(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体並びに擁壁構築方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/08 20060101AFI20230928BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02D17/20 103G
(21)【出願番号】P 2021118125
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501297996
【氏名又は名称】青森昭和産業 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】中田 博幸
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-031257(JP,A)
【文献】特開2018-178368(JP,A)
【文献】特開2004-339896(JP,A)
【文献】特開平11-131441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/08
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角柱の底面と上面を除く4側面に位置する金網で単位空間を囲む本体網と、
前記底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、前記本体網の下端部に、それぞれの両端が固定された第1及び第2の金属線材と
を備え、
前記上面
及び前記底面には金網が配置されず、
前記本体網が、底網を含まない
前記4側面の内の連続した2面で構成されるL字型の
一体型単位部材又は底網を含まない
前記4側面の内の連続した3面で構成されるコの字型の
一体型単位部材を
含み、前記一体型単位部材が単位として運搬されることを特徴とする石詰め用の籠枠ユニット。
【請求項2】
互いに対向する前記金網の内の1組において、前記金網を互いに連結する第3の金属線材
を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の石詰め用の籠枠ユニット。
【請求項3】
それぞれが四角柱に対応する立体構造で定義される複数の単位空間を互いに連結して構成され、互いに隣接する2つの前記単位空間の間に位置する側面を共通金網で構成した石詰め用の籠枠連結体であって、
前記単位空間のそれぞれが、
前記共通金網を少なくとも1つ含み、前記四角柱の底面と上面を除く4側面に位置する金網で前記単位空間を囲む本体網と、
前記底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、前記本体網の下端部に、それぞれの両端が固定された第1及び第2の金属線材と
を備えた籠枠ユニットで構成され、
前記籠枠ユニットのそれぞれにおいて、前記上面
及び前記底面には金網が配置されず、前記本体網が、底網を含まない
前記4側面の内の連続した2面で構成されるL字型の
一体型単位部材又は底網を含まない
前記4側面の内の連続した3面で構成されるコの字型の
一体型単位部材を
含み、前記一体型単位部材が単位として運搬されることを特徴とする、石詰め用の籠枠連結体。
【請求項4】
それぞれが四角柱に対応する立体構造で定義される複数の単位空間を、段差状にずらして積層した籠枠積層体であって、
前記単位空間のそれぞれが、
前記四角柱の底面と上面を除く4側面に位置する金網で前記単位空間を囲む本体網と、
前記底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、前記本体網の下端部に、それぞれの両端が固定された第1及び第2の金属線材と
を備えた籠枠ユニットで構成され、
前記籠枠ユニットのそれぞれにおいて、前記上面
及び前記底面には金網が配置されず、前記本体網が、底網を含まないL字型の
一体型単位部材又は底網を含まないコの字型の
一体型単位部材を
含み、前記一体型単位部材が単位として運搬されることを特徴とする、石詰め用の籠枠積層体。
【請求項5】
それぞれが四角柱に対応する立体構造で定義される複数の単位空間を、前記立体構造の底面に平行方向となる第1方向に沿って一直線に互いに連結し、互いに隣接する2つの前記単位空間の間に位置する側面を共通金網でそれぞれ構成した複数の籠枠連結体のそれぞれを、前記第1方向に直交する第2方向にずらして段差状に積層した籠枠積層体であって、
前記単位空間のそれぞれが、
前記共通金網を少なくとも1つ含み、前記四角柱の底面と上面を除く4側面に位置する金網で前記単位空間を囲む本体網と、
前記底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、前記本体網の下端部に、それぞれの両端が固定された第1及び第2の金属線材と
を備えた籠枠ユニットで構成され、
前記籠枠ユニットのそれぞれにおいて、前記上面
及び前記底面には金網が配置されず、前記本体網が、底網を含まないL字型の
一体型単位部材又は底網を含まないコの字型の
一体型単位部材を
含み、前記一体型単位部材が単位として運搬されることを特徴とする石詰め用の籠枠積層体。
【請求項6】
それぞれが四角柱に対応する立体構造で定義される複数の単位空間を、前記立体構造の底面に平行方向となる第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に沿って互いに連結し、互いに隣接する2つの前記単位空間の間に位置する側面を共通金網でそれぞれ構成した複数の籠枠連結体の平面連結体のそれぞれを、前記第2方向にずらして段差状に積層した籠枠積層体であって、
前記単位空間のそれぞれが、
前記共通金網を少なくとも1つ含み、前記四角柱の底面と上面を除く4側面に位置する金網で前記単位空間を囲む本体網と、
前記底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、前記本体網の下端部に、それぞれの両端が固定された第1及び第2の金属線材と
を備えた籠枠ユニットで構成され、
前記籠枠ユニットのそれぞれにおいて、前記上面
及び前記底面には金網が配置されず、前記本体網が、底網を含まない
前記4側面の内の連続した2面で構成されるL字型の
一体型単位部材又は底網を含まない
前記4側面の内の連続した3面で構成されるコの字型の
一体型単位部材を
含み、前記一体型単位部材が単位として運搬されることを特徴とする石詰め用の籠枠積層体。
【請求項7】
単位として運搬される一体型単位部材を用いた擁壁構築方法であって、
四角柱の底面と上面を除く4側面に位置する金網で単位空間を囲む本体網、前記底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、前記本体網の下端部に、それぞれの両端が固定された第1及び第2の金属線材を備え、前記上面
及び前記底面には金網が配置されず、前記本体網が、底網を含まない
前記4側面の内の連続した2面で構成されるL字型の
一体型単位部材又は底網を含まない
前記4側面の内の連続した3面で構成されるコの字型の
一体型単位部材を含む複数の籠枠ユニットを互いに連結し、互いに隣接する2つの前記籠枠ユニットの立体構造の間で定義される、互いに接する側面を共通金網でそれぞれ構成した第1の籠枠連結体を、法面の法尻に沿って形成するステップと、
前記第1の籠枠連結体の内部に石を詰めるステップと、
前記第1の籠枠連結体と同一構造の第2の籠枠連結体を、前記第1の籠枠連結体の上端と前記第2の籠枠連結体の下端が接触する部分において前記上端と前記下端を結合しながら、前記法面の傾斜に沿って前記第1の籠枠連結体の形成位置からずらして段積みして形成するステップと、
前記第2の籠枠連結体の内部に石を詰めるステップと
を含み、
以降、前記第2の籠枠連結体を形成するステップ及び前記第2の籠枠連結体の内部に石を詰めるステップと同様のステップのセットを任意の回数繰り返すことで、石詰めされた複数の籠枠連結体を前記法面に段差状に積層させていくことを特徴とする擁壁構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海岸や河岸の護岸及び山間部での法面保護等に用いられる、石詰め用の籠枠ユニット、これを複数用いた籠枠連結体、この籠枠連結体を立体的に積層した籠枠積層体、更にはこれらを用いて行う擁壁構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、山や谷、道路、住宅地、川岸等における傾斜地の法面保護や緑化、災害時の応急処置等のために、ふとん籠(角形蛇籠)を階段状に段積し、擁壁を形成する技術がある。これらのふとん籠は通常箱状の金網製であり、1個10~100kg程度の大きく重量のある石を詰めることによって形成される。
【0003】
特許文献1及び2には、ふとん籠同士が隣接する部分で金網が重複することを防止し、部材の節約を図るふとん籠が記載されている。特許文献1及び2においては、上段のふとん籠の底面が下段のふとん籠の蓋網等で塞がれるため、部材の節約を目的に、ふとん籠には底網が設けられていない。
【0004】
しかし、特許文献1及び2においては、石を詰めて蓋をする際に、石の量や配置を調整する手間が生じる。石が多すぎて、ふとん籠の上面から上に突出し過ぎていると、ふとん籠の蓋が閉まらず、たとえ蓋を閉めることができた場合であっても、ふとん籠の内圧が高くなり、ふとん籠の破損等につながる。一方、石が少なすぎると、擁壁全体の保護効果が減退したり、上方からの加重により金網の破損等にもつながる。よって、ふとん籠に詰める石の量や配置を調整して、蓋をしたり、ふとん籠を更に段積みするために均す必要があるが、機械又は人力のいずれによっても手間がかかる工程である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-279642号公報
【文献】特許第2831993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題に着目してなされたものであって、従来技術より、設営工数及び部材数を削減できる石詰め用の籠枠ユニット、これを複数用いた籠枠連結体、この籠枠連結体を立体的に積層した籠枠積層体、更にはこれらを用いて行う擁壁構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、4つの矩形の金網を、四角柱の4側面にそれぞれ配置した本体網を備え、4つの金網のうち複数の金網が、L字型又はコの字型の一部材から構成されることを特徴とする石詰め用の籠枠ユニットであることを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、(a)それぞれが四角柱に対応する立体構造からなる複数の単位部材を互いに連結して構成され、互いに隣接する2つの立体構造の間で定義される、互いに接する側面を共通金網で構成した石詰め用の籠枠連結体であって、(b)単位部材のそれぞれが、共通金網を少なくとも1つ含み、4つの矩形の金網を、四角柱の4側面にそれぞれ配置した本体網を備えた籠枠ユニットで構成され、(c)籠枠ユニットのそれぞれにおいて、4つの金網のうち複数の金網が、L字型又はコの字型の一部材から構成されることを特徴とする、石詰め用の籠枠連結体であることを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、(a)それぞれが四角柱に対応する立体構造からなる複数の単位部材を、段差状にずらして積層した籠枠積層体であって、(b)単位部材のそれぞれが、4つの矩形の金網を、四角柱の4側面にそれぞれ配置した本体網を備えた籠枠ユニットで構成され、(c)籠枠ユニットのそれぞれにおいて、4つの金網のうち複数の金網が、L字型又はコの字型の一部材から構成されることを特徴とする、石詰め用の籠枠積層体であることを要旨とする。
【0010】
本発明の第4の態様は、(a)それぞれが四角柱に対応する立体構造からなる複数の単位部材を、立体構造の底面に平行方向となる第1方向に沿って一直線に互いに連結し、互いに隣接する2つの立体構造の間で定義される、互いに接する側面を共通金網でそれぞれ構成した複数の籠枠連結体のそれぞれを、第1方向に直交する第2方向にずらして段差状に積層した籠枠積層体であって、(b)単位部材のそれぞれが、共通金網を少なくとも1つ含み、4つの矩形の金網を、四角柱の4側面にそれぞれ配置した本体網を備えた籠枠ユニットで構成され、(c)籠枠ユニットのそれぞれにおいて、4つの金網のうち複数の金網が、L字型又はコの字型の一部材から構成されることを特徴とする石詰め用の籠枠積層体であることを要旨とする。
【0011】
本発明の第5の態様は、(a)4つの矩形の金網を、四角柱の4側面にそれぞれ配置した本体網を備え、4つの金網のうち複数の金網が、L字型又はコの字型の一部材からそれぞれ構成される複数の籠枠ユニットを互いに連結し、互いに隣接する2つの籠枠ユニットの立体構造の間で定義される、互いに接する側面を共通金網でそれぞれ構成した第1の籠枠連結体を、法面の法尻に沿って形成するステップと、(b)第1の籠枠連結体の内部に石を詰めるステップと、(c)第1の籠枠連結体と同一構造の第2の籠枠連結体を、第1の籠枠連結体の上端と第2の籠枠連結体の下端が接触する部分において上端と下端を結合しながら、法面の傾斜に沿って第1の籠枠連結体の形成位置からずらして段積みして形成するステップと、(d)第2の籠枠連結体の内部に石を詰めるステップとを含み、(e)以降、第2の籠枠連結体を形成するステップ及び第2の籠枠連結体の内部に石を詰めるステップと同様のステップのセットを任意の回数繰り返すことで、石詰めされた複数の籠枠連結体を法面に段差状に積層させていくことを特徴とする擁壁構築方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来技術より、設営工数及び部材数を削減できる石詰め用の籠枠ユニット、これを複数用いた籠枠連結体、この籠枠連結体を立体的に積層した籠枠積層体、更にはこれらを用いて行う擁壁構築方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る籠枠ユニットの斜視図である。
【
図3】実施形態に係る籠枠ユニットを複数連結させた籠枠積層体の斜視図である。
【
図5】実施形態に係る籠枠ユニットを複数連結させた籠枠積層体の斜視図である。
【
図6】実施形態に係る籠枠ユニットを複数連結させた、籠枠連結体の平面連結体の斜視図である。
【
図7】
図7(a)は実施形態に係る籠枠ユニット形成に関与する金網の組合せ例1の模式的な平面図であり、
図7(b)は実施形態に係る籠枠ユニット形成に関与する金網の組合せ例2の模式的な平面図であり、
図7(c)は実施形態に係る籠枠ユニット形成に関与する金網の組合せ例3の模式的な平面図であり、
図7(d)は実施形態に係る籠枠ユニット形成に関与する金網の組合せ例4の模式的な平面図である。
【
図8】
図8(a)は実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニットを示す模式的な斜視図であり、
図8(b)は実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニットを示す模式的な斜視図である。
【
図9】
図9(a)は実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニットを示す模式的な斜視図であり、
図9(b)は実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニットを示す模式的な斜視図である。
【
図10】
図10(a)は実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニットを示す模式的な斜視図であり、
図10(b)は実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニットを示す模式的な斜視図である。
【
図11】実施形態に係る籠枠ユニットを複数連結させた籠枠積層体の使用状態を示す模式的な右側面図である。
【
図12】
図12(a)は実施形態に係る籠枠ユニットを用いた籠枠連結体を示す模式的な平面図であり、
図12(b)は実施形態に係る籠枠ユニットを用いた籠枠連結体を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、図面は模式的なものであり、構造や方法等の表現は現実のものとは異なる可能性があることに留意すべきである。本発明の実施形態に係る構造や方法等の詳細は、以下の説明から理解できる技術的思想の趣旨を参酌してより多様に判断すべきものである。
【0015】
又、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための物や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、部材や部材間の関係、構築手順等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、本発明の実施形態で記載された内容に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明特定事項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
(実施形態に係る籠枠ユニット)
図1及び
図2A~
図2Iに示すように、本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11においては、4つの矩形の金網、すなわち、前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sが、四角柱の4側面に対応する位置にそれぞれ配置されている。実施形態に係る籠枠ユニット11においては、
図1及び
図2A~
図2Iに示すように、概形が四角柱であり、特に四角柱の中でも直方体を呈す。前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sは、本体網(21f、21s、23、22s)を構成する。
図2Aに示すように、前面網21f及び側面網21sは、L字網21のL字面の2面を構成する金網であり、一体型の部材である。実施形態に係る籠枠ユニット11は、更に、
図1及び
図2Eに示すL字網21及び背面網23を接続するコイル41a、背面網23及び側面網22aを接続するコイル41b、L字網21及び側面網22sを接続するコイル41cを有する。コイル41aは、
図2Aに示すL字網21のうちの側面網21sの端部と、
図2Cに示す背面網23の端部とを接続する部材である。
【0017】
更に、
図1及び
図2Iに示すように、本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11においては、四角柱の底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、本体網(21f、21s、23、22s)の下端部に、それぞれの両端が固定された第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する。
図2Iに示す第1の金属線材31aの両端はそれぞれフック状であり、第1の金属線材31aの一端は、側面網21sの下端部の隅及び背面網23の下端部の隅のいずれか一方に引っ掛けるように接続されている。また、第1の金属線材31aの他端は、前面網21fの下端部の隅及び側面網22sの下端部の隅のいずれか一方に引っ掛けるように接続されている。実施形態に係る籠枠ユニット11は溶接金網の場合を例示しているが、第1の金属線材31aの両端を引っ掛ける箇所は、溶接金網の縦線であっても横線であっても、その両方を含むようにしてもよい。同様に、
図2Iに示す第2の金属線材31bの両端はそれぞれフック状であり、第2の金属線材31bの一端は、側面網22sの下端部の隅及び背面網23の下端部の隅のいずれか一方に引っ掛けるように接続されている。また、第2の金属線材31bの他端は、前面網21fの下端部であって、L字網21の折れ曲がり箇所に引っ掛けるように接続されている。第1の金属線材31aと同様に、第2の金属線材31bの両端を引っ掛ける箇所は、溶接金網の縦線であっても横線であっても、その両方を含むようにしてもよい。第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bは、どちらが上方に位置してもよい。
【0018】
更に、
図1、
図2F及び
図2Gに示すように、本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11においては、前面網21f及び背面網23を互いに連結する、6本の第3の金属線材33a、33b、33c、33d、33e、33fを有する。6本の第3の金属線材33a、33b、33c、33d、33e、33fは互いに同一寸法であり、両端はそれぞれフック状である。
【0019】
図1に示す通り、
図2Fに示した3本の第3の金属線材33a、33b、33cは四角柱の底面に位置し、それぞれ側面網21sの長手方向と平行であり、互いに等間隔に配置されている。3本の第3の金属線材33a、33b、33cにおいて、それぞれの両端と前面網21f又は背面網23との接続様式は、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと同様である。第3の金属線材33bの両端は、
図1に示す通り、前面網21f及び背面網23のそれぞれの下端部の中央と接続され、第3の金属線材33bは、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bの交差部分に交差する。3本の第3の金属線材33a、33b、33cは、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bに対し、どちらが上方に位置してもよい。また、
図1においては、3本の第3の金属線材33a、33b、33cは互いに等間隔に配置されているが、等間隔でなくてもよい。
【0020】
図1に示す通り、
図2Fに示した3本の第3の金属線材33d、33e、33fは四角柱の内部かつ上部に位置し、それぞれ側面網21sの長手方向と平行で同一の高さであり、互いに等間隔に配置されている。3本の第3の金属線材33d、33e、33fにおいて、それぞれの両端と前面網21f又は背面網23との接続様式は、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと同様である。第3の金属線材33eの両端は、
図1に示す通り、前面網21f及び背面網23のそれぞれの上部の中央と接続されている。3本の第3の金属線材33d、33e、33fはそれぞれ、3本の第3の金属線材33a、33b、33cの真上に位置する。また、
図1においては、3本の第3の金属線材33d、33e、33fは互いに等間隔に配置されているが、等間隔でなくてもよい。
【0021】
更に、
図1及び
図2Hに示すように、本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11においては、前面網21f及び側面網21sを互いに連結する、2本の第4の金属線材35a及び35bを有する。
図1に示す通り、
図2Hに示す第4の金属線材35aは四角柱の底面に位置し、第4の金属線材35aの両端は、前面網21fの下端部及び側面網21sの下端部の中央と接続されている。
図1においては、第4の金属線材35aは、前面網21fの下端部において、第3の金属線材33aの接続部分と同一箇所に接続されているが、同一箇所でなくてもよい。第4の金属線材35aは、第2の金属線材31bに対し、どちらが上方に位置してもよい。また、
図1に示す通り、
図2Hに示す第4の金属線材35bは四角柱の内部かつ上部に位置し、第4の金属線材35bの両端は、前面網21fの上部及び側面網21sの上部かつ中央と接続されている。
図1においては、第4の金属線材35bは、前面網21fの上部において、第3の金属線材33dの接続部分と同一箇所に接続されているが、同一箇所でなくてもよい。また、
図1においては、第4の金属線材35bは、3本の第3の金属線材33d、33e、33fと同一の高さで図示されているが、必ずしも同一の高さでなくてもよい。第4の金属線材35bは第4の金属線材35aの真上に位置する。2本の第4の金属線材35a及び35bにおいて、それぞれの両端と前面網21f又は背面網23との接続様式は、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと同様である。
【0022】
図1に示すように、実施形態に係る籠枠ユニット11の概形の立体構造である四角柱の4側面のうちの、図に向かって右側の側面に相当する面の部材は、実施形態に係る籠枠ユニット11に隣接する籠枠ユニットの図に向かって左側の側面に相当する面の部材と共通している。すなわち、
図1及び
図2Bに示すように側面網22sは「共通金網」である。「共通金網」は、本明細書において、隣接する籠枠ユニットどうしの隣接して互いに対向する面に配置された金網と定義する。「共通金網」は、隣接する籠枠ユニットどうしの隣接して互いに対向する面の部材の重複を回避する効果を有する。「共通金網」は、
図1に向かって右側又は左側の側面だけでなく、隣接する籠枠ユニットを有する限り、図に向かって奥側の側面(背面)又は手前側の側面(前面)にも配置し得る。
【0023】
例えば、
図7(a)の組合せ例1に示すように、実施形態に係る籠枠ユニット1つで形成される、本体網に囲まれた石詰め用の空間を「単位空間」と定義すると、単位空間Sは3つのL字網、すなわち、L字網21、L字網22a及びL字網22bで形成することが可能である。L字網22a及びL字網22bはそれぞれ、
図7(a)の単位空間Sに隣接する2つの単位空間を形成する部材となり得る。
図7(a)の組合せ例1は、同一平面状で形成される、籠枠連結体の平面連結体等において表れ得る。また、
図7(b)の組合せ例2に示すように、単位空間Sは2つのL字網、すなわち、L字網21及びL字網22a、並びに背面網23で形成することも可能である。L字網22aは
図7(b)の単位空間Sに隣接する単位空間を形成する部材となり得る。
図7(b)の組合せ例2は、同一直線上又は同一曲線上で複数の籠枠ユニットを連結して形成される、籠枠連結体等において表れ得る。更に、
図7(c)の組合せ例3に示すように、単位空間Sは2つのL字網、すなわち、L字網21及びL字網22b、並びに側面網25で形成することも可能である。L字網22bは
図7(c)の単位空間Sに隣接する単位空間を形成する部材となり得る。
図7(c)の組合せ例3は、同一直線上又は同一曲線上で複数の籠枠ユニットを連結して形成される、籠枠連結体等において表れ得る。更に、
図7(d)の組合せ例4に示すように、単位空間SはL字網21、背面網23及び側面網25で形成することも可能である。
図7(d)の組合せ例4は、同一直線上又は同一曲線上で複数の籠枠ユニットを連結して形成される、籠枠連結体等において表れ得る。なお、
図7(d)の組合せ例4においては、単位空間Sの形成のために、背面網23及び側面網25の代わりにL字網を用いることも可能である。このように
図7(a)~(d)で模式的に図示した通り、2面からなるL字網並びに1面からなる背面網及び側面網の組合せにより、単位空間Sの形成の仕方は幾通りもある。なお、
図7(a)~(d)においては、L字網、背面網及び側面網の配置を分かりやすく示すため、L字網、背面網及び側面網の連結位置は敢えて離間して模式的に図示している。
【0024】
図7(a)~(d)等における単位空間Sを形成するL字網21はいずれも、単位空間Sの四角柱のうち、左側面側と前面側の側面にL字型に配置されているが、単位空間を形成するためのL字網21の配置はこれらに限らない。例えば、四角柱の右側面側と前面側の側面にL字型に配置されるようにL字網21を配置して単位空間Sを形成してもよく、あるいは、四角柱の背面側の側面がL字網21のひとつの面を構成するように配置して単位空間Sを形成してもよい。
図1及び
図2A等におけるL字網21等の単位空間を形成するL字網についても、同様の考え方である。
【0025】
図1において、コイル41bは、3側面、すなわち、背面網23、側面網22s及び背面網24をT字型に連結する部材として図示されているが、あくまで連結の仕方の例示であり、かならずしもその3側面を一度に連結する必要はない。例えば、
図2Eに示すコイル41bを用いて背面網23及び背面網24を一度連結し、他のコイルを用いて、背面網23及び背面網24の連結体と側面網22sとを連結してもよい。また、コイル41bを用いて背面網23及び側面網22sを一度連結し、他のコイルを用いて、背面網23及び側面網22sの連結体と背面網24とを連結してもよい。尚、
図2Bに一部を省略して図示したL字網22及び
図2Dに一部を省略して図示した背面網24はそれぞれ、実施形態に係る籠枠ユニット11に隣接する籠枠ユニットの背面網及びL字網であり、実施形態に係る籠枠ユニット11の背面網23及びL字網21と同様の形状及び役割を有する。
【0026】
実施形態に係る籠枠ユニット11の本体網(21f、21s、23、22s)は、
図1及び
図2A~
図2Iに示すような溶接金網から構成されてもよいし、菱形金網、亀甲金網、エキスパンドメタル等で構成されてもよい。本体網(21f、21s、23、22s)の金網の素材、ピッチ、線径、寸法、縦横比、網目サイズ、全体サイズ等に限定はなく、籠枠ユニットやそれを用いて構築する擁壁の強度や用途、用いる胴込材(詰石、割栗石等)の大きさ等により、自由に設定可能である。
【0027】
実施形態に係る籠枠ユニット11における各種金属線材、すなわち、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31b、6本の第3の金属線材33a、33b、33c、33d、33e、33f、2本の第4の金属線材35a及び35bを設ける場合は、本体網(21f、21s、23、22s)の任意の2点を接続できる長さや強度があればよい。第1の金属線材31a及び第2の金属線材31b、6本の第3の金属線材33a、33b、33c、33d、33e、33f、2本の第4の金属線材35a及び35bは、籠枠ユニット11において、その一部又は全部がなくてもよい。特に2本の第4の金属線材35a及び35bについては、籠枠ユニット11とその他の複数の籠枠ユニットを連結した籠枠連結体および籠枠積層体において、端部に位置する籠枠ユニットの隅のみに配置してもよい。また、籠枠ユニット11は、
図1等に図示した籠枠ユニット11の各種金属線材以外の金属線材を有していてもよい。更に、コイル41a、41b、41cについても、籠枠ユニット11において、その一部又は全部がなくてもよい。コイル41a、41b、41c等の各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。
【0028】
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11は、例えば、次のように組み上げることができる。まず、法面に近接する設置予定位置の地盤に背面網23及びL字網21を配置し、コイル41aで互いに連結し、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを背面網23及びL字網21の下端部に接続する。背面網23及び前面網21fの各下端部に対して、3本の第3の金属線材33a、33b、33c及び第4の金属線材35aを接続する。背面網23、背面網24及びL字網22をコイル41bで接続し、L字網22及びL字網21をコイル41cで接続する。四角柱の4側面に相当する4つの矩形の金網が連結された時点で、その4つの金網の内部に「単位空間」が形成される。単位空間に石詰めする場合は、単位空間が形成された時点で、第1の石詰め段階として、単位空間の半分程度の高さまで石詰めする。背面網23及び前面網21fの各上部に対して、3本の第3の金属線材33d、33e、33f及び第4の金属線材35bを接続し、実施形態に係る籠枠ユニット11が形成される。単位空間に石詰めする場合は、第2の石詰め段階として、単位空間の半分程度の高さまで詰められた石の上に、単位空間を満たすように、すなわち、本体網(21f、21s、23、22s)の上端部付近まで、石詰めを行う。このように、石詰めを行う場合は、実施形態に係る籠枠ユニット11の組み上げの工程中に第1及び第2の石詰め段階を含めるようにすると効率的に行いやすい。
【0029】
上記の実施形態に係る籠枠ユニット11の組み上げ方は例示であって、例えば、背面網23、背面網24及びL字網22の連結の仕方については、背面網23、背面網24及びL字網22の任意の2部材の連結を先に行い、連結した部材と残りの1部材との連結を後で行ってもよい。各金網の連結に用いられるコイル41a、41b、41cについても、籠枠ユニット11において、その一部又は全部がなくてもよい。コイル41a、41b、41c等の各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。第1の金属線材31a及び第2の金属線材31b、6本の第3の金属線材33a、33b、33c、33d、33e、33f、2本の第4の金属線材35a及び35bは、籠枠ユニット11において、その一部又は全部がなくてもよい。また、石詰めについても、第1及び第2の石詰め段階と分けずに、実施形態に係る籠枠ユニット11が組み上がってから一度に石詰めを行ってもよい。更に、石詰めは、本体網(21f、21s、23、22s)の上端部より下の水平レベルまで行ってもよいし、本体網(21f、21s、23、22s)の上端部の水平レベルを超えて行ってもよい。
【0030】
(実施形態に係る籠枠積層体)
図3に示すように、実施形態に係る籠枠積層体1は、本体網で囲まれた単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・S
(3,1,n)をそれぞれ形成する複数の籠枠ユニットが連結し、段差状に段積みされた積層体である(n=任意の正の整数)。nの値は、構築したい擁壁の幅に応じて任意に決定することができる。籠枠積層体1においては、単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・S
(1,1,n)をそれぞれ形成する複数の籠枠ユニットが一直線上に連結した第1の籠枠連結体が最下段に配置され、第1の籠枠連結体の上に、第1の籠枠連結体と同一構造の第2の籠枠連結体が段差状に位置をずらして段積みされている。第2の籠枠連結体は、単位空間S
(2,1,1)、S
(2,1,2)・・・S
(2,1,n)をそれぞれ形成する複数の籠枠ユニットが一直線上に連結した籠枠連結体である。同様に、第2の籠枠連結体の上に、第1及び第2の籠枠連結体と同一構造の第3の籠枠連結体が段差状に位置をずらして段積みされ、実施形態に係る籠枠積層体1が形成される。第3の籠枠連結体は、単位空間S
(3,1,1)、S
(3,1,2)・・・S
(3,1,n)をそれぞれ形成する複数の籠枠ユニットが一直線上に連結した籠枠連結体である。
図3の奥側に法面(斜面)側があるという想定であり、法面の傾斜に沿って複数の籠枠連結体が段差状に段積みされ、籠枠積層体1が配置される。なお、
図3においては、実施形態に係る籠枠積層体1の全体構造の分かりやすさのため、籠枠積層体1を構成する各籠枠ユニットの本体網の網目形状、金網どうしや籠枠連結体どうしを連結するコイル及び各種金属線材の図示は省略している。
【0031】
図4(a)に示すように、籠枠積層体1は、単位空間S
(3,1,1)を構成する籠枠ユニットにおいて、隅に第4の金属線材35b
(3,1,1)があってもよい。図示は省略しているが、第4の金属線材35b
(3,1,1)を有する場合、単位空間S
(3,1,1)においては、第4の金属線材35b
(3,1,1)の真下に第4の金属線材35a
(3,1,1)があってもよい。また、
図4(a)に示すように、第4の金属線材35b
(3,1,1)の場合と同様に、籠枠積層体1は、単位空間S
(3,1,n)を構成する籠枠ユニットにおいて、隅に第4の金属線材35b
(3,1,n)があってもよい。図示は省略しているが、第4の金属線材35b
(3,1,n)を有する場合、単位空間S
(3,1,n)においては、第4の金属線材35b
(3,1,n)の真下に第4の金属線材35a
(3,1,n)があってもよい。
図4(a)に示すように、第4の金属線材は、第3の籠枠連結体内の両端部の2つの単位空間の前面側のコーナー(隅)に、それぞれ設けられ得る。第4の金属線材は、籠枠積層体1に係る第1及び第2の籠枠連結体においても、各両端部の2単位空間を構成するそれぞれの籠枠ユニット内に、同様に設けられていてもよい。第4の金属線材は、各籠枠連結体の閣僚端部の2単位空間を構成するそれぞれの籠枠ユニット以外の籠枠ユニットにおいても、設けられていてもよい。
図4(a)の上側に法面(斜面)側が位置するという想定であり、法面の傾斜に沿って複数の籠枠連結体が段差状に段積みされ、籠枠積層体1が配置される。なお、
図4(a)においては、実施形態に係る籠枠積層体1の全体構造の分かりやすさのため、籠枠積層体1の金網どうしや籠枠連結体どうしを連結するコイルは図示を省略し、単位空間S
(3,1,1)及び単位空間S
(3,1,n)以外の各種金属線材の図示も省略している。
【0032】
図4(b)に示すように、籠枠積層体1は、第1~第3の籠枠連結体が段差状に段積みされている。
図4(b)の右側に法面(斜面)側が位置するという想定であり、法面の傾斜に沿って籠枠積層体1が配置される。単位空間S
(1,1,n)を構成する籠枠ユニットの
図4(b)左側に、すなわち、前面網側に別の単位空間を構成する籠枠ユニットが連結していてもよい。すなわち、最下段となる第1の籠枠連結体は、2×nの平面連結体であってもよい。勿論、
図5に示すように、複数の籠枠連結体がそれぞれm×nの平面連結体である籠枠積層体2であってもよい(m=任意の正の整数)。
図4及び4においてはいずれも3層(3段)の籠枠積層体をそれぞれ示しているが、実施形態に係る籠枠積層体は2層(2段)であってもよく、4層(4段)以上であってもよい。
図5に示す籠枠積層体2に係る籠枠連結体は、
図6に示す通り、1段1段が籠枠ユニットの平面連結体3のような構造である。なお、
図4(b)、
図5及び
図6においては、実施形態に係る籠枠積層体1、籠枠積層体2及び平面連結体3の全体構造の分かりやすさのため、籠枠積層体1、籠枠積層体2及び平面連結体3を構成する各籠枠ユニットの本体網の網目形状、金網どうしや籠枠連結体どうしを連結するコイル及び各種金属線材の図示は省略している。
【0033】
実施形態に係る籠枠積層体1及び2、平面連結体3においては、籠枠積層体1及び2、平面連結体3のそれぞれの金網どうしや籠枠連結体どうしを連結するコイルについて、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて連結させてもよい。籠枠積層体1及び2、平面連結体3におけるそれぞれの各種金属線材は、その一部又は全部がなくてもよい。
【0034】
(実施形態に係る擁壁構築方法)
図3に示す実施形態に係る籠枠積層体1を組み上げ、更に内部に石詰めすると、
図11に示すように、法面保護等の用途を有する、実施形態に係る擁壁を構築することができる。まず、籠枠積層体1を設置したい地盤の上に吸出し防止材等を敷設し、単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・S
(1,1,n)をそれぞれ形成する複数の籠枠ユニットが一直線上に連結した第1の籠枠連結体を、内部に石詰めしながら組み上げていく。具体的には、第1の籠枠連結体に係る複数の籠枠ユニットについて、すべてをコイル等で互いに連結して各単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・S
(1,1,n)を形成する。それぞれの籠枠ユニットの各底面に設けられる各種金属線材をそれぞれ接続し、それぞれの籠枠ユニットにおいて、第1の石詰め段階としてそれぞれの籠枠ユニットの半分程度の高さまで石詰めを行う。それぞれの籠枠ユニットの背面網及びL字網の各上部に対して残りの各種金属線材を接続し、第2の石詰め段階として、既に単位空間の半分程度の高さまで詰められた石の上に、各単位空間を満たすように、すなわち、それぞれの本体網の上端部付近まで、石詰めを行い、石詰めされた第1の籠枠連結体が完成する。
【0035】
次に、石詰めされた第1の籠枠連結体の上に、単位空間S(2,1,1)、S(2,1,2)・・・S(2,1,n)をそれぞれ有する複数の籠枠ユニットが一直線上に連結した第2の籠枠連結体を、内部に石詰めしながら組み上げていく。具体的には、第2の籠枠連結体に係る複数の籠枠ユニットについて、すべてをコイル等で互いに連結して各単位空間S(2,1,1)、S(2,1,2)・・・S(2,1,n)を形成する。各単位空間S(2,1,1)、S(2,1,2)・・・S(2,1,n)の形成都度、形成途中又は形成完了後に、石詰めされた第1の籠枠連結体の上端と第2の籠枠連結体の下端との接触部分を、別途コイル等で連結する。石詰めされた第1の籠枠連結体に対して、第2の籠枠連結体は法面側にずらして設置され、石詰めされた第1の籠枠連結体及び第2の籠枠連結体とで段差状をなすこととなる。次に、第2の籠枠連結体のそれぞれの籠枠ユニットの各底面に設けられる各種金属線材をそれぞれ接続し、それぞれの籠枠ユニットにおいて、第1の石詰め段階として第2の籠枠連結体のそれぞれの籠枠ユニットの半分程度の高さまで石詰めを行う。第2の籠枠連結体のそれぞれの籠枠ユニットの背面網及びL字網の各上部に対して残りの各種金属線材を接続し、第2の石詰め段階として、既に単位空間の半分程度の高さまで詰められた石の上に、各単位空間を満たすように、すなわち、それぞれの本体網の上端部付近まで、石詰めを行い、石詰めされた第2の籠枠連結体が完成する。
【0036】
第3の籠枠連結体は、第1の籠枠連結体に対する第2の籠枠連結体の場合と同様に、第2の籠枠連結体の上に段積みされて形成される。第3の籠枠連結体に対しては、第1及び第2の籠枠連結体と同様に石詰めされ、石詰めされた第3の籠枠連結体が完成し、3段の籠枠連結体からなる、実施形態に係る擁壁が構築される。
図11においては、実施形態に係る擁壁は3段であるが、2段であっても4段以上であってもよい。
図11の側面側から見た図で示すように、地盤62において、法尻と同一水平面の第1の籠枠連結体を設置する部位から法肩までを十分に覆うように吸出し防止材51が敷設され、その上に、詰石61を内部に詰めながら、単位空間S
(1,1,n)を含む第1の籠枠連結体、単位空間S
(2,1,n)を含む第2の籠枠連結体及び単位空間S
(3,1,n)を含む第3の籠枠連結体が段積みされ、実施形態に係る擁壁が構築される。
図11における地盤62は、籠枠連結体の段積みの前に法面(斜面)があらかじめ掘削されて段差状に整形されたものであってもよいし、最初は斜面であるが籠枠連結体の段積みごとに背面土を埋め戻して段差状に整形されたものであってもよい。なお、
図11においては、実施形態に係る擁壁の使用状態を分かりやすく図示すべく、単位空間を形成するそれぞれの籠枠ユニットの本体網の網目、各種金属線材及びコイルは図示を省略している。
【0037】
図11に示す実施形態に係る擁壁において、最上段の籠枠連結体である第3の籠枠連結体の上面には、蓋網があってもよい。また、最上段以外の籠枠連結体である第1及び第2の籠枠連結体の上面のうち、すぐ上の段の籠枠連結体と接触せずに露出している部位についても、部分的な蓋網があってもよい。
【0038】
図11に示す実施形態に係る擁壁においては、擁壁を形成する籠枠積層体の金網どうしや籠枠連結体どうしを連結するコイルについて、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて連結させてもよい。擁壁を形成する籠枠積層体における各種金属線材は、その一部又は全部がなくてもよい。
【0039】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術より、それぞれの籠枠ユニットを設置する地盤や詰石を均す手間が大幅に軽減できる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、底網又は蓋網を設置する際に、設置箇所の不陸整正を行う必要が必ず生じる。底網を設置する際に水平面が不陸のままであると、その底網を含む籠枠ユニット全体が傾いたり歪んだりしてしまい、他の籠枠ユニットとの連結に無理が生じ、法面保護用等の擁壁全体の構築に不都合が生じかねない。また、蓋網を設置する際に蓋をする水平面が不陸であると、蓋網が歪んでしまい、蓋網に凹凸が生じ、次に段積みする籠枠ユニットの設置に不都合が生じかねない。更に、籠枠ユニットへの詰石の量が多すぎることで蓋をする水平面が不陸となると、蓋網等に余計な張力がかかり、籠枠ユニット自体の破損にもつながりかねない。本発明の実施形態に係る籠枠ユニットを用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合は、底網や蓋網が存在しないので、不陸整正については、それぞれの籠枠ユニットの本体網の枠線及び底面に設けられる各種金属線材を設置するために微調整程度で済み、手間を大きく省略可能である。石詰めする際にも、詰石の分量や配置に慎重になり過ぎる必要はなく、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少多い場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少少なくして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。また反対に、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少少ない場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少多くして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。すなわち、ひとつひとつの籠枠ユニットにおいて、詰石の分量や配置を調整する手間や時間が大幅に省略できるのである。これらの理由により、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能である。
【0040】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術より、使用する部材数が少ないので、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。更に、従来技術より部材数が少ないので、法面保護用等の擁壁の構築後の部材のメンテナンスもしやすい。擁壁の構築後からしばらく経つと、詰石どうしが引き締められたり、地盤がやや沈下したりする等で、詰石が全体的に下方に落ち込んでいくことがあるが、その場合であっても最上段の籠枠連結体のそれぞれの籠枠ユニットの開放されている上面側から詰石を補充する等でメンテナンスを容易にすることができる。また、最上段以外の籠枠連結体のそれぞれの籠枠ユニットの開放されて露出している上面部分からも、詰石を補充する等が可能である。
【0041】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、部材の重複が少なく、蓋網及び底網を有さないので、コイル接続箇所も当然減少する。これにより、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。
【0042】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、蓋網及び底網を有さないので、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合いが生じ、かつ、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの両方が生じる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、少なくとも、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合い又は擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの一方は生じない。特に擁壁の下段側の詰石には、それより上段側の詰石の重量がかかってくるため、擁壁の下段側の籠枠ユニット間での詰石の相互のかみ合い及び擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、擁壁の強度を保つ上で大変重量である。なお、吸出し防止材を用いている場合、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、その吸出し防止材を介して行われる。
【0043】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合であって、
図1等のように各種金属線材を用いた場合、詰石による籠枠ユニット11の孕み等の不具合を防止することができ、籠枠ユニット11や擁壁自体の強度については更に向上させることが可能である。特に、各種金属線材として
図1及び
図2Iに示す第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを用いた場合は、籠枠ユニット11の水平方向の歪みを軽減又は防止することができ、かつ、籠枠ユニット11の特に中央部において詰石の沈み込みを軽減又は防止することができる。石詰めされた籠枠ユニット11の重心は単位空間の中央部であり、特にその中央部から下方に詰石の重量がかかることになる。ここで、籠枠ユニット11の中央部の詰石の沈み込みを軽減又は防止することで、効果的に、籠枠ユニット11の全体の詰石の沈み込みを軽減又は防止することができ、籠枠ユニット11を複数用いた法面保護用等の擁壁の全体構造の歪みや破損を防止することができる。
図1に示すように、籠枠ユニット11に第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する場合、籠枠ユニット11の底面においては、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bの交差部分付近での詰石の沈み込み防止効果を特に増大させることができる。第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bの交差部分から放射状に外側に向かうにつれ、第1の金属線材31aと第2の金属線材31bとの距離が長くなるため、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bのいずれか一方又は両方に接触する詰石の割合は少なくなる。よって、詰石の沈み込み防止効果は、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bの交差部分から放射状に外側に向かうにつれ減退していき、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bの交差部分が最も大きくなるのである。後述する
図8~10に示す籠枠ユニット12~17においても、
図1等に図示した籠枠ユニット11と同様、各種金属線材として第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを用いた場合は、籠枠ユニットの水平方向の歪みを軽減又は防止することができ、かつ、籠枠ユニットの特に中央部において詰石の沈み込みを軽減又は防止することができる。
【0044】
各種金属線材として、
図1及び
図2Iに示す第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bに加え、
図1及び
図2Fに示す第3の金属線材33bを更に用いた場合は、籠枠ユニット11の水平方向の歪みを更に軽減又は防止することができ、かつ、籠枠ユニット11の特に中央部において詰石の沈み込みを更に軽減又は防止することができる。籠枠ユニット11に第3の金属線材33bが用いられている場合、第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bの交差部分に更に第3の金属線材33bが交差することになる。3本の金属線材の交差部分から放射状に外側に向かうにつれ、3本の金属線材の任意の2本の間の距離が長くなるため、3本の金属線材のいずれか1本、任意の2本又は3本すべてに接触する詰石の割合は少なくなる。よって、詰石の沈み込み防止効果は、3本の金属線材の交差部分から放射状に外側に向かうにつれ減退していき、3本の金属線材の交差部分が最も大きくなるのである。後述する
図8~10に示す籠枠ユニット12~17においても、に示す籠枠ユニット12~17においても、
図1等に図示した籠枠ユニット11と同様、各種金属線材として第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bに加え、
図1及び
図2Fに示す第3の金属線材33bを更に用いた場合は、籠枠ユニットの水平方向の歪みを更に軽減又は防止することができ、かつ、籠枠ユニットの特に中央部において詰石の沈み込みを更に軽減又は防止することができる。
【0045】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、擁壁の設置箇所での構築とその場での石詰めが可能となる。これにより、あらかじめ石詰めされた籠枠ユニット(ふとん籠等)をクレーン等の重機で吊り下げる作業が不要となるので、クレーン等の重機が不要となる。また、クレーン等の重機で吊り下げないため、籠枠ユニット自体が設置前に歪んでしまうことも防ぐことができる。
【0046】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、擁壁構築に係る部材のひとつひとつは小さいため、運搬コストも減少させることが可能である。最も大きな部材であるL字網についても、複数のL字網を重ねて運搬可能であるので、運搬コスト減に大きく寄与する。
【0047】
本発明の実施形態に係る籠枠ユニット11を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、凹状又は凸状の平面形状である法尻を有する湾曲した法面に対しても、部材の過不足を最小限に抑えて擁壁を構築することが可能である。例えば、
図12(a)に示すように、長手方向の中心軸が曲線をなす複数の単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・を形成する籠枠連結体4は、
図12(a)の上方に凸である。
図12(a)においては、籠枠連結体4の上側に湾曲した法面が位置する。籠枠連結体4のそれぞれの単位空間がL字網、背面網及び隣接する単位空間のL字網を構成する側面網から形成されている場合、すなわち、
図7(b)に示す組合せ例2と同様の場合、背面網の横幅は、L字網の2面の網のうちの前面網の横幅より相対的に長いものであると、
図12(a)に図示するような籠枠連結体4の全体形状を形成しやすい。湾曲した法面の曲率に応じて、背面網の横幅を適宜調整したり、あるいは、L字網の2面の網のうちの前面網の横幅を適宜調整したりする。背面網に網部材を継ぎ足して背面網の横幅を長くしてもよく、前面網の端を切断して前面網の横幅を短くしてもよい。この時、複数の単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・は、
図12(a)の通り、上から見た形状が台形となる。特に
図12(a)のように、L字網の2面が直角に交わる場合、複数の単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・の上から見た形状は直角台形を呈する。
図12(a)に示す籠枠連結体4と同様の籠枠連結体を複数段段積みすると籠枠積層体が構築され、内部に石詰めしていくと法面保護用等の擁壁を構築することができる。
【0048】
また、
図12(a)においては、隣接する単位空間のL字網の折れ曲がり部分、すなわち、単位空間S
(1,1,2)の上から見た形状である直角台形の左下の角が、単位空間S
(1,1,1)内に食い込むような連結の仕方であってもよい。例えば、単位空間を形成するL字網の前面網と背面網の各横幅が同一である場合、湾曲した法面に籠枠連結体を設置する時は、単位空間S
(1,1,1)に、単位空間S
(1,1,2)を形成するL字網の折れ曲がり部分(直角台形の左下の角)が少しだけ食い込み、その折れ曲がり部分から単位空間S
(1,1,2)を形成する前面網側に少し寄った部分で、単位空間S
(1,1,1)の前面網と接続する。この場合は、単位空間を形成するL字網の前面網と背面網の横幅を調整する必要がなく、設置がより早く効率的に行える。ある単位空間に、それに隣接する単位空間を形成する本体網の一部が食い込んだとしても、単位空間を形成する籠枠ユニットに使用する各種金属線材は適切な長さの金属線材を選択すればよく、かつ、石詰めにも大きな影響は与えない。
【0049】
また例えば、
図12(b)に示すように、長手方向の中心軸が曲線をなす複数の単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・を形成する籠枠連結体5は、
図12(b)の下方に凸である。
図12(b)においては、籠枠連結体5の上側に湾曲した法面が位置する。籠枠連結体5のそれぞれの単位空間がL字網、背面網及び隣接する単位空間のL字網を構成する側面網から形成されている場合、すなわち、
図7(b)に示す組合せ例2と同様の場合、背面網の横幅は、L字網の2面の網のうちの前面網の横幅より相対的に短いものであると、
図12(b)に図示するような籠枠連結体5の全体形状を形成しやすい。湾曲した法面の曲率に応じて、背面網の横幅を適宜調整したり、あるいは、L字網の2面の網のうちの前面網の横幅を適宜調整したりする。前面網に網部材を継ぎ足して前面網の横幅を長くしてもよく、背面網の端を切断して背面網の横幅を短くしてもよい。この時、複数の単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・は、
図12(b)の通り、上から見た形状が台形となる。特に
図12(b)のように、L字網の2面が直角に交わる場合、複数の単位空間S
(1,1,1)、S
(1,1,2)・・・の上から見た形状は直角台形を呈する。
図12(b)に示す籠枠連結体5と同様の籠枠連結体を複数段段積みすると籠枠積層体が構築され、内部に石詰めしていくと法面保護用等の擁壁を構築することができる。
【0050】
また、
図12(b)においては、単位空間S
(1,1,2)を形成するL字網と背面網との連結部分、すなわち、単位空間S
(1,1,2)の上から見た形状である直角台形の左上の角が、単位空間S
(1,1,1)内に食い込むような連結の仕方であってもよい。例えば、単位空間を形成するL字網の前面網と背面網の各横幅が同一である場合、湾曲した法面に籠枠連結体を設置する時は、単位空間S
(1,1,1)に、単位空間S
(1,1,2)を形成するL字網と背面網との連結部分(直角台形の左上の角)が少しだけ食い込み、その直角台形の左上の角から単位空間S
(1,1,2)を形成する背面網側に少し寄った部分で、単位空間S
(1,1,1)の背面網と接続する。この場合は、単位空間を形成するL字網の前面網と背面網の横幅を調整する必要がなく、設置がより早く効率的に行える。ある単位空間に、それに隣接する単位空間を形成する本体網の一部が食い込んだとしても、単位空間を形成する籠枠ユニットに使用する各種金属線材は適切な長さの金属線材を選択すればよく、かつ、石詰めにも大きな影響は与えない。
【0051】
(実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット)
図8(a)に示すように、本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様に、4つの矩形の金網、すなわち、前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sが、四角柱の4側面に対応する位置にそれぞれ配置されている。前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sは、本体網(21f、21s、23、22s)を構成する。実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12の本体網(21f、21s、23、22s)の構造等については、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様である。なお、
図8(a)においては、図示を簡便にし、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11との構造上の違いを明確にするため、コイルの図示は省略している。各金網の連結に用いられるコイルについては、籠枠ユニット12において、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。また、
図8(a)の示す実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12においては、隅に設けられる第4の金属線材はあってもなくてもよい。
【0052】
更に、
図8(a)に示すように、本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12においては、四角柱の底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、本体網(21f、21s、23、22s)の下端部に、それぞれの両端が固定された第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する。実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bは、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと、構造等は同一である。
【0053】
図8(a)に示すように、本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と比較して、第3の金属線材の本数が異なる。実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12においては、前面網21f及び背面網23の各上部を互いに連結する第3の金属線材33eを有する。
【0054】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、従来技術より、それぞれの籠枠ユニットを設置する地盤や詰石を均す手間が大幅に軽減できる。本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合は、底網や蓋網が存在しないので、不陸調整については、それぞれの籠枠ユニットの本体網の枠線及び底面に設けられる各種金属線材を設置するために微調整程度で済み、手間を大きく省略可能である。石詰めする際にも、詰石の分量や配置に慎重になり過ぎる必要はなく、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少多い場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少少なくして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。また反対に、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少少ない場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少多くして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。すなわち、ひとつひとつの籠枠ユニットにおいて、詰石の分量や配置を調整する手間や時間が大幅に省略できるのである。これらの理由により、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能である。
【0055】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より、使用する部材数が少ないので、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。更に、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より部材数が少ないので、法面保護用等の擁壁の構築後の部材のメンテナンスもしやすい。
【0056】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、部材の重複が少なく、蓋網及び底網を有さないので、コイル接続箇所も当然減少する。これにより、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。
【0057】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、蓋網及び底網を有さないので、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合いが生じ、かつ、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの両方が生じる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、少なくとも、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合い又は擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの一方は生じない。特に擁壁の下段側の詰石には、それより上段側の詰石の重量がかかってくるため、擁壁の下段側の籠枠ユニット間での詰石の相互のかみ合い及び擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、擁壁の強度を保つ上で大変重量である。なお、吸出し防止材を用いている場合、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、その吸出し防止材を介して行われる。
【0058】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合であって、
図8(a)のように各種金属線材を用いた場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁自体の強度については、更に向上させることが可能である。
【0059】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁の設置箇所での構築とその場での石詰めが可能となる。これにより、あらかじめ石詰めされた籠枠ユニット(ふとん籠等)をクレーン等の重機で吊り下げる作業が不要となるので、クレーン等の重機が不要となる。また、クレーン等の重機で吊り下げないため、籠枠ユニット自体が設置前に歪んでしまうことも防ぐことができる。
【0060】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁構築に係る部材のひとつひとつは小さいため、運搬コストも減少させることが可能である。最も大きな部材であるL字網についても、複数のL字網を重ねて運搬可能であるので、運搬コスト減に大きく寄与する。
【0061】
本発明の実施形態の第1変形例に係る籠枠ユニット12を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、凹状又は凸状の平面形状である法尻を有する湾曲した法面に対しても、部材の過不足を最小限に抑えて擁壁を構築することが可能である。
【0062】
(実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット)
図8(b)に示すように、本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様に、4つの矩形の金網、すなわち、前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sが、四角柱の4側面に対応する位置にそれぞれ配置されている。前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sは、本体網(21f、21s、23、22s)を構成する。実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13の本体網(21f、21s、23、22s)の構造等については、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様である。なお、
図8(b)においては、図示を簡便にし、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11との構造上の違いを明確にするため、コイルの図示は省略している。各金網の連結に用いられるコイルについては、籠枠ユニット13において、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。また、
図8(b)の示す実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13においては、隅に設けられる第4の金属線材はあってもなくてもよい。
【0063】
更に、
図8(b)に示すように、本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13においては、四角柱の底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、本体網(21f、21s、23、22s)の下端部に、それぞれの両端が固定された第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する。実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bは、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと、構造等は同一である。
【0064】
図8(b)に示すように、本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と比較して、第3の金属線材の本数が異なる。実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13においては、前面網21f及び背面網23を互いに連結する第3の金属線材33b、33eを有する。
【0065】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、従来技術より、それぞれの籠枠ユニットを設置する地盤や詰石を均す手間が大幅に軽減できる。本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合は、底網や蓋網が存在しないので、不陸調整については、それぞれの籠枠ユニットの本体網の枠線及び底面に設けられる各種金属線材を設置するために微調整程度で済み、手間を大きく省略可能である。石詰めする際にも、詰石の分量や配置に慎重になり過ぎる必要はなく、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少多い場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少少なくして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。また反対に、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少少ない場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少多くして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。すなわち、ひとつひとつの籠枠ユニットにおいて、詰石の分量や配置を調整する手間や時間が大幅に省略できるのである。これらの理由により、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能である。
【0066】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より、使用する部材数が少ないので、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。更に、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より部材数が少ないので、法面保護用等の擁壁の構築後の部材のメンテナンスもしやすい。
【0067】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、部材の重複が少なく、蓋網及び底網を有さないので、コイル接続箇所も当然減少する。これにより、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。
【0068】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、蓋網及び底網を有さないので、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合いが生じ、かつ、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの両方が生じる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、少なくとも、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合い又は擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの一方は生じない。特に擁壁の下段側の詰石には、それより上段側の詰石の重量がかかってくるため、擁壁の下段側の籠枠ユニット間での詰石の相互のかみ合い及び擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、擁壁の強度を保つ上で大変重量である。なお、吸出し防止材を用いている場合、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、その吸出し防止材を介して行われる。
【0069】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合であって、
図8(b)のように各種金属線材を用いた場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁自体の強度については、更に向上させることが可能である。
【0070】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁の設置箇所での構築とその場での石詰めが可能となる。これにより、あらかじめ石詰めされた籠枠ユニット(ふとん籠等)をクレーン等の重機で吊り下げる作業が不要となるので、クレーン等の重機が不要となる。また、クレーン等の重機で吊り下げないため、籠枠ユニット自体が設置前に歪んでしまうことも防ぐことができる。
【0071】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁構築に係る部材のひとつひとつは小さいため、運搬コストも減少させることが可能である。最も大きな部材であるL字網についても、複数のL字網を重ねて運搬可能であるので、運搬コスト減に大きく寄与する。
【0072】
本発明の実施形態の第2変形例に係る籠枠ユニット13を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、凹状又は凸状の平面形状である法尻を有する湾曲した法面に対しても、部材の過不足を最小限に抑えて擁壁を構築することが可能である。
【0073】
(実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット)
図9(a)に示すように、本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様に、4つの矩形の金網、すなわち、前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sが、四角柱の4側面に対応する位置にそれぞれ配置されている。前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sは、本体網(21f、21s、23、22s)を構成する。実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14の本体網(21f、21s、23、22s)の構造等については、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様である。なお、
図9(a)においては、図示を簡便にし、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11との構造上の違いを明確にするため、コイルの図示は省略している。各金網の連結に用いられるコイルについては、籠枠ユニット14において、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。また、
図9(a)の示す実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14においては、隅に設けられる第4の金属線材はあってもなくてもよい。
【0074】
更に、
図9(a)に示すように、本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14においては、四角柱の底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、本体網(21f、21s、23、22s)の下端部に、それぞれの両端が固定された第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する。実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bは、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと、構造等は同一である。
【0075】
図9(a)に示すように、本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と比較して、第3の金属線材の本数が異なる。実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14においては、前面網21f及び背面網23の各上部を互いに連結する第3の金属線材33d、33e、33fを有する。
【0076】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、従来技術より、それぞれの籠枠ユニットを設置する地盤や詰石を均す手間が大幅に軽減できる。本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合は、底網や蓋網が存在しないので、不陸調整については、それぞれの籠枠ユニットの本体網の枠線及び底面に設けられる各種金属線材を設置するために微調整程度で済み、手間を大きく省略可能である。石詰めする際にも、詰石の分量や配置に慎重になり過ぎる必要はなく、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少多い場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少少なくして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。また反対に、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少少ない場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少多くして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。すなわち、ひとつひとつの籠枠ユニットにおいて、詰石の分量や配置を調整する手間や時間が大幅に省略できるのである。これらの理由により、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能である。
【0077】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より、使用する部材数が少ないので、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。更に、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より部材数が少ないので、法面保護用等の擁壁の構築後の部材のメンテナンスもしやすい。
【0078】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、部材の重複が少なく、蓋網及び底網を有さないので、コイル接続箇所も当然減少する。これにより、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。
【0079】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、蓋網及び底網を有さないので、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合いが生じ、かつ、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの両方が生じる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、少なくとも、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合い又は擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの一方は生じない。特に擁壁の下段側の詰石には、それより上段側の詰石の重量がかかってくるため、擁壁の下段側の籠枠ユニット間での詰石の相互のかみ合い及び擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、擁壁の強度を保つ上で大変重量である。なお、吸出し防止材を用いている場合、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、その吸出し防止材を介して行われる。
【0080】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合であって、
図9(a)のように各種金属線材を用いた場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁自体の強度については、更に向上させることが可能である。
【0081】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁の設置箇所での構築とその場での石詰めが可能となる。これにより、あらかじめ石詰めされた籠枠ユニット(ふとん籠等)をクレーン等の重機で吊り下げる作業が不要となるので、クレーン等の重機が不要となる。また、クレーン等の重機で吊り下げないため、籠枠ユニット自体が設置前に歪んでしまうことも防ぐことができる。
【0082】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁構築に係る部材のひとつひとつは小さいため、運搬コストも減少させることが可能である。最も大きな部材であるL字網についても、複数のL字網を重ねて運搬可能であるので、運搬コスト減に大きく寄与する。
【0083】
本発明の実施形態の第3変形例に係る籠枠ユニット14を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、凹状又は凸状の平面形状である法尻を有する湾曲した法面に対しても、部材の過不足を最小限に抑えて擁壁を構築することが可能である。
【0084】
(実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット)
図9(b)に示すように、本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様に、4つの矩形の金網、すなわち、前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sが、四角柱の4側面に対応する位置にそれぞれ配置されている。前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sは、本体網(21f、21s、23、22s)を構成する。実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15の本体網(21f、21s、23、22s)の構造等については、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様である。なお、
図9(b)においては、図示を簡便にし、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11との構造上の違いを明確にするため、コイルの図示は省略している。各金網の連結に用いられるコイルについては、籠枠ユニット15において、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。また、
図9(b)の示す実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15においては、隅に設けられる第4の金属線材はあってもなくてもよい。
【0085】
更に、
図9(b)に示すように、本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15においては、四角柱の底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、本体網(21f、21s、23、22s)の下端部に、それぞれの両端が固定された第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する。実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bは、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと、構造等は同一である。
【0086】
図9(b)に示すように、本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と比較して、第3の金属線材の本数が異なる。実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15においては、前面網21f及び背面網23の各上部を互いに連結する第3の金属線材33g、33hを有する。
【0087】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、従来技術より、それぞれの籠枠ユニットを設置する地盤や詰石を均す手間が大幅に軽減できる。本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合は、底網や蓋網が存在しないので、不陸調整については、それぞれの籠枠ユニットの本体網の枠線及び底面に設けられる各種金属線材を設置するために微調整程度で済み、手間を大きく省略可能である。石詰めする際にも、詰石の分量や配置に慎重になり過ぎる必要はなく、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少多い場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少少なくして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。また反対に、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少少ない場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少多くして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。すなわち、ひとつひとつの籠枠ユニットにおいて、詰石の分量や配置を調整する手間や時間が大幅に省略できるのである。これらの理由により、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能である。
【0088】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より、使用する部材数が少ないので、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。更に、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より部材数が少ないので、法面保護用等の擁壁の構築後の部材のメンテナンスもしやすい。
【0089】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、部材の重複が少なく、蓋網及び底網を有さないので、コイル接続箇所も当然減少する。これにより、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。
【0090】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、蓋網及び底網を有さないので、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合いが生じ、かつ、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの両方が生じる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、少なくとも、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合い又は擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの一方は生じない。特に擁壁の下段側の詰石には、それより上段側の詰石の重量がかかってくるため、擁壁の下段側の籠枠ユニット間での詰石の相互のかみ合い及び擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、擁壁の強度を保つ上で大変重量である。なお、吸出し防止材を用いている場合、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、その吸出し防止材を介して行われる。
【0091】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合であって、
図9(b)のように各種金属線材を用いた場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁自体の強度については、更に向上させることが可能である。
【0092】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁の設置箇所での構築とその場での石詰めが可能となる。これにより、あらかじめ石詰めされた籠枠ユニット(ふとん籠等)をクレーン等の重機で吊り下げる作業が不要となるので、クレーン等の重機が不要となる。また、クレーン等の重機で吊り下げないため、籠枠ユニット自体が設置前に歪んでしまうことも防ぐことができる。
【0093】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁構築に係る部材のひとつひとつは小さいため、運搬コストも減少させることが可能である。最も大きな部材であるL字網についても、複数のL字網を重ねて運搬可能であるので、運搬コスト減に大きく寄与する。
【0094】
本発明の実施形態の第4変形例に係る籠枠ユニット15を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、凹状又は凸状の平面形状である法尻を有する湾曲した法面に対しても、部材の過不足を最小限に抑えて擁壁を構築することが可能である。
【0095】
(実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット)
図10(a)に示すように、本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様に、4つの矩形の金網、すなわち、前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sが、四角柱の4側面に対応する位置にそれぞれ配置されている。前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sは、本体網(21f、21s、23、22s)を構成する。実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16の本体網(21f、21s、23、22s)の構造等については、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様である。なお、
図10(a)においては、図示を簡便にし、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11との構造上の違いを明確にするため、コイルの図示は省略している。各金網の連結に用いられるコイルについては、籠枠ユニット16において、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。また、
図10(a)の示す実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16においては、隅に設けられる第4の金属線材はあってもなくてもよい。
【0096】
更に、
図10(a)に示すように、本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16においては、四角柱の底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、本体網(21f、21s、23、22s)の下端部に、それぞれの両端が固定された第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する。実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bは、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと、構造等は同一である。
【0097】
図10(a)に示すように、本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と比較して、第2及び第3の金属線材の本数が異なる。実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16においては、前面網21f及び背面網23を互いに連結する第5の金属線材31c、31dを有する。2本の第5の金属線材31c、31dは、籠枠ユニット16の中央部において互いに交差し、第5の金属線材31cは背面網23の下端部と前面網21fの上端部を、第5の金属線材31dは背面網23の上端部と前面網21fの下端部をそれぞれ接続している。
【0098】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、従来技術より、それぞれの籠枠ユニットを設置する地盤や詰石を均す手間が大幅に軽減できる。本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合は、底網や蓋網が存在しないので、不陸調整については、それぞれの籠枠ユニットの本体網の枠線及び底面に設けられる各種金属線材を設置するために微調整程度で済み、手間を大きく省略可能である。石詰めする際にも、詰石の分量や配置に慎重になり過ぎる必要はなく、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少多い場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少少なくして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。また反対に、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少少ない場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少多くして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。すなわち、ひとつひとつの籠枠ユニットにおいて、詰石の分量や配置を調整する手間や時間が大幅に省略できるのである。これらの理由により、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能である。
【0099】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より、使用する部材数が少ないので、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。更に、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より部材数が少ないので、法面保護用等の擁壁の構築後の部材のメンテナンスもしやすい。
【0100】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、部材の重複が少なく、蓋網及び底網を有さないので、コイル接続箇所も当然減少する。これにより、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。
【0101】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、蓋網及び底網を有さないので、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合いが生じ、かつ、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの両方が生じる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、少なくとも、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合い又は擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの一方は生じない。特に擁壁の下段側の詰石には、それより上段側の詰石の重量がかかってくるため、擁壁の下段側の籠枠ユニット間での詰石の相互のかみ合い及び擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、擁壁の強度を保つ上で大変重量である。なお、吸出し防止材を用いている場合、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、その吸出し防止材を介して行われる。
【0102】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合であって、
図10(a)のように各種金属線材を用いた場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁自体の強度については、更に向上させることが可能である。
【0103】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁の設置箇所での構築とその場での石詰めが可能となる。これにより、あらかじめ石詰めされた籠枠ユニット(ふとん籠等)をクレーン等の重機で吊り下げる作業が不要となるので、クレーン等の重機が不要となる。また、クレーン等の重機で吊り下げないため、籠枠ユニット自体が設置前に歪んでしまうことも防ぐことができる。
【0104】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁構築に係る部材のひとつひとつは小さいため、運搬コストも減少させることが可能である。最も大きな部材であるL字網についても、複数のL字網を重ねて運搬可能であるので、運搬コスト減に大きく寄与する。
【0105】
本発明の実施形態の第5変形例に係る籠枠ユニット16を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、凹状又は凸状の平面形状である法尻を有する湾曲した法面に対しても、部材の過不足を最小限に抑えて擁壁を構築することが可能である。
【0106】
(実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット)
図10(b)に示すように、本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様に、4つの矩形の金網、すなわち、前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sが、四角柱の4側面に対応する位置にそれぞれ配置されている。前面網21f、側面網21s、背面網23及び側面網22sは、本体網(21f、21s、23、22s)を構成する。実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17の本体網(21f、21s、23、22s)の構造等については、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と同様である。なお、
図10(b)においては、図示を簡便にし、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11との構造上の違いを明確にするため、コイルの図示は省略している。各金網の連結に用いられるコイルについては、籠枠ユニット17において、その一部又は全部がなくてもよい。各種コイルの代替として、結束線やU字ボルト等の各種ボルト等を用いて、各金網を連結させてもよい。また、
図10(b)の示す実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17においては、隅に設けられる第4の金属線材はあってもなくてもよい。
【0107】
更に、
図10(b)に示すように、本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17においては、四角柱の底面における2本の対角線に沿ってそれぞれ設けられ、本体網(21f、21s、23、22s)の下端部に、それぞれの両端が固定された第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bを有する。実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bは、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11に係る第1の金属線材31a及び第2の金属線材31bと、構造等は同一である。
【0108】
図10(b)に示すように、本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17においては、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11と比較して、第2及び第3の金属線材の本数が異なる。実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17においては、前面網21f及び背面網23を互いに連結する第5の金属線材31c、31dを有する。2本の第5の金属線材31c、31dは、籠枠ユニット16の中央部において互いに交差し、第5の金属線材31cは背面網23の下端部と前面網21fの上端部を、第5の金属線材31dは背面網23の上端部と前面網21fの下端部をそれぞれ接続している。また、第3の金属線材33d、33fも有する。
【0109】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、従来技術より、それぞれの籠枠ユニットを設置する地盤や詰石を均す手間が大幅に軽減できる。本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合は、底網や蓋網が存在しないので、不陸調整については、それぞれの籠枠ユニットの本体網の枠線及び底面に設けられる各種金属線材を設置するために微調整程度で済み、手間を大きく省略可能である。石詰めする際にも、詰石の分量や配置に慎重になり過ぎる必要はなく、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少多い場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少少なくして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。また反対に、下段の籠枠ユニットで詰石の分量が多少少ない場合であっても、その隣接する上段の籠枠ユニットにおいて詰石の分量を多少多くして、擁壁全体として詰石の分量や配置が適切となるように調整することが可能である。すなわち、ひとつひとつの籠枠ユニットにおいて、詰石の分量や配置を調整する手間や時間が大幅に省略できるのである。これらの理由により、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能である。
【0110】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より、使用する部材数が少ないので、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。更に、従来技術及び
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合より部材数が少ないので、法面保護用等の擁壁の構築後の部材のメンテナンスもしやすい。
【0111】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、部材の重複が少なく、蓋網及び底網を有さないので、コイル接続箇所も当然減少する。これにより、籠枠ユニット、籠枠連結体及び籠枠積層体の設置がより早く可能であり、かつ、全体的にコスト削減することができる。
【0112】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、蓋網及び底網を有さないので、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合いが生じ、かつ、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの両方が生じる。従来技術は一部には必ず底網又は蓋網を有するものであり、少なくとも、上下段の籠枠ユニット間での詰石のかみ合い又は擁壁の設置地盤への詰石の食い込みの一方は生じない。特に擁壁の下段側の詰石には、それより上段側の詰石の重量がかかってくるため、擁壁の下段側の籠枠ユニット間での詰石の相互のかみ合い及び擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、擁壁の強度を保つ上で大変重量である。なお、吸出し防止材を用いている場合、擁壁の設置地盤への詰石の食い込みは、その吸出し防止材を介して行われる。
【0113】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合であって、
図10(b)のように各種金属線材を用いた場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁自体の強度については、更に向上させることが可能である。
【0114】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁の設置箇所での構築とその場での石詰めが可能となる。これにより、あらかじめ石詰めされた籠枠ユニット(ふとん籠等)をクレーン等の重機で吊り下げる作業が不要となるので、クレーン等の重機が不要となる。また、クレーン等の重機で吊り下げないため、籠枠ユニット自体が設置前に歪んでしまうことも防ぐことができる。
【0115】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、擁壁構築に係る部材のひとつひとつは小さいため、運搬コストも減少させることが可能である。最も大きな部材であるL字網についても、複数のL字網を重ねて運搬可能であるので、運搬コスト減に大きく寄与する。
【0116】
本発明の実施形態の第6変形例に係る籠枠ユニット17を用いて法面保護用等の擁壁を構築した場合、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の場合と同様に、凹状又は凸状の平面形状である法尻を有する湾曲した法面に対しても、部材の過不足を最小限に抑えて擁壁を構築することが可能である。
【0117】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態と複数の変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0118】
例えば、L字網については、
図1等に示すような縦線を有する部位で折り曲げられていなくてもよく、縦線を有せず横線のみを有する部位で折り曲げられていてもよい。また、
図1等においては籠枠ユニット11を構成するL字網の代わりに、3面の金網からなるコの字型の網を用いてもよい。その場合、1つの籠枠ユニットの本体網は、1つのコの字型の網と、隣接する籠枠ユニットの本体網を構成するコの字型の網の3面のうちの1面の金網により構成され、1つの単位空間を形成する。L字網よりもコの字型の網を用いる方が、部材数をより減少させることが可能である。
【0119】
また、籠枠ユニットの本体網が形作る四角柱については、
図3等においては6面がすべて矩形である直方体を図示しており、
図12(a)及び(b)においては上面及び底面が直角台形である四角柱を図示しているが、四角柱であればそれら以外の形状であってもよい。例えば、上面及び底面が平行四辺形等であってもよい。
【0120】
更に、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11は、円筒型蛇篭、異形蛇篭等の他のタイプの籠と共に用いて法面保護用等の擁壁を構築してもよい。
図8~10に示す実施形態の第1~6変形例に係る籠枠ユニット12~17についても同様である。
【0121】
更に、
図1等に示す実施形態に係る籠枠ユニット11の設置面は、水平から傾いていてもよい。
図8~10に示す実施形態の第1~6変形例に係る籠枠ユニット12~17についても同様である。
【0122】
更に、
図3等においては、複数の籠枠連結体は、それぞれの側面網の位置を上下段で一致させるように互いに連結されているが、かならずしもそれぞれの側面網の位置を上下段で一致させる必要はなく、上段側の籠枠連結体の側面網が下段側の籠枠連結体のそれぞれの籠枠ユニットの中央付近に位置する等であってもよい。
【0123】
更に、
図3等においては、複数の籠枠連結体のそれぞれの籠枠ユニットの個数やサイズは同一であるが、籠枠連結体間でそれぞれの籠枠ユニットの個数やサイズは異なってもよい。
【0124】
本発明の実施形態及び変形例で説明したそれぞれの技術的思想の一部を適宜、互いに組み合わせることも可能である。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当と解釈しうる、特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0125】
1、2…籠枠積層体
3…平面連結体
4、5…籠枠連結体
11、12、13、14、15、16、17…籠枠ユニット
21、22、22a、22b…L字網
21f、22f…前面網
21s、22s、25…側面網
23、24…背面網
31a…第1の金属線材
31b…第2の金属線材
31c、31d…第5の金属線材
33a、33b、33c、33d、33e、33f、33g、33h…第3の金属線材
35a、35b…第4の金属線材
41a、41a、41c…コイル
51…吸出し防止材
61…詰石
62…地盤