(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 8/20 20090101AFI20230927BHJP
H04W 28/08 20230101ALI20230927BHJP
H04W 60/00 20090101ALI20230927BHJP
【FI】
H04W8/20
H04W28/08
H04W60/00
(21)【出願番号】P 2023097866
(22)【出願日】2023-06-14
【審査請求日】2023-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/061323(WO,A1)
【文献】特開2011-172036(JP,A)
【文献】特開2010-16565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ側情報処理装置において、第1拠点に在圏するユーザ端末からの第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置を介して受信するステップであって、前記第1の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、ステップと、
前記第1拠点にある第1拠点側情報処理装置において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第1拠点側加入者プロファイルを作成するステップと、
前記第1拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第1の位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置から前記第1拠点側情報処理装置へリダイレクトさせるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記センタ側情報処理装置は、前記センタ側情報処理装置が通信可能な複数の前記拠点側情報処理装置の識別子のそれぞれと、対応する前記第1ユーザデータ管理装置の識別子とを関連付けて予め記憶している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1ユーザデータ管理装置は、前記第1拠点側情報処理装置への前記リダイレクトの指示を受信すると、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号と、前記第1拠点側情報処理装置の識別子とを関連付けるステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1拠点側情報処理装置は、リダイレクトされた前記第1の位置登録要求信号を受信すると、前記第1の位置登録要求信号に含まれる前記ユーザ端末の在圏する第1のモビリティ管理装置の識別子を、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号に対応付けて、前記拠点側加入者プロファイルに記憶するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザ端末からの更なる位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置が受信すると、前記第1ユーザデータ管理装置は、前記ユーザ端末の加入者識別番号に対応する前記第1拠点側情報処理装置へ前記更なる位置登録要求信号を送信するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1拠点側情報処理装置は、前記更なる位置登録要求信号を受信すると、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号に対応する、前記第1拠点側加入者プロファイルに基づいて、前記ユーザ端末との通信を行うステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザ端末の移動により、前記ユーザ端末が第2拠点に在圏すると、
前記センタ側情報処理装置において、前記第2拠点に在圏する前記ユーザ端末から第2の位置登録要求信号を、第2ユーザデータ管理装置を介して受信するステップであって、前記第2の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、ステップと、
前記センタ側情報処理装置は、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルに含まれる前記加入者識別番号に対応する在圏情報が、前記第2の位置登録要求信号に基づいて特定される前記拠点側情報処理装置の識別子と、一致しないときに、前記ユーザ端末の拠点間の移動を判断するステップと
をさらに含む請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2拠点にある第2拠点側情報処理装置において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第2拠点側加入者プロファイルを作成するステップと、
前記第2拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第2の位置登録要求信号を、前記第2ユーザデータ管理装置から前記第2拠点側情報処理装置へリダイレクトさせるステップと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2ユーザデータ管理装置は、前記第2拠点側情報処理装置への前記リダイレクトの指示を受信すると、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号と、前記第2拠点側情報処理装置とを関連付けるステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記センタ側情報処理装置は、前記ユーザ端末の拠点間の移動を判断すると、前記第1拠点側情報処理装置へ、前記加入者識別番号に対応する前記第1拠点側加入者プロファイルを削除する指示を送信するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記センタ側情報処理装置は、前記ユーザ端末の拠点間の移動を判断すると、前記第1拠点の前記ユーザデータ管理装置へ、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号と、前記第1拠点側情報処理装置の識別子とを関連付けた情報をキャッシュから削除する指示を送信するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
センタ側情報処理装置と、第1拠点側情報処理装置とを含むシステムであって、
前記センタ側情報処理装置において、第1拠点に在圏するユーザ端末からの第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置を介して受信することであって、前記第1の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、受信することと、
前記第1拠点側情報処理装置において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第1拠点側加入者プロファイルを作成することと、
前記第1拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第1の位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置から前記第1拠点側情報処理装置へリダイレクトすることと
を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯通信システムにおいて、拠点側に統合データ管理装置を設けて、拠点側統合データ管理装置でユーザ端末の位置登録を行う方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信サービスは経済活動や国民生活に不可欠なライフラインである。このため、障害発生時などの非常時においても確実に端末装置のデータ通信、音声通話等の各種サービスを利用できる仕組みが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2021/0211883号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ユーザ端末からの位置登録要求信号を、加入者プロファイルを管理する統合データ管理装置で受信し、統合データ管理装置からこの位置登録要求信号に対する応答を返すことで、ユーザ端末とコア側ネットワーク装置との間の通信を確立する技術が示される。しかしながら、コア側ネットワーク側の装置構成は、統合データ管理装置を親として複数の子要素を持つ複数階層のツリー構造になっている。統合データ管理装置は、末端の子要素である複数のユーザ端末から位置登録要求信号を集約して終端処理しており、高負荷な処理が求められていた。このため、ユーザ端末からの統合データ管理装置への位置登録要求信号のアクセスが集中して、通信障害を引き起こすことがあった。
【0005】
本発明の目的は、センタ側の統合データ管理装置の他に、拠点側の統合データ管理装置を設けて、位置登録処理の分散を図り、センタ側の統合データ管理装置の処理負荷を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、センタ側情報処理装置において、第1拠点に在圏するユーザ端末からの第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置を介して受信するステップであって、前記第1の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、ステップと、前記第1拠点にある第1拠点側情報処理装置において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第1拠点側加入者プロファイルを作成するステップと、前記第1拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第1の位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置から前記第1拠点側情報処理装置へリダイレクトするステップとを含む、方法にある。
【0007】
また、上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、センタ側情報処理装置と、第1拠点側情報処理装置とを含むシステムであって、前記センタ側情報処理装置において、第1拠点に在圏するユーザ端末からの第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置を介して受信することであって、前記第1の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、受信することと、前記第1拠点側情報処理装置において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第1拠点側加入者プロファイルを作成することと、前記第1拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第1の位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置から前記第1拠点側情報処理装置へリダイレクトすることと、を含むシステムにある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示の一実施形態における通信システムの概要を示す図である。
【
図1B】本開示の一実施形態による通信システムを構成するネットワーク要素の階層構造を例示する。
【
図2】本開示の一実施形態による通信システムにおける処理のフローを示す。
【
図3】本開示の一実施形態による、センタ側統合データ管理装置の記憶部に記憶されるセンタ側加入者プロファイルのデータ構造を例示する。
【
図4】本開示の一実施形態による、センタ側統合データ管理装置の記憶部に記憶されるリダイレクト先情報のデータ構造を例示する。
【
図5】本開示の一実施形態による、拠点側統合データ管理装置の記憶部に記憶される拠点側加入者プロファイルのデータ構造を例示する。
【
図6】本開示の一実施形態による通信システムにおけるユーザ端末の在圏する拠点が変更するときの処理のフローを示す。
【
図7】本開示の一実施形態による、拠点2側統合データ管理装置の記憶部に記憶される拠点側加入者プロファイルのデータ構造を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態は、以下のような構成を備える。
【0010】
〔構成1〕
上記目的を達成するための方法の特徴構成は、センタ側情報処理装置(150)において、第1拠点に在圏するユーザ端末(102)からの第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置(114)を介して受信するステップであって、前記第1の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、ステップと(S206)、前記第1拠点にある第1拠点側情報処理装置(116)において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第1拠点側加入者プロファイルを作成するステップと(S210)、前記第1拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第1の位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置から前記第1拠点側情報処理装置へリダイレクトさせるステップと(S214)を含む、点にある。
【0011】
〔構成2〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記センタ側情報処理装置は、前記センタ側情報処理装置が通信可能な複数の前記拠点側情報処理装置の識別子のそれぞれと、対応する前記第1ユーザデータ管理装置の識別子とを関連付けて予め記憶している(400)、点にある。
【0012】
〔構成3〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記第1ユーザデータ管理装置(114)は、前記第1拠点側情報処理装置への前記リダイレクトの指示を受信すると、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号と、前記第1拠点側情報処理装置(116)の識別子とを関連付けるステップをさらに含む(S214)、点にある。
【0013】
〔構成4〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記第1拠点側情報処理装置(116)は、リダイレクトされた前記第1の位置登録要求信号を受信すると、前記第1の位置登録要求信号に含まれる前記ユーザ端末の在圏する第1のモビリティ管理装置の識別子を、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号に対応付けて、前記拠点側加入者プロファイルに記憶するステップ(S216)をさらに含む、点にある。
【0014】
〔構成5〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記ユーザ端末からの更なる位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置が受信すると、前記第1ユーザデータ管理装置は、前記ユーザ端末の加入者識別番号に対応する前記第1拠点側情報処理装置へ前記更なる位置登録要求信号を送信するステップ(S218)をさらに含む、点にある。
【0015】
〔構成6〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記第1拠点側情報処理装置は、前記更なる位置登録要求信号を受信すると、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号に対応する、前記第1拠点側加入者プロファイルに基づいて、前記ユーザ端末との通信を行うステップ(S220)をさらに含む、点にある。
【0016】
〔構成7〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記ユーザ端末(102)の移動により、前記ユーザ端末が第2拠点に在圏すると、前記センタ側情報処理装置(150)において、前記第2拠点に在圏する前記ユーザ端末から第2の位置登録要求信号を、第2ユーザデータ管理装置を介して受信するステップであって、前記第2の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、ステップと(S606)、前記センタ側情報処理装置は、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルに含まれる前記加入者識別番号に対応する在圏情報が、前記第2の位置登録要求信号に基づいて特定される前記拠点側情報処理装置の識別子と一致しないときに、前記ユーザ端末の拠点間の移動を判断するステップと(S608)をさらに含む点にある。
【0017】
〔構成8〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記第2拠点にある第2拠点側情報処理装置(136)において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第2拠点側加入者プロファイル(700)を作成するステップと(S618)、前記第2拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第2の位置登録要求信号を、前記第2ユーザデータ管理装置から前記第2拠点側情報処理装置へリダイレクトさせるステップと(S622)をさらに含む、点にある。
【0018】
〔構成9〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記第2ユーザデータ管理装置は、前記第2拠点側情報処理装置への前記リダイレクトの指示を受信すると、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号と、前記第2拠点側情報処理装置とを関連付けるステップをさらに含む(S614)、点にある。
【0019】
〔構成10〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記センタ側情報処理装置は、前記ユーザ端末の拠点間の移動を判断すると、前記第1拠点側情報処理装置(116)へ、前記加入者識別番号に対応する前記拠点1側加入者プロファイルを削除する指示を送信するステップをさらに含む(S608)、点にある。
【0020】
〔構成11〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、
前記センタ側情報処理装置は、前記ユーザ端末の拠点間の移動を判断すると、前記第1拠点の前記ユーザデータ管理装置(114)へ、前記ユーザ端末の前記加入者識別番号と、前記第1拠点側情報処理装置の識別子とを関連付けた情報をキャッシュから削除する指示を送信するステップをさらに含む(S612)、点にある。
【0021】
〔構成12〕
上記目的を達成するためのシステムの特徴構成は、
センタ側情報処理装置と、第1拠点側情報処理装置とを含むシステムであって、前記センタ側情報処理装置において、第1拠点に在圏するユーザ端末からの第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置を介して受信することであって、前記第1の位置登録要求信号は、前記ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、受信することと(S206)、前記第1拠点側情報処理装置において、前記センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、前記加入者識別番号に対応する第1拠点側加入者プロファイルを作成することと(S210)、前記第1拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、前記第1の位置登録要求信号を、前記第1ユーザデータ管理装置から前記第1拠点側情報処理装置へリダイレクトすることと(S214)を含む点にある。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。しかし、本開示の実施形態は、必ずしもこのような態様に限定されない。本開示の実施形態が、特許請求の範囲において規定される範囲に含まれる様々な態様を取り得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0023】
図1Aは、本開示の一実施形態における通信システム100の概要を示す図である。通信システム100に示される各装置は、通信システム100で提供される主な機能、例えば、モビリティ管理機能、認証機能、ユーザデータ管理機能、加入者プロファイル管理機能を実装するネットワーク要素である。
図1Aにおいて、ネットワーク要素を装置で実現されるものとして示しているが、これら機能は、機能エンティティとして実現されてもよい。また、図示されるネットワーク要素の他に、他のネットワーク要素が、通信システム100の主要機能の一部または全部を実装するために使用されてもよい。また、図示されるネットワーク要素の他に、他のネットワーク要素を含んでもよい。
【0024】
通信システム100は、拠点1側のコアネットワーク110と、拠点2側のコアネットワーク130とに通信可能に構成されたセンタ側統合データ管理装置150を備える。拠点1側のコアネットワーク110は、複数のモビリティ管理装置112と、1の拠点1側ユーザデータ管理装置114と、1の拠点1側統合データ管理装置116と、拠点1側統合データ管理装置116に接続された1の認証装置118とを備える。拠点2も、拠点1と同様に、複数のモビリティ管理装置132と、1のユーザデータ管理装置134と、1の拠点2側統合データ管理装置136と、拠点2側統合データ管理装置136に接続された1の認証装置138とを備える。拠点1のコアネットワーク110は、複数のモビリティ管理装置112(♯1
AMF1~Nまで、Nは任意の整数)を、拠点2のコアネットワーク110は、複数のモビリティ管理装置112(♯2
AMF1~Mまで、Mは任意の整数)備える。
図1中の各装置の#の後に示す文字および数字は、各装置に割り当てられる識別子の例を示す。「♯1」は拠点1側、「#2」は拠点2側のネットワーク要素であることを指し、拠点1側、拠点2側の装置を区別する必要の無い場合には、「#1」、「#2」を省略することがある。各拠点を構成するネットワーク要素は、それぞれ物理的に近い位置に配置される。一方、センタ側統合データ管理装置150と、拠点1側の要素群と、拠点2の要素群とは、物理的に近い位置に配置されなくてもよい。また、
図1Aの例において拠点は2つあるが、拠点は3以上あってもよい。
【0025】
ユーザ端末(UE:User Equipment)102は基地局104を介してコアネットワーク110/130と通信することができる。通信システム100は、拠点1のモビリティ管理装置112配下に在圏するユーザ端末102からの位置登録要求信号の送信先を、センタ側統合データ管理装置150ではなく、拠点1側統合データ管理装置116に設定する。これにより、第1拠点のユーザ端末102からの位置登録要求信号は、拠点1側統合データ管理装置116で処理される。ユーザ端末102は拠点1側のモビリティ管理装置112配下に在圏する限り、センタ側統合データ管理装置150ではなく、拠点1側統合データ管理装置116に位置登録要求信号を送信することができる。このため、センタ側統合データ管理装置150への位置登録要求信号の集中を回避することができる。
【0026】
センタ側統合データ管理装置150は、複数存在することがある。従来、ユーザ端末102から送信された位置登録要求信号の送信先として、複数のセンタ側統合データ管理装置150のうち1つがラウンドロビン機構を用いて選択されていた。ラウンドロビン機構は、位置登録要求信号を、センタ側統合データ管理装置150間で分配することができるものの、ユーザ端末102と、センタ側統合データ管理装置150との間の物理的距離を考慮しないで選択される。このため、ユーザ端末102の拠点に物理的に近いセンタ側統合データ管理装置150が位置登録要求信号の送信先として選択されるとは限らなかった。本開示によると、ユーザ端末102の拠点に物理的に近い拠点1側統合データ管理装置116へ位置登録要求信号を送信することができる。
【0027】
図1Aの例において、拠点1のモビリティ管理装置112#1
AMF1の配下に、ユーザ端末102が在圏するものとする。本開示によると、拠点1側統合データ管理装置116は、センタ側統合データ管理装置150にあるユーザ端末102に対応付けられる加入者プロファイルをコピーすることができる。ユーザ端末102は、拠点1側統合データ管理装置116のコピーされた加入者プロファイルを利用して、通信事業者の提供する各種ネットワークサービスを利用することができる。
【0028】
また、
図1Aの例において、ユーザ端末102は、拠点1から拠点2に移動すると、ユーザ端末102は拠点2のモビリティ管理装置132#2
AMF1の配下に在圏するものとする。センタ側統合データ管理装置150の保持する加入者プロファイルは、拠点2側統合データ管理装置136にコピーされる。ユーザ端末102は、拠点2側統合データ管理装置136の加入者プロファイルを利用して、通信事業者のネットワークサービスを利用することができる。
【0029】
以下の実施形態において、通信システム100は3GPP(登録商標)の5G(5th Generation)の規格に準拠するものとして説明するが、実施形態は、必ずしも特定の規格に限定されるわけはなく、第4世代(4th Generation,4G)、第6世代(6th Generation,6G)などの他の通信規格に準拠することができる。
【0030】
(ユーザ端末102)
ユーザ端末102は、スマートフォンなどの携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)などとして実現される。
【0031】
ユーザ端末102は、制御部、記憶部、送受信部、アンテナ、およびSIMなどのハードウェア資源を有する。制御部、記憶部、送受信部、およびSIMはバスを介して接続される。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。記憶部の具体例は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等である。ユーザ端末の制御部は、ユーザ端末全体の動作・機能を制御する機能部である。制御部は、必要に応じて記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、ユーザ端末における各種処理を実現する。送受信部は、アンテナを介して、アクセスネットワーク内の基地局装置と無線通信するための機能部である。
【0032】
ユーザ端末102に搭載されるSIMには、通信事業者と契約するユーザの契約プロファイルが格納されている。SIMの契約プロファイルには、ユーザの加入者情報が格納され、携帯電話の回線契約に割り当てられる加入者識別番号(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)、加入者であるユーザの電話番号(MSISDN:Mobile Subscriber International Subscriber Directory Number)、SIMカード番号(ICCID:Integrated Circuit Card Identifier)といった個別の識別子情報が含まれる。
【0033】
(センタ側統合データ管理装置150)
センタ側統合データ管理装置150は、UDR(統合/ユーザデータリポジトリ: Unified Data Repository)を備える。センタ側統合データ管理装置150は、UDRにおいて、検索または蓄積ができるよう整理された通信事業者とサービス契約する加入者プロファイルの集まりを格納する。
【0034】
センタ側統合データ管理装置150は、制御部、記憶部、送受信部などのハードウェア資源を有する。制御部、記憶部、送受信部はバスを介して接続されている。センタ側統合データ管理装置150の制御部は、センタ側統合データ管理装置150全体の動作・機能を制御する機能部である。制御部は、必要に応じて記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、センタ側統合データ管理装置150における各種処理を実現する。送受信部は、センタ側統合データ管理装置150が、第1拠点のネットワーク、第2拠点のネットワークと通信するための機能部である。記憶部は、センタ側加入者プロファイル300を記憶する。センタ側統合データ管理装置150のセンタ側加入者プロファイル300の詳細は、
図3を用いて後述する。
【0035】
以下、拠点側の統合データ管理装置116/136、モビリティ管理装置112/132、ユーザデータ管理装置114/134、認証装置118/138は、センタ側統合データ管理装置150と同様のハードウェア構成を有しており、ハードウェア構成についての重複する説明は省略する。
【0036】
(拠点側統合データ管理装置116/136)
拠点側統合データ管理装置116/136は、それぞれ拠点側のUDRを備える。拠点側統合データ管理装置116/136は、センタ側統合データ管理装置150より取得した加入者プロファイルを、コピーして、検索または蓄積ができるよう整理して、格納する。拠点側統合データ管理装置116/136で加入者プロファイルを保持することで、ユーザ端末102は、センタ側統合データ管理装置150ではなく、拠点側統合データ管理装置116/136に位置登録要求信号を送信し、通信事業者の提供する各種ネットワークサービスを利用することができる。記憶部は、加入者プロファイル500、700を記憶する。拠点1側統合データ管理装置116の加入者プロファイル500の詳細は、
図5A、
図5Bを用いて後述する。拠点2側統合データ管理装置136の加入者プロファイル700の詳細は、
図7A、
図7Bを用いて後述する。移動によりユーザ端末102が在圏する拠点が変わると、記憶した移動元の拠点側の加入者プロファイルは削除される。
【0037】
(モビリティ管理装置112/132)
モビリティ管理装置112/132は、AMF(Access and Mobility Management Function)の機能を提供するネットワーク要素である。モビリティ管理装置112/132は、ユーザ端末102の位置登録や、呼出・基地局間ハンドオーバなどの管理を行う。
【0038】
(拠点側ユーザデータ管理装置114/134)
拠点側ユーザデータ管理装置114/134は、UDM(User Data Management)の機能を提供するネットワーク要素である。拠点側ユーザデータ管理装置114/134は、加入者データ、セッション情報、ユーザ端末102の在圏情報、ユーザ端末102のAKA(Authentication and Key Agreement)認証のための認証情報の格納や、管理を行う。AKA認証は、ユーザ端末102のSIMと通信事業者網の間で取り交わされる認証/暗号キー配送の方式をいう。拠点側ユーザデータ管理装置114/134はセンタ側統合データ管理装置150からのリダイレクト指示によって、ユーザ端末102からモビリティ管理装置112/132を介して受信した位置登録要求信号を拠点側統合データ管理装置116/136に送信することができる。また、拠点側ユーザデータ管理装置114/134はリダイレクト指示に含まれるユーザ端末102の加入者識別番号と、拠点側ユーザデータ管理装置の識別子とを関連付けて一時的に記憶部に記憶することができる。移動によりユーザ端末102が在圏する拠点が変わると、一時的に記憶した移動前のユーザ端末102の加入者識別番号と、拠点側ユーザデータ管理装置の識別子との関連付けは削除される。
【0039】
(認証装置118/138)
認証装置118/138は、AUSF(Authentication Server Function)の機能を提供するネットワーク要素である。認証装置118/138は、ユーザ認証に関する機能を提供し、ユーザ端末102の認証やアクセス制御等を行う。認証装置118/138は、拠点側ユーザデータ管理装置114/134からユーザの認証情報を受け取り、認証に必要な処理を行う。
【0040】
図1Bは、本開示の一実施形態による通信システム100を構成するネットワーク要素の階層構造を例示する。
【0041】
本開示による通信システム100のネットワーク要素の階層構造は、センタ側統合データ管理装置150の配下にあるネットワーク要素の構造の例を示す。センタ側統合データ管理装置150の配下には、複数の拠点(
図1Bの例では1からZ)がある。それぞれの拠点には複数のモビリティ管理装置と、1のユーザデータ管理装置と、1の拠点側統合データ管理装置とが存在する。
【0042】
図2は、本開示の一実施形態による通信システム100における処理200のフローを示す。
図2において、ユーザ端末102は、拠点1のモビリティ管理装置112配下に在圏するものとする。
【0043】
処理に先立ち、顧客情報が顧客管理装置160の記憶部に格納されているものとする。顧客管理装置160は、携帯通信事業者がユーザに提供するネットワークサービスを管理するために必要な各種情報を有する。顧客情報は、携帯通信事業者の提供するネットワークサービスを契約するユーザの加入者識別番号ごとにユーザ契約に関する各種情報を記憶する。
【0044】
ステップS201において、顧客管理装置160は、ユーザからのサービスオーダに関するデータを読み出して、センタ側統合データ管理装置150に送信する。サービスオーダデータは、ネットワークサービスを契約したユーザの加入者識別番号と、ユーザ契約情報を含む。
【0045】
次に、ステップS202において、センタ側統合データ管理装置150は、受信したサービスオーダデータ(加入者識別番号、ユーザ契約情報)に基づいて、
図3に示すセンタ側加入者プロファイル300を作成し、記憶部に記憶する。また、センタ側統合データ管理装置150は、センタ側加入者プロファイル300を記憶すると、サービスオーダデータに基づく契約手続が完了した旨の通知を顧客管理装置160へ送信する。センタ側加入者プロファイル300は、通信事業者の提供するネットワークサービスを契約するユーザの加入者識別番号ごとにユーザ契約に関する各種情報を管理する。
【0046】
図3は、本開示の一実施形態による、センタ側統合データ管理装置150の記憶部に記憶されるセンタ側加入者プロファイル300のデータ構造を例示する。センタ側加入者プロファイル300は、ユーザの加入者識別番号と、ユーザが契約するサービス内容(音声通話、SMS、データ通信の契約有無など)と、加入者識別番号に対応するユーザ端末102の在圏情報の項目を含むことができる。センタ側加入者プロファイル300は、さらに、加入者識別番号に対応する電話番号と、契約プランの詳細情報、ユーザの認証に使用される認証情報の項目などを含んでもよい。加入者識別番号はIMSI(International Mobile Subscriber Identity)であり、一般的には15桁の数字で構成されるが、本開示では説明の便宜上「****1」と記載する。サービスオーダを契機として作成されるセンタ側加入者プロファイル300の在圏情報は、初期値「null」が設定されている。
【0047】
次に、ステップS204において、ユーザ端末102は、例えば、電源投入時や、所定間隔ごとの任意のタイミングで位置登録要求信号を送信する。位置登録要求信号は、基地局104(
図1)を介して、モビリティ管理装置112へ送信され、さらに、拠点1側ユーザデータ管理装置114へ送信される。このモビリティ管理装置112からの位置登録要求信号は、ユーザ端末102のSIMから読み出された加入者識別番号(例えば「****1」)と、ユーザ端末102が在圏するモビリティ管理装置112の識別子(#1
AMF1)とを含む。
【0048】
次に、ステップS206において、拠点1側ユーザデータ管理装置114は、モビリティ管理装置112から位置登録要求信号を受信すると、記憶部に格納されている装置情報を参照して、位置登録要求信号の送信先として予め定められているセンタ側統合データ管理装置150を特定し、位置登録要求信号を送信する。この位置登録要求信号は、加入者識別番号(例えば「****1」)と、ユーザ端末102が在圏するモビリティ管理装置112の識別子(#1AMF1)とを含む。
【0049】
次に、ステップS208において、センタ側統合データ管理装置150は、記憶部に記憶しているリダイレクト先情報400を参照して、位置登録要求信号をリダイレクトする拠点1側統合データ管理装置116の識別子を特定する。より詳細には、センタ側統合データ管理装置150は、位置登録要求信号の送信元の拠点1側ユーザデータ管理装置114の識別子(例えば、#1UDM)に対応する、拠点1側統合データ管理装置116の識別子(#1UDR)を特定する。
【0050】
図4は、本開示の一実施形態による、センタ側統合データ管理装置150の記憶部に記憶されるリダイレクト先情報400のデータ構造を例示する。リダイレクト先情報400は、通信事業者によって予め定められている。リダイレクト先情報400は、センタ側統合データ管理装置150配下の拠点識別子と、各拠点に対応付けられるユーザデータ管理装置の識別子(#*
UDM、*は1からZの拠点識別子)と、各拠点に対応付けられる拠点側統合データ管理装置の識別子(#*
UDR)との項目を含むことができる。図示の例では拠点識別子は1からZまであり、拠点識別子1に、拠点1側ユーザデータ管理装置114の識別子#1
UDMと、拠点1側統合データ管理装置116の識別子#1
UDRとが割り当てられている。
【0051】
また、ステップS208において、センタ側統合データ管理装置150は、センタ側加入者プロファイル300(
図3)から、取得した加入者識別番号「****1」に対応する加入者プロファイルを読み出しする。さらに、センタ側統合データ管理装置150は、AKA認証用の共通秘密鍵を認証装置118(
図1A)から取得し、共通秘密鍵と共に、読み出した加入者プロファイルを、特定された拠点1側統合データ管理装置116の識別子#1
UDRに対応する拠点1側統合データ管理装置116に送信する。
【0052】
次に、ステップS210において、拠点1側統合データ管理装置116は、取得したセンタ側加入者プロファイルをコピーして、拠点側の拠点1側加入者プロファイル500を作成し、これを記憶部に格納する。これにより、センタ側統合データ管理装置150と、拠点1側統合データ管理装置116との間で加入者識別番号に対応する加入者プロファイルの同期をとることができる。また、拠点1側統合データ管理装置116は、拠点1側加入者プロファイル500の作成完了通知を、センタ側統合データ管理装置150に送信する。
【0053】
図5は、本開示の一実施形態による、拠点1側統合データ管理装置116の記憶部に記憶される拠点1側加入者プロファイル500のデータ構造を例示する。図示の例では拠点1側加入者プロファイル500は、拠点1のモビリティ管理装置112
#1AMF1~Nの配下に在圏するユーザ端末の加入者識別番号(例えば「****1」と「****3」)と、ユーザが契約するサービス内容(音声通話、SMS、データ通信の契約有無など)と、ユーザ端末102の加入者識別番号に対応する在圏情報との項目を含む。拠点1側加入者プロファイル500は、さらに、加入者識別番号に対応する電話番号と、契約プランの詳細情報の項目などを含んでもよい。しかし、拠点1側加入者プロファイル500は、拠点1のモビリティ管理装置112の配下に在圏しないユーザ端末102の加入者プロファイルは保持しない。なお、この時点では、拠点1側加入者プロファイル500の加入者識別番号に対応する在圏情報には、初期値「null」が設定されている。
【0054】
次に、ステップS212において、センタ側統合データ管理装置150は、位置登録要求信号の送信元である拠点1側ユーザデータ管理装置114へ、位置登録要求信号のリダイレクト指示を送信する。リダイレクト指示は、ユーザ端末102に割り当てられた加入者識別番号(****1)と、ステップS208で特定されたリダイレクト先である拠点1側統合データ管理装置116の識別子(#1UDR)とを含む。また、センタ側統合データ管理装置150は、センタ側加入者プロファイル300の加入者識別番号に対応する在圏情報を、初期値「null」から拠点1側統合データ管理装置116の識別子(#1UDR)へ更新する。
【0055】
次に、ステップS214において、リダイレクト指示を受信すると、拠点1側ユーザデータ管理装置114は、受信した加入者識別番号(****1)と、拠点1側統合データ管理装置116の識別子(#1UDR)とを対応付けて、キャッシュなどの記憶部に一時的に記憶する。
【0056】
また、ステップS214において、拠点1側ユーザデータ管理装置114は、ステップS206にて拠点1側ユーザデータ管理装置114からセンタ側統合データ管理装置150へ送信された位置登録要求信号を、拠点1側統合データ管理装置識別子(#1UDR)に対応付けられる拠点1側統合データ管理装置116へリダイレクトする。
【0057】
次に、ステップS216において、拠点1側統合データ管理装置116は、加入者識別番号(****1)に、ユーザ端末102の在圏するモビリティ管理装置112の識別子(#1
AMF1)を対応付けして、拠点1側加入者プロファイル500(
図5)を更新する。つまり、拠点1側加入者プロファイル500の加入者識別番号に対応する在圏情報を、初期値「null」から拠点1モビリティ管理装置112の識別子(#1
AMF1)へ更新する。
【0058】
以上、ステップS204からステップS216の処理に従って、ユーザ端末102からの位置登録要求信号を、センタ側統合データ管理装置150から拠点1側統合データ管理装置116へリダイレクトする処理について説明した。
【0059】
次に、拠点1に在圏するユーザ端末102から2回目以降の位置登録要求信号が送信されるときの処理を説明する。
【0060】
ステップS218において、拠点1に在圏するユーザ端末102は、基地局104と、モビリティ管理装置112とを介して拠点1側ユーザデータ管理装置114に2回目以降の位置登録要求信号を送信する。この位置登録要求信号は、拠点1のモビリティ管理装置112からのものであることを示す識別子(#1AMF1~N)を含む。
【0061】
次に、ステップS220において、拠点1側ユーザデータ管理装置114はステップS214にてキャッシュに記憶された情報から、加入者識別番号(****1)に対応付けられる拠点1側統合データ管理装置116の識別子(#1UDR)を特定する。拠点1側ユーザデータ管理装置114は2回目以降の位置登録要求信号を、特定された拠点1側統合データ管理装置116に送信し、ユーザ端末102のコアネットワークへの位置登録を行う。ユーザ端末102は位置登録が完了すると、拠点1側統合データ管理装置の加入者プロファイル500に基づいて、通信事業者の提供する通信サービスを利用することができる。
【0062】
本実施形態によると、2回目以降の位置登録要求信号は、ユーザ端末102が在圏する基地局104が変わっても、ユーザ端末102が拠点1配下のモビリティ管理装置112に在圏する限り、センタ側統合データ管理装置150ではなく、ユーザ端末102に物理的に近い拠点1側統合データ管理装置116に送信される。このため、センタ側統合データ管理装置150への位置登録要求信号の集中を回避することができる。
【0063】
図6は、本開示の一実施形態による通信システム100におけるユーザ端末102の在圏する拠点が変更するときの処理600のフローを示す。
【0064】
まず、ステップS602において、ユーザ端末102は、拠点1から拠点2に移動するものとする。
【0065】
次に、ステップS604において、ユーザ端末102は、任意のタイミングで位置登録要求信号を送信する。位置登録要求信号は、拠点2の基地局104(
図1)を介して、モビリティ管理装置132とへ送信され、さらに拠点2側ユーザデータ管理装置134へ送信される。このモビリティ管理装置132からの位置登録要求信号は、ユーザ端末102のSIMから読み出された加入者識別番号(例えば「****1」)と、ユーザ端末102が在圏するモビリティ管理装置132の識別子(#2
AMF1)とを含む。
【0066】
次に、ステップS606において、拠点2側ユーザデータ管理装置134は、モビリティ管理装置132から位置登録要求信号を受信すると、自身の記憶部に格納されている装置情報を参照して、位置登録要求信号の送信先として予め定められているセンタ側統合データ管理装置150を特定し、位置登録要求信号を送信する。この位置登録要求信号は、加入者識別番号(****1)と、ユーザ端末102が在圏するモビリティ管理装置132の識別子(#2AMF1)とを含む。ユーザ端末102が在圏する拠点が変わると、ユーザ端末102からの最初の位置登録要求信号は、センタ側統合データ管理装置150へ送信される。
【0067】
次に、ステップS608において、センタ側統合データ管理装置150は、位置登録要求信号を受信すると、ユーザ端末102の移動を判断する。具体的には、センタ側加入者プロファイル300(
図3)から、加入者識別番号(****1)に対応する在圏情報(#1
UDR)を読み出しする。センタ側統合データ管理装置150は、ユーザ端末102の在圏情報(#1
UDR)が、ステップS608で受信した位置登録要求信号の送信元アドレス(#2
UDM)をキーに特定される拠点側統合データ管理装置の識別子(#2
UDR)と一致しない場合に、センタ側統合データ管理装置150は、ユーザ端末102が拠点間を移動したと判断する。なお、拠点側統合データ管理装置の識別子(#2
UDR)は、位置登録要求信号の送信元アドレス(#2
UDM)をキーに、
図4のリダイレクト先情報400を参照して特定される。センタ側統合データ管理装置150ではモビリティ管理装置112/132の識別子の変化に基づいて、ユーザ端末102の拠点間移動を判断しているわけではない。
【0068】
また、ステップS608において、センタ側統合データ管理装置150は、ユーザ端末102の拠点間移動を判断すると、拠点1側加入者プロファイルの削除指示を、在圏情報(#1UDR)に関連付けられる拠点1側統合データ管理装置116へ送信する。加入者プロファイルの削除指示は移動したユーザ端末102の加入者識別番号(****1)を含む。
【0069】
次に、加入者プロファイルの削除指示を受信すると、ステップS610において、拠点1側統合データ管理装置116は、拠点1側加入者プロファイル500(
図5)から、加入者識別番号(****1)に対応する加入者プロファイルを削除し、拠点1側加入者プロファイル削除完了通知を、センタ側統合データ管理装置150へ送信する。拠点1側統合データ管理装置116は、別の拠点2へ移動したユーザ端末102に対応する加入者プロファイルを拠点1側加入者プロファイル500から削除する。
【0070】
次に、ステップS612において、センタ側統合データ管理装置150は、拠点1側加入者プロファイル削除完了通知を受信すると、センタ側統合データ管理装置150は、キャッシュデータ削除指示を、拠点1側ユーザデータ管理装置114へ送信する。より詳細には、センタ側統合データ管理装置150は、リダイレクト先情報400(
図4)を参照して、ステップS608にて読み出したユーザ端末102の在圏情報(#1
UDR)に対応する拠点1側ユーザデータ管理装置114(#1
UDM)へ、加入者識別番号を含むキャッシュデータ削除指示を送信する。
【0071】
次に、ステップS614において、拠点1側ユーザデータ管理装置114は、キャッシュデータ削除指示の加入者識別番号(****1)をキーに、加入者識別番号と、拠点1側統合データ管理装置116の識別子(#1UDR)とを対応づけたデータをキャッシュから削除する。削除対象のデータは、ステップS214においてキャッシュに記憶されたデータである。
【0072】
次に、ステップS616において、センタ側統合データ管理装置150は、記憶部に記憶しているリダイレクト先情報400(
図4)を参照して、位置登録要求信号をリダイレクトする拠点2側統合データ管理装置136の識別子を特定する。より詳細には、センタ側統合データ管理装置150は、位置登録要求信号の送信元の拠点2側ユーザデータ管理装置134の識別子(例えば、#2
UDM)に対応する、拠点2側統合データ管理装置136の識別子(#2
UDR)を特定する。
【0073】
また、ステップS616において、センタ側統合データ管理装置150は、センタ側加入者プロファイル300(
図3)から、取得した加入者識別番号「****1」に対応する加入者プロファイルを読み出しする。さらに、センタ側統合データ管理装置150は、AKA認証用の共通秘密鍵を認証装置138(
図1A)から取得し、共通秘密鍵と共に、読み出した加入者プロファイルを、特定された拠点2側統合データ管理装置136の識別子#2
UDRに対応する拠点2側統合データ管理装置136に送信する。
【0074】
次に、ステップS618において、拠点2側統合データ管理装置136は、取得したセンタ側加入者プロファイルをコピーして、拠点2側の拠点2側加入者プロファイル700を作成し、これを記憶部に格納する。これにより、センタ側統合データ管理装置150と、拠点2側統合データ管理装置136との間で加入者識別番号に対応する加入者プロファイルの同期をとることができる。また、拠点2側統合データ管理装置136は、拠点2側加入者プロファイル700の作成完了通知を、センタ側統合データ管理装置150に送信する。
【0075】
図7は、本開示の一実施形態による、拠点2側統合データ管理装置136の記憶部に記憶される拠点2側加入者プロファイル700のデータ構造を例示する。図示の例では拠点2側加入者プロファイル700は、拠点2側モビリティ管理装置132(#2
AMF1~M)の配下に在圏するユーザ端末の加入者識別番号(例えば「****1」と「****2」)と、ユーザが契約するサービス内容(音声通話、SMS、データ通信の契約有無など)との項目を含む。拠点2側加入者プロファイル700は、さらに、加入者識別番号に対応する電話番号と、契約プランの詳細情報の項目などを含んでもよい。なお、ステップS618時点では、加入者識別番号に対応する拠点2側加入者プロファイル700の在圏情報には、初期値「null」が設定されている。
【0076】
次に、ステップS620において、センタ側統合データ管理装置150は、位置登録要求信号の送信元である拠点2側ユーザデータ管理装置134へ、位置登録要求信号のリダイレクト指示を送信する。リダイレクト指示は、ユーザ端末102に割り当てられた加入者識別番号(****1)と、ステップS616で特定されたリダイレクト先である拠点2側統合データ管理装置136の識別子(#2UDR)とを含む。また、センタ側統合データ管理装置150は、センタ側加入者プロファイル300の加入者識別番号に対応する在圏情報を、拠点1側統合データ管理装置116の識別子(#1UDR)から拠点2側統合データ管理装置136の識別子(#2UDR)へ更新する。
【0077】
次に、ステップS622において、リダイレクト指示を受信すると、拠点2側ユーザデータ管理装置134は、受信した加入者識別番号(****1)と拠点2側統合データ管理装置136の識別子(#2UDR)とを対応付けて、キャッシュなどの記憶部に一時的に記憶する。
【0078】
また、ステップS622において、拠点2側ユーザデータ管理装置134は、ステップS606にて拠点2側ユーザデータ管理装置134からセンタ側統合データ管理装置150へ送信された位置登録要求信号を、拠点2側統合データ管理装置136の識別子(#2UDR)に対応付けられる拠点2側統合データ管理装置136へリダイレクトする。
【0079】
次に、ステップS6246において、拠点2側統合データ管理装置136は、加入者識別番号(****1)に、ユーザ端末102の在圏するモビリティ管理装置132の識別子(#2AMF1)を対応付けて、拠点2側加入者プロファイル700を更新する。つまり、拠点2側加入者プロファイル700の加入者識別番号に対応する在圏情報を、初期値「null」から拠点2側モビリティ管理装置132の識別子(#2AMF1)へ更新する。
【0080】
以上、ステップS604からステップS624の処理に従って、ユーザ端末102からの位置登録要求信号を、センタ側統合データ管理装置150から拠点2側統合データ管理装置136へリダイレクトする処理について説明した。
【0081】
次に、拠点2に在圏するユーザ端末102から2回目以降の位置登録要求信号が送信されるときの処理を説明する。
【0082】
ステップS626において、拠点2に在圏するユーザ端末102は、基地局104と、モビリティ管理装置132とを介して拠点2側ユーザデータ管理装置134に2回目以降の位置登録要求信号を送信する。この位置登録要求信号は、拠点2のモビリティ管理装置132からのものであることを示す識別子(#2AMF1~N)を含む。
【0083】
次に、ステップS628において、拠点2側ユーザデータ管理装置134はキャッシュに記憶された情報から、加入者識別番号(****1)に対応付けられる拠点2側統合データ管理装置136の識別子(#2UDR)を特定する。拠点2側ユーザデータ管理装置134は2回目以降の位置登録要求信号を、特定された拠点2側統合データ管理装置136に送信し、ユーザ端末102のコアネットワークへの位置登録を行う。ユーザ端末102は位置登録が完了すると、拠点2側統合データ管理装置の加入者プロファイル700に基づいて、通信事業者の提供する通信サービスを利用することができる。
【0084】
本実施形態によると、2回目以降の位置登録要求信号は、ユーザ端末102が拠点2配下のモビリティ管理装置132に在圏する限り、センタ側統合データ管理装置150ではなく、ユーザ端末102に物理的に近い拠点2側統合データ管理装置136に送信される。このため、センタ側統合データ管理装置150への位置登録要求信号の集中を回避することができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態及び変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0086】
100…通信システム
102…ユーザ端末
104…基地局
110/130…コアネットワーク
112/132…モビリティ管理装置
114/134…ユーザデータ管理装置
116/136…拠点側統合データ管理装置
118/138…認証装置
150…センタ側統合データ管理装置
300…センタ側加入者プロファイル
400…リダイレクト先情報
500…拠点1側加入者プロファイル
700…拠点2側加入者プロファイル
【要約】
【課題】センタ側の統合データ管理装置の他に、拠点側の統合データ管理装置を設けて、位置登録処理の分散を図り、センタ側の統合データ管理装置の処理負荷を低減すること
【解決手段】センタ側情報処理装置において、第1拠点に在圏するユーザ端末からの第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置を介して受信するステップであって、第1の位置登録要求信号は、ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号を含む、ステップと、第1拠点にある第1拠点側情報処理装置において、センタ側情報処理装置の加入者プロファイルを用いて、加入者識別番号に対応する第1拠点側加入者プロファイルを作成するステップと、第1拠点側加入者プロファイルの作成の完了に応じて、第1の位置登録要求信号を、第1ユーザデータ管理装置から第1拠点側情報処理装置へリダイレクトさせるステップとを含む、方法。
【選択図】
図2