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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】スポーツ用手袋
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A63B71/14 F
A63B71/14 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023106979
(22)【出願日】2023-06-29
【審査請求日】2023-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523248792
【氏名又は名称】勝山 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】勝山 賢一
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06119271(US,A)
【文献】実開昭58-064375(JP,U)
【文献】米国特許第05033119(US,A)
【文献】米国特許第04813079(US,A)
【文献】登録実用新案第3048479(JP,U)
【文献】実開平06-052876(JP,U)
【文献】特表2015-516857(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0029022(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B71/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ用手袋であって、
5つの指部と、
手の甲及び手の掌を収容する基体部と、
前記基体部の手の甲側において、第4中手骨乃至第5中手骨に相当する位置に取り付けられる第1錘部と、
手首を収容するリスト部と、前記リスト部の手首の外側に相当する位置に取付けられる第2錘部と、をさらに備え、
前記リスト部の手首の内側に相当する位置に取付けられる第3錘部をさらに備え、
前記第1錘部、前記第2錘部、及び、前記第3錘部は、それぞれ開閉可能な袋状に構成されるとともに、それぞれの内側には複数枚の鉛板を収納できるようになっている、スポーツ用手袋。
【請求項2】
前記基体部の手の甲側を締め付けるバックベルト部をさらに備え、前記バックベルト部によって前記第1錘部が覆われるようにされている、請求項1に記載された、スポーツ用手袋。
【請求項3】
前記バックベルト部の表面には、表示部をさらに有する、請求項2に記載された、スポーツ用手袋。
【請求項4】
手首を締め付けるリストベルト部をさらに備え、前記リストベルトによって前記第2錘部及び前記第3錘部が覆われるようにされている、請求項1に記載された、スポーツ用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ、及び/又は野球を含むスポーツでスイングする際に使用される、スポーツ用手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴルフや野球を含むスポーツでは、スポーツ用手袋が着用されて、グリップを確実にしたり、掌の負担を和らげたり、外傷から手を保護することが行われている。このようなスポーツ用手袋は、一般に、手袋本体が皮革、人口皮革、布等から形成されている。
【0003】
しかし、従来のスポーツ用手袋では、グリップを確実にしたり、掌の負担を和らげたり、外傷から手を保護するという本来の目的は達成できるものの、それ以上の効果、例えば、飛距離を延ばしたり、スイングを矯正したり、打撃を強化することはできない。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に記載されたゴルフ用手袋では、手袋本体の甲側の、第1中手骨上を除く第1中手骨と第2中手骨との間の領域内に錘部を取り付けている。この構成であれば、使用者の骨格上無理のない理想的なゴルフスイングができるようになる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-70901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されたゴルフ用手袋を含む従来のスポーツ用手袋は、錘部の位置が、グリップエンドから遠い、第1中手骨と第2中手骨との間の領域内に限定されていた。このため、ゴルフクラブやバットを振り下ろす際に素早く始動させスイングスピードを向上させ、打撃を強化することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、ゴルフクラブやバットを振り下ろす際に素早く始動させスイングスピードを向上させ、打撃を強化することのできる、スポーツ用手袋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のスポーツ用手袋は、スポーツ用手袋であって、5つの指部と、手の甲及び手の掌を収容する基体部と、前記基体部の手の甲側において、第4中手骨乃至第5中手骨に相当する位置に取り付けられる第1錘部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明のスポーツ用手袋は、スポーツ用手袋であって、5つの指部と、手の甲及び手の掌を収容する基体部と、前記基体部の手の甲側において、第4中手骨乃至第5中手骨に相当する位置に取り付けられる第1錘部と、を備えている。このような構成であるため、ゴルフクラブやバットを振り下ろす際に錘の重力を活用し、素早い始動、スイングスピードの向上によって打撃飛距離を伸ばし、且つ、より確実な打撃をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スポーツ用手袋のバックベルト、リストベルトを開いた状態の平面図である。
図2】スポーツ用手袋のバックベルト、リストベルトを閉じた状態の平面図である。
図3】スポーツ用手袋のリストベルトを開いた状態の底面図である。
図4】錘部の拡大図である。(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
図5】スポーツ用手袋の作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下の実施例では、例えば野球においてスポーツ用手袋(1)を使用する例を説明するが、これに限定されるものではなく、ゴルフにおいて使用することももちろんできるし、棒状の道具を用いてスイングするスポーツであれば本発明を適用できる。
【実施例
【0012】
(構成)
まず、図1を用いて本発明のスポーツ用手袋1の全体構成を説明する。本発明のスポーツ用手袋1は、皮革、合成皮革、合成繊維等の素材によって形成されるものであり、図1図2に示すように、5つの指部21~25と、手の甲及び手の掌を収容する基体部30と、基体部30の手の甲側31において、第4中手骨乃至第5中手骨に相当する位置に取り付けられる第1錘部51と、を備えている。
【0013】
5つの指部21~25は、それぞれ母指(親指)、示指(人差し指)、中指、薬指、小指を収容する指部21、22、23、24、25から構成されている。各指部21~25は、先端を閉じた筒状乃至袋状に形成されており、それぞれ長さが異なっている。
【0014】
基体部30は、手の甲側31及び掌側32を収容する筒状に構成されている。そして、本実施例の基体部30の手の甲側31には、第4中手骨乃至第5中手骨に相当する位置に、第1錘部51が取り付けられている。換言すると、この第1錘部51は、基体部30の手の甲側31において、最もグリップエンドに近い小指側の端縁近傍に配置されている。なお、第1錘部51の詳細な構造については図4を参照しながら後述する。
【0015】
さらに、スポーツ用手袋1は、基体部30の甲側31を締め付けるバックベルト部41を有している。このバックルベルト部41は、内面に面ファスナ41Mが配置されており、基体部30の甲側31において第2中手骨乃至第3中手骨に相当する位置に配置された面ファスナ30Mと、互いに係合・固定されるようになっている。そして、バックベルト部41を閉じた状態では、第1錘部51をカバーするようになっている。
【0016】
バックベルト部41は、その表面(外面)に写真、絵、文字などを表示することのできる、表示部41aを有している。より詳しく言うと、バックベルト部41は、表示部41aと、これを覆うカバー部41bと、から構成されている。このうち表示部41aは、パスケース状になっており、薄いケース部分に写真やメッセージカードを収容すると、透明部分を通じて外部から視認できるようになっており、競技中に精神を高揚させたり、落ち着かせたりすることが可能となっている。
【0017】
また、スポーツ用手袋1は、基体部30に連続するようにして、基体部30と一体に、手首を収容するリスト部60を備えている。リスト部60には、手首の外側(甲側)に相当する位置に第2錘部52が配置されているとともに、手首の内側(掌側)に相当する位置に第3錘部53が配置されている。これらの第2錘部52及び第3錘部53の構成は、後述する。
【0018】
そして、本実施例のスポーツ用手袋1は、手首を締め付けるリストベルト部42をさらに備え、リストベルト部42によって第2錘部52及び第3錘部53が覆われるようになっている。すなわち、リストベルト部42の幅(縦幅)は、リスト部60と略同一であり、リストベルト部42の長さは、リスト部60の長さ(横幅)の約3倍となっている。さらに、リストベルト部42の内面には面ファスナ42Mが配置されており、手首回りに一周させて錘部52、53をカバーし、最後は外側で固定される。
【0019】
次に、図4を用いて、同様の構成となる、第1錘部51、第2錘部52、及び、第3錘部53の構成について説明する。これらの錘部51、52、53は、開閉可能な袋状に構成されるとともに、内側には複数枚の鉛板51c、・・・を収納できるようになっている。すなわち、第1錘部51は、袋51aと、開閉可能なファスナ51bと、1枚又は複数枚の鉛板51c、・・・と、から構成されている。
【0020】
このため、ファスナ51bをスライドさせ、袋51aを開けて鉛板51c、・・・を出し入れすることによって、スポーツ用手袋1において3か所の錘部51、52、53の重量を自在に調整することが可能となるのである。さらに、前述したバックベルト部41やリストベルト部42で錘部51、52、53を外から締め付けることで、スポーツ用手袋1との一体性を高めつつ、手を外傷から保護することもできる。
【0021】
<実験1:野球のスイング>
【0022】
(実験条件)
各々右打者として50回ずつバットスイングし、速度測定器で計測した。ボール打撃はしていない。以下のケース1~ケース3で比較。
ケース1:両手素手
ケース2:左手スポーツ用手袋装着(第1錘部45gのみ);右手素手
ケース3:左手スポーツ用手袋装着(第1錘部45g、第2錘部30g、第3錘部30g);右手素手
【0023】
(結果)
ケース1:79-84km/h
ケース2:85-87km/h
ケース3:87-94km/h
【0024】
(考察)
両手とも素手でスイングするより、左手にスポーツ用手袋(第1錘部45gのみ)を装着したケース2のほうが、さらに左手にスポーツ用手袋(第1錘部45g、第2錘部30g、第3錘部30g)を装着したケース3のほうがより速いスイングスピードを計測した。またケース2、ケース3の場合にはスイング軌道がぶれることなく最後まで安定して振りぬける実感が得られた。
【0025】
<実験2:ゴルフのスイング>
【0026】
(実験条件)
ゴルフシミュレーション機器にて各々20球ずつドライバーでボールを試打し計測した。以下のケース1~ケース2で比較。
ケース1:左手にスポーツ用手袋装着(ウエイトなし)、右手素手
ケース2:左手にスポーツ用手袋装着(ウエイトあり)、右手素手
『ケース2:ウエイトあり』は、第1錘部45g、第2錘部30g、第3錘部30g
【0027】
(結果)
ケース1:打ち出しボールスピード平均秒速47メートル(時速169キロ)
ケース2:打ち出しボールスピード平均秒速54メートル(時速194キロ)
【0028】
(考察)
スポーツ用手袋1(ウエイトあり)を装着した場合のボールスピードがウエイトなしの場合に比べて約14%速いスピードを計測した。さらに、スイング軌道が安定することで、より確実にクラブヘッドの芯でボールをとらえることが可能となり飛距離、方向性ともに向上した。
【0029】
(効果)
次に、本実施例のスポーツ用手袋1の奏する効果を列挙して説明する。
【0030】
(1)上述してきたように、本実施例のスポーツ用手袋1は、5つの指部21-25と、手の甲側31及び手の掌側32を収容する基体部30と、基体部30の手の甲側31において、第4中手骨94乃至第5中手骨95に相当する位置に取り付けられる第1錘部51と、を備えている。このような構成であるため、ゴルフクラブやバットを振り下ろす際に素早く始動させスイングスピードを向上させることができる。つまり、錘の重力を活用してスイングをより速くし、強く打撃することができるのである。
【0031】
(2)また、手首を収容するリスト部60と、このリスト部60の手首の外側に相当する位置に取付けられる第2錘部52と、をさらに備えている。このため、全体の重量がUPするとともに、軌道(の重心)がバットの軌道とその内側(手首)の軌道の2か所となり、安定して旋回動作できるうえ、より内側へと誘導できるためスイングスピードが向上する。
【0032】
(3)さらに、リスト部60の手首の内側に相当する位置に取付けられる第3錘部53を備えることで、全体の重量をさらにUPできるとともに、バットの軌道の内側(手首)の軌道をより強く推進することが可能となるため、さらにスイングスピードが向上する。
【0033】
すなわち、図5に示すように、バットBのグリップエンド部分と一体に第1錘部51が配置されるとともに、手首の外側に第2錘部52、手首の内側に第3錘部53が配置されることで、バット軌道を推進しながら手首の軌道がバット軌道をより内側に、より強く誘導できる。よって、この2つの軌道で引き手がスイングを牽引することでスイングスピードが向上する。
【0034】
(4)また、第1錘部51、第2錘部52、及び、第3錘部53は、開閉可能な袋状に構成されるとともに、内側には複数枚の鉛板51c、・・・(52c、53c)を収納できるようになっているため、好みや身体の特徴に合わせて重量を変化させ、軌道の重心を調整することで、スイング軌道を装着者ごとに最適化することができる。
【0035】
(5)さらに、基体部30の手の甲側31を締め付けるバックベルト部41をさらに備え、このバックベルト部41によって第1錘部51が覆われるようにされているため、第1錘部51を保護できるうえ、手の甲と一体化させることができる。さらなる怪我防止にもなる。
【0036】
(6)また、バックベルト部41の表面には、表示部41aをさらに有することによって、プレイ中に写真や文字を身近に見ることで、装着者(プレイヤー)のモチベーションを高めたり、緊張をほぐしたりすることができる。
【0037】
(7)さらに、手首を締め付けるリストベルト部42を備え、リストベルト部42によって第2錘部52及び第3錘部53が覆われるようにされているため、第2錘部52及び第3錘部53を保護できるうえ、手首と一体化させることができる。さらなる怪我防止にもなる。
【0038】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 :スポーツ用手袋
21-25 :指部
30 :基体部
30M :面ファスナ
31 :甲側
32 :掌側
41 :バックベルト部
41M :面ファスナ
41a :表示部
41b :カバー部
42 :リストベルト部
42M :面ファスナ
51 :第1錘部
51a :袋
51b :ファスナ
51c :鉛板
52 :第2錘部
53 :第3錘部
60 :リスト部
94 :第4中手骨
95 :第5中手骨
B :バット
【要約】
【課題】ゴルフクラブやバットを振り下ろす際に素早く始動させスイングスピードを向上させることのできる、スポーツ用手袋を提供する。
【解決手段】スポーツ用手袋1は、5つの指部21-25と、手の甲側31及び手の掌側32を収容する基体部30と、基体部30の手の甲側31において、第4中手骨94乃至第5中手骨95に相当する位置に取り付けられる第1錘部51と、を備えている。さらに、手首を収容するリスト部60と、このリスト部60の手首の外側に相当する位置に取付けられる第2錘部52と、を備えている。また、このリスト部60の手首の内側に相当する位置に取付けられる第3錘部53をさらに備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5