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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】車両用ドアミラー
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
B60R1/06 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022524517
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2021018996
(87)【国際公開番号】W WO2021235490
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2020087686
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】ミネベアアクセスソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大迫 壮太
(72)【発明者】
【氏名】江藤 康之
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-192879(JP,A)
【文献】特開2009-083631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射ミラー(3)の裏面に形成された側方支援アイコン(10)に含まれる表示部(11,12,13)のうちの少なくとも1つの特定表示部(11,12)を、当該特定表示部(11,12)の裏面側に対向配置されたLED(20,30)から出射する光によって発光させて運転者に向けて警告光を発する車両用ドアミラーにおいて、
前記LED(20,30)を、当該LED(20,30)の光出射点(P1,P2)を通る運転者の視線(S1,S2)が前記特定表示部(11,12)の左右方向中心線(C1,C2)を前記反射ミラー(3)の裏面において通る位置(Q1,Q2)に配置したことを特徴とする車両用ドアミラー。
【請求項2】
前記LED(20,30)の光軸(L1,L2)を、前記反射ミラー(3)に対して垂直であるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー。
【請求項3】
前記LED(20,30)の光軸(L1,L2)を、当該LED(20,30)の光出射点(P1,P2)を通る運転者の視線(S1,S2)に一致するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー。
【請求項4】
前記反射ミラー(3)の正面視で、前記LED(20,30)の光出射点(P1,P2)は、前記特定表示部(11,12)の左右方向中心線(C1,C2)よりも運転者から遠い側であって且つ前記側方支援アイコン(10)の光透過領域(A)または前記特定表示部(11,12)の外側の何れか一方に位置することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の車両用ドアミラー。
【請求項5】
前記特定表示部(11,12)には、自車両表示部(11)と、該自車両表示部(11)の外側に配置された他車両表示部(12)とが含まれ、
前記自車両表示部(11)と前記他車両表示部(12)の裏面側に各1個の前記LED(20,30)がそれぞれ対向配置されていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の車両用ドアミラー。
【請求項6】
前記側方支援アイコン(10)には、左右方向において前記自車両表示部(11)と前記他車両表示部(12)との間に配置された検知波表示部(13)が含まれ、前記反射ミラー(3)の正面視で、前記自車両表示部(11)の裏面に対向配置される前記LED(20)の光出射点(P1)は、該自車両表示部(11)の外側縁に隣接していることを特徴とする請求項5に記載の車両用ドアミラー。
【請求項7】
前記反射ミラー(3)の正面視で、前記自車両表示部(11)の裏面に対向配置された前記LED(20)の光出射点(P1)と前記自車両表示部(11)の左右方向中心線(C1)との距離(ε1)は、前記他車両表示部(12)の裏面に対向配置された前記LED(30)の光出射点(P2)と前記他車両表示部(12)の左右方向中心線(C2)との距離(ε2)よりもく設定されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用ドアミラー。
【請求項8】
車両前後方向において前記反射ミラー(3)と前記LED(20,30)との間に光拡散シート(8)が配置されていることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の車両用ドアミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に向けて警告光を発する側方支援アイコンを備えた車両用ドアミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車両の後方視界を確認するためのドアミラーが設けられている。このドアミラーにおいては、ミラーハウジング内に、後方を映し出す反射ミラーが収容されており、運転者は、反射ミラーに映し出される像を視認することによって車両後方の状況を確認することができる。
【0003】
ところで、斯かる車両用ドアミラーには、反射ミラーの裏面に形成された警告シンボルとしての側方支援アイコンを発光させるための表示装置が設けられたものが出現しており、このような車両用ドアミラーに関する提案が幾つかなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、透明ガラス基板の裏面に半透過反射膜が蒸着された反射ミラーの半透過反射膜に、側方支援アイコン(警告シンボル)が切り抜かれたマスク部材を貼り付け、反射ミラーの裏面側に配置されたLEDからの光が側方支援アイコンを透過することによって、反射ミラーの表面に側方支援アイコンが表示されるようにした車両用ドアミラーが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、側方支援アイコン(側方車両検知シンボル(Side Object Detection Symbols))として、ISO規格に規定された3つの表示部、具体的には、運転席側に配置される自車両表示部と、該自車両表示部より運転者から遠い斜め後方に配置される他車両表示部と、これらの自車両表示部と他車両表示部との間に配置される検知波表示部を2個のLEDで均一に光らせるようにした車両用ドアミラーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本特開2009-083631号公報
【文献】日本特許第5595953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2において提案された車両用ドアミラーにおいては、3つの表示部(自車両表示部と他車両表示部及び検知波表示部)を2つのLEDによって均一に発光させるために次のような構成が提案されている。すなわち、2つのLEDの配置関係を、一方のLEDの光軸が自車両表示部内と交差し、他方のLEDの光軸が他車両表示部と交差するとともに、一方のLEDの光軸を、自車両表示部内で、該自車両表示部を左右に分割する中心軸線から検知波表示部側に寄せ、他方のLEDの光軸を、他車両表示部内で、該他車両表示部を左右に分割する中心軸線から検知波表示部側に寄せるようにした構成が提案されている。
【0008】
しかしながら、上述のように、LEDを、その光軸が他車両表示部内で、該他車両表示部を左右に分割する中心軸線から検知波表示部側に寄るように配置すると、車内から他車両表示部を見たときにLEDの光軸が他車両表示部の中心軸線からずれるため、他車両表示部を照らす光の輝度ムラが大きくなってしまうという問題が発生する。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、車内から側方支援アイコンの特定表示部を見たときの輝度ムラを低く抑えて該特定表示部の均一な発光を実現することができる車両用ドアミラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、反射ミラーの裏面に形成された側方支援アイコンに含まれる表示部のうちの少なくとも1つの特定表示部を、当該特定表示部の裏面側に対向配置されたLEDから出射する光によって発光させて運転者に向けて警告光を発する車両用ドアミラーにおいて、前記LEDを、当該LEDの光出射点を通る運転者の視線が前記特定表示部の左右方向中心線を前記反射ミラーの裏面において通る位置に配置したことを第1の特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記第1の特徴に加えて、前記LEDの光軸を、前記反射ミラーに対して垂直であるように設定したことを第2の特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記第1の特徴に加えて、前記LEDの光軸を、当該LEDの光出射点を通る運転者の視線に一致するように設定したことを第3の特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記反射ミラーの正面視で、前記LEDの光出射点は、前記特定表示部の左右方向中心線よりも運転者から遠い側であって且つ前記側方支援アイコンの光透過領域または前記特定表示部の外側の何れか一方に位置することを第4の特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記特定表示部には、自車両表示部と、該自車両表示部の外側に配置された他車両表示部とが含まれ、前記自車両表示部と前記他車両表示部の裏面側に各1個の前記LEDがそれぞれ対向配置されていることを第5の特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記第5の特徴に加えて、前記側方支援アイコンには、左右方向において前記自車両表示部と前記他車両表示部との間に配置された検知波表示部が含まれ、前記反射ミラーの正面視で、前記自車両表示部の裏面に対向配置される前記LEDの光出射点は、該自車両表示部の外側縁に隣接していることを第6の特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記第6の特徴に加えて、前記反射ミラーの正面視で、前記自車両表示部の裏面に対向配置された前記LEDの光出射点と前記自車両表示部の左右方向中心線との距離は、前記他車両表示部の裏面に対向配置された前記LEDの光出射点と前記他車両表示部の左右方向中心線との距離よりもく設定されていることを第7の特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記第1~第7の何れかの特徴に加えて、車両前後方向において前記反射ミラーと前記LEDとの間に光拡散シートが配置されていることを第8の特徴とする
【発明の効果】
【0018】
発明の第1~4の特徴によれば、LEDを、そのLEDの光出射点を通る運転者の視線が側方支援アイコンに含まれる表示部のうちの少なくとも1つの特定表示部の左右方向中心線を反射ミラーの裏面において通る位置に配置したため、車内から側方支援アイコンの当該特定表示部を見たときにLEDの光軸が当該特定表示部の左右方向中心線上に位置しているように見える。このため、車内から側方支援アイコンの特定表示部を見る運転者にとっては、側方支援アイコンの当該特定表示部を照らすLEDからの光の輝度ムラが低く抑えられ、その特定表示部が均一に発光しているように見える。
【0019】
また本発明の第5の特徴によれば、自車両表示部と他車両表示部をこれらの裏面側にそれぞれ対向配置されたLEDからの光によってそれぞれ効率良く発光させることができる。
【0020】
また本発明の第6の特徴によれば、反射ミラーの正面視で、2つのLEDの少なくとも一方の光出射点が自車両表示部の外側縁に隣接しているため、このLEDからの光によって検知波表示部も照らすことができる。このため、検知波表示部の裏面側にLEDを設ける必要がなく、LEDの個数を削減して当該車両用ドアミラーの小型化とコストダウンを図ることができる。
【0021】
また本発明の第7の特徴によれば、反射ミラーの正面視で、自車両表示部の裏面側に対向配置されたLEDの光出射点と自車両表示部の左右方向中心線との距離が他車両表示部の裏面側に対向配置されたLEDの光出射点と他車両表示部の左右方向中心線との距離よりもく設定されているため、主として自車両表示部の裏面側に対向配置されたLEDによって検知波表示部を効果的に照らすことができる。この結果、検知波表示部の裏面側にLEDを設ける必要がなく、LEDの個数を削減して当該車両用ドアミラーの小型化とコストダウンを図ることができる。
【0022】
また本発明の第8の特徴によれば、車両前後方向において反射ミラーとLEDとの間に光拡散シートを配置したため、LEDから出射する指向性の強い光が拡散シートを通過することによって拡散される。このため、側方支援アイコンの表示部が均一に発光し、その輝度ムラが低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明に係る車両用ドアミラーの正面図である(第1の実施の形態)。
図2図2図1の2-2線断面図である(第1の実施の形態)。
図3図3は本発明に係る車両用ドアミラー要部の分解斜視図である(第1の実施の形態)。
図4図4図3の4部拡大詳細図である(第1の実施の形態)。
図5図5は本発明に係る車両用ドアミラーにおけるLEDの光軸と側方支援アイコンとの位置関係を説明する図である(第1の実施の形態)。
図6図6は本発明に係る車両用ドアミラーにおけるLEDの光軸と側方支援アイコンとの位置関係を説明する図である(第2の実施の形態)。
図7図7は本発明に係る車両用ドアミラーにおけるLEDの光軸と側方支援アイコンとの位置関係を説明する図である(第3の実施の形態)。
【符号の説明】
【0024】
1 車両用ドアミラー
2 ミラーハウジング
3 反射ミラー
4 マスク部材
5 ハウジング
6 回路基板
7 止水テープ
8 光拡散シート
10 側方支援アイコン
11 自車両表示部(特定表示部)
12 他車両表示部(特定表示部)
13 検知波表示部
20 第1のLED
30 第2のLED
51 第1傾斜面
52 第2傾斜面
61 第1膨出部
62 第2膨出部
63 傾斜面
64 傾斜面
A 側方支援アイコンの光透過領域
B 側方支援アイコンの光不透過領域
C1 自車両表示部の左右方向中心線
C2 他車両表示部の左右方向中心線
L1,L2 LEDの光軸
P1,P2 LEDの光出射点
Q1,Q2 LEDの光出射点を通る運転者の視線が特定表示部の左右方向中心線を反 射ミラー裏面において通る位置
R 反射膜
S1,S2 運転者の視線
U 光学ユニット
ε1 第1のLEDの光軸と自車両表示部の中心線との距離
ε2 第2のLEDの光軸と他車両表示部の中心線との距離
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【第1の実施の形態】
【0026】
図1は本発明に係る車両用ドアミラーの正面図、図2図1の2-2線断面図、図3は本発明に係る車両用ドアミラー要部の分解斜視図、図4図3の4部拡大詳細図、図5は本発明に係る車両用ドアミラーにおけるLEDの光軸と側方支援アイコンとの位置関係を説明する図である。
【0027】
図1に示す車両用ドアミラー1は、車両の左側に配置されるものであって、正面が開口するカップ状のミラーハウジング2内に反射ミラー3と光学ユニットU(図2及び図3参照)を収容して構成されている。なお、車両の右側に配置される不図示の車両用ドアミラーの構成は、左側の車両用ドアミラー1と左右対称であって、両者の基本構成は同じであるため、右側の車両用ドアミラーについての図示及び説明は省略する。
【0028】
前記反射ミラー3は、図2に示すように、透明ガラス基板3Aの裏面全体に金属膜による反射膜Rを蒸着して構成されており、これはミラーハウジング2の開口部2a(図1参照)を塞ぐように配置されている。なお、図示しないが、ミラーハウジング2内には、反射ミラー3の傾斜角度を調整するための可動機構も収容されている。
【0029】
ここで、図3に示すように、反射ミラー3の裏面の左上部(コーナー部)には、運転者に向けて警告光を発するための発光表示部である側方支援アイコン(以下、単に「アイコン」と称する)10が形成されている。このアイコン10には、図4に詳細に示すように、運転席側(図4の右側)に配置される自車両表示部11と、この自車両表示部11よりも運転者から遠い側(図4の左側)の斜め後方(図4の下方)に配置される他車両表示部12と、車幅方向(左右方向)において自車両表示部11と他車両表示部12との間に配置される検知波表示部13が含まれている。
【0030】
ここで、自車両表示部11と他車両表示部12は、これらの裏面側に対向配置された後述のLED20,30(図2参照)によってそれぞれ発光する特定の表示部(以下、「特定表示部」という。)を構成している。
【0031】
アイコン10に含まれる自車両表示部11と他車両表示部12及び検知波表示部13は、ブラスト処理やレーザーエッチング処理によって反射膜R(図2参照)を透明ガラス基板3Aから剥離させることによって反射ミラー3の裏面に形成されている。そして、このようにして形成された自車両表示部11と他車両表示部12及び検知波表示部13には、図4に示すように、光透過領域Aと光不透過領域Bが形成されている。
【0032】
ところで、反射ミラー3と共にミラーハウジング2内に収容される前記光学ユニットUは、反射ミラー3の裏面に貼着されるが、この光学ユニットUは、図3に示すように、反射ミラー3の裏面に接着されたマスク部材4と、矩形ボックス状のハウジング5と、該ハウジング5内に収容された回路基板6と、ハウジング5の開口部5a周縁に被着されるシール部材としての矩形リング状の止水テープ7と、該止水テープ7とマスク部材4との間に挟持された状態で配置される光拡散シート8を含んで構成されている。
【0033】
ここで、前記マスク部材4には、開口部4aが形成されており、このマスク部材4の開口部4aを除く全域は暗色とされている。このマスク部材4は、当該車両用ドアミラー1の内部が外部から透けて見えないようにするためのものであって、例えば、暗色(例えば黒色)の樹脂板や樹脂フィルムで構成されている。なお、マスク部材4に形成された開口部4aは、アイコン10に対応する箇所に形成されており、その開口面積は、図5に示すアイコン10を囲む領域Mの面積よりも大きく設定されている。
【0034】
また、前記回路基板6には、アイコン10に含まれる自車両表示部11と他車両表示部12及び検知波表示部13に向けて光を出射する光源である第1のLED20と第2のLED30が実装されている。
【0035】
次に、アイコン10とこのアイコン10の裏面側にそれぞれ対向配置された第1及び第2のLED20,30との配置関係を図5に基づいて以下に説明する。
【0036】
本実施の形態においては、アイコン10に含まれる自車両表示部11の裏面側に第1のLED20が対向配置され、他車両表示部12の裏面側に第2のLED30が対向配置されており、特定表示部としての自車両表示部11は、主に第1のLED20からの光によって発光し、同じく特定表示部としての他車両表示部12は、主に第2のLED30からの光によって発光する。すなわち、第1のLED20と第2のLED30から各光軸L1,L2方向に出射する指向性の強い光は、光拡散シート8を通過することによって拡散され、この拡散された光が自車両表示部11の光透過領域A(図4参照)と他車両表示部12の光透過領域A(図4参照)をそれぞれ透過するため、これらの光によって自車両表示部11と他車両表示部12がそれぞれ発光する。例えば、車両の走行中にレーダーが斜め後方に他車両の存在を検知した場合には、その方向の他車両表示部12が点灯し、さらに運転者がその方向にウインカーを操作すると、他車両表示部12が点滅するとともに、警告音が発せられて運転者に対して注意が喚起される。なお、アイコン10に含まれる検知波表示部13は、後述のように第1のLED20と第2のLED30からの光によって発光するが、主には第1のLED20からの光によって発光する。
【0037】
ここで、第1のLED20と第2のLED30は、その光軸L1,L2が反射ミラー3に対して垂直であるように設定され、且つ、当該第1及び第2のLED20,30の光出射点P1,P2を通る運転者の視線S1,S2が自車両表示部11と他車両表示部12の各左右方向中心線C1,C2を反射ミラー3の裏面において通る位置Q1,Q2に配置されている。
【0038】
また、本実施の形態においては、反射ミラー3の正面視で、第1のLED20と第2のLED30の各光出射点P1,P2は、自車両表示部11と他車両表示部12の各左右方向中心線C1,C2よりも運転者から遠い側(図5の左側)であって、且つ、他車両表示部12の光透過領域Aまたは自車両表示部11の外側の何れか一方に位置しており、それに伴って、第1のLED20と第2のLED30の各光軸L1,L2も、自車両表示部11と他車両表示部12の各左右方向中心線C1,C2よりも運転者から遠い側であって、且つ、他車両表示部12の光透過領域Aまたは自車両表示部11の外側の何れか一方に位置している。具体的には、第1のLED20の光軸L1は、自車両表示部11の外側に位置し、第2のLED30の光軸L2は、他車両表示部12の光透過領域Aに位置している。
【0039】
本実施の形態においては、第1のLED20の光出射点P1(光軸L1)と第2のLED30の光出射点P2(光軸L2)を上述のように配置したため、車内から運転者が自車両表示部11と他車両表示部12を見たときに第1及び第2のLED20,30の各光出射点P1,P2がそれぞれ自車両表示部11と他車両表示部12の左右方向中心線C1,C2上に位置しているように見える。このため、車内から自車両表示部11と他車両表示部12を見る運転者にとっては、これらの自車両表示部11と他車両表示部12を照らす第1及び第2のLED20,30からの光の輝度ムラが低く抑えられ、自車両表示部11と他車両表示部12が均一に発光しているように見える。
【0040】
そして、本実施の形態では、自車両表示部11と他車両表示部12の裏面側に第1のLED20と第2のLED30をそれぞれ対向配置したため、これらの第1及び第2のLED20,30から出射する光によって特定表示部である自車両表示部11と他車両表示部12をそれぞれ効率良く発光させることができる。また、本実施の形態では、車両前後方向において反射ミラー3と第1及び第2のLED20,30との間に光拡散シート8を配置したため、第1及び第2のLED20,30からそれぞれ出射する指向性の強い光が拡散シート8を通過することによって拡散される。このため、自車両表示部11と他車両表示部12がそれぞれ均一に発光し、その輝度ムラが低く抑えられる。
【0041】
さらに、本実施の形態においては、反射ミラー3の正面視で、第1のLED20の光出射点P1(光軸L1)は、自車両表示部11の外側縁に隣接しているため、この第1のLED20からの光によって検知波表示部13も照らすことができる。このため、検知波表示部13の裏面側にLEDを設ける必要がなく、LEDの個数を削減して当該車両用ドアミラー1の小型化とコストダウンを図ることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、反射ミラー3の正面視で、自車両表示部11の裏面側に配置された第1のLED20の光出射点P1(光軸L1)と自車両表示部11の左右方向中心線C1との距離ε1は、他車両表示部12の裏面側に配置された第2のLED30の光出射点P2(光軸L2)と他車両表示部12の左右方向中心線C2との距離ε2よりもく設定されているため(ε1>ε2)、主として第1のLED20によって検知波表示部13を効果的に照らすことができる。したがって、このことによっても検知波表示部13の裏面側にLEDを設ける必要がなく、LEDの個数を削減して当該車両用ドアミラー1の小型化とコストダウンを図ることができるという効果が得られる。
【第2の実施の形態】
【0043】
次に、図6に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0044】
第1の実施の形態では、光出射点P1,P2を通る運転者の視線S1,S2が自車両表示部11,他車両表示部12の左右方向中心線C1,C2を反射ミラー3の裏面において各々通るようにした第1,第2のLED20,30が、平板状の回路基板6における自車両表示部11の裏面側の部分と他車両表示部12の裏面側の部分とにそれぞれ載置され、それら第1,第2のLED20,30の光軸が、反射ミラー3に対して垂直であるように設定されているが、第2の実施の形態では、回路基板6における自車両表示部11の裏面側の部分と他車両表示部12の裏面側の部分とに、反射ミラー3側に膨出する第1膨出部61と第2膨出部62とがそれぞれ形成され、それら第1,第2膨出部61,62に、運転者の目に向かう方向に対して略垂直に傾斜する傾斜面63,64がそれぞれ形成されて、それらの傾斜面63,64上に、光出射点P1,P2を通る運転者の視線S1,S2が自車両表示部11,他車両表示部12の左右方向中心線C1,C2を反射ミラー3の裏面において各々通るようにした第1,第2のLED20,30が、それらの光軸L1,L2を前記運転者の視線S1,S2にそれぞれ一致させるように設定されて載置されている。
第2の実施の形態は、その余の構成については第1の実施の形態の構成と異なるものではないので、第1の実施の形態と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0045】
第2の実施の形態は、その余の構成については第1の実施の形態の構成と異なるものではないので、第1の実施の形態と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0046】
第2の実施の形態においても、車内から運転者が自車両表示部11と他車両表示部12を見たときに第1及び第2のLED20,30の各光出射点P1,P2がそれぞれ自車両表示部11と他車両表示部12の左右方向中心線C1,C2上に位置しているように見えるから、車内から自車両表示部11と他車両表示部12を見る運転者にとっては、これらの自車両表示部11と他車両表示部12を照らす第1及び第2のLED20,30からの光の輝度ムラが低く抑えられ、自車両表示部11と他車両表示部12が均一に発光しているように見える。
【0047】
また第1の実施の形態と同様に、反射ミラー3の正面視で、第1及び第2のLED20,30の各光出射点P1,P2を、自車両表示部11と他車両表示部12の各左右方向中心線C1,C2よりも運転者から遠いであって、且つ、他車両表示部12の光透過領域Aまたは自車両表示部11の外側の何れか一方に位置(具体的には、第1のLED20の光出射点P1を自車両表示部11の外側の部分に位置させ、第2のLED30の光出射点P2を他車両表示部12の光透過領域Aに位置)させることができ、更に、自車両表示部11の裏面側に配置された第1のLED20の光出射点P1と自車両表示部11の左右方向中心線C1との距離ε1を、他車両表示部12の裏面側に配置された第2のLED30の光出射点P2と他車両表示部12の左右方向中心線C2との距離ε2よりもく設定できるから、本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0048】
しかも本実施の形態においては、第1及び第2のLED20,30の光軸L1,L2が、それぞれ自車両表示部11と他車両表示部12の左右方向中心線C1,C2上を通ることになるので、より輝度の高い表示を行うことができる。
【第3の実施の形態】
【0049】
次に、図7に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0050】
次に、図7に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態では、回路基板6における自車両表示部11の裏面側の部分と他車両表示部12の裏面側の部分とに、反射ミラー3側に膨出する第1膨出部61と第2膨出部62とがそれぞれ形成され、それら第1,第2膨出部61,62に、運転者の目の方向に対して略垂直に傾斜する傾斜面63,64がそれぞれ形成されて、それらの傾斜面63,64上に、光出射点P1,P2を通る運転者の視線S1,S2が自車両表示部11,他車両表示部12の左右方向中心線C1,C2を反射ミラー3の裏面において各々通るようにした第1,第2のLED20,30が、それらの光軸L1,L2を前記運転者の視線S1,S2にそれぞれ一致させるように設定されて載置されるのに対し、第3の実施の形態では、反射ミラー3の裏面に対向するハウジング5の内壁面における自車両表示部11の裏面側の部分と他車両表示部12の裏面側の部分とに、運転者の目の方向に対して略垂直に傾斜する第1傾斜面51と第2傾斜面52とがそれぞれ凹凸状に形成され、それら第1,第2傾斜面51,52上に、光出射点P1,P2を通る運転者の視線S1,S2が自車両表示部11,他車両表示部12の左右方向中心線C1,C2を反射ミラー3の裏面において通るようにした第1,第2のLED20,30が、それらの光軸L1,L2を前記運転者の視線S1,S2にそれぞれ一致させるように設定されて載置される。
【0051】
第3の実施の形態は、その余の構成については第2の実施の形態の構成と異なるものではないので、第2の実施の形態と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明は省略するが、第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
図1
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図4
図5
図6
図7