(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法、太陽電池、および太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20230927BHJP
H01L 31/0747 20120101ALI20230927BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/06 455
(21)【出願番号】P 2020553739
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2019040249
(87)【国際公開番号】W WO2020090423
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2018205004
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】兼松 正典
(72)【発明者】
【氏名】足立 大輔
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239476(JP,A)
【文献】特開2013-030659(JP,A)
【文献】国際公開第2014/185537(WO,A1)
【文献】特開2013-131586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0154869(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの主面を有する半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1透明電極層および第1金属電極層と、前記第2導電型半導体層に対応する第2透明電極層および第2金属電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、
前記半導体基板の前記一方主面側の一部に前記第1導電型半導体層を形成し、前記半導体基板の前記一方主面側の他の一部に前記第2導電型半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第1導電型半導体層および前記第2導電型半導体層の上にこれらに跨って透明導電膜を形成する透明導電膜形成工程と、
前記透明導電膜を介して前記第1導電型半導体層の上に前記第1金属電極層を形成し、前記透明導電膜を介して前記第2導電型半導体層の上に前記第2金属電極層を形成する金属電極層形成工程と、
前記透明導電膜をパターニングすることにより、互いに分離された前記第1透明電極層および前記第2透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、
をこの順で含み、
前記金属電極層形成工程では、粒子状の金属材料、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して硬化させることにより、前記第1金属電極層および前記第2金属電極層を形成し、前記第1金属電極層の周縁および前記第2金属電極層の周縁に前記樹脂材料が偏在してなる樹脂膜を形成し、
前記透明電極層形成工程では、前記第1金属電極層およびその周縁の前記樹脂膜、および、前記第2金属電極層およびその周縁の前記樹脂膜をマスクとして用いて、前記透明導電膜をパターニングする、
太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記透明電極層形成工程では、エッチング溶液を用いたウェットエッチング法を用いて、前記透明導電膜をパターニングする、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記金属電極層形成工程では、スクリーン印刷法を用いて、前記印刷材料を印刷する、請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記印刷材料に含有する前記金属材料の割合は、前記印刷材料全体に対する重量比として85%以上95%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
2つの主面を有する半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1透明電極層および第1金属電極層と、前記第2導電型半導体層に対応する第2透明電極層および第2金属電極層とを備える裏面電極型の太陽電池であって、
前記第1透明電極層および前記第1金属電極層は帯状をなし、前記第1透明電極層の帯幅は前記第1金属電極層の帯幅よりも狭く、
前記第2透明電極層および前記第2金属電極層は帯状をなし、前記第2透明電極層の帯幅は前記第2金属電極層の帯幅よりも狭く、
前記第1金属電極層の周縁および前記第2金属電極層の周縁には、前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の印刷材料における樹脂材料が偏在してなる樹脂膜が形成されて
おり、
前記第1金属電極層と前記第2金属電極層との間における前記第1導電型半導体層の一部および前記第2導電型半導体層の一部は、前記樹脂膜で覆われており、
前記第1導電型半導体層と前記樹脂膜との層間および前記第2導電型半導体層と前記樹脂膜との層間には、前記第1透明電極層および前記第2透明電極層と同一材料の透明導電膜が島状に配置されている、
太陽電池。
【請求項6】
前記半導体基板の2つの主面のうち少なくとも前記一方主面側は、凹凸構造を有し、
前記第1金属電極層と前記第2金属電極層との間における前記第1導電型半導体層の谷部および前記第2導電型半導体層の谷部は、前記樹脂膜で覆われており、
前記第1金属電極層と前記第2金属電極層との間における前記第1導電型半導体層の頂部および前記第2導電型半導体層の頂部は、前記樹脂膜で覆われておらず、露出している、
請求項
5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1導電型半導体層の谷部と前記樹脂膜との層間および前記第2導電型半導体層の谷部と前記樹脂膜との層間には、前記第1透明電極層および前記第2透明電極層と同一材料の透明導電膜が島状に配置されている、請求項
6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記印刷材料は金属ペーストであり、
前記樹脂膜は、前記印刷材料に含有する樹脂材料が染み出してなる、
請求項5~
7のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1金属電極層および前記第2金属電極層は、前記印刷材料に含有する金属材料である銀を含む、請求項
8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1金属電極層および前記第2金属電極層は、前記印刷材料に含有する粒子状の金属材料を含む、請求項
8または9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記印刷材料から形成される前記第1金属電極層および前記第2金属電極層は、ウレタン結合を有する、請求項
8~10のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1金属電極層と前記第1導電型半導体層との接触面積は、前記第1透明電極層と前記第1導電型半導体層との接触面積の半分以下であり、
前記第2金属電極層と前記第2導電型半導体層との接触面積は、前記第2透明電極層と前記第2導電型半導体層との接触面積の半分以下である、
請求項5~
11のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項13】
請求項5~
12のいずれか1項に記載の太陽電池を備える、太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面電極型(バックコンタクト型)の太陽電池の製造方法、裏面電極型の太陽電池、および、その太陽電池を備えた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を用いた太陽電池として、受光面側および裏面側の両面に電極が形成された両面電極型の太陽電池と、裏面側のみに電極が形成された裏面電極型の太陽電池とがある。両面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されるため、この電極により太陽光が遮蔽されてしまう。一方、裏面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されないため、両面電極型の太陽電池と比較して太陽光の受光率が高い。特許文献1には、裏面電極型の太陽電池が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の太陽電池は、半導体基板と、半導体基板の裏面側に順に積層された第1導電型半導体層および第1電極層と、半導体基板の裏面側の他の一部に順に積層された第2導電型半導体層および第2電極層とを備える。第1電極層と第2電極層とは、短絡を防止するために互いに分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、第1電極層および第2電極層の各々は、透明電極層と金属電極層とを含む。金属電極層は、例えば銀ペーストを用いたスクリーン印刷法により、比較的に容易に分離して形成できる。一方、透明電極層は、マスクを用いた例えばフォトリソグラフィ法により分離して形成する必要があり、その形成工程が比較的に複雑であった。
【0006】
本発明は、透明電極層の形成の簡略化が可能な太陽電池の製造方法、太陽電池、および、太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、2つの主面を有する半導体基板と、半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、第1導電型半導体層に対応する第1透明電極層および第1金属電極層と、第2導電型半導体層に対応する第2透明電極層および第2金属電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、半導体基板の一方主面側の一部に第1導電型半導体層を形成し、半導体基板の一方主面側の他の一部に第2導電型半導体層を形成する半導体層形成工程と、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の上にこれらに跨って透明導電膜を形成する透明導電膜形成工程と、透明導電膜を介して第1導電型半導体層の上に第1金属電極層を形成し、透明導電膜を介して第2導電型半導体層の上に第2金属電極層を形成する金属電極層形成工程と、透明導電膜をパターニングすることにより、互いに分離された第1透明電極層および第2透明電極層を形成する透明電極層形成工程とをこの順で含み、金属電極層形成工程では、粒子状の金属材料、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して硬化させることにより、第1金属電極層および第2金属電極層を形成し、第1金属電極層の周縁および第2金属電極層の周縁に樹脂材料が偏在してなる樹脂膜を形成し、透明電極層形成工程では、第1金属電極層およびその周縁の樹脂膜、および、第2金属電極層およびその周縁の樹脂膜をマスクとして用いて、透明導電膜をパターニングする。
【0008】
本発明に係る太陽電池は、2つの主面を有する半導体基板と、半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、第1導電型半導体層に対応する第1透明電極層および第1金属電極層と、第2導電型半導体層に対応する第2透明電極層および第2金属電極層とを備える裏面電極型の太陽電池であって、第1透明電極層および第1金属電極層は帯状をなし、第1透明電極層の帯幅は第1金属電極層の帯幅よりも狭く、第2透明電極層および第2金属電極層は帯状をなし、第2透明電極層の帯幅は第2金属電極層の帯幅よりも狭く、第1金属電極層の周縁および第2金属電極層の周縁には、第1金属電極層および第2金属電極層の印刷材料における樹脂材料が偏在してなる樹脂膜が形成されている。
【0009】
本発明に係る太陽電池モジュールは、上記した太陽電池を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、太陽電池の透明電極層の形成の簡略化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を示す側面図である。
【
図2】本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図である。
【
図3】
図2の太陽電池におけるIII-III線断面図である。
【
図4A】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図である。
【
図4B】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明導電膜形成工程を示す図である。
【
図4C】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における金属電極層形成工程を示す図である。
【
図4D】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程を示す図である。
【
図5A】実施例の太陽電池の裏面側の金属電極層および金属電極層間を、SEMを用いて100倍の倍率で観測した結果である。
【
図5B】
図5Aにおける金属電極層間の部分Aを、SEMを用いて450倍の倍率で観測した結果である。
【
図5C】
図5Bにおける金属電極層間の部分Bを、SEMを用いて5000倍の倍率で観測した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0013】
(太陽電池モジュール)
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を示す側面図である。太陽電池モジュール100は、二次元状に配列された複数の太陽電池セル1を備える。
【0014】
太陽電池セル1は、配線部材2によって直列および/または並列に接続される。具体的には、配線部材2は、太陽電池セル1の電極層におけるバスバー部(後述)に接続される。配線部材2は、例えば、タブ等の公知のインターコネクタである。
【0015】
太陽電池セル1および配線部材2は、受光面保護部材3と裏面保護部材4とによって挟み込まれている。受光面保護部材3と裏面保護部材4との間には、液体状または固体状の封止材5が充填されており、これにより、太陽電池セル1および配線部材2は封止される。受光面保護部材3は、例えばガラス基板であり、裏面保護部材4はガラス基板または金属板である。封止材5は、例えば透明樹脂である。
以下、太陽電池セル(以下、太陽電池という。)1について詳細に説明する。
【0016】
(太陽電池)
図2は、本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図である。
図2に示す太陽電池1は、裏面電極型の太陽電池である。太陽電池1は、2つの主面を備える半導体基板11を備え、半導体基板11の主面において第1導電型領域7と第2導電型領域8とを有する。
【0017】
第1導電型領域7は、いわゆる櫛型の形状をなし、櫛歯に相当する複数のフィンガー部7fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部7bとを有する。バスバー部7bは、半導体基板11の一方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部7fは、バスバー部7bから、第1方向に交差する第2方向(Y方向)に延在する。
同様に、第2導電型領域8は、いわゆる櫛型の形状であり、櫛歯に相当する複数のフィンガー部8fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部8bとを有する。バスバー部8bは、半導体基板11の一方の辺部に対向する他方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部8fは、バスバー部8bから、第2方向(Y方向)に延在する。
フィンガー部7fとフィンガー部8fとは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に設けられている。
なお、第1導電型領域7および第2導電型領域8は、ストライプ状に形成されてもよい。
【0018】
図3は、
図2の太陽電池におけるIII-III線断面図である。
図3に示すように、太陽電池1は、半導体基板11の主面のうちの受光する側の主面である受光面側に積層されたパッシベーション層13を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の主面のうちの受光面の反対側の主面(一方主面)である裏面側の一部(主に、第1導電型領域7)に順に積層されたパッシベーション層23、第1導電型半導体層25、および第1電極層27を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の他の一部(主に、第2導電型領域8)に順に積層されたパッシベーション層33、第2導電型半導体層35、および第2電極層37を備える。
【0019】
半導体基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。なお、半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にp型ドーパントがドープされたp型の半導体基板であってもよい。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられる。
半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子および正孔)を生成する光電変換基板として機能する。
半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0020】
半導体基板11は、裏面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、半導体基板11に吸収されず通過してしまった光の回収効率が高まる。
また、半導体基板11は、受光面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、受光面において入射光の反射が低減し、半導体基板11における光閉じ込め効果が向上する。
【0021】
パッシベーション層13は、半導体基板11の受光面側に形成されている。パッシベーション層23は、半導体基板11の裏面側の第1導電型領域7に形成されている。パッシベーション層33は、半導体基板11の裏面側の第2導電型領域8に形成されている。パッシベーション層13,23,33は、例えば真性(i型)アモルファスシリコン材料で形成される。
パッシベーション層13,23,33は、半導体基板11で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める。
【0022】
半導体基板11の受光面側のパッシベーション層13上には、例えばSiO、SiN、またはSiON等の材料で形成される反射防止層が設けられていてもよい。
【0023】
第1導電型半導体層25は、パッシベーション層23上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第1導電型領域7に形成されている。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料にp型ドーパント(例えば、上述したホウ素(B))がドープされたp型の半導体層である。
【0024】
第2導電型半導体層35は、パッシベーション層33上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第2導電型領域8に形成されている。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型の半導体層である。
なお、第1導電型半導体層25がn型の半導体層であり、第2導電型半導体層35がp型の半導体層であってもよい。
【0025】
第1導電型半導体層25およびパッシベーション層23と、第2導電型半導体層35およびパッシベーション層33とは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。
第2導電型半導体層35およびパッシベーション層33の一部は、隣接する第1導電型半導体層25およびパッシベーション層23の一部の上に重なっていてもよい(図示省略)。
【0026】
第1電極層27は、第1導電型半導体層25に対応して、具体的には半導体基板11の裏面側の第1導電型領域7における第1導電型半導体層25の上に形成されている。第2電極層37は、第2導電型半導体層35に対応して、具体的には半導体基板11の裏面側の第2導電型領域8における第2導電型半導体層35の上に形成されている。
第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に順に積層された第1透明電極層28と第1金属電極層29とを有する。第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に順に積層された第2透明電極層38と第2金属電極層39とを有する。
【0027】
第1透明電極層28および第2透明電極層38は、透明な導電性材料で形成される。透明導電性材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムおよび酸化スズの複合酸化物)等が挙げられる。
第1金属電極層29および第2金属電極層39は、銀、銅、アルミニウム等の粒子状の金属材料、絶縁性の樹脂材料および溶媒を含有する導電性ペースト材料で形成される。
【0028】
第1電極層27および第2電極層37、すなわち第1透明電極層28,第2透明電極層38,第1金属電極層29および第2金属電極層39は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。
第1透明電極層28と第2透明電極層38とは互いに分離されており、第1金属電極層29と第2金属電極層39とも互いに分離されている。
第1透明電極層28の第1方向(X方向)の帯幅は、第1金属電極層29の第1方向(X方向)の帯幅よりも狭く、第2透明電極層38の第1方向(X方向)の帯幅は、第2金属電極層39の第1方向(X方向)の帯幅よりも狭い。
【0029】
第1金属電極層29の周縁および第2金属電極層39の周縁には、第1金属電極層29および第2金属電極層39の導電性ペースト材料における絶縁性の樹脂材料が偏在してなる樹脂膜40が形成されている(詳細は後述する)。
【0030】
第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における第1導電型半導体層25の一部および第2導電型半導体層35の一部は、樹脂膜40で覆われている。詳説すれば、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における、第1導電型半導体層25の凹凸構造(テクスチャ構造)の谷部および第2導電型半導体層35の凹凸構造の谷部は、樹脂膜40で覆われている。
一方、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における、第1導電型半導体層25の凹凸構造の頂部および第2導電型半導体層35の凹凸構造の頂部は、樹脂膜40で覆われておらず、露出している。
【0031】
第1導電型半導体層25と樹脂膜40との層間および第2導電型半導体層35と樹脂膜40との層間には、第1透明電極層28および第2透明電極層38と同一材料の透明導電膜48が島状に(連続せずに)配置されている。詳説すれば、第1導電型半導体層25の凹凸構造の谷部と樹脂膜40との層間および第2導電型半導体層35の凹凸構造の谷部と樹脂膜40との層間には、透明導電膜48が島状に配置されている。
【0032】
第1金属電極層29と第1導電型半導体層25との接触面積は、第1透明電極層28と第1導電型半導体層25との接触面積の半分以下であり、第2金属電極層39と第2導電型半導体層35との接触面積は、第2透明電極層38と第2導電型半導体層35との接触面積の半分以下である。
【0033】
次に、
図4A~
図4Dを参照して、本実施形態に係る太陽電池の製造方法について説明する。
図4Aは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図であり、
図4Bは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明導電層形成工程を示す図である。
図4Cは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における金属電極層形成工程を示す図であり、
図4Dは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程を示す図である。
図4A~
図4Dでは、半導体基板11の裏面側を示し、半導体基板11の表面側を省略する。
【0034】
まず、
図4Aに示すように、少なくとも裏面側に凹凸構造(テクスチャ構造)を有する半導体基板11の裏面側の一部に、具体的には第1導電型領域7に、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25を形成する(半導体層形成工程)。
例えば、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第1導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成するマスクまたはメタルマスクを利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25をパターニングしてもよい。なお、p型半導体膜に対するエッチング溶液としては、例えばオゾンを含有するフッ酸や、硝酸とフッ酸の混合液のような酸性溶液が挙げられ、n型半導体膜に対するエッチング溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液のようなアルカリ性溶液が挙げられる。
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第1導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層23およびp型半導体層25の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0035】
次に、半導体基板11の裏面側の他の一部に、具体的には第2導電型領域8に、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35を形成する(半導体層形成工程)。
例えば、上述同様に、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第2導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成するマスクまたはメタルマスクを利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35をパターニングしてもよい。
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第2導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0036】
なお、この半導体層形成工程において、半導体基板11の受光面側の全面に、パッシベーション層13を形成してもよい(図示省略)。
【0037】
次に、
図4Bに示すように、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上にこれらに跨って透明導電膜28Zを形成する(透明導電膜形成工程)。透明導電膜28Zの形成方法としては、例えばCVD法またはPVD法等が用いられる。
【0038】
次に、
図4Cに示すように、透明導電膜28Zを介して第1導電型半導体層25上に第1金属電極層29を形成し、透明導電膜28Zを介して第2導電型半導体層35上に第2金属電極層39を形成する(金属電極層形成工程)。
第1金属電極層29および第2金属電極層39は、印刷材料(例えば、インク)を印刷することにより形成される。第1金属電極層29および第2金属電極層39の形成方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、グラビアコーティング法、またはディスペンサー法等が挙げられる。これらの中でも、スクリーン印刷法が好ましい。
【0039】
印刷材料は、絶縁性の樹脂材料中に、粒子状(例えば、球状)の金属材料を含む。印刷材料は、粘度または塗工性の調整のために、溶媒等を含んでもよい。
絶縁性の樹脂材料としては、マトリクス樹脂等が挙げられる。詳説すると、絶縁性樹脂としては、高分子化合物であると好ましく、特に熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂であると好ましく、エポキシ、ウレタン、ポリエステルまたはシリコーン系の樹脂等が代表例である。
金属材料としては、銀、銅、アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、銀粒子を含む銀ペーストが好ましい。
例えば、印刷材料に含有される金属材料の割合は、印刷材料全体に対する重量比として85%以上95%以下である。
【0040】
次に、第1金属電極層29および第2金属電極層39の印刷後、加熱処理または紫外線照射処理により、第1金属電極層29および第2金属電極層39における絶縁性樹脂を硬化させる。このとき、絶縁性樹脂材料が第1金属電極層29および第2金属電極層39の周縁に染み出し、第1金属電極層29の周縁および第2金属電極層39の周縁に、絶縁性の樹脂材料が偏在してなる樹脂膜40が形成される。
【0041】
このとき、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における透明導電膜28Zの凹凸構造(テクスチャ構造)の谷部は、樹脂膜40で覆われる。一方、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における透明導電膜28Zの凹凸構造の頂部は、樹脂膜40で覆われず、露出する。
なお、このように導電性ペーストで形成された第1金属電極層29および第2金属電極層39はウレタン結合を有していてもよい。例えばエポキシ樹脂に比べて、ウレタン樹脂は架橋時の収縮が小さく、樹脂にクラックが発生し難い。樹脂にクラックが発生し難いと、エッチング溶液が金属電極層へ染み込むことを防止でき、金属電極層の下の透明導電膜がエッチングされることに起因する金属電極層の剥がれや、長期信頼性の悪化を防止できる。
【0042】
次に、
図4Dに示すように、第1金属電極層29およびその周縁の樹脂膜40、および、第2金属電極層39およびその周縁の樹脂膜40をマスクとして用いたエッチング法を用いて、透明導電膜28Zをパターニングすることにより、互いに分離された第1透明電極層28および第2透明電極層38を形成する(透明電極層形成工程)。エッチング法としては例えばウェットエッチング法が挙げられ、エッチング溶液としては塩酸(HCl)等の酸性溶液が挙げられる。
【0043】
このとき、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間では、凹凸構造(テクスチャ構造)の頂部から谷部に向かって透明導電膜28Zのエッチングが進行する。
ここで、第1透明電極層28と第2透明電極層38とを分離するためには、これらの間の透明導電膜が連続していなければよく、透明導電膜48が凹凸構造の谷部に島状に残っていてもよい。透明導電膜48が凹凸構造の谷部に島状に残ると、凹凸構造の谷部における樹脂膜40が第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上に残る。
以上の工程により、本実施形態の裏面電極型の太陽電池1が完成する。
【0044】
ここで、従来の太陽電池の製造方法では、透明導電膜形成工程の後であって金属電極層形成工程の前に、透明電極層形成工程を含む。
透明電極層形成工程では、例えばフォトリソグラフィ法を用いて透明導電膜をパターニングすることにより、互いに分離された第1透明電極層および第2透明電極層を形成する。フォトリソグラフィ法では、
・透明導電膜の上にレジストを塗布し、
・レジストを感光させることにより、レジストに開口を形成し、
・レジストをマスクとして開口において露出した透明導電膜をエッチングすることにより、互いに分離された第1透明電極層および第2透明電極層を形成し、
・レジストを除去する。
【0045】
これに対し、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、透明導電膜形成工程の後に、金属電極層形成工程および透明電極層形成工程をこの順で含み、透明電極層形成工程では、金属電極層形成工程によって形成された第1金属電極層29および第2金属電極層39をマスクとして用いて、透明導電膜28Zをパターニングすることにより、互いに分離された第1透明電極層28および第2透明電極層38を形成する。これにより、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、従来のように、マスクを用いたフォトリソグラフィ法等を用いる必要がなく、透明電極層の形成の簡略化および短縮化が可能である。その結果、太陽電池および太陽電池モジュールの低コスト化が可能である。
【0046】
ここで、第1金属電極層29および第2金属電極層39をマスクとして用いて透明導電膜28Zをパターニングすると、透明導電膜28Zのエッチングの際に、第1金属電極層29および第2金属電極層39の下の透明導電膜28Zもエッチングされ、第1透明電極層28および第1金属電極層29、および、第2透明電極層38および第2金属電極層39が剥離してしまう可能性がある。
【0047】
この点に関し、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、金属電極層形成工程において、粒子状の金属材料、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して硬化させることにより、第1金属電極層29の周縁および第2金属電極層39の周縁に樹脂材料が偏在してなる樹脂膜40を形成し、透明電極層形成工程において、第1金属電極層29およびその周縁の樹脂膜40、および、第2金属電極層39およびその周縁の樹脂膜40をマスクとして用いて、透明導電膜28Zをパターニングする。これにより、第1金属電極層29および第2金属電極層39の下の透明導電膜28Zのエッチングが抑制され、第1透明電極層28および第1金属電極層29の剥離、および、第2透明電極層38および第2金属電極層39の剥離が抑制される。
【0048】
このような製造方法によって製造された太陽電池1では、第1透明電極層28の帯幅は第1金属電極層29の帯幅よりも狭く、第2透明電極層38の帯幅は第2金属電極層39の帯幅よりも狭く、第1金属電極層29の周縁および第2金属電極層39の周縁には、第1金属電極層29および第2金属電極層39の印刷材料における樹脂材料が偏在してなる樹脂膜が形成されている。
なお、従来の太陽電池の製造方法によって製造された太陽電池では、一般に、透明電極層の帯幅は金属電極層の帯幅よりも広い。
【0049】
また、本実施形態の製造方法によって製造された太陽電池1では、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における第1導電型半導体層25の一部および第2導電型半導体層35の一部は、樹脂膜40で覆われている。詳説すれば、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における、第1導電型半導体層25の凹凸構造(テクスチャ構造)の谷部および第2導電型半導体層35の凹凸構造の谷部は、樹脂膜40で覆われている。
また、第1導電型半導体層25と樹脂膜40との層間および第2導電型半導体層35と樹脂膜40との層間には、第1透明電極層28および第2透明電極層38と同一材料の透明導電膜48が島状に(連続せずに)配置されている。詳説すれば、第1導電型半導体層25の凹凸構造の谷部と樹脂膜40との層間および第2導電型半導体層35の凹凸構造の谷部と樹脂膜40との層間には、透明導電膜48が島状に配置されている。
これにより、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35が露出する面積が小さくなる。そのため、太陽電池および太陽電池モジュールの劣化が抑制され、太陽電池および太陽電池モジュールの信頼性(例えば、長期耐久性)が向上する。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、
図3に示すようにヘテロ接合型の太陽電池1を例示したが、本発明は、ヘテロ接合型の太陽電池に限らず、ホモ接合型の太陽電池等の種々の太陽電池に適用可能である。
【0051】
また、上述した実施形態では、結晶シリコン基板を有する太陽電池を例示したが、これに限定されない。例えば、太陽電池は、ガリウムヒ素(GaAs)基板を有していてもよい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
【0054】
まず、単結晶シリコン基板の裏面側に異方性エッチングを行うことにより、裏面側にピラミッド型のテクスチャ構造が形成された半導体基板11を得た。
【0055】
次に、CVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第1導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成したフォトレジスト(マスク)を利用したエッチング法を用いて、半導体基板11の裏面側の一部に、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25を形成した(半導体層形成工程)。
【0056】
次に、CVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第2導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成したフォトレジスト(マスク)を利用したエッチング法を用いて、半導体基板11の裏面側の他の一部に、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35を形成した(半導体層形成工程)。
【0057】
次に、CVD法を用いて、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上にこれらに跨って透明導電膜28Zを形成した(透明導電膜形成工程)。
【0058】
次に、銀ペーストを用いたスクリーン印刷法を用いて、透明導電膜28Zを介して第1導電型半導体層25上に第1金属電極層29を形成し、透明導電膜28Zを介して第2導電型半導体層35上に第2金属電極層39を形成した(金属電極層形成工程)。
その後、第1金属電極層29および第2金属電極層39を180℃のオーブンで1時間加熱処理した。これにより、印刷材料における絶縁性の樹脂材料が第1金属電極層29の周縁および第2金属電極層39の周縁に染み出し、第1金属電極層29の周縁および第2金属電極層39の周縁に樹脂膜40が形成された。
【0059】
次に、第1金属電極層29およびその周縁の樹脂膜40、および、第2金属電極層39およびその周縁の樹脂膜40をマスクとして用いたエッチング法を用いて、透明導電膜28Zをパターニングすることにより、互いに分離された第1透明電極層28および第2透明電極層38を形成した(透明電極層形成工程)。エッチング溶液としては塩酸(HCl)を使用した。
【0060】
以上のように実施例の太陽電池を作製する過程において、透明導電膜形成工程および金属電極層形成工程の後であって透明電極層形成工程前の太陽電池の裏面側を、SEM(フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡S4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観測した。その結果を
図5A~
図5Cに示す。
【0061】
図5Aは、実施例の太陽電池の裏面側の金属電極層および金属電極層間を、SEMを用いて100倍の倍率で観測した結果であり、
図5Bは、
図5Aにおける金属電極層間の部分Aを、SEMを用いて450倍の倍率で観測した結果である。
図5Cは、
図5Bにおける金属電極層間の部分Bを、SEMを用いて5000倍の倍率で観測した結果である。
【0062】
図5A~
図5Cによれば、第1金属電極層29の周縁および第2金属電極層39の周縁に、絶縁性の樹脂材料が偏在してなる樹脂膜40(黒い部分)が形成されていることが確認された。
また、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における透明導電膜28Zの凹凸構造(テクスチャ構造)の谷部は、樹脂膜40(黒い部分)で覆われていることが確認された。一方、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における透明導電膜28Zの凹凸構造の頂部は、樹脂膜40で覆われず、露出していることが確認された。これにより、その後の透明電極層形成工程におけるエッチングにおいて、凹凸構造の頂部から底部に向かって透明導電膜28Zのエッチングが進行することが予想される。
【0063】
次に、透明電極形成工程の後、作製した実施例の太陽電池の裏面側をSEMを用いて観測し、第1透明電極層28および第1金属電極層29、および、第2透明電極層38および第2金属電極層39が剥離されていないことを確認した。また、第1金属電極層29と第2金属電極層39との間における凹凸構造の谷部に樹脂膜40が剥離されずに残っていることを確認した。
更に、電極間の短絡チェックを行い、電極層間の短絡がないことを確認した。
樹脂膜40が剥離されておらず、電極層間の短絡がないことから、第1導電型半導体層25の凹凸構造の谷部と樹脂膜40との層間および第2導電型半導体層35の凹凸構造の谷部と樹脂膜40との層間に透明導電膜48が島状に残り、樹脂膜40が保持されていることが予想される。
【符号の説明】
【0064】
1 太陽電池
2 配線部材
3 受光面保護部材
4 裏面保護部材
5 封止材
7 第1導電型領域
8 第2導電型領域
7b,8b バスバー部
7f,8f フィンガー部
11 半導体基板
13,23,33 パッシベーション層
25 第1導電型半導体層
27 第1電極層
28 第1透明電極層
28Z 透明導電膜
29 第1金属電極層
35 第2導電型半導体層
37 第2電極層
38 第2透明電極層
39 第2金属電極層
40 樹脂膜
48 透明導電膜
100 太陽電池モジュール