(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】高圧噴射撹拌混合装置
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
E02D3/12 102
(21)【出願番号】P 2022014236
(22)【出願日】2022-02-01
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】矢部 浩史
(72)【発明者】
【氏名】永石 雅大
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-193047(JP,A)
【文献】特許第6876843(JP,B2)
【文献】特開2004-124514(JP,A)
【文献】特許第4072686(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
E02F 5/02,16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に流体を高圧噴射させて該地盤の掘削と改良を行う高圧噴射撹拌混合装置であって、
駆動装置によって回転して前記地盤に貫入される回転軸と、
前記回転軸の先端に取り付けられ、地盤を掘削する掘削ヘッドと、
前記回転軸の先端から離れた位置に取り付けられ、前記掘削された土壌と該土壌内に注入された前記流体とを撹拌混合する撹拌翼と、
先端に前記流体を高圧噴射する回転ノズルを有し、前記地盤に貫入されるロッドと、
前記掘削された土壌と前記撹拌翼との供回りを防止する供回り防止板と、
を備え
、
前記供回り防止板には、前記回転軸が回転自在に取り付けられ、かつ、前記回転ノズルを有した前記ロッドが固定されていることを特徴とする高圧噴射撹拌混合装置。
【請求項2】
請求項1記載の高圧噴射撹拌混合装置であって、
前記供回り防止板に、先端に前記流体としての固化材を噴射する
前記回転ノズルを有した前記ロッドを取り付けたことを特徴とする高圧噴射撹拌混合装置。
【請求項3】
請求項2記載の高圧噴射撹拌混合装置であって、
前記回転軸を一対備え、
前記一対の回転軸に対して回転自在に取り付けられた前記供回り防止板の中央に、前記回転ノズルを有した前記ロッドを
固定したことを特徴とする高圧噴射撹拌混合装置。
【請求項4】
請求項2記載の高圧噴射撹拌混合装置であって、
前記供回り防止板を四角枠板状に形成し、
前記四角枠板状の供回り防止板の両側に、前記回転ノズルを有した前記ロッドをそれぞれ
固定したことを特徴とする高圧噴射撹拌混合装置。
【請求項5】
請求項1記載の高圧噴射撹拌混合装置であって、
前記回転ノズルは、
前記流体が流通する主流体通路が中心に突出した軸部まで形成されたホルダと、
前記主流体通路に連通する副流体通路が形成され、前記ホルダの軸部を中心として回転する回転体と、を備え、
前記回転体に、前記副流体通路に連通する噴射孔を前記主流体通路に対して所定角度傾斜させて該副流体通路から外周側に向けて形成し、
前記噴射孔の先端口に噴射ノズルを取り付け、
かつ、前記ホルダの主流体通路の前記軸部の先端に先端口を形成し、この先端口に噴射ノズルを取り付けて、該噴射ノズルを中心として前記噴射孔の先端口に取り付けられた噴射ノズルから噴射される前記流体の噴射力の反力により前記回転体を回転自在にし、
前記回転ノズルの噴射ノズルより高圧噴射される前記流体を介して前記地盤の掘削と改良を前記掘削ヘッド及び前記撹拌翼と共に行うようにしたことを特徴とする高圧噴射撹拌混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に固化材等の流体を高圧噴射させて地盤改良する高圧噴射撹拌混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤中にセメントスラリーの固化材をジェット噴射し、地盤を掘削する共に混合撹拌して地盤改良する2軸式の地盤改良撹拌装置として、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された2軸式の地盤改良撹拌装置は、地盤中に回転する2本のロッドに設けられた撹拌翼の先端のノズルからセメントスラリーの固化材をジェット噴射させ、固化材と改良対象土とを混合撹拌して円柱状の改良体を2つ連接して造成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の2軸式の地盤改良撹拌装置では、2軸のロッド間の距離を近付けないと2つの連接した円柱状の改良体間に造成されない未改良部分(未改良の施工部分)が広範囲に発生する。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、一度の施工で改良面積を増やすことができ、施工の効率化を図ることができる高圧噴射撹拌混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、地盤中に流体を高圧噴射させて該地盤の掘削と改良を行う高圧噴射撹拌混合装置であって、駆動装置によって回転して前記地盤に貫入される回転軸と、前記回転軸の先端に取り付けられ、地盤を掘削する掘削ヘッドと、前記回転軸の先端から離れた位置に取り付けられ、前記掘削された土壌と該土壌内に注入された前記流体とを撹拌混合する撹拌翼と、先端に前記流体を高圧噴射する回転ノズルを有し、前記地盤に貫入されるロッドと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先端に固化材等の流体を高圧噴射する回転ノズルを有し、地盤に貫入されるロッドを備えたことで、一度の施工で改良面積を増やすことができ、施工の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態の2軸式の高圧噴射撹拌混合装置を示す側面図である。
【
図2】上記高圧噴射撹拌混合装置のロッドの先端に取り付けられた回転ノズルの断面図である。
【
図5】上記回転ノズルの回転原理を示す説明図である。
【
図6】(a)は上記回転ノズルの正面に設けられた噴射ノズルの噴射流の説明図、(b)は回転ノズルの外周面に設けられた噴射ノズルの噴射流の説明図である。
【
図7A】上記高圧噴射撹拌混合装置による地盤改良状態を示す概略説明図である。
【
図7B】従来の地盤改良状態を示す概略説明図である。
【
図8】本発明の第2実施形態の単軸式の高圧噴射撹拌混合装置を示す側面図である。
【
図9】上記第2実施形態の高圧噴射撹拌混合装置による地盤改良状態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の第1実施形態の2軸式の高圧噴射撹拌混合装置を示す側面図、
図2は高圧噴射撹拌混合装置のロッドの先端に取り付けられた回転ノズルの断面図、
図3は回転ノズルの正面図、
図4は
図2中X-X線に沿う断面図、
図5は回転ノズルの回転原理を示す説明図、
図6(a)は回転ノズルの正面に設けられた噴射ノズルの噴射流の説明図、
図6(b)は回転ノズルの外周面に設けられた噴射ノズルの噴射流の説明図、
図7Aは高圧噴射撹拌混合装置による地盤改良状態を示す概略説明図、
図7Bは従来の地盤改良状態を示す概略説明図である。
【0011】
図1に示すように、深層混合処理用で2軸式の高圧噴射撹拌混合装置10は、図示しない地盤改良施工機に着脱自在に取り付けられる2軸式であり、地盤改良施工機の駆動モータ(駆動装置)11によって回転して地盤1に貫入される一対の回転軸12,12と、各回転軸12の先端12aに取り付けられ、地盤1を掘削する掘削ヘッド13と、各回転軸12の先端から離れた位置に所定距離隔てて取り付けられ、掘削された土壌2と該土壌2内に注入されたセメントスラリー(固化材)の流体Sを撹拌混合する3段の撹拌翼14,15,16と、を備えている。さらに、高圧噴射撹拌混合装置10は、各回転軸12に対して回転支持体18を介して回転自在に取り付けられ、掘削された土壌2と各撹拌翼14~16との供回りを防止する一対の供回り防止板17,17と、先端20aに後述する噴射ノズル38,45,48から高圧噴射される流体Sの噴射力の反力により自転(回転)する回転ノズル30が取り付けられ、回転軸12と共に地盤1に貫入されるロッド20と、を備えている。尚、ここで、「2軸式」とは、
図7Aに示すように、一度で2本の改良体K,Kを隣接して施工できるタイプをいう。
【0012】
掘削ヘッド13は、複数の掘削ビット13aを備えている。最下段の撹拌翼14は、回転軸12に90°間隔でそれぞれ固定されている。また、最下段の撹拌翼14には、複数の掘削ビット14aを取り付けてあり、掘削機能(掘削翼)と撹拌機能とを兼ね備えている。さらに、最下段の撹拌翼14は、セメントスラリーやエア等の流体Sを吐出する吐出口14bを備えている。尚、
図1に示すように、掘削ヘッド13より後方に回転ノズル30が位置し、回転ノズル30より後方に最下段の撹拌翼14が位置するようにそれぞれ配置されている。
【0013】
また、中段の撹拌翼15は、回転軸12に90°間隔でそれぞれ固定されている。さらに、最上段の撹拌翼16は、回転軸12に90°間隔でそれぞれ固定されている。また、最上段の撹拌翼16の両側には、引き抜き用のビット16aをそれぞれ取り付けてある。
【0014】
図1に示すように、各供回り防止板17の両側には、各回転軸12が回転自在に支持される円環状の回転支持体18を取り付けてある。そして、各供回り防止板17の中央には先端20aに流体Sを高圧噴射する回転ノズル30を有したロッド20が取付部材22を介して取り付けられている。
【0015】
ロッド20の先端20aには、流体Sの噴射力の反力により回転する回転ノズル30を設けてある。即ち、
図2に示すように、ロッド20の先端20aには円柱状の蓋体21を固定してある。この蓋体21の中央にはネジ孔21aが形成されており、このネジ孔21aを介してロッド20の先端20aには、流体Sの噴射力の反力により回転する回転ノズル30が取り付けられている。
【0016】
ロッド20は、ロッド20内に掘削用の水や改良用のセメントスラリー(固化材)の流体Sを供給する流体供給ホース23を備えていて、地盤1中にロッド20の先端20aの回転ノズル30の噴射ノズル38,45,48から流体Sを高圧噴射させて地盤1の掘削(削孔)と改良を行うものである。即ち、円筒状のロッド20内には流体供給ホース23が挿入されていて、図示しない水槽やプラントからポンプを介して圧送される流体Sが供給されるようになっている。このポンプで圧送される水や固化材の噴射力を利用して、回転ノズル30を回転させると共に、回転ノズル30の噴射ノズル38,45,48より噴射されるジェット水により地盤1を掘削し、ロッド20を地盤1中に貫入すると共に、噴射ノズル38,45,48より噴射されるセメントスラリーにより改良体Kを造成するものである。
【0017】
図2~
図4に示すように、回転ノズル30は、流体Sが流通する主流体通路33が中心に突出した軸部32まで形成されたホルダ31と、主流体通路33に連通する副流体通路43が形成され、ホルダ31の軸部32を中心として流体Sの噴射力の反力により回転する回転体41と、で構成されている。
【0018】
ホルダ31は大径の円柱状に形成されており、その前面の中央には小径で円柱状の軸部32が一体突出形成されている。この軸部32にはボールベアリング35と一対のドライベアリング36,36を介して回転体41が回転自在に支持されている。
【0019】
ホルダ31の主流体通路33は、ホルダ31の底面側より内周面にネジ孔を形成した大径面部33aと、円錐面部33bと、軸部32側に形成された小径面部33cとから構成されている。そして、大径面部33aのネジ孔には、円筒状の連結筒体37の外周面の前側に形成されたネジ部37aが螺合されている。また、
図2に示すように、円筒状の連結筒体37の外周面の後側に形成されたネジ部37bは、蓋体21のネジ孔21aに螺合されている。これにより、ロッド20内からホルダ31の主流体通路33に水或いはセメントスラリーの流体Sが供給されるようになっている。
【0020】
さらに、
図2及び
図4に示すように、主流体通路33の小径面部33cの中途には、回転体41の副流体通路43に連通する4つの連絡通路34が十字状に形成されている。また、
図2に示すように、軸部32まで形成された主流体通路33の先端には、ネジ孔となっている先端口33dが形成されており、この先端口33dには噴射ノズル38が取り付けられている。
【0021】
回転体41は、ホルダ31の外径と同径の円柱状に形成されており、その中央にホルダ31の軸部32が挿通される断面円形の中心孔42が形成されている。
【0022】
図2~
図4に示すように、回転体41の副流体通路43は、ホルダ31の主流体通路33に4つの連絡通路34で連通する円環状通路43aと、この円環状通路43aから外周側に向けて放射状に3つ形成された分岐通路43bとで形成されている。
図2に示すように、回転体41の中心孔42には、副流体通路43の円環状通路43aを挟むように一対の円環状凹部42a,42aが形成されており、各円環状凹部42aに嵌合されたシールリング44により円環状通路43aからの流体Sの漏れを防ぐようなっている。さらに、各分岐通路43bの先端口には噴射ノズル45が取り付けられている。
【0023】
また、
図2、
図3に示すように、回転体41には、副流体通路43の各分岐通路43bに連通する噴射孔(流体通路)46が主流体通路33に対して三次元的に所定角度θ傾斜させて副流体通路43の各分岐通路43bから外周側に向けて放射状に3つ形成されている。
図4に示すように、噴射孔46の基端口46bは分岐通路43bに接続されている。
【0024】
図2に示すように、回転体41の噴射孔46が所定角度θ傾斜していることにより、噴射孔46の先端口46aに取り付けられた噴射ノズル48から水或いはセメントスラリーの流体Sが高圧噴射されたとき、回転体41がこの噴射力により、ホルダ31の軸部32を中心として回転するようになっている。即ち、
図5に示すように、噴射ノズル48から高圧噴射される流体Sの噴射力をFとすると、ホルダ31の軸部32に直交する面内において噴射力Fの水平分力であるF×sinθ=F’が作用する。この水平分力F’が推進力(反力)となって、回転体41がホルダ31の軸部32を中心として回転する。また、
図6(b)に示すように、回転ノズル30の回転体41の外周面41aに等間隔毎に取り付けられた複数(例えば3つ)の噴射ノズル45からの流体Sの噴射力も回転体41がホルダ31の軸部32を中心として回転する際の推進力となっている。
【0025】
また、
図2、
図3に示すように、回転体41の3つの噴射孔46の各先端口46aはネジ孔となっていて、その1つ先端口46aには噴射ノズル48が取り付けられており、残りの他の噴射孔46の先端口46aには閉塞栓49が取り付けられている。
【0026】
さらに、
図2に示すように、ホルダ31の前面31a側と該前面31aに相対向する回転体41の後面41b側には、回転体41の回転状況を検知する回転センサ50を設けてある。この回転センサ50は、回転体41の後面41b側に取り付けられた半導体MR素子等から成る近接スイッチ51と、ホルダ31の前面31a側に等間隔毎に複数取り付けられたシート状のマグネット(永久磁石)52とで構成されている。この回転センサ50により回転体41が回転しているか、停止しているかが検知されて、地盤改良中の回転体41の回転状態を簡単かつ確実に確認できるようになっている。
【0027】
尚、
図6(a)に示すように、回転ノズル30の噴射ノズル38,48が回転しながら水(流体)Sを高圧(ジェット)噴射する際に、回転ノズル30のホルダ31の軸部32の噴射ノズル38から直線状の高圧噴射水S1がジェット噴射されると共に、この直線状の高圧噴射水S1を中心として回転ノズル30の回転体41の外周側に傾斜した噴射ノズル48から螺旋状(渦巻き状)の高圧噴射水S2がジェット噴射されることにより、直線状の高圧噴射水S1の先端が所謂ツイストドリルの刃先の先端のように機能すると共に、螺旋状の高圧噴射水S2が所謂ツイストドリルの螺旋状の切刃のように機能するため、地盤1を簡単かつ確実に直線状に丸く掘削することができるようになっている。また、傾斜した噴射ノズル48が回転しながら高圧噴射水S1を螺旋状にジェット噴射することで、地盤1の掘削の削孔(ほぐす)範囲が広くなる。
【0028】
さらに、回転ノズル30より流体Sとしてのセメントスラリーを高圧噴射する場合も、回転ノズル30の中央の噴射ノズル38から直線状の高圧噴射セメントスラリーS1がジェット噴射されると共に、この直線状の高圧噴射セメントスラリーS1を中心として回転ノズル30の外周側に傾斜した噴射ノズル48から螺旋状の高圧噴射セメントスラリーS2がジェット噴射されるため、地盤1中にセメントスラリーSを簡単かつ確実にジェット噴射することができ、セメントスラリーSのジェット噴射による改良体Kを簡単に造成できるようになっている。
【0029】
以上第1実施形態の高圧噴射撹拌混合装置10によれば、
図1に示すように、掘削ヘッド13の複数の掘削ビット13a及び最下段の撹拌翼14の複数の掘削ビット14aにより掘削された土壌2と、最下段の撹拌翼14の吐出口14bより吐出されて土壌2内に注入されたセメントスラリーSとを各撹拌翼14~16で撹拌混合し、2本の改良体K,Kを同時に造成する。この際、土壌2内にロッド20の先端20aに設けられた回転ノズル30よりセメントスラリーSを高圧噴射して土壌2とセメントスラリーSを撹拌混合し、
図7Aに示すように、2本の改良体K,K間に1本の改良体K’を同時に造成することができる。
【0030】
このように、先端20aにセメントスラリー等の流体Sを高圧噴射する回転ノズル30を有し、地盤1に貫入されるロッド20を備えたことにより、2本の改良体K,K間に1本の改良体K’を同時に造成することができるため、
図7Bに示す従来の場合に比べて、一対の回転軸12,12間の距離を離しても、一度の施工で改良面積を大幅に増やすことができる。即ち、
図7Aに示すように、必要改良幅H内に改良ピッチを広げて3本の改良体K,K’,Kを同時に施工することができ、施工の効率化をより一段と図ることができる。
【0031】
図8は本発明の第2実施形態の単軸式の高圧噴射撹拌混合装置を示す側面図、
図9は高圧噴射撹拌混合装置による地盤改良状態を示す概略説明図である。
【0032】
図8に示すように、深層混合処理用で単軸式の高圧噴射撹拌混合装置10’は、図示しない地盤改良施工機に着脱自在に取り付けられる単軸式であり、地盤改良施工機の駆動モータ(駆動装置)11によって回転する回転軸12と、回転軸12の先端12aに取り付けられ、地盤1を掘削する掘削ヘッド13と、回転軸12の先端から離れた位置に所定距離隔てて取り付けられ、掘削された土壌2と該土壌2内に注入されたセメントスラリー等の固化材Sとを撹拌混合する3段の撹拌翼14,15,16と、回転軸12に対して回転支持体18を介して回転自在に取り付けられ、掘削された土壌2と各撹拌翼14~16との供回りを防止する供回り防止翼(供回り防止板)17’と、先端に流体を高圧噴射する回転ノズル30を有し、回転軸と共に前記地盤に貫入されるロッド20と、を備えている。尚、ここで、「単軸式」とは、
図9に示すように、一度で1本の改良体Kを施工するタイプをいう。
【0033】
図8に示すように、供回り防止板翼17′は、四角枠板状に形成してあり、その内部に中段の撹拌翼15が回転自在に設けられている。この四角枠板状の供回り防止板翼17’の両側に、回転ノズル30を有したロッド20が取付部材22を介してそれぞれ取り付けられている。この両側の取付部材22には、流体Sを噴射させる噴射ノズル24がそれぞれ設けられている。また、掘削ヘッド13より後方に回転ノズル30が位置し、回転ノズル30より後方に最下段の撹拌翼14が位置するようにそれぞれ配置されている。尚、他の回転軸12、掘削ヘッド13、各撹拌翼14,16の各構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
以上第2実施形態の高圧噴射撹拌混合装置10’によれば、先端20aにセメントスラリー等の流体Sを高圧噴射する回転ノズル30を有し、地盤1に貫入される2本のロッド20,20を備えたことにより、回転軸12及び2本のロッド20,20を地盤1中に真っすぐに貫入して広範囲で地盤改良することができる。これにより、1本の改良体Kの両側に2本の改良体K’,K’を同時に造成することができ、一度の施工で改良面積を大幅に増やすことができる。つまり、
図9に示すように、必要改良幅H内に改良ピッチを広げて、3本の改良体K’,K,K’を同時に施工することができ、施工の効率化をより一段と図ることができる。
【0035】
尚、前記各実施形態によれば、回転軸が単軸、2軸のものを用いたが、3軸以上の回転軸を備えていても良い。この場合、隣接する各回転軸間の供回り防止板に回転ノズルを有したロッドを取付部材を介して取り付ける。
【0036】
また、前記各実施形態によれば、供回り防止板に回転ノズルを有したロッドを取付部材を介して固定したが、供回り防止板に対して回転ノズルを有したロッドをスライド部材等の取付部材を介して上下方向に移動自在に設けても良い。この場合、回転ノズルが上下方向に移動可能になるため、供回り防止板の地中での洗浄が可能となり、また、供回り防止板に付く土砂の付着を低減させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 地盤
2 掘削された土壌
10,10’ 高圧噴射撹拌混合装置
11 駆動モータ(駆動装置)
12 回転軸
12a 先端
13 掘削ヘッド
14,15,16 撹拌翼
17 供回り防止板
17’ 供回り防止翼(供回り防止板)
20 ロッド
20a 先端
30 回転ノズル
31 ホルダ
32 軸部
33 主流体通路
33d 先端口
38 噴射ノズル
41 回転体
41a 外周面
43 副流体通路
45 噴射ノズル
46 噴射孔
46a 先端口
48 噴射ノズル
S 水或いはセメントスラリー(流体)
K,K’ 改良体
F 噴射力
F’ 反力
θ 傾斜角度