(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ロッククリップ付き自動注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20230927BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61M5/20 572
A61M5/32 500
A61M5/32 510K
(21)【出願番号】P 2021549998
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2020055005
(87)【国際公開番号】W WO2020173992
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-10-19
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ベッソン
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/164397(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0015223(US,A1)
【文献】特表2014-526297(JP,A)
【文献】特表2011-520569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置(10)であって、
キャップ(18)と、針カバー(22)と、注射器アセンブリ(16)を受け入れるように構成された注射器ホルダ(24)と、カセット本体(26)と、下部ハウジングシェル(28)とを備える第1のサブアセンブリ(12)であって、前記キャップ(18)は、前記針カバー(22)の少なくとも一部を受け入れる、第1のサブアセンブリ(12)と、
注射器アセンブリ(16)のストッパ(54)を移動させるように構成された駆動アセンブリ(40)と、モータ本体(42)とを備える第2のサブアセンブリ(14)であって、前記モータ本体(42)は前記駆動アセンブリ(40)の少なくとも一部を受け入れ、前記第1のサブアセンブリ(12)の前記カセット本体(26)は前記モータ本体(42)の少なくとも一部を受け入れるように構成されている第2のサブアセンブリ(14)と、
ロッククリップ(64,140)であって、前記第1のサブアセンブリ(12)を前記第2のサブアセンブリ(14)に組み立てる際に、
ロッククリップ(64,140)自体により生じる弾性力により挟持し、前記第1のサブアセンブリ(12)を前記第2のサブアセンブリ(14)に固定するように構成されたロッククリップ(64,140)と、
を備える、薬物送達装置(10)。
【請求項2】
バレル(52)、ストッパ(54)、カニューレ(56)、及び、前記カニューレ(56)の少なくとも一部を受け入れる剛性の高い針シールド(58)をさらに備える、請求項1に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項3】
前記ロッククリップ(64)は、前記第2のサブアセンブリ(12)の前記モータ本体(42)によって規定されたクリップ面(124)に係合するように構成された突起部(122)を有する本体(120)を備える、請求項1又は請求項2に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項4】
前記カセット本体(26)は、前記ロッククリップ(64)の一部を受け入れるように構成されたクリップ開口部(126)を規定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項5】
前記ロッククリップ(64)はC字型である、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項6】
前記ロッククリップ(64)は、前記第2のサブアセンブリ(12)の前記モータ本体(42)によって規定されたクリップ面(124)に係合するように構成された突起部(122)を有する本体(120)を備え、
前記クリップ面(124)は、前記モータ本体(42)の凹部によって規定され、
前記カセット本体(26)は、前記ロッククリップ(64)の一部を受け入れるように構成されたクリップ開口部(126)を規定し、
前記カセット本体(26)の前記クリップ開口部(126)は、前記第1のサブアセンブリ(12)が前記第2のサブアセンブリ(14)と組み合わされたときに、前記モータ本体(42)の前記クリップ面(124)と整列するように構成されており、前記ロッククリップ(64)の一部は、前記カセット本体(26)の前記クリップ開口部(126)及び前記モータ本体(42)の凹部を通って延び、前記ロッククリップ(64)の前記突起部(122)が、前記モータ本体(42)の前記クリップ面(124)に係合するように構成されている、請求項5に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項7】
前記カセット本体(26)が、第1及び第2の溝(128,130)を規定し、前記モータ本体(42)が第1及び第2のリブ(132,134)を規定し、前記カセット本体(26)の前記第1の溝(128)が、前記モータ本体(42)の前記第1のリブ(132)を受け入れるように構成され、前記カセット本体(26)の前記第2の溝(130)が、前記モータ本体(42)の前記第2のリブ(134)を受け入れるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項8】
前記ロッククリップ(140)は、前記カセット本体(26)と一体的に形成されている、請求項1又は請求項2に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項9】
前記ロッククリップ(140)は、前記カセット本体(26)の第1の側面に配置された第1のロッククリップ(140)と、前記カセット本体(26)の第2の側面に配置された第2のロッククリップ(140)とを備える、請求項1、請求項2、請求項8のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項10】
前記モータ本体(42)は、前記カセット本体(26)の前記ロッククリップ(140)と係合するように構成されたクリップ面(124)を規定する、請求項8又は請求項9に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項11】
上部ハウジングシェル(46)は、前記下部ハウジングシェル(28)に隣接して配置されるように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項12】
前記モータ本体(42)は、第1のチャネル(146)を規定する第1の延長部(144)を含み、前記カセット本体(26)は、第2のチャネル(150)を規定する第2の延長部(148)を含み、前記モータ本体(42)の前記第1のチャネル(146)は、前記カセット本体(26)の前記第2の延長部(148)を受け入れるように構成される、請求項9から11のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項13】
前記カセット本体(26)の前記第2のチャネル(150)は、前記モータ本体(42)の前記第1の延長部(144)を受け入れるように構成される、請求項12に記載の薬物送達装置(10)。
【請求項14】
薬物送達装置(10)の組み立て方法であって、
第2のサブアセンブリ(14)と係合するように、第1のサブアセンブリ(12)を移動させるステップであって、前記第1のサブアセンブリ(12)は、キャップ(18)、針カバー(22)、注射器アセンブリ(16)を受け入れるように構成された注射器ホルダ(24)、カセット本体(26)、及び、下部ハウジングシェル(28)を備え、前記第2のサブアセンブリ(14)は、注射器アセンブリ(16)のストッパ(54)を移動させるように構成された駆動アセンブリ(40)、及び、モータ本体(42)を備える、第1のサブアセンブリ(12)を移動させるステップと、
ロッククリップ(64,140)
自体により生じる弾性力により挟持し、前記第1のサブアセンブリ(12)を前記第2のサブアセンブリ(14)に固定するステップと、
前記第2のサブアセンブリ(14)と係合するように、上部ハウジングシェル(46)を移動させるステップと、
を備える、薬物送達装置(10)の組み立て方法。
【請求項15】
前記第1のサブアセンブリ(12)の前記注射器ホルダ(24)に、前記注射器アセンブリ(16)を配置するステップであって、前記注射器アセンブリ(16)は、バレル(52)、ストッパ(54)、カニューレ(56)、及び、前記カニューレ(56)の少なくとも一部を受け入れる剛性の高い針シールド(58)を有する、前記注射器アセンブリ(16)を配置するステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ロッククリップ(64)は、突起部(122)を有する本体(120)を含み、前記モータ本体(42)はクリップ面(124)を規定し、前記カセット本体(26)は、前記ロッククリップ(64)の一部を受け入れるように構成されたクリップ開口部(126)を規定するものであり、
前記ロッククリップ(64)の一部を前記カセット本体(26)の前記クリップ開口部(126)に挿入し、前記モータ本体(42)の前記クリップ面(124)に係合させて、前記カセット本体(26)を前記モータ本体(42)に固定するステップをさらに備える、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ロッククリップ(140)は、前記カセット本体(26)と一体的に形成され、前記モータ本体(42)は、クリップ面(124)を規定しており、
前記カセット本体(26)の前記ロッククリップ(140)が前記モータ本体(42)の前記クリップ面(124)に係合するまで、前記カセット本体(26)内に前記モータ本体(42)を配置するステップであって、それによって、前記第1のサブアセンブリ(12)を前記第2のサブアセンブリ(14)に固定する、前記モータ本体(42)を配置するステップをさらに備える、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、薬物送達装置、より具体的には、自動注射器に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
様々な種類の自動注射又は薬物送達装置は、薬液及び他の液体治療製剤が訓練されていない人員によって投与されまたは自己注射されることを可能にするために開発されてきた。概して、これらの装置は、液体治療製剤で事前充填されたリザーバ、及び使用者によってトリガされることが可能ないくつかのタイプの自動針注射機構を含む。自動注射器などのこれらの装置の多くは、事前に充填された注射器などのリザーバが、装置の組み立て中に装置内に組み立てられるように設計されている。針注射メカニズムを自動的に展開することに加えて、多くの薬物送達装置は、装置の使用後に針を自動的にシールドして、針との任意の意図しない接触を防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、薬物送達装置は、キャップ、針カバー、注射器アセンブリを受けるように構成された注射器ホルダ、カセット本体、および下部ハウジングシェルを含む第1のサブアセンブリであって、キャップが針カバーの少なくとも一部を受ける、第1のサブアセンブリと、注射器アセンブリのストッパを移動させるように構成された駆動アセンブリを含む第2のサブアセンブリと、モータ本体であって、モータ本体が駆動アセンブリの少なくとも一部を受け、第1のサブアセンブリのカセット本体がモータ本体の少なくとも一部を受けるように構成されたモータ本体と、第1のサブアセンブリの第2のサブアセンブリへの組み付け時に、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリに固定するように構成されたロッククリップと、を備えている。
【0004】
薬物送達装置は、バレル、ストッパ、カニューレ、及びカニューレの少なくとも一部を受け入れる剛性の針シールドを含む注射器アセンブリをさらに含んでもよい。
【0005】
ロッククリップは、第2のサブアセンブリのモータ本体によって規定されるクリップ面に係合するように構成された突起を有する本体を含んでもよい。カセット本体は、ロッククリップの一部を受け入れるように構成されたクリップ開口部を規定してもよい。ロッククリップはC字型でもよい。モータ本体のクリップ面は、モータ本体の凹部によって規定されてもよく、第1のサブアセンブリが、第2のサブアセンブリに組み付けられたときに、カセット本体のクリップ開口部が、モータ本体のクリップ面と整列するように構成され、ロッククリップの一部が、クリップ開口部及びモータ本体の凹部を通って延びるように構成され、ロッククリップの突起部がモータ本体のクリップ面に係合するようになっている。カセット本体は、第1及び第2の溝を規定し、モータ本体は、第1及び第2のリブを規定してもよく、カセット本体の第1の溝は、モータ本体の第1のリブを受け入れるように構成され、カセット本体の第2の溝は、モータ本体の第2のリブを受け入れるように構成されている。
【0006】
なお、ロッククリップはカセット本体と一体的に形成されていてもよい。モータ本体は、カセット本体のロッククリップと係合するように構成されたクリップ面を規定してもよい。装置は、下部ハウジングシェルに隣接して配置されるように構成された上部ハウジングシェルをさらに含んでもよく、上部ハウジングシェルは、上部ハウジングシェルが下部ハウジングシェルと係合しているときに、クリップ面からのロッククリップの係合解除を防止するように構成されている。モータ本体は、第1のチャネルを規定する第1の延長部を含み、カセット本体は、第2のチャネルを規定する第2の延長部を規定してもよく、モータ本体の第1のチャネルは、カセット本体の第2の延長部を受け入れるように構成されている。カセット本体の第2のチャネルは、モータ本体の第1の延長部を受け入れるように構成されていてもよい。ロッククリップは、カセット本体の第1の側面に配置された第1のロッククリップと、カセット本体の第2の側面に配置された第2のロッククリップとを含んでいてもよい。
【0007】
さらなる態様において、薬物送達装置を組み立てる方法は、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリと係合するように移動させるステップであって、第1のサブアセンブリは、キャップ、針カバー、注射器アセンブリを受けるように構成された注射器ホルダ、カセット本体、及び下部ハウジングシェルを含み、第2のサブアセンブリは、注射器アセンブリのストッパを移動させるように構成された駆動アセンブリ、及びモータ本体を含む、ステップと、ロッククリップで第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリに固定するステップと、上部ハウジングシェルを第2のサブアセンブリと係合するように移動させるステップとを含む、方法である。
【0008】
本方法は、第1のサブアセンブリの注射器ホルダに注射器アセンブリを位置決めすることをさらに含んでもよく、注射器アセンブリは、バレル、ストッパ、カニューレ、及びカニューレの少なくとも一部を受け入れる剛性の高い針シールドを含む。
【0009】
この方法は、カセット本体のクリップ開口部からロッククリップの一部を挿入し、モータ本体のクリップ面に係合させてカセット本体をモータ本体に固定することをさらに含むことができる。
【0010】
この方法は、さらに、カセット本体のロッククリップがモータ本体のクリップ面に係合するまで、モータ本体をカセット本体内に配置することで、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリに固定することを含むことができる。上部ハウジングシェルを下部ハウジングシェルと係合させることで、ロッククリップのクリップ面からの離脱を防ぐことができる。
【0011】
本機は、以下の機能のうち1つ又はいくつかを個別に、又は技術的に可能なすべての組み合わせに従って含むことができる。
-薬物送達装置は、キャップと、針カバーと、注射器アセンブリを受けるように構成された注射器ホルダと、カセット本体と、下部ハウジングシェルとを備える第1のサブアセンブリであって、キャップは、針カバーの少なくとも一部を受ける、第1のサブアセンブリと 注射器アセンブリのストッパを移動させるように構成された駆動アセンブリと、モータ本体とを備える第2のサブアセンブリであって、モータ本体は駆動アセンブリの少なくとも一部を受け入れ、第1のサブアセンブリのカセット本体はモータ本体の少なくとも一部を受け入れるように構成されている第2のサブアセンブリと、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリに組み立てる際に、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリに固定するように構成されたロッククリップとを備えてもよい。
-薬物送達装置は、バレル、ストッパ、カニューレ、及びカニューレの少なくとも一部を受け入れる剛性の高い針シールドを含む注射器アセンブリを含んでもよい。
-ロッククリップは、第2のサブアセンブリのモータ本体によって規定されたクリップ面に係合するように構成された突起部を有する本体を含んでいてもよい。
-カセット本体は、ロッククリップの一部を受け入れるように構成されたクリップ開口部を規定してもよい。
-ロッククリップはC字型でもよい。
-クリップ面は、モータ本体の凹部によって規定されていてもよく、カセット本体のクリップ開口部は、第1のサブアセンブリが第2のサブアセンブリと組み合わされたときに、モータ本体のクリップ面と整列するように構成されており、ロッククリップの一部は、カセット本体のクリップ開口部及びモータ本体の凹部を通って延び、ロッククリップの突起部が、モータ本体のクリップ面に係合するように構成されている。
-カセット本体が、第1及び第2の溝を規定し、モータ本体が第1及び第2のリブを規定し、カセット本体の第1の溝が、モータ本体の第1のリブを受け入れるように構成され、カセット本体の第2の溝が、モータ本体の第2のリブを受け入れるように構成されていてもよい。
-ロッククリップはカセット本体と一体的に形成されている。
-ロッククリップは、カセット本体の第1の側面に配置された第1のロッククリップと、カセット本体の第2の側面に配置された第2のロッククリップとを含んでいてもよい。
-モータ本体は、カセット本体のロッククリップと係合するように構成されたクリップ面を規定してもよい。
-上部ハウジングシェルは、下部ハウジングシェルに隣接して配置されるように構成されてもよい。
-モータ本体は、第1のチャネルを規定する第1の延長部を含み、カセット本体は、第2のチャネルを規定する第2の延長部を含み、モータ本体の第1のチャネルは、カセット本体の第2の延長部を受け入れるように構成されていてもよい。
-カセット本体の第2のチャネルは、モータ本体の第1の延長部を受け入れるように構成されていてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリと係合するように移動させるステップであって、第1のサブアセンブリは、キャップ、針カバー、注射器アセンブリを受けるように構成された注射器ホルダ、カセット本体、及び下部ハウジングシェルを含み、第2のサブアセンブリは、注射器アセンブリのストッパを移動させるように構成された駆動アセンブリ、及びモータ本体を含み、ロッククリップで第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリに固定するステップと、上部ハウジングシェルを第2のサブアセンブリと係合するように移動させるステップとを含む、薬物送達装置の組み立て方法に関する。
【0013】
この方法は、以下の機能のうち1つ又はいくつかを個別に、又は技術的に可能なすべての組み合わせに従って含むことができる。
-この方法は、第1のサブアセンブリの注射器ホルダに、注射器アセンブリを配置することを含み、注射器アセンブリは、バレル、ストッパ、カニューレ、及びカニューレの少なくとも一部を受け入れる剛性の高い針シールドを含む。
-ロッククリップは、突起部を有する本体を含み、モータ本体はクリップ面を規定し、カセット本体は、ロッククリップの一部を受け入れるように構成されたクリップ開口部を規定し、この方法は、ロッククリップの一部をカセット本体のクリップ開口部に挿入し、モータ本体のクリップ面に係合させて、カセット本体をモータ本体に固定することをさらに含む。
-ロッククリップは、カセット本体と一体的に形成されていてもよく、モータ本体はクリップ面を規定しており、この方法は、カセット本体のロッククリップが、モータ本体のクリップ面に係合するまで、カセット本体内にモータ本体を配置するステップであって、それによって、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリに固定する、モータ本体を配置するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の上述及びその他の特徴及び利点、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて取られた本開示の実施形態の以下の説明を参照することにより、より明らかになり、本開示自体もよりよく理解されるであろう。
【0015】
【
図1A】本願発明の一態様による薬物送達装置における収納位置を示す斜視図である。
【
図1B】
図1の薬物送達装置における使用前の位置を示す斜視図である。
【
図2A】
図1の薬物送達装置における収納位置を示す断面図である。
【
図2B】
図1の薬物送達装置における使用前の位置を示す断面図である。
【
図3】
図1の薬物送達装置における作動位置を示す斜視図である。
【
図4】
図1の薬物送達装置における作動位置を示す断面図である。
【
図5】
図1の薬物送達装置における注入位置を示す斜視図である。
【
図6】
図1の薬物送達装置における注入位置を示す断面図である。
【
図7】
図1の薬物送達装置における使用後の位置を示す斜視図である。
【
図8】
図1の薬物送達装置における使用後の位置を示す断面図である。
【
図9】
図1の薬物送達装置におけるロッククリップを示す斜視図である。
【
図10】
図1の薬物送達装置におけるロッククリップを示す分解斜視図である。
【
図11A】
図1の薬物送達装置におけるカセット本体のロックアームを示す部分断面図である。
【
図12】
図1の薬物送達装置における薬液の完全な送達前の使用後の位置を示す断面図である。
【
図13】
図1の薬物送達装置におけるカセット本体の底面斜視図である。
【
図14】
図1の薬物送達装置におけるロッククリップの上面斜視図である。
【
図15】
図1の薬物送達装置におけるモータ本体とロッククリップの斜視図である。
【
図16】本願発明のさらなる態様によるカセット本体及びモータ本体の底面斜視図である。
【
図18】本出願のさらなる態様による薬物送達装置の部分側面図であり、
図16のカセット本体及びモータ本体を示している。
【
図19】
図16のカセット本体とモータ本体の部分斜視図である。
【
図21】本願発明のさらなる態様による薬物送達装置における収納位置を示す斜視図である。
【
図22】
図21に示される線22-22に沿った断面図である。
【
図23】
図21の薬物送達装置におけるモータ本体の上面斜視図である。
【
図25】
図21の薬物送達装置におけるプランジャー本体の正面斜視図である。
【
図27】
図21の薬物送達装置におけるプランジャーロッド部の正面斜視図である。
【
図29】
図21の薬物送達装置におけるレバー作動部材の上面斜視図である。
【
図30】
図29の薬物送達装置におけるレバー作動部材の底面斜視図である。
【
図31】
図21の薬物送達装置の注射器ホルダの正面斜視図である。
【
図32】
図31の薬物送達装置の注射器ホルダの背面斜視図である。
【
図33】
図21の薬物送達装置における針カバーの正面斜視図である。
【
図34】
図33の薬物送達装置における針カバーの背面斜視図である。
【
図35】
図21の薬物送達装置におけるカセット本体の上面斜視図である。
【
図36】
図35の薬物送達装置におけるカセット本体の底面斜視図である。
【
図37】
図21の薬物送達装置におけるキャップの上面斜視図である。
【
図39】
図21の薬物送達装置における保持具の斜視図である。
【
図40】
図21の薬物送達装置における上部ハウジングシェルの断面図である。
【
図41】
図21の薬物送達装置の下部ハウジングシェルの斜視図である。
【
図43】
図21の薬物送達装置における注入位置を示す断面図である。
【0016】
対応する参照符号は、いくつかの図の中で対応している部分を示している。本明細書に提示される例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、そのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成及び使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、及び、代替物は、当業者に容易に明らかなことである。任意の、及び、全てのそのような修正、変形、等価物、及び代替物は、本発明の主旨および範囲の中に入ることが意図されたものである。
【0018】
以下、説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横」、「縦」、及び、それらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、及び、以下の明細書に記載される具体的な装置は、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、及び、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0019】
図1A-10を参照すると、本発明の一態様による薬物送達装置10は、第1のサブアセンブリ12、第2のサブアセンブリ14、及び注射器アセンブリ16を含む。第1のサブアセンブリ12は、外側部20を有するキャップ18と、針カバー22と、注射器ホルダ24と、カセット本体26と、下部ハウジングシェル28とを含む。第2のサブアセンブリ14は、駆動アセンブリ40と、モータ本体42と、レバー作動部材44と、上部ハウジングシェル46とを含む。注射器アセンブリ16は、注射器ホルダ24によって受け取られ、バレル52、ストッパ54、カニューレ56、及び、剛性の高い針シールド(RNS)58を含む。下部ハウジングシェル28、カセット本体26、及び、上部ハウジングシェル46は、一般的に、装置10の様々な構成要素を受け入れるためのハウジングを形成するが、他の適切なハウジング配置を利用してもよい。以下でより詳細に説明するように、第1のサブアセンブリ12と第2のサブアセンブリ14は、組み立て中に、ロッククリップ64によって互いに固定されるが、他の適切な配置を利用してもよい。薬物送達装置10は、自動注射器であってもよいが、本明細書に記載された特徴は、他の適切な薬物送達装置に組み込まれてもよい。
【0020】
薬物送達装置10は、装置10の作動時に、注射器アセンブリ16から患者に薬液を自動的に送達するように構成されている。より具体的には、薬物送達装置10を作動させると、駆動アセンブリ40は、注射器アセンブリ16のストッパ54に係合し、カニューレ56が患者の皮膚を貫通するように注射器アセンブリ16を変位させ、注射器アセンブリ16のバレル52内でストッパ54を変位させて、バレル52内の薬液を送達するように構成されている。薬物送達装置10は、収納位置(
図1A及び2A)、使用前の位置(
図1B及び2B)、作動位置(
図3及び4)、注入位置(
図5及び6)、及び、使用後の位置(
図7及び8)を含む。以下でより詳細に説明するように、針カバー22は、装置10が使用前の位置及び使用後の位置にあるときに、注射器アセンブリ16のカニューレ56を患者から遮蔽するように構成されている。特に、針カバー22は、使用前の位置、作動位置、及び、使用後の位置の間で移動可能であり、スプリング68が針カバー22を使用前の位置及び使用後の位置に向けて付勢している。スプリング68は、針カバー22と注射器ホルダ24の間に配置されているが、他の適切な配置を利用してもよい。レバー作動部材44は、駆動アセンブリ40の移動が阻止されるロック位置と、駆動アセンブリ40の移動が許容される解放位置との間で移動可能である。より具体的には、レバー作動部材44は、ロック位置と解放位置との間で回転軸70を中心に回転可能である。レバー作動部材44がロック位置にあるとき、レバー作動部材44は、モータ本体42及び駆動アセンブリ40に係合して、駆動アセンブリ40の移動を防止する。レバー作動部材44が解放位置にあるとき、レバー作動部材44はモータ本体42から外れ、それにより、駆動アセンブリ40の注射器アセンブリ16への移動が可能になる。レバー作動部材44の回転軸70は、装置10の長手方向の軸に対して垂直に延びているが、他の適切な配置を利用してもよい。
【0021】
再び
図1-10を参照すると、駆動アセンブリ40は、プランジャーロッド部82を有するプランジャー本体80と、駆動部材84とを含む。駆動部材84は、プランジャー本体80によって規定された駆動開口部86内に受け入れられる圧縮ばねであるが、圧縮ガス、電気モータ、油圧、他の種類のばね等を含むがこれらに限定されない他の適切な駆動部材を利用してもよい。駆動部材84は、プランジャー本体80とモータ本体42とを係合させ、プランジャー本体80を、第2のサブアセンブリ14から第1のサブアセンブリ12に向かって延びる方向に偏らせる。プランジャー本体80は、レバー作動部材44を受け入れ、レバー作動部材44の回転軸70を規定するレバー開口部88を規定する。レバー作動部材44は、レバー作動部材44とモータ本体42との係合により、レバー作動部材44がロック位置にあるとき、プランジャー本体80の移動を阻止する。レバー作動部材44がロック位置から解除位置に回転すると、レバー作動部材44はモータ本体42から外れ、それにより、駆動部材84がプランジャー本体80及びプランジャーロッド部82を第1のサブアセンブリ12に向かって移動させることができる。プランジャーロッド部82及び駆動部材84は、互いに間隔を空けて平行に配置されており、装置10の長手方向に延びている。
【0022】
駆動アセンブリ40は、上部ハウジングシェル46に固定され、プランジャー本体80の駆動開口部86内に受け入れられるスプリングガイド部材90をさらに含む。駆動部材84は、プランジャー本体80とスプリングガイド部材90との間に配置されるように、スプリングガイド部材90によって受け取られる。また、駆動アセンブリ40は、プランジャー本体80のプランジャーロッド部82を受けるプランジャーロッドカバー92を含む。プランジャーロッドカバー92は、プランジャーロッド部82の注射器アセンブリ16のバレル52への挿入をガイドし、注射器アセンブリ16のストッパ54と係合して、注射器アセンブリ16のバレル52から薬液を吐出するように構成されている。なお、プランジャーロッドカバー92とプランジャーロッド部82は、一体的に形成されていてもよいし、別部材として形成されていてもよい。
【0023】
また、駆動アセンブリ40のプランジャー本体80は、装置10が使用後の位置に遷移したときに、ユーザに可聴表示を行うように構成された音声表示部材94を含む。以下でより詳細に説明するように、音声表示部材94は、装置10が注入位置にあるときに、カセット本体26の1つ以上のリブ96と係合し、それによって音声表示部材94を偏向させるように構成されている。薬物送達装置10が注入位置から使用後の位置に移行すると、音声表示部材94は、カセット本体26のリブ96から外れ、下部ハウジングシェル28に接触して、可聴のクリック感を提供するが、音声表示部材94は装置10の他の適切な部分に接触して可聴表示を提供することも可能である。
【0024】
図1A-2Bを参照すると、収納位置では、キャップ18は、下部ハウジングシェル28に固定され、針カバー22と係合している。針カバー22が使用前の位置から作動位置に移動すると、針カバー22とレバー作動部材44との間に係合が生じ、それによって駆動アセンブリ40が作動する。外側部20を把持してキャップ18を取り外した後、針カバー22を患者の皮膚表面に押し当てて、装置10を皮膚表面に軸方向に押し付けることにより、針カバー22を使用前の位置から作動位置に移動させてもよい。以下に詳述するように、キャップ18と針カバー22との間の係合により、針カバー22がレバー作動部材44との係合に移動することが防止される。したがって、装置10からキャップ18を取り外すことで、装置10の作動が可能となる。
図1B及び
図2Bに示すように、装置10からキャップ18を取り外すと、注射器バレル52からRNS58も取り外され、それにより、装置10の使用前の位置で針カバー22内にまだ受け入れられているカニューレ56が露出する。キャップ18は、RNS58の取り外しを容易にするために、外側部20内に受け入れられる1つ以上の構成要素を含んでもよい。
【0025】
図3及び
図4を参照すると、作動位置では、キャップ18が取り外され、針カバー22が患者の皮膚面に係合して作動位置に配置され、これにより、針カバー22が装置10内で第2のサブアセンブリ14に向かってさらに移動する。針カバー22が、装置10内で十分な距離を移動すると、針カバー22の一部が、レバー作動部材44に係合し、これによりレバー作動部材44が回転軸70を中心にロック位置から解除位置まで回転する。
【0026】
図5及び
図6を参照すると、注入位置では、レバー作動部材44は解放位置にあり、これにより、駆動アセンブリ40のプランジャー本体80が、プランジャー本体80又はプランジャーロッドカバー92が注射器アセンブリ16のストッパに係合するように、第1のサブアセンブリ12に向かって移動することができる。駆動アセンブリ40と注射器アセンブリ16との最初の係合は、注射器ホルダ24がカセット本体26によって規定されたストップ102に突き当たるまで、注射器アセンブリ16及び注射器ホルダ24を装置10内でカセット本体26に対して相対的に移動させるものである。針カバー22が、患者の皮膚表面に押し付けられた状態における、注射器アセンブリ16及び注射器ホルダ24のこの初期の動きの間に、注射器アセンブリ16のカニューレ56は、針カバー22を越えて延び、患者の皮膚表面を貫通する。駆動部材84によって駆動されるプランジャー本体80のさらなる移動は、ストッパ54を注射器アセンブリ16のバレル52に対して相対的に移動させ、注射器アセンブリ16のバレル52から、カニューレ56を介して、患者の中に薬液を吐出する。プランジャー本体80は、ストッパ54が注射器アセンブリ16のバレル52上で底に達するまで動き続ける。ストッパ54が底に達すると、音声表示部材94がカセット本体26のリブ96から外れ、ほぼ同時に下部ハウジングシェル28に接触して、患者に薬の投与が完了したことを可聴表示で提供することができる。可聴表示に加えて、薬物送達装置10は、装置10の状態を患者に通知するための1つまたは複数の視覚表示を提供する。特に、カセット本体26は、駆動アセンブリ40、注射器ホルダ24、及び/又は、注射器アセンブリ16によって提供されるストッパ54、及び/又は、別の視覚表示の動きを視覚的に確認できるように、透明な材料から形成されてもよい。下部ハウジングシェル28は、表示開口部104も規定しており、プランジャー本体80が最終位置にあり、薬の用量が送出されたことを視覚表示で提供することができる。視覚表示は、装置の様々な状態を示すために、対照的な色、シンボル、パターン、又はその他の適切な視覚的表示を利用することができる。
【0027】
図7,
図8,
図11A,
図11B,
図12を参照すると、使用後の位置では、針カバー22が患者の皮膚表面から取り外されたときに、カニューレ56を遮蔽するために針カバー22が使用後の位置まで延びる。
図11Bにより明確に示すように、カセット本体26はロックアーム106を含み、針カバー22はロック突出部108を含むが、他の適切な構成を利用してもよい。カセット本体26のロックアーム106は、針カバー22のロック突出部108と係合して、装置10のそれ以上の使用や、注射器アセンブリ16のカニューレ56の露出を防止する。注入位置から使用後の位置への装置10の移行中に、カセット本体26のロックアーム106がたわみ、針カバー22のロック突出部108がカセット本体26を通過するのを許容し、ロックアーム106が元の位置に戻って針カバー22が使用前の位置及び作動位置に向かって戻る動きを防止する。針カバー22の使用前の位置では、針カバー22の一部が注射器ホルダ24のカバーストップ110と係合して、第2のサブアセンブリ14から第1のサブアセンブリ12に向かって延びる方向への針カバー22の軸方向の移動を制限する。装置10の使用後、注射器ホルダ24は、針カバー22に対してカセット本体26内で変位し、これにより、患者が針カバー22を皮膚表面から取り外す際に、針カバー22が使用後の位置まで延びることができる。
図12に示すように、針カバー22は、注射器アセンブリ16のバレル52内のストッパ54の位置にかかわらず、針カバー22が患者の皮膚表面から取り外されると、使用後の位置に移動する。したがって、薬の投与量の一部のみが送出された後に、患者が針カバー22を皮膚表面から取り除いた場合でも、針カバー22は使用後の位置に移動し、装置10のさらなる使用を防止する。
【0028】
図9,
図10及び
図13-15を参照すると、ロッククリップ64は、第1のサブアセンブリ12の第2のサブアセンブリ14への組み立て時に、第1のサブアセンブリ12を第2のサブアセンブリ14に固定するように構成される。
図9に示すように、カセット本体26は、モータ本体42の少なくとも一部を受け入れるように構成される。
図10には示されていないが、注射器アセンブリ16は、第1のサブアセンブリ12を第2のサブアセンブリ14に組み付ける前に、注射器ホルダ24内に配置される。
図14に示すように、ロッククリップ64は、第2のサブアセンブリ14のモータ本体42によって規定される少なくとも1つのクリップ面124と係合するように構成された少なくとも1つの突起部122を有する本体120を含む。
図15を参照すると、ロッククリップ64は、2つの突起部122を含み、モータ本体42は、2つのクリップ面124を含むが、他の適切な配置を利用してもよい。さらに、
図13により明確に示されているように、カセット本体26は、ロッククリップ64の一部を受け入れるように構成された少なくとも1つのクリップ開口部126を規定している。
図13に示すように、2つのクリップ開口部126が設けられているが、他の適切な配置を利用してもよい。ロッククリップ64はC字型ですが、他の適切な形状や構成を利用してもよい。カセット本体26のクリップ開口部126は、第1のサブアセンブリ12が第2のサブアセンブリ14と組み合わされたときに、モータ本体42のクリップ面124と整列するように構成される。より具体的には、一態様では、クリップ開口部126は、装置10の長手方向軸に沿って延びる方向でクリップ面124と位置合わせされる。ロッククリップ64の一部は、ロッククリップ64の突起部122がモータ本体42のクリップ面124に係合した状態で、クリップ開口部126を通って延びるように構成される。カセット本体26は、第1及び第2の溝128,130を規定し、モータ本体42は、第1及び第2のリブ132,134を規定する。カセット本体26の第1の溝128は、モータ本体42の第1のリブ132を受け入れるように構成され、カセット本体26の第2の溝130は、モータ本体42の第2のリブ134を受け入れるように構成される。
【0029】
図9及び
図10を参照すると、本願発明の一態様による薬物送達装置10を組み立てる方法は、第1のサブアセンブリ12を第2のサブアセンブリ14と係合するように移動させることと、第1のサブアセンブリ12をロッククリップ64で第2のサブアセンブリ14に固定することと、上部ハウジングシェル46を下部ハウジングシェル28と係合するように移動させることとを含む。第1のサブアセンブリ12は、第2のサブアセンブリ14と軸方向に位置合わせされ、モータ本体42は、カセット本体26の第1及び第2の溝128,130がモータ本体42の第1及び第2のリブ132,134を受け入れるまで、第1及び第2のサブアセンブリ12,14が互いに移動してカセット本体26内に配置される。カセット本体26の第1及び第2の溝128,130は、モータ本体42のカセット本体26への挿入をガイドする。モータ本体42とカセット本体26は、カセット本体26のクリップ開口部126がモータ本体42のクリップ面124と整列するまで、互いに向かって移動されるが、これは、モータ本体42が第1のサブアセンブリ12の下部ハウジングシェル28に接触したときに起こり得る。
図10には示されていないが、第1及び第2のサブアセンブリ12,14の組み立てに先立って、注射器アセンブリ16は、注射器ホルダ24内に配置される。ロッククリップ64の本体120の一部が、突起部122がモータ本体42のクリップ面124に係合するまでカセット本体26のクリップ開口部126に挿入されることで、カセット本体26がモータ本体42に固定され、第1のサブアセンブリ12が第2のサブアセンブリ14に固定される。
【0030】
図16-20を参照すると、本願発明のさらなる態様によれば、上述した別個のロッククリップ64を設けるのではなく、第1のサブアセンブリ12を第2のサブアセンブリ14に固定するためのロッククリップ140が、カセット本体26と一体的に形成される。より具体的には、カセット本体26は、カセット本体26の両側に2つのロッククリップ140を含んでいるが、1つ以上のロッククリップ140を設けてもよい。ロッククリップ140は、
図9及び
図10のロッククリップ64と同様の方法で、第1のサブアセンブリ12の第2のサブアセンブリ14への組み立て時に、第1のサブアセンブリ12を第2のサブアセンブリ14に固定するように構成される。モータ本体42の側面142は、カセット本体26のロッククリップ140に係合するように構成されたクリップ面124を規定しているが、ロッククリップ140の構成に応じて1つ以上のクリップ面124を設けてもよい。モータ本体42がカセット本体26によって受け取られると、
図17により明確に示されているロッククリップ140は、モータ本体42がカセット本体26に完全に挿入され、ロッククリップ140がクリップ面124位置合わせされるまで、半径方向外側にたわむように構成されており、それによって、ロッククリップ140が元の偏っていない位置に戻ることができる。
図20に示すように、上部ハウジングシェル46は、上部ハウジングシェル46が下部ハウジングシェル28と係合しているときに、クリップ面124からのロッククリップ140の係合解除を防止するように構成される。より具体的には、上部ハウジングシェル46がモータ本体42の上に配置され、下部ハウジングシェル28と係合したとき、上部ハウジングシェル46は、ロッククリップ140が半径方向外側にたわむのを防止し、これにより、ロッククリップ140がモータ本体42のクリップ面124から外れるのを防止することができる。カセット本体26及びモータ本体42の上に配置されると、上部ハウジングシェル46は、そのような半径方向のたわみを防止するためにロッククリップ140に十分近接して配置され、ロッククリップ140の移動時にロッククリップ140と係合する。
【0031】
図18及び
図19を参照すると、モータ本体42は、第1のチャネル146を規定する第1の延長部144を含み、カセット本体26は、第2のチャネル150を規定する第2の延長部148を規定する。モータ本体42の第1のチャネル146は、カセット本体26の第2の延長部148を受け入れるように構成される。カセット本体26の第2のチャネル150は、モータ本体42の第1の延長部144を受け入れるように構成される。モータ本体42は、2つの第1の延長部144と2つの第1のチャネル146を含み、カセット本体26は、2つの第2の延長部148と2つの第2のチャネル150を含むが、1つ以上の第1及び第2の延長部144,148と1つ以上の第1及び第2のチャネル146,150を設けてもよい。
【0032】
図16を参照すると、カセット本体26のロッククリップ140がモータ本体42のクリップ面124に係合するまで、モータ本体42をカセット本体26内に位置決めすることにより、第1のサブアセンブリ12が第2のサブアセンブリ14に固定される。上述したように、上部ハウジングシェル46を下部ハウジングシェル28との係合状態に移動させることで、クリップ面124からのロッククリップ140の係合解除が防止される。第1及び第2のチャネル146,150と第1及び第2の延長部144,148とのそれぞれの係合により、モータ本体42のカセット本体26への挿入が案内される。
【0033】
図21-45を参照すると、本発明のさらなる態様による薬物送達装置300が示されている。薬物送達装置300は、
図1A-20に示す薬物送達装置10と類似しているが、詳細は後述する特定の相違点がある。薬物送達装置300は、他の構成要素の中でも、モータ本体302、プランジャー本体304、プランジャーロッド部306、レバー作動部材308、注射器ホルダ310、針カバー312、カセット本体314、キャップ316、保持具318、上部ハウジングシェル320、及び下部ハウジングシェル322を含む。
【0034】
図21-24を参照すると、モータ本体302は、
図1A-20のモータ本体42と同様であり、同様に機能するが、長手方向溝324、補強リブ326、及び、カセットクリップ328をさらに含む。長手方向溝324は、プランジャー本体304の成形割線を受け入れるように構成されており、モータ本体302とプランジャー本体304との間の円滑な摺動を確保している。補強リブ326は、モータ本体302の一対のアーム260をさらに支持する。カセットクリップ328は、カセット本体314によって規定された開口部330によって受け取られ、モータ本体302をカセット本体314に固定するが、これについては以下で詳細に説明する。カセットクリップ328は、角度の付いた面332と平面334とを含み、カセット本体314の開口部330へのカセットクリップ328の挿入を可能にするが、カセット本体314の開口部330に挿入されたカセットクリップ328の容易な取り外しを防止するように構成される。モータ本体302の底面336には、装置300の組み立てを支援するための面取り部338が設けられている。
【0035】
図22及び
図25-28を参照すると、プランジャー本体304は、一体的に形成されるのではなく、プランジャーロッド部306とは別個に形成される。さらに、装置300は、プランジャーロッドカバー92を含まない。プランジャー本体304は、プランジャーロッド部306のプランジャーロッドクリップ342を受け入れる開口部340を規定する。プランジャーロッドクリップ342は返しの形状であり、プランジャー本体304の開口部340に挿入され、開口部340からは容易に取り外せないように構成されているが、他の適切な形状や構成を利用してもよい。プランジャーロッドクリップ342は、中央開口部344を規定しており、これにより、プランジャーロッドクリップ342がプランジャー本体304の開口部340に挿入される際に圧縮され、プランジャー本体304内に受け取られると元の形状に拡張される。プランジャーロッド部306は、プランジャー本体停止部346と、バイアス部材348とを含む。1つ以上の突起部であってもよいプランジャー本体停止部346は、プランジャーロッドクリップ342が、プランジャー本体304の開口部340に挿入されたときに、プランジャー本体304に接触する。バイアス部材348は、プランジャーロッドクリップ342がプランジャー本体304の開口部340に挿入されている間、プランジャー本体304に係合し、プランジャーロッド部306をプランジャー本体304に向けてバイアスする。バイアス部材348は、組み立て後にプランジャー本体304とプランジャーロッド部306との間に隙間が生じないようにしつつ、プランジャーロッドクリップ342をプランジャー本体304の開口部340に挿入するための追加の余裕を与える。プランジャーロッド部306のバイアス部材348は環状であるが、他の適切な形状および構成が利用され得る。
【0036】
プランジャーロッド部306は、ストッパ54によって受け止められるストッパインターフェース350をさらに含む。ストッパインターフェース350は、十字型の突起部であるが、他の適切な形状や構成を利用してもよい。プランジャーロッド部306は、注射器アセンブリ16にかかるストレスを軽減するように構成された円錐形の外部形状を有しているが、他の適切な形状を利用してもよい。プランジャー本体304には、プランジャー本体304のレバー開口部88に延びるレバーリブ352が設けられる。レバーリブ352は、以下でより詳細に説明するように、レバー作動部材308によって受け取られるように構成される。
【0037】
図29及び
図30を参照すると、レバー作動部材308は、上述し、
図1A-20に示すレバー作動部材44と同様であり、同様に機能する。しかしながら、レバー作動部材308は、プランジャー本体304のレバーリブ352を受け入れる溝354を回転軸70に規定する。溝354とレバーリブ352との係合により、プランジャー本体304とレバー作動部材308との間の相対的な横方向の移動が防止される。レバー作動部材308の針カバー接触面142は、
図1A-20のレバー作動部材44の針カバー接触面142と比較して、より大きな面を含んでいる。
【0038】
図31及び
図32を参照すると、注射器ホルダ310は、
図1A-20の注射器ホルダ24と同様であり、同様に機能する。しかしながら、注射器ホルダ310は、注射器ホルダ310の周囲に円周方向に延びる複数のリブ356をさらに含む。複数のリブは、スプリング68と係合している。注射器ホルダ310の固定リング220は、半径方向内側に延びる複数の突起部358をさらに含む。複数の突起部358は、注射器アセンブリ16と係合して、注射器アセンブリ16の外面と注射器ホルダ310との間のギャップを除去する。複数の突起部358は、エラストマーであり、注射器アセンブリ16が注射器ホルダ310内に受け入れられるときに圧縮され得る。
【0039】
図33及び34を参照すると、針カバー312は、
図1A-20の針カバー22と同様であり、同様に機能する。針カバー312は、スプリング68と係合してスプリング68を針カバー312と注射器ホルダ310の間に保持するスプリングリブ360を含む。また、針カバー312は、カセット本体314に対する針カバー312の移動をガイドするためのカセットリブ362を含む。
【0040】
図35,36,44及び45を参照すると、カセット本体314は、
図1A-20のカセット本体26と同様であり、同様に機能する。上述したように、カセット本体314は、モータ本体302のカセットクリップ328を受け入れる開口部330を含む。カセット本体314は、針カバー312のクリップ面366に係合する針カバークリップ364を含む。針カバー312のクリップ面366は平面であるが、他の適切な形状や構成を利用してもよい。針カバークリップ364は、カセット本体314に対する針カバー312の軸方向の移動を制限するように構成される。カセット本体314は、モータ本体リブ368及び上部ハウジングシェルリブ370をさらに含み、これらは、モータ本体302及び上部ハウジングシェル320の対応する部分に係合して、装置300の組み立てを助けるように構成される。カセット本体314は、注射器ホルダ310の一部と係合して、カセット本体314に対する注射器ホルダ310の軸方向の移動を制限するように構成された、注射器ホルダストップ372も含む。
図44には示されていないが、ロッククリップ64も薬物送達装置300で利用されてもよい。
【0041】
図37-42を参照すると、キャップ316は、上述し、
図1A-20に示したキャップ18と同様であり、同様に機能する。キャップ316は、
図1A-20のキャップ18のそれらの要素の位置に対して90度相対的に配置された、針カバー312によって規定されたキャップ開口部376によって受け取られる突出部374を含む。キャップ316の突出部374は、針カバー312が使用前の位置から作動位置に移動する際に、針カバー312と係合するように構成される。例えば、キャップ316が下部ハウジングシェル322に固定された収納位置に装置300がある状態で、針カバー312、レバー作動部材308、及び/又は他の構成要素に力を加えるために装置を落としたり、衝撃を与えたりすると、突出部374が針カバー312の移動を制限し、これにより装置300の意図しない作動を防止することができる。キャップ316は、保持具クリップ378と、保持具318のウィング382と係合するためのリブ380とをさらに含む。保持具クリップ378及びリブ380は、保持具318をキャップ316に固定し、キャップ316に対する保持具318の動きやぐらつきを防止する。保持具318は、キャップ316が下部ハウジングシェル322から取り外されたときに、RNS58を取り外すように構成される。キャップ316は、キャップ316を下部ハウジングシェル322に固定するために、下部ハウジングシェル322に係合するための下部ハウジングシェルクリップ384を含む。上部ハウジングシェル320及び下部ハウジングシェル322は、上述した上部ハウジングシェル46及び下部ハウジングシェル28と同様であり、
図1A-20に示すように、同様に機能する。しかし、下部ハウジングシェル322は、キャップ316の下部ハウジングシェルクリップ384を受け入れるためのキャップインターフェース386を有している。
【0042】
図43を参照すると、薬物送達装置300は、注入位置にある状態で示されている。カニューレ56の注入深さは、点Xでの注射器ホルダ310とカセット本体314との接触と、点Yでの針カバー312と注射器ホルダ310との接触によって決定される。
【0043】
図43を参照すると、薬物送達装置300は、音声表示部材388を含み、この音声表示部材388は、上述し、
図1A-20に示された音声表示部材94と同様であり、同様に機能する。上述した音声表示部材94と同様に、薬物送達装置300の音声表示部材388は、装置300が使用後の位置に移行する際に、ユーザに可聴表示を提供するように構成される。音声表示部材388は、装置300が注入位置にあるときに、カセット本体314のリブ390に係合し、それによって音声表示部材388を偏向させるように構成される。音声表示部材388は、カセット本体314のリブ390から外れ、下部ハウジングシェル322に接触して、薬物送達装置300が注入位置から使用後の位置に移行する際に、可聴クリックを提供する。しかしながら、カセット本体314のリブ390の遠位端392は、上部ハウジングシェル320に向かって後方に角度が付けられており、これは、
図1A-20に関連して上述したカセット本体26のリブ96の配置と比較して、より大きな可聴クリックを有益に提供する。
【0044】
一態様又は実施形態において、装置300の長手方向軸に垂直に延びる平面に対するカセット本体314のリブ390の遠位端392の角度Zは、5度よりも大きい。一態様又は実施形態において、リブ390の遠位端392の角度Zは、10度よりも大きい。一つの側面又は実施形態では、遠位端392の角度Zは25度である。
【0045】
1つの開示された側面の要素は、1つ又は複数の他の開示された側面の要素と組み合わせて、異なる組み合わせを形成することができ、そのすべてが本発明の範囲内であると考えられる。
【0046】
本開示は例示的な構造を有するように記載されてきたが、本開示は、本開示の精神及び範囲の中でさらに修正され得るものである。したがって、本願は、その一般原則を用いた本開示のあらゆる変形、使用、または適応を包含することを意図している。さらに、本願は、本開示が関連する技術分野における既知又は慣例の範囲内で、添付の請求項の範囲内に収まるような本開示からの逸脱をカバーすることを意図している。