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特許7356544静電チャックを含む基板処理装置と基板処理方法、及び静電チャックの製造方法
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  • 特許-静電チャックを含む基板処理装置と基板処理方法、及び静電チャックの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】静電チャックを含む基板処理装置と基板処理方法、及び静電チャックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230927BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022107196
(22)【出願日】2022-07-01
(65)【公開番号】P2023031244
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0111958
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、トン チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョ ポン
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-141479(JP,A)
【文献】特開2013-36554(JP,A)
【文献】特開2003-243374(JP,A)
【文献】特開2009-191339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持し、少なくとも一つのピンホールが上下方向に貫通し、前記ピンホールにリフトピンが昇降可能に収容されるチャック部材と、
前記ピンホールの内周に設けられ、拡張可能であり、拡張の際に、前記ピンホールに収容される前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する膨張部材と、を含む、静電チャック。
【請求項2】
前記膨張部材は、電源の供給に応じて膨張する圧電素子である、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記静電チャックは、前記チャック部材に内蔵され、静電気力を発生させる電極をさらに含む、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記圧電素子は、前記電極と電気的に接続され、
前記電極に電源が印加されると、前記電極から電源の供給を受けて膨張する、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記圧電素子は、前記電極に電源が遮断されると、膨張する前の状態に復元される、請求項4に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記チャック部材は、誘電物質からなり、
前記圧電素子は、前記チャック部材と同等な誘電率を有するとともに、前記チャック部材に比べて高い体積抵抗を有する、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記チャック部材と前記圧電素子は焼結方式で結合される、請求項6に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記圧電素子と前記電極は、個別に電源の供給を受け、独立して制御される、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項9】
前記ピンホールの上端には、前記膨張部材が収容される収容溝が形成される、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項10】
基板処理空間を提供する工程チャンバと、
前記基板処理空間に配置された静電チャックと、
前記基板処理空間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生器と、を含み、
前記静電チャックは、
基板を支持し、少なくとも一つのピンホールが上下方向に貫通し、前記ピンホールにリフトピンが昇降可能に収容されるチャック部材と、
前記ピンホールの内周に設けられ、膨張可能であり、膨張の際に、前記ピンホールに収容される前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する膨張部材と、を含み、
前記膨張部材は、電源の供給に応じて膨張する管状の圧電素子である、基板処理装置。
【請求項11】
前記圧電素子は、前記静電チャックに静電気力を発生させる電極と電気的に接続され、
前記電極に電源が印加されると、前記電極から電源の供給を受けて前記ピンホールの内側方向に膨張する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記圧電素子は、前記電極に供給される電源が遮断されると、元の状態に復元される、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記圧電素子は、独立して制御される別途の電源に接続される、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記圧電素子は、前記チャック部材よりも高い体積抵抗を有する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板を支持し、少なくとも一つのピンホールが上下方向に貫通し、前記ピンホールにリフトピンが昇降可能に収容されるチャック部材と、前記チャック部材に内蔵され、前記チャック部材に静電気力を発生させる電極と、前記ピンホールの内周に設けられ、拡張可能であり、拡張の際に、前記ピンホールに収容される前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する圧電素子と、を含む静電チャックを用いて基板を処理する方法であって、
前記チャック部材に電源が印加されて基板がチャッキングされるときに前記圧電素子が膨張することにより、前記ピンホールの内周の長さが減少したままでプラズマ処理を行う、基板処理方法。
【請求項16】
前記プラズマ処理が完了すると、
前記チャック部材に電源が遮断されて基板がデチャッキングされるとき、前記圧電素子が膨張する前の状態に復元され、前記減少したピンホールの内周の長さが減少する前の長さに復元される、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
チャック部材の上面と下面を貫通するようにリフトピンが昇降するためのピンホールを加工するステップと、
前記ピンホールの上端部に、膨張の際に前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する膨張部材を挿入するステップと、
前記挿入した膨張部材を前記チャック部材に固定するステップと、を含む、静電チャックの製造方法。
【請求項18】
前記膨張部材は、前記チャック部材と比較して高い体積抵抗を有し、電源の供給に応じて膨張する管状の圧電素子である、請求項17に記載の静電チャックの製造方法。
【請求項19】
前記ピンホール加工ステップは、
前記ピンホールの上端部を前記膨張部材の形状にカウンターボーリング(counter-boring)するステップを含む、請求項17に記載の静電チャックの製造方法。
【請求項20】
前記ピンホールは前記チャック部材に少なくとも一つ形成される、請求項17に記載の静電チャックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどの基板を処理するための静電チャックを含む基板処理装置、基板処理方法及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体素子の製造工程のうち、半導体基板に膜を形成する工程や膜をエッチングする工程でプラズマ処理装備が多用されている。
【0003】
プラズマ処理装備は、半導体基板を処理するための空間を有する工程チャンバと、工程チャンバの内部に配置され、半導体基板を支持する基板支持装置とを含む。
【0004】
基板支持装置の例には静電チャックがあり、一般な静電チャックは、アルミニウムからなるベースプレートと、ベースプレートの上側に配置されたセラミックパックと、セラミックパックの内部に備えられる内部電極と、を含む。内部電極には、静電気力を発生させるための電源が接続され、半導体基板は、静電気力によって静電チャック上に吸着固定される。
【0005】
静電チャック上に位置した半導体基板は、プラズマガスによって加熱され、半導体基板の裏面には、半導体基板の温度を調節するための冷却ガスが供給される。冷却ガスとしては、ヘリウム(He)ガスが主に用いられ、冷却ガスは、ベースプレート及びセラミックパックに形成された冷却ガス供給孔を介して半導体基板の裏面へ供給される。
【0006】
また、ベースプレートとセラミックパックを貫通して形成されたピンホール(pin hole)が存在し、ピンホールに沿ってリフトピンが上下動することにより基板の脱着を助ける。
【0007】
半導体の微細化に伴い、プラズマ発生のためのRFパワーが益々高くなりながら、冷却ガス供給孔及びピンホール内の放電現象の発生(例えば、アーキング)が深刻な問題として認識されている。放電現象は、基板支持装置及び基板の損傷を引き起こす可能性がある。特に、ピンホールの直径が冷却ガス供給孔の直径よりも大きく形成され、かかる問題がピンホールにおいてさらに頻繁に発生する。
【0008】
例えば、基板が静電チャックによって吸着支持された状態でも、冷却ガス供給孔に供給されたヘリウムガスがピンホールに流入する可能性が高く、基板の温度が局所的に上昇することにより、ピンホールに停滞したヘリウムガスが高温になる雰囲気が造成されると、ピンホールにおいてプラズマ放電が発生しながら基板と静電チャックが損傷を被ることがある。また、ピンホールの直径により、リフトピンの繰り返し動作によって発生したパーティクルが静電チャックの表面に露出することにより、放電が発生するおそれがあり、リフトピンが、設計上、意図せずに低い抵抗ポイントと接触した場合、プラズマが流入することにより放電現象が発生するおそれもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ピン基板処理装置内の放電発生を防止することができる静電チャック及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の目的は、前述した目的に限定されず、上述していない本発明の他の目的及び利点は、下記の説明によって理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、基板を支持し、少なくとも一つのピンホールが上下方向に貫通し、前記ピンホールにリフトピンが昇降可能に収容されるチャック部材と、前記ピンホールの内周に設けられ、拡張可能であり、拡張の際に、前記ピンホールに収容される前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する膨張部材と、を含む、静電チャックが提供できる。
【0012】
一実施形態において、前記膨張部材は、前記内周面を有し、電源の供給に応じて膨張する圧電素子であることができる。
【0013】
前記静電チャックは、前記チャック部材に内蔵され、静電気力を発生させる電極をさらに含むことができる。
【0014】
前記圧電素子は、前記電極と電気的に接続され、前記電極に電源が印加されると、前記電極から電源の供給を受けて膨張することができる。
【0015】
前記圧電素子は、前記電極に電源が遮断されると、膨張する前の状態に復元されることができる。
【0016】
前記チャック部材は、誘電物質からなり、前記圧電素子は、前記チャック部材と同等な誘電率を有するとともに、前記チャック部材に比べて高い体積抵抗を有する素材であることができる。
【0017】
前記チャック部材と前記圧電素子は、焼結方式で結合されることができる。
【0018】
一方、前記圧電素子と前記電極は、個別に電源の供給を受け、独立して制御されることができる。
【0019】
前記ピンホールの上端には、前記膨張部材が収容される収容溝が形成されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、基板処理空間を提供する工程チャンバと、前記基板処理空間に配置された静電チャックと、前記基板処理空間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生器と、を含む、基板処理装置が提供できる。前記静電チャックは、基板を支持し、少なくとも一つのピンホールが上下方向に貫通し、前記ピンホールにリフトピンが昇降可能に収容されるチャック部材と、前記ピンホールの内周に設けられ、膨張可能であり、膨張の際に、前記ピンホールに収容される前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する膨張部材と、を含み、前記膨張部材は、電源の供給に応じて膨張する管状の圧電素子であることができる。
【0021】
前記圧電素子は、前記静電チャックに静電気力を発生させる電極と電気的に接続され、前記電極に電源が印加されると、前記電極から電源の供給を受け、前記ピンホールの内側方向に膨張することができる。
【0022】
前記圧電素子は、前記電極に供給される電源が遮断されると、元の状態に復元されることができる。
【0023】
前記圧電素子は、独立して制御される別途の電源に接続されることができる。
【0024】
前記圧電素子は、前記チャック部材よりも高い体積抵抗を有することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、基板を支持し、少なくとも一つのピンホールが上下方向に貫通し、前記ピンホールにリフトピンが昇降可能に収容されるチャック部材と、前記チャック部材に内蔵され、前記チャック部材に静電気力を発生させる電極と、前記ピンホールの内周に設けられ、拡張可能であり、拡張の際に、前記ピンホールに収容される前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する圧電素子と、を含む静電チャックを用いて基板を処理する方法が提供できる。前記基板処理方法は、前記チャック部材に電源が印加されて基板がチャッキングされるときに前記圧電素子が膨張することにより、前記ピンホールの内周の長さが減少したままでプラズマ処理を行うことができる。
【0026】
前記プラズマ処理が完了すると、前記チャック部材に電源が遮断されて基板がデチャッキングされるとき、前記圧電素子が膨張する前の状態に復元され、前記減少したピンホールの内周の長さが減少する前の長さに復元されることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、チャック部材の上面と下面を貫通するようにリフトピンが昇降するためのピンホールを加工するステップと、前記ピンホールの上端部に、膨張の際に前記リフトピンの外周面に密着する内周面を有する膨張部材を挿入するステップと、前記挿入した膨張部材を前記チャック部材に固定するステップと、を含む、静電チャックの製造方法が提供できる。
【0028】
前記膨張部材は、前記チャック部材に比べて高い体積抵抗を有し、電源の供給に応じて膨張する管状の圧電素子であることができる。
【0029】
前記ピンホール加工ステップは、前記ピンホールの上端部を前記膨張部材の形状にカウンターボーリング(counter-boring)するステップを含むことができる。
【0030】
前記ピンホールは、前記チャック部材に少なくとも一つ形成されることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態によれば、ピンホールに適用された圧電素子に電流が供給されて逆圧電効果が発生し、逆圧電効果によって圧電素子が膨張するにつれてピンホールの直径が減少し、ピンホールの内部への冷却ガスの流入、ピンホールの外部へのパーティクルの流出が防止されることにより、基板処理装置内の放電発生を最小限に抑えることができる。
【0032】
また、チャック部材に対して高い体積抵抗を有する圧電素子を適用することにより、リフトピンの周辺部の抵抗が増加してピンホールへのプラズマ流入の可能性を低減することができる。
【0033】
本発明の効果は、上述した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成によって推論可能な全ての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態による基板処理装置を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態によるピンホールの構造を示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるピンホールの動作を示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるピンホールの動作を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による静電チャックの製作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書で使用される用語及び添付図面は、本発明を容易に説明するためのものであるため、本発明が用語及び図面によって限定されるものではない。本発明に用いられる技術のうち、本発明の思想と密接な関連のない公知の技術に関する詳細な説明は省略する。本明細書に記載される実施形態は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明を明確に説明するためのものであるので、本発明が本明細書に記載の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲は、本発明の思想から逸脱することなく、修正例又は変形例を含むものと解釈されるべきである。
【0036】
本発明の実施形態では、プラズマを用いて基板をエッチングする誘導結合型プラズマ(ICP:Inductive Coupled Plasma)ソースを有する基板処理装置について説明する。ところが、本発明は、これに限定されるものではなく、容量結合型プラズマ(CCP:Copacitive Coupled Plasma)ソースを有する基板処理装置など、リフトピン(Lift Pin)が提供され、基板に対する工程を行う様々な種類の装置に適用可能である。
【0037】
また、本発明の実施形態では、基板支持ユニットとして静電チャックを例示して説明する。しかし、本発明は、これに限定されず、静電チャックが必須的に要求されない場合、支持ユニットは、機械的クランピングによって基板を支持するか、或いは真空によって基板を支持することができる。
【0038】
図1は本発明の一実施形態による基板処理装置を示す断面図である。
【0039】
図1を参照すると、基板処理装置10は、プラズマを用いて基板Wを処理する。例えば、基板処理装置10は、基板Wに対してエッチング工程を行うことができる。基板処理装置10は、チャンバ100、基板支持ユニット200、ガス供給ユニット300、及びプラズマソースユニット部400を含むことができる。
【0040】
チャンバ100は、プラズマ処理が行われる空間を提供し、基板支持ユニット200は、チャンバ100の内部で基板Wを支持する。ガス供給ユニット300は、チャンバ100の内部へ工程ガスを供給し、プラズマソースユニット400は、チャンバ100の内部に電磁波を提供して工程ガスからプラズマを生成する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0041】
チャンバ100は、チャンバボディ110とカバー120を含む。チャンバボディ110は、上面が開放され、内部に空間が形成される。チャンバボディ110の底壁には排気孔113が形成される。排気孔113は、排気ライン117に接続され、チャンバボディ110の内部に留まるガスと、工程過程中に発生した反応副生成物とが外部へ排出される通路を提供する。排気孔113は、チャンバボディ110の底壁の縁領域に複数個形成されることができる。
【0042】
カバー120は、チャンバボディ110の開いた上面を密閉する。カバー120は、チャンバボディ110の周囲に相応する半径を有する。カバー120は、誘電体材質で提供されてもよい。カバー120は、アルミニウム材質で提供されてもよい。カバー120及びチャンバボディ110によって囲まれる空間は、プラズマ処理工程が行われる処理空間130へ提供される。
【0043】
バッフル250は、チャンバ100内で工程ガスの流れを制御する。バッフル250は、リング状に設けられ、チャンバ100と基板支持ユニット200との間に位置する。バッフル250には分配孔251が形成される。チャンバ100内に留まる工程ガスは、分配孔251を通過して排気孔113に流入する。分配孔251の形状及び配置に応じて、排気孔113に流入する工程ガスの流れが制御されることができる。
【0044】
ガス供給ユニット300は、チャンバ100の内部に工程ガスを供給する。ガス供給ユニット300は、ノズル310、ガス貯蔵部320、及びガス供給ライン330を含む。
【0045】
ノズル310は、カバー120に取り付けられる。ノズル310は、カバー120の中心領域に位置することができる。ノズル310は、ガス供給ライン330を介してガス貯蔵部320に接続される。ガス供給ライン330にはバルブ340が設置される。バルブ340は、ガス供給ライン330を開閉し、工程ガスの供給流量を調節する。ガス貯蔵部320に貯蔵された工程ガスは、ガス供給ライン330を介してノズル310に供給され、ノズル310からチャンバ100の内部に噴射される。ノズル310は、主に処理空間130の中央領域に工程ガスを供給する。これとは異なり、ガス供給ユニット300は、チャンバボディ110の側壁に取り付けられたノズル(図示せず)をさらに含むことができる。このとき、ノズルは処理空間130の縁部領域に工程ガスを供給する。
【0046】
プラズマソースユニット400は、工程ガスからプラズマを生成する。プラズマソースユニット400は、アンテナ410、電源420、及び上部カバー430を含む。
【0047】
アンテナ410は、チャンバ100の上部に設けられる。アンテナ410は、螺旋状のコイルとして提供されることができる。電源420は、ケーブルを介してアンテナ410に接続され、高周波電力をアンテナ410に印加する。高周波電力の印加により、アンテナ410では電磁波が発生する。電磁波はチャンバ100の内部に誘導電場を形成する。工程ガスは、誘導電場からイオン化に必要なエネルギーを得てプラズマとして生成される。プラズマは、基板Wに設けられ、エッチング工程を行うことができる。
【0048】
基板支持ユニット200は、処理空間130に位置し、基板Wを支持する。基板支持ユニット200は、静電気力を用いて基板Wを固定するか、或いは機械的クランピング方式で基板Wを支持することができる。以下、基板支持ユニット200は、静電気力を用いて基板Wを固定する静電チャックを例として挙げて説明する。
【0049】
静電チャック200は、チャック部材210、ハウジング230、及びリフトピン240を含む。
【0050】
チャック部材210は、静電気力を用いて基板を吸着する。チャック部材210は、誘電板211、電極212、ヒータ213、フォーカスリング214、絶縁板215、及び接地板216を含むことができる。
【0051】
誘電板211は、円板状を有する。誘電板211の上面は、基板Wに相応するか、或いは基板Wよりも小さい半径を有することができる。誘電板211の上面には突出部211aが形成されることができる。基板Wは、突出部211aに載置され、誘電板211の上面と所定の間隔で離隔する。誘電板211は、下部領域が上部領域よりも大きい半径を有するように側面に段差が付いてもよい。一例として、誘電板211はAlからなってもよい。
【0052】
電極212は、誘電板211の内部に埋め込まれる。電極212は、厚さの薄い伝導性材質の円板であって、ケーブル221を介して外部電源(図示せず)に接続される。外部電源から印加された電力は、電極212と基板Wとの間に静電気力を形成して基板Wを誘電板210の上面に固定させる。外部電源はDC電源であり得る。
【0053】
ヒータ213は誘電板211の内部に設けられる。ヒータ213は電極212の下部に設けられることができる。ヒータ213はケーブル222を介して外部電源(図示せず)に接続される。ヒータ213は、外部電源から印加された電流に抵抗することにより熱を発生させる。発生した熱は、誘電板211を介して基板Wに伝達され、基板Wを所定の温度で加熱する。ヒータ213は、螺旋状のコイルからなり、均一な間隔で誘電板211の内部に埋め込まれることができる。
【0054】
フォーカスリング214は、リング状を有し、誘電板211の上部領域の周囲に沿って配置される。フォーカスリング214の上面は、誘電板211に隣接している内側部が外側部よりも低くなるように段差が付くことができる。フォーカスリング214の上面内側部は、誘電板211の上面と同じ高さに位置することができる。フォーカスリング214は、プラズマが形成される領域の中心に基板Wが位置するように電磁場形成領域を拡張させる。これにより、基板Wの全領域にわたってプラズマが均一に形成されることができる。
【0055】
絶縁板215は、誘電板211の下部に位置し、誘電板211を支持する。絶縁板215は、所定の厚さを有する円板であり、誘電板211に相応する半径を有することができる。絶縁板215は絶縁材質で出来ている。絶縁板215は、ケーブル223を介して外部電源(図示せず)に接続される。ケーブル223を介して絶縁板215に印加された高周波電流は、静電チャック200とカバー120との間に電磁場を形成する。電磁場は、プラズマを生成するエネルギーとして提供される。
【0056】
絶縁板215には冷却流路211bが形成されることができる。冷却流路211bはヒータ213の下部に位置する。冷却流路211bは、冷却流体が循環する通路を提供する。冷却流体の熱は、誘電板211と基板Wに伝達され、加熱された誘電板211と基板Wを迅速に冷却する。冷却流路211bは、螺旋状に形成されることができる。これとは異なり、冷却流路211bは、互いに異なる半径を有するリング状の流路が同一の中心を持つように配置されることができる。それぞれの流路は互いに連通することができる。これとは異なり、冷却流路211bは接地板216に形成されることができる。
【0057】
接地板216は絶縁板215の下部に位置する。接地板216は、所定の厚さを有する円板であって、絶縁板215に相応する半径を有することができる。接地板216は接地される。接地板216は、絶縁板215とチャンバボディ110とを電気的に絶縁させる。
【0058】
チャック部材210にはピンホール220が形成される。ピンホール220はチャック部材210の上面に形成される。そして、ピンホール220はチャック部材210を垂直に貫通することができる。ピンホール220は、誘電板211の上面から誘電板211、絶縁板215、及び接地板216を順次経て接地板216の下面に設けられる。
【0059】
ピンホール220は複数個形成されることができる。ピンホール220は、誘電板211の周方向に複数個配置されることができる。例えば、3つのピンホール220は、誘電板211の周方向に120度の間隔で離間して配置されることができる。その他にも、4つのピンホール220が誘電板211の周方向に90度の間隔で離間して配置されるなど、様々な数のピンホール220が形成されることができる。
【0060】
そして、ピンホール220は、誘電板211の突出部211aに形成されることができる。例えば、円形の平面形状を有する突出部211aの中央に円形のピンホール220が形成されることができる。ただし、突出部211aとピンホール220の平面形状は多様な形状を有することができる。ピンホール220は、突出部211aの一部に形成されることができる。例えば、6つの突出部211aが誘電板211の周方向に60度の間隔で離間して配置され、3つのピンホール220が30度の間隔で離間して配置されることができる。ピンホール220の上端には、後述する膨張部材500が収容される収容溝が形成されることができる。
【0061】
ハウジング230は、接地板216の下部に位置し、接地板216を支持する。ハウジング230は、所定の高さを有する円筒であって、内部に空間が形成される。ハウジング230は、接地板216に相応する半径を有することができる。ハウジング230の内部には各種ケーブル(図示せず)とリフトピン240が位置する。
【0062】
リフトピン240は、上下動によって誘電板211に基板Wをロードするか、或いは誘電板211から基板Wをアンロードする。リフトピン240は基板を支持する。
【0063】
リフトピン240は、複数設けられ、ピンホール220のそれぞれの内部に収容される。ここで、リフトピン240は、ピンホール220の直径よりも微細に小さい直径に形成される。具体的には、リフトピン240は、リフトピン240とピンホール220が同じ中心軸を有するように配置されたときに、リフトピン240がピンホール220の内側壁に接触しない最小限の直径を有することができる。
【0064】
リフトピン240は、駆動部(図示せず)によって上下方向に駆動されることができる。
【0065】
図2を参照すると、ピンホール220は、直径が変わり得るように設けられる。
【0066】
本発明の一実施形態による静電チャック200は、ピンホール220の内周に設けられた膨張部材500をさらに含むことができる。膨張部材500は、膨張と復元が可逆的に繰り返されることができる。膨張と復元に応じて膨張部材500の内周サイズが変わるように設けられる。平常時の膨張部材500の内周サイズは、リフトピン240の直径よりも微細に大きく維持され、膨張時の膨張部材500の内周サイズは、膨張部材500がピンホール220の内側方向に膨張するにつれてリフトピン240の直径と同一に変更される。よって、膨張部材500が膨張すると、膨張部材500の内周面がリフトピン240の外周面に密着し、膨張部材500が適用されたピンホール220の直径が平常時の直径よりも小さくなる。
【0067】
一例として、膨張部材500は、電源が供給されると膨張する圧電素子であってもよい。具体的には、ピンホール220の上端部が形成される誘電板211の上面には、管状の圧電素子500が挿入されることができる。ここで、電流が流れない状態の管状圧電素子500の内径は、既存のピンホール220の直径と同一に形成される。この時、圧電素子500は、誘電板211に埋め込まれ、チャック部材210に静電気力を発生させる電極212と電気的に接続されるように設置されることが好ましい。
【0068】
圧電効果は、圧力が加わったときに物質のイオン結晶構造が変わり、(+)イオンの中心と(-)イオンの中心がずれて対称性が破れながら双極子モーメントが生成され、物質全体に分極(polarization)が形成される現象である。その結果、機械的エネルギーが電気的エネルギーに変換される現象であり、圧電素子は、このような圧電現象を示す素子を指す。圧電効果は可逆的であるため、圧電素子に電気エネルギーが加わると、機械的変形が生じる逆圧電効果が発生する。
【0069】
図3及び図4は、圧電素子に発生する逆圧電効果を説明するためのものである。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、基板Wに対するチャッキング(Chucking)動作が行われると、電極212に印加される電源によって電極212と電気的に接続された圧電素子500にも電源が供給されて逆圧電効果が発生する。すなわち、ピンホール220の上端部に挿入された圧電素子500が膨張することができる(図3(a)参照)。ピンホール220に適用された圧電素子500が逆圧電効果によって膨張するにつれて、ピンホール220の直径は既存の直径に比べて減少することができる(図4(a)参照)。つまり、チャック部材210に静電気力を発生させるために電源が印加されると、チャック部材210の電極212に接続されるように設置された圧電素子500にも電源が印加されながら、圧電素子500に電気エネルギーが加わり、これにより、圧電素子500が膨張する機械的変形が発生し、ピンホール220の直径が減少する。
【0071】
一方、基板Wに対するデチャッキング(Dechucking)動作が行われると、電極212に印加されていた電源が遮断され、圧電素子500に印加されていた電源も遮断されることにより、逆圧電効果が消滅する。したがって、膨張していた圧電素子500を元来(平常時)のサイズに復元されることができる(図3(b)参照)。これにより、減少していたピンホール220の直径が減少前の直径に復元されることができる(図4(b)参照)。つまり、基板チャック部材210に印加されている電源を遮断すると、圧電素子500が原状復帰し、ピンホール220の直径も原状復帰する。
【0072】
一般に、基板Wのチャッキング動作は、基板Wに対する工程が行われるときに維持され、基板Wに対する工程が完了すると、基板Wのデチャッキング動作が行われる。したがって、基板Wに対して工程が行われるとき、ピンホール220の直径が減少した状態であることができる。
【0073】
圧電素子500が膨張してピンホール220の直径が減少すると、圧電素子500の内周面がリフトピン240の外周面に密着することにより、ピンホール220とリフトピン240との間に存在していた隙間が消える。これにより、ピンホール220とリフトピン240との隙間から頻繁に流入していた冷却ガスの流入可能性が減少し、リフトピン240の上下動によって、ピンホール220の内部に発生するパーティクルがピンホール220とリフトピン240との隙間を介してチャック部材210の表面に流出する可能性が著しく減少することができる。
【0074】
また、圧電素子500を誘電板211に対して高い体積抵抗を有する素材で設けると、ピンホール220の周辺部の抵抗が増加してピンホール220を介したプラズマ流入の可能性を減少させることができる。
【0075】
このように、ピンホール220内への冷却ガス流入、プラズマ流入の可能性が減少するにつれて、それに伴っていたピンホール220内の放電現象の発生が防止されることができる。
【0076】
一方、圧電素子500は、誘電板211に形成されたピンホール220の内部に焼結方式などで完全に結合された状態で提供されることが好ましい。したがって、圧電素子500を誘電板211の誘電率と同等の誘電率を有する素材で形成することにより、結合の容易性を高めることができる。例えば、圧電素子500は、誘電板211と同等の誘電率、及び高い体積抵抗を有する圧電セラミック素材であってもよい。
【0077】
一方、詳細に図示されていないが、圧電素子500は、電極212とは個別に電源の供給を受けるように設けられることができる。つまり、圧電素子500は、電極212に印加される電源とは独立して制御される電源(図示せず)に接続され、電気エネルギーの供給を受けることができる。圧電素子500は、別途の電源(図示せず)から電気エネルギーの供給を受けて膨張することにより、ピンホール220の直径を減少させることができ、電気エネルギーが供給されないときに元の状態に維持(復元)されることができる。
【0078】
前述したように、本発明の一実施形態による基板処理方法は、基板をチャッキング(Chucking)するステップと、チャッキングされた基板に対してプラズマ処理を行うステップと、基板をデチャッキング(Dechucking)するステップと、を含むことができる。
【0079】
基板をチャッキングするステップは、チャック部材210に内蔵された電極212に電源が印加されて基板に対する静電気力が発生することにより行われる。この時、電極212と電気的に接続された圧電素子500にも電気エネルギーが供給され、逆圧電効果によって圧電素子500が膨張するにつれてピンホール220の内周の直径が減少する。基板チャッキングステップは、基板に対するプラズマ処理工程が行われる間に維持される。よって、プラズマ処理工程が行われる間に、ピンホール220の内周の直径が減少したままで維持される。
【0080】
圧電素子500が膨張してピンホール220の直径が減少すると、圧電素子500の内周面がリフトピン240の外周面に密着することにより、ピンホール220とリフトピン240との間に存在していた隙間が消える。これにより、ピンホール220とリフトピン240との隙間から頻繁に流入していた冷却ガスの流入可能性が減少し、リフトピン240の上下動によってピンホール220の内部に発生するパーティクルがピンホール220とリフトピン240との隙間を介してチャック部材210の表面に流出する可能性が著しく減少することができる。
【0081】
また、圧電素子500を誘電板211に対して高い体積抵抗を有する素材で設けると、ピンホール220の周辺部の抵抗が増加して、ピンホール220を介したプラズマ流入の可能性を減少させることができる。
【0082】
このように、膨張部材500によってプラズマ処理工程中にピンホール220内部への冷却ガス流入やプラズマ流入の可能性が減少するにつれて、それに伴っていたピンホール220内の放電現象の発生が防止されることができる。
【0083】
プラズマ処理工程が完了すると、基板に対するデチャッキングが行われ、デチャッキングステップでは、チャック部材210の電極212に供給されていた電源が遮断される。これにより、圧電素子500に供給されていた電源も遮断され、逆圧電効果が消滅し、膨張していた圧電素子500が元の状態に復元されることができる。圧電素子500が復元されることにより、減少したピンホール220の内周の長さも減少する前の長さに復元されることができる。
【0084】
その後、プラズマ処理工程が完了した基板を処理空間から搬出するために、リフトピン240が上昇することができる。
【0085】
図5は本発明の一実施形態による静電チャックを製造する方法を示すフローチャートである。
【0086】
本発明の一実施形態による静電チャック200は、膨張部材500を含んで製造される。膨張部材500は、チャック部材210に形成されたピンホール220の上端部に挿入され、膨張の際に、ピンホール220に昇降可能に収容されるリフトピン240の外周面に密着する内周面を含む。膨張部材500の平常時の内周サイズはピンホール220の内周サイズと同一である。一例として、膨張部材500は、電源の供給によって膨張する圧電素子であってもよい。
【0087】
チャック部材210を貫通するように形成されたピンホール220の上端部に適用された膨張部材によれば、ピンホール220の直径が変化することができる。
【0088】
本発明の一実施形態による静電チャックを製造する方法は、チャック部材210にピンホールを加工するステップ(S1)、ピンホール220の上端部に膨張部材を挿入するステップ(S2)、及び膨張部材をチャック部材210に固定するステップ(S3)を含むことができる。
【0089】
ピンホール220を加工するステップ(S1)は、チャック部材210に昇降可能なリフトピンが収容されるピンホール220を加工するステップであり、チャック部材210の上面と下面を貫通するようにピンホール220を加工するステップである。このステップは、ピンホール220の上端部であるチャック部材210の上面を、挿入される膨張部材500の形状に加工するカウンターボアリング(Counter-Boring)ステップを含むことができる。ピンホール220加工ステップ(S1)では、少なくとも一つのピンホール220が加工され、ピンホール220は、静電チャックの焼結前に加工されることができる。
【0090】
加工されたチャック部材210の上面には、管状の圧電素子500が挿入されることができる(S2)。具体的には、圧電素子500は誘電板211の上面に挿入されることができる。圧電素子500は、圧電現象を示す素子であって、電源の供給に応じて膨張することができる。また、圧電素子500は、誘電板211よりも高い体積抵抗を有する素材であることができ、誘電板211と同等な誘電率を有することができる。
【0091】
圧電素子500は、電極212と電気的に接続されるように挿入されることができる。又は、別途の電源に接続されて挿入されることができる。
【0092】
その後、挿入された圧電素子500をチャック部材210に固定することができる(S3)。固定ステップ(S3)は、圧電素子500をピンホール220の上端部に挿入したままで静電チャックを焼結することにより行われることができる。一方、静電チャックの焼結前にピンホールを加工し、静電チャックの焼結を行う場合、その収縮率に応じて、ピンホール間の間隔は不規則になることがある。したがって、静電チャックの焼結前にピンホールを加工するときに、その収縮率を考慮して設定位置に対応するように正確にピンホールを加工する必要がある。一方、圧電素子500の固定方式は、他の結合方式が採用されてもよい。
【0093】
圧電素子500の平常時の内径は、既存のピンホール220の直径と同一に形成される。つまり、リフトピン240の直径よりも微細に大きく形成される。具体的には、リフトピン240と圧電素子500が同じ中心軸を持つように配置されたときにリフトピン240が圧電素子500の内側壁に接触しない最小限の直径を有することができる。
【0094】
電極212と電気的に接続されるように設置された圧電素子500は、基板Wのチャッキング動作の際に電源の供給を受けて逆圧電効果が発生することができる。具体的には、圧電素子500は、電源が印加されると、膨張することができる。圧電素子500が膨張するにつれて、圧電素子500の内周の直径が減少するので、ピンホール220の内周の直径が減少することができる。膨張した圧電素子500の内周面は、リフトピン240の外周面と密着することができる。
【0095】
膨張した圧電素子500は、基板Wのデチャッキング動作の際に元の状態に復帰し、減少したピンホール220の直径も元の状態に復元されることができる。圧電素子500に逆圧電効果が発生してピンホール220の直径が減少すると、チャック部材210の上面に存在していたピンホール220とリフトピン240との隙間が消えることができる。したがって、ピンホール220の内部にプラズマと冷却ガスが流入することが防止されることができ、ピンホール220からパーティクルがチャック部材210の表面に流出することが防止されることができる。これにより、ピンホール220及び基板処理装置内の放電(アーキング)の発生を最小限に抑えることができる。
【0096】
以上、図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態による静電チャック200、それを含む基板処理装置、基板処理方法及びその製造方法について説明した。本発明の実施形態による静電チャック200は、ピンホール220の内周に挿入された膨張部材500を含む。膨張部材500は、膨張と復元が可逆的に発生することができ、膨張の際にリフトピン240の外周面と密着する内周面によって、ピンホール220とリフトピン240との間に存在していた微細な隙間を一時的に除去することができる。膨張部材500は、電源供給によって膨張する圧電素子であってもよく、プラズマ処理工程が行われる間に膨張したままに維持されることができる。プラズマ処理工程が行われる間に、膨張部材500が膨張したままに維持されると、ピンホール220とリフトピン240との隙間を介してピンホール220の内部に流入したプラズマと冷却ガスが流入することが防止でき、ピンホール220の内部からのパーティクルがチャック部材210の表面に流出することが防止できる。したがって、これに起因する基板処理装置内の放電(アーキング)の発生を最小限に抑えることができる。
【0097】
一方、圧電素子500の形状は、上述した例に限定されず、ピンホール220の上部又は全直径を減少させることができるいずれの形態でも適用されることができる。一例として、圧電素子500は、ピンホール220の内側壁全体に適用されることもできる。
【0098】
また、以上では、ピンホール220の上端部に適用される膨張部材を、電源が供給されると膨張する圧電素子500として例を挙げて説明したが、膨張部材の形態は、これに限定されず、膨張状態と復元状態が可逆的に切り替えられることにより、ピンホール220の直径を可変させることができるいずれの形態でも適用されることができる。
【0099】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱することなく、様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、これらの実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0100】
200 静電チャック
210 チャック部材
211 誘電板
212 電極
220 ピンホール
240 リフトピン
500 膨張部材
図1
図2
図3
図4
図5