(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】蒸気発生デバイスのための誘導加熱組立体
(51)【国際特許分類】
H05B 6/36 20060101AFI20230927BHJP
H05B 6/28 20060101ALI20230927BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20230927BHJP
【FI】
H05B6/36 Z
H05B6/28
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2020536507
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2018086170
(87)【国際公開番号】W WO2019129637
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ヴァンコ
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-528874(JP,A)
【文献】特表2016-510994(JP,A)
【文献】特開平10-050522(JP,A)
【文献】特開2011-086009(JP,A)
【文献】特開2001-110639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0057811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/00-6/10、6/14-6/44
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生デバイス(10)のための誘導加熱組立体(20)であって、前記誘導加熱組立体(20)が、
誘導コイル(30)と、
ローパスフィルタ(34)であって、前記誘導コイル(30)に隣接して位置付けられ、かつ前記誘導コイル(30)と電気的に接続されるとともに、前記誘導コイル(30)のための電磁シールドを提供するために実質的に前記誘導コイル(30)の少なくとも1つの側にわたって延在するように成形されたローパスフィルタ(34)と
を含む誘導加熱組立体(20)。
【請求項2】
電力を前記誘導コイル(30)に提供するよう配置された電源(16)と、
空気出口(14)と連通している加熱区画(22)と
をさらに含む、請求項1に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項3】
前記ローパスフィルタ(34)が前記誘導コイル(30)と前記電源(16)との間に位置付けられる、請求項2に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項4】
前記加熱区画(22)と連通する空気入口(18)であって、前記ローパスフィルタ(34)が前記空気入口(18)と前記電源(16)との間に位置付けられる空気入口(18)をさらに含む、請求項2に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項5】
共振キャパシタ(42)であって、前記ローパスフィルタ(34)が前記誘導コイル(30)と前記共振キャパシタ(42)との間に位置付けられる共振キャパシタ(42)をさらに含む、請求項1又は2に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項6】
前記ローパスフィルタ(34)がローパスフィルタコイル(36)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項7】
前記ローパスフィルタコイル(36)が、コイルの巻き方向により画定された平面において延在するフラットコイルを含む、請求項6に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項8】
前記誘導コイル(30)がらせん形であり、
前記ローパスフィルタコイル(36)がらせん形誘導コイル(30)の軸方向端部(38、40)に位置付けられ、
前記ローパスフィルタコイル(36)の前記平面が前記らせん形誘導コイル(30)の前記軸方向に実質的に垂直である、請求項7に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項9】
前記誘導コイル(30)がらせん形であり、
前記ローパスフィルタ(34)が、前記らせん形誘導コイル(30)の細長い側を実質的に覆うように配置される、請求項6又は7に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項10】
前記ローパスフィルタ(34)がフェリ磁性材料を含むプレート部材(44)を含み、前記ローパスフィルタコイル(36)が前記プレート部材(44)に位置付けられる、請求項6~9のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項11】
前記ローパスフィルタがフェリ磁性材料を含む2つのプレート部材(44a、44b)を含み、前記ローパスフィルタコイル(36)が前記2つのプレート部材(44a、44b)間に位置付けられる、請求項10に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項12】
前記プレート部材(44
)が低導電率及び高透磁性を有するフェリ磁性材料を含む、請求項1
0に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項13】
前記2つのプレート部材(44a、44b)が低導電率及び高透磁性を有するフェリ磁性材料を含む、請求項11に記載の誘導加熱組立体(20)。
【請求項14】
蒸気発生デバイス(10)であって、
請求項1~
13のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(20)と、
電力を誘導コイル(30)に提供するよう配置された電源(16)と、
誘導加熱可能なカートリッジ(24)を受けるよう配置された加熱区画(22)と、
空気を前記加熱区画(22)に提供するように配置された空気入口(18)と、
前記加熱区画(22)と連通している空気出口(14)と
を含む蒸気発生デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気発生デバイスのための誘導加熱組立体に関する。本開示の実施形態はまた蒸気発生デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
吸入のための蒸気を生じさせるために蒸発可能な物質を、燃焼させるのではなく加熱するデバイスは、近年消費者に人気が出ている。
【0003】
そのようなデバイスは、熱を物質に提供するためにいくつかの異なるアプローチのうちの1つを使い得る。1つのそのようなアプローチは、誘導加熱システムを用いる蒸気発生デバイスを提供することである。そのようなデバイスにおいて、誘導コイル(以降、インダクタとも呼ばれる)にデバイスが設けられ、サセプタに蒸発可能な物質が設けられる。ユーザがデバイスを起動させると電気エネルギーがインダクタに提供され、インダクタが今度は交流電磁場を発生させる。サセプタは電磁場と結合するとともに、蒸発可能な物質へ例えば伝導により伝えられる熱を発生させ、蒸発可能な物質が加熱されると蒸気が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなアプローチには、加熱、したがって蒸気発生のより良好な制御を提供する可能性がある。しかしながら、誘導加熱システムの使用の欠点は、誘導コイルにより発生した電磁場の漏洩が生じる場合があることであり、したがって、この欠点に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様によると、蒸気発生デバイスのための誘導加熱組立体であって、誘導加熱組立体が、
誘導コイルと、
ローパスフィルタであって、誘導コイルに隣接して位置付けられるとともに実質的に誘導コイルの少なくとも1つの側にわたって延在するように成形されたローパスフィルタと
を含む誘導加熱組立体が提供される。
【0006】
ローパスフィルタは、誘導コイルのためのローパスフィルタとして機能するために誘導コイルに電気的に接続される。ローパスフィルタはまた、誘導コイルのための電磁シールドを提供するように構築される。このようにして、単一の電子部品が、誘導加熱組立体の電子制御電気回路のローパスフィルタ及び電磁シールドの両方として機能するように提供され得る。誘導加熱組立体の構造は、したがって、使用する必要のある電子部品の数が減ることを原因として単純化される。より少ない数の電子部品を使用することは、誘導加熱組立体のサイズ及び製造コストの両方が減少することをもたらす。
【0007】
本開示の第2態様によると、蒸気発生デバイスであって、
本開示の第1態様による誘導加熱組立体と、
誘導コイルに電力を提供するように配置された電源と、
誘導加熱可能なカートリッジを受けるよう配置された加熱区画と、
空気を加熱区画に提供するように配置された空気入口と、
加熱区画と連通している空気出口と
を含む蒸気発生デバイスが提供される。
【0008】
誘導加熱組立体は、電力を誘導コイルに提供するように配置された電源、例えばバッテリを含み得る。誘導加熱組立体は空気出口と連通している加熱区画を含み得る。加熱区画は、誘導加熱可能なカートリッジを受けるよう配置されてもよい。
【0009】
ローパスフィルタは誘導コイルと電源との間に位置付けられてもよい。
【0010】
ローパスフィルタは誘導コイルと空気出口との間に位置付けられてもよい。
【0011】
誘導加熱組立体は加熱区画と連通する空気入口を含んでもよく、ローパスフィルタは空気入口と電源との間に位置付けられ得る。このような配置構成は、小型の誘導加熱組立体の、したがって小型の蒸気発生デバイスの提供を可能にする。
【0012】
誘導加熱組立体は1つ又は複数の共振キャパシタを含んでもよく、ローパスフィルタは誘導コイルと1つ又は複数の共振キャパシタとの間に位置付けられてもよい。1つ又は複数の共振キャパシタは、したがって、電磁への露出から保護される。
【0013】
ローパスフィルタはコイルを含み得る。ローパスフィルタコイルは、コイルの巻き方向により画定された平面において延在し得るフラットコイルを含み得る。
【0014】
誘導コイルはらせん形であってもよい。
【0015】
ローパスフィルタコイルはらせん形誘導コイルの軸方向端部に位置付けられる。ローパスフィルタコイルの平面は、らせん形誘導コイルの軸方向に実質的に垂直であり得る。
【0016】
ローパスフィルタはらせん形誘導コイルの細長い側を実質的に覆うように配置され得る。
【0017】
ローパスフィルタはフェリ磁性材料を含むプレート部材を含んでもよく、ローパスフィルタコイルはプレート部材に位置付けられ得る。このような配置構成によりローパスフィルタのインダクタンス及びEM遮蔽性能は増加する。
【0018】
ローパスフィルタはフェリ磁性材料を含む2つのプレート部材を含んでもよく、ローパスフィルタコイルはプレート部材間に位置付けられ得る。このような配置構成によりこの場合もローパスフィルタのインダクタンス及びEM遮蔽性能は増加する。
【0019】
当該又は各フェリ磁性プレート部材は円形であってもよく、例えばフェリ磁性ディスクを含んでもよいが他の形状も用いられ得る。
【0020】
当該又は各フェリ磁性プレート部材は、低導電率及び高透磁性を有するフェリ磁性材料、例えばフェライトセラミックを含んでもよい。
【0021】
誘導加熱組立体は、使用の際、およそ20mT~最高濃度でおよそ2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場で作動するように配置されてもよい。
【0022】
誘導加熱組立体は、高周波数で作動するように構成され得る電源及び電気回路を含んでもよい。電源及び電気回路は、およそ80kHz~500kHz、場合によりおよそ150kHz~250kHz、及び場合によりおよそ200kHzの周波数で作動するように構成されてもよい。電源及び電気回路は、使用される誘導加熱可能なサセプタのタイプに依存して、より高い周波数で、例えばMHz単位の範囲で作動するように構成され得る。
【0023】
ローパスフィルタはおよそ100kHz~600kHzのカットオフ周波数を有し得る。いくつかの実施形態において、ローパスフィルタはおよそ250kHzのカットオフ周波数を有し得る。他の実施形態において、ローパスフィルタはおよそ280kHz~300kHzのカットオフ周波数を有し得る。
【0024】
誘導コイルは任意の好適な材料を含み得るが、典型的には誘導コイルはリッツワイヤ又はリッツケーブルを含み得る。
【0025】
誘導加熱組立体は任意の形状及び形を取り得るが、これは、過剰な材料使用を減らすために、実質的に誘導コイルの形をとるように配置され得る。上記の通り、誘導コイルは形状が実質的にらせん形であってもよい。
【0026】
らせん形誘導コイルの円形断面は誘導加熱組立体への誘導加熱可能なカートリッジの挿入を容易にするとともに誘導加熱可能なカートリッジの均一な加熱を確実にする。誘導加熱組立体の結果としての形状はまたユーザにとって快適に把持できるものである。
【0027】
誘導加熱可能なカートリッジは1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタを含み得る。当該又は各サセプタは、限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼及びその合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅の1つ又は複数を含んでもよい。その付近に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失を原因として当該又は各サセプタが熱を発生させることがあり、結果として電磁からのエネルギーを熱に変換する。
【0028】
誘導加熱可能なカートリッジは通気性シェル内部に蒸気発生物質を含み得る。通気性シェルは、電気絶縁性であり非磁性の通気性材料を含み得る。材料は、高温に耐えつつ空気が材料を通って流れることを可能にするために高通気性を有し得る。好適な通気性材料の例はセルロース繊維、紙、綿及び絹を含む。通気性材料はフィルタとしても機能し得る。代替的に、誘導加熱可能なカートリッジは紙に包まれた蒸気発生物質を含み得る。代替的に、誘導加熱可能なカートリッジは、蒸気発生物質であって、通気性はないが空気が流れるのを可能にするために好適な孔又は開口を含む材料の内部に保持された蒸気発生物質を含み得る。代替的に、誘導加熱可能なカートリッジは蒸気発生物質自体からなり得る。誘導加熱可能なカートリッジは実質的にスティックの形状に形成され得る。
【0029】
蒸気発生物質は任意のタイプの固体又は半固体材料であり得る。蒸気発生固体の例示的タイプは、粉体、顆粒、ペレット、小片、より糸、粒子、ゲル、ストリップ、ルーズリーフ、刻みフィラー、多孔質材料、発泡材料又はシートを含む。物質は植物由来材料を含んでもよく、特に、物質は煙草を含み得る。
【0030】
蒸気発生物質はエアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例は、多価アルコール及びその混合物、例えばグリセリン又はプロピレングリコールを含む。典型的には、蒸気発生物質は乾燥重量ベースでおよそ5%~およそ50%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。いくつかの実施形態において、蒸気発生物質は乾燥重量ベースでおよそ15%のエアロゾル形成剤内容量を含み得る。
【0031】
また、蒸気発生物質はエアロゾル形成剤自体であり得る。この場合、蒸気発生物質は液体であり得る。また、この場合、誘導加熱可能なカートリッジは、液体保持物質(例えば繊維の束、多孔質材料、例えばセラミックなど)であって、液体を蒸発するように保持するとともに、蒸気が形成され、液体保持物質から、例えばユーザによる吸入のために空気出口に向かって、放出/放射されることを可能にする液体保持物質を含み得る。
【0032】
加熱時、蒸気発生物質は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又は香味化合物、例えば煙草香料を含み得る。
【0033】
サセプタを加熱するために作動しているときに誘導コイルは電磁場を発生させることから、誘導加熱可能なサセプタを含むいずれの部材も作動中の誘導コイルに近接して配置されると加熱され、したがって、加熱区画に受け入れられる誘導加熱可能なカートリッジの形状及び外形は限定されない。いくつかの実施形態において、誘導加熱可能なカートリッジは形状が円筒形であってもよく、したがって、加熱区画は、実質的に円筒形の蒸発可能な物品を受けるように配置される。
【0034】
蒸発可能な物質及び煙草製品は特に、円筒形の形で梱包されるとともに販売されることが多いため、加熱区画の、加熱されることになる実質的に円筒形の誘導加熱可能なカートリッジを受ける能力は有利である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示の第1実施形態による誘導加熱組立体を含む蒸気発生デバイスの概略図である。
【
図2】本開示の第2実施形態による誘導加熱組立体を含む蒸気発生デバイスの概略図である。
【
図3a】
図1及び2の誘導加熱組立体のローパスフィルタの第1例の概略図である。
【
図3b】
図1及び2の誘導加熱組立体のローパスフィルタの第1例の概略図である。
【
図4a】
図1及び2の誘導加熱組立体のローパスフィルタの第2例の概略図である。
【
図4b】
図1及び2の誘導加熱組立体のローパスフィルタの第2例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の実施形態がここで、一例としてのみ、及び添付図面を参照して説明される。
【0037】
最初に
図1を参照すると、本開示の例による蒸気発生デバイス10が概略的に示されている。蒸気発生デバイス10はハウジング12を含み、その一部は
図1に示されている。デバイス10が吸入される蒸気を発生させるために使用されるとき、マウスピース(図示せず)が空気出口14でデバイス10に設置され得る。マウスピースは、ユーザがデバイス10により発生させられた蒸気を容易に吸入する能力を提供する。デバイス10は、高周波数で作動するように構成され得る電源16及び制御電気回路17を含む。電源16は典型的には例えば誘導的に再充電可能であり得る1つ又は複数のバッテリを含む。デバイス10はまた、複数の空気入口18を含む。
【0038】
蒸気発生デバイス10は、蒸気発生(すなわち蒸発可能な)物質を加熱するための誘導加熱組立体20を含む。誘導加熱組立体20は、略円筒形の加熱区画22であって、蒸発可能な物質26と1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ28とを含む対応する形の略円筒形の誘導加熱可能なカートリッジ24を受けるように配置された略円筒形の加熱区画22を含む。誘導加熱可能なカートリッジ24は、典型的には蒸発可能な物質26を含むために外部層又は膜を含み、外部層又は膜は通気性である。例えば、誘導加熱可能なカートリッジ24は、煙草と少なくとも1つの誘導加熱可能なサセプタ28とを含む使い捨てカートリッジ24であってもよい。
【0039】
誘導加熱組立体20は、らせん形誘導コイル30であって、第1及び第2軸方向端部38、40を有し、円筒形の加熱区画22の周りに延在するとともに電源16及び制御電気回路17により励磁され得るらせん形誘導コイル30を含む。制御電気回路17は、他の電子部品の中でも、インバータであって、電源16からの直流を誘導コイル30のための交流の高周波電流に変換するように配置されたインバータを含む。当業者により理解されるとおり、誘導コイル30が交流の高周波電流により励磁されると、交流の及び時間的に変化する電磁場が生じる。これは1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ28と結合するとともに、1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ28において渦電流及び/又はヒステリシス損失を発生させ、それらを温める。熱は、次いで1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ28から蒸発可能な物質26へ、例えば伝導、放射及び対流により伝えられる。
【0040】
誘導加熱可能なサセプタ28は、蒸発可能な物質26を加熱するとともに蒸気を生成するために、サセプタ28が誘導加熱組立体20の誘導コイル30により誘導加熱されると、熱がサセプタ28から蒸発可能な物質26へ伝えられるように、蒸発可能な物質26と直接的又は間接的に接触し得る。蒸発可能な物質26の蒸発は、空気入口18を通じた周囲環境からの空気の追加により促される。蒸発可能な物質26の加熱により発生した蒸気は、次いで空気出口14を通って加熱区画22を出て、例えば、マウスピースを通じてデバイス10のユーザにより吸入され得る。加熱区画22を通る空気流、すなわち空気入口18から、加熱区画22を通り、誘導加熱組立体20の吸入通路32に沿って、空気出口14を出る空気流は、デバイス10の空気出口14側からマウスピースを使用して空気を吸うユーザにより作り出された負の圧力により促進され得る。
【0041】
誘導加熱組立体20は、誘導コイル30に電気的に接続されるローパスフィルタ34を含む。ローパスフィルタ34は誘導コイル30のためのローパスフィルタとして機能するとともに、誘導コイル30のための電磁シールドを提供するように構築されることにより誘導コイル30により発生した電磁場の漏洩を減少させる。ローパスフィルタ34は、例えば
図3aに示されるとおり、コイルの巻き方向により画定された平面において延在する、典型的にはフラットコイル36を含む。
【0042】
図1において示された実施形態において、ローパスフィルタ34は誘導コイル30の第1軸方向端部38に位置付けられ、ローパスフィルタコイル36の平面は誘導コイル30の軸方向に実質的に垂直である。この位置において、ローパスフィルタコイル36が誘導コイル30の第1軸方向端部38で実質的に誘導コイル30の一方の側にわたって延在すること、及びローパスフィルタコイル36が誘導コイル30と電源16との間に、また空気入口18と電源16との間に位置付けられることが分かる。
【0043】
図示の実施形態において、誘導加熱組立体20は1つ又は複数の共振キャパシタ42を含み、ローパスフィルタコイル36は有利には、共振キャパシタ42を誘導コイル30により発生した電磁場への露出から保護するために、誘導コイル30と1つ又は複数の共振キャパシタ42との間に位置付けられる。
【0044】
図2に示された別の実施形態において、ローパスフィルタ34を形成するコイル36は、誘導コイル30の細長い側を実質的に覆うように位置付けられ、ローパスフィルタコイル36の平面はらせん形誘導コイル30の軸方向に実質的に平行になるように配置される。
【0045】
上で言及したとおり、及び
図3a及び3bを参照して、ローパスフィルタ34は典型的にはフラットコイル36を含む。ローパスフィルタ34は、フェリ磁性ディスク44の形の、例えばローパスフィルタコイル36の巻き構成に対応する円形断面の形のフェリ磁性プレート部材をさらに含む。ローパスフィルタコイル36は
図3bに示されるとおりディスク44に取り付けられ、ディスク44は、ローパスフィルタ34のインダクタンスを増加させる磁心として機能する。当業者により理解されるとおり、コイル36の、コイル36の中心領域から半径方向外側に延在する部分は、その下に位置する、コイル36の、基礎をなす円周方向に延在する部分に接触しない。
【0046】
図4a及び4bは、
図3a及び3bに示されたローパスフィルタ34と同様のローパスフィルタ34のさらなる実施形態を説明し、そこでは、ローパスフィルタコイル36は、フェリ磁性ディスク44a、44bの形の2つのフェリ磁性プレート部材の間に位置付けられる。
図3a及び3bに示されるとおり1つのフェリ磁性ディスク44とは反対に2つのフェリ磁性ディスク44a、44bの使用は、ローパスフィルタ34のインダクタンスのさらなる増加を提供する。
【0047】
フェリ磁性ディスク44、44a、44bは低導電率及び高透磁性を有するフェリ磁性材料を含む。フェライトセラミックが好適な材料の一例である。この場合も、コイル36の、コイル36の中心領域から半径方向外側に延在する部分は、その下に位置する、コイル36の、基礎をなす円周方向に延在する部分に接触しないことが当業者には理解される。
【0048】
先行するパラグラフにおいては例示的な実施形態が説明されたが、これらの実施形態には添付の特許請求の範囲から逸脱すること無しに様々な修正がなされ得ることが理解されるべきである。したがって、特許請求の範囲の幅広さ及び範囲は上述の例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0049】
文脈上明らかに他を意味しない限り、説明及び特許請求の範囲全体にわたって、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包含的な意味で、すなわち、「含むが限定するものではない」という意味で解釈されるものである。