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特許7356663放送サービス通信ネットワーク配信装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】放送サービス通信ネットワーク配信装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/262 20110101AFI20230928BHJP
   H04N 21/266 20110101ALI20230928BHJP
   H04H 20/10 20080101ALI20230928BHJP
【FI】
H04N21/262
H04N21/266
H04H20/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021043706
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143276
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】596027900
【氏名又は名称】株式会社インフォシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】岩浪 剛太
(72)【発明者】
【氏名】百武 邦宏
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-165058(JP,A)
【文献】特開2011-244277(JP,A)
【文献】特開2020-022082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0144417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04H 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する従放送局のための放送サービス通信ネットワーク配信装置において、
当該従放送局の放送番組の映像信号または音声信号に蓋かぶせ情報に基づいて蓋かぶせ処理を実行する蓋かぶせ手段と、
蓋かぶせ処理後の映像信号および音声信号をネットワーク配信用のファイルに変換する変換手段と、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する主放送局番組情報取得手段と、
当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する従放送局番組情報取得手段と、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該従放送局の配信対象の放送番組が上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応することを特定する主放送局放送番組特定手段とを有し、
上記蓋かぶせ手段は、当該従放送局の配信対象の放送番組が、上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、上記主放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報を、当該従放送局の当該特定された配信対象の放送番組のための蓋かぶせ情報に利用することを特徴とする放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項2】
番組識別子を用いて上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合する請求項1記載の放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項3】
SI/EPG由来の番組情報に含まれる番組名を含むメタ情報を用いて、上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合する請求項1記載の放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項4】
上記主放送局の少なくとも一部の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報は、当該放送番組の本編セグメントおよび付随セグメントの編成情報に基づいて準備される請求項1~3のいずれかに記載の放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項5】
上記付随セグメントは番組宣伝枠および情報提供枠を含む請求項4記載の放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項6】
上記付随セグメントは番組宣伝枠、情報提供枠、またはコマーシャル枠のうちの少なくとも1種類の付随セグメントを含む請求項4記載の放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項7】
当該従放送局の放送番組の動画ストリームは、TSストリームから生成される請求項1~6に記載の放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項8】
当該従放送局の放送番組の映像信号および音声信号は、SDI放送信号である請求項1~6に記載の放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項9】
主放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する従放送局のための放送サービス通信ネットワーク配信方法において、
当該従放送局の放送番組の動画ストリームに蓋かぶせ情報に基づいて蓋かぶせ処理を実行する蓋かぶせステップと、
蓋かぶせ処理後の動画ストリームをネットワーク配信用のファイルに変換する変換ステップと、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する主放送局番組情報取得ステップと、
当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する従放送局番組情報取得ステップと、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該従放送局の配信対象の放送番組が上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応することを特定する主放送局放送番組特定ステップと、
上記蓋かぶせステップは、当該従放送局の配信対象の放送番組が、上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、上記主放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報を、当該従放送局の当該特定された配信対象の放送番組のための蓋かぶせ情報に利用することを特徴とする放送サービス通信ネットワーク配信方法。
【請求項10】
主放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する従放送局のための放送サービス通信ネットワーク配信装置に用いられるプロセッサを、
当該従放送局の放送番組の動画ストリームに蓋かぶせ情報に基づいて蓋かぶせ処理を実行する蓋かぶせ手段、
蓋かぶせ処理後の動画ストリームをネットワーク配信用のファイルに変換する変換手段、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する主放送局番組情報取得手段、
当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する従放送局番組情報取得手段、および、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該従放送局の配信対象の放送番組が上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応することを特定する主放送局放送番組特定手段
として動作させるための放送サービス通信ネットワーク配信用コンピュータプログラムであって、
上記蓋かぶせ手段は、当該従放送局の配信対象の放送番組が、上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、上記主放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報を、当該従放送局の当該特定された配信対象の放送番組のための蓋かぶせ情報に利用することを特徴とする放送サービス通信ネットワーク配信用コンピュータプログラム。
【請求項11】
放送番組を通信ネットワークを介して配信するための蓋かぶせ情報を生成する蓋かぶせ情報生成装置において、
SI/EPG由来の番組情報を取得する番組情報取得手段と、
蓋かぶせテンプレートを保持する蓋かぶせ情報テンプレート保持手段と、
配信対象の放送番組に対して、上記SI/EPG由来の番組情報に基づいて蓋かぶせテンプレートを取り出す蓋かぶせテンプレート取得手段とを有し、
上記取り出した蓋かぶせテンプレートに基づいて上記配信対象の放送番組の蓋かぶせ情報を生成することを特徴とする蓋かぶせ情報生成装置。
【請求項12】
他の放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する場合に、上記他の放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該自放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該自放送局の配信対象の放送番組が上記他の放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、当該自放送局の配信対象の放送番組の蓋かぶせ情報として、上記他の放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報を、利用する請求項11記載の蓋かぶせ情報生成装置。
【請求項13】
放送番組を通信ネットワークを介して配信するための蓋かぶせ情報を生成する蓋かぶせ情報生成方法において、
SI/EPG由来の番組情報を取得する番組情報取得ステップと、
蓋かぶせテンプレートを保持する蓋かぶせ情報テンプレート保持ステップと、
配信対象の放送番組に対して、上記SI/EPG由来の番組情報に基づいて蓋かぶせテンプレートを取り出す蓋かぶせテンプレート取得ステップとを有し、
上記取り出した蓋かぶせテンプレートに基づいて上記配信対象の放送番組の蓋かぶせ情報を生成することを特徴とする蓋かぶせ情報生成方法。
【請求項14】
放送番組を通信ネットワークを介して配信するための蓋かぶせ情報を生成する蓋かぶせ情報生成装置に用いられるプロセッサを、
SI/EPG由来の番組情報を取得する番組情報取得手段、
蓋かぶせテンプレートを保持する蓋かぶせ情報テンプレート保持手段、
配信対象の放送番組に対して、上記SI/EPG由来の番組情報に基づいて蓋かぶせテンプレートを取り出す蓋かぶせテンプレート取得手段
として実行させ、
上記取り出した蓋かぶせテンプレートに基づいて上記配信対象の放送番組の蓋かぶせ情報を生成することを特徴とする蓋かぶせ情報生成用コンピュータプログラム。
【請求項15】
主放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する従放送局のために見逃し番組を配信する放送サービス通信ネットワーク配信装置において、
当該従放送局の放送番組の映像信号および音声信号をネットワーク配信用のファイルに変換する変換手段と、
変換したネットワーク配信用ファイルから見逃し番組を切り出す見逃し番組切り出し手段と、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する主放送局番組情報取得手段と、
当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する従放送局番組情報取得手段と、
上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該従放送局の配信対象の放送番組が上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応することを特定する主放送局放送番組特定手段とを有し、
上記切り出し手段は、当該従放送局の配信対象の放送番組が、上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、上記主放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された切り出し情報を、当該従放送局の当該特定された配信対象の放送番組のための切り出し情報に利用することを特徴とする放送サービス通信ネットワーク配信装置。
【請求項16】
他の放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する場合に、上記他の放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該自放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該自放送局の配信対象の放送番組が上記他の放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、当該自放送局の配信対象の放送番組の切り出し情報として、上記他の放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された切り出し情報を、利用する見逃し番組切り出し情報生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビ放送サービスを通信ネットワークを使用して配信する放送サービス通信ネットワーク配信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
放送事業者が、放送サービスで提供される放送番組(映像・音声コンテンツ)を通信ネットワークを使用して同時的または事後的に配信することが望まれている。ところで放送事業者が準備した放送番組を通信ネットワークで配信する場合、放送権・肖像権等の権利関係上の制約、政治・文化的な事情等のため、該当部分を静止画等でかぶせて配信することがある。また、場合によっては、放送番組に付随する番組宣伝枠、情報提供枠、コマーシャル枠を他の静止画等でかぶせることが好ましい場合もある。ところで、通信ネットワークを用いて放送番組を配信する際に蓋かぶせを行う場合、蓋かぶせシステムを、それぞれの配信元の放送局で個別に準備する必要があり、コスト負担が大きくなる。蓋かぶせの処理を簡略化することが望まれる。
【0003】
また、蓋かぶせと同様に、見逃し番組配信において、放送番組に付随する番組宣伝枠等と本編とを区別して見逃し番組の切り出しを行うことが望まれる。
【0004】
なお、この発明と関連する特許文献としては特開2017-050631号公報がある。これは、放送サービスで提供されるコンテンツを通信ネットワークを使用して配信する場合に、コマーシャルの内容を放送サービスの場合と通信ネットワークの場合とで適合的に切り替えることを開示している。
【0005】
上述の従来技術やその問題点は、この発明の背景の一部を説明するためにのみ説明している。この発明は上述の従来技術や問題点に限定されるものではない点に留意されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-050631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、蓋かぶせ処理等を簡便にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、上述の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用している。ここでは、発明を詳細に説明するのに先だって、特許請求の範囲の記載について補充的に説明を行なっておく。
【0009】
すなわち、この発明の一側面によれば、主放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する従放送局のための放送サービス通信ネットワーク配信装置に:当該従放送局の放送番組の映像信号または音声信号に蓋かぶせ情報に基づいて蓋かぶせ処理を実行する蓋かぶせ手段と;蓋かぶせ処理後の映像信号および音声信号をネットワーク配信用のファイルに変換する変換手段と;上記主放送局のSI/EPG(サービスインフォーメーション/電子番組案内)由来の番組情報を取得する主放送局番組情報取得手段と;当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する従放送局番組情報取得手段と;上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該従放送局の配信対象の放送番組が上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応することを特定する主放送局放送番組特定手段とを設け、上記蓋かぶせ手段は、当該従放送局の配信対象の放送番組が、上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、上記主放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報を、当該従放送局の当該特定された配信対象の放送番組のための蓋かぶせ情報に利用するようにしている。
【0010】
この構成によれば、主放送局の放送番組の蓋かぶせ情報を従放送局で流用できる。
【0011】
この構成において、SI/EPG由来の番組情報に含まれる番組名を含むメタ情報を用いて、上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して良い。
【0012】
また、上記主放送局の少なくとも一部の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報は、当該放送番組の本編セグメントおよび付随セグメントの編成情報に基づいて準備されて良いけれども、これに限定されない。蓋かぶせ情報は本編セグメントおよび付随セグメントの編成情報と独立して設定されて良い。
【0013】
また、上記付随セグメントは番組宣伝枠および情報提供枠を含んで良い。
【0014】
また、上記付随セグメントは番組宣伝枠、情報提供枠、またはコマーシャル枠のうちの少なくとも1種類の付随セグメントを含んで良い。
【0015】
当該従放送局の放送番組の映像信号および音声信号は、TS(トランスポートストリーム)のパケットストリームから生成されて良い。
【0016】
また、当該従放送局の放送番組の映像信号および音声信号は、SDI(シリアルデジタルインタフェース)放送信号であって良い。
【0017】
また、この発明の他の側面によれば、放送番組を通信ネットワークを介して配信するための蓋かぶせ情報を生成する蓋かぶせ情報生成装置に:SI/EPG由来の番組情報を取得する番組情報取得手段と;蓋かぶせテンプレートを保持する蓋かぶせ情報テンプレート保持手段と;配信対象の放送番組に対して、上記SI/EPG由来の番組情報に基づいて蓋かぶせテンプレートを取り出す蓋かぶせテンプレート取得手段とを設け、上記取り出した蓋かぶせテンプレートに基づいて上記配信対象の放送番組の蓋かぶせ情報を生成するようにしている。
【0018】
この構成によれば、蓋かぶせ情報を自動的に形成できる。
【0019】
この構成において、他の放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する場合に、上記他の放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該自放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該自放送局の配信対象の放送番組が上記他の放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、当該自放送局の配信対象の放送番組の蓋かぶせ情報として、上記他の放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された蓋かぶせ情報を、利用して良い。
【0020】
また、この発明の他の側面によれば、主放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する従放送局のために見逃し番組を配信する放送サービス通信ネットワーク配信装置に:当該従放送局の放送番組の映像信号および音声信号をネットワーク配信用のファイルに変換する変換手段と;上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する主放送局番組情報取得手段と;当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報を取得する従放送局番組情報取得手段と;上記主放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該従放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該従放送局の配信対象の放送番組が上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応することを特定する主放送局放送番組特定手段とを設け、上記切り出し手段は、当該従放送局の配信対象の放送番組が、上記主放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、上記主放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された切り出し情報を、当該従放送局の当該特定された配信対象の放送番組のための切り出し情報に利用するようにしている。
【0021】
この構成によれば、従放送局において見逃し番組の切り出し情報を簡易に生成できる。
【0022】
また、この発明の他の側面によれば、見逃した放送番組を通信ネットワークを介して配信するための見逃し番組切り出し情報を生成する見逃し番組切り出し情報生成装置において、他の放送局が放送する放送番組を自放送局の放送サービスの一部として放送する場合に、上記他の放送局のSI/EPG由来の番組情報と当該自放送局のSI/EPG由来の番組情報とを照合して、当該自放送局の配信対象の放送番組が上記他の放送局の配信対象の所定の放送番組に対応するときに、当該自放送局の配信対象の放送番組の切り出し情報として、上記他の放送局の上記所定の放送番組の配信用に準備された切り出し情報を利用するようにしている。
【0023】
この構成によれば、切り出し情報の生成を簡易に行うことができる。
【0024】
なお、この発明は装置またはシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、そのような発明の一部をソフトウェアとして構成することができることはもちろんである。またそのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品もこの発明の技術的な範囲に含まれることも当然である。
【0025】
この発明の上述の側面および他の側面は特許請求の範囲に記載され以下実施例を用いて詳述される。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、蓋かぶせ情報および見逃し番組切り出し情報を簡易に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の実施例1の主放送局および従放送局の通信ネットワーク配信システム100および200を示す図である。
図2】この発明の実施例1の動作を説明する図である。
図3】この発明の実施例1の動作を説明する図である。
図4】この発明の実施例1の蓋かぶせ動作を説明する図である。
図5】この発明の実施例2の主放送局および従放送局の通信ネットワーク配信システム300および400を示す図である。
図6】この発明の実施例3の主放送局および従放送局の通信ネットワーク配信システム500および600を示す図である。
図7】この発明の実施例4の見逃し番組切り出し装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施例について説明する。
【0029】
[実施例1」
図1は、この発明の実施例1の主放送局の放送サービス通信ネットワーク配信システム100および従放送局の放送サービス通信ネットワーク配信システム200を全体として示している。主放送局(本部局またはキー局)は、放送番組の一部を従放送局に供給するものであり、配信元局と呼ぶこともある。従放送局(地域局)は、主放送局から放送番組の一部の供給を受けるものであり、配信先局と呼ぶこともある。放送サービス通信ネットワーク配信システムは単に通信ネットワーク配信システムと呼ぶこともある。
【0030】
図1において、主放送局(本部局またはキー局)の通信ネットワーク配信システム100は、放送局構内設備100A側の装置群およびクラウド100B側の装置群から成り、放送局構内設備100AのTS送信装置110、ブラウザシステム180、クラウド100BのTS受信部120、放送信号デコード部130、蓋かぶせ部140、動画ファイルエンコード部150、SI/EPG抽出部160、番組編成情報記憶部170、編成制御情報ユーザインタフェース190を含んで構成されている。
【0031】
TS送信装置110は、主放送局の放送設備101か放送信号、例えばDVB-ASI信号からTSストリームを取り出してIDP/IPプロトコルでIPパケット送信を行うものである。TS送信装置110に替えてSDI放送信号を送信する設備を利用しても良い。TSストリームのIP伝送については、例えば、Pro-MPEG Code of Practice #3 release 2, July 2004,"Transmission of Professional MPEG-2 Transport Streams over IP Networks"に説明があるけれども、これに限定されない。TS受信部120は例えばIPパケットを受け取ってTSストリームを抽出するものである。放送信号デコード部130は、TSストリームを逆多重化して映像ストリームおよび音声ストリームを生成し、さらにMPEGデコードを行い、映像・音声信号を生成するものである。蓋かぶせ部140は、番組編成情報記憶部170の番組編成情報(蓋かぶせ情報を含む)に基づいて映像・音声信号の蓋かぶせを行うものである。動画ファイルエンコード部150は、蓋かぶせ処理後の映像・音声信号を受け取って、例えばHTTP配信方式(典型的にはHLS方式、HTTP Live Streaming、Apple社)の動画ファイルを形成し、ユーザからの要求に基づいてファイルをユーザに転送して、ユーザが番組の視聴できるようにする。SI/EPG抽出部160は、TS受信部120からTSストリームを受け取ってSI(サービスインフォーメーション)を抽出し、SIまたはEPG(電子番組案内)を抽出して番組編成情報を番組編成情報記憶部170に記憶する。主放送局の設備においてオペレータがブラウザシステム180を操作して、編成制御情報ユーザインタフェース190を介して番組編成情報を入力する。オペレータはSI/EPG抽出部160で得たSI/EPGに準拠して番組編成情報を入力して良い。ただし、SI/EPG情報は、番組全体の情報しか含まず、番組本体と、付随する補助枠(番組宣伝枠、情報枠、コマーシャル枠)とを区別せず、また番組本体の権利関係上の放送不適部分を区別しない。オペレータはこのような蓋かぶせ情報を編成制御情報ユーザインタフェース190を介して入力する。
【0032】
配信方式はHTTP配信方式に限定されない。またHLS方式にかえて、MPEG-DASH方式、Smooth Streaming (Microsoft社)、HTTP Dynamic Streaming(Adobe Systems社)であってよい。RTS(Real Time Streaming Protocol)やRTMP(Real Time Messaging Protocol)等のHTTPプロトコル配信以外の各方式を採用しても良い。
【0033】
なお、番組本体(本編)に付随する補助枠(番組宣伝枠、情報枠、コマーシャル枠)を蓋かぶせ対象とするかどうかは任意である。
【0034】
番組編成情報記憶部170に記憶された、SI/EPG情報および蓋かぶせ情報を含む番組生成情報は従放送局(地域局)の通信ネットワーク配信システム200に供給される。
【0035】
また、従放送局(地域局)の通信ネットワーク配信システム200は、放送局構内設備200A側の設備およびクラウド200B側の設備から成り、放送局構内設備200AのTS送信装置210、ブラウザシステム280、クラウド200BのTS受信部220、放送信号デコード部230、蓋かぶせ部240、動画ファイルエンコード部250、SI/EPG抽出部260、番組編成情報記憶部270、編成制御情報ユーザインタフェース290、比較部291を含んで構成されている。
【0036】
従放送局の通信ネットワーク配信システム200の各部は、主放送局の通信ネットワーク配信システム100の対応する部分と同様に動作する。比較部291は、当該従放送局の番組編成情報記憶部270に記憶されたSI/EPG情報を含む番組編成情報(「A」で示す)を、主放送局の番組編成情報記憶部170から送出されてきた、SI/EPG情報および蓋かぶせ情報を含む番組生成情報(「A'」で示す)と比較し、主放送局の番組と従放送局の番組が同一かどうかを判別し、同一である場合には、主放送局から送られた番組生成情報の蓋かぶせ情報を利用して自放送局の蓋かぶせ情報として番組編成情報記憶部270に記憶保持する。従放送局のオペレータは、主放送局からの蓋かぶせ情報を利用できる番組については、蓋かぶせ情報を入力する必要がない。
【0037】
主放送局の番組と従放送局の番組が同一かどうかは、例えば、イベントIDが同じかどうか(同一番組で同じイベントIDを採用する場合)に基づいて判別でき、同一番組で同じイベントIDを採用しない場合には、番組名、放送時刻、ジャンル等のメタ情報を利用して判断して良い。
【0038】
図2は、実施例1における主放送局の通信ネットワーク配信システム100および従放送局の通信ネットワーク配信システム200における全体的な動作を説明しており、この図において、TS受信部120、220はIPストリームからTSパケットを生成し(S10)、放送信号デコード部130、230はTSパケットを逆多重化して映像ストリーム・音声ストリームを生成し(S11)、これをMPEGデコードして映像・音声信号を取得する(S12)。蓋かぶせ部140、240は、番組編成情報記憶部170、270の蓋かぶせ情報付きの番組編成情報に基づいて映像・音声信号を、蓋かぶせ期間で、代替映像(例えば静止画)で代替する。動画ファイルエンコード部150、250は、蓋かぶせ後の映像・音声信号を例えばHTTP配信方式の動画ファイルを生成して(S14)、利用者からお要求に応じて動画ファイルを配信する(S15)。
【0039】
図3は、従放送局の通信ネットワーク配信システム200における主放送局の蓋かぶせ情報の流用について説明しており、この図において、主放送局のTS受信部120はIPストリームからTSパケットを生成し(S10)、SI/EPG抽出部160は、TSストリームからSI/EPG情報を抽出し(S21)、番組編成情報を生成して番組編成情報記憶部170に記憶保持する(S22)。オペレータは編成制御情報ユーザインタフェース190を介して蓋かぶせ情報を含む番組編成情報を設定する(S23)。蓋かぶせ情報を含む主放送局の番組編成情報(IS/EPGを含む)は、従放送局の通信ネットワーク配信システム200の比較部291に供給される(S24)。
【0040】
さらに、図3において、従放送局のTS受信部220はIPストリームからTSパケットを生成し(ステップS10)、SI/EPG抽出部260は、TSストリームからSI/EPG情報を抽出し(S21)、番組編成情報を生成して番組編成情報記憶部170に記憶保持する(S22)。比較部291は、従放送局の番組編成情報中のIS/EPG情報に、主放送局の番組編成情報中のIS/EPG情報を突き合わせて、同一の番組を特定し(S25)、同一番組にてついては主放送局側の蓋かぶせ情報を利用して従放送局の蓋かぶせ情報を生成する(S26)。従放送局のオペレータは、編成制御情報ユーザインタフェースを用いて、その他の番組の蓋かぶせ情報や補助的な設定を行う(S27)。
【0041】
図4は、蓋かぶせの対応例を示している。この例では、番組に付随する番組宣伝枠および情報枠を蓋かぶせしているけれども、これらを蓋かぶせするかどうかは任意であり、この例に限定されない。図4(A)に示すように、番組全体はt0で始まり、t4で終了する。例えば、番組宣伝枠はt0からt1のセグメントであり、番組本編はt1からt3のセグメントであり、権利関係の不適切サブセグメントがt5から56であり、情報枠がt3からt4である。蓋かぶせ情報によって、t0-t1、t5-t6、およびt3-t4の区間を指定して、図4(B)に示すような代替コンテンツ(例えば静止画)を挿入する。不適切サブセグメントのみに蓋かぶせを行う場合には、蓋かぶせ情報はt5-t6を含む。
【0042】
[実施例2]
図5は、この発明の実施例2の主放送局の通信ネットワーク配信システム300および従放送局の通信ネットワーク配信システム400を全体として示している。図5の主放送局の通信ネットワーク配信システム300は図1の主放送局の通信ネットワーク配信システム100に対応し、図5の従放送局の通信ネットワーク配信システム400は図1の従放送局の通信ネットワーク配信システム200に対応する。この図において、図1と対応する箇所には対応する符号を付した。
【0043】
図5において、主放送局の蓋かぶせ情報自動生成部195はSI/EPG情報から取得した番組名、配信曜日、日時、ジャンル等をキーとして蓋かぶせ情報テンプレートデータベース196を検索して蓋かぶせ情報テンプレートを取得して自動的に蓋かぶせ情報を生成し、番組編成情報記憶部170に蓋かぶせ情報として登録する(「1」、「2」)。従放送局の蓋かぶせ情報自動生成部295はSI/EPG情報から取得した番組名、配信曜日、日時、ジャンル等をキーとして蓋かぶせ情報テンプレートデータベース296を検索して蓋かぶせ情報テンプレートを取得して自動的に蓋かぶせ情報を生成し、番組編成情報記憶部270に蓋かぶせ情報として登録する。オペレータはブラウザシステム180を利用して蓋かぶせ情報を補助的に設定する(「3」)。
【0044】
実施例2においても、比較部291は、当該従放送局の番組編成情報記憶部270に記憶されたSI/EPG情報を含む番組編成情報を、主放送局の番組編成情報記憶部170から送出されてきた、SI/EPG情報および蓋かぶせ情報を含む番組生成情報と比較し、主放送局の番組と従放送局の番組が同一かどうかを判別し、同一である場合には、主放送局から送られた番組生成情報の蓋かぶせ情報を利用して自放送局の蓋かぶせ情報として番組編成情報記憶部270に記憶保持する。従放送局のオペレータは、主放送局からの蓋かぶせ情報を利用できる番組については、蓋かぶせ情報を入力または調整する必要がない。
【0045】
[実施例3]
図6は、この発明の実施例3の主放送局の通信ネットワーク配信システム500および従放送局の通信ネットワーク配信システム600を全体として示している。図6の主放送局の通信ネットワーク配信システム500は図1の主放送局の通信ネットワーク配信システム100に対応し、図6の従放送局の通信ネットワーク配信システム600は図1の従放送局の通信ネットワーク配信システム200に対応する。この図において、図1と対応する箇所には対応する符号を付した。
【0046】
図6においては、蓋編成情報設備111を利用して蓋かぶせ情報を番組編成情報記憶部170に含ませている(「1」)。蓋編成情報設備111は、放送設備において準備された番組編成の基礎情報に対して手動で蓋かぶせ情報を入力付与するものであり、たとえば、ブラウザシステム180によって番組編成の基礎情報に対して手動で蓋かぶせ情報を入力付与することができる。連携機能部121は、外部システムである蓋編成情報設備111から蓋かぶせ情報を受け取り、番組編成情報記憶部170に蓋かぶせ情報を付与するものである。なお、破線で示すように、併せて、蓋かぶせ情報テンプレート記憶部を検索して蓋かぶせ情報を取得しても良い。
【0047】
この実施例においては、主放送局の通信ネットワーク配信システム500のSI/EPG抽出部160により抽出したSI/EPG情報をEPGデータベース197に供給し、このSI/EPG情報および蓋かぶせ情報付きの番組編成情報を従放送局の通信ネットワーク配信システム600お比較部291に送り、同一番組については、主放送局側で準備した蓋かぶせ情報を流用して良い。
【0048】
[実施例4]
図7はこの発明の実施例4の見逃し番組切り出し装置700を示しており、この図において、動画ファイルエンコード部150、250は、番組編成情報から番組の本編を切り出す情報を取得し、これに基づいて、動画ファイル記憶部151、251に本編部分の動画ファイルを記憶し、ユーザ装置800から見逃し番組配信要求を受け取り、読み出して動画配信を行う。図7において他の図の部分に対応する箇所には対応する符号を付した。
【符号の説明】
【0049】
100、300、500 主放送局の放送サービス通信ネットワーク配信システム
200、400、600 従放送局の放送サービス通信ネットワーク配信システム
100A、200A 放送局構内設備
100B、200B クラウド
101、201 放送設備
110、210 TS送信装置
111 蓋編成情報設備
120、220 TS受信部
121 連携機能部
130、230 放送信号デコード部
140、240 蓋かぶせ部
150、250 動画ファイルエンコード部
151 動画ファイル記憶部
170、270 番組編成情報記憶部
180、280 ブラウザシステム
190、290 編成制御情報ユーザインタフェース
195、295 蓋かぶせ情報自動生成部
196、296 蓋かぶせ情報テンプレートデータベース
197 EPGデータベース
291 比較部
700 見逃し番組切り出し装置
800 ユーザ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7