(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】血管障害に対してインプラントを送達するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61B17/12
(21)【出願番号】P 2021123033
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2018521664の分割
【原出願日】2016-10-28
【審査請求日】2021-07-28
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522355972
【氏名又は名称】アリッサ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アミエル リチャード アギラル
(72)【発明者】
【氏名】クリスタル ケイ セイン-ルウィン
(72)【発明者】
【氏名】ガー ドアン
(72)【発明者】
【氏名】バーチェル ジョン イー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0312748(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0082176(US,A1)
【文献】国際公開第2007/070792(WO,A2)
【文献】特開2007-160111(JP,A)
【文献】特開2012-210421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントを患者の
動脈瘤の部位に送達するためのデバイスであって、前記デバイスは、
近位端および遠位端を含み、前記近位端と前記遠位端との間に管腔を画定する送達プッシャ
であって、前記送達プッシャの前記遠位端は、前記インプラントに結合されるように構成されている、送達プッシャと、
前記管腔内に配置された移動可能要素であって、
前記移動可能要素は、前記送達プッシャの前記遠位端と前記近位端との間で前記管腔に沿って移動するように構成され、前記移動可能要素は、前記移動可能要素の近位端から前記移動可能要素の遠位端まで前記移動可能要素を通って延在する通路を
画定する中空の円筒形状を有し、前記通路が延在する方向は、前記管腔が延在する方向と同一である、移動可能要素と、
前記管腔内に配置される第1および第2の線状部材であって、前記第1および第2の線状部材のそれぞれの少なくとも一部は、前記通路を通過
し、前記第1の線状部材は、前記インプラントを係止するように構成されている、第1および第2の線状部材と、
前記送達プッシャの前記遠位端により近い前記第1の線状部材の部分で前記第1の線状部材に固定して結合された第1のバンパ要素と、
前記送達プッシャの前記近位端により近い前記第2の線状部材の部分で前記第2の線状部材に固定して結合された第2のバンパ要素と
を備え、
前記移動可能部材は、前記第1のバンパ部材と前記第2のバンパ部材との間に配置され、
前記送達プッシャの前記遠位端から前記近位端までの第1の方向における前記第1の線状部材の移動が、
前記インプラントを係止解除するように構成され、かつ、
(i)前記第1のバンパ要素を前記第1の方向に移動させ、これにより、前記第1のバンパ要素を前記移動可能要素に向かって移動させ、
(ii)前記第1の方向における前記第1の線状部材
および前記第1のバンパ要素の前記移動が継続する結果として、前記第1のバンパ要素を前記移動可能部材に当接させ、
(iii)前記第1の方向における前記第1の線状部材
および前記第1のバンパ要素の前記移動がさらに継続する結果として、前記第1の方向における前記移動可能要素の移動を生じさせ、
(iv)前記第1の方向における
前記第1の線状部材、前記第1のバンパ要素、および前記移動可能要素の前記移動
がさらに継続する結果として、前記移動可能要素を前記第2のバンパ要素に当接させ、
(v)前記第1の方向における
前記第1の線状部材、前記第1のバンパ要素、および前記移動可能要素の前記移動
がさらに継続する結果として、前記第1の方向における前記第2の線状部材の移動をもたらす
ように、前記第1のバンパ要素、前記移動可能要素、および前記第2のバンパ要素が構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記移動可能要素は、管およびコイルから成る群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1および第2の線状部材のうちの少なくとも1つは、コアワイヤである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の線状部材は、
前記送達プッシャからの前記インプラントの解放を防止するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の方向における前記第1の線状部材の
前記移動は、
前記送達プッシャからの前記インプラントの解放を可能にする
ように構成されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のバンパ要素は、管およびコイルから成る群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2のバンパ要素は、管およびコイルから成る群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記インプラントを前記送達プッシャから解放するための変位要素をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記変位要素は、前記第2の線状部材の遠位端に結合される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記変位要素は、テーパ状表面を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1および第2の線状部材のうちの少なくとも1つは、前記インプラントの塞栓用コイルによって画定されたコイル管腔の一部の中に延在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記コイル管腔の前記一部は、
(i)最大10コイルループによって画定された長さと、
(ii)最大5コイルループによって画定された長さと、
(iii)最大1mmの長さと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2015年10月30日に出願された米国特許第14/928,212号に対する優先権を主張し、その利益を主張するものであり、該米国特許の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
種々の実施形態では、本発明は、インプラント(例えば、塞栓用マイクロコイル)が、障害に制御可能に送達され、障害内またはその近傍への流体のために送達機構から機械的に取り外される、治療を患者の大脳動脈瘤および他の類似血管障害に提供するためのデバイスならびに方法に関する。
【背景技術】
【0003】
大脳動脈瘤(すなわち、急性くも膜下出血)は、先天的に脆弱な大脳動脈のため、または動脈硬化症、細菌性感染症、頭部外傷、脳梅毒等に起因して発生する、動脈壁上の大脳血管膨隆である。大脳動脈瘤は、初期症状を伴わずに、突然発生する場合があり、極端な疼痛を生じさせる可能性がある。一般に、大脳動脈瘤例の15%では、患者は、大脳動脈瘤の発生に応じて、突然死する。大脳動脈瘤例の別の15%では、患者は、医療治療下で死亡し、大脳動脈瘤例の30%では、患者は、治療後、生き残るが、急性後遺症を感じる。したがって、大脳動脈瘤の発生は、非常に懸念される。
【0004】
大脳動脈瘤は、侵襲的療法または非侵襲的療法のいずれかを通して治療され得る。これらのうち、非侵襲的療法は、典型的には、大脳動脈瘤をマイクロコイルで充填する。概して、大脳動脈瘤のマイクロコイルでの充填は、血液を凝固させ、血液の付加的流入を防止し、破裂動脈瘤(すなわち、塞栓症)のリスクを低減させる。有利には、非侵襲的療法は、脳外科手術の後遺症を軽減させることができ、かつ入院時間を短縮させることができる。
【0005】
非侵襲的療法において使用されるシステムは、典型的には、マイクロコイルと、マイクロコイルを患者の大脳動脈瘤に搬送するための送達プッシャとを含む。マイクロコイルが、大脳動脈瘤内またはその近傍に適切に留置されると、オペレータ(例えば、医師)は、マイクロコイルを送達プッシャから分離させる。コイルの切り離しを開始するために、現在のマイクロコイルシステムは、概して、コイルが動脈瘤内に位置付けられた後、送達プッシャの近位端に取着される、電力供給源(熱または電解による取外のため)または機械的取外ハンドルを要求する。
【0006】
ある機械的取外システムは、コイルのある構成要素を保持する要素を後退させるために、ワイヤの使用を採用する。ある他の機械的取外システムは、マイクロカテーテル先端を越えて前進されると、係脱する、相互係止アーム、またはプッシャが回転されると、コイルを送達プッシャの先端から緩める、ボールねじ機構、または生理食塩水で加圧されると、コイルを送達プッシャ先端から吐出する、油圧システムを使用する。
【0007】
しかしながら、送達プッシャからマイクロコイルを取り外すための既存の方式は、多くの場合、マイクロコイルが正しくない時間に不注意に解放されるであろう(例えば、血管障害へのマイクロコイルの送達に先立って)、不必要なリスクを提示する。これは、患者の処置に悪影響を及ぼし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
故に、塞栓用マイクロコイル等のインプラントを大脳動脈瘤等の患者の血管障害に送達するための改良されたデバイスおよび方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
不注意による取外の問題に対処し、より信頼性のある送達システムを提供するために、他の利点の中でもとりわけ、本明細書に説明される送達デバイスの種々の実施形態は、係止モードおよび非係止モードを有し、信頼性のある保定を提供し、マイクロコイルの不注意による解放を防止するための改良された保定および取外機構を特徴とする。特に、本発明の実施形態は、2つの線状部材(例えば、コアワイヤ)を有する、送達デバイスを特徴とする。第1の線状部材の初期後退は、取外機構を係止構成から非係止構成に遷移させる。さらに第1の線状部材の後退は、第2の線状部材の後退をもたらす。第2の線状部材は、その遠位端に、第2の線状部材が後退されるにつれて、マイクロコイルまたは他のインプラントを送達デバイスから押勢または正に変位させる、構造を含んでもよい。
【0011】
一般に、一側面では、本発明の実施形態は、インプラントを患者の血管障害に送達するためのデバイスを特徴とする。本デバイスは、近位端および遠位端を有し、近位端と遠位端との間に管腔を画定する、送達プッシャと、それを通して通路を画定し、送達プッシャの管腔内に配置される、移動可能要素(例えば、浮動式管または浮動式コイル)と、同様に送達プッシャの管腔内に配置される、第1および第2の線状部材(例えば、コアワイヤ)とを含む。第1および第2の線状部材のそれぞれの少なくとも一部は、移動可能要素の通路を通して通過する。第1の方向における第1の線状部材の移動は、例えば、ロストモーションカップリングまたは機構を使用して、同一(すなわち、第1の)方向における第2の線状部材の時間遅延移動を生じさせる。
【0012】
本発明の本側面の種々の実施形態は、以下の特徴を含む。第1の線状部材は、インプラントに係止し、送達プッシャからのインプラントの解放を防止するように構成されてもよい。第1の方向における第1の線状部材の移動は、インプラントを係止解除し、それによって、送達プッシャからのインプラントの解放を可能にしてもよい。第1の方向における第1の線状部材の移動はまた、第1の方向における移動可能要素の移動を生じさせてもよい。一実施形態では、バンパ要素(例えば、管またはコイル)は、第1の線状部材に結合される。そのような場合では、バンパ要素は、第1の線状部材が第1の方向に移動されるとき、移動可能要素を第1の方向に移動させるように適合されてもよい。
【0013】
別の実施形態では、バンパ要素(例えば、管またはコイル)はまた、第2の線状部材に結合されてもよい。この場合、移動可能要素は、第1の線状部材が第1の方向に移動されるとき、バンパ要素(したがって、第2の線状部材)を第1の方向に移動させるように適合されてもよい。さらに別の実施形態では、インプラントを送達プッシャから変位させるための要素は、第2の線状部材の遠位端に結合される。変位要素は、テーパ状または湾曲表面を有してもよい。一実施形態では、第1および第2の線状部材のうちの少なくとも1つは、インプラントの塞栓用コイルによって画定されたコイル管腔の一部の中に延在する。コイル管腔の一部は、(i)最大10コイルループによって画定された長さと、(ii)最大5コイルループによって画定された長さと、(iii)最大1mmの長さとのうちの少なくとも1つを有することができる。
【0014】
一般に、別の側面では、本発明の実施形態は、インプラント(例えば、塞栓用コイル)を患者の血管障害に送達するための方法を特徴とする。本方法によると、インプラントは、近位端および遠位端を有し、近位端と遠位端との間に管腔を画定する、送達プッシャを介して、血管障害の近くに前進されてもよい。次いで、第1の線状部材(例えば、コアワイヤ)が、送達プッシャの管腔内で第1の方向に移動されてもよい。前述のように、第1の線状部材および第2の線状部材のそれぞれの少なくとも一部(また、コアワイヤであってもよい)は、送達プッシャの管腔内に配置される移動可能要素(例えば、浮動式管または浮動式コイル)の通路を通して通過してもよい。第1の方向における第1の線状部材の移動は、インプラントを送達プッシャから解放するように、送達プッシャの管腔内で同一(すなわち、第1の)方向における第2の線状部材の時間遅延移動を生じさせる。
【0015】
種々の実施形態では、インプラントは、第1の線状部材を第1の方向に移動させるステップに先立って、送達プッシャに係止される。第1の線状部材を第1の方向に移動させるステップは、次いで、インプラントを係止解除し、それによって、送達プッシャからのインプラントの解放を可能にする。前述のように、第1の線状部材を第1の方向に移動させるステップはまた、移動可能要素を第1の方向に移動させ、第1の方向における移動可能要素の移動は、第2の線状部材を第1の方向に移動させるように動作する。一実施形態では、インプラントはまた、インプラントの塞栓用コイルの近位端を送達プッシャの遠位端に結合するように適合される、近位タブまたは縫合糸ループを含む。
【0016】
一般に、さらに別の側面では、本発明の実施形態は、インプラントを患者の血管障害に送達するためのデバイスを特徴とする。本デバイスは、近位端および遠位端を有し、近位端と遠位端との間に管腔を画定する、送達プッシャと、取外ハンドルと、第1の線状部材(例えば、コアワイヤ)とを含む。取外ハンドルは、送達プッシャの近位端に結合され、例えば、ロストモーションカップリングまたは機構を使用して、インプラントが血管障害の近くに留置されると、送達プッシャの遠位端に結合されるインプラントの機械的解放を開始するために使用されてもよい。取外ハンドルはまた、第2の管腔(例えば、ハイポチューブ)を画定する、係合機構を含んでもよい。その一部として、第1の線状部材は、第1の管腔の遠位端から、第1および第2の管腔に沿って、係合機構の近位端を越えて、第1の距離だけ延在し、それによって、第1の線状部材の近位端への係合に先立って、係合機構が第1の線状部材の近位端に向かって第1の距離だけ移動することを可能にする。
【0017】
本発明の本側面の種々の実施形態では、取外ハンドルはまた、ハンドルスライダを含む。係合機構は、ハンドルスライダ内に配置されてもよい。加えて、係合部材(例えば、コイルまたは管)が、第1の線状部材の近位端に結合されてもよい。一実施形態では、第1の線状部材は、インプラントの塞栓用コイルによって画定されたコイル管腔の一部の中に延在する。コイル管腔の一部は、(i)最大10コイルループによって画定された長さと、(ii)最大5コイルループによって画定された長さと、(iii)最大1mmの長さとのうちの少なくとも1つを有することができる。
【0018】
一般に、さらに別の側面では、本発明の実施形態は、インプラント(例えば、塞栓用コイル)を患者の血管障害に送達するための方法を特徴とする。本方法によると、インプラントは、近位端および遠位端を有し、近位端と遠位端との間に管腔を画定する、送達プッシャを介して、血管障害の近くに前進されてもよい。送達プッシャはまた、その近位端において、取外ハンドルに結合され、その遠位端において、インプラントに結合されてもよい。前述のように、取外ハンドルは、第2の管腔(例えば、ハイポチューブ)を画定する、係合機構を含んでもよい。本方法によると、取外ハンドルの少なくとも一部(例えば、ハンドルスライダ)は、係合機構が第1の線状部材の近位端(例えば、コアワイヤ)に係合し、それによって、送達プッシャの遠位端からのインプラントの機械的解放を開始するように操作されてもよい。第1の線状部材は、係合機構による係合に先立って、第1の管腔の遠位端から、第1および第2の管腔に沿って、係合機構の近位端を越えて、第1の距離だけ延在し、それによって、第1の線状部材の近位端への係合に先立って、係合機構が第1の線状部材の近位端に向かって第1の距離だけ移動することを可能にする。
【0019】
本発明の本側面の一実施形態では、係合機構は、ハンドルスライダ内に配置される。別の実施形態では、インプラントは、インプラントの塞栓用コイルの近位端を送達プッシャの遠位端に結合するように適合される、近位タブまたは縫合糸ループを含む。
【0020】
これらおよび他の目的は、本明細書に開示される本発明の実施形態の利点および特徴とともに、以下の説明、付随の図面、および請求項の参照を通して、より明白となるであろう。さらに、本明細書に説明される種々の実施形態の特徴は、相互に排他的ではなく、種々の組み合わせおよび順列において存在し得ることを理解されたい。
本明細書は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
インプラントを患者の血管障害に送達するためのデバイスであって、上記デバイスは、
近位端および遠位端を含み、上記近位端と上記遠位端との間に管腔を画定する送達プッシャと、
移動可能要素であって、上記移動可能要素は、それを通して通路を画定し、上記管腔内に配置される、移動可能要素と、
上記管腔内に配置される第1および第2の線状部材であって、上記第1および第2の線状部材のそれぞれの少なくとも一部は、第1の方向における上記第1の線状部材の移動が上記第1の方向における上記第2の線状部材の時間遅延移動を生じさせるように、上記通路を通して通過する、第1および第2の線状部材と
を備える、デバイス。
(項目2)
上記移動可能要素は、浮動式管および浮動式コイルから成る群から選択される、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記第1および第2の線状部材のうちの少なくとも1つは、コアワイヤを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記第1の線状部材は、上記インプラントに係止し、上記送達プッシャからの上記インプラントの解放を防止するように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記第1の方向における上記第1の線状部材の移動は、上記インプラントを係止解除し、それによって、上記送達プッシャからの上記インプラントの解放を可能にする、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
上記第1の方向における上記第1の線状部材の移動はさらに、上記第1の方向における上記移動可能要素の移動を生じさせる、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
上記第1の線状部材に結合されるバンパ要素をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
上記バンパ要素は、上記第1の線状部材が上記第1の方向に移動されるとき、上記移動可能要素を上記第1の方向に移動させるように適合される、項目7に記載のデバイス。
(項目9)
上記バンパ要素は、管およびコイルから成る群から選択される、項目7に記載のデバイス。
(項目10)
上記第2の線状部材に結合されるバンパ要素をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
上記移動可能要素は、上記第1の線状部材が上記第1の方向に移動されるとき、上記バンパ要素を上記第1の方向に移動させるように適合される、項目10に記載のデバイス。(項目12)
上記バンパ要素は、管およびコイルから成る群から選択される、項目10に記載のデバイス。
(項目13)
上記インプラントを上記送達プッシャから変位させるための要素をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目14)
上記変位要素は、上記第2の線状部材の遠位端に結合される、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
上記変位要素は、テーパ状表面を含む、項目13に記載のデバイス。
(項目16)
上記第1および第2の線状部材のうちの少なくとも1つは、上記インプラントの塞栓用コイルによって画定されたコイル管腔の一部の中に延在する、項目1に記載のデバイス。(項目17)
上記コイル管腔の一部は、
(i)最大10コイルループによって画定された長さと、
(ii)最大5コイルループによって画定された長さと、
(iii)最大1mmの長さと
のうちの少なくとも1つを含む、項目16に記載のデバイス。
(項目18)
インプラントを患者の血管障害に送達するための方法であって、
送達プッシャを介して上記インプラントを上記血管障害の近くに前進させるステップであって、上記送達プッシャは、近位端および遠位端を含み、上記近位端と上記遠位端との間に管腔を画定する、ステップと、
第1の線状部材を上記送達プッシャの管腔内で第1の方向に移動させるステップであって、上記第1の線状部材および第2の線状部材のそれぞれの少なくとも一部は、上記送達プッシャの管腔内に配置される移動可能要素の通路を通して通過し、さらに、上記第1の方向における上記第1の線状部材の移動は、上記インプラントを上記送達プッシャから解放するように、上記送達プッシャの管腔内で上記第1の方向における上記第2の線状部材の時間遅延移動を生じさせる、ステップと
を含む、方法。
(項目19)
上記移動可能要素は、浮動式管および浮動式コイルから成る群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
上記第1および第2の線状部材のうちの少なくとも1つは、コアワイヤを含む、項目18に記載の方法。
(項目21)
上記インプラントは、上記第1の線状部材を上記第1の方向に移動させるステップに先立って、上記送達プッシャに係止される、項目18に記載の方法。
(項目22)
上記第1の線状部材を上記第1の方向に移動させるステップは、上記インプラントを係止解除し、それによって、上記送達プッシャからの上記インプラントの解放を可能にする、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記第1の線状部材を上記第1の方向に移動させるステップは、上記移動可能要素を上記第1の方向に移動させる、項目18に記載の方法。
(項目24)
上記第1の方向における上記移動可能要素の移動は、上記第2の線状部材を上記第1の方向に移動させる、項目23に記載の方法。
(項目25)
上記インプラントは、塞栓用コイルを含む、項目18に記載の方法。
(項目26)
上記インプラントはさらに、上記塞栓用コイルの近位端を上記送達プッシャの遠位端に結合するように適合される、近位タブおよび縫合糸ループのうちの少なくとも1つを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
インプラントを患者の血管障害に送達するためのデバイスであって、
近位端および遠位端を含み、上記近位端と上記遠位端との間に第1の管腔を画定する送達プッシャと、
上記送達プッシャの近位端に結合された取外ハンドルであって、上記取外ハンドルは、上記インプラントが血管障害の近くに留置されると、上記送達プッシャの遠位端に結合されるインプラントの機械的解放を開始するためのものであり、上記取外ハンドルは、第2の管腔を画定する係合機構を含む、取外ハンドルと、
第1の線状部材であって、上記第1の線状部材は、上記第1の管腔の遠位端から、上記第1および第2の管腔に沿って、かつ、上記係合機構の近位端を越えて、第1の距離だけ延在し、それによって、第1の線状部材の近位端への係合に先立って、上記係合機構が上記第1の線状部材の近位端に向かって上記第1の距離だけ移動することを可能にする、第1の線状部材と
を備える、デバイス。
(項目28)
上記第1の線状部材は、コアワイヤを含む、項目27に記載のデバイス。
(項目29)
上記取外ハンドルは、ハンドルスライダを含み、さらに、上記係合機構は、上記ハンドルスライダ内に配置される、項目27に記載のデバイス。
(項目30)
上記係合機構は、ハイポチューブを含む、項目27に記載のデバイス。
(項目31)
上記第1の線状部材の近位端に結合される係合部材をさらに備える、項目27に記載のデバイス。
(項目32)
上記係合部材は、管およびコイルから成る群から選択される、項目31に記載のデバイス。
(項目33)
上記第1の線状部材は、上記インプラントの塞栓用コイルによって画定されたコイル管腔の一部の中に延在する、項目27に記載のデバイス。
(項目34)
上記コイル管腔の一部は、
(i)最大10コイルループによって画定された長さと、
(ii)最大5コイルループによって画定された長さと、
(iii)最大1mmの長さと
のうちの少なくとも1つを含む、項目33に記載のデバイス。
(項目35)
インプラントを患者の血管障害に送達するための方法であって、
送達プッシャを介して上記インプラントを上記血管障害の近くに前進させるステップであって、上記送達プッシャは、近位端および遠位端を含み、上記近位端と上記遠位端との間に第1の管腔を画定し、上記送達プッシャは、その近位端において、取外ハンドルに結合され、その遠位端において、上記インプラントに結合され、上記取外ハンドルは、第2の管腔を画定する係合機構を含む、ステップと、
上記取外ハンドルの少なくとも一部を操作し、第1の線状部材の近位端と上記係合機構とを係合させ、それによって、上記送達プッシャの遠位端からの上記インプラントの機械的解放を開始するステップであって、上記第1の線状部材は、上記係合機構による係合に先立って、上記第1の管腔の遠位端から、上記第1および第2の管腔に沿って、上記係合機構の近位端を越えて、第1の距離だけ延在し、それによって、上記第1の線状部材の近位端への係合に先立って、上記係合機構が上記第1の線状部材の近位端に向かって上記第1の距離だけ移動することを可能にする、ステップと
を含む、方法。
(項目36)
上記第1の線状部材は、コアワイヤを含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
上記取外ハンドルの操作される部分は、ハンドルスライダを含み、さらに、上記係合機構は、上記ハンドルスライダ内に配置される、項目35に記載の方法。
(項目38)
上記係合機構は、ハイポチューブを含む、項目35に記載の方法。
(項目39)
上記インプラントは、塞栓用コイルを含む、項目35に記載の方法。
(項目40)
上記インプラントはさらに、上記塞栓用コイルの近位端を上記送達プッシャの遠位端に結合するように適合される、近位タブおよび縫合糸ループのうちの少なくとも1つを含む、項目39に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面中、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して、同一部分を指す。また、図面は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、代わりに、概して、本発明の原理の例証に応じて、強調が置かれる。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達するためのデバイスを図式的に図示する。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による、
図1に描写される送達デバイスの遠位端部分を図式的に図示する。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達するためのデバイスに結合するための近位タブの概略正面端面図である。
【
図4A】
図4A-4Fは、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達したデバイスからインプラントを解放するための1つの例示的方法におけるステップを図式的に図示する。
【
図4B】
図4A-4Fは、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達したデバイスからインプラントを解放するための1つの例示的方法におけるステップを図式的に図示する。
【
図4C】
図4A-4Fは、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達したデバイスからインプラントを解放するための1つの例示的方法におけるステップを図式的に図示する。
【
図4D】
図4A-4Fは、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達したデバイスからインプラントを解放するための1つの例示的方法におけるステップを図式的に図示する。
【
図4E】
図4A-4Fは、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達したデバイスからインプラントを解放するための1つの例示的方法におけるステップを図式的に図示する。
【
図4F】
図4A-4Fは、本発明の一実施形態による、インプラントを患者の血管障害に送達したデバイスからインプラントを解放するための1つの例示的方法におけるステップを図式的に図示する。
【
図5A】
図5A-5Fは、それぞれ、
図4A-4Fに描写される方法の例示的ステップの斜視図を図式的に図示する。
【
図5B】
図5A-5Fは、それぞれ、
図4A-4Fに描写される方法の例示的ステップの斜視図を図式的に図示する。
【
図5C】
図5A-5Fは、それぞれ、
図4A-4Fに描写される方法の例示的ステップの斜視図を図式的に図示する。
【
図5D】
図5A-5Fは、それぞれ、
図4A-4Fに描写される方法の例示的ステップの斜視図を図式的に図示する。
【
図5E】
図5A-5Fは、それぞれ、
図4A-4Fに描写される方法の例示的ステップの斜視図を図式的に図示する。
【
図5F】
図5A-5Fは、それぞれ、
図4A-4Fに描写される方法の例示的ステップの斜視図を図式的に図示する。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態による、
図1に描写される送達デバイスの遠位端部分を図式的に図示する。
【
図7】
図7は、本発明のさらに別の実施形態による、
図1に描写される送達デバイスの遠位端部分を図式的に図示する。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による、インプラントを図式的に図示する。
【
図9】
図9は、本発明のさらに別の実施形態による、
図1に描写される送達デバイスの遠位端部分を図式的に図示する。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態による、
図1に描写される送達デバイスの取外ハンドルの概略側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態による、
図10に描写される取外ハンドルのハンドル本体先端部の概略斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、本発明の一実施形態による、
図10に描写される取外ハンドルのハンドル本体の概略上面図である。
【
図13A】
図13Aは、本発明の一実施形態による、
図10に描写される取外ハンドルのハンドルスライダの概略側面図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態による、
図13Aおよび13Bに描写されるハンドルスライダ内に組み立てられる付加的構成要素を図式的に図示する。
【
図15】
図15は、本発明の別の実施形態による、
図1に描写される送達デバイスの遠位端部分を図式的に図示する。
【
図16】
図16は、本発明のさらに別の実施形態による、
図1に描写される送達デバイスの遠位端部分を図式的に図示する。
【
図17】
図17A-Dは、本発明の一実施形態による、線状部材を固定位置に維持するための技法を図式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
大まかには、本発明の実施形態は、インプラント(例えば、塞栓用マイクロコイル)を大脳動脈瘤等の患者の血管障害に送達するためのデバイスを特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態による、送達デバイス100を図式的に描写する。図示されるように、送達デバイス100は、近位端108と、遠位端112とを有する、送達プッシャ104を含む。送達プッシャ104は、近位端108と遠位端112との間に管腔116を画定する(
図2参照)。依然として
図1を参照すると、送達デバイス100はまた、近位端120(すなわち、送達デバイス100のオペレータに最も近い端部120)と、遠位端124とを有する、取外ハンドル118を含む。取外ハンドル118の遠位端124は、送達プッシャ104の近位端108に結合される。使用時、インプラント128は、例えば、以下に説明される様式のうちの1つにおいて、送達プッシャ104の遠位端112に結合される。また、以下に説明されるように、取外ハンドル118は、ユーザによって、インプラント128が処置されるべき血管障害の近くに(例えば、その近傍またはその中に)留置されると、インプラント128を送達プッシャ104から機械的に解放するために動作される。
【0024】
また、
図1に示されるように、送達プッシャ104は、剛性近位シャフト132と、可撓性内側シャフト136および可撓性外側シャフト140を含む、可撓性遠位シャフトとを含む。近位シャフト132は、インプラント128の送達の間の良好な構造完全性および取外作動の間の安定性を提供するために、剛性金属ハイポチューブ、例えば、約0.002インチの壁厚を伴う300シリーズステンレス鋼から作製されてもよい。可撓性内側シャフト136および可撓性外側シャフト140はそれぞれ、屈曲および偏向し、インプラント128を血管障害の近くに適切に位置付けることを可能にするために、剛性薄壁ポリマー(例えば、約0.001インチの壁厚を伴うPEEK)から作製されてもよい。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態による、送達デバイス100の遠位端部分を図式的に図示する。示されるように、送達デバイス100は、送達プッシャ104の管腔116内に配置される、第1および第2の線状部材144、148を含む。各線状部材144、148は、例えば、コアワイヤ(例えば、300シリーズステンレス鋼)であってもよい。各コアワイヤ144、148は、その遠位端において接地され、その非接地区分において、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされ、摩擦を低減させてもよい。各コアワイヤ144、148は、約0.006インチの直径であって、その遠位先端における約0.002インチまで接地されてもよい。
【0026】
一実施形態では、第1の線状部材144は、以下にさらに説明されるように、送達プッシャ104によって画定された管腔116の遠位端から、管腔116に沿って、送達プッシャ104の近位端108から出て、取外ハンドル118内に画定された管腔の中へと、該管腔を通して延在する。示されるように、第1のバンパ要素152が、その遠位端の近傍において第1の線状部材144に結合されてもよい(例えば、はんだ付けされる、溶接される、紫外線(UV)光硬化もしくは他の接着剤を使用して接着される、かしめられる、圧着される、または公知の技法を使用して別様に固定される)。第1のバンパ要素152は、本明細書にさらに説明されるように、例えば、力および運動を付加的構成要素に伝達可能な管、コイル、または任意の他の構造であってもよい。一実施形態では、第2の線状部材148は、第1の線状部材144より長さが短い。示されるように、インプラント128の近位タブ176を送達プッシャ104から変位させるための変位要素156(例えば、テーパ状表面を有する、円錐形またはベル形状の先端)が、第2の線状部材148の遠位端に結合されてもよい。第2の線状部材148は、変位要素156から近位に延在してもよく、送達デバイス100の遠位部分内で終端してもよい。特に、第2の線状部材148は、その近位端において、第2のバンパ要素160に結合されてもよい(例えば、はんだ付けされる、溶接される、紫外線(UV)光硬化もしくは他の接着剤を使用して接着される、かしめられる、圧着される、または公知の技法を使用して別様に固定される)。第1のバンパ要素152と同様に、第2のバンパ要素160は、本明細書にさらに説明されるように、第2の線状部材148の運動を生じさせるための付加的構成要素からの力を受容可能な管、コイル、または任意の他の構造であってもよい。
【0027】
一実施形態では、変位要素156および第2のバンパ要素160は、管腔116を画定する、送達プッシャ104の内壁に対してぴったりと嵌合するように定寸される(すなわち、変位要素156および第2のバンパ要素160はそれぞれ、送達プッシャ104の内径とほぼ等しい(または若干のみそれを下回る)外径を有してもよい)。したがって、以下にさらに説明されるように、インプラント128を血管障害に送達するプロセスの間、変位要素156および第2のバンパ要素160(したがって、第2の線状部材148)を移動しないように保つために十分な摩擦力が存在するが、変位要素156および第2のバンパ要素160は、第1の線状部材144が後退され、インプラント128を送達プッシャ104の遠位端112から解放するとき、それら(したがって、第2の線状部材148)が、容易に移動され得るように、十分に弛緩したままである。
【0028】
また、
図2に図示されるように、移動可能要素164はまた、送達プッシャ104の管腔116内に配置されてもよい。移動可能要素164は、本明細書に説明されるように、力および運動を受容ならびに伝達可能な浮動式管、浮動式コイル、または任意の他の構造であってもよい。特に、一実施形態では、通路(例えば、管腔)が、その遠位から近位端まで移動可能要素164を通して画定され、第1および第2の線状部材144、148のそれぞれの少なくとも一部が、その通路を通して通過する。
【0029】
最初に、インプラント128は、送達プッシャ104の遠位端112に結合される。
図2に描写される例示的インプラント128は、被覆された塞栓用コイルである。特に、インプラント128は、塞栓用マイクロコイル168と、マイクロコイル168の周囲に巻装される、カバー172とを含む。被覆された塞栓用コイル128は、例えば、「Covered Embolic Coils」と題された共同所有の米国特許出願第14/808,550号(本開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるタイプであってもよい。しかしながら、当業者によって理解されるであろうように、他のインプラントもまた、送達デバイス100を使用して送達されてもよい。
図2に示されるように、カバー172の近位タブ176は、被覆された塞栓用コイル128を送達プッシャ104の遠位端112に結合する。
【0030】
近位タブ176は、
図2では、その側面から示される。近位タブ176の一実施形態の正面端面図が、
図3に描写される一方、
図5A-5Fは、近位タブ176の斜視図を描写する。
図3を参照すると、近位タブ176は、略U形状であってもよく、その2つの脚部184、188間に形成される開口180を含んでもよい。
【0031】
再び、
図2を参照すると、一実施形態では、切り欠き192が、その遠位端112において、送達プッシャ104の側壁内に形成される。被覆された塞栓用コイル128は、したがって、例えば、近位タブ176を切り欠き192内に位置付け、第1の線状部材144を近位タブ176の開口180を通して通過させることにより、近位タブ176を定位置に係止することによって、送達プッシャ104に取り付けられてもよい。いったん開口180を通して通過すると、第1の線状部材144の遠位端自体は、切り欠き192の遠位縁の下に折り込まれることによって、定位置に固着され得る。代替として、第1の線状部材144の遠位端は、変位要素156と送達プッシャ104の内側表面との間に楔着されることによって、定位置に固着されてもよい。これらの方法では、第1の線状部材144は、被覆された塞栓用コイル128(または近位タブ176と機能が類似する接続部材を特徴とする別のインプラント128)を定位置に係止し、送達プッシャ104からの被覆された塞栓用コイル128の不注意による解放を防止するように構成される。
【0032】
図4A-4Fは、インプラント128を送達デバイス100の送達プッシャ104から解放するための1つの例示的方法におけるステップを図式的に図示する一方、
図5A-5Fは、それらの同一ステップの斜視図を図式的に図示する。例証を容易にするために、インプラント128の近位タブ176のみが、
図4A-4Fおよび
図5A-5Fに描写されることに留意されたい。しかしながら、実際は、インプラント128の残り(例えば、塞栓用マイクロコイル168およびそのカバー172)もまた、存在するであろう(例えば、カバー172に結合され、そこから延在する近位タブ176とともに)。最初に、ステップ204では、インプラント128は、すぐ上で説明されたように、近位タブ176と第1の線状部材144の結合を介して、送達プッシャ104に係止される。ステップ208では、第1の線状部材144は、送達プッシャ104の管腔116内で第1の方向に移動される。特に、第1の線状部材144は、第1のバンパ要素152が移動可能要素164に当接するまで、矢印210によって示される方向に後退される。本第1の線状部材の移動144は、第1の線状部材144をインプラント128から係止解除し(例えば、第1の線状部材144の遠位端を近位タブ176の開口180から抜去する)、それによって、インプラント128を送達プッシャ104からいつでも解放できるように準備させる。矢印210によって示される方向における第1の線状部材144の移動は、以下にさらに説明されるように、取外ハンドル118のオペレータ(例えば、医師)操作を通して遂行されてもよい。
【0033】
矢印210の方向における第1の線状部材144の継続後退は、ステップ212に示されるように、第1の線状部材144の第1のバンパ要素152に、移動可能要素164を第2の線状部材148の第2のバンパ要素160と接触させるように移動させる。移動可能要素164および第2のバンパ要素160は両方とも、それによって、第1のバンパ要素152によって順次係合される。第1のバンパ要素152、移動可能要素164、および第2のバンパ要素160のこの一連の当接に起因して、オペレータが、ステップ216において、第1の線状部材144および第1のバンパ要素152を矢印210の方向に継続して後退させるにつれて、第2の線状部材148もまた、矢印210の方向に後退させられる。矢印210によって示される方向における第2の線状部材148の本結果として生じる移動は、円錐形またはベル形状の変位要素156をインプラント128の近位タブ176の底部縁に係合させる。次いで、ステップ220に図示されるように、矢印210の方向における第1の線状部材144の(その結果、第2の線状部材148の)継続後退は、ステップ224に図示されるように、近位タブ176(したがって、インプラント128)が送達プッシャ104の遠位端112から解放されるまで、半径方向外向きに、インプラント128の近位タブ176を円錐形またはベル形状の変位要素156の角度付けられた傾きに沿って押動させる。
【0034】
故に、
図4A-4Fおよび5A-5Fならびに上記の説明から理解され得るように、送達プッシャ104の管腔116内の矢印210によって示される方向における第1の線状部材144の移動は、インプラント128を送達プッシャ104から解放するように、第2の線状部材148の結果として生じる時間遅延移動を同一方向において送達プッシャ104の管腔116内でもたらす。第1のバンパ要素152、移動可能要素164、および第2のバンパ要素160間の初期縦方向間隙または間隔は、当接要素152、164、160間の間隙の全てを排除するために十分な距離だけ第1の線状部材144を移動させた後のみ、近位タブ176を係止解除し、その後、近位タブ176を強制的に変位させ、インプラント128を解放する、ロストモーションシーケンスを提供する。第1のバンパ要素152、移動可能要素164、および第2のバンパ要素160を通した第1および第2の線状部材144、148の相互作用は、第1の線状部材144を矢印210によって示される方向に後退させることにのみ着目するオペレータに完全に透過性である。別の実施形態では、移動可能要素164は、排除され、第1のバンパ要素152は、その間の間隙が排除された後、直接、第2のバンパ要素160に接触してもよい。
【0035】
近位タブ176を介して送達プッシャ104に取り付けられる代わりに、インプラント128は、種々の他の構造のいずれかを介して、前述の送達デバイス100の送達プッシャ104に取り付けられてもよい(かつそこから解放されてもよい)。1つのそのような構造は、
図6および7に図示される。特に、
図6に描写されるインプラント128は、上記で述べられた被覆された塞栓用コイルである(すなわち、塞栓用マイクロコイル168の周囲に巻装されたカバー172を含む)一方、
図7に描写されるインプラント128は、対応するカバーを伴わない、塞栓用マイクロコイル168を特徴とする。両場合では、インプラント128は、第1の線状部材144によって送達プッシャ104の遠位端112において切り欠き192内の定位置に保持される、縫合糸ループ304を含む。より具体的には、
図6および7に描写される両インプラント128は、塞栓用マイクロコイル168の遠位端に固着(例えば、溶融または結着される)される、縫合糸308のボールと、塞栓用マイクロコイル168の遠位端と近位端との間に延在する、縫合糸312の長さと、塞栓用マイクロコイル168の近位端に固着(例えば、溶融または結着される)される、縫合糸316の近位固定部と、縫合糸316の近位固定部に隣接し、そこから延在する、縫合糸ループ304とを含む。縫合糸308のボール、縫合糸312の長さ、縫合糸316の近位固定部、および縫合糸ループ304は、ポリプロピレン等のポリマー材料から作製されてもよい。一実施形態では、送達プッシャ104の遠位端112における切り欠き192からの縫合糸ループ304の解放は、
図4A-4Fおよび5A-5Fを参照して上記に説明される同一ステップに従うことによって遂行される。
【0036】
図8は、インプラント128の代替実施形態を図式的に描写する。本実施形態では、縫合糸ループ304は、
図6および7に描写される実施形態におけるように、縫合糸316の近位固定部に隣接して縫合糸ループ304を開始するのではなく、縫合糸316の近位固定部から距離d
1において縫合糸を結着することによって生成される。当業者によって理解されるであろうように、縫合糸ループ304は、種々の場所、サイズ、および様式において生成されることができる。例えば、
図9は、小縫合糸ループ304が結着され、第1の線状部材144の周囲に留置されることによって、送達プッシャ104の遠位端112に係止される、さらに別の実施形態を描写する。
【0037】
図15および16は、種々の実施形態による、インプラント128を送達プッシャ104に結合するために使用され得る、付加的構造を図示する。
図15は、送達プッシャ104の遠位端112における切り欠き192によって定位置に保持される、金属ワイヤループ178を図式的に描写する。金属ワイヤループ178は、直接、コイル168またはカバー172に取り付けられることができる。
図16は、切り欠き192内に位置する、ハイポチューブ係止部186を図式的に描写する。金属ワイヤループ178と同様に、ハイポチューブ係止部186は、直接、コイル168またはカバー172に取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、送達プッシャ104の遠位端112における切り欠き192からの金属ワイヤループ178および/またはハイポチューブ係止部186の解放は、
図4A-4Fおよび5A-5Fを参照して上記に説明されるステップに従うことによって遂行される。
【0038】
種々の実施形態では、線状部材144、148は、上記に説明されるものと異なるように配列されることができる。例えば、
図15に示されるように、第1の線状要素144および第2の線状要素148は、ジョイント190において接合または継合されることができる。そのような実施形態では、デバイス100は、第1のバンパ要素152、移動可能な要素164、および第2のバンパ要素160を含む必要がない。むしろ、第1の線状要素144の後退は、要素144、148が継合される結果、第2の線状要素148の後退を自動的に生じさせるであろう。そのような実施形態では、マイクロコイルの不注意による解放のリスクが、空間d
2を第1の線状部材144の近位端484とハンドルスライダ404の係合機構464との間に残すことによって低減される(
図14に関して以下により詳細に議論される)。
【0039】
図15および16に示されるように、いくつかの実施形態では、第2の線状部材148の遠位端194は、送達プッシャ104の遠位端112を越えて、コイル168の中に延在することができる。第2の線状部材148の本延在は、インプラント128を送達プッシャ104の端部上に整合させることに役立ち得る。いくつかの代替および付加的実施形態では、第1の線状部材144の遠位端196は、コイル168の中に延在する(
図16)。他の実施形態では、第1の線状部材144の遠位端196は、送達プッシャ104内に留まり、第2の線状部材148の遠位端194のみが、コイル168の中に延在する(
図15)。種々の事例では、線状部材144、148のみが、(i)10コイルループによって画定された最大距離、(ii)5コイルループによって画定された最大距離、および(iii)最大1mmまでコイル168の中に延在してもよい。
【0040】
上記で述べられたように、一実施形態では、送達デバイス100のオペレータが、取外ハンドル118を操作することによって、第1の線状部材144を後退させ、それによって、インプラント128を送達プッシャ104の遠位端112から解放する。
図10は、本発明の一実施形態による、取外ハンドル118の側面図である。図示されるように、取外ハンドル118は、ハンドルスライダ404と、ハンドル本体408と、ハンドル本体先端部412とを含む。
図11は、本発明の一実施形態による、ハンドル本体先端部412の斜視図である。ハンドル本体先端部412は、近位端416と、遠位端420とを含み、近位端416と遠位端420との間に管腔を画定する。一実施形態では、送達プッシャ104の近位シャフト132(
図1参照)は、近位シャフト132をその遠位端420におけるハンドル本体先端部412の管腔の中に挿入し、接着剤を適用する、接続を締まり嵌めする、機械的締結具(例えば、止めねじ)を用いて接続を固着する、ねじ山付き接続を採用する等によって、ハンドル本体先端部412に接続される。
【0041】
図12Aは、本発明の一実施形態による、ハンドル本体408の上面図(すなわち、
図10における矢印424の方向から見たときのハンドル本体408の図)である一方、
図12Bは、
図12Aに描写される線A-Aに沿って得られたハンドル本体408の断面図である。図示されるように、ハンドル本体408は、近位端428と、遠位端432と、ハンドル本体先端部412の近位端416を受容するための遠位端432における空洞436と、近位端428までハンドル本体408の大部分に延設され、それに沿ってハンドルスライダ404が移動され得る、トラック440とを含む。ハンドル本体408はまた、送達デバイス100のオペレータによるハンドルスライダ404の操作(例えば、後退)に先立って、ハンドルスライダ404を定位置に保持する、戻り止め特徴444を含む。
【0042】
図13Aは、本発明の一実施形態による、ハンドルスライダ404の側面図である一方、
図13Bは、
図13Aに描写される線B-Bに沿って得られたハンドルスライダ404の断面図である。図示されるように、ハンドルスライダ404は、近位端448と、遠位端452とを含み、近位端448と遠位端452との間に延在する、管腔456を画定する。加えて、ハンドルスライダ404は、その中に接着剤が挿入され、管腔456内に留置された付加的構造を固着し得る、側面スロット460を画定する。
【0043】
図14は、例えば、ハンドルスライダ404の管腔456内に格納され、紫外線(UV)光硬化もしくは側面スロット460の中に挿入される他の接着剤468によって、ハンドルスライダ404に固着される、係合機構464を描写する。他の保定方式もまた、採用されてもよい。係合機構464は、例えば、近位端472と、遠位端476を含み、近位端472と遠位端476との間に管腔480を画定する、ハイポチューブであってもよい。管腔480は、それを通して第1の線状部材144を摺動嵌合において受容するように定寸されてもよい。
【0044】
第1の線状部材144は、ハンドルスライダ404および係合機構464の管腔456、480を通して延在する。より詳細には、第1の線状部材144は、送達プッシャ管腔116の遠位端から、送達プッシャ管腔116に沿って、送達プッシャ104の近位端108から出て、ハンドル本体先端部412の遠位端420の中に、ハンドル本体先端部の近位端416から出て、その遠位端452、476においてハンドルスライダ404および係合機構464の管腔456、480の中に、ハンドルスライダ404および係合機構464の管腔456、480に沿って、かつ係合機構464およびハンドルスライダ404の近位端472、448から出るように延在する。特に、
図14に図示されるように、第1の線状部材144の近位端484は、以下に説明される理由から、距離d
2だけ係合機構464の近位端472を越えて延在する。
【0045】
一実施形態では、係合部材488が、第1の線状部材144の近位端484において結合または形成される。係合部材488は、係合機構464の近位端172に当接するように適合される、コイル(図示されるように)、管、ディスク、または任意の他の拡大構造であってもよい。係合部材488は、線状部材144の近位端484に、例えば、はんだ付けされる、溶接される、紫外線(UV)光硬化もしくは他の接着剤を使用して接着される、かしめられる、圧着される、または公知の技法を使用して別様に結合される、またはそこに形成されてもよい。一実施形態では、係合部材488の外径または寸法は、ハンドルスライダ404の管腔456の内径未満であるが、係合機構464の管腔480の内径を上回る。このように、係合部材488は、係合部材488が係合機構464に当接するまで、ハンドルスライダ404の管腔456の中に自由に摺動する(または同等に、ハンドルスライダ404は、第1の線状部材144および係合部材488にわたって自由に摺動する)。
【0046】
再び
図1を参照すると、可撓性内側シャフト136および可撓性外側シャフト140は、比較的に剛性ポリマー部材を利用するが(インプラント128の機械的取外の間の安定性のため)、それらはまた、蛇行性マイクロカテーテルを通して所望の神経血管部位にアクセスするために十分な可撓性および低摩擦を提供する必要がある。したがって、可撓性内側シャフト136および可撓性外側シャフト140は、金属近位シャフト132または第1の線状部材144より伸長を受けやすい。インプラント128の送達の間、上記に説明されるように、第1の線状部材144の遠位端は、切り欠き192の遠位縁下に折り込まれる、および/または変位要素156と送達プッシャ104の内側表面との間に楔着されることによって、定位置に固着される(したがって、第1の線状部材144および送達プッシャ104は、インプラント128の送達の間、接続される)ため、送達デバイス100が、血管障害へのアクセスの間、摩擦に遭遇する場合、金属近位シャフト132および第1の線状部材144は、同一率で後退する可能性が高いであろうが、可撓性内側シャフト136および可撓性外側シャフト140のアセンブリは、より大きい率で伸長するであろう。可撓性内側シャフト136および可撓性外側シャフト140のアセンブリが、第1の線状部材144および近位シャフト132より大きい率で伸長する場合、取外ハンドル118は、実際には、
図14に描写される係合部材488に向かって近位に移動するであろう。
【0047】
第1の線状部材144の近位端484における係合部材488とハンドルスライダ404内に位置する係合機構464の係合を回避し、かつ血管障害へのインプラント128の送達の間、摩擦に遭遇するとき、インプラント128を送達プッシャ108から早期に(したがって、望ましくなく)取り外すことを回避するために、第1の線状部材144の近位端484は、送達デバイス100が静止時(すなわち、患者の身体の外側にあって、かつ送達手技における使用に先立って)、
図14に図示される距離d
2だけ係合機構464の近位端472を越えて延在するように設計される。特に、距離d
2は、付加的安全域を伴って、可撓性内側シャフト136/可撓性外側シャフト140アセンブリが通常動作条件下でインプラント128の送達の間に被ると予期される、最大伸長を上回るように選択される。例えば、送達プッシャ104の近位端108と遠位端112(
図1参照)との間の距離が、約185cmである場合、距離d
2は、典型的には、約0.03インチ~約0.04インチ(すなわち、約0.76mm~約1.02mm)であるように選定される。しかしながら、当業者が理解するであろうように、本距離d
2は、異なる長さの送達プッシャ104が採用されるとき、異なる材料性質および関連付けられた伸長特性を伴う異なる材料が送達デバイス100の構造内で使用されるとき、(用途に応じて)より大きな摩擦量がインプラント128の送達の間に遭遇することが予期されるとき、または他の理由から、増加または減少されてもよい。
【0048】
再び
図14を参照すると、距離d
2がそのように選定されると、オペレータは、係合機構464の近位端472および第1の線状部材144の近位端484における係合部材488を当接させるために、および送達プッシャ104の遠位端112からのインプラント128の機械的解放を開始するために、可撓性内側シャフト136/可撓性外側シャフト140アセンブリ内に存在する距離d
2と伸長量との間の差異と等しい距離だけ、ハンドルスライダ404を矢印492の方向に後退(例えば、引動)しなければならない。特に、いったん係合機構464の近位端472が、第1の線状部材144の近位端484における係合部材488に当接すると、十分な力を用いたオペレータによるハンドルスライダ404のさらなる後退は、第1の線状部材144の遠位端を切り欠き192の遠位縁から、または、変位要素156と送達プッシャ104の内側表面との間から脱落させ、第1の線状部材144に矢印492の方向における後退の開始を生じさせるであろう。次いで、第1の線状部材144を矢印492の方向に継続して後退させることによって、オペレータは、
図4A-4Fおよび5A-5Fに描写されるステップの前述のシーケンスを生じさせ、これは、最終的に、送達プッシャ104の遠位端112からのインプラント128の解放をもたらす。ハンドルスライダ404の移動は、親指または指圧力を用いた摺動、突出部または指ループの引動または押動、枢動レバーの圧搾または回転、ノブの旋回等を含む、種々の技法のいずれかによって遂行されてもよい。
【0049】
送達の間、線状部材144を略固定位置に維持するための別の技法は、
図17A-Dに図示される。示されるように、いくつかの実施形態では、デバイス100は、ハンドル本体408、ハンドルスライダ404、および第1の線状部材144に係合するように構成される、可撤性係止部414を含む。係止部414は、ハンドル本体408のトラック440内に嵌合し、ハンドルスライダ404および線状部材144の近位平行移動を防止することができる。一般に、可撤性係止部414は、種々の技法のいずれかを使用して、定位置に保持されることができる。例えば、係止部414は、ハンドル本体408上の対応する切り欠き426に係合する、タブ418を含むことができる。係止部414はまた、線状部材144と相互作用し、線状部材144の近位平行移動を防止することができる。例えば、係止部414は、係止部414がハンドル本体408と完全に係合されると、空洞422の基部が線状部材144の近位平行移動を防止するように、線状部材144を受け取り、所定の寸法の深度を有するように定寸される、空洞422を含むことができる。
【0050】
図17Aは、送達プッシャ104を用いたインプラント128の送達の間に構成され得るような係止位置における係止部414を描写する。
図17Bは、例えば、ユーザがタブ418を切り欠き426から解放することに応じて、ハンドル本体から係止解除された後であるが、係止部414がトラック440から完全に除去される前の係止部414を描写する。
図17Cは、
図17Bの一部の拡大図であって、ハンドルスライダ404の近位端448を過ぎて延在する線状部材144を示す。
図17Dは、トラック440から完全に除去された後の係止部414を描写する。いったん係止部414が除去されると、ユーザは、ハンドルスライダ404および線状要素144を自由に後退させ(例えば、係合機構464と係合部材488の係合を介して)、上記に説明される種々の様式でインプラント128を解放することができる。
【0051】
いくつかの事例では、
図17A-Dに描写される可撤性係止部414および技法は、
図16に関して議論されるように、第1の線状部材144がコイル168の中に延在する、実施形態では、第1の線状部材144を固定位置に維持する際に有用であり得る。そのような実施形態では、可撤性係止部414は、第1の線状部材144が、ある他の実施形態に関して上記に説明されるように、切り欠き192の遠位縁の下に折り込まれる、または変位要素156と送達プッシャ104の内側表面との間に楔着されることによって、定位置に固着され得ないため、特に有益であり得る。他の事例では、可撤性係止部414は、これらの他の固着技法に加え、付加的固着支持を提供するために使用されることができる。
【0052】
動作時、インプラント128はマイクロカテーテルを使用して、患者の血管系内の所望の部位に導入され、送達され、位置付けられ、埋め込まれてもよい。特に、塞栓を要求する、神経血管または末梢血管状態を処置する際、その部位は、最初に、患者の大腿動脈または鼠径部面積内に留置された導入器シース/誘導カテーテルの組み合わせを通して、可撓性の小径カテーテル(典型的には、内径0.016インチ~0.021インチを伴う)である、マイクロカテーテルによってアクセスされてもよい。マイクロカテーテルは、ガイドワイヤの使用を通して、その部位に誘導されてもよい。ガイドワイヤは、典型的には、蛇行性脈管内に前進されるように設計されるより可撓性の遠位ワイヤ区分を伴う、長いトルク付与可能な近位ワイヤ区分である。ガイドワイヤは、蛍光透視法を使用して可視であって、典型的には、最初に、所望の部位にアクセスするために使用され、それによって、マイクロカテーテルがガイドワイヤにわたって標的部位まで確実に前進されることを可能にする。
【0053】
一実施形態では、いったん標的部位がマイクロカテーテル先端を用いてアクセスされると、カテーテル管腔は、ガイドワイヤを除去することによって空にされ、係止されたインプラント128が、マイクロカテーテルの近位開放端部の中に留置され、その送達プッシャ104によってマイクロカテーテルを通して前進される。インプラント128が、マイクロカテーテルの遠位端に到達すると、マイクロカテーテルから展開され、送達プッシャ104によって標的血管部位の中に位置付けられる。オペレータ(例えば、医師)は、数回、インプラント128を前進および後退させ、病変内におけるインプラント128の望ましい位置を得てもよい。いったんインプラント128が、病変内に満足のゆくように位置付けられると、取外ハンドル118は、上記に説明されるように、作動され、インプラント128を病変の中に機械的に解放する。次いで、いったんインプラント128の取外が確認されると、送達プッシャ104は、マイクロカテーテルから除去され、付加的インプラント128が、適切な処置のために、必要に応じて、同一様式で留置されてもよい。
【0054】
本発明のある実施形態が説明されたが、本明細書に開示される概念を組み込む、他の実施形態も、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、使用されてもよいことは、当業者に明白となるであろう。故に、説明される実施形態は、あらゆる点において、例証にすぎず、制限ではないと見なされる。