IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

特許7356520情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230927BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20230927BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/04 C
G07C5/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021574615
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2021001024
(87)【国際公開番号】W WO2021153251
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2020011880
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】友野 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】光永 直喜
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁太
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112892(JP,A)
【文献】特開2016-139181(JP,A)
【文献】特開2011-28651(JP,A)
【文献】特開2016-151910(JP,A)
【文献】特開2016-139282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 60/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周囲を撮像した周囲画像に相当する周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する識別情報抽出手段と、
過去の危険運転履歴に基づいて特定された移動体である特定移動体の移動体識別情報と、前記抽出された移動体識別情報と、が一致したとき、当該一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を開始する記録制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記特定移動体は、前記過去の危険運転履歴に基づく危険度の評価により特定された移動体であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置において、
前記一致した移動体識別情報と、前記記録中において前記特定移動体が危険な移動を行ったどうかを示す評価情報と、を含む危険運転車両情報を外部に送信する送信手段を更に備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動体装置において、
前記一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報から、当該他の移動体の外観上の特徴を抽出する特徴抽出手段を更に備え、
前記記録制御手段は、前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を開始した以降は、前記抽出された特徴に基づいて当該周囲画像情報の記録を継続することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記特徴抽出手段は、前記外観上の特徴として、前記一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体の外形の特徴又は色の特徴を抽出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記特徴抽出手段は、前記外形の特徴を光学的に検出する光学特徴検出手段を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記記録制御手段は、前記外観上の特徴が抽出できなくなった時点で、前記一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録停止制御を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記記録制御手段は、前記一致した前記移動体識別情報の前記特徴抽出手段による抽出ができなくなった時点以降、当該一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を予め設定された記録時間だけ継続することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記周囲画像情報の記録を指示する際に操作される操作手段と、
前記一致した移動体識別情報の前記他の移動体における危険な移動の有無を判定する判定手段と、
前記記録された周囲画像情報を削除する削除手段と、
前記危険な移動があると判定された場合、又は、前記操作手段における操作があった場合に、前記記録された周囲画像情報の削除を禁止するように前記削除手段を制御する削除制御手段と、
を更に備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理装置において、
削除制御手段は、前記危険な移動があると判定されず、且つ、前記操作がなかった場合、前記記録された周囲画像情報を削除するように前記削除手段を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
抽出手段と、記録制御手段と、を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
移動体の周囲を撮像した周囲画像に相当する周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を前記抽出手段により抽出する識別情報抽出工程と、
過去の危険運転履歴に基づいて特定された移動体である特定移動体の移動体識別情報と、前記抽出された移動体識別情報と、が一致したとき、前記記録制御手段により、当該一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を開始する記録制御工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
情報処理装置に含まれるコンピュータを、
移動体の周囲を撮像した周囲画像に相当する周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する識別情報抽出手段、及び、
過去の危険運転履歴に基づいて特定された移動体である特定移動体の移動体識別情報と、前記抽出された移動体識別情報と、が一致したとき、当該一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を開始する記録制御手段、
として機能させることを特徴とする情報処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、移動体の周囲を撮像した周囲画像に関する情報処理を行う情報処理装置及び情報処理方法、並びに当該情報処理装置において実行される情報処理用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるあおり運転等の迷惑運転又は危険運転が話題に挙がることが多い。なお以下の説明において、上記危険運転又は迷惑運転を、纏めて「危険運転」と称する。ここで、他の車両により行われている危険運転が自車両の運転に影響を及ぼすような場面に遭遇した場合、例えばいわゆるドライブレコーダ等を用いて当該他の車両の状況を示す画像等を記録しておくことが望ましい。このような画像等の記録に関連する従来技術を開示した先行技術文献としては、下記特許文献1が挙げられる。
【0003】
この特許文献1に記載された従来技術では、自車両にカメラを備えて周囲を撮像すると共に、自車両の周辺で他の車両が危険な運転を行った場合、その状況を撮像した画像を、その位置・日時及び当該他の車両の車両登録番号等と共に一つのデータとして保存し、これを外部のサーバへ送信する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-342883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自車両が上述したような危険な場面に遭遇した場合、特許文献1に開示されている従来技術では、運転者自らが車内に設置されたボタンを操作して上記カメラによる撮像を開始することとされている。そして、このような構成では、運転者がボタンを操作しない限り当該撮像が行われない(換言すれば、対応するデータの保存も行われない)こととなるが、上記のような危険な場面では、運転者に冷静に上記ボタンを操作することを求めるのが酷な場合がある。
【0006】
そこで本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、危険運転をしている他の車両を撮像した画像等の記録を、運転者の操作等なく確実に開始することが可能な情報処理装置及び情報処理方法、並びに当該情報処理装置において実行される情報処理用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体の周囲を撮像した周囲画像に相当する周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する識別情報抽出手段と、過去の危険運転履歴に基づいて特定された移動体である特定移動体の移動体識別情報と、前記抽出された移動体識別情報と、が一致したとき、当該一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を開始する記録制御手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、抽出手段と、記録制御手段と、を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、移動体の周囲を撮像した周囲画像に相当する周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を前記抽出手段により抽出する識別情報抽出工程と、過去の危険運転履歴に基づいて特定された移動体である特定移動体の移動体識別情報と、前記抽出された移動体識別情報と、が一致したとき、前記記録制御手段により、当該一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を開始する記録制御工程と、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項12に記載の発明は、情報処理装置に含まれるコンピュータを、移動体の周囲を撮像した周囲画像に相当する周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する識別情報抽出手段、及び、過去の危険運転履歴に基づいて特定された移動体である特定移動体の移動体識別情報と、前記抽出された移動体識別情報と、が一致したとき、当該一致した移動体識別情報が抽出された前記他の移動体を撮像した前記周囲画像情報の記録を開始する記録制御手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】実施例の情報提供システムの概要構成を示すブロック図である。
図3】実施例の情報提供システムを構成する車載装置等の概要構成を示すブロック図であり、(a)は当該車載装置の概要構成を示すブロック図であり、(b)は実施例の情報提供システムを構成するサーバ装置の概要構成を示すブロック図である。
図4】実施例の情報提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態の情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理装置Tは、識別情報抽出手段11bと、記録制御手段11aと、を備えて構成されている。
【0013】
この構成において、識別情報抽出手段11bは、移動体の周囲を撮像した周囲画像に相当する周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する。
【0014】
そして、記録制御手段11aは、過去の危険運転履歴に基づいて特定された移動体である特定移動体の移動体識別情報と、識別情報抽出手段11bにより抽出された移動体識別情報と、が一致したとき、当該一致した移動体識別情報が抽出された上記他の移動体を撮像した上記周囲画像情報の記録を開始する。
【0015】
以上説明したように、実施形態の情報処理装置Tの構成によれば、上記周囲画像情報から抽出された移動体識別情報と、特定移動体の移動体識別情報と、が一致したとき、当該一致した移動体識別情報が抽出された他の移動体を撮像した周囲画像情報の記録を開始するので、当該周囲画像情報の記録を、ユーザの操作等なく確実に開始することができる。
【実施例
【0016】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図4を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、上記危険運転を行う車両に関する情報を、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバ装置から、各車両にそれぞれ搭載された車載装置に対して提供する情報提供システムに対して本願を適用した場合の実施例である。
【0017】
また、図2は実施例の情報提供システムの概要構成を示すブロック図であり、図3は当該情報提供システムを構成する車載装置等の概要構成を示すブロック図であり、図4は実施例の情報提供処理を示すフローチャートである。このとき図2及び図3では、図1に示した実施形態の情報処理装置Tにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該情報処理装置Tにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0018】
図2に示すように、実施例の情報提供システムSは、インターネット又は独自回線等からなるネットワークNWを介して、それぞれが例えば車両に搭載された車載装置T1、車載装置T2、…、車載装置Tn(nは自然数)と、情報提供サーバSVと、が、相互に情報又はデータの授受が可能に接続されて構成されている。これら車載装置T1、車載装置T2、…、車載装置Tnは、具体的には、例えばドライブレコーダとして実現されるものである。なお以下の説明において、車載装置T1、車載装置T2、…、車載装置Tn(nは自然数)について共通の事項を説明する場合、これらを纏めて「車載装置T」と称する。また、説明の対象となっている車載装置Tが搭載されている車両を、以下「自車両」と称する。このとき、車載装置Tが実施形態の情報処理装置Tの一例に相当する。
【0019】
以上の構成において、情報提供サーバSVは、過去に危険運転をしたとされた車両を識別する車両識別情報(具体的には、当該車両の車両登録番号(いわゆるナンバープレートに記載されている車両ナンバー))と、実施例の危険度スコアと、実施例の危険フラグと、を、相互に関連付け、危険運転履歴として不揮発性に記録している。このとき上記危険度スコアは、危険運転に関するその車両の危険度を定量的に示すスコアである。また上記危険フラグは、当該危険度スコアに基づいて、その車両が危険運転を常習的に行う車両であるか否かを示すフラグである。なお以下の説明において、危険運転を常習的に行う車両を、「危険運転常習車両」と称する。
【0020】
そして情報提供サーバSVは、各車載装置TからネットワークNWを介して送信されてきた実施例の照会要求に応じて、当該照会要求の対象たる他の車両が危険運転常習車両か否かを示す応答を、当該照会要求を送信してきた車載装置TにネットワークNWを介して送信する。これにより、照会要求を送信した車載装置Tは、当該照会要求の対象たる他の車両(自車両以外の他の車両のいずれか)が危険運転常習車両か否かを認識する。そして車載装置Tは、照会要求の対象たる他の車両が危険運転常習車両であった場合、例えば自車両の運転者等による指示操作がない場合でも、その危険運転常習車両を撮像した画像情報の、実施例のSD(Super Density又はSecure Digital)カードへの記録(保存)を行う。なお以下の説明において、実施例のSDカードへの記録を、単に「SDカードへの保存」と称する。
【0021】
一方、各車載装置Tは、自車両以外の他の車両(危険運転常習車両か否かを問わない)による危険運転について、その危険運転の程度を示す評価情報(危険運転がなかった旨の評価情報を含む)と、当該危険運転を行った他の車両の車両識別情報と、を関連付けた実施例の危険運転車両情報を、ネットワークNWを介して情報提供サーバSVにそれぞれ送信する。そして、当該危険運転車両情報を受信した情報提供サーバSVは、当該受信した危険運転車両情報に含まれている上記評価情報及び上記車両識別情報に基づき、その車両についての上記危険度スコア及び危険フラグを更新する。このとき、上記評価情報により示される危険運転の程度が高い場合は、危険度スコアが増大するように更新され、危険運転がなかった場合は危険度スコアが減少するように更新される。
【0022】
また、各車載装置Tでは、危険運転の発生状況に応じて、危険運転の発生によりSDカードへ保存した、当該危険運転を行った車両を撮像した画像情報を、当該SDカードから削除する。
【0023】
次に、実施例の情報提供システムSを構成する車載装置T及び情報提供サーバSVそれぞれの構成及び動作について、より具体的に説明する。
【0024】
先ず、実施例の車載装置Tは、図3(a)に示すように、インターフェース10と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部11と、リーダ/ライタ12と、メモリ13と、操作ボタン又はタッチパネル等からなる操作部14と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等からなるカメラ15と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機又は加速度センサ等からなるセンサ部16と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ17と、により構成されている。また、処理部11は、実施例の記録/削除制御部11aと、実施例の抽出部11bと、実施例の判定部11cと、により構成されている。このとき、上記記録/削除制御部11a、上記抽出部11b及び上記判定部11cは、処理部11の上記CPU等からなるハードウェアロジック回路により実現されてもよいし、後述する実施例の情報提供処理に対応するプログラムを当該CPUが読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。また、抽出部11bが実施形態の識別情報抽出手段11bの一例及び本願の「特徴抽出手段」の一例にそれぞれ相当し、記録/削除制御部11aが実施形態の記録制御手段11aの一例並びに本願の「削除手段」の一例及び「削除制御手段」の一例にそれぞれ相当し、判定部11cが本願の「判定手段」の一例に相当する。
【0025】
以上の構成において、インターフェース10は、処理部11の制御の下、ネットワークNWを介した情報提供サーバSVとの間のデータの授受を制御する。カメラ15は、例えば自車両の前方及び後方をその撮像範囲とするものであり、処理部11の制御の下、当該撮像範囲を撮像した結果としての画像情報を処理部11に出力する。なお、カメラ15の撮像範囲は、例えば自車両の全周であってもよい。メモリ13は、処理部11の制御の下、当該画像情報を一時的に記録する。センサ部16は、上記GNSS受信機による航法電波の受信結果等に基づいて、例えば自車両の位置を示す位置データを制御部11に出力する。操作部14は、自車両の例えば運転者による操作に応じた操作信号を生成し、処理部11に出力する。このとき、操作部14には、当該運転者等が上記画像情報のSDカードCDへの保存を指示する際に用いられる保存指示部が含まれている。一方、処理部11の記録/削除制御部11aは、リーダ/ライタ12を介して、SDカードCDに対するデータの保存及び読み出し並びに削除を制御する。処理部11の抽出部11bは、カメラ15から出力された画像情報に相当する画像に映っている他の車両の上記車両識別情報と、当該他の車両の特徴を示す特徴量と、を、従来と同様の手法によりそれぞれ抽出する。このとき当該特徴量としては、例えば、当該他の車両の外形及び色の特徴量が含まれている。処理部11の判定部11cは、上記画像情報及びそれに相当する画像の上記特徴量に基づいて、他の車両が危険運転をしているか否かを判定する。これらに加えて、処理部11は、操作部14からの上記操作信号及びセンサ部16からの上記位置データ等を用いて、車載装置Tとして所望される他の処理を実行する。
【0026】
一方、実施例の情報提供サーバSVは、図3(b)に示すように、インターフェース1と、CPU、RAM及びROM等からなる処理部2と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ3と、キーボード及びマウス等からなる操作部4と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる記録部5と、により構成されている。また、処理部2は、実施例の更新部2aと、実施例の判定部2bと、により構成されている。このとき、上記更新部2a及び上記判定部2bは、処理部2の上記CPU等からなるハードウェアロジック回路により実現されてもよいし、後述する実施例の情報提供処理に対応するプログラムを当該CPUが読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。
【0027】
以上の構成において、記録部5には、過去に上記危険運転をしたとされた車両を識別する上記車両識別情報と、上記危険度スコアと、上記危険フラグと、が関連付けられた実施例の応答データ50が、危険運転履歴のデータベースとして不揮発性に記録されている。一方インターフェース1は、処理部2の制御の下、ネットワークNWを介した各車載装置Tとの間のデータの授受を制御する。操作部4は、情報提供サーバSVの例えば管理者等による操作に応じた操作信号を生成し、処理部2に出力する。他方、処理部2の更新部2aは、各車載装置Tから受信した上記危険運転車両情報に含まれている上記評価情報及び上記車両識別情報に基づき、当該車両識別情報の車両についての上記危険度スコアを更新する。更新部2aによる危険度スコアの更新の態様については、後ほど図4を用いて詳述する。次に処理部2の判定部2bは、対応する車両識別情報ごとに、各危険度スコアと予め設定されている危険度閾値とを比較することで、当該車両識別情報の車両が上記危険運転常習車両であるか否かを判定する。そして判定部2bは、当該判定結果に基づいて上記危険フラグを更新する。具体的に判定部2bは、その時点の危険度スコアが上記危険度閾値以上である場合に、その車両識別情報の車両が危険運転常習車両であると判定し、その車両識別情報に関連付けられている危険フラグを「オン」とする。これに対し、その時点の危険度スコアが上記危険度閾値未満である場合に、判定部2bは、その車両識別情報の車両は危険運転常習車両ではないと判定し、その車両識別情報に関連付けられている危険フラグを「オフ」とする。これらに加えて処理部2は、操作部4からの上記操作信号等に基づいて、情報提供サーバSVとして所望される他の処理を実行する。
【0028】
次に、上述した構成を有する車載装置Tの処理部11及び情報提供サーバSVの処理部2を中心としてそれぞれ実行される、実施例の情報提供処理について、図3及び図4を用いて纏めて説明する。
【0029】
対応するフローチャートを図4にそれぞれ示すように、実施例の情報提供処理には、車載装置Tの処理部11を中心として実行される実施例の危険運転車両画像記録処理(図4左上参照)及び実施例の危険運転車両情報送信処理(図4左下参照)と、情報提供サーバSVの処理部2を中心として実行される実施例の危険運転車両照会処理(図4右上参照)及び実施例の危険運転情報受付処理(図4右下参照)と、が含まれている。
【0030】
そして、図4左上に示す実施例の危険運転車両画像記録処理は、例えば、車載装置Tの電源がオンとされたタイミング以降、予め設定されたタイミングごとに開始される。図4左上に示すように、実施例の危険運転車両画像記録処理が開始されると、車載装置Tの処理部11は、カメラ15を制御して自車両の周囲を撮像させ、その撮像結果としての画像情報を取得し、当該撮像された時間を示す時間情報に関連付けてメモリ13に記録する(ステップS1)。この画像情報に相当する画像には、例えば、自車両の周囲に存在する他の車両や歩行者等が映っている。次に処理部11の抽出部11bは、当該画像から、当該他の車両の車両識別情報を抽出する(ステップS2)。その後処理部11は、抽出部11bにより抽出された車両識別情報と、当該車載装置Tを他の車載装置Tから識別するための装置IDと、を含み、当該車両識別情報の車両が危険運転常習車両であるか否かを照会する旨の上記実施例の照会要求を、インターフェース10及びネットワークNWを介して情報提供サーバSVに送信する(ステップS3)。
【0031】
次に、図4右上に示す実施例の危険運転車両照会処理は、例えば、情報提供サーバSVのサービスが開始されたタイミングで、図4右下に示す実施例の危険運転情報受付処理と並列的に開始される。図4右上に示すように、実施例の危険運転情報受付処理が開始されると、情報提供サーバSVの処理部2は、いずれかの車載装置Tからの上記照会要求の送信を監視する(ステップS20、ステップS20:NO。上記ステップS3参照。)。ステップS20の監視において、いずれかの車載装置Tから上記照会要求が送信されてきた場合(ステップS20:YES)、処理部2は次に、応答データ50において、受信した照会要求に含まれている車両識別情報が関連付けられている危険フラグが「オン」であるか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21の判定において、当該車両識別情報が関連付けられている危険フラグが「オン」でない場合(ステップS21:NO)、処理部2は、ステップS20で受信した照会要求を送信してきた車載端末Tに対し、インターフェース1及びネットワークNWを介して、当該照会要求に含まれていた車両識別情報の車両が危険運転常習車両でない旨の応答を返信する(ステップS23)。その後処理部2は、情報提供サーバSVとしての他の処理に移行する。一方、ステップS21の判定において、当該車両識別情報が関連付けられている危険フラグが「オン」である場合(ステップS21:YES)、処理部2は、ステップS20で受信した照会要求を送信してきた車載端末Tに対し、インターフェース1及びネットワークNWを介して、当該照会要求に含まれていた車両識別情報の車両が危険運転常習車両である旨の応答を返信する(ステップS22)。なお、上記ステップS22又は上記ステップS23における応答の返信は、上記照会要求に含まれていた装置IDに基づいて行われる。その後処理部2は、情報提供サーバSVとしての他の処理に移行する。
【0032】
他方、上記ステップS3において照会要求を送信した車載装置Tの処理部11は、上記ステップS22又は上記ステップS23により情報提供サーバSVから送信された応答を受信する(ステップS4)。次に処理部11は、受信した応答に基づいて、ステップS3で送信した照会要求に含ませた車両識別情報の車両が危険運転常習車両であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定において、当該車両識別情報の車両が危険運転常習車両でなかった場合(ステップS5:NO。上記ステップS23参照。)、処理部11は、そのまま上記ステップS1に戻って上述した処理を繰り返す。一方、ステップS5の判定において、当該車両識別情報の車両が危険運転常習車両であった場合(ステップS5:YES。上記ステップS22参照。)、記録/削除部11aは次に、当該車両識別情報の車両(危険運転常習車両)が映った画像の画像情報をメモリ13から読み出し、リーダ/ライタ12を介してSDカードCDへの保存を開始する(ステップS6)。これにより、当該危険運転常習車両を映した画像情報のSDカードCDへの保存が開始される。
【0033】
次に、処理部11及び抽出部11bは、当該危険運転常習車両についての特徴量を抽出し、当該抽出した特徴量に基づいて、継続して撮像されている画像情報における当該危険運転常習車両の画像を追尾し、それを含む画像情報の保存を継続する(ステップS6)。このステップS6における追尾は、上記特徴量としての危険運転常習車両の外形又は色のいずれか一方又は双方に基づいて行われる。当該追尾の手法自体は、従来の画像特徴量の抽出方法及び追尾方法と同様である。
【0034】
次に、処理部11の記録/削除制御部11aは、ステップS6で画像情報の保存が行われている危険運転常習車両が自車両から離れていったことにより上記追尾が不能となった場合、又は、当該離れていったこと以外の他の理由で上記追尾が不能となった時間が所定時間継続した場合に、ステップS6で行われているSDカードCDの画像情報の当該保存を停止する(ステップS7)。その後、記録/削除制御部11aは、当該保存を停止した画像情報をSDカードCDから削除するか否かの判定を行う(ステップS8)。ステップS8の判定として具体的に、記録/削除制御部11aは、例えば、ステップS7で保存が停止された画像情報に対応する危険運転常習車両について、図4左下に示す実施例の危険運転車両情報送信処理(詳細は後述する)により当該危険運転常習車両が危険運転をした旨(即ち、危険運転があった旨)の評価情報と、当該危険運転常習車両の車両識別情報と、を関連付けた危険運転車両情報の送信が、ステップS6における危険運転常習車両の画像情報の保存中に行われた場合や、当該車両について操作部14の上記保存指示部が操作された場合(ステップS8:残置)は、当該画像情報の削除を行わない(削除を禁止する)。これに対し、ステップS7で保存が停止した画像情報に対応する車両について、例えばステップS6における危険運転常習車両の画像情報の保存中に上記危険運転をした旨の評価情報等を含む危険運転車両情報の送信が行われておらず、且つ上記保存指示部も操作されていない場合(ステップS8:削除)、記録/削除制御部11aは、当該画像情報をSDカードCDから削除する(ステップS9)。そして処理部11は、当該危険運転常習車両が実際には危険運転をしなかった旨(即ち、「危険運転なし」の旨)の評価情報と、当該危険運転常習車両の車両識別情報と、を関連付けた危険運転車両情報を、インターフェース10及びネットワークNWを介して情報提供サーバSVに送信する(ステップS10)。その後処理部11は、車載装置Tとしての他の処理に移行する。
【0035】
他方、図4左下に示す実施例の危険運転車両情報送信処理は、図4左上に示す実施例の危険運転車両画像記録処理と並行して、例えば、車載装置Tの電源がオンとされたタイミング以降、予め設定されたタイミングごとに開始される。図4左下に示すように、実施例の危険運転車両情報送信処理が開始されると、上記ステップS1と同様に、車載装置Tの処理部11は、カメラ15を制御して自車両の周囲を撮像させ、その撮像結果としての画像情報を取得し、当該撮像された時間を示す時間情報に関連付けてメモリ13に記録する(ステップS15)。次に処理部11の抽出部11bは、上記ステップS2と同様に、当該画像から、当該他の車両の車両識別情報を抽出する(ステップS16)。次に、処理部11及び判定部11cは、ステップS16で車両識別情報が抽出された他の車両における危険運転が検知されたか否かを判定する(ステップS17)。このステップS17の判定において、判定部11cは、当該他の車両の画像に基づき、例えば、急な幅寄せ、後方からのあおり、前方における急ブレーキや進路妨害等を行ったか否かを判定することで、上記危険運転の有無を検知する。ステップS17の判定において、当該他の車両において危険運転が検知された場合(ステップS17:YES)、処理部11は、当該他の車両が危険運転をした旨(即ち、危険運転があった旨)の評価情報と、当該他の車両について上記ステップS16で抽出された車両識別情報と、を関連付けた危険運転車両情報を、インターフェース10及びネットワークNWを介して情報提供サーバSVに送信する(ステップS18)。このとき、当該危険運転をした旨の評価情報としては、例えば、予め設定された基準に基づき、「悪質な危険運転」、「中程度の危険運転」又は「軽微な危険運転」の三段階の評価情報を、ステップS7における検知内容に応じて危険運転車両情報に含ませればよい。なお、上記ステップS17の検知においては、判定部11cによる自動判定以外に、自車両の運転者又は同乗者が操作部14の所定のボタン等を操作することにより、上記評価情報を選んで危険運転車両情報に含ませるように構成してもよい。その後処理部11は、車載装置Tとしての他の処理に移行する。
【0036】
次に、図4右下に示す実施例の危険運転車両情報受付処理は、例えば、情報提供サーバSVのサービスが開始されたタイミングで、図4右上に示す実施例の危険運転車両照会処理と並列的に開始される。図4右下に示すように、実施例の危険運転車両情報受付処理が開始されると、情報提供サーバSVの処理部2は、いずれかの車載装置Tからの上記危険運転車両情報の送信を監視する(ステップS30、ステップS30:NO。上記ステップS12又はステップS18参照。)。ステップS30の監視において、いずれかの車載装置Tから上記危険運転車両情報が送信されてきた場合(ステップS30:YES)、処理部2は次に、受信した危険運転車両情報において関連付けられている車両識別情報を含む応答データ50(即ち、受信した危険運転車両情報に対応する車両の応答データ50)が記録部5に既に記録されているか否かを確認する(ステップS31)。ステップS31の判定において、受信した危険運転車両情報において関連付けられている車両識別情報を含む応答データ50がまだ記録されていない場合(ステップS31:NO)、処理部2は、新たに当該車両識別情報を含む応答データ50を記録部5に新たに記録し(ステップS32)、後述するステップS33に移行する。なお、ステップS32で応答データ50が新たに記録される場合、それに含まれる危険度スコアは「0」とされ、危険フラグは「オフ」とされる。
【0037】
一方、ステップS31の判定において、受信した危険運転車両情報において関連付けられている車両識別情報を含む応答データ50が既に記録されている場合(ステップS31:YES)、処理部2の更新部2aは、ステップS30で受信した上記危険運転車両情報に含まれている上記評価情報及び上記車両識別情報に基づき、当該車両識別情報の車両についての上記危険度スコアを更新する(ステップS33)。ここで、ステップS33として具体的に、更新部2aは、例えば、ステップS30で受信した危険運転車両情報に含まれている上記評価情報が「悪質な危険運転」段階であった場合(上記ステップS18参照)、危険度スコアを例えば1,000ポイント加算する。また、当該評価情報が「中程度の危険運転」段階であった場合(上記ステップS18参照)、更新部2aは、危険度スコアを例えば750ポイント加算する。更に、当該評価情報が「軽微な危険運転」段階であった場合(上記ステップS18参照)、更新部2aは、危険度スコアを例えば500ポイント加算する。最後に、当該評価情報が「危険運転なし」段階であった場合(上記ステップS12参照)、更新部2aは、危険度スコアを1ポイント減算する。
【0038】
次に、処理部2の判定部2bは、上記ステップS33において上記評価情報の段階に応じて更新された危険度スコアが、上記危険度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS34)。ここで、上記ステップS33において更新ポイントとして用いられたポイントに対応する上記危険度閾値として、(評価情報が「軽微な危険運転」段階であった場合の加算分である500ポイントが一回加算されただけでは危険運転常習車両として特定されないように)例えば600ポイントを予め設定しておいてもよい。そして、上記評価情報の段階に応じて更新された危険度スコアが上記危険度閾値以上である場合(ステップS34:YES)、判定部2bは、その時点の危険度スコアに関連付けられている車両識別情報の車両が危険運転常習車両であると判定し、その車両識別情報に関連付けられている危険フラグを「オン」とする(ステップS35)。なお、ステップS35における危険フラグの更新は、それが引き続き「オン」とされる場合を含む。一方、上記評価情報の段階に応じて更新された危険度スコアが上記危険度閾値未満である場合(ステップS34:NO)、判定部2bは、その時点の危険度スコアに関連付けられている車両識別情報の車両が危険運転常習車両ではない、又は危険運転常習車両ではなくなったと判定し、その車両識別情報に関連付けられている危険フラグを「オフ」とする(ステップS36)。その後処理部2は、情報提供サーバSVとしての他の処理に移行する。
【0039】
以上それぞれ説明したように、実施例の情報提供処理によれば、他の車両の危険度を評価する評価情報及び他の車両の車両識別情報を車載装置Tから取得し、車両識別情報ごとに関連付けられた危険度スコアを評価情報に応じて更新する(図4ステップS33参照)。このとき、他の車両が危険な運転を行ったことを評価情報が示す場合は危険度スコアを増加させ、他の車両が危険な運転を行わなかったことを評価情報が示す場合は危険度スコアを減少させるので、他の車両における危険な運転の発生状態に応じて、危険度スコアを適切に更新することができる。
【0040】
ここで、実施例のような評価情報における危険度の段階のポイント配分によれば、例えば、一度中程度の危険運転があったとして危険度スコアが750ポイント加算されたとしても、危険度閾値が600ポイントであり、且つ危険運転がなかったこと(危険度スコアが1だけ減少する)が、その後、延べ150の車載装置Tから上記危険運転車両情報として送信された場合は、危険運転常習車両としては識別されなくなる。これにより、実際は危険運転の常習車両ではない車両が、偶発的に危険運転を行ってしまっても、恒久的に危険運転常習車両として識別されることを防止できる。なお、上記のようなポイント配分は、本願の情報提供システムSの普及度に応じて見直されるのが好適である。これは、当該情報提供システムが普及するほど、危険運転がなかった旨の危険運転車両情報を送信する車載装置Tが増加すると考えられるからである。
【0041】
また、他の車両が危険な運転を行ったことを評価情報が示す場合(即ち、上記「悪質な危険運転」、「危険運転」又は「軽微な危険運転」のいずれかの場合)における危険度スコアの増加幅が、他の車両が危険な運転を行わなかったことを評価情報が示す場合(即ち、上記「危険運転なし」の場合)における危険度スコアの減少幅よりも大きいので、危険な運転が行われた場合と行われなかった場合とで、より多くの評価情報により危険度スコアを適切に更新することができる。
【0042】
更に、関連付けられている危険度スコアが既定の危険度閾値を超えた車両を危険運転常習車両と判定し(図4ステップS35)、車載装置Tからの照会要求に応じて、その旨を車載装置Tに送信するので(図4ステップS22参照)、車載装置Tにおいて、危険運転常習車両を容易に認識することができる。
【0043】
更にまた、カメラ15により得られた画像情報から抽出された車両識別情報と、危険運転常習車両の車両識別情報と、が一致したとき、当該一致した車両識別情報が抽出された他の車両を撮像した画像情報のSDカードCDへの保存を開始するので(図4ステップS6参照)、当該画像情報の保存を、例えば自車両の運転者等の操作等なく確実に開始することができる。これにより、危険運転常習車両が実際に危険運転を行う前から自車両周辺の画像の記録を開始可能となり、当該危険運転常習車両が危険運転を行うきっかけとなった事象の有無を、後に検証することも可能となる。
【0044】
また、保存すべき画像情報に映った危険運転常習車両の外観上の特徴を抽出し、当該抽出された特徴に基づいて当該危険運転常習車両の追尾及びその画像情報の保存を継続するので(図4ステップS6参照)、危険運転常習車両の車両識別情報と一致する車両識別情報の他の車両を撮像した画像情報の保存を確実に継続することができる。
【0045】
更に、ステップS6の追尾に用いられる外観上の特徴として、当該他の車両の外形の特徴又は色の特徴を抽出するので、より確実に必要な画像情報の保存を継続することができる。
【0046】
このとき、車載装置Tが、当該外形の特徴を抽出する手段として、光学的に当該外形の特徴としての例えば車両の高さを検出する例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)センサ等を備えていてもよい。この場合には、外形の特徴を光学的に検出するので、より正確に当該外形の特徴を抽出することができる。このとき、当該LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ等が本願の「光学特徴検出手段」の一例に相当する。
【0047】
更にまた、上記外観上の特徴が抽出できなくなった時点で、当該他の車両を撮像した画像情報の保存を停止する場合は(図4ステップS10参照)、当該保存が不要となった場合にそれを停止することで、例えば画像情報を記録するSDカードCDの記録領域を有効活用することができる。
【0048】
また、当該他の車両において危険運転があると判定された場合、又は、その画像情報の保存指示の操作があった場合に(図4ステップS11参照)、保存済みの画像情報のSDカードCDからの削除を禁止するので、必要な画像情報を確実に保存することができる。
【0049】
更に、上記図4ステップS11の判定において、危険運転があると判定されず、且つ、上記保存指示の操作がなかった場合(図4ステップS11:削除参照)、画像情報をSDカードCDから削除するので、例えば画像情報を保存するSDカードCDの記録領域を有効活用することができる。
【0050】
なお、上述した実施例では、照会要求を送信してきた車載装置Tに対しては全て応答を送信するようにしたが(図4ステップS22又はステップS23参照)、これ以外に、例えばプライバシー保護の観点から予め設定された条件を満たす車載装置Tに対してのみ、当該車載装置Tからの照会要求に応じて応答を送信するように構成してもよい。この場合には、当該プライバシー保護等の観点から、危険運転常習車両に関する応答の送信先を限定することができる。
【0051】
また、上述した実施例では、過去に送信されてきた評価情報を全て用いて危険度スコアを更新するように構成したが、これ以外に、現在日時から予め設定された過去の時点までの間に送信されてきた評価情報のみを用いて危険度スコアを更新するように構成してもよい。この場合には、極端に古い評価情報に基づいて危険度スコアが更新されることを防止できる。
【0052】
更に、車載装置Tからの評価情報に時間情報を含ませ、当該時間情報に基づき、予め設定された曜日ごと又は時間帯ごとに区分して危険度スコアが更新するように構成してもよい。この場合には、車載装置Tからの紹介要求を受信した曜日又は時間帯に対応する危険度スコアに基づいて、照会の対象となる車両が危険運転常習車両か否かを判定した結果を車載装置Tに送信することができる。これにより、特定の曜日又は時間帯に危険運転を行う傾向がある車両を特定することができる。
【0053】
更にまた、車載装置Tからの評価情報に、当該評価情報が送信された時点で自車両が走行していた道路の種別を示す種別情報が含ませ、当該種別情報に基づき、運転時の道路種別ごとに区分して危険度スコアを更新するように構成してもよい。この場合には、車載装置Tから自車両が現在走行中の道路種別を含む紹介要求を受信した場合に、当該道路種別に対応する危険度スコアに基づいて、照会の対象となる車両が危険運転常習車両か否かを判定した結果を車載装置Tに送信することができる。これにより、例えば高速道路など特定の道路において危険運転を行う傾向がある車両を特定することができる。
【0054】
また、上述した実施例では、危険運転常習車両の車両識別情報と一致した車両識別情報の車両の特徴が抽出できなくなった時点で、その画像情報のSDカードCDへの保存を停止したが、これ以外に、当該特徴が抽出できなくなった時点以降、当該一致した車両識別情報が抽出された画像情報の保存を予め設定された時間だけ継続するように構成してもよい。この場合には、上記特徴が抽出できなくなった原因が、例えば、危険運転常習車両が、自車両のピラーや他の車両の背後に隠れて見えなくなったことであり、その後、当該特徴が改めて抽出できるようになった場合でも、継続性をもって必要な画像情報を保存することができる。
【0055】
更に、図4に示した各フローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を、実施例の処理部2又は処理部11として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
11a 記録制御手段(記録/削除制御部)
11b 識別情報抽出手段(抽出部)
T 情報処理装置(車載装置)
T1、T2、Tn 車載装置
S 情報提供システム
図1
図2
図3
図4