(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】異物摘出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/50 20060101AFI20230927BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20230927BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61B17/50
A61B17/24
A61B17/29
(21)【出願番号】P 2020528469
(86)(22)【出願日】2018-12-01
(86)【国際出願番号】 US2018063524
(87)【国際公開番号】W WO2019109060
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-08
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504318142
【氏名又は名称】アリゾナ ボード オブ リージェンツ オン ビハーフ オブ アリゾナ ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラマー,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,クリスタル
(72)【発明者】
【氏名】ピナ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ドレーゲル,エリック
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/018445(WO,A1)
【文献】特開平8-56951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0066047(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0327876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 - 17/221
A61B 17/24
A61B 17/29
A61B 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摘出器装置であって、
カテーテルと、
駆動ワイヤと、
ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、前記駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、前記ハンドルは
前記カテーテルの第1の端部に連結され、前記駆動スライドは
、前記カテーテルの内部に少なくとも部分的に設けられた前記駆動ワイヤの第1の端部に連結され、前記駆動ワイヤは、前記カテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルと、
前記駆動ワイヤの前記第1の端部から遠位の、前記駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器であって、前記把持器はずらされた長さの4つの非中空のアームを含み、各アームは前記駆動ワイヤに連結された第1の端部と、前記駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有し、各アームの前記第2の端部は開口を含み、前記把持器は、前記把持器が前記カテーテルの第2の端部に近接して前記カテーテルの内部に位置する収容位置であって、前記把持器の前記アームは内向きに圧潰され、前記駆動スライドは前記引込み位置にある、収容位置と、前記把持器が前記カテーテルの外側に位置する開位置であって、前記アームは外向きに延ばされ、前記駆動スライドは前記引出し位置にある、開位置と、の間を、前記駆動ワイヤを介して前記駆動スライドによって移動可能である、把持器と、
前記ハンドル本体にスライド可能に連結され、前記カテーテルの前記第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、
第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーであって、前記制御ファイバーの前記第1の端部及び前記第2の端部の両方が前記制御リングに取り付けられ、前記制御ファイバーは前記カテーテルの前記第1の端部から前記把持器へ前記カテーテルの前記内部を下って延び、前記4つのアームの第1のアームの前記第2の端部の前記開口を通り抜け、そして、前記制御ファイバーは前記4つのアームの各後続のアームの前記開口を通り抜け、前記把持器が前記開位置にあるときに前記把持器の前記アーム間にループが形成されるように前記第1のアームの前記開口を再び通り抜け、その後、前記制御ファイバーは前記カテーテルの前記第2の端部から前記カテーテルの前記第1の端部へ前記カテーテルの前記内部を上って延びる、制御ファイバーと、を備え、
各アームは、前記駆動ワイヤの前記第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、前記駆動ワイヤの前記第2の端部の中心軸から離れるように付勢され、
前記把持器が前記開位置にある間に前記制御リングを前記中立位置から離れるように引くことは、前記ループを引き締め、前記アームの前記第2の端部を前記中心軸に向けて撓ませ、前記把持器を捕捉位置にすることによって、前記把持器が前記開位置にあった間に前記ループを通って受容された異物を前記アーム間に捉え、
前記把持器の各アームについて、前記開口は前記アームの前記第2の端部を曲げることから形成される小穴である、摘出器装置。
【請求項2】
前記把持器は前記異物を受容するための開口部と、頂点と、を有する円錐形ネットをさらに含み、前記アームの前記第2の端部における制御ファイバーの前記ループは、前記開口部に近接して、前記円錐形ネットを通って織り込まれており、前記円錐形ネットの前記頂点は、前記把持器の前記アームの前記第1の端部に近接している、請求項1に記載の摘出器装置。
【請求項3】
前記把持器が前記開位置にあって前記カテーテルの前記第2の端部から外に引き出されているときに、前記円錐形ネットの前記頂点は前記カテーテルの前記第2の端部と前記異物を受容するための前記開口部との間にある、請求項2に記載の摘出器装置。
【請求項4】
前記把持器の各アームについて、前記開口は前記アームの前記第2の端部を内向きに曲げて小穴を形成することから形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の摘出器装置。
【請求項5】
摘出器装置であって、
カテーテルと、
駆動ワイヤと、
ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、前記駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、前記ハンドルは
前記カテーテルの第1の端部に連結され、前記駆動スライドは
前記カテーテルの内部に少なくとも部分的に設けられた前記駆動ワイヤの第1の端部に連結され、前記駆動ワイヤは、前記カテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルと、
前記駆動ワイヤの前記第1の端部から遠位の、前記駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器であって、前記把持器はずらされた長さの少なくとも3つの非中空のアームを含み、各アームは前記駆動ワイヤに連結された第1の端部と、前記駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有し、各アームの前記第2の端部は開口を含み、前記把持器は、前記把持器が前記カテーテルの第2の端部に近接して前記カテーテルの内部に位置する収容位置であって、前記把持器の前記アームは内向きに圧潰され、前記駆動スライドは前記引込み位置にある、収容位置と、前記把持器が前記カテーテルの外側に位置する開位置であって、前記アームは外向きに延ばされ、前記駆動スライドは前記引出し位置にある、開位置と、の間を、前記駆動ワイヤを介して前記駆動スライドによって移動可能である、把持器と、
前記ハンドル本体にスライド可能に連結され、前記カテーテルの前記第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、
第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーであって、前記制御ファイバーの前記第1の端部および前記第2の端部の両方が前記制御リングに取り付けられ、前記制御ファイバーは前記カテーテルの前記第1の端部から前記把持器へ前記カテーテルの前記内部を下って延び、前記少なくとも3つのアームの第1のアームの前記第2の端部において前記開口を通り抜け、そして、前記制御ファイバーは前記少なくとも3つのアームの各後続のアームの前記開口を通り抜け、前記把持器が前記開位置にあるときに前記把持器の前記アーム間にループが形成されるように前記第1のアームの前記開口を再び通り抜け、その後、前記制御ファイバーは前記カテーテルの前記第2の端部から前記カテーテルの前記第1の端部へ前記カテーテルの前記内部を上って延びる、制御ファイバーと、を備え、
各アームは、前記駆動ワイヤの前記第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、前記駆動ワイヤの前記第2の端部の中心軸から離れるように付勢され、
前記把持器が前記開位置にある間に前記制御リングを前記中立位置から離れるように引くことは、前記ループを引き締め、前記アームの前記第2の端部を前記中心軸に向けて撓ませ、前記把持器を捕捉位置にすることによって、前記把持器が前記開位置にあった間に前記ループを通って受容された異物を前記アーム間に捉える、摘出器装置。
【請求項6】
前記把持器の各アームについて、前記開口は前記アームの前記第2の端部を曲げることから形成される小穴である、請求項5に記載の摘出器装置。
【請求項7】
前記把持器の各アームについて、前記小穴は、前記アームの前記第2の端部を内向きに曲げることから形成される、請求項6に記載の摘出器装置。
【請求項8】
前記把持器の各アームについて、前記開口は前記アームの前記第2の端部を通り抜ける孔である、請求項5に記載の摘出器装置。
【請求項9】
前記把持器は前記異物を受容するための開口部と、頂点と、を有する円錐形ネットをさらに含み、前記アームの前記第2の端部における制御ファイバーの前記ループは、前記開口部に近接して前記円錐形ネットを通って織り込まれており、前記円錐形ネットの前記頂点は、前記把持器の前記アームの前記第1の端部に近接している、請求項5~8のいずれか1項に記載の摘出器装置。
【請求項10】
摘出器装置であって、
カテーテルと、
駆動ワイヤと、
ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、前記駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、前記ハンドルは
前記カテーテルの第1の端部に連結され、前記駆動スライドは
前記カテーテルの内部に少なくとも部分的に設けられた前記駆動ワイヤの第1の端部に連結され、前記駆動ワイヤは、前記カテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルと、
前記駆動ワイヤの前記第1の端部から遠位の前記駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器であって、前記把持器はずらされた長さの
少なくとも3つの非中空のアームを含み、各アームは前記駆動ワイヤに連結された第1の端部と、前記駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有し、前記把持器は、前記把持器が前記カテーテルの第2の端部に近接して前記カテーテルの内部に位置する収容位置であって、前記把持器の前記アームは内向きに圧潰され、前記駆動スライドは前記引込み位置にある、収容位置と、前記把持器が前記カテーテルの外側に位置する開位置であって、前記アームは外向きに延ばされ、前記駆動スライドは前記引出し位置にある、開位置と、の間を、前記駆動ワイヤを介して前記駆動スライドによって移動可能である、把持器と、
前記ハンドル本体にスライド可能に連結され、前記カテーテルの前記第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、
第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーであって、前記制御ファイバーの前記第1の端部および前記第2の端部の両方が前記制御リングに取り付けられ、前記制御ファイバーは前記カテーテルの前記第1の端部から前記把持器へ前記カテーテルの前記内部を下って延び、前記
少なくとも3つのアームの第1のアームの前記第2の端部にスライド可能に連結され、また、前記制御ファイバーは前記
少なくとも3つのアームの各後続のアームの前記第2の端部にスライド可能にも連結され、前記把持器が前記開位置にあるときに前記把持器の前記アーム間にループが形成されるように前記第1のアームの前記第2の端部に
スライド可能に再び連結され、その後、前記制御ファイバーは前記カテーテルの前記第2の端部から前記カテーテルの前記第1の端部へ前記カテーテルの前記内部を上って延びる、制御ファイバーと、を備え、
各アームは、前記駆動ワイヤの前記第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、前記駆動ワイヤの前記第2の端部の中心軸から離れるように付勢され、
前記把持器が前記開位置にある間に前記制御リングを前記中立位置から離れるように引くことは、前記ループを引き締め、前記アームの前記第2の端部を前記中心軸に向けて撓ませ、前記把持器を捕捉位置にすることによって、前記把持器が開位置にあった間に前記ループを通って受容された異物を前記アーム間に捉える、摘出器装置。
【請求項11】
前記
少なくとも3つのアームの各アームについて、前記第2の端部は開口を含み、前記制御ファイバーは前記開口を通り抜けることによって前記第2の端部にスライド可能に連結され、前記制御ファイバーは前記第1のアームの前記開口を2回通り抜ける、請求項10に記載の摘出器装置。
【請求項12】
前記把持器の各アームについて、前記開口は前記アームの前記第2の端部を曲げることから形成される小穴である、請求項11に記載の摘出器装置。
【請求項13】
前記把持器の各アームについて、前記小穴は、前記アームの前記第2の端部を内向きに曲げることから形成される、請求項12に記載の摘出器装置。
【請求項14】
前記把持器の各アームについて、前記開口は前記アームの前記第2の端部を通り抜ける孔である、請求項11に記載の摘出器装置。
【請求項15】
前記把持器は前記異物を受容するための開口部と、頂点と、を有する円錐形ネットをさらに含み、前記アームの前記第2の端部における制御ファイバーの前記ループは、前記開口部に近接して前記円錐形ネットを通って織り込まれており、前記円錐形ネットの前記頂点は、前記把持器の前記アームの前記第1の端部に近接している、請求項10~14のいずれか1項に記載の摘出器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月1日に出願された米国仮特許出願第62/593,387号の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本文書の態様は、一般的に、異物を除去するための摘出器装置に関する。
【背景技術】
【0003】
食道への食物の塊の固着の推定年間発生率は、100000人あたり13件である(GIE)。食物による閉塞の一般的な原因としては、好酸球性食道炎、食道狭窄、および食道の広汎性の運動異常を含む。胃腸異物摘出装置における現在の制限のために、食道への食物の固着の除去に30~90分かかり、9つあまりの装置を必要とし得る。消化器学者は、内視鏡および摘出装置で口を通して食道から食物の塊の固着を除去しなければならない。摘出装置は、しばしば、食物物質の破砕を引き起こし、したがって、内視鏡を複数回通過させること、および/または複数回の摘出試行を必要とし、これは処置時間全体を増加させる。結果的にこれは肺吸引(すなわち、肺に物質が入ること)、気道障害、および/または食道穿孔のリスクを増加させる。
【0004】
多くの従来の摘出装置は、カテーテルの端部から延びるプロングを利用し、フックを使用して食物を掴んで引き抜く。これらの装置は、塊への比較的明確な手法を医者に提供する一方で、組織の損傷を引き起こし、塊を頻繁に破砕し、処置時間、肺吸引のリスク、および食道穿孔を増加させ得る。他の摘出装置は、食道から塊を掬い取るネットが付いたバスケットを利用する。これらの装置は、しばしば、破砕および可能性のある肺吸引のリスクを減少させるためにネットを利用するが、使用に際して、装置が塊の後ろに周って曲がることが必要であり、これは、塊に簡単にさらなる衝撃を与え得る困難な処置であり、摘出をさらに困難にする。また、バスケットタイプの装置は、1度きりの使用用途であっても、あまり耐久性がない。
【0005】
また、従来の摘出装置は、適切な技術の開発を必要とし、しばしば、捕捉機構と、異物に向かって、または異物を通り過すぎる前進移動との同時動作を必要とし、これらのチャネルのうちの1つにおけるタイミングの悪さ、または過度の移動は不良の結果をもたらし得る。
【発明の概要】
【0006】
1つの態様によると、摘出器装置は、ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、ハンドルはカテーテルの第1の端部に連結され、駆動スライドはカテーテルの内部で駆動ワイヤの第1の端部に連結され、駆動ワイヤはカテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルを備える。摘出器装置は、駆動ワイヤの第1の端部から遠位の、駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器であって、把持器はずらされた長さの4つのアームを含み、各アームは駆動ワイヤに連結された第1の端部と、駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有する、把持器をさらに備える。各アームの第2の端部は開口を含み、把持器は、把持器がカテーテルの第2の端部に近接してカテーテルの内部に位置する収容位置であって、把持器のアームは内向きに圧潰され、駆動スライドは引込み位置にある、収容位置と、把持器がカテーテルの外側に位置する開位置であって、アームは外向きに延ばされ、駆動スライドは引出し位置にある、開位置と、の間を、駆動ワイヤを介して駆動スライドによって移動可能である。摘出器装置は、ハンドル本体にスライド可能に連結され、カテーテルの第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、各々が制御リングに連結された第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーであって、制御ファイバーはカテーテルの第1の端部から把持器へカテーテルの内部を下って延び、4つのアームの第1のアームの第2の端部において開口を通り抜け、そして、ファイバーは4つのアームの各後続のアームの開口を通り抜け、把持器が開位置にあるときに把持器のアーム間にループが形成されるように第1のアームの開口を再び通り抜け、その後、制御ファイバーはカテーテルの第2の端部からカテーテルの第1の端部へカテーテルの内部を上って延びる、制御ファイバーと、も備える。各アームは、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から離れるように付勢される。把持器が開位置にある間に制御リングを中立位置から離れるように引くことは、ループを引き締め、アームの第2の端部を中心軸に向けて撓ませ、把持器を捕捉位置にすることによって、把持器が開位置にあった間にループを通って受容された異物をアーム間に捉える。最後に、把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を曲げることから形成される小穴である。
【0007】
特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。把持器は異物を受容するための開口部と、頂点と、を有する円錐形ネットをさらに含んでもよい。アームの第2の端部における制御ファイバーのループは、開口部に近接して、円錐形ネットを通って織り込まれていてもよい。円錐形ネットの頂点は、把持器のアームの第1の端部に近接していてもよい。ネットの頂点はカテーテルの第2の端部と異物を受容するための開口部との間にあってもよい。把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を内向きに曲げて小穴を形成することから形成されてもよい。最後に、ずらされた長さの4つのアームの第1のアームは、最も長いアームであってもよい。
【0008】
本開示の別の態様によると、摘出器装置は、ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、ハンドルはカテーテルの第1の端部に連結され、駆動スライドはカテーテルの内部で駆動ワイヤの第1の端部に連結され、駆動ワイヤはカテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルを備える。摘出器装置は、駆動ワイヤの第1の端部から遠位の駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器であって、把持器はずらされた長さの少なくとも3つのアームを含む、把持器をさらに備える。各アームは駆動ワイヤに連結された第1の端部と、駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有し、各アームの第2の端部は開口を含む。把持器は、把持器がカテーテルの第2の端部に近接してカテーテルの内部に位置する収容位置であって、把持器のアームは内向きに圧潰され、駆動スライドは引込み位置にある、収容位置と、把持器がカテーテルの外側に位置する開位置であって、アームは外向きに延ばされ、駆動スライドは引出し位置にある、開位置と、の間を、駆動ワイヤを介して駆動スライドによって移動可能である。摘出器装置は、ハンドル本体にスライド可能に連結され、カテーテルの第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、各々が制御リングに連結された第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーと、も備える。制御ファイバーはカテーテルの第1の端部から把持器へカテーテルの内部を下って延び、少なくとも3つのアームの第1のアームの第2の端部において開口を通り抜け、そして、ファイバーは少なくとも3つのアームの各後続のアームの開口を通り抜け、把持器が開位置にあるときに把持器のアーム間にループが形成されるように第1のアームの開口を再び通り抜け、その後、制御ファイバーはカテーテルの第2の端部からカテーテルの第1の端部へカテーテルの内部を上って延びる。各アームは、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から離れるように付勢される。把持器が開位置にある間に制御リングを中立位置から離れるように引くことは、ループを引き締め、アームの第2の端部を中心軸に向けて撓ませ、把持器を捕捉位置にすることによって、把持器が開位置にあった間にループを通って受容された異物をアーム間に捉える。
【0009】
特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を曲げることから形成される小穴であってもよい。把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を通り抜ける孔であってもよい。ずらされた長さの少なくとも3つのアームの第1のアームは、最も長いアームであってもよい。最後に、ずらされた長さの少なくとも3つのアームの第1のアームは、最も長いアームであってもよい。
【0010】
本開示のさらに別の態様によると、摘出器装置は、ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、ハンドルはカテーテルの第1の端部に連結され、駆動スライドはカテーテルの内部で駆動ワイヤの第1の端部に連結され、駆動ワイヤはカテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルを備える。摘出器装置は、駆動ワイヤの第1の端部から遠位の駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器も備え、把持器はずらされた長さの複数のアームを含む。各アームは駆動ワイヤに連結された第1の端部と、駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有する。把持器は、把持器がカテーテルの第2の端部に近接してカテーテルの内部に位置する収容位置であって、把持器のアームは内向きに圧潰され、駆動スライドは引込み位置にある、収容位置と、把持器がカテーテルの外側に位置する開位置であって、アームは外向きに延ばされ、駆動スライドは引出し位置にある、開位置と、の間を、駆動ワイヤを介して駆動スライドによって移動可能である。摘出器装置は、ハンドル本体にスライド可能に連結され、カテーテルの第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、各々が制御リングに連結された第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーと、をさらに備える。制御ファイバーはカテーテルの第1の端部から把持器へカテーテルの内部を下って延び、複数のアームの第1のアームの第2の端部にスライド可能に連結され、また、ファイバーは複数のアームの各後続のアームの第2の端部にスライド可能に連結され、把持器が開位置にあるときに把持器のアーム間にループが形成されるように第1のアームの第2の端部に再び連結され、その後、制御ファイバーはカテーテルの第2の端部からカテーテルの第1の端部へカテーテルの内部を上って延びる。各アームは、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から離れるように付勢される。把持器が開位置にある間に制御リングを中立位置から離れるように引くことは、ループを引き締め、アームの第2の端部を中心軸に向けて撓ませ、把持器を捕捉位置にすることによって、把持器が開位置にあった間にループを通って受容された異物をアーム間に捉える。
【0011】
特定の実施形態は、複数のアームの各アームについて、第2の端部は開口を含み得、制御ファイバーは開口を通り抜けることによって第2の端部にスライド可能に連結され得るように修正されてもよく、または適応されてもよい。制御ファイバーは第1のアームの開口を2回通り抜けてもよい。
【0012】
本明細書において提示される開示の態様および適用が、図面および詳細な説明で下記に説明される。特に記されない限り、本明細書および特許請求の範囲における単語および句は、適用可能な技術における当業者にとって明白で、通常の、および慣れ親しんだ意味が付与されるように意図される。発明者らは、所望される場合、自身の辞書編集者となり得ることを完全に認知している。発明者らは自身の辞書編集者として、特に明確に述べない限り、そしてさらに、その用語の「特別な」定義を明確に示して、明白で、および通常の意味とどのように異なるのかを説明しない限り、本明細書および特許請求の範囲において、明白で、および通常の用語の意味のみを使用することを明確に選ぶ。このような「特別な」定義を適用する意図の明確な記述がなければ、用語に対して単純で、明白で、および通常の意味が本明細書および特許請求の範囲の解釈に適用されることが発明者らの意図および望みである。
【0013】
発明者らは、英語文法の通常の規範についても認知している。したがって、名詞、用語、または句が何らかの方法でさらに特徴付けられ、特定され、または狭められるように意図される場合、英語文法の通常の指針に従って、このような名詞、用語、または句は、追加の形容詞、記述用語、またはその他の修飾語句を明確に含むであろう。このような形容詞、記述用語、または修飾語句の使用がなければ、このような名詞、用語、または句は、上記で示されたような適用可能な技術における当業者にとって、それらの明白で、および通常の英語の意味が付与されることが意図される。
【0014】
発明を実施するための形態または図面の簡単な説明または特許請求の範囲における「機能」、「手段」または「ステップ」という単語の使用は、本発明を定義するために、特則35U.S.C.§112(f)を行使するという所望を何らかの形で示すことが意図されない。逆に、本発明を定義するために、特則35U.S.C.§112(f)の条項を行使することが求められる場合、特許請求の範囲は、「ための手段」または「ためのステップ」という厳密な句を具体的に、明確に述べ、また、このような句において機能を支持する任意の構造、材料、または作用も詳述することはなく、「機能」という単語を詳述するであろう(すなわち、「[機能挿入]の機能を実行するための手段」を述べるであろう)。したがって、特許請求の範囲が「・・・の機能を実行するための手段」または「・・・の機能を実行するためのステップ」と詳述する場合でも、特許請求の範囲がその手段もしくはステップを支持するか、または詳述された機能を実行する任意の構造、材料、もしくは作用も詳述する場合、特則35U.S.C.§112(f)を行使しないことが発明者らの明確な意図である。さらに、特許請求の範囲の態様を定義するために特則35U.S.C.§112(f)の条項を行使する場合でも、これらの態様は、好ましい実施形態で説明される特定の構造、材料、または作用のみに限定されないが、また、本開示の代替の実施形態もしくは形式において説明されるような特許請求の範囲の機能を実行するか、または特許請求の範囲の機能を実行するための公知で存在するか、もしくは後に開発される、等価の構造、材料、または作用である、あらゆるすべての構造、材料、または作用を含むことが意図される。
【0015】
前述の、および他の態様、特徴、ならびに利点は、発明を実施するための形態、および図面から、ならびに特許請求の範囲から、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、添付の図面に関連して以降で説明され、同様の参照符号は同様の要素を示す。
図1は、摘出器装置の正面図である。
図2は、
図1の摘出器装置の側面図である。
図3は、
図1の摘出器装置の切欠図である。
図4は、把持器の側面図である。
図5Aおよび
図5Bは、把持器アームの側面図である。
図6A、
図6Bおよび
図6Cは、把持器が収容位置、開位置、および捕捉位置にある摘出器装置の正面図である。
図7は、ネットを備える把持器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示、その態様および実施は、本明細書において開示される特定の材料の種類、構成要素、方法、または他の例に限定されない。当該技術分野で公知である多くの追加の材料の種類、構成要素、方法および手順が、本開示からの特定の実施とともに使用されることが想定される。したがって、例えば、特定の実施が開示されるが、このような実施および構成要素の実施は、意図された動作に一貫する、このようなシステムおよび構成要素の実施のための当該技術分野において公知の任意の構成要素、型式、種類、材料、バージョン、量、および/または同様のものを含んでもよい。
【0018】
「例示の」および「例」という単語またはこれらの様々な形式は、本明細書において、例、実例、または例証としての役割をすることを意味するように使用される。本明細書において「例示」として、または「例」として説明されるあらゆる態様または設計は、必ずしも、他の態様または設計よりも好ましい、または有益であると解釈される必要はない。さらに、例は明確さ、および理解の目的のためのみに提供され、開示される主題もしくは本開示の関連部分をいかなる方式でも限定する、または制限するように意味されない。範囲を変更する無数の追加の、または代替の例が提示されてきたが、簡潔性の目的のために省略されたことが認められたい。
【0019】
本開示は多くの異なる形式での多数の実施形態を含む一方で、本開示は開示される方法およびシステムの原理の例示として見做されるべきであり、開示される概念の幅広い態様を例証される実施形態に限定することを意図しないという理解のもとで特定の実施形態が図面に示され、および本明細書において詳細に説明される。
【0020】
本説明において、および特許請求の範囲において使用される場合、「含む」という動詞およびその活用は、その単語に続く項目が含まれるが、特に挙げられない項目が除外されないことを意味するための非限定的な意味で使用される。また、不定冠詞「a」または「an」による要素への参照は、文脈がその要素のうちの1つおよび1つのみがあることを明確に要求しない限り、2つ以上のその要素が存在するという可能性を除外しないしたがって、不定冠詞「a」または「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0021】
食道への食物の塊の固着の推定年間発生率は、100000人あたり13件である(GIE)。食物による閉塞の一般的な原因としては、好酸球性食道炎、食道狭窄、食道の広汎性の運動異常を含む。胃腸異物摘出装置における現在の制限のために、食道への食物の固着の除去に30~90分かかり、9つあまりの装置を必要とし得る。消化器学者は、内視鏡および摘出装置で口を通して食道から食物の塊の固着を除去しなければならない。摘出装置は、しばしば、食物物質の破砕を引き起こし、したがって、内視鏡を複数回通過させること、および/または複数回の摘出試行を必要とし、これは処置時間全体を増加させる。結果的にこれは肺吸引(すなわち、肺に物質が入ること)、気道障害、および/または食道穿孔のリスクを増加させる。
【0022】
多くの従来の摘出装置は、カテーテルの端部から延びるプロングを利用して、フックを使用して食物の塊を掴んで引き抜く。これらの装置は、塊への比較的明確な手法を医者に提供する一方で、組織の損傷を引き起こし、塊を頻繁に破砕し、処置時間、肺吸引のリスク、および食道穿孔を増加させ得る。他の摘出装置は、食道から塊を掬い取るネットが付いたバスケットを利用する。これらの装置は、しばしば、破砕および可能性のある肺吸引のリスクを減少させるためにネットを利用するが、使用に際して、装置が塊の後ろに周って曲がることが必要であり、これは、塊に簡単にさらなる衝撃を与え得る困難な処置であり、摘出をさらに困難にする。また、バスケットタイプの装置は、1度きりの使用用途であっても、あまり耐久性がない。
【0023】
また、従来の摘出装置は、適切な技術の開発を必要とし、しばしば、捕捉機構と、異物に向かって、または異物を通り過ぎる前進移動との同時動作を必要とし、これらのチャネルのうちの1つにおけるタイミングの悪さ、または過度の移動は不良の結果をもたらし得る。
【0024】
本明細書において想定されるのは、異物の除去のための摘出装置であり、その特定の例示的な実施形態が例証され、および/または説明される。摘出器装置は、ハンドルと、駆動スライドと、制御リングと(または他の制御構造)、を備える。本開示の目的のために、用語「摘出装置」および「摘出器装置」は交換可能に使用され、同じ意味をもつ。駆動スライドは駆動ワイヤを介して把持器に連結され、制御リングは制御ファイバーを介して把持器に連結される。駆動ワイヤおよび制御ファイバーは、ハンドルに連結されたカテーテルの内部を通って延びる。把持器は複数のアームを備える。制御ファイバーは把持器アームの遠位端にスライド可能に連結されてループを形成する。
【0025】
カテーテルは内視鏡内に挿入され、カテーテルは内視鏡の遠位端を出る。駆動スライドが前進されると(すなわち、カテーテルに向けて)、駆動ワイヤはカテーテル内にさらに進み、把持器はカテーテル外に進められる。制御リングがカテーテルに向けて押されると、制御ファイバーはカテーテル内にさらに進められ、ループ半径が増大する。これらの2つの作用は、摘出装置が以前に固定した物質を解放することを可能にし、および/または把持器が物質を摘出する準備をする。装置が異物を囲むと、制御リングが引かれ、これにより、制御ファイバーがハンドルに向けて引込み、ループ半径が減少する(把持器の底を閉める)。そして、駆動スライドは引き戻されることができ(すなわち、カテーテルから離れるように)、これにより、把持器がカテーテルの内部に向けて引込む。これらの2つの作用は装置が異物を固定し、および摘出することを可能にする。
【0026】
想定される摘出装置は、身体または周囲の組織を破砕するか、または切り通すリスクを最少にして、摘出するために異物を固定することができる。これは異物摘出のためのより安全でより効率的な方法を提供し、処置時間を削減し、処置室の回転率をより速くする。本装置は、平均人件費を削減すること、麻酔の持続時間を削減すること、合併症のリスクを減少させることもできる。また、本装置は医者に明確な手法を提供する。本明細書において想定される摘出装置の動作は、従来の摘出装置が必要とする、ある程度の技能および技術を必要としないが、それでもより良好な結果を生む。
【0027】
下記の開示および使用の事例の多くは、上部消化管から食物の塊を除去する文脈においてなされる一方で、本明細書において想定される摘出装置はGI管における適用に限定されないことが留意されるべきである。当業者は、これらの装置は他の環境および生体システムからの異物または組織の除去における使用に適応され得ることを認識するであろう。
【0028】
図1~
図3は摘出器装置100の非限定的な例の正面図および側面図である。詳細には、
図1は摘出器装置の正面図であり、
図2は側面図であり、
図3は
図2の線A-Aに沿って取った摘出器装置の切り欠き図である。これらの図面は正確な縮尺で描かれておらず、要素の相対的な寸法が明確さのために調整されていることが留意されるべきである。
【0029】
図1~
図3の例示的な実施形態に示されるように、摘出器装置100は、ハンドル本体104を有するハンドル102と、駆動スライド106と、制御リング118と、親指リング128と、キャップ126と、を備える。駆動スライド106は駆動ワイヤ300を介して把持器114に連結され、制御リング118は制御ファイバー(またはワイヤまたは可撓性ロッド)120を介して把持器114に連結される。特定の実施形態では、制御ファイバー120以外の制御機構が利用されてもよい。駆動ワイヤ300および制御ファイバー120は、ハンドルに連結されたカテーテル108の内部を通って延びる。把持器114は複数のアーム116を備える。制御ファイバー120は把持器アーム116の遠位端にスライド可能に連結されてループ122を形成する。
【0030】
駆動スライド106が前進されると(すなわち、カテーテル108に向けて)、駆動ワイヤ300はカテーテル内にさらに進められ、把持器114はカテーテル108の他方の端部外に前進められる。制御リング118がカテーテル108に向けて押されると、制御ファイバー120はカテーテル108内にさらに進められ、把持器アーム116の端部におけるループ122はさらに広く開く。制御リング118が後ろ向きに引かれると(すなわち、カテーテルから離れるように)、ループ122が引き締められ、アーム116を内向きに撓ませ、アーム116間に異物を捕捉する。異物を除去するために摘出装置100を使用するステップが、下記で
図6A~
図6Cに関してより詳細に述べられる。
【0031】
様々な実施形態によると、摘出装置100は、殺菌可能で、医療用途に安全な材料からなる。いくつかの実施形態では、摘出装置100は、1度きりの使用、使い捨て用品、とすることができる安価な材料からなっていてもよい。より珍しい、または高価な材料の使用を必要とする、より要求の厳しい条件(例えば、より狭い空間、把持器114上のより多くのアーム116など)において動作するように構成された実施形態など、他の実施形態では、摘出装置100は再利用可能であってもよい。様々な構成要素の材料は下記にさらに述べられる。
【0032】
本説明およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、方向「上」または記述「上る」はハンドル102に向かう方向を指し、「下」または「下る」は把持器114に向かう方向を指す子ことが留意されるべきである。例えば、ハンドル102はカテーテル108および把持器114の両方の上にある。
【0033】
図示されるように、ハンドル102は、ストッパ105を備えたハンドル本体104と、駆動ワイヤブロック107を備えた駆動スライド106と、キャップ126と、を備える。ハンドル本体104は、駆動スライド106および制御リング118がそれに沿って前後に移動し、カテーテル108の内部で駆動ワイヤ300および制御ファイバー120が前後にスライドする、レールとしての役割をする。
【0034】
いくつかの実施形態では、ハンドル本体102は本来円筒状であり得る一方で、他において、非円形の断面を有してもよい。様々な実施形態によると、ハンドル本体102は、駆動ワイヤ300および制御ファイバー120のための空所を内部に有し、それらは、ハンドル本体102を上下にスライドすることができる駆動スライド106および制御リング118によってそれぞれ作動される。
【0035】
様々な実施形態によると、ストッパ105は、ハンドル本体104に沿った駆動スライド106および制御リング118の動きまたは移動を制限する。例えば、図示されるように、駆動スライド106は、ストッパ105の上部およびストッパ105の上において親指リング128の下でハンドル本体104の一部に閉じ込められ、制御リング118は、ストッパ105の下およびキャップ126の上においてハンドル本体104の一部に閉じ込められる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ハンドル本体104は、
図1に示される2つのストッパ105など、多数のストッパ105を備えてもよい。他の実施形態では、ハンドル本体104は単一のストッパ105(例えば、ハンドル本体104の外周から突出するリングなど)を備えてもよい。さらに他の実施形態では、他のストッパ構造が利用されてもよい。
【0037】
様々な実施形態によると、駆動スライド106は、駆動ワイヤ300とのユーザのインターフェースであり、ユーザが駆動ワイヤ300をカテーテル108内へ/カテーテル108から外へ、進ませる、または引込ませることを可能にする。図示されるように、駆動スライド106は指ループを有してもよい。特定の例として、ハンドル102は、ユーザが、片手で駆動ワイヤ300を操作するために、親指をハンドル102の上部における親指リング128に挿入して、人差し指および中指を駆動スライド106のループに挿入するように構成されてもよい。
【0038】
摘出装置100の把持器114はカテーテル108を通して対象の異物へのアクセスを得る。カテーテル108は、第1の端部110(すなわち、ハンドル102端部)と、第1の端部110から遠位の第2の端部112(すなわち、把持器114端部)と、を有する。摘出装置100は、200mmまたは240mmなどの標準的な長さ、または意図される用途に適切な任意の他の長さのカテーテル108を使用してもよい。カテーテル108の直径は、2.2mm~2.6mm、または4mm以上のように、より大きくてもよい、標準的な寸法の内視鏡に適合する範囲であり得る。
【0039】
把持器114は、異物を掴んで、異物を、異物が壊れる機会を最小限にする一方で、摘出され得るのに十分に固定する役割をする。図示されるように、把持器114は複数のアーム116を備える。様々な実施形態によると、把持器114のアーム116は、寸法がずらされていて、アーム116のカテーテル108を通した挿入および移動を容易にし得る。把持器114は、異物に到達するためにカテーテル108の内部に嵌まることができ、異物を捕捉するために十分に広く開く必要がある。特定の例として、把持器114は、20~28mmの開直径を有する一方で2.2mm未満の閉直径(例えば、把持器114の最も広い部分)を有してもよい。
【0040】
把持器114のアーム116は、アーム116がカテーテル108の内部に嵌まるために曲がることができ、カテーテル108の外側では勢いよく開くことができ、制御ファイバー120が引かれ、ループ122が閉じ込められたときに不均衡な変形に耐えることができるように十分に硬い必要がある。様々な実施形態によると、把持器114のアーム116は、ステンレス鋼(例えば302ステンレス鋼など)、または当該技術分野において公知の他の可撓性材料から構築されてもよい。把持器114は下記で
図4、
図5A、および
図5Bに関してより詳細に述べられる。
【0041】
制御リング118は、制御ファイバー120を通した把持器114のアーム116とのユーザのインターフェースである。制御リング118はハンドル本体104にスライド可能に連結され、カテーテル108を通して制御ファイバー120を進めるか、または引込めるためにハンドル本体104を上下に移動させることができる。いくつかの実施形態では、制御リング118は、制御リング118を中立位置から上向きに引くことを容易にする指フックを備えてもよく、これは
図6Bおよび
図6Cに関してより詳細に述べられる。
【0042】
制御ファイバー120は、第1の端部306と、第1の端部306から遠位の第2の端部308と、を有する可撓性フィラメントである。
図3に示される非限定的な例を含むいくつかの実施形態では、制御ファイバー120の両端は制御リング118に連結されてもよい。他の実施形態では、一方の端部のみが制御リング118に連結される一方で、制御ファイバー120の他方の端部は移動しないようにハンドル102または把持器114に固定される。制御ファイバー120の両方の端部が制御リング118に連結される実施形態では、制御ファイバー120は2回カテーテル108を通り抜けてもよい一方で、他の実施形態では、制御ファイバー120は1回以上カテーテルを通り抜けてもよい。
【0043】
制御ファイバーは、把持器114の各アーム116の第2の、または下部の端部にスライド可能に連結される。本説明およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、アームにスライド可能に連結された制御ファイバーは、各アームに対する「ファイバー」の相対位置が固定される(すなわち、ファイバーは各アーム上の特定の位置に常に位置する)一方で、ファイバー自体はアームを通って、または過ぎて移動することができることを意味する。いくつかの実施形態では、各アーム116は、ファイバーが通り抜ける開口を備える一方で、他の実施形態では、ファイバー120はアーム内の切り欠き内にあってもよい。
様々な種類の開口が
図4に関して下記で述べられる。
【0044】
図示されるように、制御ファイバー120は、第1のアーム124から開始して、そして各後続または隣接のアーム116に連結し、第1のアーム124に再度連結してアーム116の端部においてループを形成するまで、把持器114の各アーム116の下端部にスライド可能に連結される。いくつかの実施形態では、制御ファイバー120は第1のアーム124においてそれ自体を横切る一方で、他の実施形態では、制御ファイバー120は、第1のアーム124に対する2つの平行な経路に従い得る。
【0045】
制御リング118が上向きに引かれると、ループ122が引き締められ、アームの下端部が内向きに引かれる。そして、アーム間に位置するあらゆる物質または物が捕捉され、摘出のために装置の残りとともに引かれることができる。第1のアームは、
図6Aに関してさらに下記で述べられる。
【0046】
摘出される異物はループ122を通り抜けるため、ループ122の寸法は、摘出装置100の様々な実施形態の重要な設計考慮事項となる。利用可能なループの寸法は、把持器114のアーム116の寸法および形状によって部分的に決められる。アーム114の長さは、駆動スライド106の可能な移動(例えば、駆動ワイヤ300がカテーテルを通してどれほど移動できるか)によって部分的に決められる。様々な実施形態によると、駆動スライド106の移動は、医者の手の大きさによって部分的に決められる。駆動スライド106を片手で操作するためには、制御リング118を同時に操作できることが必要であり、駆動スライド106の移動は快適な範囲内でなければならない。いくつかの実施形態では、駆動スライドの範囲は、70mm~100mmであってもよい。特定の実施形態では、駆動スライドの移動は、70mm~90mmであり、20mm~28mmのループ外周をもたらす。
【0047】
様々な実施形態によると、ループ122は、把持器114が開いており、異物を捕捉する用意ができているとき、比較的張り詰めている。制御ファイバー120における張力は、ループ122が異物を通り過ぎて押され得るのに十分に高くあるべきであるが、異物を切り通すよりも、異物の不規則な形状の周りを移動できるのに十分に緩くあるべきである。制御ファイバー120の張力は、ハンドル本体104上の、利用可能な範囲または移動に沿った、制御リング118の位置によって決められる。別の実施形態では、制御リング118の移動は50mmに制限され、駆動スライド106は80mmに制限される。
【0048】
制御ファイバー120は、異物を把持しながら、アーム116によって加えられる緊張に耐える一方、把持器114のアーム116を容易にスライドして通り過ぎることができる、強固でありながら可撓性の材料からなる。いくつかの実施形態では、制御ファイバー120はポリプロピレンからなる一方で、他の実施形態では、制御ファイバー120はナイロン、または当該技術分野において公知の他の重合体からなる。いくつかの実施形態では、制御ファイバー120は縫合糸であってもよい。いくつかの実施形態では、制御ファイバー120の直径は、0.8~1.2mmの範囲であってもよい一方で、他の実施形態では、制御ファイバー120の直径は0.2mm以上であり得る。いくつかの実施形態では、制御ファイバー120は単一の糸である一方で、他の実施形態では、制御ファイバー120は、当該技術分野で公知であるような、編まれるか、または撚られていてもよい。
【0049】
駆動ワイヤ300は、駆動スライド106を把持器114に接続し、第1の端部302(例えば、上端部)と第2の端部304(例えば、下端部)と、を備える。駆動ワイヤ300は、駆動スライド106が最高位置にあるときに、把持器114がカテーテルの内部に引込められ、かつ、駆動スライド106が最低位置にあるときに、把持器がカテーテル108の外側にあり、摘出のために異物を受容する用意ができているように、駆動ワイヤ300が通り抜けるカテーテル108と長さが実質的に等しい。
【0050】
駆動ワイヤ300は把持器114に連結される。いくつかの実施形態では、把持器114のアーム116は、駆動ワイヤ300の第2の端部304に直接固定される。例えば、1つの実施形態では、アーム116は駆動ワイヤ300の第2の端部304上にレーザー溶接される。他の実施形態では、把持器114は、駆動ワイヤ300の端部に取り付けられる前にすでに組み立てられたユニットであってもよい。いくつかの実施形態では、把持器114は駆動ワイヤ300に解放可能に連結され、交換可能であり、これにより、珍しい材料を使用する実施形態において有益であり得る。
【0051】
駆動ワイヤ300は、異物を引く緊張に耐えるのに十分に強固で、かつカテーテルと共に曲がって摘出部位に到達するのに十分に可撓性のある弾性材料からなる。いくつかの実施形態では、駆動ワイヤ300は、ステンレス鋼から作られる一方で、他の実施形態では、当該技術分野で公知の他の材料から作られてもよい。駆動ワイヤ300は、カテーテルの内部に嵌まるのに十分に小さい必要がある。1つの実施形態では、駆動ワイヤは、直径が1.59mmである一方で、別の実施形態では、直径が0.79mmである。駆動ワイヤ300は、単一の糸であってもよく、または、編まれるか、もしくは撚られた複数の糸であってもよい。
【0052】
様々な実施形態によると、駆動ワイヤ300は、ハンドルワイヤ301を通して駆動スライド106に取り付けられ、ハンドルワイヤ301は、駆動ワイヤ300よりもかなり硬い材料の区分であり、大部分はハンドル102の内部にある。特定の例として、駆動ワイヤ300は、16ゲージのステンレス鋼で作られたハンドルワイヤ301上に溶接されてもよく、そしてハンドルワイヤ301は駆動スライド106に取り付けられる。ハンドルワイヤ301の使用は、カテーテルの技術において公知である。
【0053】
様々な実施形態によると、駆動ワイヤ300は、駆動スライドブロック107を通して駆動スライド106に取り付けられてもよい。図示されるように、駆動スライド106は、側部に開口部を有し、開口部は、ハンドル本体104の長さに延びる軌道に整列される。駆動スライドブロック107は、開口部および軌道の内部に嵌まり、駆動ワイヤ300またはハンドルワイヤ301に連結されて、駆動スライド106をハンドル本体104にスライド可能に連結させ、駆動ワイヤ300に固定させて連結させたままにする。
【0054】
特定の実施形態では、ハンドル102は以下のように組み立てられ得る。駆動スライド106は、ハンドル本体104の上側上をスライドしてもよい。駆動スライドブロックは、駆動スライド106側における開口部を通して挿入される。ハンドルワイヤ301は、ブロックの底部における孔に挿入され、ブロック107に接着される。親指リング128はハンドル本体104の頂部に取り付けられる。制御リング118は、ハンドル本体104の下端部上をスライドし、キャップ126の取付具によってハンドル本体104の下端部に閉じ込められ、ハンドルワイヤ301はキャップ内の孔を通り抜ける。そして、制御ファイバー120はキャップ内の孔を通り抜けて、制御リング118に取り付けられる。
【0055】
図4は、制御ファイバー120を備えない把持器114の非限定的な例の側面図である。図示されるように、把持器114は、第1の端部400(例えば、上端部)と、第2の端部402(例えば、下端部)と、を各々が有する複数のアーム116を備える。いくつかの実施形態では、把持器114は、4つのアーム116を備えてもよい一方で、他の実施形態では、把持器114は、5つのアーム116、6つのアーム116、またはそれより多いなど、3つ以上のアーム116を備えてもよい(例えば、ループ122を作ることができるように)。
【0056】
いくつかの実施形態では、把持器114のアーム116は同一であってもよい一方で、他の実施形態では、アーム116は異なる長さを有してもよい。ずらされた長さを有するアーム116の使用は、アーム116が第2の端部402に開口406を有する実施形態において有利である。長さをずらすことは、第2の端部402が互いに対して押されて把持器114を必要以上に広げないように把持器114をカテーテル108の内部に嵌めることを容易にする。
【0057】
いくつかの実施形態では、制御ファイバー120は、第2の端部402における開口406を通り抜けることによってアーム116にスライド可能に連結されてもよい。様々な実施形態によると、開口406は、理想的には、制御ファイバー120が最小限の抵抗で通り抜けることを可能にするように必要以上に大きくない。このような制限は、把持器114の捕捉能力全体を最大化し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、開口406は、すべて同じ寸法であってもよい一方で、他の実施形態では、第1のアーム124の開口406は、制御ファイバー120がその開口を2回通り抜けるように、より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、アーム116は同一であってもよい一方で、他の実施形態では、第1のアーム124の開口406は異なる向きを有してもよい。特定の例として、ファイバー120のスライドを容易にするために、第1のアーム124の開口406は、ループ122に正接であってもよく、残りのアーム116の開口406はループ122に垂直であってもよい。開口406におけるさらなる変形が
図5Aおよび
図5Bに関してさらに述べられる。
【0059】
図4は、駆動ワイヤ300の第2の端部304の中心軸404も示し、中心軸404はアームの形状の次の記述における基準の点としての役割をする。
【0060】
図5Aおよび
図5Bは把持器アーム116の非限定的な例の側面図である。詳細には、
図5Aは、開口406が小穴500であるアーム116の側面図を示し、
図5Bは、開口406が孔502であるアーム116の側面図を示す。これらの2つの例示の開口406は、限定することを意味せず、制御ファイバー120をスライド可能に連結するための他の手段として、アーム116の第2の端部402が本開示における他の箇所で述べられ、さらに他の手段が当該技術分野で公知である。
【0061】
様々な実施形態によると、下記で
図6Bに関して述べられるように、把持器114のアーム116は、駆動ワイヤ300によって前方へ押されてカテーテルを出るように、中心軸404から外向きにそれぞれ曲げられ、中心軸404から離れるように付勢され、アーム116は、開位置610に勢いよく入り、開位置610に向けて駆動し、または開位置610に向けて付勢される。アーム116の付勢は、当該技術分野で公知であるように、互いに、または駆動ワイヤ300に連結する前にアーム116を成形することによって作られてもよい。
【0062】
図示されるように、いくつかの実施形態では、アーム116は中心軸404から外向きに曲がるが、第2の端部402の近くのアーム114の一部は内向きに凹んでいる。形状などは、制御ファイバーループ122の引き締めを容易にし、異物を捕捉して把持器114を捕捉位置614内にするためにアームの第2の端部402を内向きにし、これは
図6Cに関してより詳細に述べられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、アーム116の第1の端部400と第2の端部402との間で角度が形成される一方で、把持器114は30~60度である開位置610にある。いくつかの実施形態では、アーム116は滑らかな湾曲で中心軸404から外向きに曲がってもよい一方で、他の実施形態では、アーム116は1つ以上の頂点を有してもよい。先述のように、
アーム116の長さは、少なくとも部分的に、平均的な医者の予測される手の大きさ(手動操作のための)、または駆動スライド106の移動長さに依ってもよい。詳細な例として、1つの実施形態では、アーム116は、平均長が38mm、および直径が0.5mmの円筒状であり得る。
【0064】
アーム116は、可撓性でありながら、カテーテルから押し出されたときに勢いよく開くように十分強固な付勢を有し、制御ファイバーループ122を作り、ならびに摘出のために異物を捕捉するように異物の周りに曲げられる張力に耐えるのに十分に堅固である材料からなる。いくつかの実施形態では、アーム116は、ステンレス鋼(例えば、302ステンレス鋼)からなってもよい一方で、他の実施形態では、アーム116は、当該技術分野で公知である他の材料からなってもよい。
【0065】
図5Aは、開口406が、アーム116の第2の端部402を曲げて円を作ることによって形成される小穴500であるアーム116を示す。いくつかの実施形態では、曲げは内向きで、中心軸404に向いている一方で、他の実施形態では、曲げは異なる方向にされてもよい。いくつかの実施形態では、小穴500は、封止されて閉鎖される(例えば、アーム116に端部402をレーザー溶接する、またはスポット溶接する)一方で、他の実施形態では、端部は、端部402とアーム116との間の隙間がファイバー120よりも小さくなるまで曲げられてもよい。任意選択として、小穴500の内部および縁は、機械加工されるか、または他の方法で滑らかにされて、摩擦を減少させ、および小穴500を通る制御ファイバー120のスライドを容易にしてもよい。
【0066】
図5Bは、開口406が、アーム116の第2の端部402を通り抜ける孔502であるアーム116を示す。いくつかの実施形態では、孔502は直線であってもよい一方で、他の実施形態では、孔502はループ122または理想化されたループ122の経路に従ってもよい。いくつかの実施形態では、孔502は、機械加工または鋳造によって形成されてもよい一方で、他の実施形態では、孔502はレーザーまたは当該技術分野で公知である他の切断方法で切断されてもよい。任意選択として、孔502の内部および縁は、機械加工されるか、または他の方法で滑らかにされて、摩擦を減少させ、および孔502を通る制御ファイバー120のスライドを容易にしてもよい。
【0067】
図6A~
図6Cは、様々な段階の動作における摘出器装置100の非限定的な例の正面図を示す。
図6Aは、駆動スライド106が引込み位置602にある摘出器装置100の正面図である。本説明およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、駆動スライド106の引込み位置602は、駆動ワイヤ300が、把持器114がカテーテル108の第2の端部112の内部に完全にあるように十分に引き戻される、ハンドル本体104に沿った位置である。図示されるように、駆動スライド106を引込み位置602にすることは、把持器114を収容位置600内に配置する。このような構成において、制御リング118の位置には重要性はなくてもよい。
【0068】
様々な実施形態によると、駆動スライド106が引込み位置602にあり、把持器114が収容位置600にある、
図6Aに示される構成は、摘出装置を使用するための最初の構成である。この構成に配置された後、カテーテル108は内視鏡内に挿入され、そして、挿入のための準備において、内視鏡(図示せず)の遠位端を出る。
【0069】
図示されるように、アーム116は、カテーテル108の内部で利用可能な狭い空間を最大限に活かすためにずらされた長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のアーム124(すなわち、ループ122が開始し、終了するアーム116)は最長のアーム606である一方で、他の実施形態では、最短のアーム608であり、さらに他の実施形態では、最長606でも最短608でもない。
【0070】
図6Bは、駆動スライド106が引出し位置612にある、
図6Aの摘出器装置100の正面図を示す。この構成は、カテーテルの第2の端部が、摘出される異物の近くにあると、到達されてもよい。本説明およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、駆動スライド106の引出し位置612は、駆動ワイヤ300が、把持器114がカテーテル108の第2の端部112の実質的に外側にあるように十分に前へ押される、ハンドル本体104に沿った位置である。図示されるように、駆動スライド106を引出し位置612にすることは、把持器114を開位置610内に配置する。このような構成では、先述のように、制御リング118の位置は、ループ122が形成されることを可能にし、制御ファイバー120における張力の十分なレベルを確立する中立位置604である。
【0071】
最後に、
図6Cは、制御リング118が中立位置604から引き離され、制御ファイバー120のうちのいくつかをカテーテル108内に引き、ループ122を引き締め(例えば、ループ半径を減少させる、ループ外周を減少させるなど)、それによってアーム116の第2の端部402を内向きに曲げるか、または撓ませ、把持器114を捕捉位置614にする、
図6Aおよび
図6Bの摘出器装置100の正面図を示す。この構成は、異物616が把持器114の「捕捉量」内にある(例えば、アーム間にあるなど)と、到達されてもよい。
【0072】
本説明およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、把持器114の捕捉位置614は、第2の端部402が開位置610にあるときよりも中心軸404に近い位置である。把持器114が捕捉位置614に配置される前にアーム116と中心軸404の付近との間にあったあらゆる異物616は、捕捉され、患者から装置全体を引き抜くことによる摘出の用意ができている。
【0073】
様々な実施形態によると、捕捉位置614は、制御リング118上の圧力を上向きに維持することによって維持される。医者は、片手で制御リング118を上向きに引くことによって制御ファイバー120上の張力を保つ一方で、もう片方の手で患者の口から装置全体を引くことができる。再度、本例が食道管から食物の塊を摘出する文脈においてなされる一方で、本明細書において想定される装置は他の文脈においても適用されてもよいことが留意されるべきである。
【0074】
図7は円錐ネット700を備える把持器114の斜視図である。把持器114へのネット700の追加は、そうでなければ気道に入ってしまう何らかの「かけら」を含むことによって摘出装置100の物質の肺への吸引を防止する能力を強化し得る。これは、気道を保護するために気管内チューブまたはオーバーチューブを使用する必要性を減少させるか、またはなくし、費用を削減させ、必要な時間を減少させ、処置上の合併症の機会を減少させる有益性を有する。しかしながら、ネット700の使用は、カテーテル108の内部に嵌まる必要がある材料の量を増加させるため、費用がかかる。
【0075】
図示されるように、ネット700は、異物616を受容する開口部702と、開口部702から遠位であり、把持器アーム116の第1の端部(または駆動ワイヤ300の第2の端部304)に近接している頂点704と、を有する。いくつかの実施形態では、ネット700は把持器114のアーム116に連結されてもよい。任意選択として、制御ファイバー120は、開口部702に近接して、ループ122に沿ってネット700を通して織り込まれてもよい。いくつかの実施形態では、頂点704は把持器114に連結されてもよい。
【0076】
ネットを使用する従来の摘出装置と異なり、
図7に示される把持器114のネット700は異物616に向けて下向きである。これは、物を掬い上げるために従来のネットを備えた摘出装置に必要とされる複雑な曲げ操作が必要とされないことを意味する。本明細書において開示される種類のネットを使用する利点は、ネットを使用する従来の摘出器において見られる欠点がより少ないことにある。
【0077】
特定の実施形態では、摘出器装置は、ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、ハンドルはカテーテルの第1の端部に連結され、駆動スライドはカテーテルの内部で駆動ワイヤの第1の端部に連結され、駆動ワイヤはカテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルを備える。摘出器装置は、駆動ワイヤの第1の端部から遠位の、駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器であって、把持器はずらされた長さの4つのアームを含み、各アームは駆動ワイヤに連結された第1の端部と、駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有する、把持器をさらに備える。各アームの第2の端部は開口を備え、把持器は、把持器がカテーテルの第2の端部に近接してカテーテルの内部に位置する収容位置であって、把持器のアームは内向きに圧潰され、駆動スライドは引込み位置にある、収容位置と、把持器がカテーテルの外側に位置する開位置であって、アームは外向きに延ばされ、駆動スライドは引出し位置にある、開位置と、の間を、駆動ワイヤを介して駆動スライドによって移動可能である。摘出器装置はまた、ハンドル本体にスライド可能に連結され、カテーテルの第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、各々が制御リングに連結された第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーと、をさらに備え、制御ファイバーはカテーテルの第1の端部から把持器へカテーテルの内部を下って延び、4つのアームの第1のアームの第2の端部において開口を通り抜け、そして、ファイバーは4つのアームの各後続のアームの開口を通り抜け、把持器が開位置にあるときに把持器のアーム間にループが形成されるように第1のアームの開口を再び通り抜け、その後、制御ファイバーはカテーテルの第2の端部からカテーテルの第1の端部へカテーテルの内部を上って延びる。各アームは、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から離れるように付勢される。把持器が開位置にある間に制御リングを中立位置から離れるように引くことは、ループを引き締め、アームの第2の端部を中心軸に向けて撓ませ、把持器を捕捉位置にすることによって、把持器が開位置にあった間にループを通って受容された異物をアーム間に捉える。最後に、把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を曲げることから形成される小穴である。
【0078】
特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。把持器は異物を受容するための開口部と、頂点と、を有する円錐形ネットをさらに含んでもよい。アームの第2の端部における制御ファイバーのループは、開口部に近接して、円錐形ネットを通って織り込まれていてもよい。円錐形ネットの頂点は、把持器のアームの第1の端部に近接していてもよい。ネットの頂点はカテーテルの第2の端部と異物を受容するための開口部との間にあってもよい。把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を内向きに曲げて小穴を形成することから形成されてもよい。最後に、ずらされた長さの4つのアームの第1のアームは、最も長いアームであってもよい。
【0079】
他の実施形態によると、摘出器装置は、ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、ハンドルはカテーテルの第1の端部に連結され、駆動スライドはカテーテルの内部で駆動ワイヤの第1の端部に連結され、駆動ワイヤはカテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルを備える。摘出器装置は、駆動ワイヤの第1の端部から遠位の駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器であって、把持器はずらされた長さの少なくとも3つのアームを含む、把持器をさらに備える。各アームは駆動ワイヤに連結された第1の端部と、駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有し、各アームの第2の端部は開口を含む。把持器は、把持器がカテーテルの第2の端部に近接してカテーテルの内部に位置する収容位置であって、把持器のアームは内向きに圧潰され、駆動スライドは引込み位置にある、収容位置と、把持器がカテーテルの外側に位置する開位置であって、アームは外向きに延ばされ、駆動スライドは引出し位置にある、開位置と、の間を、駆動ワイヤを介して駆動スライドによって移動可能である。摘出器装置は、ハンドル本体にスライド可能に連結され、カテーテルの第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、各々が制御リングに連結された第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーと、も備える。制御ファイバーはカテーテルの第1の端部から把持器へカテーテルの内部を下って延び、少なくとも3つのアームの第1のアームの第2の端部において開口を通り抜け、そして、ファイバーは少なくとも3つのアームの各後続のアームの開口を通り抜け、把持器が開位置にあるときに把持器のアーム間にループが形成されるように第1のアームの開口を再び通り抜け、その後、制御ファイバーはカテーテルの第2の端部からカテーテルの第1の端部へカテーテルの内部を上って延びる。各アームは、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から離れるように付勢される。把持器が開位置にある間に制御リングを中立位置から離れるように引くことは、ループを引き締め、アームの第2の端部を中心軸に向けて撓ませ、把持器を捕捉位置にすることによって、把持器が開位置にあった間にループを通って受容された異物をアーム間に捉える。
【0080】
特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を曲げることから形成される小穴であってもよい。把持器の各アームについて、開口はアームの第2の端部を通り抜ける孔であってもよい。ずらされた長さの少なくとも3つのアームの第1のアームは、最も長いアームであってもよい。最後に、ずらされた長さの少なくとも3つのアームの第1のアームは、最も短いアームであってもよい。
【0081】
本開示のさらに他の実施形態によると、摘出器装置は、ハンドル本体に移動可能に連結された駆動スライドを含むハンドルであって、駆動スライドは引出し位置と引込み位置との間を移動可能であり、ハンドルはカテーテルの第1の端部に連結され、駆動スライドはカテーテルの内部で駆動ワイヤの第1の端部に連結され、駆動ワイヤはカテーテルと実質的に長さが等しい、ハンドルを備える。摘出器装置は、駆動ワイヤの第1の端部から遠位の駆動ワイヤの第2の端部に固定して連結された把持器も備え、把持器はずらされた長さの複数のアームを含む。各アームは駆動ワイヤに連結された第1の端部と、駆動ワイヤから遠位の第2の端部と、を有する。把持器は、把持器がカテーテルの第2の端部に近接してカテーテルの内部に位置する収容位置であって、把持器のアームは内向きに圧潰され、駆動スライドは引込み位置にある、収容位置と、把持器がカテーテルの外側に位置する開位置であって、アームは外向きに延ばされ、駆動スライドは引出し位置にある、開位置と、の間を、駆動ワイヤを介して駆動スライドによって移動可能である。摘出器装置は、ハンドル本体にスライド可能に連結され、カテーテルの第1の端部に近接する中立位置を有する制御リングと、各々が制御リングに連結された第1の端部および第2の端部を有する制御ファイバーと、をさらに備える。制御ファイバーはカテーテルの第1の端部から把持器へカテーテルの内部を下って延び、複数のアームの第1のアームの第2の端部にスライド可能に連結され、また、ファイバーは複数のアームの各後続のアームの第2の端部にスライド可能に連結され、把持器が開位置にあるときに把持器のアーム間にループが形成されるように第1のアームの第2の端部に再び連結され、その後、制御ファイバーはカテーテルの第2の端部からカテーテルの第1の端部へカテーテルの内部を上って延びる。各アームは、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から外向きに湾曲し、駆動ワイヤの第2の端部の中心軸から離れるように付勢される。把持器が開位置にある間に制御リングを中立位置から離れるように引くことは、ループを引き締め、アームの第2の端部を中心軸に向けて撓ませ、把持器を捕捉位置にすることによって、把持器が開位置にあった間にループを通って受容された異物をアーム間に捉える。
【0082】
特定の実施形態は、複数のアームの各アームについて、第2の端部は開口を含み得、制御ファイバーは開口を通り抜けることによって第2の端部にスライド可能に連結され得るように修正されてもよく、または適応されてもよい。制御ファイバーは第1のアームの開口を2回通り抜けてもよい。
【0083】
上記の例、実施形態、および実施参照例において、他の摘出装置およびシステムおよび製造装置および例が互いに混合され得るか、または提供されるそれらのものと置換され得ることが当業者によって理解されるべきである。上記の説明が摘出装置およびカスタム方法の特定の実施形態を参照する箇所では、その精神から逸脱せずに多数の修正がなされ得ること、ならびにこれらの実施形態および実施が他の摘出装置カスタム技術にも適用され得ることが容易に明らかであろう。したがって、開示される主題は、本開示の精神および範囲、ならびに当業者の知識内のすべてのこのような変更、修正、および変形を受け入れるように意図される。
【0084】
本文書に提示されるあらゆる寸法は例示のためのみであり、本開示の範囲の限定ではない。実施形態は、実質的に、本方法またはシステムの意図される動作に一貫するあらゆる構成要素が利用されてもよいため、本明細書において開示される特定の構成要素に限定されないことが理解されるであろう。したがって、例えば、特定の材料、構造、および連結が開示されても、このような構成要素は、摘出装置の意図される動作に一貫する任意の形状、寸法、スタイル、種類、型式、バージョン、クラス、グレード、測定値、濃度、材料、重量、量などを含んでもよい。
【0085】
したがって、任意の摘出装置の実施形態を定義する構成要素は、選択された構成要素が摘出装置の実施形態の意図される動作に一貫するという条件で、成形された物体に簡単に形成されることができる多くの様々な種類の材料またはそれらの組み合わせから形成されてもよい。例えば、構成要素は、熱可塑性物質(ABS、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスルホンなど)などの重合体、熱硬化性樹脂(エポキシ、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、シリコン、または他の同様の材料など)、ガラス(クォーツガラスなど)、カーボンファイバー、アラミドファイバー、それらの任意の組み合わせ、または他の同様の材料、混合物、金属(亜鉛、ニチノール、マグネシウム、チタニウム、銅、鉛、鉄、鋼、炭素鋼、合金鋼、工具鋼、ステンレス鋼、真鍮、錫、アンチモン、純アルミニウム、1100アルミニウム、アルミニウム合金、または他の同様の材料など)、合金(アルミニウム合金、チタニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、それらの任意の組み合わせ、または他の同様の材料など)、および1つ位以上の他の同様の材料を含む上記のいずれかの1つ以上のうちの1つ以上を含むことができる。
【0086】
様々な摘出装置の実施形態は、本明細書で説明される手順に追加されたものとして、および本明細書で説明される手順を通して改良されたものとして、従来の手順を使用して製造されてもよい。いくつかの構成要素は、互いに同時におよび一体的に接合されて製造されてもよい一方で、他の構成要素は、購入された、事前に製造されるか、または別々に製造されたものを、一体的な構成要素と組み立てられてもよい。
【0087】
したがって、別々の、または同時のこれらの構成要素の製造は、押し出し、引き抜き成形、真空形成、射出成型、ブロー成型、樹脂トランスファー成形、鋳造、鍛造、冷間圧延、粉砕、掘削、溶接、はんだ付け、硬化、リベット打ち、パンチング、めっき、または他の同様の工程のうちの1つ以上を含んでもよい。構成要素のいずれかが別々に製造される場合、例えば、他の考慮の中でも構成要素を形成する特定の材料に依って、構成要素は次に、接着、溶接、締結(例えば、ボルト、ナット、ねじ、くぎ、リベット、ピン)、配線、それらの任意の組み合わせなどの任意の好適な方式で互いに連結されてもよい。
【0088】
本明細書の教示を読んで、当業者は、特定の状況下で、技術、ユーザの要求などの変化などの事柄を考慮して、多様な締結装置が、本開示の1つ以上の構成要素を固定する、連結する、または解放可能に連結するために使用されてもよい(本明細書において使用されるそれらの単語のように)ことを理解するであろう。これらの締結装置は、接着、ベルト、ボルト、バックル、クラスプ、ラッチ、ロック、ねじ、スナップ、クランプ、コネクタ、カップリング、タイ、またはこれから開発される他の締結手段のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0089】
同様に、本明細書の教示を読んで、当業者は、特定の状況下で、技術、主な要求などの変化などの事柄を考慮して、接着、ベルト、ボルト、バックル、クラスプ、ラッチ、ロック、ねじ、スナップ、クランプ、コネクタ、カップリング、タイ、またはこれから開発される他の締結手段などの多様な締結装置が、上述の締結具または締結手段にいずれかの代わりに、またはいずれかと併用して使用されてもよいことを理解するであろう。
【0090】
摘出装置の実施形態のアセンブリが、本文書において開示されるステップの特定の順序に限定されないことが理解されるであろう。本明細書において示される摘出装置の実施形態のアセンブリのステップまたはステップのシーケンスは、可能性のあるステップまたはステップのシーケンスの例として、様々なアセンブリ工程およびステップのシーケンスが摘出装置の実施形態を組み立てるために使用されてもよいため、限定としてではなく、与えられる。
【0091】
上記の説明が特定の実施形態を参照する箇所では、その精神から逸脱せずに多数の修正がなされ得ること、およびこれらの実施形態が、開示されたか、または未開示の他の実施形態にも適用され得ることが容易に明らかであろう。添付の特許請求の範囲は、このような修正を本文書に示された開示の精神および範囲内であるとして包括するように意図される。したがって、本開示の実施形態は、例証的および非限定的としてあらゆる点で見做されるべきであり、本開示の範囲は先述の説明よりも添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価の意味および等価の範囲内の変化はすべて、その中に含まれることが意図される。