(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】アイアンレスリニアモータ用二次部分およびアイアンレスリニアモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018189809
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-07-14
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502149218
【氏名又は名称】エテル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・デヴィッド・モナハン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴィアン・バヴェレル
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07989993(US,B1)
【文献】特開2010-029026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264755(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアモータ(100)の一次部分(20)に対して磁気レーンを形成
する、二次部分(10)において、
磁気レーンの方向である二次部分(10)の縦方向に沿って一次部分(20)を案内するように形成されたスペーサ(11)と、
スペーサ(11)に固定するために、相互に向かい合って、
二次部分(10)の縦方向に垂直な方向である高さ方向に延在するように形成された、脚部を形成する2つのヨーク板(12)とを含
み、
2つのヨーク板(12)
は、それぞれのヨーク板(12)の外側に形成された補強構造(121)を有し、補強構造(121)は、ヨーク板の板厚が前記縦方向に沿って周期的に変化することにより形成され、
スペーサ(11)は、使用時に二次部分を固定するために形成された複数の装着位置(111)を
有し、補強構造(121)の極小部(1212)は
前記縦方向に沿って装着位置(111)と一致し、
補強構造(121)の
前記板厚の周期的変化の各周期毎に、2つの永久磁石が、前記縦方向に沿って相互に並んで極が交互にかつ相互に向かい合って極が交互に配置されるように、2つのヨーク板(12)の各々の内側に設けられ、
補強構造(121)
は、前記板厚の周期的変化の各周期毎に補強要素(1215)を有し、
前記補強要素の前記
縦方向の長さは、
前記高さ方向でより上部の位置において減少する、
ことを特徴とする二次部分(10)。
【請求項2】
ヨーク板(12)はそれぞれ、
前記縦方向の両端部において、補強構造のそれぞれの極大部(1211)で終端する、請求項1に記載の二次部分(10)。
【請求項3】
前記
補強要素(1215)の前記縦方向の長さは、前記高さ方向に亘って少なくとも50%だけ減少し
、および/または
、前記補強要素の前記縦方向の長さは、前記高さ方向の位置に対して線形に
減少する、請求項1または2に記載の二次部分(10)。
【請求項4】
各補強要素(1215)は、少なくとも
、各補強要素(1215)の前記高さ方向でより上部にある部分領域内において、
前記高さ方向でより上部の位置において減少する厚さを有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の二次部分(10)。
【請求項5】
前記補強要素(1215)の前記より上部にある部分領域は、それぞれの補強要素(1215)の前記高さ方向における全体高さのうち少なくとも10%
を占めるベベルを形成する、請求項4に記載の二次部分(10)。
【請求項6】
各補強要素(1215)は
、前記縦方向及び前記高さ方向に垂直な方向から見たとき、台形または三角形の形状を有する、請求項3ないし5のいずれかに記載の二次部分(10)。
【請求項7】
補強構造(121)の
前記極小部は、隣接する2つの補強要素(1215)の間
に形成されている、請求項3ないし6のいずれかに記載の二次部分(10)。
【請求項8】
ヨーク板(12)は、スペーサ(11)に固定するために固定手段(19)を受け入れるように形成された固定受入部(123)を有し、この場合、補強構造(121)の極大部(1211)は磁気レーンの方向内において固定受入部(123)と一致する、請求項1ないし7のいずれかに記載の二次部分(10)。
【請求項9】
ヨーク板(12)は、前記装着位置(111)に係合する固定要素
を露出させる切込部を有する、請求項1ないし8のいずれかに記載の二次部分(10)。
【請求項10】
ヨーク板(12)は、スペーサ(11)の装着位置(111)を露出させる切込部(122)を有する、請求項9に記載の二次部分(10)。
【請求項11】
スペーサ(11)は、重量低減のために、複数のくり抜かれた切抜部(113)を有する、請求項1ないし10のいずれかに記載の二次部分(10)。
【請求項12】
アイアンレスリニアモータ(100)が請求項1ないし11のいずれかに記載の二次部分(10)を有するアイアンレスリニアモータ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文献は、リニアモータ用二次部分の実施形態、特に、アイアンレスリニアモータ用二次部分の実施形態並びにアイアンレスリニアモータの実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
アイアンレスリニアモータ(したがって、特に、コアレスリニアモータと呼ばれる)に対する例が、US2006/0175907A1、US4749921およびEP2884638A1から既知である。特に、出願番号EP17178938.1の欧州特許出願は、アイアンレスリニアモータの態様、特にアイアンレスリニアモータの一次部分の態様を記載する。
【0003】
例えば、リニアモータは、例えば工作機械の機械部品のような物体の、高精度の、しかも場合により迅速な位置決めに関係するときに使用される。この場合、リニアモータの一次部分は、適切なインタフェースを介して、移動される機械部品またはその他物体と直接結合可能である。すなわち、通常の回転モータとは対照的に、ここでは、通常、リニアモータと駆動される物体の間に接続される変速機の必要性がない。
【0004】
特に正確な位置決めを必要とする使用に対しては特にいわゆるアイアンレスリニアモータが適し、アイアンレスリニアモータにおいては、一次部分に設けられた少なくとも1つのコイルに、鉄心のようなコアが付属されていない。これにより、妨害となる係止力が回避可能である。しかしながら、コアがなくても十分に大きな力をリニアモータの一次部分に発生可能にするために、それに対応してより大きなコイル電流が必要である。コイルは、例えば予備成形された個別コイルの形で製造される。すなわち、コイルを形成するために使用される、例えば絶縁層が設けられた導線が、直接コア上に巻き付けられないで、例えばコアなしで巻き付けられ、次に電動機を形成するように組み立てられる。この場合、電動機内に組み込まれた鉄心上にコアレス個別コイルの装着が行われてもよいが、個別コイルを、電動機内のいわゆる「エアコイル」として、付属のコアなしで運転するように設計されていてもよい。
【0005】
特に、リニアモータが、例えば工作機械の機械部品のような物体の、高精度の、しかも場合により迅速な位置決めのために使用されるべきとき、軽い重量は有利である。この場合、前記のような、例えば鉄心なしで提供される一次部分のみが利点を示すだけではない。
【0006】
リニアモータの二次部分もまた、例えばその重量に関して最適化されているべきである。これは、例えば、特に、例えばX-Y駆動を形成するために、二次部分が一次部分と共に、すなわちモータ全体が、他のモータの一次部分に連結されているときに適用される。
【0007】
しかしながら、同時に、二次部分は、要求に応じて安定性を満たさなければならない。
これに関して、永久磁石を備えかつ一次部分に対して磁気レーンを形成するヨーク板が、永久磁石の磁界に基づいて常に力を受け、このことが磁気レーンの曲げ、したがって変形に導くことがあることが問題である。
【0008】
二次部分のきわめて強い曲げまたは変形は、一次部分が二次部分に接触し、このとき、きわめて感受性の高い磁石が損傷させることがある。この接触および/または損傷は必ず回避されなければならない。
【0009】
1つの可能性は、エアギャップを(変形におけるより大きい公差まで)増大することであるが、これにより、そのときにそれに伴って出力損失が現われるであろう。したがって、二次部分はむしろ補強されるべきである。
【0010】
これに関して、例えば文献US7989993B1並びにUS2007/0052303A1から、ヨーク板の外側に、前記曲げの発生に抵抗する補強構造を設けることが既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】US2006/0175907A1
【文献】US4749921
【文献】EP2884638A1
【文献】EP17178938.1(出願番号)
【文献】US7989993B1
【文献】US2007/0052303A1
【文献】DE102015222265A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、このような補強構造の配置および形成が、それに従って有利に、二次部分の残余部分に実行可能な技術的指示を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これから出発して、本発明の独立請求項1により、リニアモータ用二次部品が提案される。いくつかの実施例の特徴が従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、明確に他の何か記載がない限り、他の実施形態を形成するために相互に組合せ可能である。
【0014】
第1態様により、二次部分は、リニアモータの一次部分に対して磁気レーンを形成する。二次部分は、スペーサと、スペーサに固定するために、相互に向かい合って、磁気レーンに垂直に伸長するように形成された、2つの脚部を形成するヨーク板とを含む。2つのヨーク板は、それらのそれぞれの内側に複数の永久磁石を受け入れるように形成されている。2つのヨーク板はそれぞれ、それらのそれぞれの外側に、磁気レーンの方向内における板厚の周期的変化により形成された補強構造を有する。スペーサは、使用時に二次部分を固定するために形成された複数の装着位置を有し、この場合、補強構造の極小部は磁気レーンの方向に沿って装着位置と一致する。
【0015】
第2態様は、第1態様による二次部分を有するアイアンレスリニアモータに関する。
以下に、前記両方の態様に関して説明する。
リニアモータはアイアンレス(すなわちコアレス)リニアモータであり、この場合、一次部分のコイルはコアなしで形成されている。
【0016】
二次部分は、例えば、本質的にスペーサ、両方のヨーク板、および永久磁石により形成された、例えばU形状断面を有する一種の基本輪郭装置として存在する。固定要素等のような他の構造部品が同様に基本輪郭装置の一部であってもよいことは当然である。同様に、複数のスペーサが設けられていてもよく、スペーサは、例えば、二次部分の縦方向に相互に並んで配置され、並びにそれに対応して複数のヨーク板が配置されていてもよい。
【0017】
一実施形態において、スペーサは、一次部分を磁気レーンに沿って案内するように形成されている。
例えば、その中に一次部分が部分的に挿入されるスペーサの溝状切抜部は、磁気レーンのベースを形成する。ヨーク板は、例えばU形状断面の両方の脚部を形成する。脚部はスペーサに固定されかつこれから出発して高さ内に、すなわち溝状切抜部の縦伸長方向に垂直に、また磁気レーンの方向に垂直に伸長する。
【0018】
ヨーク板は例えば鉄から製造される。ヨーク板は、それらのそれぞれの内側に永久磁石を受け入れるように形成されている。永久磁石は、二次部分の縦方向に極が交互に(「N-S-N-S-N...」)配置され、この場合、他の二次部分側、すなわち向かい合うヨーク板における順序は、その逆(「S-N-S-N-S-N...」)であり、これにより、N極およびS極は常に向かい合うことが保証されている。永久磁石は例えば磁石板として形成されかつ相互に例えば1mmないし3mmの小さい間隔で配置されている。二次部分の縦伸長方向に沿った磁石板の幅は例えば約1センチメートル以上の値である。
【0019】
スペーサは例えば同様に鉄から製造される。
スペーサのみならずヨーク板に対してもまた、鉄の代わりに、高い透磁率を有する他の材料が考慮される。
【0020】
ヨーク板が永久磁石を備えかつスペーサに固定されたとき、永久磁石は、例えば溝状切込部を形成する例えばスペーサの脚部と共に一直線上に並ぶ。
使用時に二次部分を固定するために、例えば機械部品に固定するために、スペーサは、例えば装着切抜部の形状で存在する複数の装着位置を含む。例えば、装着位置はそれぞれ、ねじ山を設けた内孔の形状で存在する。このとき、例えば、二次部分は、装着切抜部内に係合するねじにより機械部品に固定される。一実施形態において、ヨーク板は、使用時に二次部分の固定部により当接されないように設計されている。すなわち、例えば、固定のために使用されるねじは、スペーサのみに接触してヨーク板には接触しない。
【0021】
ヨーク板の外側にそれぞれ補強構造が装着されている。補強構造は、ヨーク板が例えばフライス加工等により加工されて、それぞれのヨーク板内に一体構造に統合されていてもよく、または補強構造は別の要素としてヨーク板に装着され、例えば接着されまたは他の方法で固定される。一実施形態においては、また、比較的厚い板がフライス加工等により加工されかつ厚さに対して局部的に薄くされ、一方、他の実施形態においては、本来比較的薄い板に、別に製造された補強構造が設けられる。
【0022】
上記の両方の実施形態が存在することとは無関係に、磁気レーンの方向内の板厚の周期的変化により形成された補強構造は、補強構造の極小部が磁気レーンの方向に沿ってスペーサの装着位置と一致するように設けられる。磁気レーンは、例えば、二次部分の縦伸長方向に平行に伸長する。
【0023】
装着位置は、また、スペーサ内において、二次部分の縦方向に沿って規則的な間隔で設けられている。縦方向ないしは磁気レーンの方向内において、装着位置は補強構造の極小部と一致している。
【0024】
一実施形態において、両方のヨーク板の補強構造のそれぞれの極小部に、正確に1つの装着位置が付属されている。両方のヨーク板の補強構造は、例えば相互にオフセットなしに配置されているので、装着位置が貫通切抜部として形成されているとき、それぞれの装着位置に2つの最小部が付属されているように見える。
【0025】
補強構造に基づき、それぞれのヨーク板の厚さは縦方向に一定ではない。縦方向に厚さは例えば規則的に低い値から高い値に変化し、この場合、値の差は2ないし4mmの範囲内であってもよい。ヨーク板の基本厚さは、例えばヨーク板の下部領域内において、例えば6mmの値である。補強構造の周期ごとに、値は、例えば、あるときは低い値から高い値に、あるときはその逆に高い値から低い値に変化する。
【0026】
一実施形態において、補強構造は、それに沿ってヨーク板の厚さが周期ごとにより高い値を有する区間は、ヨーク板の高さの増加と共に低減するように形成されている。その逆に、補強構造は、この実施形態において、その最も深いレベルにおいて、それに沿ってヨーク板の厚さが周期ごとに低い値を有する区間が最小になるように形成されている。補強構造の形態に応じてそれぞれ(同時に直ちに)この区間がほぼ点状に低下することもある。
【0027】
それに沿ってヨーク板の厚さが補強構造の周期ごとに低い値を有する区間が最小である位置に、本文献の表現により、補強構造の極小部が存在する。この位置において、補強構造により形成されたヨーク板の補強は、(冒頭記載の曲げの回避に関して)その最小影響もまた示す。
【0028】
それに沿ってヨーク板の厚さが補強構造の周期ごとに高い値を有する区間が最小である位置に、本文献の表現により、補強構造の極大部が存在する。この位置において、補強構造により形成されたヨーク板の補強は、(冒頭記載の曲げの回避に関して)その最大影響もまた示す。
【0029】
二次部分の一実施形態において、両方のヨーク板は、縦方向内の両端部において、補強構造のそれぞれの極大部で終端する。
補強構造の各周期に対して、二次部分の縦方向内に2つの磁気周期が設けられている。各磁気周期は、前記のように相互に並んで極が交互にかつ相互に向かい合って極が交互に配置された、2つのヨーク板の各々における2つの永久磁石により形成されている。補強構造の周期は、その幅に関して、相互に並んで配置された4つの永久磁石の幅にもほぼ対応する。この場合、極大部は、それに並んで縦方向の内側および反対側にそれぞれ2つの永久磁石が存在するように配置されている。
【0030】
補強構造の各周期は、その幅が(それぞれのヨーク板により形成された)それぞれの脚部の高さに沿って例えば少なくとも50%だけおよび/または線形に低減するように形成された補強要素を有してもよい。補強構造の補強要素は相互に継ぎ目なしで移行してもよい。したがって、上記の極小部および極大部、すなわち、それに沿って厚さがより高い値またはより低い値を有する各区間部分の最小部および最大部が発生する。
【0031】
各補強要素は、少なくとも上部部分領域内において、それぞれの脚部の高さに沿って低減する厚さを有するように設計されている。補強要素はそれぞれベベルを設けていてもよい。このようにして、二次部分の重量はさらに低減される。例えば、ベベルはそれぞれの補強要素の全体高さの少なくとも10%に沿って伸長する。
【0032】
一実施形態において、補強構造の補強要素はそれぞれ台形または三角形の形状を有し、このことは図示の実施例を参照してさらに詳細に説明される。極小部、すなわちそれに沿ってヨーク板の厚さがより小さい値を有する各最小区間部分は、例えば2つの隣接する補強要素の間の移行部により形成され、この場合、この移行部は「継ぎ目なし」であってもよい。
【0033】
他の実施形態において、ヨーク板は、スペーサに固定するために形成された固定受入部を有する。このために、例えば固定手段は、ヨーク板の固定受入部により案内されかつスペーサに固定される。この固定受入部は、磁気レーンの方向内において、それに沿ってヨーク板の厚さがより高い値を有する区間が最小である、補強構造の極大部すなわち(場合によりほぼ点状に突き出していてもよい)部分と一致する。このようにして、さらなる安定性の改善が達成される。
【0034】
さらに、ヨーク板が、装着位置に係合する固定要素によって接触されないように形成されていることは、本発明の範囲内に存在する。このために、ヨーク板は、スペーサの装着位置を露出させる、例えば切込部を有する。
【0035】
そこにおいてヨーク板がスペーサに固定される位置は、補強構造の極大部とも一致し、使用時にそこにおいて二次部分がスペーサを介して例えば機械部品に固定される位置は、補強構造の極小部と一致する。
【0036】
さらに、スペーサは、さらなる重量低減のために、複数のくり抜かれた切抜部を有してもよい。
第2態様のアイアンレスリニアモータは、例えばその電気機械的機能に関して、DE102015222265A1およびEP2884638A1に記載のように形成されている。
【0037】
本発明の他の詳細および利点は、図面によるいくつかの実施例の以下の説明により明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】
図1Aは、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略斜視切取図を示す。
【
図1B】
図1Bは、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略斜視切取図を示す。
【
図2】
図2は、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略斜視立面切取図を示す。
【
図3A】
図3Aは、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略平面切取図を示す。
【
図3B】
図3Bは、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略斜視切取図を示す。
【
図3C】
図3Cは、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略断面切取図を示す。
【
図4A】
図4Aは、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略平面切取図を示す。
【
図4B】
図4Bは、1つ以上の実施形態による二次部分の例示概略断面切取図を示す。
【
図5】
図5は、1つ以上の実施形態によるスペーサの例示概略斜視切取図を示す。
【
図6】
図6は、1つ以上の実施形態によるリニアモータの例示概略斜視切取図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1Aおよび1Bは、それぞれ、二次部分10の概略例示斜視図を示す。二次部分10は、リニアモータの一次部分に対する磁気レーンを形成する。例としての一次部分が
図6に概略図で示され、ここでは符号20で示されている。磁気レーンは、
図6に示した双方向矢印により表わされた方向に沿って、したがって二次部分10に対して縦方向に伸長する。
【0040】
リニアモータ100は、例えば、一次部分20のコイルがコアを有しないアイアンレスリニアモータとして形成されている。一次部分20は、番号EP17178938.1を有する欧州特許出願に記載されているように形成されていてもよい。一次部分20のコイルに、電流供給21を介して電流が供給される。ケーブル導線22を介して、温度、例えば一次部分20のコイルの1つにおける温度のような1つ以上の測定信号が読み取られる。
【0041】
リニアモータ100の二次部分10は、例えば
図1A-5に示す実施例のいずれかにより形成されている。
これにより、二次部分10はスペーサ11を含む。一実施形態において、スペーサ11は、磁気レーンに沿って一次部分20を案内するように形成されている。
【0042】
例えば、スペーサ11に溝状切抜部115が設けられ、その中に、
図6に示したように、一次部分20が一部挿入される。
スペーサ11は、さらに、使用時に二次部分の固定のために形成された複数の装着位置111を有する。
図2、4A-6にもまた示されている装着位置111を介して、二次部分10は例えば機械部品に固定される。装着位置111は例えばねじ山内孔として形成され、その中に、固定ねじ(ここでは図示されていない)が係合する。
【0043】
二次部分10の各側101および102に少なくとも1つのヨーク板12が設けられている。ヨーク板12は、それらが相互に向かい合って磁気レーンに垂直に伸長することにより、脚部を形成する。このようにして、U形状断面を有する基本輪郭が形成される。
【0044】
例えば、ヨーク板12は、スペーサ11に固定するために固定手段19を受け入れるように形成された固定受入部123を有する。固定手段19は例えばねじとして形成され、ねじは固定受入部123内に案内されかつスペーサ11のねじ山112内に係合する。
【0045】
この場合、ヨーク板12は、さらに、スペーサ11の装着位置111に係合する固定要素により接触されないように形成されている。このために、ヨーク板12は例えば切込部122を有し、切込部はスペーサ11の装着位置111を露出させる。装着位置111並びにこの中に係合する固定手段は必ずしも二次部分10の安定性に寄与しない。二次部分10は、使用時に、このために必要な固定手段が、ヨーク板12に接触することなく、スペーサの装着位置111に連結するようにもまた装着される。切込部122は、重量低減に寄与する。
【0046】
両方のヨーク板12は内側に複数の永久磁石13を有する。永久磁石13は二次部分10の縦方向において極が交互に(「N-S-N-S-N-S...」)配置され、この場合、他方の二次部分側、すなわち向かい合うヨーク板における順序はその逆(「S-N-S-N-S-N...」)であり、これにより、N極およびS極が常に向かい合うことが保証される。永久磁石13は例えば磁石板として形成されかつ相互に例えば1mmないし3mmの小さい間隔で配置されている。
【0047】
図4Bの断面図に略図で示されているように、永久磁石13は、一次部分20を案内するための溝状切抜部115を形成するスペーサ11の脚部と共に一直線上に並んでいる。
両方のヨーク板12はそれぞれ外側に補強構造121を有する。補強構造121は磁力に基づく曲げ/変形に抵抗するように働く。
【0048】
補強構造121は、各側に、磁気レーンの方向における(また二次部分10の縦方向における)板厚の周期的変化により形成されている。二次部分10の両側101、102における補強構造121は、相互に同じに形成されかつ向かい合って整列されていてもよく、縦方向に相互にオフセットもない。以下において、常に「補強構造121」と呼ばれるが、この場合、両方の二次部分側101、102の補強構造121を意味する。
【0049】
補強構造121は複数の極大部1211および極小部1212を有する。補強構造121の周期ごとにそれに沿ってヨーク板12の厚さが小さい値を有する区間が最小である位置において、本文献の表現により、補強構造121の極小部1212が存在する。この位置1212において、補強構造121により形成されたヨーク板の補強は、(冒頭記載の曲げの回避に関して)その最小影響もまた示す。
【0050】
補強構造121の周期ごとにそれに沿ってヨーク板12の厚さがより大きい値を有する区間が最小である位置において、本文献の表現により、補強構造121の極大部1211が存在する。この位置において、補強構造121により形成されたヨーク板の補強は、その最大影響もまた示す。
【0051】
図1A-5に示した実施例において、4つの極大部1211並びにそれらの間に存在する3つの極小部1212が設けられている。
図示の実施例において、補強構造121は相互に連結した複数の補強要素1215により形成されている。補強構造121の各周期に対してそれぞれ1つの補強要素1215が設けられている。補強要素1215の幅は、それぞれの脚部の高さに沿って、例えば少なくとも50%だけ低減する。したがって、三角形形状の補強要素の場合、幅の低減は約100%の値となるであろう。補強要素は、例えば、幅の低減が高さに沿って線形に行われるように寸法が決定される。幅の低減により、(すなわち2つの補強要素1215が相互に境を接する位置において)極小部1212が、および例えばそれぞれの周期の中央に位置する極大部1211が発生する。
【0052】
補強構造121の各周期に対して、二次部分10の縦方向に、例えば正確に2つの磁気周期が設けられている。この実施例において、各補強要素1215の幅は、縦方向に相互に並んで配置された4つの永久磁石13の幅に対応する。
【0053】
前に例として示した寸法データに対応して、磁気周期は、例えば、数センチメートル、例えば32mmの長さを有する。例えば永久磁石13は約14mmの幅であり、かつ16mmのフレーム内に、すなわち個々の永久磁石13の間が2mmの間隔(「隙間」)で配置されている。したがって、この例においては、磁気周期は32mmの長さである。
【0054】
図示の実施例において、各補強要素1215は台形形状に形成されている。他の実施例において、補強要素1215は三角形形状に形成されている。他の形状、例えば正弦形状等もまた考慮される。いずれにしても、製造技術の観点から、図示のように直線状に伸長する補強要素1215が有利である。
【0055】
補強構造121は、例えば、ヨーク板12内にフライス加工により形成される。他の実施形態において、補強構造121は別個に製造され、次にヨーク板12に固定される。
ここでは、さらに、一方の補強構造121と他方の装着位置111並びに固定受入部123の間に所定の位置関係が提案される。
【0056】
例えば、補強構造121の各周期に対して、正確に1つの装着位置111および正確に1つの固定受入部が設けられている。
補強構造121は、極小部1212が磁気レーンの方向に沿って装着位置111と一致するようにヨーク板12に配置されている。すなわち、装着位置111に、ヨーク板12の1つの補強構造121の正確に1つの極小部1212が付属されている。装着位置111は、貫通切抜部として、例えば貫通ねじ山内孔として形成されていてもよく、これにより、各装着位置111に、ヨーク板12の両方の補強構造121の向かい合う2つの極小部1212が付属されている。
【0057】
図示の実施例において、補強構造121は、さらに、ヨーク板12が縦方向内のその両端部においてそれぞれ極大部1211で終端するように配置されている。したがって、端部に対して最も近くに位置する両方の装着位置111は、最も近くの両方の最小部1211と同様に、正確に、端部からそれぞれ補強構造121の半周期だけ離れて存在する。
【0058】
補強構造121の全周期に対応するフレーム内の装着位置111の配置は、それが使用時における二次部分10の装着をこのフレーム寸法に対応して可能にするという利点をさらに有する。特に、一次部分20に対して、より長い磁気レーンを形成するために複数の二次部分を連続配置する場合、これは有利なことがある。連続的に配置された二次部分10は、例えば直線に沿って相互に(継ぎ目なしに)連結し、これにより、使用時に、全ての連結位置(すなわち当接位置)は、(特に連続的に配置された二次部分10の間の移行部の位置とは無関係に)連続的に配置された二次部分10の前記フレーム寸法内の装着位置111に対して設けることが可能である。
【0059】
さらに、図示の実施例において、補強構造121は、極大部1211が縦方向において固定受入部123と一致するように配置されている。固定受入部123を介して、前記のように、ヨーク板12のスペーサ11への固定が行われる。一方の極大部1211と他方の固定受入部123の間の一致は、ヨーク板12が、スペーサ11と、ヨーク板12の最大剛性が存在する位置において固定されているという利点を有する。一実施形態において、二次部分10の両端部における、一方の極大部1211と他方の固定受入部123のそれぞれの一致は、形成されないかまたは部分的にのみ形成され、両方の(ないしは4つの)固定受入部123は、例えば立体幾何的要求に基づき、二次部分10の中央方向に僅かにオフセットされている。
【0060】
二次部分10の他の最適特徴が残りの図面により説明される。一実施形態において、スペーサ11は、さらなる重量低減のために、
図2および
図5に略図で示したように、貫通する、例えば円筒形状の複数の切抜部113を有する。この貫通切抜部113内に、例えば小さい固定要素等が係合し、むしろそれは拘束されていない。貫通切抜部113の数並びにそれぞれの直径は、貫通切抜部113により得られる重量低減が二次部分10の安定性を損なわないように選択される。
【0061】
例えば
図3B、3Cおよび4Bに示すように、複数の実施例において、各補強要素1115が、少なくとも上部部分領域内において、それぞれの脚部の高さに沿って低減する肉厚を有するように設計されている。このようにして、さらなる重量低減が達成される。厚さのそれぞれの低減は、例えば、補強要素1215の上部1/3に存在する線1216において、当該補強要素1215の上部部分領域内に設けられた例えばベベルにより形成される。ベベルは、補強要素1215の終端まで、例えば
図3Cおよび4Bに示すように、終端において厚さが次第にヨーク板12の基本板厚に移行するように継続する。
【0062】
さらに、一実施形態において、ヨーク板12に、例えば円筒形状の他の切抜部129が設けられ、切抜部は、組立の間に、二次部分10の両側101、102をスペーサ11に位置決めするために使用可能である。例えば、このために、(図示されていない)位置決めピンが切抜部129内に挿入されかつ部品19および123を介してヨーク板の固定が完了するまでそこに保持される。その後に、任意に取り外されるかまたは切抜部129内に残される。
【符号の説明】
【0063】
10 二次部分
11 スペーサ
12 ヨーク板
13 永久磁石
19 固定手段
20 第1部分
21 電流供給
22 ケーブル導線
100 リニアモータ
101、102 側
111 装着位置
112 ねじ山
113 貫通切抜部
115 溝状切抜部
121 補強構造
122 切込部
123 固定受入部
129 切抜部
1211 極大部
1212 極小部
1215 補強要素
1216 ベベル、線