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  • 特許-電気化学測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】電気化学測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20230928BHJP
   G01N 27/48 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01N27/416 302Z
G01N27/48 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019158477
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021038931
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 刊行物 日本大学生産工学部応用分子化学科 平成30年度 卒業研究論文発表会 講演予稿 研究要旨 「電気化学クロマトグラフィーの高精度化を目的とした電位印加手法の検討」 中釜・齊藤・山根研究室 発行日 平成31年2月4日 (2) 集会名 日本大学生産工学部応用分子化学科 平成30年度 卒業研究論文発表会 時間帯P2 発表番号20 開催日 平成31年2月5日 (3) 刊行物 日本大学生産工学部応用分子化学科 平成30年度 卒業研究論文発表会 講演予稿 研究要旨 「高精度電気化学クロマトグラフィーカラムの構築」 中釜・齊藤・山根研究室 発行日 平成31年2月4日 (4) 集会名 日本大学生産工学部応用分子化学科 平成30年度 卒業研究論文発表会 時間帯P3 発表番号18 開催日 平成31年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 和憲
(72)【発明者】
【氏名】中釜 達朗
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-103936(JP,A)
【文献】特開2015-175820(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0300899(US,A1)
【文献】北村房男,測定の前に理解しておきたい電気化学の基礎(3),Electrochemistry,2013年,Vol.81, No.7,p.584-588,https://doi.org/10.5796/electrochemistry.81.584
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/416
G01N 27/48
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定物質の濃度が第一閾値以上である第一溶液を保持している第一保持部と、
前記第一溶液に浸漬されている第一作用電極と、
前記第一溶液に浸漬されている第一対極と、
前記測定物質の濃度が前記第一閾値よりも小さな第二閾値以下である第二溶液を保持しており、前記第一保持部と異なる第二保持部と、
前記第一作用電極と電気的に接続され、前記第二溶液に浸漬されている第二作用電極と、
前記第一対極と電気的に接続され、前記第二溶液に浸漬されている第二対極と、
前記第二溶液に浸漬されている参照電極と、
前記第一作用電極、前記第一対極、前記第二作用電極、前記第二対極及び前記参照電極に電気的に接続され、前記第二作用電極と前記参照電極との間の電位差を掃引することにより、前記第一作用電極の電位を掃引する電位制御部と、
を備え
前記第一作用電極から前記第一溶液を通して前記第一対極に流れる第一の電流と、前記第二作用電極から前記第二溶液を通して前記第二対極に流れる第二の電流と、を合わせた合計の電流を測定する電気化学測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学測定に関する研究は、基礎科学としての電気化学を発展させる上で重要であるだけではなく、電池、ディスプレイ、センサ等、産業分野への応用も可能であるため、非常に重要視されている。
【0003】
電気化学測定に関する技術の一例として、例えば、特許文献1に関する電気化学測定部が挙げられる。この電気化学測定部は、フロー測定用であり、1対の参照電極と作用電極を有するセルに別の作用電極を有する別のセルを1もしくは2以上連結したフロー測定用の電気化学測定部であり、前記電気化学測定部の上流側と下流側に1対の導電性材料よりなる電極を有し、この1対の導電性材料よりなる電極を同電位に保ち対極として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平07-103936号公報
【0005】
しかし、この電気化学測定部は、参照電極を試料に浸漬する必要があるため、特殊な参照電極が使用可能である測定条件又は当該参照電極を正常に使用することができる測定条件の下でしか電気化学測定を実行することができない。また、仮に連結されたセル以外の槽等に参照電極を挿入し、セルと当該槽等とを塩橋、液絡等で接続した場合、これらの塩橋、液絡等を正常に使用することができる測定条件の下でしか電気化学測定を実行することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、より多様な測定条件の下で電気化学測定を実行することができる電気化学測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、測定物質の濃度が第一閾値以上である第一溶液を保持している第一保持部と、前記第一溶液に浸漬されている第一作用電極と、前記第一溶液に浸漬されている第一対極と、前記測定物質の濃度が前記第一閾値よりも小さな第二閾値以下である第二溶液を保持しており、前記第一保持部と異なる第二保持部と、前記第一作用電極と電気的に接続され、前記第二溶液に浸漬されている第二作用電極と、前記第一対極と電気的に接続され、前記第二溶液に浸漬されている第二対極と、前記第二溶液に浸漬されている参照電極と、前記第一作用電極、前記第一対極、前記第二作用電極、前記第二対極及び前記参照電極に電気的に接続され、前記第二作用電極と前記参照電極との間の電位差を掃引することにより、前記第一作用電極の電位を掃引する電位制御部と、を備え、前記第一作用電極から前記第一溶液を通して前記第一対極に流れる第一の電流と、前記第二作用電極から前記第二溶液を通して前記第二対極に流れる第二の電流と、を合わせた合計の電流を測定する電気化学測定装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より多様な測定条件の下で電気化学測定を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る電気化学測定装置の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る電気化学測定装置により実行されたサイクリックボルタンメトリーの結果の一例を示す図である。
図3】一般的な三電極法を採用している電気化学測定装置により実行されたサイクリックボルタンメトリーの結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照しながら実施形態に係る電気化学測定装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電気化学測定装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、電気化学測定装置1は、第一保持部11と、第一作用電極12と、第一対極13と、第二保持部21と、第二作用電極22と、第二対極23と、参照電極30と、電位制御部40とを備える。
【0011】
第一保持部11は、測定物質の濃度が第一閾値以上である第一溶液L1を保持している電解槽である。第一溶液L1は、濃度が0.1M(モーラー)の硫酸ナトリウム水溶液であり、測定物質の一例として12.5mM(ミリモーラー)のフェロシアン化カリウム(K[Fe(CN)])が溶解している電解質溶液である。また、ここで言う第一閾値は、例えば、2.5mMから1.25mMであり、後述する第二閾値よりも大きな閾値であり、当該第二閾値よりも十分に大きな閾値であることが好ましい。さらに、第一保持部11内に参照電極30が存在しないため、第一溶液L1が高温、高圧等の条件下にあってもよいし、第一保持部11が微小な電解槽であってもよい。
【0012】
第一作用電極12は、第一溶液L1に浸漬されている電極である。例えば、第一作用電極12は、円柱状の白金電極であり、側面が円筒状の被覆12Cで覆われている。被覆12Cは、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Poly Ether Ether Ketone)で作成されており、第一作用電極12の側面と被覆12Cとの間に第一溶液L1が浸入しないよう、第一作用電極12の側面に密着している。また、第一作用電極12の端面は、電気化学測定装置1を使用した電気化学測定が実行される前に研磨されており、第一溶液L1と接触している。
【0013】
第一対極13は、第一溶液L1に浸漬されている電極である。例えば、第一対極13は、円柱状の白金電極である。
【0014】
第二保持部21は、測定物質の濃度が第二閾値以下である第二溶液L2を保持している電解槽である。第二溶液L2は、濃度が0.1M(モーラー)の硫酸ナトリウム水溶液であり、測定物質の一例であるフェロシアン化カリウムが溶解していない。つまり、第二溶液L2は、電解質として硫酸ナトリウムを含む電解質溶液である。また、ここで言う第二閾値は、上述した第一閾値よりも小さな閾値であり、当該第一閾値よりも十分に小さな閾値であることが好ましく、ゼロであってもよい。
【0015】
第二作用電極22は、第二溶液L2に浸漬されている電極である。例えば、第二作用電極22は、円柱状の白金電極であり、側面が円筒状の被覆22Cで覆われている。被覆22Cは、例えば、ポリエーテルエーテルケトンで作成されており、第二作用電極22の側面と被覆22Cとの間に第二溶液L2が浸入しないよう、第二作用電極22の側面に密着している。また、第二作用電極22の端面は、電気化学測定装置1を使用した電気化学測定が実行される前に研磨されており、第二溶液L2と接触している。また、第二作用電極22は、第一作用電極12と電気的に接続されている。例えば、図1に示すように、第二作用電極22は、導線50により第一作用電極12と電気的に接続されている。また、導線50の形状、材質、配置等は、任意であり、自由に設計されてよい。
【0016】
第二対極23は、第二溶液L2に浸漬されている電極である。例えば、第二対極23は、円柱状の白金電極である。また、第二対極23は、第一対極13と電気的に接続されている。例えば、第二対極23は、導線60により第一対極13と電気的に接続されている。また、導線60の形状、材質、配置等は、任意であり、自由に設計されてよい。
【0017】
参照電極30は、第二溶液に浸漬されている基準電極である。例えば、参照電極30は、銀‐塩化銀電極であり、銀の表面を塩化銀で被覆した部材をガラス管に保持された塩化物水溶液に浸漬させた構造を有する。
【0018】
電位制御部40は、例えば、ポテンショスタットであり、第一作用電極12、第一対極13、第二作用電極22、第二対極23及び参照電極30に電気的に接続され、第二作用電極22と参照電極30との間の電位差を掃引する。これにより、導線50により第一作用電極12が第二作用電極22と電気的に接続されているため、電位制御部40は、第一作用電極12の電位を掃引することができる。これにより、電位制御部40は、電気化学測定装置1による電気化学測定、例えば、サイクリックボルタンメトリー(CV:Cyclic Voltammetry)を実行する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る電気化学測定装置により実行されたサイクリックボルタンメトリーの結果の一例を示す図である。図2の横軸は、第一作用電極12の電位を示している。図2に縦軸は、第一作用電極に流れる電流を示している。つまり、図2は、電気化学測定装置1により得られたサイクリックボルタモグラムを示している。
【0020】
電位制御部40は、図2に示した実験例において、開始電位-0.2Vから最大電位+0.4Vまで第一作用電極12の電位を増加させた後、最大電位+0.4Vから最小電位-0.4Vまで第一作用電極12の電位を減少させ、最小電位-0.4Vから開始電位-0.2Vまで第一作用電極12の電位を増加させる処理を三回繰り返している。また、この場合、電位制御部40は、常に一定の掃引速度20mV/sで第一作用電極12の電位を掃引している。なお、開始電位は、電極反応が起こらない電位である。
【0021】
図2において第一作用電極12の電位が増加している場合、第一作用電極12の端面では、二価の鉄イオン(Fe2+)の酸化反応が起こり、三価の鉄イオン(Fe3+)と電子(e)が発生している。
【0022】
この酸化反応により発生した電子(e)は、第一作用電極12内に流れ込む。そして、第一作用電極12の電位が+0.12Vに到達しつつある時には当該酸化反応の反応速度が急激に増加することにより、第一作用電極12の端面に流れ込む電子(e)が急激に増加するため、プラス方向の電流が急激に増加する。
【0023】
この酸化反応により発生した三価の鉄イオン(Fe3+)は、第一作用電極12の端面近傍に滞留する。そして、第一作用電極12の電位が+0.12Vを上回って+0.12Vから離れ始めた時には第一作用電極12の端面近傍に存在する化学種の大半が三価の鉄イオン(Fe3+)となっていることにより、第一作用電極12内に流れ込む電子(e)が急激に減少するため、プラス方向の電流が急激に減少する。
【0024】
したがって、図2に示したサイクリックボルタモグラムの+0.12V付近に上向きのピークが表れていると考えられる。なお、図2において第一作用電極12の電位が増加している場合、第一対極13の表面では、第一作用電極12に流れ込んだ電子(e)により何らかの還元反応が起こる。例えば、水(HO)の還元反応が起こり、水素(H)と水酸化物イオン(OH)が生じる。
【0025】
図2において第一作用電極12の電位が減少している場合、第一作用電極12の端面では、三価の鉄イオン(Fe3+)の還元反応が起こり、二価の鉄イオン(Fe2+)が発生している。
【0026】
この還元反応で三価の鉄イオン(Fe3+)が取得する電子(e)は、第一作用電極12の端面から供給される。そして、第一作用電極12の電位が+0.05Vに到達しつつある時には当該還元反応の反応速度が急激に増加することにより、第一作用電極12の端面から供給される電子(e)が急激に増加するため、マイナス方向の電流が急激に増加する。
【0027】
この還元反応により発生した二価の鉄イオン(Fe2+)は、第一作用電極12の端面近傍に滞留する。そして、第一作用電極12の電位が+0.05Vを下回って+0.05Vから離れ始めた時には第一作用電極12の端面近傍に存在する化学種の大半が二価の鉄イオン(Fe2+)となっていることにより、第一作用電極12の端面から電子(e)を取得する三価の鉄イオン(Fe3+)が減少しているため、マイナス方向の電流が急激に減少する。
【0028】
したがって、図2に示したサイクリックボルタモグラムの+0.05V付近に下向きのピークが表れていると考えられる。なお、図2において第一作用電極12の電位が減少している場合、第一対極13の表面では、第一作用電極12により供給された電子(e)により発生した電荷の偏りを相殺する方向に水の電気分解の可逆反応が進行する。
【0029】
また、図2に示したサイクリックボルタモグラムの+0.12V付近の上向きのピークと+0.05V付近の下向きのピークの中間の電位は、二価の鉄イオン(Fe2+)及び三価の鉄イオン(Fe3+)の可逆半波電位に近似することができる。さらに、この電位は、標準酸化還元電位に近似され得る。
【0030】
図3は、一般的な三電極法を採用している電気化学測定装置により実行されたサイクリックボルタンメトリーの結果の一例を示す図である。図3に示したサイクリックボルタモグラムが得られた場合において電解槽に保持されている溶液は、濃度が0.1M(モーラー)の硫酸ナトリウム水溶液であり、測定物質の一例として2.5mM(ミリモーラー)のフェロシアン化カリウム(K[Fe(CN)])が溶解している電解質溶液である。また、図3に示したサイクリックボルタモグラムが得られた場合における開始電位、最大電位、最小電位及び掃引速度は、それぞれ-0.1V、+0.8V、-0.4V及び20mV/sである。図3に示したサイクリックボルタモグラムは、+0.12V付近に上向きのピークを有し、+0.08V付近に下向きのピークを有している。
【0031】
図2に示したサイクリックボルタモグラムが図3に示したサイクリックボルタモグラムに類似している。このため、電気化学測定装置1は、一般的な三電極法を採用している電気化学測定装置により実行されるサイクリックボルタンメトリーに比較的近いサイクリックボルタンメトリーを実行していると考えられる。
【0032】
なお、図2において第一作用電極12の表面電荷がプラスの電位である場合、すなわち第二作用電極22の表面電荷がプラスの電位である場合、第二作用電極22の端面近傍にマイナスの電荷をもつ硫酸イオン(SO 2-)、水酸化物イオン(OH)などが集まり、第二対極23の表面近傍にプラスの電荷をもつナトリウムイオン(Na)、オキソイウムイオン(H)などが集まる。一方、図2において第一作用電極12の表面電荷がマイナスの電位である場合、すなわち第二作用電極22の表面電荷がマイナスの電位である場合、第二作用電極22の端面近傍にナトリウムイオン(Na)、オキソイウムイオン(H)などが集まり、第二対極23の表面近傍に、水酸化物イオン(OH)などが集まる。なお、第二溶液L2のこれら二種類の状態は、電気二重層と呼ばれる。
【0033】
以上、実施形態に係る電気化学測定装置1について説明した。電気化学測定装置1は、第二作用電極22と参照電極30との間の電位差を掃引し、導線50により第二作用電極22に電気的に接続されている第一作用電極12の電位を掃引する。また、電気化学測定装置1は、第一作用電極12が浸漬されている第一溶液L1を保持している第一保持部11に参照電極30を浸漬させる必要が無い。
【0034】
したがって、電気化学測定装置1は、参照電極30が正常に使用され得ない条件下であっても測定物質の電気化学測定を実行することができる。ここで言う参照電極30が正常に使用され得ない条件は、例えば、測定物質の濃度が第一閾値以上である第一溶液L1が高温又は高圧である条件、第一溶液L1を保持する第一保持部11が微小である条件である。さらに、電気化学測定装置1は、このような効果を奏するため、超高圧下にある溶液内で起こる化学反応のメカニズムの研究、超高温下で使用されるロボットに搭載される電池の挙動に関する研究等、様々な研究分野及び産業分野でも有用であるといえる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、第一溶液L1及び第二溶液L2が撹拌されていない場合に電気化学測定装置1が電気化学測定を実行する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、電気化学測定装置1は、第一溶液L1及び第二溶液L2の少なくとも一方が撹拌されている場合に電気化学測定を実行してもよい。
【0036】
また、上述した実施形態では、第一保持部11及び第二保持部21が槽である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第一保持部11は、内部を第一溶液L1が流れる管状の部材であってもよい。同様に、第二保持部21は、内部を第二溶液L2が流れる管状の部材であってもよい。さらに、これらの場合、第一溶液L1を管内に流すために加圧することが必要になる場合があるため、電気化学測定装置1と同様の原理を使用した電気化学測定が有効になることが想定される。
【0037】
また、上述した実施形態では、第一溶液L1及び第二溶液L2が電解質溶液である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第一溶液L1及び第二溶液L2の少なくとも一方は、イオン液体であってもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、第二溶液L2に測定物質が溶解していない場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第二溶液L2に測定物質が溶解していてもよい。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…電気化学測定装置、11…第一保持部、L1…第一溶液、12…第一作用電極、13…第一対極、21…第二保持部、L2…第二溶液、22…第二作用電極、23…第二対極、30…参照電極、40…電位制御部、50,60…導線
図1
図2
図3