(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】情報処理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230927BHJP
G16H 40/40 20180101ALI20230927BHJP
【FI】
A61B1/00 631
A61B1/00 640
G16H40/40
(21)【出願番号】P 2022123440
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2020557622の分割
【原出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2018225895
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】森島 登祥
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慶時
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】渡部 敦
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-296675(JP,A)
【文献】特開2005-309702(JP,A)
【文献】特開2018-041234(JP,A)
【文献】特開2010-092345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関から、内視鏡検査
を実施する検査予定日を含む検査予定を取得し、
前記医療機関から、未使用である内視鏡の
在庫数を含む在庫情報を取得し、
前記在庫情報と前記検査予定とに基づいて、前記医療機関に在庫されている未使用の内視鏡のうち使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、
前記医療機関ごとに計画外の内視鏡検査に備えて定められた余裕数以下である場合に、使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、
前記余裕数を超える様に前記医療機関に未使用の内視鏡を配送する配送指示を出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記検査予定は、前記
検査予定日に使用する内視鏡の機種に関する情報を含み、
前記在庫情報は、内視鏡の機種ごとの在庫数を含み、
前記余裕数は、内視鏡の機種ごとに定められており、
内視鏡の機種ごとに、前記医療機関に在庫されている未使用である内視鏡のうち使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、所定の余裕数以下である場合に、使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、
前記余裕数を超える様に前記医療機関に未使用の内視鏡を配送する配送指示を出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記内視鏡は、繰り返して利用可能な再利用部品と、1回のみ利用可能な非再利用部品とが組み合わされた滅菌済の内視鏡である
請求項1または請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記医療機関で内視鏡が使用されたことを示す使用情報を取得し、
取得した前記使用情報に対応する前記内視鏡を前記医療機関から回収する回収指示を出力する
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記使用情報は、使用済の内視鏡を保管する回収容器から自動的に取得される
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
医療機関から、内視鏡検査
を実施する検査予定日を含む検査予定を取得し、
前記医療機関から、未使用である内視鏡の
在庫数を含む在庫情報を取得し、
前記在庫情報と前記検査予定とに基づいて、前記医療機関に在庫されている未使用の内視鏡のうち使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、
前記医療機関ごとに計画外の内視鏡検査に備えて定められた余裕数以下である場合に、使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、
前記余裕数を超える様に前記医療機関に未使用の内視鏡を配送する配送指示を出力する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査を実施した後には、使用した内視鏡の洗浄、消毒および滅菌等の再処理が必要である。内視鏡はチャンネル等の細い管路を複数有するため、再処理には、手間および時間を要する。
【0003】
賃貸借される医療器材を管理する医療器材管理装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1の医療器材管理装置は、特定の医療機関から特定の医療行為に関する注文データの入力を受け付け、当該医療行為に必要な医療器材を選択して、医療機関に貸し出す。医療行為で使用される医療器材を自動的に抽出して提供することにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、医療機関では緊急内視鏡検査等の計画外の内視鏡検査が行なわれる場合がある。
【0006】
一つの側面では、緊急内視鏡検査等の計画外の内視鏡検査に備えることが可能な情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
情報処理方法は、医療機関から、内視鏡検査を実施する検査予定日を含む検査予定を取得し、前記医療機関から、未使用である内視鏡の在庫数を含む在庫情報を取得し、前記在庫情報と前記検査予定とに基づいて、前記医療機関に在庫されている未使用の内視鏡のうち使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、前記医療機関ごとに計画外の内視鏡検査に備えて定められた余裕数以下である場合に、使用する予定が定まっていない内視鏡の数が、前記余裕数を超える様に前記医療機関に未使用の内視鏡を配送する配送指示を出力する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、緊急内視鏡検査等の計画外の内視鏡検査に備えることが可能な情報処理方法等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】内視鏡を提供するシステムの概要を説明する説明図である。
【
図2】情報処理システムの構成を説明する説明図である。
【
図5】内視鏡の再製造工程を説明する説明図である。
【
図6】第1内視鏡DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図7】第2内視鏡DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図8】再利用部品DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図9】回収要求DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図10】伝票DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図11】プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図12】サーバで実行されるプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図13】棚卸しを行なうプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図14】検査予定DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図15】余裕数DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図16】実施の形態2のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図17】実施の形態2のサーバで実行されるプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図18】実施の形態3の内視鏡の再製造工程を説明する説明図である。
【
図19】実施の形態4のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図20】実施の形態5の内視鏡用プロセッサに内視鏡が接続された場合にクライアントで動作するプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図21】実施の形態6の内視鏡の梱包状態を説明する説明図である。
【
図22】実施の形態7の情報処理システムの機能ブロック図である。
【
図23】実施の形態8の情報処理システムの構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は、内視鏡10を提供するシステムの概要を説明する説明図である。内視鏡10の再製造を行なうメーカから医療機関の機材室に、梱包および滅菌済の内視鏡10が配送される。機材室には、様々な機種の内視鏡10を整理して収容する棚が設置されている。配達作業者は、棚に内視鏡10を収納する。
【0011】
医療機関では、必要に応じて機材室から内視鏡10を取り出して、内視鏡検査室に運ぶ。内視鏡検査室において、滅菌パックから内視鏡10が取り出されて、内視鏡検査に使用される。使用後の内視鏡10は、回収容器38に投入される。
【0012】
内視鏡10には、内視鏡タグ18(
図3参照)が取り付けられている。内視鏡タグ18には、内視鏡10に固有に付与された内視鏡ID(Identifier)が記録されている。機材室、内視鏡検査室および回収容器38の一部または全部に、タグリーダ39が取り付けられている。タグリーダ39は、機材室と内視鏡室との間の廊下等、内視鏡10が移動する可能性のある各所に取り付けられていてもよい。
【0013】
タグリーダ39が内視鏡タグ18を読み取ることにより、内視鏡10が機材室から持ち出されて、内視鏡検査に使用されたことが検出される。検出結果に基づいて、内視鏡10が使用されたことを示す使用情報がメーカに通知される。メーカは、単回使用医療機器(SUD:Single-use device)の再製造を行なう再製造業者である。メーカは、新品の医療機器を製造する医療機器製造業者を兼ねても良い。メーカは、回収容器38から使用済の内視鏡10を回収して、交換用の内視鏡10を機材室に配送する。
【0014】
内視鏡10を使用する都度、新たな内視鏡10が機材室に届けられるため、医療機関では内視鏡10の在庫管理を行なう必要がない。届けられる内視鏡10は滅菌済であるため、症例前の滅菌は不要である。使用後の内視鏡10はメーカに回収されるため、症例間の再処理およびメンテナンスも不要である。以上により、内視鏡検査にかかわる医療従事者の負担が軽減される。そのため、医療従事者は、内視鏡検査および患者のケア等の医療行為に注力できる。
【0015】
回収容器38から回収された内視鏡10は、再製造工場に輸送される。再製造工場において、内視鏡10に対して、洗浄、消毒および滅菌の処理が行なわれる。その後、所定の手順により内視鏡10は分解され、非再利用部品と、再利用部品とに分別される。非再利用部品は、廃棄される。
【0016】
非再利用部品は、たとえば内面の再処理が困難な細いチューブ、形状が複雑で再処理が困難な鉗子栓23、および、複数回の滅菌処理に耐えない部品等である。分解時に破壊される部品、および、再利用のための品質検査コストよりも新品の方が安価な部品も、非再利用部品である。
【0017】
品質面およびコスト面から再利用可能な部品は、すべて再利用部品にできる。なかでも、撮像素子131(
図5参照)および撮像レンズを組み合わせたユニットは高価である上に耐久性が高く複数回の使用に耐えるため、再利用部品にすることが望ましい。
【0018】
再利用部品については、それぞれ所定の品質検査が行なわれる。品質検査に合格しない部品は、廃棄される。品質検査に合格した部品は、再製造工程に投入される。再製造工程では、再利用部品と、新品の非再利用部品とが組み合わされて、新たな内視鏡10が組み立てられる。
【0019】
組み立てられた内視鏡10は、所定の検査工程を経て滅菌パックに梱包され、たとえば電子線滅菌等により滅菌される。以上により、新たな内視鏡10が完成する。完成した内視鏡10は、前述のとおり使用済の内視鏡10と交換に医療機関に配送される。
【0020】
メーカは、医療機関との契約に基づいて、定期的に内視鏡10の使用料金を医療機関に課金する。使用料金は、たとえば(1)式に基づいて算出する。
月額料金 = 基本料金+1本の料金×交換した内視鏡の数 ‥‥‥ (1)
【0021】
料金は、回収要求を受け付けた内視鏡10の数に基づいて定められても良い。料金は、契約に基づく任意の算出方法に基づいて定められてもよい。
【0022】
図2は、情報処理システム70の構成を説明する説明図である。情報処理システム70は、インターネット等のネットワークを介して接続されたクライアント40およびサーバ50を備える。クライアント40は、それぞれの医療機関に配置されている。
【0023】
クライアント40は、制御部41、主記憶装置42、補助記憶装置43、通信部44、タグ通信部49およびバスを備える。制御部41は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部41には、一または複数のCPU(Central Processing Unit)またはマルチコアCPU等が使用される。制御部41は、バスを介してクライアント40を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0024】
主記憶装置42は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置42には、制御部41が行なう処理の途中で必要な情報および制御部41で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0025】
補助記憶装置43は、SRAM、フラッシュメモリまたはハードディスク等の記憶装置である。補助記憶装置43には、第2内視鏡DB(Database)62、制御部41に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。なお、第2内視鏡DB62は、クライアント40に接続された外部の大容量記憶装置等に保存されていても良い。第2内視鏡DB62は、電子カルテシステムに記録されていても良い。
【0026】
通信部44は、クライアント40とネットワークとの間の通信を行なうインターフェイスである。タグ通信部49は、無線または有線により、機材室等に配置されたタグリーダ39との通信を行なう。
【0027】
前述のとおり、タグリーダ39は、内視鏡タグ18に記録された内視鏡IDを読み取る。タグリーダ39は、たとえばRFID(Radio Frequency Identifier)読取装置またはIDタグ読取装置等の近距離無線通信を用いた読取装置である。内視鏡タグ18は、たとえばRFIDタグまたはIDタグ等の近距離無線通信タグである。
【0028】
内視鏡タグ18とタグリーダ39とは、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)またはNFC(Near Field Communication)等の、任意の無線通信方式を介して通信しても良い。
【0029】
タグリーダ39はQRコード(登録商標)リーダまたはバーコードリーダ等の光学式読取装置であり、内視鏡タグ18はQRコードまたはバーコード等の光学式のタグであっても良い。タグリーダ39は、バーコードリーダ、スマートフォン、タブレットまたはデジタルカメラであっても良い。タグリーダ39は、内視鏡10の移動を検出した場合に、クライアント40に通知する。
【0030】
本実施の形態のクライアント40は、汎用のパソコンまたはタブレット等である。クライアント40は、図示を省略する病院内ネットワークシステムを介してネットワークに接続されても良い。クライアント40は、電子カルテシステムまたは診療予約システムなどの病院内システムと一体化されていても良い。
【0031】
サーバ50は、制御部51、主記憶装置52、補助記憶装置53、通信部54およびバスを備える。制御部51は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部51には、一または複数のCPUまたはマルチコアCPU等が使用される。制御部51は、バスを介してサーバ50を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0032】
主記憶装置52は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置52には、制御部51が行なう処理の途中で必要な情報および制御部51で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0033】
補助記憶装置53は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置53には、第1内視鏡DB61、再利用部品DB63、回収要求DB65、伝票DB66、制御部51に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。なお、第1内視鏡DB61、再利用部品DB63、回収要求DB65および伝票DB66は、サーバ50に接続された外部の大容量記憶装置等に保存されていても良い。
【0034】
通信部44は、サーバ50とネットワークとの間の通信を行なうインターフェイスである。本実施の形態のサーバ50は、汎用のパーソナルコンピュータ、大型計算機、または、大型計算機上で動作する仮想マシンである。サーバ50は、複数のコンピュータを用いた分散処理により実現されても良い。
【0035】
図3は、内視鏡10の外観図である。本実施の形態の内視鏡10は、消化管向けの軟性鏡である。内視鏡10は、挿入部14、操作部20、ユニバーサルコード25およびコネクタ部24を有する。操作部20は、湾曲ノブ21およびチャンネル入口22を有する。チャンネル入口22には、処置具等を挿入する挿入口を有する鉗子栓23が固定されている。
【0036】
挿入部14は長尺であり、一端が折止部16を介して操作部20に接続されている。挿入部14は、操作部20側から順に軟性部11、湾曲部12および先端部13を有する。湾曲部12は、湾曲ノブ21の操作に応じて湾曲する。
【0037】
以後の説明では、挿入部14の長手方向を挿入方向と記載する。同様に、挿入方向に沿って操作部20に近い側を操作部側、操作部20から遠い側を先端側と記載する。
【0038】
ユニバーサルコード25は長尺であり、第一端が操作部20に、第二端がコネクタ部24にそれぞれ接続されている。コネクタ部24は、略直方体のコネクタケース26に覆われている。コネクタケース26の一つの面から、スコープコネクタ27およびライトガイドコネクタ28が突出している。コネクタケース26の表面または内部に、内視鏡タグ18が取り付けられている。コネクタ部24は、内視鏡用プロセッサ32(
図4参照)および送気送水装置等に接続される。
【0039】
図4は、内視鏡システム30の外観図である。内視鏡システム30は、内視鏡用プロセッサ32と、内視鏡10と、表示装置33とを含む。表示装置33は、たとえば液晶表示装置、または、有機EL(Electro Luminescence)表示装置である。
【0040】
表示装置33はキャスター付きの収容棚36の上段に設置されている。内視鏡用プロセッサ32は、収容棚36の中段に収容されている。収容棚36は、内視鏡検査用ベッド31(
図1参照)の近傍に配置される。収容棚36は内視鏡用プロセッサ32に接続されたキーボード35を搭載する、引き出し式の棚を有する。
【0041】
内視鏡検査の概略を説明する。収容棚36が、内視鏡検査用ベッド31の近くに配置される。機材室から、検査に応じた機種の内視鏡10が取り出されて、内視鏡検査室に運び込まれる。内視鏡タグ18およびタグリーダ39により、個々の内視鏡10の所在地が検出され第2内視鏡DB62に記録される。
【0042】
滅菌パックから取り出された内視鏡10が内視鏡用プロセッサ32に接続されて、所定の動作確認が行なわれる。内視鏡検査用ベッド31に横たわった患者の内視鏡検査が行なわれる。内視鏡検査中は、内視鏡10により撮影された画像が、表示装置33にリアルタイムで表示される。
【0043】
内視鏡検査の終了後、内視鏡10が内視鏡用プロセッサ32から取り外される。内視鏡10は、たとえば元の滅菌パックまたはポリ袋等に1本ずつ梱包される。梱包された内視鏡10は、回収容器38に投入される。
【0044】
図5は、内視鏡10の再製造工程を説明する説明図である。本実施の形態においては、先端部13、スコープコネクタ27およびライトガイド29が再利用部品である場合を例にして説明する。前述のとおり、品質面およびコスト面から再利用可能な部品は、すべて再利用部品にできる。再利用部品にできる部品のうちの一部のみを、実際に再利用部品にしても良い。
【0045】
回収容器38から回収された内視鏡10は、再製造工場に輸送される。再製造工場において、内視鏡10は滅菌パックまたはポリ袋等の梱包材から取り出される。内視鏡10は、洗浄、消毒および滅菌の処理が行なわれる。以上により、内視鏡10は再製造工程において安全に取り扱える状態になる。
【0046】
たとえば異常プリオン等の、通常の処理では除去できない病原体により汚染された可能性がある内視鏡10は、梱包材から取り出さずに焼却処理することが望ましい。使用後の内視鏡10を1本ずつ梱包してから回収容器38に投入することにより、異常プリオン等により汚染された可能性がある内視鏡10が発生した場合であっても、該当する内視鏡10のみを焼却処理して、他の内視鏡10は再製造工程に投入できる。
【0047】
たとえば、併用する処置具等による穿孔が生じた内視鏡10等の、通常の手順では処理できない内視鏡10も、梱包材から取り出さずに焼却処理することが望ましい。分解作業従事者等の感染事故を防止できる。
【0048】
なお、洗浄を行なう前に内視鏡10に残っている生体組織を採取して、検査を行なっても良い。たとえば異常プリオンまたは通常の患者からは検出されない伝染性の微生物等が検出された場合には、内視鏡10を焼却処理して、分解作業者等の感染事故を防止することが望ましい。さらに、当該内視鏡10を使用した医療機関に対して、内視鏡IDと検査結果とを通知することにより、院内感染等の防止にも寄与できる。
【0049】
内視鏡10は、所定の手順により分解される。非再利用部品は、廃棄される。本実施の形態における再利用部品について説明する。
【0050】
先端部13は、厚さ方向に貫通する貫通孔134が設けられた円板形であり、一方の面に観察窓132および2個の照明窓133を有する。観察窓132および照明窓133は、プラスチックまたはガラス等の透明な板で覆われている。観察窓132の内側に、撮像素子131と、撮像素子131の表面に光学像を結像するレンズとが配置されている。先端部13は、撮像素子131に信号線および電源線を接続するために用いる端子またはコネクタを有する。
【0051】
先端部13には、厚さ方向に貫通する貫通孔134が設けられている。さらに、先端部13には、個々の再利用部品に固有に付与された部品IDが記録された部品タグ19が内蔵されている。部品タグ19は、たとえばRFIDタグまたはIDタグ等の近距離無線通信タグ用の小型の無線チップにより構成される。部品タグ19は、2次元バーコードであっても良い。
【0052】
スコープコネクタ27は略段付き円筒型であり、図示を省略するコネクタピンを内部に備える。スコープコネクタ27には、部品IDが記録された部品タグ19が貼付または印刷されている。部品タグ19は、たとえば2次元バーコードである。部品タグ19は、たとえばRFIDタグまたはIDタグ等の近距離無線通信タグ用の小型の無線チップにより構成されても良い。
【0053】
ライトガイド29は、保護チューブに覆われた光ファイババンドルである。ライトガイド29の一端に、ライトガイドコネクタ28が取り付けられている。ライトガイド29の他端には、図示を省略する照明レンズが取り付けられている。組立後の内視鏡10においては、照明窓133の内側に、照明レンズが配置される。
【0054】
保護チューブには、たとえばレーザマーキングにより、部品IDが印字された部品タグ19が設けられている。なお、部品タグ19には、部品IDが暗号化されて記録されていても良い。部品タグ19には、部品IDを示すバーコードがマーキングされていても良い。部品タグ19は、たとえばRFIDタグまたはIDタグ等の近距離無線通信タグ用の小型の無線チップにより構成されても良い。
【0055】
部品タグ19を設けることが困難な再利用部品については、たとえば内視鏡10から取り外した後に識別用のタグが設けられたケースに収容しても良い。第1内視鏡DB61により内視鏡IDと個々の部品IDとが関連づけられているため、ケースに設けられたタグとを部品IDとを関連づけることができる。
【0056】
内視鏡10から取り出されたそれぞれの再利用部品に対して、所定の品質試験が行なわれる。品質試験に合格しない再利用部品は、廃棄される。なお、所定の回数利用された再利用部品は、品質試験を行なわずに廃棄されても良い。それぞれの再利用部品の利用回数は、後述する再利用部品DB63に記録されている。
【0057】
部品タグ19にRFIDタグ等の書き換えまたは追記が可能なチップ等を使用する場合には、品質試験に合格した再利用部品に利用回数を記録しても良い。レーザマーキング等により、再利用部品に利用回数をマーキングしても良い。再利用部品DB63にアクセスしなくても、それぞれの再利用部品の利用回数を確認できる。
【0058】
品質検査に合格した再利用部品と、新品の非再利用部品とが組み合わされて、新たな内視鏡10が組み立てられる。なお、再利用部品の数が不足する場合には、新品の再利用部品が使用される。組み立てられた内視鏡10に対して、所定の品質検査が行なわれる。
【0059】
なお、部品タグ19に品質試験の結果を書き込んでも良い。たとえば、内視鏡10の機種により、再利用部品の合格基準が異なる場合には、部品タグに品質試験の結果を書き込んでおくことにより、適切な組み合わせの部品を使用して、新たな内視鏡を組み立てられる。
【0060】
1台の内視鏡10から取り出された再利用部品を、同一の内視鏡10の組立に使用しても良い。1つの医療機関から回収した内視鏡10から取り出された再利用部品を用いて作成された内視鏡10が、同じ医療機関に配送されるようにしても良い。複数の内視鏡10から取り出された再利用部品を、ランダムに組み合わせて内視鏡10を組み立てても良い。
【0061】
図6は、第1内視鏡DB61のレコードレイアウトを説明する説明図である。第1内視鏡DB61は、内視鏡IDと、再利用部品IDと、機種名と、日程と、使用状況とを関連づけて記録するDBである。
【0062】
第1内視鏡DB61は、内視鏡IDフィールド、再利用部品IDフィールド、機種名フィールド、日程フィールドおよび使用状況フィールドを有する。再利用部品IDフィールドは、先端部IDフィールド、スコープコネクタIDフィールドおよびライトガイドIDフィールド等の、再利用部品に関するフィールドを有する。
【0063】
日程フィールドは、組立完了日フィールド、滅菌日フィールド、出荷日フィールドおよび回収日フィールドを有する。使用状況フィールドは、医療機関名フィールド、および、使用日フィールドを有する。
【0064】
内視鏡IDフィールドには、内視鏡IDが記録されている。先端部IDフィールドには、先端部13の部品IDが記録されている。スコープコネクタIDフィールドには、スコープコネクタ27の部品IDが記録されている。ライトガイドIDフィールドには、ライトガイド29の部品IDが記録されている。
【0065】
機種名フィールドには、内視鏡10の機種が記録されている。組立完了日フィールドには、組立を完了した日付が記録されている。滅菌日フィールドには滅菌を行なった日付が記録されている。出荷日フィールドには、内視鏡10を出荷した日付が記録されている。回収日フィールドには、医療機関から内視鏡10を回収した日付が記録されている。
【0066】
医療機関名フィールドには、内視鏡10を配送した医療機関の名前が記録されている。使用日フィールドには、医療機関で内視鏡10が使用された日付が記録されている。第1内視鏡DB61は、1本の内視鏡10について1つのレコードを有する。
【0067】
図7は、第2内視鏡DB62のレコードレイアウトを説明する説明図である。第2内視鏡DB62は、内視鏡IDと、機種名と、所在地と、日付とを関連づけて記録するDBである。第2内視鏡DB62は、内視鏡IDフィールド、機種名フィールド、所在地フィールドおよび日付フィールドを有する。日付フィールドは、入荷日フィールド、使用日フィールドおよび回収日フィールドを有する。
【0068】
内視鏡IDフィールドには、内視鏡IDが記録されている。機種名フィールドには、内視鏡10の機種が記録されている。所在地フィールドには、タグリーダ39を介して取得した内視鏡10の所在地が記録されている。所在地フィールドの「-」は、内視鏡10がメーカにより回収済であり、医療機関内に存在しないことを意味する。
【0069】
入荷日フィールドには、内視鏡10がメーカから医療機関に配送された日付が記録されている。使用日フィールドには、内視鏡10が使用された日付が記録されている。回収日フィールドには、内視鏡10がメーカに回収された日付が記録されている。使用日フィールドの空欄は、内視鏡10がまだ使用されていないことを意味する。回収日フィールドの空欄は、内視鏡10がまだ回収されていないことを意味する。第2内視鏡DB62は、1本の内視鏡10について1つのレコードを有する。
【0070】
図8は、再利用部品DB63のレコードレイアウトを説明する説明図である。再利用部品DB63は、再利用部品IDと、再利用部品の状態と、組み立てた内視鏡10の状態とを関連づけて記録するDBである。組み立てた内視鏡10の状態には、組み立てた内視鏡ごとの、内視鏡IDと、日付と、回収および分解後の検査状況とを含む。
図8は、再利用部品DB63の一つのレコードを示す。再利用部品DB63は、1つの再利用部品について、1つのレコードを有する。
【0071】
再利用部品DB63は、再利用部品IDフィールド、状態フィールド、回数フィールド、内視鏡IDフィールド、日付フィールドおよび部品検査フィールドを有する。日付フィールドは、再製造投入日フィールド、出荷日フィールドおよび回収日フィールドを有する。部品検査フィールドは、検査日フィールドおよび結果フィールドを有する。
【0072】
再利用部品IDフィールドには、再利用部品の部品IDが記録されている。状態フィールドには、再利用部品の状態が記録されている。
図8に例示する「再製造中」は、再利用部品が再製造工程に投入された後、まだ内視鏡10が完成していないことを意味する。状態フィールドには、たとえば内視鏡10が完成し出荷待ちであることを示す「出荷待ち」、内視鏡10が医療機関に存在することを示す「回収待ち」、内視鏡10を回収後、分解中であることを示す「分解中」等が適宜記録される。
【0073】
回数フィールドには、再利用部品の使用回数が記録される。内視鏡IDフィールドには、再利用部品が組みつけられて内視鏡10の内視鏡IDが記録される。再製造投入日フィールドには、再利用部品が再製造工程に投入された日付が記録される。出荷日フィールドには、内視鏡10が医療機関に出荷された日付が記録される。回収日フィールドには、内視鏡10が医療機関から回収された日付が記録される。
【0074】
検査日フィールドには、回収した内視鏡10から取り出した再利用部品の検査が行なわれた日付が記録される。結果フィールドには、検査結果が記録される。「OK」は、検査に合格したことを意味する。検査に合格しない場合には、結果フィールドに「NG」が記録されて、再利用部品は廃棄される。
【0075】
図9は、回収要求DB65のレコードレイアウトを説明する説明図である。回収要求DB65は、医療機関名と、回収要求を受け付けた内視鏡10の内視鏡IDと、回収状況とを関連づけて記録するDBである。回収要求DB65は、医療機関名フィールドと、内視鏡IDフィールドと、回収状況フィールドとを有する。回収状況フィールドは、手配フィールドおよび完了フィールドを有する。
【0076】
医療機関名フィールドには、医療機関の名前が記録されている。内視鏡IDフィールドには、内視鏡IDが記録されている。手配フィールドには、回収の手配状況が記録されている。「YES」は回収手配が完了していることを、「NO」は回収手配が完了していないことをそれぞれ示す。完了フィールドには、回収の完了状況が記録されている。「YES」は回収が完了していることを、「NO」は回収が完了していないことをそれぞれ示す。
【0077】
回収要求DB65は、回収容器38に投入されたことがタグリーダ39により検出されたことに基づいて、制御部41からサーバ50宛に使用情報が送信された1本の内視鏡10について、1つのレコードを有する。
【0078】
図10は、伝票DB66のレコードレイアウトを説明する説明図である。伝票DB66は、内視鏡10の配送および回収に関する配達伝票を記録するDBである。伝票DB66は、たとえば物流会社またはメーカの物流部門と共有される。物流会社または物流部門では、伝票DB66に基づいて内視鏡10の配送および回収作業を行なう。
【0079】
内視鏡10の回収作業は、回収容器38から使用済の内視鏡10を取り出して別の容器に移す作業であっても、回収容器38ごと運び出して、新たな回収容器38を設置する作業であっても良い。いずれの場合であっても、使用済の内視鏡10はいわゆる感染性廃棄物であり、適切な感染防止措置に基づいて回収作業が行なわれる。
【0080】
伝票DB66は、内視鏡IDフィールド、出発地フィールド、目的地フィールド、出発日時フィールドおよび到着日時フィールドを有する。内視鏡IDフィールドには、内視鏡IDが記録されている。出発地フィールドには、出発地が記録されている。目的地フィールドには、目的地が記録されている。
【0081】
出発日時フィールドには、出発地で内視鏡10を受領して出発した日時が記録されている。到着日時フィールドには、目的地で内視鏡10を引き渡した日時が記録されている。出発日時フィールドおよび到着日時フィールドの空欄は、出発前または到着前であることを意味する。伝票DB66は、一本の内視鏡10の1回の輸送について、1つのレコードを有する。
【0082】
物流会社等は、伝票DB66に基づいて内視鏡10を受領した場合に、受領日時フィールドに日時を記録し、内視鏡10を引き渡した場合に、到着日時フィールドに日時を記録する。到着日時フィールドへの日時の記録は、たとえば配達作業者がスマートフォン等の情報処理装置を操作して行なう。医療機関の機材室、輸送用車両およびメーカの倉庫等に設置されたタグリーダ39等からの信号に基づいて、伝票DB66への記録が自動的に行なわれても良い。
【0083】
図11は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。前述のとおり、タグリーダ39は、内視鏡10の移動を検出した場合に、クライアント40に内視鏡IDと検出したタグリーダ39の場所とを送信する。制御部41は、タグ通信部49を介してタグリーダ39から内視鏡IDおよびタグリーダ39の設置場所を受信する(ステップS501)。
【0084】
制御部41は、内視鏡IDをキーにして第2内視鏡DB62を検索して、レコードを抽出する。制御部41は、レコードを抽出できない、すなわち当該医療機関で新規に検出された内視鏡10であるか否かを判定する(ステップS502)。
【0085】
新規に検出された内視鏡10であると判定した場合(ステップS502でYES)、制御部41は、サーバ50にステップS501で受信した内視鏡IDを送信する(ステップS503)。なお、通常は新規に検出された内視鏡10であると判定されるのは、機材室に新たに配送された内視鏡10である。
【0086】
制御部51は、内視鏡IDを受信する(ステップS601)。制御部51は、内視鏡IDをキーにして、第1内視鏡DB61を検索してレコードを抽出する(ステップS602)。制御部51は、レコードの抽出に成功したか否かを判定する(ステップS603)。
【0087】
たとえば、内視鏡タグ18に正しい内視鏡IDが記録されていない場合、または、タグリーダ39が内視鏡10以外の物品に取り付けられたタグに反応した場合、制御部51はレコードの抽出に成功しない。レコードの抽出に成功していないと判定した場合(ステップS603でNO)、制御部51は所定のエラーログファイルにエラーを出力する(ステップS604)。
【0088】
制御部51は、たとえばメーカの担当者宛、または医療機関の担当者宛に、電子メールまたはショートメッセージ等の任意の手段を用いてエラーメッセージを出力しても良い。メーカの担当者は、再製造工程の確認、当該内視鏡10の回収手配等の対策を適宜行なう。医療機関の担当者は、当該内視鏡10の回収手配、タグリーダ39の設置場所の確認等の対策を適宜行なう。
【0089】
レコードの抽出に成功したと判定した場合(ステップS603でYES)、制御部51は、内視鏡10の検出状態が正常であるか否かを判定する(ステップS605)。具体的には、制御部51は、検出したレコードの医療機関名フィールドに記録された医療機関名と、クライアント40が設置された医療機関名とが一致するか否かを判定する。一致しない場合、制御部51は、内視鏡10の検出状態が正常ではないと判定する。さらに制御部51は、検出したレコードの回収日フィールドおよび使用日フィールドに日付が記録されているか否かを判定する。いずれか一方、または両方に日付が記録されている場合、制御部51は、内視鏡10の検出状態が正常ではないと判定する。
【0090】
正常ではないと判定した場合(ステップS605でNO)、制御部51は所定のエラーログファイルにエラーを出力する(ステップS606)。制御部51は、たとえば情報処理システム70の担当者宛、または医療機関の担当者宛に、電子メールまたはショートメッセージ等の任意の手段を用いてエラーメッセージを出力しても良い。
【0091】
正常であると判定した場合(ステップS605でYES)、ステップS604の終了後、または、ステップS606の終了後、制御部51は、判定結果をクライアント40に送信する(ステップS607)。制御部41は、判定結果を受信し、所定のエラーログファイルに記録する(ステップS504)。
【0092】
新規に検出された内視鏡10ではないと判定した場合(ステップS502でNO)、制御部41は、内視鏡10を検出したタグリーダ39の場所が内視鏡検査室であるか否かを判定する(ステップS511)。内視鏡検査室であると判定した場合(ステップS511でYES)、制御部41は、第2内視鏡DB62から抽出したレコードの所在地フィールドに「検査室」を記録する(ステップS512)。
【0093】
内視鏡検査室ではないと判定した場合(ステップS511でNO)、制御部41は、内視鏡10を検出したタグリーダ39の場所が回収容器38であるか否かを判定する(ステップS513)。回収容器38に投入されたと判定した場合(ステップS513でYES)、制御部41はサーバ50に内視鏡IDと回収要求とを送信する(ステップS514)。
【0094】
制御部51は、回収要求を受信する(ステップS611)。制御部51は、回収要求DB65に新規レコードを作成し、回収要求を送信したクライアント40が設置された医療機関名および回収要求に対応する内視鏡IDを記録する。制御部51は、手配フィールドおよび完了フィールドを初期値「NO」に設定する(ステップS612)。
【0095】
制御部41は、第2内視鏡DB62から抽出したレコードの所在地フィールドに「回収容器」を、使用日フィールドに日付をそれぞれ記録する(ステップS515)。回収容器38ではないと判定した場合(ステップS513でNO)、ステップS504、ステップS512またはステップS515の終了後、制御部41は処理を終了するか否かを判定する(ステップS516)。たとえば、管理担当者から終了の指示を受け付けた場合、制御部41は処理を終了すると判定する。
【0096】
処理を終了しないと判定した場合(ステップS516でNO)、制御部41はステップS501に戻る。処理を終了すると判定した場合(ステップS516でYES)、制御部41は処理を終了する。
【0097】
なお、フローチャートによる説明は省略するが、回収容器38から内視鏡10が回収された場合、制御部41は、第2内視鏡DB62から抽出したレコードの所在地フィールドに「-」を、回収日フィールドに日付をそれぞれ記録する。
【0098】
図12は、サーバ50で実行されるプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図12に示すプログラムは、制御部51の負荷が少ない時間に随時実行されても、所定の時刻に実行されてもよい。
図12に示すプログラムは、回収要求DB65に新規レコードが追加された場合、および、医療機関から回収された内視鏡10がメーカに到着した場合に実行されても良い。
【0099】
図12に示すプログラムは、回収要求DB65に所定の数の新規レコードが追加された場合、および、医療機関から回収された内視鏡10がメーカに到着した場合に実行されても良い。
図12に示すプログラムは、回収要求DB65に1つの医療機関から受信した回収要求に基づく所定の数の新規レコードが追加された場合、および、医療機関から回収された内視鏡10がメーカに到着した場合に実行されても良い。
【0100】
制御部51は、回収要求DB65に新規の回収要求が記録されているか否かを判定する(ステップS621)。具体的には、制御部51は回収要求DB65を検索して、手配フィールドに「NO」が記録されたレコードを抽出する。抽出されたレコードがある場合、制御部51は回収要求が記録されていると判定する。
【0101】
新規の回収要求が記録されていると判定した場合(ステップS621でYES)、制御部51は、回収要求DB65中の新規レコードの内視鏡IDフィールドに記録された内視鏡IDをキーにして第1内視鏡DB61を検索し、レコードを抽出する。制御部51は、抽出したレコードの機種名フィールドから、回収要求を受けた内視鏡10の機種を抽出する(ステップS622)。
【0102】
制御部51は、第1内視鏡DB61を検索して、滅菌日に日付が記録されており、出荷日に日付が記録されていないレコードを抽出する。制御部51は、ステップS622で抽出した機種をキーにして抽出したレコードを検索して、滅菌後出荷されていない同一機種の内視鏡10を抽出する。制御部51は、抽出したレコードのうちの1つを選択する。制御部51は、選択したレコードの、内視鏡IDフィールドに記録された内視鏡IDを取得する。以上により、第1内視鏡DB61から交換用の内視鏡10が選択される(ステップS623)。
【0103】
なお、制御部51は、第1内視鏡DB61を検索して、組立完了日に日付が記録されており、滅菌日に日付が記録されていないレコードを抽出しても良い。出荷先を定めた後に内視鏡10の滅菌を行なうことにより、滅菌有効期限が長い内視鏡10を医療機関に提供できる。
【0104】
制御部51は、ステップS623で選択した内視鏡10の出荷伝票を出力する(ステップS624)。具体的には、制御部51は伝票DB66に新規レコードを追加する。制御部51は、追加したレコードの内視鏡IDフィールドに、ステップS623で選択した内視鏡10の内視鏡IDを記録する。同様に、制御部51は、出発地フィールドに交換用の内視鏡10が保管された場所を記録し、目的地フィールドに交換要求が送信された医療機関を記録する。出発日時フィールドおよび到着日時フィールドの初期値は空欄である。
【0105】
制御部51は、ステップS621で回収要求を受けた内視鏡10の回収伝票を出力する(ステップS625)。具体的には、制御部51は伝票DB66に新規レコードを追加する。制御部51は、追加したレコードの内視鏡IDフィールドに、ステップS623で選択した内視鏡10の内視鏡IDを記録する。同様に、制御部51は、出発地フィールドに交換用の内視鏡10が保管された場所を記録し、目的地フィールドに交換要求が送信された医療機関を記録する。出発日時フィールドおよび到着日時フィールドの初期値は空欄である。
【0106】
なお、ステップS621において、複数の回収要求を抽出した場合には、制御部51はステップS622からステップS625までの処理を順次繰り返し、それぞれの内視鏡10についての出荷伝票および回収伝票を出力する。ステップS622からステップS625までの処理により、制御部51は使用済の内視鏡10を回収し、未使用の内視鏡10を配送する交換指示を出力する。
【0107】
新規の回収要求が記録されていないと判定した場合(ステップS621でNO)、または、ステップS625の終了後、制御部51は、回収された内視鏡10がメーカに到着したか否かを判定する(ステップS631)。到着したと判定した場合(ステップS631でYES)、制御部51は、回収された内視鏡10の内視鏡IDを取得する(ステップS632)。
【0108】
制御部51は、取得した内視鏡IDをキーにして第1内視鏡DB61を検索し、レコードを抽出する。制御部51は、抽出したレコードの回収日フィールドに回収日を記録する(ステップS633)。
【0109】
なお、ステップS631において、複数の内視鏡10が到着している場合には、制御部51はステップS632からステップS633までの処理を順次繰り返し、それぞれの内視鏡10の回収について第1内視鏡DB61に記録する。
【0110】
回収された内視鏡10がメーカに到着していないと判定した場合(ステップS631でNO)、または、ステップS633の終了後、制御部51は処理を終了するか否かを判定する(ステップS634)。処理を終了しないと判定した場合(ステップS634でNO)、制御部51はステップS621に戻る。処理を終了すると判定した場合(ステップS634でYES)、制御部51は処理を終了する。
【0111】
図13は、棚卸しを行なうプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図13に示すプログラムは、たとえば毎日1回、または毎週1回等、定期的に実行される。
【0112】
制御部51は、処理対象の医療機関を選択する(ステップS641)。制御部51は選択した医療機関に設置されたクライアント40に、未回収品に関する情報を要求する(ステップS642)。
【0113】
制御部41は、要求を受信する(ステップS521)。制御部41は、第2内視鏡DB62を検索して、回収日フィールドに日付が記録されていないレコードを抽出する(ステップS522)。制御部41は、抽出したレコードの内視鏡IDフィールドに記録された内視鏡IDをサーバ50に送信する(ステップS523)。
【0114】
制御部51は、内視鏡IDを受信し、主記憶装置52または補助記憶装置53に一時的に記憶する(ステップS651)。制御部51は、ステップS641で選択した医療機関の医療機関名をキーにして第1内視鏡DB61を検索して、レコードを抽出する。さらに制御部51は、回収日に日付が記録されていないレコード、すなわち未回収品のレコードを抽出する(ステップS652)。
【0115】
制御部51は、ステップS651で受信した内視鏡IDと、ステップS652で抽出したレコードの内視鏡IDフィールドに記録された内視鏡IDとを照合し、両者が一致している否かを判定する(ステップS653)。
【0116】
一致しないと判定した場合(ステップS653でNO)、制御部51は不一致である内視鏡IDに対応する内視鏡10が輸送中であるか否かを判定する(ステップS654)。具体的には、制御部51は、不一致である内視鏡IDをキーとして伝票DB66を検索し、レコードを抽出する。抽出したレコードの出発日時フィールドに日時が記録されており、到着日時フィールドに日時が記録されていない場合、制御部51は、当該内視鏡IDに対応する内視鏡10は輸送中であると判定する。それ以外であると判定した場合、制御部51は、当該内視鏡IDに対応する内視鏡10は輸送中ではないと判定する。
【0117】
輸送中ではないと判定した場合(ステップS654でNO)、制御部51は所定のエラーログファイルにエラーを出力する(ステップS656)。制御部51は、たとえばメーカの担当者宛、または医療機関の担当者宛に、電子メールまたはショートメッセージ等の任意の手段を用いてエラーメッセージを出力しても良い。担当者は、不一致である内視鏡10の行方を捜索し、DBの不整合を修正する等の、適切な対応を行なう。
【0118】
一致すると判定した場合(ステップS653でYES)、輸送中であると判定した場合(ステップS654でYES)、または、ステップS656の終了後、制御部51はすべての医療機関についての処理を終了したか否かを判定する(ステップS657)。終了していないと判定した場合(ステップS657でNO)、制御部51はステップS641に戻る。終了していると判定した場合(ステップS657でYES)、制御部51は処理を終了する。
【0119】
フローチャートの記載を省略するが、制御部51は、医療機関に請求する料金を定期的に算出する。具体的には、第1内視鏡DB61から、医療機関ごとに交換した内視鏡10の数を取得し、(1)式に基づいて料金を算出する。算出した料金に基づいて、メーカから医療機関に対して請求書が発行される。なお、算出した料金に基づいて、制御部51が自動的に医療機関宛に請求書を送信しても良い。
【0120】
本実施の形態によると、内視鏡検査にかかわる医療従事者の負担を低減する情報処理システム70を提供できる。再利用可能な部品は再利用するため、単回使用向け内視鏡10のコストを削減するとともに、廃棄物を削減できる。
【0121】
第1内視鏡DB61により、内視鏡IDと再利用部品の部品IDとを関連づけて記録するため、再製造した内視鏡10に使用した部品のトレーサビリティを確保できる情報処理システム70を提供できる。
【0122】
第1内視鏡DB61および第2内視鏡DB62には、患者ID等の患者に関する情報を記録しないため、個人情報の流出のおそれのない情報処理システム70を提供できる。なお、それぞれの患者に使用した内視鏡10の内視鏡IDは電子カルテシステムに記録することにより、必要であれば、どの患者に使用した内視鏡10であるかのトレーサビリティを確保することも可能である。
【0123】
本実施の形態では、軟性の内視鏡10を例にして説明したが、内視鏡10は硬性鏡であっても良い。内視鏡10は、工業用内視鏡であっても良い。たとえば食品工場のパイプライン等、滅菌が必要な場所に使用できる工業用内視鏡を提供できる。
【0124】
内視鏡タグ18およびタグリーダ39にRFID等の近距離無線通信を使用することにより、内視鏡10を所定の場所に移動させるだけで内視鏡IDを読み取り、記録する情報処理システム70を提供できる。
【0125】
伝票DB66を用いて物流会社等との情報共有を行なうことにより、出荷および納品の指示を自動的に行なう情報処理システム70を提供できる。物流会社等では、たとえば内視鏡10と、他の医療機器および医薬品等とを混載して輸送しても良い。使用済の内視鏡10を回収する車両と、交換用の内視鏡10を配送する車両とは、異なる車両であっても良い。
【0126】
内視鏡10の再処理を行なわないため、個々の医療機関では消毒薬等の薬品および洗浄用の水を使用しない。設備の整ったメーカであれば、洗浄に用いた水の滅菌およびリサイクル等が可能であるため、内視鏡10を洗浄する際の環境負荷を低減できる。
【0127】
メーカで使用後の内視鏡10を分解するため、内視鏡10を構成するそれぞれの非再利用部品を、それぞれ適切に分別して、廃棄できる。以上により、環境負荷の少ない内視鏡10を提供できる。
【0128】
[実施の形態2]
本実施の形態は、電子カルテシステムまたは診療予約システムなどの病院内システムから検査予定を取得し、必要な内視鏡10を自動的に配送する情報処理システム70に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0129】
図14は、検査予定DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。検査予定DBは、検査予定日と検査に使用する内視鏡10の機種名とを関連づけて記録するDBである。検査予定DBは、検査予定日フィールドと、機種名フィールドとを有する。検査予定日フィールドには、検査予定日が記録されている。機種名フィールドには、内視鏡10の機種名が記録されている。
【0130】
図15は、余裕数DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。余裕数DBは、医療機関名と、あらかじめ契約等に基づいて定められた内視鏡10の余裕数とを関連づけて記録するDBである。
【0131】
余裕数DBは、医療機関名フィールドと、余裕数フィールドとを有する。余裕数フィールドは、「E001」、「E002」および「E003」等、内視鏡10の機種ごとのサブフィールドを有する。医療機関名フィールドには、医療機関名が記録されている。余裕数フィールドの各サブフィールドには、それぞれの医療機関との契約に基づいて定められた内視鏡10の機種ごとの余裕数が記録されている。
【0132】
ここで余裕数は、検査に使用する具体的な予定のない内視鏡10の数を意味する。それぞれの医療機関は、緊急内視鏡検査等の計画外の内視鏡検査に備えて、余裕数を定めてメーカとの契約を行なう。余裕数DBは、1つの医療機関について、1つのレコードを有する。
【0133】
図16は、実施の形態2のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図16に示すプログラムは、たとえば朝夕の所定の時間等、定期的に実行される。
【0134】
制御部51は、処理対象の医療機関を選択する(ステップS661)。制御部51は選択した医療機関に設置されたクライアント40に、内視鏡検査の予定に関する情報を要求する(ステップS662)。
【0135】
制御部41は、要求を受信する(ステップS531)。制御部41は、所定のプロトコルに基づいて病院内システムに対して情報を要求し、
図14を使用して説明した検査予定DBを取得する(ステップS532)。制御部41は、検査予定DBに記録されたデータをサーバ50に送信する(ステップS533)。
【0136】
制御部51は、検査予定DBに記録されたデータを受信し、主記憶装置52または補助記憶装置53に一時的に記憶する(ステップS663)。制御部51はクライアント40に、内視鏡10の在庫に関する情報を要求する(ステップS664)。
【0137】
制御部41は、要求を受信する(ステップS534)。制御部41は、第2内視鏡DB62から、機材室に保管中の内視鏡10の在庫を取得する(ステップS535)。具体的には、制御部41は、第2内視鏡DB62を検索して、所在地フィールドに「機材室」が記載されているレコードを抽出する。制御部41は、抽出したレコードの機種名フィールドに記録された機種名のリストをサーバ50に送信する(ステップS536)。
【0138】
制御部51は、機種名のリストを受信する(ステップS665)。制御部51はステップS663で受信した検査予定およびステップS665で受信した在庫それぞれを、機種ごとに集計する(ステップS666)。
【0139】
制御部51は、判定対象の機種を選択する。制御部51は、判定対象の機種の在庫数が、
図15を使用して説明した余裕数DBに記録された医療機関ごとの余裕数を充足するか否かを判定する(ステップS667)。具体的には、制御部51はそれぞれの機種について(2)式が満たされるか否かを判定する。
在庫数 > 検査予定数+余裕数 ‥‥‥ (2)
【0140】
充足しないと判定した場合(ステップS667でNO)、制御部51は第1内視鏡DB61を検索して、滅菌後出荷されていない同一機種の内視鏡10を抽出する。制御部51は、抽出したレコードのうちの1つを選択して、内視鏡IDフィールドに記録された内視鏡IDを取得する。以上により、第1内視鏡DB61から出荷用の内視鏡10が選択される(ステップS668)。
【0141】
制御部51は内視鏡10の出荷伝票を出力する(ステップS669)。なお、ステップS668およびステップS669において、制御部51はあらかじめ定められた所定の出荷単位数の内視鏡10を選択して、出荷伝票を出力しても良い。たとえば、出荷単位を5本単位または10本単位等に定めることにより、内視鏡10の配送頻度を減らすことができる。
【0142】
充足すると判定した場合(ステップS667でYES)、または、ステップS669の終了後、制御部51はすべての機種の処理を終了したか否かを判定する(ステップS671)。終了していないと判定した場合(ステップS671でNO)、制御部51はステップS667に戻る。
【0143】
終了したと判定した場合(ステップS671でYES)、制御部51はすべての医療機関の処理を終了したか否かを判定する(ステップS672)。終了していないと判定した場合(ステップS672でNO)、制御部51はステップS661に戻る。終了したと判定した場合(ステップS672でYES)、制御部51は処理を終了する。
【0144】
図17は、実施の形態2のサーバ50で実行されるプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図17に示すプログラムは、制御部51の負荷が少ない時間に随時実行されても、所定の時刻に実行されてもよい。
図17に示すプログラムは、回収要求DB65に新規レコードが追加された場合、および、医療機関から回収された内視鏡10がメーカに到着した場合に実行されても良い。
【0145】
制御部51は、回収要求DB65に新規の回収要求が記録されているか否かを判定する(ステップS621)。具体的には、制御部51は回収要求DB65を検索して、手配フィールドに「NO」が記録されたレコードを抽出する。抽出されたレコードがある場合、制御部51は回収要求が記録されていると判定する。
【0146】
新規の回収要求が記録されていると判定した場合(ステップS621でYES)、制御部51は、ステップS621で回収要求を受けた内視鏡10の回収伝票を出力する(ステップS625)。具体的には、制御部51は伝票DB66に新規レコードを追加する。制御部51は、追加したレコードの内視鏡IDフィールドに、ステップS623で選択した内視鏡10の内視鏡IDを記録する。同様に、制御部51は、出発地フィールドに交換用の内視鏡10が保管された場所を記録し、目的地フィールドに交換要求が送信された医療機関を記録する。出発日時フィールドおよび到着日時フィールドの初期値は空欄である。
【0147】
なお、ステップS621において、複数の回収要求を抽出した場合には、制御部51はステップS625までの処理を繰り返し、それぞれの内視鏡10についての回収伝票を出力する。
【0148】
新規の回収要求が記録されていないと判定した場合(ステップS621でNO)、または、ステップS625の終了後、制御部51は、回収された内視鏡10がメーカに到着したか否かを判定する(ステップS631)。到着したと判定した場合(ステップS631でYES)、制御部51は、回収された内視鏡10の内視鏡IDを取得する(ステップS632)。
【0149】
制御部51は、取得した内視鏡IDをキーにして第1内視鏡DB61を検索し、レコードを抽出する。制御部51は、抽出したレコードの回収日フィールドに回収日を記録する(ステップS633)。
【0150】
なお、ステップS631において、複数の内視鏡10が到着している場合には、制御部51はステップS632からステップS633までの処理を順次繰り返し、それぞれの内視鏡10の回収について第1内視鏡DB61に記録する。
【0151】
回収された内視鏡10がメーカに到着していないと判定した場合(ステップS631でNO)、または、ステップS633の終了後、制御部51は処理を終了するか否かを判定する(ステップS634)。処理を終了しないと判定した場合(ステップS634でNO)、制御部51はステップS621に戻る。処理を終了すると判定した場合(ステップS634でYES)、制御部51は処理を終了する。
【0152】
本実施の形態によると、内視鏡検査数の変動が大きい医療機関であっても、必要最低限の余裕数で必要な内視鏡検査を滞りなく実施できる情報処理システム70を提供できる。余裕数DBに必要な余裕数を記録しているため、緊急内視鏡検査が必要である場合、交通渋滞等で配送が遅れた場合、その他不測の自体が生じた場合であっても、内視鏡10の不足を生じさせない情報処理システム70を提供できる。
【0153】
[実施の形態3]
本実施の形態は、先端部13に発光素子136を内蔵する内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0154】
図18は、実施の形態3の内視鏡10の再製造工程を説明する説明図である。本実施の形態においては、先端部13およびスコープコネクタ27が再利用部品である場合を例にして説明する。
【0155】
内視鏡10は、所定の手順により分解される。非再利用部品は、廃棄される。本実施の形態における再利用部品について説明する。
【0156】
先端部13は、厚さ方向に貫通する貫通孔134が設けられた円板形であり、一方の面に観察窓132および2個の照明窓133を有する。観察窓132および照明窓133は、プラスチックまたはガラス等の透明な板で覆われている。
【0157】
観察窓132の内側に、撮像素子131と、撮像素子131の表面に光学像を結像するレンズとが配置されている。照明窓133の内側に、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子136が配置されている。発光素子136と照明窓133との間に、発光素子136から放射される光を適切な放射角度に放散させる照明レンズが設けられていてもよい。撮像素子131は、照明窓133から放射された光により照明された被写体を、観察窓132を介して撮影する。
【0158】
先端部13には、厚さ方向に貫通する貫通孔134が設けられている。さらに、先端部13には、個々の再利用部品に固有に付与された部品IDが記録された部品タグ19が内蔵されている。部品タグ19は、たとえば小型の無線チップにより構成される。
【0159】
内視鏡10から取り出されたそれぞれの再利用部品に対して、所定の品質試験が行なわれる。品質検査に合格した再利用部品と、新品の非再利用部品とが組み合わされて、新たな内視鏡10が組み立てられる。組み立てられた内視鏡10に対して、所定の品質検査が行なわれる。
【0160】
検査に合格した内視鏡10に対して、ホワイトバランスの調整が行なわれる。調整結果は、コネクタ部24に内蔵されるICチップ等の記憶素子15に書き込まれる。内視鏡タグ18の記憶容量に余裕がある場合には、内視鏡タグ18が記憶素子15を兼ねても良い。
【0161】
本実施の形態の内視鏡10が内視鏡用プロセッサ32に接続された場合、記憶素子15に書き込まれたホワイトバランス調整結果が内視鏡用プロセッサ32に読み込まれる。したがって、使用前にホワイトバランス調整をする必要のない内視鏡10を提供できる。
【0162】
撮像素子131に接続される信号線および電極線がホワイトバランスに与える影響が少ない場合、ホワイトバランスを書き込んだ記憶素子15は、先端部13に内蔵されても良い。そのようにする場合には、内視鏡10を組み立てる都度ホワイトバランスを調整する必要はない。
【0163】
本実施の形態によると、先端部13に発光素子136を内蔵する内視鏡10を提供できる。比較的高価なライトガイド29およびライトガイドコネクタ28を備えないため、安価な内視鏡10を提供できる。
【0164】
[実施の形態4]
本実施の形態は、滅菌処理の後所定の期間が経過した内視鏡10を交換する情報処理システム70に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0165】
図19は、実施の形態4のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図19に示すプログラムは、
図13を使用して説明したプログラムの代わりに使用されるプログラムである。ステップS656までの処理は、
図13を使用して説明したプログラムと同一であるため、説明を省略する。
【0166】
一致すると判定した場合(ステップS653でYES)、輸送中であると判定した場合(ステップS654でYES)、または、ステップS656の終了後、制御部51はステップS652で抽出した未回収品のレコードの滅菌日フィールドを検索して、滅菌日から所定の期間が経過した内視鏡10が含まれているか否かを判定する(ステップS681)。所定の期間は、あらかじめ定められた滅菌の有効期間よりも若干短い期間に設定する。
【0167】
期間が経過した内視鏡10があると判定した場合(ステップS681でYES)、制御部51は該当するレコードの機種名フィールドから内視鏡10の機種を抽出する(ステップS682)。制御部51は第1内視鏡DB61を検索して、滅菌後出荷されていない同一機種の内視鏡10を抽出する。制御部51は、抽出したレコードのうちの1つを選択して、内視鏡IDフィールドに記録された内視鏡IDを取得する。以上により、第1内視鏡DB61から交換用の内視鏡10が選択される(ステップS683)。
【0168】
制御部51は交換用の内視鏡10を出荷する出荷伝票を出力する(ステップS684)。制御部51は、ステップS681で所定の期間が経過したと判定した内視鏡10の回収伝票を出力する(ステップS685)。
【0169】
なお、ステップS681において、期間が経過した内視鏡10を複数本抽出した場合には、制御部51はステップS682からステップS685までの処理を順次繰り返し、それぞれの内視鏡10についての出荷伝票および回収伝票を出力する。
【0170】
期間が経過した内視鏡10がないと判定した場合(ステップS681でNO)、または、ステップS685の終了後、制御部51は、すべての医療機関についての処理を終了したか否かを判定する(ステップS657)。終了していないと判定した場合(ステップS657でNO)、制御部51はステップS641に戻る。終了していると判定した場合(ステップS657でYES)、制御部51は処理を終了する。
【0171】
本実施の形態によると、滅菌期限が切れた内視鏡10を速やかに交換する情報処理システム70を提供できる。
【0172】
[実施の形態5]
本実施の形態は、不正な内視鏡10の使用を防止する情報処理システム70に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0173】
本実施の形態の内視鏡用プロセッサ32は、内視鏡10が接続された場合に内視鏡タグ18から内視鏡IDを取得して、クライアント40に送信する。クライアント40から許可を受信した場合に、内視鏡用プロセッサ32は内視鏡検査に必要な動作を開始する。
【0174】
図20は、実施の形態5の内視鏡用プロセッサ32に内視鏡10が接続された場合にクライアント40で動作するプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。制御部41は、内視鏡用プロセッサ32から受信した内視鏡IDをキーにして第2内視鏡DB62を検索してレコードを抽出する(ステップS541)。
【0175】
制御部41は、抽出されたレコードがあるか否かを判定する(ステップS542)。ないと判定した場合(ステップS542でNO)、制御部41はサーバ50に内視鏡IDを送信する(ステップS543)。
【0176】
制御部51は、内視鏡IDを受信する(ステップS701)。制御部51は、内視鏡IDをキーにして第1内視鏡DB61を検索し、当該内視鏡IDに対応する内視鏡10の使用可否を判定する(ステップS702)。
【0177】
たとえば、第1内視鏡DB61にも当該内視鏡IDが記録されていない場合、内視鏡用プロセッサ32に接続された内視鏡10の素性は不明であるため、制御部51は内視鏡10は使用不可であると判定する。第1内視鏡DB61に、当該内視鏡10が使用済である旨が記録されている場合、すなわち使用日フィールドに日付が記録されている場合も、制御部51は内視鏡10は使用不可であると判定する。
【0178】
第1内視鏡DB61に、当該内視鏡10が別の医療機関に配送された旨が記録されている場合、すなわち、医療機関名フィールドに別の医療機関名が記録されている場合、誤配送であると考えられる。制御部51は、当該内視鏡10は使用可能であると判定しても良い。誤配送を理由に、内視鏡検査の実施を遅らせることは、望ましくないためである。
【0179】
制御部51は、判定結果を所定のログファイルに記録する(ステップS703)。制御部51は、判定結果をクライアント40に送信する(ステップS704)。
【0180】
制御部41は、判定結果を受信する(ステップS551)。制御部41は、受信した判定結果が使用可であるか否かを判定する(ステップS552)。使用不可であると判定した場合(ステップS552でNO)、制御部41は内視鏡10の使用を許可しない旨を内視鏡用プロセッサ32に送信する(ステップS553)。内視鏡用プロセッサ32は、表示装置33にエラーメッセージを表示して、ユーザに内視鏡10の交換を促す。制御部41は、処理を終了する。
【0181】
レコードがあると判定した場合(ステップS542でYES)、制御部41は未使用の内視鏡10であるか否かを判定する(ステップS561)。未使用の内視鏡10である場合には、抽出したレコードの使用日フィールドに日付が記録されていない。
【0182】
未使用の内視鏡10であると判定した場合(ステップS561でYES)または、使用可であると判定した場合(ステップS552でYES)、制御部41は内視鏡10の使用を許可する旨を内視鏡用プロセッサ32に送信する(ステップS562)。内視鏡用プロセッサ32は、内視鏡検査に必要な動作を開始する。制御部41は、処理を終了する。
【0183】
未使用の内視鏡10ではないと判定した場合(ステップS561でNO)、制御部41は、内視鏡10の使用を許可しない旨を内視鏡用プロセッサ32に送信する(ステップS563)。内視鏡用プロセッサ32は、表示装置33にエラーメッセージを表示して、ユーザに内視鏡10の交換を促す。
【0184】
制御部41は、サーバ50に内視鏡10の再使用が試みられた旨の通知を送信する(ステップS564)。制御部51は、内視鏡IDを受信する(ステップS711)。制御部51は、通知された情報を所定のログファイルに記録する(ステップS712)。ログファイルは、後日トラブル解析等に利用される。
【0185】
ログファイルは、後日トラブル解析等に使用される。使用済の内視鏡10の再使用を試みたユーザに対しては、内視鏡10の使用方法に関する再指導等を行なう、または、再処理可能な内視鏡システム30への交換を推奨する等の対策を行ない、再発を防止することが望ましい。
【0186】
制御部41は、第2内視鏡DB62から抽出されたレコードがないと判定した場合(ステップS542でNO)、サーバ50からの判定結果を待たずに自動的に不許可を出力しても良い。正常な記録のない内視鏡10の使用を拒否することにより、作業ミスおよび不正を防止する情報処理システム70を提供できる。
【0187】
本実施の形態によると、内視鏡10の不正な使用を防止する情報処理システム70を提供できる。
【0188】
[実施の形態6]
本実施の形態は、梱包材である収容容器71に内視鏡タグ18を備える内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0189】
図21は、実施の形態6の内視鏡10の梱包状態を説明する説明図である。内視鏡10は、プレス成形等により内視鏡10の形状に合わせた窪みを設けた収容容器71に個別に収容されている。完成した内視鏡10は、収容容器71ごと滅菌パックに封入されて、たとえば電子線滅菌等により滅菌される。収容容器71が滅菌パックを兼ねても良い。収容容器71に、内視鏡タグ18が取り付けられている。
【0190】
本実施の形態によると、大きなサイズの内視鏡タグ18を使用できるため、たとえば二次元バーコードを内視鏡タグ18に使用する場合であっても、内視鏡IDの桁数を大きくできる。
【0191】
収容容器71に内視鏡タグ18を取り付ける場合には、使用後の内視鏡10が収容容器71に再度収容された状態で、回収容器38に投入されることが望ましい。そのため、収容容器71は、ユーザが使用後の内視鏡10を容易に収容できる形状にすることが望ましい。
【0192】
[実施の形態7]
図22は、実施の形態7の情報処理システム70の機能ブロック図である。情報処理システム70は、サーバ50と、ネットワークを介してサーバ50に接続されたクライアント40と、クライアント40に接続された読取装置39とを備える。
【0193】
読取装置39は、読取部391と送信部392とを有する。読取部391は、単回使用用の内視鏡10に付与された内視鏡IDを読み取る。送信部392は、読取部391が読み取った内視鏡IDをクライアント40に送信する。
【0194】
クライアント40は、受信部441と使用情報送信部442とを有する。受信部441は、送信部392から送信された内視鏡IDを受信する。使用情報送信部442は、受信部441が受信した内視鏡IDに基づいて、内視鏡10に関する使用情報を送信する。
【0195】
サーバ50は、使用情報取得部551と、回収指示出力部552と、配送指示出力部553とを備える。使用情報取得部551は、使用情報送信部442から送信された使用情報を取得する。回収指示出力部552は、使用情報取得部551が使用情報を取得した場合に、内視鏡10を医療機関から回収する回収指示を出力する。配送指示出力部553は未使用の交換用内視鏡10を医療機関に配送する配送指示を出力する。
【0196】
[実施の形態8]
本実施の形態は、汎用のコンピュータ90とプログラム97とを組み合わせて動作させることにより、本実施の形態の情報処理システム70を実現する形態に関する。
図23は、実施の形態8の情報処理システム70の構成を説明する説明図である。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0197】
本実施の形態の情報処理システム70は、ネットワークを介して接続されたコンピュータ90と、クライアント40と、タグリーダ39とを含む。
【0198】
コンピュータ90は、制御部51、主記憶装置52、補助記憶装置53、通信部54、読取部57およびバスを備える。コンピュータ90は、汎用のパーソナルコンピュータ、タブレットまたはサーバコンピュータ等の情報機器である。
【0199】
プログラム97は、可搬型記録媒体96に記録されている。制御部51は、読取部57を介してプログラム97を読み込み、補助記憶装置53に保存する。また制御部51は、コンピュータ90内に実装されたフラッシュメモリ等の半導体メモリ98に記憶されたプログラム97を読出しても良い。さらに、制御部51は、通信部54および図示しないネットワークを介して接続される図示しない他のサーバコンピュータからプログラム97をダウンロードして補助記憶装置53に保存しても良い。
【0200】
プログラム97は、コンピュータ90の制御プログラムとしてインストールされ、主記憶装置52にロードして実行される。これにより、コンピュータ90は上述したサーバ50として機能する。
【0201】
制御部51は、ネットワークを介してそれぞれのクライアント40にプログラム97のうちのクライアント40で実行される部分を送信する。送信されたプログラムは、クライアント40の制御プログラムとしてインストールされ、主記憶装置42にロードして実行される。これにより、クライアント40とコンピュータ90とは連携して上述した情報処理システム70の機能を果たす。
【0202】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0203】
10 内視鏡
11 軟性部
12 湾曲部
13 先端部
131 撮像素子
132 観察窓
133 照明窓
134 貫通孔
136 発光素子
14 挿入部
15 記憶素子
16 折止部
18 内視鏡タグ
19 部品タグ
20 操作部
21 湾曲ノブ
22 チャンネル入口
23 鉗子栓
24 コネクタ部
25 ユニバーサルコード
26 コネクタケース
27 スコープコネクタ
28 ライトガイドコネクタ
29 ライトガイド
30 内視鏡システム
31 内視鏡検査用ベッド
32 内視鏡用プロセッサ
33 表示装置
35 キーボード
36 収容棚
38 回収容器
39 タグリーダ(読取装置)
391 読取部
392 送信部
40 クライアント
41 制御部
42 主記憶装置
43 補助記憶装置
44 通信部
441 受信部
442 使用情報送信部
49 タグ通信部
50 サーバ
51 制御部
52 主記憶装置
53 補助記憶装置
54 通信部
551 使用情報取得部
552 回収指示出力部
553 配送指示出力部
57 読取部
61 第1内視鏡DB
62 第2内視鏡DB
63 再使用部品DB
65 回収要求DB
66 伝票DB
70 情報処理システム
71 収容容器
96 可搬型記録媒体
97 プログラム
98 半導体メモリ