出させたタンパク質を、4~15%トリス-グリシンゲル(BioRad)を使用して、SDS-PAGEにより分離させた。抗Ras抗体(Thermofisher、1:200)およびLicor IRDye-800抗マウス二次抗体(1:20,000)を使用するウエスタンブロットのために、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。Licor Odyssey CLxを、可視化のために使用した。
【0409】
結果:
これらのリン酸化状態から読み取れるように(図9)、SHP2阻害剤がRTKのフィードバック再活性化を阻止することができるという観察は、RAS上流のSHP2の阻害が、RAS/MAPK経路の恒常的な調節を、RAS下流のMEK阻害と同一の方法で妨害しないことを実証している。この原理と一致して、MEK阻害剤にSHP2阻害剤を加えることにより、MEK阻害剤処置に端を発するフィードバック駆動型のRAS-GTPの蓄積を抑制した(図10~11)。RAS-GTPの蓄積により、主要ながん細胞が標的治療(すなわち、MEK阻害剤)への抵抗性を発現させると仮定される場合、これらのデータは、SHP2阻害剤をがん患者へと展開してRAS/MAPK経路阻害剤への腫瘍抵抗性を処置または阻止することができるという概念を支持するものである。
【実施例3】
【0410】
SHP2阻害剤(化合物B)の、SHP2リン酸化に対する作用
目的:アロステリック阻害剤を用いるSHP2の阻害が、SHP2のC末端鎖(Tyr-542およびTyr-580)のチロシンリン酸化を阻止するかどうかを判断した。
【0411】
背景:
SHP2のC末端鎖(Tyr-542およびTyr-580)のチロシンリン酸化は、調節的および機能的帰結の両方を有すると提唱されている。初期の研究では、SHP2は、成長因子刺激後のチロシンリン酸化を介するGrb2-SOSとの相互作用を介してRasへPDGFRβを連結するための、足場タンパク質として働くと提唱された(Bennett、1994)。しかし、Grb2が細胞状況においてpY542またはpY580に結合するかどうか、およびこの相互作用がY542/580リン酸化の主な機能的帰結であるかどうかは、なお議論の余地がある。Luら(2001)は、これらの部位にリン酸化チロシン模倣物を使用し、リン酸化が、おそらくSH2ドメインとの分子内相互作用を通して、SHP2 PTPアーゼ活性を増大させることを示した。このことは、これらの残基のリン酸化が、足場よりもむしろ酵素活性に対して、大きく貢献することができることを示唆する。後続の研究により、マウス線維芽細胞におけるチロシンリン酸化についての成長因子特異性(PDGF、FGF、しかしEGFはそうではない)が特定され、Y580リン酸化が、Y542のリン酸化の後に行われ、およびそれに依存しているとも結論づけられた(Arakiら、2003)。この観察により、著者らは、「閉鎖状態」において、Y580は、Y542のリン酸化により誘発される立体構造変化が行われるまで、リン酸化されにくいと仮定するに至った。彼らは、p-Y542が、線維芽細胞における主なGrb2結合部位であるとも提唱した。FRETを使用した総括的研究により、p-Y542/580がSHP2 SH2ドメインと相互作用し、Y580リン酸化がY542のリン酸化に依存していることが確証された(Sunら、2013)。この試験により、Y580を、MEFにおけるGrb2のおそらく主要な結合部位であると特定した。これらの観察に基づき、SHP2 pY542は、この残基のリン酸化がRTKシグナリングに反応して行われるため、BRAF阻害剤へのRTK駆動型抵抗性を特定するためのバイオマーカーとして使用されている(Prahallad、2015)。
【0412】
方法:
細胞(MEF、HEK 293E、H358)を、低血清(0.1% FBS)培地中、750,000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種し、終夜成長させた。細胞を、DMSO(0.05%)または化合物B(5μM)のいずれかとともに、1時間インキュベートした。細胞を50ng/mLのEGFまたはPDGFで5分間刺激し、冷却したPBSで洗浄し、150μLの溶解緩衝液(Thermo 番号1862301)をHaltプロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤(Thermo 番号78440)とともに加えた。細胞を掻き取り、冷却したエッペンドルフチューブに移し、10秒間ボルテックスした。溶解物を、4℃で15分間、13,000rpmでスピンし、新しいチューブに移した。溶解タンパク質濃度を、BCAアッセイを使用して評価した。溶解物(30μg/レーン)を4~15%トリスグリシンゲル上に走らせ、iBlot2を使用してニトロセルロース膜へ移した。Cell Signaling Technologiesのホスホ-SHP2抗体を使用してウエスタンブロットを実施し;pY542(番号3751)およびpY580(番号3703)を、5% BSAのTBS中で、1:1000希釈で両方使用した。膜を、一次抗体とともに、4℃で終夜、穏やかに振盪させながらインキュベートした。ベータアクチン抗体(Cell Signaling Technologies 番号8457、1:2000)を、ローディング対照として使用した。二次抗体(Licor IRDye 800 CW 抗ウサギ)を、5% BSAのTBS中で、1:20000希釈で、1時間、室温で振動させながら使用した。ブロットを、Licor Odyssey Clx Imagerを使用して可視化した。
【0413】
結果:
これらの実験は、成長因子に反応したTyr-542およびTyr-580のリン酸化の増大を示す。文献と一致して、リン酸化は、MEFにおいてPDGFにより刺激されたが、EGFでは刺激されなかった。逆に、MAPKシグナリングが主にEGFにより刺激される(データは示されていない)HEK293およびH358細胞においては、EGFでのリン酸化が観察されたが、PDGFでは観察されなかった。これらの結果は、SHP2 Y542/Y580リン酸化の成長因子特異性は、細胞株依存性であることを示唆する。SHP2の自己阻害的な閉鎖構造を安定化するアロステリック阻害剤である化合物Bでのこれらの細胞の処置は、Y580の全体のリン酸化レベルを低減させたが、Y542では低減させなかった。この観察は、Arakiら(2003)により提唱された仮説と合致するものであり;Y580は「閉鎖状態」において、リン酸化から遮断される。化合物Bは、この「閉鎖状態」を安定化し、この部位でのリン酸化を阻止すると仮定した。化合物Bを用いたY580のリン酸化阻害による細胞の機能的帰結が、Grb2結合の減弱またはSHP2 PTPアーゼ活性の減少につながるかどうかは、現在不明である。しかし、総括的に見ると、本観察は、Y580のリン酸化の阻害が、化合物Bまたは他のアロステリックSHP2阻害剤の、細胞中の標的会合のマーカーとして役立つことができることを示唆する。さらに、本観察は、pY580レベル/依存性により、化合物Bまたは別のSHP2阻害剤に対する感受性を予測することができることを示唆する。
【0414】
実施例3 参考文献:
Araki,T、Nawa,H、およびNeel,BG.(2003) J.Biol.Chem.278、41677~41684頁。
Bennet,AM、Tang,TL、Sugimoto,S、Walsh,CT、およびNeel BG.(1994).PNAS、91、7335~7339頁。
Lu,W、Gong,D、Bar-Sagi,D、およびCole,PA.(2001).Mol.Cell、8、759~769頁。
Prahallad,A.、Bernards,R.ら(2015).Cell Rep.、12、1978~1985頁。
Sun,J.、Lu,S.、Lin,L.、Zhuo,Y.、Liu,B.、Chien,S.、Neel,B.G.、およびWang,Y(2013).Nat. Comm.4:2037、DOI10.1038/ncomms3037。
【実施例4】
【0415】
SHP2アロステリック阻害アッセイ
目的:化合物A、BおよびCでのSHP2活性の阻害を実証すること。
【0416】
理論に拘束されることを望むものではないが、SHPは、ビス-チロシル-リン酸化ペプチドの、そのSrc相同2(SH2)ドメインへの結合を通して、アロステリックに活性化する。後半の活性化工程は、SHP2の自己阻害的な境界面の解除をもたらし、次に、SHP2タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)を活性とし、基質認識および反応触媒を可能とさせる。SHP2の触媒活性を、迅速蛍光アッセイ形式で、代替基質であるDiFMUPを使用して、モニタリングした。
【0417】
ホスファターゼ反応を、室温で、96ウェルの黒色ポリスチレンプレート、平底、非結合表面(Corning、カタログ番号3650)中、100μLの最終反応体積および以下のアッセイ緩衝液条件:50mM HEPES、pH7.2、100mM NaCl、0.5mM EDTA、0.05% P-20、1mM DTTを使用して、実施した。
【0418】
化合物A、化合物Bおよび化合物CによるSHP2の阻害を、0.2nMのSHP2を0.5μMの活性化ペプチド1(配列:H2N-LN(pY)IDLDLV(dPEG8)LST(pY)ASINFQK-アミド)または活性化ペプチド2(配列:H2N-LN(pY)AQLWHA(dPEG8)LTI(pY)ATIRRF-アミド)とともにインキュベートしたアッセイを使用して、モニタリングした。25℃での30~60分間のインキュベーション後、代替基質DiFMUP(Invitrogen、カタログ番号D6567)を反応物に加え、活性を、マイクロプレートリーダー(Envision、Perkin-ElmerまたはSpectramax M5、Molecular Devices)を使用した動的読み取りにより判断した。励起および発光波長は、それぞれ、340nmおよび450nmであった。初速度をデータの線形適合から判断し、阻害用量反応曲線を、対照ベースの正規化と適合した、正規化されたIC50回帰曲線を使用して分析した。
【0419】
上記のプロトコルを使用して、化合物A、化合物Bおよび化合物CによるSHP2阻害を、表4に示す。
【0420】
【表30】
【実施例5】
【0421】
SHP2依存的なRAS-GTP担持の阻害は、SOS1の恒常的活性化により救済されることがある
目的:
RAS-GTP担持に対してなお依存的である、複数のクラスのRAS/MAPK経路癌タンパク質を、SHP2阻害を介して標的化することができるという当方の知見に照らして、SHP2依存的なRAS-GTPのモジュレーションが、核RAS調節プロセスの妨害を介するものであるかどうかを求めた。
【0422】
方法:
SOS-WTおよびSOS-F発現構築物
N末端HAタグ化SOS-WTおよびSOS-F構築物を合成し(Atum)、以下のプライマー:SOS1-HA-For 5’- ACAGGTAAGCTTATGTACCCATACGATGTTCCAGATTAC-3’、SOS1-HA-REV 5’- AGACTAGCGGCCGCTCAGGAAGAATGGGCATTCTCCAA-3’、およびSOS-F-HA-REV 5’- GATCGAGCGGCCGCTCAGGAGAGCACACACTTGCAG-3’を使用して、pcDNA5/FRT/TOベクター(ThermoFisher)にサブクローニングした。SOS-WTおよびSOS-Fプラスミドを、製造元のプロトコルに従って、pOG44 Flpリコンビナーゼ発現ベクター(ThermoFisher)を用いて、HEK Flp-In T-Rex 293細胞株中に同時にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、薬物培地(200μg/mLハイグロマイシンB、15μg/mLブラストサイジン)中で選択し、SOS構築物の発現をウエスタンブロットにより検証した(SOS-1;Cell Signaling Technologies 番号5890;HA: Sigma 11867423001)。
【0423】
HEK-293 SOS-WTおよびSOS-FのpERK分析
1ウェルあたり30,000個のHEK-293細胞を、0.1%ウシ胎児血清、0.02%ウシ血清アルブミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加したビオチン不含RPMI(Hyclone)中、96ウェルプレートに播種した。SOS1構築物の発現を、24時間、0.1μg/mLドキシサイクリン(Sigma)を加えることにより誘導した。細胞を、1時間、0.02%ウシ血清アルブミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加したビオチン不含培地中に希釈した、化合物Bの連続3倍希釈で処置した(最終DMSO濃度は0.1%と等しい)。薬物処置の最終の5分間、細胞を50ng/mL EGF(Sigma)で刺激し、溶解させ、上記のようにERK1/2リン酸化分析に供した。
【0424】
結果:
第1に、分子的に定義されたがん細胞株の遺伝的依存性を試験するため、数百の細胞株にわたる数千の遺伝子を体系的に用いた、近年公開されたProject DRIVE(McDonald、2017)からのデータを調査した。多数の独立した実験にわたり、共通の機能モジュールの一員のノックダウンにより反応の類似のパターンが得られる傾向があるため、ハイスループット遺伝子ノックダウン実験から機能モジュールを特定する1つの方法は、完全なデータセットにわたり、すべての可能性のある遺伝子対の表現型相関を検査することである。仮説駆動型手法をとり、RTKまたはRAS経路シグナリングに関与する23種の遺伝子についてデータを得て、相関マトリックスを計算した(図14A)。2つの機能モジュールは、容易に明らかであり、MAPKシグナルが、活性化RASの下流および活性化RASの上流のRTK/収束ノードモジュールを中継する。特に留意すべきことに、PTPN11(SHP2)に最も密接に相関したノックダウンは、GEFタンパク質SOS1(cc=0.51)、およびRTKと連結してSOS1媒介性のRASのGTP担持を行うアダプタータンパク質GRB2(cc=0.40)である。事実、Project DRIVEデータセットにおけるすべての7,837の遺伝子にわたり、SOS1およびGRB2は、PTPN11に最も密接に関連した遺伝子ノックダウンである(データは示されていない)。この分析は、SHP2が、SOS1およびGRB2を含有する核RAS調節モジュールの要員であることを暗示する。したがって、化合物Bは、RASのGTP担持に必要とされるSHP2/SOS1/GRB2モジュールを妨害することによりRAS-GTPを下方調節すると仮定した。
【0425】
この仮説を試験するため、第1に、SOS1の優勢で恒常的に活性な変異型が、細胞を、pERKシグナリングの化合物B媒介性抑制に非感受性とすることができるかどうかを求めた。実際、HEK293細胞において、そのC末端がHRASファルネシル化モチーフと融合して、恒常的にタンパク質を原形質膜へと標的化するSOS1変異体である、SOS-Fの誘導性発現(Aronheim、1994)は、pERKシグナリングをEGF刺激およびSHP2阻害に対して非感受性にする(図14B図14C)。これらのデータは、SHP2阻害の抑制作用が恒常的SOS1活性化によりバイパスされることがあり、したがって、SOS1はPTPN11/SHP2の下流に(または並行して)機能することを示す。これらの知見についての1つの許容可能な説明は、SHP2阻害はSOS1の原形質膜局在化および活性化を妨害することができるということである。
【0426】
概要
新規のアロステリックSHP2阻害剤化合物Bを発見し、これおよび他のSHP2阻害剤を使用して、RAS経路に変異を有する腫瘍におけるSHP2依存性の分子マーカーを探索した。腫瘍細胞においてSHP2阻害に感受性を付与するKRASG12C、NF1LOFおよびBRAFクラスIII変異の特定により、SHP2阻害が、診療所において現在の処置が概して有効でないこれらの発癌性ドライバーを有する腫瘍に対する、新規かつ有望な治療戦略として確立された。
【0427】
NSCLCでは、これらの半自律性のドライバー変異が高頻度で観察され:KRASG12C、NF1LOFおよびBRAFクラスIII変異は、全体として、毎年、米国におけるすべての事例の約3%に現れる。重要なことに、これらの分子サブタイプについて承認された標的治療が存在しないため、これらの変異を有するがん患者は、医療を全く十分に受けられていない。本明細書に示されるデータは、SHP2阻害剤がこれらの変異を臨床的に実用的なものとし、患者の予後を改善することができる刺激的な可能性を上昇させる。
【0428】
当方のデータは、SHP2が複数のRTKの下流の収束シグナリングノードであるだけでなく、代わりに、発癌性RAS活性化の不可欠な調節因子であることを示す。重要なことに、多数の腫瘍は、発癌性「ドライバー」変異が明らかに正規の経路におけるSHP2の下流にあるときでさえ、SHP2阻害に対してなお感受性である。SHP2とSOS1およびGRB2との関連により、RAS-GTPレベルの調節におけるSHP2の精密な役割についての機構的文脈がもたらされ、アロステリック阻害剤のこの機能モジュールに対する影響に関する明らかな仮説が示される。
【0429】
KRASG12C、NF1LOFおよびBRAFクラスIII変異のSHP2媒介性上流シグナルに対する保存された依存性は、RAS経路発癌ドライバーのある特定の変異型が、RAS-GTPおよび経路の出力を調節する恒常性維持機構を、バイパスするのではなく増幅させることを示唆する。このことは、RAS癌遺伝子が「オン状態」のGTP結合状態に恒常的に固定されてシグナリングおよびがんを駆動させるという共通の仮定に反するものであり、ある特定の発癌性変異が、完全自律的ではなく半自律的ながんのドライバーであるというフレームワークと一致するものである。より広くは、当方の試験は、発癌性RASシグナリングの潜在的な特性および予期しない治療機能を明らかにするための、選択的かつ強力な薬学的プローブを実現する力を強調する。
【実施例6】
【0430】
SHP2アロステリック阻害剤(化合物B)の、単独およびMEK阻害剤トラメチニブとの組合せにおける、インビトロの腫瘍細胞成長に対する作用
目的:ヒト非小細胞肺がん細胞株CALU-1およびNCI-H358由来の腫瘍細胞における、SHP2アロステリック阻害剤化合物B単独およびトラメチニブとの組合せにおける、インビトロの効能を評価すること。
【0431】
方法:
細胞を、3D培養中、スフェロイドとして成長させた。簡潔には、丸底超低接着96ウェルプレート(Corning)中の、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを追加した成長培地中に、2500細胞/ウェルを播種し、5% CO2中、37℃で、72時間、スフェロイドを形成させた。スフェロイド形成を目視で確認し、スフェロイドを、完全成長培地中、化合物Bの連続3倍希釈で2回処置した(最終DMSO濃度=0.1%)。5日間の薬物曝露に続き、スフェロイド中の細胞生存率を、CellTiter-Gloアッセイキット(Promega)を使用して判断した。
【0432】
結果:
図16Aおよび16Cに示されるように、CALU-1 NSCLCおよびH358 NSCLC腫瘍細胞成長の用量依存的阻害は、SHP2およびMEK阻害剤の各々での処置により達成された。さらに、MEK阻害と組み合わせたSHP2阻害は、試験された細胞(CALU-1 NSCLC腫瘍細胞およびH358 NSCLC腫瘍細胞)の各々において、相乗的な腫瘍成長阻害をもたらした。例えば、図16Bおよび16Dは、それぞれ、図16Aおよび16Cからのデータの加法性のLoeweモデルの適合を示し、陽性範囲(青色でマッピングされている)の数は、相乗効果を示す。
【実施例7】
【0433】
SHP2アロステリック阻害剤(化合物B)の、単独およびMEK阻害剤トラメチニブとの組合せにおける、インビボの腫瘍細胞成長に対する作用
目的:ヌードマウスのヒト非小細胞肺がん細胞株NCI-H358異種移植モデルにおける、SHP2アロステリック阻害剤化合物B単独およびトラメチニブとの組合せにおける、経口投与に続く効能を評価すること。
【0434】
方法:
雌の胸腺欠損ヌードマウス(6~8週齢)を使用したNSCLC H358異種移植モデルにおける、SHP2阻害剤の、腫瘍細胞成長に対するインビボの作用を評価した。マウスに、50%マトリゲル中のH358腫瘍細胞(1x107細胞/動物)を、脇腹皮下に移植した。腫瘍が約200mm3の平均サイズに達すると、マウスを処置群へと無作為化し、試験物質またはビヒクル(別段の指示がない限り、10%カプチゾールを含有する50mM酢酸緩衝液、pH4.6)の投与を開始した。トラメチニブを、0.5%メチルセルロース+0.5% Tween 80の溶液中で製剤化した。体重および腫瘍体積(測径両脚器を使用する)を、試験のエンドポイントまで、1日おきに測定した。化合物を、表5に記載のスケジュールに従って、強制経口投与により投与した。
【0435】
【表31】
【0436】
試験のエンドポイントも、表5に示す。平均腫瘍体積データは、試験に残ったすべての動物について報告された。
【0437】
結果:
図17は、ヒト非小細胞肺がんのNCI-H358モデルにおける、10および30mg/kg POの化合物B(それぞれ、腫瘍成長阻害、TGI=54、79%)、ならびに1mg/kgのトラメチニブ(TGI=79%)の、毎日の反復投与の効能を示す。両方の用量の化合物Bおよびトラメチニブは、単剤として、ビヒクル対照と比較して、有意な腫瘍成長阻害を引き起こした。化合物Bでの10および30mg/kgの処置で観察された効能は、NCI-H358異種移植モデルにおいて実施例1において報告された以前のデータ(図7)を再現するものであったことに留意されたい。
【0438】
Graphpad Prismソフトウェアでの事後のTukey法による多重比較に加え、腫瘍体積の通常の一元配置ANOVAにより評価すると、1mg/kgのトラメチニブおよび10mg/kgの化合物Bの組合せは、平均36%の腫瘍退化をもたらし、30mg/kgの化合物Bと組み合わせた同一の用量のトラメチニブは、平均71%の腫瘍退化をもたらし、それぞれ、**p=0.001、***p<0.0001であった。30mg/kgの化合物Bおよび1mg/kgのトラメチニブを投与された10匹の動物のうち3匹は、30日目に存続する腫瘍の完全退化を達成した。
【0439】
図18:体重により評価すると、投与の最終日に体重が>20%減少し、人道的理由から安楽死させられた1mg/kgトラメチニブと組み合わせた30mg/kg化合物B群の1匹の動物を除き、すべてのレジメンは、試験期間中、忍容性良好であった。
【0440】
結論:
化合物Bは、NCI-H358非小細胞肺がん異種移植モデルにおいて、10mg/kg、毎日および30mg/kg、毎日の経口投与に続く、統計学的に有意な、生物学的に有意な、および用量依存的な効能を呈した。トラメチニブも、このモデルにおいて、臨床的に関連すると以前に予測されていた用量レベルである1mg/kgで、効能を呈した。重要なことに、この用量のトラメチニブと組み合わせた両方の用量の化合物Bは、忍容性であり、有意な腫瘍退化を引き起こし、そのうちのいくつかは完全退化であった。
【実施例8】
【0441】
SHP2アロステリック阻害剤(化合物C)の、単独およびMEK阻害剤トラメチニブとの組合せにおける、インビボの腫瘍細胞成長に対する作用
目的:ヌードマウスの、ヒト非小細胞肺がんNCI-H358異種移植モデル(トラメチニブ、コビメチニブ、ウリキセルチニブ)、またはヒト膵臓癌MIA-Pa-Ca-2異種移植モデル(アベマシクリブ)における、SHP2アロステリック阻害剤化合物C単独ならびにトラメチニブ(MEK阻害剤)、コビメチニブ(MEK阻害剤)、ウリキセルチニブ(ERK阻害剤)およびアベマシクリブ(CDK4/6阻害剤)との組合せにおける、経口投与に続く効能を評価すること。
【0442】
方法:
試験物質およびビヒクル製剤が(50mMクエン酸ナトリウム緩衝液中、2% HPMC E-50、0.5% Tween 80、pH4.0)±阻害剤化合物であったことを除いて実施例1において上記したように、NSCLC H358 KRasG12CおよびMIA-Pa-Ca-2異種移植モデルにおいて、別のSHP2阻害剤(化合物C)の、単独療法としての、または様々なRas経路阻害剤との組合せ療法としての、腫瘍細胞成長に対するインビボの作用を評価した。前の通りに、体重および腫瘍体積(測径両脚器を使用する)を、試験のエンドポイントまで、隔週で測定した。試験化合物またはビヒクル対照を、毎日、強制経口投与により投与した。試験のエンドポイントは、対照群における平均腫瘍体積が2000mm3、または投与後22日目の、いずれか早い方と定義した。平均腫瘍体積データは、試験に残ったすべての動物について報告された。
【0443】
結果:
図21は、ヒト非小細胞肺がんのH358 KRasG12Cモデルにおける、Ras経路阻害剤の同時投与を伴うかまたは伴わない、10mg/kg POの化合物C(「Cmp C」)の毎日の反復投与の効能を示す。図21Aおよび21Bは、化合物Cおよびトラメチニブ試験を示し;図21Cおよび21Dは、化合物Cおよびコビメチニブ試験を示し;ならびに図21Eおよび21Fは、化合物Cおよびウリキセルチニブ試験を示す。化合物C(図21A、21Cおよび21E)、トラメチニブ(図21A)、コビメチニブ(図21C)およびウリキセルチニブ(図21E)の各々は、単剤として、ビヒクル対照と比較して、有意な腫瘍成長阻害を引き起こした。化合物Cでの10mg/kgの処置で観察された効能は、以前のNCI-H358異種移植モデルにおいて、実施例1において化合物Aおよび化合物Bを用いて報告されたデータ(図7)ならびに実施例7において化合物Bを用いて報告されたデータ(図17)を再現するものであったことに留意されたい。
【0444】
Graphpad Prismソフトウェアでの事後のTukey法による多重比較に加え、腫瘍体積の通常の一元配置ANOVAにより評価すると、1mg/kgのトラメチニブおよび10mg/kgの化合物Cの組合せは、腫瘍退化の有意な増大(***p<0.0005)をもたらした(図21A)。
【0445】
同様に、Graphpad Prismソフトウェアでの事後のTukey法による多重比較に加え、腫瘍体積の通常の一元配置ANOVAにより評価すると、2.5mg/kgのコビメチニブと10mg/kgの化合物C(図21C)ならびに100mg/kgのウリキセルチニブと10mg/kgの化合物C(図21E)の組合せの各々は、腫瘍退化の有意な増大(***p<0.0005)をもたらした。
【0446】
図22は、ヒト膵癌MIA-Pa-Ca-2異種移植モデルにおける、50mg/kgのアベマシクリブの同時投与を伴うかまたは伴わない、30mg/kg POの化合物Cの、毎日の反復投与の効能を示す。化合物Cおよびアベマシクリブの各々は、単剤として、ビヒクル対照と比較して、有意な腫瘍成長阻害を引き起こした(図22A)。さらに、Graphpad Prismソフトウェアでの事後のTukey法による多重比較に加え、腫瘍体積の通常の一元配置ANOVAにより評価すると、50mg/kgのアベマシクリブおよび30mg/kgの化合物Cの組合せは、腫瘍退化の有意な増大(***p<0.0005)をもたらした(図22A)。
【0447】
体重により評価すると、すべてのレジメンは、試験期間中、忍容性良好であった(図21B、21D、21Fおよび22B)。
【0448】
結論:
化合物AおよびBのように、化合物Cは、NCI-H358非小細胞肺がんおよびMIA-Pa-Ca-2異種移植モデルにおいて、10mg/kg、毎日および30mg/kg、毎日の経口投与に続く、統計学的に有意な、生物学的に有意な、および用量依存的な効能を呈した。臨床的に関連する用量である、それぞれ2.5、100および50mg/kgのコビメチニブ、ウリキセルチニブおよびアベマシクリブと同じく、トラメチニブも、このモデルにおいて、臨床的に関連すると以前に予測されていた用量レベルである1mg/kgで、効能を呈した。
【0449】
重要なことに、すべての事例において、他のRas経路阻害剤の用量と組み合わせた化合物C SHP2阻害剤の用量は、忍容性であり、有意な腫瘍退化を引き起こし、そのうちのいくつかは完全退化であった。
【0450】
均等物
本発明は、上記の特定の実施形態と併せて記載されているが、その多数の代替形態、修正形態および他の変形形態は当業者に明白である。すべてのこのような代替形態、修正形態および変形形態が、本発明の精神および範囲に含まれることが意図されている。本明細書で参照されている、および/または出願データシートに列挙されている、すべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、それらの全体を参照によって本明細書に組み入れる。様々な特許、出願および刊行物の概念を採用して、なおさらなる実施形態を提供することが必要な場合には、実施形態の態様を修正することができる。上記の詳細な説明に照らして、これらのおよび他の変更を実施形態に対して行うことができる。概して、添付の特許請求の範囲において、使用されている用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲において開示されている特定の実施形態に制限するものと解釈されるべきでなく、このような特許請求の範囲により権利が与えられるすべての範囲の均等物に加えてすべての可能な実施形態を含むものとして解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、上記の開示に限定されない。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図13
図14-1】
図14-2】
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図18
図19
図20
図21
図22