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特許7356782超低誘電損失熱硬化性樹脂組成物およびこれにより製造される高性能ラミネート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】超低誘電損失熱硬化性樹脂組成物およびこれにより製造される高性能ラミネート
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/06 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
C08G73/06
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021069173
(22)【出願日】2021-04-15
(62)【分割の表示】P 2016553208の分割
【原出願日】2014-10-21
(65)【公開番号】P2021119231
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】13/998,482
(32)【優先日】2013-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516133490
【氏名又は名称】ノボセット、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダス、サジャル
(72)【発明者】
【氏名】シップマン、パトリック
【審査官】越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-052110(JP,A)
【文献】特開平02-145622(JP,A)
【文献】特開昭61-233060(JP,A)
【文献】特開昭54-142300(JP,A)
【文献】特開平05-310673(JP,A)
【文献】特開2011-202175(JP,A)
【文献】特開平02-092962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00- 73/26
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の熱硬化性樹脂組成物であって、
Tn-[W-(Z)f/(H)1-f-W]n-1-[W-(Z)f/(H)1-f-(OCN)f/(R)1-f]n+2
「T」は1,3,5-置換-トリアジン構造(C)であり、「W」はトリアジンと成分Aまたは成分Bとの間の結合原子であり、「Z」は成分(A)を表し、「H」は成分(B)を表し、「OCN」は前記成分(A)のシアン酸エステル末端基であり、「R」は成分Bの反応性末端基であり、「n」は1以上の整数であり、「f」は成分Aの重量分率またはモル分数であり、
前記熱硬化性樹脂組成物は、
a.少なくとも1つのシアン酸エステル成分(A)と、
b.少なくとも1つの反応性中間体成分(B)であって、前記成分(B)は前記成分(A)と共重合することができ、前記成分(B)は、(i)分子量100~10000g/molの水酸化ポリブタジエン(HPBD)、(ii)水素化水酸化ポリブタジエン(HHPBD)、(iii)分子量100~20000g/molで、1分子につき水酸基またはエポキシ基のいずれかの少なくとも2つの官能基を有する反応性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び(iv)3~9重量%のOH官能基を含むポリメチルフェニルシロキサンから成る群から選択される熱可塑性物質である、前記成分(B)と
の化学結合によって形成され、
これにより、前記熱硬化性樹脂組成物は相分離を起こさず、トリアジン部分を介して結合した前記成分(A)及び前記成分(B)からなるトリアジンコポリマーからなるものであり、前記少なくとも1つのシアン酸エステル成分(A)は、以下の式によって定義され
式中、XおよびXは、個別に、-CH(CH)-、-CH-、-C(CH-、ジシクロペンタジエン(DCP)、および官能化DCP、芳香族基(Ar)、SO、O、またはSを表し、nは1以上の整数であり、Yは少なくとも1つの官能基を表す、
熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物において、Arは、官能化または非官能化ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、フェノールノボラック、ビスフェノールA、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールF、およびビスフェノールFノボラックから成る群から選択されるものである、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物において、Yは、水素、脂肪族基、芳香族基、およびハロゲンから成る群から選択されるものである、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物において、前記Xは、-CH(CH)-、-CH-、-C(CH-、ジシクロペンタジエン(DCP)、および官能化DCP、Ar、SO、O、またはSである、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物において、成分Bが重量で約5%~50%の範囲である、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物において、成分Bが重量で約20%~35%の範囲である、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物において、前記樹脂中の各成分の含有量は、50~95重量%の成分A、5~50重量%の成分B、最高30重量%の難燃剤を有する、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
熱硬化性樹脂組成物を作成する方法であって、
少なくとも1つのシアン酸エステル成分(A)を選択する工程と、
前記少なくとも1つのシアン酸エステル成分(A)を一定期間、所定温度まで加熱する工程と、
少なくとも1つの反応性中間体成分(B)を選択する工程であって、前記成分Bは前記成分(A)と共重合することができ、前記成分Bは、(i)分子量100~10000g/molの水酸化ポリブタジエン(HPBD)、(ii)水素化水酸化ポリブタジエン(HHPBD)、(iii)分子量100~20000g/molで、1分子につき水酸基またはエポキシ基のいずれかの少なくとも2つの官能基を有する反応性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び(iv)3~9重量%のOH官能基を含むポリメチルフェニルシロキサンから成る群から選択される熱可塑性物質である、前記成分Bを選択する工程と、
反応混合物を形成するために、前記成分(B)を前記少なくとも1つのシアン酸エステル成分(A)に添加する工程と、
前記反応混合物を加熱し、前記反応混合物を攪拌して成分を一緒に反応させ、樹脂を形成する工程と、
反応温度での前記樹脂の粘度および屈折率をモニタリングすることによって前記反応の進行をモニタリングする工程であって、前記反応は前記反応温度で前記樹脂の前記粘度が100cP~200,000cPになった段階で完了し、前記樹脂が冷却されて前記反応が停止して、
Tn-[W-(Z)f/(H)1-f-W]n-1-[W-(Z)f/(H)1-f-(OCN)f/(R)1-f]n+2
の式の均質な樹脂を生成し、式中、Tは1,3,5-置換-トリアジン構造(C)であり、Wはトリアジンと成分Aまたは成分Bとの間の結合原子であり、Zは成分(A)を表し、Hは成分(B)を表し、OCNは前記成分(A)のシアン酸エステル末端基であり、Rは成分Bの反応性末端基であり、nは1以上の整数であり、fは成分Aの重量分率またはモル分数であり、前記成分(B)は、約130℃に加熱され、前記少なくとも1つのシアン酸エステル成分(A)に添加されるものである、前記モニタリングする工程と
を有する方法。
【請求項9】
請求項記載の熱硬化性樹脂組成物を作成する方法において、室温での前記樹脂の前記粘度は50~1000cPの範囲である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高性能および層数の多い多層プリント基板(PCB)、プリプレグ、樹脂コーティング銅(RCC)、フィルム接着剤、高周波レードーム、ラジオ周波数(RF)ラミネート、および樹脂組成物により作られたその他の様々な合成物として有用な熱硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の進歩はプリント基板(PCB)技術の限界に近づきつつある。複合材料及びラミネート材料の性能要件はより厳密になってきている。例えば、「クラウドコンピューティング」、スマートフォン産業、およびワイヤレス通信(4Gおよび4G LET Advanced)では、高速高周波数回路に、超低誘電損失および低誘電定数などの電気特性を達成しにくい回路基板が必要である。現在の複合材料は、高速通信での誘電損失など、最も重要な要件を一部満たすことができない。周波数が高くなると、回路基板への信号損失量がより重要になる。その結果、PCBには、PCBに望ましい熱、物理、および機械特性を維持しつつ、信号品位が保たれた高周波数信号の高速送信を行うために必要な電気特性を与える材料が必要である。
【0003】
利用した様々な複合材料には、ポリテトラフルオロエチエン(PTFE)が含まれる。PTFEは優れた低誘電材料であるが、溶融温度および粘度が高いために流動性がない、(層数の多い)多層基板を作成することができない、ガラス転移温度(Tg)が低いなど、重大な加工上の問題がある。このような加工上の問題があるために、ラジオ周波数(RF)での用途および限定的な多層デジタル回路基板の用途におけるPTFEの使用は限られている。PTFEは高価な材料であり、この点からもさらに、消費家電の大量生産に使用できなくなっている。
【0004】
一方、エポキシ樹脂はコストが低く、加工条件が良好であるため、PCB製造の産業基準となっている。しかし、電気特性が悪く、ガラス転移温度(Tg)が低いことが、タブレットなどのコンピュータ産業に適した、高速通信および高温集積回路(IC)基板としてのエポキシの利用を制限している。最も一般的な大量生産用エポキシラミネートは、FR-4、FR-5、および様々な機能強化されたエポキシである。
【0005】
他に利用される複合材料は、誘電定数および誘電損失が中域の熱硬化性材料の作成で知られるシアン酸エステル(CE)などである。CEは高性能回路基板の用途で有用と考えられる。これらの材料の利点は、エポキシラミネート(FR-4)と加工性能が類似している、乾燥条件での熱特性が良好である点などである。
【0006】
しかし、シアン酸樹脂はいくつかの態様で不都合な点があった。先行技術における典型的なシアン酸樹脂は、以下の通りである。
【0007】
CEと熱可塑性物質およびエラストマーを混合し、樹脂を形成する。不都合な点としては、この混合物は均一な樹脂ではなく、半相互貫入回路網を形成することが分かっており、シアン酸と重合調整剤ドメインとの相分離を引き起こすことが多い。CEと水酸化ポリブタジエン(HPBD)を混合し、直接硬化することで、CEの修飾にHPBDを使用すると、大きく相分離する材料が生成し、これにより耐熱性が低くなることが分かった。さらに、液体HPBDは多くのCEと不適合であり、材料を併用、混合するために共重合体の使用が必要であると判断された。
【0008】
様々なエラストマー修飾シアン酸エステルは低Tgおよび高粘着性を示し、多層基板に適さない。例えば、
米国特許第4,780,507号(Gakuら)は、熱硬化性シアン酸エステル樹脂組成物(A)およびブタジエンを基本とした共重合体(B)(i)またはエポキシ樹脂修飾ブタジエンを基本とした共重合体(B)(ii)を有する熱硬化性樹脂組成物について開示し、この組成物では成分(B)(i)または(B)(ii)が成分(A)の修飾に用いられる。成分は最初に樹脂にプレ重合してから、様々な成分間の反応の時間および温度を制御することで、非粘着性樹脂性物質を形成する。CEを修飾する固体ポリブタジエン-コ-ビニル芳香族重合体の使用について開示される。ただし、これらの材料はガラス転移温度が215℃未満である。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0245161 A1号では、エポキシ、シアン酸エステル、およびポリブタジエン-スチレン-ジビニルベンゼンターポリマーを組み入れた樹脂について開示するが、この樹脂のTgは100~135℃と非常に低く、散逸率は高く、0.005を超える。
【0010】
第CN101824157号(Baixingら)では、水酸基末端ポリブタジエンによりシアン酸エステル樹脂を修飾する方法を開示し、この方法は、5~30重量パーセントの追加量で水酸基末端ポリブタジエンゴムをシアン酸エステル樹脂に追加する工程と、混合物を加熱および融解し、均一に混合する工程と、プレ重合を行うために10~60分間、前記混合物を120+/-15DEG Cに加熱する工程と、鋳造および硬化を行う工程と、硬化を行うために7~10時間、130~200DEG Cで均一に加熱する工程と、修飾されたシアン酸エステル樹脂を採取する工程とを有する。しかし、これらのCEは低TGおよび高粘着性を有することが分かっているため、多層PCB技術では有用ではない。
【0011】
CE樹脂の重要な欠点は、水分を取り込むという問題である。水分は高周波数に応用できない重要な要因である。水は高Dk(80)に寄与し、極性が高く、そのため、少量の水でも回路基板材料の物理および電気特性に有害作用をもたらす可能性がある。水が樹脂系と反応する場合、熱的性能での層間剥離に寄与する可能性がある。本発明の樹脂は、修飾樹脂との反応により水分の取り込み量が減少している。さらに、市販のCEは回路網構造が詰まっているため不安定であり、結果としてCEから作られた薄い回路基板は、スマートフォンおよびその他の携帯用機器の落下試験で壊れやすい。
【0012】
例えば、以下の資料を参照:
米国特許第8,404,764号(Yuら)では、(A)シアン酸エステル樹脂の重量で100パーツ、(B)複素環式化合物を含む窒素および酸素の重量で5~25パーツ、(C)ポリフェニレンオキシド樹脂の重量で5~75パーツ、および(D)フェニルメタンマレイミドのオリゴマーの重量で5~100パーツを有する樹脂組成物を開示している。特殊な特性の特殊な成分を使用することで、前記樹脂組成物は低誘電定数および低散逸率の特徴を提供することが分かっており、プリント回路基板に使用することができるプリプレグにすることができる。その中に報告が提供され、散逸率が0.0055付近を示し、Tgが185℃未満を示すポリフェニレンオキシド/シアン酸エステルについて示している。
【0013】
米国特許出願第20070203308A1号(Moriら)および米国特許第6,245,841号(Yeagerら)では、回路基板に使用される硬化性組成物、構造用複合材料、封入樹脂などについて開示し、シアン酸エステルおよびシアン酸エステルプレポリマー、実質的にトルエンに溶解し、硬化した状態で実質的にヒドロキシ樹脂を含まない難燃剤、および硬化触媒から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を有する。水分特性の問題には対応したが、本製品の加工は、溶融粘度が高いために従来の方法では困難である。さらに、熱可塑性物質(ポリフェニレンオキシド、アリル、または液晶高分子(LCD))は異種溶媒(トルエン、キシレンなど)にしか溶けない。
【0014】
米国特許第5,571,609号(Lawrence St.ら)では、熱硬化性成分を有する電気回路基板材料について開示し、この基板材料は25~50vol.%の量のポリマーを含むポリブタジエンまたはポリイソプレン樹脂および不飽和ブタジエンまたはイソプレン、10~40vol.%の量のガラス繊維織物、5~60vol.%の量の粒子状物質、好ましくはセラミック充てん剤、難燃剤および過酸化物硬化イニシエータを含む。好ましい組成物は18%がガラス繊維、41%が粒子状充てん剤、および30%が熱硬化性成分である。粒子状充てん剤が充填した複合材料では、プリプレグの粘着性が非常に低くなり、そのため、操作が容易になるという点で、前述の成分比、特に粒子状充てん剤の範囲が比較的高いことが本発明の重要な特徴である。不都合な点としては、本製品は炭化水素が接着しないため、層数の多い基板に適さないことである。
【0015】
米国特許第7,425,371号では、高性能プリプレグ、ラミネート、および複合材料、また熱硬化性樹脂組成物から作られるプリプレグ、ラミネート、および複合材料に有用であると指定された熱硬化性樹脂系について開示している。参考資料ではSMAによるCEの修飾について開示しているが、この組成物には4G以上の用途での電気的性能がなく、SMAによるCEの修飾に由来する利益を説明する例は示されていない。電気特性の大部分は、溶融石英とエポキシ、エステル、SMAなどのエラストマー、および難燃剤とを混合することで達成された。さらに、前記組成物は、反応中間体ではなく、化学的混合生成物を請求した。
【0016】
したがって、当該分野では、高性能ラミネートに熱硬化性樹脂組成物がまだ必要である。特に当該分野で必要なものは、高性能および層数の多い多層プリント基板(PCB)、プリプレグ、樹脂コーティング銅(RCC)、フィルム接着剤、高周波レードーム、ラジオ周波数(RF)ラミネート、および樹脂組成物により作られたその他の様々な組成物に使用される熱硬化性樹脂組成物である。さらに当該分野で必要なものは、優れた適切な特性を示すが、4Gおよび携帯電話の第三世代の普及促進と仕様の標準化を行なう3GPPに制限されない熱硬化性樹脂組成物である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、高性能ラミネート用の超低誘電損失の熱硬化性樹脂組成物を提供する。超低誘電損失の熱硬化性樹脂組成物は、高性能および層数の多い多層プリント基板(PCB)、プリプレグ、樹脂コーティング銅(RCC)、フィルム接着剤、高周波レードーム、ラジオ周波数(RF)ラミネート、および樹脂組成物により作られたその他の様々な組成物に使用するために提供される。さらに、優れた適切な誘電特性を示すが、4Gおよび携帯電話の第三世代の普及促進と仕様の標準化を行なう3GPPに制限されない熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【0018】
より具体的には、本発明は、下記式の形態を有する熱硬化性樹脂を提供し、
Tn-[W-(Z)f/(H)1-f-W]n-1-[W-(Z)f/(H)1-f-(OCN)f/(R)1-f]n+2
式中、「T」は1,3,5-置換-トリアジン構造(C)、「W」はトリアジンと成分Aまたは成分Bとの間の結合原子、「Z」は成分(A)、「H」は成分(B)、「OCN」はシアン酸エステル末端基、「R」は成分Bの反応性末端基、「n」は1以上の整数、「f」は成分Aの重量またはモル分数である。
【0019】
本発明は、化学的結合により熱硬化性樹脂組成物を提供し、前記化学的結合は、
a.少なくとも1つのシアン酸エステル成分(A)と、
b.少なくとも1つの反応性中間体成分(B)のものであり、前記成分Bは前記成分(A)と共重合することができ、
成分(A)は、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)イソプロピリデン、ビスフェノールFシアン酸エステル、Primaset PT樹脂、Primaset LECY、およびその混合物から成る群から選択される成分である。好ましくは、成分(A)は下記式によって表され、
【化1】
式中、XおよびXは個別にRを表し、RはCH(CH)-、-CH-、-C(CH-、ジシクロペンタジエン(DCP)、および官能化DCPから成る群から選択される成分であり、nは1以上の整数であり、Yは少なくとも1つの官能基である。
【0020】
成分Bは、熱可塑性物質、有機小分子、ゴム、および無機/有機金属ポリマーから成る群から選択される反応性重合調整剤である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当該発明は、優れた適切な誘電特性を示すが、4G、および長期発展(LTE)基準を大幅に強化したものである、携帯電話の第三世代の普及促進と仕様の標準化を行なう3GPPに制限されない熱硬化性樹脂組成物を提供する。4G-LTE-Advancedは、携帯電話の速度と品質を十分未来に進ませる、携帯電話の機能性の新しい波を提供するものである。4G-LTE-Advancedは、4G-LTEの300Mbpsに比べ、ピークデータ速度を1Gbpsとし、先行技術よりも10倍~30倍速いダウンロード速度を提供する。この速度は、新しいソフトウェアおよびハードウェアと新しい超低DK/Df材料を組み合わせた場合にのみ可能となり、信号品位の維持に重要な役割を果たす。サーバー、ネットワークギア、およびWi-Fiの4G LET基地局およびバックパネルの電力増幅器の基板には、新しい通信技術のため低Dk/Dfの回路基板が必要である。電気特性のほか、これらの新しい技術には優れた熱、機械、およびその他の物理特性を提供する組成物が必要である。当該発明は、これらの新しい技術の電気特性に対応するため、これらの新規組成物を提供する。
【0022】
本発明では、少なくとも1種類のシアン酸エステル(成分A)、CE(成分A)と共重合を受ける1若しくはそれ以上の反応性中間体(成分B)を有する熱硬化性樹脂組成物が提供される。さらに、本発明の最終組成物は、一般的な有機溶媒に溶解する。低誘電特性と良好な機械特性、および選択的な難燃性が、CEと反応し、熱硬化性組成物を形成する反応性中間体(成分B)の選択において検討された。熱可塑性物質またはエラストマー重合調整剤が最初にシアン酸エステルと反応し、新しいポリマー材料を形成する場合、均一な系を得ることができる。
【0023】
当該発明の組成物には、下記構造のシアン酸エステル樹脂が含まれ、
Tn-[W-(Z)f/(H)1-f-W]n-1-[W-(Z)f/(H)1-f-(OCN)f/(R)1-f]n+2
式中、
T=1,3,5-置換-トリアジン構造(C)、
W=トリアジンと成分Aまたは成分Bとの間の結合原子、
Z=本発明の成分Aを表し、以下に説明するシアン酸エステルを有し、
H=本発明の成分Bを表し、以下に説明する反応性熱可塑性物質または他の添加物を有し、
OCN=シアン酸エステル末端基、
R=成分Bの反応性末端基を表し、これに限定されるものではないが、OH、SH、NH、アリル、ビニル、フェノール、無水物、およびカルボン酸を含み、
nは1以上の整数であり、
fは本発明の樹脂成分Aの重量またはモル分数であり、
Zは少なくとも1つの本発明のシアン酸エステル(成分A)を表す。
【0024】
これに限定されるものではないが、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)イソプロピリデン(Primaset BADCYの商品名でLonzaから販売されている)、ビス-(4-シアナト-3,5-ジメチルフェニル)メタン、シアナト化フェノール-ジシクロペンタジン、ビス-(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、1,3-ビス(4-シアナトフェニル-1(1-メチエヒリデン)ベンゼン、レソルシノールジシアナート、ナフタレンおよびアントラキノンなどの縮合環シアン酸単量体、フルオロ脂肪族ジシアナート、ビスフェノールFシアン酸エステル、Primaset PT樹脂、Primaset LECY、およびその混合物を含む様々なCEを使用することができる。
【0025】
【化2】
式中、XおよびXは個別にR、Ar、SO、O、またはSの少なくとも1つを表す。Rは-CH(CH)-、-CH-、-C(CH-、ジシクロペンタジエン(DCP)、および官能化DCPから選択され、Arは官能化または非官能化ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、フェノールノボラック、ビスフェノールA、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールF、およびビスフェノールFノボラックから選択され、nは1以上の整数であり、Yはこれに限定されるものではないが、水素、脂肪族基、芳香族、またはハロゲンを含む官能基を表す。シアン酸エステルは、当業者が低温でTEA存在下、塩化シアンとフェノールを反応させることで生成することができる。当該発明を通じた広範な実験により、驚くことに、また予想外に、樹脂組成物の熱的性能を達成するため、成分Bとの反応に、Zの大部分、つまり50%以上が必要であることが発見された。最適な誘電特性を達成するため、Bは20%以上とすることが必要である。
【0026】
本発明の成分Bを表すHは、反応性重合調整剤から選択される。これらの添加物には、これに限定されるものではないが、熱可塑性物質、小有機分子、ゴム、および無機/有機金属ポリマーを含む。前記添加物の反応基には、これに限定されるものではないが、水酸基、フェノール基、チオール基、エポキシ基、マレイミド基、アミン、チオール、チオフェノール、およびリン基を含む。前記添加物には、これに限定されるものではないが、アリル、ビニル、アクリレート、ハロゲン、エトキシ、メトキシ、およびアセチレンを含んでもよい。前記熱可塑性添加物には、これに限定されるものではないが、Cray ValleyのKrasol LBH 2000、Krasol LBH 3000、Krasol LBH-P 2000、Krasol LBH-P 3000、Poly bd R-45HTLO、Poly bd R-20LMなど、分子量100~10,000g/molの水酸化ポリブタジエン(HPBD);日本曹達のG-1000、G-2000、G-3000;Cray ValleyのKrasol HLBH-P2000、Krasol HLBH-P3000、GI-1000、GI-2100、GI-3000、およびエポキシ化ポリブタジエンおよびエポキシ化水酸化ポリブタジエンなどの水素化水酸化ポリブタジエン(HHPBD);SiltechのSilmer OH C50;OH J10;OH Di-10;OH Di-50;EP C50;EP J10;Di-50;EP Di-100など、分子量が100~20,000g/molの間に入り、水酸基またはエポキシ基1分子につき少なくとも2官能基を有する、反応性ポリジメチルシロキサン(PDMS);またはWackerのsilres 604など、3~9%のOH官能基を含むポリメチルフェニルシロキサンを含む。反応性フッ化重合調整剤には、これに限定されるものではないが、反応性フッ化ポリビニリデン(PVDF)、Lumiflonなどの修飾フルオロエチレンビニルエーテル(FEVE)、およびこれに限定されるものではないが、HO-(CFCF-OH(n=1以上の整数)などのフッ素化炭化水素を含む。他の反応性重合調整剤には、Cardinol、フェノール末端ポリフェニルホスホネート(Fyrol-PMP、Nofia)、DOPO、Dantocol、DHE(Lonza製)、シラザン、およびフェノール修飾ポリフェニレンホスファゼン、OCN-R-NCO、およびそのプレポリマーなどの反応性ポリホスファゼン、SabicのSA-900およびSA-9000、LonzaのPrimasetTM PPI-600などのPPO誘導体を含む。
【0027】
これまで開示され、利用された組成物および方法は、2つの基質が不適合であるため、液体水酸化ポリブタジエンはシアン酸エステルを修飾することができないことを示していた。すでに報告されているとおり、これにより樹脂に重大な相分離が生じ、硬化した材料の熱および電気特性が抑制される。しかし、当該発明を通じた広範な実験により、驚くことに、また予想外に、HPBDの適正な比率と構造により、Tgが高く、誘電特性が低い同質樹脂と硬化材料を作成できることが分かった。本発明では、液体HPBDを成分Bとして用いる場合、成分Bは、ヒドロキシル官能価が2~3、好ましくは2であり、分子量が500Da~100,000Da、好ましくは1000Da~5000Daで、多分散性が1~3、好ましくは1~2.5の直鎖および分岐鎖液体HBPD(好ましくは直鎖HBPD)を有する。さらに、液体HPBDは成分Aと反応するため、1°アルコールまたは2°アルコール末端基、好ましくは1°アルコールを有する必要がある。最適な特性とするため、前記液体HPBDを成分Bとして用いる場合、10~90%の1,2ビニル基、好ましくは20~75%を有し、1,4-トランス基と1,4-シス基の比率は3:1~1.8:1とする必要がある。
【0028】
驚くことに、また予想外に、使用した成分BはTgが非常に低いが、成分Aと成分Bの比率を適切に選択すると、当該発明の反応生成物または組成物ではTgが非常に高くなることが予想外に分かった。前記樹脂組成物を生成するために用いた成分Bは、誘電特性が低く、水分感受性が低く、CTEが低く、機械特性が良好である。当該発明の樹脂を完全に硬化する場合、シアン酸エステルの脆弱性が消失する。炭化水素エラストマーなど、一部の成分Bは、ラミネートのV0に合格するために難燃性材料が必要である。成分Bは約5%~50%、好ましくは約10%~35%、最も好ましくは約20%~35%の範囲である。成分Bの存在比率は好ましくは20%、最も好ましくは30%である。好ましくは、前記樹脂中の各成分含有量は、成分Aが50~95wt%、成分Bが5~50wt%、好ましくは15~30wt%を有し、難燃剤を最高30wt%含むことができる。
【0029】
本発明の樹脂組成物は以下の手順によって調製することができる:
選択された成分Aを135℃~200℃、好ましくは175℃~190℃で1~5時間、好ましくは2~3時間加熱する。次の工程では、成分Bを130℃に加熱し、成分Aに加える。前記反応混合物を次に100℃~195℃、好ましくは110℃~135℃に加熱し、攪拌して各成分を一緒に反応させる。前記反応の進行は、95℃で前記樹脂の粘度および屈折率をモニタリングすることで追跡する。前記反応は、前記樹脂の粘度が95度で100cP~200,000cP、好ましくは2500cP~90,000cPになった段階で完了とみなし、前記反応を冷却して反応を停止し、ニート樹脂を得る。代わりに、前記反応をクエンチし、樹脂の粘度をコントロールするため、1若しくはそれ以上の溶媒を、選択的に本発明の新しい熱硬化性樹脂組成物に組み入れることができる。
【0030】
溶媒を追加する場合、相分離がなく、溶解すると均質な樹脂が得られることを確認するよう、注意する必要がある。樹脂組成物と併用して有用であることが当業者に既知の全ての溶媒を使用することができる。特に有用な溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、トルエン、DMF、およびその混合物などである。MEKは本発明の最も好ましい溶媒である。溶媒を使用する場合、前記熱硬化性樹脂中に10~60%、好ましくは15~30%、最も好ましくは20~25%の重量で存在する。前記樹脂溶液の粘度は、室温で50~1000cP好ましくは200~600cPとする必要がある。
【0031】
本発明の樹脂は、触媒の有無に関係なく、熱により固形物に硬化することができる。本発明の成分Bは、最終的な樹脂の物理および電気特性を改善するだけでなく、前記シアン酸エステルの硬化触媒として機能する。したがって、当該発明の樹脂の硬化は、従来のシアン酸樹脂と比較し、大幅に低い温度で起こる。Novocure-200(Novoset, LLC(米国ニュージャージー州)より入手可能)など、ppmレベルの金属錯塩を本発明の化合物に追加すると、硬化温度および時間がさらに削減される。
【0032】
例えば、本発明の樹脂は、120℃~190℃で30分~240分、好ましくは150~175℃で60分~180分加熱することができる。次に本発明の樹脂を200~235℃で30~240分、好ましくは220~235℃で30分~120分加熱することができる。さらに、当該樹脂は、さらに245~260℃の温度で30分~180分、後硬化することができる。当該発明の樹脂は、完全に硬化すると、180℃~400℃のガラス転移温度(Tg)および200℃~500℃のTan δを有する固体熱硬化性材料を生成する。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、これに限定されるものではないが、例えば、誘電性充填剤、触媒、および1若しくはそれ以上の難燃剤としてのエポキシ、SMA、PPO、APPE充填剤、硬化CE、または新しい樹脂組成物とともに作成することができる。最も一般的な市販の難燃剤は、新しい組成物に適したものとなる。また、樹脂組成物から作られる樹脂ラミネートは、Fyrol-PMP、DOPO、DOPO-HQ、Nofiaまたは下位構造などの反応性リン系難燃剤、および非反応性リン系難燃剤を用い、ハロゲン化難燃剤なしでVoから作成することができる。
【0033】
【化3】
【0034】
硬化速度を向上するため、本発明の熱硬化性樹脂組成物に1若しくはそれ以上の触媒が選択的に追加される。選択した触媒は、アセチルアセトン酸コバルトまたは銅、オクタン酸コバルトまたは銅など、またはその混合物など、CE硬化に適したものとすることができる。発明の樹脂組成物により、他の選択的触媒には、過酸化ジクミルなどのフリーラジカル触媒を含めることができ、前記触媒濃度は使用する触媒によってppmレベルから3wt%未満の範囲である。
【0035】
当該発明の熱硬化性樹脂組成物は、粘着物質の有無にかかわらず、プリプレグも提供する。前記組成物は、特に、相分離がなく、超低誘電定数および超低誘電損失を有する高Tgラミネートの作成に有用である。これらの電気特性は、高速アナログおよびデジタル回路の用途で突きあたる、信号速度および信号品位の問題の解決に役立つ。
【0036】
当該発明の熱硬化性樹脂組成物は、溶媒の有無にかかわらず、連続プロセスでプリプレグを作成する上で有用である。本発明の組成物の粘度は、ホット/メルトプリプレグ用に調節することができ、プリプレグの生産において実質的に費用が削減される。プリプレグは、これに限定されるものではないが、ガラス繊維織物、カーボン、Kevlar、スペクトル、アラミド、または石英ファイバーを含む心材を用いて製造される。前記熱硬化性樹脂組成物は、ビルドアップPCB用に直接高分子フィルムにコーティングすることもできる。また、スロットダイまたは他の樹脂付き銅(RCC)関連のコーティング技術により、銅に直接コーティングすることもできる。
【0037】
本組成物により作成される前記プリプレグ材料は、ラミネートに変換することができる。ラミネート加工プロセスでは、典型的には、銅箔など、1枚若しくはそれ以上の導体箔シートの間に1若しくはそれ以上のプリプレグ層を積み重ねる。このプロセスは銅張り積層板(CCL)として説明されることが多く、当業者に周知である。前記プリプレグ層に圧力および温度がかかると、ラミネートが形成する。今回の発明のラミネート生成物は高Tgを示し、相分離はない。今回の発明の組成物によっては、柔軟性が高く、Tgが中等度(>150℃)のラミネートを作成することも可能である。柔軟性の高いラミネートは、様々な屈曲可能な電子機器に非常に有用である。
【0038】
(実施例1~20)
以下の実施例は、本発明をより完全に理解するために提示される。本発明の原理および実施を説明するために示した特殊な技術、条件、材料、割合、および報告データは例であり、本発明の範囲を制限するものとは解釈されない。
【実施例1】
【0039】
100.1846gのBADCy(Lonzaより入手可能)を190℃に加熱し、2時間攪拌して、結晶化度を低下させた。前記反応混合物を175℃に冷却し、43.2751gの2°HPBDを2回に分けて添加した。最初の20.3303gを添加した後、前記反応混合物の温度は158℃に低下し、前記混合物を160~170℃まで加熱し、2回目の2°HPBDを22.3303g添加した(温度は138℃に低下)。前記混合物を再度173℃に加熱し、前記反応を600cP、95℃で停止させた。
【実施例2】
【0040】
8.8653gのBADCyおよび3.7820gの2°HPBDを室温で混合し、ゆっくりと130℃に加熱した。樹脂の粘度が95℃で720cPに達するまで、前記反応混合物をこの温度で攪拌した。前記樹脂を容器に注ぎ、室温まで冷却させた。前記固体樹脂を溶解し、250psiでプラテンに挟んでプレスした。前記樹脂はnovoCure(150ppmの活性金属)により、150℃で45分、続いて235度で2時間硬化した後、260℃で2時間、後硬化した。Tg=241℃。
【実施例3】
【0041】
4.9072gのBADCy、6.0641gのMETHYLCy(Lonzaより入手可能)、4.7156gの2°HPBDを室温で混合し、白色スラリーを形成した。前記スラリーを184℃に加熱し、シアン酸エステルを溶解して、反応を開始させた。前記反応は、樹脂粘度が95℃で1200cPに達した段階で、室温に冷却して停止させた。
【実施例4】
【0042】
7.928gのBADCy、0.2261gのスチレン・無水マレイン酸(SMA)、および3.2855gの2°HPBDを室温でスラリーとして混合した。前記スラリーを150℃に加熱し、SMAが溶解するまで攪拌した。次に、前記反応混合物を180℃に加熱し、粘度が95℃で5000cPに達するまで前記反応を継続した。室温まで冷却すると、粘着性の最終生成物が得られた。前記樹脂を150℃で2時間、続いて235℃で2時間硬化した後、260℃で2時間、後硬化した。Tg=167℃。
【実施例5】
【0043】
7.9728gのBADCy、1.10191のスチレン・無水マレイン酸(SMA)、及び2.0948gの2°HPBDを室温で混合し、174℃に加熱し、攪拌によりすべての材料を溶解し、反応を開始した。次に、温度を137℃に低下させ、8.5時間攪拌すると、最終的な粘着性半固体材料が得られた。
【実施例6】
【0044】
8.6658gのDT4000(Lonzaより入手可能)および5.8277の2°HBPDを室温で混合し、160℃に加熱し、溶融DT4000にHBPDを溶解した。樹脂粘度が95℃で700cPに達するまで、前記反応混合物を180℃~195℃の間で加熱および攪拌した。
【実施例7】
【0045】
212.0447gのBADCyおよび53.1177gの1°HPDBを室温で混合し、150℃に加熱し、CEを溶解してHPDBと混合した。前記反応混合物を室温で8.5時間攪拌した。樹脂粘度が95℃で7658cPに達した段階で、前記樹脂を100℃まで冷却させ、MEKを添加し、粘度400cP、固形分75%の樹脂溶液を作成した。
【実施例8】
【0046】
309.8981gのBADCyおよび77.8439gの1°HPBDを室温で混合し、スラリーを形成した。前記反応混合物を1.5時間、182℃に加熱した。温度を153℃に低下させ、さらに2.5時間加熱した。樹脂粘度が95℃で4545cPに達した段階で、前記樹脂混合物を熱源から離し、100℃まで冷却させ、MEKを添加し、25℃で固形分80%、粘度450cPの樹脂溶液を作成した。
【実施例9】
【0047】
11.0493gのDT4000および78.5732gの1°HPBDを攪拌しながら170℃に加熱し、HBPDをDT4000に溶解すると透明な溶液が生成した。樹脂粘度が95℃で2444.19に達するまで前記反応を一定温度で攪拌し、この時点で反応を熱源から離し、95℃とした。冷却すると、樹脂は混濁し始める。MEKを添加すると、透明な濃褐色溶液が得られた。前記樹脂を150℃で2時間、その後、235℃で2時間硬化させ、250℃で2時間、後硬化させた。Tg=143℃
【実施例10】
【0048】
1Lの反応ケトルで800gのBADCyを130℃に加熱し、この時点で200gのHPBDを加えて攪拌した。この混合物を195℃で加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で6000になった段階で、前記反応を停止した。前記樹脂を150℃で2時間、その後、235℃で2時間硬化させ、250℃で2時間、後硬化させた。Tg=241℃
【実施例11】
【0049】
1Lの反応ケトルで800gのMETHYLCyを130℃に加熱し、この時点で200gの1°HPBDを加えて攪拌した。この混合物を140℃に加熱し、前記樹脂の粘度が95℃で9281cPになるまで攪拌した。前記反応混合物を熱源から離し、室温まで冷却させると、透明な橙色の粘着性材料が得られた。
【実施例12】
【0050】
1Lの反応ケトルで800gのPT-30(Lonzaから入手可能)を130℃に加熱し、この時点で200gのHPBDを加えて攪拌した。この混合物を120℃~195℃で加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で12000cPになった段階で、前記反応を停止した。
【実施例13】
【0051】
1Lの反応ケトルで800gのBADCyを2時間175℃~195℃に加熱し、この時点で前記反応を130℃に冷却し、200gのHPBD(130℃に加熱)を添加して攪拌した。この混合物を120℃~13℃で加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で12000cPになった段階で、前記反応を停止した。前記樹脂はnovocure-200(150ppmの活性金属)により、150℃で2時間、235℃で2時間硬化させ、250℃で2時間、後硬化させた。Tg=280℃
【実施例14】
【0052】
1Lの反応ケトルで800gのBADCyを130℃に加熱し、この時点で200gのポリシロキサンを加えて攪拌した。この混合物を120℃~155℃で加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で5000cPになった段階で、前記反応を停止した。前記反応を90℃に冷却し、MEKを加え、固体含有量85%、樹脂粘度110cPのわずかに濁った黄色樹脂溶液を作成した。前記樹脂を150℃で2時間、その後、235℃で2時間硬化させ、250℃で2時間、後硬化させた。Tg=234℃
【実施例15】
【0053】
1Lの反応ケトルで800gのMETHYLCyを130℃に加熱し、この時点で200gのポリシロキサンを加えて攪拌した。この混合物を120℃~155℃で加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で500cP~30000cPになった段階で、前記反応を停止した。前記樹脂を150℃で2時間、その後、235℃で2時間硬化させ、250℃で2時間、後硬化させた。Tg=240℃
【実施例16】
【0054】
1Lの反応ケトルで800gのジシクロペンタジエン構造含有シアン酸エステル樹脂(
ロンザ社、プリマセットDT-4000)を130℃に加熱し、この時点で200gのポリシロキサンを加えて攪拌した。この混合物を120℃~155℃で加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で5425cPになった段階で、前記反応を停止した。前記反応を95℃に冷却し、MEKを加えて、透明な褐色樹脂溶液を得た。
【実施例17】
【0055】
1Lの反応ケトルで800gのBADCyを155℃に加熱し、この時点で200gのフロオロポリマー(ポリビニリデンフルオライド(PVDF))を加えて攪拌した。この混合物を155℃に加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で2500cPになった段階で、前記反応を停止した。前記樹脂を150℃で2時間、その後、235℃で2時間硬化させ、250℃で2時間、後硬化させた。Tg=266℃
【実施例18】
【0056】
1Lの反応ケトルで800gのMETHYLCyを155℃に加熱し、この時点で200gのフロオロポリマーを加えて攪拌した。この混合物を165℃に加熱し、攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で8000cPになった段階で、前記反応を停止した。前記樹脂を150℃で2時間、その後、235℃で2時間硬化させ、250℃で2時間、後硬化させた。Tg=241℃
【実施例19】
【0057】
1Lの反応ケトルで700gのBADCyおよび300gのカルダノールを混合し、110℃に加熱して攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で7250cPになった段階で、前記反応を停止した。
【実施例20】
【0058】
1Lの反応ケトルで800gのBADCyおよび200gのDHEを混合し、110℃に加熱して攪拌した。前記樹脂の粘度が95℃で2125cPになった段階で、前記反応を停止し、95℃に冷却してMEKを加えると、透明な溶液が得られた。
【0059】
このように本発明をさらに詳細に説明することで、そのような詳細に厳密に遵守する必要はないが、追加の変更および修正は、それ自体が、すべて追記の請求項で定義される本発明の範囲内に入ることを当業者に示唆するものと理解される。