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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】屋内貯炭設備及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 3/04 20060101AFI20230928BHJP
   B65G 69/12 20060101ALI20230928BHJP
   B65G 65/42 20060101ALI20230928BHJP
   B65D 90/22 20060101ALI20230928BHJP
   B65D 88/64 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65G3/04 A
B65G69/12
B65G65/42 C
B65D90/22 Z
B65D88/64 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019119176
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021004127
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】山根 健輔
(72)【発明者】
【氏名】宮原 直哉
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-045564(JP,A)
【文献】特開昭58-082884(JP,A)
【文献】特開平09-318327(JP,A)
【文献】実公平08-001221(JP,Y2)
【文献】実開平02-069608(JP,U)
【文献】実開昭58-045206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 3/04
B65G 69/12
B65G 65/42
B65D 90/22
B65D 88/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内貯炭場に石炭を搬送する石炭受入コンベアと、
前記屋内貯炭場の床下に設けられたホッパと、
前記ホッパの上面を覆うように床面に取付けられたホッパスクリーンと、
前記ホッパ内の石炭を払出す払出コンベアと、
前記ホッパスクリーンの上面を部分的に塞ぎ石炭積付場所を形成する閉塞手段と、
を備え
前記ホッパスクリーンのうち開口部が前記ホッパへの石炭投入口となることを特徴とする屋内貯炭設備。
【請求項2】
前記閉塞手段は、移動可能に構成され、
さらに前記閉塞手段の移動を容易ならしめる移動補助手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の屋内貯炭設備。
【請求項3】
前記閉塞手段は、前記ホッパスクリーンの上面に1ヶ所又は間隔をあけて2ヶ所以上設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋内貯炭設備。
【請求項4】
前記ホッパは、複数系統設けられ、
前記ホッパスクリーン及び払出コンベアは、前記ホッパの各系統に対応するように設けられ、
前記閉塞手段は、前記ホッパの系統毎に設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の屋内貯炭設備。
【請求項5】
前記閉塞手段の大きさが、前記ホッパの系統により異なることを特徴とする請求項4に記載の屋内貯炭設備。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の屋内貯炭設備の運転方法であって、
前記石炭受入コンベアを介して前記閉塞手段の上に石炭を受入れ貯炭し、
払出し時に貯炭された石炭を、前記閉塞手段を移動させることなく前記ホッパスクリーンの開口部から前記ホッパ内に落とし込み、
前記払出コンベアを介して前記ホッパ内の石炭を払出すことを特徴とする屋内貯炭設備の運転方法。
【請求項7】
前記ホッパスクリーンに対して前記閉塞手段を間隔をあけて複数箇所設置し、
前記閉塞手段の上に炭種の異なる石炭を炭種毎に分けて貯炭することを特徴とする請求項6に記載の屋内貯炭設備の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭を貯炭する屋内貯炭設備及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭を貯炭する屋内貯炭場においては、貯蔵された石炭が酸化され自然発熱すること、また石炭によってホッパが閉塞されることが従来から課題となっており、これらに対する対策もこれまでに多く提案されている。
【0003】
石炭の自然発火に対しては、火力発電所の石炭サイロにおいて、貯蔵され温度の上昇した貯蔵石炭を払出コンベア、再循環コンベヤなどを介して移動させることで空冷させ、再び槽内に戻す循環運転により自然発火を防ぐ方法がある(例えば特許文献1参照)。また固体燃料貯蔵設備において、底部の固体燃料払出用開口部に開閉機構を設け、固体燃料を払出さないときは払出用開口部を塞ぐことで払出用開口部から貯蔵躯体への空気の流れを防ぎ、固体燃料の酸化を防ぐ方法もある(例えば特許文献2参照)。
【0004】
ホッパの閉塞に対しては、石炭払出口付近に振動装置を配置し、石炭を振動させることで石炭払出口での詰まりを防止する方法がある(例えば特許文献3参照)。また閉塞した石炭を上下動可能な突き棒で突き崩す方法もある(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-45564号公報
【文献】特開2017-52590号公報
【文献】特開昭62-64767号公報
【文献】特開平10-168457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
火力発電所の石炭サイロ、貯蔵設備は、大型であるために特許文献2に記載の方法を適用するには設備が大掛かりとなる。また特許文献2に記載の方法により石炭サイロの払出口を開閉機構で塞いでも、石炭サイロに貯蔵され石炭が圧密され石炭サイロの払出口付近を閉塞するという問題は解決できない。
【0007】
特許文献3に記載のホッパ内の閉塞防止方法は、ホッパ内の閉塞防止対策として有効であっても、貯蔵された石炭が酸化され自然発熱することに対しては効果がない。特許文献4には、突き棒の他にシュート下部を開閉するダンパを設けることが記載されており、石炭の自然発火及びホッパ内の閉塞防止対策として有効と考えられるが、特許文献2に記載の方法以上に設備が大掛かりとなる。またダンパの故障も懸念される。
【0008】
本発明の目的は、既設の屋内貯炭場に対しても容易に適用可能であり、石炭の自然発熱及び石炭によるホッパの閉塞を防止可能な屋内貯炭設備及びその運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、屋内貯炭場に石炭を搬送する石炭受入コンベアと、前記屋内貯炭場の床下に設けられたホッパと、前記ホッパの上面を覆うように床面に取付けられたホッパスクリーンと、前記ホッパ内の石炭を払出す払出コンベアと、前記ホッパスクリーンの上面を部分的に塞ぎ石炭積付場所を形成する閉塞手段と、を備え、前記ホッパスクリーンのうち開口部が前記ホッパへの石炭投入口となることを特徴とする屋内貯炭設備である。
【0010】
本発明の屋内貯炭設備において、前記閉塞手段は、移動可能に構成され、さらに前記閉塞手段の移動を容易ならしめる移動補助手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明の屋内貯炭設備において、前記閉塞手段は、前記ホッパスクリーンの上面に1ヶ所又は間隔をあけて2ヶ所以上設置されていることを特徴とする。
【0012】
また本発明の屋内貯炭設備において、前記ホッパは、複数系統設けられ、前記ホッパスクリーン及び払出コンベアは、前記ホッパの各系統に対応するように設けられ、前記閉塞手段は、前記ホッパの系統毎に設置されていることを特徴とする。
【0013】
また本発明の屋内貯炭設備において、前記閉塞手段の大きさが、前記ホッパの系統により異なることを特徴とする。
【0014】
本発明は、前記屋内貯炭設備の運転方法であって、前記石炭受入コンベアを介して前記閉塞手段の上に石炭を受入れ貯炭し、払出し時に貯炭された石炭を、前記閉塞手段を移動させることなく前記ホッパスクリーンの開口部から前記ホッパ内に落とし込み、前記払出コンベアを介して前記ホッパ内の石炭を払出すことを特徴とする屋内貯炭設備の運転方法である。
【0015】
本発明の屋内貯炭設備の運転方法において、前記ホッパスクリーンに対して前記閉塞手段を間隔をあけて複数箇所設置し、前記閉塞手段の上に炭種の異なる石炭を炭種毎に分けて貯炭することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、既設の屋内貯炭場に対しても容易に適用可能であり、石炭の自然発熱及び石炭によるホッパの閉塞を防止可能な屋内貯炭設備及びその運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態の屋内貯炭設備1の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の屋内貯炭設備1の使用例を模式的に示す図である。
図3】本発明の第1実施形態の屋内貯炭設備1の要部断面図である。
図4】本発明の第1実施形態の屋内貯炭設備1の閉塞手段及び移動補助手段を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態の屋内貯炭設備1の他の閉塞手段及び移動補助手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態の屋内貯炭設備1の構成を示す斜視図、図2は、屋内貯炭設備1の使用例を模式的に示す図、図3は、屋内貯炭設備1の要部断面図であり、図3(A)は、図1の屋内貯炭設備1をXZ面に平行に切断した図であり、図3(B)は、図1の屋内貯炭設備1をYZ面に平行に切断した図である。図4は、屋内貯炭設備1の閉塞手段及び移動補助手段を示す図であり、図4(A)は、斜視図、図4(B)は、図4(A)の切断線a-aで切断した断面図である。
【0019】
屋内貯炭設備1は、建屋10で覆われた貯炭場(屋内貯炭場)5に設けられた、石炭を受入れ、貯炭し、払出しを行う設備であり、石炭受入コンベア70、ホッパ20(20a、20b)、ホッパ20の上面を覆うホッパスクリーン30(30a、30b)、払出コンベア40(40a、40b)、ホッパスクリーン30の上面を部分的に塞ぐ鉄板50及び鉄板50の移動を補助する空気噴出管60を備える。
【0020】
建屋10は、床面11を囲むように設けられた側壁13を有し、側壁13の上部に屋根15が取付けられている。ホッパ20は、床面11を長手方向(X方向)に掘り込み2系列(A系,B系)設けられている。A系のホッパ20aとB系のホッパ20bは、床面11を短手方向(Y方向)に見て中心点から左右に等距離離れて設けられている(図1図2参照)。
【0021】
ホッパ20a、20bの上面は、床面11に設置されたホッパスクリーン30(30a、30b)で覆われている。ホッパスクリーン30は、平面視において格子状の格子板31と、平板33とで構成され、これらが長手方向に交互に配置されている(図1参照)。平材33の長さ(X方向)は、格子板31の長さ(X方向)に比較して短い。但し、ホッパ20a、20bの上面を覆うホッパスクリーン30の構成は、本実施形態に限定されるものではない。ホッパスクリーン30を格子板31のみで構成してもよい。
【0022】
A系のホッパ20aの下端には石炭の払出口23aが設けられている。この払出口23aには、長手方向(X方向)に移動可能な石炭切出機45aが設置され、石炭切出機45aを稼働させることで払出口23aからホッパ20a内の石炭が切出される。B系のホッパ20bもA系と同様に、排出口23b、石炭切出機45bを有する(図3(B)参照)。
【0023】
払出コンベア40は、A系のホッパ20a、B系のホッパ20bに対応するようにA系の払出コンベア40aとB系の払出コンベア40bとからなり、各々ホッパ20a、20bに沿うように各々ホッパ20a、20bの下方に設置されている。各払出コンベア40a、40bは、各々石炭切出機45a、45bを介して切り出されるホッパ20a、20b内の石炭を搬出する。
【0024】
鉄板50は、A系のホッパスクリーン30a及びB系のホッパスクリーン30bの上に設置され、ホッパスクリーン30a、30bの一部を塞ぐ部材であり、複数枚の鉄板からなる。本実施形態において鉄板50が、閉塞手段に該当する。ホッパスクリーン30a、30bを塞ぐ目的は、ホッパ20a、20b内に石炭が落下しないようにすることであり、格子板31を塞ぐ必要があることはいうまでもない。
【0025】
1枚の鉄板50の幅(Y方向)は、一枚の格子板31の幅(Y方向)よりも広く、ホッパスクリーン30a、30bの上に載置することでホッパスクリーン30a、30bを塞ぐことができる(図4(A)参照)。本実施形態において、1枚の鉄板50の長さ(X方向)は、一枚の格子板31の長さ(X方向)よりも短くなっているが、一枚の格子板31よりも長くてもよい。鉄板50は、上に貯蔵される石炭の重量に耐え、ブルドーザ、バックホー、ホイールローダーなどの重機(以下、重機)が載っても変形、破損しない厚さ、強度を備える。
【0026】
一枚の鉄板50の大きさは特に限定されるものではなく、複数枚の鉄板50を隙間なく並べてホッパスクリーン30a、30bを塞いでもよい。一方で、鉄板50は、場所を変えるべく移動されることがあるためこの点を考慮して一枚の大きさを決めるのがよい。一枚の鉄板50の大きさが不必要に小さいと移動に手間が掛かり、逆に不必要に大きい場合、移動が難しくなる。
【0027】
本実施形態の屋内貯炭設備1において、後述のように鉄板50の上には石炭が貯蔵され、その石炭は重機によりホッパ20a、20b内に落とし込まれる。その際に、鉄板50の上で重機が動いても鉄板50が移動しないように固定することが好ましい。鉄板50を固定する手段は、重機の移動の邪魔にならず、また重機が動いても損傷しないものであればよく、特定の手段に限定されるものではない。例えば、隣り合う鉄板50を繋ぐ連結具であってもよい。隣り合う鉄板50を繋ぎ複数枚の鉄板50を1枚の大きな鉄板50にすれば、設置面との抵抗が大きくなり動き難くなる。
【0028】
空気噴出管60は、載置された鉄板50を移動させる際に移動を容易ならしめる移動補助手段である。空気噴出管60は、円筒状のパイプからなり、上端に空気噴出口61が長手方向(X方向)に間隔をあけて複数設けられている(図4(A)参照)。空気噴出管60は、各ホッパスクリーン30a、30bの両側に、上端がホッパスクリーン30a、30bの上面と面一又は僅かに下に位置するように敷設されている(図4(B)参照)。このためホッパスクリーン30a、30bを塞ぐように鉄板50が載置されても鉄板50、さらには堆積する石炭の重量が空気噴出管60に直接加わることはない。
【0029】
ホッパスクリーン30a、30bを塞ぐ鉄板50の位置を変更する場合には、空気噴出管60に圧縮空気を送り、空気噴出口61から鉄板50を浮かすように空気を噴出させた状態で重機等を使用して鉄板50を移動させればよい。空気噴出口61から鉄板50を浮かすように空気を噴出させることで鉄板50の移動が容易となる。貯炭場が小さく、使用する鉄板50が小さいような場合には、移動補助手段を省略してもよい。
【0030】
石炭受入コンベア70は、建屋10の天井に取付けられ、石炭積付機(トリッパ)72を備え、石炭を床面11の所定の位置に落下させ、所定の大きさの貯炭山(パイル)100を作る。石炭受入コンベア70は、建屋10を短手方向(Y方向)に見て建屋10の中心に、建屋10を長手方向(X方向)に見て建屋10のほぼ全長に設置されている。
【0031】
屋内貯炭設備1の運転方法を説明する。まず貯炭計画に対応した貯炭山100の位置及び大きさから鉄板50の設置位置及び大きさを決定する。鉄板50の設置位置及び大きさの一例を図2に示す。図2に示すようにA系のホッパ20aには、X方向の10~45m及び75~140mの位置にホッパスクリーン30aを塞ぐように鉄板50が設置されている。一方、B系のホッパ20bには、X方向の10~45m及び75~110mの位置にホッパスクリーン30bを塞ぐように鉄板50が設置されている。
【0032】
石炭の受入れは、A系ホッパ20a及びB系ホッパ20bにまたがるように行われる。図2では、A系、B系のホッパ20a、20bともX方向の10~45mの位置に鉄板50が設置されているので、この部分に貯炭することにより、鉄板50が空気の流通を遮断し、貯炭山100の自然発熱を抑制することができる。さらにA系、B系のホッパ20a、20bのX方向の75~110mの位置に鉄板50が設置されているので、この部分にも貯炭することにより、鉄板50が空気の流通を遮断し、貯炭山100の自然発熱を抑制することができる。図2のように長手方向に2カ所の貯炭場所を設けることでそれぞれに異なる炭種の石炭を貯炭することができる。
【0033】
石炭の受入れは、次の要領で行われる。鉄板50の設置場所を確認し、石炭積付場所を決める。ここでは鉄板50が設置されているX方向の10~45m及び75~110mの位置を石炭積付場所とし、石炭受入コンベア70に設置されている積付機72の積み付け開始位置、積み付け終了位置、積み付け高さを設定する。積み付け高さは、貯炭山(パイル)100を成形する高さである。その後、受入コンベア70を起動し受け入れを開始する。
【0034】
貯蔵する石炭を払い出す際は、払出しを行う炭種を決定し、貯炭場5のどこの場所から払い出すか検討し、重機を用いて払出しを行う貯炭山100近傍のホッパスクリーン30a、30bからホッパ20a、20b内に石炭を落し込む。中央制御室(図示省略)から石炭切出機45a、45bの切出開始位置、切出終了位置、切出機移動速度を設定し、払出コンベア40a、40bを起動し、送炭を開始する。
【0035】
従来の貯炭方法では、ホッパ20(20a、20b)内に石炭を受入れ、その上に貯炭山100を形成していたため、ホッパ下部の払出口23(23a、23b)からホッパ20内、貯炭山100に向って空気が流通し、石炭が酸化され自然発熱することが問題となっていた。これに対して本実施形態の屋内貯炭設備1では、受入コンベア70からの石炭をホッパ20に直接受け入れるのではなく、ホッパ20の上面を塞ぐように設置した鉄板50の上に受入れ、ここに貯炭することができるので、鉄板50が空気の流通を遮断し、貯炭山100の自然発熱を抑制することができる。このような屋内貯炭設備1は、亜瀝青炭のように酸化し自然発熱し易い石炭の貯蔵に好適に用いることができる。
【0036】
また従来の貯炭方法では、ホッパ20(20a、20b)内に石炭を受入れ、その上に貯炭山100を形成していたため、長期間にわたり石炭を払い出すことなく貯炭したときに石炭が圧密され、ホッパ下部の払出口23(23a、23b)付近が閉塞することが問題となっていた。これに対して本実施形態の屋内貯炭設備1では、鉄板50の上に石炭を受入れ、ここに貯炭し、石炭の払出しのタイミングに応じてホッパ20内に石炭を落とし込み、払い出すことができるので、石炭がホッパ20内に留まる時間が短くなりホッパ20の閉塞を防ぐことができる。
【0037】
本実施形態の屋内貯炭設備1では、ホッパ20(20a、20b)の上面が鉄板50で部分的に塞がれている。このため石炭を鉄板50の上に貯炭するのみならず、開口したホッパスクリーン30(30a、30b)からホッパ20内に直接石炭を受入れることも可能である。石炭を受入れ、短時間内に石炭の払出しを行う場合には、ホッパ20内に直接石炭を受入れても石炭の自然発熱、ホッパ20の閉塞も発生し難い。
【0038】
本実施形態の屋内貯炭設備1では、図2に示すように間隔を設けてホッパ20(20a、20b)の上面を塞ぐように鉄板50を設置することができるので、貯炭山100から石炭の落とし込みを行うホッパ20までの距離を短くすることができ効率的である。また図2に示すようにA系ホッパ20aとB系ホッパ20bとでホッパ20a、20bの上面を塞ぐ鉄板50の長さを変えることで石炭を少しづつホッパ20内に落とし込むことができる。これにより混炭の調整も容易に行える。
【0039】
また本実施形態の屋内貯炭設備1では、ホッパ20の上面を塞ぐ鉄板50を移動させることが可能なため、鉄板50の位置を適宜移動させることで場内に2炭種以上の石炭を貯炭することができる。
【0040】
以上のように構成される本実施形態の屋内貯炭設備1は、ホッパ20の上面を塞ぐ閉塞手段及び閉塞手段の移動を容易ならしめる移動補助手段を除けば、基本的に従来の屋内貯炭設備と同じ構成からなる。よって本発明に係る屋内貯炭設備は、既設の屋内貯炭設備に容易に適用することができる。
【0041】
以上、第1実施形態の屋内貯炭設備を用いて本発明に係る屋内貯炭設備及びその運転方法を説明したが、本発明に係る屋内貯炭設備及びその運転方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。よって本発明に係る屋内貯炭設備及びその運転方法は、上記実施形態に示した建屋、ホッパの下部の構造等に限定されるものではない。また上記実施形態ではホッパが2系統であったが、ホッパは1系列であっても、3系列以上であってもよい。また上記実施形態では、閉塞手段に鉄板50を使用するが、閉塞手段は鉄板以外のものであってもよい。
【0042】
上記実施形態では、鉄板50の移動を補助する移動補助手段として空気噴出管60を使用する例を示したが、移動補助手段は、ホッパスクリーン30(30a、30b)を塞ぐよう載置された鉄板50を移動させる際に移動を容易ならしめるものであればよく、空気噴出管60に代えて、ローラーコンベアを設置してもよい。鉄板50をローラーコンベアの上に載置することで鉄板の移動が容易となる。
【0043】
また移動補助手段は、鉄板50の底面にキャスターを設ける方法であってもよい。さらに図5に示すように鉄板50の上面51にフォークリフトの爪が嵌り込むような治具55を設けてもよい。治具55は、鉄板50に対して図示を省略したボルトで取り外し可能に固定されている。このように治具55を設けることで鉄板50の移動が容易となる。他の治具としては、ワイヤを取り付けるための治具などがある。
【0044】
図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0045】
1 屋内貯炭設備
5 貯炭場、屋内貯炭場
10 建屋
11 床面
13 側壁
20、20a、20b ホッパ
23a、23b 排出口
30、30a、30b ホッパスクリーン
40、40a、40b 払出コンベア
50 鉄板
55 治具
60 空気噴出管
70 石炭受入コンベア
100 貯炭山(パイル)
図1
図2
図3
図4
図5