(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】製剤レベルインジケータを有する電子ベイピング装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20230927BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20230927BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020533703
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2018085669
(87)【国際公開番号】W WO2019129550
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-20
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】バチェ テランス セオドア
(72)【発明者】
【氏名】ラウ レイモンド ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】タッカー クリストファー エス
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374397(US,A1)
【文献】国際公開第2017/141358(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/055795(WO,A1)
【文献】特表2017-520274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0208731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/50
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ベイピング装置用の気化器組立品であって、前記気化器組立品が、
発熱体と、
プレベイパー製剤を包含するように構成されたプレベイパー製剤貯蔵部と、
複数のインジケータセグメントを含むプレベイパー製剤レベルインジケータと、
少なくとも一つのプロセッサであって、
前記発熱体に供給される電力の第一の負荷サイクルと前記発熱体に供給される電力の第二の負荷サイクルの間の差を決定し、
前記決定された負荷サイクルの差に基づいて前記インジケータを調節するように構成された少なくとも一つのプロセッサとを備える、気化器組立品。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記決定された負荷サイクルの差に比例して電力を受けるインジケータセグメントの量を増加するようにさらに構成されている、請求項1に記載の気化器組立品。
【請求項3】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記決定された負荷サイクルの差に比例して電力を受けるインジケータセグメントの量を減少するようにさらに構成されている、請求項1または請求項2に記載の気化器組立品。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロセッサが、現在の決定された負荷サイクルに比例して電力を受けるインジケータセグメントの量を増加するようにさらに構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の気化器組立品。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記プレベイパー製剤貯蔵部内のプレベイパー製剤の減少量に比例する量の電力を前記インジケータセグメントに提供するようにさらに構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子気化器組立品。
【請求項6】
電子ベイピング装置用の気化器組立品であって、前記気化器組立品が、
発熱体と、
プレベイパー製剤を包含するように構成されたプレベイパー製剤貯蔵部と、
インジケータを含むプレベイパー製剤レベルインジケータと、
少なくとも一つのプロセッサであって、
前記発熱体に供給される電力の第一の負荷サイクルと前記発熱体に供給される電力の第二の負荷サイクルとの間の差を決定し、
前記決定された負荷サイクルの差に基づいて前記インジケータを調節するように構成された少なくとも一つのプロセッサとを備える、気化器組立品。
【請求項7】
前記インジケータが、複数のプレベイパー製剤レベルインジケータセグメントを含む、請求項6に記載の気化器組立品。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記決定された負荷サイクルの差に比例して前記インジケータへの電力を減少するようにさらに構成されている、請求項6または請求項7に記載の気化器組立品。
【請求項9】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記決定された負荷サイクルの差に比例して前記インジケータへの電力を増加するようにさらに構成されている、請求項6~8のいずれか一項に記載の気化器組立品。
【請求項10】
プレベイパー製剤レベルインジケータが電子ペーパーフィルムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の気化器組立品。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記プレベイパー製剤貯蔵部内のプレベイパー製剤の減少量に比例する量の前記インジケータに電力を提供するようにさらに構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の気化器組立品。
【請求項12】
前記プレベイパー製剤レベルインジケータがバックライト付きである、請求項1~11のいずれか一項に記載の気化器組立品。
【請求項13】
前記プレベイパー製剤レベルインジケータが有機発光ダイオード(OLED)である、請求項1~12のいずれか一項に記載の電子ベイピング装置用の気化器組立品。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記プレベイパー製剤貯蔵部内のプレベイパー製剤のタイプに基づいて、前記第一および前記第二の負荷サイクルのうち少なくとも一つを決定するようにさらに構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の気化器組立品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の気化器組立品を備える、電子ベイピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一つ以上の例示的な実施形態は、電子ベイピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ベイピング装置(eベイピング装置)は、プレベイパー製剤を蒸発させて、eベイピング装置の出口を通して引き出されるベイパーを生成する発熱体を含む。電子ベイピング装置は、eベイパー装置またはeベイピング装置と呼ばれる場合がある。
【0003】
eベイピング装置は、eベイピング装置内に配置された電池などの電源をさらに含む。電池は、発熱体がプレベイパー製剤をベイパーに変えるのに十分な温度まで加熱するように、発熱体に電力を提供するために発熱体に電気的に接続されている。ベイパーは、少なくとも一つの出口を含むマウス端ピースを通って、eベイピング装置から出る。
【発明の概要】
【0004】
本セクションは、本開示の概要を提供するものであり、その全範囲またはその全機能の包括的な開示ではない。
【0005】
少なくとも一つの例示的な実施形態は、eベイピング装置に関する。
【0006】
eベイピング装置は、発熱体、プレベイパー製剤貯蔵部、複数の個別セグメントを含むプレベイパー製剤レベルインジケータ、および少なくとも一つのプロセッサを含む、気化器組立品(気化器セクションまたはカートリッジとも呼ばれる)を含む。プレベイパー製剤貯蔵部はプレベイパー製剤を包含するように構成されてもよく、少なくとも一つのプロセッサは、発熱体に供給される電力の第一の負荷サイクルと、発熱体に供給される第二の負荷サイクルの間の差を決定し、決定された負荷サイクルの差に基づいてインジケータを調節するように構成されてもよい。
【0007】
本明細書で提供される説明から、適用可能なさらなる分野が明らかになるであろう。この要約での説明および具体的な実施例は、例証することのみが意図されており、本開示の範囲を制限することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態を例証する目的のみで提供されており、すべての考えられる実施を例証するものではなく、また本開示の範囲を制限することは意図されていない。
【
図1】
図1Aは、電子ベイピング装置の例示的な実施形態を図示する。
【
図2】
図2は、例示的な電子ベイピング装置の電力セクションの断面図を図示する。
【
図3】
図3は、電子ベイピング装置のカートリッジの例示的な実施形態の断面図を図示する。
【
図4A】
図4Aは、電子ベイピング装置のカートリッジの例示的な実施形態を図示する。
【
図4B】
図4Bは、電子ベイピング装置のカートリッジの別の例示的な実施形態を図示する。
【
図4C】
図4Cは、電子ベイピング装置のカートリッジの別の例示的な実施形態を図示する。
【
図5】
図5は、電子ベイピング装置の例示的な実施形態の例示的な回路図を図示する。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による電子ベイピング装置内の情報フローを示すブロック図に埋め込まれた例示的な情報フロー図を図示する。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態によるインジケータ初期化プロセスを図示するフローチャートである。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態によるインジケータ制御プロセスを図示するフローチャートである。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による別のインジケータ制御プロセスを図示するフローチャートである。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態によるまた別のインジケータ制御プロセスを図示するフローチャートである。
【
図11】
図11は、カートリッジのインジケータを更新するためのプロセスを図示する。
【0009】
対応する参照符号は、図面の幾つかの図の全体にわたって対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、例示的な実施形態は、添付図面を参照しながら、より完全に詳細に説明される。
【0011】
例示的な実施形態は、本開示が徹底していて、かつその範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態の徹底的な理解のために、具体的な品目、装置、および方法の実施例などの多数の具体的な詳細が規定されている。特定の詳細を採用する必要はないこと、例示的な実施形態は数多くの異なる形態で具体化されてもよいこと、およびこれらのことのどちらも本開示の範囲を制限すると解釈されないことが当業者に明らかとなる。一部の例示的な実施形態において、周知のプロセス、周知の装置構造、および周知の技術が詳細に説明されていない。
【0012】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、制限することは意図されていない。単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は本明細書で使用される場合、複数形も含むことが意図されうるが、文脈によって明らかにそうではないことが示される場合はその限りではない。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、そのため、述べられた特徴、整数、工程、動作、要素および品目の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、品目、またはこれらの群の存在または追加を除外しない。本明細書で説明される方法の工程、プロセス、および動作は、実行の順序として明確に特定されない限り、述べられたまたは例証されたその特定の順序での実行を必ず必要とするとは解釈されない。追加的または代替的工程を採用してもよいことも理解される。
【0013】
要素もしくは層が、別の要素もしくは層「の上にある(on)」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」、または「に連結される(coupled to)」と言及される時、これはもう一方の要素もしくは層の上に直接あってもよく、それに直接的に係合されてもよく、それに直接的に接続されてもよく、またはそれに直接的に連結されてもよく、あるいは介在する要素もしくは層が存在してもよい。対照的に、一つの要素が別の要素もしくは層「の上に直接的にある」、「に直接的に係合される」、「に直接的に接続される」、または「に直接的に連結される」と言及される時、介在する要素もしくは層は存在しない場合がある。要素の間の関係を説明するために使用される他の語は、同様に解釈されるべきである(例えば、「の間に」に対して「の間に直接的に」、「隣接した」に対して「直接的に隣接して」等)。
【0014】
第一の、第二の、第三の、等の用語は、様々な要素、品目、領域、層、およびセクションを説明するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素、品目、領域、層、およびセクションはこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、一つの要素、品目、領域、層、またはセクションを別の領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用されてもよい。「第一の」、「第二の」、およびその他の数に関する用語などの用語は、本明細書で使用される時、その文脈によって明確に示されていない限り、配列または順序を暗示しない。従って、以下で説明される第一の要素、品目、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第二の要素、品目、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0015】
空間的関係の用語(例えば、「内側」、「外側」、「下に」、「下方に」、「下部」、「上方に」、「上部」、およびこれに類するものなど)は、図中で図示する際に、別の要素または特徴に対する一つの要素または特徴の関係を説明しやすくするために本明細書で使用されてもよい。空間的関係の用語は、図に図示されている方向に加えて、使用時または動作時における装置の異なる方向を包含することが意図されている場合がある。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」または「下に」と説明されている要素は、その後は他の要素または特徴の「上方に」方向付けられることになる。従って、例示的な用語「下方に」は上方および下方の両方の方向を包含しうる。装置は、別の方法で(90度回転して、または他の向きで)向きが決められる場合があり、本明細書で使用される空間的関係の記述語は適宜に解釈される。
【0016】
プレベイパー製剤は、ベイパーへと変形されうる材料または材料の組み合わせである。例えば、プレベイパー製剤は、水、ビーズ、溶媒、活性成分、エタノール、植物抽出物、天然風味または人工風味、またはグリセリンおよびプロピレングリコールなどのベイパー形成体を含むが、これらに限定されない、液体製剤、固体製剤、またはゲル製剤であってもよい。米国特許出願第14/602,099号(公開番号2015/0313275)、米国特許出願第14/333,212号(公開番号第2015/0020823号)および米国特許出願第13/756,127号(公開番号2013/0192623)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、製剤混合物の例を開示している。
【0017】
プレベイパー製剤は、ニコチンを含んでもよく、またはニコチンを含まなくてもよい。プレベイパー製剤は、一つ以上のたばこ風味を含んでもよい。プレベイパー製剤は、一つ以上のたばこ風味とは別の一つ以上の風味を含んでもよい。
【0018】
一部の例示的な実施形態において、ニコチンを含むプレベイパー製剤はまた、一つ以上の酸も含んでもよい。一つ以上の酸の組み合わせは、ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グリコール酸、酢酸、イソ吉草酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、1-グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3-ヘキサン酸、トランス-2-ヘキサン酸、イソ酪酸、ラウリン酸、2-メチル酪酸、2-メチル吉草酸、ミリスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4-ペンテン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、硫酸およびそれらの組み合わせのうちの一つ以上を含み得る。
【0019】
プレベイパー製剤はまたもしくは代わりに、製剤が気化されても気化されなくてもよいが、またはもしくは代わりに分散されうる予分散製剤であってもよい。
【0020】
図1は、電子ベイピング(eベイピング)装置10の例示的な実施形態を図示する。
【0021】
図1は、例示的な実施形態例による、組み立てられた電子ベイピング(eベイピング)装置10の図である。装置10は、カートリッジ20および電力セクション30の二つの主要セクションを含みうる。別の方法として、装置10は二つ以上のセクションを含んでもよく、または装置10は一つの一体型のセクションであってもよい。電力セクション30は再使用可能であってもよく、または別の方法として、電力セクション30は使い捨てであってもよい。カートリッジ20は使い捨てであってもよく、または別の方法として、カートリッジ20は再使用可能であってもよい。セクション20/30は、ねじ接続(図示せず)を介して相互に接続されてもよい。別の方法として、セクション20/30は、滑り嵌め接続、戻り止め、圧力嵌め、クランプおよび留め金等のうちの一つ以上など、その他の構造を介して相互に接続されてもよい。カートリッジ20は、プレベイパー製剤を加熱してベイパーを発生するように構成されている。
【0022】
図2は、例示的な実施形態による、
図1のeベイピング装置10の電力セクション30の断面図である(より具体的には、
図1の「A-A」の断面図である)。電力セクション30は、カートリッジ20に電力を供給する。上述のように、電力セクション30は、eベイピング装置の再使用可能なセクションであってもよい。この場合、再使用可能なセクションは、外部充電装置によって再充電可能であってもよい。別の方法として、電源60からのエネルギーが消耗されるまでのみ(以下に記載)電力セクション30が使用されうるように、電力セクション30はeベイピング装置の使い捨てセクションであってもよい。
【0023】
電力セクション30は電源として電池に限定されず、その他任意の電源であってもよい。電源60は、リチウムイオン電池またはその変形(例えば、リチウムイオンポリマー電池、リン酸鉄リチウム等)の一つであってもよい。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムマンガン電池、リチウムコバルト電池、または燃料電池であってもよい。eベイピング装置は、電源のエネルギーが枯渇されるまで、またはリチウムポリマー電池の場合には、最小の電圧カットオフレベルが達成されるまで、成人ベイパー吸引者によって動作可能であってもよい。
【0024】
さらに
図2を参照すると、電力セクション30は、ハウジングシェル202内の第一のコネクター部分40a、圧力センサー55、電源60およびコントローラ70を含む。ハウジングシェル202はプラスチックで形成されてもよく、また随意に金属(例えば、アルミニウム)被覆を含んでもよいが、その他の適切な材料が使用されてもよい。コントローラ70は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはそのような他のハードウェアであってもよい。
【0025】
コントローラ70は圧力センサー55に接続されていてもよく、圧力センサーはeベイピング装置内の空気の圧力降下を感知するように動作可能であり、カートリッジ20が電力セクション30に接続されている時、電力セクション30からカートリッジ20内の発熱体への電圧の印加を開始する。
【0026】
電力セクション30がカートリッジ20に接続されている時、電源60は、成人ベイパー吸引者によって適用される、カートリッジ20および電力セクション30のうちの一方または両方内の陰圧を圧力センサー55によって感知した時、カートリッジ20の発熱体と電気的に接続されている。空気は、eベイピング装置10の口側端ピースを通してカートリッジの中央空気通路の中に主に引き出される。例示的な実施形態は、ベイピングを起動するために圧力センサーを使用するeベイピング装置に限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、押しボタンまたは静電容量式ボタン等を介してなど、その他の方法で起動されうるeベイピング装置にも適用可能である。
【0027】
第一のコネクター部分40aは、eベイピング装置10のカートリッジ20など、別のeベイピング要素上のオスコネクターに接続できるメスコネクターであってもよい(
図3および4A~4Cを参照)。別の方法として、第一のコネクター部分40aは、eベイピング装置の別のセクション上のメスコネクターに接続できるオスコネクターであってもよい。第二のコネクター部分40bは、eベイピング装置10の電力セクション30など、別のeベイピング要素上のメスコネクターに接続できるオスコネクターであってもよい(
図3および4A~4Cを参照)。別の方法として、第二のコネクター部分40bは、eベイピング装置の別のセクション上のオスコネクターに接続できるメスコネクターであってもよい。コネクター40a/40bの遠位端は、別のeベイピングセクション上のねじ山(図示せず)と嵌合することができるねじ山(図示せず)を画定しうる。
【0028】
図3は、eベイピング装置10のカートリッジ20の例示的な実施形態の断面図である。電力セクション30と同様に、本主題には異なるカートリッジまたはセクションを用いることができる。
【0029】
図3を参照すると、カートリッジ20は、ハウジング402、インジケータ320を含み、口側端315およびコネクター端部305を有する。ハウジング402は、金属(例えば、ステンレス鋼)で形成されてもよいが、他の適切な材料が使用されてもよい。
【0030】
カートリッジ20は、カートリッジ20内に包含されたプレベイパー製剤を加熱して、口側端315のマルチポートインサート50を通して引き出されることができるベイパーを発生する。米国特許出願番号 第13/741,254号(公開番号2013/0192619号)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれていて、分散型マルチポートの口インサートの例を開示している。
【0031】
カートリッジ20は、内側管414と、プレベイパー製剤を保存または包含するためのプレベイパー製剤貯蔵部416と、カートリッジ入口418とを含む。内側管414は、ハウジング402内に、かつハウジング402と、概して同軸に位置付けられた通路を画定する。プレベイパー製剤貯蔵部416は、ハウジング402と内側管414の間の外側環状部に包含されてもよい。
【0032】
少なくとも一つの例示的な実施形態において、貯蔵部416は、プレベイパー製剤と、随意に貯蔵部内のプレベイパー製剤の流れを分散、調節、または分散および調節の両方を行うように構成された貯蔵媒体(例えば、繊維質媒体)とを含む。例えば、貯蔵媒体は、内側管の周りのガーゼのラッピングであってもよい。貯蔵媒体は、同一の材料または異なる材料のガーゼの内側ラッピングを囲むガーゼの外側ラッピングを含む。少なくとも一つの例示的な実施形態において、貯蔵部416の貯蔵媒体は、まとめられていない粒子、まとめられていない繊維、または織られた繊維もしくは不織繊維の形態のアルミナセラミックで構築され、または別の方法として貯蔵媒体は、まとめられていない繊維の束の形態のセルロース系材料(綿もしくはガーゼ材料など)または高分子材料(ポリエチレンテレフタラートなど)で構築される。
【0033】
貯蔵媒体の繊維は、約6ミクロン~約15ミクロン(例えば、約8ミクロン~約12ミクロン、または約9ミクロン~約11ミクロン)のサイズの範囲の直径を有してもよい。貯蔵媒体は、焼結材料、多孔性材料、または発泡性材料であってもよい。また、繊維は吸入できないようにサイズが決められてもよく、またY字形状、十字形状、クローバー形状、または任意の他の適切な形状の断面を有してもよい。一部の例示的な実施形態では、プレベイパー製剤貯蔵部416は、いかなる貯蔵媒体も有さず、プレベイパー製剤のみを包含する、充填されたタンクを含んでもよい。
【0034】
口側端315はマルチポートインサート50を含み、これは内側管414と流体連通している出口408を含んでもよく、内側管は第二のコネクター部分40bのアノード452まで延びる。アノード452は、一方の端で内側管414と流体連通しており、対向する端で空気吸込み口(図示せず)と流体連通している貫通孔454を含みうる。
【0035】
少なくとも一部の例示的な実施形態では、カートリッジ20は、発熱体420(または「ヒーター」と呼ばれる)、芯422、および電極リード線424aおよび424bをさらに含んでもよく、電極リード線は、カートリッジ20が電力セクション30などの電源セクションに接続された時に、発熱体420を電源と電気的に結合するために提供される。
【0036】
カートリッジ20が電力セクション30に接続されている時、電源60は発熱体420に動作可能に接続されて、発熱体420にわたって電圧をかけうる。さらに、電源60は、より詳細に説明されるように、プリント回路基板72上のコントローラに電力を供給する。
【0037】
図4A~4Cは、カートリッジの例示的な実施形態を図示する。
図4Aを参照すると、カートリッジ20aは、カートリッジ20の貯蔵部416内に残っている流体の量を表示するためのインジケータ320を含む。表示された量は、貯蔵部416内に残っている流体の量に類似しうる。一実施例では、完全に電力供給されたインジケータ320は、完全に満たされた貯蔵部を表しうる。別の方法として、完全に電力供給されたインジケータ320は、完全に消耗した貯蔵部を表しうる。例えば、例示的な実施形態の構成では、カートリッジ20内のプレベイパー製剤が消耗した場合、インジケータ320が完全に電力供給されるように構成されうる。例示的な実施形態の別の構成では、カートリッジ20aがプレベイパー製剤で満たされている場合、インジケータ320が完全に電力供給されるように構成されうる。例示的な実施形態の別の構成では、カートリッジ20aが部分的に満たされている場合、インジケータ320が部分的に電力供給されるように構成されうる。コントローラ70は、貯蔵部内のプレベイパー製剤の量に従って、インジケータ320に送達される電力を制御する。
【0038】
図4Aでは、カートリッジ20aは、口側端315にあるマルチポートインサート50、コネクター端部305にある第二のコネクター部分40b、およびハウジング402を有することが示されている。インジケータ320は、カートリッジ20aの表面上に長軸方向に配置されている。インジケータ320は、細長い形状を有し、カートリッジ20aの長手方向軸に沿って長軸方向に延びてもよい。例では、インジケータ320は単一の表示として示されているが、実施形態はこの例に限定されないべきである。インジケータ320は、カートリッジ20a内に残っている流体の量の類似表現を表示するように構成されうる。また、インジケータ320は、複数の個別インジケータを含んでもよく、それぞれが他の個別インジケータと無関係に電力を受けるように構成されてもよい。電力を受けている個別インジケータの量は、カートリッジ20a内のプレベイパー製剤の残りの量に類似しうる。
【0039】
図4Bは、カートリッジの別の例示的な実施形態を示す。
【0040】
図4Bを参照すると、カートリッジ310がその端にインジケータ312を含むことを除いて、カートリッジ310はカートリッジ20aと類似している。インジケータ312は、カートリッジ310の周囲全体を囲んでもよく、カートリッジ310の周囲を部分的に囲んでもよく、またはカートリッジ310の周囲を断続的に囲んでもよい。少なくとも一つの例示的な実施形態によると、インジケータ312は、インジケータ312の複数の個別セグメント312aを表示するように構成されており、個別セグメント312aは、カートリッジ310が電力セクション30に接続された時に、それぞれ独立して電力セクション30から電圧を受けるように構成されている。個別セグメント312aのそれぞれは、個別セグメントの残りの部分と同時に、ただしそれらとは独立して電力を供給されうる。例えば、個別セグメント312aは、電力を受けていることが図示されており、第二の個別セグメント312bは電力を受けていない状態で示されている。個別セグメントについては、以下でより詳細に説明する。
【0041】
個別セグメントに電力が供給されうる順序を決定するには様々な方法を使用することができ、本明細書では詳細に検討しない。インジケータ312は、どの程度のプレベイパー製剤がカートリッジの貯蔵部内に残っているかの表示を提供するように構成されている。インジケータの動作については、以下で詳細に検討する。
【0042】
図4Cを参照すると、カートリッジ330がインジケータ322を含むことを除いて、カートリッジ330はカートリッジ20aと類似している。インジケータ322は一体式であってもよく、荷電材料322aおよび非荷電材料322bを含みうる。
【0043】
インジケータ322は、カートリッジ330内に残っているプレベイパー製剤の量の類似表現を提供するように構成されている。インジケータ322は、電子ペーパー(「Eペーパー」)、有機発光ダイオード(「OLED」)、発光ダイオード、またはこれに類するものであってもよいが、これらに限定されない。インジケータ322は、貯蔵部内に残っているプレベイパー製剤の類似表現を示すように構成されうる単一構造を有しうる。別の方法として、または追加的に、インジケータ322は、複数の分離された個別インジケータセグメント322aおよび322bであってもよい。複数の個別インジケータセグメントの場合、電力供給された電動個別セグメントの数は、カートリッジ内のプレベイパー製剤の量を反映する。
【0044】
インジケータセグメント322a、322bは、カートリッジに沿った長軸方向の列、カートリッジに沿って円周方向に列をなして配置された点、ダッシュまたはその他の形状のライトの列等に配置されうる。インジケータセグメントの形状、複数の環、異なる形状の個別の物体(正方形、円形、楕円形、花、星、台形、長方形等)。インジケータ322の動作については、以下でより詳細に検討する。
【0045】
図5は、例示的な実施形態によるコントローラ70のブロック図を図示する。
図6は、インジケータ制御回路515およびヒーター制御回路515の実施形態を示す概略図である。
【0046】
図5に示すように、コントローラ70は、回路基板72上のマイクロプロセッサ502、コンピュータ可読記憶媒体505、インジケータ制御回路515、ヒーター制御回路517、充電制御回路520、電池管理装置(BMU)510および圧力センサー55を含む。一つの例示的な実施形態において、コントローラ70の様々な構成要素およびマイクロプロセッサ502は、集積回路間(I2C)インターフェースを使用して通信する。少なくとも一部の例示的な実施形態において、回路基板72は、外部装置528のための外部装置入力/出力(I/O)インターフェース530をさらに含む。I/Oインターフェース530は、例えばBluetoothインターフェースであってもよい。
【0047】
コントローラ70は、電力セクション30、ならびにeベイピング装置10全体の機能(例えば、発熱体420の制御、外部充電器540とのインターフェース、および成人ベイパー吸引者が陰圧を加えたかどうかを判定するためのeベイピング装置10の中の圧力のモニタリング)を制御する。コントローラ70は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを実行するハードウェア、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、コントローラ70は、一つ以上の中央処理装置(CPU)、デジタル信号処理装置(DSP)、一つ以上の回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ70の機能を実施するための特殊用途機械として構成されたコンピュータまたはこれに類するものであってもよい。
【0048】
例えば、コントローラ70がソフトウェアを実行するプロセッサである場合、コントローラ70は、コンピュータ可読記憶媒体505内に保存された指示を実行して、コントローラ70を特殊用途機械として構成する。
【0049】
本明細書で開示される「コンピュータ可読記憶媒体」または「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置、およびその他の情報を保存するための有形の機械可読媒体を含む、データを保存するための一つ以上の装置を表す場合がある。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、指示およびデータのうちの一つまたは両方を保存、含有、または保持する能力を有する、可搬式または固定式の記憶装置、光学記憶装置、およびその他の様々な媒体を含みうるが、これらに限定されない。
【0050】
図5に示すように、電源60は、例えば、マイクロプロセッサ502、インジケータ制御回路515、ヒーター制御回路517、圧力センサー55、および充電制御回路520などの内部回路に電圧VBATを供給する。電圧VBATおよびマイクロプロセッサ502からインジケータ制御回路515へのデータに基づいて、インジケータ312は貯蔵部内のプレベイパー製剤の量を示す光または一連の光を生成する。
【0051】
インジケータ制御回路515および充電制御回路520は、マイクロプロセッサ502によって制御され、データをマイクロプロセッサ502に送信し、マイクロプロセッサ502から受信する。
【0052】
ヒーター制御回路517は、パルス幅変調信号およびマイクロプロセッサ502からのイネーブル信号に基づいて、発熱体420に供給される電圧を制御するように構成されている。例えば、マイクロプロセッサ502が、カートリッジ20と電力セクション30が接続されていることを検出した場合、ヒーター制御回路517は、発熱体420にわたる電圧および発熱体420を通した電流をモニターするように構成されている。ヒーター制御回路517は、発熱体420を通るモニターした電圧および電流をマイクロプロセッサ502へとフィードバックするように構成されている。次にマイクロプロセッサ502は、ヒーター制御回路517からのフィードバックに基づいてパルス幅変調信号を調節するように構成されている。この動作は
図6および7に関して、以下でより詳細に説明される。
【0053】
BMU510は、電源60によって生成された電圧VBATをモニターする。電圧VBATが設定された範囲(例えば、2.5V~4.3V)内である場合、BMU 510はマイクロプロセッサ502に電圧VBATを供給する。電圧VBATが設定された範囲内ではない場合、BMU 510はマイクロプロセッサ502に電力が供給されるのを妨げる。
【0054】
マイクロプロセッサ502は、電圧VBATを供給電圧VDDへと変換するための電圧調整器を含む。マイクロプロセッサ502は電圧VDDを圧力センサー55、インジケータ312およびヒーター420に供給する。
【0055】
圧力センサー55は、微小電気機械システム(MEMS)センサーであってもよい。マイクロプロセッサ502は、成人ベイパー吸引者がeベイピング装置10に陰圧を加えたかどうかを判定するために、圧電素子550を含むMEMS圧力センサー55を使用する。成人ベイパー吸引者が陰圧を加えていることをマイクロプロセッサ502が検出した時、マイクロプロセッサ502は、ヒーター制御回路517を制御して発熱体420の加熱プロセスを開始し、プレベイパー製剤を気化することによってベイパーを生成する。圧力センサー55は一般に、装置の端部上に設定され、センサーの一方の側をセンサーの他方の側から密封するガスケットの中に入れられる。MEMS圧力センサー55は、例えばMS5637-02BA03低電圧気圧センサーであってもよい。MEMSセンサーの代わりに、またはMEMSセンサーに加えて、気流センサーを使用してもよい。
【0056】
図6に示すように、ヒーター制御回路は、インターフェース601aを介してマイクロプロセッサ502に結合された電圧監視回路605を含み、電圧監視回路605はインターフェース602aを介して発熱体420に結合されている。電流監視回路610は、インターフェース601bを介してマイクロプロセッサ502に結合され、電流監視回路610は、インターフェース602bを介して発熱体420に結合されている。パルス変調回路615は、インターフェース601cを介してマイクロプロセッサ502に結合され、パルス変調回路615はインターフェース602cを介して発熱体420に結合されている。インジケータ制御回路515は、インターフェース601dを介してマイクロプロセッサ502に結合され、インジケータ制御回路515は、インターフェース602dを介して可能な複数のインジケータセグメント312のうち少なくとも一つに結合されている。インジケータ制御回路515は、インターフェース603を介してヒーター制御回路517に結合されている。インジケータ制御回路515は、前記個別セグメントまたは複数の個別セグメントに連結される。インターフェース601a、601bおよび601cは、一つ以上のピンであってもよい。
【0057】
ヒーター制御回路517は、電圧監視回路605および電流監視回路610を含む。ヒーター制御回路517はまた、パルス変調回路615を含む。ヒーター制御回路517は他の回路も含んでもよいが、その他の回路は簡潔にするために省略されていることが理解されよう。電圧監視回路605は、電圧検出器であってもよい。電流監視回路610は、電流検出器であってもよい。
【0058】
図7は、初期化プロセスを図示する。初期化プロセスは、複数の異なる方法のうちの少なくとも一つでトリガーされうる。例えば、一部の例示的な実施形態では、カートリッジが電力セクションに接続された時に、初期化プロセスがトリガーされてもよい。他の例示的な実施形態では、成人eベイピング吸引者がカートリッジに陰圧を加えたとき、初期化プロセスがトリガーされうる。さらなる例示的な実施形態では、eベイピング装置が静止位置から移動されたとき、初期化プロセスがトリガーされうる。例示目的のため、
図7に示す例示的な実施形態を、
図5および6に示す図に関して説明する。
【0059】
初期化プロセスは、発熱体420への電源に対する負荷サイクルの適用をもたらす。例えば、マイクロプロセッサ502は、記憶媒体505から望ましい電力を取得する。望ましい電力は、設計パラメータであってもよく、経験的に決定されてもよく、製造元によって記憶媒体505内に予め保存されてもよい。
【0060】
図7を参照すると、工程S710で、コントローラ70は、アナログ-デジタル変換器でありうる電池管理ユニット710を介して、電源60の電圧を測定する。工程S720で、コントローラ70は、測定された電圧に基づいて負荷サイクルを決定する。工程S730で、コントローラ70は負荷サイクルを発熱体720に適用する。負荷サイクルの決定および適用は、
図8に関して以下でより詳細に説明される。例示的な実施形態は、
図7に示すプロセスに関して説明されているが、周知の初期化プロセスを使用してもよい。米国特許出願第15/191,778号は、参照により本明細書に組み込まれるものであり、例示的な実施形態で使用されうる別の初期化プロセスの一例である。
【0061】
図8は、例示的な実施形態によるインジケータ制御プロセスのフローチャートを示す。
【0062】
図8を参照すると、工程S800では、コントローラ70は記憶媒体505から発熱体420の抵抗値を取得する。抵抗値は、eベイピング装置が製造された時に、記憶媒体505内に保存されてもよい。工程S805で、コントローラ70は、電池の電圧に基づいて現在の負荷サイクルを決定する。例えば、マイクロプロセッサ502は、記憶媒体505から望ましい電力を取得する。望ましい電力は、設計パラメータであってもよく、経験的に決定されてもよく、製造元によって記憶媒体505内に予め保存されてもよい。一つの例示的な実施形態では、望ましい電力は3.9Wであってもよい。マイクロプロセッサ502はまた、開始抵抗R
開始を記憶媒体505から取得する。開始抵抗R
開始はヒーター420に対する仮定抵抗である。開始抵抗R
開始は、設計パラメータであってもよく、経験的に決定されてもよく、製造元によって記憶媒体505内に予め保存されてもよい。一実施例では、開始抵抗は約3.5オームであってもよい。マイクロプロセッサ502は、測定された電池の電圧、望ましい電力および開始抵抗を使用して、以下の式に従って負荷サイクル(DR)(またはデューティ比)を決定する:
DR
n-1 = (望ましい電力)(R
開始)
______________________ (1)
V
BT
2
【0063】
式中n-1は式(1)を使用して決定された負荷サイクルであり、VBATは測定された電池の電圧である。
【0064】
例えば、工程S807では、コントローラ70は、現在の負荷サイクルDRn-1に基づいて発熱体420に加えられる電力を決定する。マイクロプロセッサ502は、以下の式を使用して加えられた電力(電力適用)を計算しうる:
電力適用 = Vサンプル * Iサンプル
______________________(2)
DRn-1
【0065】
式中Vサンプルは測定電圧であり、Iサンプルは発熱体420にわたる測定電流である。
【0066】
工程S810で、コントローラ70は、発熱体420への電力適用に使用するために、新しい負荷サイクルDRnを決定する。例えば、マイクロプロセッサ502は、以下の式に従って新しい負荷サイクルを決定する:
DRn = (望ましい電力)* DRn-1
______________________ (3)。
電力適用
【0067】
デューティ比を決定する追加的な方法が、米国特許出願第15/191,778号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
図6を再び参照すると、例えば、電圧監視回路605は、発熱体420にわたるフィルター処理された(例えば、平均)電圧をサンプリングし、電流監視回路610は発熱体420を通してフィルター処理された(例えば、平均)電流をサンプリングする。コントローラ70は、電圧測定回路605からの電圧測定値および電流測定回路610からの電流測定値を受信する。理解される通り、これらおよびコントローラ70によって受信されるその他の任意の測定値は、アナログ・デジタル会話を受ける場合がある。コントローラ70は、測定された電圧および測定された電流を記憶媒体505内に保存しうる。
【0069】
コントローラ70は、記憶媒体505に新しい負荷サイクルを保存する。コントローラ70は、発熱体420への電力の適用を続けるが、新しい負荷サイクルに従ってそれを行う。例えば、マイクロプロセッサ502は、電力変調回路615を制御して、新しい負荷サイクルに従ってパルス幅変調電力信号を発熱体420に提供する。
【0070】
工程S820で、コントローラ70は、現在の負荷サイクルと新しい負荷サイクルとの差を決定して負荷サイクル差異(ΔDR)を取得する。次に、工程S830では、コントローラは媒体505から負荷サイクル閾値ΔDR閾値を取得する。コントローラ70は、工程S840でΔDRをΔDR閾値と比較する。例えば、コントローラ70が、ΔDRがΔDR閾値より小さいと判断した場合、コントローラ70は工程S800に戻る。一方で、コントローラ70が、ΔDRがΔDR閾値よりも大きいと判断した場合、コントローラ70は工程S850で、ΔDRに基づいてインジケータを制御する。工程S850は以下でより詳細に検討される。
【0071】
理解される通り、次の繰り返しでは、負荷サイクルDRn-1は、前の繰り返しからの新しい負荷サイクルDRnに等しい。ただし、陰圧の適用が終了した場合、プロセスは終了する。
【0072】
一つの例示的な実施形態では、初期化プロセスのサイクル時間および閉ループ電力制御プロセスの1回繰り返しのサイクル時間は、等しく設定されてもよい。しかしながら、例示的な実施形態は、これらのプロセスが等しい開始時間を有することに限定されない。一つの例示的な実施形態では、サイクル時間は約60~80ミリ秒であってもよい。しかし、例示的な実施形態はこれらの値に限定されない。
【0073】
理解される通り、
図7~8の方法は、陰圧の各適用の間に繰り返される。一つの例示的な実施形態では、陰圧の第一の適用後、開始抵抗は、発熱体420にわたる最後の測定電圧を発熱体420に適用された最後の測定電流で割ったものに基づいて決定されうる。
【0074】
別の実施形態では、
図7~8のプロセスは、望ましい電力の代わりに、発熱体420に適用するために望ましい電圧に基づいてもよい。望ましい電圧は、設計パラメータであってもよく、経験的に決定されてもよく、製造元によって記憶媒体505内に予め保存されてもよい。例えば、式(3)による新しい負荷サイクルを決定する代わりに、新しい負荷サイクルは、以下の式(4)に従って決定されうる:
DR
n = (望ましい電圧) * DR
n-1
_________________ (4)。
V
サンプル
【0075】
また別の実施形態では、
図7~8のプロセスは、望ましい電力の代わりに、発熱体420に適用するために望ましい電流に基づいてもよい。望ましい電流は、設計パラメータであってもよく、経験的に決定されてもよく、製造元によって記憶媒体505内に予め保存されてもよい。例えば、式(3)による新しい負荷サイクルを決定する代わりに、新しい負荷サイクルは、以下の式(5)に従って決定されうる:
DR
n = (望ましい電圧) * DR
n-1
__________________ (5)。
I
サンプル
【0076】
図9は、
図8のインジケータ制御プロセス850を示すフローチャートを図示する。工程S905で、上記の工程S820で決定されたΔDRは、その決定時に直接使用されるか、または記憶媒体505から取得される。工程S910で、ΔDR
最小が記憶媒体505から取得される。ΔDR
最小は、例えばインジケータの変更が実行されるベンチマーク値である。従って、工程S915で、ΔDRはΔDR
最小と比較されて、ベンチマークが満たされているかどうかを判断する。
【0077】
ΔDRがΔDR最小より小さい場合、プロセスは開始に戻る。一方、ΔDRがΔDR最小よりも大きい場合、コントローラ70は、単一の増大/減少単位だけ個別セグメントへの電力を変更する。例えば、1単位は、インジケータ312の新しい個別セグメント312aに電力を供給することと同等でありうる。負荷サイクルと増大/減少単位の間の関係は、製造者によって決定されうる。例えば、25パーセントの負荷サイクルは、個別セグメント312aのすべてに電力が向けられる原因となりうる。さらに、75パーセントの負荷サイクルは、1つの個別セグメント(または0個の個別セグメント)に電力が向けられる原因となりうる。またさらに、50パーセントの負荷サイクルは、個別セグメントの半分に電力が向けられる原因となりうる。
【0078】
本明細書に開示されるプロセスの観点から、コントローラ70は、ΔDRがΔDR最小よりも大きいと判断すると、個別セグメントへの電力を減少させることが理解されよう。
【0079】
工程S920で、増大/減少カウンターは、電力が増大された時に1つだけ増加する。工程S925で、増大/減少合計、例えば、カートリッジが記憶媒体505に保存されてから起こるすべての増大または減少の合計。ベイピングセッションが終了し、新しいベイピングセッションを開始すると、新しいベイピングセッションのためにコントローラがいくつの個別セグメントに電力を供給すべきかを決定するために、増大/減少合計カウンターが後で取得される。例えば、カートリッジ20に10個の個別セグメントがあり、増大/減少カウンターが5の値を有する場合、個別セグメントの5つに電力ga供給されうる。
【0080】
さらなる例示的な実施形態を
図10に示す。
図10は、インジケータが調節され、インジケータセクションへの電力が遮断され、個別セグメントへの電力が再確立された後に、eペーパーなどの静止インジケータを有するカートリッジのインジケータを更新するプロセスを図示したものである。工程S1005で、コントローラ70は、記憶媒体505から増大/減少合計(I)を取得する。工程S1010で、コントローラ70は、負荷サイクルが変化したかどうかを判断する。変化していない場合、プロセスはS1005に戻って繰り返す。一方、負荷サイクルが変化した場合、工程S1015でコントローラ70は、上述の新しい負荷サイクルに基づいて、インジケータへの電力を増加または減少させる。
【0081】
一部の例示的な実施形態では、コントローラ70は、短時間(例えば、わずか数ミリ秒)、発熱体420に100%負荷サイクルの電力を適用しうる。これは、マルチポートインサート50が取り付けられている場合、または陰圧の第一の適用において発生しうる。コントローラ70は、発熱体420にわたる電圧および電流を測定し、発熱体420の抵抗を決定する。抵抗が望ましい範囲外である場合、マルチポートインサート50は無効として識別され、マルチポートインサート50にさらなる電力は供給されない。望ましい範囲は、設計パラメータであってもよく、経験的に決定されてもよく、記憶媒体505内に保存されてもよい。例えば、望ましい範囲は約2~5オームでありうる。コントローラ70は、一定の範囲外の任意の負荷サイクルを無視するように構成されてもよい。例えば、100パーセントの負荷サイクルおよび10パーセントの負荷サイクルは無視されうる。
【0082】
さらなる例示的な実施形態を
図11に示す。
図11は、負荷サイクルとインジケータに適用される電力量との間の関係に基づいて、カートリッジのインジケータを更新するためのプロセス1150を図示する。
【0083】
ルックアップテーブルは、(例えば、製造時に)記憶媒体505に保存されうる。ルックアップテーブルは、インジケータに適用される電力の量が特定の負荷サイクルに関係する場合の関係マトリクスを含みうる。関係マトリクスの値は、eベイピング装置10が製造される前に経験的に決定されてもよい。別の方法として、製造後に関係マトリックスを記憶媒体505にアップロードしてもよい。
【0084】
負荷サイクルが変化すると、インジケータへの電力の量も変化する。例えば、
図11に示すように、工程S1155では、マイクロプロセッサ502は記憶媒体505から現在の負荷サイクルを取得する。工程S1160で、マイクロプロセッサ502は、
図8および9に関連して上述したプロセスに基づいて負荷サイクルが変化したかどうかを判断する。負荷サイクルが変化していないとマイクロプロセッサ502が判断した場合、プロセスは工程S1155に戻る。工程S1165で、マイクロプロセッサ502は、現在の負荷サイクルに基づいてインジケータに適用されるべき電力を、記憶媒体505のルックアップテーブルから取得する。工程1170で、マイクロプロセッサ502は、インジケータへの電力を調節することによってインジケータを更新する。
【0085】
上述のように、異なるプレベイパー製剤が、例示的な実施形態によるeベイピング装置に含まれうる。少なくともいくつかの例示的な実施形態によると、開始抵抗(R開始)は、eベイピング装置に含まれるプレベイパー製剤のタイプに応じて変化しうる。プレベイパー製剤ルックアップテーブルは、eベイピング装置内に含まれうる。プレベイパー製剤ルックアップテーブルは、特定のタイプのプレベイパー製剤に固有の情報を含みうる。
【0086】
一部の例示的な実施形態では、電力セクション30内のコントローラ70の記憶媒体505は、様々に異なるプレベイパー製剤に関する情報を有するルックアップテーブルを含みうる。例えば、第一のタイプのプレベイパー製剤は、第二のタイプのプレベイパー製剤の抵抗とは異なる抵抗を有しうる。例えば、RFID、EPROM、抵抗器、またはこれに類するものを通して、カートリッジ20は、どのタイプのプレベイパー製剤がその中に含まれているかをプロセッサ502に伝達するように構成されうる。プロセッサ502は、本明細書に記載のように、流体レベルの決定に使用するために、記憶媒体505のルックアップテーブルから抵抗R開始を取得しうる。
【0087】
他の例示的な実施形態では、プロセッサ502は、プレベイパー製剤情報がルックアップテーブルに含まれない場合、R開始を決定しうる。例えば、カートリッジ20は、カートリッジ20内の特定のプレベイパー形成の抵抗を示すデータを含みうる。プロセッサ502は、カートリッジ内の特定のプレベイパー製剤の抵抗に関連するデータをカートリッジ20から(例えば、直接的に)取得し、それに応じて流体レベルを決定するように構成されうる。これらの他の例示的な実施形態では、特定のプレベイパー形成の抵抗に関連するデータは、EPROMなどのハードウェアに保存されてもよく、またはカートリッジ20内のプレベイパー製剤の抵抗をプロセッサ502に示すために、カートリッジ20において特定の値を有する抵抗器で具体化されてもよい。
【0088】
例えば、一部の例示的な実施形態では、プロセッサ502は、カートリッジ20内のEPROMから抵抗値を取得してもよく、上述のようにその取得した抵抗値を使用して流体レベルを決定してもよい。
【0089】
別の方法として、他の例示的な実施形態では、カートリッジ20は、本明細書に記載したようにプロセッサ502が流体レベルを決定することを可能にする抵抗値を有する識別抵抗器を含んでもよい。例えば、プロセッサ502は、識別抵抗器に電圧をかけて識別抵抗器の抵抗値を決定することができ、その後、本明細書に開示したように、プロセッサ502は、決定された抵抗値に基づいて流体レベルを決定することができる。
【0090】
前述の実施形態の説明は、例証および説明の目的で提供されている。また前述の実施形態の説明は網羅的であること、または本開示を制限することを意図しない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は概して、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合には、特に示されていない、または説明されていない場合であっても、互いに交換可能であり、また選択された実施形態で用いられてもよい。特定の実施形態の個々の要素または特徴はまた、多くの方法で変わりうる。こうした変形は、本開示を逸脱するものと見なされず、すべてのこうした変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。