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特許7356416二環式ペプチドオリゴヌクレオチドコンジュゲート
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  • 特許-二環式ペプチドオリゴヌクレオチドコンジュゲート 図1
  • 特許-二環式ペプチドオリゴヌクレオチドコンジュゲート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】二環式ペプチドオリゴヌクレオチドコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/65 20170101AFI20230927BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230927BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20230927BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61K47/65
A61K31/7088
A61P31/12
A61P31/04
A61P21/00
A61P31/16
C07K7/08 ZNA
C07K7/06
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020521444
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 US2018056178
(87)【国際公開番号】W WO2019079367
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】62/573,473
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501237039
【氏名又は名称】サレプタ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ, ジャスティン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ファドゼン, コリン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホールデン, レベッカ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, ガンナー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ペンテルート, ブラッドリー エル.
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/187425(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化56】

または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
A’は、-NHCHC(O)NH、-N(C1~6-アルキル)CHC(O)NH
【化57】

から選択され、式中、
は、-C(O)(O-アルキル)-OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、C2~6-アルキルであるか、またはRは、-C(O)C1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C1~6-アルキル)R、-(C1~6-へテロアルキル)-R、アリール-R、ヘテロアリール-R、-C(O)O-(C1~6-アルキル)-R、-C(O)O-アリール-R、-C(O)O-ヘテロアリール-R、および
【化58】

から選択され、
式中、Rは、OH、SHおよびNHから選択されるか、またはRは、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SもしくはNHであり、
各Rは、OHおよび-NRから独立して選択され、各RおよびRは、各出現において独立して、-C1~6-アルキルであり、
各Rは、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基から独立して選択され、前記核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
E’は、H、-C1~6-アルキル、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化59】

から選択され、式中、
Qは、-C(O)(CHC(O)-または-C(O)(CH(CHC(O)-であり、
は、-(CHOC(O)N(Rであり、Rは、-(CHNHC(=NH)NHであり、
Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH1~6C(O)であり、
tは、4~16であり、
各Jは、独立して、システインおよびアルギニンから選択され、
3または4個のは、システインであり、
a)3つのJがシステインである場合には、前記硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化61】

を形成し、それにより、前記アミノ酸が二環式構造を形成するか、または
b)4つのJがシステインである場合には、前記硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化62】

の2回の出現を形成し、それにより、前記アミノ酸が二環式構造を形成し、
式中、dは、であり、Mは、
【化63】

から選択され、
式中、各R10は、各出現において独立して、Hまたはハロゲンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
下記の条件の少なくとも1つが真である:
1)A’は、
【化64】

であるか、または2)E’は、
【化65】

である、
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
A’が、-N(C1~6-アルキル)CHC(O)NH
【化66】

から選択される、請求項1に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
E’が、H、-C(O)CH、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチル、および
【化67】

から選択される、請求項1から2のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
前記式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、
【化68】

から選択されるペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートであり、式中、E’は、H、C1~6-アルキル、-C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される、請求項1に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
式(Ia)のものである、請求項4に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
式(Ib)のものである、請求項4に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
各R10が、フッ素である、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
Mが、
【化69】

である、請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
3個のJ基が、システインである、請求項1からのいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
4個のJ基が、システインである、請求項1からのいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
各Rが、N(CHである、請求項1から10のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
各Rが、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基である、請求項1から11のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
Lが、-C(O)(CH1~6-トリアゾール-(CH1~6C(O)-である、請求項1から12のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
Lが、
【化70】

である、請求項1から13のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
Gが、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
Gが、Hである、請求項1から15のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
以下:
【化71】

が、
【化72】

から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩であって、
式中、Rは、アルギニンであり、Cは、システインであり、
Gは、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、Gは、前記ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している、
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
以下:
【化73】

から選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩であって、
式中、
Gは、Hまたは-C(O)CHであり、Gは、前記ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合しており、
Cは、システインであり、
Rは、アルギニンであり、
は、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基であり、
zは、8~40である、
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項20】
筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症の処置を必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物、もしくは薬学的に許容されるその塩を含む組成物、または請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記筋疾患が、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ウイルス感染症が、マールブルグウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルスおよびデングウイルスからなる群より選択されるウイルスによって引き起こされる、請求項20に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月17日に出願された米国仮出願第62/573,473号の優先権を主張するものであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アンチセンス技術は、選択的スプライス産物を含む1つまたは複数の特異的な遺伝子産物の発現をモジュレートするための手段を提供し、いくつかの治療的、診断的および研究適用において独自に有用である。アンチセンス技術の背後にある原理は、標的核酸とハイブリダイズするアンチセンス化合物、例えばオリゴヌクレオチドが、いくつかのアンチセンス機構のいずれか1つを通して、転写、スプライシングまたは翻訳等の遺伝子発現活性をモジュレートすることである。アンチセンス化合物の配列特異性は、それらを、標的検証および遺伝子機能化のためのツール、ならびに疾患に関与する遺伝子の発現を選択的にモジュレートするための治療薬として、魅力的なものにする。
【0003】
アンチセンス技術の分野においては著しい進歩が為されてきたが、当該技術分野において、改善されたアンチセンスまたはアンチジーン性能を有するオリゴヌクレオチドおよびペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが依然として必要である。そのような改善されたアンチセンスまたはアンチジーン性能は、少なくとも、例えば、より低い毒性、配列選択性を損なわずにDNAおよびRNAに対するより強い親和性、改善された薬物動態および組織分布、改善された細胞送達、ならびに信頼性も高く制御可能でもあるin vivo分布を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
二環式ペプチドに共有結合的に結合しているオリゴヌクレオチドを含む、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、本明細書において提供される。それを必要とする被験体において疾患を処置する方法であって、被験体に、本明細書において記載されているペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法も、本明細書において提供される。
【0005】
したがって、一態様では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩
が、本明細書において提供され、式Iは、二環式ペプチドに共有結合的に結合している。
【0006】
一実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Iaのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化2】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、(J)-Gは、二環式ペプチドである]
である。
【0007】
別の実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Ibのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化3】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、(J)-Gは、二環式ペプチドである]
である。
【0008】
さらに別の態様では、それを必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、被験体に、本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法が、本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、PMO-IVS2-654(実施例6において記載されている)にカップリングされた環式および二環式ペプチドが、細胞エクソンスキッピングアッセイにおいて活性の増大を実証することを示す。IVS2-654は、変異したeGFPプレmRNAのスプライシングを訂正する。スプライス訂正の増大は、蛍光の増大につながる。結果は、コンジュゲートされていないIVS2-654PMOに対して正規化した。
図2図2は、二環式ペプチドが、単環式ペプチドと比べて強化されたタンパク質分解安定性を実証することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
二環式ペプチドに共有結合的に結合しているオリゴヌクレオチドを含む、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、本明細書において提供される。それを必要とする被験体において疾患を処置する方法であって、被験体に、本明細書において記載されているペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法も、本明細書において提供される。本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドおよびそれによりペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、天然または修飾されていないオリゴヌクレオチドと比べて、配列選択性を損なわずにDNAおよびRNAに対するより強い親和性を示す。一部の実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHによる開裂を最小化または防止する。一部の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHを活性化しない。
【0011】
本明細書において記載されているペプチドは、それらの対応するペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートに、より低い毒性、オリゴヌクレオチドの活性の強化を付与し、薬物動態および組織分布を改善し、細胞送達を改善し、信頼性も高く制御可能でもあるin vivo分布を付与する。
【0012】
定義
本開示を記載するために使用される種々の用語の定義を、以下に列挙する。これらの定義は、具体的な事例において別段限定されない限り、個々にまたはより大きい群の一部としてのいずれかで、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して使用される場合の用語に当てはまる。
【0013】
用語「約」は、当業者には理解され、それが使用される文脈によってある程度変動する。本明細書で使用される場合、量、時間的持続期間等の測定可能な値に言及する際、用語「約」は、指定値から±5%、±1%および±0.1%を含む±20%または±10%の変動を包含することを意味するが、これは、そのような変動が、開示されている方法を実施するために適切であるからである。
【0014】
用語「アルキル」は、ある特定の実施形態では、1~6個または1~8個の間の炭素原子をそれぞれ含有する、飽和、直鎖または分枝鎖炭化水素部分を指す。C1~6-アルキル部分の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル部分を含むがこれらに限定されず、C1~8-アルキル部分の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチルおよびオクチル部分を含むがこれらに限定されない。
【0015】
アルキル置換基における炭素原子の数は、接頭辞「Cx~y」によって示すことができ、xは、置換基における炭素原子の最小数であり、yは、最大数である。同様に、C鎖は、x個の炭素原子を含有するアルキル鎖を意味する。
【0016】
用語「へテロアルキル」は、それ自体がまたは別の用語と組み合わせて、別段の記載がない限り、記載されている数の炭素原子ならびにO、NおよびSからなる群より選択される1個または2個のヘテロ原子からなる、安定な直鎖または分枝鎖アルキル基を意味し、窒素および硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてよく、窒素ヘテロ原子は、必要に応じて四級化されていてよい。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の残りとそれが付着している断片との間を含むヘテロアルキル基の任意の位置に置かれ、かつヘテロアルキル基における最も遠位の炭素原子に付着されていてよい。例は、-O-CH-CH-CH、-CH-CH-CH-OH、-CH-CH-NH-CH、-CH-S-CH-CHおよび-CH-CH-S(=O)-CHを含む。例えば、-CH-NH-OCHまたは-CH-CH-S-S-CH等、最大2個のヘテロ原子が連続してよい。
【0017】
用語「アリール」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、別段の記載がない限り、1個または複数の環(典型的には、1、2または3個の環)を含有する炭素環式芳香族系を意味し、そのような環は、ビフェニル等、ペンダント様式で一緒に付着されていてよく、または、ナフタレン等、縮合されていてよい。アリール基の例は、フェニル、アントラシルおよびナフチルを含む。種々の実施形態では、アリール基の例は、フェニル(例えば、C-アリール)およびビフェニル(例えば、C12-アリール)を含んでよい。一部の実施形態では、アリール基は、6~16個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アリール基は、6~12個の炭素原子を有する(例えば、C6~12-アリール)。一部の実施形態では、アリール基は、6個の炭素原子を有する(例えば、C-アリール)。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、芳香族の特徴を有する複素環を指す。ヘテロアリール置換基は、炭素原子の数によって定義されてよく、例えば、C1~9-ヘテロアリールは、ヘテロ原子の数を含まず、ヘテロアリール基に含有される炭素原子の数を示す。例えば、C1~9-ヘテロアリールは、追加で1~4個のヘテロ原子を含むことになる。多環式ヘテロアリールは、部分的に飽和した1個または複数の環を含んでよい。ヘテロアリールの非限定的な例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル(例えば、2-および4-ピリミジニルを含む)、ピリダジニル、チエニル、フリル、ピロリル(例えば、2-ピロリルを含む)、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル(例えば、3-および5-ピラゾリルを含む)、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリルおよび1,3,4-オキサジアゾリルを含む。
【0019】
多環式複素環およびヘテロアリールの非限定的な例は、インドリル(例えば、3-、4-、5-、6-および7-インドリルを含む)、インドリニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル(例えば、1-および5-イソキノリルを含む)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル(例えば、2-および5-キノキサリニルを含む)、キナゾリニル、フタラジニル、1,8-ナフチリジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、クマリン、ジヒドロクマリン、1,5-ナフチリジニル、ベンゾフリル(例えば、3-、4-、5-、6-および7-ベンゾフリルを含む)、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,2-ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチエニル(例えば、3-、4-、5-、6-および7-ベンゾチエニルを含む)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(例えば、2-ベンゾチアゾリルおよび5-ベンゾチアゾリルを含む)、プリニル、ベンズイミダゾリル(例えば、2-ベンズイミダゾリルを含む)、ベンゾトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニルおよびキノリジジニルを含む。
【0020】
用語「保護基」または「化学保護基」は、化合物の一部またはすべての反応性部分をブロックし、保護基が除去されるまで、そのような部分が化学反応に関わるのを防止する化学部分、例えば、T.W. Greene, P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd ed. John Wiley & Sons (1999)において列挙され記載されている部分を指す。異なる保護基が用いられる場合、各(異なる)保護基は異なる手段によって除去可能であることが有利であり得る。全く異質な反応条件下で開裂される保護基は、そのような保護基の差次的な除去を可能にする。例えば、保護基は、酸、塩基および水素化分解によって除去され得る。トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびtert-ブチルジメチルシリル等の基は、酸不安定性であり、水素化分解によって除去可能なCbz基および塩基不安定性であるFmoc基で保護されたアミノ基の存在下、カルボキシおよびヒドロキシ反応性部分を保護するために使用されてよい。カルボン酸部分は、限定なく、メチルまたはエチル等の塩基不安定性基でブロックされてよく、ヒドロキシ反応性部分は、カルバミン酸tert-ブチル等の酸不安定性基でブロックされたアミンの存在下、アセチル等の塩基不安定性基で、または、酸および塩基の両方に安定であるが加水分解的に除去可能なカルバメートで、ブロックされてよい。
【0021】
カルボン酸およびヒドロキシル反応性部分は、ベンジル基等の加水分解的に除去可能な保護基でブロックされてもよく、一方、アミン基は、Fmoc等の塩基不安定性基でブロックされてよい。式(I)の化合物の合成に特に有用なアミン保護基は、トリフルオロアセトアミドである。カルボン酸反応性部分は、2,4-ジメトキシベンジル等の酸化的に除去可能な保護基でブロックされてよく、一方、共存するアミノ基は、フッ化物不安定性シリルカルバメートでブロックされてよい。
【0022】
アリルブロッキング基は、酸および塩基保護基の存在下で有用であり、これは、前者が安定であり、その後金属またはパイ酸触媒によって除去され得るからである。例えば、アリルでブロックされたカルボン酸は、酸不安定性カルバミン酸tert-ブチルまたは塩基不安定性酢酸アミン保護基の存在下、パラジウム(0)触媒反応で脱保護され得る。保護基のさらに別の形態は、化合物または中間体が付着し得る樹脂である。残基が樹脂に付着している限り、その官能基はブロックされ、反応することができない。樹脂から解放されると、官能基は反応するために利用可能になる。
【0023】
用語「核酸塩基」、「塩基対合部分」、「核酸塩基対合部分」または「塩基」は、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよび/またはモルホリノサブユニットの複素環式環部を指す。核酸塩基は、天然に存在してよく、または、修飾されているかもしくはこれらの天然に存在する核酸塩基の類似体であってよく、例えば、核酸塩基の1個または複数の窒素原子は、各出現において独立して、炭素によって置き換えられていてよい。例示的な類似体は、ヒポキサンチン(ヌクレオシドイノシンの塩基成分)、2,6-ジアミノプリン、5-メチルシトシン、C5-プロピニル修飾ピリミジン、10-(9-(アミノエトキシ)フェノキサジニル)(G-クランプ)等を含む。
【0024】
塩基対合部分のさらなる例は、それらのそれぞれのアミノ基がアシル保護基によって保護されたウラシル、チミン、アデニン、シトシン、グアニンおよびヒポキサンチン、2-フルオロウラシル、2-フルオロシトシン、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、2,6-ジアミノプリン、アザシトシン、ピリミジン類似体、例えば、シュードイソシトシンおよびシュードウラシル、ならびに他の修飾された核酸塩基、例えば、8-置換プリン、キサンチンまたはヒポキサンチン(後半の2つは自然分解生成物である)を含むがこれらに限定されない。Chiu and Rana, RNA, 2003, 9, 1034-1048, Limbach et al. Nucleic Acids Research, 1994, 22, 2183-2196およびRevankar and Rao, Comprehensive Natural Products Chemistry, vol. 7, 313において開示されている修飾された核酸塩基も企図されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
塩基対合部分のさらなる例は、1個または複数のベンゼン環が付加された拡大サイズの核酸塩基を含むがこれらに限定されない。その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Glen Research catalog (www.glenresearch.com); Krueger AT et al., Acc. Chem. Res., 2007, 40, 141-150; Kool, ET, Acc. Chem. Res., 2002, 35, 936-943; Benner S.A., et al., Nat. Rev. Genet., 2005, 6, 553-543; Romesberg, F.E., et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 2003, 7, 723-733; Hirao, I., Curr. Opin. Chem. Biol., 2006, 10, 622-627において記載されている核酸塩基置き換えは、本明細書において記載されているオリゴマーの合成に有用であるとして企図されている。拡大サイズの核酸塩基の例を以下に示す。
【化4】
【0026】
用語「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」は、複数の連結したヌクレオシド、ヌクレオチド、またはヌクレオシドおよびヌクレオチドの両方の組合せを含む化合物を指す。本明細書において提供される具体的な実施形態では、オリゴヌクレオチドは、モルホリノオリゴヌクレオチドである。
【0027】
語句「モルホリノオリゴヌクレオチド」または「PMO」は、1つのサブユニットのモルホリノ窒素を隣接するサブユニットの5’-環外炭素に接合するホスホルアミデートまたはホスホロジアミデート連結によって一緒に連結したモルホリノサブユニットを有する修飾されたオリゴヌクレオチドを指す。各モルホリノサブユニットは、標的における核酸塩基に核酸塩基特異的水素結合によって結合するために有効な核酸塩基対合部分を含む。
【0028】
用語「アンチセンスオリゴマー」、「アンチセンス化合物」および「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、交換可能に使用され、それぞれが塩基対合部分を有し、塩基対合部分を核酸(典型的にはRNA)における標的配列にワトソン-クリック塩基対合によってハイブリダイズさせて、標的配列内に核酸:オリゴマーヘテロ二本鎖を形成する、サブユニット間連結によって連結しているサブユニットの配列を指す。オリゴマーは、標的配列に対して厳密な(完璧な)または近接した(十分な)配列相補性を有してよく、オリゴマーの末端付近の配列における変動は、概して、内部における変動よりも好ましい。
【0029】
そのようなアンチセンスオリゴマーは、mRNAの翻訳をブロックもしくは阻害するまたは天然もしくは異常なプレmRNAスプライスプロセシングを阻害する/変更するように設計することができ、それがハイブリダイズする標的配列「に向けられる」または「に対して標的化される」と言うことができる。標的配列は、典型的には、mRNAのAUG開始コドン、翻訳抑制オリゴマー、または前処理された(pre-processed)mRNAのスプライス部位、スプライス抑制オリゴマー(SSO)を含む領域である。スプライス部位の標的配列は、前処理されたmRNAにおける通常のスプライスアクセプタージャンクションの下流にその5’末端の1~約25個の塩基対を有するmRNA配列を含んでよい。種々の実施形態では、標的配列は、スプライス部位を含む、またはエクソンコード配列内に完全に含有されるもしくはスプライスアクセプターもしくはドナー部位に及ぶ、前処理されたmRNAの任意の領域であってよい。オリゴマーは、より一般的には、標的の核酸に対して上述した様式で標的化される場合、タンパク質、ウイルスまたは細菌等の生物学的に関連する標的「に対して標的化される」と言われる。
【0030】
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび標的RNAは、各分子における十分な数の対応する位置が、互いに水素結合できるヌクレオチドによって占有されており、それにより、オリゴヌクレオチドと標的との間に安定かつ特異的な結合が出現する場合、互いに相補的である。故に、「特異的にハイブリダイズ可能」および「相補的」は、オリゴヌクレオチドと標的との間に安定かつ特異的な結合が出現するような、十分な程度の相補性または正確な対合を示すために使用される用語である。当該技術分野において、オリゴヌクレオチドの配列は、特異的にハイブリダイズ可能であるその標的配列のものに対して100%相補的である必要はないことが理解される。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの標的分子への結合が標的RNAの正常機能に干渉する場合に、特異的にハイブリダイズ可能であり、特異的結合が望ましい条件下、すなわち、in vivoアッセイまたは治療的処置の場合には生理的条件下、およびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実施される条件下で、アンチセンスオリゴヌクレオチドの非標的配列への非特異的結合を回避するために、十分な程度の相補性がある。
【0031】
オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(多くの場合、当該技術分野においては単に「塩基」と称される)修飾または置換も含み得る。修飾または置換された塩基を含有するオリゴヌクレオチドは、核酸において最も一般的に見られる1個または複数のプリンまたはピリミジン塩基が、あまり一般的ではないまたは非天然塩基で置き換えられている、オリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸塩基は、プリン塩基のN9原子においてまたはピリミジン塩基のN1原子において、ヌクレオチドまたはヌクレオシドのモルホリン環に共有結合的に連結している。
【0032】
プリン塩基は、一般式:
【化5】
によって記載される通りの、イミダゾール環に縮合したピリミジン環を含む。
【0033】
アデニンおよびグアニンは、核酸において最も一般的に見られる2個のプリン核酸塩基である。これらは、N6-メチルアデニン、N2-メチルグアニン、ヒポキサンチンおよび7-メチルグアニンを含むがこれらに限定されない他の天然に存在するプリンで置換されていてよい。
【0034】
ピリミジン塩基は、一般式:
【化6】
によって記載される通りの6員ピリミジン環を含む。
【0035】
シトシン、ウラシルおよびチミンは、核酸において最も一般的に見られるピリミジン塩基である。これらは、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、シュードウラシルおよび4-チオウラシルを含むがこれらに限定されない他の天然に存在するピリミジンで置換されていてよい。一実施形態では、本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドは、ウラシルの代わりにチミン塩基を含有する。
【0036】
他の修飾または置換された塩基は、2,6-ジアミノプリン、オロチン酸、アグマチジン、リシジン、2-チオピリミジン(例えば、2-チオウラシル、2-チオチミン)、G-クランプおよびその誘導体、5-置換ピリミジン(例えば、5-ハロウラシル、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、5-アミノメチルウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-アミノメチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、スーパーT)、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、7-アザ-2,6-ジアミノプリン、8-アザ-7-デアザグアニン、8-アザ-7-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、スーパーG、スーパーAおよびN4-エチルシトシン、またはその誘導体;N2-シクロペンチルグアニン(cPent-G)、N2-シクロペンチル-2-アミノプリン(cPent-AP)、およびN2-プロピル-2-アミノプリン(Pr-AP)、シュードウラシルまたはその誘導体;ならびに2,6-ジフルオロトルエンのような縮重もしくはユニバーサル塩基または塩基脱落部位のような欠損塩基(例えば、1-デオキシリボース、1,2-ジデオキシリボース、l-デオキシ-2-O-メチルリボース;または環酸素が窒素で置き換えられたピロリジン誘導体(アザリボース))を含むがこれらに限定されない。シュードウラシルは、ウリジンにあるような正規のN-グリコシドではなくC-グリコシドを有する、ウラシルの天然に存在する異性化バージョンである。
【0037】
ある特定の修飾または置換された核酸塩基は、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を増大させるために特に有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンを含むN-2、N-6および0~6置換プリンを含む。種々の実施形態では、核酸塩基は、5-メチルシトシン置換を含んでよく、これは、核酸二本鎖の安定性を0.6~1.2°Cだけ増大させることが示されている。
【0038】
一部の実施形態では、修飾または置換された核酸塩基は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの精製を容易にするために有用である。例えば、ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3個またはそれよりも多い(例えば、3、4、5、6個またはそれよりも多い)連続するグアニン塩基を含有してよい。ある特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、一連の3個またはそれよりも多い連続するグアニン塩基は、精製を複雑化する、オリゴヌクレオチドの凝集をもたらし得る。そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、連続するグアニンの1つまたは複数は、ヒポキサンチンで置換され得る。一連の3個またはそれよりも多い連続するグアニン塩基における1個または複数のグアニンのヒポキサンチンによる置換は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの凝集を低減させ、それにより、精製を容易にすることができる。
【0039】
本明細書において提供されるオリゴヌクレオチドは、合成され、生物起源のアンチセンス組成物を含まない。本開示の分子は、取り込み、分布もしくは吸収またはそれらの組合せを補助するために、他の分子、分子構造または化合物の混合物、例えば、リポソーム、受容体標的化分子、経口、直腸、局所または他の製剤と、混合、カプセル化、コンジュゲートまたは別様に会合されてもよい。
【0040】
用語「相補的な」および「相補性」は、塩基対合則によって関係付けられたオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)を指す。例えば、配列「T-G-A(5’-3’)」は、配列「T-C-A(5’-3’)」に対して相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対合則に従って適合する、「部分的」であってよい。あるいは、核酸間に、「完全な」、「全くの」または「完璧な」(100%)相補性があってよい。核酸ストランド間の相補性の程度は、核酸ストランド間のハイブリダイゼーションの効率および強さに対して顕著な効果を有する。完璧な相補性が多くの場合望ましいが、一部の実施形態は、標的RNAに関して、1つまたは複数であるが好ましくは6、5、4、3、2または1つのミスマッチを含み得る。そのようなハイブリダイゼーションは、アンチセンスオリゴマーの標的配列に対する「近接した」または「実質的な」相補性でおよび厳密な相補性で出現し得る。一部の実施形態では、オリゴマーは、標的配列に、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%の相補性でハイブリダイズしてよい。オリゴマー内の任意の場所における変動が含まれる。ある特定の実施形態では、オリゴマーの末端付近の配列における変動は、概して、内部における変動よりも好ましく、存在する場合、典型的には、5’末端、3’末端または両方の末端の約6、5、4、3、2または1ヌクレオチド内である。
【0041】
用語「ペプチド」は、複数の連結されたアミノ酸を含む化合物を指す。本明細書において提供されるペプチドは、細胞透過性ペプチドであるとみなされ得る。
【0042】
用語「細胞透過性ペプチド」および「CPP」は、交換可能に使用され、輸送ペプチド、担体ペプチドまたはペプチド形質導入ドメインとも称される、カチオン性細胞透過性ペプチドを指す。本明細書において提供されるペプチドは、所与の細胞培養集団の細胞の100%以内で細胞透過を誘導する能力を有し、複数の組織内における巨大分子トランスロケーションを、全身投与時にin vivoで可能にする。種々の実施形態では、本開示のCPP実施形態は、さらに以下で記載する通り、アルギニンリッチペプチドを含んでよい。
【0043】
用語「処置」は、疾患の好転(amelioration)に使用される1つまたは複数の特定の手順の適用を指す。ある特定の実施形態では、具体的な手順は、1つまたは複数の薬学的作用物質の投与である。個体(例えば、ヒト等の哺乳動物)または細胞の「処置」は、個体または細胞の自然経過を変更するための試みにおいて使用される任意の種類の介入である。処置は、医薬組成物の投与を含むがこれに限定されず、予防的にまたは病理学的事象の開始もしくは病原体との接触に続いてのいずれかで実施されてよい。処置は、疾患または状態の症状または病理学に対するあらゆる望ましい効果を含み、例えば、処置されている疾患または状態の1つまたは複数の測定可能なマーカーにおける最小限の変化または改善を含んでよい。処置されている疾患もしくは状態の進行速度を低減させること、その疾患もしくは状態の発症を遅延させること、またはその発症の重症度を低減させることに向けられ得る、「予防的」処置も含まれる。
【0044】
「有効量」または「治療有効量」は、単回用量としてまたは一連の用量の一部としてのいずれかで哺乳動物被験体に投与される、所望の治療効果を産生するために有効なアンチセンスオリゴマー等の治療用化合物の量を指す。
【0045】
用語「好転」は、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度の軽減を意味する。ある特定の実施形態では、好転は、状態または疾患の1つまたは複数の指標の進行における遅延または減速を含む。指標の重症度は、当業者に公知である主観的または客観的尺度によって決定され得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって親オリゴヌクレオチドが修飾された、開示されているオリゴヌクレオチドの誘導体を指す。好適な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418およびJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)において見られ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート
二環式細胞透過性ペプチドに化学的に連結しているオリゴヌクレオチドが、本明細書において提供される。二環式細胞透過性ペプチドは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを強化する。一部の実施形態では、CPPは、アルギニンリッチペプチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みをさらに強化する、1つまたは複数のへテロアルキル部分(例えば、ポリエチレングリコール)に、付加的に化学的に連結することができる。1つの例示的な実施形態では、ポリペプチド、例えばアルギニンリッチポリペプチドは、そのN末端またはC末端残基において、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端または両方の末端に共有結合的にカップリングされる。
【0048】
故に、一態様では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化7】
または薬学的に許容されるその塩が、本明細書において提供され、式中、
A’は、-NHCHC(O)NH、-N(C1~6-アルキル)CHC(O)NH
【化8】
から選択され、式中、
は、-C(O)(O-アルキル)-OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、C2~6-アルキルであるか、またはRは、-C(O)C1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C1~6-アルキル)R、-(C1~6-へテロアルキル)-R、アリール-R、ヘテロアリール-R、-C(O)O-(C1~6-アルキル)-R、-C(O)O-アリール-R、-C(O)O-ヘテロアリール-R、および
【化9】
から選択され、
式中、Rは、OH、SHおよびNHから選択されるか、またはRは、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SもしくはNHであり、
各Rは、OHおよび-NRから独立して選択され、各RおよびRは、各出現において独立して、-C1~6-アルキルであり、
各Rは、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基から独立して選択され、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
E’は、H、-C1~6-アルキル、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化10】
から選択され、式中、
Qは、-C(O)(CHC(O)-または-C(O)(CH(CHC(O)-であり、
は、-(CHOC(O)N(Rであり、Rは、-(CHNHC(=NH)NHであり、
Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH1~6C(O)であり、
tは、4~16であり、
各Jは、各出現において独立して、構造
【化11】
のアミノ酸から選択され、
式中、
rおよびqは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
各Rは、各出現において独立して、H、アミノ酸側鎖、および保護基で官能基化されたアミノ酸側鎖から選択され、
の3または4個のアミノ酸側鎖は、各出現において独立して、硫黄原子を含み、
a)硫黄原子の数が3である場合には、硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化12】
を形成し、それにより、アミノ酸が二環式構造を形成するか、または
b)硫黄原子の数が4である場合には、硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化13】
の2回の出現を形成し、それにより、アミノ酸が二環式構造を形成し、
式中、dは、0または1であり、Mは、
【化14】
から選択され、
式中、各R10は、各出現において独立して、Hまたはハロゲンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
下記の条件の少なくとも1つが真である:
1)A’は、
【化15】
であるか、または2)E’は、
【化16】
である。
【0049】
一実施形態では、E’は、H、-C1~6-アルキル、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、および
【化17】
から選択される。
【0050】
さらに別の実施形態では、A’は、-N(C1~6-アルキル)CHC(O)NH
【化18】
から選択される。
【0051】
別の実施形態では、E’は、H、-C(O)CH、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチル、および
【化19】
から選択される。
【0052】
また別の実施形態では、A’は、-N(C1~6-アルキル)CHC(O)NH
【化20】
から選択され、
E’は、
【化21】
である。
【0053】
さらに別の実施形態では、A’は、
【化22】
である。
【0054】
別の実施形態では、E’は、H、-C(O)CH、トリチル、4-メトキシトリチル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。
【0055】
さらに別の実施形態では、E’は、Hおよび-C(O)CHから選択される。
【0056】
また別の実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Iaのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化23】
である。
【0057】
別の実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Ibのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化24】
である。
【0058】
式IおよびIbのある実施形態では、E’は、H、C1~6アルキル、-C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。
【0059】
式IおよびIbの別の実施形態では、E’は、Hおよび-C(O)CHから選択される。
【0060】
式I、IaおよびIbのある実施形態では、各R10は、独立して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択されるハロゲンである。
【0061】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各R10は、フッ素である。
【0062】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、Mは、
【化25】
である。
【0063】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、3個のアミノ酸側鎖基は、各出現において独立して、システインまたはホモシステインアミノ酸側鎖基である。
【0064】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、4個のアミノ酸側鎖基は、各出現において独立して、システインまたはホモシステインアミノ酸側鎖基である。
【0065】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、各Jは、各出現において独立して、α-アミノ酸、β-アミノ酸およびβ-アミノ酸から選択される。
【0066】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、rおよびqは、それぞれ0である。
【0067】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、Jは、システインおよびアルギニンから独立して選択される。
【0068】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、3個のJ基は、システインである。
【0069】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、4個のJ基は、システインである。
【0070】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、zは、9~16である。
【0071】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Rは、独立して、NRであり、各RおよびRは、各出現において独立して、C1~3-アルキルである。
【0072】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、各Rは、N(CHである。
【0073】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、各Rは、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC4~6-複素環式環を含む。
【0074】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Rは、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリミジン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC4~6-複素環式環を含む。
【0075】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、各Rは、各出現において独立して、アデニン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデニン、グアニン、7-デアザ-グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基である。
【0076】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、各Rは、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基である。
【0077】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、Lは、
【化26】
である。
【0078】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、Gは、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。
【0079】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、Gは、Hまたは-C(O)CHである。
【0080】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、Gは、Hである、
【0081】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、Gは、-C(O)CHである。
【0082】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、dは、1である。
【0083】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、dは、0である。
【0084】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、
【化27】
は、
【化28】
[式中、[L]は、
【化29】
であり、
Xは、各出現において独立して、アルギニンまたはシステインから選択され、
Cは、システインであり、
nは、3~8から選択される整数であり、
mは、3~8から選択される整数である]
または
【化30】
[式中、[L]は、
【化31】
であり、
Xは、各出現において独立して、アルギニンまたはシステインから選択され、
Cは、システインであり、
Gは、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、Gは、ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、
nは、3~8から選択される整数であり、
mは、3~8から選択される整数である]
から選択される。
【0085】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、
【化32】
は、
【化33】
[式中、Xは、各出現において独立して、アルギニンまたはシステインから選択され、
Cは、システインであり、
Gは、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、Gは、ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している]
から選択される。
【0086】
ある実施形態では、Xの少なくとも1つの事例は、アルギニンである。
【0087】
別の実施形態では、Xの少なくとも2つの事例は、アルギニンである。
【0088】
さらに別の実施形態では、Xの少なくとも3つの事例は、アルギニンである。
【0089】
ある実施形態では、Xの少なくとも4つの事例は、アルギニンである。
【0090】
さらなる実施形態では、Xの少なくとも5つの事例は、アルギニンである。
【0091】
さらに別の実施形態では、Xの少なくとも6つの事例は、アルギニンである。
【0092】
ある実施形態では、Xの少なくとも7つの事例は、アルギニンである。
【0093】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、
【化34】
は、
【化35】
[式中、Rは、アルギニンであり、Cは、システインであり、
Gは、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、Gは、ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している]
から選択される。
【0094】
さらに別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA標的に対して配列相補性を有する標的化配列を含む。具体的な実施形態では、RNA標的は、細胞RNA標的である。別の具体的な実施形態では、標的化配列は、RNA標的に結合するために十分な配列相補性を有する。さらに別の具体的な実施形態では、標的化配列は、RNA標的に対して完璧な配列相補性を有する。
【0095】
本開示の代表的なペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、数ある中でも、下記の構造のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化36】
または薬学的に許容されるその塩[式中、
Gは、Hまたは-C(O)CHであり、Gは、ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、
Cは、システインであり、
Rは、アルギニンであり、
は、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基であり、
zは、8~40である]
を含む。
【0096】
本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの一実施形態では、Gは、Hである。
【0097】
本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの別の実施形態では、Gは、-C(O)CHである。
【0098】
ある実施形態では、Lは、ペプチドのカルボキシ末端に共有結合的に連結しており、Gは、ペプチドのアミノ末端に共有結合的に連結している。
【0099】
本明細書で使用される場合、「Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している」は、J(-COOH)のカルボキシ末端が、N(H)基を介して変数Gに共有結合的に結合していることを示し、Jのカルボキシ末端のヒドロキシル基は、N(H)で置き換えられている。例えば、GがHである場合、下記の構造は、JおよびGによって形成される。
【化37】
【0100】
一部の実施形態では、本明細書において記載されているペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、溶媒和されていない。他の実施形態では、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの1つまたは複数は、溶媒和形態である。当該技術分野において公知の通り、溶媒和物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒のいずれかであり得る。
【0101】
式I、Ia、Ib、Ic、Id、IeおよびIVのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートはそれらの中性形態で示されているが、一部の実施形態では、これらのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、薬学的に許容される塩形態で使用される。
【0102】
オリゴヌクレオチド
モルホリノベースのサブユニットの重要な特性は、1)安定な非荷電または正に荷電された骨格連結によってオリゴマー形態で連結される能力;2)ヌクレオチド塩基(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、ウラシル、5-メチル-シトシンおよびヒポキサンチン)を支持し、それにより、形成されたポリマーが、標的RNAを含む相補的塩基標的核酸と、比較的短いオリゴヌクレオチド(例えば、10~15塩基)で約45℃を上回るT値でハイブリダイズすることができる能力;3)哺乳動物の細胞に能動的にまたは受動的に輸送されるオリゴヌクレオチドの能力;ならびに4)RNアーゼおよびRNアーゼH分解にそれぞれ抵抗する、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド:RNAヘテロ二本鎖の能力を含む。
【0103】
オリゴマーと標的配列との間に形成される二本鎖の安定性は、結合Tおよび二本鎖の細胞の酵素的開裂に対する感受性の関数である。相補的配列RNAに関するオリゴマーのTは、Hames et al., Nucleic Acid Hybridization, IRL Press, 1985, pp. 107-108によって記載されたもの等の従来の方法によって、またはMiyada C. G. and Wallace R. B., 1987, Oligomer Hybridization Techniques, Methods Enzymol. Vol. 154 pp. 94-107において記載されている通りに、測定され得る。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、相補的配列RNAに関して、体温よりも高い、および一実施形態では約45℃または50℃よりも高い、結合Tを有してよい。60~80℃の範囲内またはそれよりも高いTも含まれる。周知の原理によれば、相補的塩基(based)RNAハイブリッドに関して、オリゴマーのTは、二本鎖におけるC:G対合塩基の比を増大させることによって、もしくはヘテロ二本鎖の長さを(塩基対で)増大させることによって、または両方によって、増大できる。同時に、細胞取り込みを最適化することを目的として、オリゴマーのサイズを限定することが有利であり得る。この理由から、本開示の化合物は、25塩基またはそれよりも短い長さで高T(45~50℃またはそれよりも高い)を示す化合物を含む。
【0104】
オリゴヌクレオチドの長さは、プレmRNA分子内の意図した場所に選択的に結合することができる限り、変動してよい。そのような配列の長さは、本明細書において記載されている選択手順に従って決定することができる。概して、オリゴヌクレオチドは、長さ約8ヌクレオチド~長さ最大約50ヌクレオチドである。例えば、オリゴヌクレオチドの長さ(z)は、8~38、8~25、15~25、17~21、または約18であり得る。しかしながら、この範囲内のヌクレオチドの任意の長さが、本明細書において記載されている方法において使用され得ることが分かるであろう。
【0105】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、塩基修飾または置換を含有する。例えば、ある特定の核酸塩基は、本明細書において記載されているアンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を増大させるように選択されてよい。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシンおよび2,6-ジアミノプリンを含むN-2、N-6および0~6置換プリンを含む。5-メチルシトシン置換は、核酸二本鎖の安定性を0.6~1.2°Cだけ増大させることが示されており、本明細書において記載されているアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれてよい。一実施形態では、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのピリミジン塩基は、5-置換ピリミジン塩基を含み、ピリミジン塩基は、シトシン、チミンおよびウラシルからなる群より選択される。一実施形態では、5-置換ピリミジン塩基は、5-メチルシトシンである。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのプリン塩基は、N-2、N-6置換プリン塩基を含む。一実施形態では、N-2、N-6置換プリン塩基は、2,6-ジアミノプリンである。
【0106】
モルホリノベースのオリゴマー(アンチセンスオリゴマーを含む)が、例えば、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,521,063号、同第5,506,337号および係属中の米国特許出願第12/271,036号、同第12/271,040号、ならびにPCT公開第WO/2009/064471号および同第WO/2012/043730号ならびにSummerton et al. 1997, Antisense and Nucleic Acid Drug Development, 7, 187-195において詳述されており、これらは、これにより参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0107】
したがって、一態様では、式IIのオリゴヌクレオチド:
【化38】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
Aは、OH、-NHCHC(O)NH、-N(C1~6-アルキル)CHC(O)NH
【化39】
からなる群より選択され、
は、-C(O)(O-アルキル)OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、-C2~6-アルキルであるか、またはRは、-C(O)C1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-C1~6-アルキル-R、-C1~6-へテロアルキル-R、-アリール-R、-ヘテロアリール-R、-C(O)O-C1~6-アルキル-R、-C(O)O-アリール-Rおよび-C(O)O-ヘテロアリール-Rからなる群より選択され、
は、OH、SHおよびNHからなる群より選択されるか、あるいはRは、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SまたはNHであり、
各Rは、独立して、OHまたは-NRであり、
各RおよびRは、各出現において独立して、-C1~6-アルキルであり、
各Rは、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基からなる群より独立して選択され、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンからなる群より選択されるC3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
Eは、H、-C1~6-アルキル、-C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、および
【化40】
からなる群より選択され、
Qは、-C(O)(CHC(O)-または-C(O)(CH(CHC(O)-であり、
は、-(CHOC(O)N(Rであり、
は、-(CHNHC(=NH)NHである]
が、本明細書において提供される。
【0108】
式IIの一実施形態では、Aは、
【化41】
であり、
Eは、H、-C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルからなる群より選択され、
は、-C(O)(O-アルキル)-OHであり、各アルキル基は、各出現において独立して、-C2~6-アルキル、トリチルおよび4-メトキシトリチルであり、
各Rは、独立して、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、プリン、およびデアザ-プリンからなる群より選択されるC4~6-複素環式環を含む。
【0109】
式IIの別の実施形態では、Rは、C(O)(O-CHCH-OHであり、
各Rは、独立して、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリミジンまたはプリンを含む。
【0110】
また別の実施形態では、式IIのオリゴヌクレオチドは、式IIaのオリゴヌクレオチド:
【化42】
である。
【0111】
式IIおよびIIaのある実施形態では、Rは、各出現において独立して、アデニン、2,6-ジアミノプリン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンであり、
各Rは、-N(CHである。
【0112】
本明細書において記載されている通りのヌクレオチド部分の種々の実施形態が、表1において提供される。
【表1】
【0113】
一部の実施形態では、本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドは、溶媒和されていない。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドの1つまたは複数は、溶媒和形態である。当該技術分野において公知の通り、溶媒和物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒のいずれかであり得る。
【0114】
式IIおよびIIaのオリゴヌクレオチドはそれらの中性形態で示されているが、一部の実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩形態で使用される。
【0115】
ペプチド
本明細書において提供されるオリゴヌクレオチドは、CPPにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド部分を含み、CPPは、二環式ペプチドを含む。一部の実施形態では、CPPは、化合物の細胞への輸送を強化するために有効な、アルギニンリッチペプチド輸送部分であり得る。輸送部分は、一部の実施形態では、オリゴマーの末端に付着している。ペプチドは、所与の細胞培養集団の細胞の、間にあるすべての整数を含む30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%以内で細胞透過を誘導する能力を有し、複数の組織内における巨大分子トランスロケーションを、全身投与時にin vivoで可能にする。一実施形態では、細胞透過性ペプチドは、アルギニンリッチペプチド輸送体であってよい。種々の実施形態では、本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、CPPとアンチセンスオリゴヌクレオチドとの間のリンカーとして、グリシンを利用してよい。
【0116】
上述した通りの輸送部分は、付着した輸送部分の非存在下におけるオリゴマーの取り込みと比べて、付着したオリゴマーの細胞移入を大幅に強化することが示されている。取り込みは、コンジュゲートされていない化合物と比べて少なくとも10倍、一部の実施形態では20倍強化され得る。
【0117】
アルギニンリッチペプチド輸送体(すなわち、細胞透過性ペプチド)の使用は、本開示を実施する際に特に有用である。ある特定のペプチド輸送体は、アンチセンス化合物の、筋細胞を含む初代細胞への送達において高度に有効であることが示されている。さらに、ペネトラチンおよびTatペプチド等の他の公知のペプチド輸送体と比較して、本明細書において記載されているペプチド輸送体は、アンチセンスPMOにコンジュゲートされた場合、いくつかの遺伝子転写物のスプライシングを変更する能力の強化を実証する。
【0118】
故に、一態様では、式IIIのペプチド:
【化43】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
Gは、H、C(O)C1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルからなる群より選択され、Gは、ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、
各Jは、各出現において独立して、構造
【化44】
のアミノ酸から選択され、
各Rは、各出現において独立して、H、アミノ酸側鎖、および化学保護基で官能基化されたアミノ酸側鎖からなる群より選択され、
の3または4個のアミノ酸側鎖基は、各出現において独立して、チオールまたは化学保護基で官能基化されたチオールを含み、
rおよびqは、独立して、0、1、2、3または4であり、
Lは、固体支持体に共有結合的に連結していてよい-C(O)(CH1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH1~6C(O)であり、
tは、4~16である]
が、本明細書において提供される。
【0119】
一実施形態では、Rの3または4個のアミノ酸側鎖は、各出現において独立して、硫黄原子を含み、
a)硫黄原子の数が3である場合には、硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化45】
を形成し、それにより、アミノ酸が二環式構造を形成するか、または
b)硫黄原子の数が4である場合には、硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化46】
の2回の出現を形成し、それにより、アミノ酸が二環式構造を形成し、
式中、dは、0または1であり、Mは、
【化47】
から選択され、
式中、各R10は、各出現において独立して、Hまたはハロゲンである。
【0120】
別の実施形態では、Mは、
【化48】
である。
【0121】
さらに別の実施形態では、3個のアミノ酸側鎖基は、各出現において独立して、システインまたはホモシステインアミノ酸側鎖基である。
【0122】
さらに別の実施形態では、4個のアミノ酸側鎖基は、各出現において独立して、システインまたはホモシステインアミノ酸側鎖基である。
【0123】
また別の実施形態では、各Jは、各出現において独立して、α-アミノ酸、β-アミノ酸およびβ-アミノ酸から選択される。
【0124】
別の実施形態では、rおよびqは、それぞれ0である。
【0125】
別の実施形態では、Jは、システインおよびアルギニンから独立して選択される。
【0126】
さらに別の実施形態では、3個のJ基は、システインである。
【0127】
さらに別の実施形態では、4個のJ基は、システインである。
【0128】
また別の実施形態では、Lは、-C(O)(CH1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH1~6C(O)である。
【0129】
別の実施形態では、Lは、
【化49】
である。
【0130】
さらに別の実施形態では、Gは、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルからなる群より選択される。
【0131】
また別の実施形態では、Gは、C(O)CHまたはHである。
【0132】
別の実施形態では、Gは、C(O)CHである。
【0133】
別の実施形態では、Gは、Hである。
【0134】
さらに別の実施形態では、Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している。さらなる実施形態では、Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している。
【0135】
別の実施形態では、dは、0である。
【0136】
さらに別の実施形態では、dは、1である。
【0137】
一部の実施形態では、本明細書において記載されているペプチドは、溶媒和されていない。他の実施形態では、ペプチドの1つまたは複数は、溶媒和形態である。当該技術分野において公知の通り、溶媒和物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒のいずれかであり得る。
【0138】
式IIIのペプチドはそれらの中性形態で示されているが、一部の実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩形態で使用される。
【0139】
方法
それを必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、被験体に、式I、IaまたはIbのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法が、本明細書において提供される。
【0140】
したがって、一態様では、それを必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、被験体に、本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法が、本明細書において提供される。
【0141】
一実施形態では、筋疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである。
【0142】
別の実施形態では、ウイルス感染症は、マールブルグウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルスおよびデングウイルスからなる群より選択されるウイルスによって引き起こされる。
【0143】
別の実施形態では、細菌感染症は、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる。
【0144】
本明細書で考慮される被験体は、典型的には、ヒトである。しかしながら、被験体は、処置が所望される任意の哺乳動物であり得る。故に、本明細書において記載されている方法は、ヒトおよび獣医学的適用の両方に適用され得る。
【0145】
投与/用量
治療用組成物の製剤およびそれらのその後の投与(投薬)は、当業者の技量内である。投薬は、処置される疾患状況の重症度および応答性に依存し、処置の経過は、数日間から数か月間、または疾患状況の十分な縮小が達成されるまで継続する。最適な投薬スケジュールは、患者の体内における薬物蓄積の測定から算出することができる。
【0146】
当業者ならば、最適投薬量、投薬方法論および繰り返し率を簡単に決定することができる。最適投薬量は、個々のオリゴマーの相対的効力に応じて変動してよく、概して、in vitroおよびin vivo動物モデルにおいて有効であることが分かっているEC50に基づいて推定することができる。概して、投薬量は、0.01μg~100g/体重1kgであり、1日、1週間、1か月または1年に1回または複数回、またはさらには2~20年ごとに1回、与えられてよい。当業者ならば、体液または組織中における測定された滞留時間および薬物の濃度に基づき、投薬の繰り返し率を簡単に推定することができる。処置成功後、疾患状況の再発を防止するために、患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合があり、オリゴマーは、0.01μg~100g/体重1kgの範囲内の維持用量で、1日に1回または複数回~20年ごとに1回、投与される。
【0147】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチド)は、単独で投与される。
【0148】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、治療有効量または投薬量で投与される。「治療有効量」は、それ単独で患者に投与された場合、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を有効に処置する、式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドの量である。所与の事例において特定の被験体に対して「治療有効量」であることが判明している量は、そのような投薬量が当業者によって「治療有効量」であると考えられているにもかかわらず、検討中の疾患または状態を同様に処置されている被験体の100%には有効でない場合がある。治療有効量に対応するオリゴヌクレオチドの量は、疾患の種類、疾患の段階、処置されている患者の年齢、および他の事実に強く依存する。
【0149】
異なる実施形態では、式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドおよび使用される有効量に応じて、オリゴヌクレオチドは、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症に関与する遺伝子の発現をモジュレートすることができる。
【0150】
式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドの量は、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症の有効な処置をもたらすべきであるが、量は、好ましくは、患者にとって過度に毒性ではない(すなわち、量は、好ましくは、医療ガイドラインによって確立された通りの毒性限界内である)。一部の実施形態では、過度の毒性を防止するまたは筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症のより効果的な処置を提供することのいずれかまたは両方のために、投与される総投薬量に対する限定が提供される。典型的には、本明細書で考慮される量は、1日当たりであるが、半日および2日または3日サイクルも本明細書で考慮される。
【0151】
異なる投薬量レジメンが、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置するために使用されてよい。一部の実施形態では、上述した例示的な投薬量のいずれか等の1日投薬量が、1日に1回、2回、3回、または4回、3、4、5、6、7、8、9、または10日間投与される。処置されている疾患の段階および重症度に応じて、より短い処置時間(例えば、最大5日間)が高い投薬量とともに用いられてよく、またはより長い処置時間(例えば、10またはそれよりも多い日数、または週数、または月数、またはそれよりも長い)が低い投薬量とともに用いられてよい。一部の実施形態では、1日に1回または2回の投薬量は、1日おきに投与される。
【0152】
式IIおよびIIaのオリゴヌクレオチドまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物形態は、純粋な形態でまたは適切な医薬組成物で、当該技術分野において公知の許容される投与モードまたは作用物質のいずれかを介して投与され得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、経口的に、鼻に、非経口的に(静脈内、筋肉内または皮下)、局所的に、経皮的に、膣内に、膀胱内に、大槽内にまたは直腸的に、投与され得る。剤形は、例えば、固体、半固体、凍結乾燥粉末または液体剤形、例えば、錠剤、丸剤、軟質弾性または硬質ゼラチンカプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、坐剤、エアゾール剤等、例えば、正確な投薬量の単純な投与に好適な単位剤形であり得る。特定の投与経路は、経口、特に、好都合な1日投薬量レジメンを、処置される疾患の重症度に従って調整することができるものである。
【0153】
助剤およびアジュバント剤は、例えば、保存剤、湿潤剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着香剤、乳化剤および分注剤(dispensing agent)を含んでよい。微生物の活動の防止は、概して、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等、種々の抗菌および抗真菌剤によって提供される。糖、塩化ナトリウム等の等張剤も含まれてよい。注射可能薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。助剤は、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤および酸化防止剤、例えば、クエン酸、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチル化ヒドロキシトルエン等も含むことができる。
【0154】
固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティングおよび当該技術分野において周知である他のものを用いて調製することができる。これらは、乳白剤を含有することができ、腸管のある特定の部分において活性オリゴヌクレオチド(単数または複数)を遅延方式で放出するような組成のものであり得る。使用され得る包理組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスである。活性オリゴヌクレオチドは、適切ならば、上で言及した賦形剤の1つまたは複数を加えたマイクロカプセル化形態であることもできる。
【0155】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。そのような剤形は、例えば、本明細書において記載されているHDAC阻害剤もしくはレチノイン酸または薬学的に許容されるその塩および必要に応じた薬学的アジュバントを、担体、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等;可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド;油、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル;またはこれらの物質の混合物等に、溶解する、分散する等して、それにより、溶液または懸濁液を形成することによって、調製される。
【0156】
概して、意図される投与モードに応じて、薬学的に許容される組成物は、約1重量%~約99重量%の本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドまたは薬学的に許容されるその塩および99重量%~1重量%の薬学的に許容される賦形剤を含有することになる。一例では、組成物は、約5重量%~約75重量%の間の本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドまたは薬学的に許容されるその塩となり、残りは、好適な薬学的賦形剤である。
【0157】
そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明らかとなるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990)を参照されたい。
【0158】
キット
他の実施形態では、キットが提供される。本開示に従うキットは、本開示のオリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは組成物を含む、パッケージを含む。一部の実施形態では、キットは、式I、IaもしくはIbに従うペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩を含む。他の実施形態では、キットは、式IIもしくはIIaに従うオリゴヌクレオチド、または薬学的に許容されるその塩を含む。また他の実施形態では、キットは、式IIIに従うペプチド、または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0159】
語句「パッケージ」は、本明細書において提示されるオリゴヌクレオチドまたは組成物を含有する任意の容器を意味する。一部の実施形態では、パッケージは、箱または包装紙であり得る。薬学的製品を包装する際に使用するための包装材料は、当業者に周知である。薬学的包装材料の例は、ボトル、管、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、コンテナ、シリンジ、ボトル、ならびに、選択された製剤ならびに意図される投与モードおよび処置に好適な任意の包装材料を含むがこれらに限定されない。
【0160】
キットは、パッケージ内に含有されていないがパッケージの外側に付着している物品、例えばピペットも含有することができる。
【0161】
キットは、本開示のオリゴヌクレオチドまたは組成物を患者に投与するための指示をさらに含有することができる。キットは、米国食品医薬品局等の規制機関によって承認された本明細書におけるオリゴヌクレオチドの使用の指示も含むことができる。キットは、オリゴヌクレオチドについてのラベリングまたは製品添付文書も含有することができる。パッケージもしくは任意の製品添付文書または両方は、それら自体が規制機関によって承認されてよい。キットは、パッケージ内に、固相または液相(提供される緩衝液等)のオリゴヌクレオチドを含むことができる。キットは、方法を行うために溶液を調製するための緩衝液、および液体を1つのコンテナから別のコンテナへ移すためのピペットも含むことができる。
【実施例
【0162】
例証を目的としておよび本開示のある特定の具体的な実施形態を記載するために、実施例が以下で明記されている。しかしながら、特許請求の範囲は、本明細書において明記されている実施例によって決して限定されるものではない。開示されている実施形態への種々の変更および修正は、当業者に明らかであろうし、限定なく、本開示の化学構造、置換基、誘導体、製剤または方法に関連するものを含むそのような変更および修正は、本開示の趣旨および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、為され得る。本明細書におけるスキーム内の構造における変数の定義は、本明細書において提示される式中の対応する位置のものに見合っている。
【0163】
(実施例1)
ペプチド調製および精製のための一般的方法
高速流動ペプチド合成
ペプチドは、自動流動ペプチド合成装置を使用して0.1mmolスケールで合成した。ChemMatrix Rink Amide HYR樹脂(200mg)を、90℃で維持した反応器にロードした。すべての試薬を、90℃で維持したステンレス鋼ループに通すHPLCポンプを用いて80mL/分で流した後、反応器に導入した。各カップリングについて、DMF中0.2Mアミノ酸および0.2M HATUを含有する10mLの溶液を、200μLのジイソプロピルエチルアミンと混合し、反応器に送達した。10.4mLの20%(v/v)ピペリジンを使用して、Fmoc除去を遂行した。各ステップの間に、15mLのDMFを使用して、反応器を洗い流した。最終カップリングはアミノ酸ではなく4-ペンチン酸とであったが、同じ条件を使用した。合成の完了後、樹脂をDCMで3回洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0164】
ペプチド開裂および脱保護
各ペプチドを、6mLのReagent K(82.5%トリフルオロ酢酸、5%フェノール、5%水、5%チオアニソールおよび2.5% 1,2-エタンジチオール(EDT))での処理による同時包括的な側鎖脱保護および樹脂からの開裂に供した。開裂物を室温で16時間放置して、Pbfの完全な除去を確実にした。開裂カクテルを濾過して樹脂を除去し、N2を混合物に吹き込むことによって、蒸発させた。次いで、約35mLの冷エーテルを添加し、粗生成物を、3分間の遠心分離を通してペレット化した。このエーテル研和および遠心分離をもう2回繰り返した。第3の洗浄の後、ペレットを50%水および50%アセトニトリルに再溶解し、凍結乾燥した。
【0165】
ペプチド精製
溶媒A:0.1%TFAを含有する水
溶媒B:0.1%TFAを含有するアセトニトリル
凍結乾燥したペプチドを、最小体積の移動相(95%A、5%B)に溶解した。溶液を、質量ベースの精製システムに付着させた逆相HPLCカラム(Agilent Zorbax SB C18カラム:9.4×250mm、5μmまたはAgilent Zorbax SB C3カラム:9.4×250mm、5μm)にロードした。線形勾配は0.5%B/分で5%Bから55%Bまで実行した。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度をLC-MSによって確認した。
【0166】
実施例1のプロトコールを使用して、表2のペプチドを合成した。
【表2】
【0167】
(実施例2)
1aおよび2aの合成
【化50】
ペプチド1(28mg、10μmol)または2(20mg、12μmol)をDMFに溶解し、DMFおよびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)中のデカフルオロビフェニルのストック溶液を、1mMペプチド、100mMデカフルオロビフェニルおよび50mM DIEAの反応容器における最終濃度のために添加した。2時間後、DMFを回転蒸発によって除去して、1mLの最終体積とし、2%TFAを含有する39mLの85:15 水:アセトニトリルを添加することによって、反応物をクエンチした。粗反応物を遠心分離し、濾過し、質量指向(mass-directed)半分取逆相HPLCによって上述した通りに精製して、1a(13mg、35%)または2a(11mg、35%)を得た。
【0168】
(実施例3)
1bおよび2bの合成
【化51】
精製したペプチド1a(10mg、2.56μmol)または2a(5mg、1.9μmol)をDMFに溶解し、反応容器における最終濃度が、1mMペプチド、1mM 1,3,5-ベンゼントリチオールおよび50mM DIEAとなるように、DMFおよびDIEA中の1,3,5-ベンゼントリチオールのストック溶液を添加した。粗反応物を、質量指向半分取逆相HPLC(Agilent Zorbax SB C3カラム:9.4×250mm、5μm)によって精製した。2時間後、DMFを回転蒸発によって除去して、1mLの最終体積とし、2%TFAを含有する39mLの85:15 水:アセトニトリルを添加することによって、反応物をクエンチした。粗反応物を質量指向半分取逆相HPLCによって上述した通りに精製して、1b(6.4mg、62%)または2b(1.8mg、35%)を得た。
【0169】
(実施例4)
直交脱保護を使用する3bの合成
【化52】
ペプチド3は、tert-ブチルチオール保護システインをシステイン残基1および2に組み込んだこと、ならびにトリチル保護システインをシステイン残基3および4に組み込んだことを除き、標準的な自動流動化学を使用して合成した。開裂および脱保護の後、ペプチドを逆相HPLCによって精製した。実施例3に類似する手順を使用して、ペプチドを大環状化(macrocyclize)した。ペプチド(1mM)を水中のDTT(50mM)およびトリス(25mM pH8)とともにインキュベートすることによって、tert-ブチルチオール保護システイン残基1および2を脱保護した。残留DTTを除去するための固相抽出(SPE)後、実施例3に類似する手順を使用して、残り2つの遊離システイン残基を大環状化した。
【0170】
(実施例5)
制御二環化を使用する3bの合成
【化53】
3aの合成のための手順
ペプチド3は、tert-ブチルチオール保護システインをシステイン残基1および3に組み込んだこと、ならびにトリチル保護システインをシステイン残基2および4に組み込んだことを除き、200mgの樹脂を使用する標準的な自動流動化学を使用して合成した。tert-ブチルチオール基は、0.25mLのDIEAを加えた2.5mLのDMF中の3.8mmol DTTを使用し、樹脂上で脱保護した。反応を60℃で20分間進めた。樹脂をDMFで3回洗浄し、続いて、デカフルオロビフェニル(1mmol)を2.5mLのDMFおよび0.25mLのDIEAとともに添加した。反応を室温で2時間進め、次いで、樹脂をDMF(3×)およびDCM(3×)で洗浄した。次いで、ペプチドを樹脂から開裂し、通常通りに精製して、3aを得た。
【0171】
二環3b制御二環化の合成のための手順
ペプチド3a(15mg、4μmol、6配位TFA塩と仮定する)を4mLのDMFに懸濁した。ニートのDIEA(35.4μL)を添加して、50mMの濃度を達成した。反応を5分間進めさせ、その後、完全変換が観察される。DMFを回転蒸発によって除去して、1mLの最終体積とし、2%TFAを含有する39mLの水を添加することによって、反応物をクエンチした。反応物を質量指向半分取逆相HPLCによって精製して、ペプチド3b(12.0mg、81%収率)を得た。
【0172】
(実施例6)
6cの合成
【化54】
ペプチド6は、tert-ブチルチオール保護システインをシステイン残基1に組み込んだこと、およびトリチル保護システインをシステイン残基2に組み込んだことを除き、200mgの樹脂を使用する標準的な自動流動化学を使用して合成した。tert-ブチル基は、0.25mLのDIEAを加えた2.5mLのDMF中の3.8mmol DTTを使用し、樹脂上で脱保護した。反応を60℃で20分間進めた。樹脂をDMFで3回洗浄し、続いて、デカフルオロビフェニル(1mmol)を2.5mLのDMFおよび0.25mLのDIEAとともに添加した。反応を室温で2時間進め、次いで、樹脂をDMF(3×)およびDCM(3×)で洗浄した。次いで、ペプチドを樹脂から開裂し、通常通りに精製して、モノアリール6aを得た。
【0173】
ペプチド(12mg、3.9μmol、6配位TFA塩と仮定する)を3.9mLのDMFに懸濁することによって、ペプチド6aを大環状化した。ニートのDIEA(33.8μL)を添加して、50mMの濃度を達成した。反応を5分間進めさせ、その後、完全変換が観察された。DMFを回転蒸発によって除去して、1mLの最終体積とし、2%TFAを含有する39mLの水を添加することによって、反応物をクエンチした。反応物を質量指向半分取逆相HPLCによって精製して、ペプチド6c(8.4mg、88%収率)を得た。
【0174】
(実施例6)
ペプチドコンジュゲーション
【化55】
5-アジドペンタン酸をPMOにカップリングするための手順
PMO IVS-654(R=5’-GCT ATT ACC TTA ACC CAG-3’;z=18)(200mg、32μmol)を、600μLのDMSOに溶解した。溶液に、244μLのDMF中のHBTU(320μLのDMF中0.4M HBTU、128μmol)およびDIEA(22.3μL、128μmol)で活性化させた4当量の5-アジドペンタン酸(13.6μL、128μmol)を含有する溶液を添加した(最終反応体積=1.2mL)。反応を25分間進めた後、1mLの水および2mLの水酸化アンモニウムでクエンチした。水酸化アンモニウムは、反応過程中に形成されたあらゆるエステルを加水分解する。1時間後、溶液を40mLに希釈し、逆相HPLC(Agilent Zorbax SB C3カラム:21.2×100mm、5μm)および58分間かけて(1%B/分)2から60%Bまでの線形勾配(溶媒A:水;溶媒B:アセトニトリル)を使用して精製した。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度をLC-MSによって確認した。凍結乾燥により、171mgの乾燥粉末(84%収率)を得た。
【0175】
アジド/アルキンヒュスゲン環化付加によるPMO-ペプチドコンジュゲーションのための一般的手順
セプタムキャップ付きの20mLのシンチレーションバイアルに、ペプチドアルキン(1.1μmol)、ISV2-654アジド(0.95μmol)および臭化銅(0.05mmol)を投入した。バイアルを窒素で5分間パージして、酸素の除去を確実にした後、セプタムを通して約1mLのDMFを添加した。反応混合物を1分間ボルテックスした。2時間後、反応混合物を10mLの50mMトリス(pH8)で希釈し、逆相HPLCカラム(Agilent Zorbax SB C3 9.4×50mm、5μm)にロードした。20分間かけて5~45%Bの線形勾配を使用して、クロマトグラフィーを実施した。溶媒A:水中5mM酢酸アンモニウム、pH=8;溶媒B:90%アセトニトリル 10%水中5mM酢酸アンモニウム pH=8。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度をLC-MSによって確認した。
【0176】
(実施例7)
タンパク質分解アッセイ
各ペプチドについて、19.6μLのPBS、0.2μLのトリプシン(1mM HCl中0.005mg/mLストック溶液)および0.2μLのペプチド(1mM DMSOストック溶液)を、PCR管中で合わせた。得られた反応混合物をキャップし、37℃でインキュベートした。各時点で、1.0μLの粗反応物をLC-MSバイアルに移し、0.1%TFAを含有する99μLの50:50 水:アセトニトリルの添加によってクエンチした。1.0μLのクエンチした反応物を、Agilent 6550 iFunnel Q-TOF MSに注入した。時点は、t=0分、20分、40分および60分で取った。+5電荷状態m/zについて抽出イオン電流(EIC)を、MassHunterソフトウェアを使用して分析した。EICピークを積分し、インタクトなペプチドのパーセントを、(EICt/EICt)×100[式中、EICtは所与の時点におけるピーク積分であり、EICtは時刻t=0におけるピーク積分である]によって決定した。結果を図2に示す。
【0177】
(実施例8)
EGFP-654マウスにおけるペプチド-PMOコンジュゲートのin vivo投与
in vivoアンチセンス活性についてのeGFPベースのアッセイを使用して、修飾されたサブユニット間連結を含むオリゴマーを評価した。eGFP-654導入遺伝子が体全体に均一に発現されているトランスジェニックeGFPマウスモデルについては、以前に記載されている。このモデルは、本発明の修飾されたオリゴマーが異常なスプライシングをブロックし、修飾され強化された緑色蛍光タンパク質(eGFP)プレmRNAの正しいスプライシングを回復する、活性のためのスプライシングアッセイを使用する。このアプローチにおいて、各オリゴマーのアンチセンス活性は、eGFPレポーターの上方調節に直接比例する。結果として、同じオリゴマーの機能的効果を、ほとんどすべての組織においてモニターすることができる。これは、その発現がある特定の組織のみに制限されているまたは表現型的に関連している遺伝子を標的化するオリゴマーとは対照的である。eGFP-654マウスにおいて、プレmRNAはすべての組織において容易に検出可能であったが、骨髄、皮膚および脳においてはより少量が見られた。翻訳されたeGFPのレベルは、アンチセンスオリゴマーの効力および作用部位におけるそれらの濃度に比例する。種々の組織から単離された全RNAのRT-PCRは、調査したすべての組織におけるeGFP-654転写物の発現を示した。
【0178】
この実施例において記載される具体的なペプチド-PMOコンジュゲートは、PMO-IVS2-654(実施例6において記載されている)にカップリングされた環式および二環式ペプチドである。
【0179】
eGFP導入遺伝子を標的化するこれらのペプチド-PMOコンジュゲートを、定位固定装置(tereotaxis apparatus)を使用する単一の脳室内(intracebreroventricular)(ICV)注射によって、EGFP-654マウスの左側脳室に投与した。用量は、すべてのマウスについて5mg/kgからなるか、またはある用量範囲にまたがるものであった。注射2週間後、マウスを安楽死させ、脳を除去し、正中線で矢状に、左右の半球に半分に切断した。切断表面を下向きにフラットベッドプラテンに置くことによって、各半球をTyphoon Trio(GE)で画像化した。eGFP蛍光を励起する488nmレーザーを使用して、スキャンを収集した。得られた画像をImageQuantソフトウェア(GE)で分析して、各半球の蛍光強度を定量化した。各半球内の検出された全蛍光強度を、その半球中に存在するピクセル数で割って、脳の各半分について面積非依存的平均蛍光値を得た。処置群における各生存動物の活性の結果を、散布図上の点として表現する。群の平均蛍光は、水平線、+/-SDによって示される。
【0180】
図1は、PMO-IVS2-654(実施例6において記載されている)にカップリングされた環式および二環式ペプチドが、細胞エクソンスキッピングアッセイにおいて活性の増大を実証することを示す。IVS2-654は、変異したeGFPプレmRNAのスプライシングを訂正する。スプライス訂正の増大は、蛍光の増大につながる。結果は、コンジュゲートされていないIVS2-654PMOに対して正規化したものである。
【0181】
参照による組み込み
本出願全体を通して引用されるすべての参考文献(文献参照、発行済み特許、公開された特許出願および同時係属中の特許出願を含む)の内容は、これによりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者に一般的に公知の意味と一致する。
【0182】
均等物
当業者ならば、日常実験以上のものを使用することなく、本明細書において記載されている開示の具体的な実施形態の多くの均等物を認識または解明することができるであろう。そのような均等物は、下記の特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化56】

または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
A’は、-NHCH C(O)NH 、-N(C 1~6 -アルキル)CH C(O)NH
【化57】

から選択され、式中、
は、-C(O)(O-アルキル) -OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、C 2~6 -アルキルであるか、またはR は、-C(O)C 1~6 -アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C 1~6 -アルキル)R 、-(C 1~6 -へテロアルキル)-R 、アリール-R 、ヘテロアリール-R 、-C(O)O-(C 1~6 -アルキル)-R 、-C(O)O-アリール-R 、-C(O)O-ヘテロアリール-R 、および
【化58】

から選択され、
式中、R は、OH、SHおよびNH から選択されるか、またはR は、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SもしくはNHであり、
各R は、OHおよび-NR から独立して選択され、各R およびR は、各出現において独立して、-C 1~6 -アルキルであり、
各R は、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基から独立して選択され、前記核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC 3~6 -複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
E’は、H、-C 1~6 -アルキル、-C(O)C 1~6 -アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化59】

から選択され、式中、
Qは、-C(O)(CH C(O)-または-C(O)(CH (CH C(O)-であり、
は、-(CH OC(O)N(R であり、R は、-(CH NHC(=NH)NH であり、
Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH 1~6 -C 1~6 -ヘテロ芳香族-(CH 1~6 C(O)であり、
tは、4~16であり、
各Jは、各出現において独立して、構造
【化60】

のアミノ酸から選択され、
式中、
rおよびqは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
各R は、各出現において独立して、H、アミノ酸側鎖、および保護基で官能基化されたアミノ酸側鎖から選択され、
の3または4個のアミノ酸側鎖は、各出現において独立して、硫黄原子を含み、
a)硫黄原子の数が3である場合には、前記硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化61】

を形成し、それにより、前記アミノ酸が二環式構造を形成するか、または
b)硫黄原子の数が4である場合には、前記硫黄原子は、それらが付着している原子と一緒になって、構造
【化62】

の2回の出現を形成し、それにより、前記アミノ酸が二環式構造を形成し、
式中、dは、0または1であり、Mは、
【化63】

から選択され、
式中、各R 10 は、各出現において独立して、Hまたはハロゲンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、-C(O)C 1~6 -アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
下記の条件の少なくとも1つが真である:
1)A’は、
【化64】

であるか、または2)E’は、
【化65】

である、
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩。
(項目2)
A’が、-N(C 1~6 -アルキル)CH C(O)NH
【化66】

から選択される、項目1に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目3)
E’が、H、-C(O)CH 、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチル、および
【化67】

から選択される、項目1から2のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目4)
前記式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、
【化68】

から選択されるペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートであり、式中、E’は、H、C 1~6 -アルキル、-C(O)CH 、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される、項目1に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目5)
式(Ia)のものである、項目1または4に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目6)
式(Ib)のものである、項目1または4に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目7)
各R 10 が、フッ素である、項目1から6のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目8)
Mが、
【化69】

である、項目1から7のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目9)
各Jが、システインおよびアルギニンから独立して選択される、項目1から8のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目10)
3個のJ基が、システインである、項目1から9のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目11)
4個のJ基が、システインである、項目1から10のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目12)
各R が、N(CH である、項目1から11のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目13)
各R が、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基である、項目1から12のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目14)
Lが、-C(O)(CH 1~6 -トリアゾール-(CH 1~6 C(O)-である、項目1から13のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目15)
Lが、
【化70】

である、項目1から14のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目16)
Gが、H、C(O)CH 、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される、項目1から15のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目17)
Gが、Hである、項目1から16のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目18)
dが、1である、項目1から17に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目19)
dが、0である、項目1から18のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目20)
以下:
【化71】

が、
【化72】

から選択される、項目1から19のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩であって、
式中、Rは、アルギニンであり、Cは、システインであり、
Gは、H、C(O)CH 、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、Gは、前記ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している、
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目21)
以下:
【化73】

から選択される、項目1から18および20のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩であって、
式中、
Gは、Hまたは-C(O)CH であり、Gは、前記ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合しており、
Cは、システインであり、
Rは、アルギニンであり、
は、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基であり、
zは、8~40である、
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目22)
項目1から21のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
(項目23)
筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症の処置を必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、前記被験体に、項目1から21のいずれか一項に記載の化合物または項目22に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目24)
前記筋疾患が、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記ウイルス感染症が、マールブルグウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルスおよびデングウイルスからなる群より選択されるウイルスによって引き起こされる、項目23に記載の方法。
図1
図2
【配列表】
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