(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】プラズマスペクトル分析を介してサンプルの材料組成を分析するための装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/71 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G01N21/71
(21)【出願番号】P 2021514609
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 US2019050737
(87)【国際公開番号】W WO2020056082
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523251987
【氏名又は名称】オーシャン オプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】バクター スコット チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ダメント マイケル アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ピオレク スタニスラウ
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-519554(JP,A)
【文献】特表2019-500612(JP,A)
【文献】特開2000-162042(JP,A)
【文献】特開2004-184354(JP,A)
【文献】特開2001-242010(JP,A)
【文献】YAJUN PANG; ET AL,COMPACT HIGH-RESOLUTION SPECTROMETER USING TWO PLANE GRATINGS WITH TRIPLE DISPERSION,OPTICS EXPRESS,2018年03月,VOL:26, NR:5,PAGE(S):6382-6391,http://dx.doi.org/10.1364/OE.26.006382
【文献】MAZZACURATI V; ET AL,A NEW CLASS OF MULTIPLE DISPERSION GRATING SPECTROMETERS,JOURNAL OF PHYSICS E. SCIENTIFIC INSTRUMENTS,英国,IOP PUBLISHING,1988年08月,VOL:21, NR:8,PAGE(S):798-804,http://dx.doi.org/10.1088/0022-3735/21/8/012
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00ーG01N 21/74
G01J 1/00-G01J 1/60
G01J 3/00-G01J 3/52
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー放射下にあるターゲットの材料から生成されたプラズマ放出光のプラズマスペクトル分析を介してサンプルの材料組成を分析するための装置であって、
プラズマスペクトル分析用のビームを放出するように構成されたレーザー組立体と、
前記ターゲットのプラズマスペクトル分析のために前記ターゲットにビームを向け
、前記ビームの放射下にある前記ターゲットから生成されたプラズマからのプラズマ放出光を収集するように構成された光学組立体と、
収集された前記プラズマ放出光を前記光学組立体から受け取るように前記光学組立体に対して配置された分散モジュールと、を備え、
前記分散モジュールが第1の回折格子を含み、該第1の回折格子は、前記光学組立体から放出されたプラズマが前記第1の回折格子によって回折されるように構成され、
前記分散モジュールが第2の回折格子を含み、該第2の回折格子は、前記第1の回折格子によって回折された光が前記第2の回折格子によっても回折されるように構成され、
前記分散モジュールは、
前記光が前記第1及び第2の回折格子によって回折された後、前記分散モジュールから光を透過するように構成され、
前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子は、前記光学組立体から受け取った光が前記分散モジュールから方向付けされる前に少なくとも2回前記第1の回折格子に接触するように前記分散モジュール内に位置決めされ、
前記装置
は、更に、前記レーザー組立体、前記光学組立体、及び前記分散モジュール
を内包するハウジングを備えている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子が、反射型回折格子である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子は、前記分散モジュールの調整を提供するために前記分散モジュール内に移動可能に取り付けられる、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記分散モジュールが、20mrad/n
mの全体的な分散定格を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子のうちの少なくとも1つが透過型回折格子である、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子のうちの少なくとも1つがブレーズド回折格子である、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ブレーズド回折格子が、150nmから250nmの間の波長に最適化されている、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
175nmから200nmの間の波長に最適化されたブレーズド回折格子である、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記分散モジュールからの光を受け取るように構成されたファイバアダプタを更に備え
る、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ファイバアダプタに光学的に結合された分光計を更に備え
る、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記分光計が、情報を分析するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令を格納する少なくとも1つのメモリと、を備えている、
請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月13日に出願された米国特許出願シリアル番号16/130,563号の利益を主張し、この内容は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、レーザー誘起ブレークダウン分光システムに関する。
【背景技術】
【0003】
レーザー誘起ブレークダウン分光法(「LIBS」)は、高エネルギーレーザーパルスを励起源として使用する原子発光分光法の一種である。レーザーが集束されてプラズマを形成し、これによりサンプルが霧化及び励起される。原理上、LIBSは、固体、液体、又は気体といった物理的状態に関係なく、あらゆる物質を分析することができる。全ての元素は十分な高温に励起されると特性周波数の光を放出するので、LIBSは、全ての元素を検出でき、使用するレーザービームの出力、並びに分光器及び検出器の感度と波長範囲によってのみ制限される。
【0004】
分析対象の材料の成分が分かっている場合、LIBSを使用して、各構成元素の相対存在量を評価するか、又は不純物の存在を監視することができる。実際には、検出限界は、a)プラズマ励起温度、b)集光ウィンドウ、及びc)観測遷移の線強度の関数である。LIBSは、発光分光法を利用しており、この点に関してアーク/スパーク発光分光法と極めて類似している。
【0005】
LIBSは、レーザービームをサンプル表面の小領域に集束させることによって動作する。レーザービームが放出されると、ナノグラムからピコグラムの範囲の極めて少量の材料がアブレーションされ、100,000Kを超える温度でプラズマプルームが生成される。データの収集中、通常は局所的な熱力学的平衡が確立された後、プラズマ温度は、5,000~20,000Kの範囲になる。初期プラズマ中の高温では、アブレーションされた材料は、励起されたイオン種と原子種に解離(分解)する。この間、プラズマは、存在する種に関する有用な情報を含まない一連の放射線を放出するが、極めて短い時間枠内で、プラズマが超音速で膨張して冷却される。この時点で、元素の特徴的な原子発光を観察することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プラズマスペクトル分析を介してサンプルの材料組成を分析するための装置は、プラズマスペクトル分析のためにビームを放出するように構成されたレーザー組立体と、ターゲットのプラズマスペクトル分析のためにビームをターゲットに向けるように構成された光学組立体とを含むことができる。光学組立体は、プラズマから放出されたプラズマ放出光を収集し、プラズマ放出光を分散モジュールに提供するように構成することができる。
【0007】
分散モジュールは、第1の回折格子を含むことができ、第1の回折格子は、光学組立体から放出されたプラズマが第1の回折格子によって回折されるように構成される。分散モジュールはまた、第2の回折格子を含むことができ、第2の回折格子は、第1の回折格子によって回折された光が第2の回折格子によっても回折されるように構成される。第1の回折格子及び第2の回折格子は、分散モジュール内に位置決めされ、光学組立体から受け取った光が、分散モジュールから方向付けされる前に、第1の回折格子に少なくとも2回接触するようにする。
【0008】
本発明の更なる目的、特徴、及び利点は、本明細書に添付されてその一部を形成する図面及び特許請求の範囲を参照しながら、以下の説明を精査すると、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】分散モジュールを有する、スペクトル分析によってサンプルの材料組成を分析するためのシステムを示す図である。
【
図3】より多くの反射及び、ひいてはより大きな分散用に構成された分散モジュールの別の実施例を示す図である。
【
図4】検出器を有する分散モジュールのもう一つの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、スペクトル分析によってサンプル20の材料組成を分析するためのシステム10が示されている。主要な構成要素として、システム10は、サンプル20の材料組成を分析するための装置12を含む。装置12は、
図2及び本明細書の後半に記載される幾つかの構成要素を内包することができるハウジング14を含むことができる。例えば、ハウジング14は、レーザービーム22を生成するためのレーザー組立体13と、レーザービーム22をサンプル20に向けるための光学組立体17と、を含むことができる。更に、光学組立体17は、プラズマ放出光24を、光ファイバ28を介して分光計30に向けるように機能することができる。
【0011】
装置12は、2つの主要な機能を有する。装置12は、レーザービーム22にビーム成形及び送達を提供し、また、プラズマからのプラズマ放出光24を効率的に収集して、分光計30に送達する。レーザービーム22は、強いプラズマプルームを生成するためにサンプル20上で20ミクロンの集束直径を有する単一モードレーザービームとすることができる。作動距離は、約10mm又はそれよりも大きくすることができる。
【0012】
光学組立体17はまた、分散モジュール100を含むことができる。分散モジュール100は、光学組立体17の一部とすることができ、又は光学組立体17から分離されていてもよい。分散モジュール100は、この詳細な説明の後半でより詳細に説明する。分散モジュール100は、現在利用可能なものより遙かにコンパクトな装置において遙かに高い解像度を可能にする。これにより、例えば、サンプル20内の炭素量の迅速且つ正確な測定が可能になる。分散モジュール100は、上述のように、装置12内に配置することができ、或いは、分光計30内に配置することができる。何れの場合も、分散モジュール100は、プラズマから放出された光24を受け取るものであり、次に、送出された光を検出器に向ける。
【0013】
ハウジング14の壁部分15は、そこに形成された開口部16を有することができる。開口部16は、窓18を含むことができる。窓18は、レーザービーム22及びプラズマ放出光24などの、装置12との間の光の透過を可能にする透明な窓とすることができる。ハウジング14は、気密シールすることができ、不活性ガスで充填することができる。
【0014】
上述のように、装置12は、サンプル20に向けてレーザービーム22を放出するように構成される。レーザービーム22がサンプル20に当たると、プラズマプルームが形成され、プラズマ放出光24が反射されて窓18に戻る。プラズマ放出光24は、光ファイバ28を介して分光計30に向け直される。ファイバアダプタ26は、プラズマ放出光24を光ファイバ28に光学的に向ける。次に、光ファイバ28は、プラズマ放出光24を分光計30に向ける。
【0015】
分散モジュール100は、分散モジュールが装置12内に配置されている状況において、最初にプラズマ放出光24を受け取り、この光を、光ファイバ28を介して分光計30に向ける。或いは、分散モジュール100は、分光計30内に配置することができ、この詳細な説明の節で後述するように、検出器に提供する前に、光ファイバ28からプラズマ放出光24を最初に受け取ることができる。
【0016】
分光計30は、プラズマ放出光24の複数の異なるスペクトル分析を実行し、これらの光信号を、デジタル分析器32に提供される電気信号に変換することができる。
【0017】
分光計30は、それぞれ、モノクロメータ(走査)又はポリクロメータ(非走査)並びに光電子増倍管又はCDC(電荷結合装置)検出器を含むことができる。分光計30は、可能な限り最も広い波長範囲にわたって電磁放射を収集し、特定の各要素について検出される輝線の数を最大化する。分光計30の応答は、1100nm(近赤外線)から170nm(深紫外線)とすることができる。
【0018】
分光計30によって生成された電気信号は、ケーブル34によりデジタル分析器32に提供することができる。しかしながら、別々の装置からデジタルデータを送信するのに利用される複数の異なる方法のうちの何れか1つを使用できることを理解されたい。例えば、デジタル分析器32は、無線プロトコルを利用して、分光計30と通信することができる。デジタルアナライザ32は、出力装置33及び1又は2以上の入力装置35を有する専用装置とすることができる。出力装置33は、ディスプレイとすることができ、入力装置35は、キーボード及び/又はマウスとすることができる。
【0019】
図2A及び
図2Bは、それぞれ、分光計用の分散モジュール200及び250の実施例を示している。ここで、
図1の分散モジュール100は、分散モジュール200と呼ばれる。図示のように、分散モジュール200は、光を受けるための入口210と、第1の回折格子220であって、入口210で受け取られた光が第1の回折格子220によって回折されるように分散モジュール内に取り付けられる、第1の回折格子220と、第2の回折格子230であって、第1の回折格子220によって回折された光が第2の回折格子230によっても回折されるように、第1の回折格子220に対して分散モジュール200内に取り付けられる、第2の回折格子230と、第1及び第2の回折格子によって回折された後、モジュールから光を透過させるための出口240と、を備える。図示のように、第1の回折格子220及び第2の回折格子230は、入口210にて受け取られた光290(
図1の放出光24におけるプラズマなど)が、出口に向けられる前に第1の回折格子220に少なくとも2回接触するように、分散モジュール200内に取り付けられる。
【0020】
少なくとも幾つかの分散モジュールでは、第1の回折格子220及び第2の回折格子230は、反射型回折格子である。特定のモジュールは、第1又は第2の回折格子として透過回折格子を利用している。一部のモジュールは、第1及び第2の回折格子の両方に透過回折格子を利用している。特定のモジュールでは、第1及び第2の回折格子の少なくとも1つは、ブレーズド回折格子、例えば、150nmから250nmの間、より具体的には175nmから200nmの間の波長に最適化されたブレーズド回折格子である。
【0021】
特定の分散モジュール内で、第1の反射回折格子220及び第2の反射回折格子230は、モジュールの調整を提供するために、分散モジュール200内に移動可能に取り付けられる。第1の反射型回折格子220及び/又は第2の反射型回折格子230は、透過型回折格子とすることができる。
【0022】
本発明による幾つかの分散モジュールは、少なくとも20mrad/nm、好ましくはXmrad/nm、最も好ましくはYmrad/nmの分散定格を有する。
【0023】
本発明による特定の分散モジュールは、モジュールへの入口としてレンズを使用する。一部のモジュールは、入口としてスリットを利用している。特定の分散モジュール内には、第1の回折格子と接触すると、入口のスリット又はレンズによって引き起こされる実質的に平行な光線がある。
【0024】
図2Aにも見られるように、本発明による少なくとも幾つかの分散モジュールは、モジュールの同じ側に入口及び出口を提供する。この配置は、幅広い用途で使用できるよりコンパクトなモジュールを提供する。
【0025】
図示のように、本発明による分散モジュールは、格子当たりに複数の反射を可能にする。長さ当たりにラインをグレーティングするグレーティング上での反射に対して適用される。言い換えると、3600ライン/mmを有するグレーティングで2回反射すると、7200ライン/mmの有効グレーティングが得られる。このように、光を各々5回反射するように2つのグレーティングを配置すると、36000ライン/mm(5* 2*3600ライン/mm)の有効グレーティングが得られる。このようにして、本発明による分散モジュールは、1mm当たりの遙かに大きな有効ラインを提供する。
【0026】
本発明による分散モジュールは、モジュールを出る光の正確な読み取り及び一貫した使用を提供するのに十分な効率を維持しながら、遙かに高い解像度を可能にする。少なくとも一部の用途では、正確な測定のために1%の光のみを保持する必要がある。このため、分散格子による反射当たり90%の効率及び反射当たり90%で10回の反射でも、およそ35%の光が残り、85%の効率では20%が残り、60%でも0.6%が残る。特定の用途では、このような割合の分散光を遙かに高解像度で使用することができる。
【0027】
図2Bに例示されるように、本発明による少なくとも幾つかの分散モジュール200は、モジュールの出口の後に配置された検出器255を使用する。この検出器255は、モジュール200内に配置することができ、又は
図1の分光計30として示されるような別個のモジュールに配置することができる。
【0028】
図3は、より多くの数の反射及びひいてはより大きな分散用に構成された本発明の少なくとも幾つかの実施形態による分散モジュール300を示している。同様の要素を参照するために、同様の参照番号が使用される。図示のように、第1の分散格子320及び第2の分散格子330は、入口310にてモジュール300に入る光390(プラズマ放出光24など)が、出口340でモジュール200を出る前に第1の分散格子320及び第2の分散格子330の両方に2回接触するように間隔及び角度が付けられて配置される。この場合も同様に、検出器355が示されている。
【0029】
図4は、本発明による分散モジュールを含む分光計400を示している。同様の要素を参照するために同様の参照番号が利用されている。この場合も同様に、モジュールは、第1の420及び第2の分散格子430、光390を受けるための入口310、及びモジュールから光を送信するための出口440から構成される。分光計400は更に、分散モジュールを出る光を検出するために分光計内に取り付けられた検出器450を備える。
【0030】
本発明による特定の分光計は、分散モジュールがここで使用されることに起因して、少なくとも30pm、好ましくは15pm、最も好ましくは10μmの解像度を有する。
【0031】
本発明による少なくとも幾つかの分光計は、光を提供し、ひいてはサンプル495の分光分析を実行することができるようにするために、分光計に取り付けられた統合光源405を有する。特定の分光計は更に、検出器によって提供される情報を分析するように構成された少なくとも1つのプロセッサ456と、プロセッサによって実行可能な命令を格納するための少なくとも1つのメモリ457とを備える。
【0032】
上記で例示されたように、分散モジュールの入口は、光が適切な角度で回折格子に当たることを可能にする限り、分散格子に対してどこにあってもよい。同様に、光が格子に接触する機会があった後、出口は格子に関連する任意の場所にあってもよい。
【0033】
この用途の図内では、角度は純粋に例示的なものである。図示の光は、説明を容易にするためのものであり、モジュールが受け取る単なる代表的な光であると理解されるべきである。
【0034】
上述のように、本発明による分散モジュールは、幅広い用途で使用することができる。例えば、LIBS用途内では、様々な要素の検出がスクラップの分類及び溶接部の検査に役立つ。これらの用途では、多くの場合、セクションで比較的近いピーク波長間の差を検出する必要があり、従って、より高い解像度が必要になる。例えば、炭素を検出するための波長範囲は、約175~200nmであり、この範囲内では、193nmの炭素、178nmの硫黄、及び175nmのリンの発光がある。上記のように、25nm帯域幅内の解像度が高いほど、分光分析がより正確になる。実際に、炭素検知用途内では、炭素の193nm波長発光は、鉄発光に比較的近いので、炭素比の決定が複雑になる。しかしながら、10pmの解像度は、発光を区別できる用途を提供する。
【0035】
この解像度は、輝線間の振幅の比率を決定する場合に特に有用とすることができる。例えば、炭素と鉄の輝線の比率は、鋼鉄内の炭素の比率を決定付けて、高炭素鋼又は低炭素鋼を分類する一助とすることができる。本発明による少なくとも幾つかの分散モジュールは、上記で概説したように炭素検出を支援するように構成され、従って、光がモジュールを出る前に少なくとも3回分散格子に接触するように構成されている。このような用途で検出器に十分な解像度を提供するためには、4又は5の接点が好ましい。しかしながら、3つの接点で十分な解像度を提供することができる。このような分散モジュールは、少なくとも30~10pmの解像度を提供する。
【0036】
本発明による少なくとも幾つかの分散モジュールは、波長可変レーザーに使用される。波長可変レーザーは、1つの吸収線のみが生成されるように使用することができる。すなわち、1種類のガスによってのみ吸収される波長を有するレーザーが放出され、反射光に対して測定が実施される。本発明を考えると、波長可変レーザーが必要とされないほど十分な解像度で測定することが可能であろう。本発明は、光ファイバーネットワーク又は他の通信システムを試験するのに用いることができる十分な解像度で標準昼光を測定することになる。光スペクトラムアナライザ(OSA)と呼ばれることが多い、通信機器のチェックに装置を使用した。
試験機器の波長
【0037】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ、又は材料に限定されず、当業者によって認識されるであろうこれらの均等物にまで拡張されることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的でのみ使用され、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0038】
本明細書全体を通して一実施形態又はある実施形態への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じた様々な場所での「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という表現の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。例えば、約又は実質的になどの用語を使用して数値を参照する場合、正確な数値も開示される。
【0039】
本明細書で使用される場合、複数のアイテム、構造要素、構成要素、及び/又は材料は、便宜上共通のリストに提示することができる。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが別個の一意のメンバーとして個々に識別されているかのように解釈すべきである。従って、このようなリストの個々のメンバーは、反対の指示なしに共通のグループでの提示のみに基づいて、同じリストの他の何れかのメンバーと事実上同等であると解釈すべきではない。更に、本発明の様々な実施形態及び実施例は、その様々な構成要素の代替形態と共に本明細書で参照することができる。このような実施形態、実施例、及び代替形態は、互いに事実上同等であると解釈すべきではなく、本発明の別個の自律的な表現と見なすべきであることは理解される。
【0040】
更に、記載された特徴、構造、又は特性は、1又は2以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状、その他の実施例など、多数の特定の詳細が提供される。しかしながら、関連技術の当業者は、本発明が、1又は2以上の特定の詳細なしで、又は他の方法、構成要素、材料などを用いて実施できることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を曖昧にすることを避けるために、周知の構造、材料、又は動作は詳細に示されていないか、又は記載されていない。
【0041】
代替の実施形態では、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックアレイ、及び他のハードウェア装置などの専用ハードウェア実装を構築して、本明細書で記載される方法の1又は2以上を実装することができる。様々な実施形態の装置及びシステムを含むことができる用途は、様々な電子及びコンピュータシステムを広く含むことができる。本明細書に記載される1又は2以上の実施形態は、2以上の特定の相互接続されたハードウェアモジュール、又はモジュール間及びモジュールを介して、通信できる関連する制御及びデータ信号を備えた装置又は特定用途向け集積回路の一部として使用して機能を実装することができる。従って、本システムは、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェア実装を包含する。
【0042】
本開示の様々な実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、コンピュータシステムによって実行可能なソフトウェアプログラムによって実装することができる。更に、例示的で非限定的な実施形態では、実装は、分散処理、コンポーネント/オブジェクト分散処理、及び並列処理を含むことができる。或いは、仮想コンピュータシステム処理は、本明細書で記載されるような方法又は機能の1又は2以上を実装するように構築することができる。
【0043】
更に、本明細書に記載の方法は、コンピュータ可読媒体にて具体化することができる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、集中型又は分散型データベースなどの単一の媒体又は複数の媒体、及び/又は1又は2以上の命令セットを格納する関連するキャッシュ及びサーバーを含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、プロセッサによって実行するための一連の命令を格納、符号化、又は保持することができる、又はコンピュータシステムに本明細書に開示される方法又は操作の何れかの1又は2以上を実行させる任意の媒体を含むものとする。
【0044】
当業者が容易に理解するように、上記の説明は、本発明の原理の例示として意図されている。本明細書は、添付の特許請求の範囲にて定義されるように、本発明の精神から逸脱することなく、本発明が修正、変形、及び変更が可能であるという点で、本発明の範囲又は適用を限定することを意図するものではない。