(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 8/08 20090101AFI20230927BHJP
H04W 24/04 20090101ALI20230927BHJP
【FI】
H04W8/08
H04W24/04
(21)【出願番号】P 2023138042
(22)【出願日】2023-08-28
【審査請求日】2023-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特許第7214030(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0303753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置で実行される方法であって、前記方法は、
第1のプロファイル管理装置から第2のプロファイル管理装置へ移管中に、端末装置から受信した位置登録要求信号を一時的に保持することと、
前記移管の完了後に、一時的に保持された前記位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置へ送信することであって、前記ユーザデータ管理装置は前記位置登録要求信号の送信先として前記第2のプロファイル管理装置を設定している、送信することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のプロファイル管理装置からの位置登録要求信号の送信保留指示に応じて、前記情報処理装置により、前記位置登録要求信号は一時的に保持される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプロファイル管理装置からの位置登録要求信号の送信保留の解除指示に応じて、前記情報処理装置により、前記一時的に保持された前記位置登録要求信号は、前記ユーザデータ管理装置へ送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記送信保留指示を受信すると、前記第1のプロファイル管理装置の位置登録要求信号の送信保留の解除指示を受信するまで、前記端末装置から受信した前記位置登録要求信号を、前記ユーザデータ管理装置へ送信しない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記端末装置から受信した位置登録要求信号は、前記端末装置に割り当てられた加入者識別番号を含み、
前記移管の前に、前記第1のプロファイル管理装置は、前記加入者識別番号に関連する加入者プロファイルを収容し、
前記移管の完了後に、前記第2のプロファイル管理装置は、前記加入者識別番号に関連する加入者プロファイルを収容する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
情報処理装置を備えるシステムであって、
前記情報処理装置は、
第1のプロファイル管理装置から第2のプロファイル管理装置へ移管中に、端末装置から受信した位置登録要求信号を一時的に保持することと、
前記移管の完了後に、一時的に保持された前記位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置へ送信することであって、前記ユーザデータ管理装置は前記位置登録要求信号の送信先として前記第2のプロファイル管理装置を設定している、送信することと、
を実行するよう構成されるシステム。
【請求項7】
前記システムはさらに、前記ユーザデータ管理装置を備え、
前記ユーザデータ管理装置は、前記情報処理装置から取得した前記一時的に保持された位置登録要求信号を、第2のプロファイル管理装置へ送信することと、
を実行するよう構成される請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムはさらに、前記第2のプロファイル管理装置を備え、
前記端末装置から受信した位置登録要求信号は、前記端末装置に割り当てられた加入者識別番号を含み、
前記第2のプロファイル管理装置は、収容している加入者プロファイルから読み出した前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記情報処理装置の識別子と、前記端末装置から受信した位置登録要求信号の加入者識別番号に対応する前記情報処理装置の識別子が異なるときに、前記端末装置が移動したと判断し、前記端末装置から受信した位置登録要求信号の加入者識別番号に対応する前記情報処理装置の識別子で、前記加入者プロファイルを更新することと、
を実行するよう構成される請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法およびシステムに関する。より詳細には、加入者プロファイルを移管の際の、加入者プロファイルを管理する装置における処理負荷を低減するための方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品・サービス販売終了(End of Sale :EOS)や、保守・サポートの終了(End of Life :EOL)などの際、加入者の加入者プロファイルを管理するデータベース(5Gの場合UDR:Unified Data Repository)を備える管理ネットワーク要素は収容している加入者プロファイルを、旧管理ネットワーク要素から新管理ネットワーク要素へ移管する必要がある。ここで、移管処理は、加入者の通信サービスや契約情報などを含む加入者プロファイルを、ある装置から別の装置に移す際に行われる手続をいう。
【0003】
従来、移管中に、加入者の端末装置が移動し、位置登録要求信号を送信すると、この位置登録要求信号は、移管元の旧管理ネットワーク要素に送信され、移管先の新管理ネットワーク要素の加入者プロファイルの在圏情報に反映されない可能性があった。例えば移管中に端末装置が、モビリティ管理要素(5Gの場合AMF:Access and Mobility Management Function)間を移動すると、移管先の新管理ネットワーク要素において、在圏情報は移動前のモビリティ管理要素の識別子のままとなり、移動後のモビリティ管理要素識別子には更新されず、新管理ネットワーク要素の加入者プロファイルの在圏情報が、端末装置の実際の在圏情報とは異なるアンマッチ状態になることがある。従来、このアンマッチ状態を解消するために新管理ネットワーク要素から、リセット信号を配下の全てのモビリティ管理要素に送信していた。リセット信号を受信すると、モビリティ管理要素は該当加入者識別番号の端末装置から位置登録要求を受信したとき、位置登録要求信号を新管理ネットワーク要素へ送信する。
【0004】
しかし、リセット信号により、移管対象の全加入者の端末装置から位置登録要求信号が一斉に移管先の新管理ネットワーク要素に送信されることになる。このため、移管先の新管理ネットワーク要素の加入者プロファイルの在圏情報がアンマッチ状態にないにも関わらず、モビリティ管理装置はリセット信号を受信すると必ず移管先の新管理ネットワーク要素へ位置登録要求信号を送信していた。従って、モビリティ管理装置から新ネットワーク要素に向かってバースト的なトラヒックが発生し、これらの間のネットワークが輻輳する危険性がある。
【0005】
ところで、位置登録要求信号数を削減する技術として、特許文献1がある。特許文献1に記載の技術では、統合データ管理装置からのリセット信号に基づいて、モビリティ管理要素が位置登録要求信号を管理ネットワーク要素に送信する際に、モビリティ管理要素からの位置登録要求信号の送信数を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、位置登録要求信号の送信数を減らすものの、アンマッチ状態にない端末装置も管理ネットワーク要素へ位置登録要求信号を送信する。
【0008】
本発明の目的は、旧管理ネットワーク要素から新管理ネットワーク要素へ加入者プロファイルを移管する際の新管理ネットワーク要素の処理負荷低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、情報処理装置で実行される方法であって、前記方法は、第1のプロファイル管理装置から第2のプロファイル管理装置へ移管中に、端末装置から受信した位置登録要求信号を一時的に保持することと、前記移管の完了後に、一時的に保持された前記位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置へ送信することであって、前記ユーザデータ管理装置は前記位置登録要求信号の送信先として前記第2のプロファイル管理装置を設定している、送信することと、を含む、点にある。
【0010】
上述した課題を解決するために、本開示の他の一態様は、情報処理装置を備えるシステムであって、前記情報処理装置は、第1のプロファイル管理装置から第2のプロファイル管理装置へ移管中に、端末装置から受信した位置登録要求信号を一時的に保持することと、前記移管の完了後に、一時的に保持された前記位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置へ送信することであって、前記ユーザデータ管理装置は前記位置登録要求信号の送信先として前記第2のプロファイル管理装置を設定している、送信することと、を実行するよう構成される点にある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態における通信システムの概要を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態による通信システムにおける統合データ管理装置から別の統合データ管理装置へ加入者プロファイルを移管するための処理のフローを示す。
【
図3】本開示の一実施形態による、統合データ管理装置の記憶部に記憶される加入者プロファイルのデータベースのデータ構造を例示する。
【
図4】本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置における処理のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態は、以下のような構成を備える。
【0013】
〔構成1〕 上記目的を達成するための方法の特徴構成は、情報処理装置(112)で実行される方法であって、前記方法は、第1のプロファイル管理装置(116a)から第2のプロファイル管理装置(116b)へ移管中に、端末装置から受信した位置登録要求信号を一時的に保持することと(S212、S406)、前記移管の完了後に、一時的に保持された前記位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置(114)へ送信することであって(S234、S410)、前記ユーザデータ管理装置は前記位置登録要求信号の送信先として前記第2のプロファイル管理装置を設定している、送信することと、を含む、点にある。
【0014】
〔構成2〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記第1のプロファイル管理装置からの位置登録要求信号の送信保留指示に応じて、前記情報処理装置により、前記位置登録要求信号は一時的に保持される(S210、S402)、点にある。
【0015】
〔構成3〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記第1のプロファイル管理装置からの位置登録要求信号の送信保留の解除指示に応じて、前記情報処理装置により、前記一時的に保持された前記位置登録要求信号は、前記ユーザデータ管理装置へ送信される(S234、S410)、点にある。
【0016】
〔構成4〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記情報処理装置は、前記送信保留指示を受信すると、前記第1のプロファイル管理装置の位置登録要求信号の送信保留の解除指示を受信するまで、前記端末装置から受信した前記位置登録要求信号を、前記ユーザデータ管理装置へ送信しない(S406、S408)、点にある。
【0017】
〔構成5〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記端末装置から受信した位置登録要求信号は、前記端末装置に割り当てられた加入者識別番号を含み、前記移管の前に、前記第1のプロファイル管理装置は、前記加入者識別番号に関連する加入者プロファイルを収容し、前記移管の完了後に、前記第2のプロファイル管理装置は、前記加入者識別番号に関連する加入者プロファイルを収容する、点にある。
【0018】
〔構成6〕 上記目的を達成するためのシステムの特徴構成は、情報処理装置を備えるシステムであって、前記情報処理装置は、第1のプロファイル管理装置(116a)から第2のプロファイル管理装置(116b)へ移管中に、端末装置から受信した位置登録要求信号を一時的に保持することと(S212、S406)、前記移管の完了後に、一時的に保持された前記位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置(114)へ送信することであって(S234、S410)、前記ユーザデータ管理装置は前記位置登録要求信号の送信先として前記第2のプロファイル管理装置を設定している、送信することと、を実行するよう構成される点にある。
【0019】
〔構成7〕 本開示に係るシステムの別の特徴構成は、前記システムはさらに、前記ユーザデータ管理装置を備え、前記ユーザデータ管理装置は、前記情報処理装置から取得した前記一時的に保持された位置登録要求信号を、第2のプロファイル管理装置へ送信することと(S234)、を実行するよう構成される点にある。
【0020】
〔構成8〕 本開示に係るシステムの別の特徴構成は、前記システムはさらに、前記第2のプロファイル管理装置を備え、前記端末装置から受信した位置登録要求信号は、前記端末装置に割り当てられた加入者識別番号を含み、前記第2のプロファイル管理装置は、収容している加入者プロファイルから読み出した前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記情報処理装置の識別子と、前記端末装置から受信した位置登録要求信号の加入者識別番号に対応する前記情報処理装置の識別子が異なるときに、前記端末装置が移動したと判断し、前記端末装置から受信した位置登録要求信号の加入者識別番号に対応する前記情報処理装置の識別子で、前記加入者プロファイルを更新することと、を実行するよう構成される点にある。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。しかし、本開示の実施形態は、必ずしもこのような態様に限定されない。本開示の実施形態が、特許請求の範囲において規定される範囲に含まれる様々な態様を取り得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0022】
図1は、本開示の一実施形態における通信システム100の概要を示す図である。通信システム100に示される各情報処理装置は、通信システム100で提供される主な機能、例えば、モビリティ管理機能、ユーザデータ管理機能、加入者プロファイル管理機能を実装するネットワーク要素である。
図1において、ネットワーク要素を装置で実現されるものとして示しているが、これら機能は、機能エンティティとして実現されてもよい。また、図示されるネットワーク要素の他に、他のネットワーク要素が、通信システム100の主要機能の一部または全部を実装するために使用されてもよい。また、図示されるネットワーク要素の他に、他のネットワーク要素を含んでもよい。
【0023】
通信システム100は、複数の統合データ管理装置116(#UDR
1~#UDR
n:nは任意の整数)を備える。
図1中の各装置の#の後に示す文字および数字は、各装置に割り当てられる識別子の例を示す。統合データ管理装置116(例えば#UDR
1)の配下には、複数のユーザデータ管理装置114(#UDM
11~#UDM
1n)が通信可能に接続され、さらに、ユーザデータ管理装置114(#UDM
11~#UDM
nn)の配下には、複数のモビリティ管理装置112(#AMF
11~#AMF
4n)が通信可能に階層的に接続されている。1の統合データ管理装置116の配下に、複数のユーザデータ管理装置114が接続される。また、複数のユーザデータ管理装置114と、配下の複数のモビリティ管理装置112とは、それぞれメッシュ接続されており、複数ユーザデータ管理装置と、複数のモビリティ管理装置とはそれぞれ直接接続するルートを備える。また、各モビリティ管理装置112の配下には、複数の基地局104が通信可能に接続される。
【0024】
端末装置(UE:User Equipment)102は基地局104を介してモビリティ管理装置112や、ユーザデータ管理装置114、統合データ管理装置116等で構成されるコアネットワークと通信することができる。
【0025】
統合データ管理装置116は移管前の統合データ管理装置116a(#UDRa)と移管後の統合データ管理装置116b(#UDRb)とを備えることができる(不図示)。統統合データ管理装置116の「a」は移管前、「b」は移管後であることを指し、移管前、移管後を区別する必要の無い場合には、「a」、「b」を省略することがある。
【0026】
図1の例において、モビリティ管理装置112#AMF
11の配下に、端末装置102が在圏するものとする。端末装置102は、移管前は統合データ管理装置116(#UDR
a)の加入者プロファイルを利用して、携帯通信事業者のネットワークサービスを利用することができる。
【0027】
また、
図1の例において、端末装置102は、その後、モビリティ管理装置112(#AMF
11)から、異なるモビリティ管理装置112(#AMF
31)の配下に移動するものとする。この移動中に、統合データ管理装置116aから別の統合データ管理装置116bへの移管が行われると、移管中の端末装置102からの位置登録要求信号は、モビリティ管理装置112(#AMF
31)において保留される。移管後は、端末装置102は統合データ管理装置116(#UDR
b)の加入者プロファイルを利用して、携帯通信事業者のネットワークサービスを利用することができる。
【0028】
以下の実施形態において、通信システム100は3GPPの5G(5th Generation)の規格に準拠するものとして説明するが、実施形態は、必ずしも特定の規格に限定されるわけはなく、第4世代(4th Generation,4G)、第6世代(6th Generation,6G)などの他の通信規格に準拠することができる。
【0029】
(端末装置102)
端末装置102は、スマートフォンなどの携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)などとして実現される。
【0030】
端末装置102は、制御部、記憶部、送受信部、アンテナ、およびSIM(Subscriber Identity Module)などのハードウェア資源を有する。制御部、記憶部、送受信部、およびSIMはバスを介して接続される。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。記憶部の具体例は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等である。端末装置102の制御部は、端末装置102全体の動作・機能を制御する機能部である。制御部は、必要に応じて記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、端末装置102における各種処理を実現する。送受信部は、アンテナを介して、アクセスネットワーク内の基地局装置と無線通信するための機能部である。
【0031】
端末装置102に搭載されるSIMには、携帯通信事業者と契約するユーザの契約プロファイルが格納されている。SIMの契約プロファイルには、ユーザの加入者情報が格納され、端末装置の回線契約に割り当てられる加入者識別番号(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)、加入者であるユーザの電話番号(MSISDN:Mobile Subscriber International Subscriber Directory Number)、SIMカード番号(ICCID:Integrated Circuit Card Identifier)といった個別の識別子情報が含まれる。端末装置102は、統合データ管理装置116に位置登録要求信号を送信し、携帯通信事業者の提供する各種ネットワークサービスを利用することができる。
【0032】
(統合データ管理装置116)
統合データ管理装置116は、UDR(統合/ユーザデータリポジトリ: Unified Data Repository)を備える。統合データ管理装置116は、UDRにおいて、検索または蓄積ができるよう整理された携帯通信事業者とサービス契約する全ての加入者のうち設定された加入者の加入者プロファイルの集まりをデータベース化して格納する。統合データ管理装置116は加入者プロファイルを管理する。
【0033】
統合データ管理装置116は、制御部、記憶部、送受信部などのハードウェア資源を有する。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。記憶部の具体例は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等である。端末装置102の制御部は、端末装置102全体の動作・機能を制御する機能部である。制御部、記憶部、送受信部はバスを介して接続されている。統合データ管理装置116の制御部は、統合データ管理装置116の全体の動作・機能を制御する機能部である。制御部は、必要に応じて記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、統合データ管理装置116における各種処理を実現する。送受信部は、統合データ管理装置116が、ユーザデータ管理装置114等と通信するための機能部である。記憶部は、携帯通信事業者の全ての加入者のうち設定された加入者の加入者プロファイルのデータベースである加入者プロファイル・データベース300を記憶する。統合データ管理装置116の加入者プロファイル・データベース300の詳細は、
図3を用いて後述する。
【0034】
製品・サービス販売終了などの際に、統合データ管理装置116は、旧装置から新しい装置へ加入者プロファイルを移管する。本開示によると、移管の前に、端末装置102から統合データ管理装置116へ向かう位置登録要求信号の送信を保留し、移管完了後に、位置登録要求信号の送信保留を解除する。端末装置102は、統合データ管理装置116間の移管を意識することなく、ネットワークサービスを利用することができる。
【0035】
また、統合データ管理装置116は、自身が収容する加入者識別番号をそれぞれ事前に設定する。例えば、図示するように、統合データ管理装置116(#UDR1)は、加入者識別番号****a~*aaaaの加入者プロファイルのデータベース、統合データ管理装置116(#UDR2)は、加入者識別番号****n~*nnnnの加入者プロファイルのデータベースを記憶する。
【0036】
以下、モビリティ管理装置112、ユーザデータ管理装置114は、統合データ管理装置116と同様のハードウェア構成を有しており、ハードウェア構成についての重複する説明は省略する。
【0037】
(モビリティ管理装置112)
モビリティ管理装置112は、AMF(Access and Mobility Management Function)の機能を提供するネットワーク要素である。モビリティ管理装置112は、端末装置102の位置登録や、呼出・基地局間ハンドオーバなどの管理を行う。
【0038】
モビリティ管理装置112は、位置登録要求信号の送信先となるユーザデータ管理装置114の識別子を、端末装置102から読み出した加入者識別番号と関連付けて事前に設定する。モビリティ管理装置112(#AMF11~#AMF4n)は、例えば、加入者識別番号「****a」から「*aaaa」については、これらの加入者識別番号を設定する統合データ管理装置116(#UDR1)配下のユーザデータ管理装置114の識別子(#UDM11~#UDM1n)を事前に設定する。またモビリティ管理装置112(#AMF11~#AMF4n)は、例えば、加入者識別番号「****n」から「*nnnn」については、これらの加入者識別番号を設定する統合データ管理装置116(#UDRn)配下のユーザデータ管理装置114の識別子#UDMn1から#UDMnnを事前に設定する。加入者プロファイルの移管中は、端末装置102からの位置登録要求信号は、モビリティ管理装置112において一時的に保留され、ユーザデータ管理装置114へ送信されない。
【0039】
(ユーザデータ管理装置114)
ユーザデータ管理装置114は、UDM(User Data Management)の機能を提供するネットワーク要素である。ユーザデータ管理装置114は、加入者データ、セッション情報、端末装置102の在圏情報、端末装置102のAKA(Authentication and Key Agreement)認証のための認証情報の格納や、管理を行う。AKA認証は、端末装置102のSIMと携帯通信事業者網の間で取り交わされる認証/暗号キー配送の方式をいう。ユーザデータ管理装置114は統合データ管理装置116に接続される。
【0040】
ユーザデータ管理装置114は、製品・サービス販売終了(End of Sale :EOS)や、保守・サポートの終了(End of Life :EOL)などの際に、接続先を統合データ管理装置116を旧装置(統合データ管理装置116a)から新装置(統合データ管理装置116b)へ切り替えることができる。ユーザデータ管理装置114は、位置登録要求信号の送信先である統合データ管理装置116の識別子を設定している。
【0041】
本開示において、端末装置102からの位置登録要求信号は以下のようにして統合データ管理装置116へ送信される。
【0042】
移管がないとき、加入者識別番号(例えば「****a」)が割り当てられた端末装置102からモビリティ管理装置112(例えば、#AMF11)へ位置登録要求信号が送信される。モビリティ管理装置112(#AMF11)は、この加入者識別番号と関連付けて予め設定されたユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)のうち、ラウンドロビンで選択されたユーザデータ管理装置114へ位置登録要求信号を送信する。さらに位置登録要求信号は、選択されたユーザデータ管理装置114から、加入者識別番号「****a」を収容する統合データ管理装置116(#UDR1)へ送信される。その後、ユーザデータ管理装置114は、移管前の統合データ管理装置116a(#UDRa)へ、位置登録要求信号を送信する。
【0043】
移管中に、加入者識別番号「****a」が割り当てられた端末装置102から位置登録要求信号が送信されると、位置登録要求信号は、モビリティ管理装置112(#AMF11)において一時的に記憶部のバッファに保持される。移管が完了すると、バッファされた位置登録要求信号は、モビリティ管理装置112(#AMF11)により、端末装置102の加入者識別番号「****a」に関連付けられたユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)のうち、選択されたユーザデータ管理装置114へ送信される。移管後は、ユーザデータ管理装置114は、統合データ管理装置116b(#UDRb)へ位置登録要求信号を送信する。
【0044】
また、移管中に、端末装置102が移動し、位置登録要求信号の送信先が、第1のモビリティ管理装置112(#AMF11)から第2のモビリティ管理装置112(#AMF31)になる場合がある。移動前の第1の位置登録要求信号は、第1のモビリティ管理装置(#AMF11)に、移動後の第2の位置登録要求信号は、第2のモビリティ管理装置112(#AMF31)に、それぞれ保持される。移管が完了すると、バッファされた第1の位置登録要求信号は、第1のモビリティ管理装置112から、加入者識別番号「****a」と関連付けて予め設定されたユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)のうち、選択されたユーザデータ管理装置114へ位置登録要求信号を送信する。また、移管が完了すると、バッファされた第2の位置登録要求信号は、第2のモビリティ管理装置112(#AMF31)から、加入者識別番号「****a」と関連付けて予め設定されたユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)のうち、選択されたユーザデータ管理装置114へ位置登録要求信号を送信する。選択されたユーザデータ管理装置114は、移管後、第1および、第2の位置登録要求信号を統合データ管理装置116b(#UDRb)へ送信する。
【0045】
<加入者プロファイルの移管>
図2は、本開示の一実施形態による通信システム100における加入者プロファイルを作成し、移管するための処理200のフローを示す。
図1に示す統合データ管理装置116(#UDR
1)を、新しい統合データ管理装置116に切り替える際の処理について説明する。
図2において、第1の統合データ管理装置116aは、移管前の子統合データ管理装置、第2の統合データ管理装置116bは、移管後の統合データ管理装置である。第1の統合データ管理装置116aは、ユーザデータ管理装置114(#UDM
11~UDM
1n)と間で通信ルートが確立されている一方、第2の統合データ管理装置116bは、ユーザデータ管理装置114(#UDM
11~UDM
1n)と間で通信ルートが確立されていない。
【0046】
処理に先立ち、顧客情報が顧客管理装置160の記憶部に格納されているものとする。顧客管理装置160は、携帯通信事業者がユーザに提供するネットワークサービスを管理するために必要な各種情報を有する。顧客情報は、携帯通信事業者の提供するネットワークサービスを契約するすべての加入者の加入者識別番号ごとにユーザ契約に関する各種情報を記憶する。
【0047】
ステップS202において、顧客管理装置160は、ユーザからのサービスオーダに関するデータを読み出して、統合データ管理装置116aに送信する。サービスオーダデータは、ネットワークサービスを契約したユーザの加入者識別番号と、ユーザ契約情報を含む。
【0048】
次に、ステップS204において、統合データ管理装置116aは、受信したサービスオーダデータ(加入者識別番号、ユーザ契約情報)に基づいて、
図3に示す加入者プロファイルのデータベース300を作成し、記憶部に記憶する。また、統合データ管理装置116は、加入者プロファイルのデータベース300を記憶すると、サービスオーダデータに基づく契約手続が完了した旨の通知を顧客管理装置160へ送信する。加入者プロファイルのデータベース300は、携帯通信事業者の提供するネットワークサービスを契約する全ての加入者のうち設定された加入者識別番号(本例では「****a」~「*aaaa」)ごとにユーザ契約に関する各種情報を管理する。
【0049】
図3は、本開示の一実施形態による、統合データ管理装置116(#UDR
1)の記憶部に記憶される加入者プロファイルのデータベース300のデータ構造を例示する。統合データ管理装置116(#UDR
1)は、携帯通信事業者と契約するすべての加入者のうち事前に設定された加入者の加入者識別番号(本例では「****a」~「*aaaa」)に対応する各種情報を管理する。加入者プロファイルのデータベース300は、設定された加入者識別番号と、この加入者識別番号に対応する加入者が契約するサービス内容(データ通信、緊急呼発信、音声、SMSの契約有無など)と、電話番号との項目を含むことができる。加入者プロファイルのデータベース300は、さらに、端末装置102の在圏情報と、契約プランの詳細情報、ユーザの認証に使用される認証情報の項目などを含んでもよい。加入者識別番号はIMSI(International Mobile Subscriber Identity)であり、一般的には15桁の数字で構成されるが、本開示では説明の便宜上「****a」等と記載する。サービスオーダを契機として作成される加入者プロファイルのデータベース300の在圏情報は、端末装置102が在圏するモビリティ管理装置112の識別子が設定される。
【0050】
図2に戻り、統合データ管理装置116aは、
図3に示す加入者プロファイルのデータベース300を作成すると、移管指示を受信後、以下に説明する一連の移管処理を実施する。
【0051】
まず、ステップS206において、第1の統合データ管理装置116aと、第2の統合データ管理装置116bとの間で通信ルートを確立する。
【0052】
次に、ステップS208において、第1の統合データ管理装置116aから、配下にあるユーザデータ管理装置114(例えば、#UDM11)へ、第1の統合データ管理装置116a宛の位置登録要求信号を送ることを保留する送信保留指示を送信する。位置登録要求信号保留指示は、第1の統合データ管理装置116aに設定されているすべての加入者識別番号(****aから*aaaa)を含む。なお、各ユーザデータ管理装置114は、通信システム100を構成するすべてのモビリティ管理装置112(#AMF11~#AMF4n)に接続可能であるので、第1の統合データ管理装置116aは、配下の1のユーザデータ管理装置114(#UDM11)に位置登録要求信号保留指示を送信すればよく、配下の複数のユーザデータ管理装置114(#UDM12~#UDM1n)に位置登録要求信号保留指示を送信しなくてもよい。
【0053】
次に、ステップS210において、1のユーザデータ管理装置114(#UDM11)は、位置登録要求信号送信禁止指示を受信すると、通信システム100を構成するすべてのモビリティ管理装置112(#AMF11~#AMF4n)に位置登録要求信号送信禁止指示をそれぞれ送信する。位置登録要求信号保留指示は、第1の統合データ管理装置116aに設定されているすべての加入者識別番号(****aから*aaaa)を含む。
【0054】
次に、位置登録要求信号保留指示を受信すると、ステップS212において、モビリティ管理装置112(#AMF
11~#AMF
4n)はそれぞれ、位置登録要求信号保留指示に含まれる加入者識別番号について、位置登録要求信号の保留制御の設定を行い、保留制御の設定が完了すると、肯定応答(ACK)を、位置登録要求信号保留指示の送信元である1のユーザデータ管理装置114(#UDM
11)へ送信する。位置登録要求信号の保留制御の詳細については、
図4で後述する。
【0055】
次に、ステップS214において、ユーザデータ管理装置114(#UDM11)は全てのモビリティ管理装置112から肯定応答(ACK)を受信すると、肯定応答(ACK)を、移管前の第1の統合データ管理装置116aへ送信する。
【0056】
次に、ステップS216において、第1の統合データ管理装置116aはユーザデータ管理装置114(#UDM11)からの肯定応答を受信すると、第2の統合データ管理装置116bへ加入者プロファイルの移管処理のためのアプリケーションの立ち上げ指示を送信する。
【0057】
次に、ステップS218において、第2の統合データ管理装置116bはアプリケーションの立ち上げ指示を受信すると、記憶部を参照し、移管のためのプログラムを読み出して実行する。
【0058】
ステップS220において、移管のためのプログラムが実行されると、第2の統合データ管理装置116bは、移管元の第1の統合データ管理装置116aの配下にある全てのユーザデータ管理装置114(#UDM11~#UDM1n)との通信ルートを確立する。通信ルートが確立されると、各ユーザデータ管理装置114(#UDM11~#UDM1n)は、通信ルートの確立が完了した旨の通知を第1の統合データ管理装置116aへ送信する。
【0059】
ステップS222において、第1の統合データ管理装置116aは、第2の統合データ管理装置116bとの間で、加入者プロファイルの移管処理を開始する。移管処理は、第1の統合データ管理装置116aから、設定している加入者識別番号(****aから*aaaa)に対応するすべての加入者プロファイルを読み出しし、読み出した加入者プロファイルを検証して、正当な加入者であることを確認したのち、この加入者プロファイルを第2の統合データ管理装置116bへ移行する処理を含むことができる。
【0060】
次に、加入者プロファイルの移管が完了すると、ステップS224において、第1の統合データ管理装置116aは、配下の全てのユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)に対し、第1の統合データ管理装置116aから第2の統合データ管理装置116bへのルート切り替え指示を送信する。
【0061】
次に、ステップS226において、各ユーザデータ管理装置114(#UDMn1から#UDM1n)は、ルート切り替え指示に基づいて、位置登録要求信号の送信先を、第1の統合データ管理装置116aから移管後の第2の統合データ管理装置116bに設定し、ルート切り替え設定が完了すると、肯定応答を、第1の統合データ管理装置116aへ送信する。
【0062】
次に、ステップS228において、第1の統合データ管理装置116aは、ルート切り替えに対する肯定応答を受信すると、ステップS208にて位置登録要求信号保留指示を送信した1のユーザデータ管理装置114(#UDM11)に対し、位置登録保留解除指示を送信する。位置登録保留解除指示は、第1の統合データ管理装置116aに設定されている加入者識別番号(****aから*aaaa)を含む。
【0063】
次に、ステップS230において、1のユーザデータ管理装置114(#UDM11)は、位置登録保留解除指示を受信すると、配下の全てのモビリティ管理装置112(#AMF11から#AMF4n)に対し、位置登録要求信号の送信保留を解除する指示を送信する。位置登録要求信号の送信保留解除指示は、第1の統合データ管理装置116aに設定されているすべての加入者識別番号(****aから*aaaa)を含む。
【0064】
次に、ステップS232において、モビリティ管理装置112(#AMF
11から#AMF
4n)は、位置登録要求信号の送信保留解除指示を受信する。送信保留解除指示を受信すると、モビリティ管理装置112は、位置登録要求信号の送信保留を解除する。位置登録要求信号の保留解除制御の詳細については、
図4で後述する。
【0065】
次に、ステップS234において、端末装置102から位置登録要求信号を、モビリティ管理装置112が受信すると、モビリティ管理装置112は、加入者識別番号(****aから*aaaa)に対し予め設定されているユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)からラウンドロビンで選択されたユーザデータ管理装置114へ位置登録要求信号を送信する。また、送信保留解除指示の受信に従って、各モビリティ管理装置112は、ステップS212で位置登録要求信号の保留制御を開始してからステップS232で保留解除するまでに受信し保持した位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置114へ送信することができる。その後、ユーザデータ管理装置114は、該当の加入者識別番号に係る各種データを収容する移管後の第2の統合データ管理装置116b(例えば#UDRb)へ位置登録要求信号を送信する。この位置登録要求信号は、端末装置102に割り当てられた加入者識別番号(例えば、****a)を含む。
【0066】
次に、移管中に、端末装置102が移動し、位置登録要求信号の送信先が、第1のモビリティ管理装置112(#AMF11)から第2のモビリティ管理装置112(#AMF31)になる場合の位置登録要求信号の流れについて説明する。
【0067】
移管中、ステップS212において、モビリティ管理装置112は、位置登録要求信号保留指示を受信すると、移動前の第1の位置登録要求信号は、第1のモビリティ管理装置(#AMF11)に、移動後の第2の位置登録要求信号は、第2のモビリティ管理装置112(#AMF31)に、それぞれ保持される。
【0068】
移管が完了すると、ステップS234において、バッファされた第1の位置登録要求信号は、第1のモビリティ管理装置112から、加入者識別番号「****a」と関連付けて予め設定されたユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)のうち、選択された第1のユーザデータ管理装置114へ位置登録要求信号を送信する。この第1の位置登録要求信号は、端末装置102の加入者識別番号「****a」と、端末装置102の在圏情報としてモビリティ管理装置112の識別子(#AMF11)を含む。
【0069】
また、ステップS234において、バッファされた第2の位置登録要求信号は、第2のモビリティ管理装置112(#AMF31)から、加入者識別番号「****a」と関連付けて予め設定されたユーザデータ管理装置114(#UDM11から#UDM1n)のうち、選択された第2のユーザデータ管理装置114へ位置登録要求信号を送信する。この第2の位置登録要求信号は、端末装置102の加入者識別番号「****a」と、端末装置102の在圏情報としてモビリティ管理装置112の識別子(#AMF31)を含む。
【0070】
その後、第1のユーザデータ管理装置114は、第1のモビリティ管理装置112の識別子(#AMF11)を含む第1の位置登録要求信号を、第2のユーザデータ管理装置114は、第2のモビリティ管理装置112の識別子(#AMF31)を含む第2の位置登録要求信号を、統合データ管理装置116b(#UDRb)へそれぞれ送信する。
【0071】
統合データ管理装置116bは、加入者プロファイルのデータベース300を読み出す。統合データ管理装置116bは、読み出した加入者識別番号「****a」に対応する在圏情報が、加入者識別番号「****a」の位置登録要求信号に含まれる端末装置102の在圏情報と異なるときに、加入者識別番号「****a」が割り当てられた端末装置102が移動したと判断して、在圏情報を第2のモビリティ管理装置112の識別子で更新する。つまり、統合データ管理装置116bは、第1の位置登録要求信号と、第2の位置登録要求信号を受信するが、このうち、加入者プロファイルのデータベース300の在圏情報(#AMF11)と異なる、移動後の端末装置102に対応付けられる第2の位置登録要求信号の在圏情報(#AMF31)で、加入者プロファイルのデータベース300を更新する。
【0072】
従来、移管時には、統合データ管理装置から配下のすべてのモビリティ管理装置へリセット信号を送信していた。リセット信号を受信したモビリティ管理装置112は、位置登録要求信号を受信すると、全ての端末装置102に対し位置登録要求信号の送信を指示し、全ての端末装置102は、送信指示に従って、位置登録要求信号を統合データ管理装置へ送信していた。本開示によると、移管後であっても、端末装置から一斉に位置登録要求信号が移管後の第2の統合データ管理装置116bへ送信されることはない。端末装置102は、例えば、電源投入時や新しいエリアに移動したとき、所定間隔ごとなどの任意のタイミングで位置登録要求信号を送信する。本開示によると、そもそも統合データ管理装置116はモビリティ管理装置112へリセット信号を送信しない。移管の際の位置登録要求信号の送信は保留されて、移管完了後に、保留した位置登録要求信号を移管後の第2の統合データ管理装置116bへ送信する。これにより、移管後の第2の統合データ管理装置116bにおける位置登録要求信号の処理の負荷を低減することができる。
【0073】
<モビリティ管理装置における処理>
図4は、本開示の一実施形態による、
図2のモビリティ管理装置112による処理の詳細を示す。端末装置102は、例えば、電源投入時や、新しいエリアに移動したとき、所定間隔ごとなどの任意のタイミングで位置登録要求信号を送信する。処理に先立ち、位置登録要求信号は、基地局104(
図1)を介して、モビリティ管理装置112へ送信されるものとする。
【0074】
ステップS402において、各モビリティ管理装置112(#AMF11から#AMF4n)は、位置登録要求信号の送信保留制御をユーザデータ管理装置114から受信したか否かを判定する。モビリティ管理装置112は、位置登録要求信号の保留制御を受信していない場合に、ステップS404に進む。
【0075】
ステップS404において、各モビリティ管理装置112(#AMF11から#AMF4n)は加入者識別番号に対応する位置登録要求信号の送信先として選択されたユーザデータ管理装置114(例えば#UDM11)へ位置登録要求信号を送信する。このモビリティ管理装置112からの位置登録要求信号は、端末装置102のSIMから読み出された加入者識別番号(例えば「****a」)を含む。
【0076】
一方、ステップS402において、各モビリティ管理装置112は、ユーザデータ管理装置114から位置登録要求信号の保留制御を受信すると(
図2のステップS210)、ステップS406(
図2のステップS212)に進む。
【0077】
ステップS406において、各モビリティ管理装置112(#AMF11から#AMF4n)は、位置登録要求信号保留指示に応じて、端末装置102から受信した位置登録要求信号を記憶部に格納する。この位置登録要求信号は、加入者識別番号(例えば、****a)を含む。
【0078】
次に、ステップS408において各モビリティ管理装置112(#AMF11から#AMF4n)は、位置登録要求信号の保留解除指示を受信するか否かを判定する。保留解除指示を受信していない場合、処理はステップS406に戻る。つまり、モビリティ管理装置112は、位置登録要求信号を端末装置102から受信すると、ユーザデータ管理装置114へは送信せずに、記憶部に一時的に格納する。各モビリティ管理装置112は位置登録要求信号の保留解除通知を受信するまで、端末装置102からの位置登録要求信号を記憶部に追加書き込みする。
【0079】
一方、モビリティ管理装置112は、保留解除指示を受信すると、処理はステップS410に進む。
【0080】
ステップS410(
図2のステップS230)において、各モビリティ管理装置112(#AMF
11から#AMF
4n)は、記憶部に格納された位置登録要求信号を読み出しし、位置登録要求信号の送信先として選択されたユーザデータ管理装置114(例えば#UDM
1n)へ位置登録要求信号を送信する。これにより各モビリティ管理装置112は、位置登録要求信号の保留制御を開始してから保留解除するまでに受信した位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置114を介して移管後の統合データ管理装置116bへ送信することができる。
【0081】
なお、端末装置102が、加入者プロファイルの移管中に移動しないとき、つまりステップS406(S212)と、ステップS410(S234)とで同じモビリティ管理装置112の配下にあるとき(例えば#AMF11)、モビリティ管理装置112は、記憶部に一時的に格納された位置登録要求信号を読み出しし、位置登録要求信号の送信先として選択されたユーザデータ管理装置114(例えば#UDM1n)へ位置登録要求信号を送信する。
【0082】
一方、端末装置102が、加入者プロファイルの移管中に移動するとき、つまりステップS406(S212)と、ステップS410(S234)とで異なるモビリティ管理装置112の配下にあるとき、第1のモビリティ管理装置は移動前の位置登録要求信号を、第2のモビリティ管理装置は移動後の位置登録要求信号を、それぞれ記憶部に記憶している。第1のモビリティ管理装置112は、移動前の位置登録要求信号を、第2のモビリティ管理装置112は、移動後の位置登録要求信号を、それぞれ記憶部から読み出しし、位置登録要求信号の送信先として選択されたユーザデータ管理装置114(例えば#UDM1n)へそれぞれ位置登録要求信号を送信する。
【0083】
例えば、ステップS406でモビリティ管理装置112(#AMF11)に在圏する加入者識別番号****aの端末装置102が、移管中に移動して、ステップS410のとき、移動後のモビリティ管理装置112(#AMF31)は、記憶部に格納された位置登録要求信号を読み出しし、位置登録要求信号の送信先として選択されたユーザデータ管理装置114(例えば#UDM1n)へ位置登録要求信号を送信する。
【0084】
本開示によると、移管の際にリセット信号が統合データ管理装置から、モビリティ管理装置112に送信されないので、リセット信号に基づいて一斉に位置登録要求信号が端末装置102から子統合データ管理装置へ送信されない。位置登録要求信号は、在圏情報に更新があった場合など任意のタイミングで、端末装置102から、モビリティ管理装置112、ユーザデータ管理装置114を介して、統合データ管理装置116へ送信される。このため、モビリティ管理装置112から統合データ管理装置116bに向かって位置登録要求信号のバースト的なトラフィックは発生することはない。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態及び変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0086】
100…通信システム
102…端末装置
104…基地局
112…モビリティ管理装置
114…ユーザデータ管理装置
116…統合データ管理装置
160…顧客管理装置
300…加入者プロファイル・データベース
【要約】
【課題】加入者プロファイルを移管する際の管理ネットワーク要素の処理負荷低減を図ること
【解決手段】情報処理装置で実行される方法であって、方法は、第1のプロファイル管理装置から第2のプロファイル管理装置へ移管中に、端末装置から受信した位置登録要求信号を一時的に保持することと、移管の完了後に、一時的に保持された位置登録要求信号を、ユーザデータ管理装置へ送信することであって、ユーザデータ管理装置は位置登録要求信号の送信先として第2のプロファイル管理装置を設定している、送信することと、を含む、方法。
【選択図】
図2