(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】エンジン制御装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 25/34 20130101AFI20230928BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20230928BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20230928BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20230928BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230928BHJP
【FI】
B60R25/34
E05B49/00 J
B60R25/24
G06Q30/0645
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018224419
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】表原 徹
(72)【発明者】
【氏名】三枝 直樹
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124786(JP,A)
【文献】特開2010-274682(JP,A)
【文献】特開2001-043430(JP,A)
【文献】特開2004-132024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/34
E05B 49/00
B60R 25/24
G06Q 30/0645
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両エンジンのオン/オフと車両のドアロック開閉とを個人認証用ICチップによる制御へ一本化した車両であるキーレス・シェアカーにおいて、当該キーレス・シェアカーのユーザがドアロックを忘れた場合に当該キーレス・シェアカーのエンジン始動を不能とするエンジン制御装置であって、
前記のエンジンのオン/オフを検知するエンジンセンサと、
前記の個人認証用ICチップにて前記のキーレス・シェアカーのドアロックの解錠および施錠を検知する車両施錠解錠センサと、
前記のキーレス・シェアカーの運転席へ運転者が着座したか否かを検知する着座センサと、
所定の信号を受信することで時間の計測を開始するタイマーと、
エンジンの始動の可能不能を制御する車載機と、
を備え、
前記のタイマーは、
前記の車両施錠解錠センサによる解錠した旨の信号を検知することでエンジンの始動が可能な状態となったら所定時間の計測を開始し、
前記の着座センサが運転席への運転者の着座を検知した旨の信号を検知することで前記の所定時間の計測をリセットするとともに、前記の着座センサが運転席への運転者の着座を検知しない旨の信号を検知した場合には所定時間の計測を継続し、
前記の車載機は、前記のエンジンセンサによってエンジンが停止した旨を検知するとともに、タイマーによる継続している計測が開始から所定時間を経過した場合には、前記のエンジンの始動を不能とするように制御することとし、
前記の車載機は、前記のキーレス・シェアカーを用いた車両共有サービスの運営者に係る車両管理サーバとの双方向通信が可能であり、
前記のキーレス・シェアカーには、前記の車両管理サーバから送信されて前記の車載機が受信した指示に基づいたメッセージを出力可能な多機能カーナビゲーション装置を備え、
前記の車載機は、前記の多機能カーナビゲーション装置が前記のキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力する前に、前記のエンジンの始動を不能とするように制御することとした
エンジン制御装置。
【請求項2】
前記の車載機は、前記の車両管理サーバにおいて前記のキーレス・シェアカーの利用者がキーレス・シェアカーの利用経験を有すると判断した場合に、キーレス・シェアカーの始動手順メッセージの出力が不要である旨の命令を前記の車両管理サーバから受信し、
その命令を受信した場合には、前記の多機能カーナビゲーション装置が前記のキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力しなくても前記のエンジンの始動を可能とするように制御することとした
請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
前記のキーレス・シェアカーの現在位置を前記の車両管理サーバが把握してその現在位置が返却地の近傍である場合に、前記の車両管理サーバから返却ボタンの表示命令を前記の車載機が受信し、
前記の多機能カーナビゲーション装置は、前記の車載機が受信した前記のキーレス・シェアカーの運転者が返却の意思を表示するための返却ボタンを出力することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
車両エンジンのオン/オフと車両のドアロック開閉とを個人認証用ICチップによる制御へ一本化した車両であるキーレス・シェアカーにおいて、当該キーレス・シェアカーのユーザがドアロックを忘れた場合に当該キーレス・シェアカーのエンジン始動を不能とするエンジン制御装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記のキーレス・シェアカーには、前記のエンジンのオン/オフを検知するエンジンセンサと、
前記の個人認証用ICチップにて前記のキーレス・シェアカーのドアロックの解錠および施錠を検知する車両施錠解錠センサと、
前記のキーレス・シェアカーの運転席へ運転者が着座したか否かを検知する着座センサと、
所定の信号を受信することで時間の計測を開始するタイマーと、
エンジンの始動の可能不能を制御する車載機と、
を搭載しており、
前記のコンピュータプログラムは、
前記の車両施錠解錠センサによって解錠を検知する解錠検知手順と、
その解錠検知手順にて解錠を検知した場合にエンジンの始動が可能となった旨を検知したら前記のタイマーによる所定時間の計測を開始するタイマー開始手順と、
前記のエンジンセンサを介してエンジンの停止を検知するエンジンオフ検知手順と、
そのエンジンオフ検知手順にてエンジンオフを検知した場合に、前記の着座センサにて前記の運転席へ運転者が着座していない旨を検知して前記のタイマーが所定時間を経過した場合には、エンジンの始動を不能とするエンジンロック手順と、
前記の多機能カーナビゲーション装置を介して前記のキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力させる始動手順メッセージ出力手順と、
その始動手順メッセージ出力手順による出力が終了する前にエンジンの始動を不能とする始動手順メッセージ遵守手順と、
を前記のエンジン制御装置に実行させることとし、
前記の車載機は、前記のキーレス・シェアカーを用いた車両共有サービスの運営者に係る車両管理サーバとの双方向通信が可能であり、
前記のキーレス・シェアカーには、前記の車両管理サーバから送信されて前記の車載機が受信した指示に基づいたメッセージを出力可能な多機能カーナビゲーション装置を備えたコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記の車両管理サーバにおいてキーレス・シェアカーの利用者がキーレス・シェアカーの利用経験を有すると判断した場合に、キーレス・シェアカーの始動手順メッセージ出力が不要である旨の命令を、前記の車両管理サーバから前記の車載機が受信するメッセージ省略命令受信手順と、
始動手順メッセージ出力が不要である旨の命令を受信した場合に、前記の始動手順メッセージ出力手順および前記の始動手順メッセージ遵守手順を経ずにも前記のエンジンの始動を可能とするように制御するメッセージ省略始動制御手順を、
前記のエンジン制御装置に実行させることとした請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記のキーレス・シェアカーの現在位置を前記の車両管理サーバが把握し、その現在位置が返却地の近傍である場合に、前記の車載機を介して前記の車両管理サーバから返却ボタンの表示命令を前記の車載機が受信する返却ボタン表示命令受信手順と、
前記の車載機が受信した前記のキーレス・シェアカーの運転者が返却の意思を表示するための返却ボタンを前記の多機能カーナビゲーション装置に出力させる返却ボタン表示命令手順と、
を前記のエンジン制御装置に実行させることとした
請求項4または請求項5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアロックにおいてエンジンキーを不要とした車両に対して、ドアロックの動作をし忘れた場合に所定条件を満たしたら、エンジンを始動できないようにロックするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を複数のユーザが共同で使用するカーシェアリングシステムが、普及しつつある。カーシェアリングを利用する利用者は、カーシェアリングの会員登録を済ませ、カーシェアリング用の自動車を確保している駐車場に出向いて直接利用する(カーシェアリングサービスのユーザは、不特定多数ではなく、特定多数となる)。利用に先立って、携帯電話やパーソナルコンピュータを用いて利用予定の時間帯などを事前に連絡する予約制度を活用している。
【0003】
カーシェアリングを事業として成り立たせるため、カーシェアリングに用いる車両(シェアカー)を運転するエンジンキーは、車内に保管することとするとともに、ドアロックの解錠および施錠を超短距離無線通信(非接触通信)が可能な個人認証用のICチップ(会員カードやスマートフォン)を採用する場合が多い。
【0004】
特許文献1には、車両を運転するための運転鍵を内部の収納空間(鍵保持具)に収納して施錠管理するために車両に鍵箱を固定する、という技術が開示されている。この技術は、車両のドアの開閉をICチップで実行し、乗車したらICカードにて開閉が可能な電子鍵の付いた鍵箱の中から運転鍵を取り出す、というものである(
図8参照)。
【0005】
一方、車両の各種施錠装置を制御する技術として、たとえば、以下のような技術がある。すなわち、車両を使用するユーザが所持する携帯機(スマートフォンや会員カード)と当該車両に搭載された機器との間で無線通信をすることで、車両周囲に存在する人物を確認し、正規の使用者が車両に接近している場合にドアロック装置を自動的に解錠する電子キーシステムが存在する。
【0006】
電子キーシステムは、車両を使用するユーザ個人を特定するための情報を取得することを条件として、ロックおよびアンロックする技術が組み合わされている。しかし、個人を特定するための情報を車両内に残すことになるとすれば、情報セキュリティ対策を強化しなければならない。そのため、特許文献2に開示されたような技術も提供されている。
【0007】
特許文献2に開示された技術では、メカニカルキーの凹凸部に形成された形状からそのメカニカルキーの使用者が把握され、その使用者に対応する車両の設定と施解錠状態とがともに制御される。そのため、適切に施錠管理しつつ、設備装置の設定状態を容易に使用者の好みに応じた設定にすることができるという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5639411号公報
【文献】特開2015-63827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カーシェアリングサービスにおいては、ドアロック開閉に用いている個人認証用ICチップ(会員カードやスマートフォン)に一本化してエンジンキーを省略したい、という要望がある。ユーザとしては一定の利便性があり、サービス提供者としても会員用のICカードと運転鍵とを一本化することで管理を簡略化できるからである。
【0010】
しかし、エンジンのオン/オフと車両のドアロック開閉とを個人認証用ICチップへ一本化した車両(以下、「キーレス・シェアカー」と略記する)が普及した場合、以下のような問題が想定される。
すなわち、ユーザがドアロックをし忘れて車両を離れた場合、ユーザではない第三者が車両へ乗り込むことができてしまう。その乗り込んだ第三者が悪意を持っている場合、鍵穴へドライバーなどを差し込み、セル配線へ電源を直結させるといった動作をすることで、その車両のエンジンを掛け、乗り去る(車両を盗難する)ことができるのである。
【0011】
また、キーレス・シェアカーが普及していく場合を想定すると、以下のような問題も想定される。すなわち、カーシェアリングサービスに用いるシェアカーが、キーレス・シェアカーへ一気に置き換わるのではなく、個人認証用ICチップと車内で管理されているエンジンキーとを用いて利用する車両(以下、「キー・シェアカー」と略記する)とキーレス・シェアカーとが混在することとなる。そうすると、キー・シェアカーを使ってきたユーザが、キーレス・シェアカーを初めて利用する場合、車両のエンジンを掛ける動作に戸惑うことが予想される。
【0012】
「スマートエントリー」、「インテリジェント・キーシステム」、「キーレス・スタートシステム」と称される技術が高級乗用車を中心に普及している。こうした技術は、ドライバーが身に付けている携帯機(キー、カード型キーなど)と自動車の車載機とが通信をすることで、運転者の動作なしにドア開閉やエンジン始動を実行するものである。
しかし、これらに関連する技術では、車両共有サービスに用いる車両に特有の問題(特定多数のユーザが運転する前提でキーレス・シェアカーとそうでないシェアカートが混在することによる戸惑い問題など)を解決することは困難と考えられる。
【0013】
カーシェアリングサービスを例にとって説明したが、特定多数のユーザが多数種類の車種を利用するレンタカーサービスでも同様の事態が想定される。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、キーレス・シェアカーを普及させた場合に、カーシェアリングやレンタルカーのサービスを利用する利用者の使い勝手をできる限り損なわず、車両盗難を未然に防止するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(第一の発明)
第一の発明は、車両エンジンのオン/オフと車両のドアロック開閉とを個人認証用ICチップによる制御へ一本化した車両であるキーレス・シェアカーにおいて、当該キーレス・シェアカーのユーザがドアロックを忘れた場合に当該キーレス・シェアカーのエンジン始動を不能とするエンジン制御装置に係る。
エンジン制御装置は、前記のエンジンのオン/オフを検知するエンジンセンサと、 前記の個人認証用ICチップにて前記のキーレス・シェアカーのドアロックの解錠
および施錠を
検知する
車両施錠解錠センサと、 前記のキーレス・シェアカーにおける運転席用ドアの開閉を検知する運転席ドア開閉センサと、
所定の信号を受信することで時間の計測を開始するタイマーと、
エンジンの始動の可能不能を制御する車載機と、を備える。
前記のタイマーは、 前記の
車両施錠解錠センサによる解錠
した旨の信号を検知することでエンジンの始動が可能な状態となったら所定時間の計測を開始し、 前記の運転席ドア開閉センサによって運転席ドアが閉まった
旨の信号を検知することで前記の所定時間の計測
をリセットするとともに、
前記の運転席ドア開閉センサによって運転席ドアが閉まっていない旨
の信号を検知した場合に
は所定時間の計測を継続する。
そして、
前記の車載機は、前記のエンジンセンサによってエンジンが停止した旨を検知するとともに、
タイマーによる継続している計測が開始から所定時間を経過した場合には、前記のエンジンの始動を不能とするように制御する(
図2参照)。
【0016】
(用語説明)
「シェアカー」とは、カーシェアリングサービスやレンタカーサービスに用いられる車両を指す。なお、カーシェアリングを管理運営するサービス、およびカーレンタルサービスの両方を示す言葉として、「車両共有サービス」とする。
シェアカーの利用を希望する者は、カーシェアリングの場合には、予め会員登録をした会員ユーザであることが一般的である。
「所定時間」とは、たとえば3分、5分、というような時間となる。運用に伴って変更することもできるし、キーレス・シェアカー毎に異なる時間を設定してもよい。
【0017】
(作用)
車両共有サービスにおいて、車両エンジンのオン/オフと車両のドアロック開閉とを個人認証用ICチップによる制御へ一本化した車両であるキーレス・シェアカーが用いられる。当該キーレス・シェアカーのユーザが運転席ドアを閉めずにエンジンが停止している場合には、当該キーレス・シェアカーのエンジン始動を不能とする。そのことで、車両の盗難を未然に防止する。
すなわち、車両解錠センサによる解錠を検知したら、エンジンの始動は可能となる。そのとき、タイマーによる所定時間の計測を開始する。その後、キーレス・シェアカーにおける運転席用ドアの開閉を運転席ドア開閉センサが検知する。運転席ドアが閉まったら、前記の所定時間の計測はリセットする。運転席ドアが閉まっていない旨を検知した場合には、タイマーが所定時間の計測を継続する。そして、前記のエンジンセンサによってエンジンが停止した旨を検知するとともに、計測を開始してから所定時間が経過した場合には、前記のエンジンの始動を不能とするのである。
【0018】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の車載機は、前記のキーレス・シェアカーを用いた車両共有サービスの運営者に係る車両管理サーバとの双方向通信が可能であり、
前記のキーレス・シェアカーには、前記の車両管理サーバから送信されて前記の車載機が受信した指示に基づいたメッセージを出力可能な多機能カーナビゲーション装置を備え、
前記の車載機は、前記の多機能カーナビゲーション装置が前記のキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力する前に、前記のエンジンの始動を不能とするように制御することとするのである。
【0019】
(作用)
車両管理サーバとの双方向通信する多機能カーナビゲーション装置がキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力する前に、エンジンが始動できないように制御する。キーレス・シェアカーであることを知らない運転者、キーレス・シェアカーを初めて運転する運転者の混乱を未然に防ぐ。
【0020】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の車載機は、前記の車両管理サーバにおいて前記のキーレス・シェアカーの運転者がキーレス・シェアカーの利用経験を有すると判断した場合に、キーレス・シェアカーの始動手順メッセージの出力が不要である旨の命令を前記の車両管理サーバから受信し、
その命令を受信した場合には、前記の多機能カーナビゲーション装置が前記のキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力しなくても前記のエンジンの始動を可能とするように制御することとするのである。
【0021】
(作用)
キーレス・シェアカーの利用者がキーレス・シェアカーの利用経験を既に有する場合には、多機能カーナビゲーション装置がキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力しなくてもエンジンを始動させることができる。経験者には、無駄な時間を過ごさせずに済む。
【0022】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記のキーレス・シェアカーの運転席には、
前記のキーレス・シェアカーのユーザが着座しているか否かを検知する着座センサを備え、
当該ユーザが着座していると判断した場合には前記のタイマーをリセットするように制御することとするのである(
図7参照)。
【0023】
(作用)
運転席ドアを閉めたのに運転席に着座していない場合、タイマーはリセットしない。このため、たとえば、ICカードで解錠したままキーレス・シェアカーを運転者(運転予定者)が離れた場合、エンジンの始動を不能とすることとなる。そうすることで、キーレス・シェアカーの盗難を未然に防止する。
【0024】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成することとすると、より好ましい。
すなわち、前記の車載機は、前記のキーレス・シェアカーの現在位置を前記の車両管理サーバが把握し、その現在位置が返却地の近傍である場合に、前記の車両管理サーバから返却ボタンの表示命令を受信し、
前記の多機能カーナビゲーション装置は、前記のキーレス・シェアカーの運転者が返却の意思を表示するための返却ボタンを出力することとしてもよい。
【0025】
(作用)
返却ボタンによって運転者が返却の意思を表示してもらうこととするため、タイマーなどによる制御の終了時点が明らかになり、盗難防止のための制御に対する確実性を増すことに寄与する。
【0026】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係るエンジン制御装置を制御するためのコンピュータプロ
グラムに係る。
すなわち、 前記のキーレス・シェアカーには、
前記のエンジンのオン/オフを検知するエンジンセンサと、
前記のキーレス・シェアカーにおける運転席用ドアの開閉を検知する運転席ドア開閉センサと、
前記の個人認証用ICチップにて前記のキーレス・シェアカーのドアロックの解錠および施錠を検知する車両施錠解錠センサと、
所定の信号を受信することで時間の計測を開始するタイマーと、
エンジンの始動の可能不能を制御する車載機と、
を搭載している。
前記のコンピュータプログラムは、
前記の車両施錠解錠センサによって解錠を検知する解錠検知手順と、
その解錠検知手順にて解錠を検知した場合にエンジンの始動が可能となった旨を検知したら前記のタイマーによる所定時間の計測を開始するタイマー開始手順と、
前記の運転席ドア開閉センサを介して運転席ドアが閉まったか否かを検知する運転席ドア開閉検知手順と、
その運転席ドア開閉検知手順にて運転席ドアが閉まった旨を検知した場合には前記のタイマーによる前記の所定時間の計測をリセットするリセット手順と、
前記の運転席ドア開閉検知手順にて運転席ドアが閉まっていない旨を検知した場合に、前記のタイマーによる所定時間の計測を継続しつつ、前記のエンジンセンサを介してエンジンの停止を検知するエンジンオフ検知手順と、
そのエンジンオフ検知手順にてエンジンオフを検知して前記のタイマーによる所定時間が経過した場合には、エンジンの始動を不能とするエンジンロック手順と、
を前記のエンジン制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0027】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、前記のキーレス・シェアカーには、 前記のキーレス・シェアカーを用いた車両共有サービスの運営者に係る車両管理サーバとの双方向通信が可能な車載機を備え、
前記のキーレス・シェアカーには、前記の車両管理サーバから送信されて前記の車載機が受信した指示に基づいたメッセージを出力可能な多機能カーナビゲーション装置を備えることとする。
そして、前記のコンピュータプログラムは、
前記の多機能カーナビゲーション装置を介して前記のキーレス・シェアカーの始動手順メッセージを出力させる始動手順メッセージ出力手順と、
その始動手順メッセージ出力手順による出力が終了する前にエンジンの始動を不能とする始動手順メッセージ遵守手順と、を、
前記のエンジン御装置に実行させることとすると、より好ましい。
【0028】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにしても良い。
すなわち、前記の車両管理サーバにおいて前記のキーレス・シェアカーの利用者がキーレス・シェアカーの利用経験を有すると判断した場合に、キーレス・シェアカーの始動手順メッセージ出力が不要である旨の命令を、前記の車両管理サーバから前記の車載機が受信するメッセージ省略命令受信手順と、
始動手順メッセージ出力が不要である旨の命令を受信した場合に、前記の始動手順メッセージ出力手順および前記の始動手順メッセージ遵守手順を経ずにも前記のエンジンの始動を可能とするように制御するメッセージ省略始動制御手順を、
前記のエンジン制御装置に実行させることとすると、より好ましい。
【0029】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のようにしても良い。
すなわち、 前記のキーレス・シェアカーは、その運転席に前記のキーレス・シェアカーのユーザが着座しているか否かを検知する着座センサを備えており、
その着座センサに基づいて当該ユーザが着座していない旨を検知した場合に、前記の着座検知手順をエンジン制御装置に実行させることとすると、より好ましい。
【0030】
(第二の発明のバリエーション4)
第二の発明は、以下のようにしても良い。
すなわち、 前記のキーレス・シェアカーの現在位置を前記の車両管理サーバが把握し、その現在位置が返却地の近傍である場合に、 前記の車載機を介して前記の車両管理サーバから返却ボタンの表示命令を受信する返却ボタン表示命令受信手順と、
前記のキーレス・シェアカーの運転者が返却の意思を表示するための返却ボタンを前記の多機能カーナビゲーション装置に出力させる返却ボタン表示命令手順と、
前記のエンジン制御装置に実行させることとすると、より好ましい。
【0031】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-R、CD-RW、MO(光磁気ディスク)、DVD-R、DVD-RW、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0032】
第一の発明によれば、キーレス・シェアカーを普及させた場合に、カーシェアリングやレンタルカーのサービスを利用する利用者の使い勝手をできる限り損なわず、車両盗難を未然に防止することに寄与するエンジン制御装置を提供することができた。
第二の発明によれば、キーレス・シェアカーを普及させた場合に、カーシェアリングやレンタルカーのサービスを利用する利用者の使い勝手をできる限り損なわず、車両盗難を未然に防止することに寄与するエンジン制御を実現するコンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第一の実施形態のハードウェア構成の概略図である。
【
図2】第一の実施形態の概要を示すフローチャートである。
【
図3】第二の実施形態の概要を示すフローチャートである。
【
図4】会員ユーザに対する操作案内の様子を示す概略図である。
【
図5】会員ユーザが荷物の積み卸しをしている場合を示す概略図である。
【
図6】第二の実施形態における電子クーポンの発行手順を示すフローチャートである。
【
図7】第三の実施形態の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。ここで使用する図面は、
図1から
図6である。
以下の実施形態では、カーシェアリングサービスを主に説明する。ただし、カーシェアリングサービスは、レンタカーサービスと置き換えることができる。
以下、カーシェアリングサービスに用いる自動車(サービス対象車両)を「シェアカー」と表記する場合もある。
なお、
図6に示している多機能カーナビゲーション装置へ出力表示は、デザインなどが適宜変更されることがある。
【0035】
本実施形態において説明するカーシェアリングを利用するには、管理および運営上の都合から、まず会員登録を済まさなければならないこととしている。すなわち、以下の実施形態に示すサービスを受けることができる「車両利用希望者」や「利用者」は、全て会員登録を済ませていることとなる。
【0036】
会員登録は、氏名や住所の他、利用料金の支払い口座などの会員データを予め登録する。その登録データは、会員データベースへ蓄積されるとともに、会員であることを認証するための個人認証用ICチップ(IDカード)が発行される。このIDカードには、そのユーザが会員であることを認証するために必要なデータがICチップへ格納されたICカードであり、シェアカーに搭載されたカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことでそのデータが読み取れるようになっている。施錠されているシェアカーの解錠も、前記の登録済みカードにて行う。
【0037】
個人認証用ICチップとしては、前記のICカードに代わってスマートフォンを用いることもできる。すなわち、非接触通信が可能な会員ユーザに係るスマートフォンへ所定のデータを読み込ませ、ICカードの代用とするのである。以下の説明においては、ICカードを用いることとするので、スマートフォンを個人認証用ICチップとして用いる場合についての説明は省略する。
【0038】
(
図1)
図1は、車両管理サーバと、サービス対象車両(シェアカー)に搭載されたデータ処理装置と、の関係を示している。シェアカーを利用する会員に係る携帯通信端末(スマートフォンを含む携帯電話、タブレット型PCなど)と車両管理サーバとの間でも、予約などの際に予約確認など通信があるほか、ICカードを車内へ忘れた場合に知らせる、などの通信も可能である。
【0039】
サービス対象車両には、車両管理サーバとの無線通信を実行する車載機、カードリーダとしての車両解錠センサ、およびカーナビゲーションのみならずカーシェアリングに関する各種の案内や会員ユーザからの連絡事項などを入出力する多機能カーナビゲーション装置が、データ処理装置として搭載されている。
【0040】
車両管理サーバは、前述したように、会員の利用状況、予約などの管理、サービス対象車両の車両管理などを実行する。
車載機は、車両管理サーバとの無線通信のほか、車両解錠センサおよび多機能カーナビゲーション装置とのシリアル通信を行う。
【0041】
多機能カーナビゲーション装置は、タッチパネルを備えており、車載機を介して送り込まれた各種のデータを用いての会員ユーザへのメッセージ表示や、会員の意思表示をタッチパネルによる入力の受付(サービス用ボタン表示)、その入力内容を車載機への送信、などを行う。
カーナビゲーション機能を担保するため、GPS(Global Position System)を利用して現在位置データを取得している。そしてその現在位置データは、車載機を介して車両管理サーバへ送信する。
【0042】
シェアカーを利用する会員に係る携帯通信端末は、車両管理サーバとの無線通信が可能であるように、予め専用のアプリケーションをインストールしてある。そのアプリケーションは、シェアカーの予約などに用いる。
ただし、専用のアプリケーションが必須であるとする必要はなく、車両管理サーバが予め把握しているメールアドレスにて、車両管理サーバからの連絡や電子クーポンの受信が可能である、としてもよい。
【0043】
車載機は、エンジンのオンオフや回転数などについてのデータを吸い上げ、車両管理サーバへ送信する。また、エンジンにはタイマーが接続されており、このタイマーは車両解錠センサともシリアル通信する。
また、運転席ドアセンサの開閉を検知する運転席ドアセンサ、運転席へ運転者が座っているか否かを検知する着座センサも備えられており、各センサの検知データは、車載機へ送られる。
【0044】
(
図2)
図2では、会員ユーザがICカードを用いて解錠し、エンジンを始動させることができるにもかかわらず、所定時間を経過してもエンジンを始動しない場合、エンジンを始動できなくするアルゴリズムを示す。
【0045】
会員ユーザが予約に係るサービス対象車両(予約車)へ到着する(S1)。そして、会員ユーザ個人を特定するICカードを用いて解錠する。このとき、車両解錠センサは解錠した旨を車載機へ報知する。その後、会員ユーザは、エンジンを始動させることができるようになる(S2)。このとき、所定時間を経過した場合にトリガーを発生させるタイマーの計測が開始される(S3)。そして、運転席ドアが閉まった(ロックされている)か否かを、運転席ドアセンサが検知する(S4)。運転席ドアが閉まった場合には、タイマーはリセットし(S5)、タイマーの計測を再開する(S3)。
【0046】
運転席ドアが閉まっていないと、運転席ドアセンサが検知した場合、エンジンが始動しているか停止しているかを、エンジンセンサが検知する(S6)。エンジンが停止している場合には、タイマーがトリガーを発生させる時間を経過したか否かを検証する(S7)。トリガーを発生させる時間を経過している場合には、エンジンの始動ができないように車載機が制御をし(S8)、タイマーによる計測を停止する(S9)。
エンジンが始動している場合には(S6)、エンジンの始動ができないように車載機が制御をし(S8)、タイマーによる計測を停止する(S9)。
【0047】
所定時間を経過してサービス対象車両に誰も居ないと推定される場合には、エンジンが掛からないようにロックする、あるいは掛かっていたエンジンを停止させてロックする。これによって、サービス対象車両の盗難を未然に防止するのである。
会員ユーザは、そのサービス対象車両を予約した会員ユーザに係るICカードにて、エンジンロックを解除でき、エンジンを再始動させることとなる。
【0048】
(
図3)
図3では、会員ユーザがエンジンを停止させた後にサービス対象車両から離れ、所定時間が経過したと判断した場合に、エンジンを始動できなくするアルゴリズムを示す。
【0049】
会員ユーザが予約に係るサービス対象車両(予約車)を運転しており(S11)、エンジンを停止させたとする(S12)。運転席ドアセンサは、運転席ドアが閉まっている(ロックされている)か否かを検知する(S13)。閉まっていない場合には、閉まっているか否かを検知し続ける。
【0050】
運転席ドアが閉まっている場合には、タイマーが計測を開始する(S14)。タイマーの計測開始後に、再び運転席ドアセンサは、運転席ドアが閉まっているか否かを検知する(S15)。閉まった場合にはタイマーをリセットし(S16)、タイマーの計測開始に戻る(S14)。
【0051】
運転席ドアが閉まっていないと運転席ドアセンサが検知した場合、エンジンかかかっているか切られているかをエンジンセンサが検知する(S17)。エンジンが切られている場合、タイマーが満了しているか否かを検証する(S18)。タイマーが満了していなければ、S15に戻る。
【0052】
タイマーが満了している場合には、エンジンの始動ができないようにロックし(S19)、タイマーの計測を停止する(S20)。すなわち、所定の時間が経過しても運転席ドアが閉まっていない場合には、エンジンが始動できないようにすることで、サービス対象車両の盗難を未然に防止するのである。
【0053】
(
図4)
図4では、会員ユーザがキーレス・シェアカーへ乗車した場合、そのキーレス・シェアカーにてエンジンを掛ける方法について、多機能カーナビゲーション装置にて説明をする手順を示している。
【0054】
車両管理サーバにおいては、ユーザ毎に乗車記録が蓄積されており、キーレス・シェアカーへ乗車回数も記録されている。また、予約に係る車両がキーレス・シェアカーか否かという車種データも蓄積されている。したがって、車両データベースから車種データを、会員データベースから経験データをそれぞれ参照し、データ送受信手段から「メッセージの要不要」を予め、キーレス・シェアカーへ送信しておく(1)。この図で示すB氏は、キーレス・シェアカーへの乗車経験がないとして説明する。
【0055】
B氏が予約したキーレス・シェアカーの車載機には、車両管理サーバから予めメッセージが必要である旨が送信されている(1)。予約に係る日時になったら、B氏は予約に係るキーレス・シェアカーへ乗車するため、自らのICカードにて車両解錠センサを解除し、乗車する(2)。乗車したら、多機能カーナビゲーション装置がメッセージを流し、エンジンキーが無くてもICカードでエンジンが掛けられる旨を音声出力し、必要な動作を動画にて再生する(3)。その音声出力や動画を視聴したB氏は、エンジンを始動させる(4)。その後、エンジンが始動された旨など、各種データが管理用データとして車両管理サーバの車両データベースへ送信され蓄積される(5)。
【0056】
もし、キーレス・シェアカーへ乗車経験が2回のA氏がユーザである場合には、車両管理サーバにおいて、A氏の予約に係るキーレス・シェアカーには、メッセージの出力が不要である旨を予め送信している。これによって、A氏は既に知っているキーレス・シェアカーのエンジン始動の動作について、改めてメッセージを聞いたり動画を見たりする時間を省くことができる。
【0057】
(
図5)
図5では、トランクドアの開閉センサや、トランク内の重量センサを備えることによって、エンジンをロックするか否かの判断を、ユーザにとってより的確に実行する様子を概念的に示している。
【0058】
トランクドアが開放されており、且つトランク内の重量センサが所定時間内に重くなったり軽くなったりと変化をしているとする。その場合、運転席ドアがロックされておらず、エンジンも停止していたとしても、エンジンをロックして盗難防止を未然に防ぐという必要性は極めて小さい。そのため、会員ユーザが荷物の積み卸しをしていると判断できる場合には、エンジンをロックさせることはしないようにタイマーなどがリセットされるアルゴリズムとするのである(フローチャートは省略)。
【0059】
(
図6)
図6では、キーレス・シェアカーを返却しようという会員ユーザの意思表示を受け取ることによって、エンジンをロックするか否かに関するアルゴリズムを確実にする様子を概念的に示している。
【0060】
キーレス・シェアカーには、GPSが搭載されており、車載機を介して現在位置データを間欠的に車両管理サーバへ送信している(1,2)。
一方、車両管理サーバにおいては、会員データベース内に予約データとして返却予定時刻、車両管理データベース内に返却地データが蓄積されている。車両管理サーバが受信した現在位置データが返却地データの近傍であり、現在時刻が返却予定時刻に近づいているとする(2)。
【0061】
データ送受信手段は、上記の条件に合致している場合、返却ボタンの表示命令を当該キーレス・シェアカーの車載機へ送信する(3)。車載機は、多機能カーナビゲーション装置へ返却ボタンの表示命令を出力する。すると、画面上に、「返却」ボタンと「まだ返却しない」というボタンとがタッチパネルへ表示される。
【0062】
会員ユーザが「返却」のボタンをタッチすると、その旨はエンジンのロックを司るタイマーなどに伝達される。程なく返却地へキーレス・シェアカーが返却され、エンジンが切られることとなり、会員ユーザの利用が終了するので、利用が終了した場合には、
図2や
図3に示したアルゴリズムは採用されない。フローチャートは省略するが、運転席ドアを会員ユーザが閉め忘れても、運転席ドアを含む全てのドアをロックし、次の予約に係る会員ユーザ以外がドアをあけられなくするのである。
【0063】
なお、この図において現在位置表示が返却地表示と重なっていない、すなわち、返却地へシェアカーが到着する前に、上記のような「返却ボタンの表示」を実行することとしているのは、返却地となっている駐車場が建物内にあるなど、車両管理サーバと車載機とが通信しにくい状況があるため、シェアカーが通信できる場所にてデータの送受信を完了させることを意図したものである。
【0064】
(
図7)
図7では、運転席に運転者が着座しているか否かを検知できる着座センサが搭載された場合の制御手順を示している。
図2で用いていたドア開閉センサの代わりに、着座センサを用いている。
【0065】
会員ユーザが予約に係るキーレス・シェアカーへ到着し(S21)、ICカードで解錠すると、エンジンは始動可能な状態となる(S22)。この状態でタイマーの計測を開始する(S23)。
【0066】
続いて、エンジンのオンオフを検知する(S24)。エンジンが掛かっていない場合には、着座センサを用いて運転席に会員ユーザが着座しているか否かを検知する(S25)。着座していると判断できれば、タイマーをリセットし(S26)、タイマーの計測を再び開始する(S23)。
【0067】
着座していないと判断した場合に、タイマーによる所定時間が満了したか否かを検知する(S27)。満了した場合には、エンジンを始動させられない状態となるように制御する(S28)。タイマーが満了していなければ、エンジンが掛かっているか否かを判断するステップ(S24)に戻る。
エンジンを始動させられない状態となるように制御した後は、タイマーを停止し(S29)、終了する(S30)。
【0068】
この制御手順によれば、キーレス・シェアカーを解錠したまま乗車をしないでその場を離れたような場合であっても、タイマーが機能し、所定の時間を経過したらエンジンが掛からなくなる。このことによって、キーレス・シェアカーの盗難を未然に防止するのである。
また、会員ユーザが着座したままエンジンを掛けないというような場合には、所定の時間を経過したらエンジンが掛からなくなる、という事態を未然に防止することができる。
【0069】
図7に基づいて、以下のような第三の発明も提供できる。
すなわち、車両エンジンのオン/オフと車両のドアロック開閉とを個人認証用ICチップによる制御へ一本化した車両であるキーレス・シェアカーにおいて、当該キーレス・シェアカーのユーザがドアロックを忘れた場合に当該キーレス・シェアカーのエンジン始動を不能とするエンジン制御装置に係る発明である。
この第三の発明に係るエンジン制御装置は、前記のエンジンのオン/オフを検知するエンジンセンサと、
前記の個人認証用ICチップにて前記のキーレス・シェアカーのドアロックの解錠および施錠を実行する車両解錠センサと、
前記のキーレス・シェアカーの運転席へ運転者が着座したか否かを検知する着座センサと、
所定の信号を受信することで時間の計測を開始するとともに、予め設定された時間が経過した場合にエンジンの始動の可不可を制御するタイマーと、
を備える。
そして、前記のタイマーは、前記の車両解錠センサによる解錠を検知することでエンジンの始動が可能な状態となったら所定時間の計測を開始し、
前記の着座センサが運転席への着座が検知できない場合に所定時間が経過した場合には、前記のエンジンの始動を不能とすることとするのである。
【0070】
前述の第三の発明に対しては、前述した第一の発明のバリエーション1(車載機および多機能カーナビゲーション装置の追加)、バリエーション2(利用経験者には始動手順メッセージの出力無しにエンジン始動可能)、およびバリエーション4(返却ボタン)を加えることもできる。
【0071】
前述した第三の発明について、発明カテゴリを変更した、エンジン制御装置の制御用コンピュータプログラムの発明(第四の発明)を提供することも、当然可能である。
キーレス・シェアカーには、前記のエンジンのオン/オフを検知するエンジンセンサと、
前記の個人認証用ICチップにて前記のキーレス・シェアカーのドアロックの解錠および施錠を実行する車両解錠センサと、
前記のキーレス・シェアカーの運転席へ運転者が着座したか否かを検知する着座センサと、
所定の信号を受信することで時間の計測を開始するとともに、予め設定された時間が経過した場合にエンジンの始動の可不可を制御するタイマーと、を備えたエンジン制御装置を搭載している。
第四の発明は、そのエンジン制御装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記の車両解錠センサによって解錠を検知する解錠検知手順と、
その解錠検知手順にて解錠を検知した場合にエンジンの始動が可能となった旨を検知したら所定時間の計測を開始するタイマー開始手順と、
記のエンジンセンサを介してエンジンの停止を検知するエンジンオフ検知手順と、
そのエンジンオフ検知手順にてエンジンオフを検知した場合に、前記の着座センサにて前記の運転席へ運転者が着座していない旨を検知して前記のタイマーが所定時間を経過した場合には、エンジンの始動を不能とするエンジンロック手順と、
を前記のエンジン制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0072】
前述の第四の発明に対しては、前述した第二の発明のバリエーション1(車載機および多機能カーナビゲーション装置の追加とそれに伴う始動手順メッセージを出力無しにエンジンを始動させない)、バリエーション2(利用経験者には始動手順メッセージの出力無しにエンジン始動可能)、およびバリエーション4(返却ボタンによる会員ユーザの意思確認)を加えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、カーシェアリングまたはレンタカーを管理運営するサービス業、カーシェアリングまたはレンタカーを実現するためのサポートをする情報通信サービス業、カーシェアリングまたはレンタカーの運営のためのコンピュータソフトウェアを作成するソフトウェア産業、車載機やエンジンの製造業、エンジン制御用のコンピュータソフトウェアを作成するソフトウェア産業などにおいて利用可能性を有する。