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特許7356619タイヤ摩耗検知用の磁石、磁石を用いたタイヤ摩耗センサおよびタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】タイヤ摩耗検知用の磁石、磁石を用いたタイヤ摩耗センサおよびタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20230927BHJP
   B60C 11/24 20060101ALI20230927BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C19/00 E
B60C11/24 Z
G01B7/00 101H
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023508757
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2022005208
(87)【国際公開番号】W WO2022201937
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2021052115
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】田村 学
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小柴 寿人
(72)【発明者】
【氏名】小島 章伸
(72)【発明者】
【氏名】中村 徳男
(72)【発明者】
【氏名】今井 佑貴
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 利恵
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸川 広人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 睦樹
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106515990(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102000816(CN,A)
【文献】特開2004-132864(JP,A)
【文献】特開2004-25961(JP,A)
【文献】特開2020-59154(JP,A)
【文献】特開2019-64432(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083072(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0078347(US,A1)
【文献】特開2003-214808(JP,A)
【文献】特開平8-75403(JP,A)
【文献】特開2021-17156(JP,A)
【文献】国際公開第2021/059786(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
G01B 7/00
G01B 7/02-7/06
G01M 17/02
G01N 27/72-27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド部に埋設されるタイヤ摩耗検知用の磁石において、
軟磁性体からなる軟磁性体層と、硬磁性体からなる硬磁性体層と、を備えており、
前記軟磁性体層と前記硬磁性体層との積層方向に着磁されていることを特徴とするタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項2】
前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが、前記積層方向に沿って交互に積層されており、
前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが対になっている、
請求項1に記載のタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項3】
前記軟磁性体層の厚さが、前記硬磁性体層の厚さよりも小さい、
請求項1または2に記載のタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項4】
前記積層方向における一端が前記硬磁性体層である、
請求項1または2に記載のタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項5】
前記積層方向における一端が前記硬磁性体層であり、他端が前記軟磁性体層である、
請求項1または2に記載のタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項6】
前記積層方向に直交する切断面の断面積が、前記一端から前記他端に向かうにしたがって大きくなる、
請求項5に記載のタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項7】
前記切断面の形状が円形である、
請求項6に記載のタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項8】
前記硬磁性体層はフェライトであり、前記軟磁性体層はセンダストである、
請求項1または2に記載のタイヤ摩耗検知用の磁石。
【請求項9】
前記タイヤの前記トレッド部に埋設された、請求項1に記載の磁石と、
前記タイヤの内側面における前記磁石と対向する位置に配置され、前記磁石が発する磁気を検知可能な磁気センサと、を備え、
前記磁気センサが、前記磁石の前記積層方向と交差する方向の前記磁気を測定して、前記タイヤの摩耗量を計測することを特徴とする、タイヤ摩耗センサ。
【請求項10】
前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが、前記積層方向に沿って交互に積層されており、
前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが対になっており、
前記軟磁性体層の厚さが、前記硬磁性体層の厚さよりも小さい、
請求項9に記載のタイヤ摩耗センサ。
【請求項11】
前記磁石は、前記積層方向における一端が前記硬磁性体層であり、他端が前記軟磁性体層であり、
前記一端が、前記磁気センサに対向して配置されている、
請求項9に記載のタイヤ摩耗センサ。
【請求項12】
磁性体からなる誘導部材を有し、
前記磁気センサの磁気検知部は、前記誘導部材と前記磁石との間に配置されている、
請求項9に記載のタイヤ摩耗センサ。
【請求項13】
前記磁気センサは、磁気検知部を二つ備え、
二つの前記磁気検知部からの差動信号に基づいて、前記磁気を検知する、
請求項9に記載のタイヤ摩耗センサ。
【請求項14】
二つの前記磁気検知部は、前記積層方向からみたときに、前記磁石の前記磁気の中心点に対して点対称となる位置に配置されている、
請求項13に記載のタイヤ摩耗センサ。
【請求項15】
前記磁石の前記積層方向に直交する切断面の断面積が、一端から他端に向かうにしたがって大きくなる、
請求項9に記載のタイヤ摩耗センサ。
【請求項16】
前記磁石の前記積層方向に直交する切断面の形状が円形である、
請求項9に記載のタイヤ摩耗センサ。
【請求項17】
請求項1に記載の磁石が、前記トレッド部に埋設されていることを特徴とするタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの摩耗を検知するためにタイヤに埋設させて用いられるタイヤ摩耗検知用の磁石、磁石を用いたタイヤ摩耗センサおよびタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの摩耗が進行すると、路面を走行するときのグリップ性能や、濡れた路面を走行するときのタイヤと路面との間の水を排出する排水性能が低下する。そこで、運転者や車両管理者は、タイヤのトレッド部の摩耗状態を目視で点検し、安全性を確保するために使用限度を超える前にタイヤを交換する必要がある。目視による点検は、タイヤの溝に設けられたスリップサインの確認などにより行われるが、摩耗状態を誤って評価するおそれがある。また、点検作業は煩雑であるため、ユーザーによっては点検しないことも考えられる。トレッド部の摩耗状態が誤って評価されたり、評価されなかったりすると、使用限度を超えたタイヤが継続して使用されるおそれがあり、安全性の観点から好ましくない。
そこで、目視以外の方法によってタイヤの摩耗の程度を測定し、タイヤの性能が低下したことを検知するタイヤ摩耗検知システムが提案されている。たとえば、特許文献1には、タイヤのトレッド部に埋設されたタイヤ摩耗検知用の磁石が放出する磁気を検知可能な磁気センサを、タイヤの内側面におけるタイヤ摩耗検知用の磁石に対向する位置に備えたタイヤ摩耗センサが記載されている。この装置はトレッド部とともに摩耗する磁石の磁気の変化を測定してタイヤの摩耗度を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-203831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のタイヤ摩耗センサは、トレッド部に埋め込まれた磁石の摩耗による磁気の変化に基づいてトレッド部の摩耗度を測定する。このため、磁石は、トレッド部とともに摩耗するように、その一方がトレッド部の表面に露出するようにタイヤに埋め込まれる。したがって、トレッド部表面に露出した磁石の磁気によって引き寄せられた鉄の釘などによりタイヤが傷つけられるおそれがあった。
本発明の目的は、トレッド部の表面に露出した磁石の磁気によって鉄などが引き寄せられることを抑えた、タイヤ摩耗検知用の磁石、それを用いたタイヤ摩耗センサおよびタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく提供される本発明の一態様に係るタイヤ摩耗検知用の磁石は、タイヤのトレッド部に埋設されるタイヤ摩耗検知用の磁石において、軟磁性体からなる軟磁性体層と、硬磁性体からなる硬磁性体層と、を備えており、前記軟磁性体層と前記硬磁性体層との積層方向に着磁されていることを特徴とする。
軟磁性体層と硬磁性体層とを積層することにより、硬磁性体層からの磁気が軟磁性体層により積層方向と交差する方向に誘導されるため、硬磁性体層のみからなる従来の磁石よりも積層方向の磁気を小さくすることができる。このため、タイヤの径方向が積層方向になるように磁石を埋設した場合に、トレッド部の表面に露出した面に鉄などを引き付ける吸着力を抑えることができる。
【0006】
前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが、前記積層方向に沿って交互に積層されており、前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが対になっていることが好ましい。
前記軟磁性体層の厚さが、前記硬磁性体層の厚さよりも小さいことが好ましい。
この構成により、磁石の露出面における積層方向の磁気を小さくして鉄などに対する吸着力を抑えるとともに、磁石の摩耗に伴う磁気の変化に基づいてタイヤの摩耗を検知し易くすることができる。
【0007】
前記積層方向における一端が前記硬磁性体層であってもよい。
前記磁化方向における一端が前記硬磁性体層であり、他端が前記軟磁性体層であってもよい。
磁石の一端を硬磁性体層とすることにより、一端側の磁気の変化に基づいて磁石の摩耗度を効率よく検知することができる。また、他端を軟磁性体層で形成すれば、他端側の磁気の強さや範囲を一端側よりも小さくすることができる。
【0008】
前記積層方向に直交する切断面の断面積が、前記一端から前記他端に向かうにしたがって大きくなることが好ましい。
前記切断面の形状が円形であることが好ましい。
前記硬磁性体層はフェライトであり、前記軟磁性体層はセンダストであることが好ましい。
これらの構成により、磁石の露出面における鉄などに対する吸着力を抑制しつつ、磁石の摩耗度と磁気の変化との対応を良好にすることができる。
【0009】
本発明のタイヤ摩耗センサは、前記タイヤの前記トレッド部に埋設された、本発明の前記磁石と、前記タイヤの内側面における前記磁石と対向する位置に配置され、前記磁石が発する磁気を検知可能な磁気センサと、を備え、前記磁気センサが、前記磁石の前記積層方向と交差する方向の前記磁気を測定して、前記タイヤの摩耗量を計測することを特徴とする。
磁石が軟磁性体層を備えることにより、着磁方向である積層方向と交差する方向に硬磁性体層からの磁気を誘導することができる。したがって、積層方向の磁気を小さくして磁石の露出面への鉄などの吸着を抑えるとともに、磁石の摩耗度に対応して変化する積層方向と交差する方向の磁気を磁気センサで測定することにより、タイヤの摩耗度を測定することができる。
【0010】
前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが、前記積層方向に沿って交互に積層されており、前記軟磁性体層と前記硬磁性体層とが対になっており、前記軟磁性体層の厚さが、前記硬磁性体層の厚さよりも小さいことが好ましい。
この構成により、磁石の露出面における積層方向の磁気を小さくするとともに、磁石の摩耗の進行に伴う磁気の変化を大きくすることができる。したがって、磁石の露出面が鉄などを吸着する力を抑えるとともに、タイヤの摩耗度を精度よく検知することができる。
【0011】
前記磁石は、前記積層方向における一端が前記硬磁性体層であり、他端が前記軟磁性体層であり、前記一端が、前記磁気センサに対向して配置されていることが好ましい。
磁石の一端を硬磁性体層とすることにより、一端側の磁気の変化に基づいて摩耗度を検知することができる。また、他端を軟磁性体層で形成すれば、他端側の磁気の強さや範囲を一端側よりも小さくすることができる。
【0012】
タイヤ摩耗センサは磁性体からなる誘導部材を有し、前記磁気センサの磁気検知部は、前記誘導部材と前記磁石との間に配置されていることが好ましい。
誘導部材が磁石の磁気を誘導することにより、磁石の摩耗進行に伴う磁気の変化をより精度よく測定することができる。
【0013】
前記磁気センサは、磁気検知部を二つ備え、二つの前記磁気検知部からの差動信号に基づいて、前記磁気を検知することが好ましい。
二つの前記磁気検知部は、前記積層方向からみたときに、前記磁石の前記磁気の中心点に対して点対称となる位置に配置されていることが好ましい。
二つの磁気検知部からの差動信号を用いることにより、地磁気などの影響を抑えて、磁気を精度よく検知することができる。
【0014】
前記磁石の前記積層方向に直交する切断面の断面積が、一端から他端に向かうにしたがって大きくなることが好ましい。
前記磁石の前記積層方向に直交する切断面の形状が円形であることが好ましい。
これらの構成により、磁石の露出面における鉄などに対する吸着力を抑制しつつ、磁石の摩耗度と磁気の変化との対応関係を向上させることができる。
【0015】
本発明のタイヤは、本発明の前記磁石が、前記トレッド部に埋設されていることを特徴とする。
硬磁性体層に軟磁性体層を積層したことにより、トレッド部の表面に露出した磁石に鉄などを引き付けることが抑えられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、硬磁性体層に加えて軟磁性体層を備えた磁石を用いることにより、タイヤのトレッド部における磁石の露出面の積層方向の磁気を小さくすることができる。したがって、磁石の露出面の鉄などに対する吸着力が抑えられ、鉄などによってタイヤが傷つく危険を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)タイヤ摩耗検知用の磁石および磁石を備えたタイヤの構成を模式的に示す断面図、(b)磁石を拡大して示す断面図
図2】(a)(b)磁石の変形例の構成を模式的に示す断面図
図3】磁石を備えたタイヤ摩耗センサの構成を模式的に示す断面図、(b)タイヤ摩耗センサを拡大して示す断面図
図4】タイヤ摩耗センサにおける、磁気検知部と誘導部材と磁石との位置関係を示す平面図
図5】(a)磁石の高さと磁石を用いたタイヤ摩耗センサの出力との関係を示すグラフ、(b)磁石の高さと吸着力との関係を示すグラフ
図6】(a)磁石の高さとタイヤ摩耗センサ側の磁束密度の変化のシミュレーション結果を示すグラフ、(b)磁石の高さとタイヤ表面に露出する側の磁束密度の変化のシミュレーション結果を示すグラフ
図7】(a)比較例2の磁石のシミュレーション結果、(b)実施例3の磁石のシミュレーション結果
図8】(a)比較例3の磁石のシミュレーション結果、(b)実施例4の磁石のシミュレーション結果
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。各図面において同じ部材には同じ番号を付して、適宜、説明を省略する。
【0019】
<タイヤ摩耗検知用の磁石>
図1(a)は、タイヤ摩耗検知用の磁石1および磁石1を備えたタイヤ2の構成を模式的に示す断面図であり、図1(b)は磁石1を拡大して示す断面図である。
【0020】
タイヤ摩耗検知用の磁石1は、軟磁性体からなる軟磁性体層11と、硬磁性体からなる硬磁性体層12と、を備えている。磁石1は、軟磁性体層11と硬磁性体層12との積層方向が、タイヤ2の径方向(Y軸方向)となるようにタイヤ2に埋設される。磁石1は、積層方向に着磁され、磁化方向両端の磁極端13と磁極端14とが異なる磁極で構成されている。
【0021】
硬磁性体層12からの磁気は、軟磁性体層11によって磁石1が着磁された積層方向から逸れる方向に誘導される。このため、磁石1の磁極端14からの積層方向への磁気を抑えて、トレッド部21の表面に露出した磁極端14が鉄などを吸着する力を小さくすることができる。
【0022】
軟磁性体層11を構成する材料は、軟磁性材料であれば特に限定されない。パーマロイ(Fe-Ni合金)、他の鉄系材料であるセンダスト(Fe-Si-Al合金)、鉄系または非鉄系のアモルファス磁性合金、フェライト(ソフト・フェライト)などが例示される。これら例示した材料のうち、磁極端14からのY軸方向の磁気を抑制する観点から、センダストが好ましい。
【0023】
硬磁性体層12は、硬磁性材料であれば特に限定されない。酸化鉄を主成分とするフェライト(ハード・フェライト)、アルニコ(Al-Ni-Co合金)、サマリウムコバルトが挙げられる。これら例示した材料のうち、磁極端14からのY軸方向の磁気を抑制する観点から、フェライトが好ましい。
【0024】
磁極端13は、磁石1の積層方向におけるタイヤ2の中心側の一端であり、硬磁性体層12からなる。仮に磁極端13を軟磁性体層11で構成した場合に比べて、磁極端13を硬磁性体層12で構成した場合の方が、磁石1の発する磁界をタイヤ2の中心に近い側へ広げることができる。そのため、硬磁性体層12からなる磁極端13に対向するように配置された磁気センサ6(図3(a)、図3(b)参照)によって、磁石1の磁気をより検知しやすくすることができる。
【0025】
磁極端14は、磁石1の積層方向におけるトレッド部21の表面側の他端である。磁極端14からの磁気が、硬磁性体層12に隣接して設けられている軟磁性体層11によって積層方向と交差する方向に誘導されることで、積層方向の磁気が小さくなる。したがって、磁極端14に鉄などを吸着する力が硬磁性体のみからなる従来の磁石よりも小さくなる。
【0026】
図1(b)に示す、軟磁性体層11が硬磁性体層12の間に挟まれた構造とする場合、軟磁性体層11の位置によって、磁石1の使用開始時の効果と、摩耗が進んだ時における効果とが変化する。軟磁性体層11をトレッド部21の表面側の磁極端14の近くに設ければ、使用開始時における効果が大きくなる。軟磁性体層11をタイヤ2の内側面22側の磁極端13の近くに設ければ、磁石1の摩耗が進んだ時における磁極端14からの積層方向の磁気を抑制する効果が大きくなる。磁極端13を軟磁性体層11とすれば、硬磁性体層12が消滅するまで積層方向の磁気を抑制できるが、図1(b)に示すように磁極端13と磁極端14の中間に軟磁性体層11を設ければ、上記二つの効果のバランスをとることができる。
【0027】
磁石1は、軟磁性材料および硬磁性材料の粉粒体(磁性粉)が高分子材料中に分散されて形成された軟磁性体層11および硬磁性体層12が積層され、積層方向に着磁されて構成されている。その磁化方向がタイヤ2の半径方向(Y軸方向)と一致するような姿勢でトレッド部21に埋設される。高分子材料としては、トレッド部21に用いられるトレッドゴム組成物と同じ配合のゴム材料などが好ましい。
【0028】
磁石1は、磁極端13の表面において1mT以上の磁束密度を有することが好ましい。また、磁石1の磁気によって、車載される他の電子機器などに悪影響を与えないようにする観点から、磁石1の磁極端13における表面磁束密度は600mT以下であることが好ましい。道路走行時に路面に落ちている鉄釘などの金属片を吸着しないようにするという観点から、磁石1の磁極端14における表面磁束密度は60mT以下であることが好ましい。なお、表面磁束密度は、着磁された磁石1の表面にテスラメーターを直接接触させることにより測定される値である。
【0029】
図2(a)および図2(b)は、図1(b)に示した磁石1の変形例としての、磁石3および磁石4を模式的に示す断面図である。これらの図に示すように、磁石3および磁石4はいずれも、未使用(未摩耗)状態においては軟磁性体層11と硬磁性体層12とが、積層方向に沿って交互に積層された積層構造を備えている。
【0030】
磁石3および磁石4は、積層方向における一端の磁極端13が硬磁性体層12であり、他端の磁極端14が軟磁性体層11である。この構成により、未使用のタイヤ2(磁石1の摩耗前)において、磁極端13側に比べて磁極端14側に形成される積層方向の磁気を抑え、磁極端14に鉄釘などが吸着されて、トレッド部21の表面に傷がついたり、タイヤ2がパンクしたりする危険を小さくすることができる。
【0031】
図2(a)および図2(b)に示すように、軟磁性体層11は硬磁性体層12よりも薄いことが好ましい。軟磁性体層11の厚さL11を硬磁性体層12の厚さL12よりも小さくすることにより、軟磁性体層11に磁路が形成され易くなる。このため、軟磁性体層11は、硬磁性体層12からの磁気を積層方向以外の方向に誘導しやすくなる。したがって、磁石3、磁石4がタイヤ2(図1(a)参照)に埋設された状態において、トレッド部21の表面に現れる磁極端14からの積層方向の磁気の磁束密度を小さくすることができる。
【0032】
磁極端14からの積層方向の磁気の磁束密度を小さくする観点から、厚さL11と厚さL12との比L11/L12は、1/100以上1/1未満が好ましく、1/10以上1/2未満がより好ましく、1/7以上1/3未満がさらに好ましい。
【0033】
同様の観点から、軟磁性体層11の厚さL11は、0.05mm以上1mm以下が好ましく、0.1mm以上0.5mm以下がより好ましく、0.15mm以上0.3mm以下がさらに好ましい。また、硬磁性体層12の厚さL12は、0.1mm以上5mm以下が好ましく、0.3mm以上3mm以下がより好ましく、0.5mm以上2mm以下がさらに好ましい。
【0034】
積層方向に直交する断面の面積がタイヤ2の中心から外側に向かって大きくなる形状(略錐台形状)の磁石4は、均一な形状の磁石3よりも、磁極端13からの磁気とタイヤ2の摩耗度との線形性が高い。また、磁石4には、磁極端14側に形成される積層方向の磁気抑制効果が高く、タイヤ2への埋設が容易であるという特長がある。磁石4の形状は、Y軸方向に平行な断面のX軸方向の幅Wが磁極端13から磁極端14に向かって連続的に大きくなる円錐台であり、磁化方向であるY軸に直交するXZ平面で切断した切断面の断面積が磁極端13から磁極端14に向かって連続的に大きくなる。なお、図2(b)には、側面が直線状の円錐台を示したが、側面が内側へ向かってくびれた形状や、外側へ向かって膨らんだ形状としてもよい。
【0035】
磁極端14の表面に鉄などを吸着する力を小さくする観点から、軟磁性体層11と硬磁性体層12とは、積層方向に沿って交互に積層され、軟磁性体層11と硬磁性体層12とが対になっていることが好ましい。軟磁性体層11と硬磁性体層12とを一組として交互に積層することにより、軟磁性体層11によって、硬磁性体層12からの磁気を着磁方向と交差する方向に効果的に誘導することができる。
【0036】
軟磁性体層11と硬磁性体層12とを合わせた積層数は、4以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。積層数の上限は、磁石3および磁石4の積層方向の長さ、吸着力を抑える効果、製造効率などの観点から適切な数とすればよいが、例えば、40以下とすればよい。
【0037】
<タイヤ摩耗センサ>
図3(a)は、磁石1を備えたタイヤ摩耗センサ5の構成を模式的に示す断面図であり、図3(b)はタイヤ摩耗センサ5を拡大して示す断面図である。同図に示すように、タイヤ摩耗センサ5は、タイヤ摩耗検知用の磁石1と磁気センサ6とを備えており、磁気センサ6が磁石1の発する磁気の変化を検知してタイヤ2の摩耗量を計測する。
【0038】
タイヤ2のトレッド部21に埋設された磁石1は、硬磁性体層12に加えて軟磁性体層11を備えているため、トレッド部21の表面に露出する磁極端14からのY軸方向の磁気を小さくすることができる。なお、磁石1に代えて、図2(a)、図2(b)に示した磁石3、磁石4等を用いてタイヤ摩耗センサ5を構成してもよい。
【0039】
磁気センサ6は、タイヤ2の内側面22において、磁石1と対向し、かつ磁石1が発する磁気を検知可能な位置に配置されている。タイヤのトレッド部21とともに磁石1が摩耗することにより、磁石1の磁気が変化する。タイヤ摩耗センサ5は、トレッド部21の摩耗に伴う磁気の変化を磁気センサ6により検知して、タイヤ2の摩耗量を検出することができる。
【0040】
磁気センサ6は、磁石1の積層方向(Y軸方向)と交差するX軸方向の磁気を検知する。軟磁性体層11によって、磁石1からの磁気のうち着磁方向であるY軸方向の磁気が小さくなる。そこで、磁気センサ6は、磁石1の着磁方向に直交するX軸方向の磁気を測定することで、タイヤ2の摩耗量の測定における精度を向上させている。
【0041】
磁気センサ6は、磁性体からなる誘導部材61を有しており、誘導部材61と磁石1との間に磁気検知部62が配置されている。磁石1の構成により、タイヤ2のトレッド部21の表面側の磁極端14からのY軸方向の磁気を小さくしつつ、磁気検知部62の配置位置の工夫により、磁気センサ6の感度を良好にすることができる。
【0042】
図3(a)および図3(b)に示すように、磁気センサ6は、磁気検知部62を二つ備えており、二つの磁気検知部62からの差動信号に基づいて磁石1の磁気を検知する。磁気検知部62の検知した磁気の差分出力を用いることにより、タイヤ2の摩耗度を精度よく検知することができる。
【0043】
図4は、図3(a)、図3(b)のタイヤ摩耗センサ5における、磁石1と、磁気センサ6における磁気検知部62と、誘導部材61との位置関係を模式的に示した平面図である。同図は、磁石1の磁化方向であるY軸方向から平面視した位置関係を模式的に示している。同図および図3(b)に示すように、磁気検知部62は磁石1と誘導部材61との間に配置されている。また、磁気検知部62は、磁化方向からみたときに、磁石1の外郭よりも外側に位置する部分を備えるように配置されている。この構成により、タイヤ摩耗センサ5は、タイヤ2の摩耗度の進行に伴うX軸方向の磁気の変化を精度良く測定することができる。これは、磁石1が発する磁界は磁石1から誘導部材61に誘導されるため、磁石1から誘導部材61に誘導される磁界、すなわち磁気検知部62が配置された箇所における磁界は磁束密度が高くなっているからである。また、誘導部材61がX方向において磁石1に対して離れた位置に配置されているため、磁気検知部62が配置された箇所における磁界の磁気は、磁気検知部62が検知可能なX軸方向の成分を必ず含んでいるからである。
【0044】
二つの磁気検知部62は、磁石1の磁化方向からみたときに、磁石1からの磁気の中心点すなわち磁石1の中心軸に対して点対称となる位置に配置されている。二つの磁気検知部62および二つの誘導部材61は、これらの中心を結んだX軸に平行な直線L上に位置している。また、2つの磁気検知部62は、磁石1をXZ平面で切断した断面円の中心点Oに対して点対称に配置されている。2つの誘導部材61も、中心点Oに対して対称に配置されている。
【0045】
上述した構成により、一方の磁気検知部62により検知される磁石1の放出磁気Maと、他方の磁気検知部62により検知される磁石1の放出磁気Mbとは、磁束密度が同じで磁気の向きが逆になる。したがって、2つの磁気検知部62が検知した放出磁気MaおよびMbの一方のみに基づいて、タイヤ2の摩耗を検知することができるため、タイヤ摩耗センサ5の冗長性が向上する。
【0046】
また、タイヤ摩耗センサ5による磁気の測定においてノイズとなる外部磁気は、2つの磁気検知部62に対して同じ影響を及ぼす。このため、二つの磁気検知部62からの出力差(差分、差動信号)を用いれば、外部磁場の成分は相殺され、外部磁気の影響を取り除くことができる。二つの磁気検知部62からの出力は磁気の向きが逆であるから、両出力の差を用いることにより、ノイズの影響を取り除きながら、一つの磁気検知部62からの出力の二倍の大きさの出力が得られる。したがって、磁気検知部62の出力の差を用いることにより、外部磁気のようなノイズの影響を取り除くとともに出力を大きくして、タイヤ2の摩耗度を精度よく測定することができる。
【0047】
二つの磁気検知部62で地磁気に影響されず確実に磁束密度を測定するために、磁気検知部62が配置されている測定位置において、磁石1は0.05mT以上の磁束密度を有するように構成されていることが好ましく、0.5mT以上の磁束密度を有するように構成されていることがより好ましい。
【0048】
本明細書において開示された実施形態は、全ての点で例示であってこの実施形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【実施例
【0049】
<実施例1>
以下の形状を備えた円錐台形状の磁石(図2(b)参照)を用いて、下底面側からの摩耗の進行による磁束密度の変化に伴う、X軸方向(図3(a)、図3(b)参照)の磁気に対する磁気センサの出力および下底面側の鉄に対する吸着力(Y軸方向の磁束密度)の変化を測定した。
初期形状:上底面の直径16mm、下底面の直径24mm、高さ18mm、厚さ1mmの軟磁性体層と、厚さ1mmの硬磁性体層とが交互に各9層積層(積層数18)
軟磁性体層:パーマロイ
硬磁性体層:フェライト(ハード・フェライト)
【0050】
<実施例2>
磁石の形状について上底面の直径を16mmから22mmに変更したこと以外は、実施例1と同じ磁石を用いて、下底面側からの摩耗の進行に伴う、磁気センサの出力、および下底面側の鉄に対する吸着力の変化を測定した。
【0051】
<比較例1>
実施例1と同じ円錐台形状の磁石を硬磁性体層のみを用いて形成し、下底面側からの摩耗の進行に伴う、磁気センサの出力および下底面側の吸着力の変化を測定した。
【0052】
図5(a)は、タイヤ摩耗検知用の磁石の高さ(厚み)と該タイヤ摩耗検知用の磁石を用いたタイヤ摩耗センサの出力との関係を示すグラフであり、図5(b)は、タイヤ摩耗検知用の磁石の高さ(厚み)と吸着力との関係を示すグラフである。図5(a)および図5(b)における測定値は、いずれも、比較例1における初期のセンサ出力および吸着力(100%)に対する比率(%)として示している。
【0053】
センサ出力は、図5(a)に示すように、実施例1、2の磁石を用いた場合も、比較例1の磁石を用いた場合と同様に、摩耗の進行に伴って直線的に変化した。すなわち、軟磁性体層と硬磁性体層とを交互に積層した磁石を用いた場合も、硬磁性体層のみからなる磁石を用いた場合と同様、摩耗の進行度とセンサ出力との線形性が良好であった。
【0054】
対して、図5(b)に示すように、実施例1および実施例2の磁石におけるタイヤのトレッド部の表面に露出する下底面の吸着力は、比較例1よりも小さくなった。すなわち、軟磁性体層と硬磁性体層とを交互に積層した磁石の吸着力は、硬磁性体層のみからなる磁石の初期値の50%以下に抑えられた。この結果から、軟磁性体層を設けることにより、磁石の露出面の垂直方向の磁気を小さくして、鉄などを引き寄せる吸着力が小さくなることが分かった。
【0055】
<実施例3>
以下の形状を備えた円錐台形状の磁石(図2(b)参照)を用いて、下底面側からの摩耗の進行による磁束密度の変化に伴う、X軸方向(図3(a)、図3(b)参照)の磁気に対する磁気センサの出力および下底面側の吸着力の変化を測定した。
初期形状:上底面の直径16mm、下底面の直径28mm、高さ18mm、厚さ1mmの軟磁性体層と、厚さ0.2mmの硬磁性体層とが交互に各15層積層(積層数30)
軟磁性体層:センダスト
硬磁性体層:フェライト(ハード・フェライト)
【0056】
<比較例2>
実施例3と同じ円錐台形状の磁石を硬磁性体層のみを用いて形成し、下底面側からの摩耗の進行に伴う、磁気センサの出力および下底面側の吸着力の変化を測定した。
【0057】
図6(a)は、磁石の高さ(厚み)の変化に伴うセンサ側の磁束密度の変化のシミュレーション結果を示すグラフであり、図6(b)は磁石の高さの変化に伴う該磁石の他方端(タイヤのトレッド部表面側)の磁束密度の変化のシミュレーション結果を示すグラフである。これらのグラフにおけるシミュレーションにより得られた測定値は、図5(a)、図5(b)同様、比較例2の初期値(100%)に対する比率(%)として示した。
【0058】
図6(a)、図6(b)に示すシミュレーション結果からも、図5(a)、図5(b)に示す測定結果同様、軟磁性体層を設けることにより、センサ感度の低下を抑制しつつ、トレッド部表面に現れる下底面の磁束密度を抑えて、鉄などを引き付ける吸着力を小さくできることが示された。
【0059】
図7(a)および図7(b)は、磁石内に発生する磁気のシミュレーション結果であり、各図に示される矢印が磁気の向きを示している。図7(a)は、硬磁性体層のみからなる比較例2の磁石における磁気のシミュレーション結果であり、図7(b)は、軟磁性体層と硬磁性体層とが交互に積層された実施例3の磁石における磁気のシミュレーション結果である。硬磁性体層のみからなる比較例2の磁石では、図7(a)に示すように、その磁化方向であるY軸方向に平行な磁気のみが生じる。対して、軟磁性体層と硬磁性体層とを交互に積層した実施例3の磁石は、図7(b)に示すように、軟磁性体層によって磁化方向(積層方向)であるY軸方向に交差する方向に磁気が誘導されることが示された。
【0060】
<実施例4>
以下の形状を備えた円柱形状の磁石(図2(a)参照)における磁気をシミュレーションした。
初期形状:底面の直径18mm、高さ18mm、厚さ1mmの軟磁性体層と、厚さ0.2mmの硬磁性体層とが交互に各13層積層(積層数26)
軟磁性体層:センダスト
硬磁性体層:フェライト(ハード・フェライト)
【0061】
<比較例3>
硬磁性体層のみからなる点を除き、実施例4と同じ磁石における磁気をシミュレーションした。
【0062】
図8(a)は、硬磁性体層のみからなる比較例3の磁石における磁気のシミュレーション結果であり、図8(b)は、軟磁性体層と硬磁性体層とが交互に積層された実施例4の磁石における磁気のシミュレーション結果である。図8(a)および図8(b)には、シミュレーションにより得られた磁石の磁気と、磁気センサ6との位置関係を模式的に示している。
【0063】
磁気センサ6は磁気検知部62を2つ備えており、磁気検知部62それぞれ、磁石の中心よりも外側に設けられている。そして、磁石からの磁気を誘導する誘導部材61を備えている。このため、磁気の方向がY軸に対して斜め方向になることが、磁気検知部62の検知結果に及ぼす影響は小さい。これに対して、磁石1のトレッド部21に露出する磁極端14が鉄などを引き寄せる吸着力は、Y軸方向の磁気の大きさに比例する。軟磁性体層11(図1参照)によって磁気の方向がY軸に対して交差する方向に誘導されたことでY軸方向の磁気が減少し、磁極端14の吸着力が小さくなったと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、タイヤの摩耗状態を目視によらず測定可能な、タイヤ摩耗検知用の磁石、タイヤ摩耗センサおよびタイヤに適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、3、4:磁石
2 :タイヤ
5 :タイヤ摩耗センサ
6 :磁気センサ
11 :軟磁性体層
12 :硬磁性体層
13、14:磁極端
21 :トレッド部
22 :内側面
61 :誘導部材
62 :磁気検知部
11、L12:厚さ
Ma、Mb:放出磁気
O :中心点
W :幅
L :X軸に平行な直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8