(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】LTA4H阻害剤の結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20230927BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230927BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230927BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/635 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/606 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/64 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230927BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230927BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230927BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230927BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230927BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/4439
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/635
A61K31/606
A61K31/64
A61K31/52
A61K31/519
A61K31/42
A61K31/4178
A61K31/5377
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P37/02
A61P11/00
A61P37/08
A61P17/00
(21)【出願番号】P 2021504833
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2019056436
(87)【国際公開番号】W WO2020026108
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/000278
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コルディコウスキ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ヤンシャン
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D、A61K、A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形態の化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態
であって、前記結晶形態は、形態Bを含み、前記形態Bは、下記の特性:
(i)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された、2θを単位とする22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、及び26.3±0.2°2θでの代表的なピークを含むX線粉末回折パターン;
(ii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θからなる群から選択される4つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン;
並びに
(iii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θからなる群から選択される5つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン
の内の1つを特徴とする、結晶形態。
【請求項2】
前記形態Bは下記図1
【化1】
(図中、ピーク位置(2θ)は、最大±0.2°の変動性を有する)
に示されるX線粉末回折スペクト
ルを有する、請求項
1に記載の結晶形態。
【請求項3】
前記形態Bは下記図2
【化2】
(図中、吸熱/融点の値は、最大±5℃の変動性を有する)
に示され
る示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項1
または2に記載の結晶形態。
【請求項4】
10℃/分の速度で30~300℃に加熱した場合に、T
onset
=197.35℃で、252.44J/gのエンタルピーΔHを有する融解吸熱ピークを示し、吸熱/融点の値は、最大±5℃の変動性を有する、示差走査熱量(DSC)サーモグラムを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項5】
前記形態Bは下記図3
【化3】
(図中、温度および重量%の値は、最大±5℃の変動性を有する)
に示され
る熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する、請求項1
~4のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項6】
10℃/分の速度で30~300℃に加熱した場合に、150℃で0.32%の重量減少を示し、温度および重量%の値は、最大±5℃の変動性を有する、熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項7】
形態Bからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項8】
前記形態
Bが無水基準でこの化合物の重量を基準として、約90重量%よりも高い相純度を有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項9】
水和物形態の化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態であって、前記結晶形態は形態H
B
を含み、前記形態H
B
は、下記の特性:
(i)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された、2θを単位とする22.1±0.2°2θ、23.8±0.2°2θ、24.7±0.2°2θ、及び28.7±0.2°2θでの代表的なピークを含むX線粉末回折パターン;
(ii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された、13.4±0.2°、20.8±0.2°、22.1±0.2°、23.5±0.2°、23.5±0.2°、23.8±0.2、24.7±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、26.9±0.2°2θ、28.7±0.2°2θ、30.4±0.2°2θ、31.2±0.2°2θ、33.8±0.2°2θ、及び38.7±0.2°2θからなる群から選択される4つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン;
並びに
(iii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された13.4±0.2°、20.8±0.2°、22.1±0.2°、23.5±0.2°、23.5±0.2°、23.8±0.2、24.7±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、26.9±0.2°2θ、28.7±0.2°2θ、30.4±0.2°2θ、31.2±0.2°2θ、33.8±0.2°2θ、及び38.7±0.2°2θからなる群から選択される5つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン
の内の1つを特徴とする
、結晶形態。
【請求項10】
下記図4
【化4】
(図中、ピーク位置(2θ)は、最大±0.2°の変動性を有する)
に示されるX線粉末回折スペクト
ルを有する、請求項
9に記載の結晶形態。
【請求項11】
下記図5
【化5】
(図中、吸熱/融点の値は、最大±5℃の変動性を有する)
に示され
る示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項9
または1
0に記載の結晶形態。
【請求項12】
10℃/分の速度で30~300℃に加熱した場合に、T
onset
=94.95℃で、137.63J/gのエンタルピーΔHを有する吸熱ピークおよびT
onset
=198.47℃で、225.20J/gのエンタルピーΔHを有する吸熱ピークを示し、吸熱/融点の値は、最大±5℃の変動性を有する、示差走査熱量(DSC)サーモグラムを有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項13】
下記図6
【化6】
(図中、温度および重量%の値は、最大±5℃の変動性を有する)
に示され
る熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する、請求項
9~12のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項14】
10℃/分の速度で30~300℃に加熱した場合に、150℃で4.46%の重量減少を示し、温度および重量%の値は、最大±5℃の変動性を有する、熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する、請求項9~13のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項15】
前記水和物が一水和物である、請求項9~14のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項16】
形態H
Bからなる、請求項9~15のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項17】
前記形態
H
B
が無水基準でこの化合物の重量を基準として、約90重量%よりも高い相純度を有する、請求項9~16のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項18】
請求項1~8のいずれか一項に記載の形態B、請求項9~17のいずれか一項に記載のH
B、並びに形態B及びH
Bの組合せからなる群から選択される結晶形態と、1種又は複数種の薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~8のいずれか一項に記載の形態B、請求項9~17のいずれか一項に記載のH
B、並びに形態B及びH
Bの組合せからなる群から選択される結晶形態を、1種又は複数種の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、前記治療剤は、COX阻害剤、システイニル-ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンC4シンターゼ(LTC4S)阻害剤、スタチン、スルファサラジン、メサラミン、カルシニュリン阻害剤;mTOR阻害剤;免疫抑制特性を有するアスコマイシン;副腎皮質ステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸又はミコフェノール酸塩;ミコフェノール酸モフェチル;IL-1ベータ阻害剤からなる群から独立して選択される、医薬組成物。
【請求項20】
LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害を治療する
ための医薬組成物であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の形態B、請求項9~17のいずれか一項に記載のH
B、並びに形態B及びH
Bの組合せからなる群から選択される結晶形態
を含む
医薬組成物。
【請求項21】
化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態Bを製造する方法であって、
a)(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の形態H
Bをメタノール又は水/アルコールの混合物に懸濁させて、懸濁混合物を形成する工程;
b)前記懸濁混合物を、50℃を超える温度まで加熱し且つ撹拌する工程;
c)前記溶液を室温まで冷却して、懸濁混合物を形成する工程;
d)懸濁液から結晶形態Bを回収する工程
を含む方法。
【請求項22】
化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態H
Bを製造する方法であって、
a)(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を水又はTHF/水の溶媒混合物に溶解させて、溶液を形成する工程;
b)前記溶液のpHを、NaHCO
3の水溶液又はNaOHの水溶液により3.3~7.5のpH数値に調整し、同時に撹拌して、懸濁液を得る工程;
c)前記懸濁液から前記結晶形態H
Bを回収する工程
を含む方法。
【請求項23】
(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を製造するために、下記工程d)~i):
d)(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸にトルエンを添加する工程;
e)HClの水溶液を添加して反応混合物を形成する工程;
f)前記反応混合物を約50℃~約65℃の温度まで加熱し且つ撹拌する工程;
g)前記反応混合物を約35℃まで冷却する工程;
h)水層を分離し、得られた有機層を18℃~25℃の温度まで冷却して、懸濁液を得る工程;
i)前記懸濁液から前記(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を回収する工程
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態に関する。本開示はまた、全般的に、この結晶形態を含む医薬組成物、並びにそのような結晶形態を得る方法、並びにLTA4Hの阻害により概して寛解される疾患及び障害の治療でそのような結晶形態を使用する方法にも関する。そのような疾患及び障害として、炎症性障害及び自己免疫障害、並びに肺及び気道の炎症が挙げられ得る。
【背景技術】
【0002】
(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸は、2014年12月18日に出願された国際公開第2015/092740号パンフレット(このパンフレットは、その全体が参照により組み込まれる)においてHCl塩として初めて開示されており、式(I):
【化1】
の構造を有するLTA4H阻害剤である。
【0003】
式(I)の化合物は、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患及び障害の治療で有用である。そのような疾患及び病態として、炎症性障害及び自己免疫障害、並びに肺及び気道の炎症が挙げられる。
【0004】
従って、式(I)の化合物は、下記の疾患又は障害の治療で有用である:急性又は慢性の炎症、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、アトピー性皮膚炎、乾癬、急性呼吸促迫症候群、免疫複合体媒介性肺損傷(immune complex-mediated pulmonary injury)及び慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、及び術後外傷)、消化性潰瘍、好中球性皮膚症(例えば、限定されないが、壊疽性膿皮症、スイート症候群、挫瘡、及び好中球性蕁麻疹(neutrophilic urticaria))、免疫複合体媒介性糸球体腎炎(immune-complex-mediated glomerulonephritis)、自己免疫疾患(例えば、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、変形性関節症、及び全身性エリテマトーデス)、脈管炎(例えば、限定されないが、皮膚血管炎、ベーチェット病、及びヘノッホ・シェーンライン紫斑病)、心血管障害(例えば、限定されないが、高血圧、アテローム性動脈硬化、動脈瘤、重篤な脚の虚血、末梢動脈閉塞性疾患、肺動脈高血圧、及びレイノー症候群)、敗血症、炎症性及び神経障害性の疼痛、例えば関節痛、歯周病、例えば歯肉炎、耳感染、片頭痛、良性前立腺過形成、シェーグレン・ラルソン症候群、並びに癌(例えば、限定されないが、白血病及びリンパ腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、悪性黒色腫、腎癌、頭頚部腫瘍、並びに結腸直腸癌)。
【0005】
式(I)の化合物は、特に、急性又は慢性の炎症の治療で有用であり、特に、自己炎症性障害、例えば無菌の好中球炎症性障害(sterile neutrophilic inflammatory disorder)、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、好中球性皮膚症(例えば、壊疽性膿皮症及び挫瘡)、脈管炎、関節リウマチ、痛風、並びに心血管疾患の治療で有用である。
【0006】
特定の薬物の医薬品有効成分(API)の固体状態形態が、しばしば、薬物の調製の容易さ、吸湿性、安定性、溶解度、貯蔵安定性、製剤の容易さ、胃腸液中での溶解速度、及びインビボバイオアベイラビリティの重要な決定要素である。結晶形は、同じ組成物が異なる格子配列中に結晶化して、特定の結晶形に特有な異なる熱力学的性質及び安定性が生じる場合に起こる。結晶形は、同じ化合物の異なる水和物又は溶媒和物も含み得る。どの形態が好ましいかを決定する際に、形態の多くの性質が比較され、好ましい形態が、多くの物性変数に基づいて選択される。調製の容易さ、安定性などの特定の側面が決定的であると思われる幾つかの状況において、1つの形態が好ましくなり得ることが完全にあり得る。他の状況において、異なる形態が、より高い溶解速度及び/又は優れたバイオアベイラビリティのために好ましくなり得る。
【0007】
従って、化学物質の、複数種の結晶形態で結晶化するというこの能力は、薬物の品質保持期間、溶解度、製剤特性、及び加工特性に大きな影響を及ぼす可能性がある。加えて、薬物の作用は、この薬物の分子の多型による影響を受ける可能性がある。多形が異なると体内への取り込み率が異なる可能性があり、所望されるものと比べて生物学的活性が低くなるか又は高くなる。極端な場合には、望ましくない多形は毒性を示す可能性さえある。製造中での未知の結晶形態の発生は、重大な影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
特定の化合物若しくは化合物の塩が多形体を形成するかどうか、そのような多形体が治療用組成物における商業的利用に好適であるかどうか、又はどの多形体がそのような望ましい性質を示すかを予測することはまだ可能ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、遊離形態(即ち、非塩形態)の(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態を提供する。特定の実施形態では、この遊離形態は、水をさらに含む(本明細書では水和物と称される)。
【0010】
従って、本開示は、遊離形態の(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態を提供する。
【0011】
本開示は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の水和物の結晶形態をさらに提供する。
【0012】
これらの結晶形態の実施形態は、形態B及び形態HBと本明細書で称される形態を含む。具体的な形態を特定するために本明細書で使用される名称、例えば、「形態B」又は「形態HB」は、類似又は同一の物理的及び化学的特性を有する他の物質に関して限定的であると考えられるべきではなく、むしろ、これらの名称が、やはり本明細書において提示されている特性化情報に従って解釈されるべき識別子に過ぎないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書で形態Bと称される遊離形態の式(I)の化合物の、X軸に2θ(2-シータ)度及びY軸に相対強度を示す実例的なXRPDスペクトルを提供する。
【
図2】本明細書で形態Bと称される遊離形態の式(I)の化合物の実例的なDSCを提供する。
【
図3】本明細書で形態Bと称される遊離形態の式(I)の化合物の実例的なTGAを提供する。
【
図4】本明細書で形態H
Bと称される水和物形態の式(I)の化合物の、X軸に2θ(2-シータ)度及びY軸に相対強度を示す実例的なXRPDスペクトルを提供する。
【
図5】本明細書で形態H
Bと称される水和物形態の式(I)の化合物の実例的なDSCを提供する。
【
図6】本明細書で形態H
Bと称される水和物形態の式(I)の化合物の実例的なTGAを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
形態B及びHBのそれぞれのXRPDピークのより詳細な一覧表は、それぞれ以下の表1及び2に記載されており、表中では相対強度%(I/I0×100)も与えられている。X線粉末回折のスペクトル又はパターンにおいて、例えば、装置面の変動(装置間の差異を含む)の結果として、度2θ(°2θ)で測定された値に固有の変動性があることが理解されるべきである。したがって、XRPDピーク測定値には最大±0.2°2θの変動性があるが、そのようなピーク値がそれでも本明細書に記載される結晶性材料の特定の固体状態形態を代表すると考えられることが理解されるべきである。相対強度及び含水量など、XRPD実験及びDSC/TGA実験から得られる他の測定値が、例えば、試料調製及び/又は保存及び/又は環境条件の結果として変動し得るが、測定値がそれでも本明細書に記載される結晶性材料の特定の固体状態形態を代表すると考えられることが理解されるべきである。
【0015】
定義
本明細書で使用される場合、「約」及び「実質的」という用語は、特徴(例えば、吸熱、吸熱ピーク、発熱、ベースラインシフト等)に関して、これらの値が変動する可能性があることを示す。X線回折ピークの位置に関して、「約」又は「実質的」は、典型的なピークの位置及び強度のばらつきが考慮されていることを意味する。例えば、当業者は、ピーク位置(2θ)が、典型的には0.2°といういくらかの装置間のばらつきを示すことを認識するだろう。時には、このばらつきは、装置の校正の差異に応じて0.2°よりも高い可能性がある。さらに、当業者は、相対的なピーク強度が、装置間のばらつき、並びに結晶化度、好ましい配向、調製されたサンプルの表面、及び当業者に既知の他の因子に起因するばらつきを示し、定性的な測定値としてのみ見なされるべきであることを認識するだろう。DSCの場合、観測される温度のばらつきは、温度変化の速度、並びにサンプル調製技術及び用いられる特定の装置に依存するだろう。そのため、DSC/TGAサーモグラムに関して本明細書で報告される吸熱/融点の値は、±5℃変動する可能性がある(そして、依然として、本明細書で説明されている特定の結晶形態の特徴であると見なされ得る)。他の特徴(例えば、重量パーセント(重量%)、反応温度)の文脈で使用される場合には、「約」という用語は、±5%の分散を示す。
【0016】
「結晶形態」又は「結晶変態」又は「多形形態」又は「多形」という用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「多形」は、同一の化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子、及び/又はイオンの空間的配置が異なる結晶形態を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「非晶質」は、結晶ではない分子、原子、及び/又はイオンの固体形態を指す。非晶質固体は、確定的なX線回折パターンを示さない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「実質的に相純粋(substantially phase pure)」は、式(I)の化合物の任意の結晶形態に関して使用される場合、無水基準でこの化合物の重量を基準として、約90重量%よりも高い相純度(例えば、式(I)の化合物の約90、91、92、93、94、95、96、97、98、及び約99重量%超、並びに同様に例えば約100重量%と同程度)を有する化合物を意味する。「相純粋」又は「相純度」という用語は、本明細書では、式(I)の化合物の特定の固体形態に関する相の均一性を指し、その旨が明示的に記載されていない限り、必ずしも高い化学的純度を意味しない。相純度を、当分野で既知の方法に従って(例えばXRPDを使用して)決定して、当分野で既知の1種又は複数種のアプローチを使用して(例えば、外部標準法、特定のスペクトル中の様々な相に帰属するライン(ピーク)の特徴の直接比較、又は内部標準法により)定量的な相分析を行ない得る。しかしながら、相純度のXRPD定量は、非晶質物質の存在により複雑になる可能性がある。従って、相純度を決定するのに有用であり得る他の方法として、例えば、固体NMR分光法、ラマン及び/又は赤外分光法が挙げられる。当業者は、これらの方法、及び相純度を決定するためにこれらの追加の(又は代替の)方法を採用する方法を容易に理解するだろう。
【0019】
本明細書で使用される場合、「実質的に化学的に純粋」は、式(I)の化合物の任意の結晶形態に関して使用される場合、(無水基準で)塩の重量を基準として、約90重量%よりも高い化学的純度(例えば、式(I)の化合物の約90、91、92、93、94、95、96、97、98、及び約99重量%超、並びに同様に例えば約100重量%と同程度)を有する化合物を意味する。残余の物質は、一般に、他の化合物(例えば、式(I)の化合物の他の立体異性体、反応不純物、出発物質、試薬、副生成物、並びに/又は特定の結晶形態の調製及び/若しくは単離及び/若しくは精製から生じる他の処理不純物)を含む。例えば、式(I)の化合物の結晶形態は、当分野で既知の標準的で一般に認められている方法により測定した際に、約90重量%を超える化学的純度を有すると決定されている場合に、実施的に化学的に純粋であるとみなされ得、約10重量%未満の残余は、他の物質(例えば、式(I)の化合物の他の立体異性体、反応不純物、出発物質、試薬、副生成物、及び/又は処理不純物)を構成する。化学的純度を、当分野で既知の方法(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、LC-MS(液体クロマトグラフィー-質量分析)、核磁気共鳴(NMR)分光法、又は赤外分光法)に従って決定し得る。当業者は、これらの方法、及び化学的純度を決定するためにこれらの追加の(又は代替の)方法を採用する方法を容易に理解するだろう。
【0020】
本明細書で使用される場合、「種(seed)」という用語は、式(I)の結晶性化合物の1種又は複数種の結晶を説明するための名詞として使用され得る。「播種する(seed)」という用語はまた、式(I)の結晶性化合物の前記1種又は複数種の結晶を環境(例えば、限定されないが、溶液、混合物、懸濁液、又は分散液)に導入する行為を説明するための動詞としても使用され得、この行為により、式(I)の結晶性化合物のより多くの結晶が形成される。
【0021】
本発明の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的反応若しくは医学的反応(例えば、酵素活性若しくはタンパク質活性の減少若しくは阻害)を引き出すか、又は症状を寛解させるか、病態を緩和するか、疾患の進行を遅くするか若しくは遅延させるか、又は疾患を予防する本発明の化合物の量を指す。非限定的な一実施形態では、「治療有効量」という用語は、対象に投与された場合に、(i)LTA4Hにより媒介されるか又は(ii)LTA4H活性と関連するか又は(iii)LTA4Hの活性(正常若しくは異常)を特徴とする病態、又は障害、又は疾患の少なくとも部分的な緩和、阻害、予防、及び/又は寛解に有効であるか、又は(2)LTA4Hの活性の減少若しくは阻害に有効であるか、又は(3)LTA4Hの発現の減少若しくは阻害に有効である本発明の化合物の量を指す。非限定的な別の実施形態では、「治療有効量」という用語は、細胞、又は組織、又は非細胞の生物学的物質、又は培地に投与された場合に、LTA4Hの活性の少なくとも部分的な減少若しくは阻害に有効であるか、又はLTA4Hの発現の部分的な若しくは完全な減少若しくは阻害に有効である本発明の化合物の量を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、動物を指す。好ましくは、この動物は、哺乳動物である。対象は、例えば、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥、及び同類のものを指す。好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、「the」という用語、及び本発明の文脈(特に、特許請求の範囲の文脈)で使用される類似の用語は、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるものとする。
【0024】
本明細書で説明されている全ての方法は、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書に記載されているありとあらゆる例又は例示的な言語(例えば「例えば(such as)」)の使用は、本発明の理解をより良くすることのみが意図されており、他の方法で特許請求されている本発明の範囲への制限を提起しない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「阻害する(inhibit)」、「阻害」、又は「阻害する(inhibiting)」という用語は、所与の病態、症状、若しくは障害、若しくは疾患の減少若しくは抑制を指すか、又は生物学的活性若しくはプロセスのベースライン活性の有意な減少を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害についての「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、又は「治療」という用語は、一実施形態では、この疾患又は障害を寛解させること(即ち、この疾患又はその臨床症状の内の少なくとも1種の発生を遅らせるか、又は停止させるか、又は減少させること)を指す。別の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、又は「治療」は、少なくとも1種の身体的パラメータ(例えば、患者により認識され得ないもの)を緩和するか又は寛解させることを指す。さらに別の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、又は「治療」は、身体的に(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)、又は両方のいずれかで疾患又は障害を調節することを指す。一実施形態では、「治療する(treat)」又は「治療する(treating)」は、疾患又は障害の進行を遅延させることを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害についての「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、又は「予防」という用語は、この疾患若しくは障害の予防的治療を指すか、又はこの疾患若しくは障害の発症を遅延させることを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、対象は、そのような対象が、治療から生物学的に、医学的に、又は生活の質で利益を得る場合には、そのような治療を「必要としている」か、又は「それを必要としている」。
【0029】
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」及び「からなる」を包含し、例えば、Xを含む組成物は、Xのみからなっていてもよいし、追加を含んでもよい(例えばX及びY)。
【0030】
本明細書で使用される場合、「組合せ」という用語は、1つの単位剤形での固定された組合せを指すか、又は式(I)の化合物の結晶形態と組合せパートナー(即ち、免疫療法剤)とを同時に独立して若しくは時間間隔内で別々に投与し得る(特に、この時間間隔は、この組合せパートナーが協同的な(例えば相乗的な)効果を示すことを可能にする)併用投与を指す。単一成分を、キットでパッケージしてもよいし、別々にパッケージしてもよい。成分(例えば、粉末又は液体)の内の一方又は両方を、投与前に所望の用量に再構成し得るか又は希釈し得る。
【0031】
「同時投与」若しくは「併用投与」の用語、又は同様のものは、本明細書で利用される場合、必要としている単一の対象(例えば患者)への選択された組合せパートナーの投与を包含することを意味しており、薬剤が必ずしも同一の投与経路により又は同時に投与されない治療レジメンを含むことが意図されている。
【0032】
「組合せ医薬」及び「組合せ製品」という用語は互換的に使用され、1つの単位剤形での固定された組合せを指すか、又は2種以上の治療薬を同時に独立して若しくは時間間隔内で別々に投与し得る(特に、この時間間隔は、この組合せパートナーが協同的な(例えば相乗的な)効果を示すことを可能にする)固定されていない組合せ若しくは併用投与のための要素のキットを指す。「固定された組合せ」という用語は、式(I)の化合物の結晶形態と組合せパートナー(即ち、免疫療法剤)との両方を、単一の実体又は投与量の形態で同時に患者に投与することを意味する。「固定されていない組合せ」という用語は、式(I)の化合物の結晶形態と組合せパートナー(即ち、免疫療法剤)との両方を、同時に、並行して、又は具体的な時間制限なしに順次に、別々の実体として患者に投与し、そのような投与により、この患者の身体内で2種の化合物の治療有効レベルがもたらされることを意味する。後者はまた、カクテル療法(例えば、3種以上の治療薬の投与)にも適用される。好ましい実施形態では、組合せ医薬は、固定されていない組合せである。
【0033】
「併用療法」という用語は、本開示で説明されているように、LTA4H関連疾患を治療するための2種以上の治療薬の投与を指す。そのような投与は、実質的な同時(例えば、有効成分の比率が固定されている単一のカプセル)でのこれらの治療薬の同時投与を包含する。或いは、そのような投与は、各有効成分のための複数での又は別々の容器(例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、及び液剤)での同時投与を包含する。散剤及び/又は液剤を、投与前に所望の用量へと再構成し得るか又は希釈し得る。加えて、そのような投与はまた、順次での(ほぼ同時での又は異なる時点での)各種の治療薬の使用も包含する。いずれの場合でも、治療レジメンは、本明細書で説明されている病態又は障害の治療での薬物の組合せの有益な効果をもたらすだろう。
【0034】
結晶形態及び使用
本開示は、本明細書で説明されており且つ特性化されている(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の(式(I)の化合物)の遊離形態の結晶形態に関する。
【0035】
本開示はまた、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の水和物の結晶形態にも関する。より具体的には、本発明は、本明細書で説明されており且つ特性化されている(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の一水和物の結晶形態に関する。
【0036】
一実施形態では、本開示は、約25℃の温度で測定された、°2θを単位とする24.1±0.2°2θでの代表的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の遊離形態の結晶形態(形態B)を提供する。別の実施形態では、このXRPDパターンは、22.6±0.2°2θ及び26.3±0.2°2θから選択される1つ又は複数の追加の代表的なピークをさらに含む。先の実施形態の一態様では、このXRPDパターンは、約25℃の温度で測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、及び28.5±0.2°2θから選択される1つ又は複数の追加の代表的なピークをさらに含む。従って、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態のXRPDパターンは、約25℃の温度で測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、及び28.5±0.2°2θから選択される1つ、2つ、3つ、又は4つの代表的なピークを含み得る。別の実施形態では、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態は、約25℃の温度で測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θから選択される1つ又は複数の追加の代表的なピークをさらに含み得るXRPDパターンを有する。そのため、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態のXRPDパターンは、約25℃の温度で測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θから選択される1つ又は複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ)の代表的なピークを含み得る。式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態のXRPDパターンは、表1で開示されており且つ約25℃の温度で測定されたピークから選択される1つ又は複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ)の代表的なピークを含み得る。
【0037】
上記実施形態の別の態様では、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態は、約25℃の温度で測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θからなる群から選択される4つ以上の2θ値(CuKαλ=1.54184Å)を含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0038】
上記実施形態の別の態様では、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態は、約25℃の温度で測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θからなる群から選択される5つ以上の2θ値(CuKαλ=1.54184Å)を含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0039】
上記実施形態のさらに別な態様において、遊離形態の式(I)の化合物の結晶形態は、実質的に
図1に示されるXRPDパターンを有する。形態Bの含水量が約0%~約1%の範囲であり得るが、それでも上述又は表1中の1、2、3、4、5、又は6つの代表的なピークを含むXRPDパターンを有する結晶形態であると考えられ得ることが理解されるべきである。カールフィッシャー滴定法により決定される形態Bの含水量は0.1%である。
【0040】
(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の遊離形態の結晶形態を、熱的に特性化し得る。一実施形態では、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態は、約197.4℃で始まる単一の吸熱ピーク(分解下での融解に相当する)を含む10℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)により測定された熱プロファイルを有する。
【0041】
別の実施形態において、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形は、実質的に
図2に示される通りであるDSCサーモグラムを有する。水和された形態が、装置パラメータによって異なるサーモグラム(ピーク形状及びプロファイルの点で)をもたらすことがあり、そのため、2つの異なる装置でデータが生成される場合、同じ物質が互いに大幅に異なるように見えるサーモグラムを有し得ることが理解されるべきである。
【0042】
別の実施形態において、式(I)の化合物の遊離形態の結晶形は、
図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する。TGAによる重量減少は、150℃で約0.32%である。
【0043】
更に別の実施形態において、結晶形態Bは実質的に相純粋(phase pure)である。
【0044】
さらに別の実施形態では、本発明は、化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態Bを製造する方法であって、
a)(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の形態HBをアルコール又は水/アルコールの混合物に懸濁させて、懸濁混合物を形成する工程;
b)この懸濁混合物を、50℃を超える温度まで加熱し且つ撹拌する工程;
c)この溶液を室温まで冷却して、懸濁混合物を形成する工程;
d)この懸濁混合物から結晶形態Bを回収する工程
を含む方法に関する。
【0045】
さらに別の実施形態では、この方法は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の形態HBを、メタノール、又は水/メタノールの混合物、又は水/1-プロパノールの混合物に懸濁させることを含む。
【0046】
さらに別の実施形態では、この方法は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の形態HBをメタノールに懸濁させることを含む。
【0047】
さらに別の実施形態では、この方法は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の形態HBを、水/1-プロパノールの混合物であって、水/1-プロパノールの比率は30/70重量%である、混合物に懸濁させることを含む。
【0048】
さらに別の実施形態では、この方法は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の形態HBを、水/メタノールの混合物であって、水/メタノールの比率は1:2~1:9体積/体積(v/v)である、混合物に懸濁させることを含む。好ましくは、水/メタノールの比率は、1:2、1:4、及び1:9(v/v)から選択される。より好ましくは、水/メタノールの比率は、1:2v/vである。
【0049】
さらに別の実施形態では、この方法の工程b)で使用される温度は、好ましくは60℃を超えており、最も好ましくは70℃を超えている。この実施形態のさらなる態様では、工程b)での撹拌は24時間を超えており、好ましくは30時間を超えている。
【0050】
さらに別の実施形態では、本発明は、化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態Bを製造する方法であって、工程d)では、懸濁液からの結晶形態Bの回収をろ過により行なう、方法に関する。
【0051】
さらに別の実施形態では、本発明は、化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態Bを製造する方法であって、工程d)では、懸濁液からの結晶形態Bの回収を蒸留により行なう、方法に関する。
【0052】
本発明は、約25℃の温度で測定された、°2θを単位とする24.7±0.2°2θでの代表的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の水和物の結晶形態(形態HB)をさらに提供する。別の実施形態では、このXRPDパターンは、約25℃の温度で測定された22.1±0.2°2θ、23.8±0.2°2θ、及び28.7±0.2°2θから選択される1つ又は複数の追加の代表的なピークをさらに含む。
【0053】
或いは、式(I)の化合物の前記水和物の結晶形態のXRPDパターンは、約25℃の温度で測定された22.1±0.2°2θ、23.8±0.2°2θ、24.7±0.2°2θ、及び28.7±0.2°2θから選択される1つ、2つ、3つ、又は4つの代表的なピークを含み得る。
【0054】
別の実施形態では、式(I)の化合物の前記水和物の結晶形態は、13.4±0.2°2θ、20.8±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、及び33.8±0.2°2θから選択される1つ又は複数の追加の代表的なピークをさらに含み得るXRPDパターンを有する。そのため、式(I)の化合物の前記水和物の結晶形態のXRPDパターンは、13.4±0.2°2θ、20.8±0.2°2θ、22.1±0.2°2θ、23.8±0.2°2θ、24.7±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、28.7±0.2°2θ、及び33.8±0.2°2θから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの代表的なピークを含み得る。式(I)の化合物の遊離形態の結晶形態のXRPDパターンは、表2で開示されており且つ約25℃の温度で測定されたピークから選択される1つ又は複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ)の代表的なピークを含み得る。
【0055】
別の実施形態では、前記水和物形態は、約25℃の温度で測定された13.4±0.2°、20.8±0.2°、22.1±0.2°、23.5±0.2°、23.5±0.2°、23.8±0.2、24.7±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、26.9±0.2°2θ、28.7±0.2°2θ、30.4±0.2°2θ、31.2±0.2°2θ、33.8±0.2°2θ、及び38.7±0.2°2θからなる群から選択される4つ以上の2θ値(CuKαλ=1.54184Å)を含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0056】
別の実施形態では、前記水和物形態は、約25℃の温度で測定された13.4±0.2°、20.8±0.2°、22.1±0.2°、23.5±0.2°、23.5±0.2°、23.8±0.2、24.7±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、26.9±0.2°2θ、28.7±0.2°2θ、30.4±0.2°2θ、31.2±0.2°2θ、33.8±0.2°2θ、及び38.7±0.2°2θからなる群から選択される5つ以上の2θ値(CuKαλ=1.54184Å)を含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0057】
さらに別の実施形態において、式(I)の化合物の水和物の結晶形態は、実質的に
図4に示されるXRPDパターンを有する。形態H
Bの含水量が約2%~約6%の範囲であり得て、それでも上述の1、2、3、4、5、又は6つの代表的なピークを含むXRPDパターンを有する水和物であると考えられ得ることが理解されるべきである。カールフィッシャー滴定法により決定される形態H
Bの含水量は5.1%である。
【0058】
(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の水和物の結晶形態を、熱的に特性化し得る。一実施形態では、式(I)の化合物の水和物の結晶形態は、約95℃で始まる吸熱ピーク(脱水に相当する)と、約198.5℃で始まる吸熱ピーク(分解下での融解に相当する)とを含む示差熱量分析プロファイルを有する。
【0059】
別の実施形態において、式(I)の化合物の水和物の結晶形態は、実質的に
図5に示される通りであるDSCサーモグラムを有する。水和された形態が、装置パラメータによって異なるサーモグラム(ピーク形状及びプロファイルの点で)をもたらすことがあり、そのため、2つの異なる装置でデータが生成される場合、同じ物質が互いに大幅に異なるように見えるサーモグラムを有し得ることが理解されるべきである。
【0060】
別の実施形態において、式(I)の化合物の水和物の結晶形態は、
図6に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する。TGAによる重量減少は150℃で約4.46%である。
【0061】
さらに別の実施形態において、上述の結晶形態HBは一水和物形態である。
【0062】
さらに別の実施形態において、結晶形態HBは実質的に相純粋である。
【0063】
さらに別の実施形態では、本発明は、化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態HBを製造する方法であって、
a)(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を水又はTHF/水の溶媒混合物に溶解させて、溶液を形成する工程;
b)この溶液のpHを、NaHCO3の水溶液又はNaOHの水溶液により3.3~7.5のpH数値に調整し、同時に撹拌して、懸濁液を得る工程;
c)この懸濁液から結晶形態HBを回収する工程
を含む方法に関する。
【0064】
上記実施形態の特定の態様では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程a)では、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を水に溶解させ、希釈係数は、1重量当たり少なくとも30体積(即ち、1重量の化合物当たり30体積の水、例えば、1kgの化合物の場合に30Lの水)であるかどうか、方法に関する。
【0065】
上記実施形態の別の態様では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程a)での溶媒混合物は、THF/水であり、希釈係数は、1重量当たり少なくとも15体積(即ち、1重量の化合物当たり少なくとも15体積のTHF/水の混合物;例えば、1kgの化合物当たり15LのTHF/水の混合物)であるかどうか、方法に関する。この実施形態の特定の態様では、THF/水の比率は、約10:90(w/w:重量比)である。
【0066】
上記実施形態の別の態様では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程a)を、透明な溶液が得られるまで、室温で実施するか、又は必要な場合には最大35℃の温度で実施する、方法に関する。
【0067】
さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程b)では、pHを、NaHCO3の水溶液を使用して、好ましくはNaHCO3の5~10w/w%水溶液を使用して、3.3~7.5のpH数値に調整する、方法に関する。好ましくは、pHを、約4又は約5にする。
【0068】
さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程b)では、pHを、NaOHの水溶液を使用して、好ましくはNaOHの32w/w%水溶液を使用して、3.3~7.5のpH数値に調整する、方法に関する。好ましくは、pHを、約4又は約5にする。
【0069】
さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程b)では、pHを3.3~7.5のpH数値に調整し、同時に撹拌し、この撹拌を最大20時間にわたり継続する、方法に関する。
【0070】
さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程c)では、懸濁液からの形態HBの回収をろ過により実施する、方法に関する。
【0071】
さらに別の実施形態では、本発明は、化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態HBを製造する方法であって、
a)(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を水又はTHF/水の溶媒混合物に溶解させて、溶液を形成する工程;
b)この溶液のpHを、NaHCO3の水溶液又はNaOHの水溶液により3.3~7.5のpH数値に調整し、同時に撹拌して、懸濁液を得る工程;
c)この懸濁液から結晶形態HBを回収する工程
を含み、
(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を製造するために、下記工程d)~i):
d)(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸にトルエンを添加する工程;
e)HClの水溶液を添加して反応混合物を形成する工程;
f)任意選択により加圧下で、この反応混合物を約50℃~約65℃の温度まで加熱し且つ撹拌する工程;
g)この反応混合物を約35℃まで冷却する工程;
h)水層を分離し、得られた有機層を18℃~25℃の温度まで冷却して、懸濁液を得る工程;
i)この懸濁液から(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を回収する工程
をさらに含む方法に関する。
【0072】
一実施形態では、本発明は、上記で説明されている形態HBを製造する方法であって、工程d)では、(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸/トルエンの比率が1:5~1:10(重量/重量)であるような量でトルエンを添加する、方法に関する。
【0073】
別の実施形態では、本発明は、上記で説明されている形態HBを製造する方法であって、工程e)では、HClの水溶液は、30~40%水性HClであり、好ましくは約30%であり、HClの量は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩の約15当量である、方法に関する。
【0074】
別の実施形態では、本発明は、上記で説明されている形態HBを製造する方法であって、工程f)では、約60℃~約65℃の温度で反応混合物を加熱し、且つ10~15時間にわたり撹拌する、方法に関する。
【0075】
さらに別の実施形態では、本発明は、上記で説明されている形態HBを製造する方法であって、工程f)を加圧下で実施し、即ち、反応器の開放圧を、反応混合物から流出するHClの量を最小限に抑えるように設定した、方法に関する。好ましくは、この開放圧は、約2000mbarに設定されている
【0076】
さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態HBを製造する方法であって、工程i)では、懸濁液からの(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩の回収を、ろ過又は遠心分離により実施する、方法に関する。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B、又は形態HB、又はこれらの組合せ)の治療有効量と、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物に関する。特定の実施形態では、本発明は、結晶形態Bと、1種又は複数種の薬学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物に関する。さらに別の態様では、本発明は、実質的に相純粋で結晶形態Bを含む医薬組成物に関する。さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態Bを含み、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の少なくとも1種の他の固体形態をさらに含む医薬製剤に関する。この実施形態の一態様では、この他の固体形態は、結晶形態HBである。さらに別の実施形態では、この他の固体形態は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の非晶質形態である。
【0078】
特定の実施形態では、本発明は、結晶形態HBと、1種又は複数種の薬学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物に関する。さらに別の態様では、本発明は、実質的に相純粋形態で結晶形態HBを含む医薬組成物に関する。さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態HBを含み、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の少なくとも1種の他の固体形態をさらに含む医薬製剤に関する。この実施形態の一態様では、この他の固体形態は、結晶形態Bである。さらに別の実施形態では、この他の固体形態は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の非晶質形態である。
【0079】
他の実施形態では、本発明は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B、形態HB、又はこれらの組合せ)の治療有効量と、1種又は複数種の治療薬とを含む組合せ(特に医薬組合せ)に関する。
【0080】
特定の実施形態では、本発明は、結晶形態Bと、1種又は複数種の治療薬とを含む医薬組合せに関する。さらに別の態様では、本発明は、実質的に相純粋形態の結晶形態Bと、1種又は複数種の治療薬とを含む医薬組合せに関する。さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態Bを含み、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の少なくとも1種の他の固体形態をさらに含む医薬組合せに関する。この実施形態の一態様では、この他の固体形態は、結晶形態HBである。さらに別の実施形態では、この他の固体形態は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の非晶質形態である。
【0081】
特定の実施形態では、本発明は、結晶形態HBと、1種又は複数種の治療薬とを含む医薬組合せに関する。さらに別の態様では、本発明は、実質的に相純粋形態の結晶形態HBと、1種又は複数種の治療薬とを含む医薬組合せに関する。さらに別の実施形態では、本発明は、結晶形態HBを含み、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の少なくとも1種の他の固体形態をさらに含む医薬組合せに関する。この実施形態の一態様では、この他の固体形態は、結晶形態Bである。さらに別の実施形態では、この他の固体形態は、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の非晶質形態である。
【0082】
別の実施形態では、本発明は、上記で説明されている医薬組合せであって、治療薬は、免疫抑制剤、又は免疫調節剤、又は他の抗炎症剤からなる群から独立して選択される、医薬組合せを提供する。より具体的には、この治療薬は、下記からなる群から選択される:COX阻害剤、システイニル-ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト)、ロイコトリエンC4シンターゼ(LTC4S)阻害剤、スタチン、スルファサラジン、メサラミン、カルシニュリン阻害剤、例えば、シクロスポリンA又はFK 506;mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、バイオリムス-7、又はバイオリムス-9;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えば、ABT-281、ASM981;副腎皮質ステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸又はミコフェノール酸塩;ミコフェノール酸モフェチル;IL-1ベータ阻害剤。
【0083】
一実施形態では、本発明は、必要としている対象の、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害を治療する方法であって、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B、形態HB、又はこれらの組合せ)の治療有効量を、単独で又は1種若しくは複数種の治療薬と組み合わせて、必要としている対象に投与することを含む方法に関する。
【0084】
別の実施形態では、本発明は、必要としている対象の、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害を治療する方法であって、上記で説明されている医薬組成物を、単独で又は1種若しくは複数種の治療薬と組み合わせて、前記対象に投与することを含む方法に関する。
【0085】
別の実施形態では、本発明は、必要としている対象の、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害を治療する方法であって、上記で説明されている医薬組合せを前記対象に投与することを含む方法に関する。
【0086】
一実施形態では、本発明は、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害の治療のための、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B、形態HB、又はこれらの組合せ)の単独での又は1種若しくは複数種の治療薬との組合せでの使用に関する。
【0087】
さらに別の実施形態では、本発明は、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害の治療での使用のための(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B、形態HB、又はこれらの組合せ)に関する。
【0088】
さらなる実施形態では、本発明は、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害の治療での使用のための、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B、形態HB、又はこれらの組合せ)と1種又は複数種の治療薬との組合せに関する。
【0089】
一実施形態では、本発明は、上記で説明されている治療方法、使用、使用のための化合物、又は使用のための組合せであって、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害は、炎症性障害及び自己免疫障害、並びに肺及び気道の炎症から選択される、治療方法、使用、使用のための化合物、又は使用のための組合せに関する。より具体的には、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害は、下記から選択される:急性又は慢性の炎症、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、アトピー性皮膚炎、乾癬、急性呼吸促迫症候群、免疫複合体媒介性肺損傷及び慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、及び術後外傷)、消化性潰瘍、好中球性皮膚症(例えば、限定されないが、壊疽性膿皮症、スイート症候群、挫瘡、及び好中球性蕁麻疹)、免疫複合体媒介性糸球体腎炎、自己免疫疾患(例えば、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、変形性関節症、及び全身性エリテマトーデス)、脈管炎(例えば、限定されないが、皮膚血管炎、ベーチェット病、及びヘノッホ・シェーンライン紫斑病)、心血管障害(例えば、限定されないが、高血圧、アテローム性動脈硬化、動脈瘤、重篤な脚の虚血、末梢動脈閉塞性疾患、肺動脈高血圧、及びレイノー症候群)、敗血症、炎症性及び神経障害性の疼痛、例えば関節痛、歯周病、例えば歯肉炎、耳感染、片頭痛、良性前立腺過形成、シェーグレン・ラルソン症候群、並びに癌(例えば、限定されないが、白血病及びリンパ腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、悪性黒色腫、腎癌、頭頚部腫瘍、並びに結腸直腸癌)。好ましい実施形態では、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害は、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、及び術後外傷)、並びに好中球性皮膚症(例えば、限定されないが、壊疽性膿皮症、スイート症候群、挫瘡、及び好中球性蕁麻疹)から選択される。
【0090】
一実施形態では、本発明は、上記実施形態に係る方法、使用、又は使用のための組合せであって、治療薬を、単一の組成物で一緒に投与するか、又は2種以上の異なる組成物形態で別々に投与する、方法、使用、又は使用のための組合せに関する。
【0091】
一実施形態では、本発明は、上記で説明されている方法、使用、又は使用のための組合せであって、治療薬を、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態と同時に、その前に、又はその後に投与する、方法、使用、又は使用のための組合せに関する。
【0092】
本発明の結晶形態の性質
本明細書に記載の結晶形態は、好都合な性質を有することが見出された。選択の基準は、毒物学的考察、結晶性、融点、吸湿性、バルクでの安定性、賦形剤との適合性、水溶液のpH、水及び水性媒体への溶解度、モルホロジー、取扱い及び多形体挙動である。遊離形態B及び水和物形態HBは、特に、既に公知であり国際公開第2015/092740号パンフレットに記載されているHCl塩よりも優れた挙動を示した。HCl塩は腐食性であることが分かっており、鋼クーポン#1.2767の場合には強い腐食であり、及び鋼クーポン#1.2803の場合には中程度の腐食であり、従って、さらなる開発には不適切であることが分かった。
【0093】
結晶形態Bは、柱状傾向を示す高結晶質である(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の無水形態である。結晶形態Bはわずかに吸湿性であり、DVSによる25℃及び90%RHでの最大水取り込みは0.7%未満である。
【0094】
結晶形態HBは、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の水和形態である。TGAデータ及びDVSデータは、結晶形態HBが一水和物であることを示す。結晶形態HBは、10~90%RHでは吸湿性ではないが、10%RH未満では水を失う。HBへの段階的再水和は、10%RHで及び60%RH超で生じる。
【0095】
溶液中での安定性:
溶媒による平衡化を実行して、溶媒中での形態HBの相対的な安定性を調べた。形態HB 50mgを、25℃で水浴中において24時間(若しくは7日、若しくは28日)にわたり又は50℃で7日にわたり、溶媒1mLで平衡化させる。この溶液をろ過し、空気中で10分にわたり乾燥させる。生じた固体を、XRPDで分析する。
【0096】
下記の様々な溶媒を調べた:アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジオキサン、エタノール、ヘプタン、メタノール、THF、10/90~90/10のアセトン/水混合物、10/90~90/10のアセトニトリル/水混合物、10/90~90/10のジオキサン/水混合物、及び10/90~90/10のエタノール/水混合物、テトラヒドロフラン/水(50/50)、及び1-プロパノール/水(70/30)。
【0097】
7日又は28日にわたり25℃で、多形HBは、様々な溶媒中で変化を示さなかったが、アセトン、ジオキサン、エタノール、メタノール、及びTHF中では、非晶質物質又はゲル様物質に変わった。しかしながら、7日にわたり50℃で、形態HBは、多くの溶媒中で非晶質になった。メタノール中では、形態HBは形態Bへと変わった。形態HBから形態Bへの変換は、低水含有量で概して生じる(表3)。
【0098】
【0099】
25℃及び50℃における様々な水分活性での競合スラリー実験を実施した。様々な水分活性での変態HB及びBの(1:1)物理的混合物の競合スラリーも実施した。
【0100】
【0101】
25℃において、混合物は、aw≦0.5の水分活性で純粋な形態Bに変わった。上記の水分活性では、混合物は変化しないままであった。50℃でも同様の傾向を見ることができたが、形態Bへの変換のための最大水分活性は、aw≦0.7に上昇した。
【0102】
【0103】
変態HBは、は、熱い又は沸騰しているメタノール(即ち、約50℃~約65℃の温度)でのスラリーを介して無水変態Bに変わることを発見した。同様に、変態Bを、変態HBから、水性溶媒混合物中における80℃での高温スラリーを介してさらに得ることができる。変態Bは他の形態に変わらず、従ってより良好な安定性を示す。
【0104】
バルクでの及び賦形剤混合物との固体安定性
形態B及び形態HBの化学的安定性及び物理的安定性を調べ、個々の形態を、25~80℃の範囲の温度にて高湿度に曝露した。両方の形態を、下記で説明する様々な試験条件に供した:
試験条件1:80℃、50℃、80℃/75%相対湿度(RH)又は50℃/75%RHにて密封容器中で1週間。
試験条件2:80℃にて開放容器中で1週間。
試験条件3:50℃にて密封容器中で1週間。
試験条件4:50℃/75%RHにて開放容器中で1週間。
試験条件5:室温/92%RHにて開放容器中で1週間。
【0105】
分解生成物をHPLCで分析し、試料をXRPDで分析して、固体へのあらゆる変化を検出した。
【0106】
【0107】
上記で説明した試験条件下では、形態Bは良好な安定性を示し、全く変わらなかった。変態HBは、湿度がない80℃を除いて、全ての条件で安定であった。
【0108】
加えて、形態Bは40℃/90%RHで1週間安定であることを発見しており、水和物の形成を検出しなかった。従って、形態Bを好ましい形態と確認しており、なぜならば、形態Bは高い相対湿度(RH)への曝露時に水和しないからである。
【0109】
物理的安定性
圧縮下での挙動:結晶形態HBの物理的安定性も評価した。結晶形態HB 300mfを、液圧プレス(錠剤の直径13mm)により10トンで5分にわたり圧縮した。次いで、試料をXRPDで特徴付けて、固体でのあらゆる変化を検出した。
【0110】
結晶形態HBに関するXRPDにより、結晶形態の変化を観察しなかった。従って、結晶形態HBは良好な物理的安定性特性を有することが分かった。
【0111】
粉砕下での挙動:結晶形態HBの物理的安定性も評価した。結晶形態B又はHB 50mgを、3分にわたり乳鉢中において手動で粉砕した。結晶形態HBの粉砕は、XRPDによるいかなる変化ももたらさなかった。
【0112】
造粒シミュレーション実験下での挙動:結晶形態HBの物理的安定性を、造粒シミュレーション実験でも評価した。この実験では、造粒溶媒を、固体が十分に濡れるまで結晶形態HBに滴下した。次いで、この混合物を、25℃で、各添加の間にボルテックスした。次いで、この混合物を真空下で乾燥させた。物質(粉砕後)の結晶性を、XRPD及び/又はDSCで再評価した。造粒溶媒は、水又はエタノールであった。造粒溶媒としてエタノール又は水を使用した造粒時に、多形HBのXRPDは、形態変化を示さなかった。
【0113】
溶解度
形態Bは、4~7のpH値で0.05mg/mLの溶解度を有する。
【0114】
形態Bは、FaSSIF-V2(pH=6.6)では0.07mg/mLという生体関連媒体の水性緩衝液での溶解度を示し、FeSSIF-V2(pH=5.9)では0.18mg/mLという生体関連媒体の水性緩衝液での溶解度を示す。
【0115】
形態HBは、模擬胃液(pH=2のSGF)では0.75mg/mLという生体関連媒体の水性緩衝液での溶解度を有し、FaSSIF(pH=6.5)では0.09mg/mLという生体関連媒体の水性緩衝液での溶解度を有し、FeSSIF(pH=5.8)では0.009mg/mLという生体関連媒体の水性緩衝液での溶解度を有する。
【0116】
まとめると、結晶形態Bは、溶液状態及び固体状態の両方において化学的安定性及び物理的安定性を示している。結晶形態HBは、広い湿度範囲にわたり安定しており、且つ結晶性が高いが、高温ではメタノール又は水性溶媒中で形態Bへと変わる。
【0117】
医薬組成物、組合せ、投与量、及び投与
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されている(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態を単独で使用し得るか、又はこの結晶形態を、医薬組成物であって、少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤も含み、少なくも2種以上の薬学的に許容できる賦形剤を含むことが多い医薬組成物に製剤化し得る。いくつかの適切な賦形剤が、本明細書で開示されている。本出願の意図及び範囲から逸脱することなく、当該技術分野で既知の他の賦形剤を使用してもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の化合物と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物を利用する。
【0119】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容できる賦形剤」として、当業者に既知であるように(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)、ありとあらゆる溶媒、担体、希釈剤、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤、酸化防止剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物安定剤、結合剤、添加剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、染料、及び同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられる。従来の賦形剤が有効成分に非適合性でない限り、あらゆる治療剤又は医薬組成物でのあらゆる従来の賦形剤の使用が本願により企図されていることを理解すべきである。
【0120】
医薬組成物は、経口投与、非経口投与、及び直腸投与など、特定の投与経路用に製剤できる。更に、本発明の医薬組成物は、固体形態(非限定的に、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、又は坐剤を含む)にも、液体形態(非限定的に、液剤、懸濁剤、又は乳剤を含む)にも作り上げることができる。医薬組成物は、滅菌などの従来の製薬操作に付すことができ、且つ/又は従来の不活性な希釈剤、滑沢剤、担体又は緩衝剤、並びに溶媒、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、及び増量剤などの補助剤を含んでよい。
【0121】
典型的には、医薬組成物は、有効成分を、下記などの少なくとも1種の賦形剤と共に含む錠剤又はカプセル剤である:
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、及び/若しくはグリシン;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウム若しくはカルシウム塩、及び/若しくはポリエチレングリコール;錠剤では、更に
c)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/若しくはポリビニルピロリドン;所望の場合;
d)カプチゾール、PEG、グリセリン、シクロデキストリンなどの共溶媒和物質(co-solvating material)を含む水性ビヒクルなどの担体;
e)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩、若しくは発泡性混合物;並びに/又は
f)吸収剤、着色剤、風味剤、及び甘味剤。
【0122】
錠剤は、当技術分野に公知である方法により、フィルムコート又は腸溶コートのいずれかを施されていてよい。
【0123】
好ましくは、化合物又は組成物は、例えば錠剤又はカプセル剤など、経口投与用に調製され、任意選択で医薬製品の投薬単位を保存及び/又は分注するのに好適な多用量フォーマットに包装される。好適な包装の例には、密封されたフォイル、投薬単位容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックがあるが、これらに限定されない。
【0124】
錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に適した無毒の医薬的に許容される賦形剤との混合物して含有し得る。
【0125】
これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒/崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、又はアカシアガム;並びに滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクである。錠剤は、コーティングされていないか、又は胃腸管系での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって長期間に亘る持続作用を提供するために、公知の技法によりコーティングされている。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の遅延剤(time delay material)を使用することができる。経口用製剤は、有効成分と不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、若しくはカオリンとが混合された硬ゼラチンカプセル剤として、又は有効成分と水若しくは油性媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油とが混合された軟ゼラチンカプセル剤として提供することができる。
【0126】
更に本発明は、水が特定の化合物の分解を促進し得ることに基づき、本発明の化合物を有効成分として含む無水医薬組成物及び剤形を提供する。
【0127】
本発明の無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低含水量成分を使用し、低水分量又は低湿度条件下に調製することができる。無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製及び保管することができる。したがって無水組成物は、適切な処方キットに収容できるように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を使用して包装するのが好ましい。好適な包装の例としては、これらに限定されるものではないが、気密封止された金属箔、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられる。
【0128】
更に本発明は、有効成分である本発明の化合物が分解する速度を低下させる1種又は複数種の薬剤を含む医薬組成物及び剤形を提供する。本明細書において「安定剤」と称される。この種の薬剤としては、これらに限定されるものではないが、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤等が挙げられる。
【0129】
本発明の医薬組成物又は組合せは、約50~70kgの対象に対し、有効成分が約1~1000mg、又は有効成分が約1~500mg、約1~250mg、約1~150mg、又は約0.5~100mg、又は約10~50mgの単位用量とすることができる。化合物、医薬組成物、又はこれらの組合せの治療上有効な投与量は、対象の種、体重、年齢、及び個体の状態、治療される障害若しくは疾患又はそれらの重症度に依存する。通常の技術を有する医師、臨床家、又は獣医師は、障害又は疾患の進行を予防、治療、又は阻害するのに必要な各有効成分の有効量を容易に決定することができる。
【0130】
上述の投与量の特徴は、有利には、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、又は単離された臓器、組織、及びそれらの調製物を使用する生体外及び生体内試験で実証可能である。本発明の化合物は、生体外に溶液形態で、例えば、好ましくは水溶液で、及び生体内に経腸的、非経口的のいずれかで、有利には静脈内に、例えば懸濁液として又は水溶液中で適用することができる。生体内への投与量は、約10-3モル濃度から10-9モル濃度の間の範囲とすることができる。生体内での治療有効量は、投与経路に応じて、約0.1~500mg/kgの間、又は約1~100mg/kgの間の範囲とすることができる。
【0131】
他の実施形態において、上記実施形態による少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の担体を含む医薬組成物が提供される。
【0132】
本明細書で説明されている(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態は、医薬有効成分(API)としても有用であり、1種又は複数種の薬学的に許容できる賦形剤を組み込み且つヒト対象への投与に適している製剤を調製するための材料としても有用である。
【0133】
従って、本開示の一実施形態では、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B又は形態HB)は、実質的に相純粋形態で提供される。実質的に相純粋形態の(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態(形態B又は形態HB)を使用して、1種又は複数種の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含み得る医薬組成物を調製し得る。いくつかの実施形態では、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態は、医薬組成物中でこの結晶形態の結晶性を保持しない場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、結晶形態B又はHBは、例えば噴霧乾燥又は湿式造粒を含む、医薬組成物を調製する方法で使用され得、そのため、結晶形態B又はHBは、得られた医薬組成物中でほとんど又は全く検出されない可能性がある。
【0134】
治療キット
一実施形態において、本発明は、2種以上の別々の医薬組成物を含み、そのうちの少なくとも1種が式(I)の化合物の結晶形(形態B又は形態HB)を含む、キットを提供する。一実施形態において、キットは、容器、分割されたボトル、又は分割された金属箔の小包等、前記組成物を別々に保持するための手段を含む。この種のキットの例は、錠剤やカプセル剤等の包装に通常使用されるブリスターパックである。
【0135】
本発明のキットは、異なる剤形、例えば、経口及び非経口で投与するため、別々の組成物を異なる投与間隔で投与するため、又は別々の組成物を互いに滴定するために使用することができる。本発明のキットは、通常、服薬遵守を支援するために、投与指示書を含む。
【0136】
本発明の併用療法において、式(I)の化合物の結晶形(すなわち、形態B又は形態HB)及び他の療法剤は、同じ製造業者によっても、異なる製造業者によっても、製造及び/又は製剤されてよい。更に、式(I)の化合物の結晶形及び他の治療剤は、(i)医師への組合せ製品の発売前に(例えば、式(I)の化合物の結晶形及び他の治療剤を含むキットの場合);(ii)医師自身により(又は医師の指導の下で)投与の直前に;(iii)患者自身の中で、例えば、式(I)の化合物の結晶形と他の治療剤との連続的な投与の間に、合わせて併用療法にすることができる。
【0137】
従って、本発明は、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療するための、本明細書で説明されている結晶形態(即ち、形態B又は形態HB)の使用であって、医薬品は、別の治療薬と一緒の投与用に調製されている、使用を提供する。本発明はまた、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療するための治療薬の使用であって、医薬品は、形態(I)の化合物の結晶形態と共に投与される、使用も提供する。
【0138】
本発明はまた、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療する方法での使用のための式(I)の化合物の結晶形態(即ち、形態B又は形態HB)であって、式(I)の化合物の結晶形態は、別の治療薬と一緒の投与用に調製されている、結晶形態も提供する。本発明はまた、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療する方法での使用のための別の免疫療法剤であって、この他の治療薬は、式(I)の化合物の結晶形態と一緒の投与用に調製されている、別の免疫療法剤も提供する。本発明はまた、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療する方法での使用のための式(I)の化合物の結晶形態であって、式(I)の化合物の結晶形態は、別の治療薬と共に投与される、結晶形態も提供する。本発明はまた、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療する方法での使用のための別の治療薬であって、この他の治療薬は、式(I)の化合物の結晶形態と共に投与される、別の治療薬も提供する。
【0139】
本発明はまた、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療するための式(I)の化合物の結晶形態の使用であって、患者は(例えば24時間以内に)別の治療薬により既に治療されている、使用も提供する。本発明はまた、LTA4Hの阻害により寛解される疾患(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患)を治療するための別の治療薬の使用であって、患者は(例えば24時間以内に)式(I)の化合物の結晶形態により既に治療されている、使用も提供する。
【0140】
組合せ:
本発明の結晶形態と組み合わせて使用される追加の治療薬として、抗炎症剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、又は化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
例えば、本発明の化合物を、下記と組み合わせて使用し得る:COX阻害剤、システイニル-ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト)、ロイコトリエンC4シンターゼ(LTC4S)阻害剤、スタチン、スルファサラジン、メサラミン、カルシニュリン阻害剤、例えば、シクロスポリンA又はFK 506;mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、バイオリムス-7、又はバイオリムス-9;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えば、ABT-281、ASM981;副腎皮質ステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸又はミコフェノール酸塩;ミコフェノール酸モフェチル;IL-1ベータ阻害剤。
【0142】
(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態の調製:
結晶形は、例えば、好適な溶媒からの結晶化又は再結晶化、昇華、融解物からの成長、別の相からの固体状態変換、超臨界流体からの結晶化、及びジェット噴霧を含む種々の方法により調製できる。溶媒混合物からの結晶形の結晶化又は再結晶化の技法には、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度を低下させること、分子及び/又は塩の過飽和溶媒混合物の結晶シーディング(crystal seeding)、溶媒混合物の凍結乾燥、並びに貧溶媒(antisolvent)(逆溶媒(countersolvent)の溶媒混合物への添加がある。本明細書に記載される結晶形を調製する例示的な方法は以下に詳細に述べられる。
【0143】
多形体を含む薬物の結晶、調製の方法、及び薬物結晶の特性化は、Solid-State Chemistry of Drugs,S.R.Byrn,R.R.Pfeiffer,and J.G.Stowell,2nd Edition,SSCI,West Lafayette,Indiana(1999)に議論されている。
【0144】
溶媒を利用する結晶化技法では、1種又は複数種の溶媒の選択は、典型的には、化合物の溶解度、結晶化技法、及び溶媒の蒸気圧などの1つ又は複数の因子に依存する。例えば、化合物が第1の溶媒に可溶化されて溶液を与え、それに続いて貧溶媒が加えられて溶液中の化合物の溶解度が減少して、結晶の形成をもたらすなど、溶媒の組合せが利用され得る。貧溶媒は、化合物が低い溶解度を有する溶媒である。
【0145】
結晶を調製する一方法において、化合物は好適な溶媒に懸濁及び/又は撹拌されてスラリーが与えられ、それは加熱されて溶解が促進され得る。本明細書での用語「スラリー」は、追加の量の化合物も含んで、所与の温度で化合物と溶媒の不均一な混合物を与え得る、化合物の飽和溶液を意味する。これは、懸濁液とも称されることがある。
【0146】
種結晶を結晶化混合物に加えて、結晶化を促進することができる。シーディングを利用して、特定の多形体の成長を制御することも、結晶性生成物の粒径分布を制御することもできる。したがって、必要とされる種晶の量の計算は、例えば、“Programmed Cooling of Batch Crystallizers,”J.W.Mullin and J.Nyvlt,Chemical Engineering Science,1971,26,369-377に記載の通り、利用可能な種晶の大きさ及び平均的な生成物粒子の所望の大きさによる。一般に、サイズが小さい種晶が、バッチ中の結晶の成長を効果的に制御するために必要とされる。サイズが小さい種晶は、大きい結晶のふるい分け、粉砕、若しくは微粉化により、又は溶液の微細結晶化(micro-crystallization)により生成させることができる。結晶の粉砕又は微粉化が所望の結晶形態(crystal form)からの結晶性形態(crystallinity form)の変化(すなわち非晶質への、又は別の多形体への変化)を全く起こさないことに注意を払うべきである。
【0147】
冷却された結晶化混合物は真空下でろ過することができ、単離された固体を、冷再結晶化溶媒などの好適な溶媒で洗浄して、窒素パージ下で乾燥させると、所望の結晶形を与えることができる。単離された固体を、固体状態核磁気共鳴、示差走査熱量測定、X線粉末回折などの好適な分光学的又は分析技法により分析して、好ましい結晶形の生成物の形成を確認することができる。生じた結晶形は、典型的には、結晶化手順に元々利用された化合物の重量に基づいて、約70重量%を超える単離収率、好ましくは90重量%を超える単離収率の量で製造される。生成物は、必要な場合、共粉砕(co-milled)されるか、又はメッシュスクリーンに通されて、生成物を砕塊(delump)できる。
【0148】
或いは、結晶形態を、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸を調製するための最終プロセスの反応媒体から直接調製し得る。このことを、例えば、最終プロセス工程において、(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸が結晶化され得る溶媒又は溶媒の混合物を利用することにより達成し得る。加えて、結晶形態を、蒸留又は溶媒添加技法により得ることができる。
【0149】
下記で簡単に論じる方法に加えて、様々な分析方法を、本明細書で説明されている物質の内のいずれかの特性化に使用し得ることを理解すべきである。
【0150】
下記の非限定的な実施例は、本開示を説明するものである。
【実施例】
【0151】
略語:
IT:内部温度
Tj:反応器ジャケット温度
Tr:反応温度
THF:テトラヒドロフラン
Rpm:毎分回転数
【0152】
実施例1:結晶形態H
Bの調製
【化2】
2500Lのガラス内張り反応器に、Int-1(55kg)及びトルエン(810kg)を入れ、この混合物を撹拌した(55rpm、固定)。31% HCl(232kg)を添加した。この反応器の開放圧を、2000mbarに設定した。内部温度を65℃に調整し、11時間29分にわたり65~66℃の内部温度(IT)で撹拌した(60rpm)。次いで、内部温度を35℃に調整した。次いで、水溶液82kgをDean-Stark-trap様装置により減圧下で分離し(IT
max=44℃)、内部温度を約20に調整した。この系を、80分にわたり19~24℃で撹拌した。遠心分離により固体を回収した。このウェットケーキを、トルエン(帯電防止剤20mLを添加した50kg)及びジクロロメタン(50kg)で洗浄した。この固体を、チタントレイ乾燥機中において8時間26分にわたり、60℃に設定したJT Baker亜硫酸水素ナトリウム溶液で、195mbar下にて乾燥させた。
【0153】
塩酸塩(Int-2)を得た。
【0154】
50Lのガラス内張り反応器に、Int-2 5kgを入れ、この反応器に、THF/水(w/w=7.2/64)の59kg溶媒混合物も入れた。この混合物を、2時間にわたり32~34℃で撹拌した(いくつかの不溶性粒子を観察した)。この溶液を、バッグフィルタ及び0.2μm粒子フィルタにより、連続的にろ過した。
【0155】
ろ液を、別の0.2μm粒子フィルタを介して別の容器に移した。この別の容器に、NaHCO3(0.989kg)の水(15kg)溶液を入れた。入れている間に、白色の固体が沈殿した。全てを入れた後、この固体は安定して液体中に浮遊しており、撹拌を停止した場合には目に見えて沈下しなかった。67分にわたり300rpmで撹拌した後、この系をサンプリングしてpH紙で試験し、結果は4であった。20時間にわたり300rpmで撹拌した後、この系をろ別した。フィルタ中の固体を精製水50kgで洗浄し、形態HBを得た。
【0156】
或いは、国際公開第2015/092740号パンフレットで説明されている実施例29(28g、35mmol)と、水360g及びTHF 40gを含む溶媒混合物とを一緒に混合し、20分にわたり撹拌した。この混合物をろ過し、ろ液を水性NaHCO3でpH=5に調整した。18時間にわたり撹拌し続けた後、この混合物をろ別して多形HBをウェットケーキ25.6gで得、このウェットケーキを、さらに精製することなく多形形態B(実施例2を参照されたい)の調製に使用した。
【0157】
或いは、国際公開第2015/092740号パンフレットで説明されている実施例29(15.0g、65mmol、HCl塩)を水450mLに添加し、1時間にわたり撹拌した。この溶液を、水性NaHCO
3でpH約4に調整した。この混合物を17時間にわたり室温で撹拌した後、ろ別した。フィルタケーキを水で洗浄し、真空下で乾燥させて形態H
B 14.7gを得、この形態H
Bを、XRPD、DSC、及びTGAで特性化した(それぞれ
図4~
図6)。
【0158】
実施例2:水和物結晶形態Bの調製
【化3】
第1の方法:形態H
B 505mgを20mlのガラス容器に秤量し、メタノール6mLを添加する。このスラリーを50℃に加熱し、磁気撹拌機を使用して4日にわたり撹拌する。この懸濁液を室温まで冷却してろ別する。回収した固体を、真空下で2.5時間にわたり40℃にて乾燥させる。この白色固体を、XRPD、DSC、及びTGAで分析した(それぞれ
図1~
図3)。
【0159】
第2の方法:60℃超の温度での水/MeOH(2:8、1:9、1:2v/v)中における形態HBの撹拌によっても、形態Bが得られるだろう。例えば、形態HB 20.7g(乾燥重量)を、MeOH 810mL及びH2O 90mLを含む予め混合した溶媒混合物に添加した。生じた混合物を36時間にわたり68℃まで加熱した後、25℃まで冷却した。この混合物を、さらに2時間にわたり撹拌してろ別した。フィルタケーキを真空下で乾燥させて、形態B(15.8g、収率76%)を白色粉末として得た。
M/z=393.1[M+H]+,Rt=2.47分(UPLC-MS条件),Rt=14.85分(HPLC条件),1H NMR(400MHz,MeOD-d4)8.24(d,2H),7.98(d,1H),7.91(dd,1H),7.36(d,2H),5.17(d,2H),4.25-4.34(m,1H),2.96(dd,1H),2.80(dd,1H)ppm,19F NMR(376MHz,MeOD-d4)135.7(d,1F)ppm
【0160】
形態Bの特性化のために、下記のUPLC-MS条件及びHPLC条件を使用した:UPLC-MS条件:装置:Waters Acquity UPLC;カラム:Waters Aquity BEH C18(50mm、内径2.1mm、粒径:1.7μm);カラム温度:30℃、移動相(勾配):水中の0.1%ギ酸及びアセトニトリル中の0.1%ギ酸(V/V=90/10から15/85へ)。流速0.5mL/分。検出波長:210nm;HPLC条件:装置:Agilent 1200 HPLC カラム:Waters Xbridge C18(150mm、内径3.0mm、粒径3.5μm)、カラム温度30℃;移動相(勾配):水中の0.1%リン酸及びアセトニトリル(V/V=90/10から15/85へ)。流速0.7mL/分。検出波長:210nm。
【0161】
第3の方法では、出発物質である形態HB(1重量)を、室温で、1-プロパノール/水 70/30重量%(41.3重量)中の懸濁液として反応器1に入れる。この懸濁液を、ジャケット温度(Tj)=90℃((反応温度(Tr)>80℃)まで加熱して、完全に可溶化させる。この溶液を、500mbar圧で、予め加熱したろ過装置(85~90℃でのフィルタジャケット)に通してろ過し、反応器に2に移す。Millipore親水性0.45um及びセルロースSeitz K250Pフィルタを使用して、清澄ろ過を実施する。両方のフィルタを、1-プロパノール/水 70/30混合物で予め濡らす。搬送ライン及びフィルタを、1-プロパノール/水 70/30重量%(4.5重量)で洗浄し、出発物質の懸濁液/溶液で反応器2へと再結合させる(温度低下に起因して、回収反応器中では自発的な固体形成を観察する場合がある)。
【0162】
蒸留
(反応器2への)懸濁液を、約Tj=85℃(Tr>80℃)まで再び加熱して、完全に可溶化させる。完全な可溶化が達成されると、反応器温度を70~75℃で制御し、1-プロパノール(0.1重量)中に懸濁させたサイズが小さい種(0.01重量)(形態B)を添加する。ジャケット温度を上昇させて(約80~85℃で)蒸留を開始し、真空を500mbarに設定する。蒸留プロセスを開始し、内部反応器温度を70~75℃に制御し、真空を450~500mbarに設定する。この蒸留プロセス中に、留去されたものの代わりに、新たな1-プロパノール溶媒(70重量)を添加する(一定体積での蒸留)。
【0163】
蒸留プロセスの終わりに、真空を開放して反応器内容物を20℃まで冷却する。この懸濁液を、IPC制御のためにサンプリングする(水の残留量は2重量%未満)。
【0164】
ろ別及び洗浄
固体をろ別し、1-プロパノールで洗浄する(2回×10重量)。この固体は、長い針のような形状の粒子を特徴とする。
【0165】
この固体を、24時間にわたり、撹拌下で、真空(残圧10~20mbar)下にて45~50℃で乾燥させる。
【0166】
粉末X線回折
X線粉末回折(XRPD)パターンを、反射配置でBruker Discovery D8を使用して得た。粉末を、ゼロバックグラウンドSiウェハサンプルホルダを使用して分析した。放射線は、CuKα(l=1.5418Å)であった。パターンを、2°~40°の2シータで測定した。
【0167】
【0168】
【0169】
DSC:
示差走査熱量測定を、TA Instruments(DSC 2500)を使用して各結晶形態に関して実行した。各分析のために、試料2~4mgを、ピンホール蓋で閉じたアルミニウムTゼロるつぼに入れた。加熱速度は、30~300°の温度範囲で毎分10℃であった。温度をセルシウス度(℃)で報告し、エンタルピーをグラム当たりのジュール(J/g)で報告する。プロットは、吸熱ピークを下向きで示している。吸熱融解ピーク(融点)を、外挿されたオンセット温度に関して評価した。この方法により測定された試料温度の精度は約±1℃内であり、融解熱を約±5%の相対誤差内で測定し得る。
【0170】
結晶形態B及びH
Bを使用して生成された実例的なDSCトレースを、それぞれ
図2及び
図4に示す。
【0171】
形態B:融解吸熱:Tonset=197.4℃(分解下での融解)
形態HB:融解吸熱:Tonset=95℃(脱水)及びTonset=198.5℃(分解下での融解)
【0172】
熱重量分析(TGA):
TA-instrument Q5000を使用してTGA曲線を得た。試料5~15mgをアルミるつぼに入れて密閉した。密閉したるつぼに、分析直前にロボットオートサンプラにより穴を開けた。TGA曲線を、30~300℃で10℃/分にて測定した。LoD(乾燥減量(Loss of drying))を、40℃~150℃で算出した。重量減少を、測定した試料温度に対してプロットする。温度をセルシウス度(℃)で報告し、重量減少を%で報告する。
【0173】
結晶形態B及びH
Bを使用して生成された実例的なTGAトレースを、それぞれ
図3及び
図6に示す。
本発明は次の実施態様を含む。
[請求項1]
遊離形態の化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態。
[請求項2]
形態Bを含む請求項1に記載の結晶形態。
[請求項3]
下記の特性:
(i)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された、2θを単位とする22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、及び26.3±0.2°2θでの代表的なピークを含むX線粉末回折パターン;
(ii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θからなる群から選択される4つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン;
並びに
(iii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された11.3±0.2°2θ、12.8±0.2°2θ、15.2±0.2°2θ、19.7±0.2°2θ、20.0±0.2°2θ、20.3±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、22.6±0.2°2θ、24.1±0.2°2θ、24.4±0.2°2θ、25.1±0.2°2θ、26.3±0.2°2θ、28.5±0.2°2θ、及び30.0±0.2°2θからなる群から選択される5つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン
の内の1つを特徴とする、請求項1又は2に記載の結晶形態。
[請求項4]
図1に示されるX線粉末回折スペクトルと実質的に同じX線回折スペクトルを有する、請求項1、2、及び3のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項5]
図2に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項1、2、3、及び4のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項6]
図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する、請求項1、2、3、4、及び5のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項7]
基本的に形態Bからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項8]
前記形態が実質的に相純粋形態の形態Bである、請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項9]
前記化合物が水和物である、請求項1に記載の結晶形態。
[請求項10]
形態H
B
を含む、請求項9に記載の結晶形態。
[請求項11]
下記の特性:
(i)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された、2θを単位とする22.1±0.2°2θ、23.8±0.2°2θ、24.7±0.2°2θ、及び28.7±0.2°2θでの代表的なピークを含むX線粉末回折パターン;
(ii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された、13.4±0.2°、20.8±0.2°、22.1±0.2°、23.5±0.2°、23.5±0.2°、23.8±0.2、24.7±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、26.9±0.2°2θ、28.7±0.2°2θ、30.4±0.2°2θ、31.2±0.2°2θ、33.8±0.2°2θ、及び38.7±0.2°2θからなる群から選択される4つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン;
並びに
(iii)約25℃の温度及び1.5418ÅのX線波長λで測定された13.4±0.2°、20.8±0.2°、22.1±0.2°、23.5±0.2°、23.5±0.2°、23.8±0.2、24.7±0.2°2θ、26.1±0.2°2θ、26.9±0.2°2θ、28.7±0.2°2θ、30.4±0.2°2θ、31.2±0.2°2θ、33.8±0.2°2θ、及び38.7±0.2°2θからなる群から選択される5つ以上の2θ値を含むX線粉末回折パターン
の内の1つを特徴とする、請求項9又は10に記載の結晶形態。
[請求項12]
図4に示されるX線粉末回折スペクトルと実質的に同じX線回折スペクトルを有する、請求項9、10、及び11のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項13]
図5に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項9、10、11、及び12のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項14]
図6に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有する、請求項9、10、11、12、及び13のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項15]
前記水和物が一水和物である、請求項1、及び9~14のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項16]
基本的に形態H
B
からなる、請求項9~15のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項17]
前記形態が実質的に相純粋形態の形態H
B
である、請求項9~15のいずれか一項に記載の結晶形態。
[請求項18]
請求項1~8のいずれか一項に記載の形態B、請求項9~17のいずれか一項に記載のH
B
、並びに形態B及びH
B
の組合せからなる群から選択される結晶形態と、1種又は複数種の薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物。
[請求項19]
請求項1~8のいずれか一項に記載の形態B、請求項9~17のいずれか一項に記載のH
B
、並びに形態B及びH
B
の組合せからなる群から選択される結晶形態を、1種又は複数種の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、前記治療剤は、COX阻害剤、システイニル-ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンC4シンターゼ(LTC4S)阻害剤、スタチン、スルファサラジン、メサラミン、カルシニュリン阻害剤;mTOR阻害剤;免疫抑制特性を有するアスコマイシン;副腎皮質ステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸又はミコフェノール酸塩;ミコフェノール酸モフェチル;IL-1ベータ阻害剤からなる群から独立して選択される、医薬組成物。
[請求項20]
必要としている対象において、LTA4Hの阻害により概して寛解される疾患又は障害を治療する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の形態B、請求項9~17のいずれか一項に記載のH
B
、並びに形態B及びH
B
の組合せからなる群から選択される結晶形態の治療有効量を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
[請求項21]
化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態Bを製造する方法であって、
e)(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の形態H
B
をメタノール又は水/アルコールの混合物に懸濁させて、懸濁混合物を形成する工程;
f)前記懸濁混合物を、50℃を超える温度まで加熱し且つ撹拌する工程;
g)前記溶液を室温まで冷却して、懸濁混合物を形成する工程;
h)懸濁液から結晶形態Bを回収する工程
を含む方法。
[請求項22]
化合物(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸の結晶形態H
B
を製造する方法であって、
a)(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を水又はTHF/水の溶媒混合物に溶解させて、溶液を形成する工程;
b)前記溶液のpHを、NaHCO
3
の水溶液又はNaOHの水溶液により3.3~7.5のpH数値に調整し、同時に撹拌して、懸濁液を得る工程;
c)前記懸濁液から前記結晶形態H
B
を回収する工程
を含む方法。
[請求項23]
(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を製造するために、下記工程d)~i):
d)(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸にトルエンを添加する工程;
e)HClの水溶液を添加して反応混合物を形成する工程;
f)前記反応混合物を約50℃~約65℃の温度まで加熱し且つ撹拌する工程;
g)前記反応混合物を約35℃まで冷却する工程;
h)水層を分離し、得られた有機層を18℃~25℃の温度まで冷却して、懸濁液を得る工程;
i)前記懸濁液から前記(S)-3-アミノ-4-(5-(4-((5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)-2H-テトラゾール-2-イル)ブタン酸塩酸塩を回収する工程
をさらに含む、請求項22に記載の方法。