(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】紫外線測定装置、測定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/02 20060101AFI20230928BHJP
G01W 1/10 20060101ALI20230928BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01W1/02 A
G01W1/10 K
G01J1/02 G
(21)【出願番号】P 2020206219
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 遥香
(72)【発明者】
【氏名】望月 計
(72)【発明者】
【氏名】飯田 浩希
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0002992(KR,U)
【文献】特開2011-22009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172506(US,A1)
【文献】特開2017-3381(JP,A)
【文献】特開2011-215133(JP,A)
【文献】特開平11-264760(JP,A)
【文献】特開2017-58246(JP,A)
【文献】特開2020-56598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J1/00-1/60
11/00
G01W1/00-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気における黒球温度および乾球温度を取得する温度取得手段と、
前記温度取得手段により取得される黒球温度および乾球温度に基づいて紫外線の強さに関する指標を決定する処理手段と、
を含む紫外線測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外線測定装置であって、
前記黒球温度を検出する黒球温度センサをさらに含む紫外線測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の紫外線測定装置であって、
前記黒球温度および乾球温度の差分と前記指標との関係を示す情報を記憶する記憶手段をさらに含み、
前記処理手段は、前記温度取得手段により取得される前記黒球温度および乾球温度の差分を求め、前記情報に基づいて当該差分に対応する前記指標を取得する、
紫外線測定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紫外線測定装置であって、
前記黒球温度を測定した地点を示す位置情報を取得する位置取得手段をさらに含み、
前記処理手段は、さらに前記位置情報に基づいて前記指標を決定する、
紫外線測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の紫外線測定装置であって、
前記黒球温度を測定した地点の時期を示す時期情報を取得する時期取得手段をさらに含み、
前記処理手段は、さらに前記時期情報に基づいて前記指標を決定する、
紫外線測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の紫外線測定装置であって、
一日における複数の区間ごとに前記黒球温度および乾球温度の差分と前記指標との関係を示す区間情報を記憶する記憶手段をさらに含み、
前記処理手段は、前記温度取得手段により取得される前記黒球温度および乾球温度の差分を求めると、前記記憶手段に記録された前記区間情報のうち前記時期情報に含まれる時刻に該当する区間情報を選択し、選択した前記区間情報に基づいて当該差分に対応する前記指標を取得する、
紫外線測定装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の紫外線測定装置であって、
前記処理手段は、前記指標に基づいて紫外線により体内で所定量のビタミンDが生成されるまでの生成時間を推定する、
紫外線測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の紫外線測定装置であって、
利用者の紫外線に対する肌の特性を取得する特性取得手段をさらに含み、
前記処理手段は、さらに前記肌の特性に基づいて前記生成時間を決定する、
紫外線測定装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の紫外線測定装置であって、
利用者における肌の露出度を取得する露出度取得手段をさらに含み、
前記処理手段は、さらに前記肌の露出度に基づいて前記生成時間を決定する、
紫外線測定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の紫外線測定装置であって、
前記処理手段は、前記指標に基づいて利用者の日焼けが始まるまでの日焼時間を推定する、
紫外線測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の紫外線測定装置であって、
利用者の紫外線に対する肌の特性を取得する特性取得手段をさらに含み、
前記処理手段は、さらに前記肌の特性に基づいて前記日焼時間を決定する、
紫外線測定装置。
【請求項12】
請求項8または請求項11に記載の紫外線測定装置であって、
前記肌の特性の初期値を使用地域に基づいてあらかじめ定められた標準値とする初期設定手段をさらに備えた紫外線測定装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の紫外線測定装置であって、
前記処理手段は、一定期間内に決定された前記指標を累積し、累積した前記指標が所定値に達したか否かを判断する、
紫外線測定装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の紫外線測定装置であって、
前記外気における湿度を取得する湿度取得手段をさらに含み、
前記処理手段は、前記湿度取得手段により取得される湿度と前記温度取得手段により取得される黒球温度および乾球温度の少なくとも一つとに基づいて暑さに関する暑さ指標を決定する、
紫外線測定装置。
【請求項15】
紫外線を測定する測定方法であって、
外気における黒球温度および乾球温度を取得する温度取得ステップと、
前記温度取得ステップにより取得される黒球温度および乾球温度に基づいて紫外線の強さに関する指標を決定する処理ステップと、
を含む測定方法。
【請求項16】
紫外線を測定するコンピュータに、
測定装置から外気における黒球温度および乾球温度を取得する温度取得ステップと、
前記温度取得ステップにより取得される黒球温度および乾球温度に基づいて紫外線の強さに関する指標を決定する処理ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を測定する紫外線測定装置、測定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紫外線量を検出するセンサを用いて紫外線を測定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような装置において紫外線を精度よく測定するには、センサを太陽の方向に向ける必要がある。それゆえ、紫外線を測定する際にはセンサの向きの調整作業を要するため、紫外線による人体への影響を把握するにあたり、簡易に紫外線の強さを測定することが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、紫外線の強さを簡易に取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、外気における黒球温度および乾球温度を取得する温度取得手段と、前記温度取得手段により取得される黒球温度および乾球温度に基づいて紫外線の強さに関する指標を決定する処理手段とを含む。
【発明の効果】
【0007】
この態様によれば、黒球温度および乾球温度に基づいて紫外線の強さに関する指標を取得することができる。このため、センサを太陽へ向けて向きの調整作業を行わなければならない場合と比較して、紫外線の強さを簡易に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、各実施形態に係る紫外線測定装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る紫外線測定装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、1日における黒球温度及び乾球温度の差分と紫外線の強さ指標との関係を示す図である。
【
図4】
図4は、黒球温度及び乾球温度の差分と強さ指標との相関関係を示す基準情報の図である。
【
図5A】
図5Aは、午前における黒球温度及び乾球温度の差分と強さ指標との相関関係を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、午後における黒球温度及び乾球温度の差分と強さ指標との相関関係を示す図である。
【
図6】
図6は、第二実施形態に係る紫外線測定装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、季節と紫外線の強さ指標との関係を、首都の緯度が異なる国別に示した線図である。
【
図8】
図8は、東京の6月の紫外線データを示す図であり、時間と強さ指標との関係を示す線図である。
【
図9】
図9は、那覇の6月の紫外線データを示す図であり、時間と強さ指標との関係を示す線図である。
【
図10】
図10は、紫外線の強さ指標と日焼時間との関係を肌タイプ別に示した図である。
【
図11】
図11は、紫外線の強さ指標とビタミンDの生成時間との関係を肌タイプ別に示した図である。
【
図12】
図12は、第三実施形態に係る紫外線測定装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図13】
図13は、第三実施形態に係る紫外線測定方法の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、入力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、紫外線の強さ指標取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、強さ指標の補正処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、日焼時間算出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、ビタミンDの生成時間算出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、暑さ指標算出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、表示画面を示す図であり、湿度表示と日焼時間表示との切替状態を示す図である。
【
図22】
図22は、表示画面を示す図であり、湿度表示と生成時間表示との切替状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について説明する。
【0010】
始めに各実施形態において使用されるハードウエア構成について説明し、その後に各実施形態に係る機能構成について説明する。
【0011】
(ハードウエア構成)
図1は、第一実施形態に係る紫外線測定装置10のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。紫外線測定装置10は、屋外の紫外線を測定する装置であり、携帯型でもよく、固定型であってもよい。
【0012】
本実施形態における紫外線測定装置10は、紫外線対策が特に必要となる幼児若しくは高齢者、又は、屋外で運動される人若しくは日光浴をする人に使用される。それゆえ、紫外線測定装置10は、紫外線による人体への影響を把握するために紫外線の強さを測定する携帯型の測定装置によって実現される。
【0013】
紫外線測定装置10は、一又は複数のコンピュータによって構成される。紫外線測定装置10は、紫外線の強さを測定するための測定プログラムに従って動作することにより測定方法を実施し、紫外線の強さに関する強さ指標を取得する。
【0014】
紫外線の強さ指標としては、例えば、紫外線強度又はUVインデックス(UltraViolet index)などが挙げられ、本実施形態ではUVインデックスが用いられる。
【0015】
紫外線測定装置10は、プロセッサ14と、記憶部16と、入力部18と、出力部20とを備える。さらに紫外線測定装置10は、時計部24と、位置特定部26と、黒球温度センサ32と、乾球温度センサ34と、湿度センサ36とを備える。紫外線測定装置10の各部は、バスライン12を介して相互に接続される。
【0016】
プロセッサ14は、汎用又は専用のプロセッサによって構成される。例えば、プロセッサ14としては、汎用プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(digital signal processor)などが挙げられる。或いは、プロセッサ14としては、専用プロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
【0017】
記憶部16は、記憶手段を構成する。記憶部16は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び記憶装置を含む。記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどによって構成される。
【0018】
例えば、記憶部16を構成するROMには、紫外線測定装置10の処理手順を示す測定プログラム、及び測定プログラムの実行に用いられるデータなどが記憶されている。記憶部16に記憶された測定プログラムに従ってプロセッサ14が各処理を実行する。
【0019】
また、記憶部16を構成するRAMには、プロセッサ14の処理中に発生するデータを一時的に記憶する領域などが構築される。記憶部16に記憶されるデータには、例えば、紫外線の強さ指標を取得する際に参照される情報が含まれる。また、記憶部16に構築される領域には、紫外線の測定を開始してから被測定者である利用者が日焼けをするまでの日焼時間をカウントするカウンタなどが生成される。
【0020】
入力部18は、プロセッサ14に対して情報を入力するための入力機器を構成し、入力機器としてはスイッチ又はタッチパネルなどが挙げられる。スイッチとしては、日光浴の際に測定を開始するための開始スイッチ、表示を切り替える際に操作される切替スイッチ、測定終了時に操作される終了スイッチなどが挙げられる。
【0021】
出力部20は、プロセッサ14によって生成された情報を出力するための出力機器を構成する。本実施形態における出力部20は、表示部21と、報知部22と、通信部23とを備える。
【0022】
表示部21は、表示装置によって構成される。表示装置としては、LEDディスプレイ又は液晶表示板などが挙げられる。
【0023】
報知部22は、報知装置によって構成される。報知装置としては、一例としてスピーカ若しくはブザーなどの音出力装置、又は発光ダイオードなどの発光装置が挙げられる。本実施形態では、報知部22はスピーカによって構成される。
【0024】
通信部23は、データを送受信するためのインターフェースを構成する。通信部23は、プロセッサ14と不図示の外部装置との間でデータの送受信を可能にする。通信部23としては、例えばUSB(universal serial bus)又はインターネット接続装置などが挙げられる。
【0025】
通信部23は、プロセッサ14からの制御に従って、外部装置から測定プログラム及び測定プログラムの実行に必要となるデータを受信したり、測定データを外部装置に送信したりすることが可能である。通信部23がインターネット接続装置によって構成される場合、通信部23は、インターネット網及び電話網などのネットワークを通じて、外部装置であるサーバなどからプログラム及び必要データを受信したり、測定データを送信したりすることが可能である。
【0026】
黒球温度センサ32は、外気における黒球温度(GT;Globe Temperature)を測定し、測定した黒球温度を示す測定データをプロセッサ14へ送る。黒球温度センサ32は、上述の強さ指標を取得するために用いられる。
【0027】
黒球温度センサ32は、一例として、紫外線測定装置10のケーシングの外側に設けられた黒球と、黒球の中心に配置された温度計とを備える。黒球は、銅板または樹脂で形成された球体によって構成され、球体は、熱を吸収しやすい黒色である。黒球温度センサ32は、黒球内の平衡温度を測定する。
【0028】
乾球温度センサ34は、外気における乾球温度(Natural Dry Bulb temperature)を測定し、測定した乾球温度のデータをプロセッサ14へ送る。乾球温度センサ34は、紫外線測定装置10のケーシングの外側に設けられた温度計よって構成される。乾球温度センサ34は、黒球温度センサ32と共に、紫外線の強さ指標を取得するために用いられる。
【0029】
湿度センサ36は、相対湿度を測定し、測定した相対湿度のデータをプロセッサ14へ送り、温度情報などを合わせて湿球温度(Natural Wet Bulb temperature)に換算する。湿球温度は、温度計表面の水分が蒸発した際の冷却熱を示すが、一般的に用いられる抵抗式又は容量式などの電子式の湿度センサを用いて湿球温度を取得する。
【0030】
時計部24は、時計回路によって構成される。時計部24は、年月日及び時刻を記憶するとともに時間を計測する。時計部24は、紫外線の強さ指標を補正するために用いられる。
【0031】
位置特定部26は、紫外線測定装置10の位置情報を測定する位置測定装置によって構成され、位置測定装置の一例としてはGPS(Global Positioning System)が挙げられる。位置特定部26は、時計部24と同様、紫外線の強さ指標を補正するために用いられる。
【0032】
(第一実施形態に係る機能構成)
続いて、紫外線測定装置10の機能について
図2を参照して説明する。
【0033】
図2は、第一実施形態に係る紫外線測定装置10の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。ここでは、
図1に示したプロセッサ14が、記憶部16に記憶された測定プログラムに従って動作することで以下の機能を実現する。
【0034】
紫外線測定装置10は、紫外線の強さを測定する機能を持つ測定部40を構成する。測定部40は、温度取得部42と、演算部44と、記憶部16と、入力情報取得部46と、出力情報生成部48とを備える。
【0035】
記憶部16は、外気における黒球温度及び乾球温度間の関係を上述の強さ指標に変換するための変換情報を記憶する。変換情報には、例えば黒球温度及び乾球温度間の比率又は差分と紫外線の強さ指標との対応関係が示されており、その対応関係は、例えば変換式又は変換テーブルを用いて特定される。
【0036】
温度取得部42は、外気における黒球温度Tg及び乾球温度Taを取得する取得手段を構成する。本実施形態における温度取得部42は、上述した黒球温度センサ32から黒球温度Tgを取得する。さらに温度取得部42は、上述した乾球温度センサ34から乾球温度Taを取得する。
【0037】
演算部44は、温度取得部42により取得される黒球温度Tg及び乾球温度Taに基づいて紫外線の強さ指標を決定する処理手段を構成する。変換情報は、黒球温度Tg及び乾球温度Taを用いた計算式であっても、黒球温度Tg及び乾球温度Taと紫外線の強さ指標が対応付けられたテーブルであってもよい。
【0038】
本実施形態における演算部44は、記憶部16に記憶された変換情報を参照して、黒球温度Tg及び乾球温度Taに対応する紫外線の強さ指標を取得する。例えば、演算部44は、黒球温度Tgと乾球温度Taとの温度差(Tg-Ta)を求め、上述の変換情報を用いてその温度差(Tg-Ta)に対応する強さ指標を算出する。
【0039】
演算部44は、温度差(Tg-Ta)を求めるにあたり、黒球温度Tg及び乾球温度Taの検出値をそのまま用いてもよい。あるいは、紫外線の変動に対する温度差(Tg-Ta)のタイムラグなどを考慮して、演算部44は、黒球温度Tg及び乾球温度Taの単位時間あたりの平均値、最頻値又は中央値などの代表値を用いてもよい。演算部44は、算出した強さ指標を含む測定データを出力情報生成部48に出力する。
【0040】
出力情報生成部48は、演算部44から紫外線に関する測定データを受け付けると、その測定データを用いて出力情報を生成する。出力情報としては、測定データを表示するための表示データ、測定データを報知するための報知データ、及び測定データを通信先の外部装置に送信するための通信データなどが挙げられる。
【0041】
本実施形態における出力情報生成部48は、表示データを表示部21に出力し、報知データを報知部22に出力し、通信データを通信部23に出力する。このように、出力情報生成部48は、生成した出力情報を出力部20に伝送する。
【0042】
表示部21は、取得した表示データに従って所定の表示処理を実行する。報知部22は、取得した報知データに従って所定の報知動作を行う。通信部23は、取得した通信データを通信先に送るための所定の通信処理を実行する。
【0043】
入力情報取得部46は、上述した入力部18から、利用者の入力操作によって生成された入力情報を取得し、その入力情報を記憶部16に出力する。入力情報としては、例えば、上述の変換情報が挙げられる。
【0044】
なお、本実施形態では温度取得部42が紫外線測定装置10に備えられた黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34から黒球温度Tg及び乾球温度Taを取得したが、これに限られるものではない。例えば、温度取得部42は、黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34を有する外部装置から通信部23を介して黒球温度Tg及び乾球温度Taを取得してもよい。この場合には、紫外線測定装置10から黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34を省略することが可能である。
【0045】
次に、記憶部16に記憶される変換情報について
図3及び
図4を参照して説明する。
【0046】
図3は、黒球温度Tg及び乾球温度Taの温度差(Tg-Ta)と紫外線の強さ指標として用いられるUVインデックスとの関係を示す図である。
【0047】
図3には、東京の6月から9月における温度差(Tg-Ta)に対するUVインデックスの実測値がドットで示されている。ここで、各ドットの中心部を通過する仮想直線92を想定した場合、仮想直線92の傾き及び切片はそれぞれ「A」及び「B」となる(y=Ax+B)。
【0048】
図3に示すように、黒球温度Tg及び乾球温度Taの温度差(Tg-Ta)と紫外線の強さ指標(UVインデックス)との間には、比較的強い相関性があることを発明者らは知見した。
【0049】
さらに発明者らは、このような相関関係を利用することにより、太陽に向けた測定が必要となる紫外線センサを用いなくとも、設置作業が容易な黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34を用いて紫外線の強さを測定できることを見出した。
【0050】
それゆえ、上述の相関関係を利用することによって、紫外線による人体への影響を把握したい人、特に紫外線対策が必要となる幼児、高齢者又は屋外での作業者であっても手軽に紫外線の強さを測定することが可能となる。
【0051】
図4は、黒球温度Tg及び乾球温度Taの温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関関係を示す変換情報96を説明するための図である。変換情報96には、温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関関係が示されている。
【0052】
変換情報96は、東京の6月から9月における紫外線の強さに基づいて定められており、変換情報96には、傾きが「A」であり切片が「B」である仮想直線92、又は仮想直線92を特定するための演算式98(y=Ax+B)が示されている。
【0053】
このように、変換情報96は、黒球温度Tg及び乾球温度Taの温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの関係を示す情報として、記憶部16にあらかじめ記憶される。
【0054】
図3に示した例では紫外線が発生する時間帯の全区間において所定の間隔で温度差(Tg-Ta)及びUVインデックスの双方を測定した結果を集計し、集計した多数の測定結果を用いて両者の相関関係を示す仮想直線92が決定されている。
【0055】
しかしながら、測定地点によっては、紫外線が発生する時間帯の中でも温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関性が変化する場合がある。そこで、
図5A及び
図5Bを例に挙げて、紫外線が発生する時間帯における両者の相関性の変化について説明する。
【0056】
図5Aは、東京6月から9月の午前における温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関関係を示す図である。
図5Bは、東京6月から9月の午後における温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関関係を示す図である。
【0057】
図5Aに示す午前の仮想直線921の傾き「A1」は、
図3に示した仮想直線92の傾き「A」よりも大きく、切片「B1」は、仮想直線92の切片「B」よりも大きい。この仮想直線921に関しては、
図3に示した仮想直線92に比べてより強い相関関係があるといえる。
【0058】
また、
図5Bに示す午後の仮想直線922の傾き「A2」は、
図5Aに示した仮想直線921の傾き「A1」よりも大きく、切片「B2」は、
図3に示した仮想直線92の切片「B」よりも小さい。この仮想直線922に関しても、仮想直線921と同様、
図3に示した仮想直線92に比べてより強い相関関係があるといえる。
【0059】
このように、温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関関係を示す相関線を演算する際に、集計した多数の測定結果を午前と午後に分けることによって相関性が高い相関線をそれぞれ取得することが可能となる。したがって、仮想直線92よりも相関関係が強い午前の仮想直線921及び午後の仮想直線922を示す変換情報を用いることにより、測定部40にて決定される紫外線の強さ指標の精度をさらに高めることができる。
【0060】
それゆえ、一日の中で分けられた複数の区間ごとに、温度差(Tg-Ta)と紫外線の強さ指標との相関関係を示す区間情報を生成し、生成した区間情報を変換情報96として記憶部16にあらかじめ記憶してもよい。
【0061】
この場合、演算部44は、黒球温度Tg及び乾球温度Ta間の温度差(Tg-Ta)を算出すると、記憶部16に記憶された複数の区間情報のうち、
図1に示した時計部24から取得した時刻に該当する区間情報を選択する。そして演算部44は、選択した区間情報を参照し、算出した温度差(Tg-Ta)に対応する紫外線の強さ指標を取得する。
【0062】
次に、第一実施形態による作用効果について説明する。
【0063】
本実施形態における紫外線測定装置10は、外気における黒球温度Tg及び乾球温度Taを取得する温度取得手段としての温度取得部42と、温度取得部42により取得される黒球温度Tg及び乾球温度Taに基づいて紫外線の強さに関する強さ指標を決定する処理手段としての演算部44とを含む。
【0064】
この構成によれば、黒球温度Tg及び乾球温度Taに基づいて紫外線の強さに関する強さ指標を取得することができる。
【0065】
また、紫外線の強さ指標の算出に必要となる黒球温度Tg及び乾球温度Taを取得するためには、黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34を太陽の向きに向ける必要がなく、単に測定地点に配置すればよい。そのため、紫外線を直接検出する市販の紫外線センサを使用する場合に比べて、センサ自体を太陽の方向に向けるための調整作業が不要となるので、紫外線の強さを簡易に取得することが可能となる。
【0066】
さらに、市販の紫外線センサを用いることなく紫外線の強さ指標を取得することが可能となるので、強さ指標を取得するにあたり紫外線センサが不要となり、低コスト化を図ることができる。
【0067】
それゆえ、紫外線対策が特に必要となる幼児若しくは高齢者、又は、屋外で運動をする人若しくは日光浴をする人が簡単に紫外線の強さを測定することが可能となる。したがって、利用者は、紫外線による人体への影響を手軽に把握することができるようになる。
【0068】
また、本実施形態では、紫外線測定装置10は、外気における黒球温度Tgを検出する黒球温度センサ32をさらに含む。
【0069】
この構成によれば、黒球温度センサ32を用いて黒球温度Tgを取得することができる。上述のように黒球温度センサ32は、黒球内の中心温度を計測するものであるため、市販の紫外線センサとは異なり、太陽の方向に向けずとも、紫外線の強さ指標の算出に必要となる黒球温度Tgを計測することが可能である。それゆえ、強さ指標を簡単に測定することが可能となる。
【0070】
さらに、外部から黒球温度Tgを取得する場合に比べて、外部装置との通信などが不要となるので、通信不能な場所での使用が可能となる。したがって、通信不能な場所であっても、利用者は強さ指標を確認することができるので、紫外線対策を的確に行うことが可能となる。
【0071】
また、黒球温度Tg及び乾球温度Taと紫外線の強さ指標との関係を示す変換式は、紫外線の波長域ごとに変わる。それゆえ、測定対象となる紫外線の波長域に応じて変換式を変更することにより、所望の波長域の強さ指標を求めることができる。一方、市販の紫外線センサでは、例えばフィルタ(UV-A又はUV-B)などを内蔵することで、計測できる紫外線の波長域が制限されている。そのため、異なる波長域の紫外線を計測するには、別のフィルタ又は紫外線センサを用意しなければならない。
【0072】
したがって、市販の紫外線センサを用いる場合とは異なり、本実施形態のように黒球温度センサ32を用いることにより、一つの黒球温度センサ32から複数の波長域の強さ指標を一度に算出することができる。
【0073】
また、本実施形態では、黒球温度Tg及び乾球温度Ta間の差分と強さ指標との関係を示す情報を記憶する記憶手段として記憶部16をさらに含む。また、演算部44は、温度取得部42により取得される黒球温度Tg及び乾球温度Taとの差分を示す温度差(Tg-Ta)を求め、記憶部16に記憶された情報に基づいて、求めた温度差(Tg-Ta)に対応する強さ指標を取得する。
【0074】
この構成によれば、簡単な演算処理により紫外線の強さに関する強さ指標の取得が可能となる。したがって、紫外線測定装置10は、演算負荷を低減しつつ、簡易に強さ指標を測定することができる。
【0075】
また、本実施形態では、記憶部16は、上記情報として、一日における複数の区間ごとにあらかじめ定められた黒球温度Tg及び乾球温度Ta間の差分と強さ指標との関係を示す区間情報を記憶する。演算部44は、温度差(Tg-Ta)を求めると、記憶部16に記憶された複数の区間情報のうち黒球温度Tgを測定した時刻に該当する区間情報を選択する。そして演算部44は、選択した区間情報に基づいて、求めた温度差(Tg-Ta)に対応する強さ指標を取得する。
【0076】
この構成によれば、
図5A及び
図5Bに示したように、区間情報の各々に示される両者の関係は、一例として
図3に示した一日における両者の関係に比べて、温度差(Tg-Ta)と強さ指標との相関性が高くなりやすい。それゆえ、複数の区間情報を用いて強さ指標を決定することにより、決定された強さ指標の精度を高めることができる。
【0077】
(第二実施形態)
また、紫外線測定装置10によって測定される紫外線の強さ指標は、黒球温度Tg及び乾球温度Ta間の関係が同じであっても、紫外線を測定した地点又は時期などによって変化することを発明者らは知見した。この対策として紫外線の測定条件に合わせて紫外線の強さ指標を補正する実施形態を以下に説明する。
【0078】
図6は、第二実施形態に係る紫外線測定装置10Aの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0079】
本実施形態では、紫外線の強さ指標を補正するとともに強さ指標を用いて人体への影響を推定する点が第一実施形態とは異なる。そのため、第一実施形態と同一又は同等部分については同符号を付して説明を割愛し、異なる部分を中心に説明する。
【0080】
本実施形態における紫外線測定装置10Aは、
図2に示した測定部40に代えて測定部40Aを有する。
【0081】
測定部40Aは、黒球温度Tg及び乾球温度Taを測定した位置及び時期に応じて強さ指標を補正するとともに、補正後における紫外線の強さ指標を用いて人体への紫外線による影響度を推定する。
【0082】
測定部40Aは、第一実施形態における測定部40の構成に加えて、紫外線の強さ指標を補正するために、位置情報取得部60と日時情報取得部62とを備える。
【0083】
位置情報取得部60は、黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34の位置を特定するための位置情報を取得する位置取得手段を構成する。この位置情報には、測定地点を特定するために、例えば緯度及び経度が示される。これらに加え、位置情報取得部60は、上述した位置特定部26から測定地点の標高を表す高度を取得し、その高度を位置情報に加えてもよい。
【0084】
本実施形態において位置情報取得部60は、位置特定部26から黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34を有する紫外線測定装置10Aの位置情報を取得する。なお、外部装置に黒球温度センサ32及び乾球温度センサ34が設けられている場合には、位置情報取得部60は、通信部23を介して外部装置の位置情報を取得してもよい。
【0085】
日時情報取得部62は、黒球温度Tgを測定した地点の時期を示す時期情報を取得する時期取得手段を構成する。ここにいう時期とは、例えば、一日の時間、一年の月、又は季節のことである。本実施形態では、測定地点が変わることを前提として、時期情報には、現在の時期とともに上記位置情報が関連付けられている。
【0086】
本実施形態において日時情報取得部62は、時期情報を生成するために、上述した時計部24から年月日を含む時刻を示す日時情報を取得する。そして日時情報取得部62は、取得した日時情報と位置情報とを示す時期情報を生成する。
【0087】
これに代えて日時情報取得部62は、測定地点の日時情報を時計部24以外から取得してもよく、例えば、表示部21の時刻表示に従って利用者が入力部18に入力した季節又は月日などを示す入力情報を日時情報として取得してもよい。
【0088】
記憶部16は、相関情報記憶部64と肌情報記憶部66とを備える。
【0089】
相関情報記憶部64は、黒球温度Tgおよび乾球温度Taの差分と紫外線の強さ指標との関係を示す情報を記憶する記憶手段を構成する。
【0090】
本実施形態では、相関情報記憶部64は、黒球温度Tg及び乾球温度Ta間の温度差とUVインデックスとの相関関係を示す変換情報の基準となる基準情報をあらかじめ記憶する。例えば、相関情報記憶部64には、
図4に示した変換情報96が基準情報として記憶されている。
【0091】
肌情報記憶部66は、紫外線による利用者の肌に対する影響の受けやすさを特定するための肌情報をあらかじめ記憶する。肌情報としては、利用者の紫外線に対する肌の特性を示す肌タイプと、利用者における肌の露出の程度を示す露出度とが挙げられる。肌タイプとしては、例えば、紫外線に曝露されたことによる感受性を元に、ヒトの肌の色を六段階に分類したフィッツパトリックのスキンタイプ(Fitzpatrick skin typing)などが用いられる。
【0092】
肌情報記憶部66には、肌情報の初期値として、例えば、入力情報取得部46により使用地域における標準値があらかじめ記憶されている。この場合、入力情報取得部46は、肌の特性の初期値を使用地域に基づいてあらかじめ定められた標準値とする初期設定手段を構成する。
【0093】
本実施形態では、表示部21の表示内容に従って利用者が入力部18を操作することにより、利用者個人の肌情報が肌情報記憶部66に設定される。利用者個人の肌情報を用いることにより、紫外線による肌への影響度を補正することが可能になる。
【0094】
続いて、本実施形態における演算部44の機能構成について説明する。
【0095】
演算部44は、黒球温度Tg及び乾球温度Taに基づいて、人体への紫外線による影響度を推定する。本実施形態における演算部44は、紫外線演算部70と、日焼時間算出部72と、生成時間算出部74とを備える。
【0096】
紫外線演算部70は、温度取得部42により取得される黒球温度Tg及び乾球温度Taに基づいてUVインデックスを紫外線の強さ指標として演算する。
【0097】
具体的には、紫外線演算部70は、温度取得部42から黒球温度Tg及び乾球温度Taを取得し、取得した黒球温度Tgと乾球温度Taとの差分である温度差(Tg-Ta)を求める。そして紫外線演算部70は、相関情報記憶部64に記憶された基準情報を参照して、求めた温度差(Tg-Ta)に対応するUVインデックスを取得する。
【0098】
さらに本実施形態では、紫外線演算部70は、黒球温度Tgと乾球温度Taの測定条件に応じてUVインデックスを補正する。すなわち、紫外線演算部70は、黒球温度Tgと、乾球温度Taと、これらの測定条件とに基づいて、紫外線の強さ指標を決定する。
【0099】
紫外線の強さは、仮に温度差(Tg-Ta)が同じであっても、測定地点の緯度、測定の時間帯及び季節に応じて変化する。この対策として、本実施形態における紫外線演算部70は、特に変動が大きくなる測定地点の緯度、測定の時間帯及び季節といった測定条件を考慮してUVインデックスを補正する。
【0100】
例えば、紫外線演算部70は、測定条件として位置情報取得部60から取得した位置情報を用いてUVインデックスを補正する。
【0101】
具体例として、まず、緯度ごとに、基準情報に示されるUVインデックスの数値に対しての補正量が相関情報記憶部64にあらかじめ記憶される。そして紫外線演算部70は、位置情報取得部60から位置情報を取得すると、相関情報記憶部64から位置情報に示された緯度に対応する補正量を読み出し、その補正量を基本情報に示されたUVインデックスに加算する。
【0102】
これに代えて、緯度ごとに黒球温度Tg及び乾球温度Ta間の温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関関係を示す複数の相関テーブルが相関情報記憶部64にあらかじめ記憶されてもよい。この場合、紫外線演算部70は、複数の相関テーブルの中から、取得した位置情報が示す緯度に対応する相関テーブルを抽出し、その相関テーブルを参照して、温度差(Tg-Ta)に対応するUVインデックスを取得する。
【0103】
あるいは、位置情報に示される経度に応じてUVインデックスを補正してもよい。例えば、紫外線演算部70は、位置情報取得部60から位置情報を取得すると、位置情報に示された緯度及び経度から紫外線測定装置10Bが使用されている国(又は当該国で複数のタイムゾーンが存在する場合はタイムゾーン)を推定する。そして紫外線演算部70は、取得した位置情報によって特定される測定地点と、推定した国(又はタイムゾーン)の基準となる地点との経度差を用いて、UVインデックスを補正する。
【0104】
上述した例では、国(又はタイムゾーン)の基準となる地点との経度差に対応する補正量が、相関情報記憶部64にあらかじめ記憶されており、紫外線演算部70は、その経度差に対応する補正量を読み出し、その補正量を基本情報に示されたUVインデックスに加算する。また、補正量としては、国(又はタイムゾーン)の基準となる地点との経度差が、所定範囲よりプラス方向にずれている場合の補正量と、所定範囲よりマイナス方向にずれている場合の補正量とが、相関情報記憶部64にあらかじめ記憶されていてもよい。
【0105】
このように、測定地点と、その国(又はタイムゾーン)の基準となる地点との経度差に応じて強さ指標の補正を行うことで、同一の国(又はタイムゾーン)であっても、測定地点の経度による太陽高度の影響を測定結果に反映することができる。それゆえ、紫外線の測定精度を向上させることができる。
【0106】
その他に、位置情報に示される高度に応じてUVインデックスを補正してもよい。高度が高い地点では、オゾンによる紫外線の吸収が少なくなること、大気による紫外線の散乱が減ることから、高度が低い地点と比べて紫外線量が多くなる。この対策として、測定地点の高度を用いてUVインデックスを補正してもよい。具体例としては、高度に対応する補正量が相関情報記憶部64にあらかじめ記憶されており、紫外線演算部70は、位置情報に示された高度に対応する補正量を読み出し、その補正量を基本情報に示されたUVインデックスに加算する。
【0107】
また、紫外線演算部70は、測定条件として日時情報取得部62から取得した時期情報を用いてUVインデックスを補正する。
【0108】
具体例としては、上述の位置情報に基づく補正と同様、特定の時間帯又は季節ごとに、基準情報に示されるUVインデックスの数値に対しての補正量が相関情報記憶部64にあらかじめ記憶される。あるいは、特定の時間帯又は季節ごとに黒球温度Tg及び乾球温度Ta間の温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの相関関係を示す複数の相関テーブルが相関情報記憶部64にあらかじめ記憶されてもよい。
【0109】
この場合、紫外線演算部70は、複数の相関テーブルの中から、取得した時期情報が示す時期に対応する相関テーブルを抽出し、その相関テーブルを参照して、温度差(Tg-Ta)に対応するUVインデックスを取得する。
【0110】
または、相関情報記憶部64には、
図5A及び
図5Bに示したように、一日における複数の区間ごとに温度差(Tg-Ta)とUVインデックスとの関係を示す複数の区間情報があらかじめ記憶されてもよい。この場合、紫外線演算部70は、黒球温度Tg及び乾球温度Taの温度差(Tg-Ta)を求めると、相関情報記憶部64に記憶された区間情報のうち、時刻情報に含まれる時刻に該当する区間情報を選択する。そして紫外線演算部70は、選択した区間情報を参照し、算出した温度差(Tg-Ta)に対応する紫外線の強さ指標を取得する。
【0111】
このように、紫外線演算部70は、黒球温度Tg、乾球温度Ta、及び黒球温度Tgを測定した地点の時期を示す時期情報に基づいて紫外線の強さ指標を決定する。
【0112】
なお、紫外線演算部70は、日時情報取得部62の代わりに入力情報取得部46又は通信部23から取得した日時情報を用いてUVインデックスを補正するものであってもよい。
【0113】
また、紫外線演算部70は、位置情報又は時期情報に基づく補正後のUVインデックスをUV影響度推定部71に出力する。なお、測定条件が変わらないような状況では、紫外線演算部70は、補正を行うことなくUVインデックスをUV影響度推定部71に出力してもよい。
【0114】
UV影響度推定部71は、紫外線演算部70で得られたUVインデックスに基づいて利用者の紫外線による人体への影響を推定する。UV影響度推定部71は、日焼時間算出部72と生成時間算出部74とを備える。
【0115】
日焼時間算出部72は、紫外線演算部70から出力されるUVインデックスを用いて、UVインデックスの測定を開始してから利用者が日焼けするまでの日焼時間を算出する。
【0116】
ここで日焼時間を算出する手法の具体例について簡単に説明する。まず、UVインデックスIuvは、次式(1)に示すように、紅斑紫外線量Icie[mW/m2]を「25」で除した値である。
【0117】
Iuv=Icie/25 ・・・ (1)
【0118】
ここで、紅斑紫外線量Icieは、UVインデックスIuv=Xとしたとき、次式(2)のように表わされる。
【0119】
Icie=25X[mW/m2]=1.5X[J/m2・min]・・・ (2)
【0120】
そして、日焼時間Tsb[分]は、次式(3)を用いて求められる。この式(3)において、最小紅斑紫外線量MED(Minimal Erythema Dose)は、紫外線に対する肌の特性を示す肌タイプに応じて変化する値であり、本実施形態では日焼時間Tsbの補正係数として用いられる。
【0121】
Tsb=MED/1.5X ・・・ (3)
【0122】
上式(3)を用いることにより、日焼時間算出部72は、補正後のUVインデックスIuvの数値をXに代入し、MEDに例えば肌タイプ3とした場合の数値「300」を代入して、利用者の日焼時間Tsbを推定する。
【0123】
さらに本実施形態では、日焼時間算出部72は、肌情報記憶部66に記憶された肌タイプを用いて日焼時間Tsbを補正する。日焼時間Tsbの補正手法については
図10を参照して後述する。
【0124】
また、日焼時間算出部72は、日光浴での紫外線測定の開始から終了までの紫外線量を日光浴毎に取得するとともに肌に紫外線の影響が残る一定期間内の日光浴毎の紫外線量を累積し、累積した累積紫外線量が所定値に達したか否かを判断する。なお、ここにいう紫外線量とは、紅斑紫外線量Icieのことである。
【0125】
上述した紫外線測定の開始から終了までの紫外線量は、UVインデックスIuvの取得値と紫外線測定の開始から終了までの経過時間とに基づいて算出される。例えば、測定開始時に取得したUVインデックスIuvに経過時間を乗じることによって紫外線量を算出してもよく、または、測定が終了するまでUVインデックスIuvを時系列に取得することにより紫外線量を算出してもよい。
【0126】
本実施形態では、日焼時間算出部72は、日光浴での紫外線測定の開始から終了までの経過時間を日光浴毎に取得するとともに一定期間内における日光浴毎の経過時間を累積し、累積した累積時間が日焼時間Tsbに達したか否かを判断する。経過時間の累積は、一例として記憶部16の記憶領域を利用して行う。
【0127】
日焼時間算出部72は、累積時間が日焼時間Tsbに達した場合、その旨を出力情報生成部48へ出力し、出力情報生成部48は、生成した報知データを報知部22へ出力することで、報知部22から日焼時間Tsbに達した旨を報知する。
【0128】
次に、UV影響度推定部71を構成する生成時間算出部74について説明する。
【0129】
生成時間算出部74は、紫外線演算部70から出力されたUVインデックスを用いて、測定を開始してから紫外線によって体内で所定量のビタミンDが生成されるまでの生成時間を算出する。
【0130】
ここでビタミンDの生成時間を算出する手法の具体例について簡単に説明する。
【0131】
ビタミンDの生成時間TDは、例えば、UVインデックスIuv=Xとしたときに、次式(4)を用いて求められる。
【0132】
【0133】
ここで、一日に必要となるビタミンDの量QD=15[μg]、紫外線による体内でのビタミンD生成率qe=0.0006[μg/mJ]、露出面積Sder=600[cm2](手と両手の甲の面積)、肌タイプStype=1(肌タイプ3とした場合の標準値)とする。そしてビタミンD生成紫外線量IVDは、次式(5)を用いて求められる。
【0134】
【0135】
したがって、UVインデックスIuvの数値を上式(5)中のXに代入してビタミンD生成紫外線量の数値を算出し、その数値を上式(4)中のIVDに代入することにより、ビタミンDの生成時間TDを推定することができる。このように、生成時間算出部74は、式(5)のXと式(4)のTDとの関係を示す数式又は変換テーブルを用いて、測定したUVインデックスIuvに基づくビタミンDの生成時間TDを推定する。
【0136】
また、本実施形態では、生成時間算出部74は、肌情報記憶部66に記憶された肌タイプの補正係数を上式(4)に代入することにより、各肌タイプにおける生成時間TDを補正する。
【0137】
また、皮膚の露出面積Sderの「600」は、服装が長袖シャツ・長ズボンである場合であるが、皮膚の露出面積Sderは、肌の露出度に応じて変化する。このため、生成時間算出部74は、算出した生成時間TDを、記憶部16に記憶された露出度に応じて補正する。例えば、記憶部16に露出度として利用者の服装が半袖シャツであると記憶されている場合、推定した生成時間TDを半分の値とする。
【0138】
このように、生成時間算出部74は、肌情報記憶部66に記憶された肌タイプ及び露出度の少なくとも一つを用いてビタミンDの生成時間TDを補正する。
【0139】
また、地表面の状態の違いにより、地表面から反射する紫外線量が変わる。そのため、生成時間算出部74は、算出した生成時間TDを、記憶部16に記憶された測定地点の地表面の状態に応じて補正してもよい。例えば、使用者に測定地点の地表面タイプを、草地、アスファルト、砂地、雪地の中から選択させる。そして生成時間算出部74は、選択された地表面タイプに基づいて生成時間TDの補正を行う。
【0140】
具体例としては、紫外線の反射量は、雪地、砂地、アスファルト、草地の順に大きく、生成時間算出部74は、測定地点の地表面タイプが雪地の場合はUVインデックスを1.8倍、砂地の場合はUVインデックスを1.25倍にする補正を行い、補正後のUVインデックスを用いて生成時間TDを算出する。これにより。地表面から反射する紫外線量の影響が測定結果に反映されるので、生成時間TDの測定精度を向上させることができる。
【0141】
この例では生成時間TDの補正にあたりUVインデックスに補正係数を乗じて補正を行ったが、各地表面タイプに対応する補正量を示すテーブルを記憶部16にあらかじめ記憶しておいてもよい。あるいは、生成時間TD自体を地表面タイプに応じて補正してもよい。
【0142】
また、生成時間算出部74は、日光浴の開始から終了までの経過時間を日光浴毎に取得するとともに例えば一日の中で複数回行われる日光浴毎の経過時間を累積し、累積した累積時間が生成時間TDに達したか否かを判断する。経過時間の累積は、一例として記憶部16の記憶領域を利用して行う。
【0143】
すなわち、生成時間算出部74は、日焼時間算出部72と同様、日光浴での紫外線測定の開始から終了までの紫外線量を日光浴毎に取得するとともに一定期間内における日光浴毎の紫外線量を累積し、累積した累積紫外線量が所定値に達したか否かを判断する。
【0144】
生成時間算出部74は、累積時間が生成時間TDに達した場合、その旨を出力情報生成部48へ出力し、出力情報生成部48は、生成した報知データを報知部22へ出力することで、生成時間TDに達した旨を報知部22から報知する。
【0145】
次に、
図7を参照して、時期情報から特定される季節と位置情報から特定される国とを用いてUVインデックスを補正する手法ついて具体的に説明する。
【0146】
ここでは、紫外線演算部70は、位置特定部26で特定される緯度及び経度から紫外線測定装置10Bが使用されている国を推定し、時計部24で得られた月日から現在の季節(月)を取得する。
【0147】
図7は、季節(月)とUVインデックスとの関係を、首都の緯度が異なる国ごとに示した線図である。
図7には、日本の線
図100とスペインの線
図102とロシアの線
図104とアメリカの線
図106とがそれぞれ示されている。
【0148】
図7に示すように、各国においてUVインデックスは月ごとに変動する。そのため、
図7に示された関係を示す各国のテーブル又は近似式を用いることにより、日本の6月におけるUVインデックスと各国の各月におけるUVインデックスとの関係を知ることができる。
【0149】
例えば、紫外線測定装置10が使用されている国がアメリカで現在8月である場合、紫外線演算部70は、日本の線
図100の6月おけるUVインデックスとアメリカの線
図106の8月におけるUVインデックスとの関係を取得する。そして、紫外線演算部70は、取得した関係に基づいてUVインデックスを補正する。
【0150】
続いて、
図8及び
図9を参照して、時期情報に示される現在の時刻と位置情報から特定される国内の場所とを用いてUVインデックスを補正する手法ついて具体的に説明する。ここでは、紫外線演算部70は、時計部24で得られた現在の時刻を特定する。
【0151】
図8は、東京の6月のデータを示す図であり、
図8には、一日の時間とUVインデックスとの関係が線
図110で示されている。
図9は、沖縄における那覇の6月のデータを示す図であり、
図9には、一日の時間とUVインデックスとの関係が線
図112で示されている。各線
図110,112において、UVインデックスは時刻ごとに変動する。
【0152】
図8の線
図110から、東京の6月における各時刻でのUVインデックスの変化を知ることができ、
図9の線
図112から、那覇の6月における各時刻でのUVインデックスの変化を知ることができる。
【0153】
例えば、紫外線測定装置10が使用されている場所が東京であり、現在の時刻が15時である場合は、紫外線演算部70は、
図8の線
図110を用いてUVインデックスを補正する。
【0154】
また、紫外線測定装置10が使用されている場所が那覇であり、現在の時刻が15時である場合、紫外線演算部70は、
図9の線
図112を用いてUVインデックスを補正する。
【0155】
他の方法として、位置情報によるUVインデックスの補正は、測定地点の経度を用いて、タイムゾーンの基準となる地点からの経度差を用いて補正を行ってもよい。さらに他の方法として、測定地点の高度を用いて補正を行ってもよい。
【0156】
次に、
図10を参照して、日焼時間Tsbを補正する手法の具体例について説明する。
【0157】
図10は、UVインデックスと日焼時間Tsbとの関係を肌タイプ別に示した図であり、
図10には日焼時間テーブル120が示されている。
【0158】
日焼時間テーブル120には、UVインデックスに基づいて算出された日焼時間Tsbが示されている。各日焼時間Tsbは、肌タイプ別に示されており、日焼時間テーブル120を用いることにより、UVインデックスから肌タイプ別に補正された日焼時間Tsbを取得することができる。
【0159】
したがって、本実施形態では、肌情報記憶部66にあらかじめ日焼時間テーブル120を記憶しておき、日焼時間算出部72は、入力部18から入力された肌タイプに応じて利用者の日焼時間Tsbを補正する。
【0160】
これに代えて、日焼時間算出部72は、肌タイプごとにあらかじめ設定されたMEDの数値を上式(3)に代入することにより、日焼時間Tsbを肌タイプに応じて補正してもよい。
【0161】
また、生成時間TDと同様、日焼時間テーブル120に地表面の状態による補正量を記憶しておき、日焼時間算出部72は、地表面の状態に応じて日焼時間Tsbを補正してもよい。
【0162】
次に、
図11を参照して、ビタミンDの生成時間T
Dを算出する手法の具体例について説明する。
【0163】
図11は、UVインデックスとビタミンDの生成時間T
Dとの関係を肌タイプ別に示した図であり、
図11には、生成時間テーブル130が示されている。生成時間テーブル130は、利用者の服装が長袖シャツ・長ズボンである場合を基準として生成されている。
【0164】
生成時間テーブル130には、UVインデックスに基づき算出された生成時間TDが示されている。各生成時間TDは、肌タイプ別に示されており、生成時間テーブル130を用いることで、UVインデックスから肌タイプ別に補正された生成時間TDを取得することができる。
【0165】
生成時間テーブル130は、肌タイプが「タイプ3」である場合が標準とされており、他の肌タイプにおける各生成時間TDは、肌タイプが「タイプ3」であるときの各生成時間TDに補正係数を乗算することで求められている。
【0166】
また、生成されるビタミンDの量は皮膚の露出面積により変化する。その一例として、利用者の服装を半袖シャツとした場合、長袖シャツの場合と比較して、ビタミンDの生成時間TDが半分程度になることが分かっている。
【0167】
このため、UVインデックスを用いることにより、ビタミンDの生成時間TDを推定することができる。また、肌タイプごとに設定された補正係数を用いることにより、生成時間TDを利用者の肌タイプに応じて補正することができる。
【0168】
また、生成時間テーブル130に地表面の状態による補正量を記憶しておき、地表面の状態に応じて生成時間TDを補正してもよい。
【0169】
なお、本実施形態では測定地点が変わる例について説明したが、測定地点が変わらない場合は、位置特定部26及び位置情報取得部60を省略してもよい。また、あらかじめ定められた時期、例えば8月の正午にのみ紫外線測定を行うような場合は、時計部24及び日時情報取得部62を省略してもよい。
【0170】
次に、第二実施形態による作用効果について説明する。
【0171】
本実施形態における演算部44の紫外線演算部70は、第一実施形態と同様、黒球温度Tg及び乾球温度Taの温度差(Tg-Ta)に基づいて紫外線の強さ指標を決定する。それゆえ、第一実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0172】
さらに、本実施形態における紫外線測定装置10Aは、黒球温度Tgを測定した地点を示す位置情報を取得する位置取得手段として位置情報取得部60をさらに含み、演算部44は、さらに位置情報を用いて紫外線の強さ指標を補正する。すなわち、演算部44は、黒球温度Tg、乾球温度Ta及び位置情報に基づいて紫外線の強さ指標を決定する。
【0173】
この構成によれば、測定した地点を示す位置情報を考慮した測定結果を得ることができる。これにより、測定地点の緯度による太陽高度の影響が測定結果に反映されるので、紫外線の測定精度を向上させることができる。
【0174】
また、本実施形態における紫外線測定装置10Aは、黒球温度Tgを測定した地点の時期を示す時期情報を取得する時期取得手段である日時情報取得部62をさらに含み、演算部44は、さらに時期情報を用いて紫外線の強さ指標をする。すなわち、演算部44は、黒球温度Tg、乾球温度Ta及び時期情報に基づいて紫外線の強さ指標を決定する。
【0175】
この構成によれば、一例として季節ごと変化する紫外線量の変化を加味した測定結果を得ることができる。これにより、測定精度の向上を図ることが可能となる。
【0176】
また、本実施形態における記憶部16は、
図5A及び
図5Bに示したように、一日における複数の区間ごとに温度差(Tg-Ta)と紫外線の強さ指標との関係を示す区間情報を記憶する。この場合、演算部44は、温度取得部42で取得された黒球温度Tg及び乾球温度Taの温度差(Tg-Ta)を求めると、記憶部16に記憶された区間情報のうち、日時情報取得部62で取得された時刻情報に含まれる時刻に該当する区間情報を選択する。そして演算部44は、選択した区間情報を参照し、求めた温度差(Tg-Ta)に対応する紫外線の強さ指標を取得する。
【0177】
この構成によれば、一日の区間ごと変化する温度差(Tg-Ta)と強さ指標との相関関係の変化を加味した測定結果を得ることができる。これにより、測定精度の向上を図ることが可能となる。
【0178】
さらに、本実施形態における演算部44の生成時間算出部74は、紫外線の強さ指標に基づいて紫外線により体内でビタミンDが生成されるまでの生成時間TDを推定する。
【0179】
この構成によれば、一日に必要なビタミンDを生成するために必要な時間を知ることができるので、利用者の利便性が向上する。
【0180】
また、本実施形態における演算部44の日焼時間算出部72は、紫外線の強さ指標に基づいて利用者が日焼けするまでの日焼時間Tsbを推定する。
【0181】
この構成によれば、日焼時間Tsbを知ることができるので、利用者において、日焼対策が講じやすくなる。
【0182】
さらに、本実施形態における演算部44は、一定期間内に決定された強さ指標を累積し、累積した強さ指標が所定値に達したか否かを判断する。すなわち、演算部44は、日光浴の開始から終了までの紫外線量を日光浴毎に取得するとともに一定期間内の日光浴毎の紫外線量を累積し、累積した累積紫外線量が日焼時間Tsbに達したか否かを判断する。具体例としては、演算部44は、日光浴の開始から終了までの経過時間を日光浴毎に取得するとともに一定期間内の日光浴毎の経過時間を累積し、累積した累積時間が日焼時間Tsbに達したか否かを判断する。
【0183】
日焼けによるダメージは、一定期間、例えば一週間ほど蓄積されるといわれている。そこで、この構成を用いることによって、日焼の蓄積を考慮した時間の管理が可能となる。なお、日焼時間算出部72と同様、演算部44の生成時間算出部74は、日光浴毎の経過時間を累積し、その累積時間が生成時間TDに達したか否かを判断してもよい。
【0184】
また、本実施形態における紫外線測定装置10Aは、被測定者の紫外線に対する肌の特性を取得する特性取得手段である入力情報取得部46をさらに含み、演算部44は、肌の特性を用いて日焼時間Tsbおよび生成時間TDの少なくとも一つを補正する。すなわち、演算部44は、紫外線の強さ指標及び肌の特性に基づいて日焼時間Tsbおよび生成時間TDの少なくとも一方を決定する。
【0185】
この構成によれば、肌の特定の一例である肌色の違いによる日焼けの進行などの影響を加味できるため、日焼時間Tsbの管理による効果の向上が可能となる。
【0186】
さらに、本実施形態では、肌の特性の初期値を使用地域に基づいてあらかじめ定められた標準値とする初期設定手段としての初期設定部82をさらに備える。
【0187】
この構成によれば、肌の特性を入力しないと測定できない場合と比較して、肌の特性が分からない状態であっても、使用が可能となる。
【0188】
また、本実施形態は、被測定者における肌の露出度を取得する露出度取得手段である入力情報取得部46をさらに含み、演算部44は、さらに肌の露出度を用いて生成時間TDを補正する。すなわち、演算部44は、紫外線の強さ指標及び肌の露出度に基づいて生成時間TDを決定する。
【0189】
この構成によれば、露出度による影響を加味した測定が可能となるため、ビタミンDの生成時間TDの算出精度の向上が可能となる。
【0190】
(第三実施形態に係る機能構成)
図12は、第三実施形態に係る紫外線測定装置10Bの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0191】
本実施形態では、暑さに関する指標を算出する点が第一実施形態及び第二実施形態とは異なる。そのため、第一実施形態及び第二実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分を中心に説明する。
【0192】
紫外線測定装置10Bは、
図6に示した第二実施形態における紫外線測定装置10Aの構成に加えて
図1に示した湿度センサ36を備えており、
図6に示した測定部40Aの代わりに測定部40Bを備えている。測定部40Bは、測定部40Aの構成に加えて湿度取得部80及び暑さ指標演算部84を備えている。
【0193】
湿度取得部80は、
図1で述べた湿度センサ36から外気における湿度を取得する。なお、湿度取得部80は、通信部23を介して湿度センサ36を有する外部装置から外気における湿度を取得してもよい。
【0194】
暑さ指標演算部84は、湿度取得部80によって取得される湿度と、温度取得部42によって取得される黒球温度Tg及び乾球温度Taの少なくとも一つの温度とに基づいて暑さ指標を演算する。暑さ指標としては、一例として熱中症の発生確率と相関関係を有する指標が挙げられる。
【0195】
例えば、暑さ指標演算部84は、湿度取得部80により取得される湿度と温度取得部42により取得される黒球温度Tgとに基づいて暑さ指標を演算する。または、暑さ指標演算部84は、湿度取得部80により取得される湿度と温度取得部42により取得される乾球温度Taとに基づいて暑さ指標を演算する。
【0196】
本実施形態では、暑さ指標演算部84は、湿度取得部80により取得される湿度と、温度取得部42により取得される黒球温度Tgとに基づいて暑さ指標を演算する。
【0197】
暑さ指標演算部84は、演算した暑さ指標に基づいて、利用者が熱中症を引き起こすリスクが相対的に高い旨を示す警告信号を出力情報生成部48に出力する。
【0198】
具体例として、暑さ指標演算部84は、暑さ指標が閾値を超えるか否かを判断し、暑さ指標が閾値を超えた場合には、警告信号を出力情報生成部48に出力する。そして出力情報生成部48は、その警告信号に従って警告を報知するための報知データを報知部22へ出力する。これにより、報知部22は、熱中症への注意を促すための警告音を報知する。
【0199】
なお、暑さ指標に関する上述の閾値は、実験又はシミュレーションなどを通じて定められ、例えば、記憶部16にあらかじめ記憶されている。
【0200】
次に、
図13乃至
図22を参照して、第三実施形態に係る紫外線測定装置10Bの動作について具体的に説明する。
【0201】
図13は、紫外線測定装置10Bを構成するプロセッサ14によって実行される紫外線測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0202】
プロセッサ14は、記憶部16に記憶された測定プログラムの紫外線測定処理を実行する。
【0203】
これにより、プロセッサ14は、まず、紫外線の強さ指標、日焼時間、及びビタミンDの生成時間の算出に必要となる情報を設定するための入力処理を実行する(ステップS1)。入力処理の具体例については
図14を参照して後述する。
【0204】
続いて、プロセッサ14は、紫外線の強さ指標を取得するための強さ指標取得処理を実行する(ステップS2)。強さ指標取得処理の具体例については
図15を参照して後述する。
【0205】
続いて、プロセッサ14は、紫外線の強さ指標を補正するための補正処理を実行する(ステップS3)。補正処理の具体例については
図16を参照して後述する。
【0206】
続いて、プロセッサ14は、紫外線の強さ指標に基づいて利用者の日焼時間を算出するための日焼時間算出処理を実行する(ステップS4)。例えば、プロセッサ14は、肌が赤くなるまで(日焼けが始まるまで)の一定期間当たりの日焼時間を算出する。この日焼時間算出処理の具体例については
図17を参照して後述する。
【0207】
続いて、プロセッサ14は、ビタミンDの生成時間を算出するための生成時間算出処理を実行する(ステップS5)。生成時間算出処理の具体例については
図18を参照して後述する。
【0208】
続いて、プロセッサ14は、人体が感じる暑さを数値化した暑さ指標を算出するための暑さ指標算出処理を実行する(ステップS6)。暑さ指標算出処理の具体例については
図19を参照して後述する。
【0209】
続いて、プロセッサ14は、算出結果を表示するための表示処理を実行する(ステップS7)。これにより、プロセッサ14は、表示部21の表示画面を制御する。表示処理の具体例については
図20乃至
図22を参照して後述する。
【0210】
続いて、プロセッサ14は、紫外線測定装置10Bの入力部18を構成する終了スイッチが操作されたか否かを判断する(ステップS8)。
【0211】
そしてプロセッサ14は、終了スイッチが操作されていないと判断した場合は、ステップS2へ分岐する一方、終了スイッチが操作されたと判断した場合は、当該紫外線測定処理を終了する。
【0212】
なお、測定条件が変わらない場合はステップS3の補正処理を省略してもよい。また、ステップS4の日焼時間算出処理とステップS5の生成時間算出処理とは、順番を入れ替えてもよく、利用者の入力操作によって両者の一方の処理を選択して他方の処理を省略してもよい。
【0213】
次に、
図13に示した紫外線測定処理におけるステップS1の入力処理について
図14を参照して説明する。
【0214】
図14は、ステップS1の入力処理の一例を示すフローチャートである。
【0215】
ステップS1の入力処理では、プロセッサ14は、表示部21を用いて日時の入力を促す表示を行うとともに、入力部18により日時の入力が行われるまで待機する(ステップSB1)。入力される日時としては、現在の年月日及び時刻が挙げられる。
【0216】
日時が入力された場合は、プロセッサ14は、入力内容を時計部24にセットし、時計部24を用いて時刻の計測を開始する(ステップSB2)。
【0217】
続いて、プロセッサ14は、表示部21に対して紫外線測定装置10を使用する地域の入力を促す表示を行うとともに、入力部18より地域の入力が行われるまで待機する(ステップSB3)。そしてプロセッサ14は、地域の入力が行われた場合、入力された地域名を記憶部16に記憶する(ステップSB4)。
【0218】
地域の入力方法は、一例として表示部21に表示した国名を利用者に選択させることにより行う。選択可能な国名は、一例として、日本、ロシア、スペイン、及びアメリカが挙げられる。
【0219】
続いて、プロセッサ14は、表示部21に対して利用者の肌の特性を示す肌タイプの入力を促す表示を行うとともに、入力部18より肌タイプの入力が行われるまで一定時間待機する(ステップSB5)。
【0220】
一方、プロセッサ14は、一定時間内に肌タイプが入力された場合、入力された肌タイプを記憶部16に記憶する(ステップSB6)。これにより、利用者の紫外線に対する肌の特性を取得する。
【0221】
ステップSB5においてプロセッサ14は、肌タイプの初期値として、使用地域に基づいてあらかじめ定められた標準値を記憶部16に記憶する(ステップSB7)。
【0222】
ここで、肌タイプは、人の肌色に基づいて定められたタイプであり、肌タイプの一例として「タイプ1」から「タイプ6」が用意されている。この肌タイプにおいて、日本人のほとんどは、「タイプ2」から「タイプ4」に該当し、日本人において、もっとも標準的な肌タイプは、「タイプ3」であることが分かっている。
【0223】
そのため、日本人の肌タイプの標準値をあらかじめ「タイプ3」として設定しておき、記憶部16に記憶された地域が「日本」である場合は、日本人の標準値として設定された「タイプ3」を肌タイプとして記憶部16に記憶する。
【0224】
続いて、プロセッサ14は、表示部21に対して肌の露出度の入力を促す表示を行うとともに、入力部18から露出度の入力が行われるまで待機する(ステップSB8)。プロセッサ14は、入力部18から露出度を取得した場合、その露出度を記憶部16に記憶して(ステップSB9)、ステップS1の入力処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0225】
露出度の入力方法は、一例として表示部21に表示した露出度を使用者に選択させることにより行う。露出度を示す表示としては、一例として、半袖シャツ又は長袖シャツの選択画面と、長ズボン又は半ズボンの選択画面とが挙げられる。
【0226】
(強さ指標取得処理)
次に、
図13に示した紫外線測定処理におけるステップS2の強さ指標取得処理について
図15を参照して詳細に説明する。
【0227】
図15は、ステップS2の強さ指標取得処理の一例を示すフローチャートである。
【0228】
ステップS2の強さ指標取得処理では、プロセッサ14は、黒球温度センサ32から外気における黒球温度Tgを取得し(ステップSC1)、乾球温度センサ34から外気における乾球温度Taを取得する(ステップSC2)。そして、プロセッサ14は、黒球温度Tgから乾球温度Taを減じて得られる温度差(Tg-Ta)を算出する(ステップSC3)。
【0229】
続いて、プロセッサ14は、記憶部16にあらかじめ記憶された基準情報を読み込み(ステップSC4)、基準情報を参照して温度差(Tg-Ta)に対応する強さ指標を取得する(ステップSC5)。
【0230】
これにより、取得した黒球温度Tg及び乾球温度Taに基づいて紫外線指標を演算した後、プロセッサ14は、ステップS2の強さ指標取得処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0231】
(補正処理)
次に、
図13に示した紫外線測定処理におけるステップS3の補正処理について
図16を参照して詳細に説明する。
【0232】
図16は、ステップS3の補正処理の一例を示すフローチャートである。
【0233】
ステップS3の補正処理では、まず、プロセッサ14は、位置特定部26から現在の緯度を取得する(ステップSD1)。そして、プロセッサ14は、取得した緯度に基づいてUVインデックスを補正する(ステップSD2)。
【0234】
すなわち、プロセッサ14は、黒球温度Tgを測定した地点を示す位置情報を取得するとともに、取得した位置情報を用いて紫外線指標を補正する。
【0235】
続いて、プロセッサ14は、時計部24から現在の月日を取得し、取得した月日と位置情報とによって特定される季節に応じてUVインデックスを補正する(ステップSD3)。
【0236】
このように、プロセッサ14は、黒球温度Tgを測定した地点の時期として季節を示す時期情報を取得するとともに、取得した時期情報に示された季節を用いて紫外線の強さ指標を補正する。
【0237】
続いて、プロセッサ14は、時計部24から現在の時刻を取得する(ステップSD4)。プロセッサ14は、取得した時刻に基づいてUVインデックスをさらに補正する(ステップSD5)。
【0238】
このように、プロセッサ14は、黒球温度Tgを測定した地点の時期として時刻を示す時期情報を取得するとともに、取得した時期情報に示された時刻に応じて紫外線の強さ指標を補正する。この後、プロセッサ14は、ステップS3の補正処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0239】
(日焼時間算出処理)
次に、
図13に示した紫外線測定処理におけるステップS4の日焼時間算出処理について
図17を参照して詳細に説明する。
【0240】
図17は、ステップS4の日焼時間算出処理の一例を示すフローチャートである。
【0241】
ステップS4の日焼時間算出処理では、まず、プロセッサ14は、記憶部16に構築された日焼時間カウンタが「0」であるか否かを判断する(ステップSF1)。
【0242】
始めは、日焼時間の計測が開始されておらず、日焼時間カウンタは「0」である。この状態においてプロセッサ14は、記憶部16にあらかじめ記憶された上式(3)を示す数式情報を読み込む(ステップSF2)。
【0243】
続いて、プロセッサ14は、ステップSF2で読み込まれた数式情報とステップS3の補正処理で補正されたUVインデックスとを用いて、利用者の日焼時間Tsbを推定する(ステップSF3)。
【0244】
なお、上記の数式情報に代えて、
図10に示したように日焼時間テーブル120が記憶部16にあらかじめ記憶されてもよい。この場合、プロセッサ14は、ステップS3でUVインデックスに補正処理が施されると、記憶部16から日焼時間テーブル120を読み出し、その日焼時間テーブル120と補正後のUVインデックスとを用いて日焼時間Tsbを推定する。
【0245】
このように、プロセッサ14は、紫外線の強さ指標であるUVインデックスを用いて利用者が日焼けするまでの日焼時間Tsbを推定する。
【0246】
続いて、プロセッサ14は、推定された日焼時間Tsbを、記憶部16に記憶された肌タイプを用いて補正する(ステップSF4)。そして、プロセッサ14は、補正後の日焼時間Tsbを日焼時間カウンタに読書可能に記憶する(ステップSF5)。
【0247】
続いて、プロセッサ14は、入力部18を構成する日焼スイッチの設定状態に応じて変化する日焼フラグを記憶部16から読み込んで日焼時間が計測中であるか否かを判断する(ステップSF6)。
【0248】
ステップSF6においてプロセッサ14は、日焼時間が計測中であると判断した場合には、ステップSF7へ移行し、一方、日焼時間が計測中でないと判断した場合には、ステップSF10へ分岐する。
【0249】
日焼スイッチは、日光浴を開始した時点と終了した時点とで操作されるスイッチであり、日焼スイッチを操作するたびに、日焼フラグの状態が「0」と「1」との間で変化する。
【0250】
例えば、日光浴を開始する際に日焼スイッチが操作された場合、日焼フラグは、「1」となり、日焼時間が計測中であることを示す。日光浴を終了する際に日焼スイッチが再度操作された場合、日焼フラグは、「0」となり、非計測中であることを示す。
【0251】
ステップSF6において日焼時間が計測中であると判断した場合、プロセッサ14は、日焼時間カウンタをカウントダウンし(ステップSF7)、日焼時間カウンタが「0」になったか否かを判断する(ステップSF8)。
【0252】
ステップSF8においてプロセッサ14は、日焼時間カウンタが「0」になったと判断した場合には、ステップSF9へ移行し、日焼時間カウンタが「0」でないと判断した場合には、ステップSF10へ分岐する。
【0253】
続いて、プロセッサ14は、報知部22に報知データを出力することにより、報知装置から日焼時間Tsbが経過した旨を音声で報知し(ステップSF9)、その後、
図13に示したステップS4の日焼時間算出処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0254】
続いて、プロセッサ14は、最初に日焼時間Tsbのカウントダウンを開始した時点から一定期間が経過したか否かを時計部24の時刻から判断する(ステップSF10)。そしてプロセッサ14は、一定期間が経過していないと判断した場合は、残存した日焼時間カウントをリセットすることなく停止して、ステップS4の日焼時間算出処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0255】
一方、ステップSF10において一定時間が経過していると判断した場合、プロセッサ14は、日焼時間カウンタを「0」として紫外線測定処理へ戻る。
【0256】
これにより、日光浴を一旦中断したが日焼時間Tsbが経過していない場合、最初に日焼時間Tsbのカウントダウンを開始した時点から一定期間が経過していなければ日焼時間カウンタに残存した日焼時間Tsbのカウントダウンを継続する。
【0257】
ここで、上述した一定期間を一日とするとともに日焼時間Tsbが30分の場合を例に挙げて説明する。例えば、午前中に10分間日光浴をした後、午後に日光浴を再開する場合、日焼時間カウンタは、20分からカウントダウンを開始する。この場合、一日の日焼時間Tsbを管理することが可能となる。
【0258】
この例において、午後に日光浴を再開するときには、再開した時点の紫外線量は、午前に日焼時間Tsbのカウントダウンを開始した時点の紫外線量に比べて変化していることも想定される。この対策として、カウントダウンを再開する時点において、紫外線の強さ指標としてのUVインデックスを算出し、そのUVインデックスの値を用いて残存した日焼時間Tsbを再計算してもよい。
【0259】
具体例としては、残存した日焼時間Tsbが20分であり、日光浴の再開時点の紫外線量が開始時点よりも20%程度弱くなっている場合は、残存した日焼時間Tsbを25分に変更する。このように、複数回にわけてカウントダウンを継続する場合は、カウントダウンを再開する時点の紫外線の強さ指標を再度算出し、再度算出した強さ指標に基づいて残存した日焼時間Tsbを補正してもよい。
【0260】
なお、この一定期間は、一日に限定されるものではなく、例えば一週間としてもよい。ここで、日焼が肌に与えるダメージは、一週間蓄積されることが知られており、例えば一定期間を一週間とすることで、肌に与えるダメージの蓄積を管理することが可能となる。
【0261】
これにより、日光浴の開始から終了までの経過時間を日光浴毎に取得するとともに一定期間内の日光浴毎の経過時間を累積し、累積した累積時間が日焼時間Tsbに達したか否かを判断する。
【0262】
一方、日光浴を一旦中断した際に日焼時間Tsbが経過していない場合であっても、最初に日焼時間Tsbのカウントダウンを開始した時点から一定期間が経過している場合には、日焼時間カウンタを「0」とする。これにより、次の日光浴開始時において、日焼時間Tsbを強制的に再設定する。
【0263】
(生成時間算出処理)
次に、
図13に示した紫外線測定処理におけるステップS5の生成時間算出処理について
図18を参照して詳細に説明する。
【0264】
図18は、ステップS5の生成時間算出処理の一例を示すフローチャートである。この例では、プロセッサ14は、日光浴で生成されるビタミンDの生成時間を算出する。
【0265】
ステップS5の生成時間算出処理では、まず、記憶部16にあらかじめ構築された生成時間カウンタが「0」であるか否かを判断する(ステップSG1)。
【0266】
始めは、生成時間の計測が開始されておらず、生成時間カウンタは「0」であるので、プロセッサ14は、記憶部16にあらかじめ記憶された式(4)を示す数式情報を読み込む(ステップSG2)。
【0267】
続いて、プロセッサ14は、ステップSG2で読み込まれた数式情報とステップS3の補正処理により補正されたUVインデックスとを用いて、ビタミンDの生成時間TDを推定する(ステップSG3)。
【0268】
なお、上記の数式情報に代えて、
図11に示したように生成時間テーブル130が記憶部16にあらかじめ記憶されてもよい。この場合、プロセッサ14は、ステップS3でUVインデックスに補正処理が施されると、記憶部16から生成時間テーブル130を読み出し、その日焼時間テーブル120と補正後のUVインデックスとを用いて日焼時間Tsbを推定する。
【0269】
このように、プロセッサ14は、紫外線の強さ指標であるUVインデックスを用いて紫外線により体内でビタミンDが生成されるまでの生成時間TDを推定する。
【0270】
続いて、プロセッサ14は、推定された生成時間TDを、記憶部16に記憶された肌タイプを用いて補正するとともに(ステップSG4)、補正された生成時間TDを、記憶部16に記憶された肌の露出度を用いて補正する(ステップSF5)。
【0271】
そして、プロセッサ14は、補正後の生成時間TDを生成時間カウンタに読書可能に記憶する(ステップSG6)。
【0272】
続いて、プロセッサ14は、入力部18を構成する生成スイッチの設定状態に応じて変化する生成フラグを記憶部16から読み込んで、生成時間TDを計測している状態であるか否かを判断する(ステップSG7)。
【0273】
そしてプロセッサ14は、生成時間TDが計測中であると判断した場合には、ステップSG8へ移行し、生成時間TDが計測中でないと判断した場合は、ステップSG11へ分岐する。
【0274】
上述の生成スイッチは、日光浴を開始した時点と終了した時点とで操作されるスイッチであり、生成スイッチを操作する毎に、生成フラグの状態が「0」と「1」とで変化する。日光浴開始時に生成スイッチが操作された場合、生成フラグは「1」となり、生成時間計測中を示す。日光浴を終了する際に生成スイッチが再度操作された場合、生成フラグは「0」となり、非計測中を示す。
【0275】
ステップSG7において生成時間TDが計測中であると判断した場合、プロセッサ14は、生成時間カウンタをカウントダウンし(ステップSG8)、生成時間カウンタが「0」になったか否かを判断する(ステップSG9)。
【0276】
ステップSG9においてプロセッサ14は、生成時間カウンタが「0」になったと判断した場合には、ステップSG10へ移行し、一方、生成時間カウンタが「0」でないと判断した場合には、ステップSG11へ分岐する。
【0277】
続いて、プロセッサ14は、報知部22に報知データを出力することにより、報知部22から生成時間TDに達した旨を音声で報知し(ステップSG10)、その後、ステップS5の生成時間算出処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0278】
続いて、プロセッサ14は、最初に生成時間TDのカウントダウンを開始した時点から一定期間が経過したか否かを時計部24の時刻から判断する(ステップSG11)。ステップSF11において一定期間が経過していないとの判断がなされた場合、ステップS5の生成時間算出処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0279】
一方、ステップSG11において一定期間が経過していると判断した場合は、プロセッサ14は、生成時間カウンタを「0」とし、ステップS5の生成時間算出処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0280】
これにより、日光浴を一旦中断したが生成時間が経過していない場合には、最初に生成時間TDのカウントダウンを開始した時点から一定期間が経過していなければ、生成時間カウンタに残存した生成時間のカウントダウンを継続可能とする。
【0281】
このように、プロセッサ14は、日光浴の開始から終了までの経過時間を日光浴毎に取得するとともに一定期間内の日光浴毎の経過時間を累積し、累積した累積時間が生成時間TDに達したか否かを判断する。
【0282】
一方、日光浴を一旦中断した際に生成時間TDが経過していない場合であっても、最初に生成時間TDのカウントダウンを開始した時点から一定期間が経過している場合には、プロセッサ14は、生成時間カウンタを「0」とする。これにより、次の日光浴開始時において生成時間TDが強制的に再設定される。
【0283】
上述した一定期間を一日に設定するとともに生成時間TDが30分である場合を例に挙げて説明する。例えば、午前中に10分間日光浴をした後、午後に日光浴を再開する場合、生成時間カウンタは、20分からカウントダウンを開始する。この場合には、一日の生成時間TDを管理することが可能となり、一日のビタミンDの必要量の管理が容易となる。
【0284】
なお、日焼時間Tsbと同様、複数回にわけて生成時間TDのカウントダウンを継続する場合は、カウントダウンを再開する時点の紫外線の強さ指標を再度算出し、再度算出した強さ指標に基づいて残存した生成時間TDを補正してもよい。
【0285】
(暑さ指標算出処理)
次に、
図13に示した紫外線測定処理におけるステップS6の暑さ指標算出処理について
図19を参照して詳細に説明する。
【0286】
図19は、ステップS6の暑さ指標算出処理の一例を示すフローチャートである。
【0287】
ステップS6の暑さ指標算出処理では、まず、プロセッサ14は、湿度センサ36から外気における湿度を取得する(ステップSH1)。これと共にプロセッサ14は、黒球温度センサ32から黒球温度Tgを取得し(ステップSH2)、乾球温度センサ34から乾球温度Taを取得する(ステップSH3)。
【0288】
続いて、プロセッサ14は、取得した湿度と黒球温度Tgと乾球温度Taとから暑さに関する暑さ指標を算出する(ステップSH4)。人体が暑さを感じる場合、温度よりも湿度の影響が大きく、温度及び湿度から暑さ指標を算出することが一般的に行われている。本実施形態では、一例として暑さ指標を算出する際に一般的に用いられている算出式を用いて暑さ指標が算出される。
【0289】
続いて、プロセッサ14は、算出した暑さ指標を表示するための指標表示データを表示部21に出力することにより表示部21に暑さ指標を表示する(ステップSH5)。
【0290】
そして、プロセッサ14は、暑さ指標があらかじめ定められた閾値を超えているか否かを判断する(ステップSH6)。この閾値は、一例として熱中症の発生確率が高まる値が設定されている。
【0291】
ステップSH6において暑さ指標が閾値以下と判断した場合には、プロセッサ14は、何もせずにステップS6の暑さ指標算出処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0292】
一方、ステップSH6において暑さ指標が閾値を超えたとの判断がなされた場合には、熱中症の発生確率が高くなる。そのため、プロセッサ14は、警告データを出力情報生成部48に出力して報知部22から警告を報知する(ステップSH7)。その後、プロセッサ14は、ステップS6の暑さ指標算出処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0293】
(表示処理)
次に、
図13に示した紫外線測定処理におけるステップS7の表示処理について
図20乃至
図22を参照して詳細に説明する。
【0294】
図20は、ステップS7の表示処理の一例を示すフローチャートである。この例では、プロセッサ14は表示部21の表示画面を制御する。
図21は、表示部21の表示画面において湿度表示142と日焼時間表示144との切替状態を示す図である。
図22は、表示部21の表示画面において湿度表示142と生成時間表示146との切替状態を示す図である。
【0295】
ステップS7の表示処理では、まず、プロセッサ14は、乾球温度Taを周囲温度として表示するための乾球温度データと湿度を表示するための湿度データとを表示部21に出力することで通常画像を表示する(ステップSJ1)。これにより、
図21に示すように、表示部21の表示画面148には、周囲温度150と湿度152とが表示される。
【0296】
続いて、プロセッサ14は、記憶部16に記憶された地域名を参照し、紫外線測定装置10Bの使用地域が日本であるか否かを判断する(ステップSJ2)。ステップSJ2においてプロセッサ14は、使用地域が日本、すなわち国内であると判断した場合には、ステップSJ3へ移行し、使用地域が日本以外であり国内でないと判断した場合には、ステップSJ6へ分岐する。
【0297】
続いて、プロセッサ14は、入力部18を構成する切替スイッチの設定状態に応じて変化する切替フラグを記憶部16から読み込み、表示部21の表示画面に日焼時間Tsbを表示するか否かを判断する(ステップSJ3)。
【0298】
切替スイッチは、表示を切り替える際に操作されるスイッチであり、切替スイッチを操作する毎に、切替フラグの状態が「0」と「1」とで変化する。切替フラグは、「0」の場合に湿度の表示を示し、「1」の場合に日焼時間Tsb又は生成時間TDの表示を示す。
【0299】
ステップSJ3において切替フラグが「1」であって日焼時間Tsbの表示であると判断した場合には、プロセッサ14は、日焼時間カウンタの日焼時間Tsbを表示するための日焼時間データを表示部21に出力する。これにより、プロセッサ14は、表示部21の表示画面140に日焼時間Tsbを表示させ(ステップSJ4)、その後にステップS7の表示処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0300】
一方、ステップSJ3において切替フラグが「0」であり、日焼時間Tsbの表示でないと判断した場合には、プロセッサ14は、湿度を表示するための湿度データを表示部21に出力する。これにより、プロセッサ14は、表示画面148に湿度152を表示させ(ステップSJ5)、その後にステップS7の表示処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0301】
このように、紫外線測定装置10を国内で使用する場合、
図21に示すように、表示部21における表示画面を湿度152と日焼時間Tsbとで切り替えることができる。
【0302】
続いて、プロセッサ14は、切替スイッチの設定状態に応じて変化する切替フラグを記憶部16から読み込んで、表示画面140に生成時間TDを表示するか否かを判断する(ステップSJ6)。
【0303】
切替スイッチは、表示を切り替える際に操作されるスイッチであり、切替スイッチを操作する毎に、切替フラグの状態が「0」と「1」とで変化する。切替フラグは、「0」の場合に湿度の表示を示し、「1」の場合に日焼時間Tsb又は生成時間TDの表示を示す。
【0304】
そして、ステップSJ6において切替フラグが「1」であり生成時間TDの表示であると判断した場合は、プロセッサ14は、生成時間カウンタの生成時間TDを表示するための生成時間データを表示部21に出力する。これにより、プロセッサ14は、表示画面140に生成時間TDを表示させ(ステップSJ7)、その後にステップS7の表示処理を呼び出した紫外線測定処理へ戻る。
【0305】
一方、ステップSJ6において切替フラグが「0」であり生成時間TDの表示でないと判断した場合は、プロセッサ14は、ステップSJ5へ分岐する。
【0306】
このように、紫外線測定装置10を国外で使用する場合、
図22に示すように、表示部21における表示画面を湿度152と生成時間T
Dとで切り替えることができる。
【0307】
次に、第三実施形態による作用効果について説明する。
【0308】
本実施形態における紫外線測定装置10Bは、第一及び第二実施形態と同様の構成を備える。そのため、第一及び第二実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0309】
また、本実施形態における紫外線測定装置10によって実施される測定方法は、外気における黒球温度Tg及び乾球温度Taを取得するステップSC1,SC2(温度取得ステップ)を含む。この測定方法は、ステップSC1,SC2により取得される黒球温度Tg及び乾球温度Taに基づいて紫外線の強さに関する強さ指標を決定するステップSC3乃至SC5(処理ステップ)を含む。
【0310】
また、本実施形態における紫外線測定装置10を構成するコンピュータに実行させるためのプログラムは、温度取得ステップとしてのステップSC1,SC2と、処理ステップとしてのステップSC3乃至SC5と、を含む。
【0311】
これらの構成によれば、黒球温度Tgおよび乾球温度Taに基づいて紫外線の強さに関する指標を取得することができる。このため、市販の紫外線センサを太陽へ向けて向きの調整作業を行わなければならない場合と比較して、紫外線の強さを簡易に取得することが可能となる。
【0312】
これに加え、本実施形態における紫外線測定装置10Bは、第一及び第二実施形態とは異なり、外気における湿度を取得する湿度取得手段として湿度取得部80をさらに含む。また、演算部44は、湿度取得部80により取得される湿度と温度取得部42により取得される黒球温度Tgおよび乾球温度Taの少なくとも一つとに基づいて暑さに関する暑さ指標を決定する。
【0313】
この構成によれば、暑さ指標を知ることができるので、例えば熱中症などの対策が可能となる。したがって、紫外線による人体への影響と熱中症のリスクとを簡易かつ同時に把握することができる。このように、熱中症のリスクと紫外線量との二つの状況を一つのデバイス、装置又はセンサからなる紫外線測定装置10Bにより把握することができる。
【0314】
そして、本実施形態における紫外線を測定する測定方法及びプログラムにおいても、上述した作用及び効果を奏することが可能となる。
【0315】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述の実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0316】
例えば、上記実施形態では時期情報及び位置情報を用いて紫外線の強さ指標を補正したが、これに加えて又はこれに代えて、現在の天候を示す天候情報を用いて紫外線の強さ指標を補正してもよい。これにより、測定結果から天候の影響をさらに抑制することができる。なお、天候情報は、例えば、
図1に示した通信部23を用いて取得される。
【符号の説明】
【0317】
10、10A、10B 紫外線測定装置
14 プロセッサ
16 記憶部(記憶手段)
24 時計部
26 位置特定部
32 黒球温度センサ
34 乾球温度センサ
36 湿度センサ
40、40A、40B 測定部
42 温度取得部(温度取得手段)
44 演算部(処理手段)
46 入力情報取得部(肌取得手段)
48 出力情報生成部
60 位置情報取得部(位置取得手段)
62 日時情報取得部(時期情報取得手段)
64 相関情報記憶部(記憶手段)
66 肌情報記憶部(記憶手段)
70 紫外線演算部(処理手段)
72 日焼時間算出部(処理手段)
74 生成時間算出部(処理手段)
80 湿度取得部(湿度取得手段)
84 暑さ指標演算部(処理手段)
96 変換情報(基準情報)
120 日焼時間テーブル
130 生成時間テーブル
Iur UVインデックス(指標)
Tg 黒球温度
Ta 乾球温度
Tsb 日焼時間
TD 生成時間