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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】縫合器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021515281
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019063309
(87)【国際公開番号】W WO2019224296
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】1850630-3
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】520456930
【氏名又は名称】ストゥリオン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ボーナー,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】クリステンソン,マーツ
(72)【発明者】
【氏名】ノルエンスタム,リカード
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/083897(WO,A1)
【文献】特表2018-537176(JP,A)
【文献】特表2014-529461(JP,A)
【文献】特表2010-505519(JP,A)
【文献】仏国特許発明第00337579(FR,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0010512(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257345(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0304096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両頭針の針移送を用いる縫合器であって、前記縫合器は、
-前記両頭針の第1端を保持し、解放する第1の針ロック・デバイスを含む第1のジョー要素と、
-前記両頭針の第2端を保持し、解放する第2の針ロック・デバイスを含む第2のジョー要素であって、前記第1のジョー要素および前記第2のジョー要素は、開位置と閉位置との間でお互いに関して移動可能であ第2のジョー要素と
-前記第1のジョー要素および前記第2のジョー要素が前記開位置から前記閉位置に移動される時に、前記両頭針を前記第1のジョー要素および前記第2のジョー要素の一方から他方に交互に移送する針移送機構であって、前記針移送機構は、
o前記第1の針ロック・デバイスに接続された第1の回転可能な車輪であって、前記第1の回転可能な車輪は、第1の車輪外側部分に堅く接続された第1の車輪内側部分を含む、第1の回転可能な車輪と、
o前記第2の針ロック・デバイスに接続された第2の回転可能な車輪であって、前記第2の回転可能な車輪は、第2の車輪外側部分に堅く接続された第2の車輪内側部分を含む、第2の回転可能な車輪と
o前記第2の車輪外側部分と係合する第1の車輪駆動機構と、
o前記第1の車輪外側部分と係合する第2の車輪駆動機構と、
を含む、針移送機構と、
を含み、
前記第1のジョー要素および前記第2のジョー要素が前記開位置から前記閉位置にお互いに関して移動される時に、前記第1の車輪駆動機構は、前記第1のジョー要素から前記第2の回転可能な車輪に第1の力を伝搬するように適合され、前記第2の車輪駆動機構は、前記第2のジョー要素から前記第1の回転可能な車輪に第2の力を伝搬するように適合され、これによって、前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪に回転するようにさせ、前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪は、前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪の回転が、前記針ロック・デバイスの一方に前記両頭針をロックさせ、前記針ロック・デバイスの他方に前記両頭針を解放させるように配置される、縫合器。
【請求項2】
前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪は、前記第1のジョー要素および前記第2のジョー要素が前記開位置から前記閉位置にお互いに関して移動される時に、反対方向に回転するように配置され、これによって、前記針ロック・デバイスの一方に、前記両頭針をロックさせ、他方の前記針ロック・デバイスに、前記両頭針を解放させる、請求項1に記載の縫合器。
【請求項3】
前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪は、同時にかつ/または同期化されて、好ましくは同一の回転速度で回転するように配置される、請求項1~2のいずれか一項に記載の縫合器。
【請求項4】
前記第1の針ロック・デバイスは、前記第1の回転可能な車輪と係合する第1の車輪係合要素を含み、前記第2の針ロック・デバイスは、前記第2の回転可能な車輪と係合する第2の車輪係合要素を含み、前記第1の車輪係合要素および前記第2の車輪係合要素は軸である請求項1~3のいずれか一項に記載の縫合器。
【請求項5】
前記第1の車輪係合要素は、前記第1の車輪内側部分と係合する、請求項に記載の縫合器。
【請求項6】
前記第2の車輪係合要素は、前記第2の車輪内側部分と係合する、請求項のいずれか一項に記載の縫合器。
【請求項7】
各車輪係合要素は、対応する前記回転可能な車輪の回転に応答して、対応する前記ジョー要素の軸方向で前後に移動するように構成され、各車輪係合要素の前後の移動は、対応する前記針ロック・デバイスに、それぞれ前記両頭針の対応する端を保持および解放するようにさせる、請求項のいずれか一項に記載の縫合器。
【請求項8】
回転車輪のそれぞれは、前記回転車輪が回転する時に、前記両頭針の対応する端を保持し、解放するために、カム要素の形状が前記車輪係合要素の前後の前記移動を制御するような形状にされた前記カム要素を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の縫合器。
【請求項9】
各カム要素は、前隆起および後隆起を有し、前記後隆起は、前記前隆起より急勾配である、請求項に記載の縫合器。
【請求項10】
前記前隆起と前記後隆起との間の境界セクションは、前記針ロック・デバイスの1つの前記車輪係合要素を引っ込められた位置に保持し、前記針ロック・デバイスにロックされた構成にならせるように構成される、請求項に記載の縫合器。
【請求項11】
前記第1のジョー要素および前記第2のジョー要素を開くために前記第1の回転可能な車輪および/または前記第2の回転可能な車輪を手動制御する第1のジョー開き制御要素をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の縫合器。
【請求項12】
前記第1のジョー開き制御要素は、前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪のうちの1つに堅く接続される、請求項11に記載の縫合器。
【請求項13】
前記縫合器は、前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪のうちの1つを手動で制御するための第2のジョー開き制御要素を含み、前記第1のジョー開き制御要素および前記第2のジョー開き制御要素は、前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪を個別に制御するように配置され、前記第1のジョー開き制御要素は、前記第1の回転可能な車輪および前記第2の回転可能な車輪の一方に堅く接続される、請求項1112のいずれか一項に記載の縫合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善された縫合器、具体的には、自動化されたまたは半自動化された使い捨て縫合器に関する。好ましくは、このデバイスは、片手用縫合器である。
【背景技術】
【0002】
腹腔内の外科手術は、観血手術または低侵襲技術を介して達成できるアクセスを必要とする。開腹手術は、非常に一般的であり、米国では毎年、約200万回の手術が実行される。手術の後に、腹壁を閉じなければならない。実験データおよび臨床データは、術後の腹壁合併症を最小にするのに必要な手術手技に関する信頼できる情報を与える。連続縫合技法が使用され、糸が切開の4倍の長さである場合に、傷口感染および瘢痕ヘルニアが減る。行は小さく、密に配置されなければならない。縫合プロセスは、退屈で時間がかかり、長く骨の折れる外科手術の後に達成するのが困難である。手術室の時間は高価であり、時間の節約は、より多くの患者のケアを提供することができる。さらに、閉腹は、手術中の針損傷の最も一般的な基礎である。
【0003】
既存の縫合器具は、複数の不利益および不便に関連する。それらは、通常は使いにくく、患者の安全を保証せず、精度に欠け、しばしば機械的に複雑である。したがって、外科医が腹を閉じる正しい形を厳守し、縫合を実行するのに必要な時間を減らすのを助ける器具を提供することが望ましい。好ましくは、そのような器具は、刺し傷のリスクを減らし、縫合配置を単純にし、機械的に単純で頑健でもなければならない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、両頭針の組込み針移送を用いる改善された縫合器に関する。縫合器は、片手用デバイスとすることができ、ジョーの開閉の機構が、好ましくは針の移送を制御するための追加のスイッチの必要なしに、針の移送をも制御しまたはこれに機械的に同期化されるという意味で、ジョーの間の針の移送は、好ましくは自動的である。
【0005】
第1の実施形態では、縫合器は、
-両頭針の第1端を保持し、解放する第1の針ロック・デバイスを含む第1のジョー要素と、
-両頭針の第2端を保持し、解放する第2の針ロック・デバイスを含む第2のジョー要素と
を含み、第1および第2のジョー要素は、開位置と閉位置との間でお互いに関して移動可能であり、縫合器は、
-第1および第2のジョーが開位置から閉位置に移動される時に、両頭針をジョー要素の一方から他方に交互に移送する針移送機構であって、
o第1の針ロック・デバイスに接続された第1の回転可能な車輪であって、第1の回転可能な車輪は、第1の車輪外側部分に堅く接続された第1の車輪内側部分を含む、第1の回転可能な車輪と、
o第2の針ロック・デバイスに接続された第2の回転可能な車輪であって、第2の回転可能な車輪は、第2の車輪外側部分に堅く接続された第2の車輪内側部分を含む、第2の回転可能な車輪と
を含む、針移送機構をさらに含み、第1および第2のジョー要素が開位置から閉位置にお互いに関して移動される時に、第1の力は、第1のジョー要素から第2の回転可能な車輪に伝搬され、第2の力は、第2のジョー要素から第1の回転可能な車輪に伝搬され、これによって、第1および第2の回転可能な車輪に回転させ、第1および第2の回転可能な車輪は、第1および第2の回転可能な車輪の回転が、針ロック・デバイスの一方に両頭針をロックさせ、他方の針ロック・デバイスに両頭針を解放させるように配置される。針移送機構は、これによって、第1および第2の回転可能な車輪との間の回転の差および/または回転サイクルの差、たとえばシフト/オフセットが、移送機構を提供するように配置され得る。
【0006】
組込み針移送を用いる本開示される縫合器は、改善された、具体的にはより高速でより正確な外科縫合の正確で頑健な設計の縫合器を提供し、ユーザは、片手を使用してジョーを一緒に繰り返し押して、二重頭針をジョーの間で前後に移送することができる。ジョーが閉じられる時に、一方のジョーから針を解放し、他方のジョーに針をロックするプロセスを、ツールの内部の逐次機構によってもたらすことができる。第1の実施形態では、2つの車輪は、ジョーが閉じられる時に反対方向に回転し、これが、針保有機構の交互の開閉を可能にし、ジョーが繰り返して開閉される時に、針が、第1のジョーと第2のジョーとの間で前後に渡されるようになっている。第2の代替の実施形態では、2つの車輪を、その代わりに、同一方向に回転するように配置することができる。しかし、各車輪が、針ロック・デバイスと係合し、対応するジョーの軸方向での針ロック要素の位置を制御する外側プロファイルを有する場合に、車輪の間の外側プロファイルのシフトは、第1および第2のジョーが開位置から閉位置に移動される時に、ジョー要素の一方から他方へ両頭針を交互に移送する機構を提供することができる。
【0007】
好ましくは、針移送機構は、閉じるプロセス中に変化するジョーの間の角度によってトリガされるステップの調整されたシーケンスで動作するように配置される。ジョーの間の角度が閉じるプロセス中のしきい角度より小さい時に車輪が回り始める形で、たとえば駆動軸の形の、2つの車輪駆動機構が、ジョーと車輪との両方に係合することができる。このしきい値未満では、ジョーが閉じられている時に車輪が回り始める時に、車輪の外側プロファイルは、さらなるステップを画定することができ、各ステップは、第1および第2の針ロック・デバイスの構成に対応することができる。一実施形態では、各針ロック・デバイスは、車輪が回転する時に針を保持/解放するためにジョーの軸方向で前後に移動する車輪係合要素を含む。この機構を、下の本発明の詳細な説明の例でさらに説明する。
【0008】
2つの車輪は、針が第2のジョーから第1のジョーに渡される時と比較して、針が第1のジョーから第2のジョーに渡される時に、プロセスが同一になるような形状にされ得る。これは、ユーザが、2つのジョーを一緒に押し、これによって針を第1のジョーから第2のジョーに移送し、ジョーを開くためにジョー開きばねの力に依存し、針を第2のジョーから第1のジョーに移送するためにもう一度ジョーを一緒に押すことなどによって縫合器を動作させることを可能にする。針移送機構は、これによって、針の移送を制御する追加のスイッチがないという意味で自動的とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】両頭針の組込み針移送を用いる本開示される縫合器の実施形態を示す図であり、2つの回転可能な車輪は、2つの針ロック・デバイスの保有および解放を制御するために反対方向に回転するように配置される。
図2図1の縫合器を示す透視図である。
図3】針の一端の保有および解放の実施形態を示す図である。
図4】内側部分および外側部分を有する回転可能な車輪の1つの実施形態を示す図であり、少なくとも内側部分は、カム要素を有し、針ロック要素の位置を制御するために針ロック・デバイスと係合する外側プロファイルを有する。
図5A】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図5B】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図5C】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図5D】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図5E】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図5F】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図5G】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図5H】ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示す図であり、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。
図6】針を受け、ロックする開口部を有する針保有要素と、針プッシャ要素との実施形態を示す図である。
図7】両頭針の組込み針移送を用いる本開示される縫合器の別の実施形態を示す図であり、2つの回転可能な車輪は、同一方向に回転するように配置され、車輪の外側プロファイルは、お互いに関してシフトされている。
図8】2つの車輪係合要素を有する2つのジョー要素の実施形態を示す図である。
図9】同一方向に回転するように配置された2つの回転可能な車輪を示す図であり、外側プロファイルは、お互いに関してシフトされ、共通の駆動輪が、2つの回転車輪に接続される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、両頭針の針移送を用いる縫合器であって、両頭針の第1端を保持し、解放する第1の針ロック・デバイスを含む第1のジョー要素と、両頭針の第2端を保持し、解放する第2の針ロック・デバイスを含む第2のジョー要素とを含み、第1および第2のジョー要素は、開位置と閉位置との間でお互いに関して移動可能であり、縫合器は、第1および第2のジョーが開位置から閉位置に移動される時に、両頭針をジョー要素の一方から他方に交互に移送する針移送機構をさらに含む、縫合器に関する。より正確には、両頭は、一方の針ロック・デバイスから他方の針ロック・デバイスに交互に移送される。縫合器を、腹を閉じる縫合器とすることができる。通常、ジョー要素は、共通のピボット・ジョイントの回りでお互いに関してピボット回転可能である。好ましくは、針移送機構は、第1の針ロック・デバイスに接続された第1の回転可能な車輪と、第2の針ロック・デバイスに接続された第2の回転可能な車輪とを含む。第1および第2の回転可能な車輪は、回転が、第1および第2の回転可能な車輪の間の回転の差および/またはシフトもしくはオフセットが、第1および第2のジョー要素がお互いに関して開位置から閉位置に移動される時に、針ロック・デバイスの一方に両頭針をロックさせ、他方の針ロック・デバイスに両頭針を解放させるように配置され得る。一実施形態では、第1および第2の回転可能な車輪は、2つの針ロック・デバイスの同期化されたおよび/または調整された解放および保有を提供するために、同時におよび/または同期化されて、好ましくは同一の回転速度を伴って、回転するように配置される。回転可能な車輪ベースの解決策は、ユーザが、たとえばジョーを一緒に直接に押すことによってまたは2つのハンドルを一緒に押し、これによってジョーを一緒に押すことによって、1つの移動で一方のジョーから他方のジョーに針を移送することを可能にする。ユーザは、その後、ジョーまたはハンドルを解放し、ばねコイルまたは同一の機能性を提供する別の解決策が、ジョーを開位置に強制的に戻らせることができる。この機構は、第1のジョー要素と第2のジョー要素との間に配置されたジョー開きばねによって提供され得る。ユーザが、もう一度ジョーを一緒に押す場合に、針移送機構は、両頭針を、第2のジョーから第1のジョーに戻って移送させることができる。これは、ユーザが、縫合プロセスを実行するために、ジョーを一緒に繰り返して押し、ばねコイルに開位置に戻らせることができることを意味する。
【0011】
具体的には、この自動機構または半自動機構は、片手使用を可能にすることができる。このデバイスは、その構成において頑健、効率的、かつ相対的に単純である。したがって、この機構は、使い捨て縫合器に適する。
【0012】
本開示される縫合器の第1の実施形態は、2つの回転可能な車輪を含み、第1および第2の回転可能な車輪は、第1および第2のジョー要素がお互いに関して開位置から閉位置に移動される時に反対方向に回転し、これによって、針ロック・デバイスの一方に両頭針をロックさせ、他方の針ロック・デバイスに両頭針を解放させるように配置される。2つの回転可能な車輪の回転を、ジョー要素に接続された軸によって駆動することができる。ジョー要素がお互いに向かって閉じられる時に、軸は、回転するように車輪を押すことができる。これによって、車輪の外側プロファイルは、針ロック・デバイスに、両頭針を交互にロックさせ、解放させることができる。
【0013】
本開示される縫合器の第2の実施形態は、2つの回転可能な車輪を含み、第1および第2の回転可能な車輪は、同一方向に回転するように配置され、車輪の外側プロファイルは、車輪が回転する時にお互いに関してシフトされる。この実施形態では、シフトされたプロファイルは、両頭針を交互にロックし、解放するように針ロック・デバイスを制御するように配置され得る。
【0014】
針ロック・デバイス機構
第1の針ロック・デバイスは、第1のジョー要素に関連し、第2の針ロック・デバイスは、第2のジョー要素に関連する。本開示内の針ロック・デバイスを、両頭針の一端を保持し、解放する完全な機構と称する場合がある。これによって、針ロック・デバイスは、複数の接続された要素または係合する要素を含む。針ロック・デバイスを、ジョー要素内に組み込むことができる。針ロック・デバイスは、下でさらに詳細に説明するように、一端で回転可能な車輪の1つに係合しまたは接続し、好ましくは内側のジョー要素を介して延びることができるが、他端は、針の一端を保持し、解放できるものとすることができる。好ましくは、第1の回転可能な車輪は、第1の針ロック・デバイスと係合し、第2の回転可能な車輪は、第2の針ロック・デバイスと係合する。これは、車輪係合要素が、それぞれ第1および第2の回転可能な車輪と係合することによって達成され得る。車輪が回転する時に、車輪の外側プロファイルは、対応する回転可能な車輪の回転に応答して、対応するジョー要素の軸方向で前後に車輪係合要素を移動することができる。前方は、ジョー要素の自由端に向かう方向での意味を有する。その結果、後方は、反対の方向すなわち車輪に向かう方向を意味する。
【0015】
車輪係合要素を、係合軸とすることができる。車輪係合要素と回転可能な車輪の変化する外側プロファイルとの間の接触を維持するために、各車輪係合要素は、車輪係合要素から対応する回転可能な車輪への圧力を維持するように構成された第1のばねコイルを含むことができる。
【0016】
当業者が理解するように、各ジョー要素の軸方向での前後の車輪係合要素の移動に基づいて両頭針の保有および解放を制御する、異なる解決策がある。図1は、各車輪係合要素が、対応するジョー要素の縦方向に延びる針保有要素に接続される、一実施形態を示す。各針保有要素は、両頭針を受けるために、好ましくは通常は縫合が行われるジョー要素の自由端に隣接する開口部を含むことができる。開口部は、両頭針をロックすることのできる形状を有することができる。針をロックする1つの機械的解決策は、幅広セクションおよび狭いセクションを有する開口部、たとえば、実質的に鍵穴形状の開口部を含む。したがって、両頭針は、保有要素の開口部の溝またはスロットなどの狭いセクションに導入された時に針が針の縦方向に動くのを防ぐ、針の残りより狭いまたは薄い部分を有することができる。両頭針は、両端にそのような溝またはスロットを有することができる。
【0017】
針が、開口部の狭いセクション内にロックされた時に、幅広いセクションに動き、落ちるのを防ぐために、各針ロック・デバイスは、図6に示されているように、本体部分に両頭針を押し付けるように構成された針プッシャ要素を含むことができる。針プッシャ要素は、対応するジョー要素の本体部分に向かって後ろ向きに両頭針を押すように配置され得る。針プッシャ接続要素は、針ロック・デバイスの一部を形成し、車輪係合要素および針保有要素を接続することができる。本体部分に向かう針プッシャ要素上の圧力を維持するように構成された第2のばねがあるものとすることができる。
【0018】
針を保持し、解放する組込み機構に加えて、本開示される縫合器は、必要な場合に針をジョーから手動で解放する手動針解放機構を含むことができる。各ジョーは、それ自体の手動針解放要素を有することができる。手動針解放機構は、ジョー内に延び、たとえば針ロック・デバイスまたは保有要素もしくは車輪係合要素などの針ロック・デバイスの要素を制御する、ジョー上のたとえばピン、グリップ、またはボタンとして実施され得る。
【0019】
回転可能な車輪の配置
上で述べたように、針移送機構は、第1の針ロック・デバイスに接続された第1の回転可能な車輪と、第2の針ロック・デバイスに接続された第2の回転可能な車輪とを含む。第1および第2の回転可能な車輪は、第1および第2のジョー要素がお互いに関して開位置から閉位置に移動される時に、第1および第2の回転可能な車輪の間の回転の差が、針ロック・デバイスの一方に両頭針をロックさせ、他方の針ロック・デバイスに両頭針を解放させるように配置され得る。
【0020】
本開示される縫合器の第1の実施形態は、2つの回転可能な車輪を含み、第1および第2の回転可能な車輪は、第1および第2のジョー要素がお互いに関して開位置から閉位置に移動される時に反対方向に回転し、これによって、針ロック・デバイスの一方に両頭針をロックさせ、他方の針ロック・デバイスに両頭針を解放させるように配置される。本開示される縫合器の第2の実施形態は、2つの回転可能な車輪を含み、第1および第2の回転可能な車輪は、同一方向に回転するように配置され、車輪の外側プロファイルは、車輪が回転する時にお互いに関してシフトされる。
【0021】
回転可能な車輪は、各車輪の外側プロファイルまたは輪郭に沿って分布する複数のカム要素を含むことができる。車輪の中心から車輪カムの外側周辺までの距離は、対応する車輪係合要素の位置を決定すると言うことができる。したがって、車輪が回転する時に、車輪係合要素は、ジョー要素の軸方向で前後に移動する。この移動を機構内で使用して、両頭針を保持し、解放することができる。したがって、カム要素は、回転車輪が回転する時に、カム要素の形状が、両頭針の対応する端を保持し、解放するための車輪係合要素の前後の移動を制御するような形状にされ得る。
【0022】
各カム要素は、前隆起および後隆起を有することができる。後隆起は、前隆起より急勾配とすることができる。車輪の回転方向は、車輪の形状に関して定義され、図4に例示されている。図の構成では、第2の回転車輪は、時計回りに回転し、第2の車輪係合要素が、カム要素のより長い前隆起(30)に接触し、まずこれに沿って移動し、その後、後隆起(31)に落ちるようになっている。後者は、ロック機構に対応することができる。一実施形態では、溝または凹窩と見ることもできる前隆起と後隆起との間の境界セクション(32)が、針ロック・デバイスの1つの車輪係合要素を引っ込められた位置に保持し、針ロック・デバイスにロックされた構成にならせるように構成される。各回転車輪の高められたセクションは、針ロック・デバイスの1つの車輪係合要素を延ばされた位置に保持し、針ロック・デバイスに解放された構成にならせるように構成され得る。図4は、第2の回転車輪を示す。第1の回転車輪は、第2の回転車輪に関して鏡映され得る。したがって、反対の展望からすなわち、反対側から縫合器を見ると、第1の回転車輪は、第2の回転車輪と同一の形状を有することができ、その展望からは時計回りに回転することができる。したがって、第1および第2の回転車輪は、反対方向に回転することができる。
【0023】
回転可能な車輪は、回転するために駆動される別々の部分と、針ロック・デバイスを制御する別々の部分とを有することができる。これを、内側部分および外側部分の形で実施することができ、内側部分および外側部分は、堅く接続される。第1の回転可能な車輪の内側部分を、第1の車輪内側部分と呼ぶ場合がある。第2の回転可能な車輪の内側部分を、第2の車輪内側部分と呼ぶ場合がある。第1の回転可能な車輪の外側部分を、第1の車輪外側部分と呼ぶ場合がある。第2の回転可能な車輪の外側部分を、第2の車輪外側部分と呼ぶ場合がある。内側部分および外側部分は、別々のカム要素を有することができる。そのような配置の例を、図4に示す。各回転車輪の外側部分は、ジョー要素の1つの車輪駆動機構と係合することができる。したがって、外側部分の形状は、図4の例に見られるように、この目的に適合され得る。回転車輪の内側部分は、同一のジョー要素の車輪係合要素と係合することができる。内側部分および外側部分は、内側部分が、その代わりに、車輪を回転するために駆動され得、外側部分が針ロック・デバイスを制御するという意味で、必ずしもこれらの構成を有さない。
【0024】
縫合器は、ジョー要素が閉位置から開位置に移動される時に車輪が後ろに回転するのを防ぐ逆ロック機構をさらに含むことができる。第1の逆ロック機構は、第1および第2のジョー要素が閉位置から開位置に移動される時に第1の回転可能な車輪が後ろに回転するのを防ぐように配置され得る。第2の逆ロック機構は、第1および第2のジョー要素が閉位置から開位置に移動される時に第2の回転可能な車輪が後ろに回転するのを防ぐように配置され得る。逆ロック機構は、図4に示されているようにフック要素(23)の形で実施され得、フック要素(23)は、この例に示されているように、車輪の外側部分の縁にひっかけられるなど、回転車輪の縁または隆起にひっかけられ得る。
【0025】
車輪駆動配置
回転車輪の回転を駆動する複数の実施形態が可能である。
【0026】
片手用実施形態などの一実施形態では、ユーザは、片手でジョー要素を保持し、ジョー要素を一緒に押すことができる。そのような実施形態では、ジョー要素は、回転車輪に係合し、縫合器が閉じられる時に車輪が回転するように車輪に力を伝達する要素を含むことができる。縫合器は、第2の回転車輪の回転のための第1の車輪駆動機構および第1の回転車輪の回転のための第2の車輪駆動機構を含むことができる。第1の車輪駆動機構は、第1の車輪駆動軸とすることができ、第2の車輪駆動機構は、第2の車輪駆動軸とすることができる。第1の車輪駆動機構は、第1および第2のジョーが開位置から閉位置に移動される時に第2の回転車輪が第1の方向(前向き)に回転するように、第1のジョー要素から第2の回転車輪に力を伝搬させるように構成され得る。第2の車輪駆動機構は、同一の形で動作することができる。一実施形態では、本開示される縫合器は、ユーザが回転可能な車輪を手動で制御することを可能にする、ジョー開き制御要素を含む。車輪を個別に制御できるようになるために、回転可能な車輪ごとに1つの、2つのジョー開き制御要素があってもよい。ジョー開き制御要素は、たとえば、回転可能な車輪の延長として実施され得る。これによって、回転可能な車輪は、通常はユーザに直接には露出されない第1の機構部分を有することができる。この部分は、回転可能な車輪の内側部分および外側部分を含むことができる。この機構部分は、通常、縫合器のケーシングの背後に配置される。ジョー開き制御要素は、好ましくはグリップまたはハンドルを含む、回転可能な車輪の露出された部分とすることができる。ユーザは、ジョー開き制御要素に力を印加することによって、針のロックおよび解放を手動で制御することができる。
【0027】
第2の実施形態では、車輪は、図7の例に示されているように、たとえばハンドルによって駆動され得る。ハンドルは、回転車輪とジョー要素の開閉との両方を駆動することができる。これらの2つの機構が同期化され、ジョー要素の閉じが両頭針の保有および解放の機構のシーケンスに対応する限り、複数の実施形態が可能である。図7の例では、図8にも示されているように、デバイスに沿って延びる3つの制御要素がある。軸(27)の形のジョー開き制御要素(27)は、好ましくはばねによって支援されて、ジョー要素(3、4)の開閉を制御する。針保有要素(12)は、2つのさらなる軸(9、10)の形の2つの車輪係合要素(9、10)によって制御される。これらの機構は、ハンドル(35)がそれらの 制御するという意味で、好ましくは同期化される。
【0028】
図面の詳細な説明
本発明を、以下で、添付図面を参照してより詳細に説明する。図面は、例示的であり、本開示される縫合器の特徴の一部を示すことを意図され、本開示される発明に対して限定的と解釈されてはならない。
【0029】
図1は、両頭針(2)の組込み針移送を用いる本開示される縫合器(1)の一実施形態を示し、2つの回転可能な車輪(7、8)は、2つの針ロック・デバイス(5、6)の保有および解放を制御するために反対方向に回転するように配置される。2つのジョー要素(3、4)は、共通のピボット・ジョイント(24)の回りでお互いに関してピボット回転可能である。ジョー開きばね(25)は、ユーザが両頭針(2)を移送するためにジョー要素(3、4)を一緒に押した後にジョーを開位置に戻って移動する。第1のジョー要素(3)は、第1の針ロック・デバイス(5)を有する。第2のジョー要素(4)は、第2の針ロック・デバイス(6)を有する。第1の回転可能な車輪(7)は、第1の車輪内側部分(19)および第1の車輪外側部分(不可視)を有する。第2の回転可能な車輪(8)は、第2の車輪内側部分(19’)および第2の車輪外側部分(20’)を有する。第1の車輪係合要素(9)は、第1の針ロック・デバイス(5)の一部であるが、第1の回転可能な車輪(7)の内側部分(19)の外側輪郭に係合する。第2の車輪係合要素(10)は、第2の針ロック・デバイス(6)の一部であるが、第2の回転可能な車輪(8)の内側部分(19’)の外側輪郭に係合する。第1のばね(11)が、車輪係合要素(9、10)から対応する回転可能な車輪(7、8)への圧力を維持する。針ロック・デバイス(5、6)は、それぞれ、針保有要素(12)と、両頭針(2)を後ろに(すなわち、車輪に向かって)押すように構成された針プッシャ要素(13)とを含む。各針ロック・デバイス(5、6)は、針プッシャ要素(13)上の圧力を維持する、針プッシャ接続要素(15)および第2のばね(14)を含む。各針ロック・デバイス(5、6)は、針プッシャ接続要素(15)と対応する車輪係合要素(9、10)との間の軸方向移動を制限する針プッシャ・グリップ要素(26)を含む。第1の車輪駆動機構(16)から第1のジョー要素(3)からの力が、第2の回転可能な車輪(8)を回転させる。第2の車輪駆動機構(17)から第2のジョー要素(4)からの力が、第1の回転可能な車輪(7)を回転させる。各回転可能な車輪(7、8)は、円周上に分布する複数のカム要素(18)を有する。この例の縫合器(1)は、それぞれがフック(23)を有する第1および第2の逆ロック機構(21、22)を含む。ジョー開き制御要素(27)は、回転可能な車輪の1つに堅く接続される。ジョー開き制御要素は、ジョー(3、4)を開くために第1および第2の回転可能な車輪の一方を手動制御するように配置される。さらなるジョー開き制御要素を、回転可能な車輪の他方に接続することができる。
【0030】
図2は、図1の縫合器(1)の透視図を示す。この透視図から、第2の回転可能な車輪(8)が、内側部分(19’)および外側部分(20’)を有することがわかる。内側部分(19’)は、第2のジョー要素(4)の車輪係合要素(10)をジョー要素の軸方向で前後に移動するのに使用できるカム・プロファイルを有する。第1の車輪駆動機構(16)は、車輪を回転させるために外側のより小さい部分(20’)を押すように配置される。この透視図は、ねじ(26)よりわずかに幅広い穴内に配置されたねじ(26)の形の針プッシャ・グリップ要素(26)も。ジョー開き制御要素(27)は、回転可能な車輪の一方に堅く接続され、ジョーならびに/または針のロックおよび解放を制御するために第2の回転可能な車輪(8)を手動制御するように配置される。さらなるジョー開き制御要素を、回転可能な車輪の他方に接続することができる。
【0031】
図3は、両頭針(2)の一端の保有および解放の実施形態を示す。針保有要素(12)は、より幅広い部分(28)およびより狭い部分(29)を有する。針(2)のより狭い部分または針(2)の溝が、狭い部分(29)内に配置される場合に、針(2)は、ロックされた位置にある。この図は、針プッシャ要素(13)が針(2)を後ろに押すことをも開示する。
【0032】
図4は、内側部分(19)および外側部分(20)を有する回転可能な車輪の1つの実施形態を示し、少なくとも内側部分(19)は、複数のカム要素(18)を有し、針ロック要素の位置を制御するために針ロック・デバイスと係合する外側プロファイルを有する。内側部分(19)の各カム要素(18)は、急勾配の後隆起(31)および曲がった前隆起(30)を含む。前隆起(30)と後隆起(31)との間の境界セクション(32)は、保有位置の針ロック・デバイス(6)に対応する、この図では左端位置にある第2の車輪係合要素(10)に対応する。2つの後隆起(31)の間のより長い曲がった表面である前隆起(30)上に、高められたセクション(33)がある。第2の車輪係合要素(10)が高められたセクション(33)に配置される時に、針ロック・デバイス(6)は、解放構成である。ジョー開き制御要素(27)は、回転可能な車輪の外側部分(20)に堅く接続される。さらなるジョー開き制御要素を、回転可能な車輪の他方に接続することができる。
【0033】
図5A図5Hは、ジョーを閉じるプロセスのステップのシーケンスの例を示し、各ステップは、ジョー要素の間の角度に対応し、一方のジョーから他方のジョーへ両頭針を移送する機構のシーケンスを説明する。図5A:ジョー要素の間の2.3°で、第2の車輪駆動機構(17)が、外側部分(20)との係合を開始する。同一のことが、第1の回転可能な車輪で発生する。図5B、1.53°:車輪駆動機構(16、17)が、今や、回転可能な車輪を反対方向に駆動する。第1の車輪係合要素(9)が、両頭針(2)に向かって移動し始め、これによって、第1の針ロック・デバイス(5)を開くプロセスを開始する。図5C、1.1°:両頭針(2)が、第2のジョー要素の針保有要素に入る。図5D、1.0°は、両頭針(2)の把持を失おうとしている第1の針保有要素(12)を示す。図5Eは、0.7°で、第1の回転可能な車輪(7)の第1の車輪係合要素(9)および内側部分(19)を示す。第1の車輪係合要素(9)は、カム要素の曲がったセクションに入ろうとしている。この位置で、針は、第1の針ロック・デバイス(5)の針保有要素(12)から解き放たれている。図5F:0.2°で、第2の車輪係合要素(10)が、第2の回転可能な車輪(8)のカム要素(18)の後隆起(31)を下りようとしている。図5G、0.12°:第2の車輪係合要素(10)が、後隆起(31)を通り、これによって、第2の針ロック・デバイス(6)の保有要素(12)内で両頭針(2)をロックする。図5H、0°:この位置で、両頭針(2)は、第2の針ロック・デバイス(6)の保有要素(12)内にロックされる。
【0034】
図6は、針(2)を受け、ロックする開口部を有する針保有要素(12)の実施形態を示し、開口部は、幅広いセクション(28)および狭いセクション(29)を有する。針保有要素(12)は、ロックされた位置に構成されている。針プッシャ要素(13)は、ジョー要素の本体部分(36)に対して後ろ向きに針(2)を押すように配置される。
【0035】
図7は、両頭針(2)の組込み針移送を用いる本開示される縫合器(6)の別の実施形態を示し、2つの回転可能な車輪(7、8)は、同一方向に回転するように配置され、車輪の外側プロファイルは、お互いに関してシフトされている。この実施形態は、ジョー要素(3、4)の開閉と2つの回転可能な車輪(7、8)との両方を駆動するマルチドライブ要素(35)を含む。この実施形態を、図7図8でさらに説明する。
【0036】
図8は、2つの車輪係合要素(9、10)を有する2つのジョー要素(3、4)の実施形態を示す。軸(27)の形のジョー開き制御要素(27)が、好ましくはばねによって支援されて、ジョー要素(3、4)の開閉を制御する。針保有要素(12)は、2つのさらなる軸(9、10)の形の2つの車輪係合要素(9、10)によって制御される。第1の係合要素(9)は、第1のジョー要素(3)の保有および解放を制御する。第2の係合要素(10)は、第2のジョー要素(4)の保有および解放を制御する。車輪の外側プロファイルが、車輪が回転する時にお互いに関してシフトされる場合に、軸は、両頭針の保有および解放を制御するためにデバイスの軸方向で前後に移動する。
【0037】
図9は、同一方向に回転するように配置された2つの回転可能な車輪(7、8)を示し、外側プロファイルは、お互いに関してシフトされ、共通の駆動輪(34)が、2つの回転車輪(7、8)に接続される。
【0038】
図内の要素のリスト
1 縫合器
2 両頭針
3 第1のジョー要素
4 第2のジョー要素
5 第1の針ロック・デバイス
6 第2の針ロック・デバイス
7 第1の回転可能な車輪
8 第2の回転可能な車輪
9 第1の車輪係合要素
10 第2の車輪係合要素
11 第1のばね
12 針保有要素
13 針プッシャ要素
14 第2のばね
15 針プッシャ接続要素
16 第1の車輪駆動機構
17 第2の車輪駆動機構
18 カム要素
19 内側部分
20 外側部分
21 第1の逆ロック機構
22 第2の逆ロック機構
23 フック
24 ピボット・ジョイント
25 ジョー開きばね
26 針プッシャ・グリップ要素
27 ジョー開き制御要素
28 幅広いセクション(針保有要素の)
29 狭いセクション(針保有要素の)
30 前隆起(カム要素の)
31 後隆起(カム要素の)
32 前隆起と後隆起との間の境界セクション
33 高められたセクション(カム要素の)
34 共通の駆動輪
35 マルチドライブ要素
36 本体部分(ジョー要素の)
【0039】
本発明のさらなる詳細
1.両頭針の針移送を用いる縫合器であって、
-両頭針の第1端を保持し、解放する第1の針ロック・デバイスを含む第1のジョー要素と、
-両頭針の第2端を保持し、解放する第2の針ロック・デバイスを含む第2のジョー要素と
を含み、第1および第2のジョー要素は、開位置と閉位置との間でお互いに関して移動可能であり、縫合器は、
-第1および第2のジョーが開位置から閉位置に移動される時に、両頭針をジョー要素の一方から他方に交互に移送する針移送機構であって、
o第1の針ロック・デバイスに接続された第1の回転可能な車輪と、
o第2の針ロック・デバイスに接続された第2の回転可能な車輪と
を含む、針移送機構
をさらに含み、
第1および第2のジョー要素が開位置から閉位置にお互いに関して移動される時に、第1および第2の回転可能な車輪は、第1および第2の回転可能な車輪の回転が、針ロック・デバイスの一方に両頭針をロックさせ、他方の針ロック・デバイスに両頭針を解放させるように配置される、
縫合器。
【0040】
2.第1の回転可能な車輪は、第1の車輪外側部分に堅く接続された第1の車輪内側部分を含み、第2の回転可能な車輪は、第2の車輪外側部分に堅く接続された第2の車輪内側部分を含む、項目1に記載の縫合器。
【0041】
3.第1および第2のジョー要素が開位置から閉位置にお互いに関して移動される時に、第1の力は、第1のジョー要素から第2の回転可能な車輪に伝搬され、第2の力は、第2のジョー要素から第1の回転可能な車輪に伝搬され、これによって、第1および第2の回転可能な車輪を回転させる、項目2に記載の縫合器。
【0042】
4.第1および第2の回転可能な車輪は、第1および第2のジョー要素が開位置から閉位置にお互いに関して移動される時に、反対方向に回転するように配置され、これによって、針ロック・デバイスの一方に、両頭針をロックさせ、他方の針ロック・デバイスに、両頭針を解放させる、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0043】
5.第1および第2の回転可能な車輪は、同一方向に回転するように配置され、車輪の外側プロファイルは、車輪が回転する時にお互いに関してシフトされる、項目1に記載の縫合器。
【0044】
6.第1および第2の回転可能な車輪は、同時にかつ/または同期化されて、好ましくは同一の回転速度で回転するように配置される、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0045】
7.各針ロック・デバイスは、それぞれ第1および第2の回転可能な車輪と係合する車輪係合要素を含む、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0046】
8.各車輪係合要素は、対応する回転可能な車輪の回転に応答して、対応するジョー要素の軸方向で前後に移動するように構成される、項目7に記載の縫合器。
【0047】
9.各車輪係合要素の前後の移動は、対応する針ロック・デバイスに、それぞれ両頭針の対応する端を保持させ、解放させる、項目8に記載の縫合器。
【0048】
10.各車輪係合要素は、係合軸である、項目9に記載の縫合器。
【0049】
11.各車輪係合要素は、車輪係合要素から対応する回転可能な車輪への圧力を維持するように構成された第1のばねを含む、項目2~10のいずれかに記載の縫合器。
【0050】
12.各車輪係合要素は、針保有要素に接続され、針保有要素は、対応するジョー要素の縦方向に延びる、項目2~11のいずれかに記載の縫合器。
【0051】
13.各針保有要素は、両頭針を受ける開口部を含み、開口部は、両頭針をロックすることのできる形状を有する、項目12に記載の縫合器。
【0052】
14.開口部は、幅広いセクションおよび狭いセクションを有し、両頭針の狭い部分は、狭いセクション内にロックされ得る、項目13に記載の縫合器。
【0053】
15.各針ロック・デバイスは、対応するジョー要素の本体部分に向かって後ろ向きに両頭針を押すように構成された針プッシャ要素を含む、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0054】
16.各針ロック・デバイスは、本体部分に向かう針プッシャ要素上の圧力を維持するように構成された針プッシャ接続要素および第2のばねをさらに含む、項目15に記載の縫合器。
【0055】
17.第1の回転車輪の回転のための第1の車輪駆動機構および第2の回転車輪の回転のための第2の車輪駆動機構をさらに含む、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0056】
18.第1の車輪駆動機構は、第1の車輪駆動軸であり、第2の車輪駆動機構は、第2の車輪駆動軸である、項目17に記載の縫合器。
【0057】
19.第1の車輪駆動機構は、第1および第2のジョーが開位置から閉位置に移動される時に、第2の回転車輪が第1の方向に回転するように、第1のジョー要素から第2の回転車輪へ力を伝搬させるように構成される、項目17~18のいずれかに記載の縫合器。
【0058】
20.第2の車輪駆動機構は、第1および第2のジョーが開位置から閉位置に移動される時に、第1の回転車輪が第1の方向と反対の第2の方向に回転するように、第2のジョー要素から第1の回転車輪へ力を伝搬させるように構成される、項目19に記載の縫合器。
【0059】
21.回転車輪のそれぞれは、カム要素を有する、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0060】
22.カム要素は、回転車輪が回転する時に、両頭針の対応する端を保持し、解放するために、カム要素の形状が車輪係合要素の前後の移動を制御するような形状にされる、項目21に記載の縫合器。
【0061】
23.各カム要素は、前隆起および後隆起を有し、後隆起は、前隆起より急勾配である、項目21~22のいずれかに記載の縫合器。
【0062】
24.前隆起と後隆起との間の境界セクションは、針ロック・デバイスの1つの車輪係合要素を引っ込められた位置に保持し、針ロック・デバイスにロックされた構成にならせるように構成される、項目23に記載の縫合器。
【0063】
25.各回転車輪の高められたセクションは、針ロック・デバイスの1つの車輪係合要素を延ばされた位置に保持し、針ロック・デバイスに解放構成にならせるように構成される、項目23~24のいずれかに記載の縫合器。
【0064】
26.回転可能な車輪のそれぞれは、内側部分および外側部分を含み、内側部分および外側部分は、堅く接続される、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0065】
27.内側部分および外側部分は、別々のカム要素を有する、項目26に記載の縫合器。
【0066】
28.各回転車輪の外側部分は、ジョー要素の1つの車輪駆動機構と係合し、各回転車輪の内側部分は、同一のジョー要素の車輪係合要素と係合する、項目26~27のいずれかに記載の縫合器。
【0067】
29.第1および第2のジョー要素が閉位置から開位置に移動される時に第1の回転可能な車輪が後ろに回転するのを防ぐように構成された第1の逆ロック機構と、第1および第2のジョー要素が閉位置から開位置に移動される時に第2の回転可能な車輪が後ろに回転するのを防ぐように構成された第2の逆ロック機構とをさらに含む、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0068】
30.ジョーを開くために第1および/または第2の回転可能な車輪を手動制御するジョー開き制御要素をさらに含む、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0069】
31.針移送機構は、自動的である、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0070】
32.ジョー要素は、共通のピボット・ジョイントの回りでお互いに関してピボット回転可能である、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0071】
33.第1のジョー要素と第2のジョー要素との間に配置されたジョー開きばねをさらに含む、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
【0072】
34.縫合器は、使い捨てである、前の項目のいずれかに記載の縫合器。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6
図7
図8
図9