(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】テープカセット
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20230928BHJP
B41J 17/32 20060101ALI20230928BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J17/32 A
B41J3/36 T
(21)【出願番号】P 2019120654
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 有希
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241089(JP,A)
【文献】特開2013-170023(JP,A)
【文献】特開2001-010732(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047154(WO,A1)
【文献】特開2006-213010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01-3/54
B41J 3/62
B41J 15/00-17/42
B41J 27/00-27/22
B41J 31/00-35/38
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 23/00-23/16
B65H 23/24-23/34
B65H 27/00
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを搬送する搬送ローラ及びカセットホルダを備えたプリンタの、前記カセットホルダに装着可能なテープカセットであって、
第1方向に延びる軸心まわりに前記テープが巻かれたテープロールと、
前記テープロールを収納するケースと、
前記ケースに設けられ、前記カセットホルダに装着されたときに、前記テープロールから繰り出され、前記第1方向と直交する第2方向に搬送される前記テープを、前記搬送ローラとともに挟持する挟持部材と、
を有し、
前記挟持部材は、
前記テープのうち前記第1方向の一端部に対向する第1領域と、
前記テープのうち前記第1方向の他端部に対向する第2領域と、
前記第1方向において、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域と、
を有し、
前記第3領域の、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に
沿った、
所定の基準面から
前記搬送ローラ側へ向かう方向の高さは、前記第1領域及び前記第2領域の
、前記第3方向に沿った、前記基準面から
前記搬送ローラ側へ向かう方向の高さよりも高い
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項2】
請求項1記載のテープカセットにおいて、
前記第3領域の前記第3方向の寸法は、前記テープの前記第3方向の寸法よりも大きい
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項3】
テープを搬送する搬送ローラ及びカセットホルダを備えたプリンタの、前記カセットホルダに装着可能なテープカセットであって、
第1方向に延びる軸心まわりに前記テープが巻かれたテープロールと、
前記テープロールを収納するケースと、
前記ケースに設けられ、前記カセットホルダに装着されたときに、前記テープロールから繰り出され、前記第1方向と直交する第2方向に搬送される前記テープを、前記搬送ローラとともに挟持する挟持部材と、
を有し、
前記挟持部材は、
前記テープのうち前記第1方向の一端部に対向する第1領域と、
前記テープのうち前記第1方向の他端部に対向する第2領域と、
前記第1方向において、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域と、
を有し、
前記第3領域は、前記テープと接触し、
前記第1領域及び前記第2領域は、それぞれ前記テープと接触しない
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記テープの前記一端部及び前記他端部は、
前記テープカセットのいずれの部分にも接触しない
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項5】
テープを搬送する搬送ローラ及びカセットホルダを備えたプリンタの、前記カセットホルダに装着可能なテープカセットであって、
第1方向に延びる軸心まわりに前記テープが巻かれたテープロールと、
前記テープロールを収納するケースと、
前記ケースに設けられ、前記カセットホルダに装着されたときに、前記テープロールから繰り出され、前記第1方向と直交する第2方向に搬送される前記テープを、前記搬送ローラとともに挟持する挟持部材と、
を有し、
前記挟持部材は、
前記テープのうち前記第1方向の一端部及び他端部には接触しない
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記第3領域は、
前記テープのうち、少なくとも前記第1方向の中心に接触する
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記第3領域は、
前記テープのうち、前記第1方向の中心には接触しない
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項8】
請求項1~4,6,7のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記第3領域は、
前記挟持部材に複数備えられている
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項9】
請求項1~4,6~8のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記挟持部材は、
前記ケースに対し回転可能に支持されたローラである
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項10】
請求項9記載のテープカセットにおいて、
前記ローラは、
回転軸を備えた直円筒形状のローラ本体を備えており、
前記第3領域は、
前記ローラ本体の周面に、周方向位置の変化に応じて前記第1方向の寸法が変化する形状で設けられている
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項11】
請求項9記載のテープカセットにおいて、
前記ローラは、
回転軸方向の一方側端部及び他方側端部の直径が前記回転軸方向の中央側部分の直径よりも小さい、太鼓形状のローラ本体を備えている
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項12】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記挟持部材は、
前記ケースに対し固定された固定部材である
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項13】
請求項1~4,6~11のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記ケースは、
前記テープの搬送経路に沿った最下流側の端部に設けられ、搬送された前記テープを前記ケースの外部に排出する排出口と、
前記搬送経路に沿って前記排出口よりも上流側に設けられ、搬送される前記テープを外部に露出させる開口部と、
を有し、
前記挟持部材は、
前記排出口と前記開口部との間に設けられている
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項14】
請求項13記載のテープカセットにおいて、
前記搬送されたテープを挿通させてガイドするガイド部材をさらに有し、
前記ガイド部材は、
挿通させる前記テープに臨む端部が、前記挟持部材の前記第3領域に干渉しない位置に、設けられている
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記テープは、
布地テープであることを特徴とするテープカセット。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記テープは、
感熱性の孔版原紙により構成されている
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載のテープカセットにおいて、
前記挟持部材は、
駆動軸による片持ち構造の前記搬送ローラとともに前記テープを挟持する
ことを特徴とするテープカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに装着可能なテープカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタに装着されるテープカセットが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術においては、プリンタ(テープ印字装置)のカセットホルダ(カートリッジ装着部)に、テープカセット(テープカートリッジ)が装着される。テープカセットは、テープ(織物テープ)を巻回したテープロールと、テープロールを収納するケースと、を備えている。
【0003】
プリンタは、テープを搬送する搬送ローラ(可動搬送ローラ)を備えている。カセットホルダにテープカセットが装着されると、テープカセット内のテープロールから繰り出されたテープが上記搬送ローラの駆動力によって下流側へと搬送される。搬送されるテープは、サーマルヘッドで加熱されることによって印字が形成された後、上記ケースに設けられた挟持部材(テープ駆動ローラ)と上記搬送ローラとの間で挟まれつつ、さらに下流側へと搬送され、ケース外へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術においては、テープカセットから供給されるテープが上記のように挟持部材と搬送ローラとの間に挟まれ、さらに下流側に搬送される。その際、プリンタ側に設けられる上記搬送ローラの軸心が、例えばプリンタ製造時における組付け誤差等によって、上記テープのテープ面に対し若干傾いている場合があり得る。その場合、上記のようにして挟まれつつ搬送されるテープに対し作用する搬送ローラからの押圧力が一様とならないため、テープにおいてテープ幅方向に圧力差が生じる。その結果、テープに対する搬送力が不均一となって搬送が不安定となり、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制するのが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、プリンタの搬送ローラの軸心が組付け誤差等によって傾いていた場合であっても、搬送の安定化を図れるテープカセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、テープを搬送する搬送ローラ及びカセットホルダを備えたプリンタの、前記カセットホルダに装着可能なテープカセットであって、第1方向に延びる軸心まわりに前記テープが巻かれたテープロールと、前記テープロールを収納するケースと、前記ケースに設けられ、前記カセットホルダに装着されたときに、前記テープロールから繰り出され、前記第1方向と直交する第2方向に搬送される前記テープを、前記搬送ローラとともに挟持する挟持部材と、を有し、前記挟持部材は、前記テープのうち前記第1方向の一端部に対向する第1領域と、前記テープのうち前記第1方向の他端部に対向する第2領域と、前記第1方向において、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域と、を有し、前記第3領域の、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向における、前記第3方向と直交する基準面からの高さは、前記第1領域及び前記第2領域の前記基準面からの高さよりも高いことを特徴とする。
【0008】
挟持部材が上記の構成を有することにより、プリンタの搬送ローラとの間でテープを挟持したとき、挟持部材が全体的に均一に強くテープに接触するのではなく、挟持部材のうちの特に第3領域が強くテープに接触する。このように、挟持部材のうちテープに対し強く接触する領域が限定されることにより、プリンタの搬送ローラの軸心が組付け誤差等によりテープ面に対し若干傾いていたとしても、挟持されるテープにおいて第1方向(言い換えればテープ幅方向)に圧力差が生じるのを低減することができる。この結果、搬送力が不均一となるのを抑制し、安定した搬送を行うことができる。この結果、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制することができる。
【0009】
また上記目的を達成するために、テープを搬送する搬送ローラ及びカセットホルダを備えたプリンタの、前記カセットホルダに装着可能なテープカセットであって、第1方向に延びる軸心まわりに前記テープが巻かれたテープロールと、前記テープロールを収納するケースと、前記ケースに設けられ、前記カセットホルダに装着されたときに、前記テープロールから繰り出され、前記第1方向と直交する第2方向に搬送される前記テープを、前記搬送ローラとともに挟持する挟持部材と、を有し、前記挟持部材は、前記テープのうち前記第1方向の一端部に対向する第1領域と、前記テープのうち前記第1方向の他端部に対向する第2領域と、前記第1方向において、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域と、を有し、前記第3領域は、前記テープと接触し、前記第1領域及び前記第2領域は、それぞれ前記テープと接触しないことを特徴とする。
【0010】
挟持部材が上記の構成を有することにより、プリンタの搬送ローラとの間でテープを挟持したとき、挟持部材全体がテープに接触するのではなく、挟持部材のうちの第3領域のみがテープに接触する。このように、挟持部材のうちテープに対し接触する領域が限定されることにより、プリンタの搬送ローラの軸心が組付け誤差によりテープ面に対し若干傾いていたとしても、挟持されるテープにおいて第1方向(言い換えればテープ幅方向)に圧力差が生じるのを低減することができる。この結果、搬送力が不均一となるのを抑制し、安定した搬送を行うことができる。この結果、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制することができる。
【0011】
また上記目的を達成するために、本願発明は、テープを搬送する搬送ローラ及びカセットホルダを備えたプリンタの、前記カセットホルダに装着可能なテープカセットであって、第1方向に延びる軸心まわりに前記テープが巻かれたテープロールと、前記テープロールを収納するケースと、前記ケースに設けられ、前記カセットホルダに装着されたときに、前記テープロールから繰り出され、前記第1方向と直交する第2方向に搬送される前記テープを、前記搬送ローラとともに挟持する挟持部材と、を有し、前記挟持部材は、前記テープのうち前記第1方向の一端部及び他端部には接触しないことを特徴とする。
【0012】
挟持部材が上記の構成を有することにより、プリンタの搬送ローラとの間でテープを挟持したとき、挟持部材は、テープ全体に接触するのではなく、テープのうちの第1方向の一端部及び他端部以外の領域にのみ接触する。このように、テープのうち挟持部材に接触される領域が限定されることにより、プリンタの搬送ローラの軸心が組付け誤差によりテープ面に対し若干傾いていたとしても、挟持されるテープにおいて第1方向(言い換えればテープ幅方向)に圧力差が生じるのを低減することができる。この結果、搬送力が不均一となるのを抑制し、安定した搬送を行うことができる。この結果、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プリンタの搬送ローラの軸心が組付け誤差等によって傾いていた場合であっても、搬送の安定化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態のテープカートリッジが装着されるテープ印字装置を、カバーが開いた状態で表す斜視図である。
【
図2】テープカートリッジ及び当該テープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部を表す斜視図である。
【
図4】カートリッジ筐体の上面を取り外した状態でテープカートリッジの内部構造を示す、平面図である。
【
図5】織物テープの被印字面の一部分を表す概念的上面図、及び、
図5(a)中のX-X′断面による概念的横断面図である。
【
図6】テープカートリッジの外観詳細構造を表す、前方からの斜視図、側面図、及び右前方からの斜視図である。
【
図7】テープ駆動ローラの外観詳細構造を表す、側面図、斜視図、及び上面図である。
【
図8】テープ駆動ローラの突起部に織物テープが接触している状態を表す説明図である。
【
図9】突起部を複数個所設ける変形例におけるテープ駆動ローラの外観詳細構造を表す、側面図、斜視図、及び上面図である。
【
図10】突起部をテープ中心よりずらして設ける変形例におけるテープ駆動ローラの外観詳細構造を表す、側面図、斜視図、及び上面図である。
【
図11】ローラ本体を太鼓形状とした変形例におけるテープ駆動ローラの外観詳細構造を表す、側面図、斜視図、及び上面図である。
【
図12】突起部の幅寸法が周方向に変化する変形例におけるテープ駆動ローラの外観詳細構造を表す、側面図及び斜視図である。
【
図13】挟持部材として固定部材を用いる変形例におけるテープカートリッジの外観詳細構造を表す、前方からの斜視図、側面図、及び右前方からの斜視図である。
【
図15】テープ挟持板の詳細構造を表す外観図である。
【
図16】固定部材の第1領域及び第2領域を省略した変形例における、テープ挟持板の詳細構造を表す外観図である。
【
図17】孔版原紙を用いる変形例における孔版原紙テープの層構造を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、
図1の左下側を前側とし、
図1の右上側を後側とし、
図1の右下側を右側とし、
図1の左上側を左側として説明する(各図中の矢印表示参照)。また、図示される各構成要素は、本発明の理解を助けるために縮尺が適宜変更されている場合がある。
【0016】
<テープ印字装置の概略構成>
まず、本実施形態のテープカートリッジが装着して用いられるテープ印字装置の概略構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態のテープ印字装置1(プリンタの一例に相当)は、キーボード3を配設した本体カバー2を備えている。キーボード3の後側には液晶ディスプレイ5が設けられ、液晶ディスプレイ5の後側には、開閉可能なカバー6が設けられている。本体カバー2の内部には、テープカートリッジ30(テープカセットの一例に相当。後述の
図2等参照)を着脱自在に装着可能な凹部状のカートリッジ装着部8(カセットホルダの一例に相当)が設けられている。
【0017】
本体カバー2の左側面後方には、後述する印字済の織物テープ153を外部に排出する排出スリット9が設けられている。カバー6の左側面には排出窓11が設けられ、カバー6の前面略中央には係止ロック4が設けられている。カバー6が閉じられると係止ロック4が本体カバー2に設けたロック孔7に嵌め込まれて係止される。
【0018】
<内部構造>
次に、本体カバー2の内部構造について、
図2、
図3、及び
図4を用いて説明する。これら
図2~
図4に示すように、上記カートリッジ装着部8は、テープカートリッジ30に備えられたカートリッジ筐体31(ケースの一例に相当)の筐体底面31A側から挿入され装着された当該テープカートリッジ30を下方から支持する。
【0019】
<テープカートリッジ詳細>
テープカートリッジ30は、上下方向端部に筐体上面31C及び上記筐体底面31Aをそれぞれ備えると共に、上下方向に直交する水平方向端部に筐体側面31Bを備える、略箱形である上記カートリッジ筐体31を有している。筐体側面31Bのうち特定の筐体側面31Ba(言い換えれば印字済みの織物テープ153の搬送経路に沿った最下流側の端部)には、テープ幅方向が上下方向に沿うように搬送された、後述する印字済みの織物テープ153をカートリッジ筐体31外へ排出するためのテープ排出口49a(排出口の一例に相当)が設けられている。
【0020】
そして、カートリッジ筐体31内の後部左側には、布媒体により構成された織物テープ153(布地テープの一例に相当。詳細構造は後述)を巻回したテープスプール40が、支持孔65(
図3参照)を介して回転可能に配置されている。なお、テープスプール40とそのテープスプール40に巻回された織物テープ153とにより、テープロール206が構成されている。この結果、テープロール206の軸心(言い換えればテープスプール40の軸心)Kは、上下方向(第1方向の一例に相当。
図4の紙面に向かって垂直な方向)に伸びている。また、カートリッジ筐体31内の前部右側には、インクリボン60を巻回したリボンスプール42が回転可能に配置されている。なお、リボンスプール42とそのリボンスプール42に巻回されたインクリボン60とにより、リボンロール306が構成されている。
【0021】
カートリッジ筐体31内におけるテープスプール40とリボンスプール42との間には、リボンスプール42からインクリボン60を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン60を巻き取るリボン巻取スプール44が、支持孔67(
図3参照)を介して回転可能に配置されている。
【0022】
テープカートリッジ30の前面右側には、テープカートリッジ30の前方にやや延びるとともに中央に向かって直角に折り返されたアーム部34が設けられている。アーム部34内には、テープロール206から繰り出され曲がり部b1,b2(
図4参照)を経て搬送された織物テープ153と、リボンロール306から繰り出されガイドローラgを経て搬送されたインクリボン60とが共に案内されている。そして、アーム部34の内面とテープカートリッジ30の前面とに囲まれる隙間が、テープ印字装置1のサーマルヘッド10を搭載したヘッドホルダ74が嵌るためのヘッド装着部39となっている。さらに、アーム部34の先端には、織物テープ153とインクリボン60とを近接した状態(又は重ね合わせた状態。
図4参照)でヘッド装着部39に導出するテープ導出部34aが、ヘッド装着部39に臨むように設けられている。
【0023】
また、アーム部34のテープ導出部34aからテープ排出口49aまでの織物テープ153及びインクリボン60の搬送方向において、ヘッド装着部39の下流側には支持孔が設けられ、この支持孔の内側にテープ駆動ローラ46(挟持部材の一例に相当)が回転可能に軸支されている。テープ駆動ローラ46は、カートリッジ装着部8において対向するように設けた可動搬送ローラ21(搬送ローラの一例に相当)との間に、左右方向(第2方向の一例に相当)に搬送される織物テープ153を挟み込みつつ、可動搬送ローラ21との協働により、テープスプール40から織物テープ153を繰り出させ、搬送する。言い換えれば、テープ駆動ローラ46は、テープ排出口49aと、後述する挿入用凹部DBとの間に設けられている。なお、構造の明確化のために、
図6(a)~(c)においては、規制部材36よりも搬送方向下流側(左方側)の織物テープ153の図示を省略している(後述の
図13(a)~(c)等も同様)。
【0024】
テープ駆動ローラ46の上流側には、上下一対の規制部材36(ガイド部材の一例に相当)が設けられている。規制部材36は、サーマルヘッド10の下流側にて文字が印字された織物テープ153を挿通させつつ幅方向に規制してテープ排出口49aに向かってガイドする。なお、この規制部材36は、挿通させる織物テープ153側に臨む端部が、テープ駆動ローラ46の後述の第3領域46Cに干渉しない位置に、設けられている。
【0025】
規制部材36の近傍には、上記ヘッド装着部39を経由して搬送された使用済みのインクリボン60を織物テープ153から離間させ、リボン巻取スプール44に向かって案内するための案内壁38が立設されている。案内壁38とリボン巻取スプール44との間には、案内壁38に沿って案内される使用済みのインクリボン60が、テープスプール40に巻回されている織物テープ153に接触するのを抑制するための分離壁48が立設されている。
【0026】
また、テープカートリッジ30は、織物テープ153の搬送経路に沿ってテープ排出口49aの上流側に接触処理用凹部Dを備えている。この接触処理用凹部Dによって、織物テープ153に対する搬送及び印字を行うための処理空間が与えられる。すなわち、この接触処理用凹部Dは、上記可動搬送ローラ21が上記テープ駆動ローラ46側へ当接して搬送を行うための当接用凹部DAと、当接用凹部DAよりもさらに上記上流側に設けられ、サーマルヘッド10が挿入される挿入用凹部DB(開口部の一例に相当)とから構成される。
【0027】
このとき、テープカートリッジ30は、テープ挿通部49を備えている。テープ挿通部49の上記搬送経路に沿った下流側に上記テープ排出口49aが設けられ、搬送経路に沿った上流側には上記当接用凹部DAに臨むテープ導入口49bが設けられている。これにより、テープ挿通部49は、テープ導入口49bから導入した織物テープ153をテープ排出口49aへと挿通させる。一方、上記アーム部34のうち挿入用凹部DBに臨む部位には上記テープ導出部34aが設けられ、テープロール206から繰り出された織物テープ153及びリボンロール306から繰り出されたインクリボン60を、挿入用凹部DBへ導出してカートリッジ筐体31の外部に露出させる。
【0028】
また、カートリッジ筐体31は、
図2及び
図3に示すように、所定の角部(詳細には、上記テープ排出口49aが設けられていない角部)の高さ方向中間部において、平面視で直角をなすように外側方向に共通部32が突出している。そして、カートリッジ装着部8は、
図2及び前述の
図1に示すように、平面視で丸みを帯びた角部を有する略長方形状の凹陥部8aを有する。凹陥部8aの上端縁部のうち、丸みを帯びた角部に隣接する平面が、装着されたテープカートリッジ30の上記共通部32を下方から支持するカートリッジ支持部8bである。すなわち、共通部32は、テープカートリッジ30がカートリッジ装着部8に装着されたときに、カートリッジ支持部8bによって下方から支持される。その際、例えば、上記サーマルヘッド10の発熱部分の中央部が、テープカートリッジ30から供給され搬送される織物テープ153のテープ幅方向中心と略一致するように、共通部32及びカートリッジ支持部8bの寸法関係が予め設定されている。
なお、テープカートリッジ30は、互いに異なるテープ幅の織物テープ153をそれぞれ収納している複数種類が用意されており、どの種類のテープカートリッジ30もカートリッジ装着部8に装着することができる。その際、どの種類のテープカートリッジ30を装着した場合も、前述のようにサーマルヘッド10の発熱部分の中央部が織物テープ153のテープ幅方向中心と略一致するように、各テープカートリッジ30の共通部32及びその周囲構造の寸法が予め設定されている。
【0029】
<カートリッジ装着部の詳細>
一方、カートリッジ装着部8には、
図2に示すように、発熱体(図示せず)を備える上記サーマルヘッド10を搭載したヘッドホルダ74と、リボン巻取軸95と、テープ駆動軸100(
図2参照)とが設けられている。このとき、カートリッジ装着部8の外側には、適宜のテープ送りモータ(図示せず)が配設されている。そして、このテープ送りモータの駆動軸が、複数のギヤを備えた図示しないギヤ機構を介し、上記リボン巻取り軸95と上記テープ駆動軸100(
図2参照)とに作動連結されている。リボン巻取り軸95は、テープカートリッジ30がカートリッジ装着部8に装着されたとき、テープカートリッジ30に備えられた上記リボン巻取スプール44の内部に挿入され、当該リボン巻取スプール44の回転駆動を行う。テープ駆動軸100は、テープカートリッジ30がカートリッジ装着部8に装着されたとき、テープカートリッジ30に備えられた上記テープ駆動ローラ46の内部に挿入され、当該テープ駆動ローラ46の回転駆動を行う。
【0030】
また、カートリッジ装着部8は、ローラホルダ22を有している。ローラホルダ22は、図示しない支持軸により回動可能に支持されており、適宜の切換機構の操作によって回動し印字位置とリリース位置に切換可能となっている。このローラホルダ22には、プラテンローラ20及び上記可動搬送ローラ21が回転可能に配設されている。このとき特に、これらプラテンローラ20及び可動搬送ローラ21は、ローラホルダ22の下側部分から立設された駆動軸(図示省略)による片持ち構造となっている。そして、ローラホルダ22が上記印字位置(
図2に示す位置)に切り換えられたときに、それらプラテンローラ20及び可動搬送ローラ21が上記サーマルヘッド10及びテープ駆動ローラ46に対し押圧される。
【0031】
なお、テープカートリッジ30のテープ排出口49aから上記排出スリット9までの間の搬送経路、すなわち織物テープ153が搬送される搬送経路には、印字済の織物テープ153を所定位置で切断して印字テープとする図示しないカット機構が設けられている。
【0032】
<織物テープのサテン織り構造>
次に、上記織物テープ153について説明する。織物テープ153は、縦糸(テープ長手方向に延びる)と横糸(テープ幅方向に延びる)を織り上げることにより構成されている。この例では、織物テープ153は、上記縦糸と上記横糸とが表面への縦糸の露出が多くなるサテン織りとなっている。そして、織物テープ153の厚さ方向両側のうち一方側において、縦糸の露出が横糸の露出よりも多くなっており、その一方側の媒体表面が、被印字面153a(
図4参照)となっている。
【0033】
本実施形態における織物テープ153の上記サテン織りの詳細を表す概念図を
図5(a)及び
図5(b)に示す。
図5(a)は被印字面153aの一部分を表す概念的上面図であり、
図5(b)は
図5(a)中のX-X′断面による概念的横断面図である。
【0034】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態の織物テープ153は、いわゆる7枚サテンのサテン織りとなっている。上記被印字面153aのうち、例えば
図5(a)に示す領域では、8本の縦糸(1)~(8)と7本の横糸(1)~(7)とが交叉する織り構成となっている。また、本実施形態の上記織物テープ153では、印字品質向上を目的として、被印字面153a側に、公知のキャレンダー処理が施されている。そして、上記テープロール206は、織物テープ153を、(被印字面153aが内周側となるように)上記テープスプール40に巻回したものを用いる。
【0035】
<テープ印字装置の動作>
【0036】
上記構成において、テープカートリッジ30が上記カートリッジ装着部8に装着された後、テープ送りモータの駆動力によってリボン巻取り軸95及びテープ駆動軸100がそれぞれ同期して回転駆動される。テープ駆動軸100の駆動に伴いテープ駆動ローラ46、プラテンローラ20、及び可動搬送ローラ21が回転し、テープロール206から織物テープ153が繰り出され、上述のように搬送される。このとき、サーマルヘッド10の上記発熱体に設けられた複数の発熱素子が発熱駆動され、インクリボン60が、上記サーマルヘッド10に押圧されることで当該織物テープ153の印字面153aに接触させられる。この結果、印字面153aに、所望の印字が行われる。そして、印字済の織物テープ153は、上記カット機構の切断位置まで搬送されて切断され、上記テープ排出口49aよりテープカートリッジ30外へと搬出される。
【0037】
<本実施形態の特徴>
上記基本構成及び動作の本実施形態において、最も大きな特徴は、テープカートリッジ30内に設けられたテープ駆動ローラ46の構造にある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0038】
<可動搬送ローラの傾き>
上記のように、本実施形態のテープ印字装置1では、テープカートリッジ30から供給される織物テープ153がテープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ21との間に挟まれ、さらに下流側に搬送される。その際、テープ印字装置1のローラホルダ22に設けられる上記可動搬送ローラ21の軸心が、例えばテープ印字装置1の製造時における組付け誤差等によって、上記織物テープ15のテープ面に対し若干傾いている場合があり得る。その場合、上記のようにして挟まれつつ搬送される織物テープ153に対し作用する可動搬送ローラ21からの押圧力が一様とならないため、織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じる。その結果、織物テープ153に対する搬送力が不均一となって搬送が不安定となり、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制するのが困難となる。
【0039】
<テープ駆動ローラの突起>
本実施形態では、上記に対応するために、上記テープ駆動ローラ46の外周部に突起形状が備えられている。
図6(a)~(c)、
図7(a)~(c)、及び、
図8に示すように、テープ駆動ローラ46は、回転軸kを備えた直円筒形状のローラ本体46aと、ローラ本体46aの周面に設けられた突起部46bと、を有している。この例では、突起部46bは回転軸kの軸方向(言い替えれば前述の上下方向)の中央部に1か所のみ設けられており、これによって、テープ駆動ローラ46は、第1領域46A、第2領域46B、第3領域46Cの3つの領域に区分されている。
【0040】
第1領域46Aは、織物テープ153のうち上端部153A(第1方向の一端部の一例に相当)に対向し、第2領域46Bは、織物テープ153のうち下端部153B(第1方向の他端部の一例に相当)に対向する。また、第3領域46Cは、上下方向において第1領域46Aと第2領域46Bの間に位置する領域であり、織物テープ153のうち上記上端部153Aと上記下端部153Bとの間の中央部153Cに対向する。
【0041】
そしてこのとき、ローラ本体46aから突出する突起部46bによって、
図7(c)に示すように、上記第3領域46Cは、所定の基準面REからの径方向(第3方向の一例に相当)における高さHが、第1領域46A及び第2領域46Bの、基準面REからの径方向における高さhよりも、大きくなっている。なお、この例では、上記基準面REは上記ローラ本体46aの外周面と同一の面であり、この結果、前述の高さh≒0となっている。
【0042】
また、上記のような第3領域46Cが他よりも突出した構造により、
図7(a)に示すように、テープ駆動ローラ46のうち、第3領域46Cのみが織物テープ153と接触し、特に、第3領域46Cは、織物テープ153のうち少なくとも上下方向(テープ幅方向)の中心Cに接触する。さらに、
図8に示すように、第3領域46Cの径方向(言い換えればテープ厚み方向。上記第3方向に相当)の寸法toは、織物テープ153の当該径方向(テープ厚み方向)の寸法tよりも大きくなっている。また、第1領域46A及び第2領域46Bは織物テープ153に接触せず、さらに織物テープ153の上端部153A及び下端部153Bはテープカートリッジ30のいずれの部位にも接触しない。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、挟持部材の一例であるテープ駆動ローラ46において、第3領域46Cの基準面REからの径方向高さHが、第1領域46A及び第2領域46Bの基準面REからの径方向高さhよりも、大きくなっている。これにより、テープ駆動ローラ46とテープ印字装置1の可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持したとき、テープ駆動ローラ46が全体的に均一に強く織物テープ153に接触するのではなく、テープ駆動ローラ46のうちの特に第3領域46Cが強く織物テープ153に接触する。
【0044】
このように、テープ駆動ローラ46のうち織物テープ153に対し強く接触する領域が限定されることにより、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21の軸心が組付け誤差等により織物テープ153のテープ面に対し若干傾いていたとしても、挟持される織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。この結果、搬送力が不均一となるのを抑制し、安定した搬送を行うことができるので、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では特に、テープ駆動ローラ46の第3領域46Cの径方向の寸法toが、織物テープ153の当該径方向の寸法tよりも大きい。これにより、織物テープ153が、テープ駆動ローラ46のうちの第3領域46C以外の第1領域46A及び第2領域46Bに対し接触しにくくすることができる。
【0046】
また、本実施形態では特に、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持したとき、テープ駆動ローラ46全体が織物テープ153に接触するのではなく、第3領域46Cのみが織物テープ153に接触する。このように、テープ駆動ローラ46のうち織物テープ153に対し接触する領域が限定されることにより、上記圧力差が生じるのを低減でき、搬送力が不均一となるのを抑制し、搬送詰まり等の発生を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では特に、織物テープ153の上端部153A及び下端部153Bはテープカートリッジ30のいずれの部分からも接触されず、それらの間の中央部153Cのみがテープ駆動ローラ46の第3領域46Cに接触される。これにより、テープカートリッジ30側から織物テープ153に接触する部分がテープ駆動ローラ46の第3領域46Cに限定されることで、織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。
【0048】
また、本実施形態では特に、テープ駆動ローラ46の第3領域46Cは、織物テープ153のうち、少なくともテープ幅の中心Cに接触する。このように、テープ駆動ローラ46の第3領域46Cが織物テープ153の幅方向の中心Cを含む領域に接触することで、織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。
【0049】
また、本実施形態では特に、挟持部材の一例として、カートリッジ筐体31に対し回転可能に支持されたテープ駆動ローラ46が設けられている。これにより、可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持しつつ、織物テープ153を円滑に搬送方向下流側へ送ることができる。
【0050】
また、本実施形態では特に、テープ駆動ローラ46は、テープ排出口49aと挿入用凹部DBとの間に設けられている。これにより、カートリッジ筐体31に収納されている織物テープ153が挿入用凹部DB→テープ駆動ローラ46→テープ排出口49aの順の搬送経路で搬送される際に、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ21との間で確実に織物テープ153を挟持し搬送することができる。
【0051】
また、本実施形態では特に、テープとして、織物テープ153が用いられる。これには以下のような意義がある。すなわち、布は剛性が小さく伸びやすいため、織物テープ153を搬送する際には変形や座屈が特に生じやすい。本実施形態においては、このような特性を備えた織物テープ153を有するテープカートリッジ30においても、前述の構成によりテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減し、斜行を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では特に、可動搬送ローラ21は、ローラホルダ22の下側部分から立設された駆動軸による片持ち構造となっている。これには以下のような意義がある。すなわち、可動搬送ローラ21が駆動軸による片持ち構造で支持されている場合、前述した組付け誤差による傾きが特に生じやすい。本実施形態においては、このような特性を備えたテープ印字装置1に対しテープカートリッジ30が装着される場合であっても、前述の構成によりテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減し、斜行を抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0054】
(1)突起部を複数個所設ける場合
本変形例では、テープ駆動ローラ46のローラ本体46aの周面の複数個所に突起部が設けられている。すなわち、この例では、
図9(a)~(c)に示すように、回転軸kの軸方向(上下方向)の中央部と、中央部の上側1箇所と、中央部の下側1箇所と、の合計3箇所に突起部46bが設けられている。これによって、テープ駆動ローラ46は、第1領域46Aと、第2領域46Bと、第3領域46C1~C3と、第4領域46D1,D2と、の4つの領域に大別されている。
【0055】
第1領域46Aは、上記実施形態と同様、織物テープ153のうち上端部に対向し、第2領域46Bは織物テープ153のうち下端部に対向する。また、第3領域46C1~C3及び第4領域D1,D2は、上下方向において第1領域46Aと第2領域46Bの間に位置する領域であり、織物テープ153のうち上記上端部と上記下端部との間の中間部に対向する。上記の3箇所の突起部46bによって第3領域46C1~C3は複数個所(この例では3箇所)に設けられている。第3領域46C2が3つの突起部46bのうち上下方向中央の突起部46bに対応しており、その中央の突起部46bの上側の突起部46bに対応する領域が第3領域46C1であり、上記中央の突起部46bの下側の突起部46bに対応する領域が第3領域46C3である。また第3領域C1と第3領域C2との間の領域が上記第4領域D1であり、第3領域C2と第3領域C3との間の領域が上記第4領域D2となっている。
【0056】
なお、上記実施形態と同様、
図9(c)に示すように、上記第3領域46C1~C3は、所定の基準面REからの径方向における高さHが、第1領域46A、第2領域46B、第4領域46D1,D2の、基準面REからの径方向における高さhよりも、大きくなっている。
また、上記実施形態と同様、テープ駆動ローラ46のうち第3領域46C1,46C2,46C3のみが織物テープ153と接触し、特に、第3領域46C2は、織物テープ153のうち少なくとも上下方向(テープ幅方向)の中心Cに接触する。さらに、図示を省略するが、第3領域46C1,46C2,46C3の径方向(テープ厚み方向)の寸法は、織物テープ153の当該径方向(テープ厚み方向)の寸法よりも大きく、第1領域46A、第2領域46B、第4領域46D1,D2は織物テープ153に接触せず、さらには織物テープ153のうち上端部及び下端部はテープカートリッジ30のいずれの部位にも接触しない。
【0057】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。特に、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持したとき、テープ駆動ローラ46全体がテープに接触するのではなく、第3領域46C1,46C2,46C3のみがテープに接触する。このように、テープ駆動ローラ46のうち織物テープ153に対し接触する領域が限定されることにより、上記圧力差が生じるのを低減でき、搬送力が不均一となるのを抑制し、搬送詰まり等の発生を抑制することができる。
【0058】
また、本変形例では特に、複数(この例では3つ)の第3領域46C1,46C2,46C3がテープ駆動ローラ46に備えられている。これにより、これら複数の第3領域46C1,46C2,46C3が、押圧力を分散させつつ複数個所(この例では3箇所)で織物テープ153に接触し、テープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。
【0059】
(2)突起部をテープ中心よりずらして設ける場合
本変形例では、上記実施形態と同様、テープ駆動ローラ46のローラ本体46aの周面の1個所にのみ突起部が設けられる。但し、この例では、
図10(a)~(c)に示すように、回転軸kの軸方向(上下方向)の中央部よりやや下側にずれた位置に、突起部46bが設けられている。これにより、テープ駆動ローラ46は、上記実施形態と同様、第1領域46Aと、第2領域46Bと、第3領域46Cと、の3つの領域に区分される。
【0060】
第1領域46Aは、上記実施形態と同様、織物テープ153のうち上端部に対向する(但しこの例では織物テープ153の上端部よりさらに下方の、上下方向中央部付近まで対向する)。第2領域46Bは織物テープ153のうち下端部に対向する。
第3領域46Cは、上下方向において第1領域46Aと第2領域46Bの間に位置する領域であり、織物テープ153のうち上記上端部と上記下端部との間の中間部に対向する。但しこの場合、第3領域46Cは、織物テープ153のうちテープ幅方向の中心Cには接触せず、テープ幅方向の中心Cからずれた領域に接触する。
【0061】
なお、上記実施形態と同様、
図10(c)に示すように、上記第3領域46Cは、所定の基準面REからの径方向における高さHが、第1領域46A及び第2領域46Bの、基準面REからの径方向における高さhよりも、大きくなっている。また、上記実施形態と同様、テープ駆動ローラ46のうち第3領域46Cのみが織物テープ153と接触する。さらに、図示を省略するが、第3領域46Cの径方向(テープ厚み方向)の寸法は、織物テープ153の当該径方向(テープ厚み方向)の寸法よりも大きく、第1領域46A、第2領域46Bは織物テープ153に接触せず、さらには織物テープ153の上端部と下端部とはテープカートリッジ30のいずれの部位にも接触しない。
【0062】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0063】
(3)ローラ本体を太鼓形状とした場合
本変形例では、上記実施形態や変形例(1)(2)のような突起部46bをローラ本体46aに設けず、ローラ本体46a自体の形状が太鼓状に形成される。すなわち、
図11(a)~(c)に示すように、ローラ本体46aは、回転軸kの軸方向(上下方向)の一方側端部(図示上端部)の直径Da及び他方側端部(図示下端部)の直径Dbが、上記軸方向の中央側部分の直径Dcよりも小さい太鼓形状(ビヤ樽形状)となっている。この場合も、上記実施形態と同様、テープ駆動ローラ46は、上記一方側端部側の第1領域46Aと、上記他方側端部側の第2領域46Bと、それら第1領域46Aと第2領域46Bとの間に位置する第3領域46C3と、の3つの領域に区分することができる。
【0064】
上記実施形態と同様、第1領域46Aは、織物テープ153のうち上端部に対向する。第2領域46Bは織物テープ153のうち下端部に対向する。第3領域46Cは、織物テープ153のうち上記上端部と上記下端部との間の中間部に対向する。また第3領域46Cは、上記実施形態と同様、織物テープ153のうちテープ幅方向の中心Cに接触する。
【0065】
なお、上記実施形態と同様、
図11(c)に示すように、上記第3領域46Cは、所定の基準面REからの径方向における高さHが、第1領域46A及び第2領域46Bの、基準面REからの径方向における高さhよりも、大きくなっている。また、上記実施形態と同様、テープ駆動ローラ46のうち第3領域46Cのみが織物テープ153と接触する。さらに、図示を省略するが、第3領域46Cの径方向(テープ厚み方向)の寸法は、織物テープ153の当該径方向(テープ厚み方向)の寸法よりも大きく、第1領域46A、第2領域46Bは織物テープ153に接触せず、さらには織物テープ153の上端部と下端部とはテープカートリッジ30のいずれの部位にも接触しない。
【0066】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
すなわち、テープ駆動ローラ46において、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持したとき、テープ駆動ローラ46が全体的に均一に強く織物テープ153に接触するのではなく、テープ駆動ローラ46のうちの特に第3領域46Cが強く織物テープ153に接触する。
このように、テープ駆動ローラ46のうち織物テープ153に対し強く接触する領域が限定されることにより、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21の軸心が組付け誤差等により織物テープ153のテープ面に対し若干傾いていたとしても、挟持される織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。この結果、搬送力が不均一となるのを抑制し、安定した搬送を行うことができる。この結果、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制することができる。
【0067】
(4)突起部の幅寸法が周方向に変化する場合
本変形例では、
図12(a)~(b)に示すような突起部46bがローラ本体46aに設けられている。すなわち、突起部46bは、周方向位置の変化に応じて上下方向の寸法が、比較的長い寸法H1になったり比較的短いH2になったり、変化する形状となっている。テープ駆動ローラ46は、この突起部46bの配置に基づき、上記実施形態と同様、第1領域46Aと、第2領域46Bと、第3領域46Cと、の3つの領域に区分される。
【0068】
第1領域46Aは、上記実施形態と同様、織物テープ153のうち上端部に対向し、第2領域46Bは織物テープ153のうち下端部に対向する。
第3領域46Cは、上下方向において第1領域46Aと第2領域46Bの間に位置する、上下方向寸法が上記H1にほぼ等しい領域であり、織物テープ153のうち上記上端部と上記下端部との間の中間部に対向する。上記実施形態同様、第3領域46Cは、織物テープ153のうちテープ幅方向の中心Cに接触する。
【0069】
なお、図示を省略しているが、上記実施形態と同様、上記第3領域46Cの、所定の基準面REからの径方向における高さ(最大高さ)が、第1領域46A及び第2領域46Bの、基準面REからの径方向における高さよりも、大きくなっている。また、上記実施形態と同様、テープ駆動ローラ46のうち第3領域46Cのみが織物テープ153と接触する。さらに、図示を省略するが、第3領域46Cの径方向(テープ厚み方向)の寸法は、織物テープ153の当該径方向(テープ厚み方向)の寸法よりも大きく、第1領域46A、第2領域46Bは織物テープ153に接触せず、さらには織物テープ153の上端部と下端部とは、テープカートリッジ30のいずれの部位にも接触しない。
【0070】
なお、突起部46bの上下方向寸法は、上記のように周方向位置に応じて大・小2段階で変化するのには限られず、3段階以上の多段に変化してもよいし、段階的ではなく滑らかに変化する構成でもよい。また、周方向位置の変化に応じて周期的(あるいは規則的)に変化する構成にも限られず、不規則に変化する構成であってもよい。
【0071】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0072】
(5)挟持部材として固定部材を用いる場合
本変形例では、実施形態及び上記変形例(1)~(4)のようなテープ駆動ローラ46に代え、
図13(a)~(c)、
図14、及び、
図15(a)~(b)に示すように、挟持部材として、カートリッジ筐体31に対し固定されるテープ挟持板146が設けられる。このテープ挟持板146は、前方側に凹面146iを備え後方側に凸面146oを備えた曲面部146aと、上記凹面146iに設けられた平面部146bと、上記凸面146oに設けられた爪部146cと、を有している。
【0073】
この例では、平面部146bはテープ挟持板146の上下方向の中央部に1か所のみ設けられており、これによって、テープ挟持板146は、第1領域146A、第2領域146B、第3領域146Cの3つの領域に区分されている。
【0074】
図13(b)に示すように、第1領域146Aは、織物テープ153のうち上端部153A(第1方向の一端部の一例に相当)に対向し、第2領域146Bは、織物テープ153のうち下端部153B(第1方向の他端部の一例に相当)に対向する。また、第3領域146Cは、上下方向において第1領域146Aと第2領域146Bの間に位置する領域であり、織物テープ153のうち上記上端部153Aと上記下端部153Bとの間の中央部153Cに対向する。
【0075】
そしてこのとき、テープ挟持板146の上記曲面部146aの凹面146iから突出する態様となる平面部146bによって、
図15(a)に示すように、上記第3領域146Cは、所定の基準面REからの径方向(第3方向の一例に相当)における高さHが、第1領域146A及び第2領域146Bの、基準面REからの径方向における高さhよりも、大きくなっている。なお、この例では、上記基準面REは上記凹面146iと同一の面であり、この結果、前述の高さh≒0となっている。
【0076】
また、上記のような第3領域146C(言い替えれば平面部146b)が凹面146iから突出した構造により、
図14に示すように、テープ挟持板146のうち、第3領域146Cのみが織物テープ153と接触し、特に、第3領域146Cは、織物テープ153のうち少なくとも上下方向(テープ幅方向)の中心Cに接触する。さらに、
図14に示すように、第3領域146Cのテープ厚み方向(上記第3方向に相当)の寸法toは、織物テープ153の当該テープ厚み方向の寸法(図中に明示せず)よりも大きくなっている。また、第1領域146A及び第2領域146Bは織物テープ153に接触せず、織物テープ153の上端部153A及び下端部153Bはテープカートリッジ30のいずれの部位にも接触しない。
【0077】
<本変形例の効果>
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
すなわち、上述したように、本変形例によれば、挟持部材の一例であるテープ挟持板146において、第3領域146Cの基準面REからの径方向高さHが、第1領域146A及び第2領域146Bの基準面REからの径方向高さhよりも、大きくなっている。これにより、テープ挟持板146とテープ印字装置1の可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持したとき、テープ挟持板146が全体的に均一に強く織物テープ153に接触するのではなく、テープ挟持板146のうちの特に第3領域146Cが強く織物テープ153に接触する。
【0078】
このように、テープ挟持板146のうち織物テープ153に対し強く接触する領域が限定されることにより、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21の軸心が組付け誤差等により織物テープ153のテープ面に対し若干傾いていたとしても、挟持される織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。この結果、搬送力が不均一となるのを抑制し、安定した搬送を行うことができる。この結果、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制することができる。
【0079】
また、本変形例では特に、テープ挟持板146の第3領域146Cの径方向の寸法toが、織物テープ153の当該径方向の寸法tよりも大きい。これにより、織物テープ153が、テープ挟持板146のうちの第3領域146C以外の第1領域146A及び第2領域146Bに対し接触しにくくすることができる。
【0080】
また、本変形例では特に、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持したとき、テープ挟持板146全体が織物テープ153に接触するのではなく、第3領域146Cのみが織物テープ153に接触する。このように、テープ挟持板146のうち織物テープ153に対し接触する領域が限定されることにより、上記圧力差が生じるのを低減でき、搬送力が不均一となるのを抑制し、搬送詰まり等の発生を抑制することができる。
【0081】
また、本変形例では特に、織物テープ153の上端部153A及び下端部153Bはテープカートリッジ30のいずれの部分からも接触されず、それらの間の中央部153Cのみがテープ挟持板146の第3領域146Cに接触される。これにより、テープカートリッジ30側から織物テープ153に接触する部分がテープ挟持板146の第3領域146Cに限定されることで、織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。
【0082】
また、本変形例では特に、テープ挟持板146の第3領域146Cは、織物テープ153のうち、少なくともテープ幅の中心Cに接触する(
図14参照)。このように、テープ挟持板146の第3領域146Cが織物テープ153の幅方向の中心Cを含む領域に接触することで、織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。
【0083】
また、本変形例では特に、挟持部材の一例として、カートリッジ筐体31に対し固定されるテープ挟持板146が設けられている。これにより、可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を安定的に挟持することができる。
【0084】
また、本変形例では特に、テープ挟持板146は、テープ排出口49aと挿入用凹部DBとの間に設けられている。これにより、カートリッジ筐体31に収納されている織物テープ153が挿入用凹部DB→テープ挟持板146→テープ排出口49aの順の搬送経路で搬送される際に、テープ挟持板146と可動搬送ローラ21との間で確実に織物テープ153を挟持し搬送することができる。
【0085】
(6)固定部材の第1領域及び第2領域を省略した場合
すなわち、本変形例では、
図16(a)~(b)に示すように、上記変形例(5)に示したテープ挟持板146のうち、第1領域146A及び第2領域146Bを省略し、第3領域146Cのみを残した構成である。この結果、本変形例のテープ挟持板146は、織物テープ153のうち上記上端部153Aと上記下端部153Bとには接触せず、中央部153Cにのみ接触する。
【0086】
本変形例によれば、テープ印字装置1の可動搬送ローラ21との間で織物テープ153を挟持したとき、テープ挟持板146は、テープ全体に接触するのではなく、織物テープ153のうちの上端部153A及び下端部153B以外の中央部153Cにのみ接触する。このように、織物テープ153のうちテープ挟持板146に接触される領域が限定されることにより、前述と同様、可動搬送ローラ21の軸心が組付け誤差等により織物テープ153のテープ面に対し若干傾いていたとしても、挟持される織物テープ153においてテープ幅方向に圧力差が生じるのを低減することができる。この結果、搬送力が不均一となるのを抑制し、安定した搬送を行うことができるので、搬送詰まり(いわゆるジャム)等の発生を抑制することができる。
【0087】
(7)孔版原紙を用いる場合
上記実施形態及び変形例(1)~(6)においては、搬送及び印刷対象のテープとして織物テープ153が用いられたが、これに限られない。すなわち、テープとして、公知の感熱性の孔版原紙により構成された孔版原紙テープを用いても良い。
【0088】
この例では、
図17に示すように、孔版原紙テープ228は、熱可塑性フィルム260と、多孔性支持体261と、熱可塑性フィルム260と多孔性支持体261とを接着する接着層262と、熱可塑性フィルム260の表面側に施した表面処理層263とからなる。本変形例では、テープカートリッジ30内での収納状態では、孔版原紙テープ228は、熱可塑性フィルム260の表面処理層263が上記サーマルヘッド10に接触するように、多孔性支持体261を外周側へ向けてテープロール206内にて巻回されている。
【0089】
熱可塑性フィルム260は、例えば、厚さ1~4μmの熱可塑性合成樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体等)製のフィルムで構成されている。多孔性支持体261は、厚さ約20~100μmの天然繊維(例えば、マニラ麻、こうぞ、みつまた等)又は合成繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル等)又は半合成繊維(例えば、レーヨン等)を主原料とした多孔性薄葉紙で構成されている。
【0090】
表面処理層263は、シリコーン樹脂等の摩擦係数の小さい材料にて構成されている。なお、図示しない別のテープスプールに巻回されて上記孔版原紙テープ228に随伴して搬送される保護テープ236は、孔版原紙テープ228より厚さが厚いもしくは腰の強い天然紙またはポリプロピレン、塩化ビニリデン等の合成樹脂材にて構成されている。
【0091】
印刷時においては、前述と同様にして孔版原紙テープ228が搬送されると共にサーマルヘッド10の所望のドット部が加熱されることで、孔版原紙テープ228における表面処理層263及び熱可塑性フィルム260に対応するドットの孔264が穿孔される。このようにテープとして孔版原紙テープ228を用いる場合であっても、前述と同様の効果を得る。
【0092】
なお、テープとして、上記織物テープ153や孔版原紙テープ228以外にも、フィルムやPETや紙等、印刷可能な適宜の材質のものを用いても良い。
【0093】
(8)その他
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0094】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0095】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0096】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0097】
1 テープ印字装置(プリンタ)
8 カートリッジ装着部(カセットホルダ)
21 可動搬送ローラ(搬送ローラ)
30 テープカートリッジ(テープカセット)
31 カートリッジ筐体(ケース)
36 規制部材(ガイド部材)
46 テープ駆動ローラ(挟持部材)
46A 第1領域
46a ローラ本体
46B 第2領域
46C 第3領域
46C1~3 第3領域
49a テープ排出口(排出口)
146 テープ挟持板(挟持部材)
146A 第1領域
146B 第2領域
146C 第3領域
153 織物テープ(布地テープ、テープ)
153A 上端部(第1方向の一端部)
153B 下端部(第1方向の他端部)
206 テープロール
228 孔版原紙テープ
C テープ幅方向の中心
D2 挿入用凹部(開口部)
Da 一方側端部の直径
Db 他方側端部の直径
H 基準面からの高さ
H1,2 突起部の上下方向寸法
h 基準面からの高さ
K 軸心
RE 基準面