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特許7356485回転共振子機構用の、詳細には計時器ムーブメント用の可撓性ガイド組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】回転共振子機構用の、詳細には計時器ムーブメント用の可撓性ガイド組立体
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/04 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G04B17/04
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195158
(22)【出願日】2021-12-01
(65)【公開番号】P2022088336
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】20211343.7
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】モハマド フセイン・カーロバイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ・ディ ドメニコ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118548(JP,A)
【文献】特表2019-508702(JP,A)
【文献】特開2018-066732(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第03071075(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 17/04,17/06
G04B 17/00,18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転振動子機構用の、または計時器ムーブメント用の可撓性ガイド組立体(10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110)であって、固定支持物(11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、131)と、実質的に同じ平面内または2つの異なる平行平面内で伸展する2つの可撓性ガイドとを備え、前記2つの可撓性ガイドは直列に配列され、第1の可撓性ガイドは、前記固定支持物(11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、131)に対して第1の可動要素(13、23、43、53、63、73、83、93、103、113、133)を備え、第1対の可撓性ストリップ(12、22、32、42、62、72、82、92、102、112、132)は、第1の可動要素(13、23、43、53、63、73、83、93、103、113、133)に接続され、その結果、前記第1の可動要素(13、23、43、53、63、73、83、93、103、113、133)は、第1の回転中心(17、27、37、47、57、87、97、107、117、137)の周りに回転運動で前記第1対(12、22、32、42、62、72、82、92、102、112、132)の中の前記ストリップを曲げることにより動くことができ、第2の可撓性ガイドは、前記第1の可動要素(13、23、43、53、63、73、83、93、103、113、133)および前記固定支持物(11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、131)に対して第2の可動要素(16、26、36、46、66、76、86、96、106、116、136)を備え、第2対の可撓性ストリップ(15、25、35、45、65、75、85、95、105、115、135)は、前記第1の可動要素(13、23、43、53、63、73、83、93、103、113、133)に前記第2の可動要素(16、26、36、46、66、76、86、96、106、116、136)を接続し、その結果、前記第2の可動要素(16、26、36、46、66、76、86、96、106、116、136)は、第2の回転中心(18、28、38、48、58、78、88、98、108、118、138)の周りに回転運動で前記第2対(15、25、35、45、65、75、85、95、105、115、135)の中の前記ストリップを曲げることにより前記第1の可動要素(13、23、43、53、63、73、83、93、103、113、133)および前記固定支持物(11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、131)に対して動くことができる可撓性ガイド組立体において、
前記第2の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備え、前記第3の可撓性ガイドは、第3の可動要素(51、67、89、110、120、141)と、前記第2の可動要素(16、26、36、46、66、76、86、96、106、116、136)に前記第3の可動要素(51、67、89、110、120、141)を接続する第3対の可撓性ストリップ(49、59、99、109、119、139)とを備え、その結果、前記第3の可動要素(51、67、89、110、120、141)は、第3の回転中心(54、94、104、123)の周りに回転運動で前記第3対(49、59、99、109、119、139)の中の前記ストリップを曲げることにより前記第2の可動要素(16、26、36、46、66、76、86、96、106、116、136)、前記第1の可動要素(13、23、43、63、73、83、93、103、113、133)、および前記固定支持物(11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、131)に対して動くことができ、
前記第1の回転中心(17、27、37、47、57、87、97、107、117、137)および前記第2の回転中心(18、28、38、48、58、78、88、98、108、118、138)は、前記組立体(10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110)の平面に属する第1の事前に規定された距離だけずれており、前記第1の可撓性ガイドの前記第1の回転中心および前記第2の可撓性ガイドの前記第2の回転中心および前記第3の可撓性ガイドの前記第3の回転中心(54、94、104、123)は、前記組立体の静止位置で直線(6)上に配列され、前記組立体の質量中心(M)もまた、前記直線(6)上に配列されることを特徴とする可撓性ガイド組立体。
【請求項2】
前記第1対のストリップ(12、22、32、72、82、112)の中の前記ストリップは交差していることを特徴とする、請求項1に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項3】
前記第1対のストリップ(42、62、92、102、132)の中の前記ストリップは交差していないことを特徴とする、請求項1に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項4】
前記第2対(15、25、35、45、85、95、105、115)のストリップの中の前記ストリップは交差していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項5】
前記第2対(45、65、75、135)のストリップの中の前記ストリップは交差していないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項6】
前記第3の回転中心(54、94、104、123)は、前記組立体の平面に属する第2の事前に規定された距離だけ前記第2の回転中心(58、98、108、118)に対してずれていることを特徴とする、請求項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項7】
前記第3対のストリップ(119)の中の前記ストリップは交差していることを特徴とする、請求項またはに記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項8】
前記第3対のストリップ(49、59、99、109、139)の中の前記ストリップは交差していないことを特徴とする、請求項またはに記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項9】
直列に配列された第4の可撓性ガイドを備え、前記第4の可撓性ガイドは、第4の可動要素(53、122、143)と、前記第3の可動要素(51、120)または前記支持物(131)に前記第4の可動要素(53、122、143)を接続する第4対の可撓性ストリップ(52、121、142)とを備え、その結果、前記第4の可動要素(53、122、143)は、第4の回転中心(44、124)の周りに回転運動で前記第4対のストリップ(52、121、142)の中の前記ストリップを曲げることにより前記第3の可動要素(51、120)、前記第2の可動要素(46、116、136)、前記第1の可動要素(43、113、133)、および前記支持物(41、111、131)に対して動くことができることを特徴とする、請求項1又は6~のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項10】
前記第4の回転中心(44、124)は、前記組立体の平面に属する第3の事前に規定された距離だけ前記第3の回転中心(123)に対してずれていることを特徴とする、請求項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項11】
前記第4対のストリップ(121)の中の前記ストリップは交差していることを特徴とする、請求項または10に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項12】
前記第4対のストリップ(52、142)の中の前記ストリップは交差していないことを特徴とする、請求項または10に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項13】
前記組立体は、前記組立体の静止位置で前記第4の可撓性ガイドが前記第3の可撓性ガイドに対して配列された第1方向における長手方向の線および/または前記第1方向を横断する第2方向における横方向の線に対して対称であることを特徴とする、請求項12のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項14】
前記第1対の可撓性ストリップ(12、22、32、42、62、72、82、92、102、112)は、前記固定支持物(11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111)に接続されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項15】
1組の値{1,…,N-1}に属するnの値ごとに次式
【数1】
に従って各前記可撓性ガイドの剛性を選び、式中、前記Nは前記可撓性ガイドの数であり、前記kおよび前記kはガイドjおよびガイドiの剛性であり、iがN以下である場合における前記rは、可撓性ガイドiの回転中心と可撓性ガイドi-1の回転中心の間のずれであることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項16】
全ての前記可撓性ガイドの剛性は同一であり、前記1組の値{1,…,N-1}に属する前記nの前記値ごとに次式に従い、
【数2】
式中、前記Nは前記可撓性ガイドの数であり、該式を満たす前記rN+1は、最終可撓性ガイドの最終回転中心と質量中心(M)の間の距離であること特徴とする請求項15に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項17】
前記可撓性ガイドは次式に従い、
【数3】
式中前記k=0,1,…,Nであり、前記Nは前記可撓性ガイドの数であり、前記kの数値は、枢動軸の数の関数として選ばれ、二項係数はパスカルの三角形の規則に従うことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体。
【請求項18】
振動錘を備える、回転振動子機構または計時器ムーブメント用の回転振動子機構であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の可撓性ガイド組立体(10、20、30、40、50、60、70、80、90、100)を備えることを特徴とする回転振動子機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転共振子機構用可撓性ガイド組立体に関する。本発明はまた、そのような可撓性ガイド組立体を具備する計時器ムーブメントに関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の現在の機械式ウオッチは、てんぷ/ひげぜんまい、およびスイスレバー脱進機を具備する。てんぷ/ひげぜんまいはウオッチの時間基準を形成する。てんぷ/ひげぜんまいは共振子とも呼ばれる。
【0003】
一方、脱進機は、
-共振子の往復運動を維持する、
-これらの往復運動を計数する
という2つの主要な機能を遂行する。
【0004】
スイスレバー脱進機のエネルギー効率は低い(およそ30%)。この低効率は、脱進機の動きがぎくしゃくしており、機械加工の誤差に適応させるためにレバー脱進機の動きが規制されることに対する「落下」またはスライドが存在するという事実により、さらにまた、いくつかの構成要素が、その運動を互いに対して擦れる傾いた面を介して伝達するためである。
【0005】
機械的共振子を作成するには、慣性要素、ガイド部材、および弾性戻し要素を必要とする。従来、ひげぜんまいは、てんぷにより形成される慣性要素用の弾性戻し要素の役割を果たしている。てんぷは、滑らかなルビー軸受内で回転する枢軸により回転状態で誘導される。これにより摩擦が発生し、したがって、エネルギーが損失し、動作が乱れ、これは位置に依存し、除去すべきであると考えられる。
【0006】
さらにまた、1つまたは複数の慣性要素のための弾性戻し要素として可撓性ストリップを伴うガイドを備える共振子の実施形態が公知である。仮想枢軸を伴う可撓性ガイドは、計時器共振子の効率を実質的に改善することができる。最も簡単なのは、交差した2つの直線状の概して直交するストリップから構成される交差ストリップを有するガイドである。しかしながら、交差していない直線状ストリップを有するRCC(Remote Centre Compliance)タイプの公差していないストリップを伴うガイドもまた存在する。そのような共振子について欧州特許第2911012号明細書、または欧州特許第14199039号明細書および欧州特許第16155039号明細書に記述されている。
【0007】
可撓性ガイドを使用することにより、てんぷの枢軸だけではなくそのひげぜんまいの枢軸にも取って代わることが可能になる。これには、枢軸摩擦を除去し、それにより共振子の品質係数を高めるという有利な点がある。しかしながら、可撓性ガイドの角度移動は小さい(ひげぜんまいの300°と比較して10°~20°のオーダー)ことが公知である。多くの機械的脱進機の適切な動作を確実にするために、大きな角度移動が必要とされる。
【0008】
この問題に答えるために想定されたのは、たとえば米国特許出願公開第2018319517号明細書、米国特許出願公開第2019120287号明細書、および欧州特許第3451072号明細書では可撓性ストリップを有するいくつかのガイドを直列に置くことであった。その結果、はるかにより大きな角度移動が得られる。いくつかのガイドを直列に置くことの有利な点は、各ガイドの回転の振幅が小さく、それにより良好な等時性および良好な誘導を得ることができるようになることである。
【0009】
しかしながら、いくつかの欠点は残ったままであり、特に望ましくないガイドの動き、または可撓性ガイドに及ぼす重力の影響を制御できず、この欠点は依然として重大である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第2911012号明細書
【文献】欧州特許第14199039号明細書
【文献】欧州特許第16155039号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018319517号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019120287号明細書
【文献】欧州特許第3451072号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
その結果として、回転共振子機構のための可撓性ガイドを提案することが本発明の目的であり、それにより前述の問題は回避される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明は、回転共振子機構用の、詳細には計時器ムーブメント用の可撓性ガイド組立体に関し、組立体は、固定支持物と、実質的に同じ平面内または2つの異なる平行平面内で伸展する2つの可撓性ガイドとを備え、2つの可撓性ガイドは直列に配列され、第1の可撓性ガイドは、固定支持物に対して可動の第1の要素を備え、第1対の可撓性ストリップは、第1の可動要素に接続され、その結果、第1の可動要素は、第1の回転中心の周りに円運動で第1対の中のストリップを曲げることにより動くことができ、第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素および固定支持物に対して可動の第2の要素を備え、第2対の可撓性ストリップは、第1の可動要素に第2の可動要素を接続し、その結果、第2の可動要素は、第2の回転中心の周りに円運動で第2対の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素および固定支持物に対して動くことができる。
【0013】
可撓性ガイド組立体は、第1の回転中心および第2の回転中心が、組立体の平面に属する第1の事前に規定された距離だけずれていることを特徴とする。
【0014】
本発明の結果として、可撓性ストリップの角度移動が十分であり、望ましくない運動がより正確に制御され、共振子の動作に及ぼす重力の影響が最小化された、ガイドの組立体が得られる。
【0015】
実際は、可撓性ガイド間のずれを調節することにより、可撓性ガイド組立体の望ましくない運動をより制御しやすくするように選ぶことができる。さらに、このずれは、可撓性ガイドが同じ配列を有しないので、重力の影響を最小にする。
【0016】
有利な実施形態によれば、第1対のストリップの中のストリップは交差している。
【0017】
有利な実施形態によれば、第1対のストリップの中のストリップは交差していない。
【0018】
有利な実施形態によれば、第2対のストリップの中のストリップは交差している。
【0019】
有利な実施形態によれば、第2対のストリップの中のストリップは交差していない。
【0020】
有利な実施形態によれば、組立体は、第2の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備え、第3の可撓性ガイドは、第3の可動要素と、第2の可動要素に第3の可動要素を接続する第3対の可撓性ストリップとを備え、その結果、第3の可動要素は、第3の回転中心の周りに円運動で第3対の中のストリップを曲げることにより第2の可動要素、第1の可動要素、および固定支持物に対して動くことができる。
【0021】
有利な実施形態によれば、第3の回転中心は、組立体の平面に属する第2の事前に規定された距離だけ第2の回転中心に対してずれている。
【0022】
有利な実施形態によれば、第3対のストリップの中のストリップは交差している。
【0023】
有利な実施形態によれば、第3対のストリップの中のストリップは交差していない。
【0024】
有利な実施形態によれば、組立体は、直列に配列された第4の可撓性ガイドを備え、第4の可撓性ガイドは、第4の可動要素と、第3の可動要素または支持物に第4の可動要素を接続する第4対の可撓性ストリップとを備え、その結果、第4の可動要素は、第4の回転中心の周りに円運動で第4対のストリップの中のストリップを曲げることにより第3の可動要素、第2の可動要素、第1の可動要素、および支持物に対して動くことができる。
【0025】
有利な実施形態によれば、第4の回転中心は、組立体の平面に属する第3の事前に規定された距離だけ第3の回転中心に対してずれている。
【0026】
有利な実施形態によれば、第4対のストリップの中のストリップは交差している。
【0027】
有利な実施形態によれば、第4対のストリップの中のストリップは交差していない。
【0028】
有利な実施形態によれば、組立体は、組立体の静止位置で長手方向の線および/または横方向の線に対して対称である。
【0029】
有利な実施形態によれば、第1対の可撓性ストリップは固定支持物に接続される。
【0030】
有利な実施形態によれば、可撓性ガイドの回転中心は、組立体の静止位置で直線上に配列され、共振子の質量中心は、好ましくは同じく前記直線上に配列される。
【0031】
有利な実施形態によれば、各可撓性ガイドの剛性は、1組の値{1,…,N-1}に属するnの値ごとに次式に従って選ばれる。
【0032】
【数1】
【0033】
式中、Nは可撓性ガイドの数であり、kおよびkはガイドjおよびガイドiの剛性であり、rは、可撓性ガイドiの回転中心と可撓性ガイドi-1の回転中心の間のずれである。
【0034】
有利な実施形態によれば、可撓性ガイドは同一であり、1組の値{1,…,N-1}に属するnの値ごとに次式に従う。
【0035】
【数2】
【0036】
式中、Nは可撓性ガイドの数であり、rN+1は、最終可撓性ガイドの最終回転中心と質量中心(M)の間の距離である。
【0037】
有利な実施形態によれば、可撓性ガイドは次式に従う。
【0038】
【数3】
【0039】
式中、k=0,1,…,Nであり、Nは可撓性ガイドの数である。kの数値は枢軸の関数として選ばれ、パスカルの三角形に従う。
【0040】
本発明はまた、計時器ムーブメント用の回転振動子機構に関し、機構は振動錘および本発明による可撓性ガイド組立体を備える。
【0041】
本発明の他の特徴および有利な点は、添付図面を参照してまったく限定しない例によって示すいくつかの実施形態の記述を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による可撓性ガイド組立体の可撓性ガイドの第1の配列を概略的に表す。
図2】本発明による可撓性ガイド組立体の可撓性ガイドの第2の配列を概略的に表す。
図3】本発明による可撓性ガイド組立体の可撓性ガイドの第3の実施形態を概略的に表す。
図4】第1の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図5】本発明の第2の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図6】本発明の第3の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図7】本発明の第4の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図8】本発明の第5の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図9】本発明の第6の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図10】本発明の第7の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図11】本発明の第8の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図12】本発明の第9の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図13】本発明の第10の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
図14】本発明の第11の実施形態による可撓性ガイド組立体を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、可撓性ガイドの複数の回転中心の理論的配列を表し、各可撓性ガイドは、自身が回転する回転中心1、2、3、4、5、…、Nを有する。可撓性ガイドは、異なる位置に直列に配列され、その結果、各可撓性ガイドの回転中心1、2、3、4、5、…、Nは、組立体の静止位置で互いにずれている。静止位置は、可撓性ガイドの運動がないことに対応し、ガイドはすべて平衡の位置にある。換言すれば、回転中心のどれも、別の回転中心と同一位置を有しない。各回転中心は、基準点である原点を基準にして決定された第1の可撓性ガイド1の回転中心を除き、直列に先行する可撓性ガイドの回転中心を基準にして規定された位置を有する。可撓性ガイドの各回転中心は、先行する可撓性ガイドの回転中心に対してずれている。その結果、第2の可撓性ガイド2の回転中心は、第1の可撓性ガイド1の回転中心に対して距離
【0044】
【数4】
【0045】
だけずれており、第3の可撓性ガイド3の回転中心は、第2の可撓性ガイド2の回転中心に対して距離
【0046】
【数5】
【0047】
だけずれており、最終可撓性ガイドNの回転中心まで以下同様である。可撓性ガイドの配列に応じて、組立体は、最終可撓性ガイドNの回転中心から距離
【0048】
【数6】
【0049】
の所に配列された質量中心Mを有する。図では、回転中心はすべて互いに対してずれているが、さまざまな実施形態では、いくつかの回転中心は重なる可能性がある。
【0050】
次の枢軸の可動要素が、先行する枢軸の可動要素に接続された手段を介して回転状態で移動可能であるように、2つの枢軸は、互いに取り付けられたときに直列であると言われる。
【0051】
好ましくは、可撓性ガイドは、図2に示すように、すべての可撓性ガイドの回転中心が同じ直線6上に配列されるように配列される。その結果、各可撓性ガイドの回転中心1、2、3、4、5、…、Nは、同じ線上で事前に規定された距離だけ互いに対してずれている。組立体のガイドのこの配列は、組立体に及ぼす重力の影響を低減可能にする。実際は、重心の動きは図1の一般的な事例よりも少ない。
【0052】
特定の一事例では、可撓性ガイドは次式に従って配列され、
【0053】
【数7】
【0054】
式中、n=1,…,N-1であり、Nは組立体に属する可撓性ガイドの数であり、kはガイドjの剛性であり、rは可撓性ガイドiの回転中心と可撓性ガイドi-1の回転中心の間のずれの距離である。
【0055】
距離rは、ガイド1の回転中心と組立体の固定支持物7の間の距離である。組立体のガイドのこの配列は、重心の動きがさらに小さいので、組立体に及ぼす重力の影響をさらに低減する。
【0056】
すべての可撓性ガイドが同じ剛性kを伴い同一である特定の事例では、式は以下のようになり、
【0057】
【数8】
【0058】
式中、n=1,…,Nであり、Nは組立体に属する可撓性ガイドの数であり、rN+1は、最終可撓性ガイドの最終回転中心と質量中心(M)の間の距離である。組立体のガイドのこの配列は、ガイドが同一であるため、より製造しやすいので組立体の製造費用を低減する。
【0059】
ある変形形態では、ガイドは、異なる剛性を伴い同一である、または同一剛性を伴い異なる。これらの事例では、可撓性ガイドは以下の二項方程式に従って選ばれ、
【0060】
【数9】
【0061】
式中、k=0,1,…,Nであり、Nは可撓性ガイドの数であり、rk+1は、可撓性ガイドk+1の回転中心と可撓性ガイドkの回転中心の間のずれの距離である。kの数値はガイドの数の関数として選ばれ、パスカルの三角形の規則に従う。パスカルの三角形は以下の形を有する。

1 -1
1 -2 1
1 -3 3 -1
1 -4 6 -4 1
1 -5 10 -5 1
【0062】
2つの可撓性ガイドの組立体の場合、3行目の係数kを選択する。3つのガイドの組立体については4行目の係数kを選択する。4つのガイドの組立体については5行目の係数kを選択し、追加のガイドについても同様である。最後の数値は組立体の質量中心のずれに対応する。係数の符号が負であるとき、ずれは、係数kが正であるずれに対して線6上で反対方向になる。
【0063】
たとえば、図3では、4つの可撓性ガイドの組立体については、第1のガイドの回転中心1は、直6上の係数1に対して支持物7から距離Xの所に配列される。第2のガイドの第2の回転中心2は、線6上の第1の回転中心1から距離-4Xだけずれている。第3のガイドの第3の回転中心3は、線6上の第2の回転中心2から距離6Xだけずれている。第4のガイドの第4の回転中心4は、線6上の第3の回転中心3から距離-4Xだけずれている。最後に組立体は、組立体の質量中心Mが直線6上の第4の回転中心4から距離Xの所に配列されるように構成される。
【0064】
組立体のガイドのこの配列は、先行する変動よりも重心の動きが小さいので、組立体に及ぼす重力の影響をさらに低減する。
【0065】
図4図14の組立体の実施形態は、回転中心が同じ線上に配列された可撓性ガイドを備える。
【0066】
図4および図5は、2つの可撓性ガイドが直列に取り付けられた組立体の第1の実施形態10および第2の実施形態20を示す。組立体10、20は、支持物11、21と、実質的に一平面内にそれぞれ配列された2つの可撓性ガイドとを備える。支持物11、21は、組立体10、20に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0067】
第1の可撓性ガイドは、支持物11、21に対して可動の第1の要素13、23と、第1の可動要素13、23に支持物11、21を接続する第1対の可撓性ストリップ12、22とを備える。その結果、第1の可動要素13、23は、第1の回転中心17、27の周りに円運動で第1対12、22の中のストリップを曲げることにより支持物11、21に対して動くことができる。第1の可動要素13、23は、長方形の図形を描く管形状を有し、長方形の長辺14、24は、第2の可撓性ガイドの平面内にあるようにその他の辺に対して持ち上がっている。長方形は、組立体の静止位置で横方向に支持物11、21に実質的に平行に配列される。
【0068】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素13、23に対して可動の第2の要素16、26と、第1の可動要素13、23に第2の可動要素16、26を接続する第2対の可撓性ストリップ15、25とを備える。その結果、第2の可動要素16、26は、第2の回転中心18、28の周りに円運動で第2対15、25の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素13、23に対して動くことができる。第2の可動要素16、26は、組立体10、20の静止位置で支持物11、21および第1の可動要素13、23に実質的に平行に横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0069】
同じ対の可撓性ストリップ12、15、22、25は交差しており、それらの交差点で溶接される。同じ対のストリップは、支持物11、21または可動要素13、16、26、23に同じ側で接合される。第2対のストリップ15、25は、第1の可動要素13、23の同じ持ち上がった側14、24上で接合される。
【0070】
図4の組立体10の第1の実施形態では、2つの可撓性ガイドは順々に伸展し、図5の組立体20の第2の実施形態では、2つの可撓性ガイドはほとんど重なっており、第2の可撓性ガイドは、第1の実施形態10に対して第1のガイドの上方で逆方向に配向される。
【0071】
本発明によれば、第1の回転中心17、27および第2の回転中心18、28は、2つの実施形態については第1の事前に規定された距離だけずれている。回転中心は、組立体10、20の静止位置で各可撓性ガイドの対のストリップ12、15、22、25の交差点に実質的に配列される。第1の実施形態10では、距離は第2の実施形態20よりも長い。
【0072】
図6の第3の実施形態は、第2の実施形態の変形形態であり、2対の交差ストリップ32、35は、それらの交差点で接合されない。さらに、第1の可動要素33は、第2の可撓性ガイドの平面内にあるように、持ち上がった部分34を具備する長方形の形状を有する。2つのガイドは、大部分は重なっており、第1の事前に規定された距離だけ2つの回転中心37、38を分離するずれを有する。組立体30の支持物31および第2の可動要素36はほぼ重なっている。
【0073】
図7は、支持物41および直列に配列された4つの可撓性ガイドを備える組立体40の第4の実施形態を示す。ガイドは実質的に同じ平面内に配列される。支持物41は、組立体40に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0074】
第1の可撓性ガイドは、支持物41に対して可動の第1の要素43を備え、第1対42の可撓性ストリップは、第1の可動要素43に支持物41を接続する。その結果、第1の可動要素43は、第1の回転中心47の周りに円運動で第1対42の中のストリップを曲げることにより支持物41に対して動くことができる。第1の可動要素43は、湾曲が支持物41に向けて配向された円弧の形状をとる。
【0075】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素43に対して可動の第2の要素46と、第1の可動要素43に第2の可動要素46を接続する第2対45の可撓性ガイドとを備える。その結果、第2の可動要素46は、第2の回転中心48の周りに円運動で第2対45の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素43に対して動くことができる。第2の可動要素46は、中央区画39が細長いH字形の形状を有する。
【0076】
本発明によれば、第1の回転中心47および第2の回転中心48は、第1の事前に規定された距離だけずれている。回転中心47、48は、静止位置で各可撓性ガイドのストリップの同一直線上にある線の交点に実質的に配列される。
【0077】
組立体40は、第2の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備える。第3の可撓性ガイドは、第3の可動要素51と、第2の可動要素46に第3の可動要素51を接続する第3対の可撓性ストリップ49とを備える。その結果、第3の可動要素51は、第3の回転中心の周りに円運動で第3対49の中のストリップを曲げることにより第2の可動要素46に対して動くことができる。第3の回転中心は、第2の回転中心48と実質的に同じ場所にある。第3の可動要素51は、組立体40の中央にあるH字形状本体の区画39に対して第1の可動要素43の他方の円弧に対称に配列された円弧の形状をとる。2つの弧は、H字形内で区画39の両側に配列される。
【0078】
組立体は、第3の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第4の可撓性ガイドを備え、第4の可撓性ガイドは、第4の可動要素53と、第3の可動要素51に第4の可動要素53を接続する第4対52の可撓性ストリップとを備える。その結果、第4の可動要素53は、第4の回転中心44の周りに円運動で第4対52の中のストリップを曲げることにより第3の可動要素51に対して動くことができる。第4の回転中心44は、第1の距離に実質的に等しい第2の事前に規定された距離だけ第2および第3の回転中心48に対してずれている。第4の可動要素53は、組立体40の静止位置で支持物41に平行に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。第3の可動要素51の弧の湾曲は、第4の可動要素53に向けて配向される。支持物41および第4の可動要素53は、各弧の背後でH字形の外側に配列される。
【0079】
4つの可撓性ガイドは、交差していないストリップを有する。同じ対42、45、49、52のストリップの中のストリップは、支持物41および/または対応する可動要素43、46、51、53の同じ側に配列される。2つの可撓性ガイドは、対で対称に配列される。その結果、可撓性ガイド組立体40は、静止位置で長手方向の線および横方向の線に対して対称であり、2つの線は実質的に直交する。
【0080】
図8の第5の実施形態では、組立体50は、支持物61と、直列に配列された3つの可撓性ガイドとを備え、各ガイドは、実質的に同じ平面内に配列される。支持物61は、ストリップが接合される隆起部を具備する細長い長方形プレートの形状を有する。
【0081】
第1の可撓性ガイドは、支持物61に対して可動の第1の要素63を備え、第1対の可撓性ストリップ62は、第1の可動要素63に支持物61を接続する。その結果、第1の可動要素63は、第1の回転中心57の周りに円運動で第1対62の中のストリップを曲げることにより支持物61に対して動くことができる。第1の可動要素63はU字形である。
【0082】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素63に対して可動の第2の要素66と、第1の可動要素63に第2の可動要素66を接続する第2対の可撓性ストリップ65とを含む。その結果、第2の可動要素66は、第2の回転軸58の周りに円運動で第2対65の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素63に対して動くことができる。第2の可動要素66はU字形である。
【0083】
組立体は、第2の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備える。第3の可撓性ガイドは、第2の可動要素66に対して可動の第3の要素67と、第2の可動要素66に第3の可動要素67を接続する第3対の可撓性ストリップ59とを備える。その結果、第3の可動要素67は、第3の回転中心54の周りに円運動で第3対59の中のストリップを曲げることにより第2の可動要素66に対して動くことができる。第3の可動要素67は、ストリップが接合される隆起部を具備する細長い長方形プレートの形状を有する。第3の回転中心54は、第1の距離に実質的に等しい第2の事前に規定された距離だけ第2の回転中心58に対してずれている。
【0084】
第1および第3の可撓性ガイドは、交差していない可撓性ストリップを有する。第2の可撓性ガイドは、交差した可撓性ストリップを有し、ストリップはそれらの交差点で接合される。2つのU字形状は互いに向き合い、その結果、一方のU字形の内側は他方と向き合う。2つのU字形状は、「X字形」を形成する第2対のストリップ65により互いに接合され、ストリップの端部は、U字形状の内側に取り付けられる。支持物61および第3の可動要素67は、それぞれU字形の内側に配列され、隆起部はU字形の外側に向けられる。第1対62および第3対59のストリップは、第2対58の中のストリップの後ろでU字形の内側に接合される。
【0085】
可撓性ガイド組立体は、静止位置で長手方向の線および横方向の線に対して対称であり、2つの線は実質的に直交する。
【0086】
図9の第6の実施形態は、支持物71と、一平面内に直列に配列された2つの可撓性ガイドとを備える組立体60を示す。支持物71は、組立体60に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0087】
第1の可撓性ガイドは、支持物71に対して可動の第1の要素73を備え、第1対の可撓性ストリップ72は、第1の可動要素73に支持物71を接続する。その結果、第1の可動要素73は、第1の回転中心77の周りに円運動で第1対72の中のストリップを曲げることにより支持物71に対して動くことができる。第1の移動可能性要素73はU字形であり、U字形の内側は横方向に支持物の方を向く。
【0088】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素73に対して可動の第2の要素76と、第1の可動要素73に第2の可動要素76を接続する第2対の可撓性ストリップ75とを備える。その結果、第2の可動要素76は、第2の回転中心78の周りに円運動で第2対75の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素73に対して動くことができる。第2の可動要素76は、ストリップが接合される隆起部を具備する細長い長方形プレートの形状を有する。
【0089】
本発明によれば、第1の回転中心77および第2の回転中心78は、第1の事前に規定された距離だけずれている。回転中心77、78は、静止位置で各可撓性ガイドのストリップの同一直線上にある線の交点に実質的に配列される。その結果、第1の回転中心77は交差点に形成され、第2の回転中心は、第2の可動要素76の隆起部に形成される。
【0090】
第1の可撓性ガイドは、交差した可撓性ストリップを有し、ストリップはそれらの交差点で接合される。第2の可撓性ガイドは、交差していない可撓性ストリップを有する。
【0091】
支持物およびU字形は、X字形を形成する第2対のストリップ75により互いに接合され、ストリップの端部の一方はU字形状の内側に取り付けられ、他方は長方形プレートの側面に取り付けられる。第2の可動要素76はU字形の内側に配列され、隆起部はU字形の外側の方を向く。第1対および第2対のストリップ72、75は、U字形の内側に接合される。
【0092】
図10の第7の実施形態では、組立体70は、図9の第5の実施形態の変形形態であり、第2対85の中の可撓性ストリップは交差しており、第2の可動要素86は、第1の可動要素83のU字形の内側で支持物81に垂直に配列される。第1対のストリップ82の第1の回転中心87は、第2の回転中心88に対してずれている。
【0093】
図11では、組立体80の第8の実施形態は、支持物91と、実質的に同じ平面内に直列に配列された3つの可撓性ガイドとを備える。支持物91は、組立体80に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0094】
第1の可撓性ガイドは、支持物91に対して可動の第1の要素93を備え、第1対の可撓性ストリップ92は、第1の可動要素93に支持物91を接続する。その結果、第1の可動要素93は、第1の回転中心97の周りに円運動で第1対92の中のストリップを曲げることにより支持物91に対して動くことができる。第1の可動要素93は、端部が湾曲したW字形の形状を有する。
【0095】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素93に対して可動の第2の要素96と、第1の可動要素93に第2の可動要素96を接続する第2対の可撓性ストリップ95とを含む。その結果、第2の可動要素96は、第2の回転中心98の周りに円運動で第2対95の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素93に対して動くことができる。第2の可動要素96はまた、端部が湾曲したW字形であり、W字形は、上下反転位置で第1の可動要素93に実質的に平行に配列される。
【0096】
W字形状の最下部は互いに向き合う。2つのW字形状は、X字形を形成する第2対95のストリップにより互いに接合され、ストリップの端部は、W字形状の湾曲した端部に取り付けられる。第1対および第3対のストリップは、W字形の内部の先端部上で接合される。
【0097】
組立体は、可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備える。第3の可撓性ガイドは、第2の可動要素96に対して可動の第3の要素89と、第2の可動要素96に第3の可動要素89を接続する第3対の可撓性ストリップ99とを備える。その結果、第3の可動要素89は、第3の回転中心94の周りに円運動で第3対99の中のストリップを曲げることにより第2の可動要素96に対して動くことができる。第3の可動要素89は、第1の可動要素93およびW字形状に実質的に平行に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0098】
第1および第3の可撓性ガイドは、交差していない対92、99の可撓性ストリップを有する。第2の可撓性ガイドは、1対の交差可撓性ストリップ95を有し、ストリップはそれらの交差点で接合される。同じ対のストリップの中のストリップは、支持物および/または可動要素の同じ側に配列される。第2対のストリップ95の中のストリップは、各W字形の湾曲した端部に接合される。
【0099】
本発明によれば、第1の回転中心97および第2の回転中心98は、第1の事前に規定された距離だけずれている。第3の回転中心94もまた、第2の事前規定された距離だけ第2の回転中心98に対してずれている。回転中心97、98は、静止位置で各可撓性ガイドの各対92、95、99の中のストリップの同一直線上にある線の交点に実質的に配列される。その結果、第2の回転中心98は交差点に形成され、第1の回転中心97および第3の回転中心94は、W字形状の内部の先端部に形成される。
【0100】
可撓性ガイド組立体80は、静止位置で長手方向の線および横方向の線に対して対称であり、2つの線は実質的に直交する。
【0101】
図12の第9の実施形態では、組立体90は、支持物101と、実質に同じ平面内に直列に配列された3つの可撓性ガイドとを備える。支持物101は、組立体90に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0102】
第1の可撓性ガイドは、支持物101に対して可動の第1の要素103を備え、第1対の可撓性ストリップ102は、第1の可動要素103に支持物101を接続する。その結果、第1の可動要素103は、第1の回転中心107の周りに円運動で第1対102の中のストリップを曲げることにより支持物101に対して動くことができる。第1の可動要素103は、丸みのある突起物を一方の頂点が有する三角形の形状を有する。
【0103】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素103に対して可動の第2の要素106と、第1の可動要素103に第2の可動要素106を接続する第2対の可撓性ストリップ105とを含む。その結果、第2の可動要素106は、第2の回転中心108の周りに円運動で第2対105の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素103に対して動くことができる。第2の可動要素103は、丸みのある隆起物を一方の頂点が有する三角形の形状を有する。隆起部の機能は、交差していないストリップを捕捉することである。
【0104】
組立体90は、第2の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備える。第3の可撓性ガイドは、第2の可動要素106に対して可動の第3の要素110と、第2の可動要素106に第3の可動要素110を接続する第3対の可撓性ストリップ109とを備える。その結果、第3の可動要素110は、第3の回転中心104の周りに円運動で第3対109の中のストリップを曲げることにより第2の可動要素106に対して動くことができる。第3の可動要素110は、支持物101に実質的に平行に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0105】
同じ対のストリップの中のストリップは、支持物および/または可動要素の同じ側に配列される。第1対102および第3対109の可撓性ストリップの中の可撓性ストリップは交差していない。第2対102の可撓性ストリップの中の可撓性ストリップは交差している。
【0106】
2つの三角形は、支持物101と第3の可動要素110の間に配列され,隆起部は、支持物101および第3の可動要素110の方を向く。第1対102および第3対109のストリップは隆起部に接合され、第2対105の中のストリップは、三角形の底辺に接合される。
【0107】
可撓性ガイド組立体90は、静止位置で長手方向の線および横方向の線に対して対称であり、2つの線は実質的に直交する。
【0108】
本発明によれば、第1の回転中心107および第2の回転中心108は、第1の事前に規定された距離だけずれている。回転中心は、静止位置で各対102、105、109の各可撓性ガイドの中のストリップの同一直線上にある線の交点に実質的に配列される。さらに、第3の回転中心104もまた、第2の事前に規定された距離だけ第2の回転中心108に対してずれている。
【0109】
図13では、本発明による組立体100の第10の実施形態は、支持物111と、直列に配列された4つの可撓性ガイドとを備える。第1および第2のガイドは第1の平面内に配列され、第3および第4のガイドは、実質的に第1の平面に平行な第2の平面内に配列される。支持物は、ガイド100に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0110】
第1の可撓性ガイドは、支持物111に対して可動の第1の要素113と、第1の可動要素113に支持物111を接続する第1対の可撓性ストリップ112とを備える。その結果、第1の可動要素113は、第1の回転中心117の周りに円運動で第1対112の中のストリップを曲げることにより支持物111に対して動くことができる。第1の可動要素113は、実質的に正方形プレートの形状を有する。
【0111】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素113に対して可動の第2の要素116と、第1の可動要素113に第2の可動要素116を接続する第2対の可撓性ストリップ115とを含む。その結果、第2の可動要素116は、第2の回転中心118の周りに円運動で第2対115の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素113に対して動くことができる。第2の可動要素116は、組立体100の静止位置で組立体100の長さおよび幅の範囲を定める長方形の形をとる管状構造を有する。
【0112】
組立体100は、第2の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備える。第3の可撓性ガイドは、第2の可動要素116に対して可動の第3の要素120と、第2の可動要素116に第3の可動要素120を接続する第3対の可撓性ストリップ119とを備える。その結果、第3の可動要素120は、第3の回転中心123の周りに円運動で第3対119の中のストリップを曲げることにより第2の可動要素116に対して動くことができる。第3の可動要素120は、寸法が第2の可動要素116の長方形よりも小さな正方形の形をとる管状構造を有する。
【0113】
組立体は、第3の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第4の可撓性ガイドを備え、第4の可撓性ガイドは、第4の可動要素122と、第3の可動要素120に第4の可動要素122を接続する第4対の可撓性ストリップ121とを備える。その結果、第4の可動要素122は、第4の回転中心124の周りに円運動で第4対121の中のストリップを曲げることにより第3の可動要素120に対して動くことができる。第4の可動要素122は、組立体100の静止位置で支持物111に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0114】
本発明によれば、第1の回転中心117および第2の回転中心118は、第1の平面内で第1の事前に規定された距離だけずれている。第3の回転中心123は、第2の平面内で第2の事前に規定された距離だけ第2の回転中心118に対してずれている。第4の回転中心124は、第2の平面内で第3の事前に規定された距離だけ第3の回転中心123に対してずれている。回転中心117、118、123、124は、組立体100の静止位置で各対の可撓性ストリップの中のストリップの同一直線上にある線の交点に実質的に配列される。
【0115】
同じ対のストリップの中のストリップは、支持物および/または可動要素の同じ側に配列される。2つの可撓性ガイドは、対で対称に配列される。その結果、可撓性ガイド組立体100は、静止位置で長手方向の線および横方向の線に対して対称であり、2つの線は実質的に直交する。
【0116】
本発明はまた、図に現されていない回転計時器共振子機構に関する。共振子機構は、振動錘、および上記で記述する実施形態の1つなどの可撓性ガイド組立体を具備する。振動錘は、たとえば組立体の直列の最終可動要素上に取り付けられた環形状てんぷまたは骨形部材である。
【0117】
図14は、支持物131と、直列に配列された4つの可撓性ガイドとを備える組立体110の第11の実施形態を示す。ガイドは実質的に同じ平面内に配列される。支持物131は、組立体110に対して横方向に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。
【0118】
第1の可撓性ガイドは、支持物131に対して可動の第1の要素133を備え、第1対132の可撓性ストリップは、第1の可動要素133に接続される。その結果、第1の可動要素133は、第1の回転中心137の周りに円運動で第1対132の中のストリップを曲げることにより動くことができる。第1の可動要素133は、中央区画139が細長いH字形の形状を有する。
【0119】
第2の可撓性ガイドは、第1の可動要素133に対して可動の第2の要素136と、第1の可動要素133に第2の可動要素136を接続する第2対135の可撓性ストリップとを備える。その結果、第2の可動要素136は、第2の回転中心138の周りに円運動で第2対135の中のストリップを曲げることにより第1の可動要素133に対して動くことができる。第2の可動要素136は、湾曲が支持物131の方を向かない円弧の形状をとる。
【0120】
本発明によれば、第1の回転中心137および第2の回転中心138は、第1の事前に規定された距離だけずれている。回転中心137、138は、静止位置で各可撓性ガイドのストリップの同一直線上にある線の交点に実質的に配列される。
【0121】
組立体110は、第2の可撓性ガイドの下流に直列に配列された第3の可撓性ガイドを備える。第3の可撓性ガイドは、第3の可動要素141と、第2の可動要素136に第3の可動要素141を接続する第3対の可撓性ストリップ139とを備える。その結果、第3の可動要素141は、第3の回転中心の周りに円運動で第3対139の中のストリップを曲げることにより第2の可動要素136に対して動くことができる。第3の回転中心は、第2の回転中心138と実質的に同じ場所にある。第3の可動要素141は、組立体110の静止位置で支持物131に実質的に平行に配列された細長い長方形プレートの形状を有する。第2の可動要素136の弧の湾曲は、第3の可動要素141に向けて配向される。支持物131および第3の可動要素141は、各弧の背後でH字形の外側に配列される。
【0122】
組立体は、第1の可撓性ガイドの上流に直列に配列された第4の可撓性ガイドを備え、第4の可撓性ガイドは、第4の可動要素143と、支持物131に第4の可動要素143を接続する第4対142の可撓性ストリップとを備える。その結果、第4の可動要素143は、第4の回転中心の周りに円運動で第4対142の中のストリップを曲げることにより支持物131に対して動くことができる。第4の回転中心は、第1の回転中心137と実質的に同じ場所にある。第1対のストリップ132の中のストリップは、第1の可動要素133に第4の可動要素143を接続して、第1の可動要素133が、第1の回転中心137の周りに円運動で第1対のストリップ132の中のストリップを曲げることにより第4の可動要素143に対して動くことができるようにする。第4の可動要素143は、湾曲が支持物131に向けて配向された円弧の形状をとる。第4の可動要素143は、組立体110の中央にあるH字形本体の区画139に対して第2の可動要素136の他方の円弧に対称に配列される。2つの弧は、区画139の両側に、H字形内に配列される。
【0123】
第4の可撓性ガイドは、交差していないストリップを有する。同じ対132、135、139、142のストリップの中のストリップは、支持物131および/または対応する可動要素133、136、141、143の同じ側に配列される。2つの可撓性ガイドは、対で対称に配列される。その結果、可撓性ガイド組立体110は、静止位置で長手方向の線および横方向の線に対して対称であり、2つの線は実質的に直交する。
【0124】
当然ながら、本発明は、図面を参照して記述する実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく変形形態を想定することができる。
【符号の説明】
【0125】
1、2、3、4、5、…、N 可撓性ガイドの回転中心
1 第1の可撓性ガイドの回転中心
2 第2の可撓性ガイドの回転中心
3 第3の可撓性ガイドの回転中心
6 直線
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110 組立体
11、21、31、41、61、71、81、91、101、111、131 支持物
12、22、42、62、72、82,92、102、112、132 第1対の可撓性ストリップ
13、23、33、43、63、73、83、93、103、113、133 第1の可動要素
14、24 長方形の長辺
15、25、45、65、75、85、95、105、115、135 第2対の可撓性ストリップ
16、26、36、46、66、76、86、96、106、116、136 第2の可動要素
17、27、47、57、77、87、97、107、117、137 第1の回転中心
18、28、48、58、78、88、98、108、118、138 第2の回転中心
32、35 2対の交差ストリップ
34 持ち上がった部分
37、38 回転中心
39 H字形状本体の区画
44、124 第4の回転中心
48、92 第2および第3の回転中心
49、59、99、109、119、139 第3対の可撓性ストリップ
51、67、89、110、120、141 第3の可動要素
52、121、142 第4対の可撓性ストリップ
53、122、143 第4の可動要素
54、94、104、123 第3の回転中心
139 H字形の中央区画
i、i-1、j 可撓性ガイド
k 可撓性ガイドの剛性
、k 可撓性ガイドi、jの剛性
M 質量中心
N 最終可撓性ガイド、組立体に属する可撓性ガイドの数
ガイド1の回転中心と組立体の固定支持物7の間の距離
可撓性ガイドiの回転中心と可撓性ガイドi-1の回転中心の間のずれ
N+1 最終可撓性ガイドの最終回転中心と質量中心(M)の間の距離
X 距離
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12
図13
図14